以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
以下では、閉電路式踏切制御子(以下、単に「踏切制御子」という)の制御区間長測定時に利用されるリレー動作保持装置について説明する。
図1は、本発明によるリレー動作保持装置の概要を説明するための図である。同図(a)は、軌道短絡器によってレール間が短絡されていない状態を示し、同図(b)は、軌道短絡器によってレール間が短絡された状態を示している。
同図に示すように、リレー動作保持装置100は、踏切制御子1の制御区間長を測定する際に、踏切制御子1と、当該踏切制御子1によって制御される受信リレー2とに接続されて使用される。より具体的には、受信リレー2が接続される踏切制御子1のリレー接続用端子に接続されて使用される。
同図(a)に示すように、レール3間が短絡されていない場合は、踏切制御子1から出力される電力が受信リレー2に供給され、受信リレー2は動作状態(励磁状態)を維持することになる。この時、リレー動作保持装置100からは、電力の供給は行われない。
一方、同図(b)に示すように、軌道短絡器4によってレール3間が短絡され、当該短絡が踏切制御子1によって検知されると、踏切制御子1からの出力(電力供給)が停止されることとなる。リレー動作保持装置100は、踏切制御子1からの出力を監視しており、出力が低下したことを検知すると、受信リレー2に対する電力供給を開始する。リレー動作保持装置100からの電力供給により、踏切制御子1からの出力停止後も、受信リレー2の動作状態は維持されることとなる。すなわち、受信リレー2は落下せず、その結果、踏切警報機等も動作しないことになる。
次に、本発明によるリレー動作保持装置100の詳細について説明する。
図2は、リレーの動作状態を保持するためのリレー動作保持装置100の機能構成を説明するための図である。
同図に示すように、リレー動作保持装置100は、接続部110と、電流検知部120と、電圧検知部130と、蓄電部140と、電力供給部150と、時間計測部160と、表示部170とを備える。
接続部110は、リレー動作保持装置100を、踏切制御子1及び受信リレー2と接続するためのものである。接続部110は、リレー動作保持装置100が、踏切制御子1及び受信リレー2と接続された後、踏切制御子1から受信リレー2に対して供給される電力を監視するため、受信リレー2に対して供給される電力をリレー動作保持装置100内部に入力すると共に、踏切制御子1から受信リレー2に対する電力供給が停止された場合に、受信リレー2に対して電力を供給するための入出力部としても機能する。
電流検知部120は、リレー動作保持装置100内部から外部に向かって流れる電流を検知するためのものであって、リレー動作保持装置100内部から外部に向かって一定以上の電流が流れたことを検知すると、その旨を電力供給部150に通知する。
電圧検知部130は、接続部110を介して入力される電圧を検知するためのものであって、接続部110を介して入力される電圧が一定以下であることを検知すると、その旨を電力供給部150に通知する。なお、電圧検知部130は、主に、電流検知部120が正常動作しない場合に備えて設けられるものである。
蓄電部140は、接続部110を介して入力される電圧に応じて充電又は放電がされるものであって、接続部110を介して入力される電圧が低下した場合に、接続部110に向かって流れる電流を生成するものである。蓄電部140は、踏切制御子1から受信リレー2に対して供給される電力の状態(電圧)に応じて、充電又は放電がされることになる。すなわち、踏切制御子1から受信リレー2に対して電力が供給されている間は、接続部110を介して入力される電圧によって充電される。その後、軌道短絡器4によるレール3間の短絡によって踏切制御子1から受信リレー2に対する電力の供給が停止されると、放電を開始し、蓄電部140から外部に向かって流れる電流を生成することになる。蓄電部140は、接続部110を介して入力される電圧が低下した場合、即座に、受信リレー2に対する電力の供給を開始するものであって、電力供給部150からの電力供給が開始されるまでの間、受信リレー2に対して電力の供給を行う補助的な電力供給部として機能するものである。
電力供給部150は、接続部110を介して、受信リレー2に対して電力を供給するためのものである。すなわち、軌道短絡器4によるレール3間の短絡により踏切制御子1が受信リレー2に対する電力の供給を停止した際、踏切制御子1の代わりに、受信リレー2に対して電力を供給して、受信リレー2の動作状態を保持するためのものである。電力供給部150は、電流検知部120によって、リレー動作保持装置100内部から外部に向かって一定以上の電流が流れたことが検知されると、接続部110を介して、受信リレー2に対する電力の供給を行う。また、電力供給部150は、電圧検知部130によって、接続部110を介して入力される電圧が一定以下であることが検知された場合についても、接続部110を介して、受信リレー2に対して電力の供給を行う。また、電力供給部150は、後述するように、時間計測部160によって、踏切制御子1が受信リレー2に対して出力をしている時間が一定時間以上になったことが検知されると、踏切制御子1の制御区間長測定作業が完了したものと判断して、電力供給部150の動作を停止させる。踏切制御子1から受信リレー2への出力時間が一定時間(例えば、20分)以上になった場合に、電力供給部150の動作を停止(受信リレー2への電力供給を禁止)させることにより、制御区間長測定作業終了後、誤ってリレー動作保持装置100を踏切制御子1へ接続したままにしてしまった場合であっても、受信リレー2の正常動作を妨げることを防止することが可能となる。
時間計測部160は、踏切制御子1が受信リレー2に対して出力をしている時間を計測し、当該時間が一定時間以上になった場合は、その旨を、電力供給部150に通知するためのものである。踏切制御子1の制御区間長測定作業中は、相対的に短い間隔で軌道短絡器によるレール間短絡が繰り返されることになる。その結果、踏切制御子1から受信リレー2に対する出力の停止も、通常時より短い間隔で繰り返されることとなり、踏切制御子1から受信リレー2に対する(一回の継続的な)出力時間も短くなる。一方、踏切制御子1の制御区間長測定作業終了後(通常の動作時)は、列車が通過する際にのみ、踏切制御子1から受信リレー2に対する出力の停止がされることになるので、踏切制御子1から受信リレー2に対する出力時間は、制御区間長測定作業時との比較では非常に長くなる。踏切制御子1の出力(電力供給)と、リレー動作保持装置100の出力(電力供給)とは相補的な関係にあることから、時間計測部160は、リレー動作保持装置100が出力していない時間を計測し、リレー動作保持装置100が出力していない時間が一定時間以上になった場合に、踏切制御子1が受信リレー2に対して出力をしている時間が一定時間以上になったものとして、電力供給部150に対して通知を行う。
表示部170は、リレー動作保持装置100の動作状態を表示するためのものであり、より具体的には、電力供給部150が受信リレー2に対して電力の供給を行っているか否かを表示する。表示部170は、例えば、リレー動作保持装置100の動作状態に応じて発光状態を変化させる発光部によって構成される。
軌道短絡器4を利用した踏切制御子1の制御区間長測定作業においては、軌道短絡器4によるレール3間の短絡により、踏切制御子1が動作したか否か(短絡を検知したか否か)を確認する必要があるが、従来は、踏切制御子1が備えるリレーLEDの点灯状態が変化したか否か(点灯から消灯に移行したか否か)を確認することで、踏切制御子1が動作したか否かを確認していた。
踏切制御子1が備えるリレーLEDは、通常、出力の最終段に設けられているため、リレー動作保持100を接続した場合、踏切制御子1が短絡を検知して出力を停止した場合であっても、リレー動作保持装置100から供給される電力によって、リレーLEDの点灯状態が維持されてしまうことになる。すなわち、リレー動作保持100を接続した場合、踏切制御子1が備えるリレーLEDは、踏切制御子1が短絡を検知した場合であっても、点灯状態を変化させず、点灯したままになってしまうことになる。そのため、踏切制御子1のリレーLEDを観察しても、踏切制御子1が動作したか否かを確認できなくなってしまう。
表示部170は、踏切制御子1が備えるリレーLEDの代わりに、踏切制御子1が動作したか否かを確認できるようにするためのものである。表示部170は、リレー動作保持装置100が動作しているか否か(電力供給部150が受信リレー2に対して電力の供給を行っているか否か)を表示するものであり、踏切制御子1の動作と、リレー動作保持装置100(電力供給部150)の動作とが逆の関係、すなわち、踏切制御子1が受信リレー2に対して電力の供給を行っている場合は、リレー動作保持装置100(電力供給部150)は受信リレー2に対して電力の供給を行っておらず、踏切制御子1が受信リレー2に対して電力の供給を行っていない場合は、リレー動作保持装置100(電力供給部150)が受信リレー2に対して電力の供給を行っていることになるので、表示部170に表示されるリレー動作保持装置100の動作状態を確認することで、実質的に、踏切制御子1が動作したか否かを確認することができるようになる。
図3は、リレー動作保持装置100のハードウェア構成例を説明するための図である。
同図に示すように、リレー動作保持装置100は、電源部301と、一対の接続用電線310と、電流測定部321と、コンパレータ322と、リレードライバ323と、RIリレー324(RIリレーコイル324c及びRIリレー接点324s)と、電圧測定部331と、コンパレータ332と、リレードライバ333と、RVリレー334(RVリレーコイル334c及びRVリレー接点334s)と、コンデンサ341と、抵抗342と、ダイオード343と、Rbリレー351(Rbリレーコイル351c及びRbリレー接点351s1,351s2,351s3)と、ダイオード352と、カウンタ回路部361と、リレードライバ362と、RCリレー363(RCリレーコイル363c及びRCリレー接点363s)と、発光部371と、抵抗372とを備える。
電源部301は、リレー動作保持装置100の動作に必要な電力を供給するものであり、また、Rbリレー351と共に、電力供給部150を構成するものである。電源部301は、電池(本実施形態においては、鉛蓄電池)と、電源スイッチと、電源回路とを備えており、電源スイッチがオンにされると、電池から電源回路に電力が供給され、電源回路によって、リレー動作保持装置100の動作に必要な電圧が生成される。本実施形態においては、電源部301によって、鉛蓄電池の出力電圧(例えば、12V)から、アナログ回路用の電源電圧Va(例えば、24V)と、デジタル回路用の電源電圧Vd(例えば、5V)とが生成される。なお、アナログ回路用の電源電圧Vaは、リレー動作保持装置100から受信リレー2に供給される電圧が、適当な電圧、すなわち、受信リレー2が落下する電圧(例えば、15〜16V)より高く、かつ、踏切制御子1が出力する電圧(例えば、28V)より低くなるように設定される。
一対の接続用電線310は、リレー動作保持装置100を踏切制御子1及び受信リレー2と接続するためのものであり、接続部110を構成するものである。同図に示すように、一対の接続用電線310は、その先端部にワニ口クリップ311を備えており、ワニ口クリップ311を、踏切制御子1のリレー接続用端子の先端部分に取り付けることで、既存の配線等を変えることなく、リレー動作保持装置100を踏切制御子1及び受信リレー2と接続ができるようになっている。また、一対の接続用電線310は、リレー動作保持装置100内部において、その一方(+側)が電流測定部321に接続されると共に、その他方(−側)がグラウンド(GND)に接続されている。
電流測定部321は、コンパレータ322と共に、電流検知部120を構成するものであり、接続用電線310を介して外部に流出する直流電流を測定する。電流測定部321は、測定された電流値に対応する電圧を、コンパレータ322に対して出力するように構成されている。
コンパレータ322は、電流測定部321と共に、電流検知部120を構成するものであって、電流測定部321によって測定された電流値が、予め決められた閾値(例えば、50mA)以上であるか否かを判別する。コンパレータ322は、電流測定部321から出力される電圧と、予め設定された所定の電圧とを比較することにより、電流測定部321によって測定された電流値が、予め決められた閾値以上であるか否かを判別し、電流測定部321によって測定された電流値が、予め決められた閾値以上であった場合、リレードライバ323に対して動作を指示するための信号を出力する。
リレードライバ323は、コンパレータ322からの指示に基づいて、RIリレー324を駆動するものであり、トランジスタ等によって構成されている。リレードライバ323は、コンパレータ322から動作を指示する信号が出力されると、RIリレー324を駆動して、RIリレー324を動作(励磁状態に移行)させる。
RIリレー324は、Rbリレー351の動作を制御するためのものであり、RIリレーコイル324c及びRIリレー接点324sを備えた電磁リレーによって構成される。RIリレー接点324sは、RIリレーコイル324cが励磁された際に、非導通状態から導通状態に移行する接点(a接点)である。同図に示すように、RIリレーコイル324cの一方の端子は、リレードライバ323と接続され、他方の端子は、電源電圧Vaと接続されている。また、RIリレー接点323sの一方の端子は、電源電圧Vaと接続され、他方の端子は、RCリレー363が備えるRCリレー接点363sの一方の端子と接続されている。
電圧測定部331は、コンパレータ332と共に、電圧検知部130を構成するものであり、接続用電線310を介して入力される直流電圧を測定する。電圧測定部331は、測定された電圧値に対応する電圧を、コンパレータ332に対して出力するように構成されている。
コンパレータ332は、電圧測定部331と共に、電圧検知部130を構成するものであって、電圧測定部331によって測定された電圧値が、予め決められた閾値(例えば、18V)以下であるか否かを判別する。コンパレータ332は、電圧測定部331から出力される電圧と、予め設定された所定の電圧とを比較することにより、電圧測定部331によって測定された電圧値が、予め決められた閾値以下であるか否かを判別し、電圧測定部331によって測定された電圧値が、予め決められた閾値以下であった場合、リレードライバ333に対して動作を指示するための信号を出力する。
リレードライバ333は、コンパレータ332からの指示に基づいて、RVリレー334を駆動するものであり、トランジスタ等によって構成されている。リレードライバ333は、コンパレータ332から動作を指示する信号が出力されると、RVリレー334を駆動して、RVリレー334を動作(励磁状態に移行)させる。
RVリレー334は、Rbリレー351の動作を制御するためのものであり、RVリレーコイル334c及びRVリレー接点334sを備えた電磁リレーによって構成される。RVリレー接点334sは、RVリレーコイル334cが励磁された際に、非導通状態から導通状態に移行する接点(a接点)である。同図に示すように、RVリレーコイル334cの一方の端子は、リレードライバ333と接続され、他方の端子は、電源電圧Vaと接続されている。また、RIリレー接点324sと同様に、RVリレー接点334sの一方の端子は、電源電圧Vaと接続され、他方の端子は、RCリレー363が備えるRCリレー接点363sの一方の端子と接続されている。すなわち、RIリレー接点324sと、RVリレー接点334sとは並列に接続されている。
コンデンサ341は、蓄電部140を構成するものであって、本実施形態においては、電解コンデンサによって構成されている。コンデンサ341の容量は、電力供給部150(Rbリレー接点351s1を介した電源電圧Va)からの電力供給が開始されるまでの間、受信リレー2の動作を保持できる程度の電力を供給可能なもの(本実施形態においては、1mF)が選択される。同図に示すように、コンデンサ341の一方の端子は、抵抗342の一方の端子及びダイオード343のアノードと接続され、他方の端子はグラウンド(GND)に接続されている。
抵抗342は、コンデンサ341の充電時に流れる電流を制限するためのものである。同図に示すように、抵抗342の一方の端子は、ダイオード352のカソード、ダイオード343のカソード、電流測定部321及び電圧測定部331と接続されており、他方の端子は、コンデンサ341の一方の端子及びダイオード343のアノードと接続されている。
ダイオード343は、コンデンサ341の放電時の電流経路を形成するものである。同図に示すように、ダイオード343のカソードは、ダイオード352のカソード、抵抗342の一方の端子、電流測定部321及び電圧測定部331と接続されており、ダイオード343のアノードは、抵抗342の一方の端子及びコンデンサ341の一方の端子と接続されている。すなわち、抵抗342とダイオード343とは並列に接続されており、コンデンサ341の充電時には、抵抗342を介して電流が流入し、コンデンサ341の放電時には、ダイオード343を介して電流が流出することになる。
Rbリレー351は、電力供給部150からの電力供給等を制御するためのものであり、Rbリレーコイル351c及びRbリレー接点351s1,351s2,351s3を備えた電磁リレーによって構成されている。すなわち、Rbリレー351は、Rbリレーコイル351cに連動して動作する3つの接点351s1,351s2,351s3を備えている。Rbリレー接点351s1及び351s2は、Rbリレーコイル351cが励磁された際、非導通状態から導通状態に移行する接点(a接点)であり、Rbリレー接点351s3は、Rbリレーコイル351cが励磁された際、導通状態から非導通状態に移行する接点(b接点)である。同図に示すように、Rbリレーコイル351cの一方の端子は、RCリレー363が備えるRCリレー接点363sの一方の端子と接続され、他方の端子は、グラウンド(GND)に接続されている。また、第一のRbリレー接点351s1の一方の端子は、電源電圧Vaと接続され、他方の端子は、ダイオード352のアノードと接続されている。また、第二のRbリレー接点351s2の一方の端子は、電源電圧Vdと接続され、他方の端子は、カウンタ回路部361のクリア(C)端子と接続されている。また、第三のRbリレー接点351s3の一方の端子は、抵抗372の一方の端子と接続され、他方の端子は、発光部371の一方の端子と接続されている。
ダイオード352は、踏切制御子1からの電力供給が再開された際に、電力供給部150(電源電圧Va)に向かって電流が流れるのを防止するためのもの(逆流防止部)である。同図に示すように、ダイオード352のアノードは、Rbリレー接点351s1の一方の端子に接続され、ダイオード352のカソードは、抵抗342の一方の端子、ダイオード343のカソード、電流測定部321及び電圧測定部331と接続されている。
カウンタ回路部361は、時間計測部160を構成するものであって、本実施形態においては、カウンタとクロック回路等によって構成されている。カウンタ回路部361は、電源投入後、クロック回路から供給されるクロックの数をカウント(計数)し、クリア信号が入力されることなく、予め決められたカウント値になった場合、リレードライバ362に対して動作を指示するための信号を出力するように構成されている。一方、クリア信号が入力された場合は、カウント値を0にクリアし、クリア信号が入力されなくなった後に、改めて、クロック数のカウントを開始する。同図に示すように、カウンタ回路部361のクリア(C)端子には、Rbリレー接点351s2の一方の端子が接続されており、Rbリレー351が動作して、Rbリレー接点351s2が導通状態になると、クリア信号が入力されるように構成されている。
リレードライバ362は、カウンタ回路部361からの指示に基づいて、RCリレー363を駆動するものであり、トランジスタ等によって構成されている。リレードライバ362は、カウンタ回路部361から動作を指示する信号が出力されると、RCリレー363を駆動して、RCリレー323を動作(励磁状態に移行)させる。
RCリレー363は、Rbリレー351の動作を制御するためのものであって、RCリレーコイル363c及びRCリレー接点363sを備えた電磁リレーによって構成されている。RCリレー接点363sは、RCリレーコイル363cが励磁された際に、導通状態から非導通状態に移行する接点(b接点)である。同図に示すように、RCリレーコイル363cの一方の端子は、リレードライバ362と接続され、他方の端子は、電源電圧Vaと接続されている。また、RCリレー接点363sの一方の端子は、RIリレー接点324s及びRVリレー接点334sの一方の端子と接続されており、他方の端子は、Rbリレーコイル351cの一方の端子と接続されている。
発光部371は、表示部170を構成するものであり、本実施形態においては、発光ダイオード(LED)によって構成されている。同図に示すように、発光ダイオードのアノードは、Rbリレー接点351s3の一方の端子に接続されており、発光ダイオードのカソードは、グラウンド(GND)に接続されている。なお、同図では、簡単のため、発光部371を一つの発光ダイオードで表しているが、実際の発光部371は、複数の発光ダイオードによって構成されており、踏切制御子1の制御区間長測定時における短絡作業場所から、発光状態を視認可能なように、充分な光量で発光するように構成されている。また、発光部371は、リレー動作保持装置100の本体部と配線で接続される別体として構成され、短絡作業場所からの視認が容易になるよう、例えば、踏切制御子1が収容された器具箱の屋根の上に設置可能なように構成される。短絡作業場所から、発光部371の発光状態を視認可能なようにすることにより、短絡作業場所において、踏切制御子1が動作したか否かを確認できることとなり、制御区間長測定作業を効率よく進めることが可能となる。
抵抗372は、発光部371を構成する発光ダイオードに流れる電流を制限するためのものである。同図に示すように、抵抗372の一方の端子は、電源電圧Vaに接続され、他方の端子は、Rbリレー接点351s3の一方の端子に接続されている。
次に以上のような構成を有するリレー動作保持装置100の動作について説明する。
踏切制御子1の制御区間長測定をリレー動作保持装置100を利用して行う場合、まず、リレー動作保持装置100を、制御区間長の測定対象となる踏切制御子1に接続する。すなわち、リレー動作保持装置100の接続用電線310を、制御区間長の測定対象となる踏切制御子1のリレー接続用端子に接続し、リレー動作保持装置100の電源スイッチをオンにする。
リレー動作保持装置100を踏切制御子1に接続すると、まず、接続用電線310を介してリレー動作保持装置100に入力される電圧によって、コンデンサ341が充電される。この際、リレー動作保持装置100の内部から外部に向かって電流は流れず、また、接続用電線310を介してリレー動作保持装置100に入力される電圧も予め決められた閾値(例えば、18V)より高い状態にあるので、RIリレー324及びRVリレー334は動作せず、その結果、Rbリレー351も動作しないので、Rbリレー接点351s1は非導通状態のままとなり、リレー動作保持装置100から外部に向かって電力供給はされないことになる。同様に、Rbリレー接点351s2も非導通状態のままであるので、カウント回路部361にはクリア信号は入力されず、カウント回路部361は、電源投入後、カウント動作を開始し、そのままカウント動作を継続することになる。また、Rbリレー接点351s3は導通状態のままであるので、発光部371が点灯することになる。
その後、踏切制御子1の制御区間長測定作業が開始され、軌道短絡器4によるレール3間の短絡を踏切制御子1が検知して受信リレー2への電力供給を停止すると、接続用電線310を介してリレー動作保持装置100に入力される電圧が低下し始めることになる。
接続用電線310を介してリレー動作保持装置100に入力される電圧が低下すると、まず、コンデンサ341に蓄積された電荷がダイオード343及び電流測定部321を介して、外部に向かって流出し始める。その結果、電流測定部321を通って外部に向かって流れる電流が生成される。そして、電流測定部321によって測定された電流が予め決められた閾値以上になったとコンパレータ322によって判断されると、リレードライバ323がRIリレー324を駆動して、RIリレー324を動作させる。
RIリレー324が動作すると、RIリレー接点324sが導通状態となり、Rbリレーコイル351cに電源電圧Vaが供給され、Rbリレー351が動作する。
Rbリレー351が動作すると、Rbリレー接点351s1が導通状態となり、電源電圧Vaが、Rbリレー接点351s1、ダイオード352及び電流測定部321を介して、外部へ供給されるようになる。その結果、受信リレー2の落下が防止され、受信リレー2の動作状態が維持されることとなる。また、Rbリレー接点351s2も導通状態となるので、カウント回路部361にクリア信号が入力され、カウント回路部361はカウント値をクリアしてカウント動作を停止させる。また、Rbリレー接点351s3は非導通状態になるので、発光部371は消灯することになる。
その後、軌道短絡器4によるレール3間の短絡が解除されると、踏切制御子1は、再び、受信リレー2への電力供給を開始する。リレー動作保持装置100の出力電圧は、踏切制御子1の出力電圧(例えば、28V)より低くなるように構成されているので、踏切制御子1からの電力供給が再開されると、リレー動作保持装置100の内部から外部に向かって電流は流れなくなる。その結果、電流測定部321によって測定される電流が予め決められた閾値未満になったとコンパレータ322によって判断されて、リレードライバ323はRIリレー324の駆動を停止する。その結果、RIリレー324が落下し、RIリレー接点324sが非導通状態となる。この時、電圧測定部331によって測定される電圧も予め決められた閾値(例えば、18V)以上となっており、RVリレー接点334sについても非導通状態となっているので、Rbリレー351への電源電圧Vaの供給が停止され、Rbリレー351が落下する。その結果、Rbリレー接点351s1が非導通状態に移行して、リレー動作保持装置100(電源電圧Va)から受信リレー2への電力供給が停止される。また、同時に、Rbリレー接点351s3が導通状態に移行して、発光部371が点灯する。また、Rbリレー接点351s2が非導通状態に移行して、カウンタ回路部361へのクリア信号の入力が停止され、カウンタ回路部361がカウント動作(踏切制御子1の出力時間の計測)を改めて開始する。また、接続用電線310を介して入力される電圧によって、コンデンサ341が適宜充電される。なお、逆流防止用のダイオード352を備えているので、踏切制御子1からの電力供給が再開した後、Rbリレー接点351s1が非導通状態に移行する前の時点においても、外部から流入した電流が電源電圧Va側に流れ込むことはないことになる。
以上のような動作をすることにより、リレー動作保持装置100は、踏切制御子1から受信リレー2に対する電力供給が停止された場合、踏切制御子1の代わりに、受信リレー2に対して電力供給を行い、受信リレー2の動作状態を保持することが可能となる。
踏切制御子1の制御区間長測定作業が完了すると、作業完了後に列車が通過するまでは、踏切制御子1は動作せず、踏切制御子1から受信リレー2への出力が継続されることになる。その結果、Rbリレー351が動作しない状態、すなわち、カウンタ回路部361にクリア信号が入力されない状態が継続することとなり、カウンタ回路部361のカウント動作が継続されて、予め決められたカウント値(例えば、20分に相当するカウント値)に達することとなる。その結果、カウンタ回路部361から動作を指示する信号がリレードライバ362に出力され、リレードライバ362がRCリレー363を駆動する。その結果、RCリレー363が動作し、RCリレー接点363sが非導通状態に移行する。RCリレー接点363sが非導通状態になることにより、RIリレー接点324s及びRVリレー接点334sの状態に関わらず、Rbリレー351は動作しなくなる。従って、踏切制御子1の制御区間長測定作業完了後、誤って、リレー動作保持装置100を接続したままにした場合であっても、リレー動作保持装置100が受信リレー2の正常動作を妨げるような事態が発生することを防止することができる。
なお、本実施形態においては、Rbリレー351の動作は、主として、RIリレー324によって制御されることになる。すなわち、最初は、コンデンサ341から流出する電流が検知されてRIリレー324が動作することでRbリレー351が動作し、Rbリレー351動作後は、電源電圧VaからRbリレー接点351sを介して流出する電流が検知されてRIリレー324及びRbリレー351の動作状態が維持されることになる。
一方、RVリレー334は、主に、なんらかの理由で、RIリレー324等が正常に動作しなかった場合に備えて設けられているものである。例えば、経年変化によりコンデンサ341の容量が減少してしまった結果、Rbリレー接点351s1を介した電流の流出が検知される前に、コンデンサ341から流出する電流がなくなってしまうようになってしまった場合であっても、電圧測定部331及びコンパレータ332によって電圧の低下が検知されてRVリレー334が動作し、その結果、RVリレー接点334sが導通状態になるので、コンデンサ341から流出する電流がなくなってRIリレー324が落下してしまったとしても、Rbリレー351の動作状態が維持されることになる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の実施形態は上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態においては、主に、電流検知部が正常動作しない場合に備えて、電圧検知部を設けるようにしているが、実装条件に応じて、電圧検知部を省略するようにすることも考えられる。