本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域と、
前記前胴回り域から前記後胴回り域に向かう前後方向、及び前記前後方向と直交する幅方向と、
前記股下域を跨ぎ、前記前胴回り域及び前記後胴回り域の少なくともいずれか一方に延びる吸収体と、
前記吸収体よりも肌対向面側に位置し、着用者に接するトップシートと、を有し、
前記トップシートは、肌対向面側に突出する凸部及び前記凸部の間に設けられる凹部を有し、
前記凸部及び前記凹部は、第1方向に延び、前記第1方向と直交する第2方向において交互に配置されている、吸収性物品であって、
前記トップシートは、少なくとも前記後胴回り域に配置される第1領域と、少なくとも前記股下域に配置される第2領域と、を有し、
前記第1領域の前記凸部の高さは、前記第2領域の前記凸部の高さよりも高く、
前記吸収体には、圧搾部が形成されており、
前記圧搾部は、前記第1領域と重なる領域において、前記凸部と交差する方向に延びる線状の線状圧搾部を有する、吸収性物品。
第1領域は、少なくとも後胴回り域に配置され、便が排出される領域を含む。第2領域は、少なくとも股下域に配置され、尿が排出される領域を含む。第1領域上に便が排出されると、便は、凸部間の凹部に収容される。このとき、凸部が倒れるように変形すると、凹部内に便を導き難くなる。詳細には、装着時に吸収性物品が身体に丸みに沿うように配置されると、吸収性物品の肌対向面側に位置するトップシートは、凸部同士が近づくように変形し、凹部内に便を導き難くなることがある。本発明に係る吸収体は、圧搾部を有しており、当該圧搾部は、第1領域と重なる領域において凸部が延びる第1方向と交差する方向に延びる線状圧搾部を有する。よって、第1領域において、凸部が延びる方向に対して線状圧搾部による高剛性部を形成できる。圧搾部による高剛性部が凸部から第2方向両側に向かって延び、凸部が倒れるように変形し難くなる。よって、隣接する凸部同士が近づくように変形し難くなり、第1領域の凹部が塞がれることを抑制できる。排泄物を凹部内に収容することにより、装着感を向上できる。具体的には、凹部内に排泄物が収容されることにより、凸部上に残る排泄物が着用者の肌に付着し続けることが抑制されたり、軟便が広範囲かつ多量に肌に付着したりすることが抑制されたりすることで、装着感を向上できる。また、排泄物を第1領域の凹部内に収容し、漏れの発生を抑制できる。
また、吸収体は、排泄物を吸収した際に膨潤し、変形し易くなることがある。吸収体が変形し易いと、吸収体の肌対向面側に位置するトップシートが意図しない状態で変形し、凸部が倒れ、凸部によって凹部を塞ぐおそれがある。また、吸収体が膨潤することにより、吸収体の肌対向面に意図しない起伏が形成され、トップシートが意図しない状態で変形し、凸部が倒れることにより、凸部によって凹部を塞ぐおそれがある。しかし、圧搾部による高剛性部が凸部から第2方向両側に向かって延び、凸部が倒れるように変形し難くなる。よって、隣接する凸部同士が近づくように変形し難くなり、第1領域の凹部が塞がれることを抑制できる。
第1領域の凸部の高さが第2領域の凸部の高さよりも高いため、便を挟む凸部による壁を比較的高く形成できる。便を挟む凸部による壁が高いため、一旦凹部内に収容された便を壁によって挟んで、当該便を保持し易くなる。その結果、凹部内に収容された便の表面に着用者の肌が触れた際に、便を凹部内に保持し続け、凹部から便が出て着用者に再付着することを防ぐことができる。
かかる吸収性物品であって、
前記第1領域の前記凸部の前記第2方向におけるピッチは、前記第2領域の前記凸部の前記第2方向におけるピッチよりも長いことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第1領域の凸部の第2方向におけるピッチが第2領域の凸部の第2方向におけるピッチよりも長く、第1領域において隣接する凸部間の距離は、比較的長い。よって、第1領域において凸部が第2方向に向かって倒れるように変形した際に、凸部同士が重なり難くなり、凸部によって凹部を塞ぐことを抑制できる。また、第1領域において凸部間の空間を広くなり、便を収容する空間を広く形成できる。
かかる吸収性物品であって、
前記第1領域の前記凸部の前記第2方向におけるピッチは、2mmより長く、5mm以下であり、
前記第2領域の前記凸部の前記第2方向におけるピッチは、0.5mm以上2mm以下であることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、主に尿を吸収する第2領域が滑らかな触感になり、主に便を吸収する第1領域が吸収をしっかりするような厚みのある触感になる。1枚のトップシートにおいて、触感の異なる部分を設けることにより、着用者は、肌に対して優しい機能と、便をしっかりと吸収する機能と、を知覚することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記第1領域の前記凸部の前記第2方向におけるピッチは、前記第1領域の前記凸部の高さの2倍より長いことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第1領域の前記凸部の前記2方向におけるピッチが第1領域の凸部の高さの2倍より長いことにより、第1領域において第2方向に隣接する2列の凸部が互いに近づく方向に倒れた場合であっても、凸部によって凹部が完全に塞がれることを抑制できる。よって、第1領域の凹部内に便を収容できる。
かかる吸収性物品であって、
前記第1領域の前記凹部は、前記前後方向及び前記幅方向に延びる凹底部と、前記凹底部よりも肌対向面側に突出する中間部が設けられており、
前記中間部の高さは、前記第1領域における前記凸部の高さよりも低いことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第1領域の凸部間に中間部が設けられているため、第1領域の凸部が倒れるように変形した際に、第1領域の凸部が中間部に引っ掛かり、第1領域の凸部によって第1領域の凹部が全体を完全に覆われることを抑制できる。また、中間部の頂部が凸部の頂部よりも非肌対向面側に位置し、中間部の高さが低いため、中間部と凸部が倒れるように変形した際に、中間部と凸部によって凹部を完全に覆い難くなる。よって、便が排出された際に便を凹部内に導き易い状態を維持し易くなる。
かかる吸収性物品であって、
前記第1領域の前記凹部には、前記凹部内の前後方向に延びる空間を分断する分断部が設けられており、
前記線状圧搾部は、前記第1領域と重なる領域において、前記第1方向に延びる前記凸部と交差し、かつ前記第2方向に延びる前記分断部と交差する方向に延びることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第1領域に第2方向に延びる分断部が設けられているため、当該分断部によって第1領域の凹部内に収容された便が前後方向に拡散することを抑制できる。また、線状圧搾部が分断部と交差するため、分断部が倒れるように変形することを抑制し、第1領域の凹部内に収容された便を収容し続け易くなる。
かかる吸収性物品であって、
前記線状圧搾部は、前記第2方向において隣接する複数の前記凸部を跨るように配置されることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、隣接する凸部を跨がるように線状圧搾部が配置されているため、隣接する複数の凸部が倒れ難くなる。よって、隣接する凸部間に、便を収容可能な凹部を配置できる。また、隣接する複数の凸部が倒れにくいことより、便を収容可能な凹部を複数隣接して配置できる。よって、便は、集合した状態で配置された凹部内に収容される。纏まった量の排泄物が複数の凹部内に収容されるため、着用者及び装着補助者は、視覚にて便の収容状態を把握し易くなり、排泄部の漏れや装着感の向上についての安心感を得ることができる。
また、第1領域の凹部内に多くの便を保持でき、凹部内の便の自重が増加する。繊維を有するトップシートにあっては、便の自重が増加することにより、便内に含まれる水分が繊維間の隙間を介して吸収体に透過し易くなる。よって、便内の水分を迅速に吸収体に移行させ、水分を多く含む軟便が肌に付着し続けることを抑制できる。
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性物品の前記幅方向の両外側に配置される一対の立体ギャザーを備え、
前記各立体ギャザーは、前記前後方向に伸縮する弾性部材を有し、かつ着用者側に起立可能な起立部を有し、
前記圧搾部は、前記前後方向に連続しており、
前記圧搾部の前端縁は、前記第1領域の前端縁よりも前方に位置し、
前記圧搾部の後端縁は、前記第1領域の後端縁よりも後方に位置し、
前記第1領域の後端縁は、前記前後方向において前記起立部の後端縁とずれて配置されていることが望ましい。
第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁は、隣接する境界に対して剛性が変化する部分である。剛性が変化する部分では、トップシートの皺が集中し易い。圧搾部は、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁よりも前後方向の外側に延びるように前後方向に連続しているため、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁の剛性を高め、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁に皺が集中することを抑制できる。皺によって凸部同士が重なり合うように倒れることを抑制し、第1領域の凸部及び第1領域の凹部の形状を維持できる。
また、起立部の後端縁は、起立部の起立(立ち上がり)の変形基点となるため、皺が集中し易い。起立部の後端縁と第1領域の後端縁がずれているため、立体ギャザーによる第1領域の後端縁に皺が集中することを抑制できる。皺によって凸部同士が重なり合うように倒れることを抑制し、第1領域の凸部及び第1領域の凹部の形状を維持できる。
かかる吸収性物品であって、
前記圧搾部は、
前記吸収体の肌対向面側に形成され、前記前後方向及び前記幅方向において非連続に配置された第1圧搾部と、
前記吸収体の非肌対向面側に形成され、前記線状圧搾部を有する第2圧搾部と、を有し、
前記第2圧搾部の前記深さは、前記第1圧搾部の前記深さよりも厚いことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、肌対向面側に形成された第1圧搾部の深さが比較的浅いため、吸収体の肌対向面を比較的柔らかくすることができ、トップシートの触感を柔らかくすることができる。一方、非肌対向面側に形成された第2圧搾部の深さが比較的深いため、体液を吸収した後も第2圧搾部による溝を維持でき、第2圧搾部によって凸部の倒れを抑制する効果を維持できる。すなわち、吸収体の肌対向面側と非肌対向面側とで圧搾部の深さを異ならせることにより、柔らかい触感を維持する効果と、排泄物を収容し、装着感の悪化や漏れの発生を低減できる効果と、を両立することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記吸収体と前記トップシートの間に配置される補助シートを有し、
前記補助シートの前端縁は、前記第1領域の前端縁よりも前方に位置し、
前記補助シートの後端縁は、前記第1領域の後端縁よりも後方に位置することが望ましい。
補助シートは、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁よりも前後方向の外側に延びるため、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁の剛性を高め、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁に皺が集中することを抑制できる。皺によって凸部同士が重なり合うように倒れることを抑制し、ト第1領域の凸部及び第1領域の凹部の形状を維持できる。
===本実施の形態に係る使い捨ておむつについて===
次に、本発明に係る吸収性物品としての使い捨ておむつ10の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明に係る吸収性物品は、使い捨ておむつに限定されず、下着又はおむつに装着される吸収パッドを含むものである。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
(1)使い捨ておむつの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の展開平面図である。図1に示す展開平面図は、使い捨ておむつを構成するトップシート50、サイドシート70等の皺が形成されない状態まで、立体ギャザー及びウエスト伸縮部等の伸縮部分を伸長させた伸長状態の図である。
使い捨ておむつ10は、前胴回り域20と、股下域25と、後胴回り域30とを有する。前胴回り域20は、着用者の前胴回り部(腹部分)と接する部分である。また、後胴回り域30は、着用者の後胴回り部(背部分)と接する部分である。股下域25は、前胴回り域20と後胴回り域30との間に位置する。なお、本実施形態では、前胴回り域20から後胴回り域30に向かう方向を前後方向Lと呼び、前後方向Lと直交する方向を幅方向Wと呼び、着用者の肌対向面側T1と非肌対向面側T2に延びる方向を厚さ方向Tと呼ぶ。
使い捨ておむつ10は、吸収体40を有する。吸収体40は、股下域25を跨ぎ、前胴回り域20及び後胴回り域30の少なくともいずれか一方に延びる。本実施の形態の吸収体40は、前胴回り域20、股下域25、及び後胴回り域30を跨いで配置される。吸収体40は、吸収コア40aとコアラップ40bとを有している。
吸収体40の股下域25には、吸収コア40aの外側縁(幅方向の外側端)から幅方向Wの内側に向かって延びる第1低目付部41が形成されている。第1低目付部41は、吸収コア40aの両外側縁にそれぞれ配置されており、前後方向Lに間隔を空けて配置されている。吸収コア40aの後胴回り域30には、吸収コア40aの後端縁から前方に向かって延びる第2低目付部42が形成されている。第2低目付部42の幅方向の長さは、前側に向かうにつれて短く形成されている。第1低目付部41及び第2低目付部42は、周囲の吸収コアよりも吸収材料の目付が低い部分である。本実施の形態の第1低目付部41及び第2低目付部42は、切欠きである。吸収体40には、圧搾部60が形成されている。吸収体40の圧搾部60については、後述にて詳細に説明する。
吸収体40の肌対向面側には、液透過性のトップシート50が備えられる。トップシート50は、使い捨ておむつ10の肌当接面を構成し、着用者に接する。トップシート50は、前胴回り域20、股下域25、及び後胴回り域30を跨いで配置される。トップシート50は、繊維を有しており、具体的には、不織布によって構成できる。トップシート50については、後述にて詳細に説明する。
吸収体40とトップシート50の間には、補助シート77が備えられる。補助シート77は、吸収体40の一部を覆うように配置されている。補助シート77の後端縁77Rは、第1低目付部41よりも後方に位置する。補助シート77の前端縁77Fは、前胴回り域に位置し、後述する第1領域R1の前端縁R1Fよりも前方に位置する。補助シート77の後端縁55Rは、後胴回り域に位置し、後述する第1領域R1の後端縁R1Rよりも後方に位置する。補助シート77の後端縁55Rは、第1領域R1の後端縁R1Rと前後方向において離間している。補助シート77は、トップシート50と同様のシートに構成できる。補助シート77は、液透過性を有し、トップシート側から吸収体に向けて体液を導く。また、補助シート77は、トップシート50よりも嵩高であることが好ましい。
吸収体40の非肌対向面側には、液不透過性のバックシート(図示せず)が備えられる。バックシートの非肌対向面側には、外装シート(図示せず)が備えられる。
使い捨ておむつ10の幅方向の中心よりも幅方向の両外側には、一対の立体ギャザー80が配置される。立体ギャザー80は、着用者側に立ち上がる起立性のギャザーである。立体ギャザー80は、サイドシート70と、弾性部材としてのサイド弾性部材71と、によって構成されている。
サイドシート70の内側縁側には、前後方向に伸縮するサイド弾性部材71が配置される。一対の立体ギャザー80は、使い捨ておむつの幅方向の中心を対称軸としてほぼ線対称である。各立体ギャザー80は、前後方向に伸縮するサイド弾性部材71を有し、着用者側に起立可能な起立部83と、起立部83よりも幅方向の外側に位置し、かつ起立部83の起立(立ち上がり)の基点となる第1固定部81と、起立部83よりも前後方向Lの両外側に位置し、かつ起立部83の立ち上がりの基点となる第2固定部82と、を有する。起立部83の前端縁は、前胴回り域に配置される第2固定部82の後端縁に一致し、起立部83の後端縁は、後胴回り域に配置される第1固定部81の前端縁に一致する。
サイドシート70は、トップシートの外側縁を覆う。サイドシート70は、第1固定部81及び第2固定部82において、トップシート50上に接合されている。起立部83は、前後方向Lにおける第2固定部82間に設けられており、トップシート50に接合されていないため、トップシート50から立ち上がり可能である。起立部83は、サイド弾性部材が収縮した状態で着用者側に起立する。起立部83は、使い捨ておむつが着用された状態で着用者側に起立する。起立部83は、サイド弾性部材71が収縮可能に配置された収縮領域S1を有する。収縮領域S1は、使い捨ておむつを伸長させた伸長状態においてサイド弾性部材71が伸長した状態で接合された領域である。収縮領域S1は、起立部83においてサイド弾性部材71が配置されていない領域を除き、非伸長状態のサイド弾性部材71が接合された領域を除き、かつサイド弾性部材71がサイドシート70に接合されていない領域を除く概念である。立体ギャザー80は、吸収体40の外側縁において肌側に立ち上がる壁を形成し、排泄物の横漏れを防止する。
使い捨ておむつ10の外側縁には、着用者の脚回りに配置される脚回り開口部13が形成されている。使い捨ておむつ10には、脚回り開口部13よりも幅方向の内側に配置され、前後方向Lに伸縮可能な一対のレッグ伸縮部75が備えられる。レッグ伸縮部75は、左右の脚回り開口部13よりも幅方向内側にそれぞれ配置される。
ファスニングテープ90は、一対であって、後胴回り域30においてサイドシート70よりも幅方向Wの外側に延出する。ファスニングテープ90は、前胴回り域20のターゲット部95に止着する止着部91を有する。止着部91は、例えば、係合フックが設けられた部分である。ファスニングテープ90は、前胴回り域20のターゲット部95に止着されることにより、使い捨ておむつ10を着用者の身体に保持する。ファスニングテープ90は、サイドシート70に取り付けられている。
ターゲット部95は、前胴回り域20の外装シートの非肌対向側の面に設けられている。ターゲット部95は、ファスニングテープ90の係合フックが引っ掛かるように構成されており、フックとループの係止システムのループとして機能する。
使い捨ておむつ10は、幅方向に伸縮可能なウエスト伸縮部85を有する。ウエスト伸縮部85は、後胴回り域30に配置される。ウエスト伸縮部85は、幅方向における一対のファスニングテープ90間に配置されており、ファスニングテープ90間を幅方向に収縮する。ウエスト伸縮部85は、吸収体の第2低目付部42の少なくとも一部と重なるように配置される。本実施の形態のウエスト伸縮部85は、第2低目付部42の後端縁と重なる領域に配置され、第2低目付部42の前端縁と重ならない領域に配置される。
(2)トップシートの構成
次いで、トップシート50の構成について詳細に説明する。図2は、トップシートの拡大平面図である。トップシート50は、肌対向面側に突出する凸部51と、凸部51よりも非肌対向面側T2に凹む凹部52と、を有する。なお、図1に示す平面図においては、凸部51及び凹部52を省略して示している。凸部51は、使い捨ておむつ10の肌対向面側に突出し、凹部52は、凸部の頂部に対して非肌対向面側に窪んだ空間である。凸部51及び凹部52は、第1方向に沿って延びており、第2方向において交互に配置されている。本実施の形態では、長手方向Lが第1方向であり、幅方向Wが第2方向である。
凸部51及び凹部52は、トップシート50の全面に亘って形成されている。なお、凸部51及び凹部52は、トップシート50の一部のみに形成されていてもよい。凸部51は、厚さ方向に延びる凸壁部59を有する。凸壁部59は、凸部51の頂部から凹部52の凹底部53まで延びる。
なお、本実施の形態において、「前後方向に延びる」とは、少なくとも前後方向に一定の範囲を有する構成であればよく、前後方向に対する角度が45度未満となるように前後方向に対して傾斜しつつ幅方向に延びる構成も含むものである。また、「幅方向に延びる」とは、少なくとも幅方向に一定の範囲を有する構成であればよく、幅方向に対する角度が45度未満となるように幅方向に対して傾斜しつつ前後方向に延びる構成も含むものである。
凹部52は、幅方向において凸部によって挟まれた空間である。より詳細には、凹部は、幅方向において対向して配置される凸壁部、凹底部、及び溝部によって囲まれた空間である。凹部の非肌対向側の面は、溝部における溝底部であり、凹部の肌対向側の面は、幅方向において対向して配置される凸壁部の頂部同士を繋いだ仮想面である。図3及び図5において、凹部の領域に斜線を付して示す。
凹部52は、前後方向L及び幅方向Wを含む平面方向に延びる凹底部53と、凹底部53よりも非肌対向面側T2に窪んだ溝部54と、を有する。溝部54は、平面視において略矩形である。溝部54は、凹部52内において前後方向Lに非連続的に設けられており、前後方向L及び幅方向Wに間隔を空けて形成されている。溝部54は、凹底部53から非肌対向面側T2に延びる溝壁部55と、溝壁部55よりも非肌対向面側T2に位置し、平面方向に延びる溝底部56と、幅凸部(分断部)57と、中間部58と、を有する。溝壁部55は、溝部54の外側縁に位置し、かつ前後方向Lに延びる第1溝面55Aと、溝部54の前後方向Lにおける端縁に位置し、かつ幅方向Wに延びる第2溝面55Bと、を有する。第1溝面55Aには、当該面を貫通する孔部55Cが形成されている。孔部55Cは、溝壁部55の厚さ方向の中心よりも溝底部56側に位置する。
トップシート50は、第1領域R1と、第2領域R2と、を有する。図1において、第1領域R1と第2領域R2とに異なる斜線を付して示す。第1領域R1は、少なくとも後胴回り域30に配置される。よって、第1領域R1上には、主に便が排出される。第1領域R1上に便が排出されると、便は、凸部51間の凹部52に収容される。第2領域R2は、少なくとも第1領域R1よりも前方において股下域25に配置される。よって、第2領域R2上には、主に尿が排出される。第1領域R1上に尿が排出されると、尿は、凸部51間の凹部52によって前後方向Lに拡散しつつ、吸収体40に導かれる。第2領域R2は、少なくとも第1領域R1の前方に配置されていればよいが、本実施の形態の第2領域R2は、トップシート50の第1領域R1以外の領域全体に配置されており、第1領域R1は、平面視において第2領域R2に囲まれている。
第1領域R1におけるトップシート50の形状は、第2領域R2におけるトップシート50の形状と異なる。図3及び図5は、第1領域R1のトップシート50を模式的に示した図である。図4及び図6は、第2領域R2のトップシート50を模式的に示した図である。第1領域R1における凸部及び凹部の形状と第2領域R2における凸部及び凹部の形状とが異なるため、使用者は、股下域25に配置されるトップシート50の吸収性能と、後胴回り域30に配置されるトップシート50の吸収性能と、の違いを把握でき、尿及び便の両方が適切に吸収されるという安心感を得ることができる。
凸部51は、第1領域R1の凸部である第1凸部511と、第2領域R2の凸部である第2凸部512と、を有する。凹部52は、第1領域R1の凹部である第1凹部521と、第2領域R2の凹部である第2凹部522と、を有する。凹底部53は、第1領域R1の凹底部である第1凹底部531と、第2領域R2の凹底部である第2凹底部532と、を有する。凹部52は、溝部54を有する。溝部54は、第1領域R1の溝部である第1溝部541と、第2領域R2の溝部である第2溝部542と、を有する。溝壁部55は、第1領域R1の溝壁部である第1溝壁部551と、第2領域R2の溝壁部である第2溝壁部552と、を有する。溝底部56は、第1領域R1の溝底部である第1溝底部561と、第2領域R2の溝底部である第2溝底部562と、を有する。
第1領域R1のトップシート50には、第1凸部511と、第1凹部521と、中間部58と、幅凸部57と、が形成されている。第1領域R1において、第1凸部511は、前後方向Lに連続的に設けられており、幅方向Wにおいて予め定めた間隔で複数列設けられている。複数列の第1凸部511は、隣接する第1凸部511と平行に配置されている。第1凹部521は、幅方向Wにおける第1凸部511間に設けられている。第1凸部511と第1凹部521は、前後方向において平行であり、幅方向において交互に配置される。第1凹部521は、凹底部53として第1凹底部531と、溝部54としての第1溝部541と、溝壁部55としての第1溝壁部551と、溝底部56としての第1溝底部561と、を有する。
幅方向における第1凸部511間には、幅凸部57が設けられている。幅凸部57は、第1凹部内の前後方向に延びる空間を分断する分断部を構成する。幅凸部57は、幅方向Wに沿って配置され、幅凸部の外側縁は、凸壁部に当接している。幅凸部57の頂部(肌対向面側T1の頂点部分)は、第1凸部511の頂部(肌対向面側の頂点部分)よりも非肌対向面側T2に位置する。幅凸部57は、第1凹底部531よりも肌対向面側T1に突出する。幅凸部57は、各第1凹部521の幅方向の全域に設けられており、各第1凹部521内の空間の少なくとも一部を前後方向Lにおいて分断する。より詳細には、第1凹部521の前後方向に延びる空間の肌対向面側の領域(幅凸部よりも肌対向面側の領域)は、前後方向に分断されず、前後方向に連なっている。一方、第1凹部521の前後方向に延びる空間の非肌対向面側の領域(幅凸部が配置された領域)は、前後方向に分断されており、前後方向に非連続である。幅凸部57は、前後方向Lに間隔を空けて設けられている。よって、第1凹部521は、少なくとも一部において前後方向Lに非連続である。第1領域R1上に便が排出されると、便は、第1凸部511間の第1凹部521内に収容される。第1凹部521が前後方向Lに非連続である部分によって、第1凹部521内に収容された便が前後方向Lに拡散することを抑制できる。また、第1凸部511の頂部が幅凸部57の頂部よりも肌対向面側T1に位置するため、第1凹部521内の排泄物は、前後方向Lに沿って拡散し易く、幅方向Wに沿って拡散し難くなる。よって、便の横漏れを防ぐことができる。
幅方向における第1凸部511間であって、第1凹部521内には、中間部58が配置される。中間部58は、前後方向に沿って設けられている。中間部58は、第1凹底部531よりも肌対向面側T1に突出する。中間部58の頂部は、第1凸部511の頂部よりも非肌対向面側T2に位置する。中間部58は、第1凸部511間の領域の幅方向の中央に配置される。中間部58の幅方向の外側には、第1凹底部531がそれぞれ配置される。中間部58は、前後方向Lにおける幅凸部間に配置される。幅方向Wに隣接する一対の第1凸部と前後方向に隣接する一対の幅凸部57によって囲まれた領域において、中間部58は、当該領域の幅方向Wの中央に位置し、前後方向Lに分離して配置されている。前後方向に分離した中間部58の間には、第1凹底部531及び第1溝部541が設けられている。
中間部58が設けられた位置における幅方向Wに沿った断面(図3に示す断面)において、トップシート50には、第1凸部511、第1凹部521、第1凸部511の順序で、各部分が幅方向に隣接して設けられ、第1凹部521内において、第1凹底部531、第1溝部541、第1凹底部531、中間部58、第1凹底部531、第1溝部541、第1凹底部531の順序で、各部分が幅方向に隣接して設けられている。また、前後方向における中間部58間の位置における幅方向Wに沿った断面において、トップシート50には、第1凸部511、第1凹部521、第1凸部511の順序で、各部分が幅方向に隣接して設けられ、第1凹部521内において、第1凹底部531、第1溝部541、第1凹底部531の順序で、各部分が幅方向に隣接して設けられている。
幅方向における第1凸部511間に中間部58が設けられていることにより、第1凸部511が倒れるように変形した際に、第1凸部511が中間部58に引っ掛かり、幅方向において隣接する第1凸部511によって第1凹部521が全体を完全に覆われることを抑制できる。また、中間部58の頂部が第1凸部511の頂部よりも非肌対向面側T2に位置し、中間部58の高さが低いため、中間部58と第1凸部511が倒れるように変形した際に、中間部58と第1凸部511によって第1凹部521を完全に覆い難くなる。よって、便が排出された際に便を第1凹部内に導き易い状態を維持し易くなる。
第1溝壁部551の繊維の密度は、第1溝底部561の繊維の密度よりも低い。第1溝壁部551の繊維の密度が比較的低いため、第1凹部521内に収容された便等の排泄物に含まれる水分を繊維間の空隙を介して吸収体40に導くことができる。また、第1溝底部561の繊維の密度が比較的高いため、第1凹部521内に収容された便に接触し続けることができ、第1溝壁部551と第1溝底部561によって便を囲み、便を保持し続け易い。よって、第1凹部521内に収容された便が第1凹部外に流出し難くなり、着用者に再付着することを防ぐことができる。
なお、繊維の密度の高い部分と低い部分は、次の方法によって判断することができる。繊維密度は、シートの対象部分(例えば、1mm×1mmのサイズ)をデジタルマイクロスコープ又は電子顕微鏡等で約100倍程度に拡大し、単位面積内のシート表面に存在する繊維の本数を対比することで判断できる。好ましくは、第1領域内でそれぞれ30箇所確認を行い本数比較の傾向から、繊維本数が多い傾向にある対象部位が、高い繊維密度にある領域とする。
第2領域R2のトップシート50には、第2凸部512と、第2凹部522と、が形成されている。第2領域R2のトップシート50には、幅凸部及び中間部が形成されていない。第2凸部512は、前後方向Lに連続的に設けられており、幅方向Wにおいて予め定めた間隔で複数列設けられている。複数列の第2凸部512は、隣接する第2凸部512と平行に配置されている。第2凹部522は、幅方向Wにおける第2凸部512間に設けられている。第2凹部522の前後方向の長さは、第1凹部521の前後方向の長さよりも長い。第2凹部522は、本実施の形態のように前後方向に連続していてもよいし、前後方向に非連続であってもよい。第2凹部522の前後方向の長さが第1凹部521の前後方向の長さよりも長いため、第2領域に排出された尿は、前後方向に拡散し易くなる。よって、第2領域において広い面積で尿を引き込み、尿を迅速に吸収することができる。
第2凹部522は、凹底部53として第2凹底部532と、溝部54としての第2溝部542と、溝壁部55としての第2溝壁部552と、溝底部56としての第2溝底部562と、を有する。第2溝壁部552の繊維の密度は、第2溝底部562の繊維の密度よりも低い。第2溝壁部552の繊維の密度が比較的低いため、第2凹部522内に収容された尿等の水分を繊維間の空隙を介して吸収体40に導くことができる。
トップシート50には、複数の凹部及び凸部が設けられているため、トップシート50と吸収体40との間には、空間が形成されている。空間は、トップシート50の凸部51の非肌対向面側において前後方向に連続的に延び、トップシート50の凹部の非肌対向側において前後方向に連続的又は非連続的に延びる。このように、トップシート50と吸収体40との間に空間が形成されていることにより、トップシート50によって引き込んだ体液を当該空間に引き込むことができ、排泄物を迅速に吸収体によって吸収でき、トップシート上に体液が残ることを抑制できる。
第1領域R1におけるトップシートの高さ(第1溝底部561から第1凸部511の頂部までの長さ)R1Hは、第2領域R2におけるトップシートの高さ(第2溝底部562から第2凸部512の頂部までの長さ)R2Hよりも高い。第1領域R1におけるトップシートの高さが比較的高いことにより、第1領域が配置された領域において、着用者の肌と吸収体との距離を離すことができ、吸収体によって吸収された体液が肌側に戻ることを抑制し、着用者の肌をドライな状態で保ち易くなる。また、第1凸部511の高さ(第1凹底部531から第1凸部511の頂部までの長さ)511Hは、第2凸部512の高さ(第2凹底部532から第2凸部512の頂部までの長さ)512Hよりも高い。第1領域R1上に排出された便は、第1凸部511間の第1凹部521に収容される。このとき、第1凸部511の高さ511Hが第2凸部512の高さ512Hよりも高いため、第1凸部511による壁を比較的高く形成できる。便を挟む壁が高いため、一旦第1凹部521内に収容された便を第1凸部511によって保持し易くなる。その結果、第1凹部521内に収容された便の表面に着用者の肌が触れた際に、第1凹部521内に便を保持し続け、第1凹部521から便が出て着用者に再付着することを防ぐことができる。
第2凸部512の高さ512Hが第1凸部511の高さ511Hよりも低いため、第2領域R2における肌触りを向上できる。股下域25は、着用者の排泄口に接する。股下域25は、後胴回り域30と比較して着用者の肌に密着している。股下域25に当たる第2領域R2の第2凸部512の高さ512Hが抑えられているため、第2領域R2が位置する股下域が肌に密着した場合であっても、第2凸部512による肌への当たりを和らげることができる。肌触りが向上し、着用者の装着感が向上する。このような装着感を向上させる観点から、第2領域R2の面積は、第1領域R1の面積よりも広くてよい。肌触りが好適な第2領域R2の面積を広く設けることにより、装着感をより向上できる。
第1凸部511と第2凸部512は、前後方向Lにおいて連なっている。すなわち、凸部51は第1領域R1と第2領域R2を跨いで配置される。このような構成により、尿等の体液は、凸部に沿って前後方向に導かれ、第1領域R1と第2領域R2に跨って拡散される。よって、より迅速に尿等の体液を吸収できる。
立体ギャザー80の起立部83は、第1領域R1と第2領域R2を跨いで配置される。凸部51は第1領域R1と第2領域R2を跨いで配置されるため、起立部83が立ち上がる領域に凸部の切れ目による剛性差が形成され難い。当該剛性差による曲げ基点が形成され難く、立体ギャザーの起立性が維持され易い。第1凹部521に収容された便の幅方向外側に立体ギャザー80による防漏壁を設け、着用者の脚回りに便が付着することを防ぐことができる。
第1領域R1の中間部58と、第2凸部512は、前後方向Lにおいて連なっている。中間部58と第2凸部512は、幅方向に沿った断面が同じ形状であり、かつ同じ高さである。中間部58は、後述するトップシート50の製造工程において、第2賦形加工がなされていない部分であり、第1賦形加工によって第2凸部が形成され、当該第2凸部の形状が維持された部分である。中間部58と第2凸部512とが連なっていることによっても、尿の前後方向における拡散効果、及び立体ギャザーの起立性を高める効果を得ることができる。
第1領域R1において、第1凸壁部591と、第1凸壁部591と隣接する第1凹底部531と、がなす角度α(図3参照)は、第2領域R2において、第2凸壁部592と、第2凸壁部592と隣接する第2凹底部532と、がなす角度β(図4参照)よりも大きい。第1凸壁部591の立ち上がり角度αが第2凸壁部592の立ち上がり角度βより大きく、第1凸壁部591は、比較的急な傾斜となる。そのため、第1凸部511によって第1凹部521内に収容された排泄物を保持し易く、一旦収容した排泄物が第1凹部521から抜け出ることを抑制できる。
第2凸壁部592の立ち上がり角度αが第1凸壁部591の立ち上がり角度βより小さく、第2凸壁部592は、比較的緩やかな傾斜となる。第2領域R2は、少なくとも股下域25に配置される。股下域25は、後胴回り域30と比較して着用者の肌に密着している。第2領域R2の凸壁部が緩やかな傾斜であることにより、第2領域R2が位置する股下域が肌に密着した場合であっても、第2凸部512による肌への当たりを和らげることができる。
なお、凸壁部の立ち上がりの角度は、次の方法によって測定できる。コールドスプレー等を用い、吸収性物品から測定対象のシートを取り出し、測定箇所の凸部とその周辺を幅方向に平行に切断する。切断は、鋭利な刃物(例えば、カッターの替え刃)によって、出来る限り凸がつぶれないように行う。切断したシートにしわが寄らないように、トップシートを水平面に置いた状態で、切断面をマイクロスコープにて20倍に拡大し断面を撮影する。撮影の断面について、水平面に対する凸壁部の肌対向面側表面(毛羽立った繊維を除いた表面)の立ち上がり角度を測定する。
第1凸壁部591における繊維及び第2凸壁部592における繊維は、前後方向及び幅方向に沿って配向された繊維よりも、トップシートの厚さ方向に沿って配向された繊維を多く有する。このような吸収性物品によれば、凸部の非肌対向面側に空間が形成されているため、凸部の肌に対する当たりが柔らかくなり、着用者がふわふわとした感触を得ることができる。また、凸壁部による繊維は、厚さ方向に配向された繊維を多く含むため、凸壁部によって厚さ方向に体液を導きやすい。よって、凸部の高さを高く構成した場合であっても、凸壁部内の体液を吸収体側に迅速に導くことができ、凸壁部内に体液が残ることを抑制できる。
なお、凸部壁の繊維配向が厚み方向に配向するとは、シートに凸部及び凹部が形成された状態において繊維が厚み方向(シートの肌面側から非肌面側の方向)に対して、+45度から−45度の範囲内に配向していることをいう。また、繊維配向の測定は、株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−100を用いて行い、以下の測定方法で行った。(1)サンプルを観察台上に凸壁部表面を観察できるようにセットし、(2)イレギュラーに手前に飛び出した繊維を除いてサンプルの最も手前の繊維にレンズのピントを合わせ、(3)サンプルの3D画像をPC画面上に作成。次に(4)3D画像を2D画像に変換し、(5)測定範囲において凸壁部の厚み方向を適時等分する平行線を画面上に複数引く。(6)平行線を引いて細分化した各セルにおいて、それぞれの方向に向いている繊維本数を測定し、そして(7)設定範囲内における全繊維本数に対し、厚み方向に向かう繊維配向の繊維本数の割合と、厚み方向と直交する方向に向かう繊維配向の繊維本数の割合とを計算することにより、測定・算出することができる。
第2凹部522は、第1領域R1の前端縁からトップシート50の前端縁まで連続して配置されている。第2凹部522が連続して形成されているため、第1領域R1の前端縁からトップシートの前端縁まで体液を円滑に拡散でき、広い面積で迅速に尿を吸収体に移行させることができる。
第1凸部511の幅方向におけるピッチ511Pは、第2凸部512の幅方向におけるピッチ512Pよりも長い。凸部51の幅方向におけるピッチは、幅方向に隣接する各凸部の幅方向の中心間の距離である。第1凸部511の幅方向におけるピッチ511Pは、第2凸部512の幅方向におけるピッチ512Pよりも長いため、第1凸部511が第2方向に向かって倒れるように変形した際に、第1凸部511同士が重なり難くなり、第1凸部511によって第1凹部521を塞ぐことを抑制できる。また、第1凸部511間の空間が広くなり、便を収容する空間を広く形成できる。よって、トップシート50上に排出された便は、第1凹部521内に収容され、第1凸部511上に残り難くなる。着用者の肌に便が触れ続けることを抑制し、装着感を向上できる。また、第1領域の凹部内に多くの便を保持でき、凹部内の便の自重が増加する。繊維を有するトップシートにあっては、便の自重が増加することにより、便内に含まれる水分が繊維間の隙間を介して吸収体に透過し易くなる。よって、便内の水分を迅速に吸収体に移行させ、水分を多く含む軟便が肌に付着し続けることを抑制できる。
第1凸部511の幅方向におけるピッチ511Pは、2mmより長く、5mm以下とすることができる。第2凸部512の幅方向におけるピッチ512Pは、0.5mm以上、2mm以下とすることができる。このような構成により、主に尿を吸収する第2領域は、滑らかな触感にすることができ、主に便を吸収する第1領域は、吸収をしっかりするような厚みのある触感にすることができる。使い捨ておむつの1枚のトップシートにおいて、触感の異なる部分を設けることにより、着用者は、肌に対して優しい機能と、便をしっかりと吸収する機能と、を知覚することができる。
第1凸部511の第2方向におけるピッチは、第1凸部511の高さ511Hの2倍より長い。第1凸部511の幅方向におけるピッチ511Pが第1凸部511の高さの2倍より長いことにより、第1領域において幅方向に隣接する2列の第1凸部511が互いに近づく方向に倒れた場合であっても、第1凸部511によって第1凹部521が完全に塞がれることを抑制できる。よって、トップシート50上に排出された便は、第1凹部521内に収容され、第1凸部511上に残り難くなる。着用者の肌に便が触れ続けることを抑制し、装着感を向上できる。
図7は、トップシート上に排泄物が排出された際の排泄物の移動態様を模式的に示した図である。図7(a)は、第1領域R1における移動態様を示しており、図7(b)は、第2領域R2における移動態様を示している。第1領域R1上に便Xが排出されると、便Xは、第1凸部511間の第1凹部521に収容される。便Xは、第1凸部511によって挟まれ、第1凹部521内に留まる。また、第1凹部が幅凸部によって前後方向に分断されているため、第1凹部内に収容された便は、前後方向に拡散し難い。
また、水分を多く含む軟便は、第1凹部521の第1溝壁部551に形成された孔部55C及び第1凹底部531を介して、トップシートの非肌対向面側に位置する吸収体に移行する(図7(a)の矢印X1)。また、便に含まれる水分や尿等の体液は、孔部55Cを介して吸収体に移行するとともに、繊維の密度が比較的低い第1溝壁部551等を介してトップシートを通過し、吸収体に移行する(図7(a)の矢印X2)。
一方、第2領域R2上に尿Yが排出されると、尿Yは、第2凸部512間の第2凹部522を介して前後方向Lに拡散する(図7(b)の矢印Y1)。尿は、前後方向に間欠的に配置された第2溝部542内に導かれ、第2溝壁部552及び孔部55Cを介してトップシートを通過し、吸収体に移行する(図7(b)の矢印Y2)。このように、第2領域R2において尿を拡散し、迅速に尿を吸収体に移行させ、かつ第1領域R1において軟便及び体液を吸収体に移行させつつ、固形の便を保持し続けることにより、着用者の肌に対して体液や軟便が付着することを抑制し、装着感を向上できる。トップシートの第1領域R1と第2領域R2によって、性質の異なる尿と便を適切に吸収できる。
第1領域R1の前端縁R1Fは、使い捨ておむつ10の前後方向Lの中心よりも後方に位置し、吸収コア40aの第1低目付部41よりも後方に位置する。着用時に使い捨ておむつ10には、前方に位置する一対の第1低目付部41を繋ぐ曲げ基点と、後方に位置する一対の第1低目付部41を繋ぐ曲げ基点と、が形成される。当該2つの曲げ基点間は、着用者の股下に対向して配置される。第1領域R1は、第1低目付部41よりも後方に位置し、臀部に当接するように配置される。よって、第1領域R1の凹部に便を円滑に収容することができる。
第1領域R1の後端縁R1Rは、吸収コア40aの第2低目付部42よりも前方に位置する。第2低目付部42は、吸収コア40aの後端縁に設けられている。着用時にウエスト伸縮部85が収縮することにより、第2低目付部42よりも幅方向外側に位置する吸収コア同士が近づくように変形し、吸収コア40aの後端縁が着用者の臀部を覆うようなカップ形状を形成する。吸収コア40aの後端縁が着用者側に立ち上がるため、吸収コア40aの後端縁よりも後方に便が流れることを抑制できる。また、第2低目付部42よりも股下側に第1領域R1が配置されているため、便を確実に第1領域に留めて、第1領域における排泄物の保持及び吸収を促し、背中からの便の漏れを防ぐことができる。また、第1領域R1は、第2低目付部42よりも前方に位置し、第2低目付部42を基点に吸収コア40aが変形した場合であっても、比較的平坦な状態を維持できる。よって、第1領域の凹部内に便を導き易い状態を維持できる。
補助シート77の前端縁77Fは、第1領域R1の前端縁R1Fよりも前方に位置し、補助シート77の後端縁77Rは、第1領域R1の後端縁R1Rよりも後方に位置する。すなわち、補助シートは、前後方向において第1領域よりも前後方向外側に延出している。補助シートは、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁よりも前後方向の外側に延びるため、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁の剛性を高め、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁に皺が集中することを抑制できる。皺によって凸部同士が重なり合うように倒れることを抑制し、第1凸部及び第1凹部の形状を維持できる。
第1領域R1の平面視における四隅は、曲線状である。着用者の身体の形状は、一般的に、前胴回り域20が配置される腹側よりも、後胴回り域30が配置される臀部側の方が膨らんでいる。第1領域R1の四隅が曲線状であるため、後胴回り域30が着用者に臀部の丸みに沿って配置される際に、第1領域R1の四隅が体に馴染み易く、装着感を向上できる。また、第1領域の四隅に位置する第1凸部は、第2凸部と前後方向において連なっている。よって、後胴回り域30が着用者に臀部の丸みに沿って配置される際に、第1領域R1の四隅が体に馴染み易く、装着感を向上できる。
第1領域R1の後端縁R1Rは、起立部83の収縮領域S1よりも後方に位置する。起立部83の第2固定部82側は、立ち上がり基点と近いため、起立部83の前後方向の中央と比較して、立ち上がり高さを確保し難い。また、収縮領域S1より後方の領域は、サイド弾性部材71によって収縮しないため、起立部83の立ち上がり高さを確保し難い。当該収縮領域S1よりも後方に第1領域R1が配置されているため、後胴回り域30における第2固定部82側のトップシート50の剛性が高くなる。起立部83よりも非肌対向面側T2に位置するトップシート50の剛性が高くなることにより、起立部83が立ち上がり易くなり、起立部83の高さを確保し易くなる。よって、後胴回り域30における便の横漏れを防ぐことができる。また、起立部83が立ち上がり易くなるため、立体ギャザー80によってトップシート50が覆われ難くなり、排出された便を第1凹部521内に導き易くなる。
第1領域R1の後端縁R1Rは、前後方向Lにおいて起立部83の後端縁とずれて配置されている。起立部83の後端縁は、起立部83の立ち上がりの変形基点となるため、トップシート50の皺が集中し易い。起立部83の後端縁と第1領域R1の後端縁R1Rがずれているため、立体ギャザー80によって、トップシート50の皺が第1領域の後端縁に集中することを抑制できる。皺によって第1凸部511同士が重なり合うように倒れることを抑制し、第1凸部511及び第1凹部521の形状を維持できる。
第1領域R1の後端縁R1Rは、一対の止着部91間の領域よりも前方に位置する。一対の止着部91間の領域は、ファスニングテープ90の左右の止着部91を繋ぐ領域である。第1領域R1は、一対の止着部91間の領域と離間している。一対の止着部91間の領域は、止着部91が前胴回り域20に止着された装着状態で身体に対して密着する領域である。一対の止着部91間の領域と第1領域R1とが離間しているため、第1領域R1の凹部内に収容された便が着用者の肌から離れた状態を実現し易い。
第1領域R1の後端縁は、ウエスト伸縮部85よりも前方に位置する。第1領域R1は、ウエスト伸縮部85が配置された領域と離間している。ウエスト伸縮部85が配置された領域は、装着状態で身体に対して密着する領域である。第1領域R1とウエスト伸縮部85が配置された領域とが離間しているため、第1領域R1の凹部内に収容された便が着用者の肌から離れた状態を実現し易くなる。
第1領域R1は、幅方向における一対の第1固定部81間に配置される。第1領域R1の外側縁は、第1固定部81よりも幅方向の内側に位置する。後胴回り域30における第1固定部81間のトップシート50の剛性が高くなり、起立部の高さを確保し易くなる。よって、後胴回り域における便の横漏れを防ぐことができる。また、起立部83が立ち上がり易くなるため、立体ギャザー80によってトップシートが覆われ難くなり、排出された便を凹部内に導き易くなる。
(3)吸収体の圧搾部の構成
次いで、図8及び図9に基づいて、吸収体40の圧搾部60について説明する。図8(a)は、吸収体40の肌対向面側から視認した平面図であり、図8(b)は、吸収体40の非肌対向面側から視認した背面図である。図9は、吸収体40の線状圧搾部63とトップシートの凸部51及び凹部52との位置関係を示す図である。図9は、平面視にて視認した状態であり、吸収体の非肌対向面側に設けられる線状圧搾部63を二点鎖線で示している。吸収体には、厚さ方向に圧搾された圧搾部60が形成されている。圧搾部60は、吸収コア40aがコアラップ40bによって覆われた状態で、コアラップ40bの上から形成されている。なお、圧搾部60は、吸収コア40aのみに形成されていてもよい。
吸収体の40の圧搾部60は、吸収体の肌対向面側に設けられた第1圧搾部61と、吸収体の非肌対向面側に設けられた第2圧搾部62と、を有する。第1圧搾部61は、吸収体40の肌対向面側T1から非肌対向面側T2に向かって圧縮されている。第1圧搾部61は、前後方向L及び幅方向Wにおいて非連続的に配置されている。第1圧搾部61は、間欠的に配置されていればよく、点状であってもよいし、短い線状であってもよい。当該短い線状とは、10mm以下の長さの線状である。第1圧搾部61は、前後方向Lに間隔を空けて配置され、かつ幅方向Wにおいて間隔を空けて配置されている。第1圧搾部61は、平面視において千鳥状に配置されている。各第1圧搾部61の幅方向の長さは、第1圧搾部61の前後方向の長さよりも長い。
第2圧搾部62は、吸収体40の非肌対向面側T2から肌対向面側T1に向かって圧縮されている。第2圧搾部62は、前後方向に連続的に配置される線状圧搾部63と、前後方向L及び幅方向Wにおいて非連続的に配置される点状圧搾部64と、を有する。線状圧搾部63は、トップシート50の凸部51と交差する方向に延びている。線状圧搾部63は、図9に示すように、平面視にてトップシート50の凸部と交差する方向に延びてればよく、凸部の延びる第1方向と線状圧搾部が延びる方向とが平面視にて交差するように配置されていればよい。凸部と線状圧搾部63とは、実際に交差するように接してなくてよい。線状圧搾部63は、前後方向に連続的に延びている。線状圧搾部63は、幅方向に間隔を空けて配置されている。線状圧搾部は、平面視において凸部が延びる前後方向に対して交差している。線状圧搾部63は、幅方向において隣接する複数の凸部を跨がって配置されている。
線状圧搾部63は、平面視において、幅方向に一定長さの振幅を有する波形状である。線状圧搾部63は、前後方向及び幅方向と交差する第1傾斜方向に延びる第1部63Aと、第1傾斜方向と交差し、かつ前後方向及び幅方向と交差する第2傾斜方向に延びる第2部63Bと、を有する。第1部63A及び第2部63Bは、凸部が延びる前後方向に対して傾斜している。第1部63A及び第2部63Bは、前後方向Lに沿って交互に配置され、かつ前後方向Lにおいて連なっている。第1部63Aの前後方向Lの長さは、第1部63Aの幅方向Wの長さよりも長く、第2部63Bの前後方向の長さは、第2部63Bの幅方向の長さよりも長い。第1部63Aと第2部63Bによって囲まれた領域は、平面視にて菱形形状である。線状圧搾部63の第1部63A及び第2部63Bは、平面視にて、幅凸部57と交差する方向に延びる。よって、幅凸部が倒れるように変形することを抑制し、第1凹部内に収容された便を収容し続け易くなる。
また、幅方向Wに隣接する一対の第1凸部と前後方向に隣接する一対の幅凸部57によって囲まれた領域は、第1凸部と幅凸部よりも窪んだ収容空間が形成される。1つの収容空間を構成する一対の第1凸部と一対の幅凸部のうち、少なくとも一の第1凸部と一の幅凸部を跨がるように、線状圧搾部63が配置されている。このような構成によれば、線状圧搾部63によって収容空間を囲む第1凸部及び幅凸部が倒れ難くなり、収容空間を確保しやすくなる。
点状圧搾部64は、前後方向L及び幅方向Wにおいて間欠的に配置される。点状圧搾部64は、線状圧搾部63の第1部63Aと第2部63Bによって囲まれた領域内に配置される。第1部63Aと第2部63Bによって囲まれた領域内には、複数の点状圧搾部が配置されている。なお、第2圧搾部62は、点状圧搾部を備えずに、線状圧搾部のみによって構成されていてもよい。
第1圧搾部61の深さは、第2圧搾部62の深さと異なる。第1圧搾部の深さは、第1圧搾部が形成されることによって凹んだ部分の厚み方向における長さである。第2圧搾部の深さは、第2圧搾部が形成されることによって凹んだ部分の厚み方向における長さである。第2圧搾部62の深さは、第1圧搾部61の深さよりも深い。より詳細には、線状圧搾部63の深さ63Tは、第1圧搾部61の深さ61Tよりも厚く、点状圧搾部64の深さ64Tは、第1圧搾部61の深さ61Tよりも厚い。
このような吸収性物品によれば、肌対向面側に形成された第1圧搾部の深さが比較的浅いため、吸収体の肌対向面を比較的柔くすることができ、トップシートの触感を柔らかくすることができる。一方、非肌対向面側に形成された第2圧搾部の深さが比較的深いため、体液を吸収した後も第2圧搾部による溝を維持でき、第2圧搾部によって凸部の倒れを抑制する効果を維持できる。すなわち、吸収体の肌対向面側と非肌対向面側とで圧搾部の深さを異ならせることにより、柔らかい触感を維持する効果と、排泄物を収容し、装着感の悪化や漏れの発生を低減できる効果と、を両立することができる。
圧搾部を構成する線状圧搾部63は、前後方向に連続しており、線状圧搾部の前端縁は、第1領域の前端縁よりも前方に位置し、線状圧搾部の後端縁は、第1領域の後端縁よりも後方に位置する。線状圧搾部は、吸収体の非肌対向面の全体に設けられており、線状圧搾部の前端縁は、吸収体の前端縁に一致し、線状圧搾部の後端縁は、吸収体の後端縁に一致する。
第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁は、隣接する境界に対して剛性が変化する部分である。剛性が変化する部分では、トップシートの皺が集中し易い。圧搾部は、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁よりも前後方向の外側に延びるように前後方向に連続しているため、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁の剛性を高め、第1領域の後端縁及び第1領域の前端縁に皺が集中することを抑制できる。皺によって第1凸部同士が重なり合うように倒れることを抑制し、第1凸部及び第1凹部の形状を維持できる。
線状圧搾部63は、平面視にて、幅方向において隣接する複数の第1凸部を跨がるように配置される。隣接する凸部を跨がるように線状圧搾部が配置されているため、隣接する複数の凸部が倒れ難くなる。よって、隣接する凸部間に、便を収容可能な凹部を配置できる。また、隣接する複数の凸部が倒れにくいことより、便を収容可能な凹部を複数配置できる。よって、便は、集合した状態で配置された第1凹部内に収容される。纏まった量の排泄物が複数の第1凹部内に収容されるため、着用者及び装着補助者は、視覚にて便の収容状態を把握し易くなり、排泄部の漏れや装着感の向上についての安心感を得ることができる。
(4)トップシートの変形態様
次いで、図10に基づいてトップシート50の変形態様について説明する。図10は、トップシートの変形態様を模式的に示す図である。図10(a)は、本実施の形態に係るトップシートの変形態様を示しており、図10(b)は、比較例に係るトップシートの変形態様を示す図である。図10(a)は、図3に示す第1領域における断面を基準としている。図10(b)は、凸部間に中間部が配置されていないトップシートであって、圧搾部が形成されていない吸収体の肌対向面側に配置されているトップシートの変形態様である。
吸収性物品は、装着時に着用者の身体の丸みに沿って配置される。装着時に、吸収性物品の肌対向面側に位置するトップシートは、凸部同士が近づくように変形し、凹部内に便を導き難くなることがある。しかし、吸収体は、圧搾部を有しており、当該圧搾部は、第1領域と重なる領域において凸部が延びる第1方向と交差する線状圧搾部63を有する。よって、第1領域において、凸部が延びる方向に対して線状圧搾部による高剛性部を形成できる。線状圧搾部63による高剛性部が凸部から第2方向両側に向かって延び、凸部が倒れるように変形し難くなる。よって、隣接する凸部同士が近づくように変形し過ぎることを抑制でき、凸部間の凹部が塞がれることを抑制できる。排泄物を凹部内に収容することにより、凸部上に残る排泄物が着用者の肌に付着し続けることを抑制し、装着感を向上できる。また、排泄物を凹部内に収容し、漏れの発生を抑制できる。
また、吸収体は、排泄物を吸収した際に膨潤し、変形し易くなることがある。吸収体が変形し易いと、吸収体の肌対向面側に位置するトップシートが意図しない状態で変形し、凸部が倒れ、凸部によって凹部を塞ぐおそれがある。また、吸収体が膨潤することにより、吸収体の肌対向面に意図しない起伏が形成され、トップシートが意図しない状態で変形し、凸部が倒れ、凸部によって凹部を塞ぐおそれがある。しかし、圧搾部による高剛性部が凸部から第2方向両側に向かって延び、凸部が倒れるように変形し難くなる。よって、隣接する凸部同士が近づくように変形し過ぎることを抑制でき、凸部間の凹部が塞がれることを抑制できる。
また、実施の形態に係るトップシートは、凸部と、当該凸部よりも非肌対向面側に位置する中間部を有することにより、当該凸部と中間部が倒れるように変形した際に、凸部の頂部と中間部の頂部が重なり難くなったり、凸部の頂部と中間部の頂部が重なる長さが短くなったりして、凸部と中間部の間に位置する凹部の肌対向面を完全に覆うことを抑制できる。よって、便が排出された際に便を凹部内に導き易い状態を維持し易くなる。
一方、比較例に係るトップシートは、凸部が延びる方向に対して線状圧搾部による高剛性部が設けられていないため、凸部が倒れやすく、隣接する凸部によって凹部を覆う。また、比較例に係るトップシートは、当該凸部よりも非肌対向面側に位置する中間部を有しないため、隣接する凸部が近づくように倒れた際に、凸部の頂部同士が重なり、隣接する凸部によって凹部を覆う。よって、凸部間の凹部内に、便を引き込み難い。
(5)トップシートの製造装置及び製造方法
次いで、図11から図17に基づいて、トップシートを構成する不織布の製造装置及び製造方法について説明する。図11は、トップシートを構成する不織布を製造するための製造装置100の一例を模式的に示す図である。この製造装置100は、加工対象の不織布Nがロール状に巻かれ、不織布Nを搬送方向MDに向けて巻き出す巻出装置105と、巻出装置105から供給された不織布Nに予熱を与える予熱装置106と、予熱を与えた不織布Nを延伸して凸部及び凹部(溝部含む)を形成するための賦形加工を行う賦形装置と、を備えている。賦形装置は、第1賦形装置101と、第2賦形装置102と、を備える。製造装置100を用いて、不織布Nの製造方法を実施する場合には、巻出装置105から巻き出された不織布Nに対して予熱を加える予熱工程と、予熱工程を経た不織布Nを延伸して賦形加工する第1賦形工程と、第1賦形工程を経た不織布Nを延伸して賦形加工する第2賦形工程と、を順次行う。
予熱装置106は、巻出装置105の搬送方向の下流側に配置され、巻出装置105から供給された不織布Nに予熱を与える。予熱装置106は、上下一対の加熱ロール106a,106bを備えていて、搬送されてきた不織布Nを、回転している下方の加熱ロール106bに巻き付けて加熱した後、回転している上方の加熱ロール106aに受け渡し、その加熱ロール106aによって不織布Nを再度加熱することが可能となっている。予熱工程は、巻出装置105から巻き出され、搬送方向MDに沿って搬送されてきた不織布Nを、予熱装置106の加熱ロール106a,106bの外周面に順次接触させることにより、不織布Nを加熱して予熱を加える。
第1賦形装置101は、予熱装置106の搬送方向MD下流側に配置される。第1賦形装置101は、トップシート50の幅方向の全域に対応する領域において、第2凸部512及び第2凹部522を形成する。第1賦形装置101は、上側の第1円盤ロール101aと、下側の第1ピンロール101bと、を有する。図12は、第1円盤ロール101aの外周面を模式的に示す平面図であり、図13は、第1ピンロール101bの外周面を模式的に示す平面図である。図14は、第1賦形装置の第1円盤ロールと第1ピンロールとの噛み合わせ状態を示す要部拡大図である。
第1円盤ロール101aは、ロール幅方向W1に一定の間隔で配設された突稜101cと、隣り合う突稜101cの間に設けられた複数列の凹溝101dとを備えている。突稜101cと凹溝101dは、ロール幅方向W1において交互に設けられ、ロール周方向C1において連続して設けられている。一方、第1ピンロール101bは、外周面に、第1円盤ロール101aの凹溝101dと噛み合うように設けられた複数のピン101eを備えている。図14に示すように、これらのピン101eは、ロール幅方向W1に対しては、第1円盤ロール101aの突稜101cと接触しないように一定の間隔で配設されていると共に、ロール周方向C1に対しては、外周面に沿って一定の間隔でほぼ直線的に配設されている。また、図13に示すように、複数のピン101eは、第1ピンロール101bの外周面に千鳥状に配設されている。
第1賦形工程は、予熱工程を経て搬送されてきた不織布Nを、第1賦形装置101において、上下一対のロール101a,101bの間を通過させ、不織布を、第1円盤ロール101aの突稜101c及び凹溝101dと、第1ピンロール101bのピン101eとの間で延伸して賦形する。このとき、第1円盤ロール101aは、突稜101cが不織布Nと接触している部分を第1ピンロール101bの方向に押し込み、これにより第2凸部512が賦形される。
第1ピンロール101bは、周方向に一列に並んでいる複数のピン101eが、そのピン101eの先端部分に接触している不織布Nを、第1円盤ロール101aの同一の凹溝101d内に押し込む。このとき、不織布Nのうち、ピン101eと非接触状態で凹溝101d内に引っ張られた部分は、第2凹部522となる。また、不織布のうち、ピン101eの先端部分と接触していた部分は、凹溝101d内に強く押し込まれて賦形される。ピン101eの先端部分と接触していた部分は、第2溝部542となる。第2溝部542には、第2凸部512及び第2凹部522が延設される方向に延びる第1溝面55A、及びロール幅方向に延びる第2溝面55B、及び第2溝底部562が形成される。第2溝底部562は、形成時において、第1円盤ロール101aと第1ピンロール101bとが不織布Nを噛み込んだ状態で、ピン101eの先端部分が不織布Nの当接部分を凹溝101d内に押し込むため、実質的に繊維密度が他の部分よりも高くなる。
そして、不織布Nにおいて、ピン101eの先端部分の幅方向(ロール幅方向)の両端部に接触していた部分は、突稜101cが不織布Nを第1ピンロール101bの方向に押し込む際に発生する張力も手伝って、ピン101eが第1溝面55Aを形成する熱可塑性樹脂繊維を掻き分けたり、繊維を破断したりする。これにより、第2溝部542に、孔部55Cが形成されることとなる。ここで、孔部55Cは、不織布Nの搬送方向MDに沿う方向であって、第2凸部512及び第2凹部522が延設される方向に沿い、第1溝面55Aに形成される。
第2賦形装置102は、第1賦形装置101の搬送方向下流側に配置される。第2賦形装置102は、第1領域R1に対応する領域において、第1凸部511、第1凹部521、中間部58及び幅凸部57を形成する。第2賦形装置102は、上側の第2円盤ロール102aと、下側の第2ピンロール102bと、を有する。図15は、第2円盤ロール102aの外周面を模式的に示す平面図であり、図16は、第2ピンロール102bの外周面を模式的に示す平面図である。図17は、第2賦形装置の第2円盤ロールと第2ピンロールとの噛み合わせ状態を示す要部拡大図である。
第2円盤ロール102aは、ロール幅方向W1に一定の間隔で配設された突稜102cと、隣り合う突稜102cの間に設けられた複数列の凹溝102dとを備えている。突稜102cと凹溝102dは、ロール幅方向W1において交互に設けられ、ロール周方向C1において連続して設けられている。一方、第2ピンロール102bは、外周面に、第2円盤ロール102aの凹溝102dと噛み合うように設けられた複数のピン102eを備えている。ピン102eは、第2ピンロール102bの外周面全体に設けられてなく、第1領域R1に対応する領域のみに設けられている。第2賦形装置102は、第1領域R1に対応する領域のみに賦形加工し、その他の領域には賦形加工しない。よって、その他の領域には、第1賦形装置101による賦形加工のみが形成される。
図17に示すように、第2ピンロールのピン102eは、ロール幅方向に対しては、第2円盤ロール102aの突稜102cと接触しないように配設され、かつロール幅方向に沿って一定の間隔でほぼ直線的に配設されている。ピン102eは、ロール周方向C1に対しては、外周面に沿って一定の間隔でほぼ直線的に配設されている。ピン102eは、平面視にて矩形である。ピン102eには、突出部102fと、凹み部102gと、が設けられている。突出部102fは、第2円盤ロール側に突出した部分であり、第1溝部541に対応する領域に設けられる。凹み部102gは、突出部102fよりも外周面側に凹んだ部分であり、中間部58及び第1凹底部531に対応する領域に設けられる。
第2賦形工程は、第1賦形工程を経て搬送されてきた不織布Nを、第2賦形装置102において、上下一対のロール102a,102bの間を通過させ、不織布を、噛み合っている第2円盤ロール102aの突稜102c及び凹溝102dと、第2ピンロール102bのピン102eとの間で延伸して賦形する。このとき、第2円盤ロール102aは、突稜102cが不織布Nと接触している部分を第2ピンロール102bの方向に押し込み、これにより第1凸部511が賦形される。
第2円盤ロール102aの突稜102cの高さは、第1円盤ロールの突稜101cの高さよりも高い。よって、第1凸部511の高さ511Hは、第2凸部512の高さ512Hよりも高くなる。また、第2円盤ロール102aの突稜102cのロール幅方向W1におけるピッチは、第1円盤ロール101aの突稜101cのロール幅方向W1におけるピッチよりも長い。より詳細には、第2円盤ロール102aの突稜102cのロール幅方向W1におけるピッチは、第1円盤ロール101aの突稜101cのロール幅方向におけるピッチの2倍である。よって、幅方向において隣接する第2凸部のうち、一方の第2凸部512は、第1凸部511に賦形される。他方の第2凸部512は、第2凸部512の状態で維持されて第1領域R1における中間部58を構成し、または第1溝部541に賦形される。
ロール幅方向W1における突稜102c間の中心には、凹み部102g又は突出部102fが位置する。ピン102eのロール幅方向W1の中心を通り、ロール周方向C1に沿った断面において、ピン102eのロール周方向C1の中心には、突出部102fが配置され、当該突出部102fに対するロール周方向C1の両外側には、凹み部102gが配置されている。ロール幅方向における突稜102c間の中心(ピン102eのロール幅方向の中心)には、第1賦形装置によって第2凸部512が形成されている。ロール幅方向における突稜102c間の中心に位置する凹み部102gは、不織布を賦形しない。よって、突稜102c間の中心に位置する凹み部102gに対応する部分は、第2凸部512の状態で維持される。第2凸部512の状態で維持された部分は、第1領域R1における中間部58を構成する。一方、突稜102c間の中心に位置する突出部102fは、第1溝部541を賦形する。
第2ピンロール102bは、ロール周方向C1及びロール幅方向W1に列状に並んでいる複数のピン102eが、そのピン102eの先端部分に接触している不織布Nを、第2円盤ロール102aの同一の凹溝102d内に押し込む。このとき、不織布Nのうち、ピン102eと非接触状態で凹溝102d内に引っ張られた部分は、ロール周方向に間隔を空けて設けられ、幅凸部57となる。また、ピン102eの平面視における四隅に位置する突出部102fと接触していた部分は、凹溝102d内に強く押し込まれて賦形される。ピン102eの突出部102fと接触していた部分は、第1溝部541が賦形される。第1溝部541には、第1凸部511及び第1凹部521が延設される方向に延びる第1溝面55A、及びロール幅方向に延びる第2溝面55B、及び第1溝底部561が形成される。第1溝底部561は、形成時において、第2円盤ロール102aと第2ピンロール102bとが不織布Nを噛み込んだ状態で、ピン102eの先端部分が不織布Nの当接部分を凹溝102d内に押し込むため、実質的に繊維密度が他の部分よりも高くなる。突出部102fcが不織布Nを押し込む際に発生する張力も手伝って、ピン102eが第1溝面55Aを形成する熱可塑性樹脂繊維を掻き分けたり、繊維を破断したりする。これにより、第2溝部542に、孔部55Cが形成されることとなる。ここで、孔部55Cが形成されるのは、不織布Nの搬送方向MDに沿う方向、即ち、ロール102a,102bの回転方向であって、第2凸部512及び第2凹部522が延設される方向であり、第1溝面55Aに形成される。
ロール周方向において四隅の突出部の間の凹み部(各ピンのロール幅方向の外側に位置する凹み部)に接触していた部分は、第1凹底部531が賦形される。また、ロール幅方向において四隅の突出部の間の凹み部(各ピンのロール周方向の外側に位置する凹み部)に接触していた部分は、賦形されず、第2凸部の状態で残り、中間部を構成する。このような製造装置及び製造方法によって、本実施の形態に係るトップシート50を製造することができる。
(6)その他の実施形態
上述の実施形態では、第1方向が長手方向であり、第2方向が幅方向の形態である。しかし、本発明に係る吸収性物品は、第1方向が幅方向であり、第2方向が長手方向である実施形態を含むものである。
また、立体ギャザーは、上述の実施の形態に記載の構成に限定されない。上述の実施の形態に係る立体ギャザーの起立部は、幅方向の内側に向かって立ち上がるよう構成されている。変形例に係る立体ギャザーの起立部は、幅方向の外側に向かって立ち上がるよう構成されていてよい。変形例に係る立体ギャザーは、サイドシート70を幅方向の外側に向けて折り返し、当該折り返した部分の前後方向の端部をサイドシート等に固定することによって形成できる。当該変形例に係る立体ギャザーにおいては、当該折り返した部分の前後方向の端部が収縮領域の前後方向の外側に位置し、第2固定部を構成する。
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。