JP6405707B2 - 差動ケーブルの評価方法 - Google Patents
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Description
請求項2に記載の発明は、前記被測定物が前記一対の信号線の4ポートと前記測定子の1ポートである場合に、ポート数が4の前記ネットワークアナライザにより、当該被測定物のSパラメータの測定を、当該一対の信号線の4ポートを選択した前記Sパラメータを測定するステップと、当該測定子の1ポートを含めて選択した2回の当該Sパラメータを測定するステップとで行うことを特徴とする請求項1に記載の差動ケーブルの評価方法である。
請求項3に記載の発明は、前記差動ケーブルにおいて、当該差動ケーブルの信号が伝達される方向における複数の位置に前記測定子を配置し、その位置ごとに、前記Sパラメータを測定するステップを繰り返すことにより、前記被測定物のSパラメータを測定することを特徴とする請求項1又は2に記載の差動ケーブルの評価方法である。
請求項4に記載の発明は、繰り返される前記Sパラメータを測定するステップには、前記差動ケーブルの前記複数の位置に複数の測定子を配置し、当該複数の測定子のうち少なくとも2つの測定子を含むようにポートを選択した当該Sパラメータを測定するステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の差動ケーブルの評価方法である。
請求項5に記載の発明は、前記被測定物が前記一対の信号線の4ポートであって、前記差動ケーブルに信号を送信する送信部側、当該差動ケーブルから信号を受信する受信部側、当該差動ケーブルの中央部のそれぞれに設置した複数の測定子に対して、4ポートの前記ネットワークアナライザにて、当該被測定物のSパラメータを測定する場合において、前記被測定物の4ポートを選択した前記Sパラメータを測定するステップと、前記複数の測定子のうち2つの測定子を含むように選択した2回の当該Sパラメータを測定するステップと、当該複数の測定子のうち選択されなかった測定子を含むように選択した2回の当該Sパラメータを測定するステップとで行うことを特徴とする請求項4に記載の差動ケーブルの評価方法である。
請求項2の発明によれば、4ポートのネットワークアナライザにより、5ポートの被測定物のSパラメータが測定の回数を抑制して測定できる。
請求項3の発明によれば、一か所に測定子を固定して配置する場合に比べ、差動ケーブルの特性がより正確に評価できる。
請求項4、5の発明によれば、測定子ごとに測定する場合に比べ、Sパラメータを測定するステップの数を抑制できる。
[第1の実施の形態]
(差動ケーブル10)
図1は、第1の実施の形態の差動ケーブルの評価方法が適用される差動ケーブル10を含む被測定物1(DUT:Device Under Test)を示す図である。
DUT1は、差動ケーブル10と差動ケーブル10の外側に差動ケーブル10を取り巻くように設けられた測定子の一例としての電流クランプ20とを備えている。
そして、差動ケーブル10は、一対の信号線11、12とそれを包む被覆部13とを備えている。なお、被覆部13は、信号線11、12の保護及び絶縁のために設けられたプラスティックで構成されたフィルム層であってもよく、金属の編線で構成された電磁シールド層をさらに含んでもよい。
また、電流クランプ20は、差動ケーブル10と相互作用して、外部から差動ケーブル10に入るノイズ等が差動ケーブル10に与える影響を評価する。電流クランプ20の代わりに、電極、プローブ、探針などであってもよい。
また、電流クランプ20は、ポート5に接続され、ポート5は、ノイズ発生源4に接続されている。
すなわち、図1に示すDUT1は、5ポート回路である。
そこで、DUT1のポートとNA5のポートとを区別するため、図1に示すように、DUT1のポート1〜5を、ポートD1〜D5と表記する。そして、これ以降の図において、DUT1のポート1〜5を、D1〜D5と表記する。NA5、NA6については、後述する。
図2は、第1の実施の形態において、5ポートのDUT1を5ポートのNA5に接続するとした場合の接続図、目的Sマトリクスを示す図である。図2(a)が接続図、図2(b)が目的Sマトリクスである。
NA5は、ポート1〜5を備えている。ここで、DUT1のポートと区別するために、NA5のポート1〜5を、ポートN1〜N5と表記する。そして、これ以降の図において、NA5のポート1〜5を、N1〜N5と表記する。
そして、図2(b)に示すように、5×5の要素(Sパラメータ)を有するSマトリクスが得られる。このSパラメータの添え字(S11の1、1など)は、DUT1のポートの番号であるが、NA5のポートの番号に一致する。
そして、図2(b)に示すSマトリクスが測定において目的とする(求めたい)Sマトリクス(以下では、目的Sマトリクスと表記する。)である。なお、目的Sマトリクスと測定Sマトリクス(後述する図3参照)とを区別しない場合、又は両者を含める場合にはSマトリクスと表記する。
なお、Sマトリクス及びその要素であるSパラメータは、高周波回路の評価に使用されているので、詳細な説明を省略する。
よって、ここでは、図1に示した5ポートのDUT1を、4ポートのネットワークアナライザ(後述する図3のNA6参照)を用いて測定する。
すなわち、NA6は、ポート数が4(ポートN1〜N4)であって、DUT1のポート数(5)より少ない。
ここでは、4ポートのNA6による5ポートのDUT1の目的Sマトリクスの測定は、測定1〜測定3の3回の測定(ステップ)で行われる。なお、4ポートのネットワークアナライザをNA6とし、5ポートのネットワークアナライザであるNA5と区別している。
DUT1のポートD1〜D5には、それぞれコネクタが設けられている。そして、NA6のポートN1〜N4にも、それぞれコネクタが設けられている。そして、一端部にDUT1のポートD1〜D5の各コネクタと接続できるコネクタを備え、他端部にNA6のポートN1〜N4の各コネクタと接続できるコネクタを備えたケーブル(接続ケーブル)が用意されている。そして、DUT1のポートD1〜D5のそれぞれのコネクタとNA6のポートN1〜N4のそれぞれのコネクタとが接続ケーブルで接続される。
なお、NA6のポートN1〜N4は4個であるので、DUT1の5個のポートD1〜D5のすべてを同時に接続することができない。よって、NA6のポートN1〜N4とDUT1の5個のポートD1〜D5との接続関係を変えながら、複数のステップ(測定1〜3)によって、DUT1のSマトリクスを測定する。
この測定1において、4×4のSマトリクスが得られる。このSマトリクスは、目的Sマトリクスと異なっている。ここでは、4ポートのNA6によって測定されるSマトリクスを測定Sマトリクスと表記する。なお、測定SマトリクスのSパラメータの添え字(S11の1、1など)は、NA6のポートN1〜N4の番号に対応する。一方、目的SマトリクスのSパラメータの添え字(S11の1、1など)は、DUT1のポートD1〜D5の番号に対応する。
よって、図3(a)、(b)、(c)における右図には、測定Sマトリクス及び目的Sマトリクスを表記し、測定SマトリクスのSパラメータと目的SマトリクスのSパラメータとの対応関係を示している。
すなわち、測定1により、目的Sマトリクスにおける一部のSパラメータが得られる。
この場合、3×3の測定Sマトリクスが得られる。
測定2では、DUT1のポートD1、D2の番号1、2は、NA6のポートN1、N2の番号1、2と一致している。よって、破線で囲って示すように、測定SマトリクスのS11、S12、S21、S22が、目的SマトリクスのS11、S12、S21、S22に対応する。また、DUT1のポートD5が、NA6のポートN3に接続されているので、測定Sマトリクスにおける番号3が、目的Sマトリクスの番号5に対応する。よって、一点鎖線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS13、S23が、目的SマトリクスのS15、S25にそれぞれ対応し、二点鎖線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS31、S32が、目的SマトリクスのS51、S52にそれぞれ対応する。さらに、点線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS33が、目的SマトリクスのS55に対応する。
このようにして、測定2(図3(b))において、測定1(図3(a))で得られなかった目的Sマトリクスの一部のSパラメータが得られる。
なお、終端素子TRは、終端抵抗とも呼ばれ、一般的なネットワークアナライザでは50Ωである。
この場合、3×3の測定Sマトリクスが得られる。
測定3では、DUT1のポートD3、D4の番号3、4は、NA6のポートN3、N4の番号3、4と一致している。よって、破線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS33、S34、S43、S44が、目的SマトリクスのS33、S34、S43、S44にそれぞれ対応する。また、DUT1のポートD5が、NA6のポートN1に接続されているので、測定Sマトリクスにおける番号1が、目的Sマトリクスの番号5に対応する。よって、一点鎖線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS31、S41が、目的SマトリクスのS35、S45にそれぞれ対応し、二点鎖線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS13、S14が、目的SマトリクスのS53、S54にそれぞれ対応する。さらに、点線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS11が、目的SマトリクスのS55に対応する。
この場合、DUT1の各ポートのコネクタに対する測定ケーブルや終端素子TRの緩みや誤接続などの接続ミスによる測定ミスや測定誤差が発生する恐れがある。このため、測定された結果(測定値)の確度(精度)を判断するために、測定1〜測定3の一連の測定を複数回繰り返し、測定値にばらつきがあるか否かにより判断していた。しかし、この方法は、煩雑であるとともに、時間を要していた。
測定2(図3(b))及び測定3(図3(c))において、ともにS55が測定されている。測定2において、NA6のポートN3のコネクタに接続されていた接続ケーブルが、測定3では、DUT1のポートD5のコネクタから取り外され、NA6のポートN1のコネクタに接続されていた接続ケーブルがDUT1のポートD5のコネクタに取り付け直されている。よって、測定2のS55と測定3のS55とを比較することにより、測定2及び測定3におけるDUT1のポートD5のコネクタに対する接続ケーブルの接続ミスが検出できる。
なお、S55、S21、S43のように、測定1〜測定3において、重複して測定されるSパラメータから、DUT1のすべてのポートD1〜D5を含むSパラメータを選択して、互いを比較することにより測定1〜3における接続ミスが検知できる。
次に、|S21|では、例えば、±3dBを予め定められた閾値とし、重複して測定された|S21|の差が±3dB以内(閾値内)にあるポイント数が90%以上であれば、接続ミスがない(OK)と判断する。図4(b)の下図に示すように、|S21|の差が±3dB以内にあるポイント数は99.50%である。よって、接続ミスがない(OK)と判断される。
さらに、|S43|では、例えば、±3dBを予め定められた閾値とし、|S43|の差が±3dB以内(閾値内)にあるポイント数が90%以上であれば、接続ミスがない(OK)と判断する。図4(c)の下図に示すように、|S43|の差が±3dB以内にあるポイント数は99.69%である。よって、接続ミスがない(OK)と判断される。
このように、重複して測定されたSパラメータの差を、予め設定した閾値及び接続ミスがない(OK)と判断する基準(閾値内のポイント数の割合(%))により、接続ミスの検出ができる。これにより、測定1〜3の一連の測定(ステップ)を繰り返すことを要しないとともに、測定値の確度(精度)が確認できる。
なお、図4(a)、(b)、(c)におけるそれぞれの上図において、重複して測定されたSパラメータの値はほぼ重なっている。これからも、測定の確度(精度)がよいと判断できる。
図5(a)、(b)、(c)における表記及び|S55|、|S21|、|S43|のそれぞれに対する閾値及び接続ミスがあるか否かを判断する閾値内のポイント数の割合(%)は、図4の接続ミスがない場合と同じである。
そして、図5(b)の下図に示すように、|S21|の差が±3dB以内にあるポイント数は、99.81%と90%以上であるので、接続ミスがない(OK)と判断される。
さらに、図5(c)の下図に示すように、|S43|の差が±3dB以内にあるポイント数は、99.69%と90%以上であるので、接続ミスがない(OK)と判断される。
すなわち、測定2(図3(b))において、NA6のポートN3のコネクタからのケーブルがDUT1のポートD5のコネクタに対して緩く接続されていた場合には、ポートD5に関連する“5”を含む要素である|S55|にその影響が表れる。
このように、測定1〜測定3の一連の測定(ステップ)を繰り返すことを要せずに、DUT1のポートD5に接続ミスがあったことが検知できる。よって、測定2を再度行って測定した|S55|と、前に行った測定3の|S55|と比較すればよい。これでも、|S55|の差が閾値内のポイント数の割合(%)が予め設定された値以上とならない場合には、測定3に接続ミスがあったと分かる。よって、測定3を再度行えばよい。
図5に示した例は、測定2(図3(b))において、NA6のポートN3のコネクタに接続された接続ケーブルがDUT1のポートD5のコネクタに緩く接続されていた場合であるので、測定2を再度行えばよいことになる。
図6(a)、(b)、(c)における表記及び|S55|、|S21|、|S43|のそれぞれに対する閾値及び接続ミスがあるか否かを判断する閾値内のポイント数の割合(%)は、図4の接続ミスがない場合と同じである。
そして、図6(b)の下図に示すように、|S21|の差が±3dB以内にあるポイント数は、9.79%と90%未満であるので、接続ミスがある(NG)と判断される。
さらに、図6(c)の下図に示すように、|S43|の差が±3dB以内にあるポイント数は、9.42%と90%未満であるので、接続ミスがある(NG)と判断される。
すなわち、|S55|、|S21|、|S43|のいずれからも接続ミスがある(NG)と判断されたことから、測定1〜測定3において、測定の順序が間違っていたと判断できる。
なお、図6(a)、(b)、(c)におけるそれぞれの上図において、重複して測定されたSパラメータの値が大きくずれている。これからも、測定の順序が間違っていたと判断できる。
なお、ここではポイント数の割合を用いたが、面積の割合などを用いてもよい。
第1の実施の形態では、図2(b)に示したDUT1の目的Sマトリクスを、図3おける測定1(図3(a))、測定2(図3(b))、測定3(図3(c))のそれぞれの接続図に示した接続関係によって測定した。しかし、他の接続関係を用いて行ってもよい。
第2の実施の形態では、DUT1のポートD1〜D5とNA6のポートN1〜N4とを、図3に示した接続関係と異なる他の接続関係で、DUT1の目的Sマトリクスを測定する。
図7は、第2の実施の形態における5ポートのDUTの目的Sマトリクスを4ポートのNAで測定する場合の接続図、測定Sマトリクス、目的Sマトリクスを示す図である。図7(a)が図3(a)の測定1、図7(b)が図3(b)の測定2、図7(c)が図3(c)の測定3に対応する。図7(a)、(b)、(c)において、左側(左図)に接続図、右側(右図)に測定Sマトリクス及び目的Sマトリクスを示している。
目的Sマトリクスは、図2(b)と同じである。
これ以外は、第1の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
このように、DUT1のポートD1〜D5とNA6のポートN1〜N4との接続関係を変更しても、目的Sマトリクスを求めることができる。
第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、図2(a)の接続図に示したDUT1のポートD1〜D5とNA5のポートN1〜N5の接続関係を前提にして、図2(b)の目的Sマトリクスを求めた。第3の実施の形態は、図2(a)の接続図に示した接続関係以外の接続関係を用いて、目的Sマトリクスを求める。
図8は、第3の実施の形態において、5ポートのDUT1を5ポートのNA5に接続したとした場合の接続図、目的Sマトリクスを示す図である。図8(a)が接続図、図8(b)が目的Sマトリクスである。
図2(a)と図8(a)とを比較すると、DUT1のポートD1〜D5において、ポートD2及びポートD3が入れ替わっている。しかし、DUT1のポートD1〜D5とNA5のポートN1〜N5との接続は、同じ番号のポート間で接続されている。よって、図8(b)に示す目的SマトリクスのSパラメータの添え字(S12の“1”、“2”)は、DUT1のポートD1〜D5に対応し、NA5のポートN1〜N5にも一致する。
なお、DUT1のポートD1〜D5とNA6のポートN1〜N4との接続関係を、第1の実施の形態から第3の実施の形態に示した以外に設定してもよい。
そして、第1の実施の形態において説明したように、測定1〜測定3において、重複して測定されるSパラメータを比較することにより、接続ミスを検知することができる。よって、5ポートのDUT1のSマトリクスを4ポートのNA6にて測定する場合であっても、接続ミスの検知により、測定の回数が増加することを抑制しつつ、確度の高い測定値を得ることができる。
第1の実施の形態から第3の実施の形態では、図1に示したように、電流クランプ20は、差動ケーブル10に対して、予め定められた一か所に設定されていた。
しかし、差動ケーブル10は、ノイズが加えられる位置(電流クランプ20の位置)によって、特性が変わることが考えられる。
ここでは、図10(a)に示すように、電流クランプ20を差動ケーブル10の左側(送信部側)及び右側(受信部側)に配置した場合に加え、電流クランプ20を差動ケーブル10において中央の位置(中央部、図では#Cと表記する。)に設けた場合を考える。
ここでは、電流クランプ20を、差動ケーブル10の左側に設けた場合を電流クランプ20L、右側に設けた場合を電流クランプ20R、中央部に設けた場合を電流クランプ20Cと表記する。そして、電流クランプ20Lに対してポートD5L、電流クランプ20Rに対してポートD5R、電流クランプ20Cに対してポートD5Cが設けられているとする。
この場合、図10(b)の左側の図に示す電流クランプ20Lに対して得られる目的Sマトリクスと、図10(b)の右側の図に示す電流クランプ20Rに対して得られる目的Sマトリクスとは同じになる。
図11は、差動ケーブル10に対して電流クランプ20を異なる位置に設けた他の場合のDUT1を示す図である。図11(a)は、電流クランプ20を設ける位置を示す図、図11(b)は、電流クランプ20を送信部2に近い位置(差動ケーブル10の左側、#L)に設けた場合と電流クランプ20を受信部3に近い位置(差動ケーブル10の右側、#R)に設けた場合を示す図である。
ここでも、図11(a)に示すように、電流クランプ20を差動ケーブル10の左側及び右側に配置した場合に加え、電流クランプ20を差動ケーブル10において中央の位置(中央部、#C)に設けた場合を考える。
この場合、図11(b)の左側の図に示す電流クランプ20Lに対する目的Sマトリクス(L)と、右側の図に示す電流クランプ20Rに対する目的Sマトリクス(R)とは異なる。
図12は、差動ケーブル10が左右対称でない場合において、5ポートのNA5により目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)を測定するとした場合の接続図及び目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)を示す図である。図12(a)は、目的Sマトリクス(L)を測定する場合、図12(b)は、目的Sマトリクス(C)を測定する場合、図12(c)は、目的Sマトリクス(R)を測定する場合である。
図12(a)に示す目的Sマトリクス(L)を測定する場合は、電流クランプ20Lの場合であって、DUT1のポートD5Lに対して、目的Sマトリクス(L)が測定される。なお、ポートに“L”を付記したので、目的Sマトリクス(L)のSパラメータにおける添え字を“5L”と表記している。
図12(b)に示す目的Sマトリクス(C)を測定する場合は、電流クランプ20Cの場合であって、DUT1のポートD5Cに対して、目的Sマトリクス(C)が測定される。なお、ポートに“C”を付記したので、目的Sマトリクス(C)のSパラメータにおける添え字を“5C”と表記している。
図12(c)に示す目的Sマトリクス(R)を測定する場合は、電流クランプ20Rの場合であって、DUT1のポートD5Rに対して、目的Sマトリクス(R)が測定される。なお、ポートに“R”を付記したので、目的Sマトリクス(R)のSパラメータにおける添え字を“5R”と表記している。
しかし、第1の実施の形態で説明したように、5ポートのDUT1に対して4ポートのNA5で目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)を測定する場合、目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)のそれぞれに対して、第1の実施の形態で説明した測定1〜3を行うことになるため、9回の測定が必要になることになる。
しかし、図3(a)に示した測定1は、DUT1のポートD1、D2、D3、D4に対して行なわれる。すなわち、目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)は、それぞれDUT1のポートD5L、D5C、D5Rに対する測定により求められるが、測定1では、ポートD5L、D5C、D5Rと無関係である。よって、測定1は、目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)のいずれか1つの測定において行えばよく、他の測定では省略できる。よって、5ポートのDUT1の目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)を4ポートのNA5で求める場合、7回の測定を行えばよい。
なお、測定SマトリクスのSパラメータと、目的Sマトリクス(L)(目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)でも同じ)のSパラメータとの対応は、図3(a)に示した第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
また、図13(c)に示す測定3は、図3(c)に示した第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
なお、図13(b)、13(c)では、目的Sマトリクス(L)におけるSパラメータの添え字“5”を“5L”としている。
上述したように、7回の測定により、目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)が求められる。
なお、図13、14、15に示したように、電流クランプ20L、電流クランプ20C、電流クランプ20R毎に測定を行うので、1個の電流クランプ20を、差動ケーブル10に対する位置を移動させて測定を行うことができる。
第4の実施の形態では、7回の測定により、電流クランプ20L、電流クランプ20C、電流クランプ20Rのそれぞれに対して、目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)を求めた。しかし、図13(b)、(c)、図14(a)、(b)、図15(a)、(b)では、NA6において、接続されていないポートが存在する。
そこで、第5の実施の形態では、複数の電流クランプ20をNA6の接続されていなかったポートに接続することで、測定の回数を減らしている。
この場合、電流クランプ20L、20C、20Rのうち、同時に接続される少なくとも2個が必要となる。
図16は、5ポートのDUT1の目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)を4ポートのNA6で測定する場合において、図3(a)の測定1に対応する接続図、測定Sマトリクス、目的Sマトリクスを示す図である。図16において、左側に接続図を、右側に対応する測定Sマトリクス及び目的Sマトリクスを示している。測定1は、目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)に共通である。よって、目的Sマトリクス(L、C、R)と表記し、目的SマトリクスのSパラメータの添え字を“5x”と表記している。
なお、この測定1は、第4の実施の形態において、図13(a)と同じであるので、説明を省略する。
この測定2において、4×4の測定Sマトリクスが得られる。破線で囲って示すように、測定SマトリクスのS11、S12、S21、S22が、目的Sマトリクス(L)及び目的Sマトリクス(R)のS11、S12、S21、S22に対応する。
一点鎖線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS13、S23が、目的Sマトリクス(L)のS15L、S25Lにそれぞれ対応する。また、測定SマトリクスのS14、S24が、目的Sマトリクス(R)のS15R、S25Rにそれぞれ対応する。
二点鎖線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS31、S32が、目的Sマトリクス(L)のS5L1、S5L2にそれぞれ対応する。また、測定SマトリクスのS41、S42が、目的Sマトリクス(R)のS5R1、S5R2にそれぞれ対応する。
点線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS33が、目的Sマトリクス(L)のS5L5Lに対応する。また、測定SマトリクスのS44が、目的Sマトリクス(R)のS5R5Rに対応する。
この測定3において、4×4の測定Sマトリクスが得られる。破線で囲って示すように、測定SマトリクスのS33、S34、S43、S44が、目的Sマトリクス(L)及び目的Sマトリクス(R)のS33、S34、S43、S44に対応する。
一点鎖線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS13、S14が、目的Sマトリクス(L)のS5L3、S5L4にそれぞれ対応する。また、測定SマトリクスのS23、S24が、目的Sマトリクス(R)のS5R3、S5R4にそれぞれ対応する。
二点鎖線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS31、S41が、目的Sマトリクス(L)のS35L、S45Lにそれぞれ対応する。また、測定SマトリクスのS32、S42が、目的Sマトリクス(R)のS35R、S45Rにそれぞれ対応する。
点線で囲んで示すように、測定SマトリクスのS11が、目的Sマトリクス(L)のS5L5Lに対応する。また、測定SマトリクスのS22が、目的Sマトリクス(R)のS5R5Rに対応する。
このように、DUT1のポートD5L、D5Rを同時にNA6のポートに接続し、測定2、測定3を行うことで、目的Sマトリクス(L)及び目的Sマトリクス(R)を同時に求めることができる。
すなわち、DUT1のポートD5L、D5C、D5Rのうちの2個を同時にNA6のポートに接続してSマトリクスを測定することにより、測定の回数を抑制することができる。
次に、上記の第4の実施の形態及び第5の実施の形態で説明した測定方法を適用して、2種類の差動ケーブル10(ケーブルA、ケーブルB)を評価した一例を説明する。
ここでは、差動ケーブル10(ケーブルA、ケーブルB)に対して測定された目的Sマトリクス(L)、目的Sマトリクス(C)、目的Sマトリクス(R)におけるS51とS53とを評価した。
S51は、DUT1のポートD1からポートD5(ポートD5L、D5C、D5R)への伝達特性を示すSパラメータである。すなわち、送信部2側における差動ケーブル10の特性が評価できる。
一方、S53は、DUT1のポートD3からポートD5(ポートD5L、D5C、D5R)への伝達特性を示すSパラメータである。すなわち、受信部3側における差動ケーブル10の特性が評価できる。
なお、S51及びS53は、値が小さいほど(絶対値が大きいほど)、DUT1のポートD1、D3がポートD5の影響を受けにくいことを示す。
一方、受信部3側の特性を示すS53は、図19(b)に示すように、電流クランプ20が左側に配置された場合に、近似直線の傾きと平均値とが最も大きく、中央部に配置された場合に、近似直線の傾きと平均値とが最も小さい。
一方、受信部3側の特性を示すS53は、図20(b)に示すように、電流クランプ20がケーブルBの右側に配置された場合に、近似直線の傾きと平均値とが最も大きく、電流クランプ20が左側に配置された場合に、近似直線の傾きと平均値とが最も小さい。
表1は、ケーブルA及びケーブルBに対するS51及びS53の平均値である。数値が最も大きい欄を二重線で囲っている。
すなわち、差動ケーブル10は、図1に示した差動ケーブル10の送信部2側のポートD1、D2と受信部3側のポートD3、D4との関係を求めるのみでは、評価が不十分であることが分かる。差動ケーブル10は、外部から入るノイズなどの影響を含めて評価することが必要である。
このため、差動ケーブル10を含むDUT1は、4ポート回路から少なくとも5ポート回路となる。このとき、前述した測定方法を使用することにより、4ポートのネットワークアナライザを用いても、測定の回数を抑制して、より効率よくSマトリクス(目的Sマトリクス)を求めることができる。
Claims (5)
- 一対の信号線を有する差動ケーブルと、当該差動ケーブルの外側に配置されて当該差動ケーブルと相互作用させる測定子と、を含み、複数のポートを備える被測定物に対して、当該被測定物の当該複数のポート数より少ないポート数を有するネットワークアナライザにて、当該差動ケーブルを評価する差動ケーブルの評価方法であって、
前記被測定物の複数のポートから、前記ネットワークアナライザのポート数以下のポートを選択して、Sパラメータを測定するステップと、
測定の確度を評価するステップと、を含み、
前記被測定物の前記複数のポートのうち、選択されなかったポートがなくなるまでポートの組み合わせを変更しつつ、前記Sパラメータを測定するステップを繰り返して当該被測定物の当該複数のポートの全てに対するSパラメータを取得するとともに、
前記Sパラメータを測定するステップの繰り返しにおいて、前記被測定物の全てのポートの番号を添え字として含む複数のSパラメータを重複して測定し、
前記測定の確度を評価するステップにおいて、重複して測定した前記Sパラメータの差が、予め定められた閾値以下である割合により、測定の確度を評価する
ことを特徴とする差動ケーブルの評価方法。 - 前記被測定物が前記一対の信号線の4ポートと前記測定子の1ポートである場合に、ポート数が4の前記ネットワークアナライザにより、当該被測定物のSパラメータの測定を、当該一対の信号線の4ポートを選択した前記Sパラメータを測定するステップと、当該測定子の1ポートを含めて選択した2回の当該Sパラメータを測定するステップとで行うことを特徴とする請求項1に記載の差動ケーブルの評価方法。
- 前記差動ケーブルにおいて、当該差動ケーブルの信号が伝達される方向における複数の位置に前記測定子を配置し、その位置ごとに、前記Sパラメータを測定するステップを繰り返すことにより、前記被測定物のSパラメータを測定することを特徴とする請求項1又は2に記載の差動ケーブルの評価方法。
- 繰り返される前記Sパラメータを測定するステップには、前記差動ケーブルの前記複数の位置に複数の測定子を配置し、当該複数の測定子のうち少なくとも2つの測定子を含むようにポートを選択した当該Sパラメータを測定するステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の差動ケーブルの評価方法。
- 前記被測定物が前記一対の信号線の4ポートであって、前記差動ケーブルに信号を送信する送信部側、当該差動ケーブルから信号を受信する受信部側、当該差動ケーブルの中央部のそれぞれに設置した複数の測定子に対して、4ポートの前記ネットワークアナライザにて、当該被測定物のSパラメータを測定する場合において、
前記被測定物の4ポートを選択した前記Sパラメータを測定するステップと、前記複数の測定子のうち2つの測定子を含むように選択した2回の当該Sパラメータを測定するステップと、当該複数の測定子のうち選択されなかった測定子を含むように選択した2回の当該Sパラメータを測定するステップとで行うことを特徴とする請求項4に記載の差動ケーブルの評価方法。
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