JP3976866B2 - ハイブリッドトランスの校正方法及び校正装置 - Google Patents
ハイブリッドトランスの校正方法及び校正装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波測定の技術分野における、ハイブリッドトランスの校正方法及び校正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高周波測定の技術分野において、反射特性測定とインピーダンス測定とは以下に示すように同様の測定である。何故ならば、被測定デバイス(以下、DUTという。)のインピーダンスと反射係数は以下の式で相互変換可能だからであり、実在する反射特性測定装置であるネットワークアナライザでも、以下の式で相互変換することで両方のパラメータを表示できるものがある。
(a)反射係数SからインピーダンスZへの変換式
【数1】
Z=Z0(1+S)/(1−S)
(b)インピーダンスZから反射係数Sへの変換式
【数2】
S=(Z−Z0)/(Z+Z0)
ここで、Z0は特性インピーダンスであり、高周波測定の技術分野においては特性インピーダンスZ0=50Ωがよく使用されている。
【0003】
そして、平衡系のデバイスや平衡伝送系又は不平衡系と平衡系が混在した系の反射特性を測定するために従来はバラントランスやハイブリッドトランスが用いられてきた。図13に従来技術のバラントランスによる測定回路を示し、図14に従来技術のハイブリッドトランスによる測定回路を示す。従来、これらのトランスを使って平衡系のインピーダンスを測定するとき、オープン/ショート/負荷による3点校正が用いられていた。これらの測定原理図を図15に示す。図15において、バラントランスの1次巻線31には、反射ブリッジ4が接続され、反射ブリッジ4に測定器3が接続される一方、バラントランスの2次巻線32をオープン(開放)、ショート(短絡)又は負荷(負荷抵抗接続)の状態にすることによって、公知の通り、3点校正を行う。
【0004】
例えば、従来技術文献1「K.Yanagawa et al.,“A Measurement of Balanced Transmission Lines Using S parameters",IEEE Proceedings of 1994 Instrumentation and Measurement Technology Conference,Vol.2,pp.866-869」で示されたモード分解理論に基づいて発明された特許出願の特開平5−297040号公報においては、「2つのポートに方向性ブリッジがそれぞれ接続された不平衡型測定装置を使用した平衡系特性パラメータ測定装置であって、上記不平衡型測定装置は、上記方向性ブリッジを介して接続した被測定デバイスの不平衡系でのSパラメータを測定し、これを平衡系のZ又はYパラメータに変換することで、上記被測定デバイスの平衡系での特性パラメータを求めることを特徴とする平衡系特性パラメータ測定装置」、並びに、「不平衡型測定装置の2つのポートにそれぞれ接続した抵抗分圧器型方向性ブリッジを、フル2ポート校正して2ポート不平衡型Sパラメータのテストセットを導出しておき、上記抵抗分圧器型方向性ブリッジを介して上記ポートが接続される被測定デバイスの接続端子を、順次切り換えて該被測定デバイスの不平衡系でのSパラメータを測定し、次いで、上記不平衡系でのSパラメータを平衡系のZ又はYパラメータに変換して上記被測定デバイスの平衡系での特性パラメータを求めることを特徴とする平衡系特性パラメータ測定方法」が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術における校正方法には以下の問題点があった。
(1)不平衡成分との結合が考慮されていない。
(2)平衡型の標準器で高周波までトレーサブル(正常動作を行うことができる)なものがない。
(3)センタータップ付きのバランやハイブリッドトランスを使うとき、センタータップの処理(開放するのか、接地するのか、終端するならそのインピーダンスをいくらにするか)が明確でなかった。
(4)測定するパラメータ(平衡パラメータ、不平衡パラメータ、平衡・不平衡間の結合パラメータ)に応じてバランの種類を変えるなど測定系のセットアップを変更する必要があった。
【0006】
まず、上記(1)について説明する。上記(1)を換言すれば、大地やシールドの影響が考慮されていないということである。すなわち、平衡モードのみでの信号伝送を意図したとしても、現実に伝送に関わる機器や部品、伝送線路としての撚り線対などは周囲のシールドや大地電位の影響を免れず、不平衡モードとの結合が少なからず存在し、平衡モードに対してのみ校正していたのでは不平衡モードとの結合が大きなデバイスでは測定誤差が大きくなる。現在の高周波国家インピーダンス標準器は全て同軸構造の不平衡標準器であり、撚り線対が多用されるローカルエリアネットワーク(Local Area Network;LAN)に用いられる機器の周波数は100MHzまで実用化され、数百MHzを睨んだ段階では、上記(2)の問題点を解決することがますます重要になってきている。上記(3)及び(4)は測定を実施する際の現実的な問題であり、特に3)は測定者間でのデータの整合性を確保するためにも明確に解決しておくべき事柄である。
【0007】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、不平衡成分との結合を考慮し、不平衡型の標準器を用いて高周波までトレーサブルであり、しかも校正方法が明確であって従来技術に比較して簡単であるハイブリッドトランスの校正方法及び校正装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る請求項1記載のハイブリッドトランスの校正方法は、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスの反射特性の校正方法であって、
上記平衡ポートに特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器を接続しかつ上記不平衡ポートに上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器を接続するステップと、
オープン接続時に、上記被測定デバイスポートの一端にオープンの第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端にオープンの第2の不平衡型標準器を接続するステップと、
ショート接続時に、上記被測定デバイスポートの一端にショートの第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端にショートの第2の不平衡型標準器を接続するステップと、
負荷接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器を接続するステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る請求項2記載のハイブリッドトランスの校正方法は、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのアイソレーションの校正方法であって、
上記平衡ポートに特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器を接続しかつ上記不平衡ポートに上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器を接続するステップと、
上記被測定デバイスポートの一端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器を接続するステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る請求項3記載のハイブリッドトランスの校正方法は、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのスルーの校正方法であって、
上記平衡ポートに特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器を接続しかつ上記不平衡ポートに上記特性インピーダンスZ0の(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器を接続するステップと、
上記被測定デバイスポートの一端にオープンの不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端にショートの不平衡型標準器を接続するステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4記載のハイブリッドトランスの校正方法は、請求項1、2又は3記載のハイブリッドトランスの校正方法において、y=x/2でかつZ0’=Z0に実質的に設定されたことを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項5記載のハイブリッドトランスの校正方法は、請求項1、2又は3記載のハイブリッドトランスの校正方法において、x=y=1でかつZ0’=Z0/4に実質的に設定されたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る請求項6記載のハイブリッドトランスの校正装置は、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスの反射特性の校正装置であって、
上記平衡ポートに接続された特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器と、
上記不平衡ポートに接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器と、
オープン接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に接続されたオープンの第1の不平衡型標準器と、
オープン接続時に、上記被測定デバイスポートの他端に接続されたオープンの第2の不平衡型標準器と、
ショート接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に接続されたショートの第1の不平衡型標準器と、
ショート接続時に、上記被測定デバイスポートの他端に接続されたショートの第2の不平衡型標準器と、
負荷接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器と、
負荷接続時に、上記被測定デバイスポートの他端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る請求項7記載のハイブリッドトランスの校正装置は、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのアイソレーションの校正装置であって、
上記平衡ポートに接続された特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器と、
上記不平衡ポートに接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器と、
上記被測定デバイスポートの一端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器と、
上記被測定デバイスポートの他端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器とを備えたことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明に係る請求項8記載のハイブリッドトランスの校正装置は、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのスルーの校正装置であって、
上記平衡ポートに接続された特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器と、
上記不平衡ポートに接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器と、
上記被測定デバイスポートの一端に接続されたオープンの不平衡型標準器と、
上記被測定デバイスポートの他端に接続されたショートの不平衡型標準器とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項9記載のハイブリッドトランスの校正装置は、請求項6、7又は8記載のハイブリッドトランスの校正装置において、y=x/2でかつZ0’=Z0に実質的に設定されたことを特徴とする。
【0017】
さらに、請求項10記載のハイブリッドトランスの校正装置は、請求項6、7又は8記載のハイブリッドトランスの校正装置において、x=y=1でかつZ0’=Z0/4に実質的に設定されたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。本発明に係る実施形態は、上述の従来技術文献1のモード分解理論を撚り線対のような多重モード伝送系における校正方法に適用したものである。本実施形態によれば、測定システム及び測定対象が線形であるとの前提のもとで完全な校正方法を確立できる。
【0019】
ところで、従来技術文献1によれば、接地電位を有する大地(グラウンド)を含めてn+1個の多導体系を伝搬する信号波はn個の相互に結合した伝送方程式で表される。もし伝送系に対応した固有ベクトルが求まれば、n個の伝送方程式の結合を解くことができて、n個の独立な伝送方程式、すなわち独立な伝送モードに分解できる。通常の撚り線対では大地を含めて3個の導体が存在するから2つの伝送モードが存在し、理想的な撚り線対について分解された相互に独立な伝送モードは平衡モード及び不平衡モードなどと称される。また、従来技術文献1では相互独立なモードに分解するモード分解行列は電気的には理想トランスに対応し、特に、伝送系が理想的な撚り線対の場合、モード分解行列は図14で示されるハイブリッドトランスに対応していることが示されている。
【0020】
このように、大地を含めた3導体系である撚り線対には平衡モードと不平衡モードが存在し得、2つの独立な信号を相互に干渉することなく撚り線対に送出したり、逆に撚り線対上の2つの独立なモードの信号を相互に干渉させずに分離するには図14のハイブリッドトランスのようなモード変換器が必要である。しかしながら、不平衡モード同士は結合しやすいので、平衡モードのみを使うことも一般的に行われる。代表例はコンピュータのローカルエリアネットワーク(LAN)で、4ペアの撚り線対を使い4種の平衡モード信号が伝送される。平衡モード信号のみを使う場合は、図14のハイブリッドトランスではなく図13のバラントランスが多用される。
【0021】
重要なことは撚り線対であっても大地の影響が必ず存在し、3導体系として扱わねばならず、不平衡モードの影響を考慮せねばならないことである。すなわち、図13のバラントランスであっても図8に示すように巻線間容量Zsや、大地への直接結合インピーダンスZgにより、不平衡モードとの結合が避けられない。このような状況下でバラン特性を正しく校正するには不平衡モードへの結合を予め測定しておいて、実測定データから除去する必要がある。バランの不平衡モードとの結合を知るためには、被測定デバイス(DUT)側の巻線にセンタータップを取付け、そこへ漏れ出す信号を測定することになる。これはハイブリッドトランスと同じ構成になるので、本実施形態では、図9のハイブリッドトランス100についてのみ説明する。
【0022】
図9(a)は本実施形態で用いるハイブリッドトランス100の信号伝送回路の回路図であり、図9(b)はその等価回路の回路図である。図9(a)において、ハイブリッドトランス100は、巻数比1:1で互いに電磁気的に結合する平衡ポートP1(端子T11,T12)の巻線11と被測定デバイスポートP3(端子T1,T2)の巻線12とを有する第1のトランスTR1と、巻数比1:1で互いに電磁気的に結合する不平衡ポートP2(端子T21,T22)の巻線21と巻線22とを有する第2のトランスTR2とを備え、巻線12のセンタータップCTが巻線22の一端に接続される一方、巻線22の他端は接地されている。すなわち、ハイブリッドトランス100においては、図9(a)に示すように平衡ポートP1側トランスTR1の2次巻線にセンタータップCTを設けて、不平衡成分を分離又は合成している。ハイブリッドトランス100は、図9に示すように、不平衡ポートP2側にも巻線を持たせた形式で表現することが多いが、不平衡信号を大地電位で切り放したりインピーダンスを独立に設定する目的であり、原理的には図9(b)に示す等価回路の構成で十分である。
【0023】
図9の信号伝送回路は、図10に示すように、平衡信号が入射/反射する平衡ポートP1と不平衡信号が入射/反射する不平衡ポートP2とを備えた2ポート回路80とみなせる。ただし、通常の2ポート回路では2つのポートP1,P2のインピーダンスは同一であるが、ハイブリッドトランス100の平衡ポートP1と不平衡ポートP2のインピーダンスは一般には異なっている。図9に示す巻数比1:1のトランスTR1と、トランスTR1の2次巻線12のセンターからタップCTをとった典型的なハイブリッドトランス100の場合には不平衡ポートP2のインピーダンスは、平衡ポートP1のインピーダンスの1/4となる。
【0024】
2ポート回路の校正方法としてフル2ポート校正が知られている。フル2ポート校正は測定系及び測定対象が線形であれば完全な誤差補正となっている。上述のようにハイブリッドトランス100を2ポートデバイスとして扱いフル2ポート校正することで完全な校正が可能となる。ここで、従来技術のフル2ポート校正手順を以下に示す。
(1)オープン/ショート/負荷の3つの標準器を平衡ポートP1に順次接続して、平衡ポートP1をフル1ポート校正し、不平衡ポートP2に対しても同様の手順を繰り返す。
(2)平衡ポートP1及び不平衡ポートP2を負荷抵抗で終端し、アイソレーション校正を行う。
(3)平衡ポートP1及び不平衡ポートP2を直結し、スルー校正する。
【0025】
本実施形態のハイブリッドトランス100の場合にも同様の手順で校正すればよい。従来は、この手順を実施するにあたって、平衡ポートP1と不平衡ポートP2にどのように標準器を接続するかが不明であったため、不完全な校正しかされていなかった。ここでは、ハイブリッドトランス100に対する完全な校正手順を示す。従来のフル2ポート校正とは事情が異なる点は、各伝搬モード(平衡モード/不平衡モード)に対して標準器などを独立に接続できるわけではないと言うことである。ここではフル2ポート校正の各段階における接続法を示して、完全な校正を実現する手順を説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る一実施形態であるハイブリッドトランス100の反射特性の校正方法を示す図であって、図1(a)はオープン接続のときのハイブリッドトランス100の接続方法を示す回路図であり、図1(b)はショート接続のときのハイブリッドトランス100の接続方法を示す回路図であり、図1(c)は負荷接続のときのハイブリッドトランス100の接続方法を示す回路図である。本実施形態のハイブリッドトランス100においては、第1のトランスTR1の巻線12のセンタータップCTは第2のトランスTR2の巻線22の一端に接続される一方、当該巻線22の他端は接地されている。
【0027】
図1(a)、(b)及び(c)の反射特性校正において、平衡ポートP1には抵抗値Rbの抵抗51を有する測定器が接続される一方、不平衡ポートP2には抵抗値Ru=Rb/4の抵抗52を有する測定器が接続される。
【0028】
まず、図1(a)のオープン接続においては、被測定デバイスポートP3の端子T1はオープンの不平衡型標準器91を介して接地され、被測定デバイスポートP3の端子T2はオープンの不平衡型標準器92を介して接地される。従って、被測定デバイスポートP3はオープン状態となる。そして、フル1ポート校正におけるオープン接続が平衡ポートP1及び不平衡ポートP2の両方に対して同時に実現される。
【0029】
次いで、図1(b)のショート接続においては、被測定デバイスポートP3の端子T1はショートの不平衡型標準器93を介して接地され、被測定デバイスポートP3の端子T2はショートの不平衡型標準器94を介して接地される。従って、被測定デバイスポートP3はショート状態となる。そして、平衡ポートP1及び不平衡ポートP2の両方に対してフル1ポート校正におけるショート接続が同時に実現される。
【0030】
さらに、図1(c)の負荷接続においては、被測定デバイスポートP3の端子T1は抵抗値Rb/2を有する負荷の不平衡型標準器95を介して接地され、被測定デバイスポートP3の端子T2は抵抗値Rb/2を有する負荷の不平衡型標準器96を介して接地される。従って、被測定デバイスポートP3は負荷接続状態となる。そして、平衡ポートP1及び不平衡ポートP2の両方に対する負荷接続が同時に実現される。
【0031】
これらの校正の後に、例えば反射特性測定ブリッジ付きのネットワークアナライザなどの測定器を用いて、平衡ポートP1から所定の入力信号を入力して、平衡ポートP1に出力される出力信号を検出することにより、平衡モードの反射特性を測定し、次いで、例えばネットワークアナライザなどの測定器を用いて、不平衡ポートP2から所定の入力信号を入力して、不平衡ポートP2に出力される出力信号を検出することにより、不平衡モードの反射特性を測定することができる。
【0032】
また、図2は、本発明に係る一実施形態であるハイブリッドトランス100のアイソレーション特性の校正方法を示す図であって、図2(a)はその接続方法を示す回路図であり、図2(b)はその等価回路を示す回路図である。
【0033】
図2(a)のアイソレーション特性校正において、平衡ポートP1には抵抗値Rbの抵抗51を有する測定器が接続される一方、不平衡ポートP2には抵抗値Ru=Rb/4の抵抗53を有する測定器が接続される。そして、被測定デバイスポートP3の端子T1は抵抗値Rb/2を有する負荷の不平衡型標準器95を介して接地され、被測定デバイスポートP3の端子T2は抵抗値Rb/2を有する負荷の不平衡型標準器96を介して接地される。従って、被測定デバイスポートP3は負荷接続状態となる。もし、ハイブリッドトランス100が理想的であれば、図2(a)の等価回路は図2(b)で表される。すなわち、平衡ポートP1は、第1のトランスTR1を挟んで抵抗Rbで終端され、不平衡ポートP2は第2のトランスTR2を挟んで抵抗Rb/4で終端され、両者は全く独立に終端された状態となる。
【0034】
この状態で、例えば信号発生器などの測定器を用いて、平衡ポートP1から所定の入力信号を入力して、不平衡ポートP2に出力される出力信号を例えばレベル検出器などの測定器で検出することにより、ハイブリッドトランス100のアイソレーション特性を測定し、次いで、例えば信号発生器などの測定器を用いて、不平衡ポートP2から所定の入力信号を入力して、平衡ポートP1に出力される出力信号を例えばレベル検出器などの測定器で検出することにより、ハイブリッドトランス100の逆方向のアイソレーション特性を測定することができる。
【0035】
すなわち、ハイブリッドトランス100が理想的であれば平衡ポートP1から不平衡ポートP2への信号の漏れ、あるいはその逆の漏れはなく、図2(b)の等価回路のように、第1のトランスTR1と第2のトランスTR2との結合はないはずであるが、実際にはハイブリッドトランス100が理想的でないため、両ポートP1,P2間には信号の漏れが存在し、これがアイソレーション校正時にアイソレーション特性として補正される。上記の平衡/不平衡両ポートP1,P2間の信号の漏れはこれまでは重要視されなかった誤差項である。従来、撚り線対相互の平衡モード間の結合は、縦電流変換損失(Longitudinal Conversion Loss:LCL)により、平衡モード信号が不平衡モードに変換されることが大きな要因と見なされており、ここで述べたアイソレーション校正によりハイブリッドトランス100自身のLCLを十分除去しておくことが撚り線対のLCL測定においては非常に重要である。
【0036】
さらに、図3は、本発明に係る一実施形態であるハイブリッドトランス100のスルー特性の校正方法を示す図であって、図3(a)はその接続方法を示す回路図であり、図3(b)はその等価回路を示す回路図である。
【0037】
図3(a)のスルー特性校正において、平衡ポートP1には抵抗値Rbの抵抗51を有する測定器が接続される一方、不平衡ポートP2には抵抗値Ru=Rb/4の抵抗53を有する測定器が接続される。そして、被測定デバイスポートP3の端子T1はオープンの不平衡型標準器91を介して接地され、被測定デバイスポートP3の端子T2はショートの不平衡型標準器94を介して接地される。従って、被測定デバイスポートP3は不平衡のオープン状態となる。この状態は、図3(b)の等価回路をみれば明らかなように、平衡ポートP1と不平衡ポートP2が、巻数比1:(1/2)のトランスを介して直結された状態となっている。
【0038】
この状態で、例えば信号発生器などの測定器を用いて、平衡ポートP1から所定の入力信号を入力して、不平衡ポートP2に出力される出力信号を例えばレベル検出器などの測定器で検出することにより、平衡ポートP1と不平衡ポートP2とを直結したスルー特性を測定し、次いで、例えば信号発生器などの測定器を用いて、不平衡ポートP2から所定の入力信号を入力して、平衡ポートP1に出力される出力信号を例えばレベル検出器などの測定器で検出することにより、逆方向のスルー特性を測定することができる。
【0039】
従来はハイブリッドトランス100の平衡ポートP1と不平衡ポートP2間をスルー状態にする接続方法が明らかにされておらず、ハイブリッドトランス100自身の周波数特性が被測定対象のLCL測定結果に影響していた。図3(b)の等価回路から明らかなように、平衡ポートP1と不平衡ポートP2が2:1のトランスで接続されていることが分かる。これはインピーダンス比が4:1のポート間で電力損失なく接続された状態であり、スルー接続条件が満足されていることが分かる。
【0040】
図4、図5、図6及び図7はそれぞれ、本実施形態の校正方法を用いて平衡ケーブルBC1の反射特性を測定するときの接続例1、2、3及び4を示す回路図である。図4乃至図7において、被測定デバイスポートP3のインピーダンスはともに、100Ωであり、また、測定系のインピーダンスも図4乃至図7においては同じく50Ωである。測定系は一般には50ΩのネットワークアナライザNAと、入力された信号を2分配する電力分配器PDと、いわゆる4端子型ハイブリッド回路である50Ωの2個の反射特性測定ブリッジ(方向性結合器ともいう。)HB1,HB2からなる。ここで、ネットワークアナライザNAは、信号源ポートSと、基準信号入力ポートRと、第1の検出器ポートAと、第2の検出器ポートBとを有し、信号源ポートSには、信号源1と信号源インピーダンスRs1の直列回路が接続され、第1の検出器ポートAには検出器2が接続され、第2の検出器ポートBには検出器3が接続される。また、各反射特性測定ブリッジHB1,HB2は、4つのポートQ1,Q2,Q3,Q4を有する。接続例1及び3において、ネットワークアナライザNAの信号源ポートSから出力された高周波信号は、電力分配器PDによって2分配され、一方の高周波信号は反射特性測定ブリッジHB1のポートQ1に入力される一方、他方の高周波信号は基準信号としてネットワークアナライザNAの基準信号入力ポートRに入力される。また、接続例2及び4において、ネットワークアナライザNAの信号源ポートSから出力された高周波信号は、電力分配器PDによって2分配され、一方の高周波信号は反射特性測定ブリッジHB2のポートQ1に入力される一方、他方の高周波信号は基準信号としてネットワークアナライザNAの基準信号入力ポートRに入力される。
【0041】
図4及び図5は被測定デバイスである撚り線対の平衡ケーブルBC1の特性インピーダンス100Ωと測定系のインピーダンス50Ωとのインピーダンス整合を図るための手段として、特殊な巻線比1:√(2)のハイブリッドトランス100aを用いた例であり、図6及び図7は一般的な巻線比1:1のハイブリッドトランス100を用いながら、直列又は並列に接続した抵抗を用いて被測定デバイス(DUT)と測定系間のインピーダンス整合を図った例である。図4、図5、図6及び図7では、信号源1、反射特性測定ブリッジHB1,HB2、検出器2、検出器3はいずれも不平衡型である。また、終端抵抗Rt0=100Ω、終端抵抗Rt1=Rt2=Rt3=50Ω、インピーダンス整合用抵抗Rt4=Rt5=50Ωである。
【0042】
本発明に係る実施形態は、ネットワークアナライザNAで一般的なフル2ポート校正を用いてハイブリッドトランス100,100aのすべての誤差項を補正するものである。フル2ポート校正は順方向及び逆方向の伝送/反射特性から12項の誤差項を算出して補正する方法である。図5及び図7は、逆方向の接続を示したものである。図5及び図7は信号源の位置が入れ替わっているだけであり、他の接続は図4と図5、もしくは図6と図7で共通になっている。
【0043】
図4乃至図7の接続例1乃至4に対して、これまで述べてきた方法で被測定デバイスポートP3に順次オープン/ショート/負荷接続の標準器を接続して反射特性、アイソレーション特性、スルー特性の各校正を実施することにより、ネットワークアナライザNA(信号源1、検出器2、検出器3を含む。)、反射特性測定ブリッジHB1,HB2、及びハイブリッドトランス100又は100aの誤差特性が補正される。
【0044】
図11は、本発明に係る第1の変形例のハイブリッドトランス101の構成を示す回路図であり、図1乃至図7と同様のものについては同一の符号を付している。図11において、ハイブリッドトランス101は、巻数比1:xの巻線11,12を有する第1のトランスTR11と、巻数比1:(x/2)の巻線21,22を有する第2のトランスTR12とを備え、巻線12のセンタータップCTは巻線22の一端に接続され、巻線22の他端は接地される。平衡ポートP1には特性インピーダンスZ0の測定器が接続される一方、不平衡ポートP2には同一の特性インピーダンスZ0の測定器が接続される。なお、被測定デバイスポートP3の接続方法は、上述の校正方法と同じであり、校正時に被測定デバイスポートP3の各端子T1,T2に接続される負荷の不平衡型標準器95,96の特性インピーダンスは、(x2Z0)/2となる。ここで、好ましくは、特性インピーダンスZ0=50Ωであり、x2Z0は被測定デバイス(DUT)のインピーダンスと等しくなるようにxが選択される。
【0045】
図12は、本発明に係る第2の変形例のハイブリッドトランス102の構成を示す回路図である。図12において、ハイブリッドトランス102は、巻数比1:xの巻線11,12を有する第1のトランスTR21と、巻数比1:yの巻線21,22を有する第2のトランスTR22とを備え、巻線12のセンタータップCTは巻線22の一端に接続され、巻線22の他端は接地される。平衡ポートP1には特性インピーダンスZ0の測定器が接続される一方、不平衡ポートP2には同一の特性インピーダンスZ0’の測定器が接続される。なお、被測定デバイスポートP3の接続方法は、上述の校正方法と同じであり、校正時に被測定デバイスポートP3の各端子T1,T2に接続される負荷の不平衡型標準器95,96の特性インピーダンスは、(x2Z0)/2となり、特性インピーダンスZ0’は次式で表される。
【数3】
Z0’=Z0・x2/(4y2)
ここで、好ましくは、x=y=1であり、このとき、特性インピーダンスZ0=100Ω、Z0’=25Ωとなる。
【0046】
従来、ハイブリッドトランス100は主として被測定対象の反射特性の測定に用いられていたため、平衡モード及び不平衡モード間の伝送特性が無視あるいは重要視されていなかった。本発明の実施形態では両モード間の伝送特性及びアイソレーション特性の校正方法を具体的に与えている。
【0047】
本発明に係る実施形態は、バランあるいはハイブリッドトランスは平衡モードと不平衡モードが併存する系であることに鑑み、各モードそれぞれの3点校正に加え、両モード間の伝送特性及びアイソレーション特性をも校正する必要があることを説明した。このような系は平衡ポートP1と不平衡ポートP2の2ポート回路80として表せることを示し、フル2ポート校正することで完全な校正ができることを示した。従って、平衡モード及び不平衡モード混在のデバイスのそれぞれのモードでのインピーダンスを測定するために、完全に校正された測定系を提供するには以下の要件を考慮する必要がある。
(1)不平衡モードへの結合度を補正するためにハイブリッドトランス100を用いる。
(2)被測定デバイスポートのインピーダンスは被測定デバイスのインピーダンスに整合させる必要があり、測定器のインピーダンスはそれが接続される平衡ポート及び不平衡ポートのインピーダンスに整合させる必要がある。幸いな事にLAN用の撚り線対ケーブルの場合、一番多用されているシールド無しの撚り線対の特性インピーダンスは100Ωなので、校正用標準器として50Ω系の標準器が使える。この時、平衡ポートのインピーダンスは100Ωとなり、不平衡ポートのインピーダンスは25Ωとなる。
また、少数派ながら用いられるシールド付きの撚り線対の場合、特性インピーダンスは150Ωなので75Ω系の標準器が使える。さらに、被測定デバイスのインピーダンスが100Ωや150Ω以外の値、例えばXΩであっても、近年のネットワークアナライザの多くは50Ωの標準器を使って任意の測定インピーダンス系(例えば(X/2)Ω系)に校正する機能を備えており、最も多用される50Ωの標準器を使った校正が可能である。また、仮に(X/2)Ωの不平衡型標準器を作成する必要があったとしても不平衡型標準器の作成は平衡型標準器の作成よりもはるかに容易である。
(3)通常の50Ω系のSパラメータテストセットを備えたネットワークアナライザを用いるならば何らかのインピーダンスマッチングを図る必要がある。一つの方法は図4および図5の例に示すようにハイブリッドトランスの巻数比をインピーダンス比に合うように選んだりインピーダンスマッチングトランスを介在させる事であり、もう一つは図6および図7の例に示すように抵抗器などによるインピーダンスマッチング回路を介在させる方法である。第3の方法は2つのポートP1、P2が独立にインピーダンス設定できるようなSパラメータテストセットを備えたネットワークアナライザを用いる事である。近年のネットワークアナライザの多くはハードウェア的にではなく50Ωの標準器を使ってソフトウェア的に任意の測定インピーダンス系に校正する機能を備えており、インピーダンスマッチングと使う標準器の選択に際して実質的な制限はなくなっている。
(4)フル2ポート校正を用いて、平衡系及び不平衡系を独立に3点校正し、かつ両モード間の伝送及びアイソレーション特性を校正する。
【0048】
以上説明したように、上述のハイブリッドトランス100を用いる校正方法について詳述した。従って、不平衡型標準器を用いて高周波までトレーサブルであり、明確であってかつ従来技術に比較して簡単であるハイブリッドトランスの校正方法及び校正装置を提供することができる。ここで、平衡ポートP1から不平衡ポートP2へのアイソレーション校正を実施しているために、従来は十分な性能が得られなかったような安価なバラン又はハイブリッドトランス100を用いても、LCL特性を精度良く測定出来るようになった。同時に両モード間のスルー校正も実施しているため、LCL測定時の周波数特性も大きく改善される。さらに、校正には従来の同軸型標準器を使用できるので、高周波までトレーサブルな測定が可能となった。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る請求項1記載のハイブリッドトランスの校正方法によれば、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスの反射特性の校正方法であって、
上記平衡ポートに特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器を接続しかつ上記不平衡ポートに上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器を接続するステップと、
オープン接続時に、上記被測定デバイスポートの一端にオープンの第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端にオープンの第2の不平衡型標準器を接続するステップと、
ショート接続時に、上記被測定デバイスポートの一端にショートの第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端にショートの第2の不平衡型標準器を接続するステップと、
負荷接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器を接続するステップとを含む。
従って、不平衡型標準器を用いて高周波までトレーサブルであり、明確であってかつ従来技術に比較して簡単であるハイブリッドトランスの校正方法及び校正装置を提供することができる。校正には従来の同軸型標準器を使用できるので、高周波までトレーサブルな測定が可能となった。
【0050】
また、本発明に係る請求項2記載のハイブリッドトランスの校正方法によれば、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのアイソレーションの校正方法であって、上記平衡ポートに特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器を接続しかつ上記不平衡ポートに上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器を接続するステップと、
上記被測定デバイスポートの一端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器を接続するステップとを含む。
従って、不平衡型標準器を用いて高周波までトレーサブルであり、明確であってかつ従来技術に比較して簡単であるハイブリッドトランスの校正方法及び校正装置を提供することができる。ここで、平衡ポートP1から不平衡ポートP2へのアイソレーション校正を実施しているために、従来は十分な性能が得られなかったような安価なバラン又はハイブリッドトランスを用いても、LCL特性を精度良く測定出来るようになった。さらに、校正には従来の同軸型標準器を使用できるので、高周波までトレーサブルな測定が可能となった。
【0051】
さらに、本発明に係る請求項3記載のハイブリッドトランスの校正方法によれば、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのスルーの校正方法であって、
上記平衡ポートに特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器を接続しかつ上記不平衡ポートに上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器を接続するステップと、
上記被測定デバイスポートの一端にオープンの不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端にショートの不平衡型標準器を接続するステップとを含む。
従って、不平衡型標準器を用いて高周波までトレーサブルであり、明確であってかつ従来技術に比較して簡単であるハイブリッドトランスの校正方法及び校正装置を提供することができる。ここで、両モード間のスルー校正も実施しているため、LCL測定時の周波数特性も大きく改善される。さらに、校正には従来の同軸型標準器を使用できるので、高周波までトレーサブルな測定が可能となった。
【0052】
また、請求項4記載のハイブリッドトランスの校正方法においては、請求項1、2又は3記載のハイブリッドトランスの校正方法において、y=x/2でかつZ0’=Z0に実質的に設定される。
従って、容易に標準器を準備することができ、校正方法が従来技術に比較して容易となる。また、一般的な特性インピーダンス(例えば、50Ω)を有する測定器を平衡ポートP1及び不平衡ポートP2に接続することができる。
【0053】
さらに、請求項5記載のハイブリッドトランスの校正方法においては、請求項1、2又は3記載のハイブリッドトランスの校正方法において、x=y=1でかつZ0’=Z0/4に実質的に設定される。
例えば、50Ω系の標準器が使えるように、平衡ポートP1の特性インピーダンスは100Ω、不平衡ポートP2の特性インピーダンスは25Ωとする。具体的には、50Ωのインピーダンスの測定器を使用した場合、これに直列又は並列に50Ωの抵抗を接続する。これにより、100Ωの平衡ポートP1及び25Ωの不平衡ポートP2が取り扱える。従って、容易に標準器を準備することができ、校正方法が従来技術に比較して容易となる。
【0054】
本発明に係る請求項6記載のハイブリッドトランスの校正装置によれば、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスの反射特性の校正装置であって、
上記平衡ポートに接続された特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器と、
上記不平衡ポートに接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器と、
オープン接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に接続されたオープンの第1の不平衡型標準器と、
オープン接続時に、上記被測定デバイスポートの他端に接続されたオープンの第2の不平衡型標準器と、
ショート接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に接続されたショートの第1の不平衡型標準器と、
ショート接続時に、上記被測定デバイスポートの他端に接続されたショートの第2の不平衡型標準器と、
負荷接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器と、
負荷接続時に、上記被測定デバイスポートの他端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器とを備える。
従って、不平衡型標準器を用いて高周波までトレーサブルであり、明確であってかつ従来技術に比較して簡単であるハイブリッドトランスの校正方法及び校正装置を提供することができる。ここで、校正には従来の同軸型標準器を使用できるので、高周波までトレーサブルな測定が可能となった。
【0055】
また、本発明に係る請求項7記載のハイブリッドトランスの校正装置によれば、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのアイソレーションの校正装置であって、
上記平衡ポートに接続された特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器と、
上記不平衡ポートに接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器と、
上記被測定デバイスポートの一端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器と、
上記被測定デバイスポートの他端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器とを備える。
従って、不平衡型標準器を用いて高周波までトレーサブルであり、明確であってかつ従来技術に比較して簡単であるハイブリッドトランスの校正方法及び校正装置を提供することができる。ここで、平衡ポートP1から不平衡ポートP2へのアイソレーション校正を実施しているために、従来は十分な性能が得られなかったような安価なバラン又はハイブリッドトランス100を用いても、LCL特性を精度良く測定出来るようになった。さらに、校正には従来の同軸型標準器を使用できるので、高周波までトレーサブルな測定が可能となった。
【0056】
さらに、本発明に係る請求項8記載のハイブリッドトランスの校正装置によれば、巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのスルーの校正装置であって、
上記平衡ポートに接続された特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器と、
上記不平衡ポートに接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器と、
上記被測定デバイスポートの一端に接続されたオープンの不平衡型標準器と、
上記被測定デバイスポートの他端に接続されたショートの不平衡型標準器とを備える。
従って、不平衡型標準器を用いて高周波までトレーサブルであり、明確であってかつ従来技術に比較して簡単であるハイブリッドトランスの校正方法及び校正装置を提供することができる。ここで、両モード間のスルー校正も実施しているため、LCL測定時の周波数特性も大きく改善される。さらに、校正には従来の同軸型標準器を使用できるので、高周波までトレーサブルな測定が可能となった。
【0057】
また、請求項9記載のハイブリッドトランスの校正装置においては、請求項6、7又は8記載のハイブリッドトランスの校正装置において、y=x/2でかつZ0’=Z0に実質的に設定される。
従って、容易に標準器を準備することができ、校正方法が従来技術に比較して容易となる。また、一般的な特性インピーダンス(例えば、50Ω)を有する測定器を平衡ポートP1及び不平衡ポートP2に接続することができる。
【0058】
さらに、請求項10記載のハイブリッドトランスの校正装置においては、請求項6、7又は8記載のハイブリッドトランスの校正装置において、x=y=1でかつZ0’=Z0/4に実質的に設定される。
例えば、50Ω系の標準器が使えるように、平衡ポートP1の特性インピーダンスは100Ω、不平衡ポートP2の特性インピーダンスは25Ωとする。具体的には、50Ωのインピーダンスの測定器を使用した場合、これに直列又は並列に50Ωの抵抗を接続する。これにより、100Ωの平衡ポートP1及び25Ωの不平衡ポートP2が取り扱える。従って、容易に標準器を準備することができ、校正方法が従来技術に比較して容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態であるハイブリッドトランス100の反射特性の校正方法を示す図であって、(a)はオープン接続のときのハイブリッドトランス100の接続方法を示す回路図であり、(b)はショート接続のときのハイブリッドトランス100の接続方法を示す回路図であり、(c)は負荷接続のときのハイブリッドトランス100の接続方法を示す回路図である。
【図2】 本発明に係る一実施形態であるハイブリッドトランス100のアイソレーション特性の校正方法を示す図であって、(a)はその接続方法を示す回路図であり、(b)はその等価回路を示す回路図である。
【図3】 本発明に係る一実施形態であるハイブリッドトランス100のスルー特性の校正方法を示す図であって、(a)はその接続方法を示す回路図であり、(b)はその等価回路を示す回路図である。
【図4】 本実施形態の校正方法を用いて平衡ケーブルBC1の反射特性を測定するときの接続例1を示す回路図である。
【図5】 本実施形態の校正方法を用いて平衡ケーブルBC1の反射特性を測定するときの接続例2を示す回路図である。
【図6】 本実施形態の校正方法を用いて平衡ケーブルBC1の反射特性を測定するときの接続例3を示す回路図である。
【図7】 本実施形態の校正方法を用いて平衡ケーブルBC1の反射特性を測定するときの接続例4を示す回路図である。
【図8】 従来技術のバラントランスにおける浮遊容量を示す回路図である。
【図9】 (a)は本実施形態で用いるハイブリッドトランス100の信号伝送回路の回路図であり、(b)はその等価回路の回路図である。
【図10】 図7のハイブリッドトランス100の2ポート回路の回路図である。
【図11】 本発明に係る第1の変形例のハイブリッドトランス101の構成を示す回路図である。
【図12】 本発明に係る第2の変形例のハイブリッドトランス102の構成を示す回路図である。
【図13】 従来技術のバラントランスによる測定回路を示す回路図である。
【図14】 従来技術のハイブリッドトランスによる測定回路を示す回路図である。
【図15】 従来技術のバラントランスを用いたインピーダンス測定回路におけるオープン/ショート/負荷の3点校正を示す回路図である。
【符号の説明】
1…信号源、
2,3…検出器、
11,12,21,22…巻線、
51,52,53…測定器の抵抗、
63,64,65…測定器のインピーダンス、
91,92,93,94,95,96…標準器、
71…平衡信号源、
72…不平衡信号源、
80…2ポート回路、
100,101,102…ハイブリッドトランス、
P1…平衡ポート、
P2…不平衡ポート、
P3…被測定デバイスポート、
BC1…平衡ケーブル、
CT…センタータップ、
NA…ネットワークアナライザ、
PD…電力分配器、
HB1,HB2…反射特性測定ブリッジ(ハイブリッド回路)、
T1,T2,T11,T12,T21,T22…端子、
TR1,TR2,TR11,TR12,TR21,TR22…トランス。
Claims (10)
- 巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスの反射特性の校正方法であって、
上記平衡ポートに特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器を接続しかつ上記不平衡ポートに上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器を接続するステップと、
オープン接続時に、上記被測定デバイスポートの一端にオープンの第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端にオープンの第2の不平衡型標準器を接続するステップと、
ショート接続時に、上記被測定デバイスポートの一端にショートの第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端にショートの第2の不平衡型標準器を接続するステップと、
負荷接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器を接続するステップとを含むことを特徴とするハイブリッドトランスの校正方法。 - 巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのアイソレーションの校正方法であって、
上記平衡ポートに特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器を接続しかつ上記不平衡ポートに上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器を接続するステップと、
上記被測定デバイスポートの一端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端に上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器を接続するステップとを含むことを特徴とするハイブリッドトランスの校正方法。 - 巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのスルーの校正方法であって、
上記平衡ポートに特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器を接続しかつ上記不平衡ポートに上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器を接続するステップと、
上記被測定デバイスポートの一端にオープンの不平衡型標準器を接続しかつ上記被測定デバイスポートの他端にショートの不平衡型標準器を接続するステップとを含むことを特徴とするハイブリッドトランスの校正方法。 - 請求項1、2又は3記載のハイブリッドトランスの校正方法において、y=x/2でかつZ0’=Z0に実質的に設定されたことを特徴とするハイブリッドトランスの校正方法。
- 請求項1、2又は3記載のハイブリッドトランスの校正方法において、実質的にx=y=1でかつZ0’=Z0/4に実質的に設定されたことを特徴とするハイブリッドトランスの校正方法。
- 巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスの反射特性の校正装置であって、
上記平衡ポートに接続された特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器と、
上記不平衡ポートに接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器と、
オープン接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に接続されたオープンの第1の不平衡型標準器と、
オープン接続時に、上記被測定デバイスポートの他端に接続されたオープンの第2の不平衡型標準器と、
ショート接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に接続されたショートの第1の不平衡型標準器と、
ショート接続時に、上記被測定デバイスポートの他端に接続されたショートの第2の不平衡型標準器と、
負荷接続時に、上記被測定デバイスポートの一端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器と、
負荷接続時に、上記被測定デバイスポートの他端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器とを備えたことを特徴とするハイブリッドトランスの校正装置。 - 巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのアイソレーションの校正装置であって、
上記平衡ポートに接続された特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器と、
上記不平衡ポートに接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器と、
上記被測定デバイスポートの一端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第1の不平衡型標準器と、
上記被測定デバイスポートの他端に接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/2)倍の特性インピーダンスを有する負荷の第2の不平衡型標準器とを備えたことを特徴とするハイブリッドトランスの校正装置。 - 巻数比が1:xである第1の巻線と第2の巻線とを有する第1のトランスと、巻数比が1:yである第3の巻線と第4の巻線とを有する第2のトランスとを備え、上記第2の巻線のセンタータップが上記第4の巻線の一端に接続され、上記第4の巻線の他端が接地され、上記第1の巻線の両端が平衡ポートとなり、上記第2の巻線の両端が被測定デバイスポートとなり、上記第3の巻線の両端が不平衡ポートとなるハイブリッドトランスのスルーの校正装置であって、
上記平衡ポートに接続された特性インピーダンスZ0を有する第1の測定器と、
上記不平衡ポートに接続された上記特性インピーダンスZ0の実質的に(x2/(4y2))倍の特性インピーダンスZ0’を有する第2の測定器と、
上記被測定デバイスポートの一端に接続されたオープンの不平衡型標準器と、
上記被測定デバイスポートの他端に接続されたショートの不平衡型標準器とを備えたことを特徴とするハイブリッドトランスの校正装置。 - 請求項6、7又は8記載のハイブリッドトランスの校正装置において、y=x/2でかつZ0’=Z0に実質的に設定されたことを特徴とするハイブリッドトランスの校正装置。
- 請求項6、7又は8記載のハイブリッドトランスの校正装置において、x=y=1でかつZ0’=Z0/4に実質的に設定されたことを特徴とするハイブリッドトランスの校正装置。
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