本発明の実施の形態の説明に先立ち、従来の装置における問題点を簡単に説明する。上記した手と操舵ハンドルとの間の接触の検出装置によると、ドライバの手が操舵ハンドルを握ることにより、手と操舵ハンドルとの間の接触が検出されると記載されている。しかし、ここでは手と操舵ハンドルの接触を検出する場合に、操舵ハンドルの加熱器(ヒータ)を利用し、その静電容量の変化、すなわち第1のキャパシタ101の静電容量の変化を周波数の変化として検出している。この場合、温度調整や過昇温防止動作を行うサーモスタットが開閉動作すると、それに応じて加熱器に電流が流れたり流れなかったりを繰り返すので、それに起因して第1のキャパシタ101の静電容量が影響を受け、手の接触検知に対し誤差が発生するという問題があった。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置を含む車室内の概略図である。図2は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置のブロック回路図である。図3は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置の他のブロック回路図である。図4は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置のさらに他のブロック回路図である。図5は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置のさらに他のブロック回路図である。図6は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置のさらに他のブロック回路図である。図7は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置のさらに他のブロック回路図である。図8は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置のさらに他のブロック回路図である。図9は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置のセンサ容量における経時特性図である。図10は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置の静電センサ出力における経時特性図である。図11は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置のさらに他のブロック回路図である。図12は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置のさらに他のブロック回路図である。図13は、本発明の実施の形態1におけるステアリングホイール把持検出装置のさらに他のブロック回路図である。
図2において、ステアリングホイール把持検出装置11は、電源13の正極と負極の間に電気的に接続される、インダクタンス素子19、ステアリングホイールに内蔵されるサーモスタット21、およびステアリングホイールに内蔵されるヒータ23からなる構成の直列回路を有する。さらに、ヒータ23におけるインダクタンス素子19が電気的に接続される側の端部、またはヒータ23の配線経路の中間と電気的に接続され、ステアリングホイールの把持を電場、または電磁場により検出する静電センサ回路25と、を有する。そして、インダクタンス素子19、サーモスタット21、およびヒータ23の間における任意の接続点27又は29と正極の配線経路との間、または、任意の接続点27又は29と負極の配線経路との間、または、インダクタンス素子19の両端、または、ヒータ23の両端、または、サーモスタット21の両端、のいずれかに電気的に接続される電圧検出回路31を設ける。
これにより、電圧検出回路31の出力に基づいてサーモスタット21の開閉を知ることができ、手41のステアリングホイール3への接触検出に対するサーモスタット21の影響を低減することが可能になる。
なお、電圧検出回路31が任意の接続点27又は29と正極の配線経路との間、または任意の接続点27又は29と負極の配線経路との間に電気的に接続されるという表記は、電圧検出回路31の一端が任意の接続点27又は29と電気的に接続されるとともに、電圧検出回路31の他端が正極の配線経路、または負極の配線経路と電気的に接続されることを表すものと以下定義する。
また、図2において、ステアリングホイール把持検出装置11は、電源13の正極と負極の間に電気的に接続される、インダクタンス素子19、ステアリングホイールに内蔵されるサーモスタット21、およびステアリングホイールに内蔵されるヒータ23からなる構成の直列回路を有する。さらに、ヒータ23におけるインダクタンス素子19が電気的に接続される側の端部、または、ヒータ23の配線経路の中間に電気的に接続され、ステアリングホイールの把持を電場、または電磁場により検出する静電センサ回路25と、を有する。そして、直列回路の配線経路に電気的に直列接続される電流検出回路33を設ける。
これにより、図2の回路構成において、電流検出回路33は、サーモスタット21が閉の時にヒータ23に電流が流れ、サーモスタット21が開のときには電流が流れない。従って、電流検出回路33の出力値は、サーモスタット21の開閉状態により異なるので、出力値を検出することで、サーモスタット21の開閉を知ることができ、手41のステアリングホイールへの接触検出に対するサーモスタット21の影響を低減することが可能になる。
以下、より具体的に本実施の形態1の構成、動作について説明する。
図1はステアリングホイール把持検出装置11が含まれる車室内の概略図である。フロントウインドウ2の近傍には、ステアリングホイール3が配置される。また、ステアリングホイール3の近傍には運転席6が配置され、運転席6の隣にはシフトレバー7を介して助手席8が配置される。
図2において、ステアリングホイール把持検出装置11は、ステアリングホイール3のリム部に内蔵される。このような構成に基づき、ステアリングホイール把持検出装置11は、手41がステアリングホイール3のリム部を把持しているか否かを検出し、出力するものである。以下、ステアリングホイール把持検出装置11の詳細について述べる。なお、「ステアリングホイール3のリム部を把持」という表記は、以下、簡単に「ステアリングホイール3の把持」と表記する。
図2において、電源13は後述するヒータ23を動作させる電流を流すためのものである。電源13は、例えば車両のバッテリで構成され、正極と負極を有する。正極は正極端子15に、負極は、グランド35を介して負極端子17に、それぞれ電気的に接続される。なお、正極端子15と負極端子17は、例えば電源13との間での電気的接続を行うためのコネクタ端子である。しかし、このような正極端子15と負極端子17の少なくとも一方を設けず、電源13の正極や負極における配線経路に下記直列回路を直接接続するようにしてもよい。
正極端子15と負極端子17の間には、正極端子15側から順に、インダクタンス素子19、サーモスタット21、およびヒータ23からなる構成の直列回路が電気的に接続される。インダクタンス素子19は交流的にインダクタンスを有する素子のことであり、ここではインダクタを用いた。サーモスタット21はヒータ23が過昇温しないように制御するためのもので、具体的な構成としては、ヒータ23の温度が伝達しやすいように、ヒータ23の近傍にサーモスタット21が配置される。ヒータ23の種類は特に限定されないが、本実施の形態1では不織布上にヒータ線を縫製で固定した構成のものを使用した。
サーモスタット21からヒータ23までの配線経路における接続点29には、センサ線37を介して、ステアリングホイール3の把持を電場、または電磁場により検出する静電センサ回路25が電気的に接続される。静電センサ回路25はセンサ線37により、ヒータ23における電場、または電磁場の、手41の接触による変化を検出して、外部回路に出力する機能を有する。本実施の形態1では、外部回路を車両側制御回路39とした。従って、車両側制御回路39は、静電センサ回路25の出力信号からステアリングホイール3への手41の接触を知ることができる。なお、車両側制御回路39は車両に搭載された様々な電装品の制御を司る構成を有するが、図2では、電装品の記載を省略している。
なお、ヒータ23への通電を運転者の意思によりオンオフするためのスイッチは、例えば電源13の正極から正極端子15までの配線経路、あるいは電源13の負極から負極端子17までの配線経路の少なくとも一方に、電気的に接続されるが、図2ではスイッチを省略している。以上で説明した構成において、本実施の形態1のステアリングホイール把持検出装置11には電源13、車両側制御回路39、および上記スイッチが含まれない範囲と定義する。
次に、図2のステアリングホイール把持検出装置11における概略動作について述べる。まず、基本的なステアリングホイール把持の検出動作についてであるが、手41がヒータ23を把持すると、把持していない場合に比べ、手41とヒータ23との間の静電容量により、ヒータ23全体の静電容量が変化する。静電センサ回路25は、センサ線37を介して、その変化を電場、または電磁場により検出する。そして、検出結果を車両側制御回路39へ出力する。このような動作により、車両側制御回路39は運転者がステアリングホイール3を把持しているか否かを判断することができる。
次に、サーモスタット21の開閉状態検出について述べる。図2より、電圧検出回路31は接続点27と負極端子17に接続されているので、電圧検出回路31はサーモスタット21とヒータ23の直列回路の両端に接続されることになる。この状態で電源13の電圧がステアリングホイール把持検出装置11に印加されると、サーモスタット21が閉のときは、グランド35の電位を基準とした、インダクタンス素子19とヒータ23の抵抗値により決まる分圧が電圧検出回路31に印加される。サーモスタット21が開のときは、直列回路に電流が流れないので、電圧検出回路31には電源13の電圧が印加される。従って、基本的にはサーモスタット21の開閉状態に応じて電圧検出回路31で検出される電圧が異なるので、電圧検出回路31の出力により、サーモスタット21の開閉を知ることができる。
しかし、運転者や車両側制御回路39が車両の大電力負荷を使用したりしなかったりすることで、電源13の電圧が変動する場合がある。この変動はサーモスタット21の開閉判断に影響を及ぼす可能性がある。従って、図2の構成では、電圧検出回路31の出力が静電センサ回路25に入力される構成であるので、静電センサ回路25は、電圧検出回路31で得られた電圧値に、そのときの電源13の電圧値(車両側制御回路39がモニタしており、その電圧値を車両側制御回路39から取り込む)と基準電圧(例えば12V)との比率を乗じて、基準電圧換算とすることで、負荷変動の影響を低減してサーモスタット21の開閉を求める。そして、静電センサ回路25は後述する補正によりサーモスタット21の開閉状態の影響を低減した、手41のヒータ23への接触有無の結果を車両側制御回路39へ出力することができる。なお、電源13が定電圧源である構成などの場合は、上記した負荷変動の影響を低減しなくてもよい。
ここで、電圧検出回路31の出力が静電センサ回路25に接続される構成について述べたが、これは、車両側制御回路39に接続する構成としてもよい。この場合は、車両側制御回路39で静電センサ回路25の出力に対するサーモスタット21の開閉状態の影響を低減する動作を行えばよい。
次に、図2の構成における変形構成について述べる。
まず、インダクタンス素子19、サーモスタット21、およびヒータ23からなる直列回路における、各構成要素の順序であるが、これは図2を含め6通りあるため、それぞれについて、図3から図7にて後述する。
次に、直列回路におけるセンサ線37の接続位置であるが、図2では接続点29に接続している。これを正極端子15に接続すると、静電センサ回路25の静電容量変化を検出するための交流信号が電源13を通してグランド35に流れて、ヒータ23へは交流信号が流れないため、この構成は不可である。また、接続点27にセンサ線37を接続した場合は、サーモスタット21が開のとき、交流信号がヒータ23へ流れないため、不可である。また、負極端子17にセンサ線37を接続すると、交流信号が直接グランドへ流れるため、不可である。従って、センサ線37は、図2に示すように接続点29に接続する。
あるいは、ヒータ23の配線経路の中間にセンサ線37を接続する構成であってもよい。この場合はセンサ線37の両側にヒータ23からなるインダクタンス素子が配されることと等価になるので、交流信号がグランドに流れたりヒータ23に流れなかったりすることがない。従って、ヒータ23の配線経路の中間にセンサ線37を接続する構成は以下に説明するどの構成にも適用できる。この構成の詳細については、図11で説明する。
次に、電圧検出回路31の接続について述べる。
まず、電圧検出回路31を各構成要素の両端に接続した場合について説明する。最初に、インダクタンス素子19の両端に接続した場合、サーモスタット21が開であれば、電源13からの電流が流れないので、インダクタンス素子19の両端には等電圧が印加される。従って、その両端に接続された電圧検出回路31の出力は0Vとなる。一方、サーモスタット21が閉であれば、電源13からの電流が流れるので、電源13の電圧と、インダクタンス素子19とヒータ23との分圧の差に相当する電圧が電圧検出回路31に印加される。従って、上記した差分に相当する電圧値が電圧検出回路31から出力される。ゆえに、インダクタンス素子19の両端に電圧検出回路31を接続した構成でも、サーモスタット21の開閉状態を知ることができる。
次に、サーモスタット21の両端に接続した場合、サーモスタット21が開であれば、サーモスタット21の電源13側には電源13の電圧が印加され、サーモスタット21のヒータ23側はグランド35に接続されることになるので、電圧検出回路31の出力は電源13の電圧値となる。一方、サーモスタット21が閉であれば、サーモスタット21の両端は等電位になるので、電圧検出回路31の出力は0Vとなる。ゆえに、サーモスタット21の両端に電圧検出回路31を接続した構成でも、サーモスタット21の開閉状態を知ることができる。
次に、ヒータ23の両端に接続した場合、サーモスタット21が開であれば、電源13からの電流が流れないので、ヒータ23の両端には等電圧が印加される。従って、その両端に接続された電圧検出回路31の出力は0Vとなる。一方、サーモスタット21が閉であれば、電源13からの電流が流れるので、インダクタンス素子19とヒータ23との分圧に相当する電圧が電圧検出回路31に印加される。ゆえに、ヒータ23の両端に電圧検出回路31を接続した構成でも、サーモスタット21の開閉状態を知ることができる。
次に、正極端子15と接続点29の間に電圧検出回路31を接続した場合、サーモスタット21が開であれば、電源13からの電流が流れないので、インダクタンス素子19の両端には電源13の電圧が印加され、接続点29はグランド35の電位となる。従って、正極端子15と接続点29に接続された電圧検出回路31の出力はグランド35の電位を基準とした電源13の電圧値となる。一方、サーモスタット21が閉であれば、電源13からの電流が流れるので、電源13の電圧と、インダクタンス素子19とヒータ23との分圧の差に相当する電圧が電圧検出回路31に印加される。従って、上記した差分に相当する電圧値が電圧検出回路31から出力される。ゆえに、正極端子15と接続点29の間に電圧検出回路31を接続した構成でも、サーモスタット21の開閉状態を知ることができる。
なお、接続点27と負極端子17の間に電圧検出回路31を接続した構成については上述したため、説明を省略する。
以上をまとめると、電圧検出回路31は、インダクタンス素子19、サーモスタット21、およびヒータ23の順序の直列回路における任意の接続点27又は29と正極の配線経路(例えば正極端子15)との間に電気的に接続される構成とすればよい。または、任意の接続点27又は29と負極の配線経路(例えば負極端子17)との間に電気的に接続される構成とすればよい。または、インダクタンス素子19の両端、または、ヒータ23の両端、または、サーモスタット21の両端、のいずれかに電気的に接続される構成とすればよい。
次に、直列回路における各構成要素が、正極端子15から負極端子17に向かって、インダクタンス素子19、ヒータ23、およびサーモスタット21の順に接続される構成について述べる。
まず、センサ線37の接続位置であるが、図3に示すように接続点27に接続する構成であれば、静電容量変化を検出するために静電センサ回路25から出力される交流信号は、インダクタンス素子19とヒータ23のインダクタンスにより、グランド35(電源13を経由する配線系統も含む)に流れることはない。従って、接続点27にセンサ線37を接続する構成は、把持検出が可能となる。一方、接続点29にセンサ線37を接続した場合、サーモスタット21が閉になると、グランド35に直結されるので、交流信号がグランド35へ流れてしまう。ゆえに、図3の構成では、センサ線37は接続点27と接続される構成とする必要がある。
次に、電圧検出回路31の接続についてであるが、図3の直列回路における図2の直列回路との違いは、ヒータ23とサーモスタット21を入れ替えたのみである。従って、各構成要素の両端に電圧検出回路31を接続する構成によりサーモスタット21の開閉を判断することは図2で説明したものと同様に可能である。また、電圧検出回路31を正極端子15と接続点29との間に接続した場合、サーモスタット21が開であれば電源13から電流が流れないので電圧検出回路31の両端が等電位となり、電圧検出回路31は0Vを出力する。サーモスタット21が閉であれば、接続点29がグランド35に接続されるので、電圧検出回路31の両端にはグランド35の電位を基準とした電源13の電圧が印加され、電圧検出回路31はその電圧値を出力する。ゆえに、サーモスタット21の開閉時の電圧検出回路31が出力する電圧値が異なるため、サーモスタット21の開閉を判断できる。一方、図3に示すように、電圧検出回路31が接続点27と負極端子17との間に電気的に接続される構成の場合、サーモスタット21が開であれば、電圧検出回路31の両端にはグランド35の電位を基準とした電源13の電圧が印加され、電圧検出回路31はその電圧値を出力する。サーモスタット21が閉であれば、電圧検出回路31の両端には、インダクタンス素子19とヒータ23の抵抗値に応じた分圧が印加され、電圧検出回路31は分圧に応じた電圧値を出力する。従って、サーモスタット21の開閉時の電圧検出回路31が出力する電圧値が異なるため、サーモスタット21の開閉を判断できる。
これらのことから、電圧検出回路31は、インダクタンス素子19、ヒータ23、およびサーモスタット21の順序の直列回路における任意の接続点27又は29と正極の配線経路(例えば正極端子15)との間に電気的に接続される構成とすればよい。または、任意の接続点27又は29と負極の配線経路(例えば負極端子17)との間に電気的に接続される構成とすればよい。または、インダクタンス素子19の両端、または、ヒータ23の両端、または、サーモスタット21の両端、のいずれかに電気的に接続される構成とすればよい。
次に、直列回路における各構成要素が、正極端子15から負極端子17に向かって、サーモスタット21、インダクタンス素子19、およびヒータ23の順に接続される構成について述べる。
まず、センサ線37の接続位置であるが、図4に示すように接続点29に接続する構成であれば、静電容量変化を検出するために静電センサ回路25から出力される交流信号は、インダクタンス素子19とヒータ23のインダクタンスにより、グランド35(電源13を経由する配線系統も含む)に流れることはない。従って、接続点29にセンサ線37を接続する構成は、把持検出が可能となる。一方、接続点27にセンサ線37を接続した場合、サーモスタット21が閉になると、電源13を介してグランド35に接続されるので、交流信号がグランド35へ流れてしまう。ゆえに、図4の構成では、センサ線37は接続点29と接続される構成とする必要がある。
次に、電圧検出回路31の接続についてであるが、図4の直列回路における図2の直列回路との違いは、インダクタンス素子19とサーモスタット21を入れ替えたのみである。従って、各構成要素の両端に電圧検出回路31を接続する構成によりサーモスタット21の開閉を判断することは図2で説明したものと同様に可能である。また、電圧検出回路31を正極端子15と接続点29との間に接続した場合、サーモスタット21が開であれば電源13から電流が流れないので電圧検出回路31の両端にはグランド35の電位を基準とした電源13の電圧が印加され、電圧検出回路31はその電圧値を出力する。サーモスタット21が閉であれば、電源13から電流が流れるので、接続点29の電圧はインダクタンス素子19とヒータ23の抵抗値で決まる分圧となる。従って、電圧検出回路31は正極端子15と接続点29の間に接続されているので、正極端子15の電圧(電源13の電圧)と接続点29の電圧との差分の電圧値が出力される。ゆえに、サーモスタット21の開閉時の電圧検出回路31が出力する電圧値が異なるため、サーモスタット21の開閉を判断できる。一方、図4に示すように、電圧検出回路31が接続点27と負極端子17との間に電気的に接続される構成の場合、サーモスタット21が開であれば、電圧検出回路31の両端はいずれもグランド35の電位となるため、0Vを出力する。サーモスタット21が閉であれば、電圧検出回路31の両端にはグランド35の電位を基準とした電源13の電圧が印加され、電圧検出回路31は、その電圧値を出力する。従って、サーモスタット21の開閉時の電圧検出回路31が出力する電圧値が異なるため、サーモスタット21の開閉を判断できる。
これらのことから、電圧検出回路31は、サーモスタット21、インダクタンス素子19、およびヒータ23の順序の直列回路における任意の接続点27又は29と正極の配線経路(例えば正極端子15)との間に接続される構成とすればよい。または、任意の接続点27又は29と負極の配線経路(例えば負極端子17)との間に接続される構成とすればよい。または、インダクタンス素子19の両端、または、ヒータ23の両端、または、サーモスタット21の両端、のいずれかに電気的に接続される構成とすればよい。
次に、直列回路における各構成要素が、正極端子15から負極端子17に向かって、サーモスタット21、ヒータ23、およびインダクタンス素子19の順に接続される構成について述べる。
まず、センサ線37の接続位置であるが、図5に示すように接続点29に接続する構成であれば、静電容量変化を検出するために静電センサ回路25から出力される交流信号は、インダクタンス素子19とヒータ23のインダクタンスにより、グランド35(電源13を経由する配線系統も含む)に流れることはない。これは、図4の構成と同じである。従って、接続点29にセンサ線37を接続する構成は、把持検出が可能となる。一方、接続点27にセンサ線37を接続した場合は、図4の構成と同様に、サーモスタット21が閉になると、電源13を介してグランド35に接続されるので、交流信号がグランド35へ流れてしまう。ゆえに、図5の構成においても、センサ線37は接続点29と接続される構成とする必要がある。
次に、電圧検出回路31の接続についてであるが、図5の直列回路における図4の直列回路との違いは、インダクタンス素子19とヒータ23を入れ替えたのみである。従って、各構成要素の両端に電圧検出回路31を接続する構成によりサーモスタット21の開閉を判断することは図4の構成と同様に可能である。また、電圧検出回路31を正極端子15と接続点29との間に接続した場合、サーモスタット21が開であれば電源13から電流が流れないので電圧検出回路31の両端にはグランド35の電位を基準とした電源13の電圧が印加され、電圧検出回路31はその電圧値を出力する。サーモスタット21が閉であれば、電源13から電流が流れるので、接続点29の電圧はインダクタンス素子19とヒータ23の抵抗値で決まる分圧となる。従って、電圧検出回路31は正極端子15と接続点29の間に接続されているので、正極端子15の電圧(電源13の電圧)と接続点29の電圧との差分の電圧値が出力される。ゆえに、サーモスタット21の開閉時の電圧検出回路31が出力する電圧値が異なるため、サーモスタット21の開閉を判断できる。一方、図5に示すように、電圧検出回路31が接続点27と負極端子17との間に電気的に接続される構成の場合、サーモスタット21が開であれば、電圧検出回路31の両端はいずれもグランド35の電位となるため、0Vを出力する。サーモスタット21が閉であれば、電圧検出回路31の両端にはグランド35の電位を基準とした電源13の電圧が印加され、電圧検出回路31は、その電圧値を出力する。従って、サーモスタット21の開閉時の電圧検出回路31が出力する電圧値が異なるため、サーモスタット21の開閉を判断できる。
これらのことから、電圧検出回路31は、サーモスタット21、ヒータ23、およびインダクタンス素子19の順序の直列回路における任意の接続点27又は29と正極の配線経路(例えば正極端子15)との間に接続される構成とすればよい。または、任意の接続点27又は29と負極の配線経路(例えば負極端子17)との間に接続される構成とすればよい。または、インダクタンス素子19の両端、または、ヒータ23の両端、または、サーモスタット21の両端、のいずれかに電気的に接続される構成とすればよい。
次に、直列回路における各構成要素が、正極端子15から負極端子17に向かって、ヒータ23、サーモスタット21、およびインダクタンス素子19の順に接続される構成について述べる。
まず、センサ線37の接続位置であるが、図6に示すように接続点27に接続する構成であれば、静電容量変化を検出するために静電センサ回路25から出力される交流信号は、サーモスタット21が閉の場合はインダクタンス素子19とヒータ23のインダクタンスにより、グランド35(電源13を経由する配線系統も含む)に流れることはない。また、サーモスタット21が開の場合は接続点27とグランド35との接続が断たれ、かつヒータ23がインダクタンスを有することから、交流信号がグランド35に流れることはない。従って、接続点27にセンサ線37を接続する構成は、把持検出が可能となる。一方、接続点29にセンサ線37を接続した場合、サーモスタット21が開になると、把持検出のための交流信号がヒータ23に流れなくなる。ゆえに、図6の構成では、センサ線37は接続点27と接続される構成とする必要がある。
次に、電圧検出回路31の接続についてであるが、図6の直列回路における図2の直列回路との違いは、インダクタンス素子19とヒータ23を入れ替えたのみである。従って、各構成要素の両端に電圧検出回路31を接続する構成によりサーモスタット21の開閉を判断することは図2で説明したものと同様に可能である。また、電圧検出回路31を正極端子15と接続点29との間に接続した場合、サーモスタット21が開であれば電源13から電流が流れないので接続点29はグランド35の電位となる。従って、正極端子15と接続点29に接続された電圧検出回路31の出力はグランド35の電位を基準とした電源13の電圧値となり、電圧検出回路31はその電圧値を出力する。サーモスタット21が閉であれば、電源13から電流が流れるので、接続点29の電圧はインダクタンス素子19とヒータ23の抵抗値で決まる分圧となる。従って、電圧検出回路31は正極端子15と接続点29の間に接続されているので、正極端子15の電圧(電源13の電圧)と接続点29の電圧との差分の電圧値が出力される。ゆえに、サーモスタット21の開閉時の電圧検出回路31が出力する電圧値が異なるため、サーモスタット21の開閉を判断できる。一方、図6に示すように、電圧検出回路31が接続点27と負極端子17との間に電気的に接続される構成の場合、サーモスタット21が閉であれば、直列回路に電流が流れるので、接続点27の電圧は、ヒータ23とインダクタンス素子19の抵抗値で決まる分圧となる。従って、電圧検出回路31の両端はグランド35の電位を基準とした分圧が印加されるので、電圧検出回路31は、この印加された電圧を電圧値として出力する。サーモスタット21が開であれば、電圧検出回路31の両端にはグランド35の電位を基準とした電源13の電圧が印加され、電圧検出回路31は、その電圧値を出力する。従って、サーモスタット21の開閉時の電圧検出回路31が出力する電圧値が異なるため、サーモスタット21の開閉を判断できる。
これらのことから、電圧検出回路31は、ヒータ23、サーモスタット21、およびインダクタンス素子19の順序の直列回路における任意の接続点27又は29と正極の配線経路(例えば正極端子15)との間に接続される構成とすればよい。または、任意の接続点27又は29と負極の配線経路(例えば負極端子17)との間に接続される構成とすればよい。または、インダクタンス素子19の両端、または、ヒータ23の両端、または、サーモスタット21の両端、のいずれかに電気的に接続される構成とすればよい。
次に、直列回路における各構成要素が、正極端子15から負極端子17に向かって、ヒータ23、インダクタンス素子19、およびサーモスタット21の順に接続される構成について述べる。
まず、センサ線37の接続位置であるが、図7に示すように接続点27に接続する構成であれば、静電容量変化を検出するために静電センサ回路25から出力される交流信号は、インダクタンス素子19とヒータ23のインダクタンスにより、グランド35(電源13を経由する配線系統も含む)に流れることはない。従って、接続点27にセンサ線37を接続する構成は、把持検出が可能となる。一方、接続点29にセンサ線37を接続した場合、サーモスタット21が閉になると、グランド35に直結されるので、交流信号がグランド35へ流れてしまう。ゆえに、図7の構成では、図3の構成と同様に、センサ線37は接続点27と接続される構成とする必要がある。
次に、電圧検出回路31の接続についてであるが、図7の直列回路における図3の直列回路との違いは、ヒータ23とインダクタンス素子19を入れ替えたのみである。従って、各構成要素の両端に電圧検出回路31を接続する構成によりサーモスタット21の開閉を判断することは図3で説明したものと同様に可能である。また、電圧検出回路31を正極端子15と接続点29との間に接続した場合、サーモスタット21が開であれば電源13から電流が流れないので電圧検出回路31の両端が等電位となり、電圧検出回路31は0Vを出力する。サーモスタット21が閉であれば、接続点29がグランド35に接続されるので、電圧検出回路31の両端にはグランド35の電位を基準とした電源13の電圧が印加され、電圧検出回路31はその電圧値を出力する。ゆえに、サーモスタット21の開閉時の電圧検出回路31が出力する電圧値が異なるため、サーモスタット21の開閉を判断できる。一方、図7に示すように、電圧検出回路31が接続点27と負極端子17との間に電気的に接続される構成の場合、サーモスタット21が開であれば、電圧検出回路31の両端にはグランド35の電位を基準とした電源13の電圧が印加され、電圧検出回路31はその電圧値を出力する。サーモスタット21が閉であれば、電圧検出回路31の両端には、インダクタンス素子19とヒータ23の抵抗値に応じた分圧が印加され、電圧検出回路31は分圧に応じた電圧値を出力する。従って、サーモスタット21の開閉時の電圧検出回路31が出力する電圧値が異なるため、サーモスタット21の開閉を判断できる。
これらのことから、電圧検出回路31は、ヒータ23、インダクタンス素子19、およびサーモスタット21の順序の直列回路における任意の接続点27又は29と正極の配線経路(例えば正極端子15)との間に接続される構成とすればよい。または、任意の接続点27又は29と負極の配線経路(例えば負極端子17)との間に接続される構成とすればよい。または、インダクタンス素子19の両端、または、ヒータ23の両端、または、サーモスタット21の両端、のいずれかに電気的に接続される構成とすればよい。
以上、図2から図7において、ステアリングホイール把持検出装置11の基本的な構成における6種類の直列回路パターンと、それぞれに対するセンサ線37、および電圧検出回路31の接続位置について詳細を述べた。この接続位置をまとめると、次のようになる。
まず、静電センサ回路25と電気的に接続されるセンサ線37は、ヒータ23におけるインダクタンス素子19が電気的に接続される側の端部、または、ヒータ23の配線経路の中間に電気的に接続される。従って、センサ線37は直列回路の構成に応じて最適な接続部分が存在することになる。ここで、ヒータ23におけるインダクタンス素子19が電気的に接続される側の端部とは、例えば図2の構成なら接続点29のことである。図2の接続点27は、ヒータ23におけるインダクタンス素子19が電気的に接続される側に配されているが、ヒータ23と接続点27の間にサーモスタット21が接続されているため、接続点27はヒータ23の端部には相当しない。すなわち、ヒータ23の端部とは、ヒータ23の終端から何らかの回路構成要素に至るまでの配線経路上の任意の部分であると定義する。
次に、電圧検出回路31の接続位置については、図2から図7までに示した6種類の、どの直列回路パターンであっても、インダクタンス素子19、サーモスタット21、およびヒータ23の、3つの構成要素のいずれか1つの両端、あるいはこれら3つの構成要素のうちの任意の2つの直接接続された直列回路の両端であればよい。ゆえに、電圧検出回路31の接続位置は、センサ線37の接続位置に比べ自由度が高い。
以上までで、ステアリングホイール把持検出装置11の基本的な構成、動作について述べてきたが、次に、詳細な動作と他の構成について説明する。
図8に示すステアリングホイール把持検出装置11は、図2の構成と等価である。図2と異なる点は、電圧検出回路31の接続を、図2では接続点27と負極端子17の間にしていたものを、図8の構成では、図2における負極端子17への接続をヒータ23と負極端子17との間の配線径路上で行っていることである。このように、電圧検出回路31の接続は、接続点27や負極端子17に行う構成に限定されるものではなく、例えばヒータ23の構造上、上記したヒータ23と負極端子17との間の配線径路上で行うようにしてもよい。これは、接続点27の接続について、サーモスタット21からインダクタンス素子19までの配線系路上に行ってもよいし、センサ線37の接続を接続点29に接続する構成に限定せずサーモスタット21からヒータ23までの配線系路上に行ってもよい。なお、これらは、図2から図7までのどの構成にも適用される。また、以下に説明する他の構成についても適用される。次に、図8のステアリングホイール把持検出装置11におけるセンサ容量の経時特性図を図9に示す。なお、センサ容量とは、ヒータ23を通して静電センサ回路25が検出する容量値のことである。図9において、横軸は時刻を、縦軸はセンサ容量を、それぞれ示す。図9は、静電センサ回路25にとってサーモスタット21の開閉状態がわからず、検出誤差が大きい場合の経時特性図である。図9において、センサ容量はサーモスタット21が例えば開であった場合に第1センサ容量値C1であったものが、時刻t1でサーモスタット21が閉になった場合にセンサ容量が急激に大きくなり、第2センサ容量値C2に至る。このような急激な変化は、ヒータ23に手41が触れていない状態から触れた状態になったときのセンサ容量の変化に比べ大きい。ゆえに、サーモスタット21の開閉は検出誤差の原因となる。
図10は、ステアリングホイール把持検出装置11の静電センサ出力における経時特性図である。図10において、横軸は時刻を、縦軸は静電センサ出力を、それぞれ示す。なお、静電センサ出力とは、静電センサ回路25からの出力信号のことである。また、図10は、図9と同様に、静電センサ回路25にとってサーモスタット21の開閉状態がわからず、検出誤差が大きい場合の経時特性図である。図10において、静電センサ出力はサーモスタット21が例えば開であった場合に静電センサ出力値(以下、センサ値という)の平均値がA値であったものが、時刻t1でサーモスタット21が閉になった場合に静電センサ出力が急激に大きくなり、センサ値の平均値がB値に至る。なお、静電センサ出力が小周期で上下しているのは、ノイズによるためである。このように、図9のセンサ容量が時刻t1で急激に変化することに起因して、図10に示すように、静電センサ出力も時刻t1で急激に変化する。そして、静電センサ出力がこのように変化するため、手41がヒータ23に触れているか否かの検出誤差が大きいことがわかる。ゆえに、サーモスタット21の開閉状態を検出することが必要となる。
そこで、静電センサ回路25は、電圧検出回路31から出力される電圧値を使って、次のようにしてサーモスタット21の開閉を判断する。まず、スイッチがオンでサーモスタット21が閉であった場合、直列回路には電流が流れる。従って、ヒータ23の両端に電気的に接続される電圧検出回路31には、インダクタンス素子19とヒータ23との直流抵抗値で、電源13の電圧が分圧された電圧が実質的に印加される。この電圧値は静電センサ回路25に入力される。なお、上記したように、電圧検出回路31で検出された電圧値については、電源13の電圧変動の影響を受けるため、静電センサ回路25は車両側制御回路39から取得した電源13の電圧と既定の基準電圧の比率に基づいて、分圧された電圧を補正する。以下、電圧検出回路31から得られた電圧値は、このようにして補正される。
一方、サーモスタット21が開であった場合、直列回路にはほとんど電流が流れない。従って、電圧検出回路31には電源13の電圧値が印加される。電圧検出回路31は、この電圧値を静電センサ回路25へ出力する。
これらの結果に基づき、サーモスタット21の開閉により電圧検出回路31の出力が異なることから、静電センサ回路25はサーモスタット21の開閉状態を知ることができる。つまり、予めサーモスタット21の開閉それぞれの状態において、センサ値を測定し、センサ値の変化量(オフセット値)を求めて保持しておき、静電センサ回路25は、サーモスタット21の開閉による図10のような静電センサ出力の大きな変化に対しても、それに対応して予め求めて保持されたセンサ値の変化量(オフセット値)を、静電センサ回路25で検出したセンサ値に対し加減算して補正をすることでサーモスタット21の影響を低減することが可能となる。具体的には、図10の時刻t1以前においてサーモスタット21が開のときはセンサ値がA値であったものが、時刻t1でサーモスタット21が閉になると、静電センサ回路25は、その変化を電圧検出回路31の出力から検出し、予め保持されたオフセット値(B値−A値)をセンサ値から減算する。これにより、時刻t1以降で補正しない場合のセンサ値(B値)は、B値からオフセット値(B値−A値)を差し引かれるので、時刻t1以降もセンサ値はA値となる。その結果、サーモスタット21の開閉状態の影響が低減される。このように補正された静電センサ出力は、車両側制御回路39へ出力される。上記のような動作を行うために、静電センサ回路25は電圧検出回路31や車両側制御回路39とのインターフェース部を含む周辺回路と、補正を行うためのマイクロコンピュータを内蔵している。
なお、上記したオフセット値による補正動作については、マイクロコンピュータにより実現されているが、それに限定されるものではなく、アナログ回路のみで実現してもよい。
また、電源13の電圧変動の影響をさらに低減するために、オフセット値についても電源13の電圧値に応じて補正するようにしてもよい。
また、予め保持するオフセット値については、過去のサーモスタット21の開閉に伴うセンサ値の変化で発生したオフセット値の実測値に基づく値、具体的には記憶された過去複数回のオフセット値の実測値と今回のオフセット値の実測値を平均した値であっても良い。この場合、今回のオフセット値の実測値を求める際は、静電センサ回路25はサーモスタット21の開閉状態が変化する直前のセンサ値を出力し続ける。そして、静電センサ回路25は、過去複数回のオフセット値の実測値と今回得られたオフセット値の実測値とを平均することでオフセット値を求め、その後、得られたオフセット値を用いてセンサ値を補正する。これにより、経時的なオフセット値の変動を低減することが可能となる。
さらに、サーモスタット21が開から閉になる場合と、閉から開になる場合とでは、サーモスタット21の開閉動作におけるヒステリシスが存在するため、ヒータ23の温度が異なる。それに起因して、オフセット値も異なる場合があるので、その際は、静電センサ回路25は、サーモスタット21の開から閉の場合と、閉から開の場合の両方のオフセット値を予め保持しておき、サーモスタット21の動作状態に応じたオフセット値により補正するようにしてもよい。
ここで、本実施の形態1の他の構成について、図11を用いて説明する。図8の構成と異なる点は、まず、電圧検出回路31がヒータ23の両端に直接接続される。このような構成とすることで、電圧検出回路31は、より正確にヒータ23の両端電圧を検出することができるため、静電センサ回路25はサーモスタット21の開閉の影響を精度よく低減できる。
次に、図11の構成で図8の構成と異なる点は、静電センサ回路25がセンサ線37によりヒータ23の配線経路の中間と接続される点である。ここで、ヒータ23の配線経路の中間は、ヒータ23の配線経路の中央に限定されるものではない。このようにセンサ線37を接続しても、図8の構成と同様に静電センサ出力を得ることができる。これは、センサ線37のヒータ23との接続点の両側にはヒータ23を構成する配線経路により形成されるインダクタンス素子が存在するからである。なお、センサ線37をヒータ23のグランド35側末端から負極端子17までの配線経路に接続すると、手41の把持を計測するための交流信号がグランド35へ流れてしまい、ヒータ23での検出ができなくなるので、ヒータ23のグランド35側末端から負極端子17までの配線経路にはセンサ線37を接続しないようにする必要がある。
なお、図8、または、図11の構成において、電圧検出回路31は、図2から図7の構成で説明したように、インダクタンス素子19の両端に電気的に接続する構成としてもよい。この場合、サーモスタット21が閉の場合は、電圧検出回路31からは、電源13の電圧と、電源13の電圧をインダクタンス素子19とヒータ23との直列回路で分圧した電圧との差分の電圧値が出力される。サーモスタット21が開の場合は、電圧検出回路31は、電圧検出回路31の両端が等電圧となるため、0Vを出力する。
また、図11の構成において、図8の構成から2箇所の変更を行っているが、これらは、いずれか1箇所の変更だけを行う構成としてもよい。
次に、本実施の形態1のさらに他の構成について、図12を用いて説明する。
図12において、ステアリングホイール把持検出装置11は、電源13の正極と負極の間に電気的に接続される、インダクタンス素子19、ステアリングホイールに内蔵されるサーモスタット21、およびステアリングホイールに内蔵されるヒータ23からなる構成の直列回路を有する。さらに、ヒータ23におけるインダクタンス素子19が電気的に接続される側の端部、または、ヒータ23の配線経路の中間に電気的に接続され、ステアリングホイールの把持を電場、または電磁場により検出する静電センサ回路25と、を有する。そして、直列回路の配線経路に電気的に直列接続される電流検出回路33を設けた構成を有する。
これにより、サーモスタット21が開のときは電流が直列回路に流れないので、電流検出回路33の出力は誤差範囲内で略0Aとなり、サーモスタット21が閉のときは電流が直列回路に流れるので、電流検出回路33は電源13の電圧と、インダクタンス素子19の直流抵抗分とヒータ23の直流抵抗分により決まる電流値を出力する。従って、サーモスタット21の開閉により電流検出回路33の電流値が異なるので、サーモスタット21の開閉状態を知ることができる。
以下、図12の構成、動作の詳細について述べる。
まず、図8の構成と異なる点は、電圧検出回路31に替えて、電流検出回路33を設けた点である。電流検出回路33は、直列回路の配線経路内に電気的に接続される。図12では、電流検出回路33はインダクタンス素子19とサーモスタット21との間の配線経路に接続されている。また、電流検出回路33は、静電センサ回路25とも電気的に接続され、検出した電流値を静電センサ回路25に出力する。センサ線37の接続については、図2から図7と同様にして、直列回路における回路構成要素の順序によって最適な位置が決まる。
このような構成におけるサーモスタット21の開閉状態の検出について述べる。この際、スイッチはオンであるとする。まず、サーモスタット21が閉の場合は、電源13からの電流がヒータ23へ流れる。従って、電源13の電圧と、インダクタンス素子19の直流抵抗分とヒータ23の直流抵抗分により決まる電流値を電流検出回路33が検出する。そして、その電流値を静電センサ回路25へ出力する。
一方、サーモスタット21が開の場合は殆ど電流が流れないので、電流検出回路33は略0Aの電流値を出力する。
これらのことから、サーモスタット21の開閉状態が電流値からわかるので、静電センサ回路25はサーモスタット21の影響を低減することができる。
次に、図12に対して、本実施の形態1のさらに他の構成について、図13を用いて説明する。図12の構成と異なる点は、まず、電流検出回路33をヒータ23のグランド35側末端から負極端子17までの配線経路に設けたことである。これによってもサーモスタット21の開閉状態を知ることができる。これは、直列回路のうち、どこに電流検出回路33を設けても同じ電流値が得られることによる。従って、電圧検出回路31よりも回路内の配置自由度が大きいことがわかる。
次に、図12と異なる点は、センサ線37をヒータ23の配線経路の中間に接続した点である。この構成は図11と同じであり、得られる効果も同じであるため、詳細な説明を省略する。
また、図13の構成において、図12の構成から2箇所の変更を行っているが、これらは、いずれか1箇所の変更だけを行う構成としてもよい。
図12、および図13の構成における、サーモスタット21の開閉に対する補正については、電圧検出回路31の出力からサーモスタット21の開閉状態を検出する構成の場合と同様にすればよい。すなわち、電流検出回路33の出力は静電センサ回路25と電気的に接続されるので、静電センサ回路25は、電流検出回路33の出力からサーモスタット21の開閉状態を得ることができる。そして、静電センサ回路25はオフセット値を保持しているので、サーモスタット21の開閉状態に応じてセンサ値にオフセット値を加減算する。これにより、サーモスタット21のセンサ値への影響を低減できる。なお、オフセット値は、電源13の電圧値、およびヒータ23の温度の少なくとも一方に応じて補正するようにしてもよい。
以上の構成、動作により、電流検出回路33、または電圧検出回路31の出力から、サーモスタット21の開閉状態を検出でき、手41の接触検出に対するサーモスタット21の影響を低減することが可能になるステアリングホイール把持検出装置11を実現できる。
なお、図10では、静電センサ出力の基となる値がノイズの影響により短周期に変動しているため、その平均値を静電センサ出力としているが、これに限定されるものではなく、例えば所定期間(0.01秒など)における最大値、または、最小値を静電センサ出力としてもよい。
(実施の形態2)
図14は、本発明の実施の形態2におけるステアリングホイール把持検出装置のブロック回路図である。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
すなわち、本実施の形態2の特徴は、図14において、ヒータ23と負極端子17との間に電気的に接続される他のインダクタンス素子43を有する点である。
これにより、他のインダクタンス素子43のヒータ23側にセンサ線37を接続しても、手41の把持検出用の交流信号が、他のインダクタンス素子43の存在により、グランド35へ流れなくなる。従って、ヒータ23のグランド35側末端から他のインダクタンス素子43までの間の配線経路にセンサ線37を接続することができるので、センサ線37の配線自由度が増す。
以下、本実施の形態2の詳細について述べる。
図14において、ヒータ23における、インダクタンス素子19が接続される側と反対側の端部における接続点45と負極端子17との間には、他のインダクタンス素子43が電気的に接続される。ここで、他のインダクタンス素子43はインダクタンス素子19と同等の電気特性のものとしたが、それに限定されるものではなく、異なる電気特性のものを用いてもよい。
次に、静電センサ回路25のセンサ線37は、ヒータ23と他のインダクタンス素子43の間の配線経路(ここでは接続点45)へ電気的に接続される。なお、センサ線37は図8に示すように接続点29に接続してもよいし、図11に示すようにヒータ23の配線経路の中間に接続してもよい。
サーモスタット21の開閉に基づく電圧検出回路31の出力は次のようになる。まず、サーモスタット21が閉の場合、電圧検出回路31はヒータ23の両端電圧を検出することになる。これは、接続点27の電圧と接続点45の電圧の差分となる。これら接続点27、45の電圧は、インダクタンス素子19、ヒータ23、および他のインダクタンス素子43の抵抗値と電源13の電圧から得られる分圧である。従って、分圧に基づくヒータ23の両端電圧が電圧検出回路31から出力される。一方、サーモスタット21が開の場合は、接続点27の電圧が電源13の電圧に、接続点45の電圧がグランド35の電位に、それぞれなるので、電圧検出回路31から出力される電圧値はグランド35の電位を基準とした電源13の電圧である。従って、サーモスタット21の開閉時において、電圧値が異なるので、他のインダクタンス素子43を設けてもサーモスタット21の開閉を検出することは可能である。なお、電圧検出回路31の接続については、図2から図7で説明した構成を基本とし、各回路構成要素(インダクタンス素子19、サーモスタット21、ヒータ23、他のインダクタンス素子43)の両端、直列に直接接続される任意の2つの回路構成要素の両端、あるいは直列に直接接続される任意の3つの回路構成要素の両端のいずれかに接続すればよい。
このようなステアリングホイール把持検出装置11において、上記したように他のインダクタンス素子43を設けたことにより、センサ線37の配線自由度が増す。これにより、例えば図14に示すブロック図において、ヒータ23の末端、センサ線37、および電圧検出回路31の配線を1箇所にまとめ、他のインダクタンス素子43が実装された配線基板に接続することで、省スペース化することが可能となり、ステアリングホイール3に配線基板を内蔵することも可能となる。
以上の構成、動作により、手41の接触検出に対するサーモスタット21の影響を低減することが可能になるとともに、センサ線37の配線自由度が増すステアリングホイール把持検出装置11が実現できる。
(実施の形態3)
図15は、本発明の実施の形態3におけるステアリングホイール把持検出装置のブロック回路図である。図16は、本発明の実施の形態3におけるステアリングホイール把持検出装置の他のブロック回路図である。なお、本実施の形態3において、実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
すなわち、本実施の形態3の特徴は、図15において、回路的には図6の構成と等価だが、センサ線37を接続点27ではなく、できるだけヒータ23の近くに接続した点である。これ以外の構成は図8と同じである。このような構成とすることで、静電センサ回路25はヒータ23の静電容量の変化をより高精度に検出できる。なお、図15の構成は上記のように図6と等価であるので、図6の構成と同様にして、静電センサ回路25は、サーモスタット21の開閉状態を知ることができる。
なお、本実施の形態3においても、実施の形態2と同様な構成としてもよい。すなわち、ヒータ23と正極端子15との間に電気的に接続される他のインダクタンス素子43を有する。
具体的には、ヒータ23の電源13側の末端と、正極端子15との間に他のインダクタンス素子43を電気的に接続する。このように接続する理由は、本実施の形態3ではヒータ23が電源13の正極側と接続される構造のためである。そして、ヒータ23と他のインダクタンス素子43との間の配線経路にセンサ線37を接続してもよい。
このような構成とすることで、実施の形態2で述べたように配線自由度が上がるとともに、ヒータ23の末端とセンサ線37とを、他のインダクタンス素子43が実装された回路基板に接続することで、省スペース化が図れる。
また、本実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、電圧検出回路31に替わって電流検出回路33を用いる構成としてもよい。この具体例を図16に示す。図16は、図15の電圧検出回路31を外し、ヒータ23とサーモスタット21の間の配線経路に電流検出回路33を直列に挿入した例である。このような構成とすることで、サーモスタット21の開閉に応じて、ヒータ23に流れる電流が変化するので、その変化を電流検出回路33で検出することにより、静電センサ回路25がサーモスタット21の開閉を検出できる。
なお、電流検出回路33は実施の形態1で述べたように、直列回路のうち、どこに電流検出回路33を設けてもよいため、電圧検出回路31よりも回路内の配置自由度が大きい。
以上の構成、動作により、サーモスタット21の開閉状態を検出でき、手41の接触検出に対するサーモスタット21の影響を低減することが可能なステアリングホイール把持検出装置11を実現できる。
(実施の形態4)
図17は、本発明の実施の形態4におけるステアリングホイール把持検出装置のブロック回路図である。本実施の形態4において、実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
すなわち、本実施の形態4の特徴は、図17に示すように、電圧検出回路31と電流検出回路33を同時に有する点である。これにより、サーモスタット21の開閉状態を検出する精度を向上することができる。
以下、本実施の形態4の詳細について説明する。
本実施の形態4の構成は、図14の構成に対し、サーモスタット21とインダクタンス素子19の配線経路に直列に電流検出回路33を接続したものである。従って、図17に示すように、電圧検出回路31と電流検出回路33を同時に有する構成となる。これらの出力はいずれも静電センサ回路25に入力される構成となっているため、静電センサ回路25は電圧値と電流値の両方を得ることができる。
なお、電圧検出回路31と電流検出回路33の接続位置は、実施の形態1で述べたとおりである。具体的には、図17の構成の場合、電圧検出回路31は、実施の形態2で述べたように、各回路構成要素の両端、直列に直接接続される任意の2つの回路構成要素の両端、あるいは直列に直接接続される任意の3つの回路構成要素の両端のいずれかに接続すればよい。
電流検出回路33の接続位置は、実施の形態1で述べたように、正極端子15から負極端子17までのインダクタンス素子19、サーモスタット21、およびヒータ23からなる直列回路のどこでもよい。さらに、図17の場合は他のインダクタンス素子43を有するので、電流検出回路33の接続位置は、正極端子15から負極端子17までのインダクタンス素子19、サーモスタット21、ヒータ23、および他のインダクタンス素子43からなる直列回路のどこでもよい。
以上の構成、動作により、静電センサ回路25はサーモスタット21の開閉に伴う電圧値と電流値の両方を得ることができるので、高精度に、手41の接触検出に対するサーモスタット21の影響を低減することが可能になるステアリングホイール把持検出装置11を実現できる。
なお、本実施の形態4では、他のインダクタンス素子43を接続する構成としたが、これは、他のインダクタンス素子43がない、例えば図2から図7までの構成に、電流検出回路33を設けるようにしてもよい。この場合も本実施の形態4と同等の効果を得ることができる。
(実施の形態5)
図18は、本発明の実施の形態5におけるステアリングホイール把持検出装置のブロック回路図である。図19は、本発明の実施の形態5におけるステアリングホイール把持検出装置の他のブロック回路図である。図20は、本発明の実施の形態5におけるステアリングホイール把持検出装置のサーモスタット開閉判断のフローチャートである。本実施の形態5において、実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
すなわち、本実施の形態5の特徴は、インダクタンス素子19と並列にスイッチ47を電気的に接続するとともに、他のインダクタンス素子43に替えて他のスイッチ49を電気的に接続するようにした点である。さらに、ヒータ23近傍の温度検出部としてのサーミスタ51が配される。本実施の形態5では、サーミスタ51の温度出力は車両側制御回路39に入力される構成としているが、これは静電センサ回路25に入力されるようにしてもよい。また、本実施の形態5では、温度検出部としてサーミスタ51を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば熱電対など温度を検出できるものであればよい。このような構成により、サーミスタ51の温度出力に応じて、スイッチ47と他のスイッチ49の高速オンオフが可能となるので、サーモスタット21による温度調節よりも精度がよくなる。
以下、本実施の形態5の詳細について、図18により説明する。
まず、図18の構成は、図17の構成に対し、以下の点が異なる。すなわち、電流検出回路33とスイッチ47の直列回路をインダクタンス素子19の両端に接続するとともに、他のインダクタンス素子43に替えて他のスイッチ49を接続した。また、スイッチ47と他のスイッチ49のオンオフ制御信号は車両側制御回路39から出力される構成とした。さらに、車両側制御回路39と電気的に接続されるサーミスタ51をヒータ23の近傍に配した。従って、車両側制御回路39はヒータ23の近傍温度を知ることができる。上記以外は図17と同じ構成である。なお、スイッチ47と他のスイッチ49は外部からオンオフが制御できる構成のもの、例えばリレーや半導体スイッチが適用できる。ここでは、半導体スイッチ(電界効果トランジスタ)を用いた。これにより、車両側制御回路39はサーミスタ51の温度出力に基づいて、ヒータ23が所定温度になるようにスイッチ47と他のスイッチ49の少なくとも一方をオンオフ制御する。その結果、ヒータ23に流れる電流がオンオフ制御される。
スイッチ47と他のスイッチ49は上記した動作を行うことで、ヒータ23の温度調節を行うためのものであるので、運転者が手動でヒータ23のオンオフを操作するスイッチとは異なる。
次に、動作について説明する。本実施の形態5ではスイッチ47と他のスイッチ49が接続されている。これらのスイッチはサーミスタ51の温度出力に応じて、少なくとも一方がオンオフを繰り返すことで、ヒータ23の温度調節を行う。従って、サーモスタット21による温度調節に比べ、高精度化が図れる。なお、この温度調節は車両側制御回路39によって行われる。
なお、本実施の形態5の構成では、センサ線37がヒータ23と他のスイッチ49の配線経路に接続されている。従って、他のスイッチ49がオフの間は、手41の把持検出が可能であるが、他のスイッチ49がオンの間は、静電センサ回路25からの把持検出用交流信号がグランド35に流れてしまい、手41の把持検出ができない。従って、他のスイッチ49がオフの期間に静電センサ回路25が手41の把持検出を行うようにすればよい。
なお、他のスイッチ49を削除して、接続点45と負極端子17が直接接続される構成とする場合は、静電センサ回路25からの交流信号が常にグランド35に流れてしまうので、接続点45と負極端子17の間に他のインダクタンス素子43を接続するか、センサ線37を接続点29やヒータ23の配線経路の中間に接続すればよい。
また、図18において、スイッチ47を削除し、他のスイッチ49のみを有する構成、すなわち、ヒータ23における、インダクタンス素子19が接続される側と反対側の端部に電気的に接続される他のスイッチ49を有する構成としてもよい。この場合も他のスイッチ49がオンの期間は静電センサ回路25からの交流信号がグランド35に流れてしまうので、他のスイッチ49がオフの期間に静電センサ回路25が手41の把持検出を行うようにすればよい。あるいは、センサ線37を接続点29やヒータ23の配線経路の中間に接続すればよい。
また、本実施の形態5では、インダクタンス素子19と並列にスイッチ47を電気的に接続した構成としているが、これは、スイッチ47を削除して、他のインダクタンス素子43と並列に他のスイッチ49を電気的に接続する構成としてもよい。このような構成としても手41の把持検出が可能となる。従って、インダクタンス素子19と並列にスイッチ47を電気的に接続する構成と、他のインダクタンス素子43と並列に他のスイッチ49を電気的に接続する構成のいずれの構成としてもよい。
さらに、図19に示すように、インダクタンス素子19と並列にスイッチ47を電気的に接続した構成と、他のインダクタンス素子43と並列に他のスイッチ49を電気的に接続した構成を同時に有するようにしてもよい。この場合、図18の構成と比べ、他のスイッチ49がオフのときにも接続点45の電圧が定まるので、他のスイッチ49の状態にかかわらず電圧検出回路31が接続点27と接続点45との間の電圧を検出することができる。ゆえに、サーモスタット21の開閉状態の検出精度が高まる。
ここで、図18の構成におけるサーモスタット21の開閉検出は、スイッチ47と他のスイッチ49のオンオフ動作が含まれるため、図20のフローチャートに示すような動作を行う。なお、図20のフローチャートは静電センサ回路25内の、マイクロコンピュータにより図示しないメインルーチンから所定間隔(例えば0.1秒)ごとに実行されるサブルーチンである。
図20のサブルーチンが実行されると、まず静電センサ回路25は、ヒータ23がオンであるか否かを判断する(ステップ番号:S11)。このためにはスイッチ47がオン状態であるかを判断すればよい。なお、後述する電圧検出回路31による電圧検出のために、図20のサブルーチン実行の前には他のスイッチ49がオンのままになるように制御される。また、スイッチ47と他のスイッチ49はいずれも車両側制御回路39でオンオフが制御され、さらに、車両側制御回路39と静電センサ回路25はデータのやり取りがなされているので、静電センサ回路25が車両側制御回路39からスイッチ47と他のスイッチ49の状態を知ったり、あるいは静電センサ回路25が他のスイッチ49をオンにしたりするように車両側制御回路39へ指示することは容易である。
もし、ヒータ23がオンでなければ(S11のNo)、後述するS21へジャンプする。
一方、ヒータ23がオンであれば(S11のYes)、静電センサ回路25は、電流検出回路33の出力から、ヒータ23に流れる電流を測定する(S13)。そして、静電センサ回路25は、S13で測定した電流(測定電流)と閾値電流ITHとを比較する。ここで、閾値電流ITHとは、サーモスタット21が閉のときにヒータ23に流れる最小の電流値のことであり、あらかじめ求めて、静電センサ回路25の周辺回路に含まれるメモリに記憶してある。従って、測定電流が閾値電流ITH以下であれば、サーモスタット21は開であることがわかる。
S15において、測定電流が閾値電流ITHより大きければ(S15のYes)、サーモスタット21は閉であることがわかる。従って、静電センサ回路25はサーモスタット閉信号を車両側制御回路39へ出力する(S17)。
一方、測定電流が閾値電流ITH以下であれば(S15のNo)、サーモスタット21は開であることがわかる。従って、静電センサ回路25はサーモスタット開信号を車両側制御回路39へ出力する(S19)。
その後、S17、S19ともに、図20のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
なお、S11でYesの場合、ヒータ23がオンであることから、スイッチ47がオンである。また、上記したように、電圧検出回路31が電圧を測定できるように、他のスイッチ49をオンのままとしている。このような状態であれば、サーモスタット21の開閉にかかわらず、接続点27の電圧は電源13の電圧に、接続点45の電圧はグランド35の電位に、それぞれ固定される。従って、図18の構成において、ヒータ23がオンの場合は電圧検出回路31によるサーモスタット21の開閉を判断することはできない。ゆえに、図20のS11でYesの場合は電流検出回路33の出力からサーモスタット21の開閉状態を検出する。ここで、S11でNoであった場合、静電センサ回路25は電圧検出回路31により、ヒータ23の電圧を測定する(S21)。次に静電センサ回路25は、S21で測定した電圧(測定電圧)と閾値電圧VTHとを比較する(S23)。ここで、閾値電圧VTHについて説明する。S21の段階では、ヒータ23がオフである。従って、サーモスタット21の開閉状態に応じて測定電圧は次のように変化する。まず、サーモスタット21が閉であれば、上記したように他のスイッチ49もオンであるので、電圧検出回路31は、電源13の電圧をインダクタンス素子19とヒータ23とで抵抗分割した値を出力する。なお、上記したようにして、静電センサ回路25は、電源13の電圧変動に基づく分圧値を補正するが、図20のフローチャートでは補正動作の記載を省略している。この補正動作については、電圧検出回路31からの出力が得られるたびに、同様にして静電センサ回路25にて行われるが、以下の説明において、その記載を省略する。
一方、サーモスタット21が開の場合は、電圧検出回路31には電源13の電圧が印加される。従って、閾値電圧VTHはこれらの電圧の平均値としている。すなわち、測定電圧が閾値電圧VTHより大きければ、サーモスタット21は開であり、測定電圧が閾値電圧VTH以下であれば、サーモスタット21は閉であることがわかる。なお、閾値電圧VTHは平均値に限定されるものではなく、例えば抵抗分割した値付近としてもよいし、電源13の電圧付近としてもよい。
上記より、S23において、測定電圧が閾値電圧VTHより大きければ(S23のYes)、静電センサ回路25はサーモスタット開信号を車両側制御回路39へ出力する(S25)。一方、測定電圧が閾値電圧VTH以下であれば(S23のNo)、静電センサ回路25はサーモスタット閉信号を車両側制御回路39へ出力する(S27)。
その後、S25、S27ともに、図20のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
なお、ヒータ23がオフであれば(S11のNo)、ヒータ23に電流が流れないため、サーモスタット21の開閉にかかわらず電流検出回路33の出力は略0Aとなる。従って、S11でNoの場合は電圧検出回路31の出力によりサーモスタット21の開閉を検出する必要がある。
以上の構成、動作により、電流検出回路33、または電圧検出回路31の出力から、スイッチ47の状態がオン、オフのいずれの場合もサーモスタット21の開閉状態を検出でき、その影響を低減することが可能となる。
なお、本実施の形態5では、サーモスタット21の開閉状態を静電センサ回路25から車両側制御回路39へ出力するまでの構成について述べた。しかし、これは、静電センサ回路25内で、例えば次のように制御してもよい。サーモスタット21の開閉サイクルが短かったり、サーモスタット21の開閉におけるヒステリシスが小さかったりする場合、サーモスタット21が閉のときに、静電センサ回路25における手41の接触検出を停止する。このように制御することにより、ヒータ23がサーモスタット21によりオフになっている間だけ手41の接触検出を行うので、電源13の影響を除去することができ、静電センサ回路25における検出精度を高めることが可能となる。
また、本実施の形態5では、電流検出回路33をスイッチ47と直列に接続した状態で、インダクタンス素子19の両端に接続する構成としているが、それに限らず、図12、図13、図16、図17に示したように、正極端子15から負極端子17までの配線経路のどこかに直列に配する構成としてもよい。
また、本実施の形態5では、スイッチ47と電流検出回路33を別体構成としているが、これは一体構成としてもよい。これは、電流検出回路33を内蔵したスイッチング素子を用いることで実現できる。すなわち、本実施の形態5でスイッチング素子(半導体スイッチ)として用いている電界効果トランジスタにおいて、電界効果トランジスタがオンのときにドレインとソースの間に流れる電流を、ドレインとソース間の抵抗値から求めることができる。ゆえに、ドレインとソース間の電圧を求めることで、スイッチング素子に流れる電流、すなわち、ヒータ23に流れる電流を測定することができる。従って、電流検出回路33は、実質的には、ソースとドレイン間の電圧を測定する回路ということになる。
このような構成とすることで、電流検出回路33を別体にする構成に比べて小型化を図ることが可能で、サーモスタット21の開閉状態の検出ができるステアリングホイール把持検出装置11を実現することが可能となる。
以上に述べた図18、図19の構成においては、スイッチ47、または他のスイッチ49の少なくとも一方を有するとともに、サーミスタ51の温度出力に応じたヒータ23の温度調節を、スイッチ47、または他のスイッチ49の少なくとも一方のオンオフ制御により行っている。しかし、これは、ヒータ23の昇温特性や保温特性の誤差が少ない構成であれば、例えばサーミスタ51を削除し、経時的にオンオフ制御を行うようにしてもよい。
また、図2から図19までの構成においては、いずれも電源13からの電力をヒータ23へ供給するための、運転者が操作するスイッチ(図示せず)が設けられている。しかし、図2から図19までで説明したように、センサ線37は交流信号がグランド35へ流れない位置に接続しているので、スイッチのオンオフ状態にかかわらず、静電センサ回路25は、手41の把持を検出することができる。
また、スイッチ47と他のスイッチ49、および電流検出回路33を含まない図2から図8、図11、図14、図15に示す各構成については、電圧検出回路31のみでサーモスタット21の開閉状態を検出するが、このときの検出フローチャートは次のようになる。まず、スイッチ47と他のスイッチ49がないため、ヒータ23には常に電力が印加される。そのため、図20のS11は不要となり、ヒータ23の電圧を測定するS21以降の動作を行えばよい。
一方、スイッチ47と他のスイッチ49、および電圧検出回路31を含まない図12、図13、図16に示す各構成については、電流検出回路33のみでサーモスタット21の開閉状態を検出するが、このときの検出フローチャートは次のようになる。まず、スイッチ47と他のスイッチ49がないため、ヒータ23には常に電力が印加される。そのため、図20のS11は不要となり、ヒータ23の電流を測定するS13以降の動作を行えばよい。
また、スイッチ47と他のスイッチ49を含まない図17に示す構成については、電圧検出回路31と電流検出回路33とでサーモスタット21の開閉状態を検出するが、このときの検出フローチャートは次のようになる。まず、スイッチ47と他のスイッチ49がないため、ヒータ23には常に電力が印加される。そのため、図20のS11は不要となり、まず、ヒータ23の電流を測定するためにS13以降の動作を行う。そして、S17、またはS19の後に、S21以降の動作を行う。その結果、車両側制御回路39は、電流測定の結果に基づくサーモスタット21の開閉状態と、電圧測定の結果に基づくサーモスタット21の開閉状態の2種類の信号を得る。これに対し、車両側制御回路39は、両者が同じ結果であった場合は、その結果を採用し、両者が異なる結果であれば、例えばそれまでに得られた各開閉状態の結果の推移を参照して、より確からしい方の結果を採用する。確からしい方とは、サーモスタット21の開閉による電流、電圧の変化速度は、図20のフローチャートの実行間隔(0.1秒)より遥かに速いので、一方が開閉状態の変化を出力しているのに、もう一方が変化を出力していなければ、前者が確からしいことになる。従って、車両側制御回路39は、サーモスタット21の状態が変わったと判断する。ゆえに、車両側制御回路39はサーモスタット21の開閉状態を高精度に検出できる。
なお、上記した3例とも、静電センサ回路25におけるステアリングホイール3に手41が触れていない際の基準値の更新方法は同じであるので、その詳細は後述する。
以上をまとめると次のようになる。
まず、電圧検出回路31のみを有する場合は、電圧検出回路31の出力が静電センサ回路25と電気的に接続される構成を有し、静電センサ回路25は、電圧検出回路31の出力から得られるサーモスタット21の開閉状態に基づいて、以下に述べるようにして、静電センサ回路25におけるステアリングホイール3に手41が触れていない際の基準値を更新する。これにより、静電センサ回路25の出力におけるサーモスタット21の開閉の影響を低減することができる。
次に、電流検出回路33のみを有する場合は、電流検出回路33の出力が静電センサ回路25と電気的に接続される構成を有し、静電センサ回路25は、サーモスタット21の開閉状態に基づいて、以下に述べるようにして、静電センサ回路25におけるステアリングホイール3に手41が触れていない際の基準値を更新する。これによっても、静電センサ回路25の出力におけるサーモスタット21の開閉の影響を低減することができる。
次に、電圧検出回路31と電流検出回路33の両方を有する場合は、電圧検出回路31の出力、および、電流検出回路33の出力が静電センサ回路25と電気的に接続される構成を有する。静電センサ回路25は、電圧検出回路31の出力、および、電流検出回路33の出力から得られるサーモスタット21の開閉状態に基づいて、以下に述べるようにして、静電センサ回路25におけるステアリングホイール3に手41が触れていない際の基準値を更新する。これにより、電圧値、および電流値に基づくサーモスタット21の開閉状態が得られるので、静電センサ回路25の出力におけるサーモスタット21の開閉の影響を高精度に低減することができる。
ここで、サーモスタット21の開閉に基づく静電センサ回路25のセンサ値の補正について述べる。まず、本実施の形態5で述べた、いずれの構成においても、実施の形態1で述べたように、サーモスタット21の開閉状態に基づく、予め静電センサ回路25に保持されたオフセット値をセンサ値に対して、加減算する補正が挙げられる。
次に、静電センサ回路25におけるステアリングホイール3に手41が触れていない際の基準値を更新する補正内容の詳細については、実施の形態6において説明する。
また、本実施の形態5では、図20のフローチャートは静電センサ回路25で実行されるが、静電センサ回路25は車両側制御回路39と電気的に接続され、各種信号のやり取りが可能な構成としているので、車両側制御回路39により図20のフローチャートが実行されるようにしてもよい。さらに、静電センサ回路25が車両側制御回路39に内蔵される構成としてもよい。この場合は、省スペース化を図ることができる。
(実施の形態6)
図21は、本発明の実施の形態6におけるステアリングホイール把持検出装置の動作を示すフローチャートである。図22A、22Bは、本発明の実施の形態6におけるステアリングホイール把持検出装置の静電センサ出力の経時特性図で、図22Aは手の接触がない場合の経時特性図、図22Bは手の接触がある場合の経時特性図である。本実施の形態6の構成は、実施の形態5で説明した図18、図19、および、それらの変形構成と同じであるので、詳細な説明を省略する。すなわち、本実施の形態6の特徴は、
1)電圧検出回路31の出力が静電センサ回路25と電気的に接続される構成を有し、静電センサ回路25は、電圧検出回路31の出力から得られるサーモスタット21の開閉状態と、ステアリングホイール3の把持の有無に基づいて、
2)電流検出回路33の出力が静電センサ回路25と電気的に接続される構成を有し、静電センサ回路25は、電流検出回路33の出力から得られるサーモスタット21の開閉状態と、ステアリングホイール3の把持の有無に基づいて、
3)電圧検出回路31の出力、および、電流検出回路33の出力は静電センサ回路25と電気的に接続される構成を有し、静電センサ回路25は、電圧検出回路31の出力、および、電流検出回路33の出力から得られるサーモスタット21の開閉状態と、ステアリングホイール3の把持の有無に基づいて、
上記1)〜3)のいずれかについて、静電センサ回路25におけるステアリングホイール3に手41が触れていない際の基準値を更新するようにした点である。これにより、サーモスタット21の開閉状態の検出に加え、特に変化の大きいサーモスタット21による基準値への影響を低減し、手41の接触検出の高精度化を図ることが可能となる。
以下、本実施の形態6の詳細について説明する。
図21は、本実施の形態6における特徴となる動作を示すフローチャートである。なお、図21のフローチャートはマイクロコンピュータによりメインルーチンから所定期間(例えば0.1秒)ごとに実行されるサブルーチンである。
図21のサブルーチンが実行されると、静電センサ回路25は、サーモスタット21の開閉状態に変化があったか否かを判断する(S31)。なお、サーモスタット21の開閉状態の変化を判断するために、静電センサ回路25は、前回の図20のサブルーチンの実行結果をメモリに記憶するようにしている。従って、S31の段階では、静電センサ回路25は、前回に図20のサブルーチンを実行したときのサーモスタット21の開閉状態を知ることができる。ここで、開閉状態に変化がなければ(S31のNo)、サーモスタット21による静電センサ回路25への影響はないので、そのまま図21のサブルーチンを終了してメインルーチンへ戻る。
一方、サーモスタット21の開閉状態に変化があった場合(S31のYes)、次に静電センサ回路25は、前回、図21のサブルーチンを実行したときにヒータ23、すなわちステアリングホイール3への手41の接触があったか否かを判断する(S33)。なお、S33の段階で、静電センサ回路25は、今回の手41の接触の有無を静電センサ回路25の出力から取り込んでメモリに記憶するようにしている。もし、前回の実行時に手41の接触がなければ(S33のNo)、サーモスタット21の状態は変化したものの、手41による静電センサ出力はない状態となる。このような状態を図22Aに示す。図22Aにおいて、横軸は時刻、縦軸は静電センサ出力(静電センサ回路25の出力、センサ値)を示す。今、サーモスタット21の状態が変化しているので、S33のNoは、図22Aにおいて、時刻t1となる。すなわち、サーモスタット21の開閉状態が変化したため、静電センサ出力(センサ値)は時刻t1でA値からB値へ急激に大きくなる。この変化したセンサ値をセンサ値Bという。しかし、センサ値(静電センサ回路25からの出力値)は、ベース値(手41の接触が無いときのセンサ値で、基準値のこと)とほぼ同じ経時特性を示す。従って、ベース値を補正するには、サーモスタット21で大きく変化したセンサ値Bをそのままベース値とすればよい(S35)。こうして更新されたベース値に対して手41の接触の有無を判断することで、ベース値のサーモスタット21による変動を抑制することができる。その後、静電センサ回路25は図21のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
一方、前回の実行時に手41の接触があれば(S33のYes)、サーモスタット21の状態が変化し、かつ、手41によるセンサ出力もある状態となる。そのため、ベース値はセンサ値とシグナル値(手41の接触による感度)により補正される必要がある。この補正の状態を図22Bに示す。図22Bにおいて、横軸は時刻、縦軸は静電センサ出力を示す。今、サーモスタット21の状態が変化しているので、S33のYesは、図22Bにおいて、時刻t1となる。すなわち、サーモスタット21の開閉状態が変化したため、静電センサ出力(センサ値)は時刻t1でC値からD値へ急激に大きくなる。さらに、センサ値にはベース値に対し手41の接触によるシグナル値Yが加わる。これらにより変化したセンサ値をセンサ値Dという。ここで、センサ値D(静電センサ回路25からの出力値)は、ベース値(基準値)にシグナル値Yを加えたものとほぼ同じ経時特性を示す。従って、ベース値を補正するには、図22Bの矢印で示すように、サーモスタット21で大きく変化したセンサ値Dからシグナル値Yを差し引けばよい(S37)。こうして更新されたベース値に対して、手41の接触の有無を判断することで、ベース値のサーモスタット21による変動を抑制することができる。その後、静電センサ回路25は図21のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
以上の構成、動作により、サーモスタット21の開閉状態の検出に加え、特に変化の大きいサーモスタット21による基準値への影響を低減し、手41の接触検出の高精度化を図ることが可能なステアリングホイール把持検出装置11が実現できる。
(実施の形態7)
図23は、本発明の実施の形態7におけるステアリングホイール把持検出装置の動作を示すフローチャートである。図24A、24Bは、本発明の実施の形態7におけるステアリングホイール把持検出装置の静電センサ出力の経時特性図で、図24Aは手の接触がない場合の経時特性図、図24Bは手の接触がある場合の経時特性図である。本実施の形態7の構成は、実施の形態5で説明した図18、図19、および、それらの変形構成と同じであるので、詳細な説明を省略する。すなわち、本実施の形態7の特徴は、
1)電圧検出回路31の出力が静電センサ回路25と電気的に接続される構成を有し、静電センサ回路25は、電圧検出回路31の出力から得られるサーモスタット21の開閉状態に基づいて、
2)電流検出回路33の出力が静電センサ回路25と電気的に接続される構成を有し、静電センサ回路25は、電流検出回路33の出力から得られるサーモスタット21の開閉状態に基づいて、
3)電圧検出回路31の出力、および、電流検出回路33の出力は静電センサ回路25と電気的に接続される構成を有し、静電センサ回路25は、電圧検出回路31の出力、および、電流検出回路33の出力から得られるサーモスタット21の開閉状態に基づいて、
上記1)〜3)のいずれかについて、静電センサ回路25におけるステアリングホイール3に手41が触れていない際の基準値を更新するようにした点である。これにより、サーモスタット21の開閉状態の検出から、特に変化の大きいサーモスタット21による基準値への影響を低減し、手41の接触検出の高精度化を図ることが可能となる。
なお、実施の形態6の構成との相違点は次のとおりである。基準値を更新するために、実施の形態6ではサーモスタット21の開閉状態とステアリングホイール3の把持の有無に基づいているが、本実施の形態7では以下に説明するように、サーモスタット21の開閉状態のみに基づいている。
以下、本実施の形態7の詳細について説明する。
図23は、本実施の形態7における特徴となる動作を示すフローチャートである。なお、図23のフローチャートはメインルーチンから所定期間(例えば0.1秒)ごとに実行されるサブルーチンである。
図23のサブルーチンが実行されると、静電センサ回路25は、サーモスタット21の開閉状態に変化があったか否かを判断する(S39)。なお、この動作は図21のS31と同じである。開閉状態に変化がなければ(S39のNo)、サーモスタット21による静電センサ回路25への影響はないので、そのまま図23のサブルーチンを終了してメインルーチンへ戻る。
一方、サーモスタット21の開閉状態に変化があった場合(S39のYes)、次に静電センサ回路25は、サーモスタット21が開から閉になったか否かを判断する(S41)。もし、サーモスタット21が開から閉になっていれば(S41のYes)、補正後のベース値として、補正前のベース値に変動量Xを加える(S43)。この動作の詳細を図24A、Bにより説明する。なお、図24A、24Bとも横軸は時刻を、縦軸は静電センサ出力を、それぞれ示す。まず、図24Aは手41の接触がない場合である。ここで、サーモスタット21の開閉が行われる直前、直後を含む静電センサ出力は、メインルーチンにより定期的に監視されている。従って、補正前ベース値はサーモスタット21が開から閉に変化する直前のA値となる。なお、補正前ベース値は、静電センサ出力のノイズにおける変動幅の平均値としている。
時刻t1でサーモスタット21が開から閉になると、静電センサ出力は図24Aの太矢印で示した変動量Xだけ増大する。ゆえに、時刻t1以降の補正後ベース値は補正前ベース値に変動量Xを加えたB値となる。従って、S43のようにして補正を行っている。なお、変動量XはB値からA値を差し引くことで求められる。
次に、手41が触れていた場合の補正について、図24Bにより説明する。サーモスタット21の動作期間は例えば0.1秒以下と短いため、サーモスタット21が開から閉に変化する前後において、手41は接触し続けているものとする。この場合、時刻t1より前ではベース値にシグナル値Yを加えたC値がセンサ値となる。そして、サーモスタット21が開から閉に変化した時刻t1では、変化前のベース値に、図24Aで述べた変動量Xと、シグナル値Yとを加えた値がセンサ値となる。ここで、シグナル値Yはサーモスタット21の開閉前後で変化がないため、ベース値のみを考えると、補正前ベース値に変動量Xを加えることで、補正後ベース値になる。この動作はS43と同じである。
従って、本実施の形態7ではベース値を補正するに当たり、シグナル値Yを考慮しなくてよい。すなわち、手41の接触の有無にかかわらず、S43の動作でベース値を補正することができる。
S43の後、静電センサ回路25は図23のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
一方、サーモスタット21が開から閉でなければ(S41のNo)、すなわち、閉から開であれば、補正後ベース値は補正前ベース値から変動量Xを差し引く(S47)。これは、サーモスタット21が閉から開であれば、図24A、24Bとは逆に、静電センサ出力が時刻t1で急激に小さくなることによる。それ以外の補正の考え方は図24A、24Bの場合と同じである。
S47の後、静電センサ回路25は図23のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
なお、本実施の形態7では、サーモスタット21が開から閉になった場合に、補正前ベース値に変動量Xを加えるようにしているが、これは、ステアリングホイール3とヒータ23の構成によってはサーモスタット21が開から閉になった場合に、静電センサ出力の変動が逆方向になる場合がある。この際には、S41でYesのときにS47の動作を、S41でNoのときにS43の動作を、それぞれ行えばよい。
以上の構成、動作により、サーモスタット21の開閉状態の検出から、特に変化の大きいサーモスタット21による基準値への影響を低減し、手41の接触検出の高精度化を図ることが可能なステアリングホイール把持検出装置11が実現できる。