次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示され、これを契機に大当り遊技が開始されるタイプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。
図1は本発明のパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、図3はパチンコ機10の制御回路の構成の概略を示すブロック図である。
[パチンコ機10の全体構成]
本実施例のパチンコ機10は、図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板12(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(図2参照)と、遊技球を貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対して回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠21は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホールの島設備の島枠に固定される。
また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられている。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユニット)が設けられている。
上受け皿14は、その上面部に、CRユニットに挿入されたカードの価値残高(有価残高)の範囲内で遊技球の貸し出しを指示するための球貸ボタン24と、CRユニットに挿入されているカードの返却を指示するための返却ボタン25とが配設されている。また、上受け皿14は、その上面中央部に、遊技者の操作に応じて各種演出を実行するための演出ボタン26とが配設されている。
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられており、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチセンサ18a(図3参照)や遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ18b(図3参照)が設けられている。発射ハンドル18の回転軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モータ19(図3参照)が回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を打ち出す。
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、図2に示すように、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30は、遊技領域31の中央部に配置された演出表示装置34と、演出表示装置34の周囲に配置されたセンター役物49と、センター役物49の下側に配置され遊技球の入球を検知する第1始動口スイッチ36a(図3参照)を有する第1始動口36と、センター役物49の右側に配置され遊技球の通過を検知するゲートスイッチ32a(図3参照)を有する通過ゲート32と、通過ゲート32の下側に配置され遊技球の入球を検知する第2始動口スイッチ38a(図3参照)を有する第2始動口38と、遊技領域31の右下部に開閉可能に配置される第1大入賞口44と、センター役物49の右側に開閉可能に配置される第2大入賞口50と、センター役物49の右側に配置され遊技球の入球を検知する作動入球口スイッチ47a(図3参照)を有する作動入球口47と、センター役物49の右側に開閉可能に配置され遊技球の入球を検知する可変入賞口スイッチ60a(図3参照)を有する可変入賞口60と、遊技領域31の左下部に配置され一般入賞口スイッチ45a(図3参照)を有する一般入賞口45と、いずれの入球口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口46と、遊技盤30の右下部に配置された図柄表示装置40とを備える。また、遊技盤30には、この他に、遊技領域31を流下する遊技球をガイドしたり弾いたりする風車48や多数の釘が設けられている。
第2始動口38は、普通電動役物として設けられる可変式の入球口であり、第2始動口38に向かって傾斜した傾斜面を有する誘導板38cと、誘導板38cを作動させる第2始動口ソレノイド38b(図3参照)とを備える。誘導板38cは、所謂ベロ式(スライド式)の可動部材であり、盤面内に引き込まれているときには遊技球を第2始動口38へ誘導しない通常状態(非誘導状態)となり、盤面から突き出ているときには遊技球を傾斜面で受けて第2始動口38へ誘導する誘導状態となる。本実施例では、誘導板38cが通常状態にあるときには、第2始動口38へ遊技球が入球することがなく、誘導板38cが誘導状態にあるときには、遊技球の入球の可能性が通常状態よりも高い開放状態となる。
第1大入賞口44は、特別電動役物として設けられる可変式の入球口であり、遊技球の入球を検知すると共にその入球数をカウントするための第1大入賞口スイッチ44a(図3参照)と、開閉板44cと、開閉板44cを作動させる第1大入賞口ソレノイド44b(図3参照)とを備える。この第1大入賞口44は、通常は開閉板44cによって塞がれて遊技球を受け入れない閉状態(閉鎖状態)とされており、大当り遊技(特定遊技)のときに、第1大入賞口ソレノイド44bによって開閉板44cが作動して(下辺を軸に回動して)手前側に開くことで、遊技球を受け入れやすい開状態(開放状態,入球可能状態)となる。第1大入賞口44は、大当り遊技中に開放され、第1大入賞口スイッチ44aが遊技球の入球を10個カウントするか10個カウントする前に所定時間(例えば、25秒など)が経過すると、閉鎖される。
第2大入賞口50は、特別電動役物として設けられる可変式の入球口であり、遊技球の入球を検知すると共にその入球数をカウントするための第2大入賞口スイッチ50a(図3参照)と、翼片部50cと、翼片部50cを作動させる第2大入賞口ソレノイド50b(図3参照)とを備える。この第2大入賞口50は、通常は翼片部50cによって塞がれて遊技球を受け入れない閉状態(閉鎖状態,入球不能状態)とされており、大当り遊技(特定遊技)のときに、第2大入賞口ソレノイド50b(図3参照)によって翼片部50cが左側に開くことで、遊技球を受け入れやすい開状態(開放状態,入球可能状態)となる。第2大入賞口50は、大当り遊技中に開放され、第2大入賞口スイッチ50aが遊技球の入球を10個カウントするか10個カウントする前に所定時間(例えば、長開放時間である25秒や短開放時間である0.1秒などであり、詳細は後述する)が経過すると、閉鎖される。
この第2大入賞口50の内部構成を図4に示す。図示するように、第2大入賞口50内には、入球した遊技球が通過する遊技球通路51と、遊技球の通過を検知する特定領域通過スイッチ52a(図3参照)を有する特定領域52(いわゆるV領域)と、遊技球の通過を検知する非特定領域通過スイッチ54a(図3参照)を有する非特定領域54(いわゆる外れ領域)と、遊技球通路51を通過した遊技球を特定領域52と非特定領域54の何れかに振り分ける振分板56aを有する特定領域振分装置56と、が設けられている。特定領域52は、振分板56aの下方に設けられ、非特定領域54は、振分板56aに対して遊技球通路51とは反対側に設けられている。また、振分板56aは、特定領域振分ソレノイド56bの駆動によって、一端の回転軸56cを中心として上方に回動可能となっている。したがって、特定領域振分装置56は、特定領域振分ソレノイド56bが非駆動状態(非許容状態)のときには、振分板56aが略水平状態となることで、第2大入賞口50に入球して遊技球通路51を通過した遊技球を振分板56aで受けて反対側の非特定領域54へ誘導し(図5(a)参照)、特定領域振分ソレノイド56bが駆動状態(許容状態)のときには、振分板56aが上方へ回動することで、第2大入賞口50に入球して遊技球通路51を通過した遊技球を下方の特定領域52へ落下させる(図5(b)参照)。特定領域振分装置56は、通常は非駆動状態(遊技球を非特定領域54側に振り分ける状態)とされており、大当り遊技中に第2大入賞口50が開放されるラウンド(特定ラウンド)において、駆動状態(遊技球を特定領域52側に振り分ける状態)とされる。
ここで、本実施例では、大当り遊技中の特定ラウンド(例えば、第2ラウンド)では第2大入賞口50を開放し、それ以外の残りのラウンド(非特定ラウンド)では第1大入賞口44を開放することにより、大当り遊技を実行する。また、特定領域振分装置56は、特定ラウンドにおける第2大入賞口50の開放を契機として、所定の作動パターンに従って作動する。具体的には、特定領域振分装置56は、第2大入賞口50が開放された後、所定時間後(例えば1秒後)に所定時間(例えば2秒間)だけ駆動状態とされる。本実施例では、第2大入賞口50に入球した遊技球を特定領域振分装置56により特定領域52と非特定領域54のいずれかに振り分ける構成を採用したが、これに限られず、特定領域振分装置の構成を他の如何なる構成によるものとしてもよい。
可変入賞口60は、非電動役物(第2種非電動役物)として設けられる可変式の入球口である。この可変入賞口60は、作動入球口47に遊技球が入球することにより開状態(開放状態)となり、遊技球が所定数(例えば2個)入球すると、閉状態(閉鎖状態)となる。なお、作動入球口47の上流側に、所定の入球口を備える振分装置を設け、所定の入球口に入球した遊技球を作動入球口47の上方の領域またはそれ以外の領域に選択的に振り分けるものとしてもよい。
図柄表示装置40は、図5の構成図に例示するように、普通図柄の変動表示および停止表示が可能な普通図柄表示装置41と、特別図柄の変動表示および停止表示が可能な特別図柄表示装置42と、大当り遊技の規定ラウンド数(最大ラウンド数)を示す図柄を表示するラウンド表示装置43と、を備える。普通図柄表示装置41は、発光ダイオード(LED)を用いて構成された左普通図柄表示部41aおよび右普通図柄表示部41bを備える。図6に、普通図柄表示装置41の表示態様の一例を示す。普通図柄表示装置41は、図示するように、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に消灯した表示態様(図6の上から1段目参照)と、左普通図柄表示部41aが点灯し右普通図柄表示部41bが消灯した表示態様(図6の上から2段目参照)と、左普通図柄表示部41aが消灯し右普通図柄表示部41bが点灯した表示態様(図6の上から3段目参照)と、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に点灯した表示態様(図6の上から4段目参照)の4通りの表示態様がある。普通図柄表示装置41は、遊技球が通過ゲート32を通過するのを検知したときに、4通りの表示態様を順次切り替えることにより普通図柄を変動表示させ、変動表示の実行時間が経過すると、上記表示態様のうちのいずれかの表示態様で普通図柄を停止表示させる。このとき、停止表示された普通図柄の表示態様が特定の表示態様(例えば、図6の上から4段目に示す表示態様)であるときに、当りとして第2始動口38を一定時間(例えば、0.5秒)に亘って開放する。なお、普通図柄の変動表示中に、遊技球が通過ゲート32を通過したときには、普通図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている変動表示が順次消化される。
特別図柄表示装置42は、図5に示すように、7セグメント表示器を用いて構成された第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bとを備えており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより複数通りの表示態様(最大128通り)を表現している。特別図柄表示装置42は、第1始動口36か第2始動口38かのいずれかの入球が検知されたときに、第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bのうち対応する特別図柄表示部の表示状態を順次切り替えることにより特別図柄(識別情報)を変動表示させ、変動表示の実行時間が経過すると、表現可能な表示態様のうちのいずれかの表示態様で特別図柄を停止表示させる。このとき、停止表示された特別図柄の表示態様が特定の表示態様(当り特別図柄)である場合に、大当りとなる。本実施例では、第1特別図柄表示部42aが第1始動口36への遊技球の入球に基づき特別図柄を変動表示させる第1始動口対応表示部となっており、第2特別図柄表示部42bが第2始動口38への遊技球の入球に基づき特別図柄を変動表示させる第2始動口対応表示部となっている。以下、第1特別図柄表示部42aで表示される特別図柄を第1特別図柄(特図1)とも呼び、第2特別図柄表示部42bで表示される特別図柄を第2特別図柄(特図2)とも呼ぶ。図7に、大当り時における特別図柄表示装置42の表示態様の一例を示す。図7(a)に示すように、第1特別図柄の大当り図柄(特図1大当り図柄)には、特図1通常大当りとなる特別図柄(特図1通常大当り図柄)と、特図1確変大当りとなる特別図柄(特図1確変大当り図柄)として、それぞれ1種類ずつの表示態様が用意されている。また、図7(b)に示すように、第2特別図柄の大当り図柄(特図2大当り図柄)には、特図2確変大当りAとなる特別図柄(特図2確変大当り図柄A)と、特図2確変大当りBとなる特別図柄(特図2確変大当り図柄B)と、特図2確変大当りCとなる特別図柄(特図2確変大当り図柄C)と、特図2確変大当りDとなる特別図柄(特図2確変大当り図柄D)として、それぞれ1種類ずつの表示態様が用意されている。なお、大当り時における特別図柄の表示態様は、図7の態様に限られることはなく、如何なる態様で表示するものとしてもよいし、各大当り時における特別図柄の表示態様の種類も1種類ずつとするものに限られず、複数種類ずつ用意するものとしてもよい。特別図柄の変動表示中に、遊技球が第1始動口36および第2始動口38のいずれかに入球したときには、それぞれの始動口毎に特別図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている特別図柄の変動表示が順次消化される。なお、後述するが、第1特別図柄の変動表示の保留数は第1保留図柄35aによって表示され、第2特別図柄の変動表示の保留数は第2保留図柄35bによって表示される。
ここで、特別図柄が大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技を開始するための特定条件が成立(条件装置作動フラグがオン)し、特定条件成立中に通過ゲート32を遊技球が通過すると、大当り遊技が開始される。なお、特定条件成立中に通過ゲート32に遊技球を通過させる遊技を「ゲート通過遊技」と呼ぶ。なお、前述したように、遊技球が通過ゲート32を通過するのを検知すると普通図柄の変動表示が行われるから、通過ゲート32(ゲートスイッチ32aによる遊技球の検知)は、普通図柄を変動表示させる契機と、特定条件が成立した後に大当り遊技を開始させる契機とに兼用されるものといえる。大当り遊技は、停止表示された大当り図柄に応じた実行パターンで、大入賞口44の開閉動作(ラウンド遊技)を規定ラウンドまで繰り返すことにより行われる。特図1大当り(特図1通常大当りと特図1確変大当り)は、第1大入賞口44の開放動作と第2大入賞口50の開放動作とを計8回(8ラウンド)に亘って繰り返す大当り遊技(8R大当り遊技)が行われる。また、特図2大当りのうち特図2確変大当りAは、第1大入賞口44の開放動作と第2大入賞口50の開放動作とを計4回(4ラウンド)に亘って繰り返す大当り遊技(4R大当り遊技)が行われ、特図2確変大当りBは、第1大入賞口44の開放動作と第2大入賞口50の開放動作とを計8回(8ラウンド)に亘って繰り返す大当り遊技(8R大当り遊技)が行われ、特図2確変大当りCは、第1大入賞口44の開放動作と第2大入賞口50の開放動作とを計12回(12ラウンド)に亘って繰り返す大当り遊技(12R大当り遊技)が行われ、特図2確変大当りDは、第1大入賞口44の開放動作と第2大入賞口50の開放動作とを計16回(16ラウンド)に亘って繰り返す大当り遊技(16R大当り遊技)が行われる。各大当り遊技の終了後には、いずれも、所定回数(例えば、100回)の特別図柄の変動表示が行われるまで、特別図柄および普通図柄の変動時間が短縮(時短状態)されると共に普通図柄の当否判定の結果が当りとなる確率(普図当り確率)を高確率に設定(普図高確率状態)し且つ普通図柄が当りで停止表示されたときに第2始動口38の開放時間が延長(開放延長状態)される電サポあり状態が設定される。なお、大当り遊技の終了後に所定回数(100回)の特別図柄の変動表示が行われると、電サポあり状態が終了し、電サポなし状態となる。
また、本実施例では、4R大当り遊技や8R大当り遊技、12R大当り遊技、16R大当り遊技のいずれの大当り遊技であっても(大当り遊技のラウンド数に拘わらず)、前述したように、特定ラウンド(第2ラウンド)で第2大入賞口50を開放し、特定ラウンド(第2ラウンド)以外のラウンド(非特定ラウンド)で第1大入賞口44を開放する。また、特定ラウンド中は、特定領域振分装置56の振り分けにより、第2大入賞口50に入球した遊技球が特定領域52を通過する可能性(V通過可能性)がある。特定ラウンドで第2大入賞口50に入球した遊技球が特定領域52を通過した場合、大当り遊技終了後に所定回数(例えば、120回)の特別図柄の変動表示が行われるまで、特別図柄の当否判定の結果が大当りとなる確率(特図当り確率,大当り確率)を高確率(確変,確変状態)に設定して、高確率電サポあり状態を発生させる。一方、特定ラウンドで第2大入賞口50に入球した遊技球が特定領域52を通過しなかった場合、特図当り確率(大当り確率)を低確率(通常確率,所定確率)に設定して、低確率電サポあり状態を発生させる。本実施例では、大当りの種類によって特定ラウンド(第2ラウンド)での第2大入賞口50の開放パターンが異なる。具体的には、特図1通常大当りでは、第2大入賞口50を極短時間(例えば、0.1秒)だけ開放させる短開放パターンとし、特図1確変大当りと特図2確変大当りA〜Dでは、第2大入賞口50を長時間(例えば、25秒)開放させる長開放パターンとする。短開放パターンで特定ラウンドが実行される特図1通常大当りでは、特定ラウンド中に遊技球が第2大入賞口50に入球するのは困難であり、遊技球が特定領域52を通過する可能性も低いものとなる。このため、特図1通常大当りは、大当り遊技終了後に低確率(通常確率)が設定される可能性が高いことから、「通常」大当りと称する。また、特図1通常大当り以外の各大当りでは、長開放パターンで特定ラウンドが実行されるため、短開放パターン(短時間パターン)よりも遊技球が特定領域52を通過する可能性が高く、大当り遊技終了後に高確率(確変)が設定される(特典が付与される)可能性が高いことから、「確変」大当りと称する。このように、本実施例では、確変大当りが発生すると、大当り遊技終了後に、特別図柄の変動回数が1回〜100回までは高確率電サポあり状態となり、特別図柄の変動回数が101回〜120回までは高確率電サポなし状態となり、120回以降は低確率電サポなし状態となる。なお、本実施例では、第1大入賞口44および第2大入賞口50の開放回数(ラウンド数)として、16Rと12R,8R,4Rの4種類を用意したが、これに限定されるものではなく、15Rや10R,2Rなど他のラウンド数を用意してもよい。
また、本実施例では、特図1確変大当りおよび特図2確変大当りA〜Dのいずれかに当選すると、特定ラウンドを開始する際に特定ラウンド報知演出を実行することで、第2大入賞口50に遊技球を入球させて特定領域52に遊技球を通過させることを遊技者に促すものとしている。一方、特図1通常大当りに当選すると、特定ラウンドを開始する際に特定ラウンド報知演出を実行せずに、特定ラウンド以外の他のラウンドと同じラウンド演出を実行することで、第2大入賞口50への遊技球の入球(特定領域52への遊技球の通過)を遊技者に促さないものとしている。もっとも、特別図柄表示装置42では各大当り図柄をそれぞれ区別して停止表示するから、遊技者は、予め調査された判別表などを参照して特別図柄表示装置42の表示態様を確認することで、大当りが特図1通常大当りであるか特図1確変大当りであるかを判別することは可能である。
演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されており、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出や予告演出などの様々な演出表示が行われる。本実施例の演出表示装置34は、図8に例示する画面構成に示すように、横方向に並んで配置されキャラクタや数字により構成される左,中,右の3つの演出図柄(疑似特別図柄)34L,34M,34Rと、図示しない背景図柄とを有している。演出図柄34L,34M,34Rは、演出表示装置34の表示領域の中央部付近に表示される。この演出表示装置34は、遊技球が第1始動口36に入球した場合と、遊技球が第2始動口38に入球した場合に、3つの演出図柄34L,34M,34Rを変動表示させる。演出図柄34L,34M,34Rは、変動表示が開始されると、それぞれ上から下に向かって高速でスクロールするように変動表示され、変動表示の実行時間(変動時間)が経過すると、左の演出図柄34L,右の演出図柄34R,中の演出図柄34Mの順に停止表示される。このとき、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致しなかったときにはリーチなしの単純な外れとなり、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致したときにはリーチとなる。そして、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止したときに、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致しなかったときにはリーチありの外れとなり、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致したときに大当りとなる。この演出表示装置34で表示される演出図柄の当否の結果は、基本的には、上述した特別図柄表示装置42により表示される特別図柄(第1特別図柄,第2特別図柄)の当否の結果と対応する。
また、演出表示装置34は、図8に示すように、特別図柄の変動表示に合わせて点滅表示(変動表示)し、特別図柄の停止表示に合わせて所定の図柄で点灯表示(停止表示)する判定図柄(第2識別情報)も有している。判定図柄は、第1特別図柄に対応付けられた第1判定図柄34aと、第2特別図柄に対応付けられた第2判定図柄34bとを有し、それぞれ演出表示装置34の表示画面の左隅(表示領域の中央部から離れた位置)に演出図柄34L,34M,34R(第1識別情報)よりも小さく表示される。第1判定図柄34aおよび第2判定図柄34bは、具体的には、対応する特別図柄が大当り図柄で停止表示されることに基づいて第1図柄(例えば「○」の図柄)で停止表示し、外れ図柄で停止表示されることに基づいて第2図柄(例えば「×」の図柄)で停止表示する。
さらに、演出表示装置34は、図8に示すように、現在の遊技状態によって、遊技領域31のうち何れの領域へ遊技球を発射すべきかを示す発射領域報知表示部34cを有する。発射領域報知表示部34cは、現在の遊技状態が後述する左打ち(遊技領域31の第1領域への発射)を必要とする遊技状態(本実施例では大当り遊技中でも電サポあり状態中でもない通常遊技状態中)である場合と、右打ち(遊技領域31の第2領域への発射)を必要とする遊技状態(本実施例では大当り遊技中または電サポあり状態中)である場合とで、異なる表示態様で表示を行う。具体的には、現在の遊技状態が左打ち(遊技領域31の第1領域への発射)を必要とする遊技状態である場合には、第1態様(「左矢印」の画像)で表示し、右打ち(遊技領域31の第2領域への発射)を必要とする遊技状態である場合には、第2態様(「右矢印」の画像)で表示する。発射領域報知表示部34cは、本実施例では、常時何れかの表示態様で表示を行っており、遊技者は発射領域報知表示部34cをみることによって、非遊技中、遊技中問わずどのような遊技状態であっても発射方向(遊技状態)を確認することができる。なお、発射領域報知表示部34cは、特別図柄が変動表示していないときや、有利状態(大当り遊技、特図高確率状態、普図高確率状態、時短状態、開放延長状態)が発生していないとき、遊技者が遊技球を発射していないとき等の非遊技中には表示を行わないものとしてもよい。また、本実施例では、発射領域報知表示部34cを、サブ制御基板90(副制御部)によって制御される演出表示装置34に設けるものとしたが、主制御基板70(主制御部)によって制御される図柄表示装置40に設けるものとしてもよい。
また、演出表示装置34の表示画面内に第1保留図柄35aと第2保留図柄35bも表示されている。第1保留図柄35aは、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示中に第1始動口36に遊技球が入球するごとに左側から順に一つずつ表示され、第1特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入球時とは逆の順に消去される。第2保留図柄35bも、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示中に第2始動口38に遊技球が入球するごとに左側から順に一つずつ表示され、第2特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入球時とは逆の順に消去される。
こうして構成された本実施例のパチンコ機10では、第1始動口36が演出表示装置34(センター役物49)の下側に配置されており、通常遊技状態(大当り遊技中でない電サポなし状態)のときに、遊技者は遊技球を遊技領域31の左側領域(第1領域)に流下させるように発射ハンドル18の回転操作(所謂左打ち)を行うことにより、遊技球を第1始動口36に入球させることができる。また、通過ゲート32が演出表示装置34の右側に配置されると共に第2始動口38が通過ゲート32の下側に配置されており、遊技者は遊技球を遊技領域31の右側領域(第2領域)に流下させるように発射ハンドル18の回転操作(所謂右打ち)を行うことにより、遊技球を通過ゲート32に通過させることができ、普通図柄が当りとなって第2始動口38が開放すると、遊技者は右打ちを継続することにより、遊技球を第2始動口38に入球させることができる。また、本実施例では、第2始動口38が通過ゲート32の直下に配置されているため、普図当り確率を高確率に設定(普図高確率状態)すると共に普図変動時間を短時間に設定(変動短縮状態)する高確率電サポあり状態において、通過ゲート32を通過した遊技球をそのまま第2始動口38に入球させることが可能であり、遊技球を効率よく消費することができる。
さらに、通過ゲート32と第1大入賞口44と第2大入賞口50とが遊技領域31の右側領域に配置されており、特別図柄が大当り図柄で停止表示された後、遊技者は右打ちを行うことにより遊技球を通過ゲート32に通過させて大当り遊技を開始させることができる。また、大当り遊技が開始されると、遊技者は右打ちを継続することにより、遊技球を遊技領域31の右側領域に流下させて、開状態となった第1大入賞口44または第2大入賞口50に入球させることができる。なお、短開放パターンで特定ラウンド(第2ラウンド)が実行される特図1通常大当りでは、特定ラウンドにおいて第2大入賞口50が開状態となるものの、その時間は極短時間(0.1秒)であるから、第2大入賞口50に遊技球を入球させるのは困難である。また、作動入球口47が演出表示装置34の右側に配置されると共に可変入賞口60が第2大入賞口50の下方であって第1大入賞口44の上方に配置されており、遊技者が右打ちを行う電サポあり状態中や大当り遊技中に、右側領域を流下する遊技機が作動入球口47に入球すると、その入球に基づいて開状態となった可変入賞口60に遊技球を入球させることができる。なお、通過ゲート32を、普通図柄の変動表示の契機と、特定条件成立後の大当り遊技の開始契機とに兼用するから、普通図柄の変動表示の契機用のゲートと、特定条件成立後の大当り遊技の開始契機用のゲートとを別々に設ける場合に比べて、ゲート構成用の部材の使用数を低減することができる。また、遊技領域31の右側領域において、各種入球口や振分装置のレイアウトの自由度を高めることができる。
[制御回路の構成]
次に、実施例のパチンコ機10の制御回路の構成について主として図3を参照しながら説明する。パチンコ機10の制御回路は、図3に示すように、遊技の基本的な進行の制御を司る主制御基板70(主制御部)と、賞球や球貸の払い出しに関する制御を司る払出制御基板80と、遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90(副制御部)と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板100などの制御基板により構成されている。これらの制御基板は、各種論理演算や算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM,プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM,各種制御に必要な時間を計るタイマ(システムタイマ),周辺機器との間でデータをやり取りするための周辺機器インターフェース(PIO),CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器,CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ,定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマー・サーキット)などの種々の周辺LSIがバスにより相互に接続されている。なお、図3では、各制御基板に搭載された各種デバイスのうち主制御基板70のCPU70a,ROM70b,RAM70cのみを図示し、その他については図示を省略した。また、制御回路の一部をなすサブ制御基板90の構成の概略を示すブロック図を図9に示す。
主制御基板70は、遊技の基本的な進行の制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、第1始動口スイッチ36aからの入球信号や第2始動口スイッチ38aからの入球信号が直接に入力されると共にゲートスイッチ32aからの通過信号や第1大入賞口スイッチ44aからの入球信号,第2大入賞口スイッチ50aからの入球信号,特定領域通過スイッチ52aからの検知信号,非特定領域通過スイッチ54aからの検知信号,作動入球口スイッチ47aからの入球信号,可変入賞口スイッチ60aからの入球信号,一般入賞口スイッチ45aからの入球信号などが中継端子板72を介して入力されている。主制御基板70からは、図柄表示装置40の表示制御を司る図柄表示基板40aへの制御信号や第2始動口ソレノイド38bへの駆動信号,第1大入賞口ソレノイド44bへの駆動信号,第2大入賞口ソレノイド50bへの駆動信号,特定領域振分ソレノイド56bへの駆動信号などが中継端子板72を介して出力されている。主制御基板70は、払出制御基板80やサブ制御基板90,発射制御基板100(払出制御基板80を介して通信)と通信しており、各種指令信号(コマンドや駆動信号など)やデータのやり取りを行っている。
払出制御基板80は、賞球や球貸の払い出しに関する制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、前面枠11の開放を検知する枠開放スイッチ81からの検知信号が直接に入力され、球貸ボタン24の操作を検知する球貸ボタンスイッチ24aからの操作信号や返却ボタン25の操作を検知する返却ボタンスイッチ25aからの操作信号が球貸表示基板82,中継端子板83を介して入力され、賞球の払い出しを検知する払出前スイッチ84および払出後スイッチ85からの検知信号が中継端子板87を介して入力されている。払出制御基板80からは、賞球の払い出しを行う払出モータ86への駆動信号などが中継端子板87を介して出力されている。また、払出制御基板80は、主制御基板70や発射制御基板100と通信しており、各種指令信号やデータのやり取りを行っている。ここで、本実施例では、大当り遊技において、第1大入賞口スイッチ44aや第2大入賞口スイッチ50aが遊技球を1個検知する毎、すなわち第1大入賞口44や第2大入賞口50に遊技球が1個入球する毎に、15個の賞球を払い出すものとなっている。1ラウンド中に第1大入賞口44や第2大入賞口50に入球可能な遊技球の最大数(規定数)は10個であるから、1ラウンドにおける最大の払い出し可能な賞球数は150個となる。このため、実行されるラウンド数が4ラウンドの特図2確変大当りAでは、最大の払い出し可能な賞球数(上限賞球数)が600個となり、実行されるラウンド数が8ラウンド(実質7ラウンド)の特図1通常大当りと、実行されるラウンド数が8ラウンドの特図1確変大当りおよび特図2確変大当りBでは、上限賞球数が1200個となり(特図1通常大当りは、実質1050個)、実行されるラウンド数が12ラウンドの特図2確変大当りCでは、上限賞球数が1800個となり、実行されるラウンド数が16ラウンドの特図2確変大当りDでは、上限賞球数が2400個となる。また、作動入球口スイッチ47aが遊技球を1個検知する毎、即ち作動入球口47に遊技球が1個入球する毎に10個の賞球を払い出し、可変入賞口スイッチ60aが遊技球を1個検知する毎、即ち可変入賞口60に遊技球が1個入球する毎に、15個の賞球を払い出すものとなっている。また、第1始動口スイッチ36aが遊技球を1個検知する毎、即ち第1始動口36に遊技球が1個入球する毎に3個の賞球を払い出し、第2始動口スイッチ38aが遊技球を1個検知する毎、即ち第2始動口38に遊技球が1個入球する毎に1個の賞球を払い出すものとなっている。
サブ制御基板90は、図9に示すように、CPU90aやROM90b,RAM90cなどを備えており、主制御基板70から各種指令信号を受信してその指令に応じた遊技の演出を行う。サブ制御基板90には、演出表示装置34の制御を行う演出表示制御基板91や各種スピーカ28a,28bを駆動するアンプ基板92、各種LEDランプ93aを駆動したり可動役物を作動させるための装飾モータ93bを駆動したりする装飾駆動基板93,演出ボタン26の操作を検知する演出ボタンスイッチ26aからの操作信号を入力する演出ボタン基板94などが接続されている。
発射制御基板100は、タッチセンサ18aからの検知信号や発射停止スイッチ18bからの操作信号,下受け皿16に遊技球が満タン状態となるのを検知する下受け皿満タンスイッチ102からの検知信号などを入力しており、発射モータ19へ駆動用のパルス信号などを出力している。発射制御基板100は、発射ハンドル18が回転操作されてタッチセンサ18aがオンで発射停止スイッチ18bがオフで下受け皿満タンスイッチ102がオフのときに発射モータ19を駆動して遊技球を発射し、タッチセンサ18aがオフか発射停止スイッチ18bがオンか下受け皿満タンスイッチ102がオンかのいずれかが成立したときに発射モータ19の駆動を停止して遊技球の発射を停止する。また、発射制御基板100は、払出制御基板80を介して主制御基板70と通信しており、タッチセンサ18aからの検知信号などの発射ハンドル18の操作状態に関するデータを払出制御基板80を介して主制御基板70に送信する。
[主制御処理]
次に、こうして構成された実施例のパチンコ機10の動作について説明する。図10は、主制御基板70のCPU70aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機10の電源が投入されたときに実行される。主制御処理は、電源投入に必要な電源投入処理を実行した後(S100)、遊技開始処理(S110)と、普通図柄遊技処理(S120)と、普通図柄当り遊技処理(S130)と、特別図柄遊技処理(S140)と、役物連続作動装置作動処理(S150)と、大当り遊技処理(S160)と、特定領域通過監視処理(S170)と、賞球払出関連処理(S180)とを繰り返し実行することにより行われる。なお、本実施例では、S110〜S180の処理に要する時間は約4msecとなっているため、これらの処理は約4msecの間隔で繰り返し実行されることになる。主制御基板70は、これらの処理の実行に伴って、各種コマンドを担当する制御基板に送信してコマンドに応じた処理を実行させることにより、パチンコ機10の全体の遊技を進行させている。
[遊技開始処理]
S110の遊技開始処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、各種センサ(ゲートスイッチ32aや第1始動口スイッチ36a,第2始動口スイッチ38a,第1大入賞口スイッチ44a,第2大入賞口スイッチ50a,特定領域通過スイッチ52a,非特定領域通過スイッチ54a,作動入球口スイッチ47a,可変入賞口スイッチ60a,一般入賞口スイッチ45aなど)の状態を検出してRAM70cの所定の状態記憶領域に保存したり、各種判定用情報(後述する大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数,変動パターン決定用乱数、普通図柄当否判定用乱数など)を更新したりする。遊技開始処理が終了すると、主制御処理に戻って次のS120の普通図柄遊技処理に進む。
[普通図柄遊技処理]
S120の普通図柄遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、普通図柄の保留が値0でない即ち値1以上あるか否かを判定し、保留が値1以上あるときには保留数を値1だけデクリメントして普通図柄の当否判定を行うと共に当否判定の結果に基づいて停止表示させる普通図柄(図6参照)を決定する。普通図柄の当否判定は、通過ゲート32を遊技球が通過することに基づき取得される普通図柄当否判定用乱数と、普通図柄当り判定テーブルを用いて行われるもので、電サポなし状態にあるときには当り確率の低い(例えば、約0.8%)低確率用の普通図柄当り判定テーブルが用いられ、電サポあり状態にあるときには当り確率の高い(例えば、約99.2%)高確率用の普通図柄当り判定テーブルが用いられる。また、当否判定の結果が当りのときには、当り図柄を停止表示させる図柄に決定し、当否判定の結果が外れのときには、外れ図柄のうちのいずれかを停止表示させる図柄に決定する。そして、普通図柄の変動時間を設定して普通図柄の変動表示を開始し、変動時間が経過するのを待つ。変動時間の設定は、電サポなし状態にあるときには長時間(例えば、30秒)に設定され、電サポあり状態にあるときには短時間(例えば、1秒)に短縮される。変動時間が経過すると、決定した図柄で普通図柄を停止表示し、停止表示した図柄が当り図柄のときには、第2始動口38に遊技球を誘導する誘導板38cの作動時間を設定し、誘導板38cの作動を開始して普通図柄遊技処理を一旦終了し、停止表示した図柄が外れ図柄のときには、何もせずに普通図柄遊技処理を終了する。誘導板38cの作動時間は、電サポなし状態にあるときには短時間(例えば0.5秒)に設定され、電サポあり状態にあるときには長時間(例えば5秒)に延長される。また、誘導板38cの作動は、上述したように、第2始動口ソレノイド38bを駆動制御することによって、誘導板38cを盤面から手前側に突き出すことにより行う。普通図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS130の普通図柄当り遊技処理に進む。このように、電サポあり状態においては、普通図柄の変動時間を短縮する変動時間短縮機能を作動させると共に普通図柄の当否判定の結果が当りとなる確率(普図当り確率)を高くする確率変動機能を作動させ、且つ、第2始動口38の開放時間を延長する開放延長機能を作動させる。このため、本実施例の電サポあり状態を、開放延長機能作動状態、時短状態または普図確変状態ともいう。また、これら3つの機能を同時に作動させる形態のみを例示したが、いずれか1つの機能またはいずれか2つの機能を作動させる形態とすることもできる。
[普通図柄当り遊技処理]
S130の普通図柄当り遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、誘導板38cが作動を開始してからの経過時間(開放経過時間)が普通図柄遊技処理で設定された設定時間に達しているか否か、規定数(例えば、6個)の遊技球が第2始動口38に入球しているか否かを判定する。開放経過時間が設定時間に達しておらず規定数の遊技球が第2始動口38に入球してもいないと判定すると、誘導板38cの作動を維持したまま普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。一方、開放経過時間が設定時間に達していると判定したり、開放経過時間が設定時間に達する前であっても既に規定数の遊技球が第2始動口38に入球していると判定すると、第2始動口ソレノイド38bの駆動を停止して、普通図柄当り遊技処理を終了する。普通図柄当り遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS140の特別図柄遊技処理に進む。
[特別図柄遊技処理]
S140の特別図柄遊技処理は、図11〜図13に示すフローチャートに従って実行される。特別図柄遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、第1始動口スイッチ36aからの検知信号を入力して第1始動口36に遊技球が入球したか否かを判定する(S200)。第1始動口36に遊技球が入球したと判定すると、現在の第1特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S202)。第1特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第1特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S204)、特図1の判定用情報(取得情報)を取得してRAM70cの所定の判定用情報記憶領域に格納し(S206)、第1特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S208)。ここで、S206で取得される判定用情報としては、第1始動口36への遊技球の入球に基づいて行われる大当り判定(特別図柄の当否判定)の際に用いられる大当り判定用乱数(当否判定用乱数)や、大当り判定の結果が大当り(特定結果)のときに第1特別図柄表示部42aに停止表示させる大当り図柄(大当りの種類)を決定するための大当り図柄決定用乱数,第1特別図柄の変動パターンを決定するための変動パターン決定用乱数などの図柄変動遊技の進行に関する情報が例示できる。また、第1特別図柄保留発生時コマンドには、保留数を演出表示装置34の表示画面内の第1保留図柄35aで表示するための第1特別図柄の保留数指定コマンドが含まれる。なお、S200で第1始動口36に遊技球が入球していないと判定したり、S202で第1特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S204〜S208の処理をスキップして次のS210の処理に進む。
続いて、第2始動口スイッチ38aからの検知信号を入力して第2特別図柄を変動表示させるための第2始動口38に遊技球が入球したか否かを判定する(S210)。第2始動口38に遊技球が入球したと判定すると、現在の第2特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S212)。第2特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第2特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S214)、判定用情報を取得してRAM70cの所定の判定用情報記憶領域に格納する(S216)。ここで、S216で取得される判定用情報としては、第2始動口38への遊技球の入球に基づいて行われる大当り判定の際に用いられる大当り判定用乱数や、大当り判定の結果が大当りのときに第2特別図柄表示手段42bに停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,第2特別図柄の変動パターンを決定するための変動パターン決定用乱数などの図柄変動遊技の進行に関する情報が例示できる。そして、取得した判定用情報(取得情報)に基づいて大当りの事前判定を行って(S218)、第2特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S220)。ここで、S218の事前判定処理は、後述する高確率用大当り判定テーブルおよび低確率用大当り判定テーブルのいずれかを用いて大当り判定を事前に行い、大当り判定の結果が大当りであった場合には後述する第2特別図柄用の大当り図柄決定テーブルを用いて大当り図柄を事前に決定することにより行われる。大当り判定テーブルとしては、現在の遊技状態が特図高確率状態であれば高確率用大当り判定テーブルを用い、現在の遊技状態が特図低確率状態であれば低確率用大当り判定テーブルを用いる。ただし、現在の遊技状態が特図低確率状態であっても、今回新たに記憶した保留(事前判定処理の対象保留)よりも先に消化される第2特別図柄の保留(先に記憶された特図2保留)に当り保留がある場合には、高確率用大当り判定テーブルを用いた判定も行う。なお、本実施例では、特図2の大当りを全て確変大当りとしたが、通常大当りを含むものとしてもよい。その場合、先に消化される当り保留が通常大当りであれば低確率用大当り判定テーブルを用い、当り保留が確変大当りであれば高確率用大当り判定テーブルを用いるものとすればよい。なお、第2特別図柄保留発生時コマンドには、保留数を演出表示装置34の表示画面内の第2保留図柄35bで表示するための第2特別図柄の保留数指定コマンドが含まれる。また、第2特別図柄保留発生時コマンドには、事前判定の結果も含まれ、サブ制御基板90は、受信した第2特別図柄保留発生時コマンドに含まれる情報(事前判定の結果など)をRAM90cに記憶する。なお、S210で第2始動口38に遊技球が入球していないと判定したり、S212で第2特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S214〜S220の処理をスキップして次のS222の処理に進む。
次に、条件装置作動フラグがオン(条件装置が作動中)であるか否か(S222)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中であるか否か(S224)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが停止表示時間中であるか否か(S226)をそれぞれ判定する。条件装置作動フラグがオンであると判定すると、特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS150の役物連続作動装置作動処理に進む。一方、条件装置作動フラグがオンでなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが変動表示中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが停止表示時間中でないと判定すると、第2特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S228)。第2特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、判定用情報記憶領域(RAM70c)に記憶されている第2特別図柄の判定用情報(大当り判定用乱数)のうち最も古い判定用情報を読み出し(S230)、第2特別図柄の変動表示関連処理を実行して(S232)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。なお、S222で条件装置が作動中であると判定すると、特別図柄遊技処理を終了するため、大当り遊技を開始させるための特定条件が一旦成立すると、大当り遊技を開始して終了するまで特別図柄変動関連処理を行うことはない。もっとも、遊技機を初期化(リセット)することにより、特定条件成立を解除することは可能である。
一方、第2特別図柄の保留数が値0と判定すると、第1特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S234)。第1特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、判定用情報記憶領域(RAM70c)に記憶されている第1特別図柄の判定用情報(大当り判定用乱数)のうち最も古い判定用情報を読み出し(S236)、第1特別図柄の変動表示関連処理を実行して(S238)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。第1特別図柄の保留数も値0のときには、これで特別図柄遊技処理を終了する。S228〜S238では、第1特別図柄の保留数と第2特別図柄の保留数がいずれも値0でないときには第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先して実行される(特図2優先変動)。勿論、第1始動口36や第2始動口38に遊技球が入球した順に特別図柄を変動させるもの(入球順変動)としてもよいし、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示とを並行して行うもの(同時変動)としてもよい。以下、変動表示関連処理の詳細について説明する。なお、第1特別図柄の変動表示関連処理と第2特別図柄の変動表示関連処理はいずれも共通の処理が実行されるため、共通のフローチャート(図14のフローチャート)を用いて説明する。
変動表示関連処理では、まず、確変フラグがオンか否か、即ち現在の遊技状態が特図高確率状態および特図低確率状態のいずれであるかを判定する(S300)。確変フラグがオフのとき、即ち現在の遊技状態が特図低確率状態のときにはS230またはS236で読み出した大当り判定用乱数と低確率用大当り判定テーブルとを用いて大当り判定を行い(S302)、確変フラグがオンのとき、即ち現在の遊技状態が特図高確率状態のときには読み出した大当り判定用乱数と高確率用大当り判定テーブルとを用いて大当り判定を行って(S304)、その判定結果が大当りか否かを判定する(S306)。大当り判定テーブルの一例を図15に示す。なお、図15(a)に低確率用大当り判定テーブルを示し、図15(b)に高確率用大当り判定テーブルを示す。低確率用大当り判定テーブルでは大当り判定用乱数が値0〜796のうち値60,61のときに大当りとし(1/398.5の大当り確率)、高確率用大当り判定テーブルでは大当り判定用乱数が値0〜796のうち値60〜79のときに大当りとする(1/39.85の大当り確率)。なお、本実施例では、第1特別図柄と第2特別図柄とで共通の大当り判定テーブルが用いられる。
S306で大当り判定の結果が大当りと判定したときには、判定用情報記憶領域(RAM70c)から大当り図柄決定用乱数を読み出し(S308)、読み出した大当り図柄決定用乱数に基づいて停止表示させる大当り図柄を選択して決定する(S310)。ここで、第1特別図柄の大当り図柄の決定には、図16に例示する第1特別図柄用の大当り図柄決定テーブルが用いられ、第2特別図柄の大当り図柄の決定には、図17に例示する第2特別図柄用の大当り図柄決定テーブルが用いられる。
第1特別図柄用の大当り図柄決定テーブルでは、図16に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜399のうち値0〜159のときに特図1通常大当り図柄が選択されて「特図1通常大当り」となり(40%の出現確率)、大当り図柄決定用乱数が値160〜399のときに特図1確変大当り図柄が選択されて「特図1確変大当り」となる(60%の出現確率)。ここで、特図1通常大当りと特図1確変大当りは、本実施例では、何れも8R大当り遊技が実行されるが、特定ラウンド(第2ラウンド)で開放される第2大入賞口50の開放パターンが異なる。即ち、特図1通常大当りは、特定ラウンドでの第2大入賞口50の開放パターンが短開放パターンとなり、特定領域52への遊技球の通過可能性が低く、大当り遊技終了後に高確率電サポあり状態となる可能性が低い大当り態様である。また、特図1通常大当りは、実質7Rの大当り遊技が実行されるため、上限賞球数が1050個であり、8Rの大当たり遊技が実行される特図1確変大当りの上限賞球数の1200個よりも少なくなっている。一方、特図1確変大当りは、特定ラウンドでの第2大入賞口50の開放パターンが長開放パターンとなり、特定領域52への遊技球の通過可能性が高く、大当り遊技終了後に高確率電サポあり状態となる可能性が高い大当り態様である。
また、第2特別図柄用の大当り図柄決定テーブルでは、図17に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜399のうち値0〜79のときに特図2確変大当り図柄Aが選択されて「特図2確変大当りA」となり(20%の出現確率)、大当り図柄決定用乱数が値80〜159のときに特図2確変大当り図柄Bが選択されて「特図2確変大当りB」となり(20%の出現確率)、値160〜239のときに特図2確変大当り図柄Cが選択されて「特図2確変大当りC」となり(20%の出現確率)、大当り図柄決定用乱数が値240〜399のときに特図2確変大当り図柄Dが選択されて「特図2確変大当りD」となる(40%の出現確率)。ここで、特図2確変大当りAは4R大当り遊技が実行されるため上限賞球数が600個であり、特図2確変大当りBは8R大当り遊技が実行されるため上限賞球数が1200個であり、特図2確変大当りCは12R大当り遊技が実行されるため上限賞球数が1800個であり、特図2確変大当りDは16R大当り遊技が実行されるため上限賞球数が2400個である。これらのことから、特図2大当りの賞球の期待値は、1680個となる。特図2確変大当りA〜Dは、何れも、特定ラウンド(第2ラウンド)で開放される第2大入賞口50の開放パターンが長開放パターンであり、特定領域52への遊技球の通過可能性が高く、大当り遊技の終了後に高確率電サポあり状態となる可能性が高い大当り態様である。このように、本実施例では、第2特別図柄の大当りの方が第1特別図柄の大当りよりも、大当り遊技中に獲得可能な賞球の期待値が大きく、且つ、大当り遊技終了後に高確率電サポあり状態となる可能性が高いものといえる。即ち、第2特別図柄を変動させて遊技が行われる方が、第1特別図柄を変動させて遊技が行われるよりも、遊技者に有利な遊技が行われるものといえる。電サポあり状態中は、第2特別図柄の変動を主体とした遊技が行われることから、高確率電サポあり状態が終了するまでに(特別図柄が100回変動するまでに)、大当りを引くと、高確率電サポあり状態が継続することとなり、一度に大量の出玉(賞球)を獲得できるチャンスとなる。本実施例では、特別図柄の変動表示は特図2優先変動により行われ、第2特別図柄の保留が存在する限り第1特別図柄の保留は消化されないから、電サポあり状態では、第2特別図柄の保留が途切れないようにし(第1特別図柄の保留が消化されないようにし)、第2特別図柄を主体として遊技を行うことが好ましい。なお、特別図柄が100回変動するまでに、第2特別図柄の大当りを引けなかった場合、電サポあり状態は終了するが、特別図柄が120回変動するまで高確率状態が維持されるから、高確率電サポあり状態の引き戻しの可能性はある。
また、S306で大当り判定の結果が大当りでないと判定すると、外れであるから、外れ図柄を決定する(S312)。なお、外れ図柄は、詳細な説明は省略するが、例えば、大当り図柄決定用乱数と図示しない外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することができる。勿論、大当り図柄決定用乱数とは別に外れ図柄決定用乱数を取得するものとすれば、この外れ図柄決定用乱数と外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することもできる。
こうして停止図柄を決定すると、変動パターンテーブルを設定するための変動パターンテーブル設定処理を実行する(S314)。この変動パターンテーブル設定処理は、変動表示関連処理のS302,S304における大当り判定の結果が大当りのときには図18に示す大当り変動パターンテーブルを設定し、大当りではなく外れのときには、変動短縮フラグがオフであれば、図19(a)に示す電サポなし状態用外れ変動パターンテーブルを設定し、変動短縮フラグがオフでなくオンであれば、図19(b)に示す電サポあり状態用外れ変動パターンテーブルを設定することにより行われる。
図18に示すように、大当り変動パターンテーブルには、変動パターン決定用乱数の値0〜255が対応付けられた各種の変動パターン(変動時間)が設けられ、図19に示すように、外れ変動パターンテーブルには、保留数および変動パターン決定用乱数の値0〜255が対応付けられた各種の変動パターン(変動時間)が設けられている。特別図柄を変動表示させる際には、これらの変動パターンテーブルを用いて一の変動パターンが選択される。各変動パターンのうち、変動パターンP01,P02,P06,P07にはリーチ演出を伴わずに演出図柄を変動表示させる通常変動A〜Dがそれぞれ対応付けられ、変動パターンP03にはリーチ演出を伴って演出図柄を変動表示させるノーマルリーチが対応付けられ、変動パターンP04にはノーマルリーチよりも当りの期待感が高まるような演出(例えば、味方キャラクタが敵キャラクタと対決するバトル演出)を伴って演出図柄を変動表示させるスーパーリーチが対応付けられ、変動パターンP05にはノーマルリーチやスーパーリーチよりも当りの期待感が高まるような演出(例えば、味方キャラクタを用いてストーリーを展開させる演出)を伴って演出図柄を変動表示させるストーリーリーチが対応付けられている。大当り変動パターンテーブルでは、外れ時よりも遊技者の当りの期待感を高めることができるように、リーチ演出を伴わない通常変動には変動パターン決定用乱数が対応付けられておらず、また、リーチ演出を伴う変動のうち、変動パターンP04(スーパーリーチ)と変動パターンP05(ストーリーリーチ)とに多くの変動パターン決定用乱数が対応付けられている。また、外れ変動パターンテーブルでは、図19(b)の電サポあり状態用が図19(a)の電サポなし状態用に比べて平均変動時間が短くなり、且つ、保留数が多い場合(値3〜8)の方が保留数が少ない場合(値1or2)に比べて平均変動時間が短くなるように、通常変動の変動パターンP01,P02,P06,P07の変動時間の設定や、各変動パターンへの変動パターン決定用乱数の対応付けがなされている。なお、各変動パターンテーブルは、便宜上、少数のパターンを記憶したテーブルを示しているが、実際には、より多数のパターン(例えば、20種類以上のパターン)を記憶したテーブルが用いられる。
図14の変動表示関連処理に戻って、こうして変動パターンテーブルを設定すると、変動パターン決定用乱数を読み出し(S316)、読み出した変動パターン決定用乱数と設定した変動パターンテーブルとを用いて変動パターンを設定する(S318)。そして、特別図柄の変動表示を開始すると共に(S320)、変動表示を開始した特別図柄の保留数を値1だけデクリメントし(S322)、図柄変動開始時コマンドをサブ制御基板90に送信して(S324)、変動表示関連処理を終了する。S320,S322の処理は、現在の変動表示関連処理の対象が第1特別図柄の場合には、第1特別図柄の変動表示を開始すると共に、第1特別図柄の保留数を値1だけデクリメントする処理となる。一方、現在の変動表示関連処理の対象が第2特別図柄の場合には、第2特別図柄の変動表示を開始すると共に、第2特別図柄の保留数を値1だけデクリメントする処理となる。また、S324で送信する図柄変動開始時コマンドには、大当り判定の結果が大当りのときには大当り変動パターンおよびそのパターンにおける変動時間(変動パターン指定コマンド)と大当り停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)とが含まれる。また、大当り判定の結果が外れのときには外れ変動パターンおよびそのパターンにおける変動時間(変動パターン指定コマンド)と外れ停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)とが含まれる。図柄変動開始時コマンドを受信したサブ制御基板90は、コマンドを解析し、その解析結果に基づいて演出表示装置34の画面上で行う演出内容を決定し、その決定に応じた制御信号(演出コマンド)を演出表示制御基板91に出力して演出表示装置34の制御を行う。
図11〜図13の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始された後に特別図柄遊技処理が実行されると、S224で第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中と判定するため、主制御基板70のCPU70aは、変動時間が経過したか否かを判定する(S240)。変動時間は特別図柄の変動パターンに応じて決定されるから、変動時間が経過したか否かは、特別図柄の変動表示が開始されてからの経過時間と、変動パターンに対応する変動時間とを比較することにより行うことができる。変動時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動時間が経過していると判定すると、変動中の特別図柄の変動表示を停止し(S242)、図柄停止コマンドをサブ制御基板90に送信する(S244)。この図柄停止コマンドを受信したサブ制御基板90(演出表示制御基板91)は、演出表示装置34での図柄変動演出を終了させる。そして、停止表示時間を設定し(S246)、停止表示時間が経過したか否かを判定する(S248)。ここで、停止表示時間は、特別図柄の変動表示を停止してから次に変動表示を開始するまでのインターバルであり、例えば0.6秒に設定される。停止表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。特別図柄の停止表示がなされた後に、特別図柄遊技処理が実行されると、S226で停止表示時間中と判定するため、再びS248で停止表示時間が経過したか否かを判定し、停止表示時間が経過していると判定すると、停止表示している特別図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(S250)。
S250で停止表示している特別図柄が大当り図柄であると判定すると、条件装置を作動させるために条件装置作動フラグをオンとすると共に(S252)、ゲート通過遊技コマンドをサブ制御基板90に送信する(S254)。ここで、条件装置作動フラグがオンとされても、大当り遊技は直ちに開始されず、大当り遊技の開始には、通過ゲート32に遊技球を通過させるゲート通過遊技を経て、条件装置作動フラグに加えて役物連続作動装置作動フラグもオンとされることが必要である。大当り遊技中には確変機能や時短機能,開放延長機能を停止させるために、確変フラグがオンのときには確変フラグをオフとし(S256,S258)、変動短縮フラグがオンのときには変動短縮フラグをオフとすると共に開放延長フラグをオフとして(S260〜S264)、特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS150の役物連続作動装置作動処理に進む。
なお、本実施例では、特別図柄が大当り図柄で停止表示しても大当り遊技が直ちに開始されるわけではなく、ゲート通過遊技を経由して大当り遊技を開始するものとしたが、この遊技性を全ての大当り図柄について適用する必要はなく、例えば、一部の大当り図柄(大当り態様)についてはゲート通過遊技を経由して大当り遊技を開始するものとし、他の大当り図柄(大当り態様)についてはゲート通過遊技を経由することなく、特別図柄が大当り図柄で停止表示されたときに、条件装置作動フラグおよび役物連続作動装置作動フラグの両方をオンとして、直ちに大当り遊技を開始するものとしてもよい。これにより、遊技者が通過ゲート32に遊技球を通過させて大当り遊技を開始する遊技性と、遊技者が通過ゲート32に遊技球を通過させることなく大当り遊技を開始する遊技性とを混在させることができ、遊技性を多様化して、遊技興趣を高めることができる。
一方、S250で大当り図柄でない、即ち外れ図柄であると判定すると、確変フラグがオンか否かを判定し(S266)、確変フラグがオンでないと判定すると、次のS276の処理に進む。確変フラグがオンであると判定すると、確変カウンタを値1だけデクリメントして(S268)、確変カウンタが値0であるか否かを判定する(S270)。ここで、確変カウンタは、高確率状態を維持する特別図柄の変動回数の上限値を示すものであり、大当り遊技の終了に際してその値がセットされる。確変カウンタが値0でないと判定すると、高確率状態を維持したまま次のS276の処理に進み、確変カウンタが値0であると判定すると、確変フラグをオフとすると共に(S272)、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S274)、次のS276の処理に進む。これにより、パチンコ機10の遊技状態は、高確率状態から低確率状態に変更されることになる。なお、遊技状態指定コマンドには、パチンコ機10の現在の遊技状態を示す確変フラグの設定状況などが含まれる。
次に、変動短縮フラグがオンであるか否かを判定し(S276)、変動短縮フラグがオンでないときにはそのまま特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動短縮フラグがオンのときには変動短縮カウンタを値1だけデクリメントし(S278)、変動短縮カウンタが値0であるか否かを判定する(S280)。ここで、変動短縮カウンタは、変動時間短縮機能(特別図柄および普通図柄の変動短縮)の作動状態を維持する特別図柄の変動回数の上限値を示すものであり、大当り遊技の終了に際してその値がセットされる。変動短縮カウンタが値0でないときには、電サポあり状態を維持したまま特別図柄遊技処理を一旦終了し、変動短縮カウンタが値0のときには、電サポあり状態を終了させるために、変動短縮フラグをオフとすると共に(S282)、開放延長フラグをオフとし(S284)、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S286)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。これにより、パチンコ機10の遊技状態は、電サポあり状態から電サポなし状態に変更されることになる。なお、遊技状態指定コマンドには、パチンコ機10の現在の遊技状態を示す変動短縮フラグや開放延長フラグの設定状況などが含まれる。
[役物連続作動装置作動処理]
S150の役物連続作動装置作動処理は、図20に示すフローチャートに従って実行される。図20の役物連続作動装置作動処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、条件装置作動フラグがオンであるか否か(S400)、役物連続作動装置作動フラグがオフであるか否か(S402)、をそれぞれ判定する。条件装置作動フラグがオンでないと判定したり、役物連続作動装置作動フラグがオフでないと判定すると、役物連続作動装置作動処理を終了する。一方、条件装置作動フラグがオンであり且つ役物連続作動装置作動フラグがオフであると判定すると、遊技球が通過ゲート32を通過(ゲート通過)したか否かを判定する(S404)。ゲート通過していないと判定すると、役物連続作動装置作動処理を一旦終了する。一方、ゲート通過したと判定すると、大当り遊技を開始させるために役物連続作動装置作動フラグをオンとし(S406)、大当り遊技開始コマンドをサブ制御基板90に送信して(S408)、役物連続作動装置作動処理を終了し、主制御処理に戻って次のS160の大当り遊技処理に進む。
[大当り遊技処理]
S160の大当り遊技処理は、図21に示すフローチャートに従って実行される。図21の大当り遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、条件装置作動フラグがオンであり且つ役物連続作動装置作動フラグがオンであるか否か、即ち大当り遊技中であるか否かを判定する(S500,S502)。条件装置作動フラグがオフであると判定したり、条件装置作動フラグがオンであっても役物連続作動装置作動フラグがオフである(大当り遊技を開始させるための特定条件成立中)と判定すると、そのまま大当り遊技処理を終了する。一方、条件装置作動フラグがオンであり且つ役物連続作動装置作動フラグがオンであると判定すると、大当り遊技を開始するタイミングか否かを判定し(S504)、大当り遊技の開始タイミングである場合には、大当りの種類に応じたラウンド数に残りラウンド数を設定すると共に(S506)、実行ラウンドRを値1に初期化する(S508)。残りラウンド数は、特図2確変大当りAであれば値4に設定され、特図1通常大当りや特図1確変大当り、特図2確変大当りBであれば値8に設定され、特図2確変大当りCであれば値12に設定され、特図2確変大当りDであれば値16に設定される。これらの残りラウンド数や実行ラウンドRの情報は、RAM70cの所定の大当り遊技情報記憶領域に記憶される。なお、大当り遊技の開始タイミングでない場合には、残りラウンド数と実行ラウンドRは設定済みであるから、S506,S508の処理をスキップして次のS510の処理に進む。
次に、残りラウンド数が値0であるか否かを判定する(S510)。残りラウンド数が値0でない、即ち値1以上であると判定すると、実行ラウンドRが特定ラウンド(本実施例では第2R)であるか否かを判定する(S512)。実行ラウンドRが特定ラウンドでないと判定すると、第1大入賞口44を開放して大当り遊技を行う第1大入賞口開放遊技処理を実行して(S514)、大当り遊技処理を終了する。また、実行ラウンドRが特定ラウンドであると判定すると、第2大入賞口50を開放して大当り遊技を行う第2大入賞口開放遊技処理を実行して(S516)、大当り遊技処理を終了する。一方、S510で残りラウンド数が値0であると判定すると、後述する大当り遊技終了時処理を実行して(S518)、大当り遊技処理を終了する。なお、大当り遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS170の特定領域通過監視処理に進む。
S514の第1大入賞口開放遊技処理は、図22に示すフローチャートに従って実行される。図22の第1大入賞口開放遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、第1大入賞口44が開放中であるか否かを判定し(S530)、第1大入賞口44が開放中でないと判定すると、第1大入賞口44の開放タイミングが到来したか否かを判定する(S532)。この判定は、規定の閉鎖時間(例えば2秒など)が経過したか否かを判定することにより行われる。第1大入賞口44の開放タイミングが到来していないと判定すると、第1大入賞口開放遊技処理を一旦終了する。一方、第1大入賞口44の開放タイミングが到来したと判定すると、第1大入賞口44が開放されるよう第1大入賞口ソレノイド44bを駆動制御し(S534)、通常ラウンド遊技コマンドをサブ制御基板90に送信して(S536)、第1大入賞口開放遊技処理を一旦終了する。S536で送信される通常ラウンド遊技コマンドには、ラウンドの実行回数などが含まれる。
第1大入賞口44を開放した後に第1大入賞口開放遊技処理が実行されると、S530で第1大入賞口44が開放中であると判定し、次に、第1大入賞口44が開放してから規定の開放時間(本実施例では、25秒)が経過したか否か(S538)、第1大入賞口44に入球した遊技球の数が規定数(本実施例では、10個)に達したか否か(S540)、をそれぞれ判定する。第1大入賞口44の規定の開放時間が経過しておらず、且つ、第1大入賞口44に規定数の遊技球が入球していないと判定すると、第1大入賞口44の開放を維持したまま第1大入賞口開放遊技処理を一旦終了する。一方、第1大入賞口44の規定の開放時間が経過したと判定したり、第1大入賞口44に規定数の遊技球が入球したと判定したりすると、第1大入賞口44が閉鎖されるよう第1大入賞口ソレノイド44bを駆動制御し(S542)、残りラウンドを値1だけデクリメントすると共に(S544)、実行ラウンドRを値1だけインクリメントして(S546)、第1大入賞口開放遊技処理を終了する。
S516の第2大入賞口開放遊技処理は、図23に示すフローチャートに従って実行される。図23の第2大入賞口開放遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、第2大入賞口50が開放中であるか否かを判定し(S550)、第2大入賞口50が開放中でないと判定すると、第2大入賞口50の開放タイミングが到来したか否かを判定する(S552)。この判定は、今回の特定ラウンドの1つ前のラウンド(例えば、1ラウンド)が終了(第1大入賞口44を閉鎖)してから規定の閉鎖時間(例えば2秒など)が経過したタイミングであるか否かを判定することにより行われる。第2大入賞口50の開放タイミングが到来していないと判定すると、第2大入賞口開放遊技処理を一旦終了する。一方、第2大入賞口50の開放タイミングが到来したと判定すると、今回の特定ラウンドが長開放パターンで行われるか否かを判定する(S554)。今回の大当りが特図1確変大当りや特図2確変大当りA〜Dのいずれかであれば長開放パターンであると判定し、今回の大当りが特図1通常大当りであれば短開放パターンであるため長開放パターンでないと判定する。長開放パターンであると判定すると、長開放時間(例えば25秒)を設定し(S556)、長開放パターンでなく短開放パターンであると判定すると、短開放時間(例えば0.1秒)を設定する(S558)。そして、第2大入賞口50が開放されるよう第2大入賞口ソレノイド50bを駆動制御し(S560)、特定領域52への遊技球の通過の検知を有効とする通過有効期間を発生させる(開始する)と共に(S562)、特定領域振分ソレノイド56bをオンとして特定領域振分装置56を所定の駆動パターンで駆動を開始し(S564)、特定ラウンド遊技コマンドをサブ制御基板90に送信して(S566)、第2大入賞口開放遊技処理を一旦終了する。なお、特定領域振分装置56(特定領域振分ソレノイド56b)は、所定の駆動パターンに基づく振分部材56aの作動が完了すると、駆動を終了する。また、発生させた通過有効期間はS170の特定領域通過監視処理において終了される。
第2大入賞口50を開放した後に第2大入賞口開放遊技処理が実行されると、S550で第2大入賞口50が開放中であると判定し、次に、第2大入賞口50が開放してから規定の開放時間(本実施例では、長開放パターンであれば25秒、短開放パターンであれば0.1秒)が経過したか否か(S568)、第2大入賞口50に入球した遊技球の数が規定数(本実施例では、10個)に達したか否か(S570)、をそれぞれ判定する。第2大入賞口50の規定の開放時間が経過しておらず、且つ、第2大入賞口50に規定数の遊技球が入球していないと判定すると、第2大入賞口50の開放を維持したまま第2大入賞口開放遊技処理を一旦終了する。一方、第2大入賞口50の規定の開放時間が経過したと判定したり、第2大入賞口50に規定数の遊技球が入球したと判定したりすると、第2大入賞口50が閉鎖されるよう第2大入賞口ソレノイド50bを駆動制御し(S572)、残りラウンドを値1だけデクリメントすると共に(S574)、実行ラウンドRを値1だけインクリメントして(S576)、第2大入賞口開放遊技処理を終了する。
[特定領域通過監視処理]
次に、S170の特定領域通過監視処理について説明する。この特定領域通過監視処理は、図24に示すフローチャートに従って実行される。図24の特定領域通過監視処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、図23の第2大入賞口開放遊技処理のS562で発生(開始)させた通過有効期間中であるか否かを判定し(S580)、通過有効期間中でないと判定すると、そのまま特定領域通過監視処理を終了する。一方、S580で通過有効期間中であると判定すると、特定領域通過スイッチ52aからの検知信号を入力して、遊技球が特定領域52を通過したか否かを判定し(S582)、遊技球が特定領域52を通過したと判定すると、特定領域通過フラグをオンとして(S584)、特定領域通過コマンドをサブ制御基板90に送信する(S586)。なお、遊技球が特定領域52を通過していないと判定すると、S584,S586の処理をスキップする。
次に、第2大入賞口開放遊技処理のS562で通過有効期間を発生(開始)させてからの経過時間が所定の有効時間を超えたか否かを判定する(S588)。この所定の有効時間は、特定ラウンドにおける第2大入賞口50の開放時間(長開放パターンであれば25秒、短開放パターンであれば0.1秒)よりも若干長い時間に定められている。S588で経過時間が所定の有効時間を超えていないと判定すると、通過有効期間を維持したまま特定領域通過監視処理を終了する。また、S588で経過時間が所定の有効時間を超えたと判定すると、通過有効期間を終了させる(S590)。これにより、遊技球が特定領域通過スイッチ52aに検知されても、その検知が有効とされないことになる。通過有効期間を終了させると、特定領域通過フラグがオフであるか否かを判定し(S592)、特定領域通過フラグがオフであると判定すると、特定ラウンド中に遊技球が特定領域52を通過しなかったため、特定領域非通過コマンドをサブ制御基板90に送信して(S594)、特定領域通過監視処理を終了する。また、特定領域通過フラグがオフでなくオンであると判定すると、既にS586で特定領域通過コマンドをサブ制御基板90に送信しているため、S594の処理をスキップして、特定領域通過監視処理を終了する。
[大当り遊技終了時処理]
次に、図21の大当り遊技処理のS518で実行される大当り遊技終了時処理を説明する。この大当り遊技終了時処理は、図25に示すフローチャートに従って実行される。図25の大当り遊技終了時処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、条件装置作動フラグをオンからオフとすると共に役物連続作動装置作動フラグをオンからオフとし(S600,S602)、特定領域通過フラグがオンであるか否かを判定する(S604)。特定領域通過フラグがオンであると判定すると、特図高確率状態を発生させるために、確変カウンタを120回に設定し(S606)、確変フラグをオンとして(S608)、特定領域通過フラグをオフとする(S610)。これにより、特定ラウンドの通過有効期間中に遊技球が特定領域52を通過したことに基づいて、大当り遊技終了後に高確率状態が設定されることになる。一方、特定領域通過フラグがオフであると判定すると、S606〜S610の処理をスキップする。続いて、電サポあり状態を発生させるために、変動短縮カウンタを100回に設定し(S612)、変動短縮フラグをオンとすると共に(S614)、開放延長フラグをオンとし(S616)、大当り遊技終了コマンドをサブ制御基板90に送信して(S618)、大当り遊技終了時処理を終了する。ここで、大当り遊技終了コマンドには、確変フラグや変動短縮フラグ、開放延長フラグの設定状況などが含まれる。そして、大当り遊技終了コマンドを受信したサブ制御基板90は、大当り遊技終了演出などを実行する。
[賞球払出関連処理]
S180の賞球払出関連処理は、図26に示すフローチャートに従って実行される。賞球払出関連処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、賞球の払い出しに関わるスイッチ(第1始動口スイッチ36aや第2始動口スイッチ38a,第1大入賞口スイッチ44a,第2大入賞口スイッチ50a,作動入球口スイッチ47a,可変入賞口スイッチ60a,一般入賞口スイッチ45aなど)により遊技球が検知されたか否かを判定する(S650)。遊技球が検知されていないと判定すると、そのまま賞球払出関連処理を終了する。一方、遊技球が検知されたと判定すると、遊技球を検知したスイッチに応じて払い出すべき賞球数Sを算出し(S652)、大入賞口スイッチ(第1大入賞口スイッチ44aまたは第2大入賞口スイッチ50a)が遊技球を検知したか否かを判定する(S654)。
大入賞口スイッチ(第1大入賞口スイッチ44aまたは第2大入賞口スイッチ50a)が遊技球を検知したと判定すると、算出した賞球数Sの情報(賞球情報)を含む賞球数指定コマンドを払出制御基板80とサブ制御基板90に送信して(S656)、賞球払出関連処理を終了する。一方、大入賞口スイッチ(第1大入賞口スイッチ44aまたは第2大入賞口スイッチ50a)が遊技球を検知していないと判定すると、算出した賞球数Sの情報(賞球情報)を含む賞球数指定コマンドを払出制御基板80に送信して(S658)、賞球払出関連処理を終了する。払出制御基板80は、賞球数指定コマンドを受信すると、払出モータ86を駆動制御して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出前スイッチ84および払出後スイッチ85により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行される。また、サブ制御基板90は、賞球数指定コマンドを受信すると、後述する賞球数表示演出を実行中であれば、表示演出で表示している賞球数を更新するなどの処理を行う。
[演出制御処理]
次に、サブ制御基板90により実行される動作について説明する。図27は、サブ制御基板90のCPU90により実行される演出制御処理の一例を示すフローチャートである。演出制御処理は、図柄変動演出処理(S700)、大当り遊技演出処理(S710)、賞球関連演出処理(S720)等の各種処理を繰り返し実行することにより行われる。なお、サブ制御基板90は、保留図柄35a,35bの表示を更新する保留図柄表示処理等の他の演出処理も行うが、本発明の要旨をなさないから説明は省略する。以下、各処理を順に説明する。
[図柄変動演出処理]
S700の図柄変動演出処理は、図28のフローチャートに従って実行される。図28の図柄変動演出処理が実行されると、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、主制御基板70から図柄変動開始時コマンドを受信したか否かを判定する(S800)。図柄変動開始時コマンドを受信したと判定すると、その受信したコマンドに基づき今回の大当り判定の結果が大当りか否かを判定し(S802)、大当り判定の結果が大当りの場合には演出図柄の停止図柄に大当り図柄を設定し(S804)、外れの場合には演出図柄の停止図柄に外れ図柄を設定する(S806)。演出図柄の停止図柄を設定すると、演出パターンを設定する(S808)。前述したように、図柄変動開始時コマンドには、特別図柄の停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)と特別図柄の変動パターン(変動パターン指定コマンド)とが含まれているから、演出図柄の停止図柄の選択は、ROM90bに予め記憶されている演出図柄の停止図柄のうち受信した特別図柄停止情報指定コマンドに対応する停止図柄を読み出すことにより行うことができ、演出パターンの選択は、ROM90bに予め記憶されている演出パターンのうち受信した変動パターン指定コマンドに対応する演出パターンを読み出すことにより行うことができる。
こうして演出図柄の停止図柄と演出パターンとを設定すると、図柄変動演出を開始する(S810)。S810の処理は、演出図柄の停止図柄と演出パターンとに基づく図柄変動演出の開始を指示する演出コマンド(図柄変動演出開始コマンド)を演出表示制御基板91に送信することによって行われる。演出コマンドを受信した演出表示制御基板91は、演出表示装置34の表示画面上で図柄変動演出(演出図柄の変動表示)が開始されるよう表示制御する。また、図柄変動演出に合わせて、判定図柄34a,34bの変動表示(点滅表示)も開始する。即ち、今回の図柄変動遊技の対象が第1特別図柄の場合には第1判定図柄34aの変動表示(点滅表示)を開始し、今回の変動対象が第2特別図柄の場合には第2判定図柄34bの変動表示(点滅表示)を開始する。なお、第1判定図柄34aおよび第2判定図柄34bのうち今回の変動表示の対象とならない判定図柄は、前回の表示を維持したままとする。
S800で図柄変動開始時コマンドを受信していないと判定した場合またはS810で演出図柄の変動表示を開始した後には、主制御基板70から図柄停止コマンドを受信したか否かを判定する(S812)。図柄停止コマンドを受信したと判定すると、図柄変動演出を終了して(S814)、図柄変動演出処理を終了する。S814の処理は、図柄変動演出の終了を指示する演出コマンド(図柄変動演出終了コマンド)を演出表示制御基板91に送信することによって行う。演出コマンドを受信した演出表示制御基板91は、演出表示装置34では図柄変動演出(演出図柄の変動表示)が終了して、S804あるいはS806で設定された演出図柄の停止図柄が停止表示されるよう表示制御する。また、演出図柄の停止に合わせて判定図柄34a,34bも停止する。即ち、今回の図柄変動遊技の対象が第1特別図柄の場合には第1判定図柄34aを停止表示し、今回の変動対象が第2特別図柄の場合には第2判定図柄34bを停止表示する。
[大当り遊技演出処理]
S710の大当り遊技演出処理は、図29に例示するフローチャートに従って実行される。図29の大当り遊技演出処理が実行されると、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、主制御基板70から大当り遊技開始コマンドを受信したか否かを判定する(S900)。大当り遊技開始コマンドを受信したと判定すると、大当り遊技開始演出を実行し(S902)、大当り遊技開始コマンドを受信していないと判定すると、S902の処理をスキップして次のS904の処理に進む。大当り遊技開始演出は、大当りの開始を示す大当りファンファーレ画面を演出表示装置34に表示することなどにより行われる。
次に、主制御基板70から通常ラウンド遊技コマンドを受信したか否か(S904)、特定ラウンド遊技コマンドを受信したか否か(S906)、をそれぞれ判定する。ここで、通常ラウンド遊技コマンドは、図22の第1大入賞口開放遊技処理のS536で主制御基板70により送信され、特定ラウンド遊技コマンドは、図23の第2大入賞口開放遊技処理のS566で主制御基板70により送信される。通常ラウンド遊技コマンドを受信したと判定すると、通常ラウンド報知演出を実行して(S908)、次のS914の処理に進む。通常ラウンド報知演出は、所定のキャラクタなどを登場させてラウンド数を示す演出画面を演出表示装置34に表示することなどにより行われる。また、特定ラウンド遊技コマンドを受信したと判定すると、今回の大当り遊技の発生契機となった大当り図柄(特図当り図柄)が確変大当り図柄(特図1確変大当り図柄または特図2確変大当り図柄A〜D)であるか否かを判定し(S910)、確変大当り図柄であると判定すると、長開放パターンで第2大入賞口50が開放されるから、特定ラウンド中に遊技球を特定領域52に通過させるよう促すための特定ラウンド報知演出を実行して(S912)、次のS914の処理に進む。また、確変大当り図柄でないと判定すると、特定ラウンド報知演出を実行することなく、S908の通常ラウンド報知演出を実行して、次のS914の処理に進む。ここで、特定ラウンド報知演出は、例えば、「Vを狙え」などのメッセージ画面を演出表示装置34に表示することなどにより行われる。
続いて、図24の特定領域通過監視処理のS586で主制御基板70により送信される特定領域通過コマンドを受信したか否か(S914)、特定領域通過監視処理のS594で主制御基板70により送信される特定領域非通過コマンドを受信したか否か(S916)、をそれぞれ判定する。特定領域通過コマンドと特定領域非通過コマンドをいずれも受信していないと判定すると、次のS924の処理に進む。また、S914で特定領域通過コマンドを受信したと判定すると、大当り遊技中の通過有効期間内に遊技球が特定領域52を通過したために、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態(高確率電サポあり状態)となることを報知するためのV通過成功態様の確変報知演出を実行して(S918)、次のS924の処理に進む。一方、S916で特定領域非通過コマンドを受信したと判定すると、今回の大当り遊技の発生契機となった大当り図柄(特図当り図柄)が確変大当り図柄(特図1確変大当り図柄または特図2確変大当り図柄A〜D)であるか否かを判定し(S920)、確変大当り図柄であると判定すると、大当り遊技中の通過有効期間内に遊技球が特定領域52を通過しなかったために、大当り遊技終了後の遊技状態が特図低確率状態(低確率電サポあり状態)となることを報知するためのV通過失敗態様の確変報知演出を実行して(S922)、次のS924の処理に進む。なお、今回の大当り遊技の発生契機となった大当り図柄が通常大当り図柄であれば、S922の処理をスキップして、次のS924の処理に進む。勿論、通常大当りの場合において、S922の処理を実行するものなどとしてもよい。
そして、主制御基板70から大当り遊技終了コマンドを受信したか否かを判定する(S924)。大当り遊技終了コマンドを受信したと判定すると、大当り遊技終了演出を実行して(S926)、大当り遊技演出処理を終了し、大当り遊技終了コマンドを受信していないと判定すると、S926の処理をスキップして大当り遊技演出処理を終了する。大当り遊技終了演出は、大当り遊技の終了を示す大当りエンディング画面を演出表示装置34に表示することなどにより行われる。
[賞球関連演出処理]
S720の賞球関連演出処理は、図30に例示するフローチャートに従って実行される。図30の賞球関連演出処理が実行されると、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、主制御基板70から大当り遊技開始コマンドを受信したか否かを判定する(S1000)。大当り遊技開始コマンドを受信していないと判定すると、S1012の処理に進み、大当り遊技開始コマンドを受信したと判定すると、獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とを演出表示装置34に表示する賞球数表示演出中であるか否かを判定する(S1002)。ここで、獲得済み賞球数S1は、大当り遊技において、第1大入賞口44や第2大入賞口50への遊技球の入球に基づいて遊技者が獲得する(遊技者に付与される)こととなった実際の賞球数を示す。後述するように、獲得済み賞球数S1は、賞球数コマンドに含まれる賞球数S(賞球情報)の累積数を示しており、獲得が決まった(付与されることが決まった)賞球数であり、払出モータ86の駆動により実際に払い出される前の賞球数も含む。また、獲得可能賞球数S2は、大当り遊技で遊技者が獲得可能な賞球数(遊技者に付与可能な賞球数)を示しており、大当り遊技の上限賞球数に基づくものである。
S1002で賞球数表示演出中であると判定すると、S1012の処理に進み、賞球数表示演出中でないと判定すると、今回の大当りが確変大当り(特図1確変大当り図柄または特図2確変大当り図柄A〜D)であるか否かを判定する(S1004)。今回の大当りが確変大当りでない即ち通常大当りであると判定すると、S1012の処理に進み、今回の大当りが確変大当りであると判定すると、獲得済み賞球数S1に値0をセット(値0に初期化)すると共に(S1006)、獲得可能賞球数S2に今回の大当り遊技の上限賞球数をセットする(S1008)。即ち、今回の大当りが、特図2確変大当りAであれば上限賞球数の600個を獲得可能賞球数S2にセットし、特図1確変大当りおよび特図2確変大当りBのいずれかであれば上限賞球数の1200個を獲得可能賞球数S2にセットし、特図2確変大当りCであれば上限賞球数の1800個を獲得可能賞球数S2にセットし、特図2確変大当りDであれば上限賞球数の2400個を獲得可能賞球数S2にセットする。そして、セットした獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とを演出表示装置34に表示することで賞球数表示演出を開始して(S1010)、S1012の処理に進む。このため、賞球数表示演出は、低確率電サポなし状態で発生した第1特別図柄の大当り(いわゆる初当り)が特図1確変大当りであった場合や、高確率電サポあり状態で発生した第2特別図柄の大当り(高確率電サポなし状態での引き戻しもあり)が特図2確変大当りであった場合に、開始されることになる。なお、S1004において、第1特別図柄の確変大当りを除いて、第2特別図柄の確変大当りであるか否かを判定するものとし、賞球数表示演出を第2特別図柄の確変大当りの場合にのみ行う(初当りを含めない)ものとしてもよい。
ここで、図31は、賞球数表示演出の一例を示す説明図である。図示するように、本実施例の賞球数表示演出では、演出表示装置34の画面の隅(例えば右下隅)に獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とが上下に並べて表示される。具体的には、上段に「Get」の文字と獲得済み賞球数S1(大当り遊技開始時には値0)とが表示され、下段に「Max」の文字と獲得可能賞球数S2(大当り遊技開始時には今回の上限賞球数(例えば1200個))とが表示されている。なお、本実施例では、獲得可能賞球数S2を大当り遊技開始時に表示するものとすが、これに限られず、例えば特定ラウンドが終了して大当り遊技終了後の確率状態が確定してから表示するものなどとしてもよい(獲得済み賞球数S1は、特定ラウンド終了時から表示してもよいし、大当り遊技開始時から表示してもよい)。また、本実施例では、獲得済み賞球数S1は連荘中の累積の獲得済み賞球数を示すものとなるが、今回の大当り遊技における獲得済み賞球数と、連荘中の累積の獲得済み賞球数とをそれぞれ計数して、別々に表示するものとしてもよい。その場合、獲得済み賞球数S1(連荘中の累積の獲得済み賞球数)と獲得可能賞球数S2とを図31に示すように演出表示装置34の画面の第1の位置(右下隅など)に表示し、今回の大当り遊技における獲得済み賞球数を演出表示装置34の画面の第2の位置(右上隅など)に表示するものなどとすればよい。
次に、図26の賞球払出関連処理のS656で主制御基板70により送信される賞球数コマンドを受信したか否かを判定する(S1012)。賞球数コマンドを受信したと判定すると、賞球数表示演出にて表示中の獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とを増加させるために、図32に示す賞球数増加演出を行ってから(S1014)、S1016の処理に進み、賞球数コマンドを受信していないと判定すると、S1014の処理をスキップしてS1016の処理に進む。
図32の賞球数増加演出では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、賞球数コマンドに含まれる賞球数S(本実施例では15個)を獲得済み賞球数S1に加える(S1100)。即ち、獲得済み賞球数S1を賞球数Sだけ増加させる賞球数増加演出を行う。次に、特定ラウンド(第2ラウンド)が終了したタイミングであるか否かを判定する(S1102)。なお、特定ラウンドが終了したタイミングであれば、特定領域通過コマンドおよび特定領域非通過コマンドのいずれかを受信しており(特定ラウンド中に特定領域52を遊技球が通過したか否かが判明しており)、大当り遊技終了後に特図高確率状態となるか特図低確率状態となるかが確定していることになる。特定ラウンドが終了したタイミングでないと判定すると、S1124の処理に進む。
一方、特定ラウンドが終了したタイミングであると判定すると、第2特別図柄の保留の事前判定情報を読み出し(S1104)、事前判定情報の大当り判定の結果が大当りとなる当り保留があるか否かを判定する(S1106)。なお、大当り判定の結果は、大当り遊技終了後の確率状態に応じた結果を用いる。当り保留がないと判定すると、S1124の処理に進む。一方、当り保留があると判定すると、当該当り保留の事前判定情報に含まれる大当り種類の情報に基づいて、当り保留の大当り遊技の上限賞球数が600個(当り保留の大当りの種類が4ラウンドの特図2確変大当りA)であるか(S1108)、1200個(8ラウンドの特図2確変大当りB)であるか(S1110)、1800個(12ラウンドの特図2確変大当りC)であるか(S1112)、をそれぞれ判定する。S1108で上限賞球数が600個であると判定すると獲得可能賞球増加カウンタKに値1を加算し(S1114)、S1110で上限賞球数が1200個であると判定すると獲得可能賞球増加カウンタKに値2を加算し(S1116)、S1112で当り保留の上限賞球数が1800個であると判定すると獲得可能賞球増加カウンタKに値3を加算し(S1118)、S1112で当り保留の上限賞球数が1800個でない即ち2400個であると判定すると獲得可能賞球増加カウンタKに値4を加算する(S1120)。
ここで、本実施例では、前述したように、大当り遊技開始時に今回の大当り遊技の上限賞球数を獲得可能賞球数S2にセットして賞球表示演出を開始するが、賞球数表示演出中(大当り遊技中)に、第2特別図柄の当り保留に係る大当り遊技の上限賞球数を、獲得可能賞球数S2に増加させる賞球数増加演出を行う。この賞球数増加演出では、第2特別図柄の当り保留に係る大当り遊技の上限賞球数を、所定数Q(本実施例では600個)ずつに分割して加算させるものとしており、獲得可能賞球増加カウンタKはその増加回数(加算回数)を示す。このため、S1114〜S1120では、当り保留の大当り遊技の上限賞球数を所定数Q(600個)で除した値が獲得可能賞球増加カウンタKに加算されることになる。なお、第2特別図柄の保留として複数の当り保留が記憶されている場合には、消化順が最も早い保留についてS1108〜S1120の処理を行うものとする。勿論、各当り保留についてS1108〜S1120の処理を行い、全ての当り保留の上限賞球数の合計を所定数Q(600個)で除した値が獲得可能賞球増加カウンタKに設定されるものとしてもよい。
続いて、獲得可能賞球増加カウンタKの値に基づいて、獲得可能賞球数S2を増加させる賞球増加タイミングを設定する(S1122)。本実施例では、賞球増加タイミングを、獲得済み賞球数S1の値(賞球数)に基づくタイミングとして定める。例えば、今回の大当り遊技の上限賞球数と、賞球数増加演出のS1100で更新された現在の獲得済み賞球数S1との差分を算出し、その差分を、獲得可能賞球増加カウンタKに値1を加えた値で除した賞球数(端数を処理して整数値とする)を求め、求めた賞球数の倍数(獲得可能賞球増加カウンタKを乗じた倍数を上限)となる賞球数を獲得済み賞球数S1に加えることで、賞球増加タイミングを定める。具体的には、上限賞球数が1200個(ラウンド数が8ラウンド)の大当り遊技中に、獲得済み賞球数S1が300個の場合、差分が900個となる。このとき、獲得可能賞球増加カウンタKが値2(当り保留も8ラウンドの大当り)であれば、差分の900個を、獲得可能賞球増加カウンタKの値2に値1を加えた値3で除して300個の賞球数が求められる。その300個の倍数(300個,600個)を獲得済み賞球数S1の300個にそれぞれ加えて、600個、900個が賞球増加タイミングに設定される。この場合、獲得済み賞球数S1が600個に到達したり(600個以上となったり)、900個に到達したり(900個以上となったり)したときに、賞球増加タイミングであると判定することになる。このように、賞球増加タイミングは、獲得済み賞球数S1が実行中の大当り遊技の上限賞球数に到達するまでに、当り保留の上限賞球数を獲得可能賞球数S2に上乗せ(増加)させることができるタイミングとして定められる。
次に、獲得可能賞球増加カウンタKが値0を超えているか否か(S1124)、獲得可能賞球数S2の増加タイミングであるか否か(S1126)、をそれぞれ判定し、獲得可能賞球増加カウンタKが値0を超えていない(値0である)と判定したり、獲得可能賞球増加カウンタKが値0を超えていても、獲得済み賞球数S1がS1122で設定された賞球数に到達していない(設定された賞球数以上になっていない)ために増加タイミングでないと判定したりすると、賞球数増加演出を終了する。一方、獲得可能賞球増加カウンタKが値0を超えており、獲得可能賞球数S2の増加タイミングであると判定すると、獲得可能賞球数S2に増加単位である所定数Q(600個)を加えて獲得可能賞球数S2の増加演出を行うと共に(S1128)、獲得可能賞球増加カウンタKを値1だけデクリメントして(S1130)、賞球数増加演出を終了する。
本実施例の賞球表示演出では、大当り遊技開始時に今回の大当り遊技の上限賞球数を獲得可能賞球数S2に表示するから、獲得可能賞球数S2が所定数Qだけ増加すると、今回の大当り遊技が終了した後に獲得可能な賞球数が存在すること、即ち、現在記憶している保留に当り保留があることを遊技者に示すことができる。なお、獲得可能賞球数S2の増加演出を行う際には、増加演出時以外の通常時とは異なる表示態様(通常よりも強調した表示態様)で獲得可能賞球数S2を表示するものとしてもよい。例えば、獲得可能賞球数S2を、通常よりも大きく表示したり、通常の静止表示と異なり動的表示(点滅など)したりするものなどとしてもよい。このようにすれば、獲得可能賞球数S2の増加演出に遊技者を注目させて遊技興趣を向上させることができる。また、本実施例では、S1102で特定ラウンドが終了したと判定し且つS1106で当り保留があると判定した場合にS1108〜S1122の処理を行うことになる。このため、今回の大当り遊技終了後の確率状態が確定した状態で且つ第2特別図柄の当り保留がある場合、即ち、いわゆる保留内連荘が確定した場合(所定の実行条件が成立した場合)に、獲得可能賞球数S2の増加演出を行うことになる。なお、S1102では特定ラウンドが終了したか否かを判定するものとしたが、特定領域通過コマンドを受信したか否かを判定するものとして、特定領域通過コマンドを受信した場合即ち大当り遊技終了後に特図高確率状態が確定した場合にS1104以降の処理に進むものとしてもよい。なお、本実施例では、第1特別図柄の保留の事前判定処理を行わないから、通常は初当りが特図1確変大当りであった場合の賞球表示演出中に獲得可能賞球数S2の増加演出が行われることはない。
図30の賞球関連演出処理に戻って、サブ制御基板90のCPU90aは、次に、大当り遊技終了コマンドを受信したか否かを判定し(S1016)、大当り遊技終了コマンドを受信していないと判定すると、賞球関連演出処理を終了する。また、大当り遊技終了コマンドを受信したと判定すると、賞球数表示演出を実行中であるか否か(獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とを演出表示装置34に表示中であるか否か)を判定する(S1018)。賞球表示演出を実行中でないと判定すると、そのまま賞球関連演出処理を終了する。一方、賞球表示演出を実行中であると判定すると、第2特別図柄の当り保留があるか否かを判定し(S1020)、当り保留があると判定すると獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とを表示する賞球数表示演出を継続したまま(S1022)、賞球関連演出処理を終了する。一方、第2特別図柄の当り保留がないと判定すると、獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とを表示する賞球数表示演出を終了(消去)して(S1024)、賞球関連演出処理を終了する。なお、S1022では、賞球数表示演出は継続するものの当該当り保留に係る大当り遊技が開始されるまで、獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とを通常の態様よりも目立たない態様(半透明など)で表示するものなどとしてもよい。そのようにする場合、賞球関連演出処理のS1002で賞球数表示演出中であると判定したときに、賞球数表示演出を通常の態様に戻すものとすればよい。
ここで、図33に賞球数増加演出を伴って賞球数表示演出が行われる様子の一例を示す。なお、図33では、演出表示装置34の画面のうち賞球数表示演出が表示される部分(画面右下隅)のみを図示する。また、説明の便宜上、各ラウンドでは規定数(10球)の遊技球が大入賞口(第1大入賞口44および第2大入賞口50)に入球するものとする。大当り遊技の開始時には、図31で示したように獲得可能賞球数S2に今回の大当り遊技の上限賞球数(例えば1200個)が表示されると共に獲得済み賞球数S1に0個が表示される。そして、大当り遊技が開始されて2ラウンドが終了したときに獲得済み賞球数S1に300個が表示される(図33(a))。また、特定ラウンド(第2ラウンド)が終了して、第2特別図柄の当り保留(例えば、8ラウンドの特図2確変大当りB(1200個))が確定していると、獲得可能賞球増加カウンタKに値2が加算される。この場合、前述したように、獲得済み賞球数S1が600個以上となるタイミングと900個以上となるタイミングとが、増加タイミングとなる。このため、3ラウンドが終了して獲得済み賞球数S1が450個に到達したときには増加タイミングでないため、獲得可能賞球数S2は1200個で変化はない(図34(b))。そして、4ラウンドが終了して獲得済み賞球数S1が600個に到達したときには増加タイミングであるため、獲得可能賞球数S2に対する所定の演出(強調表示など)が開始されて(図34(c))、獲得可能賞球数S2が600個増加されて1800個となる(図34(d))。このとき、獲得可能賞球増加カウンタKは値1デクリメントされて値1となる。そして、5ラウンドが終了して獲得済み賞球数S1が750個に到達したときには増加タイミングでないため、獲得可能賞球数S2は1800個で変化がなく(図34(e))、6ラウンドが終了して獲得済み賞球数S1が900個に到達したときには増加タイミングであるため、獲得可能賞球数S2に対する所定の演出(強調表示など)が開始されて(図34(f))、獲得可能賞球数S2がさらに600個増加されて2400個となる(図34(g))。このとき、獲得可能賞球増加カウンタKは値1デクリメントされて値0となる。そして、今回の大当り遊技の規定ラウンドである8ラウンドが終了すると、獲得可能賞球数S2は2400個のまま、獲得済み賞球数S1が1200個に到達する(図34(h))。このとき、獲得可能賞球数S2と獲得済み賞球数S1との差分の1200個の賞球数は、今回の大当り遊技終了後に、当り保留の大当り遊技(特図2確変大当りB)で獲得可能な賞球数であることを遊技者に示すことになる。また、当該当り保留の大当り遊技は、図33(h)に示す状態から賞球表示演出が開始(再開)される。なお、獲得可能賞球数S2に対する所定の演出(強調表示)を行うものの獲得可能賞球数S2が増加しない場合がある(いわゆるガセの賞球数増加演出を行うもの)などとしてもよい。
このように、本実施例では、獲得可能賞球増加カウンタKが値0となるまで、増加タイミングが到来する毎に、獲得可能賞球数S2が所定数Q(600個)ずつ増加していく(最大で計2400個増加する場合がある)ことになる。したがって、最初の増加タイミングで獲得可能賞球数S2が600個増加すると、当り保留があることと、その当り保留が少なくとも4Rの大当り(特図2確変大当りA〜Dのいずれか)であることとを示唆することができ、次の増加タイミングで獲得可能賞球数S2がさらに600個増加すると、当り保留が少なくとも8Rの大当り(特図2確変大当りB〜Dのいずれか)であることを示唆することができる。また、次の増加タイミングで獲得可能賞球数S2がさらに600個増加すると、当り保留が少なくとも12Rの大当り(特図2確変大当りC,Dのいずれか)であることを示唆することができ、さらに次の増加タイミングで獲得可能賞球数S2がさらに600個増加すると、当り保留が16Rの大当り(特図2確変大当りD)であることを示唆することができる。即ち、獲得可能賞球数S2を所定数Q(600個)ずつ段階的に増加させていくことにより、当り保留のラウンド数が徐々に増えていくことになる。このため、獲得可能賞球数S2の賞球数増加演出により、獲得可能賞球数S2がどれだけ増えていくかに対する遊技者の注目を高めて遊技興趣を向上させることができる。
以上説明した実施例のパチンコ機10は、大当り遊技(特定遊技)の実行中に、大当り遊技で獲得した実際の賞球数(付与された利益量)を示す獲得済み賞球数S1(第1利益量)と、大当り遊技で獲得可能な賞球数(付与可能な利益量)を示す獲得可能賞球数S2(第2利益量)とを表示する賞球数表示演出(利益量表示)を実行し、その賞球数表示演出では、大入賞口(第1大入賞口44および第2大入賞口50,可変入球口)への遊技球の入球に基づいて獲得済み賞球数S1を増加させると共に、第2特別図柄の当り保留が確定している場合に所定の増加タイミングで獲得可能賞球数S2を増加させる。このため、獲得済み賞球数S1によって大当り遊技で獲得した実際の賞球数を示すだけでなく、獲得可能賞球数S2によって当り保留があることを遊技者に示すことができるから、賞球数表示演出に遊技者を一層注目させて遊技興趣を向上させることができる。
また、実施例のパチンコ機10は、大入賞口への遊技球の入球に基づいて獲得可能賞球数S2を増加させるから、大入賞口に遊技球が入球すると獲得済み賞球数S1だけでなく獲得可能賞球数S2の変化にも遊技者を注目させることができる。また、実施例のパチンコ機10は、賞球数表示演出を大当り遊技の開始から終了までの間において行うから、大当り遊技中に賞球数に対する遊技者の関心を一層高めることができる。さらに、特定ラウンド(第2ラウンド)が終了してから大当り遊技終了コマンドを受信するまでの期間では獲得可能賞球数S2の賞球数増加演出も行うから、その期間中に賞球数に対する遊技者の関心をより一層高めることができる。
実施例のパチンコ機10では、賞球数表示演出において、獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とを演出表示装置34の表示画面内に上下に並べて表示したが、これに限られず、表示画面内に左右に並べて表示してもよいし、表示画面内の上方の位置(右上隅や左上隅の位置)と下方の位置(右下隅や左下隅の位置)とに離して表示してもよい。また、獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とを演出表示装置34に表示するものに限られず、賞球数を表示するための別の表示装置を設けて、その表示装置に表示してもよい。また、獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とのうち一方を演出表示装置34に表示し、他方を別の表示装置に表示するなど、別々の表示装置に表示するものとしてもよい。また、前述した今回の大当り遊技における獲得済み賞球数を演出表示装置34の画面に表示し、獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2と別の表示装置に表示するものなどとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、獲得済み賞球数S1と獲得可能賞球数S2とを大当り遊技演出中の同じ時期に表示するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、大当り遊技開始から終了までの間に獲得済み賞球数S1を表示するものの、獲得可能賞球数S2は大当り遊技開始時には表示せずに大当り遊技開始後の所定時期から表示を開始したり、大当り遊技終了前の所定時期に表示を終了するものなどとしてもよい。あるいは、獲得済み賞球数S1は、大当り遊技の終了時に消去するものの、獲得可能賞球数S2は、大当り遊技終了後も表示し続けるもの(連荘中は表示し続けるもの)などとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、実行中の大当り遊技が確変大当りであって第2特別図柄の保留に確変大当りに係る当り保留がある場合(所定条件が成立する場合)に、当該当り保留の大当り遊技の上限賞球数に基づいて獲得可能賞球数S2の賞球数増加演出を行うものとしたが、これに限られるものではない。例えば、第2特別図柄の大当りとして、大当り遊技終了後に特図低確率状態が設定される通常大当りを設けておき、第2特別図柄の保留に通常大当りに係る当り保留がある場合に獲得可能賞球数S2の賞球数増加演出を行うものとしてもよい。また、第2特別図柄の当り保留に限られず、第1特別図柄の当り保留がある場合に獲得可能賞球数S2の賞球数増加演出を行うものとしてもよい。ここで、本実施例では、第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先される特図2優先変動としたが、これに限られず、第1始動口36や第2始動口38に遊技球が入球した順に特別図柄を変動させる入球順変動などとしておき、第1特別図柄の保留についても事前判定処理を行い(第1特別図柄および第2特別図柄の保留のいずれも事前判定処理を行い)、大当り遊技中に第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかの保留に当り保留がある場合に、獲得可能賞球数S2の賞球数増加演出を行うものとしてもよい。このようにすれば、第2特別図柄の保留だけでなく第1特別図柄の保留に当り保留がある場合にも獲得可能賞球数S2の賞球数増加演出を行うことができるから、賞球数増加演出の対象となる保留が増える(最大で8個の保留が対象となる)ため、獲得可能賞球数S2の賞球数増加演出の実行機会を増やして遊技興趣を一層向上させることができる。
実施例のパチンコ機10では、大当り遊技開始時に当該大当り遊技の上限賞球数を獲得可能賞球数S2に表示しておき、賞球数増加演出として当り保留の大当り遊技の上限賞球数を獲得可能賞球数S2に加算させる演出を行うものとしたが、これに限られるものではない。例えば、大当り遊技開始時に当該大当り遊技の上限賞球数よりも少ない賞球数を獲得可能賞球数S2に表示しておき、賞球数増加演出として当該大当り遊技の上限賞球数となるまで獲得可能賞球数S2を増加させる演出を行うものとしてもよい。この変形例の賞球関連演出処理を図34に示す。なお、変形例では、実施例と同じ処理には同じステップ番号を付して詳細な説明は省略する。図34では、サブ制御基板90のCPU90aは、S1004で今回の大当りが確変大当りであると判定すると、S1006で獲得済み賞球数S1に値0をセットしてから、獲得可能賞球数S2に確変大当りのうち最小の上限賞球数(特図2確変大当りAの上限賞球数)である600個をセットして(S1008a)、S1010で賞球数表示演出を開始する。このため、大当り遊技開始時には、今回の大当り遊技の上限賞球数に拘わらず、獲得可能賞球数S2に特図2確変大当りAの上限賞球数が表示されるから、12ラウンドや16ラウンドなどのラウンド数の多い大当り遊技が実行される場合であっても、ラウンド数の少ない4ラウンドの大当り遊技であるように見せかけることになる。また、変形例の賞球数関連演出処理では、S1016で大当り遊技終了コマンドを受信すると、S1018で賞球数表示演出中であれば、S1024で賞球数表示演出を終了する。勿論、実施例のように、当り保留があれば賞球数表示演出を継続するものとしてもよい。
また、図35に変形例の賞球数増加演出を示す。変形例の賞球数増加演出では、S1100で獲得済み賞球数S1に賞球数Sを加えると、獲得可能賞球増加カウンタKに値をセット済みであるか否かを判定する(S1107)。獲得可能賞球増加カウンタKに値をセット済みでないと、S1108〜S1112で今回の大当り遊技の上限賞球数を判定する。そして、今回の大当り遊技の上限賞球数が600個と判定すると獲得可能賞球増加カウンタKに値0をセットし(S1114a)、上限賞球数が1200個であると判定すると獲得可能賞球増加カウンタKに値1をセットし(S1116a)、上限賞球数が1800個であると判定すると獲得可能賞球増加カウンタKに値2をセットし(S1118a)、上限賞球数が1800個でなく2400個であると判定すると獲得可能賞球増加カウンタKに値3をセットする(S1120a)。S1114a〜S1120aのいずれかの処理を行うと、S1107で獲得可能賞球増加カウンタKをセット済みであると判定することになる。また、S1116a〜S1120aで獲得可能賞球増加カウンタKに値1〜値3のいずれかをセットした場合には、賞球増加タイミングを設定する(S1122a)。
変形例では、獲得済み賞球数S1が表示中の獲得可能賞球数S2に到達する前の所定タイミングで、獲得可能賞球数S2を増加させるように賞球増加タイミングが設定される。例えば、大当り遊技開始時には、獲得可能賞球数S2に最小の上限賞球数である600個をセットしているから、獲得済み賞球数S1が600個に到達する前の所定タイミング(例えば、表示中の獲得可能賞球数S2の賞球数を獲得できるラウンド中の任意のタイミング、具体的には、獲得済み賞球数S1が、表示中の獲得可能賞球数S2よりも100個少ない賞球数を上回ったタイミングなど)を賞球増加タイミングに設定するものなどとする。賞球増加タイミングを設定すると、S1124〜S1130で、獲得可能賞球増加カウンタKが値0となるまで、賞球増加タイミングが到来したときに、獲得可能賞球数S2を所定数Q(600個)ずつ増加させる賞球数増加演出を行う。
この変形例において賞球数増加演出を伴って賞球数表示演出が行われる様子を図36に示す。図36では、今回の大当り遊技が上限賞球数が1800個の特図2確変大当りCである場合を例示する。大当り遊技の開始時には、獲得可能賞球数S2に最小の上限賞球数(600個)が表示される(図36(a))。この例では本来の上限賞球数が1800個であるため、大入賞口(第1大入賞口44)に最初に遊技球が入球したときに、獲得可能賞球増加カウンタKに値2がセットされることになる。そして、4ラウンド目に獲得済み賞球数S1が500個以上(510個)になると、表示中の獲得可能賞球数S2(600個)よりも100個少ない賞球数を上回った増加タイミングであるため、獲得可能賞球数S2に対する所定の演出(強調表示など)が開始されて(図36(b))、獲得可能賞球数S2が600個増加されて1200個となる(図36(c))。このとき、獲得可能賞球増加カウンタKは値1デクリメントされて値1となる。また、例えば7ラウンド目が終了して獲得済み賞球数S1が1050個になっても、増加タイミングでないため、獲得可能賞球数S2は1200個で変化はない(図36(d))。そして、8ラウンド目に獲得済み賞球数S1が1100個以上(1110個)になると、表示中の獲得可能賞球数S2(1200個)よりも100個少ない賞球数を上回った増加タイミングであるため、獲得可能賞球数S2に対する所定の演出(強調表示など)が開始されて(図36(e))、獲得可能賞球数S2が600個増加されて1800個となる(図36(f))。このとき、獲得可能賞球増加カウンタKは値1デクリメントされて値0となる。獲得可能賞球増加カウンタKが値0になると、獲得済み賞球数S1が増加して表示中の獲得可能賞球数S2(1200個)よりも100個少ない賞球数を上回っても、獲得可能賞球数S2は変化しない(図36(g))。そして、今回の大当り遊技の規定ラウンドである12ラウンドが終了すると、獲得可能賞球数S2の1800個に獲得済み賞球数S1が到達することになる(図36(h))。
このように、変形例では、大当り遊技の実行を開始するときに、その大当り遊技で付与可能な上限賞球数よりも少ない賞球数を獲得可能賞球数S2に表示しておき、大当り遊技の実行中の所定時期に、先に表示した獲得可能賞球数S2を上限賞球数まで増加させる演出を行うのである。このため、獲得可能賞球数S2に少ない賞球数が表示されていても、大当り遊技中に獲得可能賞球数S2が増加するか否かに遊技者を注目させることができるから、遊技興趣を向上させることができる。また、獲得可能賞球数S2を所定数Q(例えば600個)ずつ段階的に上限賞球数まで近付けるから、獲得可能賞球数S2が何回(何段階まで)増加するかに遊技者を注目させることができる。
ここで、実施例では大当り遊技中に記憶されている当り保留の上限賞球数を獲得可能賞球数S2に増加(加算)させることで賞球数増加演出(第1の増加演出)を行い、この変形例では、今回の大当り遊技の上限賞球数まで獲得可能賞球数S2を増加させることで賞球数増加演出(第2の増加演出)を行うものとしたが、これらの賞球数増加演出を選択的に行うものとしてもよいし、これらの賞球数増加演出を組み合わせて行うものとしてもよい。例えば、賞球数増加演出を選択的に行う場合、まず、大当り遊技を開始するときに(特定ラウンドが終了したときに)、当り保留があるか否かを判定し、当り保留があれば第1の増加演出を行い、当り保留がなければ第2の増加演出を行うものとする。即ち、当り保留があれば、大当り遊技開始時(特定ラウンド終了時)の獲得可能賞球数S2に今回の大当り遊技の上限賞球数を表示して大当り遊技中に当り保留の上限賞球数を獲得可能賞球数S2に増加させるものとし、当り保留がなければ、大当り遊技開始時(特定ラウンド終了時)の獲得可能賞球数S2に今回の大当り遊技の上限賞球数よりも少ない賞球数を表示して大当り遊技中に今回の大当り遊技の上限賞球数まで獲得可能賞球数S2を増加させるものなどとすればよい。一方、賞球数増加演出を組み合わせて行う場合、大当り遊技を開始するときに(特定ラウンドが終了したときに)、当り保留がある場合に、大当り遊技開始時の獲得可能賞球数S2に今回の大当り遊技の上限賞球数よりも少ない賞球数を表示して、まず、大当り遊技中に今回大当りの上限賞球数まで獲得可能賞球数S2を増加させていき、獲得可能賞球数S2が上限賞球数に到達した後(第2の増加演出を行った後)に、当り保留の上限賞球数を獲得可能賞球数S2に上乗せして増加させていく(第1の増加演出を行う)ものなどとすればよい。このようにすると、獲得可能賞球数S2がより多いタイミングで増加することになるから、獲得可能賞球数S2の表示に遊技者をより一層注目させて遊技興趣を向上させることができる。
実施例や変形例のパチンコ機10では、賞球数増加演出において獲得可能賞球数S2を所定数Qずつ段階的に増加させるものとしたが、これに限られず、多く増加させる場合と少なく増加させる場合とがあるものとしてもよい。あるいは、段階的に増加させるものに限られず、一度に増加させるものとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、大当り遊技中(特定ラウンド中)に特定領域52を遊技球が通過するか否かに基づいて大当り遊技終了後に特図高確率状態になるか否かが確定するものとしたが、これに限られず、大当り図柄によって大当り遊技終了後に特図高確率状態となるか否かが予め(大当り遊技開始時に)確定しているものとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、大当り遊技中に実際に付与される獲得済み賞球数S1として、第1大入賞口44または第2大入賞口50への遊技球の入球に基づく賞球数を表示したが、これに限られるものではない。例えば、獲得済み賞球数S1に、可変入賞口60への遊技球の入球に基づく賞球数など、他の入球口への遊技球の入球に基づく賞球数を含めるものとしてもよい。あるいは、そのような他の入球口への遊技球の入球に基づく賞球数を含めた賞球数を、獲得済み賞球数S1や獲得可能賞球数S2とは別に表示するものなどとしてもよい。
また、本実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口、第2始動口、大入賞口等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与する遊技機(パチンコ機)に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAM(遊技価値管理制御部)に記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプの遊技機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。もちろん、遊技価値管理制御部が管理する遊技価値として、遊技の結果得られた遊技価値と、現金等を投入することで得られた遊技価値とを別に管理(別途に表示)してもよいし、一緒に管理(加減算して表示)してもよい(別表示と加減算表示の両方をしてもよい)。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機としては、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成された遊技機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、パチンコ機10が「遊技機」に相当し、第1大入賞口44および第2大入賞口50が「可変入球口」に相当し、図30の賞球関連演出処理(図32の賞球数増加演出)を実行するサブ制御基板90のCPU90aと演出表示制御基板91と演出表示装置34とが「演出実行手段」に相当する。また、図11の特別図柄遊技処理のS218,S220の処理を実行する主制御基板70のCPU70aと受信した特図保留発生時コマンドに含まれる情報を記憶するRAM90cとが「取得情報記憶手段」に相当する。なお、図34の賞球関連演出処理(図36の賞球数増加演出)を実行するサブ制御基板90のCPU90aと演出表示制御基板91と演出表示装置34も「演出実行手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。