JP6639638B2 - 電解用電極、電極ユニット、及び電解水生成装置 - Google Patents

電解用電極、電極ユニット、及び電解水生成装置 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、電解用電極、電極ユニット、及び電解水生成装置に関する。
近年、水を電解して様々な機能を有する電解水、例えば、アルカリイオン水、オゾン水または次亜塩素酸水などを生成する電解装置が提供されている。電解水の内、次亜塩素酸水は、優れた殺菌力を有するとともに、人体に安全で食品添加物としても認可されている。また電解装置は水素製造等にも用いられる。
電解装置としては、例えば、3室型の電解槽を有する電解水生成装置が提案されている。電解槽内は、陽イオン交換膜および陰イオン交換膜によって、中間室と、この中間室の両側に位置する陽極室および陰極室との3室に仕切られている。陽極室および陰極室には、陽極および陰極がそれぞれ設けられている。電極として、金属板基材にエクスパンド、エッチング、あるいはパンチングによって多数の孔を加工した多孔構造の電極が用いられている。
このような電解装置では、例えば、中間室に塩水を流し、陽極室および陰極室にそれぞれ水を流通する。中間室の塩水を陰極および陽極で電解することで、陽極で次亜塩素酸水や塩素を生成するとともに、陰極室で水酸化ナトリウム水や水素を生成する。生成した次亜塩素酸水は殺菌消毒水として、水酸化ナトリウム水は洗浄水等して活用される。水素は水素水もしくは燃料として活用される。特に塩素や水素をメインに製造する場合にはより大電流で電解が行われる。
これらの電解の中で次亜塩素酸を製造する放置において次亜塩素酸の高い生成効率が必要である。生成効率が低いと投入した電力のかなりの部分が酸素ガス生成等に消費されてしまう。したがって必要な次亜塩素酸量を得ようとすると電流や電圧をより大きくする必要がある。これはエネルギ消費量を大きくするとともに電解電極や電極ユニットの寿命を短くする。
特開2014−101549号公報 特開2013−194323号公報
本発明の実施形態の課題は、寿命の長い電解電極、電極ユニットおよび電解装置を提供することにある
実施形態に係る電解用電極は、 第1表面、前記第1表面に対向する第2表面、及び前記第1表面から前記第2表面に貫通する複数の貫通孔を有する電極基材と、
前記第1表面に開口する複数の第1凹部と、
前記第2表面に開口しているとともに前記第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部と、
前記第1表面上に設けられた触媒層とを含み、
前記第1凹部は前記第2凹部より数が多く、
前記複数の貫通孔は、
第1貫通孔と、
第1貫通孔に最も短い第1距離をおいて隣接する第2貫通孔と、
前記第1貫通孔に、前記第1距離より長い第2距離をおいて隣接する第3貫通孔とを少なくとも含み、
前記第1貫通孔、前記第2貫通孔、及び前記第3貫通孔は、前記第1凹部と第2凹部を連通するものであり、前記第2貫通孔と前記第3貫通孔の間の第3距離は第2距離より長く、
前記触媒層は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔の間の第1領域における第1厚さが、前記第1貫通孔と前記第3貫通孔の間の第2領域における第2厚さよりも大きい。
図1は、実施形態に係る電解装置の一例を概略的に示す図である。 図2は、実施形態に係る角が丸いひし形の貫通孔を持つ電極の一例を表す図である。
る。
図3は、実施形態に係る端が丸い長方形の貫通孔を持つ電極の一例を表す図である。 図4は、実施形態に係る楕円形の貫通孔を持つ電極の一例を表す図である。 図5は、実施形態に係る電解装置の他の一例を概略的に示す図である。 図6Aは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図6Bは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図6Cは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図6Dは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図6Eは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図6Fは、実施形態に使用される電極の製造方法の一例を表す図である。 図7は、実施形態に使用される電極と隔膜の構成の一例を表す模式図である。 図8は、実施形態に係る電極装置の他の一例を概略的に示す図である。
実施形態に係る電解用電極は、電極基材と、電極基材上に設けられた触媒層とを含む。
電極基材は、第1表面、第1表面に対向する第2表面、及び第1表面から第2表面に貫通する複数の貫通孔を含む。
また、電極基材は、第1表面に開口する複数の第1凹部と、第2表面に開口しているとともに第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部とを含む。
貫通孔の少なくとも一部は第1凹部と前記第2凹部を連通し、第1凹部は前記第2凹部より数が多い。
第1の実施形態にかかる電解用電極では、複数の貫通孔は、第1貫通孔と、第1貫通孔に最も短い第1距離をおいて隣接する第2貫通孔と、第1貫通孔に、第1距離より長い第2距離をおいて隣接する第3貫通孔とを含む。第2貫通孔と第3貫通孔の間の第3距離は第2距離より長い。
第2の実施形態にかかる電解用電極では、複数の第1凹部は、互いに隣接する3つの凹部例えば第3凹部、第4凹部、及び第5凹部を含み、複数の第2凹部は、互いに隣接する2つの凹部例えば第6凹部及び前記第6凹部に隣接する第7凹部を含む。また、複数の貫通孔が、第3凹部と第6凹部を連通する第1の貫通孔と、第4凹部と第6凹部を連通する第2の貫通孔と、第5凹部と前記第7凹部を連通する第3の貫通孔とを含む。
第3の実施形態にかかる電解用電極では、複数の第1凹部は、第3凹部及び第3凹部に隣接する第4凹部を含み、複数の第2凹部は、第5凹部及び第5凹部に隣接する第6凹部を含み、複数の貫通孔が、第3凹部と第5凹部を連通する第1の貫通孔と、第4凹部と第5凹部を連通する第2の貫通孔と、第3凹部と第6凹部を連通する第3の貫通孔とを含む。
第1から第3の実施形態にかかる電解用電極において、電極基材の第1表面上に設けられ、第1貫通孔と第2貫通孔の間の第1領域における第1厚さが、第1貫通孔と第3貫通孔の間の第2領域における第2厚さよりも大きい。
実施形態に係る電極ユニットは、上記電解用電極を第1電極として用いた電極ユニットであって、第1表面と第2表面を有する第1電極、第1電極の第1表面と対向して配置された第2電極、第1電極の第1表面に設けられた多孔質隔膜、多孔質隔膜と第2電極との間に設けられた電解液保持構造を有する。
また、実施形態に係る電解装置は、上記電解用電極およびこれを用いた電極ユニットを適用した電解装置の一例である。この電解装置は、電解槽、及び電解槽に組み入れられた電極ユニット、電極ユニットにより仕切られた第1電極室及び第2電極室を有する。電極ユニットには電圧を印加する機構例えば電極に電圧を印加するための電源、及び制御装置などを搭載することができる。
第1電極室は例えば陽極室であり、第2電極室は例えば陰極室であり、電解槽に塩化物イオンを含む電解質溶液を導入するライン、陽極室から酸性電解水を取り出すライン、及び陰極室からアルカリ性電解水を取り出すラインをさらに設けることができる。
実施形態に係る電解用電極を用いると、電流が集中しやすい短い距離の貫通孔間の領域における触媒層の厚さが、それよりも長い距離の貫通孔間の領域の触媒層の厚さよりも大きいので、触媒層の消費が均一化され、電解用電極の触媒寿命を長くすることができる。
ここで、貫通孔間の距離とは、貫通孔の一端から貫通孔の一端までで最も短い距離をいう。
また、隣接するとは2つの貫通孔間の距離を示す線分上に別の貫通孔の一部でも存在しないことである。
以下、図面を参照し、実施形態をより詳細に説明する。
なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。例えば図では電極は平面上に描かれているが、電極ユニットの形状に合わせて彎曲してもよいし、円筒状になっていてもよい。
図1は、第1の実施形態に係る電解装置の一例を概略的に示す図である。
電解装置10は、3室型の電解槽11および電極ユニット12を備えている。電解槽11は、偏平な矩形箱状に形成され、その内部は、隔壁14および電極ユニット12により、陽極室16と陰極室18と、電極間に形成された中間室19との3室に仕切られている。
電極ユニット12は、陽極室16内に位置する第1電極20と、陰極室18内に位置し、所定の複数の貫通孔を有する第2電極(対向電極)22と、第1電極20の第1表面21a上に触媒層28が形成され、その上に隔膜24を有する。第2電極22の第1表面23aに別の隔膜27と、を有することができる。第1電極20および第2電極22は、隙間をおいて互いに平行に対向し、これらの隔膜24、27間に、電解液を保持する中間室(電解液室)19を形成している。中間室19内に、電解液を保持する保持体25を設けても良い。第1電極20および第2電極22は、絶縁性を有する複数のブリッジ60により、互いに連結してもよい。
電解装置10は、電極ユニット12の第1および第2電極20、22に電圧を印加するための電源30、およびこれを制御する制御装置36を備えている。電流計32、電圧計34を備えてもよい。
図示するように、第1電極20は、例えば、矩形状の金属板からなる基材21に多数の貫通孔を形成した多孔構造を有している。基材21は、第1表面21aおよび、第1表面21aとほぼ平行に対向する第2表面21bを有している。第1表面21aと第2表面21bとの間隔、すなわち、板厚はT1に形成されている。第1表面21aは隔膜24に対向し、第2表面21bは陽極室16に対向する。表面21aには図示しない陽極酸化膜が形成されていてもよい。
基材21の第1表面21aに複数の第1凹部40が形成され、第1表面21aに開口している。また、第2表面21bに複数の第2凹部42が形成され、第2表面21bに開口している。隔膜24側となる第1凹部40の開口径R1は、第2凹部42の開口径R2よりも小さく、また、凹部の数は、第1孔部40が第2孔部42よりも多く形成されている。第1孔部40の深さはT2、第2孔部42の深さはT3であり、T2+T3=T1に形成されている。また、実施形態において、例えばT2<T3に形成されている。図では第1凹部40と第2凹部42が連結した貫通孔が形成されているが、連結されていない凹部や、一部が連結された凹部があってもよい。基材21は同一基材が好ましい。異なる基材を積層させた場合には基材接触面に次亜塩素酸が滞留しやすく生成効率が低下する。また接合箇所に電流集中しやすく触媒劣化が起こりやすい。
隔膜24側となる第1凹部40の開口径R1は、第2凹部42の開口径R2よりも小さく、凹部の数は第1孔部40が第2孔部42よりも多く形成されていることから隔膜への凹部の端による応力が緩和され隔膜の寿命が増大する。また、第2凹部の数を少なくできることから電気抵抗を低減でき、配線の代わりや機械的な保持にも有利となる。
実施形態に係る電解装置10に使用される第1の電極20及び第2電極22のうち少なくとも一方は、所定の複数の貫通孔を有する。
図2に、図1の第1電極20として使用可能な電極の一例を表す模式図を示す。
図2は、第1電極20を第2表面21bから見た図である。
図中、複数の貫通孔は、第1凹部40と第2凹部42が連結したものである。
複数の貫通孔は、第1貫通孔51と、第1貫通孔51に第1距離D1をおいて隣接する第2貫通孔52と、第1貫通孔51に、第1距離D1より長い第2距離D2をおいて隣接する第3貫通孔53とを含む。第1貫通孔51に対し、第2貫通孔52と第3貫通孔53は、各々違う方向に配置されている。第2の貫通孔52と第3貫通孔53の間の第3距離D3は、第2距離D2より長い。
触媒層28は電極基材の第2表面21bと対向する第1表面21a上に設けられている。
複数の貫通孔の互いに隣接する貫通孔間の距離のうち、第1距離D1が最も短く、第2距離D2が距離D1より大きいとき、第1貫通孔51と第2貫通孔52の間の第1領域C1における触媒層の最大厚みを第1厚さH1、第1貫通孔51と第3貫通孔53の間の第2領域C2における触媒層の最大厚みを第2厚さH2とすると、第1厚さH1は第2厚さH2よりも大きい。
複数の貫通孔において、隣接する貫通孔間の距離は0.1mm以上2.5mm以下にすることができる。
0.1mm未満であると、塩化物イオンが十分滞留せず効率が低下する傾向があり、2.5mmを超えると生成する次亜塩素酸が排出されにくい傾向がある。
電解においては、電流は隣接する貫通孔間の距離が最も短い領域に集中しやすい。このため最も短い貫通間の触媒が最も消費されやすい。隣接する距離が最も短い貫通孔間の第1領域における触媒層の最大厚みが、隣接する距離が長い貫通孔間の第2領域における触媒層の最大厚みより大きいと触媒層の消費が均一化され結果的に触媒寿命が延び、電極寿命、電極ユニット寿命、電解装置寿命を延ばすことができる。
第2領域における触媒層の最大厚みに対する第1領域における触媒層の最大厚みの倍率は1.2倍以上で7倍以下が好ましい。より好ましくは1.5倍以上で5倍以下であり、さらに好ましくは2倍以上で4倍以下である。比率が大きすぎると最も短い貫通孔間の触媒量が多くなりすぎ、コストが高くなったり、応力が集中して剥がれが起きやすい。触媒層の絶対的な厚みは0.5μm以上20μm以下が好ましい。0.5μm未満では触媒層が不均一になりやすく寿命が短くなる傾向がある。20μmより大きいと触媒層を作製するためのプロセスが長くなりコスト高になる傾向がある。触媒層の絶対的な厚みはさらに1μm以上10μm以下が好ましく、さらにまた2μm以上4μm以下が好ましい。触媒層の厚さは断面SEMにより測定できる。
距離2は距離1の1.5倍以上が好ましい。1.5倍より小さいと塩化物イオンが滞留しにくく効率が低下すると共に第1領域の触媒層を厚くするのが難しくなる傾向がある。また電気抵抗が大きくなり電圧が上昇する傾向がある。好ましくは4倍以上である。さらに好ましくは5倍以上である。しかし10倍より大きくなると次亜塩素酸が排出しにくくなる傾向がある。
第1電極20に設けられた所定の複数の貫通孔は例えば角が丸まったひし形である。開口は光学顕微鏡を用いて測定できる。この場合、第1凹部40の形状も貫通孔と同様に角が丸まったひし形である。凹部断面は内部が狭くなるテーパーや曲線状にすることができる。
また、多孔構造の第1電極20において、第1表面側の開口が広くなるテーパー面や湾曲面で貫通孔を形成することにより、貫通孔の開口との多孔質隔膜24との接触角が鈍角となり、多孔質隔膜24への応力集中を低減することもできる。これにより、第1表面21a上の第1凹部40の開口より貫通孔の開口の方が小さくなる。
第1凹部は第1表面の全面に作製されていてもよい。この場合、第2表面に貫通していない第1凹部が存在する。貫通していない第1凹部は塩化物イオンの保持に優れるので塩化物イオン濃度が低いような条件たとえば中間室19に保持される塩化物の濃度が低かったり、中間室19の圧力が陽極室16の圧力より低い場合に次亜塩素酸の生成効率を向上させたり駆動電圧を下げるのに有効である。
第2凹部42の形状として複数の第1凹部40が入るひし形を使用することができる。
あるいは、複数の第1凹部40が入る他の形状を使用することができる。テーパーや曲線の頂点はまるまっていた方が電流集中を防ぐことができる。
図2に示すように、複数の第1凹部40は互いにほぼ同じ大きさを有するが、貫通孔を構成する第1凹部40の開口の中心を通る最小の開口径を電極基板に設けられる複数の貫通孔のうち、電極基板の中心部に位置する貫通孔の開口率は、電極基板の周縁部に位置する貫通孔の開口率と異なるようにすることができる。中心部に位置する貫通孔の開口率が周辺部より小さいと中心部の電気抵抗が小さくなり、中心部に対する電流供給が容易になる。一方、中心部に位置する貫通孔の開口率が周辺部より大きいとガスが抜けやすくなる。どちらが好ましいかは電極の大きさや運転条件や他の部材との関係で決まるが選択することができる。
図3は、本実施形態にかかる電極を用いた電極ユニットの一例を示す分解斜視図を模式的に示す。 2つの電極220,222は同じ構造である。
複数の貫通孔の互いに隣接する貫通孔間の距離のうち、隣接する距離1が最も短い第1及び第2貫通孔間の領域C4の触媒層の最大厚みが、隣接する距離2が距離1より大きい貫通孔間の領域C5の触媒層の最大厚みより大きい。また、第2及び第3貫通孔間の領域C6の距離3は、距離2より大きい。
図示するように、6本の第1凹部63は各々、シール部224を除いた電極223の右端から左端まで届くような長方形であり、第1凹部63は、第2表面221b,223bに連通しない凹部と、第2表面221b,223bに連通した開口部(貫通孔)61を有する。貫通孔61は第1凹孔部63の中に3つずつ間隔を持って配置されている第1凹部の深さは第2凹部62と比べると浅い。64は電圧印加口であり厚い梁65は電圧印加方向に向いている。
3本の第2凹部62は各々、シール部を除いた電極221の上端から下端まで届くような長方形である。6本の第1凹部に各々配置された6つの貫通孔が、1つの第2凹部62に連通している。第1表面221aにおける第1凹部61の数密度は、第2表面221bにおける第2凹部62の数密度よりも充分に大きい。図3ではわかりやすいように開口部の数は少なく表現しているが、もっと開口部の個数は多い。
実施形態では貫通孔の形状としてはどのような形状も可能であるが、端が丸い長方形であるか、楕円もしくは角が丸いひし形が好ましい。図3では電極の一部を表示している。このような形状では端が丸いため多孔質隔膜に対する応力集中が起こりにくい。また開口間隔を密にすることができると、開口率を高くすることができる。
図3の電極形状では第1凹部63のために生成する次亜塩素酸が移動しやすく、そのため貫通孔から外部に流出しやすくなる。次亜塩素酸が流出しないと塩素ガスが発生したり隔膜側に拡散したりして効率が低くなる。これは塩化物イオンの濃度が高いと起こりやすく、中間室19の塩化物濃度が高かったり、中間室19の圧力が陽極室16より高い場合に起こりやすい。そのため、図3のような電極構造は中間室19の塩化物濃度が高かったり、中間室19の圧力が陽極室16より高い場合に特に有効である。
貫通孔の開口面積は0.01mmから4mmまでにすることができる。0.01mmより小さいとガスや次亜塩素酸などの反応生成物の外部への排出が困難になり、部材の劣化等が起こりやすくなる。4mmより大きいと電気抵抗が大きくなり、電極反応の効率が低下する傾向がある。好ましくは0.1mmから1.5mmである。より好ましくは0.2mmから1mmである。
第2凹部の開口面積は1〜1600mmにすることができる。好ましくは4mmから900mmであり、より好ましくは9mmから400mmである。長方形や楕円のように一方向に長くしてシール部を除く電極の端から端につながるような凹部も可能である。
第2凹部42の開口は正方形、長方形、ひし形、円、楕円等と様々な形状を用いることができる。第2凹部42の開口径は大きい方が次亜塩素酸やガス抜けをより良好にし得るけれども、電気抵抗が大きくなることから、あまり大きくはできない。第2凹部62の開口としては、図示するように、長方形や楕円のように一方向に長くしてシール部を除く電極の端から端につながるような凹部も可能である。
また第1凹部63の開口も正方形、長方形、ひし形、円、楕円等と様々な形状を用いることができる。図示するように、長方形や楕円のように一方向に長くしてシール部を除く電極の端から端につながるような開口も可能である。
第1凹部と第2凹部の端から端につながるような2つの凹部が直交していてもよいし平行であってもよい。直行しているとガス拡散がしやすい。平行になっていると塩化物イオンを溜めやすい。直交とは87度から93度の角度で交差することであり、平行とは交差角が3度以内である。
また図3では電圧印加口64の方向に開口が61が配列している。このことにより電極厚みが大きく電気抵抗の小さい梁65が電圧印加方向に並ぶことから電力供給が容易になり、駆動電圧を小さくすることができる。
図4は、実施形態にかかる電極を用いた電極ユニットの他の一例を示す分解斜視図を模式的に示す。
2つの電極220’と222’は同じ構造をしている。
また図4では電圧印加口64’の方向に開口が61’が配列している。このことにより電極厚みが大きく電気抵抗の小さい梁65’が電圧印加方向に並ぶことから電力供給が容易になり、駆動電圧を小さくすることができる。
複数の貫通孔の互いに隣接する貫通孔間の距離のうち、隣接する距離1が最も短い第1及び第2貫通孔間の領域C7における触媒層の最大厚みが、隣接する距離2が長い第1及び第3貫通孔間の領域C8における触媒層の最大厚みより大きい。また、第2及び第3貫通孔間の領域C9の距離3は、距離2より大きい。
図示するように、電極221’及び電極223’において、貫通孔を構成する第1凹部61’は楕円形状を有する。また、シール部を除く電極の端から端につながるような2つの凹部すなわち第1凹部62’と前記第2凹部63が平行である。
第1凹部62’は、第2凹部63よりも面積が大きく、第1凹部62’における貫通孔61’の配列は、第2凹部63における貫通孔61’の配列の2列分である。
図4には電極構造を模式的に示したが、実際には第1凹部や第2凹部や貫通孔の数はずっと多い。
多孔構造の第1電極220’において、第1表面側の開口が広くなるテーパー面や湾曲面で貫通孔を形成することにより、貫通孔の開口との多孔質隔膜24との接触角が鈍角となり多孔質隔膜24への応力集中を低減することもできる。
なお、第1凹部62’は少なくとも一部が第2凹部63を連通していれば良く、貫通孔61’ではない第1凹部を含むことができる。連通していない第1凹部は電極面積を増大させる効果や物質の滞留や拡散を促進する効果がある。
貫通孔の第1表面の触媒層を除いたエッジの曲率半径が0.01mm以上であることが好ましい。これによりエッジ部の電流集中を緩和すると共に触媒層を均一に形成することができる。好ましくは0.05mmから1mmであり、より好ましくは0.1mmから0.5mmである。
図5は、実施形態に係る電解装置の他の一例を概略的に示す図である。
図5に示すように、図1の構成に加えて、陽極室16、陰極室18には液体の流路を設けても良い。また、場合により、電極ユニット12と陽極室16あるいは陰極室18との間に多孔質のスペーサーを設けてもよい。また電解槽11に塩化物イオンを含む電解質を導入するラインL1、塩水溜107、電解槽に水を供給するラインL2およびL3、電解槽から酸性電解水を取り出すラインL4、及び電解槽からアルカリ性電解水を取り出すラインL5をさらに設けてもよい。また塩化物イオンを含む電解質を循環するためのラインL7を設けてもよいし、排出するためのラインを設けてもよい。また、軟水器109および、軟水器109に吸着剤再生用の酸性電解水を酸性電解水溜106から供給するためのラインL6をさらに設けてもよい。軟水機は陰極側に供給する水にのみ用いてもよい。さらに、アルカリ電解水を貯蔵すためのタンクを設けてもよい。また酸性の液とアルカリ性の液を混合して中性に近づけるためのタンクを設けてもよい。
上記構成の第1電極20および多孔質隔膜24の製造方法の一例を以下に説明する。
図6Aないし図6Fに、実施形態に係る電極ユニットの製造方法の一例を表す図を示す。
第1電極20は、例えば、マスクを用いたエッチング法により作製することができる。
図6A及び図6Bに示すように、1枚の平坦な基材21を用意する。
基材21の第1表面21aおよび第2表面21bにレジスト膜50a、50bを塗布する。
図6Cに示すように、図示しない光学マスクを用いてレジスト膜50a、50bを露光し、それぞれエッチング用のマスク52a、52bを作製する。光学マスクによって開口面積や開口率は規定される。
図6Dに示すように、これらマスク52a、52bを介して、基材21の第1表面21aおよび第2表面21bを溶液によりウェットエッチングすることにより、複数の第1凹部40および複数の第2凹部42を形成する。その後、マスク52a、52bを除去することにより、第1電極20が得られる。第1凹部40及び第2凹部42の平面形状は光学マスクおよびエッチング条件により制御することができる。マスクを設計することにより電極内の開口率や開口面積、開口形状等は自由に制御できる。
第1および第2凹部40、42のテーパーや湾曲面の形状は基材21の材質やエッチング条件により制御することができる。第1凹部40の深さをT2、第2凹部42の深さをT3とするとき、T2<T3となるように、第1および第2凹部を形成する。なお、エッチングにおいては、基材21の両面を同時にエッチングしてもよく、あるいは、片面ずつエッチングしてもよい。エッチングの種類は、ウェットエッチングに限らず、ドライエッチングなどを用いても良い。また、エッチングに限らず、エクスパンド法、パンチング法、あるいは、レーザーや精密切削などによる加工で第1電極20を製造することも可能であるがエッチング法が最も好ましい。
実施形態に使用される第1電極20の基材21としては、チタン、クロム、アルミニウムやその合金等の弁金属、導電性金属を用いることができる。この中ではチタンが好ましい。
第1電極20の少なくとも第1表面21aに電解触媒(触媒層)28を形成する。陽極触媒としては、白金等の貴金属触媒や酸化イリジウム等の酸化物触媒を用いることが好ましく、酸化イリジウムを含有する酸化物触媒が最も好ましい。陽極触媒を作製する前に電極を陽極酸化により微小な酸化膜の凹凸を作製することが触媒と基材との密着性を上げることから好ましい。また、表面に薄い酸化タンタル層を形成しても触媒と基材との密着性を上げることから好ましい。
第1表面21aに形成された触媒層は、複数の貫通孔の互いに隣接する貫通孔間の距離のうち、隣接する距離が最も短い貫通孔間の領域C1における触媒層の最大厚みが隣接する距離が長い貫通孔間の領域C2における触媒層の最大厚みより大きい。この触媒厚みの構造は、触媒前駆体が含有される液体に電極基材が濡れやすく、この液体を第1表面21aに塗布し、乾燥、焼結させる工程を繰り返すことで作製できる。本実施形態の貫通孔の開口面積が小さいか、もしくは貫通孔の幅が小さいため塗布により最初は貫通孔を含む第1表面全体が触媒前駆体を含有する液体によって覆われる。これを乾燥する過程で貫通孔を覆った該液体は貫通孔に接する電極部に集まるが、最も短い貫通孔間により多く集まるため触媒層の最大厚みを長い貫通孔間の触媒層の最大厚みより大きくすることができる。厚みの比率は用いる触媒前駆体が含有される液体の濃度や液体の種類、乾燥条件によって制御できる。濃度が高く、表面張力の大きい方が厚みの比率が大きくなりやすい。また乾燥をゆっくり行った方が比率が大きくなりやすい。触媒の前駆体としてはイリジウムのアルコキシドを含有するアルコールが好ましく、イリジウムプロポキシドを含有するプロパノール溶液やイリジウムブトキシドを含有するブタノール溶液がより好ましい。触媒層には酸化タンタルが含有されていることが触媒寿命の点から好ましい。電極を陽極酸化により微小な酸化膜の凹凸を作製することや、表面に酸化タンタル層を形成することも触媒前駆体を含有するアルコール溶液に基材が濡れやすくなることから好ましい。
第1電極と第1の隔膜の間に設けられた電解触媒からなる第1の触媒層、及び第1の触媒層とは反対側の第1電極の表面に設けられ、第1の触媒層とは単位面積当たりの量が異なる第2の触媒層をさらに含むことができる。
電解触媒の単位面積当たりの平均量が第1電極の両面で異なるように形成してもよい。これにより副反応等を抑制することができる。
陽電極の多孔質膜側の表面(第1表面)が凹部を除いて略平坦であることが好ましい。平坦部の表面粗さは、0.01μmから3μmが好ましい。0.01μmより小さいと電極の実質の表面積が減少する傾向があり、3μmより大きいと電極の凸部に隔膜に対する応力が集中しやすくなる傾向がある。より好ましくは0.02μmから2μmであり、さらに好ましくは0.03μmから1μmである。
隔膜24は、例えば、第1電極20とほぼ等しい寸法の矩形状に形成され、第1表面21aの全面と対向している。隔膜27は、第2電極22とほぼ等しい寸法の矩形状に形成され、第1表面23aの全面と対向している。
隔膜24、27として、1μm以下の孔を多数有する膜を用いることができる。例えば第1の孔径を有する第1の多孔質層と第1の孔径とは異なる第2の孔径を有する第2の多孔質層との積層を使用することができる。また隔膜に使用される膜としてはイオン選択性のあるもの例えば炭化水素系ポリマーのイオン透過性膜やフッ素系ポリマーのイオン透過膜を用いることができる。
隔膜には無機酸化物が含まれることが好ましい。特に陽電極側の隔膜にはpHが2から6までの領域の中でゼータ電位が正の無機酸化物が好ましい。これにより、化学的に安定で弱酸性領域で陰イオンに対する隔膜の輸送性能を増大させることができる。
無機酸化物として、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、ジルコン、酸化銅、酸化鉄およびこれらの混合酸化物を用いることができる。好ましくは、化学的安定性が良好な無機酸化物として、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、ジルコンを用いることができる。この中で、曲げ耐性が良好な無機酸化物として、酸化ジルコニムや、中性でもゼータ電位が正になりやすい酸化アルミニウムがさらに好ましい。無機酸化物は、水酸化物やアルコキシド、オキシハロゲン化物、水和物を含むことができる。金属ハロゲン化物や金属アルコキシドの加水分解を経て無機酸化物を作製すると、後処理の温度によっては、これらの混合物になることがある。
隔膜中における無機酸化物の存在比率が場所によって異なることが可能である。例えば孔の周りや表面に無機酸化物の存在比率を多くすることができる。
無機酸化物はジルコンのような複合酸化物や異なる無機酸化物の混合物を使用することができる。また、隔膜は、異なる2種以上の酸化物をさらに含み、各酸化物の存在比率が隔膜の位置によって異なることも可能である。たとえば表面には曲げ強度の大きい酸化ジルコニウムを含有する領域が存在し、内部には正の電位の絶対値の大きい酸化チタンが含有された領域が存在することができる。
隔膜の表面のゼータ電位としてはpH4において−30mVより大きくすることができる。−30mVより小さいと隔膜に電圧をかけても塩素イオンが入りにくい傾向がある。さらには隔膜の表面のゼータ電位は−15mVより大きくすることができる。
実施形態では、陰電極上の陽電極側に隔膜を配置することができる。
陰電極上に設けられる多孔質隔膜は、pHが8から10の領域の中でゼータ電位が負の無機酸化物を含有することができる。これにより、弱アルカリ領域の陰極近傍において陽イオンの輸送性能を増すことができる。このような無機酸化物としては、アルカリ性領域でゼータ電位が負になりやすいものを使用することができ、このような無機酸化物として、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化タングステン、ジルコン、酸化ケイ素、及びゼオライトを用いることができる。無機酸化物として上記酸化物の混合物を使用することができる。また、隔膜中における無機酸化物の存在比率が場所によって異なることが可能である。たとえば表面には曲げ強度の大きい酸化ジルコニウムを含有する領域が存在し、内部には負の電位のpH範囲が広い酸化シリコンが含有された領域が存在することができる。
無機酸化物の隔膜24は、ナノ粒子を塗布して膜を形成することにより、あるいは、ゾルーゲルで作製することにより、面内および立体的にも不規則的な孔を有することができる。この場合、隔膜24は、曲げ等にも強くなる。隔膜24には、無機酸化物の他に、ポリマーが含まれることが可能である。ポリマーは膜に柔軟性を与える。このようなポリマーとしては、化学的に安定な主鎖にハロゲン原子が置換したものを使用することができ、例えばポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、テフロン(登録商標)等があげられる。この中ではテフロンが化学的および熱的安定性から好ましい。その他のポリマーとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素ポリマーがあげられる。この中ではポリエチレンが化学的安定性や低コストから好ましく高密度ポリエチレンがより好ましい。またポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の所謂エンジニアリングプラスチックを用いることができる。
隔膜24の孔径は、第1電極20側の開口径と第2電極22側の開口径とが異なることができる。孔の第2電極22側の開口径をより大きくすることにより、イオンの移動をより容易にするとともに第1電極20の貫通孔40による応力集中をより低減することができる。これは電極22側の開口が大きい方が拡散によるイオン移動が容易になるからである。陰イオンは電極20側の孔径が小さくても比較的容易に電極に引き寄せられる。逆に電極20側の孔径が大きいと生成した塩素等が多孔質隔膜側に拡散しやすくなる傾向がある。
隔膜の表面の孔径は高分解能の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いることにより測定できる。また内部の孔は断面SEM観察により測定できる。
図7に、実施形態に使用される電極と隔膜の構成の一例を表す模式図を示す。
図示するように、隔膜24は、第1電極20の第1表面21a部分を覆う第1領域24aと、第2孔部42と連通した複数の第1凹部40の開口を覆う第2領域24bと、を有している。21a部分では発生する塩素等のガスが排出されにくい。そのため、電極ユニット12が劣化しやすい。そこで、隔膜24において、第1領域の表面孔を無くす、すなわち、無孔に形成するか、あるいは、第1領域24aにおける表面孔の径を第2領域における孔の径よりも小さくすることにより、第1領域24aと接する領域での電解反応を抑制し電極ユニット12の劣化を防止することができる。無孔に形成するか、あるいは孔の径を小さくするには、第1電極の第1表面21aにスクリーン印刷等で別途薄い無孔膜や孔径の小さい隔膜を形成することができる。ただし、電極の反応面積が少なくなるため、ガスが抜けやすい部分の電極領域で十分な反応が起こるようにすることができる。また、第1電極20の隔膜24と反対側の第2表面21bを液体を透過させない電気絶縁性膜で覆うことにより、副反応を低減することが可能である。なお図7では貫通孔ではない第1凹部40も示している。隔膜24として、孔径の異なる複数の多孔質膜を積層した多層膜を用いることができる。この場合、第2電極22側に位置する隔膜の孔径を、第1電極20側に位置する隔膜の孔径よりも大きくすることにより、イオンの移動をより容易にするとともに電極の貫通孔による応力集中を低減することができる。
上記のように構成された第1電極20と第2電極22との間に隔膜24を挟んだ状態で、これらをプレスすることにより、第1電極20、隔膜24、第2電極22が接して、電極ユニット12が得られる。
図1で示したように、電極ユニット12は、電解槽11内に配設され、隔壁14に取付けられている。隔壁14と電極ユニット12とにより、電解槽11内を陽極室16と陰極室18に仕切っている。これにより、電極ユニット12は、構成部材の配置方向が、例えば、水平方向となるように、電解槽11内に配設されている。電極ユニット12の第1電極20は、陽極室16に臨んで配置され、第2電極22は、陰極室18に臨んで配置されている。
電解装置10において、電源30の両極は第1電極20と第2電極22に電気的に接続されている。電源30は、制御装置36による制御の下、第1および第2電極20、22に電圧を印加する。電圧計34は、第1電極20と第2電極22に電気的に接続され、電極ユニット12に印加される電圧を検出する。その検出情報は、制御装置36に供給される。電流計32は、電極ユニット12の電圧印加回路に接続され、電極ユニット12を流れる電流を検出する。その検出情報は制御装置36に供給される。制御装置36は、メモリに記憶されたプログラムに従い、検出情報に応じて、電源30による電極ユニット12に対する電圧の印加もしくは負荷を制御する。電解装置10は、陽極室16および陰極室18に反応対象物質が供給された状態で、第1電極20と第2電極22との間に電圧を印加あるいは負荷して、電解のための電気化学反応を進行させる。
第1電極20の表面に触媒28が形成された第1表面21a上に隔膜24を形成する一例としては、まず、図6Eに示すように、無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を第1表面21aに塗布して前処理膜24cを作製する。次いで、図6Fに示すように、前処理膜24cを焼結して多孔を有する孔質隔膜24を作製する。
無機酸化物前駆体を含有する溶液を作製する方法としては、例えば、金属のアルコキシドをアルコールに溶解させ、多孔質構造を作製するためにグリセリン等の高沸点の溶媒を加え、あるいは、焼結する際に酸化して炭酸ガスになりやすい脂肪酸等の有機物を混合して、溶液を作製することができる。また、溶液は、電極の多孔を覆うために、少量の水を添加して金属アルコキシドを部分的に加水分解させて粘度を上昇させることができる。
多孔質隔膜24を形成する方法として、別の多孔質膜に無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を塗布することができる。もしくは、第1電極20の第1表面21a上にあらかじめ大きな孔を有する多孔質膜を形成し、その表面および孔を無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体で覆うことができる。もしくは上記方法により電解液を保持する保持体25上に無機酸化物を有する隔膜を形成することができる。また、これらを組み合わせることができる。
無機酸化物粒子および/もしくは無機酸化物前駆体を含有する溶液を塗布する方法として、刷毛塗りやスプレー、ディッピング等を使用することができる。前処理膜24cを焼結して多孔を作製する工程では、焼結温度は100〜600℃程度にすることができる。
以上の構成や製造方法等により長期間に亘って高効率な電解性能を維持できる長寿命の電極ユニットとこれを用いた電解装置を提供することができる。
以下、実施例を示し、実施形態について具体的に説明する。
実施例
(実施例1)
第1電極の基材21として、板厚T1が0.5mmの平坦なチタン板を用意する。
このチタン板を図6Aないし図6Dに示す工程と同様にして、エッチングすることにより、第1の実施形態の第1電極20を作製する。電極は水流方向の長さが15cmで幅が10cmである。
図3に示すように、第1電極220及び第2電極222のうち、面積の小さい第1凹部63を含んだ領域の厚み(第1凹部の深さ)は0.1mm、面積の大きい第2凹部62を含んだ領域の厚み(第2凹部の深さ)は0.4mmである。第1凹部63は電極のシール部を除いた端から端へ繋がる長方形であり、第2凹部62も電極のシール部を除いた端から端へ繋がる長方形であり、第一凹部63とは直交している。貫通孔61は図3で示すような端が丸い長方形であり、開口の幅は平均0.22mm、開口の長さは平均2.5mmで、開口の短い方のピッチは平均0.5mm、長い方のピッチは平均5mmである。
このエッチングされた電極基材221を10wt%シュウ酸水溶液中1時間80℃で処理する。さらに1M硫酸アンモニウムと0.5Mフッ化アンモニウムの混合水溶液中で2時間10Vで陽極酸化する。次に、塩化イリジウムと塩化タンタルに1−ブタノールをそれぞれ金属量が0.25Mになるように加えて調整した溶液を、電極基材221の第1表面221aに塗布した後、乾燥、焼成して図示しない触媒層を作成する。この場合、乾燥は80℃で10分間行ない、焼成は450℃で10分間行なう。こうした塗布、乾燥、焼成を5回繰り返した電極基材を2枚作製し、第1電極(陽極)220を得る。この電極の図3で示す第1領域C4における貫通孔間の距離は平均0.28mm、第2領域C5における貫通孔間の距離は平均2.5mmである。第1距離と第2距離の比は平均1:8.9である。第3領域C6における貫通孔間の距離は平均2.6mmである。
隔膜として厚さ100μmのガラス布に粒径100nmの酸化チタン微粒子と、ポリフッ化ビニリデン粒子の水分散混合液を、塗布して乾燥する。さらに、トリイソプロポキシアルミニウムの5%イソプロパノール溶液に漬けて、大気中に引き上げる。大気中120℃で1時間乾燥し、多孔質構造を有する隔膜を作成する。この隔膜表面のpH4におけるゼータ電位は15mVである。
酸化イリジウムを含有する触媒層28を作成する代わりに、触媒層として白金をスパッタすること以外は第1電極21と同様にして、第2電極(対向電極、陰極)22を形成する。
その上に隔膜27として厚さ30μmのポリエチレン多孔質膜にテトライソプロポキシジルコニウムの5%イソプロパノール溶液に漬けて、大気中に引き上げる。続いて、大気中90℃で1時間乾燥し、多孔質構造を有する隔膜を作成する。
この隔膜表面のpH8におけるゼータ電位は−30mVである。
電解液を保持する保持体25として、厚さ5mmの多孔質ポリスチレンを用いる。これら第1電極20、隔膜24、多孔質ポリスチレン25、隔膜27、第2電極22をシリコーンパッキンおよびネジを用いて重ね合わせて固定し、電極ユニット12を作成する。この電極ユニット12を電解槽11内に載置し、隔壁14および電極ユニット12により、陽極室16と陰極室18と、電極間に配置された多孔質ポリスチレン25が設けられた中間室19との3室に仕切られる。
電解槽11の陽極室16および陰極室18は、それぞれストレート流路が形成された塩化ビニル製の容器で形成している。制御装置36、電源30、電圧計34、電流計32を設置する。給水源106から陽極室16および陰極室18に水を供給するための配管とポンプを電解槽11に接続し、給水ライン104,105を確保する。さらに、陽極室16から次亜塩素酸水を取り出すラインL4および陰極室18からアルカリ性水を取り出すラインL5を設けることができる。電極ユニット12の保持体(多孔質ポリスチレン)25に飽和食塩水を循環供給するための飽和食塩水タンク107と配管、ポンプを電極ユニットに接続し、電解槽に塩化物イオンを含む電解質を導入するラインL1と、余剰の電解質を回収するライン108を確保する。これにより、図5と同様の構成を有する電解装置が得られる。
電解装置10を用いて、流量2L/分、電圧5.7V、電流10Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は73±2%である。ここで、次亜塩素酸の生成効率は処理水の有効塩素濃度を測定して投入電荷量から求める。
続いて、電極をはずして断面SEMで10個の貫通孔について下記の測定を行う。
複数の貫通孔のうち、隣接する距離が最も短い貫通孔間の第1領域における触媒層の最大厚みは4〜5μmであり、隣接する距離が最も長い貫通孔間の第2領域における触媒層の最大厚みは2.2〜3.5μmであり、第2領域における触媒層の最大厚みに対する第1領域における触媒層の最大厚みの倍率は1.3〜2.2倍である。
同じ方法で作製した第1電極を用いて電解装置を作製する。次亜塩素酸の生成効率は同じである。この装置を2000時間運転すると電圧の上昇は10%である。
得られた結果を下記表1に示す。
(比較例1)
塩化イリジウムと塩化タンタルに1−ブタノールをそれぞれ金属量が0.25Mになるように加えて調整した溶液の代わりに、塩化イリジウムと塩化タンタルに1−ブタノールをそれぞれ金属量が0.05Mになるように加えて調整した溶液を使用し、かつ溶液の塗布、乾燥、及び焼成を5回繰り返す代わりに、溶液の塗布、乾燥、及び焼成を25回繰り返すことを除いては実施例1と同様にして第1電極及び第2電極を作製する。
初期特性は実施例1と同様である。電極をはずして断面SEMを撮り、10個の貫通孔について測定する。
隣接する距離が最も短い貫通孔間の第1領域における触媒層の最大厚みは2.0〜2.5μmであり、隣接する距離が最も長い貫通孔間の第2領域における触媒層の最大厚みは2.0〜2.5μmであり、第2領域における触媒層の最大厚みに対する第1領域における触媒層の最大厚みの倍率は0.9〜1.1倍である。
得られた結果を下記表1に示す。
次亜塩素酸の生成効率は実施例1と同様である。この装置を2000時間運転すると電圧の上昇は25%であり、実施例1と比較して上昇率が大きい。
(実施例2〜14 比較例2〜4)
以下、マスクを変えて図3の電極形状で第1領域C4における第1距離と、第2領域C5における第2距離の比を下記表1に示すように変更し、触媒の前駆体溶液の濃度や塗布回数を種々変化させて電極を作製する。なお、いずれの例においても、第3領域C6における第3距離は、第2距離より長い。
図3において隣接する距離が最も短い貫通孔間の第1領域C4における触媒層の最大厚み、隣接する距離が長い貫通孔間の第2領域C5における触媒層の最大厚み、及び2000時間運転後の電圧上昇率を実施例1と同様に測定し、得られた結果を下記表1に示す。
上記測定の結果、及び第2領域における触媒層の最大厚みに対する第1領域における触媒層の最大厚みの倍率を下記表1に示す。
実施例2から8ではほぼ同じ開口構造を持つ電極を用いて触媒層の厚みを変更する。初期の電解効率は70〜75%である。
実施例9から14では触媒の厚みは同様にして開口構造を変化させる。実施例9、10では初期の電解効率は72〜74%であるが実施例11は68%、実施例12は66%、実施例13は67%、実施例14は64%と若干初期効率が低下する。そのため初期駆動電圧が若干高く電圧上昇率も若干高い。
比較例2では、比較例1よりも、溶液の塗布、乾燥、及び焼成のくりかえし回数を多くする。
比較例3、4では、溶液を塗布後に電極に下から濾紙をあてて貫通孔部の溶液を除去してから乾燥させる。
Figure 0006639638
(実施例15)
第1電極の基材21として、板厚T1が0.5mmの平坦なチタン板を用意する。
このチタン板を図6Aないし図6Dに示す工程と同様にして、エッチングすることにより、実施形態の第1電極20を作製する。電極は水流方向の長さが15cmで幅が10cmである。
第1電極20のうち、面積の小さい第1凹部40を含んだ領域の厚み(第1凹部の深さ)は0.1mm、面積の大きい第2凹部42を含んだ領域の厚み(第2凹部の深さ)は0.4mmである。第1凹孔部40は、図2に示す電極と同様に角の丸いひし形(外挿したひし形の頂点の角度は60°と120°)である。貫通孔も角の丸いひし形であり、開口面積は0.08mm〜0.10mmである。第2凹部42もひし形であり、ひし形の一辺は約3.6mmである。
上記の第1電極及び第2電極を用いること以外は、実施例1と同様にして電極ユニットおよび電解装置を作成する。
図2で示す第1距離と第2距離の比の平均は1:5.0である。
この電解装置を用いて、流量2L/分、電圧6.2V、電流10Aで電解を行い、第1電極(陽極)20側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)22側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は75±2%である。この装置から第一電極を外して断面SEMで10個の貫通孔を測定する。隣接する距離が最も短い貫通孔間の第1領域における触媒層の最大厚みは5〜7μmであり、隣接する距離が最も長い貫通孔間の第2領域における触媒層の最大厚みは2〜3μmであり、第2領域における触媒層の最大厚みに対する第1領域における触媒層の最大厚みの倍率は2〜3倍である。
同じ方法で作製した第1電極を用いて同じように電解装置を作製する。次亜塩素酸の生成効率はほぼ同じである。この装置を2000時間運転すると電圧は9%上昇する。
(比較例5)
塩化イリジウムと塩化タンタルに1−ブタノールをそれぞれ金属量が0.25Mになるように加えて調整した溶液の代わりに、塩化イリジウムと塩化タンタルに1−ブタノールをそれぞれ金属量が0.05Mになるように加えて調整した溶液を使用し、かつ溶液の塗布、乾燥、及び焼成を5回繰り返す代わりに、溶液の塗布、乾燥、及び焼成を25回繰り返すことを除いては実施例15と同様にして第1電極を作製する。
初期特性は実施例15と同様である。電極をはずして断面SEMを測定し、10個の貫通孔について測定する。隣接する距離が最も短い貫通孔間の第1領域における触媒層の最大厚みは2.0〜2.6μmであり、隣接する距離が最も長い貫通孔間の第2領域における触媒層の最大厚みは2.0〜2.5μmであり、第2領域における触媒層の最大厚みに対する第1領域における触媒層の最大厚みの倍率は0.9〜1.1倍である。
さらに、第1電極と同じ方法で作製した第2電極を用いて電解装置を作製する。次亜塩素酸の生成効率は実施例15と同様である。この装置を2000時間運転すると電圧の上昇は30%であり上昇率が大きい。
(実施例16)
第1電極の基材221’として、板厚T1が0.5mmの平坦なチタン板を用意する。
このチタン板をエッチングするが、両面からのエッチングおよびパンチングで、図4で示すパターンを有する第1の凹部、第2の凹部、及び貫通孔を形成すること以外は実施例1と同様にして第3の実施形態の第1電極220’を作製する。電極は水流方向の長さが15cmで幅が10cmである。
第1凹部63は電極のシール部を除いた端から端へ繋がる長方形であり、第2凹部62’も電極のシール部を除いた端から端へ繋がる長方形であり、シール部を除く電極の端から端につながるような2つの凹部すなわち第1凹部62’と第2凹部63が平行である。
第1電極の貫通孔は図4で示すように楕円である。長方形の溝はエッチングで作製し、楕円の貫通孔61’はパンチングで作製する。貫通孔の面積は0.53mm〜0.55mmである。
第1凹部62’は、第2凹部63よりも面積が大きく、第1凹部62’における貫通孔61’の配列は、第2凹部63における貫通孔61’の配列の2列分である。
第2電極222’は第1電極220’と同様にして形成することができる。
第1電極20と第2電極22の代わりに、第1電極220’と第2電極222’を使用すること以外は、実施例1と同様にして電極ユニットおよび電解装置を作成する。
この電解装置を用いて、流量2L/分、電圧6.0V、電流10Aで電解を行い、第1電極(陽極)側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)側では水素および水酸化ナトリウム水を生成する。次亜塩素酸の生成効率は63±3%である。この装置から第一電極を外して断面SEMを測定する。隣接する距離が最も短い貫通孔間の第1領域C7における触媒層の最大厚みは3〜4μm、隣接する距離が長い貫通孔間の第2領域C8における触媒層の最大厚みは2〜3μmで、第2領域における触媒層の最大厚みに対する第1領域における触媒層の最大厚みの倍率は1.3〜1.5倍である。図4で示す第1距離と第2距離の比の平均は1:4.3である。第3領域C9における第3距離は第2距離よりも大きい。
同じ方法で作製した第1電極を用いて同じように電解装置を作製する。次亜塩素酸の生成効率はほぼ同じである。この装置を2000時間運転すると電圧は12%上昇する。
(実施例17)
図8は、実施形態に係る電解装置の他の一例を概略的に示す図である。
図8に示すように、この電解装置310では、電解槽11の代わりに、陰極室318及び陰極室318を取り囲むように配置された陽極室316を有し、流路及び配管もなく自然対流により水流が形成されるバッチ型の電解槽311を使用すること以外は、図1と同様の構成を有する。陽極室316および陰極室318の容量は、それぞれ2L、0.1Lであり、実施例15と同様に作製される電極を用いる。ただし電極のサイズは4x3cmである。
電圧7V、電流2Aで5分間、電解を行い、第1電極(陽極)側では次亜塩素酸水を、第2電極(陰極)側では水素および水酸化ナトリウム水生成する。次亜塩素酸の生成効率は80±2%である。この装置から第一電極を外して断面SEMで10個の貫通孔を測定する。隣接する距離が最も短い貫通孔間の第1領域における触媒層の最大厚みは5〜7μm、隣接する距離が長い貫通孔間の第2領域における触媒層の最大厚みは2〜3μmで、第2領域における触媒層の最大厚みに対する第1領域における触媒層の最大厚みの倍率は2〜3倍である。
同じ方法で作製した第1電極を用いて同じように電解装置を作製する。次亜塩素酸の生成効率はほぼ同じである。この装置を断続的に2000時間運転すると電圧は12%上昇する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…電解装置、11…電解槽、12…電極ユニット、14…隔壁、16…陽極室、18…陰極室、19…中間室、20,…第1電極、21、23,…基材、22,…第2電極、21a,23a,…第1表面、21b,23b,…第2表面、24,27…隔膜、25…保持体、26,26a,26b…隔膜、28…触媒層、30…電源、32…電流計、34…電圧計、40,44,61,63…貫通孔(第1凹部)、42,46,62…第2凹部、50…レジスト膜、60…ブリッジ、64…電圧印加口、65…梁

Claims (21)

  1. 第1表面、前記第1表面に対向する第2表面、及び前記第1表面から前記第2表面に貫通する複数の貫通孔を有する電極基材と、
    前記第1表面に開口する複数の第1凹部と、
    前記第2表面に開口しているとともに前記第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部と、
    前記第1表面上に設けられた触媒層とを含み、
    前記第1凹部は前記第2凹部より数が多く、
    前記複数の貫通孔は、
    第1貫通孔と、
    第1貫通孔に最も短い第1距離をおいて隣接する第2貫通孔と、
    前記第1貫通孔に前記第1距離より長い第2距離をおいて隣接する第3貫通孔とを少なくとも含み、
    前記第1貫通孔、前記第2貫通孔、及び前記第3貫通孔は、前記第1凹部と第2凹部を連通するものであり、前記第2貫通孔と前記第3貫通孔の間の第3距離は第2距離より長く、前記触媒層は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔の間の第1領域における第1厚さが、前記第1貫通孔と前記第3貫通孔の間の第2領域における第2厚さよりも大きい電解用電極。
  2. 第1表面、前記第1表面に対向する第2表面、及び前記第1表面から前記第2表面に貫通する複数の貫通孔を有する電極基材と、
    前記第1表面に開口する複数の第1凹部と、
    前記第2表面に開口しているとともに前記第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部と、
    前記第1表面上に設けられた触媒層とを含み、
    前記複数の第1凹部は、互いに隣接する第3凹部、第4凹部、及び第5凹部を含み、
    前記複数の第2凹部は、第6凹部及び前記第6凹部に隣接する第7凹部を含み、
    前記複数の貫通孔が、
    第3凹部と前記6凹部を連通する第1の貫通孔と、
    前記第4凹部と前記第6凹部を連通する第2の貫通孔と、
    前記第5凹部と前記第7凹部を連通する第3の貫通孔とを含み、
    前記触媒層は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔の間の第1領域における第1厚さが、前記第1貫通孔と前記第3貫通孔の間の第2領域における第2厚さよりも大きい電解用電極。
  3. 第1表面、前記第1表面に対向する第2表面、及び前記第1表面から前記第2表面に貫通する複数の貫通孔を有する電極基材と、
    前記第1表面に開口する複数の第1凹部と、
    前記第2表面に開口しているとともに前記第1凹部よりも開口面積が広い複数の第2凹部と、
    前記第1表面上に設けられた触媒層とを含み、
    前記複数の第1凹部のうち1つの第1凹部は、複数の第3凹部を有するとともに、他の1つの第1凹部は、前記第3凹部に隣接する第4凹部を含み、
    前記複数の第2凹部のうち1つの第2凹部は、複数の第5凹部を有するとともに、他の1つの第2凹部は、前記第5凹部に隣接する第6凹部を含み、
    前記複数の貫通孔が、
    前記第3凹部と前記第5凹部を連通する第1の貫通孔と、
    前記第4凹部と前記第5凹部を連通する第2の貫通孔と、
    前記第1貫通孔を有する前記第3凹部とは異なる第3凹部と前記第6凹部を連通する第3の貫通孔とを含み、
    前記触媒層は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔の間の第1領域における第1厚さが、前記第1貫通孔と前記第3貫通孔の間第2領域における第2厚さよりも大きい電解用電極。
  4. 前記第1厚さは、前記第2厚さの1.5倍以上である請求項1から3までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  5. 前第2距離が第1距離の1.5倍以上10倍以下である請求項1または3に記載の電解用電極。
  6. 前記触媒層は、酸化イリジウムおよび酸化タンタルを含む請求項1から4までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  7. 前記貫通孔は、端が丸い長方形、楕円、もしくは角が丸いひし形を有する請求項1から5までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  8. 前記第2凹部の開口は、1〜1600mm2の面積を有する請求項1から6までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  9. 前記第1凹部は、前記第1表面側が広くなるテーパー面状あるいは湾曲面状を有する周壁を持つ請求項1から8までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  10. 前記第2凹部は、シール部を除いた前記電極基材の一端から他端につながる請求項1から9までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  11. 前記第1凹部はシール部を除いた前記電極基材の一端から他端につながる請求項1から10までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  12. 前記第1凹部と前記第2凹部が直交している請求項1から11までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  13. 前記第1凹部と前記第2凹部が平行している請求項1から12までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  14. 前記複数の貫通孔において、隣接する貫通孔間の距離は、0.1mm以上2.5mm以下である請求項1から13までのいずれか1項に記載の電解用電極
  15. 前記複数の貫通孔のうち、前記電極基材の中心部に位置する貫通孔の開口率は、前記電極基材の周縁部に位置する貫通孔の開口率と異なる請求項1から14までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  16. 前記第1表面は、陽極酸化されている請求項1から15までのいずれか1項に記載の電解用電極。
  17. 前記貫通孔が直列に配列し、貫通孔の列を隔てる厚い梁もしくは幅の広い梁の方向が電極の電圧印加口の方向である請求項1から16までのいずれか1項記載の電解用電極。
  18. 請求項1から17までのいずれか1項に記載の電解用電極からなる第1電極、
    前記第1表面上に配置された隔膜、
    前記第1電極の前記第1表面側に設けられた第2電極、及び
    前記隔膜と前記第2電極との間に設けられた電解液保持構造を備える電極ユニット。
  19. 前記第1電極の前記第1表面と前記第2電極との間に設けられ、イオンおよび液体の少なくとも一方を透過する多孔質膜を更に備え、前記多孔質膜は、前記第1電極の第1表面と前記隔膜との間に挟持されている請求項18に記載の電極ユニット。
  20. 電解槽、及び前記電解槽に組み入れられた請求項18もしくは19に記載の電極ユニット、前記電極ユニットにより仕切られた第1電極室、及び第2電極室を含む電解装置。
  21. 前記第1電極室は陽極室であり、前記第2電極室は陰極室であり、前記電解槽に塩化物イオンを含む電解質溶液を導入するライン、前記陽極室から酸性電解水を取り出すライン、及び前記陰極室からアルカリ性電解水を取り出すラインをさらに具備する請求項20に記載の電解装置。
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