JP6402699B2 - 制振装置 - Google Patents

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本発明は、建物の制振技術に関し、特に外力による変形を往復運動に変換できる制振装置に関するものである。
東北地方太平洋沖地震以降、想定地震が大きく見直され、また、想定以上の外力の発生に対しても、建物の被害を最小限にとどめる高耐震性能が要求されている。
建物に用いられる制振装置として、履歴型ダンパー、粘弾性ダンパーあるいは粘性ダンパーが知られている。
履歴型ダンパーは、鋼材を用いて、柱や梁などの主架構より先に塑性化部を降伏させ、エネルギーを吸収させることにより主架構の損傷を防止する制振装置であり、近年の超高層建物の多くに採用されている。
また、粘弾性ダンパーは、ゴムなどの高分子材料を主成分とする粘弾性材料がせん断変形することにより、減衰抵抗力が発生し、エネルギー吸収を行う制振装置である。
また、粘性ダンパーは、オイルなどの粘性体の粘性抵抗を利用した速度依存型の制振装置である。
粘弾性ダンパーや粘性ダンパーは、減衰力や粘性抵抗力などの材料特性に応じて、風などの微振動に対してのみ、あるいは、地震時などの大振幅に対してのみ制振機能を発揮させることが可能であるが、同じ材料で微振動から大振幅まで制振機能を発揮させることは困難である。
一方、履歴型ダンパーは高い初期剛性と変形性能により、微振動に対してはエネルギー吸収効果が小さく、大変形時のエネルギー吸収に有効である。
このようにダンパーの種類によって制振性能が異なるので、例えば履歴型ダンパーと粘弾性ダンパーを組み合わせることで、微小変形から大変形まで効率的にエネルギー吸収が可能となる複合ダンパーを得ることができ、近年このような複合ダンパーが検討されている。
そして、履歴型ダンパーと粘弾性ダンパーの配列に関し、両者を並列に配置すると、履歴型ダンパーの高い初期剛性により粘弾性ダンパーの変形が抑制され、十分なエネルギー吸収性能を発揮出来ないこと、また、微小変形に効かせるように粘弾性ダンパーの厚さを薄くすると、大変形時に破断に至ってしまうこと等の理由から、直列に設置することが望ましいとされている。
履歴型ダンパーと粘弾性ダンパーを組み合わせた複合ダンパーとしては、例えば特許文献1(特許第4019302号公報)や特許文献2(特許第4547979号公報)に開示されたものなどがある。
特許文献1に開示されたものは、せん断降伏型(間柱型)の複合ダンパーであり、小振幅時に作用させる粘弾性ダンパーと、大振幅時に作用させる履歴型ダンパーとを直列に配置しており、粘弾性ダンパーがある変形量に達した際にそれ以上の変形が生じないためのストッパー機能を付加したものである。
また、特許文献2に開示されたものは、軸降伏型(ブレース型)の複合ダンパーであり、小振幅時に作用させる粘弾性ダンパーと、大振幅時に作用させる履歴型ダンパーとを直列に配置しており、さらに粘弾性ダンパーの耐力を履歴型ダンパーの耐力以上とすることで、大変形時も粘弾性ダンパーを機能させるようにしたものである。
特許第4019302号公報 特許第4547979号公報
可能な限り大きな地震動に耐え得る制振装置を設計すると、その規模やコストが大きくなるだけでなく、微振動に対する制振効果が期待できなくなるという問題がある。
また、兵庫県南部地震のような内陸直下地震の場合、瞬間的に大きな変形量を生じることが予想され、制振装置が繰返しによる十分なエネルギー吸収あるいは減衰効果を発揮する前に、制振装置が破断に至ってしまう可能性があった。
粘性ダンパーや粘弾性ダンパーは、一の材料特性を用いた場合、制振効果を発揮できる振動範囲が限定されてしまう。そのため、微振動から大振幅に対して制振効果を発揮させるためには、材料特性をそれぞれ変化させ、また、それぞれの振幅範囲内での変形にとどめるようにストッパーなどを設けて、直列に設置する必要があった。
同様に、履歴型ダンパーと従来の粘性あるいは粘弾性ダンパーを並列に配置すると、風などの微振動に対して、履歴型ダンパーの剛性が高く、粘性あるいは粘弾性ダンパーが十分制振効果を発揮できないため、並列配置が難しいという課題があった。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、粘性ダンパーや粘弾性ダンパーでありながら一の材料特性を用いた場合であっても、微振動から大振幅まで効率的に制振効果を発揮でき、また履歴型ダンパーと並列配置した場合でも十分な制振効果を発揮できる制振装置を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る制振装置は、外力によって建物の一部に発生する直線的な変形を回転運動に変換する第1変換機構と、該第1変換機構によって変換された回転運動を最大振幅が一定となる直線往復運動に変換する第2変換機構と、該第2変換機構によって変換された直線往復運動のエネルギーを吸収するダンパー部とを有することを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記第2変換機構は、回転運動から変換された直線往復運動の最大振幅を拡大する最大振幅拡大機構を有することを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記ダンパー部が、粘性ダンパー又は粘弾性ダンパーであることを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記ダンパー部が、粘性ダンパー又は粘弾性ダンパーと、前記粘性ダンパー又は前記粘弾性ダンパーに並列に配置した履歴型ダンパーを備えてなることを特徴とするものである。
(5)本発明に係る制振装置は、建物の上梁に取り付けた上側支持部材と、前記上梁の下方に設けられた下梁に取り付けた下側支持部材と、一端側が前記上側支持部材又は前記下側支持部材のいずれか一方に固定され、他端側が前記下側支持部材または前記上側支持部材側に向かって延出するように設置された第1鋼板と、該第1鋼板の前記他端側に回転可能に取り付けられた回転体を有し、前記上側支持部材または前記下側支持部材のせん断方向の動きを前記回転体を回転させることで回転運動に変換する第1変換機構と、第1鋼板に板面が対向配置された第2鋼板と、一端側が前記回転体の周縁部にピン接合され、他端側が前記第2鋼板にピン接合された剛部材を有し、前記回転体の回転運動を前記第2鋼板の往復運動に変換する第2変換機構と、前記第2鋼板と前記第1鋼板の間に設置された粘弾性体と、前記第2鋼板が前記往復運動方向と直交する方向に移動するのを規制するストッパーとを備えてなることを特徴とするものである。
(6)また、上記(5)に記載のものにおいて、一端側が前記上側支持部材に固定されると共に他端側が前記下側支持部材に固定され、前記上側支持部材と前記下側支持部材の相対移動のエネルギーを吸収する履歴型ダンパーを並列に設置したことを特徴とするものである。
本発明においては、外力によって建物の一部に発生する直線的な変形を回転運動に変換する第1変換機構と、該第1変換機構によって変換された回転運動を最大振幅が一定となる直線往復運動に変換する第2変換機構と、該第2変換機構によって変換された直線往復運動のエネルギーを吸収するダンパー部とを有することより、外力によって建物の一部に発生する直線的な変形を、回転運動を介して、最大振幅が一定となる直線往復運動に変換でき、建物に想定以上の変形量が発生した場合も、設定した最大振幅以上の変形がダンパー部に作用することが無く、変形の繰返し量が増えることで、従来例よりも大きなエネルギー吸収あるいは減衰効果が発揮でき、微振動から大振幅まで効率的に制振効果を発揮できる
また、ダンパー部分に粘性ダンパーや粘弾性ダンパーを組み込んだ場合、制振効果を発揮させたい微振動の振幅を最大振幅に設定することで、大振幅時にも破断に至ることは無く、繰返し数が増えるだけとなり、一の材料特性のみで設計することが可能となる。
本発明の実施の形態1に係る制振装置の説明図である。 本発明の実施の形態1の第1変換機構の説明図である。 本発明の実施の形態1の第1変換機構の他の態様の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る制振装置の動作を説明する説明図である。 本発明の実施の形態1に係る制振装置の第2変換機構の他の態様が備える最大振幅拡大機構の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る制振装置の説明図である。 本発明の制振装置の実施例の説明図である。 比較例の説明図である。 実施例と比較例の効果を比較して説明する説明図である。
本発明に係る制振装置は、外力によって建物の一部に発生する直線的な変形を回転運動に変換する第1変換機構と、該第1変換機構によって変換された回転運動を最大振幅が一定となる直線往復運動に変換する第2変換機構と、該第2変換機構によって変換された直線往復運動のエネルギーを吸収するダンパー部とを有することを特徴とするものである。
なお、制振装置は建物における地震等の外力によって相対変位する例えば架構などに取り付けられる。
[実施の形態1]
図1は、上記のような制振装置1を、粘弾性ダンパーによって構成し、建物の架構における上梁3と下梁7の間に設置した実施の形態を示すものであり、建物の上梁3に取り付けた上側支持部材5と、上梁3の下方に設けられた下梁7に取り付けた下側支持部材9と、下端側が下側支持部材9に固定され、上端側が上側支持部材5に向かって延出するように設置された第1鋼板11と、第1鋼板11の上端側に回転可能に取り付けられた回転体13を有し、上側支持部材5のせん断方向の動きを回転体13を回転させることで回転運動に変換する第1変換機構15と、第1鋼板11に板面が対向配置された第2鋼板17と、一端側が回転体13の周縁部にピン接合され、他端側が第2鋼板17にピン接合された剛部材19を有し、回転体13の回転運動を第2鋼板17の往復運動に変換する第2変換機構21と、第2鋼板17と第1鋼板11の間に設置された粘弾性体23と、第2鋼板17が往復運動方向と直交する方向に移動するのを規制するストッパー25とを備えてなるものである。
制振装置1を取り付ける架構の柱や梁、また、上側支持部材5や下側支持部材9は十分な剛性を確保できるものであれば、鉄骨造でも鉄筋コンクリート造でも構造種別によらない。
なお、第1鋼板11、第2鋼板17及び粘弾性体23が上記本発明のダンパー部に相当する。
以下、各構成を詳細に説明する。
<上側支持部材、下側支持部材>
上側支持部材5及び下側支持部材9は、例えば、鋼材、鉄筋コンクリートのように剛性の高い部材で構成されていることが好ましい。
<第1鋼板>
第1鋼板11は、矩形状の鋼板であり、下端側が下側支持部材9に固定され、上辺側が上側支持部材5に向かって延出し、上辺は上側支持部材5との間に所定の隙間を介して対向配置されている。
<第1変換機構>
第1変換機構15は、上側支持部材5の下側支持部材9に対するせん断方向の相対的な動きを、回転体13を回転させることで回転運動に変換する機構である。
第1変換機構15の構成要素である回転体13は、第1鋼板11の上部に回転可能に取り付けられており、回転体13の一部が第1鋼板11の上辺よりも上方に突出している。なお、回転体13の一部を第1鋼板11の上辺より突出させる点は、必須ではない。
回転体13を形成する材料や形状は特に限定されるものではない。
第1変換機構15において重要なのは、粘弾性体23に発生するせん断力に相当する力が、上側支持部材5と回転体13との応力伝達部に発生するため、このような大きな力が作用した場合であっても回転体13を円滑に回転させるような力の伝達ができるようにする点である。
例えば、回転体13を自動車のタイヤのようもので構成し、上側支持部材5との摩擦力によって力を伝達するような摩擦機構の場合、タイヤが大きなせん断力に耐え切れず、回転体13を円滑に回転させることが出来ないと考えられる。
そこで、例えば図2に示すように、上側支持部材5のせん断方向の動きを回転体13に伝達する機構として、一端側を上側支持部材5側に固定し、他端側を回転体13に巻き付けたPC鋼より線27等の高強度な線材で構成し、上側支持部材5が図中右方向に移動すると回転体13が時計回りに回転し、右側のPC鋼より線27が送り出されると共に左側のPC鋼より線27が回転体13に巻き取られるような機構が考えられる。
このような機構にすることで、上側支持部材5が左右いずれの方向に移動した場合でも、線材にたわみが生じることなく、上側支持部材5に対する第1鋼板11の相対変位を回転運動に変換することが可能となる。
第1伝達機構における上側支持部材5のせん断方向の動きを回転体13に伝達する機構の他の例としては、図3に示すように、上側支持部材5にラック状の複数の突起29を設けると共に回転体13の周面に設けた歯車31を設け、突起29と歯車31がかみ合うことで、上側支持部材5がいずれの方向に移動しても、その動きを回転体13の回転運動に変換することができるような機構でもよい。
<第2鋼板>
第2鋼板17は、第1鋼板11に板面を対向して配置された矩形状の鋼板である。
<第2変換機構>
第2変換機構21は、一端側が回転体13の周縁部にピン接合され、他端側が第2鋼板17にピン接合された棒状の剛部材19を有し、回転体13の回転運動を第2鋼板17の往復運動に変換するものである。
なお、第2変換機構21を構成する剛部材19を形成する材料は特に限定されるものではないが、例えば鉄筋のような剛性の高いものが挙げられる。
<粘弾性体>
粘弾性体23は、第2鋼板17と第1鋼板11の間に接着された高減衰ゴムなどからなるものである。第2鋼板17が往復運動することで粘弾性体23がせん断変形し、これによって減衰抵抗力が発生してエネルギー吸収が行われる。
<ストッパー>
ストッパー25は、第2鋼板17が往復運動方向と直交する方向に移動するのを規制する部材であり、第2鋼板17の両側に上下方向に第2鋼板17の両側縦辺に沿うように設けられている。
なお、第1鋼板11、第2鋼板17、粘弾性体23が本発明のダンパー部に相当する。
上記のように構成された本実施の形態の制振装置1の動作を図4に基づいて説明する。
上側支持部材5が図中右方向に移動すると、その移動量に相当する分だけ回転体13が時計回りに回転する。回転体13が回転すると、一端が回転体13の外周部にピン接合された剛部材19が、回転体13の回転とともに上方に引っ張られ、同時に、剛部材19の他端にピン接合された第2鋼板17が上方に引っ張られる(図4(a)参照)。
このとき、剛部材19は水平方向の荷重も受け、かかる荷重が第2鋼板17に作用するが、ストッパー25の拘束により第2鋼板17は水平移動できないため、第2鋼板17は上下方向のみに移動する。この第2鋼板17の移動により、下側支持部材9に固定された第1鋼板11との間に接着された粘弾性体23が変形することで、減衰力を発揮する。
剛部材19と回転体13のピン接合部が最も上側支持部材5に近づいた状態が、第2鋼板17の移動量が最大となる状態であり、このときの粘弾性体23の変形量が最大となる(図4(b)参照)。さらに上側支持部材5が変形して図中右方向に移動すると、剛部材19は下方に押し出され、第2鋼板17も下方に移動する。そして、剛部材19と回転体13のピン接合部が最も下側支持部材9に近づいた状態が、粘弾性体23が反対側に最大変形する状態であり、この時の変形量が反対側の最大変形量となる(図4(c)参照)。
以上のように、建物の変形量がたとえ想定以上に進んだとしても、粘弾性体23は上下の往復運動を繰返し、粘弾性体23の変形量が予め設定されている最大変形量以上になることはない。
なお、上記の説明は上側支持部材5が図中右方向に移動した場合であるが、上側支持部材5が図中左方向に移動した場合も同様である。
以上のように、本実施の形態の制振装置1によれば、外力によって建物の一部に発生する直線的な変形を、回転体13の回転運動を介して、最大振幅が一定となる直線往復運動に変換できるようにしたので、想定以上の変形量が発生した場合も、設定した最大振幅以上の変形がダンパー部分に作用することが無く、変形の繰返し量が増えることで、従来の制振装置1よりも大きなエネルギー吸収あるいは減衰効果が発揮できる。
なお、上述のように、建物に生じる直線的な変形を回転運動に変換する場合、回転体13の径が大きくなるにつれて、同じ水平変形量に対して、剛部材19とのピン接合部の上下移動量が小さくなる。
このため、粘弾性ダンパーなどを微振動に対して効かせることを目的とする場合、粘弾性体23の変形量がさらに小さくなるため、効率が悪くなる。
このような場合には、回転運動を最大振幅が一定となる直線往復運動に変換する第2変換機構21が、回転運動から変換された直線往復運動の最大振幅を拡大する最大振幅拡大機構を有する機構とすることで効率悪化を防止できる。
図5は、このような最大振幅拡大機構を有する第2変換機構32を説明する説明図であり、図1と同一部分には同一の符号を付している。
図5に示す第2変換機構32は、一端側が回転体13の周縁部にピン接合され、他端側が第2剛部材35にピン接合されて回転体13の回転運動を往復運動に変換する棒状の第1剛部材33と、一端側が第1剛部材33の他端側にピン接合され、他端側が第2鋼板17(図示なし)に上下方向に変位可能なピン接合された第2剛部材35と、第2剛部材35における一端と他端の間で一端寄りの位置に設けられて第2剛部材35が傾動する支点の位置を固定すると共に第2剛部材35を軸方向移動可能に支持する支点部37と、を設けたものである。
上記のように構成された第2変換機構32においては、回転体13が時計回りに回転することで回転体13と第1剛部材33のピン接合点が、(J1)→(J2)→(J3)と移動し、これに伴って第1剛部材33と第2剛部材35のピン接合点が、下から上に向かって(j1)→(j2)→(j3)と移動する。このときのピン接合点の最大振幅はaであるが、この振幅が拡幅されて第2剛部材35の他端側ではAとなる。
以上のように、第2変換機構32をこのような機構とすることで、第2剛部材35の一端と支点との距離と他端と支点との距離の比の分だけ第1剛部材33の振幅が拡幅される。
また、第2剛部材35の一端と支点部37の距離と他端と支点部37との距離の比を適宜設定することで、最大振幅を簡易に設定することもできる。
このように、第2変換機構32に最大振幅拡大機構を設けることで、建物の一部に発生する直線的な変形を、最大振幅が一定となる直線往復運動に変換する際に、最大振幅を必要に応じて拡幅することができ、効率的な制振が実現できる。
なお、上記の説明では、第2鋼板17と第1鋼板11の間に粘弾性体23を接着する例を示したが、第1鋼板11と第2鋼板17のせん断方向の移動を減衰するものとして粘性部材を用いるようにしてもよい。
粘性部材を用いる場合には、例えば第2鋼板17をオイルダンパーのピストン部(稼動部)、第1鋼板11をシリンダー部(固定部)に相当する構造にすればよい。
また、上記の実施の形態では、本発明の制振装置1を間柱型粘弾性ダンパーとした例を示したが、同様の機構を有する例えばブレース型粘弾性ダンパーやシアパネル型粘弾性ダンパーなどで構成してもよい。ブレース型粘弾性ダンパーの場合、回転体13を回転運動させる上側支持部材5に生じる力の方向とエネルギー吸収部である粘弾性体23の直線往復運動方向が同一方向になるように配置すればよく、例えば外力を伝える上側支持部材5を架構に斜めに配設し、これと平行になるように制振装置1を設置すればよい。このとき、回転体13は図1に示した間柱型粘弾性ダンパーの場合とは90度ずれた位置、すなわち回転体13の側方の位置で上側支持部材5に接触することになる。
上記の実施の形態においては、下側支持部材9に第1鋼板11を固定し、上側支持部材5側に第1変換機構15を設置した例を示したが、上側支持部材5に第1鋼板11を固定して、下側支持部材9側に第1変換機構15を設けるようにしてもよい。
[実施の形態2]
本実施の形態の制振装置41は、上側支持部材5と下側支持部材9との間に実施の形態1で説明した制振装置1を設置し、かつ制振装置1と並列に、一端側が上側支持部材5に固定されると共に他端側が下側支持部材9に固定され、上側支持部材5と下側支持部材9の相対移動のエネルギーを吸収する履歴型ダンパー43を設置したものである。
実施の形態1で説明したような粘弾性ダンパーのみで制振装置1を構成した場合、一方向の荷重を受けた際に、粘弾性体23の変形の方向が逆転する過程で荷重の方向も逆転し、せん断力が低下する現象が生じることが考えられる。
そこで、本実施の形態の制振装置41では、図6に示すように、履歴型ダンパー43を並列に配置することにより、粘弾性体23に負の荷重が発生した時には、履歴型ダンパー43でエネルギー吸収を行うことが可能となり、さらに合理的な制振ダンパーとなる。
なお、図6に示した例では、実施の形態1の粘弾性ダンパーを間柱の表裏側に設置し、中央にスチフナ補強された低降伏点鋼を用いた履歴型履歴型ダンパー43を並列に設置させた例を示したものである。
実施の形態1で示した制振装置1(間柱型の粘弾性ダンパー装置)の具体例を図7に基づいて説明する。なお、図7において、図1と同一部分には同一の符号を付してある。
本例では、一般的な建物を想定し、上下梁間高さを3,000mm程度、最大層間変形角を約1/50とすると、最大の片側水平変形量は約60mmとなる。なお、上下支持部材の弾性変形なども考慮すると実際はこれより小さい変形量と考えられる。
一方、粘弾性体23の最大振幅は風荷重などの微振動に対して効率的に減衰力を発揮させるため、±10mm程度を想定する。粘弾性体23が安定的に減衰力を発揮できるよう最大変形時のせん断変形角が200%となるようにすると、粘弾性体23の板厚は5mm程度となる。粘弾性体23の大きさを500mm×500mmで表裏2枚設置した場合、一般的な等価せん断弾性率として0.3MPaを仮定すると、粘弾性体23に生じる最大せん断力は約300kNとなる。
これらの仮定から、回転機構に一般的なPC鋼より線27を用いた場合、移動量は回転体13から左右100mm程度あればよく、径約20mmのPC鋼より線27が2本程度あればよい。また、回転体13と制振装置1をつなぐ剛部材19には一般的な鉄筋で径20mm程度が4本あればよい。なお、剛部材19の長さは第2鋼板17が上方に移動したときに回転体13に接触しない程度の長さとして100mm程度あればよく、圧縮に対しても十分座屈しない長さと考えられる。
建物に片側約60mmの変形を生じたとき、回転体13が一回転するようにすると、回転体13の軸径は約20mmとなる。この回転体13の中心から5mmの位置にピン接合部を設けると、片側約60mmの変形時に、粘弾性体23には±10mmの振幅で1往復の変形が発生する。
よって、建物に±60mmの1往復分の変形が発生すると、粘弾性体23には±10mmの4往復分の変形が生じることとなる。
図8に示すように、上側支持部材5と下側支持部材9にそれぞれ鋼板45を設置し、これら鋼板45の対向面に粘弾性部材を設置した従来の粘弾性ダンパー(比較例)の場合、60mmの変形時に200%のせん断変形角となるようにすると、粘弾性体23の板厚は約30mmとなる。
このとき、建物に発生する±60mmの変形に対して、図9(a)に示すようにせん断変形角±200%の履歴ループが1ループ描かれ、この面積分の減衰力を得られる。
一方、本実施例では、同じく建物に発生する±60mmの変形に対して、図9(b)に示すようにせん断変形角±200%の履歴ループが4ループ描かれ、この約4倍の減衰力を得られる。
1 制振装置(実施の形態1)
3 上梁
5 上側支持部材
7 下梁
9 下側支持部材
11 第1鋼板
13 回転体
15 第1変換機構
17 第2鋼板
19 剛部材
21 第2変換機構
23 粘弾性体
25 ストッパー
27 PC鋼より線
29 突起
31 歯車
32 第2変換機構(他の態様)
33 第1剛部材
35 第2剛部材
37 支点部
41 制振装置(実施の形態2)
43 履歴型ダンパー
45 鋼板

Claims (6)

  1. 建物の架構に設けられて前記建物の制振を行う制振装置であって、
    外力によって前記架構に発生するせん断方向の動きによって回転する回転体を有し、該回転体を回転させることで前記せん断方向の動きを回転運動に変換する第1変換機構と、該第1変換機構によって変換された回転運動を最大振幅が一定となる直線往復運動に変換する第2変換機構と、該第2変換機構によって変換された直線往復運動のエネルギーを吸収するダンパー部とを有することを特徴とする制振装置。
  2. 前記第2変換機構は、回転運動から変換された直線往復運動の最大振幅を拡大する最大振幅拡大機構を有することを特徴とする請求項1記載の制振装置。
  3. 前記ダンパー部が、粘性ダンパー又は粘弾性ダンパーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振装置。
  4. 前記ダンパー部が、粘性ダンパー又は粘弾性ダンパーと、前記粘性ダンパー又は前記粘弾性ダンパーに並列に配置した履歴型ダンパーを備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振装置。
  5. 建物の上梁に取り付けた上側支持部材と、前記上梁の下方に設けられた下梁に取り付けた下側支持部材と、一端側が前記上側支持部材又は前記下側支持部材のいずれか一方に固定され、他端側が前記下側支持部材または前記上側支持部材側に向かって延出するように設置された第1鋼板と、該第1鋼板の前記他端側に回転可能に取り付けられた回転体を有し、前記上側支持部材または前記下側支持部材のせん断方向の動きを前記回転体を回転させることで回転運動に変換する第1変換機構と、第1鋼板に板面が対向配置された第2鋼板と、一端側が前記回転体の周縁部にピン接合され、他端側が前記第2鋼板にピン接合された剛部材を有し、前記回転体の回転運動を前記第2鋼板の往復運動に変換する第2変換機構と、前記第2鋼板と前記第1鋼板の間に設置された粘弾性体と、前記第2鋼板が前記往復運動方向と直交する方向に移動するのを規制するストッパーとを備えてなることを特徴とする制振装置。
  6. 一端側が前記上側支持部材に固定されると共に他端側が前記下側支持部材に固定され、前記上側支持部材と前記下側支持部材の相対移動のエネルギーを吸収する履歴型ダンパーを並列に設置したことを特徴とする請求項5記載の制振装置。
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