JP5458817B2 - 電子部品の電気特性測定誤差の補正方法及び電子部品特性測定装置 - Google Patents

電子部品の電気特性測定誤差の補正方法及び電子部品特性測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子部品の電気特性測定誤差の補正方法及び電子部品特性測定装置に関し、詳しくは、試験測定治具に実装した状態で電子部品の電気特性を測定した結果から、その電子部品を基準測定治具に実装して測定したならば得られるであろう電気特性の推定値を算出する電子部品の電気特性測定誤差の補正方法及び電子部品特性測定装置に関する。
従来、表面実装型電子部品などの同軸コネクタを有しない電子部品は、同軸コネクタを有する測定治具に実装し、測定治具と測定装置の間を同軸ケーブルで接続して、電気特性が測定されることがある。このような測定においては、個々の測定治具の特性のばらつきや、個々の同軸ケーブル及び測定装置の特性のばらつきが、測定誤差の原因となる。
同軸ケーブル及び測定装置については、基準特性を有する標準器を同軸ケーブルで測定装置に接続して測定することにより、標準器を接続した同軸ケーブル先端よりも測定装置側の誤差を同定することができる。
しかし、測定治具については、電子部品を実装する部分の接続端子と同軸ケーブルに接続するための同軸コネクタとの間の電気特性の誤差を精度よく同定することができない。また、測定治具間の特性が一致するように調整することは容易ではない。特に広い帯域幅で、測定治具間の特性が一致するように測定治具を調整することは、極めて困難である。
そこで、標準試料(以下、「補正データ取得試料」ともいう。)を複数の測定治具に実装して測定し、測定治具間における測定値のばらつきに基づいて、ある測定治具(以下、「基準測定治具」という。)と他の測定治具(以下、「試験測定治具」という。)との間の相対的な誤差を補正する数式を予め導出しておき、任意の電子部品の電気特性について、試験測定治具に実装した状態で測定した測定値(以下、「試験測定治具測定値」という。)から、この数式を用いて、その電子部品を基準測定治具に実装して測定した測定値(以下、「基準測定治具測定値」という。)の推定値を算出する、いわゆる相対補正法が提案されている。
例えば、基準測定治具はユーザに対して電気特性を保証するために用い、試験測定治具は電子部品の製造工程における良品選別のための測定に用いる。
具体的には、各ポートについて、試験測定治具の誤差を除去する散乱行列と基準測定治具の誤差の散乱行列とを合成した散乱行列(これを、「相対補正アダプタ」という。)をそれぞれ導出する。その相対補正アダプタを、試験測定治具測定値の散乱行列に対し合成することで、基準測定治具測定値の推定値を算出する。相対補正アダプタは、ポートごとに基準測定治具、試験測定治具の両方で少なくとも3つの1ポート補正データ取得用試料(例えば、Open、Short,Loadのようなもの)を測定し、この測定結果から計算できる。(例えば、特許文献1、非特許文献1、2参照)。
特許第3558074号公報
GAKU KAMITANI(Murata manufacturing Co.,Ltd.) "A METHOD TO CORRECT DIFFERENCE OF IN−FIXTURE MEASUREMENTS AMONG FIXTURES ON RF DEVICES" APMC Vol.2, p1094−1097, 2003 J.P.DUNSMORE, L.BETTS (Agilent Technologies) "NEW METHODS FOR CORRELATING FIXTURED MEASUREMENTS" APMC Vol.1, p568−571, 2003
各ポートに対する相対補正アダプタの係数である相対補正係数は、基準測定治具、試験測定治具の両方で測定した少なくとも3つの標準試料の測定値から得られる連立方程式の解として得られる。そのため、同じ構造の測定治具でも、その個体が異なったり、使用中に経時変化がおき、その特性が変化したりした場合には、測定系の特性が変わるため、再度、全ての標準試料の測定をやり直す必要がある。特性選別工程において、全ての標準試料を測定すると、段取り時間が長くなるため、工数、及び特性選別コストの増加につながる。
本発明は、かかる実情に鑑み、測定系の特性が変わっても効率よく相対補正係数を決定することができる電子部品の電気特性測定誤差の補正方法及び電子部品特性測定装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した電子部品の電気特性測定誤差の補正方法を提供する。
電子部品の電気特性測定誤差の補正方法は、任意のnポートを有する電子部品について、第1の試験測定治具とよく似た特性をもつ第2の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定した結果から、当該電子部品を基準測定治具に実装した状態で測定したならば得られるであろう電気特性の推定値を算出する、電子部品の電気特性測定誤差の補正方法である。電子部品の電気特性測定誤差の補正方法は、第1乃至第6のステップを備える。前記第1のステップにおいて、互いに異なる電気特性を有する少なくとも3個の第1の補正データ取得試料について、前記基準測定治具に実装した状態で電気特性を測定する。前記第2のステップにおいて、(a)前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料、(b)前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料の全部とそれぞれ同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも3個の第2の補正データ取得試料、又は(c)前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料のうちの一部と同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも1個の第3の補正データ取得試料及び当該一部の前記第1の補正データ取得試料以外の前記第1の補正データ取得試料について、前記第1の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定する。前記第3のステップにおいて、前記電子部品に近い特性を持つ少なくとも1個の第4の補正データ取得試料について、前記第2の試験測定治具に実装した状態と、前記基準測定治具に実装した状態とで、それぞれ電気特性を測定する。前記第4のステップにおいて、前記第1及び第2のステップにおいて前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した結果と、前記第3のステップにおいて前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した結果とに基づいて、同一の電子部品について前記第2の試験測定治具に実装した状態で測定した電気特性の測定値と前記基準測定治具に実装した状態で測定した電気特性の測定値とを関連付ける数式の係数である相対補正係数を決定する。前記第5のステップにおいて、任意の電子部品について、前記第2の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定する。前記第6のステップにおいて、前記第5のステップで測定した結果から、前記第4のステップで決定した前記相対補正係数を用いて、前記第5のステップにおいて前記第2の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定した前記電子部品について前記基準測定治具に実装した状態で測定したならば得られるであろう電気特性を算出する。
本来、第2の測定治具について相対補正係数を求めるためには、第2のステップのように少なくとも3個の補正データ取得試料について第2の測定治具に実装した状態で電気特性を測定する必要があるところ、上記方法においては、測定対象の電子部品に近い特性を持つ第4の補正データ取得試料について第2の試験測定治具と基準測定治具とに実装した状態でそれぞれ測定し、それ以外の補正データ取得試料については第1及び第2のステップで測定したデータを流用し、相対補正係数を算出する。これにより、相対補正法を実施する際の段取り時間を削減できる。
上記第4のステップで決定した相対補正係数は、第2の測定治具に実装した状態で測定したデータを用いて算出する本来の相対補正係数とは、差が生じる。しかし、測定対象の電子部品に近い特性を持つ第4の補正データ取得試料について第2の測定治具に実装した状態で測定したデータを用いて相対補正係数を決定しているため、電子部品を第2の測定治具に実装した状態で測定したデータから基準治具に実装した状態で測定したならば得られるであろう電気特性を算出する上では、相対補正係数の差は実用上問題とならないようにすることができる。
好ましくは、前記第4のステップにおいて、前記第1及び第2のステップにおいて測定した結果のうち前記電子部品に近い特性を持つ前記第1乃至第3の補正データ取得試料以外の前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した結果と、前記第3のステップにおいて前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した結果とに基づいて、前記相対補正係数を決定する。
この場合、電子部品に近い特性を持つデータを除くことによって、経時変化を考慮したより正確な相対補正係数を導出できる。
好ましい一態様において、前記第2の測定治具は、特性が経時変化した前記第1の測定治具である。
この場合、特性選別工程において複数の電子部品を測定することで測定治具の特性変化が起きたときに、再度3つ以上の補正データ取得試料を測定して相対補正係数を導出する場合に比べ、測定する電子部品に近い特性を持つ第4の補正データ取得試料を最低1つ測定すればよいので、相対補正法を実施する際の段取り時間を削減できる。
また、本発明は、基準測定治具、試験測定治具を、測定器を含めた基準測定系、試験測定系とし、測定器、ケーブルなどの経時変化に対しても拡張できるため、以下のように構成した電子部品の電気特性測定誤差の補正方法を提供する。
電子部品の電気特性測定誤差の補正方法は、任意のnポートを有する電子部品について、第1の試験測定系とよく似た特性をもつ第2の試験測定系で電気特性を測定した結果から、当該電子部品を基準測定系で測定したならば得られるであろう電気特性の推定値を算出する、電子部品の電気特性測定誤差の補正方法である。電子部品の電気特性測定誤差は、第1乃至第6のステップを備える。前記第1のステップにおいて、互いに異なる電気特性を有する少なくとも3個の第1の補正データ取得試料について、前記基準測定系で電気特性を測定する。前記第2のステップにおいて、(a)前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料、(b)前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料の全部とそれぞれ同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも3個の第2の補正データ取得試料、又は(c)前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料のうちの一部と同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも1個の第3の補正データ取得試料及び当該一部の前記第1の補正データ取得試料以外の前記第1の補正データ取得試料について、前記第1の試験測定系で電気特性を測定する。前記第3のステップにおいて、前記電子部品に近い特性を持つ少なくとも1個の第4の補正データ取得試料について、前記第2の試験測定系と、前記基準測定系とで、それぞれ電気特性を測定する。前記第4のステップにおいて、前記第1及び第2のステップにおいて前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した結果と、前記第3のステップにおいて前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した結果とに基づいて、同一の電子部品について前記第2の試験測定系で測定した電気特性の測定値と前記基準測定系で測定した電気特性の測定値とを関連付ける数式の係数である相対補正係数を決定する。前記第5のステップにおいて、任意の電子部品について、前記第2の試験測定系で電気特性を測定する。前記第6のステップにおいて、前記第5のステップで測定した結果から、前記第4のステップで決定した前記相対補正係数を用いて、前記第5のステップにおいて前記第2の試験測定系で電気特性を測定した前記電子部品について前記基準測定系で測定したならば得られるであろう電気特性を算出する。
この場合、測定器、ケーブルなどの測定系の経時変化などに対し、測定する電子部品とよく似た特性を持つ第4の補正データ取得試料を最低1つ測定すればよいので、測定器の校正器を用いて再度校正をする段取り時間が削減される。
好ましくは、前記第4のステップにおいて、前記第1及び第2のステップにおいて測定した結果のうち前記電子部品に近い特性を持つ前記第1乃至第3の補正データ取得試料以外の前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した結果と、前記第3のステップにおいて前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した結果とに基づいて、前記相対補正係数を決定する。
この場合、電子部品に近い特性を持つデータを除くことによって、経時変化を考慮したより正確な相対補正係数を導出できる。
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した電子部品特性測定装置を提供する。
電子部品特性測定装置は、任意のnポートを有する電子部品について、第1の試験測定治具とよく似た特性をもつ第2の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定した結果から、当該電子部品を基準測定治具に実装した状態で測定したならば得られるであろう電気特性の推定値を算出する。電子部品特性測定装置は、測定手段と、記憶手段と、相対補正係数決定手段と、電気特性推定手段とを備える。前記測定手段は、電子部品を前記第2の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定する。前記記憶手段は、(a)互いに異なる電気特性を有する少なくとも3個の第1の補正データ取得試料について、前記基準測定治具に実装した状態で電気特性を測定した第1の測定データと、(b)前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料、前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料の全部とそれぞれ同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも3個の第2の補正データ取得試料、又は前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料のうちの一部と同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも1個の第3の補正データ取得試料及び当該一部の前記第1の補正データ取得試料以外の前記第1の補正データ取得試料について、前記第1の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定した第2の測定データと、(c)前記電子部品に近い特性を持つ少なくとも1個の第4の補正データ取得試料について、前記第2の試験測定治具に実装した状態と、前記基準測定治具に実装した状態とで、それぞれ電気特性を測定した第3の測定データとを格納する。前記相対補正係数決定手段は、前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した前記第1及び第2の測定データと、前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した前記第3の測定データとに基づいて、同一の電子部品について前記第2の試験測定治具に実装した状態で測定した電気特性の測定値と前記基準測定治具に実装した状態で測定した電気特性の測定値とを関連付ける数式の係数である相対補正係数を決定する。前記電気特性推定手段は、任意の電子部品について、前記測定手段で測定して得られた測定値から、前記相対補正係数決定手段が決定した前記相対補正係数を用いて、当該電子部品について前記基準測定治具に実装した状態で測定したならば得られるであろう電気特性を算出する。
上記構成によれば、相対補正係数決定手段は、測定対象の電子部品に近い特性を持つ第4の補正データ取得試料について第2の試験測定治具と基準測定治具とに実装した状態でそれぞれ測定した第3の測定データを用い、それ以外の補正データ取得試料については第1及び第2の測定データを流用し、相対補正係数を算出する。これにより、相対補正法を実施する際の段取り時間を削減できる。
なお、第1乃至第3の測定データは、上記構成の電子部品特性測定装置の測定手段によって測定されても、上記構成の電子部品特性測定装置以外の他の測定装置によって測定されてもよい。後者の場合には、他の測定装置によって測定された測定データは、上記構成の電子部品特性測定装置の記憶手段に格納される。
好ましくは、前記相対補正係数決定手段は、前記第1及び第2の測定データのうち前記電子部品に近い特性を持つ前記第1乃至第3の補正データ取得試料以外の前記第1乃至第3の補正データ取得試料についての測定データと、前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した前記第3の測定データとに基づいて、前記相対補正係数を決定する。
この場合、電子部品に近い特性を持つデータを除くことによって、経時変化を考慮したより正確な相対補正係数を導出できるので、電子部品の電気特性の推定値の精度が向上する。
好ましい一態様において、前記第2の測定治具は、特性が経時変化した前記第1の測定治具であることを特徴とする。
この場合、特性選別工程において複数の電子部品を測定することで測定治具の特性変化が起きたときに、再度3つ以上の補正データ取得試料を測定して相対補正係数を導出する場合に比べ、測定する電子部品に近い特性を持つ第4の補正データ取得試料を最低1つ測定すればよいので、相対補正法を実施する際の段取り時間を削減できる。
また、本発明は、基準測定治具、試験測定治具を、測定器を含めた基準測定系、試験測定系とし、測定器、ケーブルなどの経時変化に対しても拡張できるため、以下のように構成した電子部品特性測定装置を提供する。
電子部品特性測定装置は、任意のnポートを有する電子部品について、第1の試験測定系とよく似た特性をもつ第2の試験測定系で電気特性を測定した結果から、当該電子部品を基準測定系で測定したならば得られるであろう電気特性の推定値を算出する。電子部品特性測定装置は、測定手段と、記憶手段と、相対補正係数決定手段と、電気特性推定手段とを備える。前記測定手段は、前記第2の試験測定系で電気特性を測定する。前記記憶手段は、(a)互いに異なる電気特性を有する少なくとも3個の第1の補正データ取得試料について、前記基準測定系で電気特性を測定した第1の測定データと、(b)前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料、前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料の全部とそれぞれ同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも3個の第2の補正データ取得試料、又は前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料のうちの一部と同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも1個の第3の補正データ取得試料及び当該一部の前記第1の補正データ取得試料以外の前記第1の補正データ取得試料について、前記第1の試験測定系で電気特性を測定した第2の測定データと、(c)前記電子部品に近い特性を持つ少なくとも1個の第4の補正データ取得試料について、前記第2の試験測定系と、前記基準測定系とで、それぞれ電気特性を測定した第3の測定データとを格納する。前記相対補正係数決定手段は、前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した前記第1及び第2の測定データと、前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した前記第3の測定データとに基づいて、同一の電子部品について前記第2の試験測定系で測定した電気特性の測定値と前記基準測定系で測定した電気特性の測定値とを関連付ける数式の係数である相対補正係数を決定する。前記電気特性推定手段は、任意の電子部品について、前記測定手段により前記第2の試験測定系で測定した結果から、前記相対補正係数決定手段が決定した前記相対補正係数を用いて、当該電子部品について前記基準測定系で測定したならば得られるであろう電気特性を算出する。
この場合、測定器、ケーブルなどの測定系の経時変化などに対し、測定する電子部品とよく似た特性を持つ第4の補正データ取得試料を最低1つ測定すればよいので、測定器の校正器を用いて再度校正をする段取り時間が削減される。
好ましくは、前記相対補正係数決定手段は、前記第1及び第2の測定データのうち前記電子部品に近い特性を持つ前記第1乃至第3の補正データ取得試料以外の前記第1乃至第3の補正データ取得試料についての測定データと、前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した前記第3の測定データとに基づいて、前記相対補正係数を決定する。
この場合、電子部品に近い特性を持つデータを除くことによって、経時変化を考慮したより正確な相対補正係数を導出できるので、電子部品の電気特性の推定値の精度が向上する。
本発明によれば、測定系の特性が変わっても効率よく相対補正係数を決定することができる。
電子部品の電気特性を測定する測定系の説明図である。 電子部品特性測定装置のブロック図である。 相対補正法で用いる2ポート測定系のシグナルフローダイヤグラムである。 相対補正アダプタを求める概念を説明するためのグラフである。 相対補正アダプタを求める概念を説明するためのグラフである。 相対補正アダプタを求める概念を説明するためのグラフである。 相対補正法の手順を示すフローチャートである。(従来例、実施例1、2) 経時変化後の試験治具測定結果に対し、経時変化前の相対補正アダプタによる補正結果を示すグラフである。(比較例1) 経時変化後にDUTの1つを標準試料として用いて導出した経時変化後の相対補正アダプタによる補正結果を示すグラフである。(実施例1) 試験測定治具交換後の試験測定治具測定結果に対し、経時変化前の相対補正アダプタによる補正結果を示すグラフである。(比較例2) 試験測定治具交換後に1つのDUTを標準試料として用いて導出した経時変化後の相対補正アダプタによる補正結果を示すグラフである。(実施例2) 相対補正法の基本原理を示す2端子対回路図である。 相対補正法の基本原理を示す2端子対回路図である。 漏洩誤差を考慮した相対補正法の2ポート測定系のシグナルフローダイヤグラムである。 漏洩誤差を考慮した相対補正法の3ポート測定系のブロック図である。 漏洩信号の説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図15を参照しながら説明する。
まず、電子部品の電気特性を測定する測定系について、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1は、測定系の説明図である。図1に示すように、電子部品2(例えば、高周波受動電子部品である弾性表面波フィルタ)は、測定治具12に実装された状態で、電子部品特性測定装置である測定装置10(例えば、ネットワークアナライザ)によって、その電気特性が測定される。測定治具12の同軸コネクタ12aと測定装置10との間は、同軸ケーブル14によって接続される。矢印16で示すように、電子部品2を測定治具12の装着部12bに実装すると、電子部品2の端子2aが測定装置10に電気的に接続される。測定装置10は、電子部品2の端子2aのうち、ある端子に信号を入力し、他の端子からの出力信号を検出することによって、電子部品2の電気特性を測定する。
図2は、測定装置10のブロック図である。図2に示すように、測定装置10は、表示部52と、操作部54と、測定部56と、制御部58と、記憶部60と、演算部62と、インターフェース部64とを備える。
表示部52は、表示パネル等を含み、測定装置10の動作状況や操作指示などを表示する。操作部54は、ボタンやスイッチなどを含み、オペレータからの電子部品測定装置10に対する操作を受け付ける。測定部56は、同軸ケーブル14及び測定治具12を介して、電子部品2の端子に接続される。測定部56は、電子部品2の端子を適宜に選択して信号を入力し出力信号を測定する。制御部58は、測定装置10全体の制御を統括する。記憶部60には、制御部58や演算部62を動作させるためのプログラム、測定部56からの測定データ、演算部62の演算結果データなどが格納される。演算部62は、測定部56からのデータや記憶部60に格納されたデータを用い、所定のプログラムに従って演算を行う。インターフェース部64は、外部機器とデータを送受信するためのインターフェースであり、記憶部60に格納するためのデータやプログラムや、演算部62からの演算結果データなどを受け付け、入出力を行う。
測定装置10は、所定のプログラムにしたがって、測定データに対して演算処理を行い、電子部品2の電気特性を算出する。この場合、測定装置10は、内部メモリや記録媒体などの記憶部60から、測定値や演算に用いるパラメータなどの必要なデータを読み出したり、インターフェース部64を介して外部機器(例えば、サーバー)と通信して必要なデータを読み出したりする。測定装置10は、複数の機器に分割することも可能である。例えば、測定のみを行う測定部と、測定データの入力を受け付けて演算処理や良否判定などを行う演算部とに分割してもよい。
なお、測定装置10は、後述する相対補正を行うための数式のデータをメモリ等の数式記憶手段に記憶し、そのデータを用いて、任意の電子部品について相対補正により電気特性の推定値をCPU等の電気特性推定手段により算出することができればよい。すなわち、測定装置10は、それ自体が測定と演算を行って相対補正を行うための数式を決定するものであっても、別の測定装置で測定したデータを用いて相対補正のための数式を決定するものであっても、さらには、別の測定装置で決定された相対補正を行うための数式のデータを記憶し、そのデータを用いて、任意の電子部品について相対補正による電気特性の推定値を算出するものであってもよい。
測定治具12は、同一特性のものを複数個製作することは困難である。そのため、同一の電子部品2であっても、測定に用いる測定治具12が異なると、測定治具ごとに特性のばらつきがあるため、測定結果も異なる。例えば、ユーザに対して電気特性を保証するために用いる測定治具(基準測定治具)と、電子部品の製造工程における良品選別のための測定に用いる測定治具(試験測定治具)とで、測定結果が異なる。このような測定治具間の測定値の差は、相対補正法によって補正することができる。
図3は、相対補正法で用いる2ポート測定系のシグナルフローダイヤグラムである。図中、符号20は基準測定治具に相当する部分であり、符号21は基準測定治具の同軸コネクタに相当する端子である。符号30は試験測定治具に相当する部分であり、符号31は試験測定治具の同軸コネクタに相当する端子である。相対補正アダプタ32は、基準測定治具20の端子21と試験測定治具30の端子31との間に接続されている。
相対補正法は、試験測定治具で測定した測定値(試験測定治具測定値)に相対補正アダプタを合成することで、基準測定治具で測定したときの測定値(基準測定治具測定値)の推定値を算出する手法である。相対補正アダプタは、同一の電子部品について試験測定治具で測定した電気特性の測定値と基準測定治具で測定した電気特性の測定値とを関連付ける数式である。
相対補正アダプタの係数である相対補正係数は、標準試料(すなわち、補正データ取得試料)について基準測定治具と試験測定治具の両方で測定した複数組のデータから、「最小二乗法」を用いて求める。
次に、最小二乗法による相対補正アダプタの導出について、図4〜図6を参照しながら説明する。図4〜図6は、最小二乗法にて相対補正アダプタを求める概念を示すグラフである。
図4に示すように、最小二乗法は、図中に「●」で示したいくつかのX、Yの組が与えられた時、破線で示すように、そのX,Yの関係を最もよく満たす関数Y=f(X)の定数を定める方法である。
相対補正アダプタを導出する際、X,Yの組は、標準試料の基準測定治具測定値と試験測定治具測定値の組である。f(X)内の定数が相対補正アダプタに対応し、f(X)は最小二乗法によって導き出すことができる。
ただし、次元の数は、図4に示すように2次元ではない。例えば、後述する漏洩誤差を考慮した相対補正法では、2ポートの相対補正アダプタを求める場合は15次元、3ポートの場合は35次元と、次元の数は非常に多い。
ここで、測定治具の特性が経時変化した場合について、図5及び図6を用いて考えてみる。相対補正アダプタは多次元空間であるが、わかりやすくするために図5及び図6では、図4と同じく2次元空間で表している。
図5において、経時変化前のX,Yの組を「●」、そのX,Yの関係を最もよく満たす関数Y=f(X)を破線で示している。また、経時変化後のX,Yの組を「○」、そのX,Yの関係を最もよく満たす関数Y=f(X)を実線で示している。図5に示すように、標準試料の測定値(X、Y)と相対補正アダプタ(Y=f(X)の定数)は、経時変化の前後で異なっている。
経時変化後にある標準試料1つを測定し、その他の標準試料の測定値は経時変化前の測定値を用いて相対補正アダプタを導出する場合を考えてみる。
図6に示すように、経時変化後の測定値71〜76から選択されたある1つの標準試料の経時変化後の測定値73と、その標準試料以外の標準試料の経時変化前の測定値61,62,64,65,66とにより、最小二乗法により求めた関数Y=f(X)は、符号80で示す曲線になる。
この符号80で示す関数Y=f(X)は、経時変化後にある1つの標準試料だけを測定して決めることができ、鎖線90で囲んだ1つだけ測定した経時変化後の標準試料の付近では、経時変化前の測定値61〜66で決めた符号60で示す関数Y=f(X)による値よりも、経時変化後の測定値71=76で決めた符号70で示す関数Y=f(X)による値に近い値を提供する。つまり、符号80で示す関数Y=f(X)により、鎖線90で示す1つの標準試料の特性付近では、経時変化後の測定治具の状態を反映した相対補正アダプタが導出される。
この1つの標準試料を、特性選別工程において測定対象としている電子部品とした場合、電子部品の特性付近では、経時変化後の測定治具の状態を反映した相対補正アダプタが導出される。
つまり、最小二乗法を用いる相対補正法では、標準試料として測定対象としている電子部品を少なくとも1つ測定することによって、測定対象としている電子部品の特性周辺では、経時変化後の測定治具の状態を反映した相対補正を実現できる。
このように、測定対象に近い特性を持つ標準試料についてだけ再度測定を行い、その他の標準試料については以前の測定結果を流用する手法を、標準試料削減法と呼ぶことにする。
標準試料削減法は、基準測定治具と試験測定治具とが同じ構造の測定治具であり、試験測定治具の個体が同じ構造の別の個体に置き換わった場合でも、適用可能である。また、図3のモデルのような漏洩誤差がない場合も、後述する図14のモデルのように漏洩誤差がある場合も適用可能である。
「最小二乗法」は、データの個数が、連立方程式の解が一意に決まるためのデータの個数より多い場合に、データとの誤差が小さくなる関数を決める手法である。データの個数が、連立方程式の解が一意に決まるためのデータの個数と一致する場合には、データを通る関数、すなわちデータとの誤差のない関数が決まる。この場合も、標準試料削減法を適用可能である。
標準試料削減法によれば、試験測定治具の特性が経時変化した場合や試験測定治具を交換した場合などにおいて、図7のフローチャートの比較から分かるように、相対補正アダプタを導出する段取り時間を大幅に短縮することができる。
図7は、2ポートの試料について相対補正アダプタを導出する手順を示すフローチャートである。図7(a)は従来例の相対補正法を適用した場合の導出手順、図7(b)は標準試料削減法を適用した場合の導出手順である。
図7(a)に示すように、従来例の相対補正法を適用した場合には、少なくとも3個の標準試料を準備し(ステップS10)、それぞれの標準試料を試験測定治具に実装した状態と基準測定治具に実装した状態とで測定を行い(ステップS12、S14)、得られた測定結果を用いて相対補正アダプタを導出し(ステップS16)、導出した相対補正アダプタを用いて試験測定治具測定値を補正する(ステップ18)。
一方、標準試料削減法を適用した場合、図7(b)に示すように、測定対象と近い特性を有する少なくとも1個の試料(例えば測定対象のワークから選択した試料)を、試験測定治具に実装した状態で測定を行い(ステップS20)、同じ試料を基準測定治具に実装した状態で測定を行い(ステップS22)、得られた測定結果と以前の測定結果とを用いて相対補正アダプタを導出し(ステップS24)、導出した相対補正アダプタを用いて試験測定治具測定値を補正する(ステップ26)。
図7から、標準試料削減法によれば、標準試料を設備にセットし(ステップS10)、それを試験測定治具、及び基準測定治具にて測定する手順(ステップS12、S14)が大幅に省略できることがわかる。通常、設備に標準試料をセットすることに多大な時間を使っているため、標準試料削減法によって、相対補正アダプタ導出の段取り時間を大幅に短縮することができる。
<実施例1、比較例1> 測定治具の特性の経時変化に対して標準試料削減法を適用した実施例1と、標準試料削減法を適用しない比較例1とについて、図8及び図9を参照しながら説明する。
測定治具の特性の経時変化に対して、標準試料削減法により、その変化を相対補正可能かどうか確認する実験を行った。実験では、(a)経時変化後の試験治具に対し、経時変化前の状態で導出した相対補正アダプタを適用する比較例1と、(b)経時変化後の試験治具でDUTを1つ測定し、そのほかは経時変化前の標準試料の測定値を用いて相対補正アダプタを導出した実施例1とを、比較した。
経時変化前後で、変化する項目として以下の内容が挙げられる。
1.CALの差
2.ケーブルの曲げなどの差
3.コネクタ接続再現性
4.特性選別治具再設置による差
5.複数測定することによる特性選別治具の経時変化
実験条件は、以下の通りである。
[DUT] バンドパスフィルタ
[補正法] 漏洩誤差を考慮した相対補正法(2ポート、全ての漏洩信号パスモデル化)
[標準試料] OPEN、SHORT、LOAD、ATT10dB、ATT20dB、DUTの計6つ
[基準治具] 手動測定治具
[試験治具] 特性選別用測定
[測定器] R3860A(ADVANTEST)
[測定周波数] 50MHz〜6.08GHz (1600点)
実施例1、比較例1において漏洩誤差を考慮した相対補正法を実施するための標準試料は、OPEN、SHORT、LOAD、THRU、ATT10dB、ATT20dBの計6つを用いた。
すなわち、OPEN、SHORT、LOAD、THRU、ATT10dB、ATT20dBの計6つについて、それぞれ、基準測定治具と、経時変化前の試験測定治具とに実装して電気特性の測定を行った。
比較例1では、これによって得られた基準測定治具測定値と試験測定治具測定値とを用いて、相対補正アダプタを導出した。
実施例1では、試験測定治具の経時変化後に、測定対象の電子部品に近い特性を持つ1つのDUTについて、基準測定治具と試験測定治具とに実装して電気特性の測定を行った。そして、試験測定治具の経時変化前に6つの標準試料について測定した基準測定治具測定値及び試験測定治具測定値と、試験測定治具の経時変化後に1つのDUTについて測定した基準測定治具測定値及び試験測定治具測定値とを用い、相対補正アダプタを導出した。
なお、実施例1において、相対補正アダプタを導出するにあたっては、測定対象である電子部品の特性(例えば、図6の符号73)の近くにある経時変化前のデータ(例えば、図6の符号63)は、導出時のデータとして用いないほうが相対補正アダプタとしての精度が高くなる。上記の経時変化前のデータを除外したほうが、経時変化後を考慮した正確な相対補正アダプタを導出できるからである。ただし、上記の経時変化前のデータを導出時のデータとして含めても実用上の問題はない。
そして、実施例1も比較例1も、同一試料を経時変化後の試験測定治具と基準測定治具とに実装して電気特性を測定し、その試験測定治具測定値から、相対補正アダプタを用いて基準測定治具測定値の推定値を算出した。
図8は、経時変化後の試験治具測定結果に対し、経時変化前の相対補正アダプタを使用した比較例1の結果を示すグラフである。図9は、経時変化後にDUTの1つを標準試料として用いて導出した相対補正アダプタを使用した実施例1の結果を示すグラフである。
図8及び図9において、「基準」は試料を基準測定治具で測定した実測値、「試験」は試験測定治具の経時変化後に同一試料を試験測定治具で測定した測定値から相対補正アダプタを用いて基準治具測定値に補正した補正値、「誤差」は基準治具測定値の補正値と実測値との誤差である。
図8から、経時変化前の相対補正アダプタをそのまま使用した比較例1では、S22のVSWRやS21の補正精度が悪いことが確認できる。
これに対し、経時変化後に1つのDUTを標準試料として用いて導出した相対補正アダプタを使用した実施例1では、図9で示すように、図8から補正精度が大きく改善していることが波形から確認できる。すなわち、誤差が小さくなっている。
なお、図8及び図9においてS21のグラフを2つ示しているが、S21の一方の図は周波数広帯域におけるデータであり、もう一方の図は信号が0dB付近のときの周波数帯域におけるデータを示したものである。広帯域、狭帯域のいずれの周波数においても、比較例1に比べ実施例1のほうが誤差が小さくなっている。
この結果から、標準試料削減法が試験治具の経時変化の補正に有効であることが確認できる。
<実施例2、比較例2> 同じ構造の2つの試験治具に対して標準試料削減法を適用した実施例2と、標準試料削減法を適用しない比較例2とについて、図10及び図11を参照しながら説明する。
同じ構造の2つの試験治具に対して、その変化を相対補正可能かどうか確認する実験を行った。測定対象は、実施例1及び比較例1と同じバンドパスフィルタであるが、実施例1及び比較例1とは異なり、前後の測定において、試験測定治具は、構造は同じであるが違う個体のものに交換している。そのほかについては、実施例1及び比較例1の内容と同じである。
特性選別測定治具交換において、変化する項目として以下の内容が挙げられる。
1.特性選別測定治具の個体差による誤差
2.CALの差
3.ケーブルの曲げなどの差
4.コネクタ接続再現性
上記項目のなかで最も変化が大きいのは、特性選別測定治具の個体差による誤差であると思われる。これは、コネクタ個体差、ハンダ付けの差、等を含むからである。
具体的には、実施例2も比較例2も、OPEN、SHORT、LOAD、THRU、ATT10dB、ATT20dBの計6つについて、それぞれ、基準測定治具と試験測定治具とに実装して電気特性の測定を行った。
比較例2は、これによって得られた基準測定治具測定値と試験測定治具測定値とを用いて、相対補正アダプタを導出した。
実施例2では、試験測定治具の個体を交換後に、測定対象の電子部品に近い特性を持つ1つのDUTについて、基準測定治具と試験測定治具とに実装して電気特性の測定を行った。そして、試験測定治具の個体交換前に6つの標準試料について測定した基準測定治具測定値及び試験測定治具測定値と、試験測定治具の個体交換後に1つのDUTについて測定した基準測定治具測定値及び試験測定治具測定値とを用い、相対補正アダプタを導出した。
なお、実施例2において、試験測定治具の個体交換前に測定した標準試料の中に、測定対象である電子部品の特性に近いものが含まれる場合、その標準試料についての基準測定治具測定値及び試験測定治具測定値は、相対補正アダプタの導出に用いないほうが相対補正アダプタとしての精度が高くなる。
そして、実施例2も比較例2も、試験測定治具の個体交換後に、同一試料を試験測定治具と基準測定治具とに実装して電気特性を測定し、その試験測定治具測定値から、導出した相対補正アダプタを用いて基準測定治具測定値の推定値を算出した。
図10は、試験測定治具交換後の試験測定治具測定結果に対し、試験測定治具交換前の相対補正アダプタを使用した比較例2の結果を示すグラフである。図11は、試験測定治具交換後に1つのDUTを標準試料として用いて導出した相対補正アダプタを使用した実施例2の結果を示すグラフである。
図10及び図11において、「基準」は試料を基準測定治具で測定した実測値、「試験」は試験測定治具の固体交換後に同一試料を試験測定治具で測定した測定値から相対補正アダプタを用いて基準治具測定値に補正した補正値、「誤差」は基準治具測定値の補正値と実測値との誤差である。
図10から、試験測定治具交換前の相対補正アダプタをそのまま使用した場合、S11のVSWR、S22のVSWRやS21の補正精度が非常に悪いことが確認できる。
これに対し、試験測定治具交換後に1つのDUTを標準試料として用いて導出した相対補正アダプタを使用した実施例2は、図11に示すように、図10から補正精度が大きく改善している。すなわち、誤差が小さくなっている。
なお、図10及び図11においてS21のグラフを2つ示しているが、S21の一方の図は周波数広帯域におけるデータであり、もう一方の図は信号が0dB付近のときの周波数帯域におけるデータを示したものである。広帯域、狭帯域のいずれの周波数においても、比較例2に比べ実施例2のほうが誤差が小さくなっている。
この結果から、標準試料削減法が同じ構造における2つの測定治具間の補正に有効であることも確認できる。
次に、実施例1、2及び比較例1、2で適用した漏洩誤差を考慮した相対補正法について、図3及び図12〜図16を参照し、詳しく説明する。
<相対補正法の基本原理> 相対補正法の基本原理について、図12及び図13を参照しながら説明する。以下では、簡単のため、2ポート間の電気特性について2端子対回路を例に説明するが、n端子対回路(nは、1、又は3以上の整数)に対しても拡張することができる。
図12(a)は、2ポートの電子部品(以下、「試料DUT」という。)を実装した基準測定治具の2端子対回路を示す。試料DUTの特性を散乱行列(SDUT)で表している。基準測定治具における同軸コネクタと試料DUTのポートとの間の誤差特性を散乱行列(ED1),(ED2)で表している。回路の両側の端子において、基準測定治具に試料DUTを実装した状態での測定値(以下、「基準測定治具測定値」ともいう。)S11D,S21Dが得られる。
図12(b)は、試料DUTを実装した試験測定治具の2端子対回路を示す。試料DUTの特性を散乱行列(SDUT)で表している。試験測定治具における同軸コネクタと試料DUTのポートとの間の誤差特性を散乱行列(ET1),(ET2)で表している。回路の両側の端子において、試験測定治具に試料DUTを実装した状態での測定値(以下、「試験測定治具測定値」ともいう。)S11T,S21Tが得られる。
図12(c)は、図12(b)の回路の両側に、誤差特性(ET1),(ET2)を中和するアダプタ(ET1−1,(ET2−1を接続した状態を示す。このアダプタ(ET1−1,(ET2−1は、理論上は、誤差特性の散乱行列(ET1),(ET2)を伝送行列に変換し、その逆行列を求め、再度散乱行列に変換することにより得られる。誤差特性(ET1),(ET2)とアダプタ(ET1−1,(ET2−1との間の境界部分80,82において、試験測定治具に試料DUTを実装して測定した試験測定治具測定値S11T,S21Tが得られる。図12(c)の回路両側の端子において、試験測定治具の誤差が除去され、試料DUTそのものの測定値S11DUT,S21DUTが得られる。
図12(c)の回路は試料DUTのみと等価であるので、図12(a)と同様に、両側に、基準測定治具の誤差特性の散乱行列(ED1),(ED2)を接続すると、図13(a)のようになる。
図13(a)において符号84で示した(ED1),(ET1−1を合成した散乱行列を(CA1)とし、符号86で示した(ET2−1,(ED2)を合成した散乱行列を(CA2)とすると、図13(b)のようになる。これらの散乱行列(CA1),(CA2)は、いわゆる「相対補正アダプタ」であり、試験測定治具測定値S11T,S21Tと基準測定治具測定値S11D,S21Dとを関連付ける。したがって、相対補正アダプタ(CA1),(CA2)が決まれば、任意の電子部品を試験測定治具に実装した状態での試験測定治具測定値S11T,S21Tから、相対補正アダプタ(CA1),(CA2)を用いて、基準測定治具測定値S11D,S21Dを算出(推定)することができる。
相対補正アダプタ(CA1),(CA2)は、それぞれ、4つの係数c00,c01,c10,c11;c22,c23,c32,c33を含むが、相反定理により、c01=c10、c23=c32となる。したがって、各ポート間について、特性の異なった3種類の1ポート標準試料(補正データ取得用試料)を基準測定治具と基準測定治具とに実装して測定した測定値を用いて、各係数c00,c01,c10,c11;c22,c23,c32,c33を決定することができる。
相対補正アダプタを算出するための補正データ取得用試料の基本特性は、各ポート間の伝達係数が十分に小さく、かつ同一ポート・同一周波数における反射係数特性が、各補正データ取得用試料間でそれぞれ異なっている必要がある。反射係数なので、開放、短絡及び終端を形成するのが、上述の補正データ取得用試料の基本特性を充足するのに容易である。また、補正データ取得用試料の外形は、補正対象試料と同様に測定治具に取り付け可能な外形であることが好ましい。
各ポート間における開放、短絡及び終端は、測定対象となる試料と同一のパッケージの内部等において、パッケージの信号線とグランドをリード線、チップ抵抗器などで接続することなどにより実現することができる。しかし、この方法では測定対象となる試料が小型化すると、パッケージ内部等にチップ抵抗器などの部材を配置することが困難となり、補正データ取得用試料を製作できなくなり、その結果、相対補正法を用いて製品の良品選別を行うことができなくなる可能性がある。
これに対する対策として、測定対象となる試料(電子部品)の製造工程を利用して、補正データ取得用試料を製作する。この場合、商品としての電子部品を製造する製造ライン、電子部品の試作品を実験的に製造する製造ライン、又は両者の折衷形態のいずれを用いて補正データ取得用試料を製作してもよい。
また、基準測定治具に実装する補正データ取得用試料と、試験測定治具に実装する補正データ取得用試料とは、原理的には同一の電気特性であれば十分であるので、同じものでなくてもよい。例えば、同一の電気特性を有するとみなせる複数個の補正データ取得用試料を用意しておき、用意した補正データ取得用試料の中から任意に選択した別個の補正データ取得用試料を、それぞれ、基準測定治具と試験測定治具に実装して測定しても、相対補正アダプタを導出することができる。
<漏洩誤差を考慮した相対補正法の基本原理> 次に、漏洩誤差を考慮した相対補正法の基本原理について、図3、図14〜図16を参照しながら説明する。
図16(a)の説明図において矢印8aで示すように、測定治具12aのポート1、2の信号経路4a,5a間を直接伝わり、測定治具12aに実装された電子部品2sのポート1、2間には伝達されない漏洩信号成分が、少なからず存在する。また、図16(b)の説明図において矢印8bで示すように、測定治具12bの接近したポート2、3間を直接伝わる漏洩信号成分は、大きくなる。一般に、相対補正法は、このような測定治具における漏洩信号を一切考慮していない回路網モデルに基づいているため、漏洩信号による補正誤差が残る。
図3は、一般の相対補正法で用いる2端子対回路を書き直したシグナルフローダイヤグラムである。相対補正アダプタ32は、基準測定治具20の端子21と試験測定治具30の端子31との間に、ポート1、2ごとに互いに独立して接続されている。
これに対して、漏洩誤差を考慮した相対補正法では、図14に示すシグナルフローダイヤグラムを用いる。すなわち、ポート1、2について、基準測定治具20の端子21と試験測定治具30の端子31との間に接続される相対補正アダプタ32は、実線で示した一般の相対補正法と同じ部分に、破線で示した部分を追加している。この破線の部分によって、基準測定治具と試験測定治具との少なくとも一方のポート間においてポート間を直接伝達する漏洩信号、すなわち、ポートに接続された電子部品に伝達されない漏洩信号の存在を想定することができる。
詳しくは、CA12は、基準測定治具のポート2への入力信号(a)から、基準測定治具のポート1からの出力信号(b)に接続されている。CA21は、基準測定治具のポート1への入力信号(a)から、基準測定治具のポート2からの出力信号(b)に接続されている。
CA34は、試験測定治具のポート2からの出力信号(b)から、試験測定治具のポート1への入力信号(a)に接続されている。CA43は、試験測定治具のポート1からの出力信号(b)から、試験測定治具のポート2への入力信号(a)に接続されている。
CA14は、試験測定治具のポート2からの出力信号(b)から、基準測定治具のポート1からの出力信号(b)に接続されている。CA41は、基準測定治具のポート1への入力信号(a)から、試験測定治具のポート2への入力信号(a)に接続されている。
CA23は、試験測定治具のポート1からの出力信号(b)から、基準測定治具のポート2からの入力信号(b)に接続されている。CA32は、基準測定治具のポート2への入力信号(a)から、試験測定治具のポート1への入力信号(a)に接続されている。
図14から、次の3つの式が成り立つ。
ここで、相対補正アダプタ32であるTパラメータTCA
を2×2に分割した正方行列の小行列を、TCA11、CA12、CA21、CA22とする。すなわち、
とする。
[数1]は、[数5]を用いると、次のように表される。
[数6a]に[数3]を代入し、さらに[数6b]を代入すると、次式となる。
この[数7]に[数2]を代入すると次式となる。
この[数8]に、右から(TCA21・S+TCA22−1を掛けると、
となり、[数9]が導き出される。
この[数9]を、TCAに対する線形結合に変形すると、
となる。
ここで、
は、クロネッカ積である。
は、列展開である。
添え字tは、転置行列である。
は2×2の単位行列である。以下、Iは、n×nの単位行列と定義する。
[数10]は、tCAを一つの要素、例えば−tCA11で規格化すると、
となる。ここで、A4×16は4×16の行列、u4×1は4×1の行列、B4×15は4×15の行列である。
したがって、
となる。
[数14]、[数15]はDUTを基準測定治具、及び試験測定治具にて測定することによりtCA′に対する4つの線形方程式が導出されることを示している。
漏洩誤差相対補正アダプタtCA′を未知だとすると、[数14]、[数15]はtCA′に対する4つの線形連立方程式を表しているので、DUTを補正データ取得用試料にし、いくつか補正データ取得用試料を測定することによりtCA′が導出される。補正データ取得用試料をNstd個測定した場合、[数14]、[数15]は次式で表される。
4Nstd×15及びν4Nは測定値であるため、誤差が存在する。誤差の分布が正規分布であると仮定すればtCA′は最小2乗問題を解くことにより求められる。rank[C4Nstd×15]≧15(tCA′の未知数の数)となるためには、5つ以上の特性が異なる補正データ取得用試料を用意すればよい。測定環境によっては[数16]に対して測定値の分散の違いを考慮することにより、tCA′の解の精度は向上する。また、誤差の分布が正規分布でなければ最尤法を用いて解くことにより求められる。
上記方法より求められたtCA′を[数9]に代入することで、試験測定治具測定値から基準測定治具測定値を推定できる。
<規格化について> 次にTCAを規格化することによる基準測定治具測定値と試験測定治具測定値の関係式、[数9]への影響を考察する。
−tCA11をαとおくと、[数9]は次のように変形される。
[数19]、[数20]は、規格化して導出したtCA′を用いても試験測定治具測定値から基準測定治具測定値を推定できることを示しており、よって規格化に関して問題ないといえる。
なお、規格化の基準となるTパラメータの要素として−tCA11を用いた例を示したが、実際はゼロ付近の値をとらない要素を選択することが望ましい。
<Nポート測定系への拡張> 次に、任意のNポート測定系への拡張について説明する。
まず、3ポートの測定系について説明する。3ポートの測定における漏洩信号をモデル化した相対補正法のブロック図は、図15のように表される。各記号の意味は、2ポートの例(図3及び図14)と同じである。
図15において、SとSの関係は、漏洩信号相対補正回路網のTパラメータTCAを用いると、次式で表される。これは、2ポートの場合に対して、各行列が3×3となっただけであり、ほぼ同じである。
2ポートと同様の手順にて、次式が求められる。
[数24]、[数25]は、2ポートの場合の[数10]、[数11]と次元は異なるが、それ以外はまったく同じであり、同様に規格化を行うことで、最小二乗法における観測方程式の形に持ち込むことができる。そして、5つ以上の特性が異なる補正データ取得用試料を、基準測定治具と試験測定治具にて測定し、その測定値を代入しtCA′を求めることができる。
つまり、3ポートにおける漏洩誤差相対補正アダプタの解は、2ポートの方法の拡張で考えることができる。
4ポート以上でも同じであり、漏洩誤差を考慮した相対補正法は任意のNポートに拡張可能である。
<まとめ> 以上に説明したように、測定治具の経時変化や交換などにより測定系の特性が変わったときに、測定対象の電子部品に近い特性の試料についてだけ基準測定治具と試験測定治具とで測定し、それ以外の標準試料については以前の測定値を用いて相対補正アダプタを導出することで、相対補正アダプタ導出の段取り時間を大幅に短縮することができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
例えば、本発明は、試験測定治具の特性の経時変化、個体の交換に限らず、基準測定治具、試験測定治具を、測定器を含めた基準測定系、試験測定系とし、測定器、ケーブルなどの経時変化に対しても拡張できる。この場合、測定器、ケーブルなどの測定系の経時変化などに対し、測定する電子部品とよく似た特性を持つ第4の補正データ取得試料を最低1つ測定すればよいので、測定器の校正器を用いて再度校正をする段取り時間が削減される。
また、本発明は、漏洩誤差を考慮した相対補正法にも、漏洩誤差を考慮しない相対補正法にも適用することができる。
20,20a 基準測定治具
20x 漏洩信号
21,21a 端子
30,30a 試験測定治具
30x 漏洩信号
31,31a 端子
32,32a 相対補正アダプタ
52 表示部
54 操作部
56 測定部(測定手段)
58 制御部
60 記憶部(記憶手段)
62 演算部(相対補正係数決定手段、電気特性推定手段)
64 インターフェース部

Claims (10)

  1. 任意のnポートを有する電子部品について、第1の試験測定治具とよく似た特性をもつ第2の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定した結果から、当該電子部品を基準測定治具に実装した状態で測定したならば得られるであろう電気特性の推定値を算出する、電子部品の電気特性測定誤差の補正方法であって、
    互いに異なる電気特性を有する少なくとも3個の第1の補正データ取得試料について、前記基準測定治具に実装した状態で電気特性を測定する第1のステップと、
    前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料、前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料の全部とそれぞれ同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも3個の第2の補正データ取得試料、又は前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料のうちの一部と同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも1個の第3の補正データ取得試料及び当該一部の前記第1の補正データ取得試料以外の前記第1の補正データ取得試料について、前記第1の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定する第2のステップと、
    前記電子部品に近い特性を持つ少なくとも1個の第4の補正データ取得試料について、前記第2の試験測定治具に実装した状態と、前記基準測定治具に実装した状態とで、それぞれ電気特性を測定する第3のステップと、
    前記第1及び第2のステップにおいて前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した結果と、前記第3のステップにおいて前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した結果とに基づいて、同一の電子部品について前記第2の試験測定治具に実装した状態で測定した電気特性の測定値と前記基準測定治具に実装した状態で測定した電気特性の測定値とを関連付ける数式の係数である相対補正係数を決定する第4のステップと、
    任意の電子部品について、前記第2の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定する第5のステップと、
    前記第5のステップで測定した結果から、前記第4のステップで決定した前記相対補正係数を用いて、前記第5のステップにおいて前記第2の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定した前記電子部品について前記基準測定治具に実装した状態で測定したならば得られるであろう電気特性を算出する第6のステップと、
    を備えたことを特徴とする、電子部品の電気特性測定誤差の補正方法。
  2. 前記第4のステップにおいて、前記第1及び第2のステップにおいて測定した結果のうち前記電子部品に近い特性を持つ前記第1乃至第3の補正データ取得試料以外の前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した結果と、前記第3のステップにおいて前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した結果とに基づいて、前記相対補正係数を決定することを特徴とする、請求項1に記載の電子部品の電気特性測定誤差の補正方法。
  3. 前記第2の測定治具は、特性が経時変化した前記第1の測定治具であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子部品の電気特性測定誤差の補正方法。
  4. 任意のnポートを有する電子部品について、第1の試験測定系とよく似た特性をもつ第2の試験測定系で電気特性を測定した結果から、当該電子部品を基準測定系で測定したならば得られるであろう電気特性の推定値を算出する、電子部品の電気特性測定誤差の補正方法であって、
    互いに異なる電気特性を有する少なくとも3個の第1の補正データ取得試料について、前記基準測定系で電気特性を測定する第1のステップと、
    前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料、前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料の全部とそれぞれ同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも3個の第2の補正データ取得試料、又は前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料のうちの一部と同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも1個の第3の補正データ取得試料及び当該一部の前記第1の補正データ取得試料以外の前記第1の補正データ取得試料について、前記第1の試験測定系で電気特性を測定する第2のステップと、
    前記電子部品に近い特性を持つ少なくとも1個の第4の補正データ取得試料について、前記第2の試験測定系と、前記基準測定系とで、それぞれ電気特性を測定する第3のステップと、
    前記第1及び第2のステップにおいて前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した結果と、前記第3のステップにおいて前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した結果とに基づいて、同一の電子部品について前記第2の試験測定系で測定した電気特性の測定値と前記基準測定系で測定した電気特性の測定値とを関連付ける数式の係数である相対補正係数を決定する第4のステップと、
    任意の電子部品について、前記第2の試験測定系で電気特性を測定する第5のステップと、
    前記第5のステップで測定した結果から、前記第4のステップで決定した前記相対補正係数を用いて、前記第5のステップにおいて前記第2の試験測定系で電気特性を測定した前記電子部品について前記基準測定系で測定したならば得られるであろう電気特性を算出する第6のステップと、
    を備えたことを特徴とする、電子部品の電気特性測定誤差の補正方法。
  5. 前記第4のステップにおいて、前記第1及び第2のステップにおいて測定した結果のうち前記電子部品に近い特性を持つ前記第1乃至第3の補正データ取得試料以外の前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した結果と、前記第3のステップにおいて前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した結果とに基づいて、前記相対補正係数を決定することを特徴とする、請求項4に記載の電子部品の電気特性測定誤差の補正方法。
  6. 任意のnポートを有する電子部品について、第1の試験測定治具とよく似た特性をもつ第2の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定した結果から、当該電子部品を基準測定治具に実装した状態で測定したならば得られるであろう電気特性の推定値を算出する、電子部品特性測定装置であって、
    電子部品を前記第2の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定する測定手段と、
    (a)互いに異なる電気特性を有する少なくとも3個の第1の補正データ取得試料について、前記基準測定治具に実装した状態で電気特性を測定した第1の測定データと、(b)前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料、前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料の全部とそれぞれ同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも3個の第2の補正データ取得試料、又は前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料のうちの一部と同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも1個の第3の補正データ取得試料及び当該一部の前記第1の補正データ取得試料以外の前記第1の補正データ取得試料について、前記第1の試験測定治具に実装した状態で電気特性を測定した第2の測定データと、(c)前記電子部品に近い特性を持つ少なくとも1個の第4の補正データ取得試料について、前記第2の試験測定治具に実装した状態と、前記基準測定治具に実装した状態とで、それぞれ電気特性を測定した第3の測定データとを格納する、記憶手段と、
    前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した前記第1及び第2の測定データと、前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した前記第3の測定データとに基づいて、同一の電子部品について前記第2の試験測定治具に実装した状態で測定した電気特性の測定値と前記基準測定治具に実装した状態で測定した電気特性の測定値とを関連付ける数式の係数である相対補正係数を決定する、相対補正係数決定手段と、
    任意の電子部品について、前記測定手段で測定して得られた測定値から、前記相対補正係数決定手段が決定した前記相対補正係数を用いて、当該電子部品について前記基準測定治具に実装した状態で測定したならば得られるであろう電気特性を算出する、電気特性推定手段と、
    を備えたことを特徴とする、電子部品特性測定装置。
  7. 前記相対補正係数決定手段は、前記第1及び第2の測定データのうち前記電子部品に近い特性を持つ前記第1乃至第3の補正データ取得試料以外の前記第1乃至第3の補正データ取得試料についての測定データと、前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した前記第3の測定データとに基づいて、前記相対補正係数を決定することを特徴とする、請求項6に記載の電子部品特性測定装置。
  8. 前記第2の測定治具は、特性が経時変化した前記第1の測定治具であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の電子部品特性測定装置。
  9. 任意のnポートを有する電子部品について、第1の試験測定系とよく似た特性をもつ第2の試験測定系で電気特性を測定した結果から、当該電子部品を基準測定系で測定したならば得られるであろう電気特性の推定値を算出する、電子部品特性測定装置であって、
    前記第2の試験測定系で電気特性を測定する測定手段と、
    (a)互いに異なる電気特性を有する少なくとも3個の第1の補正データ取得試料について、前記基準測定系で電気特性を測定した第1の測定データと、(b)前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料、前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料の全部とそれぞれ同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも3個の第2の補正データ取得試料、又は前記少なくとも3個の第1の補正データ取得試料のうちの一部と同等の電気特性を有するとみなせる少なくとも1個の第3の補正データ取得試料及び当該一部の前記第1の補正データ取得試料以外の前記第1の補正データ取得試料について、前記第1の試験測定系で電気特性を測定した第2の測定データと、(c)前記電子部品に近い特性を持つ少なくとも1個の第4の補正データ取得試料について、前記第2の試験測定系と、前記基準測定系とで、それぞれ電気特性を測定した第3の測定データとを格納する、記憶手段と、
    前記第1乃至第3の補正データ取得試料について測定した前記第1及び第2の測定データと、前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した前記第3の測定データとに基づいて、同一の電子部品について前記第2の試験測定系で測定した電気特性の測定値と前記基準測定系で測定した電気特性の測定値とを関連付ける数式の係数である相対補正係数を決定する、相対補正係数決定手段と、
    任意の電子部品について、前記測定手段により前記第2の試験測定系で測定した結果から、前記相対補正係数決定手段が決定した前記相対補正係数を用いて、当該電子部品について前記基準測定系で測定したならば得られるであろう電気特性を算出する、電気特性推定手段と、
    を備えたことを特徴とする、電子部品特性測定装置。
  10. 前記相対補正係数決定手段は、前記第1及び第2の測定データのうち前記電子部品に近い特性を持つ前記第1乃至第3の補正データ取得試料以外の前記第1乃至第3の補正データ取得試料についての測定データと、前記電子部品に近い特性を持つ前記第4の補正データ取得試料について測定した前記第3の測定データとに基づいて、前記相対補正係数を決定することを特徴とする、請求項9に記載の電子部品特性測定装置。
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