以下に添付図面を参照して本願に係る記録制御プログラム、記録制御方法及び記録制御装置について説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
[システム構成]
図1は、実施例1に係る授業支援システムの構成を示す図である。図1に示す授業支援システム1は、デジタル教材を通じた授業支援の一形態として、ある課題に対する生徒の意見の一覧表示を含む意見板を電子黒板20上で公開し、教師と生徒および生徒同士が教え学び合う協働教育を支援する協働教育支援サービスを提供する。
かかる協働教育支援サービスの一環として、授業支援システム1は、教師端末10への回答に至らなかった意見であっても、生徒端末30A〜30Cで回答の過程で入力された意見を記録し、もって協働教育に有用な意見が埋もれるのを抑制する。
図1に示すように、授業支援システム1には、教師端末10と、電子黒板20と、生徒端末30A〜30Cとが収容される。なお、図1には、3つの生徒端末を図示したが、授業支援システム1は任意の数の生徒端末を収容できる。以下では、生徒端末30A〜30Cの各装置を区別なく総称する場合には、「生徒端末30」と記載する場合がある。
これら教師端末10及び生徒端末30の間は、ネットワーク5を介して相互に通信可能に接続される。かかるネットワーク5には、有線または無線を問わず、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの構内通信網を始め、インターネット(Internet)などの任意の種類の通信網を採用できる。
教師端末10は、教師が使用する端末装置である。ここで言う「教師」とは、授業の参加者のうち教える側の人物を指す。一例としては、各種の教員が挙げられるが、必ずしも各種の教員免許を有する有資格者でなくともかまわない。
一実施形態として、教師端末10には、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして上記の協働教育支援サービスを実現する教師端末用の協働教育支援プログラムがインストールされる。かかる教師端末用の協働教育支援プログラムを教師端末10のプロセッサ上で動作させることによって、一例として、協働教育を実施する課題の選択、各生徒端末30への課題の配信、各生徒端末30から回答された意見の一覧表示などの機能を実現できる。
例えば、教師端末10には、タブレット型の情報処理端末、いわゆるタブレット端末を採用できる。このように教師端末10にタブレット端末を採用することによって、教師端末10では、タッチペンや手指を介して各種の指示操作を受け付けることができる。この他、教師端末10では、後述のタッチパネル11上で、文字列やマークなどの手書き入力を受け付けることができる。以下では、タッチペンや手指によって手書きの文字列やマークをタッチパネルへ入力することを「手書き入力」と記載するとともに、タッチパネルが手書き入力を介して受け付ける文字列やマークのことを「マーク記述」と記載する場合がある。
電子黒板20は、所定のプロジェクタ等から出力される画像を表示する装置である。
一実施形態として、電子黒板20には、インタラクティブ・ホワイトボードを採用できる。この電子黒板20には、プロジェクタ25が接続される。このプロジェクタ25によって、教師端末10が表示を指示する映像が電子黒板20に投影される。このように、教師端末10及び電子黒板20の間では、互いに同一の画像を表示させることもできる。なお、上記の電子黒板20には、ユニット型、ボード型あるいは一体型のいずれのタイプを採用することもできるのは言うまでもない。
生徒端末30は、生徒が使用する端末装置である。ここで言う「生徒」とは、授業の参加者のうち教わる側の人物を指す。一例としては、各種の学生が挙げられるが、必ずしも学生でなくともかまわない。
一実施形態として、生徒端末30には、生徒端末用の協働教育支援プログラムがインストールされる。かかる生徒端末用の協働教育支援プログラムを生徒端末30のプロセッサ上で動作させることによって、一例として、教師端末10からの課題の受信、課題に対する意見の入力、教師端末10への回答の送信などの機能を実現できる。
例えば、生徒端末30には、上記の教師端末10と同様に、タブレット端末を採用できる。かかるタブレット端末を採用することによって、生徒端末30では、タッチペンや手指を介して協働教育支援プログラムに対する各種の指示操作を受け付けることができる。
なお、本実施例では、教師端末10及び生徒端末30の間で教師端末10をサーバ装置として機能させる一方で生徒端末30をクライアント端末として機能させる場合を例示するが、授業支援システム1の物理的構成はこれに限定されない。例えば、教師端末10とは別にサーバ装置を設置し、教師端末10及び生徒端末30の両方をクライアント端末として収容するクライアントサーバシステムを構築することとしてもかまわない。
また、本実施例では、教師端末10や生徒端末30がタブレット端末として実装される場合を例示するが、教師端末10や生徒端末30の実装形態はこれに限定されない。例えば、教師端末10や生徒端末30は、スマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)などの移動体通信端末を含む携帯端末装置として実装されることとしてもかまわない。また、教師端末10及び生徒端末30は、パーソナルコンピュータを始めとする据置き型の情報処理装置やノート型のパーソナルコンピュータとして実装されることとしてもかまわない。
[教師端末10の構成]
続いて、本実施例に係る教師端末10の機能的構成について説明する。図2は、実施例1に係る教師端末10の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、教師端末10は、タッチパネル11と、通信I/F(InterFace)部12aと、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)チップ12bと、記憶部13と、制御部15とを有する。
上記の教師端末10は、図2に示した機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部を有することとしてもかまわない。例えば、教師端末10がタブレット端末として実装される場合には、加速度センサや角速度センサなどのモーションセンサをさらに有することとしてもよい。また、教師端末10が移動体通信端末として実装される場合には、アンテナ、GPS(Global Positioning System)受信機などの機能部をさらに有していてもかまわない。なお、図2には、一例として、教師端末10がタブレット端末として実装される場合の機能部が例示されているが、教師端末10を据置き端末として実装する場合には、キーボード、マウスやディスプレイなどの入出力デバイスを有することとしてもよい。
図2に示すタッチパネル11は、表示可能かつ入力可能なデバイスである。表示に関する一側面として、タッチパネル11は、教師端末10上で実行される協働教育支援プログラムを始め、OS(Operating System)やアプリケーションプログラムによって出力される画像を表示する。入力に関する一側面として、タッチパネル11は、タッチペンや手指などによる手書き入力を始め、タッチパネル11のスクリーン上でなされるタップ、フリック、スイープ、ピンチインやピンチアウトなどのタッチ操作を受け付ける。なお、ここでは、教師端末10に対する指示入力を行う入力デバイスとしてタッチパネル11を例示したが、これに限らず、タッチパネル11との間で相補的な入力を実現する物理キーなどをさらに有していてもかまわない。
通信I/F部12aは、他の装置、例えば電子黒板20や生徒端末30などとの間で通信制御を行うインタフェースである。
一実施形態として、通信I/F部12aには、LANカードなどのネットワークインタフェースカードを採用できる。例えば、通信I/F部12aは、協働教育を実施する課題を生徒端末30へ配信したり、生徒端末30から課題に対する回答、例えば賛否や意見を受信したりする。また、通信I/F部12aは、電子黒板20に表示させる画像、例えば意見板を電子黒板20へ送信したり、電子黒板20から電子黒板20上で受け付けた操作を受け付けたりする。
BLEチップ12bは、他の装置との間でBLEによる通信を実行するチップである。なお、ここでは、近距離無線通信の一例としてBLEを例示するが、他の規格により近距離無線通信が実行されることとしてもかまわない。
一実施形態として、BLEチップ12bは、第2の取得部15cからの制御にしたがって、生徒端末30に搭載されるBLEチップがブロードキャストするアドバタイジングパケットをスキャンする。これによって、教師端末10のBLEの通信圏内に存在する生徒端末30をセンシングすることができる。
記憶部13は、制御部15で実行されるOSを始め、上記の協働教育支援プログラムなどの各種プログラムに用いられるデータを記憶する記憶デバイスである。
一実施形態として、記憶部13は、教師端末10における主記憶装置として実装される。例えば、記憶部13には、各種の半導体メモリ素子、例えばRAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリを採用できる。また、記憶部13は、補助記憶装置として実装することもできる。この場合、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスクやSSD(Solid State Drive)などを採用できる。
記憶部13は、制御部15で実行されるプログラムに用いられるデータの一例として、生徒データ13a、課題データ13b、回答データ13c及び回答中入力データ13dを記憶する。なお、上記のデータ以外にも、他の電子データ、例えば記憶力や集中力の育成を目指すドリル教材なども併せて記憶することもできる。
生徒データ13aは、生徒に関するデータである。
一実施形態として、生徒データ13aには、生徒ID(IDentifier)、生徒名および生徒端末IPアドレスなどの項目が対応付けられたデータを採用できる。ここで言う「生徒ID」とは、授業に参加する生徒を識別する識別情報を指し、ある一面で生徒が使用する生徒端末30の識別情報であるともいえる。また、「生徒名」とは、生徒の名字を指す。また、「生徒端末IPアドレス」とは、各生徒端末30が持つIPアドレスを指す。
図3は、生徒データ13aの一例を示す図である。図3には、生徒ID「0001」〜生徒ID「0008」の8名の生徒に関するレコードが抜粋して示されている。例えば、図3に示す上から1番目のレコードの例で言えば、生徒ID「0001」によって識別される生徒名が「田中」であり、かかる田中が使用する生徒端末のIPアドレスが「XXX.YYY.ZZ1」であることを意味する。この他の2番目以降のレコードについても項目が持つ値は異なるがその意味合いは同様である。なお、図3には、生徒のエントリが8つである場合を例示したが、エントリ数は任意の数であってよい。また、生徒がクラス分けされている場合には、クラス別に生徒ID、生徒名及び生徒端末IPアドレスを管理することもできる。
課題データ13bは、課題に関するデータである。
一実施形態として、課題データ13bには、課題ID、課題内容および回答制限時間などの項目が対応付けられたデータを採用できる。ここで言う「課題ID」とは、協働教育等の授業で生徒に与える課題を識別する識別情報を指す。また、「課題内容」とは、課題の内容を指し、例えば、教師と生徒間および生徒間で議論する議題などが挙げられる。また、「回答制限時間」とは、生徒が課題を回答する場合に課す制限時間を指す。なお、上記の課題データ13bは、予め支援教材として格納しておくこともできるし、教師が教師端末10を通じて入力する課題を登録することとしてもかまわない。
図4は、課題データ13bの一例を示す図である。図4に示す上から1番目のレコードの例で言えば、課題ID「0001」によって識別される課題の内容が「瓦礫受け入れについてどう思うか?」であり、当該課題に対する賛否や意見などを回答する時間が30分以内に制限されていることを意味する。また、図4に示す上から2番目のレコードの例で言えば、課題ID「0002」によって識別される課題の内容が「捕鯨についてどう思うか?」であり、当該課題に対する賛否や意見などを回答する時間が20分以内であることを意味する。この他の3番目以降のレコードについても項目が持つ値は異なるがその意味合いは同様である。
回答データ13cは、課題への回答に関するデータである。
一実施形態として、回答データ13cには、課題ID、生徒ID、賛否、回答内容および進捗情報などの項目が対応付けられたデータを採用できる。ここで言う「賛否」とは、課題で与えられた議題に生徒が賛成または反対のいずれであるかの選択結果を指す。また、「回答内容」とは、課題に対する生徒の主張や考えなどの意見を指し、例えば、賛否の理由を始め、課題の解決へのアプローチなどが挙げられる。また、「進捗情報」とは、回答の入力に関する進捗を表す情報を指し、例えば、進捗の度合いが区分「0」〜「2」の値によって区別される。一例として、進捗情報として登録された区分が「0」である場合には、生徒端末30に表示された回答画面で文字列の入力または手書き入力が未だ受け付けられていない回答未入力の状態であると区別される。また、進捗情報として登録された区分が「1」である場合には、生徒端末30に表示された回答画面で文字列の入力または手書き入力は受け付けられているが、これらの入力が教師端末10には回答として未だ提出されていない回答受付中の状態であると区別される。また、進捗情報として登録された区分が「2」である場合には、生徒端末30で受け付けられた入力が回答として教師端末10へ提出された回答提出済みの状態であると区別される。
図5は、回答データ13cの一例を示す図である。図5には、図3に示した8名の生徒の意見が示されている。図5に示す回答データ13cの場合、8つのレコードの進捗情報として登録されている区分の全てが「2」であるので、8名の生徒全員が回答提出済みであることを意味する。これら8名の生徒のうち図3に示した生徒ID「0006」で識別される生徒「本田」以外の生徒は、瓦礫受け入れについて賛成を表明し、本田は、瓦礫受け入れについて反対を表明していることも意味する。さらに、図5に示す各レコードの回答内容には、意見を回答として教師端末10へ提出する意思を確認するGUI(Graphical User Interface)に対する操作を受け付けた時点で、上記8名の各生徒端末30に表示された回答画面に入力されていた意見の文字列が収集された上で登録されている。
回答中入力データ13dは、回答受付中の文字列または手書きの入力データである。以下では、生徒端末30における入力方法の一例として、意見に対応する文字列の入力をソフトウェアキーボード等を介して受け付ける場合を例示するが、上記のマーク記述を手指またはタッチペンによる手書き入力を介して受け付けることとしてもかまわない。
一実施形態として、回答中入力データ13dには、課題ID、記録ID、生徒ID、回答受付中の文字列およびコメントなどの項目が対応付けられたデータを採用できる。上記の「記録ID」とは、回答受付中の文字列の記録を識別する識別情報を指す。また、「コメント」とは、回答受付中の文字列に対する教師のコメントを指す。なお、回答中入力データ13dには、一例として、回答受付中の文字列に対するコメントが手書き入力により受け付けられる場合を例示するが、手書き入力以外の入力方法によりコメントが受け付けられることとしてもかまわない。
ここで、回答受付中の文字列は、回答を受け付ける過程で入力される文字列であり、回答データ13cの回答内容の文字列と必ずしも一致するとは限らない。なぜなら、回答データ13cには、生徒が課題を検討した結果として最終的にたどり着いた意見が回答として意思表示された上で登録されるが、回答中入力データ13dには、教師端末10から生徒端末30へ課題が送信されてから生徒端末30から教師端末10へ回答が送信されるまでの回答の過程で生徒端末30に入力された文字列が記録されるからである。言い換えれば、回答データ13cには、生徒端末30で回答送信の操作が受け付けられたタイミングで生徒端末30に入力されていた文字列が登録される一方で、回答中入力データ13dには、生徒端末30で回答送信の操作が受け付けられるまでに教師端末10で保存の操作が受け付けられたタイミングで生徒端末30に入力されていた文字列が記録される。
このように、回答提出済みの文字列に限らず、回答受付中の文字列を記録するのは、たとえ教師端末10への回答には至らなかった意見であっても、回答の過程で入力された意見の中には、協働教育に有用な意見が存在する場合があるからである。例えば、生徒が課題に対し、第一印象で個性的な意見を持ったとしても時間の経過にしたがって他の生徒の意見と同調させることを考えたり、他人に公開する程度には考えが纏まらなかったりする場合がある。この場合、1度は個性的な意見が入力されたとしても、最終的には無難な意見を入力し直して回答されることがある。また、意見の変遷が協働教育に有用である場合もある。例えば、生徒が課題に対し、最初に持った意見と最後に持った意見とが変わる場合がある。かかる意見の変遷は、生徒の思考プロセスを表し、最終的な回答がどのような内容であるかよりも重要である場合がある。これらのことから、回答受付中の文字列を記録することによって協働教育に有用な意見が埋もれるのを抑制する。
図6は、回答中入力データ13dの一例を示す図である。図6には、図4に示した課題データ13bのレコードのうち課題ID「0001」で識別される課題「瓦礫受け入れについてどう思うか?」に対する回答受付中の文字列が2つ抜粋して例示されている。これら回答受付中の文字列のうち、記録ID「C001」によって識別される回答受付中の文字列「瓦礫を受け入れるために、場所の確保に工」は、図3に示した生徒ID「0002」で識別される生徒「山田」によって入力されたものであることを意味する。さらに、当該回答受付中の文字列に対し、教師によってマーク記述「good」と下線とがコメントとして残されていることを意味する。また、記録ID「C002」によって識別される回答受付中の文字列「自治体でできる」は、図3に示した生徒ID「0003」で識別される生徒「鈴木」によって入力されたものであることを意味する。さらに、当該回答受付中の文字列に対し、教師によってマーク記述「check」と囲み円とがコメントとして残されていることを意味する。なお、図6には、回答受付中の文字列にコメントが対応付けて記憶される場合を例示したが、必ずしも回答受付中の文字列にコメントが対応付けて記憶されずともかまわず、回答受付中の文字列だけが記憶されることとしてもかまわない。また、図6には、1名の生徒につき1つの回答受付中の文字列が記録されている場合を例示したが、1名の生徒につき複数の回答受付中の文字列が記録されることとしてもかまわない。
なお、図3〜図6には、データがテーブル形式で記憶される場合を例示したが、オブジェクトやXML(Extensible Markup Language)などの他の形式でデータが記憶されることとしてもかまわない。
制御部15は、各種のプログラムや制御データを格納する内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行するものである。
一実施形態として、制御部15は、中央処理装置、いわゆるCPU(Central Processing Unit)として実装される。なお、制御部15は、必ずしも中央処理装置として実装されずともよく、MPU(Micro Processing Unit)として実装されることとしてもよい。また、制御部15は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードワイヤードロジックによっても実現できる。
制御部15は、各種のプログラムを実行することによって下記の処理部を仮想的に実現する。例えば、制御部15は、図2に示すように、回答受付部15aと、第1の取得部15bと、第2の取得部15cと、抽出部15dと、生成部15eと、表示制御部15fと、記録部15gとを有する。
回答受付部15aは、ある課題に対する生徒の回答を受け付ける処理部である。
一実施形態として、回答受付部15aは、生徒端末30へ配信する課題を教師端末10に決定させることができる。例えば、回答受付部15aは、タッチパネル11に表示されたメニュー画面から課題選択の項目が選択された場合に処理を起動する。すなわち、回答受付部15aは、課題IDの選択肢や課題の配信を要求する課題送信ボタンなどを含む課題選択画面をタッチパネル11に表示させる。
そして、回答受付部15aは、課題選択画面で課題IDが選択された上で課題送信ボタンが押下された場合、課題データ13bに含まれる課題内容のうち課題選択画面で選択を受け付けた課題IDに対応する課題内容を含む回答画面を生成する。続いて、回答受付部15aは、先に生成された回答画面を生徒端末30へ送信する。例えば、回答受付部15aは、課題内容の表示とともに、課題への賛否や意見などの回答を記入する入力フォームが設けられた回答画面データを生成して生徒端末30へ送信することができる。なお、ここでは、教師端末10が回答画面を生成する場合を例示したが、回答受付部15aが課題IDまたは課題IDに対応する課題を送信し、生徒端末30上で実行される生徒端末用の協働教育支援プログラムが課題IDまたは課題を用いて回答画面を生成することとしてもかまわない。
例えば、回答画面には、「賛成」及び「反対」の項目のうちいずれかの項目を選択するラジオボタン等のGUIコンポーネントを含めることができる。これによって、課題に対する賛否を受け付けることができる。また、回答画面には、テキストを入力するテキストボックス等のGUIコンポーネントを含めることができる。これによって、課題に対する意見をソフトウェアキーボード等を介して受け付けることができる。さらに、回答画面には、教師端末10への回答の送信を指示するボタンを含めることができる。これによって、テキストボックス等のGUIコンポーネントを介して入力された課題に対する意見を回答として送信する意思表示を受け付けることができる。
上記の回答画面の送信後、回答受付部15aは、課題データ13bに含まれる回答制限時間のうち課題選択画面で選択を受け付けた課題IDに対応付けられた回答制限時間を取得する。そして、回答受付部15aは、生徒端末30から送信された回答、すなわち回答画面に記入された課題の賛否および意見の文字列を受け付けた場合に、回答データ13cに含まれるレコードのうち当該生徒端末30のIPアドレスに対応する生徒IDのレコードに賛否および意見の文字列を登録する。その後、回答受付部15aは、全ての生徒端末30から回答を受け付けるか、あるいは回答制限時間を経過するまで、回答が生徒端末30から教師端末10へ送信されるのを待機し、回答を受信した場合に、回答データ13cへ登録する処理を繰り返し実行する。
第1の取得部15bは、生徒端末30における回答の入力状況を取得する処理部である。
一実施形態として、第1の取得部15bは、教師端末10から各生徒端末30へ回答画面が送信された場合に処理を起動する。その後、第1の取得部15bは、所定の周期、例えば3秒間ごとに、各生徒端末30に表示された回答画面に対する文字列の入力状況を生徒端末30から取得する。かかる入力状況の一例として、第1の取得部15bは、生徒端末30に表示された回答画面のテキストボックスに入力された文字列そのものを取得することとしてもよいし、テキストボックスへ入力された文字列の文字数を取得することとしてもよいし、また、テキストボックスへの文字列の入力の有無を取得することとしてもかまわない。その上で、第1の取得部15bは、生徒端末30から取得された入力状況にしたがって回答データ13cに含まれる進捗情報を更新する。例えば、第1の取得部15bは、生徒端末30から取得された入力状況が回答未入力の状態である場合、回答データ13cに含まれるレコードのうち当該生徒端末30に対応するレコードの進捗情報に区分「0」を登録する。また、第1の取得部15bは、生徒端末30から取得された入力状況が回答受付中の状態である場合、回答データ13cに含まれるレコードのうち当該生徒端末30に対応するレコードの進捗情報に区分「1」を登録する。なお、ここでは、回答データ13cを定期間隔で更新する場合を例示したが、生徒端末30で回答画面のテキストボックスに文字列が入力される度に生徒端末30から入力状況を取得することとしてもかまわない。
また、第1の取得部15bは、回答受付部15aが回答を受け付けた場合、生徒端末30で受け付けられた入力が回答として教師端末10へ提出された回答提出済みの状態であると判断できる。この場合、第1の取得部15bは、回答データ13cに含まれるレコードのうち当該回答が受け付けられた生徒端末30に対応するレコードの進捗情報に区分「2」を登録する。
第2の取得部15cは、教師端末10に対する生徒端末30の距離情報を取得する処理部である。
一実施形態として、第2の取得部15cは、BLEのセンシングによって生徒端末30の距離情報を取得する。例えば、第2の取得部15cは、教師端末10から各生徒端末30へ回答画面が送信された場合に、通信I/F部12aを介して、BLE機能をON状態にしてアドバタイジングパケットをブロードキャストさせるBLEの通信開始指示を各生徒端末30に行う。このとき、第2の取得部15cは、生徒端末30に搭載されたBLEチップが発信する電波強度のクラスを指示することもできる。例えば、「Class 2」を指示する場合、生徒端末30のBLEチップは、当該生徒端末30から10mの以内に存在するBLE対応の端末装置が通信できる程度の電波強度でパケットを発信する。また、例えば、「Class 3」を指示する場合、生徒端末30のBLEチップは、当該生徒端末30から1mの以内に存在するBLE対応の端末装置が通信できる程度の電波強度でパケットを発信する。
その上で、第2の取得部15cは、生徒端末30からブロードキャストされるアドバタイジングパケットのスキャニングを実行する。かかるアドバタイジングパケットに生徒端末30に対応する生徒IDを埋め込ませることによって教師端末10に生徒端末30を識別させることができる。これによって、各生徒端末30のうち、教師端末10及び生徒端末30の間の距離が教師端末10から指示された電波強度のクラスに対応する電波の到達距離の範囲内である生徒端末30のスキャニングに成功する。そして、第2の取得部15cは、スキャニングに成功した生徒端末30の生徒IDと当該生徒端末30からの受信電波強度とを距離情報として抽出部15dへ出力する。
抽出部15dは、複数の生徒端末30のうち所定の条件を満たす生徒端末30を抽出する処理部である。
一実施形態として、抽出部15dは、記憶部13に記憶された生徒データ13aの生徒IDのうち、第2の取得部15cによるスキャニングが成功した生徒端末の生徒IDを抽出する。これによって、教師が生徒に机間指導を行う場合に、教師端末10の周辺、例えば1mや10m以内に存在する生徒端末30に絞って抽出することができる。その上で、抽出部15dは、先に抽出された生徒IDのうち受信電波強度が上位所定数、例えば上位10%や上位10位である生徒端末30の生徒IDをさらに抽出する。
すなわち、協働教育の場では、教師が生徒に対し、机間指導を実施することがある。かかる「机間指導」とは、教育の現場で教師が生徒の机の間を巡回すること、ひいては生徒の理解度を把握したり、手助けが必要な生徒に適切な指示を出したりすることなどを指し、机間巡視と呼ばれることもある。このように机間指導が行われる場合、生徒への指導が対面で行われるので、教師が存在する巡視位置の周辺に位置する生徒の方が巡視位置の周辺に位置しない生徒よりも机間指導を行いやすい。よって、抽出部15dは、各生徒の中から教師が存在する巡視位置の周辺に位置する生徒の生徒IDを抜粋する。さらに、抽出部15dは、巡視位置の周辺に位置する生徒の中でもより教師に近い位置に存在する生徒の生徒IDを抽出する。
その後、抽出部15dは、記憶部13に記憶された回答データ13cの進捗情報を参照する。そして、抽出部15dは、先に抽出された生徒IDのうち回答データ13cに含まれる進捗情報の区分が「1」である生徒IDをさらに抽出する。すなわち、抽出部15dは、回答未入力の状態である生徒の生徒IDを除外すると共に、回答受付中の状態である生徒の生徒IDを抽出する。これによって、机間指導を行う材料の一例である意見の入力がある生徒だけを抜粋できる。なお、ここでは、進捗情報の区分が「1」である生徒IDを抽出する場合を例示したが、進捗情報の区分が「0」でない生徒IDを抽出することによって回答提出済みの状態である生徒をさらに抽出することとしてもかまわない。
生成部15eは、生徒端末30の一覧を生成する処理部である。
一実施形態として、生成部15eは、抽出部15dによって生徒IDの抽出が実行される度に、抽出部15dによって抽出された生徒IDから生徒端末30の一覧を生成する。例えば、生成部15eは、抽出部15dによって抽出された生徒IDのうち受信電波強度が高い生徒端末30の順に生徒IDに対応する生徒名を整列させることによって生徒名の一覧を生成することができる。なお、ここでは、一例として、一覧の並び順が生徒端末30からの受信電波強度で決定される場合を例示したが、この他の基準、例えば生徒端末30で入力された文字列の数、ワード数などによって生徒名を整列させることもできる。
表示制御部15fは、タッチパネル11や電子黒板20に対する表示制御を実行する処理部である。
一側面として、表示制御部15fは、生成部15eによって生徒名の一覧が生成される度に、当該生徒名の一覧を含む生徒一覧画面をタッチパネル11に表示させる。その上で、表示制御部15fは、タッチパネル11に表示された生徒一覧画面から生徒の選択を受け付けた場合に、当該選択を受け付けた生徒の生徒端末30で回答画面のテキストボックスに入力された文字列を取得してその文字列を含む保存画面をタッチパネル11に表示させる。例えば、保存画面には、生徒端末30における回答受付中の文字列を保存するボタン、さらには、生徒一覧画面に表示を戻すボタンなどのGUIコンポーネントを含めることができる。かかる保存画面では、選択を受け付けた生徒の意見、すなわち回答受付中の文字列が教師端末10に表示されると共に、当該回答受付中の文字列を保存する意思表示、すなわち保存操作を受け付けることができる。さらに、保存画面では、当該回答受付中の文字列に対し、コメントの記入を受け付けることができる。例えば、手書き入力によって各種のマーク記述を受け付けることもできるし、また、ソフトウェアキーボード等を介するテキストボックス等への入力によって文字列を受け付けることもできる。なお、ここでは、表示処理の一側面として、生徒一覧画面や保存画面の表示について説明したが、他の表示処理については後述する。
記録部15gは、生徒端末30で入力された情報の表示に対する操作が行われるタイミングで得られたデータを記録する処理部である。
一実施形態として、記録部15gは、タッチパネル11に表示された保存画面上で保存操作を受け付けた場合に、新規の記録IDを採番し、当該記録ID、保存画面に回答受付中の文字列を表示させた生徒の生徒ID、回答受付中の文字列及び保存画面に記入されたコメントなどが対応付けられたレコードを記憶部13に記憶された回答中入力データ13dへ記録する。なお、コメントは、必ずしも記入されずともかまわない。例えば、コメントの記入が行われていない場合、コメントに対応するフィールドをブランクにして記録を行うこととすればよい。
続いて、全ての生徒端末30から回答を受け付けるか、あるいは回答制限時間が経過するかの条件が満たされた場合における表示制御、すなわち表示制御部15fの他の側面について説明する。
他の側面として、表示制御部15fは、全ての生徒端末30から回答を受け付けるか、あるいは回答制限時間が経過すると、記憶部13に記憶された回答データ13cのうち生徒端末30へ送信を行った課題の課題IDに対応する各レコードを読み出す。続いて、表示制御部15fは、先に読み出したレコードごとに当該レコードに含まれる賛否および意見をマトリクス状に整列させた意見板を電子黒板20へ表示させる。さらに、表示制御部15fは、先に読み出したレコードに含まれる生徒IDのうち回答中入力データ13dに同一の課題ID及び同一の生徒IDを持つエントリが存在する生徒IDを抽出する。その上で、表示制御部15fは、先の意見板に含まれる生徒の意見表示エリアのうち回答中入力データ13dにエントリが存在する生徒ID、すなわち回答受付中の文字列が保存された生徒IDに対応する意見表示エリアに所定の標示、例えばマークや色の標示が付加された標示付きの意見板をタッチパネル11に表示させる。このように、表示制御部15fは、タッチパネル11に表示させる意見板と、電子黒板20に表示させる意見板との間で表示内容の一部を変える。すなわち、タッチパネル11には、回答受付中の文字列が保存された生徒IDに対応する意見表示エリアに所定の標示を表示させることによって教師だけがその生徒の回答受付中の意見を保存していたり、それに対するコメントを保存していたりといった状況を把握できる。
これらの意見板の表示後、表示制御部15fは、タッチパネル11上で意見表示エリアの選択を受け付けた場合に、次のような処理を実行する。すなわち、表示制御部15fは、意見板に含まれる意見表示エリアのうち意見板上で選択がなされた意見表示エリアをタッチパネル11及び電子黒板20に拡大表示させる。このとき、表示制御部15fは、記録有りの標示が存在する意見表示エリアが選択された場合と、記録有りの標示が存在しない意見表示エリアが選択された場合とでタッチパネル11に表示させる内容の一部が異なる。以下では、意見板に掲載される意見のうちタッチパネル11上で選択された意見が個別に拡大表示される画面のことを「個別意見画面」と記載する場合がある。
例えば、記録有りの標示が存在する意見表示エリアが選択された場合、表示制御部15fは、回答中入力データ13dに含まれるレコードのうち標示付きの意見表示エリアの生徒IDに対応する回答受付中の文字列およびコメントを記憶部13から読み出す。その上で、表示制御部15fは、選択を受け付けた意見表示エリアに含まれる回答の文字列と、回答受付中の文字列及びそのコメントとが併記された教師用の個別意見画面をタッチパネル11に表示させる。一方、表示制御部15fは、電子黒板20には、意見板に含まれる意見表示エリアのうち意見板上で選択がなされた意見表示エリアが拡大された生徒用の個別意見画面を表示させる。
また、記録有りの標示が存在しない意見表示エリアが選択された場合、表示制御部15fは、タッチパネル11及び電子黒板20の両方に対し、意見板に含まれる意見表示エリアのうち意見板上で選択がなされた意見表示エリアが拡大された共通の個別意見画面を表示させる。
その後、表示制御部15fは、タッチパネル11に個別意見画面が表示された状態で当該個別意見画面上に配置された戻るボタンが選択されると、改めて意見板をタッチパネル11及び電子黒板20に表示させる。そして、表示制御部15fは、タッチパネル11に表示された意見板に含まれる終了ボタンが押下された場合に、当該課題に関する表示を終了する。
なお、ここでは、タッチパネル11に表示させる画面の内容と電子黒板20に表示させる画面の内容とを場合によって変更する場合を例示したが、両者に同一の内容の画面を表示させることとしてもかまわない。
[記録制御の具体例]
次に、図7〜図13を用いて、回答受付中の文字列に関する記録制御の具体例について説明する。図7は、教師が机間指導を行う場面の一例を示す図である。図8は、生徒一覧画面の一例を示す図である。図9は、回答画面の一例を示す図である。図10は、保存画面の一例を示す図である。図11は、標示付きの意見板の一例を示す図である。図12は、生徒用の個別意見画面の一例を示す図である。図13は、教師用の個別意見画面の一例を示す図である。
ここで、一例として、図4に示した課題データ13bに含まれる課題IDのうち課題ID「0001」で識別される課題「瓦礫受け入れについてどう思うか?」が生徒端末30に送信される場合を想定して以下の説明を行う。
このように、教師端末10から生徒端末30へ課題が送信されてから生徒端末10から教師端末10へ回答が送信されるまでの回答の過程では、机間指導が実施される。例えば、図7に示す例では、教師が左から3番目の机の列d3に並ぶ田中、鈴木及び浅井と、左から4番目の机の列d4に並ぶ島田、山田及び黒田との間を巡視している場面が示されている。ここで、図7には、教師端末10が指示する電波強度のクラスで生徒端末30がBLEの電波を発信する場合に生徒端末30から教師端末10へ電波が届く範囲に網掛けがなされている。
この場面で、全ての生徒端末30の中から所定の条件を満たす生徒端末30が抽出される。例えば、図7に示す教師の巡視位置に対し、生徒端末30が発信するBLEの電波が届くのは田中、鈴木、浅井、島田、山田及び黒田の6名である。このため、全ての生徒端末30のうち、アドバタイジングパケットをスキャニングできる田中、鈴木、浅井、島田、山田及び黒田の6名の生徒端末30が抽出される。さらに、上記の6名の生徒端末30のうち、黒田、山田、浅井、鈴木、島田の5名の生徒端末30が電波受信強度が強いとされた場合、5名に絞られる。加えて、受信電波強度の上位5名に占める黒田、山田、浅井、鈴木、島田の生徒端末30のうち、回答データ13cの進捗情報の区分が「0」である回答未入力の状態である島田の生徒端末30が除外されると共に、上記の区分が「1」である回答受付中の状態である黒田、山田、浅井及び鈴木の4名の生徒端末30が抽出される。この結果、図8に示す生徒一覧画面210がタッチパネル11に表示される。
このように、生徒一覧画面210には、机間指導を行う教師の巡視位置の近くに位置する生徒であり、かつ回答受付中の状態になる生徒の一覧が表示される。すなわち、図8に示すように、生徒一覧画面210には、上から黒田、山田、浅井、鈴木の順に4名の生徒が登載された一覧が表示される。これによって、必ずしも教師が移動せずとも机間指導のような対面での指導と同等の効果がある。例えば、教師が机間指導中であれば、巡視位置の近くに位置する生徒の回答のみを、抽出して教師端末10に表示ができる。また、BLEの受信電波範囲の範囲設定が広ければ、移動せずとも(机間指導しているかのように)回答を抽出して教師端末10に表示できる。加えて、また、すべての生徒画面を表示するのではなく、指導の材料の一例である意見の入力がある生徒を抜粋して提示できる。
図9には、上記の4名の生徒のうち山田の生徒端末30に表示された回答画面220を例示している。かかる回答画面220では、「賛成」及び「反対」のラジオボックス221及び222のうち「賛成」のボックス221が選択されており、意見を入力する意見欄のテキストボックス223には、文字列「瓦礫を受け入れるために、場所の確保に工」が入力されている。上記の回答画面220上で「教師に送信」のボタン224が押下操作された場合には、ラジオボックス221又はラジオボックス222の選択結果と、テキストボックス223に入力された文字列とが回答として教師端末10へ送信されることになる。なお、上記の回答画面220上で「意見クリア」のボタン225が押下操作された場合には、それまでに入力された賛否および意見の入力をクリアし、最初から入力をやり直すことができる。
例えば、図8に示した生徒一覧画面210で上記の4名の生徒のうち山田が選択された場合、教師端末10のタッチパネル11には、図10に示す保存画面230が表示される。かかる保存画面230には、生徒端末30における回答受付中の文字列を保存する「保存」のボタン231と、生徒一覧画面210に表示を戻す「一覧に戻る」のボタン232とが含まれる。この保存画面230によって、選択を受け付けた山田の意見、すなわち回答受付中の文字列「瓦礫を受け入れるために、場所の確保に工」を教師に確認させると共に、当該回答受付中の文字列を保存する意思表示、すなわち保存操作を受け付けることができる。さらに、保存画面230では、当該回答受付中の文字列に対し、コメントの記入を受け付けることができる。例えば、図10に示す保存画面230の例で言えば、回答受付中の文字列の一部である部分文字列「場所の確保」に対する下線のマーク記述M1と、その下部にある「good」のマーク記述M2とが記入されている場合が示されている。
ここで、図10に示す保存画面230上で「保存」のボタン231が押下操作された場合には、当該回答受付中の文字列に記録ID、例えば「C001」が採番される。その上で、記録ID「C001」、生徒端末30へ送信した課題ID「0001」、回答受付中の文字列「瓦礫を受け入れるために、場所の確保に工」、当該回答受付中の文字列を入力した生徒名「山田」に対応する生徒ID「0002」、さらには、マーク記述M1及びマーク記述M2を含むコメントが対応付けられたレコード、すなわち図6に示した回答中入力データ13dの1番目のレコードが回答中入力データ13dに記録される。
このように回答の過程で上記の記録を行っておくことにより、回答の提出後に意見板で協働教育の議論がなされる場合に上記の記録を活用できる。図11には、教師端末10のタッチパネル11に表示される標示付きの意見板が示されている。図11に示すように、標示付きの意見板240には、各生徒の意見が2×4の行列で表示される。すなわち、意見板240の上段には、左上から右上へ田中さん、山田さん、鈴木さん、島田さんの順に意見が表示されるとともに、意見板240の下段には、左下から右下へ黒田さん、本田さん、佐藤さん、浅井さんの順に意見が表示されている。かかる意見板240では、上記8名の生徒の意見をタッチペンや手指で触れることによって1つの意見を個別に選択できる。なお、意見板240の右下に設けられた「終了」のボタン241が押下操作された場合には、当該課題に関する協働教育を終了し、メニュー画面に戻る。
かかる標示付きの意見板240では、8名の生徒の意見のうち課題に賛成である生徒の意見が塗りつぶしによって表示されると共に、課題に反対である生徒の意見が塗りつぶしなしによって表示される。さらに、8名の生徒の意見のうち回答受付中の文字列が記録された生徒、すなわち図6に示した回答中入力データ13d内に同一の課題IDに関する生徒IDのエントリがある山田及び鈴木の意見表示エリアには、回答受付中の文字列の記録が有ることを示す標示m1及び標示m2が表示される。なお、教師端末10のタッチパネル11には、上記の標示付きの意見板240が表示される一方で、電子黒板20には、上記の標示m1及び標示m2がない意見板が表示される。
このとき、標示付きの意見板240上で山田の意見表示エリアの選択を受け付けた場合、電子黒板20には、図12に示す生徒用の個別意見画面250が表示される。この生徒用の個別意見画面250には、選択を受け付けた山田の意見表示エリアの拡大画像251が表示される。さらに、生徒用の個別意見画面250には、意見板の表示に戻す「戻る」のボタン252が含まれており、電子黒板20上で当該ボタン252が押下操作された場合には、タッチパネル11に標示ありの意見板が表示されると共に、電子黒板20に標示なしの意見板が表示される。
一方、タッチパネル11には、図13に示す教師用の個別意見画面260が表示される。この教師用の個別意見画面260には、選択を受け付けた山田の意見表示エリアの拡大画像261と、回答受付中の文字列およびそのコメントを含む入力時意見262とが併記された状態で表示される。すなわち、山田の意見表示エリアの拡大画像261には、山田が提出した意見「受け入れは賛成だけど難しいと思います。」が表示される。一方、入力時意見262には、山田が回答の過程で入力した意見「瓦礫を受け入れるために、場所の確保に工」と、回答受付中の文字列の一部である部分文字列「場所の確保」に対する下線のマーク記述M1と、その下部にある「good」のマーク記述M2とが表示される。なお、教師用の個別意見画面260にも、意見板の表示に戻す「戻る」のボタン263が含まれている。この「戻る」のボタン263が押下操作された場合には、タッチパネル11の表示が標示ありの意見板の表示に戻されると共に、電子黒板20の表示が標示なしの意見板の表示に戻される。
かかる教師用の個別意見画面260の表示によって、山田の意見に変遷があることを教師に把握させることができる。さらに、山田が回答の過程で入力した意見には、他の生徒の意見にも見当たらない「場所の確保」という個性的なキーワードが含まれるが、山田が最終的に回答した意見には「場所の確保」というキーワードは含まれない。このように最終的な回答と回答の過程で入力した意見の両者を併記して表示させることによって山田が回答の過程で入力した「場所の確保」という個性的なキーワードを埋もれさせずに教師へ提示することができる。さらに、教師が記載したコメントの表示によって、回答受付中の文字列を保存する操作を行った段階で議論する時に伝えようと考えていた事柄を思い出すこともできる。例えば、図13に示す例の場合、マーク記述M1及びマーク記述M2の表示によって、教師は、瓦礫受け入れの賛否を問う場合に、「場所の確保」という切り口から議論するのがよいとの記録時に感じたことを生起できる。
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る教師端末10の処理の流れについて説明する。なお、ここでは、教師端末10によって実行される(1)授業支援処理、(2)記録制御処理、(3)意見表示処理について説明することとする。
(1)授業支援処理
図14は、実施例1に係る授業支援処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、一例として、タッチパネル11に表示されたメニュー画面から課題配信の選択を受け付けた場合に実行される。
図14に示すように、回答受付部15aは、課題IDの選択肢や課題の配信を要求する課題配信ボタンなどを含む課題選択画面をタッチパネル11に表示させる(ステップS101)。
そして、課題選択画面で課題IDが選択された上で課題送信ボタンが押下された場合(ステップS102Yes)、回答受付部15aは、次のような処理を実行する。すなわち、回答受付部15aは、課題データ13bに含まれる課題内容のうち課題選択画面で選択を受け付けた課題IDに対応する課題内容を含む回答画面を生成する(ステップS103)。続いて、回答受付部15aは、ステップS103で生成された回答画面を生徒端末30へ送信する(ステップS104)。
また、回答受付部15aは、課題データ13bに含まれる回答制限時間のうち課題選択画面で選択を受け付けた課題IDに対応付けられた回答制限時間を取得する(ステップS105)。
その後、生徒端末30から回答、すなわち回答画面に記入された課題への賛否および意見を受け付けた場合(ステップS106Yes)、回答受付部15aは、次のような処理を実行する。すなわち、回答受付部15aは、回答データ13cに含まれるレコードのうち当該回答を受け付けた生徒端末30に対応する生徒IDのレコードに賛否および意見を登録する(ステップS107)。そして、回答受付部15aは、全ての生徒端末30から回答を受け付けたか否かを判定する(ステップS108)。このとき、全ての生徒端末30から回答を受け付けた場合(ステップS108Yes)には、そのまま処理を終了する。
一方、生徒端末30から回答を受信しなかった場合、あるいは全ての生徒端末30から回答を受け付けていない場合(ステップS106NoまたはステップS108No)には、回答受付部15aは、次のような処理を実行する。すなわち、回答受付部15aは、回答制限時間を経過したか否かを判定する(ステップS109)。
そして、回答制限時間を経過するまで(ステップS109No)、回答受付部15aは、上記のステップS106〜ステップS108の処理を繰返し実行する。その後、回答制限時間が経過すると(ステップS109Yes)、回答受付部15aは、処理を終了する。
(2)記録制御処理
図15は、実施例1に係る記録制御処理の手順を示すフローチャートである。この記録制御処理は、一例として、図14に示したフローチャートのステップS104で回答画面が生徒端末30に送信された場合、言い換えれば課題が送信された場合に処理が起動する。
図15に示すように、第2の取得部15cは、生徒端末30からブロードキャストされるアドバタイジングパケットのスキャニングを実行する(ステップS301)。このとき、スキャニングに成功した生徒端末30が存在する場合(ステップS302Yes)には、抽出部15dは、次のような処理を実行する。すなわち、抽出部15dは、記憶部13に記憶された生徒データ13aの生徒IDのうち、ステップS301でスキャニングが成功した生徒端末30の生徒IDを抽出する(ステップS303)。なお、スキャニングに成功した生徒端末30が存在しない場合(ステップS302No)には、上記のステップS301の処理に戻る。
続いて、抽出部15dは、ステップS303で抽出された生徒IDのうち受信電波強度が上位所定数、例えば上位10%や上位10位である生徒端末30の生徒IDをさらに抽出する(ステップS304)。
そして、抽出部15dは、ステップS304で抽出された生徒IDのうち、記憶部13に記憶された回答データ13cに含まれる進捗情報の区分が「1」である生徒ID、すなわち回答受付中の状態である生徒の生徒IDを抽出する(ステップS305)。
その上で、生成部15eは、ステップS305で抽出された生徒IDのうち受信電波強度が高い生徒端末30の順に生徒IDに対応する生徒名を整列させることによって生徒名の一覧を生成する(ステップS306)。そして、表示制御部15fは、ステップS306で生成された生徒名の一覧を含む生徒一覧画面をタッチパネル11に表示させる(ステップS307)。
その後、表示制御部15fは、ステップS307で表示された生徒一覧画面から生徒の選択を受け付けた場合(ステップS308Yes)に、当該選択を受け付けた生徒の生徒端末30で回答画面のテキストボックスに入力された文字列を取得してその文字列を含む保存画面をタッチパネル11に表示させる(ステップS309)。続いて、表示制御部15fは、ステップS309に表示させた保存画面上で回答受付中の文字列に対し、コメントの記入を受け付ける(ステップS310)。なお、生徒一覧画面上で生徒の選択を受け付けなかった場合(ステップS308No)には、上記のステップS301の処理に戻る。
そして、タッチパネル11に表示された保存画面上で保存操作を受け付けた場合(ステップS311Yes)に、記録部15gは、新規の記録IDを採番し、当該記録ID、保存画面に回答受付中の文字列を表示させた生徒の生徒ID、回答受付中の文字列及び保存画面に記入されたコメントなどが対応付けられたレコードを記憶部13に記憶された回答中入力データ13dへ記録する(ステップS312)。なお、上記の保存画面上で保存操作を受け付けずに生徒一覧画面に戻る操作が行われた場合(ステップS311No)には、生徒一覧画面に表示を戻す「一覧に戻る」のボタンが押下操作されたか否かを判断し(ステップS315)、「一覧に戻る」のボタンが押下操作されていない場合(ステップS315No)には上記のステップS315の処理を繰り返すことにより「一覧に戻る」のボタンの押下操作を待機し、「一覧に戻る」のボタン232が押下操作された場合(ステップS315Yes)に上記のステップS301の処理へ戻る。
その後、全ての生徒端末30から回答を受け付けるまで、あるいは回答制限時間が経過するまで(ステップS313NoまたはステップS314No)には、上記のステップS301〜ステップS312の処理を繰返し実行する。そして、全ての生徒端末30から回答を受け付けるか、あるいは回答制限時間が経過すると(ステップS313YesまたはステップS314Yes)には、処理を終了する。
(3)意見表示処理
図16は、実施例1に係る意見表示処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、全ての生徒端末30から回答を受け付けるか、あるいは回答制限時間が経過した場合に実行される。
図16に示すように、表示制御部15fは、記憶部13に記憶された回答データ13cのうち生徒端末30へ送信を行った課題の課題IDに対応する各レコードを読み出す(ステップS501)。さらに、表示制御部15fは、ステップS501で読み出したレコードに含まれる生徒IDのうち回答中入力データ13dに同一の課題ID及び同一の生徒IDを持つエントリが存在する生徒ID、すなわち回答受付中の文字列が保存された生徒IDを抽出する(ステップS502)。
続いて、表示制御部15fは、ステップS501で読み出したレコードごとに当該レコードに含まれる賛否および意見をマトリクス状に整列させた意見板、すなわち記録有無の標示なしの意見板を電子黒板20へ表示させる(ステップS503)と共に、生徒の意見表示エリアのうちステップS502で抽出された生徒IDに対応する意見表示エリアに所定の標示が付加された記録有無の標示付きの意見板をタッチパネル11に表示させる(ステップS504)。
その後、表示制御部15fは、タッチパネル11に表示させた意見板に対する意見表示エリアの選択を待機する(ステップS505)。このとき、意見表示エリアの選択を受け付けた場合(ステップS505Yes)には、表示制御部15fは、選択を受け付けた意見表示エリアに記録有りの標示が存在するか否かを判定する(ステップS506)。
ここで、意見表示エリアに記録有りの標示が存在する場合(ステップS506Yes)には、表示制御部15fは、回答中入力データ13dに含まれるレコードのうち標示付きの意見表示エリアの生徒IDに対応する回答受付中の文字列およびコメントを記憶部13から読み出す(ステップS507)。
その上で、表示制御部15fは、ステップS505で選択を受け付けた意見表示エリアに含まれる回答の文字列と、ステップS507で読み出された回答受付中の文字列及びそのコメントとが併記された教師用の個別意見画面をタッチパネル11に表示させる(ステップS508)。さらに、表示制御部15fは、電子黒板20には、意見板に含まれる意見表示エリアのうちステップS505で選択がなされた意見表示エリアが拡大された生徒用の個別意見画面を表示させる(ステップS509)。
また、意見表示エリアに記録有りの標示が存在しない場合(ステップS506No)には、表示制御部15fは、タッチパネル11及び電子黒板20の両方に対し、意見板に含まれる意見表示エリアのうちステップS505で選択がなされた意見表示エリアが拡大された共通の個別意見画面を表示させる(ステップS510)。
その後、表示制御部15fは、ステップS508〜ステップS510のいずれかの個別意見画面で「戻る」のボタンの押下操作がなされるまで待機する(ステップS511)。そして、「戻る」のボタンの押下操作がなされると、表示制御部15fは、上記のステップS503及びステップS504の処理に戻り、記録有無の標示なしの意見板を電子黒板20へ表示させると共に記録有無の標示付きの意見板をタッチパネル11に表示させる。
なお、タッチパネル11または電子黒板20に表示された意見板に含まれる終了ボタンが押下された場合(ステップS512Yes)には、表示制御部15fは、当該課題に関する表示を終了する。
[効果の一側面]
上述してきたように、本実施例に係る教師端末10は、複数の生徒端末30のうち所定条件を満たす生徒端末30の一覧から選択された生徒端末30で入力中のデータを表示し、表示に対する操作のタイミングで得たデータを記録する。したがって、本実施例に係る教師端末10によれば、協働教育に有用な意見が埋もれるのを抑制できる。