JP6403603B2 - 回転式圧縮機及び冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、回転式圧縮機及び冷凍サイクル装置に関する。
従来、ガス冷媒等の作動流体を圧縮する回転式圧縮機としては、内部にシリンダ室を有するシリンダと、シリンダ室内で偏心回転するローラと、往復移動可能に設けられて先端部をローラの外周面に当接させることによりシリンダ室内を吸込室と圧縮室とに二分するブレードとを備えたものが知られている。
このような回転式圧縮機において、圧縮性能を維持するとともに耐久性を高めることにより回転式圧縮機としての信頼性を向上させるためには、ブレードとローラとの当接部の摩耗を抑えることが必要である。
ローラとブレードとの当接部の摩耗を抑えるようにした回転式圧縮機としては、ブレードの先端部に円柱体を回転可能に取付けたもの(下記特許文献1参照)や、ブレード先端部の曲率半径をブレードの幅より大きくしたもの(下記特許文献2参照)が開示されている。
特開平8−144975号公報 特開2005−140123号公報
しかしながら、特許文献1に開示された回転式圧縮機においては、円柱体の曲率半径が小さいため、ブレードとローラとの当接部におけるヘルツ応力が大きくなり、ブレードやローラが摩耗や破損を生じる場合がある。
また、特許文献2に開示された回転式圧縮機においては、ブレードとローラとの摺動部における摺接面を確保するためには、ブレード先端部の曲率半径をローラ外周面の曲率半径より大きくすることができず、ブレードとローラとの当接部におけるヘルツ応力を十分に低減させることができない。そのため、高差圧や高温などにより当接部の摺動状態が劣悪となる運転条件ではブレードやローラが摩耗や破損を生じやすくなり、回転式圧縮機の使用条件が制限されている。
本発明の実施形態の目的は、ブレードとローラとの当接部分に作用する応力を低減させ、ブレードやローラの摩耗や破損を防止して回転式圧縮機の信頼性を向上させることである。
実施形態の回転式圧縮機は、内部にシリンダ室を有するシリンダと、シリンダ室内で偏心回転するローラと、往復移動可能に設けられて先端部をローラの外周面に当接させることによりシリンダ室内を吸込室と圧縮室とに二分するブレードとを備える回転式圧縮機において、ブレードの先端部に、このブレードの高さ方向に沿って設けられ、ブレードの幅寸法より小さな内径寸法を有するとともにローラに対向する位置にこの内径寸法より小さな幅寸法の開口部を有する嵌合孔が形成され、この嵌合孔に、長尺状に形成されて開口部に臨む領域に平面状のローラ当接面を有する棒状体がその中心線回りに回動可能に嵌合され、棒状体の中心線回りの回動量を規制する回動量規制部を有することを特徴とする。
第1の実施形態における断面で示した回転式圧縮機を含む冷凍サイクル装置の構成図である。 図1における圧縮機構部の断面図である。 ブレードの構造を拡大して示す断面図である。 第2の実施形態におけるブレードの構造を拡大して示す断面図である。
(第1の実施形態)
第1の実施形態について、図1ないし図3に基づいて説明する。図1は冷凍サイクル装置1の全体構成を示しており、この冷凍サイクル装置1は、圧縮機本体2とアキュムレータ3とを有して作動流体であるガス冷媒を圧縮する回転式圧縮機4と、圧縮機本体2に接続されて圧縮機本体2から吐出された高圧・高温のガス冷媒を凝縮して液冷媒にする凝縮器5と、凝縮器5に接続されて液冷媒を減圧する膨張装置6と、膨張装置6とアキュムレータ3との間に接続されて膨張した液冷媒を蒸発させる蒸発器7とを有している。アキュムレータ3は、蒸発器7で蒸発したガス冷媒に含まれる液冷媒を分離する機能を有し、アキュムレータ3と圧縮機本体2とは、ガス冷媒のみが流れる吸込管8により接続されている。
圧縮機本体2は、円筒状に形成された密閉ケース9を有し、この密閉ケース9内に、電動機部10とこの電動機部10により駆動されてガス冷媒を圧縮する圧縮機構部11とが収容されている。これらの電動機部10と圧縮機構部11とは、電動機部10が上方に配置されて圧縮機構部11が下方に配置され、電動機部10と圧縮機構部11とは上下方向に延出してその軸心回りに回転する回転軸12により連結されている。密閉ケース9内の底部には潤滑油13が貯留されている。
電動機部10は、回転軸12に固定された回転子14と、密閉ケース9の内側に固定されて回転子14を囲む位置に配置された固定子15とを有している。回転子14には永久磁石(図示せず)が設けられ、固定子15にはコイル(図示せず)が巻かれている。この電動機部10では、コイルに通電することにより回転子14と回転軸12とが回転軸12の軸心回りに回転する。
圧縮機構部11は、図1及び図2に示すように、密閉ケース9の内側に固定されて上下方向の両端が開口されたシリンダ16を有している。このシリンダ16には、シリンダ16の上端側を閉塞する閉塞部材として機能する主軸受17と、シリンダ16の下端側を閉塞する閉塞部材として機能する副軸受18とが固定されている。シリンダ16の両端が主軸受17と副軸受18とで閉塞されることにより、シリンダ16内にはシリンダ室19が形成されている。
シリンダ室19には回転軸12が挿通され、回転軸12は主軸受17と副軸受18とにより軸心回りに回転可能に軸支されている。回転軸12におけるシリンダ室19内に位置する部分には偏心部20が形成され、この偏心部20にローラ21が嵌合されている。ローラ21は、回転軸12が軸心回りに回転することに伴いシリンダ室19内で偏心回転するようになっている。
また、シリンダ16にはブレード溝22が形成され、このブレード溝22には板形状に形成されたブレード23が往復移動可能に収容されている。ブレード溝22の奥部にはスプリング24が収容され、このスプリング24によりブレード23がローラ21側に向けて付勢され、ブレード23の先端部がローラ21の外周面に当接されている。
ブレード23の先端部がローラ21の外周面に当接することにより、シリンダ室19は、ガス冷媒を吸い込む吸込室25と、吸い込んだガス冷媒を圧縮する圧縮室26とに二分されている。アキュムレータ3から吸込室25へのガス冷媒の吸い込みは、吸込管8と、シリンダ16に形成された吸込通路27とを経由して行われるようになっている。
主軸受17には、圧縮室26で圧縮されたガス冷媒が吐出される吐出孔28が形成され、さらに、吐出孔28を開閉する吐出弁29が取付けられている。また、主軸受17には、吐出孔28と吐出弁29とを覆う吐出マフラ30が取付けられている。吐出マフラ30には、吐出孔28から吐出マフラ30内に吐出されたガス冷媒を密閉ケース9内に流出させる流出孔31が形成されている。
また、ブレード23には、嵌合孔32と給油通路33と給油溝34とが形成され、嵌合孔32には棒状体35が嵌合されている。
これらの嵌合孔32、給油通路33、給油溝34及び棒状体35について、図3に基づいて詳しく説明する。
嵌合孔32は、図3に示すように、ブレード23の先端部にブレード23の高さ方向(回転軸12の軸心方向)に沿って形成され、その形状は円形の一部を切り欠いた形状とされている。この嵌合孔32は、ブレード23の幅寸法“Wa”より小さな内径寸法“Wb”を有するとともに、ローラ21に対向する位置にこの内径寸法“Wb”より小さな幅寸法“Wc”を有する開口部36が形成されている。
棒状体35は、長尺状に形成されるとともに嵌合孔32に嵌合される柱状に形成され、嵌合孔32に嵌合された棒状体35はその中心線“A”回りに回動可能とされている。棒状体35の外周部の一部であってこの棒状体35を嵌合孔32に嵌合した場合に開口部36に臨む領域には、平面状のローラ当接面37が形成されている。このため、回転式圧縮機4の運転時には、開口部36に臨んで位置するローラ当接面37とローラ21の外周面とが当接されることになる。
また、棒状体35は、中心線“A”を通る径方向の最小寸法“Dmin”が、開口部36の幅寸法“Wc”より大きく形成されている。
給油通路33は、ブレード23の上面及び下面の両方または一方にその往復移動方向に沿って設けられた溝により形成されている。この給油通路33は、その幅寸法“Wd”が開口部36の幅寸法“Wc”より小さく形成されるとともに、開口部36の投影面内に位置している。密閉ケース9内の潤滑油13は、この給油通路33を通して嵌合孔32の内部に供給されるようになっている。なお、給油通路33は、ブレード23の往復移動方向に沿って形成された貫通孔で形成しても良い。
給油溝34は、嵌合孔32の内周部に棒状体35の中心線“A”方向(ブレード23の高さ方向)に延出して凹状に一対形成されている。これらの給油溝34は、棒状体35の中心線“A”から見てブレード23の往復移動方向から外れた位置に位置している。
このような構成において、この回転式圧縮機4においては、電動機部10に通電されることにより回転軸12が回転子14と共に回転軸12の軸心回りに回転し、この回転により圧縮機構部11が駆動され、シリンダ室19内でガス冷媒が圧縮される。
圧縮されたガス冷媒の圧力が設定圧に達すると、吐出弁29が開弁され、ガス冷媒が吐出孔28から吐出マフラ30内に吐出される。吐出マフラ30内に吐出されたガス冷媒は、流出孔31から密閉ケース9内に流出する。
密閉ケース9内に流出したガス冷媒は、凝縮器5、膨張装置6、蒸発器7の順に流れて回転式圧縮機4に戻り、凝縮器5での放熱及び蒸発器7での吸熱が行われることにより冷凍サイクルが実行される。
ここで、圧縮機構部11では、ブレード23の先端部とローラ21の外周面とが当接されている。そして、この当接部では、ブレード23の先端部に形成された嵌合孔32に棒状体35が中心線“A”回りに回動可能に嵌合され、棒状体35の平面状のローラ当接面37が嵌合孔32の開口部36に臨んで位置しているため、ローラ21の外周面とローラ当接面37とが当接する。このように、当接部における一方が平面状のローラ当接面37であるため、この当接部に作用する応力を低減させることができ、この当接部での摩耗や破損を防止して回転式圧縮機4としての信頼性を向上させることができる。
さらに、ローラ21の外周面と当接するローラ当接面37が平面状であることにより、回転軸12が吸込室25と圧縮室26との圧力差によりブレード23の移動方向と直交する方向に撓んでローラ21が傾いた場合でも、ローラ21の外周面とローラ当接面37との当接状態を線接触状態に維持することができる。これにより、ローラ21の外周面とローラ当接面37とが片当たり状態になることを防止することができ、ローラ21の外周面とローラ当接面37との当接部に作用する応力が上昇することを防止でき、ローラ21が傾いた場合における当接部での摩耗や破損を防止して回転式圧縮機4としての信頼性をより一層向上させることができる。
しかも、ローラ当接面37が平面状であるため、ローラ当接面37の製造や検査が容易となり、品質を確保しやすくなる。
また、開口部36の幅寸法“Wc”は嵌合孔32の内径寸法“Wb”より小さいので、棒状体35が嵌合孔32から脱落することを防止することができる。そして、ブレード23やローラ21の動きに係わらずローラ当接面37とローラ21の外周面との当接状態を維持することができ、高差圧や高温などにより当接部の摺動状態が劣悪となる運転条件であっても当接部の摩耗や破損を防止することができ、使用可能範囲が大きく信頼性の高い回転式圧縮機4を提供することができる。
さらに、棒状体35の中心線“A”を通る棒状体35の径方向の最小寸法“Dmin”は、開口部36の幅寸法“Wc”より大きく形成されている。このため、ブレード23のジャンピング等により、棒状体35がローラ21の外周面から離反した状態で中心線“A”回りに回動するという特殊な状態が発生した場合であっても、回動した棒状体35が嵌合孔32から脱落することを防止することができ、回転式圧縮機4の信頼性をより一層高めることができる。
また、ブレード23には給油通路33が形成されているため、密閉ケース9内の潤滑油が給油通路33を通して嵌合孔32の内部に供給される。これにより、棒状体35及び棒状体35と摺接する部分の潤滑性能を向上させることができ、棒状体35やローラ21の摩耗や破損をより一層防止することができる。
さらに、給油通路33の潤滑油により、ブレード23の上下方向の端面と主軸受17、副軸受18との間のシール性能を向上させることができ、これにより、回転式圧縮機4の圧縮性能を高めることかできる。
また、給油通路33は、その幅寸法“Wd”が開口部36の幅寸法“Wc”より小さく形成されるとともに開口部36の投影面内に位置している。このため、給油通路33を形成する場合に工具が開口部36の縁部に当たることを防止することができ、給油通路33の加工性を向上させることができる。
また、嵌合孔32に供給された潤滑油は、嵌合孔32の内周部に形成された給油溝34内に入り込む。ここで、この給油溝34の位置が、棒状体の中心線“A”方向に延出する方向であって、棒状体35の中心線“A”から見てブレード23の往復移動方向から外れた位置であるため、棒状体35の回動に伴って棒状体35の外周に油膜を良好に形成することができ、回転式圧縮機4の信頼性をより一層向上させることができる。
なお、本実施の形態では、給油溝34を嵌合孔32の内周部に形成した場合を例に挙げて説明したが、このような給油溝を棒状体35の外周部に形成してもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について、図4に基づいて説明する。なお、第1の実施形態で説明した構成と同じ構成には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
図4は、第2の実施形態におけるブレード23Aの構造を拡大して示す断面図である。ブレード23Aの基本的な構造は第1の実施形態で説明したブレード23と同じであり、異なる点は、棒状体35の中心線“A”回りの回動量を規制する回動量規制部41を有する点である。回動量規制部41は、棒状体35の外周部に形成された突起部42と、嵌合孔32の内周部に形成された逃げ部43とにより構成されている。
突起部42は、棒状体35の外周部に突出して形成され、ローラ当接面37が形成された側の反対側に位置している。
逃げ部43は、嵌合孔32の内周部であって突起部42を囲む位置に凹状に形成されている。
棒状体35が中心線“A”回りに回動し、その回動量が設定値に達した場合に突起部42の外周部分が逃げ部43の内周部分に当接し、棒状体35がそれ以上同じ方向に回動することを規制するようになっている。
このような構成において、ブレード23のジャンピング等により、棒状体35がローラ21の外周面から離反して中心線“A”回りに回動するという特殊な状態が発生した場合であっても、棒状体35の回動量が設定値に達した場合に突起部42の外周部分が逃げ部43の内周部分に当接し、棒状体35がそれ以上同じ方向に回動することが規制される。このため、棒状体35が大きく回動してローラ当接面37とローラ21の外周面とが当接しなくなるという事態の発生を防止することができ、ローラ当接面37とローラ21の外周面との当接状態を確実に維持して回転式圧縮機4の信頼性を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、棒状体35の外周部に形成した突起部42と嵌合孔32の内周部に形成した逃げ部43とからなる回動量規制部41を例に挙げて説明したが、嵌合孔32の内周部に突起部を形成し、棒状体35の外周部にその突起部を囲む凹状の逃げ部を形成してもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
4…回転式圧縮機、5…凝縮器、6…膨張装置、7…蒸発器、16…シリンダ、19…シリンダ室、21…ローラ、23…ブレード、23A…ブレード、25…吸込室、26…圧縮室、32…嵌合孔、33…給油通路、34…給油溝、35…棒状体、36…開口部、37…ローラ当接面、41…回動量規制部

Claims (5)

  1. 内部にシリンダ室を有するシリンダと、前記シリンダ室内で偏心回転するローラと、往復移動可能に設けられて先端部を前記ローラの外周面に当接させることにより前記シリンダ室内を吸込室と圧縮室とに二分するブレードとを備える回転式圧縮機において、
    前記ブレードの先端部に、このブレードの高さ方向に沿って設けられ、前記ブレードの幅寸法より小さな内径寸法を有するとともに前記ローラに対向する位置にこの内径寸法より小さな幅寸法の開口部を有する嵌合孔が形成され、
    前記嵌合孔に、長尺状に形成されて前記開口部に臨む領域に平面状のローラ当接面を有する棒状体がその中心線回りに回動可能に嵌合され、前記棒状体の中心線回りの回動量を規制する回動量規制部を有することを特徴とする回転式圧縮機。
  2. 前記棒状体の中心線を通る前記棒状体の径方向の最小寸法は、前記開口部の幅寸法より大きいことを特徴とする請求項1記載の回転式圧縮機。
  3. 前記ブレードに、このブレードの往復移動方向に沿って設けられ、前記開口部の幅寸法より小さい幅寸法を有するとともに前記開口部の投影面内に位置する給油通路が形成されていることを特徴とする請求項1記載の回転式圧縮機。
  4. 前記嵌合孔の内周部と前記棒状体の外周部との少なくとも一方に、前記棒状体の中心線方向に延出する給油溝が形成され、この給油溝は前記棒状体の中心線から見て前記ブレードの往復移動方向から外れた位置に位置していることを特徴とする請求項1記載の回転式圧縮機。
  5. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の回転式圧縮機と、前記回転式圧縮機に接続される凝縮器と、前記凝縮器に接続される膨張装置と、前記膨張装置と前記回転式圧縮機との間に接続される蒸発器とを備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。
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