JP6408033B2 - 電極ユニットおよびそれを用いた電解装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、電極ユニットおよびそれを用いた電解装置に関する。
本発明の実施形態は、電極ユニット、電極ユニットを備える電解装置に関する。
近年、水を電解して様々な機能を有する電解水、例えば、アルカリイオン水、オゾン水または次亜塩素酸水などを生成する電解装置が提供されている。電解水の内、次亜塩素酸水は、優れた殺菌力を有するとともに、人体に安全で食品添加物としても認可されている。また電解装置は水素製造等にも用いられる。
電解装置としては、例えば、3室型の電解槽を有する電解水生成装置が提案されている。電解槽内は、陽イオン交換膜および陰イオン交換膜によって、中間室と、この中間室の両側に位置する陽極室および陰極室との3室に仕切られている。陽極室および陰極室には、陽極および陰極がそれぞれ設けられている。電極として、金属板基材にエクスパンド、エッチング、あるいはパンチングによって多数の孔を加工した多孔構造の電極が用いられている。
このような電解装置では、例えば、中間室に塩水を流し、陽極室および陰極室にそれぞれ水を流通する。中間室の塩水を陰極および陽極で電解することで、陽極で次亜塩素酸水や塩酸、塩素を生成するとともに、陰極室で水酸化ナトリウム水や水素を生成する。生成した次亜塩素酸水は殺菌消毒水として、水酸化ナトリウム水は洗浄水等して活用される。水素は水素水もしくは燃料として活用される。特に塩素や水素をメインに製造する場合にはより大電流で電解が行われる。
これらの電解では塩素や水素、酸素等のガスが発生する。このため円形や楕円形の多孔を有する電極の孔は大きい方がガスが抜けやすい。しかし孔が大きいと孔と孔の間が狭くなるため電気抵抗が大きくなり、エネルギ効率が低いことや発熱が問題となる。一方、正方形や菱形の開口も知られているがこの場合はエッジの角部に応力が集中しやすく接するイオン交換膜に傷をつけたり、また電流も集中しやすく電解が不均一に起こりやすく寿命等に影響する。
特開2014−101549号公報 特開2013−194323号公報
本発明の実施形態の課題は、長時間安定に駆動できる電極ユニットおよび電解装置を提供することにある。
実施形態によれば、電極ユニットは、第1表面、この第1表面とは裏側に位置する第2表面、前記第1表面に開口する複数の第1凹部、前記第2表面に開口しているとともに、前記第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部、及び第1凹部と第2凹部を連通する複数の貫通孔を有する第1電極と、前記第1電極の第1表面に対向して設けられた第2電極と、前記第1電極上の第2電極側に配置された多孔質隔膜と、を備える電解ユニットにおいて、貫通孔は彎曲部と直線部を有し、彎曲部の曲率半径rは0.005mmから0.5mmまでであり、開口面積は0.05mmから2mmまでである。
実施形態に係る電解装置の一例を概略的に示す図である。 図1の貫通孔を説明するための模式図である。 実施形態に係る電極ユニットの分解斜視図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 実施形態に使用される電極と多孔質隔膜の構成の一例を表す模式図である。 実施形態に用いられる電極の第2表面を模式的に表す図である。 実施形態に使用可能な次亜塩素酸水製造用電極ユニットの変形例の分解斜視図である。 実施形態に使用可能な次亜塩素酸水製造用電極ユニットの変形例の分解斜視図である。 実施形態に使用可能な次亜塩素酸水製造用電極ユニットの変形例の分解斜視図である。 実施形態に係る電解装置の一例を概略的に示す図である。 実施形態に係る電解装置の他の一例を概略的に示す図である。 実施形態にかかる電極ユニットの一例を示す分解斜視図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図である。 第1の電極の各領域の位置を表す模式図である。 実施形態にかかる電極ユニットの他の一例である。 実施形態に係る電解装置の他の一例を概略的に示す図である。 実施形態にかかる電極ユニットのさらに他の一例である。
以下に、実施形態に係る電極ユニット及び電解装置について説明する。
実施形態に係る電極ユニットは、第1電極と、第1電極に対向して設けられた第2電極と、第1電極の第2電極側に配置された多孔質隔膜とを備える。
第1電極は、第2電極に対向する第1表面、第1表面と反対側に位置する第2表面、第1表面に開口する複数の第1凹部、及び第2表面に開口しているとともに第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部、及び第1凹部と第2凹部を連通する複数の貫通孔を有する。
貫通孔は、彎曲部と直線部を含み、彎曲部の曲率半径rは0.005mmから0.5mmまでであり、その開口面積は0.05mmから2mmまでである。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。例えば図では電極は平面上に描かれているが、電極ユニットの形状に合わせて彎曲してもよいし、円筒状になっていてもよい。
図1は、実施形態に係る電解装置の一例を概略的に示す図である。
電解装置10は、3室型の電解槽11および電極ユニット12を備えている。電解槽11は、偏平な矩形箱状に形成され、その内部は、隔壁14および電極ユニット12により、陽極室16と陰極室18と、電極間に形成された中間室19との3室に仕切られている。
電極ユニット12は、陽極室16内に位置する第1電極20と、陰極室18内に位置する第2電極(対向電極)22と、第1電極20の第1表面21a上に触媒層28が形成され、その上に多孔質隔膜24を有する。第2電極22の第1表面23aに別の多孔質隔膜27と、を有することができる。第1電極20および第2電極22は、隙間をおいて互いに平行に対向し、これらの多孔質隔膜24、27間に、電解液を保持する中間室(電解液室)19を形成している。中間室19内に、電解液を保持する保持体25を設けても良い。第1電極20および第2電極22は、絶縁性を有する複数のブリッジ60により、互いに連結してもよい。
電解装置10は、電極ユニット12の第1および第2電極20、22に電圧を印加するための電源30、およびこれを制御する制御装置36を備えている。電流計32、電圧計34を備えてもよい。陽極室16、陰極室18には液体の流路を設けても良い。陽極室16、陰極室18には、外部から液体を供給、排出するための配管やポンプ等を接続してもよい。また、場合により、電極ユニット12と陽極室16あるいは陰極室18との間に多孔質のスペーサーを設けてもよい。
図1に示すように、第1電極20は、例えば、矩形状の金属板からなる基材21に多数の貫通孔を形成した多孔構造を有している。基材21は、第1表面21aおよび、第1表面21aとほぼ平行に対向する第2表面21bを有している。第1表面21aと第2表面21bとの間隔、すなわち、板厚はT1に形成されている。第1表面21aは多孔質隔膜24に対向し、第2表面21bは陽極室16に対向する。
基材21の第1表面21aに複数の第1凹部40が形成され、第1表面21aに開口している。また、第2表面21bに複数の第2凹部42が形成され、第2表面21bに開口している。多孔質隔膜24側となる第1凹部40の開口径R1は、第2凹部42の開口径R2よりも小さく、第1凹部の開口面積は第2凹部の開口面積より小さい。また、凹部の数は、第1凹部40が第2凹部42よりも多く形成されている。第1凹部40の深さはT2、第2凹部42の深さはT3であり、T2+T3=T1に形成されている。また、本実施形態において、例えばT2<T3に形成されている。図1では、第1凹部40は第2凹部と連通して貫通孔43を形成している。
貫通孔43は、彎曲部と直線部を有し、彎曲部の曲率半径rは0.005mmから0.5mmまでであり、開口面積は0.05mmから2mmまでであることを特徴している。
図1では第2電極は第1電極と同じ開口構造(鏡像)で示されているが異なっていてもよい。
図2は、図1の貫通孔43を説明するための模式図を示す。
図示するように、貫通孔43は、例えば、彎曲部として丸みを帯びたコーナー部Rと直線部Lとからなる丸みを帯びた矩形形状を有する。複数の貫通孔は、第1表面21aにマトリクス状に並んで設けられている。第1電極20への電流の供給は電極の周囲から行われるが電気抵抗は孔部43で挟まれた電極部分の最も細い幅W0で決まる。W0が小さい方が電気抵抗が高くなる。そのため駆動電圧が高くなり、発熱や電流集中が起こりやすい。例えW0が同じでも、円形や楕円形と比べて、矩形の方が開口面積を大きくとることができる。そのため、次亜塩素酸やガスの排出に有利となる。また、矩形のコーナーが角ばっていると、矩形のコーナーが丸みを帯びている場合と比べて応力が集中しやすく電極に接する多孔質膜にダメージを与えやすい。さらに、矩形のコーナーが角ばっていると、電流集中も起こりやすく電解が不均一になる傾向があり、触媒が劣化等することにより装置寿命が短くなる。そのようなことを防ぐためには彎曲部の曲率半径rは0.005mmから0.5mmが必要であり、0.005mmより小さいと効果はなく、0.5mmより大きいと塩化物イオンの遮蔽効果が少なくなり次亜塩素酸の生成効率が低下する。彎曲部の曲率半径rは、より好ましくは0.01mmから0.3mmであり、さらに好ましくは0.02mmから0.2mmである。貫通孔の開口率を大きくするためには直線部があることが必要であり、各孔部が直線部で隣合うことにより開口率を大きくすることができる。貫通孔の開口面積は0.05mmから2mmまでである。0.05mmより小さいと次亜塩素酸やガスが排出されにくく、隔膜の劣化等が起こりやすく、2mmより大きいと電解の効率が低下する。より好ましくは0.1mmから1.5mmである。さらに好ましくは0.2mmから1mmである。ここで直線部には曲率半径が1.5mm以上のものも含まれる。
貫通孔43は、丸みを帯びた矩形状に限定されることなく、丸みを帯びた、正方形、ひし形、及び六角形等の多角形状にすることができる。また、長方形の短辺とその両側のコーナーを1つの湾曲部に置き換えた形状、すなわち対向配置された一対の湾曲部と、湾曲部間を結ぶ2本の直線部を持つ形状にすることができる。更に、全ての第1凹部40が貫通孔43になっている構成に限らず、第2凹部42に連通していない第1凹部を含むことができる。すなわち陽極室に連通していない第1凹部があってもよい。また第1凹部の一部分が連通したものがあってもよい。例えば第1凹部がシール部を除いた電極の一端から他端まで届くような長方形の凹部形状であり、その中で複数の貫通孔がある間隔を持って配置されていてもよい。連通していない第1凹部は電極面積を増大させる効果や物質の拡散を促進する効果がある。
第1の電極には貫通孔が多数存在する。これらの複数の貫通孔のうち、彎曲部の曲率半径rが0.005mmないし0.5mmまでであり、開口面積が0.05mmから2mmである貫通孔は、80%以上が好ましい。より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。
第2凹部42に連通する複数の貫通孔の面積は、第2凹部42の中央領域に形成された貫通孔の方が周辺領域に形成された貫通孔の面積より大きくすることができる。こうすることにより第2凹部42周囲の電解反応で発生した次亜塩素酸やガスがより排出しやすくなる。
また、実施形態において、開口を規定している周壁は、孔部の底から開口に向かって、すなわち、第1表面21aに向かって、径が広くなるようなテーパー面あるいは湾曲面を有することができる。
図3に、実施形態に使用可能な次亜塩素酸水製造用電極ユニットの分解斜視図を示す。
図3では第2電極は第1電極と同じ開口構造(鏡像)を示しているが異なっていてもよい。
実施形態において、図示するように、複数、例えば、9個の第1凹部40が、1つの第2凹部42と対向して設けられている。これら9個の第1凹部40は、それぞれ第2凹部42に連通し、第2凹部42と共に基材21を貫通する貫通孔43を形成している。隣合う貫通孔間の間隔W1は、第2凹部42間の間隔W2よりも小さく設定されている。これにより、第1表面21aにおける第1凹部40の数密度は、第2表面21bにおける第2凹部42の数密度よりも充分に大きい。
第2凹部42は、例えば、矩形状に形成され、第2表面21bにマトリクス状に並んで設けられている。矩形の頂点は丸まっていてもいなくてもよい。各第2凹部42を規定している周壁は、凹部の底から開口に向かって、すなわち、第2表面側に向かって、径が広くなるようなテーパー面42aあるいは湾曲面により形成してもよい。隣り合う第2凹部42間の間隔、すなわち、電極の線状部の幅はW2に設定されている。なお、第2凹部42は、矩形状に限定されることなく、他の種々の形状としてもよい。また、第2凹部42は、規則的に限らず、ランダムに並んで形成してもよい。
第2凹部42の開口は正方形、長方形、ひし形、円、楕円等と様々な形状を用いることができる。第2凹部42の開口径は大きい方が次亜塩素酸やガス抜けをより良好にし得るけれども、電気抵抗が大きくなることから、あまり大きくはできない。正方形の開口とすると一辺が1mmから40mmが好ましく、より好ましくは2mmから30mmであり、さらに好ましくは3mmから20mmである。開口としては正方形、長方形、ひし形、円、楕円等と様々な形状を用いることができる。開口面積としては上記正方形の開口面積と同じ、1mmから1600mmのものが好ましい。より好ましくは4mmから900mmであり、さらに好ましくは9mmから400mmである。長方形や楕円のように一方向に長くして、シール部を除いた電極の一端から他端につながるような開口も可能である。
前記第1凹部と第2凹部が共にシール部を除いた電極の一端から他端につながるような開口を有している場合、これらは直交もしくは平行になっている構造にすることができる。直行しているとガス拡散がしやすい。平行になっていると塩化物イオンを溜めやすい。直交とは87度から93度の角度で交差することであり、平行とは交差角が3度以内である。多孔構造の第1電極20において、第1表面側の開口が広くなるテーパー面や湾曲面で第1凹部を形成することにより、第1凹部の開口との多孔質隔膜24との接触角が鈍角となり、多孔質隔膜24への応力集中を低減することもできる。
上記構成の第1電極20および多孔質隔膜24の製造方法の一例を以下に説明する。
図4Aないし図4Fに、実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図を示す。
第1電極20は、例えば、マスクを用いたエッチング法により作製することができる。図4A及び図4Bに示すように、1枚の平坦な基材21を用意する。
基材21の第1表面21aおよび第2表面21bにレジスト膜50a、50bを塗布する。
図4Cに示すように、図示しない光学マスクを用いてレジスト膜50a、50bを露光し、それぞれエッチング用のマスク52a、52bを作製する。
図4Dに示すように、これらマスク52a、52bを介して、基材21の第1表面21aおよび第2表面21bを溶液によりウェットエッチングすることにより、複数の第1凹部40および複数の第2凹部42を形成する。その後、マスク52a、52bを除去することにより、第1電極20が得られる。第1凹部40及び第2凹部42の平面形状は光学マスクおよびエッチング条件により制御することができる。
第1および第2凹部40、42のテーパーや湾曲面の形状は基材21の材質やエッチング条件により制御することができる。第1凹部40の深さはT2、第2凹部42の深さはT3であり、T2<T3となるように、第1および第2凹部を形成する。なお、エッチングにおいては、基材21の両面を同時にエッチングしてもよく、あるいは、片面ずつエッチングしてもよい。エッチングの種類は、ウェットエッチングに限らず、ドライエッチングなどを用いても良い。また、エッチングに限らず、エクスパンド法、パンチング法、あるいは、レーザーや精密切削などによる加工で第1電極20を製造することも可能である。
第1電極20の基材21としては、チタン、クロム、アルミニウムやその合金等の弁金属、導電性金属を用いることができる。この中ではチタンが好ましい。
第1電極20の第1表面21aおよび第2表面21bに電解触媒(触媒層)28を形成する。陽極触媒としては、白金等の貴金属触媒や酸化イリジウム等の酸化物触媒を用いることが好ましい。
第1電極と第1の多孔質隔膜の間に設けられた電解触媒からなる第1の触媒層、及び第1の触媒層とは反対側の第1電極の表面に設けられ、第1の触媒層とは単位面積当たりの量が異なる第2の触媒層をさらに含むことができる。
電解触媒の単位面積当たりの量が第1電極の両面で異なるように形成してもよい。これにより副反応等を抑制することができる。
基材21の少なくとも第1の表面21aは凹部を除いて略平坦であることが好ましい。このため、基材21の表面粗さ(凹部を除く平坦部の粗さ)は、0.01μmから3μmにすることができる。0.01μmより小さいと電極の実質の表面積が減少する傾向があり、3μmより大きいと電極の凸部に多孔質隔膜に対する応力が集中しやすくなる傾向がある。より好ましくは0.02μmから2μmであり、さらに好ましくは0.03μmから1μmである。
多孔質隔膜24は、例えば、第1電極20とほぼ等しい寸法の矩形状に形成され、第1表面21aの全面と対向している。多孔質隔膜27は、第2電極22とほぼ等しい寸法の矩形状に形成され、第1表面23aの全面と対向している。
多孔質隔膜24、27として、例えば第1の孔径を有する第1の多孔質層と第1の孔径とは異なる第2の孔径を有する第2の多孔質層との積層を使用することができる。
多孔質隔膜に使用される膜としてはイオン選択性のあるもの例えば炭化水素系ポリマーのイオン透過性膜やフッ素系ポリマーのイオン透過膜を用いることができる。
陽極側に用いる多孔質隔膜は、pHが2から6までの領域の中でゼータ電位が正の無機酸化物を含有することができる。これにより、化学的に安定で弱酸性領域で陰イオンに対する多孔質隔膜の輸送性能を増大させることができる。
無機酸化物として、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、ジルコン、酸化銅、酸化鉄およびこれらの混合酸化物を用いることができる。好ましくは、化学的安定性が良好な無機酸化物として、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンを用いることができる。あるいは好ましくは、曲げ耐性が良好な無機酸化物として、酸化ジルコニムを使用することができる。無機酸化物は、水酸化物やアルコキシド、オキシハロゲン化物、水和物を含むことができる。金属ハロゲン化物や金属アルコキシドの加水分解を経て無機酸化物を作製すると、後処理の温度によっては、これらの混合物になることがある。
多孔質隔膜中における無機酸化物の存在比率が場所によって異なることが可能である。例えば孔の周りや表面に無機酸化物の存在比率を多くすることができる。
無機酸化物はジルコンのような複合酸化物や異なる無機酸化物の混合物を使用することができる。また、多孔質隔膜は、異なる2種以上の酸化物をさらに含み、各酸化物の存在比率が多孔質隔膜の位置によって異なることも可能である。たとえば表面には曲げ強度の大きい酸化ジルコニウムを含有する領域が存在し、内部には正の電位の絶対値の大きい酸化チタンが含有された領域が存在することができる。
多孔質隔膜の表面のゼータ電位としてはpH4においてー30mVより大きくすることができる。−30mVより小さいと多孔質隔膜に電圧をかけても塩素イオンが入りにくい傾向がある。さらには多孔質隔膜の表面のゼータ電位は−15mVより大きくすることができる。
実施形態では、陰電極上の陽電極側に多孔質隔膜を配置することができる。
陰電極上に設けられる多孔質隔膜は、pHが8から10の領域の中でゼータ電位が負の無機酸化物を含有することができる。これにより、弱アルカリ領域の陰極近傍において陽イオンの輸送性能を増すことができる。このような無機酸化物としては、アルカリ性領域でゼータ電位が負になりやすいものを使用することができ、このような無機酸化物として、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、ジルコン、酸化ケイ素、酸化タングステン及びゼオライトを用いることができる。無機酸化物として上記酸化物の混合物を使用することができる。また、多孔質隔膜中における無機酸化物の存在比率が場所によって異なることが可能である。たとえば表面には曲げ強度の大きい酸化ジルコニウムを含有する領域が存在し、内部には負の電位のpH範囲が広い酸化シリコンが含有された領域が存在することができる。
無機酸化物の多孔質隔膜24は、ナノ粒子を塗布して膜を形成することにより、あるいは、ゾルーゲルで作製することにより、面内および立体的にも不規則的な孔を有することができる。この場合、多孔質隔膜24は、曲げ等にも強くなる。多孔質隔膜24には、無機酸化物の他に、ポリマーが含まれることが可能である。ポリマーは膜に柔軟性を与える。このようなポリマーとしては、化学的に安定な主鎖にハロゲン原子が置換したものを使用することができ、例えばポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、テフロン(登録商標)等があげられる。その他のポリマーとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素ポリマー、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の所謂エンジニアリングプラスチックを用いることができる。
多孔質隔膜24の孔径は、第1電極20側の開口径と第2電極22側の開口径とが異なることができる。孔の第2電極22側の開口径をより大きくすることにより、イオンの移動をより容易にするとともに第1電極20の貫通孔40による応力集中をより低減することができる。これは電極22側の開口が大きい方が拡散によるイオン移動が容易になるからである。陰イオンは電極20側の孔径が小さくても比較的容易に電極に引き寄せられる。逆に電極20側の孔径が大きいと生成した塩素等が多孔質隔膜側に拡散しやすくなる傾向がある。
多孔質隔膜の表面の孔径は高分解能の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いることにより測定できる。また内部の孔は断面SEM観察により測定できる。
図5に、実施形態に使用される電極と多孔質隔膜の構成の一例を表す模式図を示す。
図示するように、多孔質隔膜24は、第1電極20の第1表面21a部分を覆う第1領域24aと、第2凹部42と連通した複数の第1凹部40の開口を覆う第2領域24bと、を有している。21a部分では発生する塩素等のガスが排出されにくい。そのため、電極ユニット12が劣化しやすい。そこで、多孔質隔膜24において、第1領域の表面孔を無くす、すなわち、無孔に形成するか、あるいは、第1領域24aにおける表面孔の径や孔の数密度を第2領域における孔よりも小さくすることにより、第1領域24aと接する領域での電解反応を抑制し電極ユニット12の劣化を防止することができる。無孔に形成するか、あるいは孔の径を小さくするには、第1電極の第1表面21aにスクリーン印刷等で別途薄い無孔膜や孔径の小さい多孔質隔膜を形成することができる。ただし、電極の反応面積が少なくなるため、ガスが抜けやすい部分の電極領域で十分な反応が起こるようにすることができる。また、第1電極20の多孔質隔膜24と反対側の第2表面21bを液体を透過させない電気絶縁性膜で覆うことにより、副反応を低減することが可能である。なお図5では貫通孔ではない第1凹部40も示している。
多孔質隔膜24として、孔径の異なる複数の多孔質隔膜を積層した多層膜を用いることができる。この場合、第2電極22側に位置する多孔質隔膜の孔径を、第1電極20側に位置する多孔質隔膜の孔径よりも大きくすることにより、イオンの移動をより容易にするとともに電極の貫通孔による応力集中を低減することができる。
上記のように構成された第1電極20と第2電極22との間に多孔質隔膜24を挟んだ状態で、これらをプレスすることにより、第1電極20、多孔質隔膜24、第2電極22が接して、電極ユニット12が得られる。
図1で示したように、電極ユニット12は、電解槽11内に配設され、隔壁14に取付けられている。隔壁14と電極ユニット12とにより、電解槽11内を陽極室16と陰極室18に仕切っている。これにより、電極ユニット12は、構成部材の配置方向が、例えば、水平方向となるように、電解槽11内に配設されている。電極ユニット12の第1電極20は、陽極室16に臨んで配置され、第2電極22は、陰極室18に臨んで配置されている。
電解装置10において、電源30の両極は第1電極20と第2電極22に電気的に接続されている。電源30は、制御装置36による制御の下、第1および第2電極20、22に電圧を印加する。電圧計34は、第1電極20と第2電極22に電気的に接続され、電極ユニット12に印加される電圧を検出する。その検出情報は、制御装置36に供給される。電流計32は、電極ユニット12の電圧印加回路に接続され、電極ユニット12を流れる電流を検出する。その検出情報は制御装置36に供給される。制御装置36は、メモリに記憶されたプログラムに従い、前記検出情報に応じて、電源30による電極ユニット12に対する電圧の印加もしくは負荷を制御する。電解装置10は、陽極室16および陰極室18に反応対象物質が供給された状態で、第1電極20と第2電極22との間に電圧を印加あるいは負荷して、電解のための電気化学反応を進行させる。
第1電極20の表面に触媒28が形成された第1表面21a上に多孔質隔膜24を形成する一例としては、まず、図4Eに示すように、無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を第1表面21aに塗布して前処理膜24cを作製する。次いで、図4Fに示すように、前処理膜24cを焼結して多孔を有する多孔質隔膜24を作製する。
無機酸化物前駆体を含有する溶液を作製する方法としては、例えば、金属のアルコキシドをアルコールに溶解させ、多孔質構造を作製するためにグリセリン等の高沸点の溶媒を加え、あるいは、焼結する際に酸化して炭酸ガスになりやすい脂肪酸等の有機物を混合して、溶液を作製することができる。また、溶液は、電極の多孔を覆うために、少量の水を添加して金属アルコキシドを部分的に加水分解させて粘度を上昇させることができる。
多孔質隔膜24を形成する方法として、別の多孔質膜に無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を塗布することができる。もしくは、第1電極20の第1表面21a上にあらかじめ大きな孔を有する多孔質膜を形成し、その表面および孔を無機酸化物粒子およびもしくは無機酸化物前駆体で覆うことができる。もしくは上記方法により電解液を保持する保持体25上に無機酸化物を有する多孔質隔膜を形成することができる。また、これらを組み合わせることができる。
無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を塗布する方法として、刷毛塗りやスプレー、ディッピング等を使用することができる。前処理膜24cを焼結して多孔を作製する工程では、焼結温度は100〜600℃程度にすることができる。
以上の構成や製造方法等により長期間に亘って高効率な電解性能を維持できる長寿命の電極ユニットとこれを用いた電解装置を提供することができる。
次に、種々の実施例および比較例について説明する。
実施例
(実施例1)
第1電極の基材21として、板厚T1が0.5mmの平坦なチタン板を用意する。
このチタン板を図4Aから図4Fに示す工程と同様にして、エッチングすることにより、第1電極20を作製する。
図6に、貫通孔の形状の一実施形態を模式的に表す図を示す。
第1電極20のうち、第1凹部40を含んだ領域の厚み(第1凹部の深さ)は0.15mm、第1凹部より開口面積が広い第2凹部42を含んだ領域の厚み(第2凹部の深さ)は0.35mmである。図示するように貫通孔43は丸みを帯びたコーナーを有するひし形であり、各頂点の曲率半径は0.02mmから0.2mmで辺の直線部は0.14mmから0.45mmである。開口面積は0.20mmから0.28mmである。 図示するように、第2凹部42に連通する複数の貫通孔面積は、第2凹部42の中央領域に形成された貫通孔43Cの方が周辺領域に形成された貫通孔43Pの面積より大きい。
第2凹部42も同様に丸みを帯びたコーナーを有するひし形である。ひし形の一辺は約3.6mmである。隣合う貫通孔43間に形成される線状部の幅W1(W0)は約0.14mm、隣合う第2凹部42間に形成される幅広の線状部の幅W2は約0.86mmである。
このエッチングされた電極基材21を10wt%シュウ酸水溶液中1時間80℃で処理する。塩化イリジウム(IrCl・nHO)に1−ブタノールを0.25M(Ir)になるように加えて調整した溶液を、電極基材21の第1表面21aに塗布した後、乾燥、焼成して触媒層28を作成する。この場合、乾燥は80℃で10分間行ない、焼成は450℃で10分間行なう。こうした塗布、乾燥、焼成を5回繰り返した電極基材を、反応電極面積が3cm×4cmの大きさに切り出して、第1電極(陽極)20とする。
テトライソプロポキシチタン(IV)に氷浴下でエタノールおよびジエタノールアミンを加え、攪拌しながらエタノール混合水を滴下してゾルを作製する。薄膜を熱処理により多孔質化させゾルの粘性を増加させるポリエチレングリコール(分子量5000)を室温にもどしたゾルに添加し、電極20の第1表面21aに刷毛でコートする。コートした膜を500℃で7分間焼成する。コートと焼成を3回繰り返した後、500℃で1時間焼成してpH2から6におけるゼータ電位が正である酸化チタンからなる多孔質隔膜24を得る。なお、酸化チタンのゼータ電位は例えば電気泳動法(マルバーン社製 ゼータサイザーナノZS)により測定することができる。酸化チタンのpHは純水に塩酸および水酸化ナトリウムを加えて酸性側からアルカリ性側に変化させることができる。
酸化イリジウム触媒層28を作成する代わりに、触媒層として白金をスパッタすること以外は第1電極21と同様にして第2電極(対向電極、陰極)22を形成する。その上に上記多孔質隔膜24と同様にして、酸化チタン膜からなる多孔質隔膜27を作製する。
電解液を保持する保持体25として、厚さ5mmの多孔質ポリスチレンを用いる。これら第1電極20、多孔質隔膜24、多孔質ポリスチレン25、多孔質隔膜27、第2電極22をシリコーンシール剤およびネジを用いて重ね合わせて固定し、電極ユニット12を作成する。この電極ユニット12を電解槽11内に載置し、隔壁14および電極ユニット12により、陽極室16と陰極室18と、電極間に配置された多孔質ポリスチレン25が設けられた中間室19との3室に仕切られる。
電解槽11の陽極室16および陰極室18は、それぞれストレート流路が形成された塩化ビニル製の容器で形成している。制御装置36、電源30、電圧計34、電流計32を設置する。給水源106から陽極室16および陰極室18に水を供給するための配管とポンプを電解槽11に接続し、給水ライン104,105を確保する。さらに、陽極室16から次亜塩素酸水を取り出すライン102および陰極室18からアルカリ性水を取り出すライン103を設けることができる。電極ユニット12の保持体(多孔質ポリスチレン)25に飽和食塩水を循環供給するための飽和食塩水タンク107と配管、ポンプを電極ユニットに接続し、電解槽に塩素イオンを含む電解質を導入するライン101と、余剰の電解質を回収するライン108を確保する。
電解装置10を用いて、電圧3.9V、電流1.5Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。1000時間の連続運転後でも、電圧上昇や生成物濃度の変化はほとんど見られず、安定した電解処理を実行することができる。
(実施例2)
図7に、実施形態に使用可能な次亜塩素酸水製造用電極ユニットの第1の変形例の分解斜視図を示す。図7では第2電極は第1電極と同じ開口構造(鏡像)である。
図7で示す第1凹部及び第2凹部、貫通孔を有する第1電極及び第2電極を用いること以外は、実施例1と同様にして電極ユニット12’を形成する。
図示するように、たとえば複数、例えば、9個の第1凹部50が、1つの第2凹部52と対向して設けられている。これら9個の第1凹部50は、それぞれ第2凹部52に連通し、第2凹部52と共に基材21を貫通する貫通孔53を形成している。図7ではわかりやすいように第2開口部は3個、第2開口部に対向する第1開口部は9個で表現しているが反応電極面積が3cm×4cmの大きさであることから実際には下記で示す寸法からもっと開口部の個数は多い。隣合う貫通孔間の間隔W1’は、第2凹部52間の間隔W2’よりも小さく設定されている。これにより、第1表面21a’における第1凹部50の数密度は、第2表面21b’における第2凹部52の数密度よりも充分に大きい。
貫通孔53は両端が半円形の長方形すなわち平行する2本の直線の両端部がそれぞれ半円で結ばれた形状を有する。各半円の曲率半径は0.08mmから0.13mmで辺の直線部は約3.0mm、開口面積は0.7mmから0.8mmである。
第2凹部52は長方形で一辺はシール部を除く電極全体の長さである。隣合う貫通孔間に形成される線状部の幅W1’(W0)は約0.25mm、隣合う第2凹部42間に形成される幅広の線状部の幅W2’は約1.8mmである。
多孔質隔膜として厚さ100μmのガラス布に粒径50μmから500μmの酸化チタン粒子を含むテフロン粒子の水分散液を塗布して乾燥する。さらにテトライソプロポキシジルコニウム(IV)の5%イソプロパノール溶液に漬けて大気中に引き上げる。大気中80℃で1時間乾燥し多孔質隔膜を作成する。この多孔質隔膜表面のpH4におけるゼータ電位は−12mVである。
実施例1と同様に作成する触媒層付きの電極20および22を用い、図1で示される構造の電解装置を作成する。
この電解装置を用いて、電圧4.2V、電流1.5Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。1000時間の連続運転後でも、電圧上昇や生成物濃度の変化はほとんど見られず、安定した電解処理を実行することができる。
(実施例3)
多孔質膜として厚さ150μmのポリエチレン布に粒径400〜500μmの強塩基性ゲル型陰イオン交換樹脂とポリプロピレン微粒子の水分散混合液を塗布して乾燥する。大気中80℃で1時間乾燥し多孔質隔膜を作成する。この多孔質隔膜を図1における陽極側多孔質膜24として用い、陰極側の多孔質膜としてナフィオン117を用いることを除いては実施例2と同様にして電解装置を作製する。
この電解装置を用いて、電圧4.3V、電流1.5Aで電解を行い、第1電極(陽極)側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。1000時間の連続運転後でも、電圧上昇や生成物濃度の変化はほとんど見られず、安定した電解処理を実行することができる。
(実施例4)
貫通孔は丸みを帯びたコーナーを有するひし形であり、各コーナーの曲率半径は0.005mmから0.2mmで辺の直線部は0.05mmから0.40mmであり、かつ開口面積は0.05mmから0.27mmである第1電極及び第2電極を用いることを除いては実施例1と同様にして図1で示される構造の電解装置を作成する。
この電解装置を用いて、電圧4.0V、電流1.5Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。1000時間の連続運転後でも、電圧上昇や生成物濃度の変化はほとんど見られず、安定した電解処理を実行することができる。
(実施例5)
貫通孔は丸みを帯びたコーナーを有するひし形であり、各コーナーの曲率半径は0.03mmから0.5mmで辺の直線部は0.4mmから1.2mmであり、かつ開口面積は0.5mmから2mmである第1電極及び第2電極を用いることを除いては実施例1と同様にして図1で示される構造の電解装置を作成する。
この電解装置を用いて、電圧4.2V、電流1.5Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。1000時間の連続運転後でも、電圧上昇や生成物濃度の変化はほとんど見られず、安定した電解処理を実行することができる。
(実施例6)
図8に、実施形態に使用可能な次亜塩素酸水製造用電極ユニットの第2の変形例の分解斜視図を示す。図8では第2電極は第1電極と同じ開口構造(鏡像)である。
図8で示す第1凹部63及び第2凹部62を有する第1電極120及び第2電極122を用いること以外は、実施例1と同様にして電極ユニット112を形成する。
図示するように、4本の第1凹部63は各々、シール部124を除いた電極123の上端から下端まで届くような長方形であり、第1凹部63は、第2表面121b,123bに連通しない凹部と、第2表面121b,123bに連通した開口部(貫通孔)61を有する。貫通孔61は第1凹部63の中に間隔R2を持って配置されている。例えば、2個の第1凹部63が、1つの第2凹部62と対向して設けられている。これら2個の第1凹部63内に各々配置された5つの貫通孔61が、1つの第2凹部62に連通している。第1表面121aにおける第1凹部63の数密度は、第2表面121bにおける第2凹部62の数密度よりも充分に大きい。図8ではわかりやすいように開口部の数は少なく表現しているが反応電極面積が3cm×4cmの大きさであることから実際には下記で示す寸法からもっと開口部の個数は多い。
第1凹部63は長方形であり、第1電極120のうち、第1凹部63を含んだ領域の厚み(第1凹部の深さ)は0.1mm、第1凹部63より開口面積が広い第2凹部62を含んだ領域の厚み(第2凹部の深さ)は0.3mmである。貫通孔61は丸みを帯びたコーナーを有する正方形であり、各頂点の曲率半径は0.04mmから0.1mmで辺の直線部は0.3mmから0.35mmである。開口面積は0.15mmから0.3mmである。
第2凹部62は長方形で一辺はシール部を除く電極全体の長さである。第1凹部と第2凹部は平行である。隣合う第1凹部63間に形成される平面部の幅W3は約0.5mm、隣合う貫通孔61間の幅W4は約1.0mmである。第2凹部と連通していない第1凹部には電極面積を増大させ電圧を安定させる効果がある。
多孔質隔膜として厚さ100μmのガラス布に粒径50μmから500μmの酸化チタン粒子を含むとテフロン粒子の水分散液を塗布して乾燥する。さらにテトライソプロポキシジルコニウム(IV)の5%イソプロパノール溶液に漬けて大気中に引き上げる。大気中80℃で1時間乾燥し多孔質隔膜を作成する。この多孔質隔膜表面のpH4におけるゼータ電位は−12mVである。
実施例1と同様に作成する触媒層付きの電極120および122を用い、図1で示される構造の電解装置を作成する。
この電解装置を用いて、電圧4.0V、電流1.5Aで電解を行い、第1電極(陽極)120側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)122側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。1000時間の連続運転後でも、電圧上昇や生成物濃度の変化はほとんど見られず、安定した電解処理を実行することができる。
(実施例7)
図9に、実施形態に使用可能な次亜塩素酸水製造用電極ユニットの第3の変形例の分解斜視図を示す。図9では第2電極は第1電極と同じ開口構造(鏡像)である。
図9で示す第1凹部63及び第2凹部62を有する第1電極220及び第2電極222を用いること以外は、実施例1と同様にして電極ユニット212を形成する。
図示するように、6本の第1凹部63は各々、シール部224を除いた電極223の右端から左端まで届くような長方形であり、第1凹部63は、第2表面221b,223bに連通しない凹部と、第2表面221b,223bに連通した開口部(貫通孔)61を有する。貫通孔61は第1凹部63の中に各3つの間隔を持って配置されている。3本の第2凹部は各々、シール部224を除いた電極223の上端から下端まで届くような長方形である。これら6本の第1凹部63内に各々配置された6つの貫通孔61が、1つの第2凹部62に連通している。第1表面221aにおける第1凹部63の数密度は、第2表面221bにおける第2凹部62の数密度よりも充分に大きい。図9ではわかりやすいように開口部の数は少なく表現しているが反応電極面積が3cm×4cmの大きさであることから実際には下記で示す寸法からもっと開口部の個数は多い。
第1電極120のうち、第1凹部63を含んだ領域の厚み(第1凹部の深さ)は0.15mm、第1凹部63より開口面積が広い第2凹部62を含んだ領域の厚み(第2凹部の深さ)は0.35mmである。貫通孔は両端が半円形の長方形すなわち平行する2本の直線の両端部がそれぞれ半円で結ばれた形状を有する。各半円の曲率半径は0.08mmから0.13mmで辺の直線部は約3.0mm、開口面積は0.7mmから0.8mmである。
第1凹部と第2凹部は直交である。隣合う第1凹部63間に形成される平面部の幅W5は約0.25mm、隣合う第2凹部間の幅W6は約1.0mmである。第2凹部と連通していない第1凹部には電極面積を増大させ電圧を安定させる効果がある。
多孔質隔膜として厚さ100μmのガラス布に粒径50μmから500μmの酸化チタン粒子を含むとポリフッ化ビニリデン粒子の水分散液を塗布して乾燥する。さらにテトライソプロポキシジルコニウム(IV)の5%イソプロパノール溶液に漬けて大気中に引き上げる。大気中80℃で1時間乾燥し多孔質隔膜を作成する。この多孔質隔膜表面のpH4におけるゼータ電位は−10mVである。
実施例1と同様に作成する触媒層付きの電極220および222を用い、図1で示される構造の電解装置を作成する。
この電解装置を用いて、電圧4.1V、電流1.5Aで電解を行い、第1電極(陽極)120側では次亜塩素酸水を、第2電(陰極)122側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。1000時間の連続運転後でも、電圧上昇や生成物濃度の変化はほとんど見られず、安定した電解処理を実行することができる。
(比較例1)
貫通孔の各コーナーの曲率半径が0.003mmから0.01mmである第1電極及び第2電極を用いることを除いては実施例1と同様にして電解装置を構成する。
この電解装置を用いて、電圧4.2V、電流1.5Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。1000時間の連続運転後では、電圧上昇や生成物濃度の低下が見られる。
(比較例2)
貫通孔の開口面積が2.0mmから2.4mmである第1電極及び第2電極を用いることを除いては実施例1と同様にして電解装置を構成する。
この電解装置では、電圧4.0V、電流1.5Aで電解を行うことができるが、次亜塩素酸水生成の効率が実施例1と比較すると70%である。
(比較例3)
貫通孔の開口面積が0.03mmから0.05mmである第1電極及び第2電極を用いること以外は実施例1と同様にして電解装置を構成する。
この電解装置を用いて、電圧4.0V、電流1.5Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。1000時間の連続運転後では、電圧上昇や生成物濃度の低下が見られる。
(比較例4)
貫通孔の各コーナーの曲率半径が0.3mmから0.7mmである第1電極及び第2電極を用いることを除いては実施例1と同様にして電解装置を構成する。
この電解装置では、電圧4.1V、電流1.5Aで電解を行うことができるが、次亜塩素酸水生成の効率が実施例1と比較すると60%である。

(他の実施形態にかかる電極、電極ユニット、及び電解装置)
以下に、他の実施形態にかかる電極、電極ユニット、及び電解装置について説明する。
この実施形態に係る電極は、第1表面と、第1表面に対向する第2表面と、第1表面から第2表面に貫通する複数の貫通孔とを有する。複数の貫通孔は、大きさが異なる貫通孔を含み、貫通孔の開口率が電極の一端から対向する他端に向かう方向に沿って次第に増加するように配列されている。
この実施形態に係る電極ユニットは、上記電極を第1電極として用いた電極ユニットであって、第1表面と第2表面を有する第1電極、第1電極の第1表面と対向して配置された第2電極、第1電極の第1表面に設けられた多孔質隔膜、多孔質隔膜と第2電極との間に設けられた電解液保持構造を有する。
第1電極には第1表面から第2表面に貫通する複数の貫通孔が複数設けられている。複数の貫通孔は、大きさが異なる貫通孔を含み、貫通孔の開口率が第1電極の一端から対向する他端に向かう方向に沿って次第に増加するように配列されている。
また、この実施形態に係る電解装置は、上記電極およびこれを用いた電極ユニットを適用した電解装置の一例である。この電解装置は、電解槽、及び電解槽に組み入れられた電極ユニット、電極ユニットにより仕切られた第1電極室及び第2電極室を有する。電極ユニットには電圧を印加する機構例えば電極に電圧を印加するための電源、及び制御装置などを搭載することができる。
実施形態によれば、貫通孔の開口率が第1電極の一端から対向する他端に向かう方向に沿って次第に増加するように配列されていることにより、電気分解により発生するイオンが電極を通過する量を制御してpH制御を行うことができる。
第1電極室は例えば陽極室であり、第2電極室は例えば陰極室であり、電解槽に塩化物イオンを含む電解質溶液を導入するライン、陽極室から酸性電解水を取り出すライン、及び陰極室からアルカリ性電解水を取り出すラインをさらに設けることができる。
第1電極の一端から対向する他端に向かう方向は、第1電極室における流れの方向に沿った方向あるいは反対の方向にすることができる。
第1電極室における流れの方向とは、第1電極室に導入される水、電解による塩素または次亜塩素酸等を含む水の流れの方向をいう。
第1電極の一端から他端に向かって2以上に分割された各領域における単位面積あたりの開口面積の百分率を開口率とするとき、第1電極室における流れの方向の上流の領域よりも下流の領域の開口率を大きく、または小さくすることができる。
電解槽において自然対流により流れを発生させるとき、第1電極の一端から対向する他端に向かう方向は、第1電極室の上部から下部の方向または下部から上部の方向にすることができる。
電解槽において自然対流により流れを発生させるとき、第1電極の一端から他端に向かって2以上に分割された各領域における単位面積あたりの開口面積の百分率を開口率とするとき、前記第1電極室の上部よりも下部の開口率を大きくまたは小さくすることができる。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。例えば図では電極は平面上に描かれているが、電極ユニットの形状に合わせて彎曲してもよいし、円筒状になっていてもよい。
図10は、実施形態に係る電解装置の一例を概略的に示す図である。
電解装置10は、3室型の電解槽11および電極ユニット12を備えている。電解槽11は、偏平な矩形箱状に形成され、その内部は、隔壁14および電極ユニット12により、陽極室16と陰極室18と、電極間に形成された中間室19との3室に仕切られている。
電極ユニット12は、陽極室16内に位置する第1電極20と、陰極室18内に位置する第2電極(対向電極)22と、第1電極20の第1表面21a上に触媒層28が形成され、その上に多孔質隔膜24を有する。第2電極22の第1表面23aに別の多孔質隔膜27と、を有することができる。第1電極20および第2電極22は、隙間をおいて互いに平行に対向し、これらの多孔質隔膜24、27間に、電解液を保持する中間室(電解液室)19を形成している。中間室19内に、電解液を保持する保持体25を設けても良い。第1電極20および第2電極22は、絶縁性を有する複数のブリッジ60により、互いに連結してもよい。
電解装置10は、電極ユニット12の第1および第2電極20、22に電圧を印加するための電源30、およびこれを制御する制御装置36を備えている。電流計32、電圧計34を備えてもよい。
図示するように、第1電極20は、例えば、矩形状の金属板からなる基材21に多数の貫通孔を形成した多孔構造を有している。基材21は、第1表面21aおよび、第1表面21aとほぼ平行に対向する第2表面21bを有している。第1表面21aと第2表面21bとの間隔、すなわち、板厚はT1に形成されている。第1表面21aは多孔質隔膜24に対向し、第2表面21bは陽極室16に対向する。
基材21の第1表面21aに複数の第1孔部40が形成され、第1表面21aに開口している。また、第2表面21bに複数の第2孔部42が形成され、第2表面21bに開口している。多孔質隔膜24側となる第1孔部40の開口径R1は、第2孔部42の開口径R2よりも小さく、また、孔部の数は、第1孔部40が第2孔部42よりも多く形成されている。第1孔部40の深さはT2、第2孔部42の深さはT3であり、T2+T3=T1に形成されている。また、本実施形態において、例えばT2<T3に形成されている。
図11は、実施形態に係る電解装置の他の一例を概略的に示す図である。
図11に示すように、図1の構成に加えて、陽極室16、陰極室18には液体の流路を設けても良い。また、場合により、電極ユニット12と陽極室16あるいは陰極室18との間に多孔質のスペーサーを設けてもよい。また電解槽11に塩化物イオンを含む電解質を導入するラインL1、塩水溜107、電解槽に水を供給するラインL2およびL3、電解槽から酸性電解水を取り出すラインL4、及び電解槽からアルカリ性電解水を取り出すラインL5をさらに設けてもよい。また、軟水器109および、軟水器109に吸着剤再生用の酸性電解水を酸性電解水溜106から供給するためのラインL6をさらに設けてもよい。さらに、アルカリ電解水を貯蔵すためのタンクを設けてもよい。
第1電極20は水供給ラインL2側と酸性電解水を取り出すラインL4側で開口率が異なっている。
開口率は光学顕微鏡を用いて測定できる。電極のある部分の開口率は開口が少なくとも100個完全に含まれる正方形をとり、その中に含まれる貫通孔の開口面積(テーパーが側面にある場合はもっとも狭い開口面積)を測定し、その合計面積を正方形の面積で割った値すなわち単位面積あたりの開口面積の百分率を求める。正方形の周辺に開口の一部がかかる場合は正方形内の開口面積を合計面積に加える。
第1電極の一端から他端に向かって2以上に分割された各領域の単位面積あたりの開口面積の百分率を開口率とするとき、第1の領域の第1の開口率と第1の領域とは異なる第2の領域の第2の開口率との比が1:1.05から1:10までの範囲内であることが好ましい。
次亜塩素酸が生成する陽極での素反応は、Mを触媒として
M+HO→M−OH+H+e …(1)
M−OH→M−O+H+e …(2)
M−O+Cl+H→M+HClO …(3)
トータルとして
O+Cl→HClO+H+2e…(4)
である。
一方、陰極では
2HO+2e→H+2OH…(5)
全反応は陽イオンもいれて
2NaCl+3HO→HClO+HCl+2NaOH+H …(6)である。
一方陽極では酸素が発生する副反応も同時に起こる場合があり、その反応は
M+HO→M−OH+H+e …(1)
M−OH→M−O+H+e …(2)
2M−O→2M+O …(7)
トータルとして、
2HO→O+2H+2e …(8)
である。
反応式(4)から、二つの電子を取ることにより、次亜塩素酸分子一つとプロトンが一つ、反応式(8)から酸素分子一つとプロトンが二つ生成することが分かる。すなわち同じ電流量であっても副反応の酸素が発生するとよりプロトンが多く発生してpHが下がる。通常は反応式(7)の反応の活性化エネルギが大きいために反応式(3)の反応が優先する。しかし反応に必要な塩化物イオンの濃度が小さいと反応式(7)の反応が起こりやすくなる。開口率が大きいと塩化物イオンが開口から外部に流出しやすくなり、塩化物イオンの濃度が下がりやすい。そのため酸素が発生しやすくなり、プロトンがより発生する。この場合、プロトン発生量の差は最大2倍である。pH値は濃度の対数であるため特に高pH領域においてこの違いは大きくなる。プロトンは触媒のある陽極の多孔質隔膜側で発生するが、陽極との静電反発のため陽極の開口から外部に出にくい。反応式(6)から陰極ではOHがプロトンの倍の数発生する。OHも静電反発のため外部に出にくい。滞留したプロトンやOHは多孔質隔膜を逆に拡散して反応するため陽極外側でのpHがさらに下がりにくくなる。
電荷セルの供給される水流は通常中性であるので、上流側で生成したプロトンは大きな濃度勾配により外部に排出されやすい。下流側では水流のpHが下がり、プロトンの外部への拡散は起こりにくくなる。しかし下流側の開口率が大きいとプロトン発生量も大きくなり、濃度勾配を大きくすると共に、大きな開口率のため外部にプロトンが流出しやすくなりpHが下がりやすい。また下流側の方が水圧が低いため酸素ガスが抜けやすいため反応式(8)の反応が促進されpHが下がりやすい。陰極側においても下流側の開口率が大きい場合はOHが抜けやすくなるため副次的に陽極でプロトンが外部に流出しやすくなる。
一方、水流の上流側に置かれた電極の開口率が下流側より大きい場合には、下流で生成するプロトンの濃度勾配が小さくなるため拡散しにくくなると共に開口率が小さいため外部に流出しにくい。そのためpHが下がりにくい。また上流側の方が水圧が高いため酸素ガスが抜けにくいため反応式(8)の反応が抑制されpHが下がりにくい。
ここでは水流をポンプ(図示せず)によるライン配管により起こしているが、熱による自然対流や発生するガスによる自然対流では重力の効果により下部から上部への水流が起こり、ライン配管による効果と同様の効果が生じる。
上記のような効果を出すためには、下部に対する上部の開口率の違いが1:1.05から1:10までの範囲内であることが好ましい。1:1.05より小さいと効果が低下する傾向がある。一方、1:10より大きいと一方の電極反応が阻害され全体としての効率が低下する。1:2から1:7までがより好ましく、1:3から1;6までがさらに好ましい。
貫通孔の多孔質膜側の開口面積は0.01mmから4mmまでであることが好ましい。0.01mmより小さいとガスや次亜塩素酸などの反応生成物の外部への排出が困難になり、部材の劣化等が起こりやすくなる。4mmより大きいと電極反応の効率が低下する。より好ましくは0.1mmから1.5mmである。さらに好ましくは0.2mmから1mmである。
貫通孔の多孔質膜側の開口面積の違いが10倍以下であることが好ましい。10倍より大きいと一方の開口で反応が阻害されやすい。より好ましくは7倍以下であり、さらに好ましくは5倍以下である。
電極全体の長さは水流方向で5cmから以上100cmまでが好ましい。5cmより小さいと開口率の違いによる効果が出にくい傾向がある。100cmより大きいと電極ユニットの製造が難しくなる傾向がある。より好ましくは7cm以上70cm以下であり、さらに好ましくは10cm以上50cm以下である。
また、実施形態において、開口を規定している周壁は、孔部の底から開口に向かって、すなわち、第1表面21aに向かって、径が広くなるようなテーパー面あるいは湾曲面を有することができる。
図12に、実施形態にかかる電極を用いた電極ユニットの一例を示す分解斜視図を模式的に示す。
この電極および電極ユニットは例えば下から上に向かって水流が起こるような状態で配置することができる。
図示するように、複数、例えば、9個の第1凹部40が、1つの第2凹部42と対向して設けられている。これら9個の第1凹部40は、それぞれ第2凹部42に連通し、第2凹部42と共に基材21を貫通する貫通孔を形成している。隣合う貫通孔間の間隔W1は、第2凹部42間の間隔W2よりも小さく設定されている。これにより、第1表面21aにおける第1凹部40の数密度は、第2表面21bにおける第2凹部42の数密度よりも充分に大きい。第1凹部40の開口面積は、下流から上流に向かう方向に次第に増加している。上流に位置する第1凹部40は、下流に位置する第1凹部40より大きく、開口率も大きい。各第2凹部42の開口面積の大きさは上流と下流で同じである。
第2凹部42は、例えば、矩形状に形成され、第2表面21bにマトリクス状に並んで設けられている。矩形の頂点は丸まっていてもいなくてもよい。各第2凹部42を規定している周壁は、孔部の底から開口に向かって、すなわち、第2表面側に向かって、径が広くなるようなテーパー面42aあるいは湾曲面により形成してもよい。隣り合う第2凹部42間の間隔、すなわち、電極の線状部の幅、はW2に設定されている。なお、第2凹部42は、矩形状に限定されることなく、他の種々の形状としてもよい。また、第2凹部42は、規則的に限らず、ランダムに並んで形成してもよい。
第2凹部42の開口は正方形、長方形、ひし形、円、楕円等と様々な形状を用いることができる。第2凹部42の開口径は大きい方が次亜塩素酸やガス抜けをより良好にし得るけれども、電気抵抗が大きくなることから、あまり大きくはできない。正方形の開口とすると一辺が1mmから40mmが好ましく、より好ましくは2mmから30mmであり、さらに好ましくは3mmから20mmである。開口としては正方形、長方形、ひし形、円、楕円等と様々な形状を用いることができる。開口面積としては上記正方形の開口面積と同じ、1mmから1600mmのものが好ましい。より好ましくは4mmから900mmであり、さらに好ましくは9mmから400mmである。長方形や楕円のように一方向に長くしてシール部を除く電極の端から端につながるような開口も可能である。
多孔構造の第1電極20において、第1表面側の開口が広くなるテーパー面や湾曲面で貫通孔を形成することにより、貫通孔の開口との多孔質隔膜24との接触角が鈍角となり、多孔質隔膜24への応力集中を低減することもできる。
なお、第1凹部40は少なくとも一部が第2凹部42を連通していれば良く、貫通孔43ではない第1凹部40を含むことができる。連通していない第1凹部40は電極面積を増大させる効果や物質の拡散を促進する効果がある。
上記構成の第1電極20および多孔質隔膜24の製造方法の一例を以下に説明する。
図13Aないし図13Fに、実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図を示す。
第1電極20は、例えば、マスクを用いたエッチング法により作製することができる。図13A及び図13Bに示すように、1枚の平坦な基材21を用意する。
基材21の第1表面21aおよび第2表面21bにレジスト膜50a、50bを塗布する。
図13Cに示すように、図示しない光学マスクを用いてレジスト膜50a、50bを露光し、それぞれエッチング用のマスク52a、52bを作製する。光学マスクによって開口面積や開口率は規定される。
図13Dに示すように、これらマスク52a、52bを介して、基材21の第1表面21aおよび第2表面21bを溶液によりウェットエッチングすることにより、複数の第1凹部40および複数の第2凹部42を形成する。その後、マスク52a、52bを除去することにより、第1電極20が得られる。第1凹部40及び第2凹部42の平面形状は光学マスクおよびエッチング条件により制御することができる。マスクを設計することにより電極内の開口率や開口面積、開口形状等は自由に制御できる。
第1および第2凹部40、42のテーパーや湾曲面の形状は基材21の材質やエッチング条件により制御することができる。第1凹部40の深さはT2、第2凹部42の深さはT3であり、T2<T3となるように、第1および第2凹部を形成する。なお、エッチングにおいては、基材21の両面を同時にエッチングしてもよく、あるいは、片面ずつエッチングしてもよい。エッチングの種類は、ウェットエッチングに限らず、ドライエッチングなどを用いても良い。また、エッチングに限らず、エクスパンド法、パンチング法、あるいは、レーザーや精密切削などによる加工で第1電極20を製造することも可能である。
第1凹部と第2凹部が共にシール部を除いた電極の一端から他端につながるような開口を有している場合、これらは直交もしくは平行になっている構造にすることができる。直行しているとガス拡散がしやすい。平行になっていると塩化物イオンを溜めやすい。直交とは87度から93度の角度で交差することであり、平行とは交差角が3度以内である。
第1電極20の基材21としては、チタン、クロム、アルミニウムやその合金等の弁金属、導電性金属を用いることができる。この中ではチタンが好ましい。
第1電極20の第1表面21aおよび第2表面21bに電解触媒(触媒層)28を形成する。陽極触媒としては、白金等の貴金属触媒や酸化イリジウム等の酸化物触媒を用いることが好ましい。
第1電極と第1の多孔質隔膜の間に設けられた電解触媒からなる第1の触媒層、及び第1の触媒層とは反対側の第1電極の表面に設けられ、第1の触媒層とは単位面積当たりの量が異なる第2の触媒層をさらに含むことができる。
電解触媒の単位面積当たりの量が第1電極の両面で異なるように形成してもよい。これにより副反応等を抑制することができる。
陽電極の多孔質膜側の表面が凹部を除いて略平坦であることが好ましい。平坦部の表面粗さは、0.01μmから3μmが好ましい。0.01μmより小さいと電極の実質の表面積が減少する傾向があり、3μmより大きいと電極の凸部に多孔質隔膜に対する応力が集中しやすくなる傾向がある。より好ましくは0.02μmから2μmであり、さらに好ましくは0.03μmから1μmである。
多孔質隔膜24は、例えば、第1電極20とほぼ等しい寸法の矩形状に形成され、第1表面21aの全面と対向している。多孔質隔膜27は、第2電極22とほぼ等しい寸法の矩形状に形成され、第1表面23aの全面と対向している。
多孔質隔膜24、27として、例えば第1の孔径を有する第1の多孔質層と第1の孔径とは異なる第2の孔径を有する第2の多孔質層との積層を使用することができる。
多孔質隔膜に使用される膜としてはイオン選択性のあるもの例えば炭化水素系ポリマーのイオン透過性膜やフッ素系ポリマーのイオン透過膜を用いることができる。
多孔質隔膜には無機酸化物が含まれることが好ましい。特に陽電極側の多孔質隔膜にはpHが2から6までの領域の中でゼータ電位が正の無機酸化物が好ましい。これにより、化学的に安定で弱酸性領域で陰イオンに対する多孔質隔膜の輸送性能を増大させることができる。
無機酸化物として、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、ジルコン、酸化銅、酸化鉄およびこれらの混合酸化物を用いることができる。好ましくは、化学的安定性が良好な無機酸化物として、酸化ジルコニウム、酸化チタン、ジルコンを用いることができる。この中で、曲げ耐性が良好な無機酸化物として、酸化ジルコニムがさらに好ましい。無機酸化物は、水酸化物やアルコキシド、オキシハロゲン化物、水和物を含むことができる。金属ハロゲン化物や金属アルコキシドの加水分解を経て無機酸化物を作製すると、後処理の温度によっては、これらの混合物になることがある。
多孔質隔膜中における無機酸化物の存在比率が場所によって異なることが可能である。例えば孔の周りや表面に無機酸化物の存在比率を多くすることができる。
無機酸化物はジルコンのような複合酸化物や異なる無機酸化物の混合物を使用することができる。また、多孔質隔膜は、異なる2種以上の酸化物をさらに含み、各酸化物の存在比率が多孔質隔膜の位置によって異なることも可能である。たとえば表面には曲げ強度の大きい酸化ジルコニウムを含有する領域が存在し、内部には正の電位の絶対値の大きい酸化チタンが含有された領域が存在することができる。
多孔質隔膜の表面のゼータ電位としてはpH4において−30mVより大きくすることができる。−30mVより小さいと多孔質隔膜に電圧をかけても塩素イオンが入りにくい傾向がある。さらには多孔質隔膜の表面のゼータ電位は−15mVより大きくすることができる。
実施形態では、陰電極上の陽電極側に多孔質隔膜を配置することができる。
陰電極上に設けられる多孔質隔膜は、pHが8から10の領域の中でゼータ電位が負の無機酸化物を含有することができる。これにより、弱アルカリ領域の陰極近傍において陽イオンの輸送性能を増すことができる。このような無機酸化物としては、アルカリ性領域でゼータ電位が負になりやすいものを使用することができ、このような無機酸化物として、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化タングステン、ジルコン、酸化ケイ素、及びゼオライトを用いることができる。無機酸化物として上記酸化物の混合物を使用することができる。また、多孔質隔膜中における無機酸化物の存在比率が場所によって異なることが可能である。たとえば表面には曲げ強度の大きい酸化ジルコニウムを含有する領域が存在し、内部には負の電位のpH範囲が広い酸化シリコンが含有された領域が存在することができる。
無機酸化物の多孔質隔膜24は、ナノ粒子を塗布して膜を形成することにより、あるいは、ゾルーゲルで作製することにより、面内および立体的にも不規則的な孔を有することができる。この場合、多孔質隔膜24は、曲げ等にも強くなる。多孔質隔膜24には、無機酸化物の他に、ポリマーが含まれることが可能である。ポリマーは膜に柔軟性を与える。このようなポリマーとしては、化学的に安定な主鎖にハロゲン原子が置換したものを使用することができ、例えばポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、テフロン(登録商標)等があげられる。その他のポリマーとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素ポリマー、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の所謂エンジニアリングプラスチックを用いることができる。
多孔質隔膜24の孔径は、第1電極20側の開口径と第2電極22側の開口径とが異なることができる。孔の第2電極22側の開口径をより大きくすることにより、イオンの移動をより容易にするとともに第1電極20の貫通孔40による応力集中をより低減することができる。これは電極22側の開口が大きい方が拡散によるイオン移動が容易になるからである。陰イオンは電極20側の孔径が小さくても比較的容易に電極に引き寄せられる。逆に電極20側の孔径が大きいと生成した塩素等が多孔質隔膜側に拡散しやすくなる傾向がある。
多孔質隔膜の表面の孔径は高分解能の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いることにより測定できる。また内部の孔は断面SEM観察により測定できる。
図5に、実施形態に使用される電極と多孔質隔膜の構成の一例を表す模式図を示す。
図示するように、多孔質隔膜24は、第1電極20の第1表面21a部分を覆う第1領域24aと、第2孔部42と連通した複数の第1凹部40の開口を覆う第2領域24bと、を有している。21a部分では発生する塩素等のガスが排出されにくい。そのため、電極ユニット12が劣化しやすい。そこで、多孔質隔膜24において、第1領域の表面孔を無くす、すなわち、無孔に形成するか、あるいは、第1領域24aにおける表面孔の径を第2領域における孔の径よりも小さくすることにより、第1領域24aと接する領域での電解反応を抑制し電極ユニット12の劣化を防止することができる。無孔に形成するか、あるいは孔の径を小さくするには、第1電極の第1表面21aにスクリーン印刷等で別途薄い無孔膜や孔径の小さい多孔質隔膜を形成することができる。ただし、電極の反応面積が少なくなるため、ガスが抜けやすい部分の電極領域で十分な反応が起こるようにすることができる。また、第1電極20の多孔質隔膜24と反対側の第2表面21bを液体を透過させない電気絶縁性膜で覆うことにより、副反応を低減することが可能である。なお図5では貫通孔ではない第1凹部40も示している。多孔質隔膜24として、孔径の異なる複数の多孔質隔膜を積層した多層膜を用いることができる。この場合、第2電極22側に位置する多孔質隔膜の孔径を、第1電極20側に位置する多孔質隔膜の孔径よりも大きくすることにより、イオンの移動をより容易にするとともに電極の貫通孔による応力集中を低減することができる。
上記のように構成された第1電極20と第2電極22との間に多孔質隔膜24を挟んだ状態で、これらをプレスすることにより、第1電極20、多孔質隔膜24、第2電極22が接して、電極ユニット12が得られる。
図1で示したように、電極ユニット12は、電解槽11内に配設され、隔壁14に取付けられている。隔壁14と電極ユニット12とにより、電解槽11内を陽極室16と陰極室18に仕切っている。これにより、電極ユニット12は、構成部材の配置方向が、例えば、水平方向となるように、電解槽11内に配設されている。電極ユニット12の第1電極20は、陽極室16に臨んで配置され、第2電極22は、陰極室18に臨んで配置されている。
電解装置10において、電源30の両極は第1電極20と第2電極22に電気的に接続されている。電源30は、制御装置36による制御の下、第1および第2電極20、22に電圧を印加する。電圧計34は、第1電極20と第2電極22に電気的に接続され、電極ユニット12に印加される電圧を検出する。その検出情報は、制御装置36に供給される。電流計32は、電極ユニット12の電圧印加回路に接続され、電極ユニット12を流れる電流を検出する。その検出情報は制御装置36に供給される。制御装置36は、メモリに記憶されたプログラムに従い、検出情報に応じて、電源30による電極ユニット12に対する電圧の印加もしくは負荷を制御する。電解装置10は、陽極室16および陰極室18に反応対象物質が供給された状態で、第1電極20と第2電極22との間に電圧を印加あるいは負荷して、電解のための電気化学反応を進行させる。
第1電極20の表面に触媒28が形成された第1表面21a上に多孔質隔膜24を形成する一例としては、まず、図13Eに示すように、無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を第1表面21aに塗布して前処理膜24cを作製する。次いで、図13Fに示すように、前処理膜24cを焼結して多孔を有する多孔質隔膜24を作製する。
無機酸化物前駆体を含有する溶液を作製する方法としては、例えば、金属のアルコキシドをアルコールに溶解させ、多孔質構造を作製するためにグリセリン等の高沸点の溶媒を加え、あるいは、焼結する際に酸化して炭酸ガスになりやすい脂肪酸等の有機物を混合して、溶液を作製することができる。また、溶液は、電極の多孔を覆うために、少量の水を添加して金属アルコキシドを部分的に加水分解させて粘度を上昇させることができる。
多孔質隔膜24を形成する方法として、別の多孔質膜に無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を塗布することができる。もしくは、第1電極20の第1表面21a上にあらかじめ大きな孔を有する多孔質膜を形成し、その表面および孔を無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体で覆うことができる。もしくは上記方法により電解液を保持する保持体25上に無機酸化物を有する多孔質隔膜を形成することができる。また、これらを組み合わせることができる。
無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を塗布する方法として、刷毛塗りやスプレー、ディッピング等を使用することができる。前処理膜24cを焼結して多孔を作製する工程では、焼結温度は100〜600℃程度にすることができる。
以上の構成や製造方法等により長期間に亘って高効率な電解性能を維持できる長寿命の電極ユニットとこれを用いた電解装置を提供することができる。
次に、種々の実施例および比較例について説明する。
実施例
(実施例8)
第1電極の基材21として、板厚T1が0.5mmの平坦なチタン板を用意する。
このチタン板を図13Aいし図13Fに示す工程と同様にして、エッチングすることにより、第1電極20を作製する。電極は水流方向の長さが15cmで幅が10cmである。
第1電極20のうち、面積の小さい第1凹部40を含んだ領域の厚み(第1凹部の深さ)は0.15mm、面積の大きい第2凹部42を含んだ領域の厚み(第2凹部の深さ)は0.35mmである。第1凹孔部40は正方形である。第2凹部42も正方形であり、正方形の一辺は約3.6mmである。図示しないが、実施例8では、第1凹部40は、水流の方向に沿って開口率が大きくなるように配列されている。すなわち下流の方が開口率が大きい。
電極を6等分して、各領域の中央部分の貫通孔の平均開口率と開口面積を測定した。
図14に、各領域の位置を表す模式図を示す。
各領域の位置の第2凹部に含まれる貫通孔の平均開口率と開口面積の結果は、領域(1)35% 0.35mm、領域(2)34% 0.34mm、領域(3)25% 0.25mm、領域(4)25% 0.25mm、領域(5)15% 0.15mm、領域(6)14% 0.14mmである。
このエッチングされた電極基材21を10wt%シュウ酸水溶液中1時間80℃で処理する。塩化イリジウム(IrCl・nHO)に1−ブタノールを0.25M(Ir)になるように加えて調整した溶液を、電極基材21の第1表面21aに塗布した後、乾燥、焼成して触媒層28を作成する。この場合、乾燥は80℃で10分間行ない、焼成は450℃で10分間行なう。こうした塗布、乾燥、焼成を5回繰り返した電極基材を第1電極(陽極)20とする。
テトライソプロポキシチタン(IV)に氷浴下でエタノールおよびジエタノールアミンを加え、攪拌しながらエタノール混合水を滴下してゾルを作製する。薄膜を熱処理により多孔質化させゾルの粘性を増加させるポリエチレングリコール(分子量5000)を室温にもどしたゾルに添加し、電極20の第1表面21aに刷毛でコートする。コートした膜を500℃で7分間焼成する。コートと焼成を3回繰り返した後、500℃で1時間焼成してpH2から6におけるゼータ電位が正である酸化チタンからなる多孔質隔膜24を得る。なお、酸化チタンのゼータ電位は例えば電気泳動法(マルバーン社製 ゼータサイザーナノZS)により測定することができる。測定液のpHは純水に塩酸および水酸化ナトリウムを加えて酸性側からアルカリ性側に変化させることができる。
酸化イリジウム触媒層28を作成する代わりに、触媒層として白金をスパッタすること以外は第1電極21と同様にして第2電極(対向電極、陰極)22を形成する。その上に上記多孔質隔膜24と同様にして、酸化チタン膜からなる多孔質隔膜27を作製する。
電解液を保持する保持体25として、厚さ5mmの多孔質ポリスチレンを用いる。これら第1電極20、多孔質隔膜24、多孔質ポリスチレン25、多孔質隔膜27、第2電極22をシリコーンパッキンおよびネジを用いて重ね合わせて固定し、電極ユニット12を作成する。この電極ユニット12を電解槽11内に載置し、隔壁14および電極ユニット12により、陽極室16と陰極室18と、電極間に配置された多孔質ポリスチレン25が設けられた中間室19との3室に仕切られる。
電解槽11の陽極室16および陰極室18は、それぞれストレート流路が形成された塩化ビニル製の容器で形成している。電極は流路の下流側の第1孔部の開口率が大きいように設置される。制御装置36、電源30、電圧計34、電流計32を設置する。給水源106から陽極室16および陰極室18に水を供給するための配管とポンプを電解槽11に接続し、給水ライン104,105を確保する。さらに、陽極室16から次亜塩素酸水を取り出すラインL4および陰極室18からアルカリ性水を取り出すラインL5を設けることができる。電極ユニット12の保持体(多孔質ポリスチレン)25に飽和食塩水を循環供給するための飽和食塩水タンク107と配管、ポンプを電極ユニットに接続し、電解槽に塩化物イオンを含む電解質を導入するラインL1と、余剰の電解質を回収するライン108を確保する。これにより、図11と同様の構成を有する電解装置が得られる。
電解装置10を用いて、流量2L/分、電圧3.9V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は90%でpHは2.5である。
(実施例9)
電極の配置を変えて下流側の開口率が小さいことを除いては実施例8と同様にして電解装置を作製する。電圧3.9V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は92%でpHは4.6である。
(実施例10)
図15に、実施形態にかかる電極ユニットの他の一例を示す
電極は水流方向の長さが15cmで幅が10cmである。
図15に示す第1凹部及び第2凹部を有する第1電極及び第2電極を用いること以外は、実施例8と同様にして電極ユニット12’を形成する。
図示するように、第1電極20’及び第2電極22’には、複数、例えば、9個の第1凹部50が、1つの第2凹部52と対向して設けられている。これら9個の第1凹部50は、それぞれ第2凹部52に連通し、第2凹部52と共に基材21を貫通する貫通孔を形成している。各第1凹部50は、水流の方向に沿った方向に沿って、開口率が次第に大きくなるように配列されている。隣り合う貫通孔間の間隔W1’は、第2凹部52間の間隔W2’よりも小さく設定されている。これにより、第1表面21a’における第1凹部50の数密度は、第2表面21b’における第2凹部52の数密度よりも充分に大きい。
第1凹部50は両端が半円形の長方形すなわち平行する2本の直線の両端部がそれぞれ半円で結ばれた形状を有する。図14に示されたそれぞれの位置におけると第2凹部に含まれる貫通孔の平均開口率と開口面積は領域(1)30% 1.1mm、領域(2)31% 1.2mm、領域(3)20%、0.75mm、領域(4) 20% 0.75mm、領域(5)10% 0.38mm、領域(6)11% 0.41mmである。
図15で示す第1凹部及び第2凹部を有する第1電極及び第2電極を用いること以外は、実施例8と同様にして電極ユニット12’を形成する。
第2凹部52は長方形で一辺はシール部を除く電極全体の長さである。隣合う貫通孔間に形成される線状部の幅W1’(W0)は約0.25mm、隣合う第2凹部42間に形成される幅広の線状部の幅W2’は約1.8mmである。
多孔質隔膜として厚さ100μmのガラス布に粒径100〜500μmの酸化チタン粒子とポリフッ化ビニリデン粒子の水分散混合液を塗布して乾燥する。さらにテトライソプロポキシジルコニウム(IV)の5%イソプロパノール溶液に漬けて大気中に引き上げる。大気中80℃で1時間乾燥し多孔質隔膜を作成する。この多孔質隔膜表面のpH4におけるゼータ電位は−12mVである。
実施例8と同様に作成する触媒層付きの電極20および22を用い、図10で示される構造の電解装置を作成する。
この電解装置を用いて、流量2L/分、電圧3.9V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は93%でpHは2.6である。
(実施例11)
電極の配置を変えて下流側の開口率が小さいことを除いては実施例10と同様にして電解装置を作製する。電圧3.9V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は94%でpHは4.7である。
(実施例12)
使用する電極の貫通孔の平均開口率と開口面積が領域(1)35% 0.35mm、領域(2)36% 0.36mm、領域(3)34% 0.34mm、領域(4)34% 0.33mm、領域(5)33% 0.33mm、領域(6)32% 0.32mm であることを除いては実施例8と同様にして電解装置を作製する。電圧3.9V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は90%でpHは3.3である。
(比較例5)
電極における位置領域(1)から領域(6)までの開口率が18から20%であり、偏りない電極を用いることを除いては実施例8と同様にして電解装置を作製する。電圧4.0V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は90%でpHは3.5であり、中間のpH値を示す。
(実施例13)
図16は、実施形態に係る電解装置の他の一例を概略的に示す図である。
図16に示すように、この電解装置310では、陰極室318及び陰極室318を取り囲むように配置された陽極室316を有し、流路及び配管もなく自然対流により水流が形成されるバッチ型の電解槽311を使用すること以外は、図10と同様の構成を有する。陽極室316および陰極室18の容量は、それぞれ2L、0.1Lであり、実施例10と同様に作製される電極を用いて、第1凹部は電極上部の開口率が大きくなるように配置する。
電圧3V、電流4Aで5分間、電解を行い、第1電極(陽極)側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)側では水素および水酸化ナトリウム水生成する。次亜塩素酸の生成効率は92%でpHは3.0である。
(実施例14)
電極の配置を逆向きに変えて、下部側の開口率を大きくすることを除いては実施例13と同様にして電解装置を作製する。電圧3V、電流4Aで5分間、電解を行い、第1電極(陽極)側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は90%でpHは4.0である。
(実施例15)
図17に、実施形態にかかる電極ユニットのさらに他の一例を示す
電極は水流方向の長さが15cmで幅が10cmである。
図17で示す第1凹部及び第2凹部を有する第1電極及び第2電極を用いること以外は、実施例8と同様にして電極ユニット12’を形成する。
図示するように、6本の第1凹部63は各々、シール部224を除いた電極223の右端から左端まで届くような長方形であり、第1凹部63は、第2表面221b,223bに連通しない凹部と、第2表面221b,223bに連通した開口部(貫通孔)61を有する。貫通孔61は第1凹孔部63の中に各3つの間隔を持って配置されている。3本の第2凹部は各々、シール部224を除いた電極223の上端から下端まで届くような長方形である。これら6本の第1凹部63内に各々配置された6つの貫通孔61が、1つの第2凹部62に連通している。第1表面221aにおける第1凹部63の数密度は、第2表面221bにおける第2凹部62の数密度よりも充分に大きい。図15ではわかりやすいように開口部の数は少なく表現しているが反応電極面積が3cm×4cmの大きさであることから実際には下記で示す寸法からもっと開口部の個数は多い。
第1電極120のうち、第1凹部63を含んだ領域の厚み(第1凹部の深さ)は0.15mm、第1凹部63より開口面積が広い第2凹部62を含んだ領域の厚み(第2凹部の深さ)は0.35mmである。貫通孔は両端が半円形の長方形すなわち平行する2本の直線の両端部がそれぞれ半円で結ばれた形状を有する。電極を6等分してその中央部分の貫通孔の平均開口率と開口面積は、領域(1)31% 1.2mm、領域(2)31% 1.2mm、領域(3)20% 0.75mm、領域(4)20% 0.75mm、領域(5)10% 0.38mm、領域(6)10% 0.38mm である。
第1凹部と第2凹部は直交である。隣合う第1凹部63間に形成される平面部の幅W5は約0.25mm、隣合う第2凹部間の幅W6は約1.0mmである。第2凹部と連通していない第1凹部には電極面積を増大させ電圧を安定させる効果がある。
多孔質隔膜として厚さ100μmのガラス布に粒径50μmから500μmの酸化チタン粒子を含むとポリフッ化ビニリデン粒子の水分散液を塗布して乾燥する。さらにテトライソプロポキシジルコニウム(IV)の5%イソプロパノール溶液に漬けて大気中に引き上げる。大気中80℃で1時間乾燥し多孔質隔膜を作成する。この多孔質隔膜表面のpH4におけるゼータ電位は−10mVである。
実施例8と同様に作成する触媒層付きの電極220および222を用い、図10で示される構造の電解装置を作成する。
この電解装置を用いて、流量2L/分、電圧3.9V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は94%でpHは2.6である。
(比較例6)
比較例5と同様の電極を用いることを除いては実施例13と同様にして電解装置を作製する。電圧4.0V、電流4Aで5分間、電解を行い、第1電極(陽極)側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は87%でpHは3.5であり、中間のpH値を示す。
(実施例16)
貫通孔の平均開口率と開口面積が、領域(1)50% 0.50mm、領域(2)51% 0.51mm、領域(3)34%、0.34mm、領域(4) 34% 0.33mm、領域(5)5% 0.05mm、領域(6)5% 0.05mmであることを除いては実施例8と同様にして電解装置を作製する。電圧4.2V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は80%でpHは2.7である。
(実施例17)
貫通孔の平均開口率と開口面積が、領域(1)50% 0.50mm、領域(2)51% 0.51mm、領域(3)34%、0.34mm 領域(4) 32% 0.32mm、領域(5)4% 0.04mm、領域(6)4% 0.04mm、であることを除いては実施例8と同様にして電解装置を作製する。電圧4.2V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は75%でpHは2.8である。
(実施例18)
貫通孔の平均開口率と開口面積が、領域(1)60% 4.0mm、領域(2)60% 4.0mm、領域(3)30%、2.0mm、領域(4) 30% 2.0mm、領域(5)8% 0.53mm、領域(6)8% 0.53mmであり、幅W5は約0.20mm、隣合う第2凹部間の幅W6は約0.50mmであることを除いては実施例15と同様にして電解装置を作製する。電圧4.2V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は70%でpHは2.5である。
(実施例19)
貫通孔の平均開口率と開口面積が、領域(1)65% 4.3mm、領域(2)65% 4.3mm、領域(3)30%、2.0mm、領域(4) 30% 2.0mm、領域(5)8% 0.53mm、領域(6)8% 0.53mm で、幅W5は約0.20mm、隣合う第2凹部間の幅W6は約0.5mmであることを除いては実施例15と同様にして電解装置を作製する。電圧4.2V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は60%でpHは2.5である。
(実施例20)
貫通孔の平均開口率と開口面積が、領域(1)20% 0.20mm、領域(2)20% 0.20mm、領域(3)5%、0.05mm、領域(4)5% 0.05mm、領域(5)1% 0.01mm、領域(6)1% 0.01mm であることを除いては実施例8と同様にして電解装置を作製する。電圧4.2V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は75%でpHは3.2である。
(実施例21)
貫通孔の平均開口率と開口面積が、領域(1)20% 0.20mm、領域(2)20% 0.20mm、領域(3)5%、0.05mm、領域(4)5% 0.05mm、領域(5)0.8% 0.008mm、領域(6)0.7% 0.007mm であることを除いては実施例8と同様にして電解装置を作製する。電圧4.2V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は65%でpHは3.3である。
(実施例22)
実施例8で作製される電解装置の第1電極を電極ユニットからはずして、実施例15で作製される第1電極をとりつけることを除いては実施例8と同様にして電解装置を作製する。
この電解装置を用いて、流量2L/分、電圧3.9V、電流20Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は94%でpHは2.5である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、特願2015−018781の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
第1表面、前記第1表面に対向する第2表面、及び前記第1表面から前記第2表面に貫通する複数の貫通孔を有する電極であって、前記複数の貫通孔は電極の一端から他端に向かう方向に沿ってその開口率が次第に増加する電極。
[2]
前記電極の一端から他端に向かって2以上に分割された各領域における単位面積あたりの開口面積の百分率を開口率とするとき、第1の領域の第1の開口率と第1の領域とは異なる第2の領域の第2の開口率との比が1:1.05から1:10までの範囲内である[1]に記載の電極。
[3]
前記第1表面側の貫通孔の開口面積は0.01mmから4mmまでである[1]または[2]のいずれか記載の電極。
[4]
前記第1表面側の貫通孔の開口面積に対し、前記第2表面側の貫通孔の開口面積は10倍以下である[1]から[3]までのいずれか1項に記載の電極。
[5]
前記電極の長手方向の長さは5cmから100cmまでである[1]から[4]までのいずれか1項に記載の電極。
[6]
前記第1表面に開口する複数の第1凹部、及び
前記第2表面に開口しているとともに前記第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部を有し、
前記貫通孔の少なくとも一部は第1凹部と第2凹部を連通する[1]から[5]までのいずれか1項に記載の電極。
[7]
前記第2凹部の開口面積は、1〜1600mmである[6]に記載の電極。
[8]
前記第2凹部はシール部を除いた前記電極の一端から他端につながる[6]または[7]に記載の電極。
[9]
前記第1凹部はシール部を除いた前記電極の一端から他端につながる[6]に記載の電極。
[10]
前記第1凹部と前記第2凹部が直交している[6]から[9]までのいずれか1項に記載の電極。
[11]
前記第1凹部と前記第2凹部が平行している[6]から[9]までのいずれか1項に記載の電極。
[12]
[1]から[11]までのいずれか1項に記載の電極からなる第1電極、
前記第1表面上に配置された多孔質隔膜、
前記第1電極の前記第1表面側に設けられた第2電極、及び
前記多孔質隔膜と前記第2電極との間に設けられた電解液保持構造を備える電極ユニット。
[13]
電解槽、及び前記電解槽に組み入れられた[1]または[2]に記載の電極ユニット、前記電極ユニットにより仕切られた第1電極室、及び第2電極室を含む電解装置。
[14]
前記第1電極室は陽極室であり、前記第2電極室は陰極室であり、前記電解槽に塩化物イオンを含む電解質溶液を導入するライン、前記陽極室から酸性電解水を取り出すライン、及び前記陰極室からアルカリ性電解水を取り出すラインをさらに具備する[1]または[3]に記載の電解装置。
[15]
前記第1電極の一端から他端に向かう方向は、前記第1電極室における流れの方向に沿った方向である[13]または[14]に記載の電解装置。
[16]
前記第1電極の一端から他端に向かう方向は、前記第1電極室における流れの方向と反対の方向である[13]または[14]に記載の電解装置。
[17]
前記第1電極の一端から他端に向かって2以上に分割された各領域における単位面積あたりの開口面積の百分率を開口率とするとき、前記第1電極室における流れの方向の上流の領域よりも下流の領域の開口率が大きい[13]または[14]に記載の電解装置。
[18]
前記第1電極の一端から他端に向かって2以上に分割された各領域における単位面積あたりの開口面積の百分率を開口率とするとき、前記第1電極室における流れの方向の上流の領域よりも下流の領域の開口率が小さい[13]または[14]に記載の電解装置。
[19]
前記電解槽は、自然対流により流れを発生することが可能であり、前記第1電極の一端から他端に向かう方向は、前記第1電極室の上部から下部の方向である[13]に記載の電解装置。
[20]
前記電解槽は、自然対流により流れを発生することが可能であり、前記第1電極の一端から他端に向かう方向は、前記第1電極室の下部から上部の方向である[13]に記載の電解装置。
10…電解装置、11…電解槽、12,12’,112…電極ユニット、14…隔壁、16…陽極室、18…陰極室、19…中間室(電解液室)、20,20’,120…第1電極(陽極)、21、21’,23,23’,121,123…基材、22,22’,122…第2電極(対向電極、陰極)、21a,21a’,23a,23a’,121a,123a…第1表面、21b,21b’,23b,23b’,121b,123b…第2表面、24,27…多孔質隔膜、25…保持体、26,26a,26b…隔膜、28…触媒層、30…電源、32…電流計、34…電圧計、40,44,50,63…第1凹部、42,46,52,62…第2凹部、43,53,61…貫通孔、50…レジスト膜、60…ブリッジ

Claims (20)

  1. 第1表面、前記第1表面と反対側に位置する第2表面、前記第1表面に開口する複数の第1凹部、及び前記第2表面に開口しているとともに前記第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部、及び第1凹部と第2凹部を連通する複数の貫通孔を有する第1電極と、
    前記第1電極の第1表面に対向して設けられた第2電極と、
    前記第1表面上に配置された多孔質隔膜と、を備える電極ユニットにおいて、
    前記貫通孔は、彎曲部と直線部を含み、前記彎曲部の曲率半径rは0.005mmから0.5mmまでであり、その開口面積は0.05mmから2mmまでである電極ユニット。
  2. 1つの前記第2凹部に複数の貫通孔が形成され、前記第2凹部の中央領域に形成された前記貫通孔の面積の方が、前記第2凹部の周辺領域に形成された前記貫通孔の面積より大きい請求項1に記載の電極ユニット。
  3. 前記貫通孔の彎曲部の曲率半径rは0.01mmから0.3mmまでである請求項1または2に記載の電極ユニット。
  4. 前記貫通孔の開口面積は0.1mmから1.5mmまでである請求項1から3までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  5. 前記貫通孔の彎曲部の曲率半径rは0.02mmから0.2mmまでである請求項1から4までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  6. 前記貫通孔の開口面積は0.2mmから1mmまでである請求項1から5までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  7. 前記第1及び前記第2の電極間に電解液を保持する構造をさらに含む請求項1から6までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  8. 前記第1の表面は、前記第1凹部と、前記第1凹部以外の平坦部からなる請求項1から7までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  9. 前記平坦部の表面粗さは、0.01μmから3μmまでである請求項8に記載の電極ユニット。
  10. 前記多孔質隔膜は、無機酸化物を含有する請求項1から9までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  11. 前記多孔質隔膜は、孔径の異なる複数の多孔質膜を含む多層膜である請求項1から10までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  12. 前記電極の表面の一部に液体を透過させない電気絶縁性の膜が形成されている請求項1から11までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  13. 前記第1電極と前記多孔質隔膜の間に設けられた電解触媒からなる第1の触媒層、及び前記第1の触媒層とは反対側の前記第1電極の表面に設けられ、前記第1の触媒層とは単位面積当たりの量が異なる第2の触媒層とをさらに含む請求項1から12までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  14. 前記第2凹部の開口面積は1mmから1600mmまでである請求項1から13までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  15. 前記第2凹部がシール部を除いた電極の一端から他端につながる請求項1から14までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  16. 前記第1凹部がシール部を除いた電極の一端から他端につながる請求項1から15までのいずれか1項に記載の電極ユニット。
  17. 前記第1凹部と前記第2凹部が直交している請求項15または16に記載の電極ユニット。
  18. 前記第1凹部と前記第2凹部が平行している請求項15または16に記載の電極ユニット。
  19. 請求項1から18までのいずれか1項に記載の電極ユニット、電極に電圧を印加するための電源、及び制御装置を搭載する電解装置。
  20. 前記電極ユニットを組み入れた電解槽、前記電解槽に塩素イオンを含む電解質を導入するライン、前記電解槽から次亜塩素酸水を取り出すライン、及び前記電解槽からアルカリ性水を取り出すラインをさらに具備する請求項19に記載の電解装置。
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