JP6405994B2 - ロールヘミング加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、パネル端部の縁曲げ加工に多用されるロールヘミング加工装置に関し、特に自動車の車体パネルのほかドア等のカバーパネル(開閉体)のようにアウタパネルとインナパネルとの重合結合部となるパネルの端部に縁曲げを施すロールヘミング加工装置に関するものである。
この種のロールヘミング加工装置として例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。この特許文献1に記載された従来のロールヘミング加工装置では、押圧ローラと対向するように当該押圧ローラと共にワークのフランジを挟持してヘミング加工力を受ける受けローラを設けると共に、押圧ローラには押圧力付与機構を付帯させて、これらをローラ機構として定位置に配置する。その一方、ローラ機構と隣接配置されたロボットのハンドにワークを支持させ、上記のように押圧ローラと受けローラとでワークのフランジを挟持した状態でロボットの自律動作によりワークを移動させることにより、ワークの端部のフランジに連続的にヘミング加工が施されることになる。
この従来のロールヘミング加工装置によれば、下型の類を廃して下型の段取り替えや保管場所を不要とし、低コストで高効率のロールヘミング加工が行えるとされている。なお、同様の技術が特開平7−68324号公報にも開示されている。
特開平7−132327号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来のロールヘミング加工装置では、ティーチング・プレイバック型のロボットを母機として構築されているため、生産性に優れる反面、設備費の高騰を招くことになり、例えば少品種の極少量生産には経済性の面で不向きと言わざるを得ない。
その一方、例えばサービスパーツの生産に代表されるような少品種の極少量生産の場合には、高機能且つ高価な設備に頼らずに、極論的にはマニュアル操作でも良いからきわめて簡易且つ汎用性のある設備構成で所期の目的を達成することができるロールヘミング加工装置の要請が一部にある。
本発明はこのような要請に応えるべくなされたものであり、きわめて簡易且つ汎用性のある設備構成で所期の目的を達成することができるロールヘミング加工装置を提供するものである。
本発明は、ダイに位置決めされたパネルの端部に縁曲げを施すロールヘミング加工装置であって、上記パネルへの縁曲げ加工を施す縁曲げローラと、上記縁曲げローラに対し所定距離隔てながら当該縁曲げローラと対をなすとともに、加工時にその縁曲げローラとの間にパネルをダイとともに挟み込むバックアップローラ、および上記ダイをバックアップローラの回転中心方向の両側から挟み込む少なくとも一対の案内部材のそれぞれが共通のユニット本体に回転可能に支持されているローラ加工ユニットを備えている。さらに、当該ローラ加工ユニットに加えて、上記ローラ加工ユニットを首振り旋回可能に支持しているアーム部材と、上記アーム部材をダイに対して接近離間する方向に進退移動可能に案内支持している支持体と、を備えている。
その上で、上記支持体に対しアーム部材の進退移動方向と直交する水平方向に直線的な送りを付与することにより、上記アーム部材の進退移動動作とローラ加工ユニットの首振り旋回動作を伴いながら当該ローラ加工ユニットがダイの一部に倣って相対移動して縁曲げを施すようになっているとともに、上記ローラ加工ユニットのうち縁曲げローラとバックアップローラとが接近離間可能に構成されていることを特徴とする。
ここで、本発明では、機械的な倣い作用によってローラ加工ユニットを首振り旋回動作させながらパネルと相対移動させるようにしているので、それによってヘミング加工力が発生し、そのヘミング加工力は縁曲げローラとバックアップローラとに挟持されたダイの一部が負担することになる。そのため、マニュアル操作にてヘミング加工する場合でも、支持体に加える送り操作力は極めて小さい操作力で済むことになる。
本発明によれば、ロボットのような高機能且つ高価な設備を用いることなく、きわめて簡易な設備構成でヘミング加工を行うことができるので、設備費の大幅な低廉化が図れる。また、ローラ加工ユニットを構成している縁曲げローラとバックアップローラとが接近離間可能であって、実質的にローラ加工ユニットがダイに対して脱着可能であることから、例えば縁曲げ加工部位となるヘミングフランジ部の長手方向の途中位置にてローラ加工ユニットをダイに装着して縁曲げ加工を始めることもできるようになり、設備の汎用性が一段と高いものとなる。
本発明が前提としているマニュアル式のロールヘミング加工装置の概略を示す平面説明図。 図1のb−b線に沿った拡大断面説明図。 (A)は予備曲げとしてのプリヘミング加工の概略を示す説明図、(B)は予備曲げに続く本曲げとしてのヘミング加工の概略を示す説明図。 本発明に係るロールヘミング加工装置の第1の実施の形態を示す図で、ローラ加工ユニットのアンクランプ状態での構造を示す斜視図。概略説明図。 図4に示すローラ加工ユニットのクランプ状態での構造を示す斜視図。 図4,5に示すローラ加工ユニットの要部の分解斜視図。 本発明に係るロールヘミング加工装置の第2の実施の形態を示す図で、ローラ加工ユニットの別の例を示す斜視図。 本発明に係るロールヘミング加工装置の第2の実施の形態を示す図で、図1の変形例を示す平面説明図。 図4,5に示すローラ加工ユニットでのローラの位置調整およびローラ交換時の説明図。
最初に、本発明が前提としているマニュアル式のロールヘミング加工技術の概略を図1,2に基づいて説明する。
図1は例えば自動車のホイールアーチ部のような円弧状部でのロールヘミング加工を司る装置の概略平面説明図を、図2は図1のb−b線に沿った拡大断面説明図をそれぞれ示している。また、図3は上記装置によるロールヘミング加工の工程説明図である。
ロールヘミング加工は、一般的には、図3の(A)に示すようにアウタパネル1とインナパネル2とを重ね合わせた状態で、アウタパネル1の端末部に予め直立形成されているヘミングフランジ部1aをプリへミングローラ3により45°程度まで折り曲げる縁曲げとしての予備曲げ(プリヘミング)と、同図(B)に示すように、予備曲げ後のヘミングフランジ部1aをヘミングローラ4によりアウタパネル1の一般部に重合するまで折り返していわゆるクリンチ状態とする縁曲げとしての本曲げ(本ヘミング)と、の2工程に分けて行われる。そして、図1,2に示したロールヘミング加工装置は図3の(B)の予備曲げ(プリヘミング)を施す場合の例を示している。
図1に示すロールヘミング加工装置は、水平なテーブル5の上に下型に相当するヘミングダイ6が固定配置されていて、このヘミングダイ6はヘミング加工対象となるアウタパネル1の円弧状部の曲率に合致する形状のものとして形成されている。ヘミングダイ6は、図2に示すように、上壁部6aと縦壁部6bとからなる断面略アングル状のものであり、その上壁部6aの上にヘミング加工対象となるアウタパネル1が位置決め載置されることになる。その上で、そのアウタパネル1はインナパネル2と共に図示しないパッドあるいはクランパーによりヘミングダイ6に押し付けられて加圧拘束されることになる。なお、図2ではインナパネル2を図示省略している。
上記ヘミングダイ6に近接してローラ加工ユニット7を設けてある。このローラ加工ユニット7は、後述するように、ヘミングダイ6と協働して直接縁曲げとしてのロールヘミング加工を施すものであり、長尺なアーム部材8の先端に首振り旋回可能に装着してあるとともに、アーム部材8は支持体としてのスライダ9に図示外のリニアガイドを介して長手方向に進退移動可能(スライド可能)に支持されている。また、スライダ9に設けられた図示しないナット部材とそれに螺合するスクリューシャフト10とでボールねじ11が構成されていて、スクリューシャフト10はテーブル5から立設された支持ブラケット12に回転可能に両持ち支持されている。ボールねじ11は支持体としてのスライダ9に直線的な送りを付与するための送り付与手段として機能する。
さらに、スクリューシャフト10の一端には異形の嵌合接続部10aが形成されていて、この嵌合接続部10aに対し例えば回転駆動手段としての手動式のハンドル13が嵌合接続される。これにより、ハンドル13を操作してスクリューシャフト10を正転または逆転駆動させれば、それに応じてスライダ9に直線的な送りが与えられて、スライダ9がスクリューシャフト10の軸心方向にスライド移動するようになっている。
なお、上記ハンドル13に代えて、スクリューシャフト10側の嵌合接続部10aにインパクトレンチまたはナットランナーのソケット部を嵌合させて、それらのインパクトレンチまたはナットランナーの駆動力を用いてスクリューシャフト10を回転させるようにしても良い。さらに、スクリューシャフト10の嵌合接続部10aに電動モータあるいは油空圧式モータの回転軸を接続して、モータ駆動にてスクリューシャフト10を回転させるようにしても良い。
上記ボールねじ11の配置形態については、ヘミングダイ6が、加工対象となるアウタパネル1のヘミング加工部位の円弧状部の曲率と同じ曲率を有しているものとすれば、ヘミングダイ6が描く所定曲率の円弧の弦とほぼ並行にスクリューシャフト10が配置されている。そして、そのスクリューシャフト10に螺合するナット部材がスライダ9に設けられているとともに、平面視にてスクリューシャフト10と直交する長尺なアーム部材8がスライダ9にスライド可能に、すなわちヘミングダイ6に対して進退移動可能に軸受支持されている。なお、図1の例では、アーム部材8はヘミングダイ6の長手方向中央部においてはその法線方向を指向していることになる。
アーム部材8の先端部には、図2に示すように、ボールジョイント(球面継手)14を介してローラ加工ユニット7を首振り旋回可能に支持させてある。ローラ加工ユニット7は、後述するプリへミングローラ18を回転可能に軸受支持している台座部15の下側に、エクステンションブロック16と変形チャンネル状のガイドヨーク部17を延長形成したものである。エクステンションブロック16は先に説明したボールジョイント14との結合部となっているとともに、ガイドヨーク部17はヘミングダイ6の縦壁部6bを跨ぐかたちでこれを受容して、三方向からヘミングダイ6の縦壁部6bを抱持している。
台座部15には縁曲げローラとしてプリへミング加工のための円錐台状のプリへミングローラ18が例えば角柱状の軸体19を介して回転可能に軸受支持されているとともに、ガイドヨーク部17のうちヘミングダイ6の縦壁部6bを挟んで上下方向でプリへミングローラ18と対向する位置にはバックアップローラ20が回転可能に支持されている。なお、バックアップローラ20はヘミングダイ6の長手方向に前後一対のものとして配置されていて、ヘミングダイ6における縦壁部6bの下端面を案内面として転動することになる。また、プリへミングローラ18とバックアップローラ20はその回転中心が互いに平行となるように設定されている。
そして、プリへミングローラ18とバックアップローラ20との間に、予めヘミングフランジ部1a(図3参照)が直立形成されているアウタパネル1をヘミングダイ6とともに挟み込むことで、プリへミングローラ18によるプリへミング加工(ロールヘミング加工)が施されることになるので、プリへミングローラ18とバックアップローラ20との相対距離、すなわちプリへミングローラ18とバックアップローラ20との回転中心間距離は、加工完了時のヘミングフランジ部1aの曲げ度合いに応じて予め設定されている。
また、ガイドヨーク部17には、ヘミングダイ6の縦壁部6bを厚み方向の両側(バックアップローラ20の回転中心方向の両側)から挟み込む案内部材としての複数のガイドローラ21,22が回転可能に設けられている。ここでは、縦壁部6bの背面側に一対のガイドローラ21をヘミングダイの長手方向に並べて配置するとともに、縦壁部6bの前面側に上下一対のガイドローラ22を同じくヘミングダイの長手方向に二組並べて配置してある。これにより、プリへミングローラ18を支持しているローラ加工ユニット7は、ヘミングダイ6に対しバックアップローラ20によって上下方向位置が拘束されているとともに、複数のガイドローラ20,21によって図2の左右方向での位置が拘束されている。なお、案内部材としてのガイドローラ21,22に代えて、ニードル、ボール等の他の転動体のほか、摩擦係数の小さな摺動部材を用いても良い。
このように、ローラ加工ユニット7側のバックアップローラ20および複数のガイドローラ21,22が実質的にヘミングダイ6の縦壁部6bを抱持しているので、図1のボールねじ11のスクリューシャフト10の軸心方向に沿って直線的な送り、例えば図1のスクリューシャフト10の左端部から右端部側に向かって直線的な送りを付与すれば、ローラ加工ユニット7は自律的に首振り旋回しながらヘミングダイ6の曲率に倣ってそのヘミングダイ6の長手方向に移動することになる。そして、ローラ加工ユニット7の移動に伴って、プリへミングローラ18がアウタパネル1側のヘミングフランジ部1aに沿って転動するとともに、ヘミングダイ6と協働して、アウタパネル1側のヘミングフランジ部1aに縁曲げとしてプリへミング加工を施すことになる。
この場合において、図2に示すように、複数のローラ20,21,22を有するローラ加工ユニット7が断面アングル状のヘミングダイ6を抱持していて、機械的な倣い作用によってローラ加工ユニット7を首振り旋回動作させながらアウタパネル1と相対移動させるようにしているので、それによってヘミング加工力が発生し、そのヘミング加工力はプリヘミングローラ18とバックアップローラ20とに挟持されたダイ6が負担することになる。そのため、例えば図1のハンドル13を用いてマニュアル操作にてヘミング加工を施す場合であっても、ハンドル13の回転操作力はきわめて小さなもので済むことになる。
図4以下の図面は本発明に係るロールヘミング加工装置を実施するためのより具体的な形態を示していて、特に図4では図2に示したローラ加工ユニット7の構造を基本としたローラ加工ユニット27の詳細を示している。
図4において、図2と比較すると明らかなように、台座部15やガイドヨーク部17と母体としてこれらに組み付けられたヘミングローラ18、バックアップローラ20および複数のガイドローラ21,22にて実質的にヘミングダイ6の縦壁部6bを抱持することができる点では図2のものと同一であるものの、台座部15とガイドヨーク部17とを切り離して両者を接近離間可能に構成した点で異なっていて、そのために台座部15を昇降可能に案内支持するスライドガイド機構33が設けられている。
より詳しくは、図4に示すように、背板34と上下一対の支持板35,36とにより側面視略コ字状をなすユニット本体としてのガイドブラケット37が形成されている。このガイドブラケット37に上下方向を指向する一対のガイドロッド38が設けられていて、これらのガイドロッド38にローラ加工ユニット27の台座部15、すなわちプリヘミングローラ18を支持している台座部15が昇降可能に案内支持されている。他方、台座部15から独立したガイドヨーク部17、すなわりプリヘミングローラ18以外の複数のバックアップローラ20や複数のガイドローラ21,22を支持しているガイドヨーク部17はガイドブラケット37における下側の支持板36に連結支持されている。これにより、ローラ加工ユニット27では、プリヘミングローラ18を支持している台座部15と、プリヘミングローラ18以外のバックアップローラ20やガイドローラ21,22を支持しているガイドヨーク部17とは、上下方向で接近離間動作可能となっている。なお、スライドガイド機構33におけるガイドブラケット37の背板34の背面側には、図2に示したようにアーム部材8との連結部となるボールジョイント14が設けられる。
また、ガイドブラケット37にはクランプレバー39aを操作部とするトグルクランプ機構39が設けられていて、このトグルクランプ機構39の一部が台座部15の一部に連結されている。そして、図4に示すように、クランプレバー39aがアンクランプ位置P1にある状態では、一対のガイドロッド38に案内支持されている台座部15が上昇することでガイドヨーク部17から離間してアンクランプ状態にある一方、図5に示すように、クランプレバー39aがクランプ位置P2にある状態では、一対のガイドロッド38に案内支持されている台座部15が下降することでガイドヨーク部17に接近してクランプ状態となり、トグルクランプ機構39の特性としてそのクランプ状態を自己保持することができるようになっている。
つまり、ローラ加工ユニット27は、プリヘミングローラ18を支持している台座部15と、プリヘミングローラ18以外のバックアップローラ20やガイドローラ21,22を支持しているガイドヨーク部17とが接近離間可能、すなわちクランプ,アンクランプ動作可能であることから、図1,2に示したヘミングダイ6に対してその脱着が可能となっている。これにより、トグルクランプ機構39は、バックアップローラ20に対してプリヘミングローラ18を接近離間動作させるための操作機構として機能することになる。
言い換えるならば、先に説明したように、ヘミングダイ6のうちヘミング加工に直接関与する部分が図2のように断面略アングル状のものとして形成されていることから、スライドガイド機構33に支持されているローラ加工ユニット27をアンクランプ状態とした上で図2に示したボールジョイント14の自由度を併用することで、ヘミングダイ6に対してその脱着が可能となっいる。そして、ローラ加工ユニット27を図2のヘミングダイ6に装着した上で図5のようにクランプ状態とするならば、図2のものと同様にプリヘミングローラ18やバックアップローラ20さらにはガイドローラ21,22が断面アングル状のヘミングダイ6を抱持するかたちとなり、なお且つトグルクランプ機構39の特性としてそのクランプ状態を自己保持することができる。そして、このクランプ状態においては、プリヘミングローラ18を支持している台座部15と、プリヘミングローラ18以外のバックアップローラ20やガイドローラ21,22を支持しているガイドヨーク部17との相対位置関係は、図2に示したものと何ら異なるところがないことになる。
図6は台座部15におけるプリヘミングローラ18の支持形態の具体例を示していて、ここでは台座部15に対しプリヘミングローラ18がローラアダプタ40を介して脱着可能な構造となっている。
図6に示すように、台座部15には正面視にて略L字状をなすホルダ41が固定されているとともに、ホルダ41の張り出し部41aと対向するようにして矩形状の着座基準凹部42が形成されている。そして、この着座基準凹部42に対し後述するローラアダプタ40が着座するようにして、当該着座基準凹部42とホルダ41の張り出し部41aとの対向間隙内にローラアダプタ40が挿入される。
他方、プリンへミングローラ18は角柱状の軸体19の先端に回転自在に装着されていて、その軸体19が高さ位置調整用のシムプレート43と共にローラアダプタ40に止めねじ44にて固定支持されている。ローラアダプタ40は正面視にて例えば変形コ字状をなしていて、その高さがホルダ41側の着座基準凹部42とホルダ41の張り出し部41aとの対向間隙内に嵌合し得る大きさに設定されているとともに、着座フランジ部40aがホルダ41側の着座基準凹部42に着座嵌合するように設定されている。なお、軸体19は止めねじ44にて締め上げられることでシムプレート43を介してローラアダプタ40の張り出し部40bの内下面に着座している。
そして、ホルダ41側の着座基準凹部42とローラアダプタ40の着座フランジ部40aにそれぞれ位置決め穴45が形成されていることから、着座基準凹部42に着座フランジ部40aが着座するようにホルダ41にローラアダプタ40を挿入した上で、着座基準凹部42および着座フランジ部40aの双方に形成された位置決め穴45に共通の位置決めピン46を挿入することで、ホルダ41に対するローラアダプタ40の位置決め固定、ひいてはホルダ41に対して、ローラアダプタ40に支持されているプリヘミングローラ18が脱着可能に位置決め固定されるようになっている。
ここで、図6に示すように、ローラアダプタ40を併用して、ホルダ41を有する台座部15に対しプリへミングローラ18を脱着可能な位置決め固定構造としているのは、プリへミングローラ18の交換を容易にするためである。そして、台座部15にローラアダプタ40を嵌合保持させた状態では、ホルダ41側の張り出し部41aと着座基準凹部42とによってローラホルダ40の上下方向位置が規制され、着座基準凹部42の周壁面のほか、位置決め穴45と位置決めピン46との嵌合によって前後左右方向の位置が規制されることになるので、簡易な位置決め固定構造でありながらもプリへミング加工に十分に対抗することができるだけの強度および剛性が得られることになる。
したがって、本実施の形態によれば、ローラ加工ユニット27がヘミングダイ6に対して積極的に脱着可能である点を除けば、ローラ加工ユニット27による実際の加工形態は先に説明した図1〜3のものと同様である。
ここで、ヘミングダイ6に対してローラ加工ユニット27を装着する場合には、図4に示すように、トグルクランプ機構39のクランプレバー39aをアンクランプ状態とし、プリへミングローラ18とバックアップローラ20とを大きく離間させて、両者の相対距離を可及的に大きく確保する。
そして、プリへミングローラ18とバックアップローラ20とを大きく離間させた状態で、図2のボールジョイント14等の自由度を使って、ヘミングダイ6の所定位置においてプリへミングローラ18とバックアップローラ20との間にそのヘミングダイ6をヘミングフランジ部1a(図2参照)とともに加え込む。その状態で、トグルクランプ機構39のクランプレバー39aをクランプ状態とすることで図5の状態とし、プリへミングローラ18とバックアップローラ20との間にヘミングダイ6をヘミングフランジ部1a(図2参照)とともに挟み込む。この時、トグルクランプ機構39の特性として、ヘミングローラ6を挟み込んだプリへミングローラ18とバックアップローラ20との相対位置を自己保持することが可能となる。つまり、プリへミングローラ18とバックアップローラ20のほか他のガイドローラ21,22により断面略アングル状のヘミングダイ6を抱持することで、図2と同等の状態とすることができる。この状態で、先にも述べたように支持体としてのスライダ9にボールねじ11にて直線的な送りを与えれば、図2,3と同様にプリヘミング加工を施すことができる。
また、逆に図5の状態から図4の状態へとトグルクランプ機構39のクランプレバー39aをアンクランプ状態とすることで、ローラ加工ユニット27をヘミングダイ6から容易に取り外すことが可能となる。
ここで、マニュアル式のロールヘミング加工を前提とした本実施の形態において、ローラ加工ユニット27がヘミングダイ6に対して積極的に脱着可能であることは、次のような利点をもたらす。例えば図1において、仮に位置S1をプリへミング加工の始端部(縁曲げ開始位置)とし、位置S2をプリへミング加工の終端部(縁曲げ終了位置)とした場合、中間の位置S3で、要求されるヘミング度合いの変化、あるいはプリヘミング品質のばらつき解消等のために、プリヘミングローラ18を交換したいとの要請がある。また、加工対象となるパネルの種別によっては、中間の位置S3から終端部S2に向けてプリヘミング加工を開始したいとの要請がある。本実施の形態では、上記のようにローラ加工ユニット27がヘミングダイ6に対して積極的に脱着可能な構造であることで、実質的に任意の位置からプリヘミング加工を開始できることから、マニュアル式のロールヘミング加工でありながらも、上記のような特殊な要請にも無理なく対応することができ、汎用性の面で優れたものとなる。
また、図6に示すように、プリヘミングローラ18の支持構造として、ローラアダプタ40による脱着可能な構造としているのは、プリヘミングローラ18の積極的な交換を容易にするためであることは先に述べた。したがって、図6の予備曲げ用のプリへミングローラ18に代えて、その予備曲げに続く本曲げ用のヘミングローラ(図3の(B)に示したものと同等のもの)をローラアダプタ40を用いて台座部15に装着することで、本曲げとしてのローラヘミング加工にも無理なく対応することができる。この点については後述する。
このように本実施の形態によれば、一見退歩的なヘミング加工技術でありながらも、ロボットのような高機能且つ高価な設備を用いることなく、きわめて簡易な設備構成でヘミング加工を行うことができるので、設備費の大幅な低廉化が図れ、特にドアパネルの少品種極少量生産の場合にはきわめて有効である。
図7は本発明に係るロールヘミング加工装置の第2の実施の形態を示す図で、先に説明した図4,5と共通する部分には同一符号を付してある。
この第2の実施の形態では、図7に示すように、ローラ加工ユニット27のスライド案内機構33に案内支持されている台座部15を昇降動作させる手段、すなわちバックアップローラ20に対してプリヘミングローラ18を接近離間動作させるための操作機構として、図4,5のトグルクランプ機構39に代えて、回転式の操作ハンドル47を用いたものである。
この第2の実施の形態では、スライドガイド機構33のボス部33aに螺合するねじ軸47aの一端が操作ハンドル47の中心部に同軸一体に連結されているとともに、ねじ軸47aの他端が台座部15に回転可能に連結されていて、操作ハンドル47を回転操作することで、スライドガイド機構33に案内支持されている台座部15が昇降動作、つまり、台座部15に支持されているプリミングローラ18が、ガイドヨーク部17に支持されているその他のガイドローラ20,21,22に対して接近動作することが可能となっている。そのため、先の第1の実施の形態と同様に、ヘミングダイ6に対するローラ加工ユニット27の脱着を手作業にて容易に行うことができる。
したがって、この第2の実施の形態においても、先の第1の実施の形態と作用効果が得られることになる。
ここで、図1に示したように、仮に位置S1をプリへミング加工の始端部(縁曲げ開始位置)とし、位置S2をプリへミング加工の終端部(縁曲げ終了位置)とした場合、マニュアル式のロールヘミング加工では、例えばボールねじ11の送りストロークに十分な余裕があるような場合には、作業者の個人差によりプリへミング加工の始端部と終端部の位置がばらつくことがあり、それによってプリへミング加工品質のばらつきや品質不良を招くおそれがあることは否めない。
そこで、このような場合には、第3の実施の形態として図8に示すように、ボールねじ11のスクリューシャフト10を両持ち支持している支持ブラケット12から所定長さのバー状ストッパー部材48a,48bをそれぞれ延長形成し、一方のストッパー部材48aに支持体としてのスライダ9を突き当てた状態をプリへミング加工の始端部とし、他方のストッパー部材48bにスライダ9を突き当てた状態をプリへミング加工の終端部として、スライダ9に直線的な送りを付与してプリヘミング加工を行うものとする。
こうすることにより、プリへミング加工品質のばらつきや品質不良の発生を未然に防止することができ、プリへミング加工品質の向上と安定化が図れるようになる。
図9は図6のローラアダプタ40を用いた場合のローラの位置調整およびローラ交換の具体的な態様を示している。
図6に示したように、台座部15側の着座基準凹部42に対してローラアダプタ40が位置決めピン46等を介して着脱可能となっているとともに、そのローラアダプタ40に対して止めねじ44を介して角柱状の軸体19が着脱可能となっている。さらに、軸体19の小径軸部に対して抜け止め部材49や軸受部材50およびワッシャー51を介してプリヘミングローラ18が着脱可能となっている。なお、図6および図9の(A)に示すように、軸体19の下側に隙間Gが発生するが、軸体19はローラアダプタ40側の張り出し部40bに対して止めねじ44にて締め上げられており、しかも加工時の反力が上向きに作用するので、上記隙間Gの存在は加工上問題となることはない。
このような各部の着脱可能な構造を前提に、図9の(A)に示すように、例えばプリヘミングローラ18を標準状態とした場合、ローラアダプタ40側の張り出し部40bと軸体19との間にシムプレート43が介装されていることにより、プリヘミングローラ18の上下方向の位置が定められている。同様に、軸体19とプリヘミングローラ18との間にシムプレート52が介装されていることにより、プリヘミングローラ18の回転中心(軸心)方向の位置が定められている。なお、図9の(A)〜(C)では台座部15側のホルダ41は図示省略している。
その一方、図9の(B)に示すように、同図(A)のプリヘミングローラ18からそれよりも大径のヘミングローラ53に交換する場合には、同図(A)に比べて、軸体19の中心位置を所定量だけ高くするとともに、ヘミングローラ53を所定量だけ前進させる必要がある。そこで、同図(B)に示すように、ローラアダプタ40の張り出し部40bと軸体19との間に介装されていたシムプレート43を抜き取る一方、軸体19とヘミングローラ53との間にはシムプレート52に加えて別の板厚の小さなシムプレート54を追加するものとする。
また、図9の(C)に示すように、同図(A)のプリヘミングローラ18からそれよりも小径のプリヘミングローラ55に交換する場合には、同図(A)に比べて、軸体19の中心位置を所定量だけ下げるとともに、プリヘミングローラ55を所定量だけ後退させる必要がある。そこで、同図(C)に示すように、ローラアダプタ40の張り出し部40bと軸体19との間にシムプレート43に加えて別のシムプレート56を追加するとともに、軸体19とプリヘミングローラ18との間の介装されていたシムプレート52を抜き取るものとする。
さらに、図9の(A)の標準状態のプリヘミングローラ18を使用することを前提として、そのプリヘミングローラ18の上下方向の位置や回転中心方向の位置をする調整する場合にも同様の手法とする。
こうすることにより、例えば要求されるヘミングフランジ部1aの曲げ度合いの相違、あるいはヘミング加工品質の不具合調整等に応じて、ローラの位置調整やローラそのものを交換する場合にも柔軟に且つ容易に対応することができ、マニュアル式のロールヘミング加工を前提としながらも、設備としての汎用性が高いものとなる。
ここで、上記各実施の形態では、ローラ加工ユニット27としてプリンへミング加工(予備曲げ)のためのプリへミングローラ18を備えている場合について説明したが、先にも述べたように、プリへミングローラ18に代えて、本曲げのためのヘミング加工用のヘミングローラを備えている場合にも本発明を適用することができる。さらに、上記各実施の形態では、自動車のホイールアーチ部のような円弧状部でのロールヘミング加工について例示しているが、本発明はいわゆる倣い方式のロールヘミング加工であるために、ホイールアーチ部のような円弧状部以外にも、例えばドアパネルに代表されるようなカバーパネル(開閉体)類の直線的部位のヘミング加工のほか、カバーパネル類以外の同種のヘミング加工にも同様に適用することができるものである。
1…アウタパネル
1a…ヘミングフランジ部
6…ヘミングダイ
8…アーム部材
9…スライダ(支持体)
10…スクリューシャフト
11…ボールねじ(送り付与手段)
18…プリヘミングローラ(縁曲げローラ)
20…バックアップローラ
21…ガイドローラ(案内部材)
22…ガイドローラ(案内部材)
27…ローラ加工ユニット
37…ガイドブラケット(ユニット本体)
39…トグルクランプ機構(操作機構)
48a,48b…ストッパー部材
43,52,54,56…シムプレート

Claims (7)

  1. ダイに位置決めされたパネルの端部に縁曲げを施すロールヘミング加工装置であって、
    上記パネルへの縁曲げ加工を施す縁曲げローラと、上記縁曲げローラに対し所定距離隔てながら当該縁曲げローラと対をなすとともに、加工時にその縁曲げローラとの間にパネルをダイとともに挟み込むバックアップローラ、および上記ダイをバックアップローラの回転中心方向の両側から挟み込む少なくとも一対の案内部材のそれぞれが共通のユニット本体に回転可能に支持されているローラ加工ユニットと、
    上記ローラ加工ユニットを首振り旋回可能に支持しているアーム部材と、
    上記アーム部材をダイに対して接近離間する方向に進退移動可能に案内支持している支持体と、
    を備えていて、
    上記支持体に対しアーム部材の進退移動方向と直交する水平方向に直線的な送りを付与することにより、上記アーム部材の進退移動動作とローラ加工ユニットの首振り旋回動作を伴いながら当該ローラ加工ユニットがダイの一部に倣って相対移動して縁曲げを施すようになっているとともに、
    上記ローラ加工ユニットのうち縁曲げローラとバックアップローラとが接近離間可能に構成されていることを特徴とするロールヘミング加工装置。
  2. 上記ローラ加工ユニットのうち縁曲げローラとバックアップローラとが接近離間可能に構成されていることにより、ローラ加工ユニットがダイに対して脱着可能となっていることを特徴とする請求項1に記載のロールヘミング加工装置。
  3. 上記ローラ加工ユニットのうちバックアップローラに対して縁曲げローラが接近離間可能に構成されているとともに、
    上記バックアップローラに対して縁曲げローラを接近離間動作させる操作機構を備えていることを特徴とする請求項2に記載のロールヘミング加工装置。
  4. 上記操作機構は、バックアップローラに対して縁曲げローラを接近動作させた時に両者の間にダイを挟み込んでその状態を自己保持する機能を有していることを特徴とする請求項3に記載のロールヘミング加工装置。
  5. 上記支持体に対しアーム部材の進退移動方向と直交する水平方向に直線的な送りを付与する送り付与手段として、支持体に設けられたナット部材と当該ナット部材に螺合するスクリューシャフトとからなるボールねじを有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のロールヘミング加工装置。
  6. 上記ローラ加工ユニットを縁曲げ開始位置および縁曲げ終了位置で位置決め停止させるために、送り手段によって送りが付与される支持体に対し上記縁曲げ開始位置および縁曲げ終了位置の相当する位置で当接してその位置を規制するストッパー部材を備えていることを特徴とする請求項5に記載のロールヘミング加工装置。
  7. 上記縁曲げローラは軸体に対して回転可能で且つ脱着可能に支持されているとともに、
    上記軸体はローラアダプタに対して脱着可能に、当該ローラアダプタはローラ加工ユニットのユニット本体に対して脱着可能にそれぞれ支持されていて、
    上記縁曲げローラは、当該縁曲げローラと軸体との間に介在しているシムプレートの交換により回転中心方向での位置が、上記ローラアダプタと軸体との間に介在しているシムプレートの交換により上下方向の位置がそれぞれ調整可能となっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のロールヘミング加工装置。
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