JP6208380B2 - 電解用電極、電極ユニット、及び電解装置 - Google Patents

電解用電極、電極ユニット、及び電解装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6208380B2
JP6208380B2 JP2016558433A JP2016558433A JP6208380B2 JP 6208380 B2 JP6208380 B2 JP 6208380B2 JP 2016558433 A JP2016558433 A JP 2016558433A JP 2016558433 A JP2016558433 A JP 2016558433A JP 6208380 B2 JP6208380 B2 JP 6208380B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
recess
opening
hole
electrolysis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016558433A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2017017977A1 (ja
Inventor
内藤 勝之
勝之 内藤
典裕 吉永
典裕 吉永
横田 昌広
昌広 横田
英男 太田
英男 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Publication of JPWO2017017977A1 publication Critical patent/JPWO2017017977A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6208380B2 publication Critical patent/JP6208380B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B1/00Electrolytic production of inorganic compounds or non-metals
    • C25B1/01Products
    • C25B1/02Hydrogen or oxygen
    • C25B1/04Hydrogen or oxygen by electrolysis of water
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B1/00Electrolytic production of inorganic compounds or non-metals
    • C25B1/01Products
    • C25B1/24Halogens or compounds thereof
    • C25B1/26Chlorine; Compounds thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B1/00Electrolytic production of inorganic compounds or non-metals
    • C25B1/01Products
    • C25B1/34Simultaneous production of alkali metal hydroxides and chlorine, oxyacids or salts of chlorine, e.g. by chlor-alkali electrolysis
    • C25B1/46Simultaneous production of alkali metal hydroxides and chlorine, oxyacids or salts of chlorine, e.g. by chlor-alkali electrolysis in diaphragm cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B11/00Electrodes; Manufacture thereof not otherwise provided for
    • C25B11/02Electrodes; Manufacture thereof not otherwise provided for characterised by shape or form
    • C25B11/03Electrodes; Manufacture thereof not otherwise provided for characterised by shape or form perforated or foraminous
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B9/00Cells or assemblies of cells; Constructional parts of cells; Assemblies of constructional parts, e.g. electrode-diaphragm assemblies; Process-related cell features
    • C25B9/70Assemblies comprising two or more cells
    • C25B9/73Assemblies comprising two or more cells of the filter-press type
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/36Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis

Description

本発明の実施形態は、電解用電極、電極ユニット、及び電解装置に関する。
近年、水を電解して様々な機能を有する電解水、例えば、アルカリイオン水、オゾン水または次亜塩素酸水などを生成する電解装置が提供されている。電解水の内、次亜塩素酸水は、優れた殺菌力を有するとともに、人体に安全で食品添加物としても認可されている。また電解装置は水素製造等にも用いられる。
電解装置としては、例えば、3室型の電解槽を有する電解水生成装置が提案されている。電解槽内は、陽イオン交換膜および陰イオン交換膜によって、中間室と、この中間室の両側に位置する陽極室および陰極室との3室に仕切られている。陽極室および陰極室には、陽極および陰極がそれぞれ設けられている。電極として、金属板基材にエクスパンド、エッチング、あるいはパンチングによって多数の孔を加工した多孔構造の電極が用いられている。
このような電解装置では、例えば、中間室に塩水を流し、陽極室および陰極室にそれぞれ水を流通する。中間室の塩水を陰極および陽極で電解することで、陽極で次亜塩素酸水や塩素を生成するとともに、陰極室で水酸化ナトリウム水や水素を生成する。生成した次亜塩素酸水は殺菌消毒水として、水酸化ナトリウム水は洗浄水等して活用される。水素は水素水もしくは燃料として活用される。特に塩素や水素をメインに製造する場合にはより大電流で電解が行われる。
これらの電解の中で次亜塩素酸を製造する放置において次亜塩素酸の高い生成効率が必要である。生成効率が低いと投入した電力のかなりの部分が酸素ガス生成等に消費されてしまう。したがって必要な次亜塩素酸量を得ようとすると電流や電圧をより大きくする必要がある。これはエネルギ消費量を大きくするとともに電解電極や電極ユニットの寿命を短くする。
特開2014−101549号公報 特開2013−194323号公報
本発明の実施形態の課題は、次亜塩素酸生成効率の高い電解電極、電極ユニットおよび電解装置を提供することにある。
実施形態に係る電解用電極は、第1表面、前記第1表面に対向する第2表面、及び前記第1表面から前記第2表面に貫通する複数の貫通孔を有する電極基材と、前記第1表面に開口する複数の第1凹部と、前記第2表面に開口しているとともに前記第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部とを含み、
前記貫通孔の少なくとも一部は第1凹部と第2凹部を連通し、
前記貫通孔は、前記第1表面側の開口が広くなっており、
前記第1凹部は前記第2凹部より数が多く、前記貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径をWとし、前記開口径の端部と隣接する貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径の端部との距離の中で最小の距離をFとするとき、
F/Wが0.6以上1.5以下であり、かつFが0.1mm以上0.8mm以下である。
図1は、実施形態に係る電解装置の一例を概略的に示す図である。 図2Aは、実施形態に係る角が丸いひし形の貫通孔を持つ電極の一例を表す図である。 図2Bは、実施形態に係る角が丸いひし形の貫通孔を持つ電極の一例を表す図である。 図3Aは、実施形態に係る端が丸い長方形の貫通孔を持つ電極の一例を表す図である。 図3Bは、実施形態に係る端が丸い長方形の貫通孔を持つ電極の一例を表す図である。 図4Aは、実施形態に係る楕円形の貫通孔を持つ電極の一例を表す図である。 図4Bは、実施形態に係る楕円形の貫通孔を持つ電極の一例を表す図である。 図5は、実施形態に係る電解装置の他の一例を概略的に示す図である。 図6Aは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図6Bは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図6Cは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図6Dは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図6Eは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図6Fは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図7は、実施形態に使用される電極と隔膜の構成の一例を表す模式図である。 図8は、実施形態に係る端が丸い長方形の貫通孔を持つ電極の一例を表す図である。 図9は、実施形態に係る端が丸い長方形の貫通孔を持つ電極の一例を表す図である。 図10は、実施形態に係る電解装置の電極構造と次亜塩素酸生成効率の関係を示すプロット図である。 図11は、実施形態に係る電解装置の一例を概略的に示す図である。 図12は、実施形態に係る電解装置の一例を概略的に示す図である。
実施形態に係る電解用電極は、以下の第1から第3までの実施形態に分けられる。
第1から第3までの実施形態に係る電解用電極は、各々、第1表面、第1表面に対向する第2表面、及び第1表面から第2表面に貫通する所定の複数の貫通孔を有する1枚の電極基材を含む。
第1の実施形態に係る電解用電極は、第1表面に開口する複数の第1凹部と、第2表面に開口しているとともに第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部とをさらに含む。また、貫通孔の少なくとも一部は第1凹部と第2凹部を連通し、第1凹部は第2凹部より数が多い。さらに、第1の実施形態に使用される所定の複数の貫通孔は、各貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径をWとし、1つの貫通孔の開口径の端部と隣接する貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径の端部との距離のうち最小の距離をFとするとき、F/Wが0.6以上1.5以下であり、かつFが0.1mm以上0.8mm以下である。
また、第2の実施形態にかかる電解用電極は、端が丸い長方形の貫通孔を有する。さらに、第2の実施形態に使用される所定の複数の貫通孔は、各貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径をWとし、1つの貫通孔の開口径の端部と隣接する貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径の端部との距離の中で最小の距離をFとするとき、F/Wが0.6以上1.5以下である。
さらに、第3の実施形態にかかる電解用電極は、第1表面に設けられ、シール部を除いた電極の一端から他端につながる凹部とを含み、貫通孔の少なくとも一部はこの凹部と連通し、さらにまた、第3の実施形態に使用される所定の複数の貫通孔は、各貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径をWとし、1つの貫通孔の開口径の端部と隣接する貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径の端部との距離の中で最小の距離をFとするとき、F/Wが0.6以上1.5以下である。
なお、一枚の電極基材とは、貼り合わせの基材とは異なり、一枚の基材を加工して作成されたものである。
上述の第1から第3までの実施形態の構成を必要に応じて組み合わせることができる。
実施形態に係る電極ユニットは、上記電解用電極を第1電極として用いた電極ユニットであって、第1表面と第2表面を有する第1電極、第1電極の第1表面と対向して配置された第2電極、第1電極の第1表面に設けられた隔膜、隔膜と第2電極との間に設けられた電解液保持構造を有する。
また、実施形態に係る電解装置は、上記電解用電極およびこれを用いた電極ユニットを適用した電解装置の一例である。この電解装置は、電解槽、及び電解槽に組み入れられた電極ユニット、電極ユニットにより仕切られた第1電極室及び第2電極室を有する。電極ユニットには電圧を印加する機構例えば電極に電圧を印加するための電源、及び制御装置などを搭載することができる。
第1電極室は例えば陽極室であり、第2電極室は例えば陰極室であり、電解槽に塩化物イオンを含む電解質溶液を導入するライン、陽極室から酸性電解水を取り出すライン、及び陰極室からアルカリ性電解水を取り出すラインをさらに設けることができる。ラインには任意に水質をモニターする水質センサーを設置することができる。例えば、酸性電解水を取り出すラインには導電率センサーおよび/もしくはpHセンサーを適用することができる。また、アルカリ性電解水を取り出すラインにはpHセンサーおよび/もしくはナトリウムイオンセンサーを適用することができる。導電率センサーは0から20mS/cm程度を測定できるものを使用することができる。このような導電性センサーを使用すると、酸性電解水に少量のイオン性不純物が混入した場合に検出できる。
また、第1の実施形態によれば、貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径Wと、開口径の端部と隣接する貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径の端部との距離の中で最小の距離Fとの関係F/W、及びFの範囲を上述のように規定し、第1表面に開口する複数の第1凹部と、第2表面に開口しているとともに第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部とをさらに含むことにより、次亜塩素酸生成効率を高くすることができる。
さらに、第2の実施形態によれば、端が丸い長方形の貫通孔であることから開口面積を大きくしてもWを小さく、かつFとWを長い距離で一定にすることができるため、電極反応の均一性をより高めることができる。次亜塩素酸の生成効率を高くできるのは第1の実施形態の電解用電極と同様である。また、この構造では構造が簡単であり、歩留まりを高くできる。特にWが大きく電極基板が薄いと片側エッチングで作製できるため次亜塩素酸生成効率は多少低下するが低コストで製造することができる。また電極基板が厚いと速度の関係から片側エッチングよりも両側エッチングの方が効率が良く、Wが大きいとパターンが合わせやすい傾向がある。
さらにまた、第3の実施形態によれば、シール部を除いた電極の一端から他端につながる凹部が第1表面に形成されていると、隔膜と電極の第一表面の間にわずかな隙間が生じ、塩化物イオンの滞留と次亜塩素酸の排出がされやすく、電極全体での反応の均一性が確保されやすくなる。一方、シール部を除いた電極の一端から他端につながる凹部が第2表面に形成されていると、外部の水流の効果が電極全体に均一になりやすくなることから、これも電極全体での反応の均一性が向上する。次亜塩素酸の生成効率を高くできるのは第1の実施形態の電解用電極と同様である。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。例えば図では電極は平面上に描かれているが、電極ユニットの形状に合わせて彎曲してもよいし、円筒状になっていてもよい。
図1は、第1の実施形態に係る電解装置の一例を概略的に示す図である。
電解装置10は、3室型の電解槽11および電極ユニット12を備えている。電解槽11は、偏平な矩形箱状に形成され、その内部は、隔壁14および電極ユニット12により、陽極室16と陰極室18と、電極間に形成された中間室19との3室に仕切られている。
電極ユニット12は、陽極室16内に位置する第1電極20と、陰極室18内に位置し、所定の複数の貫通孔を有する第2電極(対向電極)22と、第1電極20の第1表面21a上に触媒層28が形成され、その上に隔膜24を有する。第2電極22の第1表面23aに別の隔膜27と、を有することができる。第1電極20および第2電極22は、隙間をおいて互いに平行に対向し、これらの隔膜24、27間に、電解液を保持する中間室(電解液室)19を形成している。中間室19内に、電解液を保持する保持体25を設けても良い。第1電極20および第2電極22は、絶縁性を有する複数のブリッジ60により、互いに連結してもよい。
電解装置10は、電極ユニット12の第1および第2電極20、22に電圧を印加するための電源30、およびこれを制御する制御装置36を備えている。電流計32、電圧計34を備えてもよい。
図示するように、第1電極20は、例えば、矩形状の金属板からなる基材21に多数の貫通孔を形成した多孔構造を有している。基材21は、第1表面21aおよび、第1表面21aとほぼ平行に対向する第2表面21bを有している。第1表面21aと第2表面21bとの間隔、すなわち、板厚はT1に形成されている。第1表面21aは隔膜24に対向し、第2表面21bは陽極室16に対向する。表面21aには図示しない陽極酸化膜が形成されていてもよい。
基材21の第1表面21aに複数の第1凹部40が形成され、第1表面21aに開口している。また、第2表面21bに複数の第2凹部42が形成され、第2表面21bに開口している。隔膜24側となる第1凹部40の開口径R1は、第2凹部42の開口径R2よりも小さく、また、凹部の数は、第1凹部40が第2凹部42よりも多く形成されている。第1凹部40の深さはT2、第2凹部42の深さはT3であり、T2+T3=T1に形成されている。また、実施形態において、例えばT2<T3に形成されている。図では第1凹部40と第2凹部42が連結した貫通孔が形成されているが、連結されていない凹部や、一部が連結された凹部があってもよい。基材21は同一基材であり、異なる基材を一部溶接などして積層させた電極ではない。異なる基材を積層させた場合には基材接触面に次亜塩素酸が滞留しやすく生成効率が低下する。また接合箇所に電流集中しやすく触媒劣化が起こりやすい。
隔膜24側となる第1凹部40の開口径R1は、第2凹部42の開口径R2よりも小さく、凹部の数は第1凹部40が第2凹部42よりも多く形成されていることから隔膜への凹部の端による応力が緩和され隔膜の寿命が増大する。また、第2凹部の数を少なくできることから電気抵抗を低減でき、配線の代わりや機械的な保持にも有利となる。
実施形態に係る電解装置10に使用される第1の電極20及び第2電極22のうち少なくとも一方は、所定の複数の貫通孔を有する。
図2A及び図2Bに、図1の第1電極20として使用可能な電極の一例を表す模式図を示す。
図2Aは、第1電極20を第2表面21bから見た図である。
図2Bは、貫通孔の断面積が小さいところの断面を表す模式図である。
図中、貫通孔は、第1凹部40と第2凹部42が連結したものである。
図示するように、第1電極20に設けられた所定の複数の貫通孔は角が丸まったひし形である。開口は光学顕微鏡を用いて測定できる。この場合、第1凹部40の形状も貫通孔と同様に角が丸まったひし形である。凹部断面は内部が狭くなるテーパーや曲線状にすることができる。
また、多孔構造の第1電極20において、第1表面側の開口が広くなるテーパー面や湾曲面で貫通孔を形成することにより、貫通孔の開口との隔膜24との接触角が鈍角となり、隔膜24への応力集中を低減することもできる。これにより、第1表面21a上の第1凹部40の開口より貫通孔の開口の方が小さくなる。
第1凹部は第1表面の全面に作製することができる。この場合、第2表面に貫通していない第1凹部が存在する。貫通していない第1凹部は塩化物イオンの保持に優れるので、塩化物イオン濃度が低いような条件たとえば中間室19に保持される塩化物の濃度が低かったり、中間室19の圧力が陽極室16の圧力より低い場合に次亜塩素酸の生成効率を向上させたり、駆動電圧を下げるために有効である。
図2Bに示すように、実施形態に使用される貫通孔の開口は最も断面積が小さいところの断面を基準とする。
第2凹部42の形状として複数の第1凹部40が入るひし形を使用することができる。
あるいは、複数の第1凹部40が入る他の形状を使用することができる。テーパーや曲線の頂点はまるまっていた方が電流集中を防ぐことができ、曲率としては0.01mm以上にすることができる。
図2Aに示すように、複数の第1凹部40は互いにほぼ同じ大きさを有するが、貫通孔を構成する第1凹部40の開口の中心を通る最小の開口径を電極基板に設けられる複数の貫通孔のうち、電極基板の中心部に位置する貫通孔の開口率は、電極基板の周縁部に位置する貫通孔の開口率と異なるようにすることができる。中心部に位置する貫通孔の開口率が周辺部より小さいと中心部の電気抵抗が小さくなり、中心部に対する電流供給が容易になる。一方、中心部に位置する貫通孔の開口率が周辺部より大きいとガスが抜けやすくなる。中心部と周辺部のいずれの開口率を大きくするかは、運転条件や他の部材との関係を考慮して選択することができる。貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径をWとして、上記開口径端部と隣接する貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径の端部との距離の中で最小の距離をFとするとF/Wが0.6以上1.5以下であり、かつFが0.1mm以上0.8mm以下である。ここで中心とは開口形状の重心である。
次亜塩素酸が生成する陽極での素反応は、Mを触媒として
M+HO→M−OH+H+e …(1)
M−OH→M−O+H+e …(2)
M−O+Cl+H→M+HClO …(3)
トータルとして
O+Cl→HClO+H+2e …(4)
である。
一方、陰極では
2HO+2e→H+2OH …(5)
全反応は陽イオンもいれて
2NaCl+3HO→HClO+HCl+2NaOH+H …(6)である。
一方、陽極では酸素が発生する副反応も同時に起こる場合があり、その反応は
M+HO→M−OH+H+e …(1)
M−OH→M−O+H+e …(2)
2M−O→2M+O …(7)
トータルとして、
2HO→O+2H+2e …(8)
である。
反応に必要な塩化物イオンの濃度が小さいと反応式(7)の反応が起こりやすくなる。したがって、次亜塩素酸を効率よく生成するには塩化物イオンの濃度を高くすることが必要である。塩化物イオンは隔膜側から供給され、電極の遮蔽部では溜まり、拡散により開口から外部に流出する。このため、塩化物イオンの濃度を上げるには拡散距離が重要である。
実施形態によれば、貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径をWとして、上記開口径の端部と隣接する貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径の端との距離の中で最小の距離をFとするとき、F/Wが0.6以上1.5以下かつFが0.1mm以上0.8mm以下であれば塩化物イオン濃度を高くできる。ここで、貫通孔の開口の中心(重心)を通る最小の開口径Wと、上記開口径の端部と隣接する貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径の端部との距離の中で最小の距離Fにおいて、最小のWとFの組み合わせを用いることにより、最も拡散の効果を引き出すことができる。塩化物イオンの透過量も問題となるため、透過量に影響する重心を通る開口径をWとする。
正電極ではプラスが印加されるため、塩化物イオンが電極に引き寄せられる効果があり、F/Wが0.6と比較的Wの比率が大きくても、塩化物イオンの濃度を高くできる。しかし、F/Wが0.6より小さい場合やFが0.1mmより小さい場合には、電極での遮蔽により塩化物イオン濃度を高くすることが困難である。
F/Wが1.5より大きい場合や、第1の実施形態のようにFが0.8mmより大きい場合には、生成した次亜塩素酸が貫通孔から第2凹部を経由して外部に排出するのが困難になり、隔膜側への逆拡散やプロトンと反応して塩素ガスが生成する反応が起こりやすくなる。F/Wが大きいと、開口率も小さくなる傾向はあるが、開口率と次亜塩素酸の生成効率との関係は小さい。第1の実施形態の電極は好ましくは、F/Wが0.7以上1.4以下かつFが0.15mm以上0.6mm以下であり、さらに好ましくは、F/Wが0.9以上1.3以下かつFが0.2mm以上0.4mm以下である。
電極には多数の貫通孔が存在するが、F/Wが0.6以上1.5以下かつFが0.1mm以上0.8mm以下の貫通孔が80%以上であることが好ましい。より好ましくは85%以上で、さらに好ましくは90%以上である。
第2および第3の実施形態の電極において、好ましくはF/Wを0.7以上1.4以下にすることができる。さらに好ましくは0.9以上1.3以下にすることができる。また、Fを好ましくは0.1mm以上2.5mm以下にすることができる。より好ましくはFが0.2mm以上1.5mm以下にすることができ、さらに好ましくは0.3mm以上1mm以下にすることができる。
電極には多数の貫通孔が存在するが、F/Wが0.6以上1.5以下の貫通孔が80%以上であることが好ましい。より好ましくは85%以上で、さらに好ましくは90%以上である。
図3Aは、第1から第3の実施形態にかかる電極を適用可能な電極ユニットの一例を示す分解斜視図を模式的に示す。
図3Bは、上記実施形態に使用される貫通孔の形状の一例を表す図を示す。
図示するように、6本の第1凹部63は各々、シール部224を除いた電極223の右端から左端まで届くような長方形であり、第1凹部63は、第2表面221b,223bに連通しない凹部と、第2表面221b,223bに連通した開口部(貫通孔)61を有する。貫通孔61は第1凹部63の中に3つずつ間隔を持って配置されている第1凹部の深さは第2凹部62と比べると浅い。第1電極220、第2電極222の上端にそれぞれ設けられた64は電圧印加口であり、厚い梁65は電圧印加方向に向いている。第1電極と第2電極は同じ形状であり、図では異なる表面が表示されている。
3本の第2凹部62は各々、シール部を除いた電極221の上端から下端まで届くような長方形である。図示しない6本の第1凹部に各々配置された6つの貫通孔が、1つの第2凹部62に連通している。第1表面221aにおける第1凹部61の数密度は、第2表面221bにおける第2凹部62の数密度よりも充分に大きい。図3Aではわかりやすいように開口部の数は少なく表現しているが、実際には、もっと開口部の個数は多い。
第1の実施形態および第3の実施形態では貫通孔の形状としてはどのような形状も可能であるが、第2の実施形態に対応する図3Bのような端が丸い長方形であるか、楕円もしくは角が丸いひし形が好ましい。図3Aでは電極の一部を表示している。このような形状では端が丸いため隔膜に対する応力集中が起こりにくい。また開口間隔を密にすることができると、開口率を高くすることができる。なお貫通孔の形状の輪郭に凹凸があってもよい。また端部が径の異なる複数の円弧の集まりであってもよい。
図3Aの電極形状では第1凹部63のために生成する次亜塩素酸が移動しやすく、そのため貫通孔から外部に流出しやすくなる。次亜塩素酸が流出しないと塩素ガスが発生したり隔膜側に拡散したりして効率が低くなる。これは塩化物イオンの濃度が高いと起こりやすく、中間室19の塩化物濃度が高かったり、中間室19の圧力が陽極室16より高い場合に起こりやすい。そのため図3Aのような電極構造は中間室19の塩化物濃度が高かったり、中間室19の圧力が陽極室16より高い場合に特に有効である。
貫通孔の開口面積は0.01mmから4mmまでにすることができる。0.01mmより小さいとガスや次亜塩素酸などの反応生成物の外部への排出が困難になり、部材の劣化等が起こりやすくなる。4mmより大きいと電気抵抗が大きくなり、電極反応の効率が低下する傾向がある。好ましくは0.1mmから1.5mmである。より好ましくは0.2mmから1mmである。
第2凹部の開口面積は1〜1600mmにすることができる。好ましくは4mmから900mmであり、より好ましくは9mmから400mmである。長方形や楕円のように一方向に長くしてシール部を除く電極の端から端につながるような凹部も可能である。
第2凹部62の開口は正方形、長方形、ひし形、円、楕円等と様々な形状を用いることができる。第2凹部62の開口径は大きい方が次亜塩素酸やガス抜けをより良好にし得るけれども、電気抵抗が大きくなることから、あまり大きくはできない。第2凹部62の開口としては、図示するように、長方形や楕円のように一方向に長くしてシール部を除く電極の端から端につながるような凹部も可能である。
また第1凹部63の開口も正方形、長方形、ひし形、円、楕円等と様々な形状を用いることができる。図示するように、長方形や楕円のように一方向に長くしてシール部を除く電極の端から端につながるような開口も可能である。
第1凹部と第2凹部の端から端につながるような2つの凹部が直交していてもよいし平行であってもよい。直行しているとガス拡散がしやすい。平行になっていると塩化物イオンを溜めやすい。直交とは87度から93度の角度で交差することであり、平行とは交差角が3度以内である。
なお、図3Aに示す電極は、第2の実施形態の構成である端が丸い長方形の貫通孔を有することと、第1および第3の実施形態の構成である、第1表面に設けられた、シール部を除いた電極の一端から他端につながる凹部を有することを両方備えているけれども、第3の実施形態ではいずれか一方の構成を設けないこともできる。
また、図3Aでは電圧印加口64の方向に開口61が配列している。このことにより電極厚みが大きく電気抵抗の小さい梁65が電圧印加方向に並ぶことから電力供給が容易になり、駆動電圧を小さくすることができる。
図4Aは、第3の実施形態にかかる電極を用いた電極ユニットの他の一例を示す分解斜視図を模式的に示す。
また、図4Aでは電圧印加口64’の方向に開口61’が配列している。このことにより電極厚みが大きく電気抵抗の小さい梁65’が電圧印加方向に並ぶことから電力供給が容易になり、駆動電圧を小さくすることができる。第1電極と第2電極は同じ形状であり、各電極の両面とも同じ構造である。
図4Bは、上記実施形態に使用される貫通孔の形状の他の一例を表す図を示す。
図示するように、電極220’及び電極222’において、貫通孔を構成する開口61’は楕円形状を有する。また、シール部を除く電極の端から端につながるような2つの凹部すなわち第1凹部62’と前記第2凹部63が平行である。
図4Aには電極構造を模式的に示したが、実際には第1凹部や第2凹部や貫通孔の数はずっと多い。
多孔構造の第1電極において、第1表面側の開口が広くなるテーパー面や湾曲面で貫通孔を形成することにより、貫通孔の開口との隔膜24との接触角が鈍角となり隔膜24への応力集中を低減することもできる。
なお、第1凹部は少なくとも一部が第2凹部を連通していれば良く、貫通孔ではない第1凹部を含むことができる。連通していない第1凹部は電極面積を増大させる効果や物質の滞留や拡散を促進する効果がある。
貫通孔の第1表面の触媒層を除いた断面のエッジの曲率半径が0.01mm以上であることが好ましい。これによりエッジ部の電流集中を緩和すると共に触媒層を均一に形成することができる。0.01mmより小さいと効果は少ない。好ましくは0.02mm以上である。さらに好ましくは0.04mm以上である。しかし2mmより大きいと開口が大きくなりすぎる。
図5は、実施形態に係る電解装置の他の一例を概略的に示す図である。
図5に示すように、図1の構成に加えて、陽極室16、陰極室18には液体の流路を設けても良い。また、場合により、電極ユニット12と陽極室16あるいは陰極室18との間に多孔質膜のスペーサーを設けてもよい。また電解槽11に塩化物イオンを含む電解質を導入するラインL1、塩水溜107、電解槽に水を供給するラインL2およびL3、電解槽から酸性電解水を取り出すラインL4、及び電解槽からアルカリ性電解水を取り出すラインL5をさらに設けてもよい。また塩化物イオンを含む電解質を循環するためのラインL7を設けてもよいし、排出するためのラインを設けてもよい。また、軟水器109および、軟水器109に吸着剤再生用の酸性電解水を酸性電解水溜106から供給するためのラインL6をさらに設けてもよい。軟水機は陰極側に供給する水にのみ用いてもよい。さらに、アルカリ電解水を貯蔵すためのタンクを設けてもよい。また酸性の廃液とアルカリ性の廃液を混合して中性に近づけるためのタンクを設けてもよい。各ラインには水質センサー70を設置してもよい。
上記構成の第1電極20および隔膜24の製造方法の一例を以下に説明する。
図6Aないし図6Fに、実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図を示す。
第1電極20は、例えば、マスクを用いたエッチング法により作製することができる。
図6A及び図6Bに示すように、1枚の平坦な基材21を用意する。
基材21の第1表面21aおよび第2表面21bにレジスト膜50a、50bを塗布する。
図6Cに示すように、図示しない光学マスクを用いてレジスト膜50a、50bを露光し、それぞれエッチング用のマスク52a、52bを作製する。光学マスクによって開口面積や開口率は規定される。
図6Dに示すように、これらマスク52a、52bを介して、基材21の第1表面21aおよび第2表面21bを溶液によりウェットエッチングすることにより、複数の第1凹部40および複数の第2凹部42を形成する。その後、マスク52a、52bを除去することにより、第1電極20が得られる。第1凹部40及び第2凹部42の平面形状は光学マスクおよびエッチング条件により制御することができる。マスクを設計することにより電極内の開口率や開口面積、開口形状等は自由に制御できる。
第1および第2凹部40、42のテーパーや湾曲面の形状は基材21の材質やエッチング条件により制御することができる。第1凹部40の深さをT2、第2凹部42の深さをT3とするとき、T2<T3となるように、第1および第2凹部を形成する。なお、エッチングにおいては、基材21の両面を同時にエッチングしてもよく、あるいは、片面ずつエッチングしてもよい。エッチングの種類は、ウェットエッチングに限らず、ドライエッチングなどを用いても良い。また、エッチングに限らず、エクスパンド法、パンチング法、あるいは、レーザーや精密切削などによる加工で第1電極20を製造することも可能であるがエッチング法が最も好ましい。
第1から第3の実施形態に使用される第1電極20の基材21としては、チタン、クロム、アルミニウムやその合金等の弁金属、導電性金属を用いることができる。この中ではチタンが好ましい。
第1電極20の第1表面21aおよび第2表面21bに電解触媒(触媒層)28を形成する。陽極触媒としては、白金等の貴金属触媒や酸化イリジウム等の酸化物触媒を用いることが好ましい。陽極触媒を作製する前に電極を陽極酸化により微小な酸化膜の凹凸を作製することが触媒と基材との密着性を上げることから好ましい。
第1電極と第1の隔膜の間に設けられた電解触媒からなる第1の触媒層、及び第1の触媒層とは反対側の第1電極の表面に設けられ、第1の触媒層とは単位面積当たりの量が異なる第2の触媒層をさらに含むことができる。
電解触媒の単位面積当たりの量が第1電極の両面で異なるように形成してもよい。これにより副反応等を抑制することができる。
陽電極の隔膜側の表面(第1表面)が凹部を除いて略平坦であることが好ましい。平坦部の表面粗さは、0.01μmから3μmが好ましい。0.01μmより小さいと電極の実質の表面積が減少する傾向があり、3μmより大きいと電極の凸部に隔膜に対する応力が集中しやすくなる傾向がある。より好ましくは0.02μmから2μmであり、さらに好ましくは0.03μmから1μmである。
隔膜24は、例えば、第1電極20とほぼ等しい寸法の矩形状に形成され、第1表面21aの全面と対向している。隔膜27は、第2電極22とほぼ等しい寸法の矩形状に形成され、第1表面23aの全面と対向している。
隔膜24、27として、多孔質隔膜を使用することができる。さらに、例えば第1の孔径を有する第1の多孔質層と第1の孔径とは異なる第2の孔径を有する第2の多孔質層との積層を使用することができる。
隔膜に使用される膜としてはイオン選択性のあるもの例えば炭化水素系ポリマーのイオン透過性膜やフッ素系ポリマーのイオン透過膜を用いることができる。
隔膜には無機酸化物が含まれることが好ましい。特に陽電極側の隔膜にはpHが2から6までの領域の中でゼータ電位が正の無機酸化物が好ましい。これにより、化学的に安定で弱酸性領域で陰イオンに対する隔膜の輸送性能を増大させることができる。
無機酸化物として、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、ジルコン、酸化銅、酸化鉄およびこれらの混合酸化物を用いることができる。好ましくは、化学的安定性が良好な無機酸化物として、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、ジルコンを用いることができる。この中で、曲げ耐性が良好な無機酸化物として、酸化ジルコニムがさらに好ましい。無機酸化物は、水酸化物やアルコキシド、オキシハロゲン化物、水和物を含むことができる。金属ハロゲン化物や金属アルコキシドの加水分解を経て無機酸化物を作製すると、後処理の温度によっては、これらの混合物になることがある。
隔膜中における無機酸化物の存在比率が場所によって異なることが可能である。例えば孔の周りや表面に無機酸化物の存在比率を多くすることができる。
無機酸化物はジルコンのような複合酸化物や異なる無機酸化物の混合物を使用することができる。また、隔膜は、異なる2種以上の酸化物をさらに含み、各酸化物の存在比率が隔膜の位置によって異なることも可能である。たとえば表面には曲げ強度の大きい酸化ジルコニウムを含有する領域が存在し、内部には正の電位の絶対値の大きい酸化アルミニウムや酸化チタンが含有された領域が存在することができる。
隔膜の表面のゼータ電位としてはpH4において−30mVより大きくすることができる。−30mVより小さいと隔膜に電圧をかけても塩素イオンが入りにくい傾向がある。さらには隔膜の表面のゼータ電位は−15mVより大きくすることができる。
実施形態では、陰電極上の陽電極側に隔膜を配置することができる。
陰電極上に設けられる隔膜は、pHが8から10の領域の中でゼータ電位が負の無機酸化物を含有することができる。これにより、弱アルカリ領域の陰極近傍において陽イオンの輸送性能を増すことができる。このような無機酸化物としては、アルカリ性領域でゼータ電位が負になりやすいものを使用することができ、このような無機酸化物として、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化タングステン、ジルコン、酸化ケイ素、及びゼオライトを用いることができる。無機酸化物として上記酸化物の混合物を使用することができる。また、隔膜中における無機酸化物の存在比率が場所によって異なることが可能である。たとえば表面には曲げ強度の大きい酸化ジルコニウムを含有する領域が存在し、内部には負の電位のpH範囲が広い酸化シリコンが含有された領域が存在することができる。
無機酸化物の隔膜24は、ナノ粒子を塗布して膜を形成することにより、あるいは、ゾルーゲルで作製することにより、面内および立体的にも不規則的な孔を有することができる。この場合、隔膜24は、曲げ等にも強くなる。隔膜24には、無機酸化物の他に、ポリマーが含まれることが可能である。ポリマーは膜に柔軟性を与える。このようなポリマーとしては、化学的に安定な主鎖にハロゲン原子が置換したものを使用することができ、例えばポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、テフロン(登録商標)等があげられる。この中ではテフロンが化学的および熱的安定性から好ましい。その他のポリマーとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素ポリマーがあげられる。この中ではポリエチレンが化学的安定性や低コストから好ましい。またポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の所謂エンジニアリングプラスチックを用いることができる。
隔膜24の孔径は、第1電極20側の開口径と第2電極22側の開口径とが異なることができる。孔の第2電極22側の開口径をより大きくすることにより、イオンの移動をより容易にするとともに第1電極20の貫通孔40による応力集中をより低減することができる。これは電極22側の開口が大きい方が拡散によるイオン移動が容易になるからである。陰イオンは電極20側の孔径が小さくても比較的容易に電極に引き寄せられる。逆に電極20側の孔径が大きいと生成した塩素等が隔膜側に拡散しやすくなる傾向がある。
隔膜の表面の孔径は高分解能の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いることにより測定できる。また内部の孔は断面SEM観察により測定できる。
図7に、実施形態に使用される電極と隔膜の構成の一例を表す模式図を示す。
図示するように、隔膜24は、第1電極20の第1表面21a部分を覆う第1領域24aと、第2孔部42と連通した複数の第1凹部40の開口を覆う第2領域24bと、を有している。21a部分では発生する塩素等のガスが排出されにくい。そのため、電極ユニット12が劣化しやすい。そこで、隔膜24において、第1領域の表面孔を無くす、すなわち、無孔に形成するか、あるいは、第1領域24aにおける表面孔の径を第2領域における孔の径よりも小さくすることにより、第1領域24aと接する領域での電解反応を抑制し電極ユニット12の劣化を防止することができる。無孔に形成するか、あるいは孔の径を小さくするには、第1電極の第1表面21aにスクリーン印刷等で別途薄い無孔膜や孔径の小さい隔膜を形成することができる。ただし、電極の反応面積が少なくなるため、ガスが抜けやすい部分の電極領域で十分な反応が起こるようにすることができる。また、第1電極20の隔膜24と反対側の第2表面21bを液体を透過させない電気絶縁性膜で覆うことにより、副反応を低減することが可能である。なお図7では貫通孔ではない第1凹部40も示している。隔膜24として、孔径の異なる複数の隔膜を積層した多層膜を用いることができる。この場合、第2電極22側に位置する隔膜の孔径を、第1電極20側に位置する隔膜の孔径よりも大きくすることにより、イオンの移動をより容易にするとともに電極の貫通孔による応力集中を低減することができる。
上記のように構成された第1電極20と第2電極22との間に隔膜24を挟んだ状態で、これらをプレスすることにより、第1電極20、隔膜24、第2電極22が接して、電極ユニット12が得られる。
図1で示したように、電極ユニット12は、電解槽11内に配設され、隔壁14に取付けられている。隔壁14と電極ユニット12とにより、電解槽11内を陽極室16と陰極室18に仕切っている。これにより、電極ユニット12は、構成部材の配置方向が、例えば、水平方向となるように、電解槽11内に配設されている。電極ユニット12の第1電極20は、陽極室16に臨んで配置され、第2電極22は、陰極室18に臨んで配置されている。
電解装置10において、電源30の両極は第1電極20と第2電極22に電気的に接続されている。電源30は、制御装置36による制御の下、第1および第2電極20、22に電圧を印加する。電圧計34は、第1電極20と第2電極22に電気的に接続され、電極ユニット12に印加される電圧を検出する。その検出情報は、制御装置36に供給される。電流計32は、電極ユニット12の電圧印加回路に接続され、電極ユニット12を流れる電流を検出する。その検出情報は制御装置36に供給される。制御装置36は、メモリに記憶されたプログラムに従い、検出情報に応じて、電源30による電極ユニット12に対する電圧の印加もしくは負荷を制御する。電解装置10は、陽極室16および陰極室18に反応対象物質が供給された状態で、第1電極20と第2電極22との間に電圧を印加あるいは負荷して、電解のための電気化学反応を進行させる。
第1電極20の表面に触媒28が形成された第1表面21a上に隔膜24を形成する一例としては、まず、図6Eに示すように、無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を第1表面21aに塗布して前処理膜24cを作製する。次いで、図6Fに示すように、前処理膜24cを焼結して多孔を有する隔膜24を作製する。
無機酸化物前駆体を含有する溶液を作製する方法としては、例えば、金属のアルコキシドをアルコールに溶解させ、多孔質構造を作製するためにグリセリン等の高沸点の溶媒を加え、あるいは、焼結する際に酸化して炭酸ガスになりやすい脂肪酸等の有機物を混合して、溶液を作製することができる。また、溶液は、電極の多孔を覆うために、少量の水を添加して金属アルコキシドを部分的に加水分解させて粘度を上昇させることができる。
隔膜24を形成する方法として、別の多孔質膜、たとえば多孔質ポリマーである多孔質テフロン、多孔質ポリエチレン、多孔質フッ化ビニリデン等や、多孔質セラミックスである多孔質ガラス、多孔質石英、多孔質ゼオライト等に無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を塗布することができる。もしくは、第1電極20の第1表面21a上にあらかじめ大きな孔を有する多孔質膜を形成し、その表面および孔を無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体で覆うことができる。もしくは上記方法により電解液を保持する保持体25上に無機酸化物を有する隔膜を形成することができる。また、これらを組み合わせることができる。
無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を塗布する方法として、刷毛塗りやスプレー、ディッピング等を使用することができる。前処理膜24cを焼結して多孔を作製する工程では、焼結温度は100〜600℃程度にすることができる。
以上の構成や製造方法等により長期間に亘って高効率な電解性能を維持できる長寿命の電極ユニットとこれを用いた電解装置を提供することができる。
以下、実施例を示し、実施形態について具体的に説明する。
実施例
(実施例1)
第1電極の基材21として、板厚T1が0.5mmの平坦なチタン板を用意する。
このチタン板を図6Aないし図6Fに示す工程と同様にして、エッチングすることにより、第1の実施形態に使用可能な第1電極20を作製する。電極は水流方向の長さが15cmで幅が10cmである。
第1電極20のうち、面積の小さい第1凹部40を含んだ領域の厚み(第1凹部の深さ)は0.1mm、面積の大きい第2凹部42を含んだ領域の厚み(第2凹部の深さ)は0.4mmである。第1凹孔部40は、図2A及び図2Bで示すような角の丸いひし形(外挿したひし形の頂点の角度は60°と120°)である。貫通孔も角の丸いひし形である。第2凹部42もひし形であり、ひし形の一辺は約3.6mmである。
このエッチングされた電極基材21を10wt%シュウ酸水溶液中1時間80℃で処理する。さらに1M硫酸アンモニウムと0.5Mフッ化アンモニウムの混合水溶液中で2時間10Vで陽極酸化する。次に、塩化イリジウム(IrCl・nHO)に1−ブタノールを0.25M(Ir)になるように加えて調整した溶液を、電極基材21の第1表面21aに塗布した後、乾燥、焼成して触媒層28を作成する。この場合、乾燥は80℃で10分間行ない、焼成は450℃で10分間行なう。こうした塗布、乾燥、焼成を5回繰り返した電極基材を第1電極(陽極)20とする。F/Wは0.75で、Fは0.2mmである。
隔膜として厚さ100μmのガラス布に粒径100nmの酸化チタン微粒子と、ポリフッ化ビニリデン粒子の水分散混合液を、塗布して乾燥する。さらに、テトライソプロポキシジルコニウム(IV)の5%イソプロパノール溶液に漬けて、大気中に引き上げる。大気中80℃で1時間乾燥し、隔膜を作成する。この隔膜表面のpH4におけるゼータ電位は−15mVである。
酸化イリジウム触媒層28を作成する代わりに、触媒層として白金をスパッタすること以外は第1電極21と同様にして、第2電極(対向電極、陰極)22を形成する。その上に、上記隔膜24と同様にして、酸化チタン膜を有する隔膜27を作製する。
電解液を保持する保持体25として、厚さ5mmの多孔質ポリスチレンを用いる。これら第1電極20、隔膜24、多孔質ポリスチレン25、隔膜27、第2電極22をシリコーンパッキンおよびネジを用いて重ね合わせて固定し、電極ユニット12を作成する。この電極ユニット12を電解槽11内に載置し、隔壁14および電極ユニット12により、陽極室16と陰極室18と、電極間に配置された多孔質ポリスチレン25が設けられた中間室19との3室に仕切られる。
電解槽11の陽極室16および陰極室18は、それぞれストレート流路が形成された塩化ビニル製の容器で形成している。制御装置36、電源30、電圧計34、電流計32を設置する。給水源106から陽極室16および陰極室18に水を供給するための配管とポンプを電解槽11に接続し、給水ライン104,105を確保する。さらに、陽極室16から次亜塩素酸水を取り出すラインL4および陰極室18からアルカリ性水を取り出すラインL5を設けることができる。電極ユニット12の保持体(多孔質ポリスチレン)25に飽和食塩水を循環供給するための飽和食塩水タンク107と配管、ポンプを電極ユニットに接続し、電解槽に塩化物イオンを含む電解質を導入するラインL1と、余剰の電解質を回収するライン108を確保する。また水質センサー70として酸性電解水の出口ラインには導電率センサーをアルカリ性電解水の出口ラインにはpHセンサーを設置する。これにより、図5と同様の構成を有する電解装置が得られる。
電解装置10を用いて、流量2L/分、電圧5.7V、電流10Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は73%である。ここで、次亜塩素酸の生成効率は処理水の有効塩素濃度を測定して投入電荷量から求める。
(実施例2〜15,比較例1〜4)
F及びF/Wが下記表1のようになるように、マスクのパターンを変更すること以外は実施例1と同様にして、貫通孔が角の丸いひし形開口のもしくは楕円開口の電解電極を得る。また、貫通孔の断面積を測定し、及び処理水の有効塩素濃度を測定することにより次亜塩素酸生成効率を算出して、下記表1に示す。
Figure 0006208380
(実施例16)
第1電極の基材21として、板厚T1が0.5mmの平坦なチタン板を用意する。
このチタン板を図6Aないし図6Fに示す工程と同様にして、エッチングすることにより、第1から第3に実施形態の電解装置に使用可能な第1電極20を作製することができる。電極は水流方向の長さが15cmで幅が10cmである。
第1電極20のうち、面積の小さい第1凹部40を含んだ領域の厚み(第1凹部の深さ)は0.1mm、面積の大きい第2凹部42を含んだ領域の厚み(第2凹部の深さ)は0.4mmである。図3Aで示すように第1凹孔部40は電極のシール部を除いた端から端へ繋がる長方形であり、第2凹部42も電極のシール部を除いた端から端へ繋がる長方形であり、第一凹部とは直交している。貫通孔は図3Bで示すような端が丸い長方形である。
上記の第1電極及び第2電極を用いること以外は、実施例1と同様にして電極ユニットおよび電解装置を作成する。
この電解装置を用いて、流量2L/分、電圧6.2V、電流10Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は75%である。
貫通孔の断面積を測定し、及び次亜塩素酸生成効率と共に、下記表2に示す。
(実施例17〜30,比較例5〜8)
F及びF/Wが下記表2のようになるように、マスクのパターンを変更すること以外は実施例16と同様にして電解用電極を得る。実施例1と同様にして電極ユニットおよび電解装置を作成する。
実施例24は、第1凹部と第2凹部が平行である。貫通孔の断面積を測定し、及び処理水の有効塩素濃度を測定することにより次亜塩素酸生成効率を算出して、下記表2に示す。
Figure 0006208380
(実施例31)
第1電極の基材221’’として、板厚T1が0.4mmの平坦なチタン板を用意する。
このチタン板をエッチングするが、片面からのエッチングのみで、図8で示す第2の実施形態の第1および第2電極220’’,222’’を作製する。各電極220’’,222’’は、水流方向の長さが15cmで幅が10cmである。
第1電極221’’の貫通孔61’’は図3Bで示すような端が丸い長方形であり、水流方向の長さが幅よりも大きい向きすなわち直列に配列されている。貫通項の断面はテーパー状であり、多孔質膜側の第1表面の貫通孔61’’の面積が流路側の第2表面221b’’より広い。第2電極222’’も同様に貫通孔61’’の第1表面223a’’の面積が流路側の第2表面より広い。
貫通孔61’’が直列に配列し、貫通孔の列を隔てる厚い梁もしくは幅の広い梁65’’の方向が電極の電圧印加口の方向である。
上記の第1電極及び第2電極を用いること以外は、実施例1と同様にして電極ユニット212’’および電解装置を作成する。
この電解装置を用いて、流量2L/分、電圧6.0V、電流10Aで電解を行い、第1電極(陽極)側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は62%である。
(実施例32〜37,比較例10〜11)
F及びF/Wが下記表3のようになるように、マスクのパターンを変更すること以外は実施例31と同様にして電解用電極を得る。
ただし、実施例37は図9で示す第2の実施形態の第1および第2電極を作製し使用する。厚さ1mmのチタン板を両側エッチングで作製する。図示するように、この第1電極221’’’及び第2電極223’’’の貫通孔61’’’は図3Bで示すような端が丸い長方形であり、水流方向に垂直な長さが幅よりも大きい向きすなわち並列に配列されている。貫通項の断面は表面が広いテーパー状であり内部が狭い。
上記の第1電極及び第2電極を用いること以外は、実施例1と同様にして電極ユニット212’’’および電解装置を作成する。
貫通孔の断面積を測定し、及び処理水の有効塩素濃度を測定することにより次亜塩素酸生成効率を算出して、下記表3に示す。
Figure 0006208380
(実施例38)
第1電極の基材21として、板厚T1が1mmの平坦なチタン板を用意する。
このチタン板を両面からのエッチングおよびパンチングで、図4Aで示す第3の実施形態の第1電極を作製する。電極は水流方向の長さが15cmで幅が10cmである。
第1電極の貫通孔は図4Bで楕円である。長方形の溝はエッチングで作製し、楕円の開口はパンチングで作製する。
上記の第1電極及び第2電極を用いること以外は、実施例1と同様にして電極ユニットおよび電解装置を作成する。
この電解装置を用いて、流量2L/分、電圧6.0V、電流10Aで電解を行い、第1電極(陽極)側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は70%である。
(実施例39,比較例12〜13)
F及びF/Wが下記表4に示すようになるよう、パターンを変更すること以外は実施例38と同様にして電解用電極を得る。
貫通孔の断面積を測定し、及び処理水の有効塩素濃度を測定することにより次亜塩素酸生成効率を算出して、下記表4に示す。
Figure 0006208380
図10に、F/W値と次亜塩素酸生成効率との関係を表すプロット図を示す。
このプロット図は、表1,表2,表3、表4の結果をそれぞれ◆、□、△、×をプロットして作成した。実施例では60%以上の次亜塩素酸生成効率が得られる。
図中、F/Wが0.6から1.5の範囲外では十分な次亜塩素酸生成効率を得ることができない。*で示すように、表1および表2でFが0.1から0.8mmの範囲外のときは十分な次亜塩素酸生成効率を得ることができない。表3の実施形態では次亜塩素酸の生成効率は多少低下するが低コストで製造できる。
(実施例40)
図11は、実施形態に係る電解装置の他の一例を概略的に示す図である。
図11に示すように、この電解装置310では、電解槽11の代わりに、陰極室318及び陰極室318を取り囲むように配置された陽極室316を有し、流路及び配管もなく自然対流により水流が形成されるバッチ型の電解槽311を使用すること以外は、図1と同様の構成を有する。陽極室316および陰極室318の容量は、それぞれ2L、0.1Lであり、実施例16と同様に作製される電極を用いる。ただし電極のサイズは4x3cmである。
電圧7V、電流2Aで5分間、電解を行い、第1電極(陽極)側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)側では水素および水酸化ナトリウム水生成する。次亜塩素酸の生成効率は80%である。
(実施例41)
図12に、実施形態に係る電解装置の他の一例を概略的に示す。
図12に示すように、電解装置310は図11において多孔質隔膜24と第1電極20の間に多孔質膜29をスペーサーとして有する。この多孔質膜として厚さ76μmのガラス布を用いることを除いては実施例40と同様である。
電圧7.2V、電流2Aで5分間、電解を行い、第1電極(陽極)側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)側では水素および水酸化ナトリウム水生成する。次亜塩素酸の生成効率は82%である。
10…電解装置、11…電解槽、12…電極ユニット、14…隔壁、16…陽極室、18…陰極室、19…中間室、20,…第1電極、21、23,…基材、22,…第2電極、21a,23a,…第1表面、21b,23b,…第2表面、24,27…隔膜、25…保持体、26,26a,26b…隔膜、28…触媒層、29…多孔質膜、30…電源、32…電流計、34…電圧計、40,44,61,63…貫通孔(第1凹部)、42,46,62…第2凹部、50…レジスト膜、60…ブリッジ、64…電圧印加口、65…梁、70…水質センサー

Claims (19)

  1. 第1表面、前記第1表面に対向する第2表面、及び前記第1表面から前記第2表面に貫通する複数の貫通孔を有する電極基材と、前記第1表面に開口する複数の第1凹部と、前記第2表面に開口しているとともに前記第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部とを含み、
    前記貫通孔の少なくとも一部は前記第1表面に開口する前記第1凹部と前記第2表面に開口する前記第2凹部を連通し、
    前記貫通孔は、前記第1表面側の開口が広くなっており、
    前記第1凹部は前記第2凹部より数が多く、前記貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径をWとし、前記開口径の端部と隣接する貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径の端部との距離の中で最小の距離をFとするとき、
    F/Wが0.6以上1.5以下であり、かつFが0.1mm以上0.8mm以下である電解用電極。
  2. 前記貫通孔は、端が丸い長方形を有する請求項1に記載の電解用電極。
  3. 前記貫通孔は、楕円もしくは角が丸いひし形を有する請求項1に記載の電解用電極。
  4. 前記第2凹部の開口は、1〜1600mm2の面積を有する請求項1から3までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  5. 前記第1凹部は、前記第1表面側が広くなるテーパー面状あるいは湾曲面状を有する周壁を持つ請求項1から4までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  6. 前記第2凹部はシール部を除いた前記電極基材の一端から他端につながる請求項1から5までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  7. 前記第1凹部はシール部を除いた前記電極基材の一端から他端につながる請求項1から6のいずれか1項に記載の電解用電極。
  8. 前記第1凹部と前記第2凹部が直交している請求項1から7までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  9. 前記第1凹部と前記第2凹部が平行している請求項1から7までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  10. 第1表面、前記第1表面に対向する第2表面、及び前記第1表面から前記第2表面に貫通する複数の貫通孔を有する電極基材と、
    前記第1表面に開口する複数の第1凹部と、前記第2表面に開口する複数の第2凹部とを含み、
    前記第1凹部はシール部を除いた前記電極基材の一端から他端につながり、
    前記貫通孔の少なくとも一部は前記第1表面に開口する前記第1凹部と前記第2表面に開口する前記第2凹部を連通し、
    前記貫通孔は、前記第1表面側の開口が広くなっており、
    前記貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径をWとし、前記開口径の端部と隣接する貫通孔の開口の中心を通る最小の開口径の端部との距離の中で最小の距離をFとするとき、
    F/Wが0.6以上1.5以下である電解用電極。
  11. 前記Fは0.1mm以上2.5mm以下である請求項10に記載の電解用電極。
  12. 前記第1表面は、前記第1の凹部を除く領域が平坦に形成されている請求項1から11までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  13. 前記複数の貫通孔のうち、前記電極基材の中心部に位置する貫通孔の開口率は、前記電極基材の周縁部に位置する貫通孔の開口率と異なる請求項1から12までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  14. 前記第1表面は、陽極酸化されている請求項1から13までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  15. 前記貫通孔が直列に配列し、貫通孔の列を隔てる厚い梁もしくは幅の広い梁の方向が電極の電圧印加口の方向である請求項1から14までのいずれか1項記載の電解用電極。
  16. 請求項1から15までのいずれか1項に記載の電解用電極からなる第1電極、
    前記第1表面上に配置された隔膜、
    前記第1電極の前記第1表面側に設けられた第2電極、及び
    前記隔膜と前記第2電極との間に設けられた電解液保持構造を備える電極ユニット。
  17. 前記第1電極の前記第1表面と前記第2電極との間に設けられ、イオンおよび液体の少なくとも一方を透過する多孔質膜を更に備え、前記多孔質膜は、前記第1電極の第1表面と前記隔膜との間に挟持されている請求項16に記載の電極ユニット。
  18. 電解槽、及び前記電解槽に組み入れられた請求項16もしくは17に記載の電極ユニット、前記電極ユニットにより仕切られた第1電極室、及び第2電極室を含む電解装置。
  19. 前記第1電極室は陽極室であり、前記第2電極室は陰極室であり、前記電解槽に塩化物イオンを含む電解質溶液を導入するライン、前記陽極室から酸性電解水を取り出すライン、及び前記陰極室からアルカリ性電解水を取り出すラインをさらに具備する請求項18に記載の電解装置。
JP2016558433A 2015-07-29 2016-03-04 電解用電極、電極ユニット、及び電解装置 Active JP6208380B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015149865 2015-07-29
JP2015149865 2015-07-29
PCT/JP2016/056800 WO2017017977A1 (ja) 2015-07-29 2016-03-04 電解用電極、電極ユニット、及び電解装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2017017977A1 JPWO2017017977A1 (ja) 2017-08-03
JP6208380B2 true JP6208380B2 (ja) 2017-10-04

Family

ID=57884237

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016558433A Active JP6208380B2 (ja) 2015-07-29 2016-03-04 電解用電極、電極ユニット、及び電解装置

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6208380B2 (ja)
CN (1) CN206768236U (ja)
WO (1) WO2017017977A1 (ja)

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6053756B2 (ja) * 1980-08-22 1985-11-27 旭硝子株式会社 イオン交換膜電解槽
JPS5741387A (en) * 1980-08-26 1982-03-08 Asahi Glass Co Ltd Electrode body for electrolytic cell
JPS5741835A (en) * 1980-08-27 1982-03-09 Toyota Motor Corp Working method of air vent hole in press die
JPS5848685A (ja) * 1981-09-17 1983-03-22 Toyo Soda Mfg Co Ltd ガス発生を伴なう電気化学反応用多孔性電極およびそれを用いた電解方法
JP3467954B2 (ja) * 1996-02-29 2003-11-17 Jfeスチール株式会社 金属帯の連続電気めっき方法
CN102159750A (zh) * 2008-09-24 2011-08-17 栗田工业株式会社 金刚石电极及金刚石电极的制造方法
JP5437651B2 (ja) * 2009-01-30 2014-03-12 東ソー株式会社 イオン交換膜法電解槽及びその製造方法
JP5480542B2 (ja) * 2009-06-23 2014-04-23 クロリンエンジニアズ株式会社 導電性ダイヤモンド電極並びに導電性ダイヤモンド電極を用いたオゾン生成装置
JP2012057229A (ja) * 2010-09-10 2012-03-22 Japan Organo Co Ltd 三室型電解水生成装置のスケール防止方法及び三室型電解水生成装置
JP2012144779A (ja) * 2011-01-12 2012-08-02 Kobe Steel Ltd 電解用電極の製造方法
JP6038604B2 (ja) * 2012-11-20 2016-12-07 株式会社東芝 電気化学セル、及びこのセルを用いた減酸素装置、並びにこの減酸素装置を用いた冷蔵庫
WO2016042802A1 (ja) * 2014-09-19 2016-03-24 株式会社 東芝 電極ユニット、電極ユニットを備える電解槽および電解装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2017017977A1 (ja) 2017-08-03
CN206768236U (zh) 2017-12-19
WO2017017977A1 (ja) 2017-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6542265B2 (ja) 多孔質隔膜、その製造方法、次亜塩素酸水製造用電極ユニット、及びそれを用いた次亜塩素酸水製造装置
JP6441308B2 (ja) 電極ユニット、電極ユニットを備える電解槽、電解装置、電極ユニットの電極の製造方法
JP6407963B2 (ja) 電極ユニット、電極ユニットを備える電解槽および電解装置
JP6258515B2 (ja) 電極ユニット、電解装置、および電解装置に用いる電極
JP6639638B2 (ja) 電解用電極、電極ユニット、及び電解水生成装置
JP6585176B2 (ja) 電極、電極ユニット、及び電解装置
JP6216806B2 (ja) イオン交換膜電解槽
JP6208380B2 (ja) 電解用電極、電極ユニット、及び電解装置
JP6408033B2 (ja) 電極ユニットおよびそれを用いた電解装置
CN111032919B (zh) 电解池及电解池用电极板
JP2018076554A (ja) 陰イオン交換膜、電解セル、及び電解水生成装置
CN109072462B (zh) 电极单元的制造方法、及电解水生成装置的制造方法
JP2018044229A (ja) 電解セルおよびそれを用いた電解水生成装置および電解セルの製造方法
JP6862232B2 (ja) 隔膜の製造方法、及びそれを用いた電極ユニットの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170509

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170710

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170808

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170906

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6208380

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151