JP3558086B1 - 測定誤差の補正方法および電子部品特性測定装置 - Google Patents

測定誤差の補正方法および電子部品特性測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】非同軸電子部品のポート数の増加傾向に対応した精度の高いマルチポート対応の相対補正法の提供。
【解決手段】実測測定治具5Bの測定装置側に位置する各ポートに接続される2ポート回路網からなり測定対象電子部品実装状態の実測測定治具5Bが発生させる電気特性を、測定対象電子部品実装状態の基準測定治具5Aが発生させる電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタ31を想定する。相対補正アダプタ31の誤差要因を補正データ取得試料11Bの基準測定治具測定値および実測測定治具測定値から同定する。測定対象電子部品11Aの実測測定治具測定値を相対補正アダプタ31の誤差要因で補正する。これにより、測定対象電子部品11Aを基準測定治具5Aに実装した状態で基準測定装置1で測定する場合に得られると推定できる測定対象電子部品11Aの基準測定治具測定値が算定される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、複数のポートを有する測定対象電子部品の電気特性を、実測測定治具に実装した状態で測定装置で測定する際に、測定により得られる前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を、前記実測測定治具とは特性の異なる基準測定治具に実装した状態で前記測定装置もしくは前記測定装置と同等の測定特性を有すると見なせる他の測定装置で前記測定対象電子部品を測定する場合に得られると推定される電気特性に補正する測定誤差の補正方法および、この補正方法を実施する電子部品特性測定装置に関する。
従来から、測定値から測定系の誤差の影響を除去することを目的としてSOLT補正が実施される。この補正法は、次のように実施される。まず、電気特性(散乱係数等)の物理的真値が予め特定された標準器が用意される。ここでは、電気特性の物理的真値が極限値を示す同軸電子部品が標準器として用いられる。このような同軸電子部品が標準器として用いられるのは、電気特性が極限値を示す同軸電子部品であればその電気特性の物理的真値の特定が比較的容易であるためである。開放,短絡,終端等の電気状態を有する同軸電子部品の電気特性の物理的真値は極限値を示す。そのため、このような同軸電子部品が標準器として用いられる。なお、同軸電子部品等の電子部品において電気特性の物理的真値を特定することを、以下、値付けと称す。
SOLT補正の説明に戻る。次に、測定装置に設けられた一つないし複数の接続ポートに同軸ケーブルが接続されたうえでその同軸ケーブルの先端に、用意した標準器が接続される。この状態で標準器の電気特性が測定される。さらに、標準器が取り除かれた状態で同軸ケーブルの先端同士(測定装置の接続ポート同士)が接続(スルー接続)され、この状態でも電気特性が測定される。そして、標準器が接続された状態での電気特性から同軸ケーブル先端までの誤差要因が同定される。誤差要因を同定することで、測定された電気特性から誤差の影響を除去し、同軸ケーブル先端に接続した同軸電子部品の電気特性が算定される。この場合、同軸ケーブルの先端が校正面となる。
以上の標準器の測定値と標準器の物理的真値との対応関係の算定(誤差要因の同定)を実施したうえで、実際の被検体試料の電気特性測定時において、算定した対応関係に基づいて測定値を補正する(誤差要因の影響を計算により取り除く)。このような対応関係の算定および対応関係に基づく測定値の補正(誤差要因の同定および計算による誤差要因の取り除き作業)が校正と呼ばれており、上述したSOLT補正は校正の一例である。
同軸コネクタを有しない電子部品(以下、非同軸電子部品という)、例えば、表面実装型電子部品の電気特性を測定する際においても、上記校正は必要となる。この場合、測定装置の接続ポートに接続された同軸ケーブルと非同軸電子部品とが治具により中継される。治具は同軸ケーブルに接続される同軸コネクタを有しており、この同軸コネクタが同軸ケーブルに接続された状態で同軸ケーブルに接続される。非同軸電子部品は同軸ケーブルに接続された治具上に実装されてその電気特性が測定される。
非同軸電子部品の校正においても基本的には標準器が必要となる。しかしながら、非同軸電子部品の標準器を造ることは、現実的にほとんど不可能である。これは、同軸形状以外の標準器はその値付けが非常に困難であることに起因している。したがって、非同軸形状標準器がない状態で非同軸電子部品を対象とする校正を行う場合、同軸ケーブルに治具を取り付るにも拘わらず、その校正面は、同軸ケーブルの先端となる。非同軸電子部品では、このような理由により、校正面で無い治具に取り付けられてその電気特性が測定される。
この場合、治具にも誤差が生じる可能性がある。そのため、治具により生じる誤差要因を無視した状態で非同軸電子部品の電気特性が同定されるか、あるいは治具の物理的寸法を基にした計算によって治具に起因する誤差要因が推定される。そのうえで、測定により得られる電気特性から治具の推定誤差要因が計算により除去されることで、非同軸電子部品の測定時の校正精度が高められる。(非特許文献1参照)
Agilent Technologies 8720ES User's Guide p.7-37〜p.7-51
このようにして非同軸電子部品の特定測定時に校正を実施する従来の構成では、校正精度が必ずしも高いものにならないという課題がある。上述したように、測定装置(主にネットワークアナライザ)の校正面は同軸ケーブルの先端等の同軸面にならざるを得ない。測定装置は、このような制限を受ける校正面を介して接続された電子部品の特性を測定する。しかしながら、非同軸電子部品は同軸面(校正面)に直接接続することができない。そのため、非同軸電子部品は、治具という一種の中継伝送路を介して測定装置に接続されてその特性が測定される。ここで治具は治具固有の特性をそれぞれ有しており、複数の治具の間で特性を均一化することは困難である。このような理由により、治具を介した特性測定を実施する場合、各治具毎に治具固有の誤差が発生せざるを得ず、このことが測定結果にばらつきを生じさせて校正精度を劣化させる原因となる。
加えて、ポート数が3つ以上ある非同軸電子部品(例えば、デュプレクサ)では、複数の治具の間で特性を均一化することはさらに困難であり、実用的なものといえるものでは全くない。
さらに、高周波で用いられる電子部品は従来の不平衡信号に代わって平衡信号で動作するものが増えつつある。平衡信号とは、1つの信号を位相が180°異なる2信号として送信するものであり、信号の受信側ではこれら2信号の差として元の信号を取出す。平衡信号は従来の不平衡信号よりも耐ノイズ性に優れるため、近年好んで使われるようになってきている。しかし、平衡信号は1つの信号を2つの信号として送受信する方式であるので、平衡ポート1つが不平衡ポート2つに相当する。例えば、平衡入出力のフィルタは入力1ポート、出力1ポートの2ポートのデバイスだが、実は4ポートの不平衡デバイスに相当し、実際、信号入出力端子も接地端子を除いて4つ設けられている。
このように、電子部品の平衡化が進展する中、今後ますます表面実装電子部品といった非同軸電子部品のポート数は増加する傾向が続くと予想され、これら電子部品に対応しかつ精度の高いマルチポート対応の相対補正法(校正方法)が要望されている。
上述した課題を解決するために、本発明は、複数のポートを有する測定対象電子部品の電気特性を、実測測定治具に実装した状態で測定装置で測定する際に、測定により得られる前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を、前記実測測定治具とは同一測定対象電子部品の電気特性の測定結果が異なる基準測定治具に実装した状態で前記測定装置もしくは前記測定装置と同等の測定特性を有すると見なせる他の測定装置で前記測定対象電子部品を測定する場合に得られると推定される電気特性に補正する測定誤差の補正方法において、次の工程を含んでいる。
本発明は、
互いに異なる電気特性を有するとともに、各ポート間の伝達係数が極めて小さい補正データ取得試料を少なくとも3個用意する工程と、
前記補正データ取得試料の電気特性を基準測定治具実装状態で前記測定装置もしくは前記他の測定装置で測定することで、前記補正データ取得試料の基準測定治具測定値を取得する工程と、
前記補正データ取得試料の電気特性を実測測定治具実装状態で前記測定装置もしくは前記他の測定装置で測定することで、前記補正データ取得試料の実測測定治具測定値を取得する工程と、
前記実測測定治具の前記測定装置側に位置する各ポートに接続される2ポート回路網からなり、測定対象電子部品実装状態の前記実測測定治具が発生させる電気特性を測定対象電子部品実装状態の前記基準測定治具が発生させる電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定したうえで、想定した相対補正アダプタの誤差要因を、前記補正データ取得試料の前記基準測定治具測定値および前記実測測定治具測定値から同定する工程と、
前記測定対象電子部品を前記実測測定治具に実装した状態で前記測定装置もしくは前記他の測定装置で測定することで、前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を取得する工程と、
前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を前記相対補正アダプタの誤差要因で補正することで、前記測定対象電子部品を前記基準測定治具に実装した状態で前記測定装置もしくは前記他の測定装置で測定する場合に得られると推定できる前記測定対象電子部品の基準測定治具測定値を算定する工程と、
を含んでいる。
同様に、本発明は、複数のポートを有する測定対象電子部品の電気特性を、実測測定治具に実装した状態で測定する測定器を有し、実測測定治具実装状態で前記測定器で測定する前記測定対象電子部品の電気特性を、前記実測測定治具とは同一測定対象電子部品の電気特性の測定結果が異なる基準測定治具に実装した状態で前記測定器もしくは前記測定器と同等の測定特性を有すると見なせる測定器を有する他の測定装置で前記測定対象電子部品を測定する場合に得られると推定される電気特性に補正する電子部品特性測定装置において、次の構成を備えている。
本発明は、
互いに異なる電気特性を有するとともに各ポート間の伝達係数が極めて小さい少なくとも3個の補正データ取得試料の電気特性を基準測定治具実装状態で前記測定器で測定することで、前記補正データ取得試料の基準測定治具測定値を取得する手段と、
前記補正データ取得試料の電気特性を実測測定治具実装状態で前記測定器で測定することで前記補正データ取得試料の実測測定治具測定値を取得する手段と、
前記実測測定治具の前記測定装置側に位置する各ポートに接続される2ポート回路網からなり、測定対象電子部品実装状態の前記実測測定治具が発生させる電気特性を測定対象電子部品実装状態の前記基準測定治具が発生させる電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定したうえで、想定した相対補正アダプタの誤差要因を、前記補正データ取得試料の前記基準測定治具測定値および前記実測測定治具測定値から同定する手段と、
前記測定対象電子部品を、前記実測測定治具に実装した状態で前記測定器で測定することで前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を取得する手段と、
前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を前記相対補正アダプタの誤差要因で補正することで、前記測定対象電子部品を前記基準測定治具に実装した状態で前記測定器もしくは前記他の測定装置で測定する場合に得られると推定できる前記測定対象電子部品の基準測定治具測定値を算定する手段と、
を備えている。
本発明は、実測測定治具測定値で表されるモデルの各ポートに上記相対補正アダプタを取り付けた状態を求めることで基準測定治具測定値を推定する。
相対補正アダプタを想定した本発明の補正方法は、実測測定治具測定値が既知定数、基準測定治具測定値が未知変数である線形連立方程式に帰着する。線形連立方程式の元数はポート数×3である。この方程式を解くことで本発明の補正方法は実施可能となる。
上記線形連立方程式は計算機アルゴリズムで容易に自動的に生成でき、これをLU分解法などの一般的方法で解くことで、任意のポート数の測定系に対応した補正法が実現できる。この方法は測定系のポート数を問わずに適用できる汎用性を有する。しかしながら、補正処理の迅速性を高めるのであれば、線形連立方程式をあらかじめ代数的に解いておき、この式を用いて補正計算をすれば良い。
なお、上記線形連立方程式を、試験治具測定値を未知変数、基準治具測定値を既知定数として解くことは、前述したSOLT補正法を実施するのと等価である。そのため、本発明の補正方法を実施すれば、任意のポート数の測定系におけるSOLT補正を実施したことと等価となる。
本発明の補正方法や特性測定装置では、実測測定治具と基準測定治具とのそれぞれで数個の同じ補正データ取得試料を測定し、その測定結果から相対補正アダプタを求める。必要となる補正データ取得試料は、原理的には測定系のポート数に関わらず3個である。また、補正データ取得試料は物理的真値で値付けされている必要はないが、その伝達係数は十分に小さくなければならない。
本発明の補正法では漏洩(直達波)の影響は無視している。従って、アイソレーションの低い冶具による測定に適用する場合には補正誤差が生じる。これは、いわゆるオフセット補正を併用する事で低減できる。
本発明を実施する場合、例えば、不平衡入力-平衡出力のデバイスを3ポートの不平衡デバイスとして測定し、この結果を本発明の補正法により補正した後に、数学的に不平衡信号から平衡信号を求めるとよい。このことから分かるように、本発明によれば、平衡測定系についてもこれを不平衡測定系として測定した上でこれに本発明を適用することで、相対補正を実施できる。
本発明を実施する場合、さらには、前記補正データ取得試料の基準測定治具測定値を取得する工程(手段)と、前記補正データ取得試料の実測測定治具測定値を取得する工程(手段)と、前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を取得する工程(手段)とにおいて、これらの各工程中で前記補正データ取得試料または前記測定対象電子部品に与えられる直流電流値または直流電圧値が同一となるように、各治具を介して前記補正データ取得試料または前記測定対象電子部品に直流電流または直流電圧を与えた状態で前記補正データ取得試料または前記測定対象電子部品の電気特性を測定するとよい。そうすれば、本発明を、バイポーラトランジスタやFET、及びこれらを含む増幅器等の能動電子部品の測定時における誤差補正に適用することが可能となる。
能動電子部品の交流特性は、これに印加される直流電圧若しくはこれを流れる直流電流の大きさによって大きく変化することが普通である。一方、能動電子部品の実測測定治具に設けられる回路には、電解コンデンサ、高誘電率積層セラミックコンデンサ、あるいはダイオード等の半導体素子といったように、印加される直流電圧または流れる直流電流の大きさによって、その交流特性が変化する電子部品が設けられる場合がある。このような特性を有する電子部品が設けられた治具を用いて補正データ取得試料や測定対象電子部品の測定を実施する場合には、補正データ取得試料測定時と測定対象(能動)電子部品の測定時との間で回路の直流電圧の印加状態や直流電流の流れる状態が異なると、これによって能動電子部品・治具の両方の交流特性が変化してしまうことになる。
このように、能動電子部品の交流特性は、治具を介して印加される直流電圧若しくは治具を流れる直流電流の大きさによって大きく変化するが、その変化は、測定対象(能動)電子部品そのものが有する電気特性の真値が変化した結果として測定結果に現れることから、本発明の補正方法である相対補正法では、補正することが困難となる。これは、本発明の補正方法である相対補正法が、測定対象(能動)電子部品の電気特性はそのままだがこれに重畳される治具の誤差が異なるために変化してしまった測定値を補正する方法であることに起因している。
電流または電圧付与条件に関する上述した改良を本発明の誤差補正方法に加えれば、治具を構成する回路中に設けられる電子部品の特性を、見かけ上同一と見なすことが可能となり、その結果、測定対象(能動)電子部品そのものの電気特性が変化してしまうことを回避することが可能となる。
ここで、ほぼ等しい電流とは測定対象(能動)電子部品によって異なるが、ほとんどの能動電子部品ではおおむね電圧の場合は0.05V程度の相違、電流の場合は0.1mA程度の相違であれば、ほぼ等しい電圧値,電流値であるとすることができる。
なお、実測測定治具を介して測定対象(能動)電子部品に付与される直流電圧または直流電流の値を、基準測定治具を介して測定対象(能動)電子部品に付与される直流電圧または直流電流の値と等しくすることは、交流特性とは異なり、比較的容易に実現することができる。
具体的には、
・電源装置にいわゆる安定化電源装置を用いる、
・電源装置等に使用する抵抗等の電子部品に精度の良いもの(±5%程度)を用いる、
程度の配慮をすることで、実現することができる。部品の基板への半田付け時の実装状態等の影響は直流特性には影響を与えないからである。
本発明を実施する場合、さらに、前記補正データ取得試料は、この補正データ取得試料が有するポートのうち少なくとも一つに直流信号が流れない構造にすればよい。そうすれば、次のようになる。
本発明では、補正データ取得試料として、開放・短絡・終端の各特性を有するものを用いることができる。しかしながら、特に短絡の特性を有する補正データ取得試料を能動電子部品の測定に用いる治具(実測測定治具,基準測定治具)に実装すると、該治具の電極間に大きな直流電流が流れてしまう。そうすると、治具回路の直流電圧または直流電流の関係が測定対象能動電子部品測定時とは異なったものになってしまって補正精度を劣化させる要因となる。終端のような補正データ取得試料についても、短絡の場合ほど顕著ではないが同様の不具合が生じる恐れがある。
本発明において、上述したように、前記補正データ取得試料の電気特性を、この補正データ取得試料が有するポートのうちの少なくとも一つに直流信号を流さない状態で測定すれば、治具回路の直流電圧または直流電流の関係が変化しないようになる。これにより、補正精度の劣化を防ぐことができる。なお、補正データ取得試料のポートを交流信号のみを通し、直流信号が通らないようにするには、例えば、ポートにコンデンサを取り付ければ良い。
なお、測定対象能動電子部品の少なくとも1つの接続端子が、直接治具回路の接地電位に接続される、あるいは少なくとも交流的に接地電位に接続される場合は、補正データ取得試料はこの接地電位を基準として各種の電気特性を有するものを容易に製作することができる。しかしながら、測定対象(能動)電子部品のどの接続端子も接地電位に接続されず、治具回路上で接地電位との間に何らかの電子部品が設けられる場合には、どの接続端子を基準として補正データ取得試料の電気特性を設定すればよいかが全く判断できなくなる。したがって、この場合には、補正データ取得試料を実現することはできない。
この様な場合には、本発明に、
・基準測定治具と実測測定治具として、前記補正データ取得試料と前記測定対象電子部品とが有する各ポートに対応する接続端子以外に、各治具の接地電位に接続された少なくとも一つの接地接続端子を有するものを用意する、
・前記補正データ取得試料として、前記接地接続端子に接続される端子を有するものを少なくととも一つ用意する、
・前記端子を有する前記補正データ取得試料の実測測定治具測定値を取得する工程において、この補正データ取得試料の電気特性を、前記端子を接地接続端子に接続した状態で測定する、
という工程をさらに加えればよい。
そうすれば、基準測定治具と実測測定治具を構成する治具回路上で接地電位との間に何らかの電子部品が設けられる場合であっても、補正データ取得試料を実現することで可能となる結果、本発明の相対補正法を実施することができる。なお、接地接続端子は、治具回路の接地電位に接続されていることが望ましい。
以上は、3端子増幅素子の1端子が接地されており、これを基準とすることで2ポートデバイスとして取り扱える構成において本発明を実施する場合を説明した。つまり、図27(a),図27(b)に示されるような場合である。ところが、現実にはどの1端子も接地電位に直接接続できない構成も少なくない。代表的な構成を例示すると、例えば、図27(c)に示されるように、FET70でソース接地増幅回路を構成する動作形態においてソースに抵抗を取り付けてドレイン電流やゲート電位を決めなければならないような構成である。これはいわゆるゼロバイアス設計が必要となる動作形態である。この様な動作形態では、その特性はソースに取り付ける抵抗等の高周波特性に影響されるので、この素子の違いによる測定値差異の問題が生じてしまう。そのため、測定対象(能動)電子部品であるFET70を3ポートデバイスとして取り扱う必要がある。以下、ソース接地回路の場合を一例として説明する。
ソースに抵抗等を接続すると増幅素子の増幅度が低下する。現実問題としては、数GHz以上の高周波領域で増幅素子の増幅度が余るという恵まれた状態はまず無いので、ソースインピーダンスを下げる為には、図27(d)に示されるように、ソースに取り付ける抵抗71と並列にコンデンサ72を設け、このコンデンサ72によって交流的にソースを接地することが通常実施される。ここで問題となるのは、ソースインピーダンスが治具(コンデンサ)によって変動してしまうのが避けられないことである。もし、ソースインピーダンスすなわち前記コンデンサ72のインピーダンスを十分に低い状態にできるなら、測定対象(能動)電子部品であるFET70を2ポートデバイスとして取り扱えばよい。しかしながら、そのような処置が困難であって、ソースインピーダンスを管理せざるを得ない場合は、図27(e)に示されるように、治具(基準測定治具,実測測定治具)を構成する治具回路に結合コンデンサ73を1つ追加して3ポートの治具回路にすればよい。本来、交流的にソースを接地にしているコンデンサ73のインピーダンスが十分に低ければ治具回路のポート3に信号は現れない。実際には、完全な0Ωは実現できないのでポート3にいくらかの信号が現れることになる。2ポート測定ではソース端の状態が不明である為に治具間の差異を補正することは不可能であったが、3ポート測定にすることでソース端の状態を読み取れるようになる結果、3ポートの補正アダプタ型相対補正が可能となる。
なお、ソース端子が交流的にも接地しない場合は、図27(f)に示されるように、新たに設けるコンデンサ73’とFET70との間に、抵抗71とコンデンサ72とを設ければよい。ただし、この場合、通常接地面のインピーダンスは非常に低い為にポート3ではほとんど全反射を観察することになってしまい、十分なる効果が得られない場合もある。
以上説明したように、本発明によれば、実測測定装置(実測測定治具を用いている)による実測測定治具測定値を、基準測定装置(基準測定治具を用いている)による基準測定治具測定値に精度高く一致させることが可能となる。しかも、そのような精度の高い補正に実施するのに必要な補正データ取得試料の個数を少なくとも3個という必要最小限にすることができる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態では、表面実装型のSAWフィルタを測定対象電子部品として、このSAWフィルタの電気特性を、ネットワークアナライザを有する測定装置で測定する際の測定誤差の補正方法やその補正方法を採用した電気特性測定装置において本発明が実施される。なお、本発明は、2ポート以上、特に3ポート以上の複数ポートでの測定結果の補正方法に実施可能であるが、本実施形態の以下の説明では、3ポートでの測定結果の補正方法やその補正方法を採用した電気特性測定装置において本発明が説明される。しかしながら、4ポート以上の測定結果の補正方法やその補正方法を採用した装置においても本発明は同様に実施可能である。さらには、1ポートの測定結果の補正方法やその補正方法を採用した装置においても、また、2ポートの測定結果の補正方法やその補正方法を採用した装置においても同様に実施できる。
図1は本実施形態の基準特性測定装置と実測測定装置の構成を示す平面図であり、図2は測定治具の構成を示す平面図であり、図3は特性測定装置のネットワークアナライザの構成を示すブロック図であり、図4は測定対象試料である電子部品や補正データ取得試料の構成を示す裏面図である。
実測測定装置2と基準測定装置1とは、同等の測定特性を有すると見なせる装置であり、基本的に同一の装置から構成することができる。しかしながら、同等の測定特性が得られるのであれば、これら装置1,2の構成は相違してもよい。両装置1,2は、同軸標準器等を用いた校正を実施することで測定特性を同一とすることができる。
装置1,2は、複数のポートを有する測定対象電子部品11Aや補正データ取得試料11Bの電気特性を、基準測定治具5Aや実測測定治具5Bに実装した状態で測定する装置である。
実測測定装置2は、測定対象電子部品11Aを実測測定治具5Bに実装した状態で測定する測定値を、実測測定治具5Bとは特性の異なる基準測定治具5Aに測定対象電子部品11Aを実装した状態で測定する場合に得られると推定される電気特性に補正する機能を有する。
装置1,2は、図1に示されるように、ネットワークアナライザ3A,3Bと、同軸ケーブル4A,4B,4Cと、基準測定治具5Aと実測測定治具5Bとを備える。なお、ネットワークアナライザ3Aと基準測定治具5Aとは基準測定装置1に設けられており、ネットワークアナライザ3Bと実測測定治具5Bとは実測測定装置2に設けられる。
ネットワークアナライザ3A,3Bは、高周波に用いられる電子部品の電気特性を測定する測定器であって、複数ポートの入出力部(本実施形態では、ポート1,ポート2,ポート3の3つのポート)を有する。これらのポート1〜3それぞれに同軸ケーブル4A,4B,4Cが接続される。同軸ケーブル4A,4B,4Cの遊端には、同軸ケーブルコネクタ6が設けられる。ネットワークアナライザ3A,3Bは、測定対象電子部品11Aや補正データ取得試料11Bの基準測定治具測定値を取得する手段と、測定対象電子部品11Aや補正データ取得試料11Bの実測測定治具測定値を取得する手段を構成する。
測定治具5A,5Bは、図2に示すように、絶縁基板7と、接続用配線部8と、同軸コネクタ9A,9B,9Cとを備える。接続用配線部8は、絶縁基板7の基板表面7aに形成され、信号伝送路8a,8b,8cと、接地線路8d〜8iとを備える。信号伝送路8a,8b,8cは、絶縁基板7の基板表面7aにおいて、基板周面それぞれから基板中央に向かって延出配置され、その延出端部それぞれは、基板表面7aの中央部において所定の離間間隔を空けて互いに離間配置される。接地線路8c〜8iは、基板表面7aの中央部において、信号伝送路8a,8b,8cの両側それぞれに設けられる。伝送路8a側に位置する接地線路8d,8eと、伝送路8b側に位置する接地線路8f,8fgと、伝送路8c側に位置する接地線路8h,8iとは、基板表面7aの中央部において所定の離間間隔(信号伝送路8a,8b,8cと同等)を空けて離間配置される。
信号伝送路8a,8b,8cは、基板端部において同軸コネクタ9A,9B,9Cの内部導体コンタクト(図示省略)に接続される。接地線路8c〜8iは、スルーホール接続部10を介して基板裏面のグランドパターン(図示省略)に接続され、さらには、グランドパターンを介して、同軸コネクタ9A,9B,9Cの外部導体コンタクト(図示省略)に接続される。
なお、図2においては、基準測定装置1の基準測定治具5Aと、実測測定装置2の実測測定治具5Bとを、同じ形状を有するものとしているが、これらは、特に同じ形状のものとする必要はない。特に、実測測定治具5Bの形状は、自動選別測定機等に適した形状にするなどにより、基準測定治具5Aと異なる形状にしてもよい。
実測測定装置2を構成するネットワークアナライザ3Bは、図3に示されるように、ネットワークアナライザ本体20と、制御部21とを備えている。制御部21は、制御部本体22と、メモリ23と、誤差要因同定手段24と、補正算定手段25とを備える。
測定対象電子部品11Aや補正データ取得試料11Bは、3ポート以上(本実施形態では3ポート)の入出力端子を有する電子部品であって、図4に示されるように、その裏面11aに、伝送路端子12a,12b,12cと、接地端子12d〜12iとを備える。試料11A,11Bは、裏面11aを測定治具5A,5Bの基板表面7aに当接させることで、伝送路端子12a,12b,12cと接地端子12d〜12iとを、信号伝送路8a,8b,8c,接地線路8d〜8iに圧着させる。これにより測定対象電子部品11A,補正データ取得試料11Bは、測定治具5A,5Bに測定実装される。
本実施形態では、補正データ取得試料11Bとして、測定装置1,2による測定操作により測定対象電子部品11Aの任意の電気特性と同等の電気特性を発生させる試料が用意される。補正データ取得試料11Bは、測定装置により発生させる前記電気特性(反射係数等)が互いに異なる3個の試料11Bとされる。補正データ取得試料11Bは、各ポート間の伝達係数が極めて小さいものとされる。好ましくは、補正データ取得試料11Bはポート間伝達係数が−20dB以下とされる。このような特性を有する試料11Bが、その試料の接続ポートに拘わらず少なくとも3個用意される。
以下、本実施形態の測定装置1,2による測定誤差の補正方法が説明される。本実施形態の測定装置1,2で実施される測定値の補正方法(以下、補正アダプタ型相対補正法という)では、実測測定治具5Bと基準測定治具5Aとのそれぞれで3個の同じ補正データ取得試料11Bが測定され、この測定結果から補正係数(相対補正アダプタ)が求められる。補正係数設定時に必要な補正データ取得試料11Bは、原理的には測定系のポート数に関わらず3個である。また、補正データ取得試料11Bは物理的真値で値付けされている必要はないが、伝達係数が十分に小さい試料でなければならない。
本発明の補正法(補正アダプタ型相対補正法)の目的は、測定対象(非同軸電子部品)を実測測定治具5Bに実装した状態で実測測定装置2で測定した電気特性(以下、実測測定治具測定値と称される)から、前記測定対象を基準測定治具5Aに実装した状態で基準測定装置1で測定する電気特性(以下、基準測定治具測定値と称される)を推定することである。
基準測定治具5Aは、それを用いて測定した電子部品の測定値をその電子部品の基準測定値とする治具である。具体的には、電子部品メーカが電子部品ユーザにその電子部品の特性を保証する際に用いられる治具などが基準測定治具5Aに該当する。実測測定治具5Bは、電子部品を実務上測定する際に用いられる治具である。実測測定治具5Bの例は、電子部品の特性選別工程(自動特性選別機)などに取り付けて測定を行う治具が挙げられる。
治具は、その構造上、測定時の特定を複数の治具の間で精度高く一致させることができない。そのため、実測測定治具5Bを用いた測定値と基準測定治具5Aを用いた測定値とを補正なしに一致させることは困難である。実測測定治具5Bと基準測定治具5Aとの間にはこのような関係性を有している。
以下、基準測定治具5A,実測測定治具5Bで測定される測定値は、それぞれ基準測定治具測定値と実測測定治具測定値と称される。
基準測定措置1や実測測定装置2の測定器として汎用されるネットワークアナライザにおいては、同装置の各ポートに接続された同軸ケーブル等の先端(以下、同軸接続点という)にSOLT補正やTRL補正等が実施されておれば、同軸接続点に接続された任意の回路網の散乱係数の真値を求めることができる。以下、SOLT補正やTRL補正が実施された同軸接続点が校正面(Calibration Plane)と称される。
測定装置1,2で非同軸電子部品の電気特性が測定される場合、校正面に基準測定治具5Aや実測測定治具5Bが取り付けられ、さらにこれら治具5A,5Bに非同軸電子部品が取り付けられた状態でその電気特性が測定される。基準測定治具測定値といえども試料真値ではなく、基準測定治具測定値は、試料真値に基準測定治具5Aに起因して生じる測定誤差が重畳されたものとなる。本発明の補正アダプタ型相対補正法は、試料真値自体を求めることは不可能であるという前提に立って、基準測定治具測定値を精度高く推定する補正方法である。
以下、本発明の補正アダプタ型相対補正法が、2ポート測定系の補正方法を例にして説明される。2ポート測定系を例にしたのは、本発明の補正アダプタ型相対補正法の理解を容易にするためである。しかしながら、以下の説明から明らかになるように、本発明の補正アダプタ型相対補正法は、任意のnポート(nは自然数)の場合について全く支障なく実施できる。
非同軸電子部品の任意の試料が基準測定治具5Aを用いて測定される場合、その試料散乱係数の真値を測定することは困難である。しかしながら、真値が存在していることは間違いなく、以下の説明では、これら真値がS21DUT,S11DUT等と称される。基準測定治具5Aに試料を実装した状態でその特性を観測可能な値は、真値S21DUT,S11DUTに基準測定治具5Aの誤差(以下、基準測定治具誤差と称される)が重畳された値となる。この値が基準測定治具測定値となる。
上記測定の状態が図5に示される。図中、任意の試料自身はDUTと称される。基準測定治具測定値はS21D,S11Dと称される。基準測定治具誤差は、ED1(入力側),ED2(出力側)と称される。図中の基準測定治具測定値S21D,S11Dに付された○印は、これら測定値が測定可能であることを示している。基準測定治具誤差ED1,ED2は、試料真値S21DUT,S11DUTと同様、同定することが不可能である。
次に、図6に示されるように、試料DUTと同一の試料DUTが実測測定治具5Bに実装されて測定される状態が想定される。この場合、試料真値S21DUT,S11DUT自体は同一試料DUTを測定する限り、基準測定治具5Aを用いた状態に等しい。しかしながら、試料真値S21DUT,S11DUTに重畳される誤差は実測測定治具5Bに起因して生じる誤差となる。図中、実測測定治具5Bを用いた試料DUTの特性を測定した値が実測測定治具測定値S21T,S11Tと称される。実測測定治具5Bに起因して生じる誤差は実測測定治具誤差ET1(入力側),ET2(出力側)と称される。実測測定治具誤差ET1,ET2は、基準測定治具誤差ED1,ED2と同様、同定することが不可能である。
次に、試料DUTが実装された実測測定治具5Bをさらに実装する誤差除去アダプタ30が想定される。誤差除去アダプタ30はこのような実装状態で実測測定装置2に接続される。誤差除去アダプタ30は、実測測定治具誤差ET1,ET2を相殺してその誤差を打ち消す特性を有するものとして想定される。
具体的には誤差除去アダプタ30は、2ポートの散乱係数で表現される仮想上のアダプタであって次のように想定される。まず、実測測定治具誤差ET1,ET2の散乱係数行列が伝送行列に変換された上で、その伝送行列の逆行列が求められる。求められた逆行列が散乱係数行列に戻される。このような行列変換が実施されることで、誤差ET1 -1,ET2 -1を有する誤差除去アダプタ20が想定される。誤差除去アダプタ30の誤差ET1 -1,ET2 -1を実測することは不可能であるが、誤差ET1 -1,ET2 -1を上述したように想定することは可能である。
図7に示されるように、試料DUT付きの実測測定治具5Bを実装した状態の誤差除去アダプタ30が実測測定装置2に接続され、その状態で試料DUTの特性が測定される状態が想定される。この場合、実測測定治具誤差ET1,T2は誤差除去アダプタ20の誤差ET1 -1,ET2 -1によって相殺(除去)されることになる。したがって、その場合の試料DUTの測定値は試料真値S21DUT,S11DUTと見なされる。
図8に示されるように、試料DUT付き実測測定治具5Bが実装された誤差除去治具アダプタ30が、さらに基準測定治具5Aに実装される状態が想定される。そしてこの状態の基準測定治具5Aが実測測定装置2に接続されて試料DUTの特性が測定される場合が想定される。このとき、誤差除去アダプタ30の入出力点における特性は、上述されたように試料真値S21DUT,S11DUTと見なされる。そのため、基準治具5Aの入出力点における特性は、基準治具測定値S21D,S11Dと見なされる。つまり、実測測定治具5Bと誤差除去アダプタ30と基準測定治具5Aとが順次実装された状態で試料DUTの特性が測定される状態は、図5に示された状況、すなわち、実測測定装置2に基準測定治具5Aが取り付けられた状態で試料DUTの特性が測定される状況と同一と見なされる。
以上の考察から、実測測定治具測定値S21T,S11Tに誤差除去アダプタ30の誤差ET1 -1,ET2 -1と基準測定治具誤差ED1,D2とを掛け合わせれば、実測測定装置2における基準測定治具測定値S21D,S11Dを推定できることが理解される。
この推定を実現するためには、試料真値S21DUT,S11DUTと実測測定治具誤差ET1,T2と基準測定治具誤差ED1,D2と誤差除去アダプタの誤差ET1 -1,ET2 -1とが同定されることが条件となる。しかしながら、これらの値を同定することは不可能である。そのため、本発明では、次のような新たな状況が想定される。
上述した図8に示される測定想定において、基準測定治具5Aと誤差除去アダプタ30とを合成することで、図9に示される単一のアダプタとすることが想定される。以下、上記合成により新たに想定されるアダプタが相対補正アダプタ31と称される。相対補正アダプタ31に起因して生じる誤差C1,C2は次のようにして算出される。基準測定治具誤差ED1,D2と誤差除去アダプタ30の誤差ET1 -1,ET2 -1との散乱係数行列が伝送行列に変換されたうえでこれらの積が求められる。さらに求められる積が散乱係数行列に変換されることで、相対補正アダプタ31の誤差C1,C2が算出される。
さらに、図9に示されるように、試料DUTが相対補正アダプタ31に実装され、さらに相対補正アダプタ31が実測測定治具5Bに実装される実装状態が想定される。さらにこのような実装形態において実測測定装置2が試料DUTの特定を測定する測定状態が想定される。このような測定状態で測定される測定値は基準測定治具測定値S21D,S11Dとなる。つまり、相対補正アダプタ31を想定すれば、基準測定治具5Aを用いることなく、実測測定治具5Bを用いても基準測定治具測定値S21D,S11Dを算定することができる。
ここで、実測測定治具測定値S21T,S11Tと基準測定治具測定値S21D,S11Dとは、測定により得られる既知の値である。また、相対補正アダプタ31の誤差C1,C2を発生させる誤差要因(未知数)は有限数である。そのため、有限数の試料DUTを用いて、試料DUT(補正データ取得試料)の実測測定治具測定値S21T,S11Tと、基準測定治具測定値S21D,S11Dとが得られれば、相対補正アダプタ31に含まれる誤差要因を算定して前記誤差C1,C2を同定することができる。相対補正アダプタ31の誤差要因は種々の方法で算定することができる。次に相対補正アダプタ31の誤差要因の同定法の1例が説明される。
本発明の補正アダプタ型相対補正法を実施するには、試料DUTとして、伝達係数が十分小さくほとんど無視し得る(好ましくはポート間伝達係数が−20dB以下の)特性を有する試料DUTが必要となる。
ここで、試料DUTの伝達係数がどの程度小さくなければならないかについて検討する。測定治具の各ポートの補正アダプタを求める場合に、当該ポートにおける試料DUTの反射係数の測定値が他のポートの影響を受けていないことが望ましい。このとき、試料DUTの伝達係数が−AdBであったとすると、試料のあるポートに入射した測定信号は−AdB減衰して他のポートに伝達する。そして、前記他のポートに伝達した信号の一部は前記他のポートで反射され再び当該ポートに−Adb減衰して伝達する。この信号は、前記ポートにおける試料DUTの反射係数に重畳して誤差を生じる。例えば数GHz程度であれば、一般に前記他のポートで生じる反射は概ね−20dB程度であるから、試料DUTの伝達係数が−20dBあるとすれば、試料DUTへの入射信号に対して結局−60dB程度の信号が誤差信号になる。これは試料DUTへの入射信号の0.1%であり、この程度であればその影響は無視し得ることが多い。無論、ここで例に挙げた数値は必要な補正精度等によって変化するものであることはいうまでも無い。
補正アダプタ型相対補正法の説明に戻る。この状態が図10,図11に示される。図10は試料DUTが2ポートの場合の全体構成図であり、図11は、2ポートの試料DUTの1ポート拡大図である。以下の説明では、複数あるポートの中から任意の一ポートとしてポート1が説明に取り上げられる。
この場合、ポート(図10,図11ではポート1)からみて試料DUTは1ポートデバイスと見なされる。そのため、相対補正アダプタ31の誤差要因C100,C110,C111,C101は各ポート毎に独立に求められる。相対補正アダプタ31の誤差要因である順方向伝達係数C110と逆方向伝達係数C101とは相反定理により必ず等しくなる。したがって、一見、4つあるように見える相対補正アダプタ31の誤差要因は、詳細に見れば独立変数として3つ係数C100,(C110= C101),C111となる。そのため、3種類の試料DUTについて、実測測定治具測定値S21T,S11Tと、基準測定治具測定値S21D,S11Dとが得られれば、相対補正アダプタ31の誤差要因(伝達係数等)C100,(C110= C101),C111を同定することが可能となる。
ポート1において、3個の試料DUT(補正データ取得試料11B)について測定した実測測定治具測定値S21T,S11Tと基準測定治具測定値S21D,S11Dとを用いた誤差補正アダプタ31の誤差要因の算定式は、次の(1)式となる。(1)式において、実測測定治具測定値S21T,S11Tや基準測定治具測定値S21D,S11Dの下付文字の末尾に付された番号1,2,3は、それぞれ特性を測定した3個の試料DUT(補正データ取得試料11B)の試料番号を示している。
Figure 0003558086
ここで、C101(=C110)に含まれる符号(±Sqrt…の部分(Sqrtは平方根を意味する))を決定することは直接的には不可能である。これは、治具の電気長が物理的には半波長だけ長い(又は短い)場合には往復で位相が2π回転することから反射波だけを観察しても元の電気長と区別不可能である、という理由に因っている。しかしながら、伝達係数ではこの符号が重要になる場合があり、正しい符号を決定しなければならない。
本発明が主に適用される数GHz程度の低い周波数では一般に波長は治具5A,5Bの電気長よりも長く、冶具5A,5Bのほうが波長の電気長より長い場合は正符号を、逆の場合には負符号を付せばよく、そのような場合においては特に問題なく、本発明の補正アダプタ型相対補正法が実施可能となる。
ポート2側の相対補正アダプタ31の誤差要因も上述したポート1側と同様に同定される。さらには、このようにして同定されるポート1,2の誤差要因を、次の(2)式に代入することで、実測測定治具測定値S21T,S11Tから基準測定治具測定値S21D,S11Dを推定することができる。
Figure 0003558086
次に、ポート数3以上の場合において、実測測定治具測定値S21T,S11Tから基準測定治具測定値S21D,S11Dを推定する補正方法が説明される。補正アダプタ型相対補正法の計算は、上述したように、実測測定治具測定値S21T,S11Tが既知定数となり、基準治具測定値S21D,S11Dが未知変数となる線形連立方程式に帰着する。線形連立方程式の元数はポート数×3である。この方程式を解くことで本発明の補正アダプタ型相対補正法が実現される。
上記線形連立方程式は計算機アルゴリズムで容易に自動的に生成される。さらにこの連立方程式を、LU分解法(線形連立方程式の求解アルゴリズムの一つであっていわゆる直説法である)などの一般的方法で解くことにより、任意のポート数の測定系に対応した本発明の補正アダプタ型相対補正法が実現される。
この方法は測定系のポート数を問わずに適用できるものの、計算時間が長くなる。処理の迅速性を高めるのであれば、線形連立方程式をあらかじめ代数的に解いておき、この式を用いて補正計算をすれば良い。ただし、この場合、任意のポート数の測定系に対応可能な汎用性は失われる。
実測測定治具測定値S21T,S11Tを未知変数とし、基準測定治具測定値S21D,S11Dを既知定数として上記線形連立方程式を解くことは、SOLT補正法における計算方法と等価である。これにより、本発明の補正アダプタ型相対補正法で、任意のポート数の測定系におけるSOLT補正が実施可能となる。以下、3ポート以上を対象とした補正アダプタ型相対補正法が説明される。
本発明の補正アダプタ型相対補正法においては、基準測定治具測定値S21D,S11Dは次のように求められる。基準測定治具測定値S21D,S11Dは、実測測定治具測定値S21T,S11Tとして表される測定モデルにおける各ポートに相対補正アダプタ31という一種の2ポート回路網を接続した場合の散乱係数として求められる。したがって、本発明の補正アダプタ型相対補正法は、実測測定治具測定値S21T,S11Tで表される測定モデルに相対補正アダプタ31を取り付けた状態の散乱係数を求める方法として規定される。
以下、既に相対補正アダプタ31が得られているとして、実際に実測測定治具測定値S21T,S11Tから基準測定治具測定値ED1,D2を計算する手順が説明される。なお、説明の都合上、2ポート測定系のモデルを用いて説明するが、任意のポート数の測定系について全く機械的に拡張できるのはいうまでもない。
図12には、基準測定治具測定値S21D,S11Dで表される測定モデルの各ポートに相対補正アダプタ31を取り付けた状態の順方向シグナルフローダイアグラムが示される。図12は、図9の測定モデルをさらに詳細に規定した測定モデルである。
図12において、ET1,ET2は、実測測定治具5Bの各ポートの誤差要因を示す2ポート回路網である。2ポート回路網ET1,ET2の誤差要因となる散乱係数は測定により求められない。C1 11,C1 12,C1 21,C1 22は、ポート1側の相対補正アダプタ31の誤差要因となる係数である。係数C1 11,C1 12,C1 21,C1 22は、計算により得られる。N1 ,N1 ,N1 3,N1 4は、ポート1側の相対補正アダプタ31の各ノードの値である。C2 11,C2 12,C2 21,C2 22は、ポート2側の相対補正アダプタ31の誤差要因となる係数である。係数C2 11,C2 12,C2 21,C2 22は、計算により得られる。N2 ,N2 ,N2 3,N2 4は、ポート2側の相対補正アダプタ31の各ノードの値である。S11DUT,S21DUTは試料DUTの散乱係数である。散乱係数S11DUT,S21DUTは測定により求められない。S11T,S21Tは実測測定治具測定値である。実測測定治具測定値S11T,S21Tは測定装置で測定される値である。S11D,S21Dは、補正アダプタ型相対補正法により推定される基準治具測定値である。
図12のシグナルフローダイアグラムにおいて、各ノードの値は隣接するノードからの信号入力の和である。また、この入力は隣接するノードの値と信号伝達経路の係数の積として与えられる。
図中のノードN1 3はノードN1 1とノードN1 4とから信号が入力される。また、これらノードN1 1,N1 4からノードN1 3に信号が伝播する間にそれぞれC1 11,C1 12倍される。したがって、ノードN1 3においては次の(3)式が成立する。
1 3=C1 111 1+C1 121 4 …(3)
各ノードにおいても上記した関係がそれぞれ成立する。このような関係を整理すると、次の(4)式群が得られる。なお、(4)式群は各ポート毎に機械的に求めることができるので、計算機処理を行う際には任意のnポートについてこの関係式を算定することは容易である_Hlt34126945 (4)_Hlt34126945式群の左側に記した式はポート1に、右側に記した式はポート2に対応している。両者はポート番号を除き全く同じ式であり、さらにポート数が増えても計算機アルゴリズムで自動生成できる 。
1 2=C1 211 1+C1 221 42 2=C2 212 1+C2 222 4
1 3=C1 111 1+C1 121 42 3=C2 112 1+C2 122 4
1 4=S11T1 2+S12T2 22 4=S22T2 2+S21T1 2 …(4)
定数条件となる既知量が以下に説明される。順方向測定の場合には、ポート1側の信号源出力は1と見なされる。また、ポート2側の信号入力は0と見なされる。これより、以下に示す(5)式の条件が得られる。
Figure 0003558086
また、求めたい未知数(基準測定治具測定値S21D,S11D)と各ノードとの間には、次の(6)式が成立する。
Figure 0003558086
(4)式〜(6)式は線形連立方程式である。この線形連立方程式において未知数の数と方程式の数が一致している。そのため、これらの線形連立方程式を解くことによって未知数である基準測定治具測定値S11D,S21Dが求められる。計算機による線形連立方程式の解法はどんな物でも良いが、方程式の元数が大きくないのでLU分解法のような直接法により比較的簡単に解くことができる。
以上は、順方向の測定時における基準測定治具測定値S11D,S21Dの算定方法である。逆方向測定時における基準測定治具測定値S11D,S21Dは、定数条件と未知数の算定式である前記(5),(6)式に替えて、それぞれ(7)式と(8)式とを用いるだけであって、(4)式はそのまま用いられる。
Figure 0003558086
Figure 0003558086
以上、2ポートの場合を例に挙げて説明したが、上記連立方程式を任意のnポートの場合に計算機アルゴリズムによって自動的に発生させてこれを解くことは容易であり、これによって任意のポート数の測定系について補正アダプタ型相対補正法が実施可能である。
上述した説明では、相対補正アダプタ31を実測測定治具測定値S21T,S11Tで表される測定モデルに取り付けた場合の散乱係数として基準測定治具測定値S21D,S11Dを求める方法について説明した。これは、数学的にいえば、実測測定治具測定値S21T,S11Tを既知定数と見なし、基準測定治具測定値S21D,S11Dを未知変数と見なしたうえで、前記(4)式を解いていることになる。
これに対して、上記とは逆に、基準測定治具測定値S21D,S11Dを既知定数と見なし、実測測定治具測定値S21T,S11Tを未知変数と見なしたうえで、前記(4)式を解くことも可能である。この場合、実測測定治具測定値S21T,S11Tを試料DUTの真値と読み替え、基準測定治具測定値S21D,S11Dを測定装置の観測値と読み替えることで、測定装置の観測値から試料DUTの真値を求めることができる。これは、SOLT補正と全く同じ処理である。この場合、相対補正アダプタ31はSOLT補正の誤差モデルに対応するものとなる。
上記解法に従い、前記(4)式に次の(9)式を適用した方程式と、前記(4)式に次の(10)式を適用した方程式とで表される連立方程式を解くことでSOLT補正が実施される。SOLT補正の実施により、未知数とされたS11T・S21T・S12T・S22Tが特定される。
なお、S12T,S22Tは、図示はしていないがそれぞれ逆方向の伝達係数,反射係数の実測測定治具測定値を示している。これらは順方向測定のS21T,S22Tに対応する。
Figure 0003558086
Figure 0003558086
前述したように、これら連立方程式はポート数を任意に設定した測定系おいて容易に計算機アルゴリズムで生成して解くことが可能である。これにより、任意のnポートにおいてSOLT補正を実行することが可能となる。
なお、SOLT補正の誤差要因(散乱係数等)の求め方は次のようにすればよい。特性の異なる3種の試料DUTを用意し、各ポートそれぞれにおける3種の試料DUTの測定値を既知量とする。これにより、方向性・ソースマッチ・反射トラッキングの3つの誤差要因(誤差係数)を求めて1ポート補正する。さらに、1ポート補正が終わったポートで他のポートのロードマッチ・伝達トラッキングの2つの誤差要因(誤差係数)を求める。これにより、SOLT補正の誤差要因(散乱係数数)は求められる。
このような補正アダプタ型相対補正方法は、5ポート以上の測定系の補正を行う必要がある場合に有効となる。特に、平衡測定では不平衡ポートに換算した場合のポート数が非常に多くなることがあるので有用であると思われる。
次に、本発明の補正アダプタ型相対補正法が、実際的に測定された結果が参照されながら説明される。主な測定条件は以下の通りである。
測定対象電子部品11A(試料DUT):不平衡入力-平行出力SAWフィルタ(fn=1842.5MHz)(SAFSD位G84CB0T00)であって、これら電子部品の良品(3個)と不良品(2個)とが測定対象電子部品11Aとして用意される。
補正データ取得試料11B:SMAコネクタに直接チップ部品がはんだ付けされる等の処理が施されることで略開放・略短絡・略終端が設定された3種の電子部品が補正データ取得試料11Bとして用意される。
基準測定治具5A:上記測定対象電子部品11A(試料DUT)が実装可能なKMM製の治具が基準測定治具5Aとして用意される。
実測測定治具5B:上記治具の校正面に誤差要因として、ポート1に50cmの同軸ケーブルが取り付けられ、ポート2に30mmのアダプタが取り付けられ、ポート3に−3dBの減衰器が取り付けられたものが実測測定治具5Bとして用意される。
基準測定装置1や実測測定装置2を構成する測定器:ADVANTEST社製 R3860 (〜8GHzの4ポートネットワークアナライザ)が測定器として用意される。上記基準測定治具5Aが接続された測定器が基準測定装置1となり、上記実測測定治具5Bが接続された測定器が実測測定装置2となる。
周波数範囲:1650MHz〜2050MHz
データ数:401点
IF帯域幅等:1000Hz(平均化処理無し)
測定方法:
1.上記基準測定治具5Aに3種の上記補正データ取得試料11Bがそれぞれ実装される。試料11B実装状態の基準測定治具5Aが上記測定装置に接続されてその特性が測定される。この場合、測定装置は基準測定装置1と見なされる。測定された特性が補正データ取得試料11Bの基準測定治具測定値S21D,S11Dと見なされる。
2.同様に、上記実測測定治具5Bに3種の上記補正データ取得試料11Bがそれぞれ実装される。試料11B実装状態の実測測定治具5Bが上記測定装置に接続されてその特性が測定される。この場合、測定装置は実測測定装置2と見なされる。測定された特性が補正データ取得試料11Bの実測測定治具測定値S21T,S11Tと見なされる。
3.補正データ取得試料11Bの測定結果である基準測定治具測定値S21D,S11Dと実測測定治具測定値S21T,S11Tとが、前述された(1)式に代入されることで、相対補正アダプタ31の誤差要因が算定される。
4.上記基準測定治具5Aに測定対象電子部品11Aがそれぞれ実装される。部品11A実装状態の基準測定治具5Aが上記測定装置に接続されてその特性が測定される。この場合、測定装置は基準測定装置1と見なされる。測定された特性が測定対象電子部品11Aの基準測定治具測定値S21D,S11Dと見なされる。
5.同様に、上記実測測定治具5Bに上記測定対象電子部品11Aがそれぞれ実装される。部品11A実装状態の実測測定治具5Bが上記測定装置に接続されてその特性が測定される。この場合、測定装置は実測測定装置2と見なされる。測定された特性が測定対象電子部品11Aの実測測定治具測定値S21T,S11Tと見なされる。
6.測定対象電子部品11Aの実測測定治具測定値S21T,S11Tが前述された(2)式に代入されることで、測定対象電子部品11Aの基準測定治具測定値S21D,S11Dが推定される。
図13,図14に測定対象電子部品(良品)11Aの伝達係数(Sds21)の補正結果が示される。図13は1650MHz〜2050MHzの全体像を示し、図14は図13の要部拡大図である。これらの図において、Definitionは、基準測定治具測定値S21D,S11Dを示し、Testは実測測定治具測定値S21T,S11Tを示し、Correctedは、相対補正結果を示す。これらの図においては、Testが相対補正されることによってCorrectedに補正され、これがDefinitionと一致していれば良い、ということである。
これらの図を詳細に検討すれば明らかなように、実測測定治具測定値S21T,S11Tは治具間誤差の相違の影響で基準測定治具測定値S21D,S11Dと大きく異なる結果となっている。しかしながら、実測測定治具測定値S21T,S11Tが本発明の相対アダプタ型相対補正法により補正された結果は、ほぼ正確に基準測定治具測定値S21D,S11Dに一致している。つまり、本願発明の補正アダプタ型相対補正法を実施することにより、正確に補正されていることが分かる。
図15,図16に測定対象電子部品(不良品)11Aの伝達係数(Sds21)の補正結果が示される。図15は1650MHz〜2050MHzの全体像を示し、図16は図15の要部拡大図である。本発明の補正アダプタ型相対補正法は試料特性の線形性が保たれる限り、試料の特性に関係無く補正を実施できる。したがって、測定対象電子部品(不良品)11Aについても精度の高い補正が実施されている。なお、これらの図において、Definition,Test,Correctedは、図13,図14で説明したものと同様のものを示す。
図17に測定対象電子部品(良品)11Aの通過域付近における一方の不平衡伝達係数(Sss31)の補正結果が示される。補正結果は極座標表示で示される。平衡ポートには2つの不平衡ポートの差動信号が入力される。そのため、振幅が正しく補正されているだけでは正常な平衡ポートの補正は期待できない。振幅と同時に位相も正しく補正されていることが必要である。
これに対して、図17は、ポート3に減衰器を挿入したことにより、実測測定治具測定値S21T,S11Tは、基準測定治具測定値S21D,S11Dに対して振幅が大きく減衰(3dB減衰しているはずである)していると共に、その電気長によって位相が回転している。これに対して、補正結果は振幅・位相とも正常に再現されている。
図18に、測定対象電子部品(良品)11Aの通過域付近の反射係数(Sss33)の補正結果が示される。反射係数に関しても、本発明の補正アダプタ型相対補正法を実施すれば良好な補正結果が得られる。
次に、本発明の補正アダプタ型相対補正法に用いる補正データ取得試料11Bが説明される。
本発明の補正アダプタ型相対補正法を実施するためには、ポート間の伝達係数が0に限りなく近い(好ましくは、ポート間伝達係数が−20dB以下)特性を有する補正データ取得試料11Bが必要となる。そのような補正データ取得試料11Bを構成するためには、補正データ取得試料11Bのポート間絶縁をできる限り高くする必要がある。ポート間絶縁を高めるためにはポート間にシールドを設けることも考えられるが、構成が複雑化してコストアップを招く。
ここで、静電結合や誘電結合が強い素子から補正データ取得試料11Bを構成する場合、ポート間の漏洩を多く生じる伝送モードは試料11Bの形状によって決まる。そのため、例えば、誘導結合が強い素子から補正データ取得試料11Bを構成する場合には次のような特性が得られる。すなわち、両方のポートとも短絡状態にすると、その両ポート間の絶縁性は非常に低くなる。一方のポートを短絡状態にし他方のポートを開放状態にすれば、開放側ポートが磁気結合しないので、両ポート間の絶縁特性は高く保持される。したがって、図19(a),(b)に示されるように、3個必要となる補正データ取得試料11Bの一方を、(開放・短絡)の構成とし、他方を(短絡・開放)の構成とすればよい。そうすれば、従来実施されていた(開放・開放+短絡・短絡)という組合せと同様に、(開放・短絡+短絡・開放)という組合せを使うことが可能となる。これにより、補正手順に影響を与えることなく、本発明の補正アダプタ型相対補正法が実施可能となる。
補正データ取得試料11Bとして終端(50Ω)を使う場合も同様である。この場合、(終端・終端)の構成にすると絶縁性が低下する場合がある。これに対して、(終端・開放)の構成にすれば、両ポート間の絶縁特性を高く保持することができる。したがって、図19(c),(d)に示されるように、3個必要となる補正データ取得試料11Bの一方を、(開放・終端)の構成とし、他方を(終端・開放)の構成とすればよい。そうすれば、従来実施されていた(開放・開放+終端・終端)という組合せと同様に、(開放・終端+終端・開放)という組合せを使うことが可能となる。これにより、補正手順に影響を与えることなく、補正アダプタ型相対補正法が実施可能となる。ただし、この場合、補正データ取得試料11Bとして必要な個数は、1つ増えて4個となる。開放は、すでに他の補正データ取得試料11Bで測定が完了しているので、そのデータは捨てられることになる。終端以外の反射端(例えば100Ωや10Ω等)を用いる場合も、同様となる。
多層構造を有する電子部品(LTCCデバイス等)から補正データ取得試料11Bを構成する場合、開放,短絡は容易に製作できても終端(50Ω)等を製作することは困難である。
その場合には、終端形成に必要な抵抗素子の代わりにディレイラインを用いることができる。この場合、ディレイラインの末端は、開放端でも短絡端でもよい。ただし、この場合、挿入されるディレイラインによって、補正データ取得試料11Bの反射波の位相が相互にほぼ均等にずれるように設計することが望ましい。そうすれば、補正データ取得試料11B相互の特性が離間する結果、測定誤差の影響をさらに受けにくくなる。具体的には、開放,短絡とともに必要となる場合には、90°位相と、270°位相のディレイラインを設けるのが好ましい。これは、開放は0°、短絡は180°の位相を有する為である。3種類のディレイラインが必要となる場合には、0°(=開放)位相のディレイラインと,120°位相のディレイラインと,240°位相のディレイラインとを設けるのが最適である。
ディレイラインは、導体パターンだけ形成できる。そのため、ディレイラインを有する補正データ取得試料11BがLTCCデバイス(低温焼成セラミックスを用いたデバイス)として容易に実現可能である。これに対して、終端(50Ω)のように抵抗体を必要とする補正データ取得試料11BをLTCCデバイスで実現するのは困難であるか、実現できたとても高コストとなる。
2ポート以上の補正データ取得試料11Bの各ポートにディレイラインを設ける場合には、絶縁性が低下することがある。この場合には、1ポートをディレイラインにしたうえで、他のポートを開放にする、短絡にする、といった構成にすることで、絶縁性の低下を阻止することができる。
上記のように補正データ取得試料11Bを構成すれば、ポート間の伝達係数が非常に小さくなる結果、ポート間のアイソレーションが高い補正データ取得試料11Bが獲得できる。したがって、本発明の補正アダプタ型相対補正方法の補正精度が高くなる。
また、開放端では電流は全く流れない代わりに電圧の変動が生じる。そのため、開放端から短絡端へ向かって電界波が生じる。ところが、短絡端では電流は流れることができる(磁界波は受信する)ものの電圧の変動は生じ得ない(電界波は受信しない)。したがって、結局のところ、ポート間の結合が生じず、高いアイソレーションが得られる。逆の構成でも同様の効果が得られる。
終端とは、通常50Ωであってその他端には電界波・磁界波の両方が伝わる。この場合、補正データ取得試料11Bの構造によって電界波の影響が大きい場合には他端を短絡端に、磁界波の影響が大きい場合には他端を開放端にすればよい。そうすれば、ポート間の伝達係数を最も小さくすることができる。このことは、50Ω以外の終端を構成する場合も同様である。
ただし、例えば、終端・開放という構成を有する補正データ取得試料11Bを作製した場合、別の補正データ取得試料11Bとして短絡・開放という構成を備えたものを作製する場合、ポート2側について考察すると、開放という特性を有する補正データ取得試料11Bが2つ配置されることになる。これでは相対補正を正常に行えない。その場合、別に開放・終端という構成を有する補正データ取得試料11Bを作製すればよい。そうすれば、この補正データ取得試料11Bによるポート2の測定データでもってデータの重複を防ぐことができる。このことは、3ポート以上の場合も同様である。
次に、実施形態の変形例について説明する。この変形例は、測定対象(能動)電子部品であるバイポーラトランジスタをいわゆるエミッタ接地増幅回路で使用した場合の増幅度を測定する場合に、精度高く測定結果を補正する方法である。
図20は本変形例の実測測定治具5B’と基準測定治具5A’の構成を示す回路図である。図20には測定対象(能動)電子部品であるバイポーラトランジスタ50も図示される。実測測定治具5B’と基準測定治具5A’とは、バイポーラトランジスタ50を駆動する為に直流電圧を与える回路51と、バイポーラトランジスタ50に合わせてインピーダンス整合を行う回路52、外部回路と直流電圧を遮断し、交流信号のみを通す結合回路53などの電子部品が設けられている。この変形例では、バイポーラトランジスタ50を駆動する為に直流電圧を与える回路51により、直流電源が構成されている。
測定は、図示しない測定装置(ネットワークアナライザ等)1,2に設けられた接続用の同軸ケーブル4A,4Bを治具5A,5Bの各ポートに接続して行われる。図21は補正データ取得試料11B’の構成を示す回路図である。図21(a)は、短絡の試料11B’であり、図21(b)は、終端の試料11B’であり、図21(c)は、開放の試料11B’である。補正データ取得試料11B’は測定対象(能動)電子部品と同様に実測測定治具5B’や基準測定治具5A’に取り付け可能な形状に製作されている。
以下、上記の構成における本変形例の誤差の補正方法について説明する。基準測定治具5A’と実測測定治具5B’とにそれぞれ計3個の同一の補正データ取得試料11B’が実装された状態で、各補正データ取得試料11B’の電気特性の基準測定治具測定値S21D,S11Dと実測測定治具測定値S21T,S11Tとが取得される。測定時、各補正データ取得試料11B’には、直流電圧付与回路51によって同一レベルの直流電圧が印加されるように制御されており、各補正データ取得試料11B’の電気特性の基準測定治具測定値S21D,S11Dと実測測定治具測定値S21T,S11Tとは、この状態で測定される。なお、直流電圧付与回路51に替えて直流電流付与回路を設け、測定時、各補正データ取得試料11B’に、直流電流付与回路によって同一レベルの直流電流が付与されるように制御してもよい。この場合、直流電流付与回路により直流電源が構成される。また、直流電圧付与回路51といった直流電源は、上述したように、治具回路に組み込まれる以外に、治具外部(例えば、測定装置1,2)に設けられてもよい。
これら基準測定治具測定値S21D,S11Dと、実測測定治具測定値S21T,S11Tとから、相対補正アダプタ31が同定される。相対補正アダプタ31は、実測測定治具測定値S21T,S11Tから基準測定治具測定値S21D,S11Dを推定するアダプタであって、前述した実施の形態の補正方法によって同定される。その後、測定対象(能動)電子部品11A’が実測測定治具5B’に実装された状態でその電気特性が測定される。その際、各測定対象(能動)電子部品11A’には、直流電圧付与回路51によって同一レベルの直流電圧が印加されるように制御される。
得られた実測測定治具測定値S21T,S11Tと相対補正アダプタ31とから、測定対象(能動)電子部品11A’の基準測定治具測定値S21D,S11Dが算定される。具体的な実験条件は以下の通りである。
・測定対象(能動)電子部品:低周波小信号用汎用NPNトランジスタ(品番2SC1815:東芝製)
・測定周波数:1MHz〜3MHz
・測定器:8753ES(Agilent Technologies社製)
・信号源出力:−15dBm
・治具:図20の回路構成を有する基準測定治具5A’・実測測定治具5B’が使用される。ただし、基準測定治具5A’はできるだけ大きなゲインが得られるように回路が調整された状態(図中のchokeコイル と整合回路62のコンデンサを調整)とされる。一方、実測測定治具5B’は回路調整を上記の状態から適当にずらされる(コイル幅を少し広げてL値を下げ、コンデンサも少し容量をずらす)ことで、多少ゲインが少なくなるように調整された状態とされる。
・補正データ取得試料:図21に示されるように、3種類の3端子型の補正データ取得試料11B’が使用される。
・補正方法:図20に示されるように、測定対象(能動)電子部品11A’は、エミッタが直接接地された構成とされていることから、本発明の補正方法のうち、2ポートの測定対象電子部品に対する相対補正法が使用される。
図22に順方向伝達係数(いわゆるゲイン)の基準測定治具測定値S21D(Definition)、実測測定治具測定値S21T(Test)、および補正結果(Corrected)が示される。実測測定治具測定値S21T,S11Tでは、基準測定治具測定値S21D,S11Dよりも約0.5dBほどゲインが低くなっているが、相対補正によってこの差は正しく補正されていることが分かる。
図23に、順方向伝達係数の極座標表示が示される。補正が位相も含めて正常に行えていることが読み取れる。なお、図22,図23において、Definition,Test,Correctedは、図13,図14で説明したものと同様のものを示す。
このように、本変形例によれば、バイポーラトランジスタやFET、及びこれらを含む増幅器等の能動電子部品においても、実測測定治具測定値S21Tを、基準測定治具測定値S21Dに精度高く一致させることが可能となる。そのため、熟練者であっても長時間を要する非常に難易度の高い作業である実測測定治具5B’の調整作業などを行わなくとも、実測測定治具測定値S21Tから基準測定治具測定値S21Dを精度高く推定することが可能となる。これにより、治具調整作業が不要になるばかりか、治具調整作業を行ってもなお完全に基準測定治具測定値S21Dに一致する測定結果が得られないために従来では必要になっていた量産工程での良否判定閾値とユーザー保証値との間の余裕を設ける必要がなくなり、その分、良品率が向上する。
次に、本変形例が、測定対象(能動)電子部品の測定値を精度高く補正できる理由を説明する。説明の都合上、バイポーラトランジスタのエミッタ接地増幅回路を例にとるが、バイポーラトランジスタはFETと並んで半導体増幅素子のもっとも基本的な構成要素であり、これの測定に適用できる測定法であれば、これらを含む他の複雑な能動電子部品の測定にも適用できることは明らかである。
バイポーラトランジスタを用いたもっとも基本的な増幅回路であるエミッタ接地増幅回路として図24に示されるものがある。測定対象(能動)電子部品(試料)であるバイポーラトランジスタ60は交流信号の増幅作用を有するが、バイポーラトランジスタ60を駆動する為に直流電圧を与える回路61やバイポーラトランジスタ60に合わせてインピーダンス整合を行う回路62、外部回路と直流電圧を遮断し、交流信号のみを通す結合回路63などの電子部品が設けられている。これらは全て前述した基準測定治具5A’,実測測定治具5B’間の測定値差の原因になる。
直流電源は交流的には接地と等価であることを考慮に入れて図24の回路を交流的に書き直したのが図25である。図25の構成においては、バイアス抵抗は交流的なインピーダンスも有していることに注意が必要となる。図25中、伝送路に直列接続の素子、シャント接続の素子は全て散乱係数として合成できるので、ポート1側の素子群及び伝送路の誤差の散乱係数E1、ポート2側の素子群及び伝送路の誤差の散乱係数をE2、バイポーラトランジスタ60の散乱係数をSAとすると、図25の回路構成は、結局図26に示されるシグナルフローダイアグラムとなる。これは、単純な2ポート受動デバイス測定時のシグナルフローダイアグラムと同じものである。従って、以下に説明される6点に注意すれば受動デバイスの場合と全く同様に増幅素子についても本発明の相対補正法を適用することができる。
1.基準測定治具5A’と実測測定治具5B’との間で、DCバイアス状態をほぼ等しくする。
これは、測定対象(能動)電子部品11A’である増幅素子の真値や、基準測定治具5A’,実測測定治具5B’を構成する治具回路の特性が変化してしまうことを避ける為に必要な要件である。入出力インピーダンスの整合に使用されるようなコンデンサやインダクタは多くの場合、DC電圧依存性を持たないものが使用されると期待できるが、電源バイパス用に高誘電率セラミックコンデンサ等が使われる場合もあり得る。また、バイアス電圧安定化の為にダイオード等の半導体素子が使われる可能性もあり、これらは与えるDCバイアスによって高周波特性が変化してしまう。そのため、実際の測定対象(能動)電子部品11A’の測定時と同じ電源電圧を与えて、基準測定治具実装状態での測定時と実測測定治具実装状態での測定時との間で治具の特性が異なってしまうことを防がなければならない。本条件は、電源装置にいわゆる直流安定化電源を用いることで容易に実現できる。
2.実測測定治具や基準測定治具へのDC電圧入力部に十分なバイパスを施す。
増幅素子にDCバイアスを与える回路も当然ある程度の交流信号が漏洩する。交流電流の漏洩が大きいと、DC電源から治具5A’,5B’への電線の引き回しによって測定結果が変動するという事態に陥る可能性がある。したがって、治具5A’,5B’へのDC電圧入力部では十分なバイパスコンデンサを設けるなどして交流信号がDC系回路を通じて治具外に漏洩しないようにする。もっとも、これは本発明の補正法に関係なく、DC系の配線を手で触ると測定値が変わるなどという測定の再現性上の問題を引き起こすものであって、本質的には本発明とは無関係であるものの、必要となる要件である。
3.治具5A’,5B’間の特性差異が大きすぎるとダイナミックレンジが狭くなるため、治具5A’,5B’間の特性差異はできるだけ小さくする。
交流的治具特性の差異の影響は原理的には相対補正法によって補正される。しかしながら、増幅素子の測定回路によっては共振周波数付近では非常に増幅度が高く、それ以外では非常に増幅度が低くなる場合がある。この例では、治具5A’,5B’間であまりに共振周波数がずれていると、非常に低い増幅度しか得られていない実測測定治具測定値S21T,S11Tから基準治具測定値S21D,S11Dの高い増幅度を推定することになり、ダイナミックレンジが不足することが懸念される。この様な場合は、大まかに治具5A’,5B’の特性を調整して大体の共振周波数を合わせておき、合わせきれない部分は補正アダプタ型相対補正法に任せる、という運用が考えられる。
4.補正用データ取得試料の入力ポートはAC結合する。
補正用データ取得試料11B’の特性測定時の治具特性と測定対象(能動)電子部品11A’の特性測定時の治具特性とを等しくするために、補正データ取得試料11B’の特性測定時も電圧を印加すべきであるが、補正データ取得試料11B’として直流的短絡試料を設定して、この試料を治具5A’,5B’に実装するとDCバイアス状態が変化する可能性がある。そのため、補正データ取得試料11B’のポートはDCを阻止すべきである、という要件である。
5.測定対象(能動)電子部品11B’が増幅素子(回路)である場合、増幅素子は線形動作していなければならない。
信号レベルが大きすぎて増幅素子が飽和したり、あるいは回路の電源電圧にかかって出力がクリップしたりする場合は、回路動作は非線型動作になる。非線型動作時の特性は線形的な補正法である相対補正法で補正等できる見込みは無い。そのため、測定対象(能動)電子部品11B’が増幅素子(回路)である場合、増幅素子はいわゆる小信号応答のようにその回路動作が線形的(A級動作)を期待できる状態でなければならない、という要件である。
6.複雑なデバイスではポート数が非常に多くなってしまう。
増幅回路を構成する測定対象(能動)電子部品11B’としては、しばしば、働きは単純な電力増幅素子であっても、内部は多段の増幅器になっており、それぞれの増幅段に別々に電源を供給しなければならないようなデバイスがある。このようなデバイスの場合、厳密には、全ての電源端子の応答を観測しなければ完全な補正アダプタ型相対補正法を実施できず、そのために、非常に測定ポート数が増えてしまうという不具合が生じる。これについては、通常の増幅回路では出力に影響する電源ラインは限られているので、影響を無視し得るポートは無視すれば良い。例えば、通常の増幅器ではまず電圧増幅段が設けられ、次に1〜2段の電力増幅段が設けられる。この様な構成では、治具5A’,5B’によって測定結果が異なる原因となる電源ラインは第1段の電圧増幅段であることがほとんどである。そのため、このようなデバイスの測定結果を補正する際には、電源ラインのみを補正対象とし、他の電源ラインは無視すれば良い。
なお、測定対象(能動)電子部品11A’に設けられる接続端子の少なくとも一つが、直接、治具5A’,5B’の接地電位に接続される、あるいは治具5A’,5B’の少なくとも交流的に接地電位に接続される場合においては、補正データ取得試料11B’として、上述した接地電位を基準として各種の電気特性を有するものを容易に製作することができる。しかしながら、測定対象(能動)電子部品11A’のどの接続端子も接地電位に接続されず、治具5A’,5B’上で接地電位との間に何らかの電子部品が設けられる場合には、補正データ取得試料11B’を作製する際において、設定する電気特性の基準となる測定対象(能動)電子部品11A’の接地電位を定めることができない。この場合には、補正データ取得試料11B’を実現することが不可能となる。
この様な場合には、
・基準測定治具5A’と実測測定治具5B’として、補正データ取得試料11B’と測定対象(能動)電子部品11A’とが有する各ポートに対応する接続端子以外に、各治具5A’,5B’の接地電位に接続される少なくとも一つの接地接続端子を有するものを用意する、
・補正データ取得試料11B’として、治具5A’,5B’に設ける接地接続端子に接続される端子を有するものを少なくととも一つ用意する、
・上記端子を有する補正データ取得試料11B’の実測測定治具測定値S21T,S11Tを取得する工程において、この補正データ取得試料11B’の電気特性を、上記端子(補正データ取得試料11B’)を接地接続端子(治具5A’,5B’)に接続した状態で測定する、
という工程をさらに加えればよい。
そうすれば、基準測定治具5A’と実測測定治具5B’を構成する治具回路上で接地電位との間に何らかの電子部品が設けられる場合であっても、補正データ取得試料11B’を実現することで可能となる。これにより、本発明の相対補正法を実施することができる。なお、接地接続端子は、治具回路の接地電位に接続されていることが望ましい。
以上説明した実施の形態では、測定対象電子部品11Aを実測測定治具5Bに実装した状態で実測測定装置2で測定した測定結果を、測定対象電子部品11Aを基準測定治具5Aに実装した状態で基準測定装置1で測定した測定結果に補正する際に本発明を実施する場合が説明された。ここで、基準測定装置1は、同一測定対象電子部品の電気特性の測定結果が実測測定装置2とは異なる測定装置の一例として規定される装置である。しかしながら、本発明はこの他、測定対象電子部品11Aを実測測定治具5Bに実装した状態で実測測定装置2で測定した測定結果を、測定対象電子部品11Aを基準測定治具5Aに実装した状態で実測測定装置2で測定した測定結果に補正する際においても本発明は同様に実施される。
本発明の測定誤差の補正方法を実施する測定装置の概略構成を示す平面図である。 本発明の測定誤差の補正方法を実施する測定装置を構成する測定治具の構成を示す平面図である。 本発明の測定誤差の補正方法を実施する測定装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の測定誤差の補正方法を実施する測定装置を構成する補正データ取得試料および測定対象電子部品の構成を示す裏面図である。 本発明の測定誤差の補正方法の説明に供する第1の補正概念図である。 本発明の測定誤差の補正方法の説明に供する第2の補正概念図である。 本発明の測定誤差の補正方法の説明に供する第3の補正概念図である。 本発明の測定誤差の補正方法の説明に供する第4の補正概念図である。 本発明の測定誤差の補正方法の説明に供する第5の補正概念図である。 本発明の測定誤差の補正方法の説明に供する第6の補正概念図である。 本発明の測定誤差の補正方法の説明に供する第7の補正概念図である。 本発明の測定誤差の補正方法の説明に供する第8の補正概念図である。 本発明の測定誤差の補正方法の補正結果を示す第1の線図である。 図13の要部拡大図である。 本発明の測定誤差の補正方法の補正結果を示す第2の線図である。 図15の要部拡大図である。 本発明の測定誤差の補正方法の補正結果を示す第3の線図である。 本発明の測定誤差の補正方法の補正結果を示す第4の線図である。 本発明の測定誤差の補正方法で好適に用いることができる補正データ取得試料の構成を示す概念図である。 本発明の変形例に用いられる治具の一例を示す回路図である。 本発明の変形例に用いられる補正データ取得試料の構成を示す回路図である。 変形例による測定誤差の補正結果を示す第5の線図である。 変形例による測定誤差の補正結果を示す第6の線図である。 本発明の変形例の説明に供されるエミッタ接地増幅回路の構成を示す回路図である。 図24の回路図を、直流電源を接地と等価と見なして交流的に書き直した回路図である。 図25の回路図を元にして作成されたシグナルフローダイヤグラムである。 本発明の測定誤差の補正方法が実施される測定対象(能動)電子部品の各種の例をそれぞれ示す回路図である。
符号の説明
1 基準測定装置
2 実測測定装置
3A,3B ネットワークアナライザ
4A,4B,4C 同軸ケーブル
5A 基準測定治具
5B 実測測定治具
6 同軸ケーブルコネクタ
7 絶縁基板
7A 基板表面
8A,8B 信号伝送路
8C〜8i接地線路
9A,9B,9C 同軸コネクタ
10 スルーホール接続部
11A 測定対象電子部品
11B 補正データ取得試料
11a 基板裏面
12a,12b 伝送路端子
12C〜12f 接地端子
13 枠体
20 ネットワークアナライザ本体
21 制御部
22 制御部本体
23 メモリ
24 誤差要因同定手段
25 補正算定手段
30 誤差除去アダプタ
31 相対補正アダプタ
11 順方向反射係数
21 順方向伝達係数
12 逆方向伝達係数
22 逆方向反射係数
21DUT,S11DUT 試料真値
21D,S11D 基準測定治具測定値
21T,S11T 実測測定治具測定値
D1,D2 基準測定治具誤差
T1,T2 実測測定治具誤差
T1 -1,ET2 -1 第1誤差除去アダプタの誤差
C1,C2 相対補正アダプタの誤差

Claims (18)

  1. 複数のポートを有する測定対象電子部品の電気特性を、実測測定治具に実装した状態で測定装置で測定する際に、測定により得られる前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を、前記実測測定治具とは同一測定対象電子部品の電気特性の測定結果が異なる基準測定治具に実装した状態で前記測定装置もしくは前記測定装置と同等の測定特性を有すると見なせる他の測定装置で前記測定対象電子部品を測定する場合に得られると推定される電気特性に補正する測定誤差の補正方法であって、
    互いに異なる電気特性を有するとともに、各ポート間の伝達係数が極めて小さい補正データ取得試料を少なくとも3個用意する工程と、
    前記補正データ取得試料の電気特性を基準測定治具実装状態で前記測定装置もしくは前記他の測定装置で測定することで、前記補正データ取得試料の基準測定治具測定値を取得する工程と、
    前記補正データ取得試料の電気特性を実測測定治具実装状態で前記測定装置もしくは前記他の測定装置で測定することで、前記補正データ取得試料の実測測定治具測定値を取得する工程と、
    前記実測測定治具の前記測定装置側に位置する各ポートに接続される2ポート回路網からなり、測定対象電子部品実装状態の前記実測測定治具が発生させる電気特性を測定対象電子部品実装状態の前記基準測定治具が発生させる電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定したうえで、想定した相対補正アダプタの誤差要因を、前記補正データ取得試料の前記基準測定治具測定値および前記実測測定治具測定値から同定する工程と、
    前記測定対象電子部品を前記実測測定治具に実装した状態で前記測定装置もしくは前記他の測定装置で測定することで、前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を取得する工程と、
    前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を前記相対補正アダプタの誤差要因で補正することで、前記測定対象電子部品を前記基準測定治具に実装した状態で前記測定装置もしくは前記他の測定装置で測定する場合に得られると推定できる前記測定対象電子部品の基準測定治具測定値を算定する工程と、
    を含むことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  2. 請求項1に記載の測定誤差の補正方法において、
    前記補正データ取得試料として、ポート間伝達係数が−20dB以下のものを用いる、
    ことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  3. 請求項1または2に記載の測定誤差の補正方法において、
    前記補正データ取得試料として、各ポートの反射係数が試料間で互いに異なるものを用いる、
    ことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の測定誤差の補正方法において、
    前記相対補正アダプタの誤差要因の同定工程を、
    次の(1)式に基づいて実施する、
    Figure 0003558086
    C100,C101,C110,C111:相対補正アダプタの誤差要因
    11D1,S11D2,S11D3:補正データ取得試料の基準測定治具測定値
    11T1,S11T2,S11T3:補正データ取得試料の実測測定治具測定値
    ことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  5. 請求項4に記載の測位誤差の補正方法において、
    前記測定対象電子部品の基準測定治具測定値算定工程を、
    次の(2)式に基づいて実施する、
    Figure 0003558086
    ことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の測定誤差の補正方法において、
    前記補正データ取得試料として、一方のポートが開放であり、他のポートの特性が前記一方のポートと異なる特性を有するものを用いる、
    ことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  7. 請求項1ないし5のいずれかに記載の測定誤差の補正方法において、
    前記補正データ取得試料として、一方のポートが短絡であり、他のポートの特性が前記一方のポートと異なる特性を有するものを用いる、
    ことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  8. 請求項1に記載の測定誤差の補正方法において、
    前記補正データ取得試料の基準測定治具測定値を取得する工程と、前記補正データ取得試料の実測測定治具測定値を取得する工程と、前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を取得する工程とにおいて、これらの各工程中で前記補正データ取得試料または前記測定対象電子部品に与えられる直流電流値または直流電圧値が同一となるように、各治具を介して前記補正データ取得試料または前記測定対象電子部品に直流電流または直流電圧を与えた状態で前記補正データ取得試料または前記測定対象電子部品の電気特性を測定する、
    ことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  9. 請求項8に記載の測定誤差の補正方法において、
    前記補正データ取得試料は、この補正データ取得試料が有するポートのうち少なくとも一つに直流信号が流れない構造である、
    ことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  10. 請求項8または9に記載の測定誤差の補正方法において、
    前記基準測定治具と前記実測測定治具として、前記補正データ取得試料と前記測定対象電子部品とが有する各ポートに対応する接続端子以外に、各治具の接地電位に接続された少なくとも一つの接地接続端子を有するものを用意し、
    前記補正データ取得試料として、前記接地接続端子に接続される端子を有するものを少なくととも一つ用意し、
    前記端子を有する前記補正データ取得試料の実測測定治具測定値を取得する工程において、この補正データ取得試料の電気特性を、前記端子を接地接続端子に接続した状態で測定する、
    ことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  11. 複数のポートを有する測定対象電子部品の電気特性を、実測測定治具に実装した状態で測定する測定器を有し、実測測定治具実装状態で前記測定器で測定する前記測定対象電子部品の電気特性を、前記実測測定治具とは同一測定対象電子部品の電気特性の測定結果が異なる基準測定治具に実装した状態で前記測定器もしくは前記測定器と同等の測定特性を有すると見なせる測定器を有する他の測定装置で前記測定対象電子部品を測定する場合に得られると推定される電気特性に補正する電子部品特性測定装置であって、
    互いに異なる電気特性を有するとともに各ポート間の伝達係数が極めて小さい少なくとも3個の補正データ取得試料の電気特性を基準測定治具実装状態で前記測定器で測定することで、前記補正データ取得試料の基準測定治具測定値を取得する手段と、
    前記補正データ取得試料の電気特性を実測測定治具実装状態で前記測定器で測定することで前記補正データ取得試料の実測測定治具測定値を取得する手段と、
    前記実測測定治具の前記測定装置側に位置する各ポートに接続される2ポート回路網からなり、測定対象電子部品実装状態の前記実測測定治具が発生させる電気特性を測定対象電子部品実装状態の前記基準測定治具が発生させる電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定したうえで、想定した相対補正アダプタの誤差要因を、前記補正データ取得試料の前記基準測定治具測定値および前記実測測定治具測定値から同定する手段と、
    前記測定対象電子部品を、前記実測測定治具に実装した状態で前記測定器で測定することで前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を取得する手段と、
    前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を前記相対補正アダプタの誤差要因で補正することで、前記測定対象電子部品を前記基準測定治具に実装した状態で前記測定器もしくは前記他の測定装置で測定する場合に得られると推定できる前記測定対象電子部品の基準測定治具測定値を算定する手段と、
    を有することを特徴とする電子部品特性測定装置。
  12. 請求項11に記載の電子部品特性測定装置において、
    前記補正データ取得試料はポート間伝達係数が−20dB以下である、
    ことを特徴とする電子部品特性測定装置。
  13. 請求項11または12に記載の電子部品特性測定装置において、
    前記補正データ取得試料は、各ポートの反射係数が試料間で互いに異なるものである、
    ことを特徴とする電子部品特性測定装置。
  14. 請求項11ないし13のいずれかに記載の電子部品特性測定装置において、
    前記相対補正アダプタの誤差要因を同定する手段は、
    次の(1)式に基づいて同定を実施するものである、
    Figure 0003558086
    C100,C101,C110,C111:相対補正アダプタの誤差要因
    11D1,S11D2,S11D3:補正データ取得試料の基準測定治具測定値
    1 1T1,S11T2,S11T3:補正データ取得試料の実測測定治具測定値
    ことを特徴とする電子部品特性測定装置。
  15. 請求項14に記載の電子部品特性測定装置において、
    前記測定対象電子部品の基準測定治具測定値を算定する手段は、
    次の(2)式に基づいて前記測定値の想定を実施するものである、
    Figure 0003558086
    ことを特徴とする電子部品特性測定装置。
  16. 請求項11ないし15のいずれかに記載の電子部品特性測定装置であって、
    前記補正データ取得試料は、一方のポートが開放であり、他のポートの特性が前記一方のポートと異なる特性である、
    ことを特徴とする電子部品特性測定装置。
  17. 請求項11ないし15のいずれかに記載の電子部品特性測定装置であって、
    前記補正データ取得試料は、一方のポートが短絡であり、他のポートの特性が前記一方のポートと異なる特性である、
    ことを特徴とする電子部品特性測定装置。
  18. 請求項11に記載の電子部品特性測定装置において、
    前記実測測定治具と基準測定治具とを介して前記測定対象電子部品と前記補正データ取得試料とに直流電流を供給する直流電源をさらに備えており、
    前記補正データ取得試料の基準測定治具測定値を取得する手段と、前記補正データ取得試料の実測測定治具測定値を取得する手段と、前記測定対象電子部品の実測測定治具測定値を取得する手段とは、前記補正データ取得試料または前記測定対象電子部品の電気特性を、各手段で同一と見なせる電流または電圧を前記直流電源から各治具を介して前記補正データ取得試料または前記測定対象電子部品に与えた状態で測定するものである、
    ことを特徴とする電子部品特性測定装置。
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