JP6404596B2 - 指モデル機構 - Google Patents

指モデル機構 Download PDF

Info

Publication number
JP6404596B2
JP6404596B2 JP2014106818A JP2014106818A JP6404596B2 JP 6404596 B2 JP6404596 B2 JP 6404596B2 JP 2014106818 A JP2014106818 A JP 2014106818A JP 2014106818 A JP2014106818 A JP 2014106818A JP 6404596 B2 JP6404596 B2 JP 6404596B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tendon
fingertip
joint
base
root
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014106818A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015221469A (ja
Inventor
山口 仁一
仁一 山口
智一 千代
智一 千代
Original Assignee
山口 仁一
仁一 山口
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 山口 仁一, 仁一 山口 filed Critical 山口 仁一
Priority to JP2014106818A priority Critical patent/JP6404596B2/ja
Publication of JP2015221469A publication Critical patent/JP2015221469A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6404596B2 publication Critical patent/JP6404596B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manipulator (AREA)

Description

本発明は、ロボットの指モデル機構に関するものである。
従来より、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的として、下記特許文献1に開示されているマニピュレータ、下記特許文献2に開示されている搬送ロボットの産業用ロボットハンド等の装置が提供されている。従来技術のマニュピレータ及び産業用ロボットハンド等の装置は、当該対象物を掴んだり吸引したりすることによって、対象物を持ち上げたり移動させたりしていた。
特開2004−223688号公報 特開2009−291853号公報
しかしながら、近年では、従来の産業用ロボットでは実現しえなかった柔軟且つ繊細な動作の実現化が要望されている。かかる動作とは、例えば、薄板状のもの(以下、この明細書において「薄板状のもの」に「フィルム状のもの」を含む)が重ねられているような場合にそれを一枚ずつ持ち上げるような動作等が相当する。
本願発明では、従来の産業用ロボットでは実現しえなかった柔軟且つ繊細な動作を実現可能とする機構を提供することを目的とする。
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の指モデル機構は、長手方向一端側に設けられた指先部と、前記指先部に対して第一関節部を介して接続された中節部と、前記中節部に対して第二関節部を介して接続された基節部と、前記基節部に対して第三関節部を介して接続された根元部と、を有し、前記第一関節部、前記第二関節部、及び前記第三関節部のそれぞれに、順に、第一回動軸、第二回動軸、及び第三回動軸が設けられており、前記第一回動軸の軸心位置、前記第二回動軸の軸心位置、及び第三回動軸の軸心位置を通る平面を境として一方側に背側領域が形成され、他方側に腹側領域が形成されており、前記指先部及び前記中節部を、前記第一回動軸を中心として反る背側方向、及び背側方向とは反対の腹側方向に回動させることが可能であり、前記中節部及び前記基節部を、前記第二回動軸を中心として前記腹側方向に回動させることが可能であり、前記基節部及び前記根元部を、前記第三回動軸を中心として前記背側方向及び前記腹側方向に回動させることが可能であり、前記指先部の前記背側領域に設けられた第一腱始端部に始端が固定され、前記第一腱始端部から前記中節部の前記背側領域を通り、前記基節部の前記背側領域であって長手方向中間部に設けられた中継部に至り、前記中継部から前記基節部の前記腹側領域であって前記中継部よりも前記根元部側にずれた位置に至るように設けられ、終端が自由端とされた第一腱状体と、前記腹側領域において前記指先部と前記中節部とを繋ぐように設けられ、前記中節部に対する前記指先部の前記背側方向への反りを一定の角度範囲に制限する指先部・中節部間可動角制限部材と、前記背側領域において前記基節部と前記根元部とを繋ぐように設けられ、前記基節部が前記根元部に対して所定位置から前記腹側領域へ回動することを抑制しうる付勢力を発揮可能な基節部・根元部間付勢手段とを有し、前記第一腱状体の牽引量を調整することにより前記指先部、前記中節部、前記基節部の姿勢を変化させることを可能としたことを特徴としている。
上記(1)の指モデル機構によれば、第一腱状体の牽引量を調整することにより、指先部、中節部、基節部の姿勢を様々に変化させることが可能となるとともに、第一関節部、第二関節部、及び第三関節部を協調して動作させることができ、指先部における対象物への力の付加度合を機構的に制御することができる。したがって、上記(1)の指モデル機構によれば、薄板状のものが重ねられているような場合であっても、このように重ねられた薄板状のものを、一枚ずつ引き寄せたり押し動かしたりしてスライドさせるといった、柔軟且つ繊細な動作を実現することが可能となる。
(2)上記(1)の指モデル機構は、前記第一回動軸によって前記第一関節部に軸支された第一プーリが設けられており、前記第二回動軸によって前記第二関節部に軸支された第二プーリが設けられており、前記第一プーリ及び前記第二プーリに前記第一腱状体が懸架されており、前記第一プーリ及び前記第二プーリが、前記第一腱状体から作用される径方向への押圧力を受けることにより縮径する弾性体により構成されることが好ましい。
上記(2)の指モデル機構によれば、第一腱状体の牽引状態を変化させることにより、第一プーリ及び第二プーリに対して径方向の内側に向けて作用する押圧力が所定以上になった場合、第一プーリ及び第二プーリの径を変化させることが可能となる。従って、第一腱状体を牽引することにより、第一プーリ及び第二プーリが縮径した場合、第一関節部及び第二関節部において発生するトルク(牽引力に対する)を小さくすることが可能となる。また逆に、第一プーリ及び第二プーリが縮径した後、第一腱状体の牽引力を緩めることにより、第一プーリ及び第二プーリを拡径させ、第一関節部及び第二関節部において発生するトルク(牽引力に対する)を大きくすることが可能となる。
(3)上記(1)又は(2)の指モデル機構は、前記中節部と前記基節部とが交差するように屈曲した中節部・基節部間屈曲状態において、前記第一腱状体を牽引することにより、前記指先部から前記基節部に至る部分が略直線状に延びた指先部・基節部間伸展状態となり、前記指先部・基節部間伸展状態において、前記指先部の前記腹側領域に部材を接触させることにより、前記中節部から前記基節部に至る部分が略直線状に延びた状態を維持しつつ、前記指先部が前記部材の表面に倣うように屈曲した指先部屈曲接触状態となり、前記指先部屈曲接触状態において前記第一腱状体を牽引することにより、前記部材をスライドさせうるものであることが好ましい。
上記(3)の指モデル機構とした場合、第一腱状体を牽引することにより、指モデル機構の状態を指先部・基節部間伸展状態、及び指先部屈曲接触状態に順次変化させ、板状の部材を引き寄せスライドさせることができるような、柔軟且つ繊細な動作を実現することが可能となる。特に、上記(3)の指モデル機構によれば、例えば、薄板、フィルム、又は布などが曲面上に重ねられている場合でも、一枚ずつスライドさせることが可能となる。
(4)上記(1)〜(3)の指モデル機構は、前記中節部の前記腹側領域に設けられた第二腱始端部から前記基節部の前記腹側領域に設けられた第三支持部を通り、前記基節部の前記腹側領域において第三支持部よりも前記根元部側に設けられた第二腱取出部に至る経路を通るように設けられているとともに、前記第二腱始端部において固定され、前記第三支持部及び第二腱取出部において非固定状態で支持された第二腱状体と、前記腹側領域において前記基節部と前記根元部とを繋ぐように設けられ、前記根元部に対する前記基節部の前記背側方向への反りを一定の角度範囲に制限する基節部・根元部間可動角制限部材と、前記背側領域において前記指先部と前記中節部とを繋ぐように設けられ、前記指先部が前記中節部に対して所定位置から前記腹側領域へ回動することを抑制しうる付勢力を発揮可能な指先部・中節部間付勢手段とを有し、前記指先部に対象物が接触している状態で前記第二腱状体の牽引量を調整することにより前記指先部、前記中節部、前記基節部の姿勢を変化させることを可能としたものであることが好ましい。
上記(4)の指モデル機構によれば、第二腱状体の牽引量を調整することにより、上記第一腱状体の牽引量を調整する場合とは異なる態様により指先部、前記中節部、前記基節部の姿勢を変化させ、板状であって多数積み重ねられた部材を一枚ずつスライドさせることができるような、柔軟且つ繊細な動作を実現することが可能となる。
(5)上記(4)の指モデル機構は、第二腱状体の牽引量を調整することにより、前記指先部から前記根元部に亘って略直線状に延びた指先部・根元部間伸展状態と、前記中節部及び前記基節部が前記指先部及び前記根元部に対して屈曲し、前記第二関節部が前記第一関節部及び前記第三関節部よりも背側領域側に持ち上がった状態となるように屈曲した指先部・根元部間屈曲状態と、の間で姿勢を変化させることを可能としたものであることが好ましい。
上記(5)の指モデル機構によれば、第二腱状体の牽引量を調整することにより、指モデル機構の状態を指先部・根元部間伸展状態と指先部・根元部間屈曲状態との間で変化させることが可能となる。これにより、板状の部材を引き寄せる動作、及び部材を押し戻す動作が実現可能となる。
(6)上記(4)又は(5)の指モデル機構は、第二腱状体の牽引量を調整することにより、中節部と前記基節部とが交差するように屈曲した中節部・基節部間屈曲状態と、前記中節部及び前記基節部が前記指先部及び前記根元部に対して屈曲し、前記第二関節部が前記第一関節部及び前記第三関節部よりも背側領域側に持ち上がった状態となるように屈曲した指先部・根元部間屈曲状態と、の間で姿勢を変化させることを可能としたものであることが好ましい。
上記(6)の指モデル機構によれば、第二腱状体の牽引量を調整することにより、指モデル機構の状態を中節部・基節部間屈曲状態と指先部・根元部間屈曲状との間で変化させることが可能となる。これにより、板状の部材を引き寄せる動作、及び部材を押し戻す動作が実現可能となる。
本願発明によれば、従来の産業用ロボットでは実現しえなかった柔軟且つ繊細な動作を実現可能とする機構を提供することができる。
(a)は本発明の一実施形態に係る指モデル機構を模式的に示した概念図、(b)は(a)に示す指モデル機構の第一関節部における関節角度と付勢手段と可動角制限部材による第一関節部に発生するトルクとの関係を示すグラフ、(c)は(a)に示す指モデル機構の第三関節部における関節角度と付勢手段と可動角制限部材による第三関節部に発生するトルクとの関係を示すグラフである。 図1に示す指モデル機構を背側から見た状態を示す平面図である。 (a)〜(d)は、第一腱状体を低速で牽引した際の動作態様を示す概念図であり、(e)は(d)に示す状態において指先部の角度と部材に作用する力との関係を示すグラフである。 (a)〜(d)は、第一腱状体を高速で牽引した際の動作態様を示す概念図であり、(e)は(d)に示す状態において指先部の角度と部材に作用する力との関係を示すグラフである。 (a)、(b)は、第二腱状体を牽引した際の第一の動作態様を示す概念図であり、(c)は(b)に示す状態において指先部の角度と部材に作用する力との関係を示すグラフである。 (a)、(b)、(c)は、第二腱状体を牽引した際の第二の動作態様を示す概念図であり、(d)は(c)に示す状態において指先部の角度と部材に作用する力との関係を示すグラフである。 第三腱状体を牽引した際の動作態様を示す概念図である。 図7(c)に示す状態からさらに第三腱状体を牽引した際の動作態様を示す概念図である。 第四腱状体を牽引した際の動作態様を示す概念図である。 第五腱状体を牽引した際の動作態様を示す概念図である。 図10(c)に示す状態からさらに第五腱状体を牽引した際の動作態様を示す概念図である。
本発明の一実施形態に係る指モデル機構10の構成及び動作について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図2は、主に、後に詳述する各腱状体60,62,64,66,68の配列関係を説明するためのものであり、必ずしも指モデル機構10を構成する全ての部材が図示されている訳ではない。また、図3〜図11についても、後に詳述する各腱状体60,62,64,66,68の動作を説明するためのものであり、必ずしも指モデル機構10を構成する全ての部材が図示されている訳ではない。
≪指モデル機構10の構成について≫
図1及び図2に示すように、指モデル機構10は、長手方向一端側から指先部20、中節部22、基節部24、及び根元部26に大別される部位を有し、各部位間を第一関節部30、第二関節部32、及び第三関節部34によって接続した構造とされている。
指先部20は、指モデル機構10の長手方向一端側に設けられた部位である。また、中節部22は、指先部20に対して第一関節部30を介して接続された部位である。基節部24は、中節部22に対して第二関節部32を介して接続された部位である。根元部26は、基節部24に対して第三関節部34を介して接続された部位である。指先部20、中節部22、基節部24、及び根元部26は、それぞれ、図2に示すように、所定の間隔で対向配置された2枚の板体を、後に詳述する第一回動軸30a、第二回動軸32a及び第三回動軸34a等によって、回動可能に連結することにより構成されている。
第一関節部30は、第一回動軸30aと、第一回動軸30aによって軸支された第一プーリ30bとを備えている。第一回動軸30aは、指先部20をなす2枚の板体、及び中節部22をなす2枚の板体に亘って、これらの板体に対して略垂直に装着されている。これにより、指先部20及び中節部22は、指モデル機構10の腹側方向、及び背側方向に向けて自由に回動させることが可能となっている(腹側方向及び背側方向については後述する)。
第二関節部32は、第二回動軸32aと、第二回動軸32aによって軸支された第二プーリ32bとを備えている。第二回動軸32aは、中節部22をなす2枚の板体、及び基節部24をなす2枚の板体に亘って、これらの板体に対して略垂直に装着されており、中節部22及び基節部24を腹側方向及び背側方向に向けて自由に回動させることができる。
第三関節部34は、第三回動軸34aによって構成されている。第三回動軸34aは、基節部24をなす2枚の板体、及び根元部26をなす2枚の板体に亘って、これらの板体に対して略垂直に装着された軸体である。基節部24及び根元部26は、第三回動軸34aを中心として、互いに腹側方向及び背側方向に向けて自由に回動することができる。
ここで、図1において二点鎖線で示すように、上述した第一回動軸30a、第二回動軸32a、及び第三回動軸34aを通り、指先部20、中節部22、基節部24、及び根元部26の側面をなす板体に対して垂直な平面を想定した場合に、この平面を境として一方側(図1(a)の紙面上側)の領域を背側領域40、他方側(図1(a)の紙面下側)の領域を腹側領域42と規定することができる。指モデル機構10は、背側領域40及び腹側領域42に、以下に詳述するような可動角制限部材50,52、付勢手段54,56、腱状体60,62,64,66,68等が設けられている。
具体的には、指モデル機構10の腹側領域42において、指先部20と中節部22との間には、指先部・中節部間可動角制限部材50(以下、「先・中間可動角制限部材50」とも称す)が設けられている(図2においては図示を省略)。先・中間可動角制限部材50は、中節部22に対する指先部20の背側方向への反りを一定の角度範囲に制限するためのものである。先・中間可動角制限部材50は、非線形で弾性を有し、自然長においては紐のように柔軟な性質を有する素材によって形成されている。
また、腹側領域42において、基節部24と根元部26との間には、基節部・根元部間可動角制限部材52(以下、「基・根間可動角制限部材52」とも称す)が設けられている(図2においては図示を省略)。基・根間可動角制限部材52は、根元部26に対する基節部24の背側方向への反りを一定の角度範囲に制限するためのものである。基・根間可動角制限部材52は、先・中間可動角制限部材50と同様に非線形で弾性を有し、自然長においては紐のように柔軟な性質を有する素材によって形成されている。
背側領域40には、基節部24と根元部26とを繋ぐように基節部・根元部間付勢手段54(以下、「基・根間付勢手段54」とも称す)が設けられている。基・根間付勢手段54は、バネによって構成されており、基節部24が図1の状態から腹側領域42へ回動する際の抵抗となるような付勢力を発揮する。なお、第三関節部34における関節角度の変化によって、基・根間可動角制限部材52及び基・根間付勢手段54は第三関節部34に、図1(c)のグラフに示したようなトルク(基・根間可動角制限部材52が正領域のトルク、基・根間付勢手段54が負領域のトルク)を発生させる。ここで、図1(a)に示したような状態となっている場合、第三関節部34の関節角度が0°である。また、トルクの正負は、いわゆる右ネジの法則に準じる。また、背側領域40には、指先部20と中節部22とを繋ぐように指先部・中節部間付勢手段56(以下、「先・中間付勢手段56」とも称す)が設けられている。先・中間付勢手段56は、基・根間付勢手段54と同様のバネによって構成されており、指先部20が図1の状態から腹側領域42へ回動する際の抵抗となるような付勢力を発揮する。なお、第一関節部30における関節角度の変化によって、先・中間可動角制限部材50及び先・中間付勢手段56は第一関節部30に、図1(b)のグラフに示したようなトルク(先・中間可動角制限部材50が正領域のトルク、先・中間付勢手段56が負領域のトルク)を発生させる。ここで、図1(a)に示したような状態となっている場合、第一関節部30の関節角度が0°である。また、トルクの正負は、いわゆる右ネジの法則に準じる。
中節部22及び基節部24の背側には、両者に亘ってストッパ44が設けられている。ストッパ44は、基節部24の背側に片持ち状に取り付けられている。ストッパ44は、基節部24よりも中節部22が背側に沿った状態にならないように、背側領域40に向けた中節部22の回動範囲を規制することができる。
指モデル機構10は、第一腱状体60、第二腱状体62、第三腱状体64、第四腱状体66、及び第五腱状体68の5種類の腱状体を備えている。各腱状体60,62,64,66,68はそれぞれ鋼製のワイヤーによって構成されており、各腱状体60,62,64,66,68の牽引量又は/及び牽引速度を調整することにより、指先部20、中節部22、基節部24、及び根元部26の姿勢及び動作を制御することができる。
第一腱状体60は、指先部20の背側領域40に設けられた第一腱始端部70に、始端部が固定されている。第一腱状体60は、第一腱始端部70を始端として、中節部22の背側領域40を通り、基節部24の背側領域40であって長手方向の略中間(長手方向中間部)に設けられた中継部80に至り、この中継部80から、基節部24の腹側領域42であって長手方向の中間よりも根元部26側にずれた位置に設けられた第一腱取出部71に至る経路を通るように設けられている。
なお、上述したとおり、第一腱状体60の始端部は、第一腱始端部70において固定されているが、前記経路の途中の一部分は中継部80及び第一腱取出部71において非固定状態で支持されている。また、第一腱状体60は、前記経路の途中の他部分において、中節部22に設けられた第一支持部81、及び基節部24の背側領域40に設けられた第二支持部82において非固定状態で支持されている。第一腱状体60の終端部は、第一腱取出部71から腹側に取り出され、自由端とされている。
ここで、第一腱状体60の途中の部分において「非固定状態で支持されている」とは、各関節部22,24における各支持部位(中継部80、第一腱取出部71、第一支持部81及び第二支持部82)の位置が変更されることなく、当該支持部位において第一腱状体60が当該第一腱状体60の長手方向(取付方向)に沿う方向に移動可能であるように支持されている状態を意味する。なお、以下、第二腱状体62、第三腱状体64、第四腱状体66及び第五腱状体68についても「非固定状態で支持されている」旨の記述があるが、各腱状体が非固定状態で支持される支持部位はそれぞれ異なるものの、各支持部位の位置が変更されることなく、当該支持部位において腱状体が当該第一腱状体の長手方向(取付方向)に沿う方向に移動可能であるように支持されているといった点で、第一腱状体60の途中の部分について説明した「非固定状態で支持されている」と同様の意味である。
また、第一腱状体60は、第一関節部30及び第二関節部32において、側面視で略扇状の第一プーリ30b及び第二プーリ32bに懸架されている。第一プーリ30b及び第二プーリ32bは、径方向の内側に所定以上の力で加圧されることによって径が可変する程度の硬さを有するゴムなどの弾性体により構成されている。そのため、第一腱状体60の終端部を牽引すると、第一プーリ30b及び第二プーリ32bに対して径方向の内側に向けた所定以上の押圧力が作用し、第一プーリ30b及び第二プーリ32bが縮径する。
第二腱状体62は、中節部22の腹側領域42に設けられた第二腱始端部72から基節部24の腹側領域42に設けられた第三支持部83を通り、基節部24の腹側領域42において第三支持部83よりも根元部26側に設けられた第二腱取出部73に至る経路を通るように設けられている。また、第二腱状体62の始端部は、第二腱始端部72において固定され、第二腱状体62の途中部分は、基節部24の腹側領域42に設けられた第三支持部83及び第二腱取出部73において非固定状態で支持されており、終端部は自由端とされている。
第三腱状体64は、指先部20の腹側領域42に設けられた第三腱始端部74において始端部が固定されているとともに、第三腱始端部74から中節部22の腹側領域42を通り、基節部24の腹側領域42に設けられた第三腱取出部75に至る経路を通るように設けられている。なお、上述した通り、第三腱状体64は、第三腱始端部74において始端部が固定されているが、途中部分は中節部22の腹側領域42に設けられた第四支持部84、上述した第三支持部83、及び第三腱取出部75において非固定状態で支持されており、終端部は腹側に取り出されて自由端とされている。
第四腱状体66は、基節部24の長手方向の略中間であって背側領域40に設けられた第四始端部76において始端部が固定されている。第四腱状体66は、終端部が背側に取り出され、自由端とされている。
第五腱状体68は、指先部20の背側領域40に設けられた第五腱始端部78において始端部が固定されている。本実施形態においては、第五腱始端部78が上述した第一腱始端部70と同一の部材により共用されている。また、第五腱状体68は、中節部22の背側領域40を通り、基節部24の背側領域40に設けられた第五腱取出部79に至る経路を通るように設けられている。なお、第五腱状体68の途中部分は、中節部22の背側領域40に設けられた第一支持部81、基節部24の背側領域40に設けられた第二支持部82、及び第五腱取出部79において非固定状態で支持されており、終端部は自由端とされている。
上述した第一腱取出部71、第二腱取出部73、第三腱取出部75、第五腱取出部79、中継部80、第一支持部81、第二支持部82、及び第三支持部83は、それぞれ、ワイヤーを挿通可能なスリーブ等によって構成することができる。
≪指モデル機構10の動作について≫
指モデル機構10は、上述した各腱状体60,62,64,66,68の牽引量、及び牽引速度を変化させることにより、指先部20、中節部22、基節部24、及び根元部26を屈曲状態あるいは伸展状態とし、人の指と同様に動作させることができる。以下、指モデル機構10の動作について、各腱状体60,62,64,66,68に分類して説明する。
(第一腱状体60を牽引することによる動作)
指モデル機構10は、第一腱状体60を、指モデル機構10自身の運動によって生じる慣性力の影響を受けない程度の低速で牽引した場合と、第一腱状体60を高速で牽引した場合とで異なる動作を実施させることができる。第一腱状体60を低速で牽引した場合は、図3に示すような動作を行う。具体的には、指モデル機構10は、図3(a)に示すように、中節部22と基節部24とが交差するように屈曲した中節部・基節部間屈曲状態(以下、「中・基間屈曲状態」とも称す)においては、第二関節部32における回動抵抗が他の関節部30,34よりも低い。そのため、第一腱状体60を低速で牽引すると、第二関節部32の第二回動軸32aを中心として指先部20及び中節部22が背側方向(背側)に向けて回動する。これにより、図3(b)に示すように、指先部20から根元部26に至る部分が略直線状に延びた指先部・根元部間伸展状態(以下、「先・根間伸展状態」とも称す)となる。
図3(b)に示す先・根間伸展状態においては、ストッパ44により中節部22が第二回動軸32aを中心として背側に回動できない状態にある。そのため、この状態においては、第二関節部32の回動抵抗は、他の関節部の回動抵抗よりも大きい。また、先・根間伸展状態においては、第一関節部30の回動抵抗よりも第三関節部34の回動抵抗の方が小さくなっている。そのため、先・根間伸展状態において第一腱状体60をさらに牽引すると、指先部20から基節部24に至る部分が略直線状に延びた状態を維持しつつ、第三関節部34において第三回動軸34aを中心として根元部26に対して腹側に回動する。これにより、図3(c)に示すように、指先部20から基節部24に至る部分が略直線状に延び、基節部24と根元部26との間において屈曲した指先部・基節部間伸展状態(以下、「先・基間伸展状態」とも称す)となる。
次に、先・基間伸展状態において第一腱状体60をさらに牽引しつつ、指先部20の腹側の部分を部材Wに接触させると、第三回動軸34aを中心とした回動(屈曲)が終了する。その後、図3(d)に示すように、中節部22から基節部24に至る部分が略直線状に延びた状態を維持しつつ、指先部20が部材Wの表面に倣うように屈曲した指先部屈曲接触状態となる。このとき、指先部20から部材Wの厚み方向に作用する力Fは、図3(e)(図3(b)の状態(先・根間伸展状態)の場合に作用する力Fを0とする)のグラフ中において、0から平坦部分の値まで変化する。次に、指先部屈曲接触状態においてさらに第一腱状体60を牽引すると、部材Wに牽引方向への力が作用する。このとき、指先部20から部材Wの厚み方向に作用する力は、図3(e)のグラフの平坦部分に示したように急上昇しない。従って、部材Wが薄板状のものを積み重ねたものである場合、当該薄板状が積み重ねられた積み重ね方向(厚み方向)に、過大な押圧力を作用させることなく適切な押圧力を発生させることができ、最も上方に位置している板体(フィルム状のものを含む)のみを指先部20によって引き寄せることが可能となる。ここで、図3(b)に示したような状態となっている場合、第一関節部30の関節角度は0°である。また、力Fの正方向は、部材Wを押圧する方向とする。また、図3(a)〜(d)においては、紙面下方向が重力の方向である。
一方、第一腱状体60を指モデル機構10自身の運動によって生じる慣性力の影響を受ける程度の速度(高速)で牽引した場合は、図4に示すような動作を行う。具体的には、指モデル機構10は、図4(a)に示すように、中節部22と基節部24とが交差するように屈曲した中・基間屈曲状態において第一腱状体60を高速で牽引すると、図4(b)に示すように、第二関節部32及び第三関節部34の双方において回動した状態となる。
具体的には、指先部20から中節部22に至る部分が第二回動軸32aを中心として背側に回動すると共に、基節部24が第三回動軸34aを中心として腹側に回動する。その後、第二関節部32において中節部22がストッパ44に当接するまでの間は、第一腱状体60の牽引に伴って第二回動軸32a及び第三回動軸34aを中心とする前述の回動運動が継続される。第二関節部32において中節部22がストッパ44に当接した後は、第三回動軸34aにおいてのみ回動運動が行われる。その後、図4(c)に示すように、指先部20から基節部24に至る部分が略直線状に延び、基節部24と根元部26との間において屈曲した指先部・基節部間伸展状態(以下、「先・基間伸展状態」とも称す)となる。
先・基間伸展状態になった後は、第一腱状体60の牽引速度が高速の場合についても、低速の場合と同様の動作を行う。すなわち、先・基間伸展状態において第一腱状体60を牽引し、指先部20の腹側の部分を部材Wに接触させると、図4(d)に示すように、指先部屈曲接触状態となる。このとき、指先部20から部材Wの厚み方向に作用する力Fは、図4(e)(先・根間伸展状態の場合に作用する力Fを0とする)のグラフ中において、0から平坦部分の値まで変化する。次に、指先部屈曲接触状態においてさらに第一腱状体60を牽引すると、部材W(板体)に牽引方向への力が作用するが、指先部20から部材Wの厚み方向に作用する力Fは、図4(e)のグラフの平坦部分に示したように急上昇しないので、最も上方に位置している板体(フィルム状のものを含む)のみを指先部20によって引き寄せることが可能となる。
(第二腱状体62を牽引することによる動作)
指モデル機構10は、第二腱状体62を牽引することにより、図5及び図6に示すような動作を行うことができる。先ず図5に示す動作を具体的に説明すると、指モデル機構10は、図5(a)に示すように、指先部20から根元部26に亘って略直線状に延びた先・根間伸展状態において第二腱状体62を牽引すると、図5(b)に示すように、中節部22及び基節部24が指先部20及び根元部26に対して屈曲し、第二関節部32が第一関節部30及び第三関節部34よりも背側に持ち上がった指先部・根元部間屈曲状態(以下、「第一先・根間屈曲状態」とも称す)となる。本動作において、基・根間付勢手段54及び先・中間付勢手段56をなすバネは撓んだ状態となり、バネ要素として機能しない。これにより、図5(b)の状態においては、基節部24と根元部26との間、及び指先部20と中節部22との間には、基・根間付勢手段54及び先・中間付勢手段56による付勢力は作用しない。
上述した第一先・根間屈曲状態において指先部20の腹側に部材Wを接触させ、第二腱状体62を牽引すると、部材Wに対して牽引力が作用し、根元部26側に引き寄せられる。一方、第一先・根間屈曲状態において第二腱状体62に作用する牽引力を緩めると、先・中間可動角制限部材50、及び基・根間可動角制限部材52によるバネ作用により、部材Wを根元部26から離れる方向に力が作用し、部材Wが押し戻される。また、第一先・根間屈曲状態において第二腱状体62の牽引力を変化させると、指先部20から部材Wに対して作用する垂直方向への力Fは、図5(c)に示すように変化する。従って、指モデル機構10は、第二腱状体62に作用する牽引力を調整することにより、部材Wを引き寄せる動作と、押し戻す動作の2種類の動作を行うことができる。ここで、図5(a)に示したような状態となっている場合、第一関節部30の関節角度は0°である。また、力Fの正方向が、部材Wを押圧する方向とする。
図6に示す動作は、同図(a)に示すように、第二腱状体62を牽引し、中節部22と基節部24とが交差するように屈曲した中・基間屈曲状態を基準とする動作である。中・基間屈曲状態においては、基・根間付勢手段54が第三関節部34の回動抵抗となる。従って、中・基間屈曲状態において第二腱状体62を牽引すると、先ず第二回動軸32aを中心とする回動運動が行われ、その後第三回動軸34aを中心とする回動運動が行われる。このような回動運動は、第三関節部34近傍に設けられた基・根間付勢手段54が背側領域40においてバネ要素として機能するような配置とされていること、及び第二関節部32における腱状体に作用する牽引力に対する回動抵抗が第三関節部34における腱状体に作用する牽引力に対する回動抵抗よりも小さいことに起因する。
図6(a)の中・基間屈曲状態から第二腱状体62の牽引を継続すると、先ず第二回動軸32aを中心とする回動運動が行われ、やがて図6(b)に示すように、指先部20の腹側に部材W(図6の横方向には動かないように拘束されている)が接触する。この状態において、第二腱状体62をさらに牽引すると、図6(c)に示すように、中節部22及び基節部24が指先部20及び根元部26に対して屈曲し、第二関節部32が第一関節部30及び第三関節部34よりも背側に持ち上がった指先部・根元部間屈曲状態(以下、「第二先・根間屈曲状態」とも称す)となる。この状態において、第二腱状体62を牽引すると、部材Wに対して牽引力が作用し、指先部20から部材Wに対して作用する垂直方向への力Fは、図6(d)に示すように変化する。そして、部材Wは、根元部26側(図6において上方側)に引き寄せられる。なお、第二先・根間屈曲状態において、第二腱状体62に作用する牽引力を緩めると、基・根間付勢手段54が指先部20から基節部24に至る部分を持ち上げてしまうように作用するとともに、基・根間可動角制限部材52がバネ要素として機能しないために、第二腱状体62の牽引力を緩めても部材Wを押し戻す(図6の下方側に押す)力は発生しない。
(第三腱状体64を牽引することによる動作)
指モデル機構10は、第三腱状体64を牽引することにより、図7に示すような動作を行うことができる。指モデル機構10は、図7(a)に示すように指先部20から根元部26に亘って略直線状に延びた先・根間伸展状態において、第一関節部30の腱状体に作用する牽引力に対する回動抵抗は、他の関節における腱状体に作用する牽引力に対する回動抵抗よりも小さくなっている。そのため、先・根間伸展状態において第三腱状体64を牽引すると、図7(b)に示すように、第一回動軸30aを中心として指先部20が腹側に回動する。
図7(b)に示すように指先部20が腹側に屈曲した状態になると、指モデル機構10における各関節部30,32,34の回動抵抗のなかで、第二関節部32の回動抵抗が最も小さくなる。そのため、さらに第三腱状体64をさらに牽引すると、図7(c)に示すように、中節部22は、第二関節部32の第二回動軸32aを中心として回動するとともに基節部24に対して屈曲した状態となる。図7(c)に示す状態になると、第一関節部30の回動抵抗が、第二関節部32及び第三関節部34の回動抵抗よりも小さくなる。そのため、図7(c)に示す状態からさらに第三腱状体64を牽引すると、図8(a)に示したように、指先部20は、第一関節部30の第一回動軸30aを中心としてさらに腹側へ回動するとともに屈曲した状態となる。
図8(a)に示した状態においては、第三関節部34の回動抵抗が、第一関節部30及び第二関節部32の回動抵抗よりも小さくなっている。そのため、この状態において第三腱状体64をさらに牽引すると、第一関節部30に代わって第三関節部34において回動運動が開始され、基節部24が第三回動軸34aを中心として回動する。これにより、図8(b)に示すように、指先部20から基節部24に至る部分が完全に屈曲した状態となる。従って、第三腱状体64を牽引することにより、指で物を握る動作と同様の動作を指モデル機構10に行わせることが可能となる。
(第四腱状体66を牽引することによる動作)
指モデル機構10は、第四腱状体66を牽引することにより、図9に示すような動作を行うことができる。具体的には、図9(a)に示す先・根間伸展状態において、指モデル機構10自身の運動によって生じる慣性力の影響を受けない程度の速度(低速)で第四腱状体66を牽引すると、図9(b)に示すように、指先部20から基節部24に至る部分が、略直線状に延びた状態を維持しつつ第三回動軸34aを中心として根元部26に対して背側に回動する。これにより、指先部20から基節部24に至る部分が、斜め上方に向けて略直線状に立ち上がった状態となる。
一方、図9(a)に示す先・根間伸展状態において、指モデル機構10自身の運動によって生じる慣性力の影響を受ける程度の速度(高速)で第四腱状体66を牽引すると、まず、基節部24が引っ張られ、図9(b)に示すように、第三関節部34の第三回動軸34aを中心として基節部24が根元部26に対して背側に屈曲した状態となる。その直後、図9(c)に示すように、第二関節部32の第二回動軸32aを中心として、中節部22が基節部24に対して腹側に屈曲した状態となる。
(第五腱状体68を牽引することによる動作)
指モデル機構10は、第五腱状体68を牽引することにより、図10及び図11に示すような動作を行うことができる。具体的には、以下の通りである。図10(a)に示すように、指モデル機構10が中節部22と基節部24とが略直角に屈曲し、指先部20が中節部22に対して腹側に屈曲した状態においては、基・根間付勢手段54による基節部24の背側への回動抑制作用と、先・中間付勢手段56をなすバネによる指先部20の背側への回動促進作用が働きやすくなっている。したがって、第一関節部30における腱状体に作用する牽引力に対する回動抵抗は、第二関節部32及び第三関節部34における腱状体に作用する牽引力に対する回動抵抗よりも小さくなっている。また、図10(a)に示す状態においては、基・根間付勢手段54をなすバネは、背側領域40に存在して平衡状態にあり、第三関節部34においてモーメントを発生させていない。そのため、図10(a)に示す状態において第五腱状体68を牽引すると、第一関節部30において第一回動軸30aを中心として指先部20が背側に回動し、図10(b)に示すように、指先部20から中節部22に至る部分が略直線状に延びた状態となる。
図10(b)に示す状態においては、図10(a)に示す状態と同様、基・根間付勢手段54をなすバネは、背側領域40に存在して平衡状態にあり、第三関節部34においてモーメントを発生させていない。また、図10(b)に示す状態においては、第三関節部34における回動抵抗が、第一関節部30及び第二関節部32における回動抵抗よりも小さくなっている。そのため、図10(b)に示す状態において第五腱状体68を牽引すると、指先部20の回動が停止し、図10(c)に示すように、第三関節部34の第三回動軸34aを中心として根元部26に対して基節部24が背側に回動し始める。その後、基・根間可動角制限部材52により基節部24の回動が制限されるまで第五腱状体68を牽引すると、基節部24の回動が停止し、第二関節部32の第二回動軸32aを中心として中節部22が基節部24に対して背側に回動し始める。
その後、図11(a)に示すように、ストッパ44によって制限されるまで中節部22が回動した状態になると、第一関節部30における腱状体に作用する牽引力に対する回動抵抗が、第二関節部32及び第三関節部34における腱状体に作用する牽引力に対する回動抵抗よりも小さくなる。従って、この状態において第五腱状体68を牽引すると、図11(b)に示すように、指先部20が背側に反るように回動する。先・中間可動角制限部材50によって指先部20の回動が制限された状態になると、指先部20の回動が停止する。
上述したように、指モデル機構10においては、第一腱状体60の牽引量を調整することにより、指先部20、中節部22、基節部24の姿勢を様々に変化させることが可能となり、指先部20における対象物への力の付加度合を機構的に制御することができる。したがって、指モデル機構10によれば、多数積み重ねられた薄板状の部材Wを一枚ずつスライドさせることができる。また、第二腱状体62の牽引量を調整することにより、板状の部材Wを引き寄せる動作、及び部材Wを押し戻す動作が実現可能となる。したがって、第一腱状体60及び第二腱状体62を適宜作動させ、部材Wをスライドさせた後、把持することにより部材Wを一枚ずつ持ち上げることにも応用できる。
また、指モデル機構10は、第一プーリ30b及び第二プーリ32bとして押圧力によって径の大きさが変化するものを採用し、第一腱状体60や第五腱状体68を懸架した構造である。これにより、第一腱状体60や第五腱状体68に作用する牽引力の大きさや第一関節部30及び第二関節部32において発生しているトルクを機構的に調整することができる。具体的には、第一プーリ30b及び第二プーリ32bが縮径した場合、第一関節部30及び第二関節部32において発生するトルク(牽引力に対する)を小さくすることが可能となり、第一腱状体60や第五腱状体68に作用している牽引力や接触している部材Wに対して作用している力Fに想定外の急激な上昇が発生して第一腱状体60や第五腱状体68の破断や部材Wの破壊を防ぐことができる。また逆に、第一プーリ30b及び第二プーリ32bが縮径した後、第一腱状体の牽引力が緩まった場合、第一プーリ30b及び第二プーリ32bが拡径することで、第一関節部30及び第二関節部32において発生するトルク(牽引力に対する)を大きくすることが可能となり、第一腱状体60や第五腱状体68に作用している牽引力や部材Wに対して作用している力Fの想定外の急激な低下を機構的に防ぐことができ、安定性の高い動作を実現できる。
なお、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。例えば、以下の変形例として説明するように、本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。
例えば、上述の指先部20のうち上述の部材Wと接触する接触部位については詳述していないが、指先部20と部材Wとの間の静止摩擦力を高めるべく、部材Wと接触する指先部20の接触部位に、例えばゴム、又は、温度によって粘着力が変わるシートを取り付けてもよい。
また、上述の各腱状体60,62,64,66,68は、いずれも鋼製のワイヤーによって構成されているが、各腱状体60,62,64,66,68を牽引するに十分な強度が保証できれば、必ずしも鋼製に限られず、ケプラー繊維製などであってもよい。また、必ずしもワイヤーに限られず、紐状のもの、ベルト、チェーンなどであってもよい。また、ワイヤーの直線部分においては、棒状の金属などの剛体に置き換えることとして、ワイヤーの伸びを最小限にして制御性を向上させることとしてもよい。
また、本実施形態においては、第一支持部81及び第二支持部82を用いて各ワイヤーを非固定状態で支持しているが、第一支持部81及び第二支持部82が設けられていない指モデル機構としても、本実施形態の指モデル機構10と同様の動作をすることができる。
10 指モデル機構
20 指先部
22 中節部
24 基端部
26 根元部
30 第一関節部
30b 第一プーリ
32 第二関節部
32b 第二プーリ
34 第三関節部
40 背側領域
42 腹側領域
50 指先部・中節部間可動角制限部材(先・中間可動角制限部材)
52 基節部・根元部間可動角制限部材(基・根間可動角制限部材)
54 基節部・根元部間付勢手段(基・根間付勢手段)
56 指先部・中節部間付勢手段(先・中間付勢手段)
60 第一腱状体
62 第二腱状体
80 中継部

Claims (6)

  1. 長手方向一端側に設けられた指先部と、
    前記指先部に対して第一関節部を介して接続された中節部と、
    前記中節部に対して第二関節部を介して接続された基節部と、
    前記基節部に対して第三関節部を介して接続された根元部と、を有し、
    前記第一関節部、前記第二関節部、及び前記第三関節部のそれぞれに、順に、第一回動軸、第二回動軸、及び第三回動軸が設けられており、
    前記第一回動軸の軸心位置、前記第二回動軸の軸心位置、及び第三回動軸の軸心位置を通る平面を境として一方側に背側領域が形成され、他方側に腹側領域が形成されており、
    前記指先部及び前記中節部を、前記第一回動軸を中心として反る背側方向、及び背側方向とは反対の腹側方向に回動させることが可能であり、
    前記中節部及び前記基節部を、前記第二回動軸を中心として前記腹側方向に回動させることが可能であり、
    前記基節部及び前記根元部を、前記第三回動軸を中心として前記背側方向及び前記腹側方向に回動させることが可能であり、
    前記指先部の前記背側領域に設けられた第一腱始端部に始端が固定され、前記第一腱始端部から前記中節部の前記背側領域を通り、前記基節部の前記背側領域であって長手方向中間部に設けられた中継部に至り、前記中継部から前記基節部の前記腹側領域であって前記中継部よりも前記根元部側にずれた位置に至るように設けられ、終端が自由端とされた第一腱状体と、
    前記腹側領域において前記指先部と前記中節部とを繋ぐように設けられ、前記中節部に対する前記指先部の前記背側方向への反りを一定の角度範囲に制限する指先部・中節部間可動角制限部材と、
    前記背側領域において前記基節部と前記根元部とを繋ぐように設けられ、前記基節部が前記根元部に対して所定位置から前記腹側領域へ回動することを抑制しうる付勢力を発揮可能な基節部・根元部間付勢手段とを有し、
    前記第一腱状体の牽引量を調整することにより前記指先部、前記中節部、前記基節部の姿勢を変化させることを可能とした
    ことを特徴とする指モデル機構。
  2. 前記第一回動軸によって前記第一関節部に軸支された第一プーリが設けられており、
    前記第二回動軸によって前記第二関節部に軸支された第二プーリが設けられており、
    前記第一プーリ及び前記第二プーリに前記第一腱状体が懸架されており、
    前記第一プーリ及び前記第二プーリが、前記第一腱状体から作用される径方向への押圧力を受けることにより縮径する弾性体により構成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の指モデル機構。
  3. 前記中節部と前記基節部とが交差するように屈曲した中節部・基節部間屈曲状態において、前記第一腱状体を牽引することにより、前記指先部から前記基節部に至る部分が略直線状に延びた指先部・基節部間伸展状態となり、
    前記指先部・基節部間伸展状態において、前記指先部の前記腹側領域に部材を接触させることにより、前記中節部から前記基節部に至る部分が略直線状に延びた状態を維持しつつ、前記指先部が前記部材の表面に倣うように屈曲した指先部屈曲接触状態となり、
    前記指先部屈曲接触状態において前記第一腱状体を牽引することにより、前記部材をスライドさせうる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の指モデル機構。
  4. 前記中節部の前記腹側領域に設けられた第二腱始端部から前記基節部の前記腹側領域に設けられた第三支持部を通り、前記基節部の前記腹側領域において第三支持部よりも前記根元部側に設けられた第二腱取出部に至る経路を通るように設けられているとともに、前記第二腱始端部において固定され、前記第三支持部及び第二腱取出部において非固定状態で支持された第二腱状体と、
    前記腹側領域において前記基節部と前記根元部とを繋ぐように設けられ、前記根元部に対する前記基節部の前記背側方向への反りを一定の角度範囲に制限する基節部・根元部間可動角制限部材と、
    前記背側領域において前記指先部と前記中節部とを繋ぐように設けられ、前記指先部が前記中節部に対して所定位置から前記腹側領域へ回動することを抑制しうる付勢力を発揮可能な指先部・中節部間付勢手段とを有し、
    前記指先部に対象物が接触している状態で前記第二腱状体の牽引量を調整することにより前記指先部、前記中節部、前記基節部の姿勢を変化させることを可能とした
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の指モデル機構。
  5. 第二腱状体の牽引量を調整することにより、
    前記指先部から前記根元部に亘って略直線状に延びた指先部・根元部間伸展状態と、
    前記中節部及び前記基節部が前記指先部及び前記根元部に対して屈曲し、前記第二関節部が前記第一関節部及び前記第三関節部よりも背側領域側に持ち上がった状態となるように屈曲した指先部・根元部間屈曲状態と、の間で姿勢を変化させることを可能とした
    ことを特徴とする請求項4に記載の指モデル機構。
  6. 第二腱状体の牽引量を調整することにより、
    中節部と前記基節部とが交差するように屈曲した中節部・基節部間屈曲状態と、
    前記中節部及び前記基節部が前記指先部及び前記根元部に対して屈曲し、前記第二関節部が前記第一関節部及び前記第三関節部よりも背側領域側に持ち上がった状態となるように屈曲した指先部・根元部間屈曲状態と、の間で姿勢を変化させることを可能とした
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の指モデル機構。
JP2014106818A 2014-05-23 2014-05-23 指モデル機構 Active JP6404596B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014106818A JP6404596B2 (ja) 2014-05-23 2014-05-23 指モデル機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014106818A JP6404596B2 (ja) 2014-05-23 2014-05-23 指モデル機構

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015221469A JP2015221469A (ja) 2015-12-10
JP6404596B2 true JP6404596B2 (ja) 2018-10-10

Family

ID=54784808

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014106818A Active JP6404596B2 (ja) 2014-05-23 2014-05-23 指モデル機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6404596B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6545768B2 (ja) 2017-10-02 2019-07-17 スキューズ株式会社 指機構、ロボットハンド及びロボットハンドの制御方法
JP6568183B2 (ja) * 2017-11-27 2019-08-28 ダブル技研株式会社 指先機構
JP6634430B2 (ja) 2017-11-27 2020-01-22 スキューズ株式会社 ロボットハンド及びロボットハンドの制御方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006123149A (ja) * 2004-11-01 2006-05-18 Sharp Corp 関節駆動機構およびロボットハンド
JP5105147B2 (ja) * 2006-08-28 2012-12-19 株式会社安川電機 ロボットおよび制御方法
JP2008178968A (ja) * 2006-12-25 2008-08-07 Yaskawa Electric Corp ロボットハンド
JP5921225B2 (ja) * 2011-07-20 2016-05-24 株式会社岩田鉄工所 多指ハンド装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015221469A (ja) 2015-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102067869B1 (ko) 휴머노이드 로봇에 제공되도록 제작된 손의 작동
KR101989949B1 (ko) 적응형 핑거로봇
CN104936749B (zh) 顺从欠促动抓紧器
US7221120B2 (en) Robot hand
JP2009166181A (ja) ロボットハンド
JP6404596B2 (ja) 指モデル機構
JP2016068192A (ja) ロボットハンド及びロボット
JP2015533669A5 (ja)
JP7114603B2 (ja) 把持装置
KR20110003488U (ko) 교육용 로봇의 그리퍼
JP2021502263A5 (ja)
CN110014443A (zh) 用于机器人的关节结构
Dollar et al. The SDM Hand: A highly adaptive compliant grasper for unstructured environments
JP7036486B2 (ja) 把持装置および把持方法
JP2006321018A (ja) ロボット装置
JP6373288B2 (ja) ハンド機構
JP2017164832A (ja) ロボットハンド、ロボットハンドの制御プログラム、およびロボット装置
JP6559180B2 (ja) ロボットハンド、ロボット装置、ロボットハンドの制御方法、制御プログラム、および記録媒体
JP7173699B2 (ja) ロック機構付きロボットハンド
Hsu et al. Robot finger with remote center of motion mechanism for covering joints with thick skin
WO2022230378A1 (ja) 把持機構およびエンドエフェクタ
KR102362574B1 (ko) 로봇손 및 로봇손의 손가락 기구
JP6829129B2 (ja) 柔軟シート展開装置
JP2019520993A (ja) 人間型ロボットに装備することを目的とする手
JP2016052700A (ja) 把持装置およびロボット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170512

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180312

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180327

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180521

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180904

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180913

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6404596

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250