以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。可能な場合には、同様の機能を有する部分には適宜同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る情報処理装置を含むシステムの全体構成を示す図である。図2は、図1に示すシステムにおける各装置の機能構成を示すブロック図である。本実施形態では一例として、ユーザ(図1の例ではユーザD)により指定されたトイレ(一の施設)に滞在するユーザ(滞在ユーザ)の利用終了時刻を予測し、予測された利用終了時刻に基づいて指定トイレを利用可能となる利用可能時刻を算出し、利用可能時刻に基づく待ち時間を当該ユーザに通知するシステム1Aについて説明する。上記システム1Aは、トイレの各個室内に設けられた無線機器10と、トイレを利用するユーザにより携帯される通信端末20と、通信端末20から送信された情報に基づいてトイレの待ち時間を予測し、予測された待ち時間をユーザに通知する情報処理装置30と、を備えて構成される。
無線機器10は、トイレの各個室(例えば各個室に設けられた便器の裏側等)に設けられる近距離無線装置である。無線機器10は、例えばBlueTooth Low Energy(BLE。登録商標)及びWi-Fi等に基づく無線通信を行うアクセスポイント等である。無線機器10は、当該無線機器10を識別する個体識別番号(BSSID)を含む無線電波を継続的に発信する。
通信端末20は、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット、PDA等である。通信端末20は、機能的要素として、近距離無線通信部21と、データ通信部22と、情報提示部23と、を備えている。これらの機能的要素は、通信端末20にインストールされたアプリケーションの機能として実現される。
近距離無線通信部21は、無線機器10から発信される無線電波を一定期間毎に受信する。例えば、通信端末20を保持するユーザ(図1の例ではユーザA〜C)が、トイレの個室に入室し、通信端末20が無線機器10の無線電波を受信可能な範囲に入ると、近距離無線通信部21は、無線機器10から発信される無線電波を受信する。近距離無線通信部21は、無線機器10から発信された無線電波を受信すると、当該無線電波に含まれるBSSIDと、当該無線電波を受信した際の電波強度と、をデータ通信部22に通知する。
データ通信部22は、インターネット等の電気通信回線ネットワーク及び移動体通信等の通信ネットワークを介して情報処理装置30との間でデータ通信を行う。具体的には、データ通信部22は、近距離無線通信部21からBSSID及び電波強度を通知されると、図3に示すフローに基づく動作を実行する。すなわち、データ通信部22は、近距離無線通信部21から通知されたBSSIDがトイレに設けられた無線機器に紐付くIDとして予め登録されているか否かを判定する(ステップS11)。本実施形態では一例として、データ通信部22は、トイレに設けられた無線機器のBSSIDの一覧を示す登録情報を予め保持しており、近距離無線通信部21から通知されたBSSIDがこの登録情報に含まれているか否かにより、上記判定を実行する。
近距離無線通信部21から通知されたBSSIDが登録情報に含まれている場合(ステップS11:YES)には、データ通信部22は、近距離無線通信部21から通知されたBSSID及び電波強度と、通信端末20を所有するユーザを識別するユーザIDと、を含む電波情報を情報処理装置30に送信する(ステップS12)。ここで、ユーザIDは、通信端末20のユーザを識別可能なものであれば何でもよく、例えば通信端末20内に記憶されている通信端末20の契約者番号や電話番号等であってもよい。一方、近距離無線通信部21から通知されたBSSIDが登録情報に含まれていなかった場合(ステップS11:NO)には、データ通信部22は、情報処理装置30に対するデータ送信を行わない。
続いて、データ通信部22は、一定期間通知処理(ステップS12の処理)を停止し(ステップS13)、一定期間経過後、近距離無線通信部21から通知されたBSSIDに対して、ステップS11の判定処理を再度実行する。データ通信部22が上述のステップS11〜S13で示されるように動作することにより、通信端末20の近距離無線通信部21が登録情報に含まれているBSSIDを含む無線電波を受信し続けている間、データ通信部22から情報処理装置3に対して、BSSID、電波強度、及びユーザIDを含む電波情報が一定期間毎に送信される。
データ通信部22は、通信端末20に設けられたタッチパネル及びキーボード等の入力装置を介してユーザにより入力された情報を情報処理装置30に送信する機能も有する。本実施形態では一例として、ユーザは、自身が所有する通信端末20にインストールされたアプリケーションに対して、現時点での待ち時間を把握したい対象のトイレを指定トイレとして入力できるようになっている。このような入力がされた場合、システム1Aにおいて、以下のように処理が実行される(詳しくは後述)。データ通信部22は、入力された指定トイレの情報を情報処理装置30に送信する。情報処理装置30は、新たに指定トイレを利用しようとするユーザが当該指定トイレを利用することが可能となる時刻(利用可能時刻)を予測し、予測された利用可能時刻に基づく待ち時間に関する情報を通信端末20に送信する。通信端末20(データ通信部22)は、当該待ち時間に関する情報を受信し、情報提示部23に受け渡す。
情報提示部23は、情報処理装置30から取得した待ち時間に関する情報をユーザに提示する。例えば、情報提示部23は、通信端末20が備えるディスプレイに表示したり、通信端末20が備えるスピーカから音声を出力したりすることにより、指定トイレの待ち時間に関する情報をユーザに提示する。このような一連の動作によって、通信端末20のユーザは、指定トイレの待ち時間を適時に把握することが可能となる。
情報処理装置30は、大きく分けて、記録処理と予測処理とを実行可能に構成された装置である。記録処理とは、一以上の通信端末20から受信した電波情報に基づいて各通信端末20のユーザがトイレに滞在した時間帯に含まれる滞在時刻(例えば入室時刻及び退室時刻等)に関する情報を記録する処理である。予測処理とは、ユーザからの要求(指定トイレの入力)に応じて、蓄積された滞在時刻に関する情報に基づいて指定トイレの利用可能時刻を予測し、予測された利用可能時刻に基づく待ち時間を当該ユーザに通知する処理である。
情報処理装置30は、上述の記録処理及び予測処理を実行するために、受信部31と、滞在ログ記録部32と、要求受付部33、滞在ユーザ抽出部34と、滞在時間算出部35と、利用終了時刻予測部36と、待ち時間通知部37と、を備える。受信部31及び滞在ログ記録部32は、主に記録処理を実行するための機能要素であり、要求受付部33、滞在ユーザ抽出部34、滞在時間算出部35、利用終了時刻予測部36、及び待ち時間通知部37は、主に予測処理を実行するための機能要素である。
図4は、情報処理装置30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、情報処理装置30は、一以上のCPU(Central Processing Unit)30A、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)30B及びROM(Read Only Memory)30C、通信端末20とのデータ通信を行うための通信モジュール30D、並びにハードディスク等の補助記憶装置30E等のハードウェアを備えるコンピュータシステムとして構成される。情報処理装置30は、物理的に1台のサーバ装置として構成されてもよいし、互いに協調して動作する複数のサーバ装置として構成されてもよい。情報処理装置30の各機能は、例えば、RAM30B等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU30Aの制御のもとで通信モジュール30Dを動作させ、RAM30B及び補助記憶装置30Eにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
まず、記録処理について説明する。記録処理は、受信部31及び滞在ログ記録部32により実行される。
受信部31は、一以上のトイレの各個室に設けられた無線機器10からの無線電波を受信した通信端末20から、通信端末20のユーザを識別するユーザIDを含む電波情報を受信する。本実施形態では、上述のとおり、受信部31は、無線機器10からの無線電波を受信した通信端末20から、BSSID、電波強度、及びユーザIDを含む電波情報を受信する。
滞在ログ記録部32は、受信部31により受信された電波情報に基づいて、当該電波情報に含まれるユーザIDにより識別されるユーザがトイレでの滞在を開始した入室時刻(滞在開始時刻)を取得し、入室時刻とユーザIDとを関連付けた滞在ログを記録する。また、滞在ログ記録部32は、受信部31により受信された電波情報に基づいて、当該電波情報に含まれるユーザIDにより識別されるユーザがトイレに滞在した時間を示す滞在時間(滞在時間情報)についても滞在ログに関連付けて記録する。具体的には、滞在ログ記録部32は、以下に述べるような方法によって上述した滞在ログを記録する。
本実施形態では一例として、滞在ログ記録部32は、電波情報に含まれるBSSID及び電波強度に基づいて、ユーザがトイレに入室した入室時刻とユーザがトイレから退室した退室時刻とを決定する。なお、滞在ログがデータとして記録される場所は特に限定されない。滞在ログは、例えば情報処理装置30が備える補助記憶装置30Eに記録されてもよいし、情報処理装置30からアクセス可能な外部のデータベース装置等に記録されてもよい。
ユーザがトイレの個室に入室すると、通信端末20は個室に設けられた無線機器10に近づくため、通信端末20が無線機器10から受信する無線電波の電波強度は大きくなる。そこで、滞在ログ記録部32は、例えば、一定期間毎に受信される同一のユーザIDに紐付く電波情報を監視し、電波強度が予め定めた閾値未満の状態から閾値以上に切り替わったときの電波情報を受信した時刻を入室時刻として決定してもよい。例えば、滞在ログ記録部32は、予め定めた閾値が−60dBであり、10時0分22秒に受信された電波情報に含まれる電波強度が−50dBであり、この電波情報が閾値未満の状態から閾値以上に切り替わったときの電波情報である場合、当該時刻(10時0分22秒)を入室時刻として決定する。
一方、ユーザがトイレの個室の利用を終えて、個室から退室すると、通信端末20は個室に設けられた無線機器10から遠ざかるため、通信端末20が無線機器10から受信する無線電波の電波強度は小さくなる。そこで、滞在ログ記録部32は、例えば、一定期間毎に受信される同一のユーザIDに紐付く電波情報を監視し、電波強度が閾値以上の状態から閾値未満に切り替わったときの電波情報を受信した時刻を退室時刻として決定してもよい。例えば、滞在ログ記録部32は、予め定めた閾値が−60dBであり、10時2分45秒に受信された電波情報に含まれる電波強度が−90dBであり、この電波情報が閾値以上の状態から閾値未満に切り替わったときの電波情報である場合に、当該時刻(10時2分45秒)を退室時刻として決定する。
滞在ログ記録部32は、上述のように決定された退室時刻から入室時刻を差し引くことで、ユーザがトイレの個室に滞在した滞在時間を算出することができる。上述の例では、滞在ログ記録部32は、10時2分45分から10時0分22秒を差し引いて得られる2分23秒を滞在時間として算出する。
滞在ログ記録部32は、ユーザIDと、上述のようにして得られた入室時刻及び滞在時間と、トイレを識別するトイレIDと、トイレ内の個室を識別する個室IDと、を関連付けた滞在ログを記録する。例えば、滞在ログ記録部32は、図5(a)に示すような、BSSIDとトイレID及び個室IDとの対応関係を記憶したテーブルを保持する。滞在ログ記録部32は、このようなテーブルを参照することにより、受信部31により受信された電波情報に含まれるBSSIDに対応するトイレID及び個室IDを取得することができる。そして、滞在ログ記録部32は、図5(b)に示すように、入室時刻、ユーザID、トイレID、個室ID、及び滞在時間(秒)を互いに関連付けた滞在ログを記録する。これにより、上述の記録処理が完了する。本実施形態では、滞在ログ記録部32は、通信端末20から定期的に送信される電波情報と電波強度とを関連付けた受信ログも記録する。この受信ログは、後述する滞在ユーザ抽出部34により、ユーザにより指定された指定トイレに滞在中の滞在ユーザを抽出するために用いられる。
以上のように、無線機器10が設けられたトイレの個室をユーザが1回利用する毎に、1つの滞在ログ(図5(b)に示す1レコード分)が記録される。例えば、図5(b)の1番上の滞在ログは、ユーザID「1」のユーザが、トイレID「2」及び個室ID「1」により識別されるトイレの個室に、2014年7月26日の10時0分1秒に入室し、301秒間滞在してから退室したことを示している。
図6は、記録処理の動作を示すフローチャートである。上述のとおり、記録処理においては、まず、受信部31により、通信端末20からの電波情報が受信される(ステップS21、受信ステップ)。続いて、滞在ログ記録部32が、一定期間毎に受信された同一のユーザIDに紐付く電波情報に基づく上述の処理を実行することにより、当該ユーザIDのユーザに関する滞在ログが記録される(ステップS22,S23、滞在ログ記録ステップ)。具体的には、まず、ユーザがトイレの個室に入室した入室時刻と個室を退室した退室時刻とが決定され、ユーザがトイレの個室に滞在した滞在時間が算出される(ステップS22)。続いて、入室時刻、ユーザID、トイレID、個室ID、及び滞在時間を互いに関連付けた滞在ログが記録される(ステップS23)。
なお、本実施形態では、上述のように、滞在ログ記録部32は、入室時刻及び退室時刻を決定するために電波強度を用いているが、入室時刻及び退室時刻を特定するために電波強度を用いることは必須ではない。例えば、滞在ログ記録部32は、一定期間毎に受信される同一のユーザIDに紐付く電波情報を定期的に監視し、電波情報にBSSIDが含まれていない状態(すなわち、ユーザがトイレの個室以外の場所にいると考えられる状態)から、電波情報にBSSIDが含まれるようになった場合に、BSSIDが含まれる電波情報を最初に受信した時刻を入室時刻とみなしてもよい。また、滞在ログ記録部32は、一定期間毎に受信される同一のユーザIDに紐付く電波情報を定期的に監視し、電波情報にBSSIDが含まれている状態(すなわち、ユーザがトイレの個室に滞在していると考えられる状態)から、電波情報にBSSIDが含まれなくなった場合に、BSSIDが含まれない電波情報を最初に受信した時刻を退室時刻とみなしてもよい。
次に、予測処理について説明する。予測処理は、要求受付部33、滞在ユーザ抽出部34、滞在時間算出部35、利用終了時刻予測部36、及び待ち時間通知部37により実行される。図7に示すように、予測処理では、まず、ユーザからの指定トイレを含む問合わせ要求が受信される(ステップS31)。このような問合わせ要求は、上述のとおり、通信端末20にインストールされたアプリケーションを介して、情報処理装置30に送信される。続いて、指定トイレに滞在中のユーザ(滞在ユーザ)が抽出され(ステップS32、滞在ユーザ抽出ステップ)、滞在ユーザがトイレに滞在すると予測される予測滞在時間が算出される(ステップS33、滞在時間算出ステップ)。続いて、各滞在ユーザの予測滞在時間と直近の入室時刻とに基づいて各滞在ユーザの利用終了時刻が予測され、各滞在ユーザの利用終了時刻に基づいて利用可能時刻が算出される(ステップS34、利用終了時刻予測ステップ)。続いて、算出された利用可能時刻に基づく待ち時間に関する情報が問合わせ元の通信端末20に送信される(ステップS35)。
要求受付部33は、図7のステップS31の処理を実行する機能要素であり、指定トイレを示す情報を含む問合わせ要求を受信する。本実施形態では一例として、指定トイレを示す情報は、上述したトイレIDであるものとする。
滞在ユーザ抽出部34は、図7のステップS32の処理を実行する機能要素であり、受信部31により受信された電波情報に基づいて、指定トイレ(一の施設)に滞在中の滞在ユーザを抽出する。具体的には、滞在ユーザ抽出部34は、滞在ログ記録部32に逐次記録される受信ログ(電波情報と電波強度とを関連付けた情報)を参照することで、指定トイレに滞在中の滞在ユーザを抽出する。
図8は、滞在ユーザ抽出部34の動作(図7のステップS32の処理)を示すフローチャートである。図8に示すように、滞在ユーザ抽出部34は、直近の受信ログ(例えば現時点より前であって現時点から予め定めた期間内の時刻に記録された受信ログ)のうちから、指定トイレの各個室に設けられた無線機器10の無線電波に紐付く受信ログを抽出する(ステップS41)。例えば、滞在ユーザ抽出部34は、滞在ログ記録部32に記録された直近の受信ログと、図5(a)に示すテーブル情報とを照らし合わせることで、指定トイレのトイレID及び個室IDに対応するBSSIDを含む電波情報に関する受信ログを抽出することができる。
続いて、滞在ユーザ抽出部34は、ステップS41で抽出した受信ログのそれぞれについて、受信ログに紐付く電波強度が予め定められた閾値以上か否かを判定する。滞在ユーザ抽出部34は、電波強度が閾値以上である受信ログに紐付くユーザID(すなわち、当該ユーザIDに対応するユーザ)を滞在ユーザとして抽出する(ステップS42)。滞在ユーザ抽出部34は、上述のステップS41,S42の処理により、現時点で指定トイレの個室を利用中のユーザを滞在ユーザとして抽出することができる。
滞在時間算出部35は、滞在ログ記録部32に記録されている滞在ユーザのユーザIDに紐付く滞在ログに基づいて当該滞在ユーザの平均滞在時間を算出する。具体的には、滞在時間算出部35は、滞在ユーザ抽出部34により抽出された滞在ユーザのそれぞれについて、滞在ユーザの過去複数の滞在ログに基づいて平均滞在時間を算出する。
図9は、滞在時間算出部35の動作(図7のステップS33の処理)を示すフローチャートである。図9に示すように、滞在時間算出部35は、図7のステップS32において滞在ユーザ抽出部34により抽出された滞在ユーザのリスト(滞在ユーザのユーザIDのリスト)を、滞在ユーザ抽出部34から取得する(ステップS51)。続いて、滞在時間算出部35は、滞在ユーザのリストから1人分のユーザIDを取得し(ステップS52)、取得したユーザIDに紐付く過去複数の滞在ログを滞在ログ記録部32から取得する(ステップS53)。
続いて、滞在時間算出部35は、滞在ログ記録部32から取得した過去複数の滞在ログに基づいて、当該ユーザIDに対応するユーザのトイレの平均滞在時間を算出する(ステップS54)。例えば、滞在時間算出部35は、各滞在ユーザについて、過去複数の滞在ログの滞在時間に対して自己回帰移動平均モデル(ARMA)や自己回帰和分移動平均モデル(ARIMA)等を用いた計算を実行することで、各滞在ユーザの平均滞在時間を算出してもよい。また、滞在時間算出部35は、下記式(1)により求まるTを平均滞在時間としてもよい。すなわち、滞在時間算出部35は、各滞在ユーザについて、過去複数の滞在ログ(例えば1〜N回目のトイレ利用に関する滞在ログ)のそれぞれの滞在時間Tn(n=1,…,N)を抽出し、各回の滞在時間Tnの和を全体の数Nで割った平均値Tを平均滞在時間としてもよい。ここで、各滞在ユーザの平均滞在時間を算出するために用いる過去複数の滞在ログは、滞在ログ記録部32に記録されている当該滞在ユーザの全ての滞在ログであってもよいし、当該滞在ユーザの一部の滞在ログ(例えば直近の予め定められた個数の滞在ログ)であってもよい。
T=(ΣNTn)/N ・・・(1)
滞在時間算出部35は、全ての滞在ユーザについて、上述のステップS52〜S54の処理を繰り返す(ステップS55)。これにより、滞在時間算出部35は、全ての滞在ユーザの平均滞在時間を取得する。
利用終了時刻予測部36は、滞在ユーザがトイレに滞在すると予測される予測滞在時間及び滞在ログ記録部32に記録された当該滞在ユーザの直近の入室時刻に基づいて、当該滞在ユーザが指定トイレの利用を終了する利用終了時刻を予測する。ここで、予測滞在時間とは、滞在ユーザについて予測される指定トイレの滞在時間である。利用終了時刻予測部36は、滞在時間算出部35により算出された平均滞在時間を予測滞在時間として用いる。ただし、利用終了時刻予測部36は、例えば予め定めた一般的な指標(例えば「10分」等)を予測滞在時間として用いてもよい。
図10は、利用終了時刻予測部36の動作(図7のステップS34の処理)を示すフローチャートである。図10に示すように、利用終了時刻予測部36は、指定トイレの個室数(一の施設において同時に収容可能な最大ユーザ数)を取得する(ステップS61)。例えば、利用終了時刻予測部36は、トイレIDと当該トイレIDに対応するトイレの個室数とを関連付けたテーブルを予め保持し、このテーブルを参照することにより、指定トイレの個室数を取得することができる。
続いて、利用終了時刻予測部36は、図7のステップS32において滞在ユーザ抽出部34により抽出された滞在ユーザ数と指定トイレの個室数とを比較する(ステップS62)。ここで、指定トイレの個室数が滞在ユーザ数より多い場合、指定トイレには空き個室が存在するため、当該指定トイレを新たに利用しようとするユーザは直ちに当該指定トイレを利用することが可能である。従って、利用終了時刻予測部36は、指定トイレの個室数が滞在ユーザ数より多い場合(ステップS62:YES)、現在時刻を利用可能時刻として出力する(ステップS63)。ここで、現在時刻とは、例えば要求受付部33が問合わせ要求を受信した時刻である。
一方、利用終了時刻予測部36は、指定トイレの個室数が滞在ユーザ数以下である場合(ステップS62:NO)、滞在ログ記録部32に記録されている滞在ログから各滞在ユーザの直近の入室時刻を取得する(ステップS64)。そして、利用終了時刻予測部36は、滞在時間算出部35により算出された各滞在ユーザの平均滞在時間を各滞在ユーザの予測滞在時間として取得する(ステップS65)。続いて、利用終了時刻予測部36は、各滞在ユーザについて、直近の入室時刻に予測滞在時間を加えた時刻を利用終了時刻として予測し、予測された複数の滞在ユーザの利用終了時刻のうち最も早い利用終了時刻(すなわち、現在時刻から最も近い利用終了時刻)を利用可能時刻として出力する(ステップS66)。
図11を用いて、ステップS66の処理の一例について説明する。図11は、滞在ユーザであるユーザA,B,Cのそれぞれの直近の入室時刻、予測滞在時間、及び利用終了時刻の一例を示す図である。ここで、現在時刻が10時29分0秒であるとすると、図11の例では、現在時刻から最も近い利用終了時刻は、ユーザBの利用終了時刻(10時32分24秒)である。つまり、これから指定トイレを利用したいユーザは、最短で10時32分24秒に、ユーザBが退室した後の個室を利用することができると予測される。従って、利用終了時刻予測部36は、現在時刻から最も近いユーザBの利用終了時刻を利用可能時刻として出力する。
待ち時間通知部37は、図7のステップS35の処理を実行する機能要素である。待ち時間通知部37は、ステップS34において利用終了時刻予測部36により出力された利用可能時刻と現在時刻との差である3分24秒を待ち時間として算出し、算出された待ち時間に関する情報を問合わせ元の通信端末20に送信する。
上述のとおり、待ち時間通知部37から待ち時間に関する情報を取得した通信端末20は、情報提示部23により、当該待ち時間に関する情報をディスプレイに表示したり、スピーカにより音声出力したりすることで、待ち時間に関する情報をユーザに提示する。情報提示部23は、待ち時間をディスプレイに表示する場合には、数値をそのまま画面上に表示してもよいし、待ち時間に応じた色を画面上に表示してもよい。例えば、情報提示部23は、待ち時間が0分以上1分未満の場合(比較的待ち時間が短い場合)には青色、待ち時間が1分以上3分未満の場合(標準的な場合)には黄色、待ち時間が3分以上の場合(比較的待ち時間が長い場合)には赤色を画面上に表示してもよい。
以上述べた情報処理装置30又は情報処理装置30により実行される情報処理方法(ステップS31〜S35の処理に含まれる方法)では、滞在ログ記録部32が、一以上のトイレに設けられた無線機器10からの無線電波を受信した通信端末20から送信される電波情報に基づいて、当該通信端末20のユーザがトイレでの滞在を開始した入室時刻を取得し、ユーザIDと入室時刻とを関連付けた滞在ログを記録する。そして、滞在ユーザ抽出部34が、通信端末20から送信される電波情報に基づいて指定トイレに滞在中の滞在ユーザを抽出し、利用終了時刻予測部36が、滞在ユーザの予測滞在時間と直近の滞在開始時刻とに基づいて、当該滞在ユーザが指定トイレの利用を終了する利用終了時刻を予測する。上記情報処理装置30又は上記情報処理方法によれば、トイレに滞在中のユーザの利用終了時刻を、当該トイレに滞在中のユーザの予測滞在時間と直近の入室時刻とに基づいて精度良く予測することができる。
また、上記情報処理装置30では、複数の個室を有するトイレにおいて、複数の滞在ユーザの利用終了時刻のうち最も早い時刻を、新たに当該施設を利用しようとするユーザが当該施設を利用することが可能となる時刻(利用可能時刻)として出力する。これにより、例えば指定トイレの利用可能時刻をユーザの通信端末20に配信したり電光掲示板等に表示したりすること等により、当該指定トイレを利用したいユーザに当該指定トイレの利用可能時刻を知らせることが可能となる。なお、本実施形態では、利用可能時刻を知らせる代わりに、待ち時間通知部37によって利用可能時刻までの時間(待ち時間)をユーザの通信端末20に送信している。これにより、ユーザが待ち時間を把握することが可能になっており、より利便性が増している。
また、上記情報処理装置30では、ユーザがトイレに滞在した滞在時間が滞在ログに含まれる。そして、滞在時間算出部35が、滞在ユーザの滞在ログの滞在時間に基づいて滞在ユーザの平均滞在時間を算出する。利用終了時刻予測部36は、このように算出された平均滞在時間を滞在ユーザの予測滞在時間として用いることで、滞在ユーザの過去の行動履歴に基づく高精度な予測滞在時間を得ることができる。その結果、トイレを利用するための待ち時間の予測精度を向上させることができる。
また、上述の通り、指定トイレにおいて同時に収容可能な最大ユーザ数が滞在ユーザ数より多い場合、当該指定トイレを新たに利用しようとするユーザは直ちに当該指定トイレを利用することが可能である。上記情報処理装置30では、利用終了時刻予測部36は、滞在ユーザ抽出部34により抽出された滞在ユーザ数と指定トイレにおいて同時に収容可能な最大ユーザ数とを比較し、最大ユーザ数が滞在ユーザ数より多い場合、現在時刻を利用可能時刻として出力する。従って、最大ユーザ数が滞在ユーザ数より多い場合に、適切な利用可能時刻を出力することができる。
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態に係る情報処理装置40を含むシステム1Bの各装置の機能構成を示すブロック図である。情報処理装置40は、モデル作成部41を更に備え、滞在時間算出部35の代わりに滞在時間算出部42を備える点で、第1実施形態に係る情報処理装置30と主に相違する。また、本システム1Bでは、通信端末20を保持するユーザは、ユーザ情報取得装置50を保持している。ユーザ情報取得装置50は、発汗量、肺活量、心拍数、体温、血圧等のユーザの生体情報を計測により取得する機能を備える装置であり、例えばリストバンド等のユーザの体に装着される装置である。また、本実施形態では、ユーザ情報取得装置50は、予めメモリ等の記憶部にユーザの性別、年代等のユーザの属性に関する情報を保持している。
ユーザ情報取得装置50は、生体情報取得部51と、データ通信部52と、を備える。生体情報取得部51は、例えば発汗センサ、心拍センサ等のセンサ機能を有するチップ等を有し、ユーザの生体情報を計測により取得する。データ通信部52は、生体情報取得部51により取得された生体情報及び上述のようにメモリ等に記憶されているユーザの属性に関する情報を併せたユーザ情報を、例えば無線電波等を介して通信端末20に逐次送信する。データ通信部52から通信端末20に送信されたユーザ情報(生体情報及び属性情報)は、通信端末20のデータ通信部22により受信され、通信端末20が備えるメモリ等の記憶装置に一旦記憶される。
その後、データ通信部22は、例えば、通信端末20が登録情報に含まれているBSSIDを含む無線電波を受信し続けている間、一定期間毎に情報処理装置40に送信される電波情報と共に、メモリ等に記憶されたユーザ情報を情報処理装置40に送信する。情報処理装置40は、例えば受信部31により、データ通信部22から送信された電波情報及びユーザ情報を受信し、滞在ログ記録部32は、当該ユーザ情報と、同時に受信された電波情報に含まれるユーザIDと、を関連付けて記録する。
モデル作成部41は、ユーザ情報(生体情報又は属性情報)を入力すると当該ユーザの滞在時間を予測するモデルを作成する。モデル作成部41は、例えば以下のようにしてモデルを作成する。モデル作成部41は、滞在ログ記録部32を参照し、任意のユーザIDの滞在ログを抽出し、当該滞在ログの滞在時間と当該滞在ログが示す滞在期間(例えば入室時刻)に受信された当該ユーザIDのユーザ情報とからなるセット情報を抽出する。モデル作成部41は、このようなセット情報を、複数のユーザIDの複数の滞在ログについて抽出する。モデル作成部41は、抽出した複数のセット情報に対して重回帰分析等の機械学習を実行することによりモデルを作成する。具体的には、モデル作成部41は、各セット情報について、ユーザ情報を説明変数、滞在時間を目的変数として、機械学習を実行することにより、ユーザ情報を入力して滞在時間を出力するモデルを作成する。モデル作成部41がモデルを作成するタイミングはいつでもよく、モデル作成部41は、滞在ログ記録部32に記録される滞在ログが十分な数となった時点で、モデルを作成してもよい。また、滞在ログ記録部32には新たな滞在ログが記録されていくので、モデル作成部41は、滞在ログ記録部32に新たに記録された滞在ログも用いて、定期的にモデルを再作成(更新)してもよい。
例えば、モデル作成部41は、ユーザの生体情報(発汗量、体温)及び属性情報(年代)を説明変数とし、滞在時間を目的変数として上述の機械学習を実行する場合には、下記式(2)に示すような重回帰モデル(係数b1、b2、b3)を作成することができる。下記式(2)に示すモデルは、X1に発汗量、X2に体温、X3に年代を入力すると、滞在時間(Y)が求まる重回帰モデルである。なお、モデルの説明変数は上述の例に限られず、発汗量、体温、年代以外の指標(例えば肺活量、血圧、心拍数、性別等)を説明変数に含めてもよい。また、モデルの説明変数の組み合わせも任意に定めることができる。
Y=b1X1+b2X2+b3X3 ・・・(2)
上述の例では、モデル作成部41が複数のユーザに共通のモデルを1つ作成する場合を示した。しかし、例えば発汗量が多いほど滞在時間が多い傾向のあるユーザもいれば、発汗量と滞在時間との間にほとんど相関を持たないユーザもいる。そこで、上述のようなユーザ毎の違いを考慮し、モデル作成部41は、ユーザ個別のモデルを作成してもよい。具体的には、モデル作成部41は、ユーザID毎に異なるモデルを作成してもよい。例えば特定のユーザIDのモデルを作成するには、モデル作成部41は、当該ユーザIDに紐付くセット情報のみを用いて上述の機械学習を実行すればよい。
滞在時間算出部42は、滞在ユーザのユーザ情報を取得し、所定のモデルに当該ユーザ情報を入力することにより、当該滞在ユーザの滞在時間を算出する。本実施形態では一例として、滞在時間算出部42は、上述のようにモデル作成部41により作成されたモデルを用いて、滞在ユーザの滞在時間を算出する。
図13を用いて、滞在時間算出部42による処理の一例について説明する。図13は、滞在時間算出部42の動作(図7のステップS33の処理)を示すフローチャートである。図13に示すステップS71,S72,S75の処理は、図9に示すステップS51,S52,S55の処理と同様であるため、ここではステップS73,S74の処理について説明する。
ステップS73において、滞在時間算出部42は、ステップS72において取得したユーザIDに紐付く、滞在期間(例えば直近の入室時刻)のユーザ情報を滞在ログ記録部32から取得する。続いて、ステップS74において、滞在時間算出部42は、モデル作成部41により作成されたモデルに、ステップS73において取得したユーザ情報(上記式(3)で示すモデルの場合は、発汗量、体温、年代)を入力することにより、滞在時間を算出する。
本実施形態に係る情報処理装置40では、利用終了時刻予測部36は、滞在時間算出部42により算出された滞在時間を予測滞在時間として用いる。すなわち、図10のステップS65において、利用終了時刻予測部36は、滞在時間算出部42がモデルを用いて算出した各滞在ユーザの滞在時間を各滞在ユーザの予測滞在時間として取得する。
以上述べた第2実施形態に係る情報処理装置40では、滞在ユーザの属性又は生体に関するユーザ情報に基づいて滞在ユーザの予測滞在時間を精度良く求めることができる。より具体的には、指定トイレに入室した滞在ユーザの性別や年代、指定トイレに入室した際の滞在ユーザの体調等に応じて、滞在ユーザが指定トイレに滞在すると予測される予測滞在時間を精度良く求めることができる。その結果、各滞在ユーザのトイレの利用終了時刻の予測精度を向上させることができる。
[第3実施形態]
図14は、第3実施形態に係る情報処理装置60を含むシステム1Cの各装置の機能構成を示すブロック図である。本実施形態に係るシステム1Cは、例えば衣服店内に設置された試着室(施設)の利用終了時刻を予測するシステムである。具体的には、システム1Cは、衣服店内の試着室を使用している買い物客(滞在ユーザ)が保持する衣服等の保持商品情報に基づいて、当該衣服店内に設置された試着室の利用終了時刻を予測する。
情報処理装置60は、モデル作成部41及び滞在時間算出部42の代わりにモデル作成部61及び滞在時間算出部62を備える点で、第2実施形態に係る情報処理装置40と主に相違する。また、本システム1Cでは、通信端末20を保持するユーザは、保持商品情報取得装置70を保持している。保持商品情報取得装置70は、例えば衣服店等に陳列された衣類等の各商品に取り付けられたRFIDタグから発信される電波を受信することで、ユーザが保持する商品の商品種別を取得する機能を備える装置である。本実施形態では、ユーザが保持する商品とは、ユーザが試着室に持ち込んだ商品を意味する。
保持商品情報取得装置70は、保持商品情報取得部71と、データ通信部52と、を備える。保持商品情報取得部71は、商品に取り付けられたRFIDタグから発信される電波を受信することで、当該商品の商品種別を取得する機能を有する。具体的には、保持商品情報取得装置70と当該商品との距離が一定以上近づき、保持商品情報取得装置70が当該商品のRFIDタグからの電波を受信可能な範囲に入ると、保持商品情報取得部71は、当該商品のRFIDタグからの電波を受信し、当該商品の商品種別を取得する。このようにして、保持商品情報取得装置70は、ユーザが保持する商品の商品種別を取得する。
保持商品情報取得装置70は、例えばユーザが保持する商品種別毎の個数をまとめ、当該商品種別毎の個数の情報を保持商品情報(ユーザが保持する商品に関する商品情報)として取得する。ここで、保持商品情報は、例えばカーディガンの個数、ジーンズパンツの個数、コートの個数等を示す情報である。データ通信部52は、保持商品情報取得部71により取得された保持商品情報を、例えば無線電波等を介して通信端末20に逐次送信する。データ通信部52から通信端末20に送信された保持商品情報は、通信端末20のデータ通信部22により受信され、通信端末20が備えるメモリ等の記憶装置に一旦記憶される。
その後、データ通信部22は、例えば、通信端末20が登録情報に含まれているBSSIDを含む無線電波を受信し続けている間、一定期間毎に情報処理装置60に送信される電波情報と共に、メモリ等に記憶された保持商品情報を情報処理装置60に送信する。情報処理装置60は、例えば受信部31により、データ通信部22から送信された電波情報及び保持商品情報を受信し、滞在ログ記録部32は、当該保持商品情報と、同時に受信された電波情報に含まれるユーザIDと、を関連付けて記録する。
モデル作成部61は、ユーザの保持商品情報を入力すると当該ユーザの滞在時間を予測するモデルを作成する。モデル作成部61は、例えば以下のようにしてモデルを作成する。モデル作成部61は、滞在ログ記録部32を参照し、任意のユーザIDの滞在ログを抽出し、当該滞在ログの滞在時間と当該滞在ログが示す滞在期間(例えば入室時刻)に受信された当該ユーザIDの保持商品情報とからなるセット情報を抽出する。モデル作成部61は、このようなセット情報を、複数のユーザIDの複数の滞在ログについて抽出する。モデル作成部61は、抽出した複数のセット情報に対して重回帰分析等の機械学習を実行することによりモデルを作成する。具体的には、モデル作成部61は、各セット情報について、保持商品情報を説明変数、滞在時間を目的変数として、機械学習を実行することにより、保持商品情報を入力して滞在時間を出力するモデルを作成する。モデル作成部61がモデルを作成するタイミングはいつでもよく、モデル作成部61は、滞在ログ記録部32に記録される滞在ログが十分な数となった時点で、モデルを作成してもよい。また、滞在ログ記録部32には新たな滞在ログが記録されていくので、モデル作成部61は、滞在ログ記録部32に新たに記録された滞在ログも用いて、定期的にモデルを再作成(更新)してもよい。
例えば、モデル作成部61は、ユーザの保持商品情報(例えば、カーディガンの個数、ジーンズパンツの個数、コートの個数)を説明変数とし、滞在時間を目的変数として上述の機械学習を実行する場合には、下記式(3)に示すような重回帰モデル(係数b’1、b’2、b’3)を作成することができる。下記式(3)に示すモデルは、X’1にカーディガンの個数、X’2にジーンズパンツの個数、X’3にコートの個数を入力すると、滞在時間(Y’)が求まる重回帰モデルである。なお、モデルの説明変数は上述の例に限られず、モデルの説明変数の組み合わせも任意に定めることができる。
Y’=b’1X’1+b’2X’2+b’3X’3 ・・・(3)
上述の例では、モデル作成部61が複数のユーザに共通のモデルを1つ作成する場合を示したが、モデル作成部61は、第2実施形態に係るモデル作成部41と同様に、ユーザ個別のモデルを作成することもできる。
滞在時間算出部62は、滞在ユーザの保持商品情報を取得し、所定のモデルに当該ユーザ情報を入力することにより、当該滞在ユーザの滞在時間を算出する。本実施形態では一例として、滞在時間算出部62は、上述のようにモデル作成部61により作成されたモデルを用いて、滞在ユーザの滞在時間を算出する。滞在時間算出部62は、用いられるモデルと当該モデルに入力する情報とが異なる点を除いて、第2実施形態に係る滞在時間算出部42と同様の処理(図13に示す処理)を実行する。
本実施形態に係る情報処理装置60では、利用終了時刻予測部36は、滞在時間算出部62により算出された滞在時間を予測滞在時間として用いる。すなわち、図10のステップS65において、利用終了時刻予測部36は、滞在時間算出部62がモデルを用いて算出した各滞在ユーザの滞在時間を各滞在ユーザの予測滞在時間として取得する。
以上述べた第3実施形態に係る情報処理装置60では、滞在ユーザの保持商品情報に基づいて滞在ユーザの予測滞在時間を精度良く求めることができる。より具体的には、試着室(試着室が複数の試着ボックスに分かれている場合には、いずれかの試着ボックス)に入室した滞在ユーザが試着室に持ち込んだ商品のラインナップに応じて、滞在ユーザが試着室に滞在すると予測される予測滞在時間を精度良く求めることができる。その結果、各滞在ユーザの試着室の利用終了時刻の予測精度を向上させることができる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形が可能である。
例えば、本実施形態では、施設の一例としてトイレ及び試着室について説明したが、情報処理装置30,40は、トイレ以外の施設の待ち時間を予測する装置としても用いることができる。また、情報処理装置60は、試着室以外の施設の待ち時間を予測する装置としても用いることができる。
また、上記実施形態では、情報処理装置30,40,60は、利用可能時刻から算出される待ち時間をユーザに通知するものとして説明したが、情報処理装置30,40,60は、必ずしも待ち時間を算出する必要はない。例えば、情報処理装置30,40,60は、利用可能時刻をユーザに通知してもよい。この場合でも、ユーザは指定した施設を利用することが可能となる時刻を把握することができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
また、第2実施形態及び第3実施形態では、モデルの例として、数式(式(2),(3))として示される重回帰モデルについて説明したが、モデルは数式以外の形式で示されるものであってもよい。
また、上記実施形態では、情報処理装置30,40,60は、要求受付部33による問合わせ要求の受信を予測処理開始のトリガとするものとして説明したが、情報処理装置30,40,60は、必ずしも要求受付部33による問合わせ要求の受信を予測処理開始のトリガとする必要はない。例えば、情報処理装置30,40,60は、予め定められた指定施設(トイレ、試着室等)を対象として定期的に予測処理を実行し、各予測処理を実行する時点での指定施設の利用可能時刻を予測し、メモリ等の記憶装置に蓄積してもよい。この場合、情報処理装置30,40,60(要求受付部33)は、ユーザの通信端末20から指定施設の待ち時間を要求する問合わせ要求を受信すると、メモリ等に蓄積された利用可能時刻を直ちに当該通信端末20に通知することが可能となる。また、指定施設の利用可能時刻を表示する電光掲示板等が指定施設の入口等に設けられる場合、上述のように構成された情報処理装置30,40,60は、定期的に予測した利用可能時刻を電光掲示板等に出力表示してもよい。
また、上記実施形態では、利用終了時刻予測部36は、複数の滞在ユーザの利用終了時刻のうち最も早い時刻を利用可能時刻として出力するものとして説明したが、指定施設を利用するために待っているユーザが存在する場合には、待ちユーザ数を考慮した時刻を利用可能時刻として出力してもよい。例えば、個室が3つある施設に対して2人のユーザが待っているとすると、最初に空いた個室を1人目のユーザが利用し、2番目に空いた個室を2人目のユーザが利用することになる。従って、この場合、新たに指定施設を利用しようとするユーザ(すなわち3人目のユーザ)が施設を利用可能となる時刻は、複数の滞在ユーザの利用終了時刻のうち3番目の時刻であると考えられる。
上記を考慮し、情報処理装置30,40,60は、指定施設を利用するために待っているユーザの数を検出する待ちユーザ数検出部(例えば、指定施設の入口等に設けられた人感センサ等により検出された人数をカウントする装置)を備えてもよい。この場合、待ちユーザ数検出部により検出された待ちユーザ数をWとし、利用終了時刻予測部36は、複数の滞在ユーザの利用終了時刻のうちW+1番目に早い時刻を利用可能時刻として出力することができる。これにより、指定施設の利用を待っているユーザの数に応じて適切な利用可能時刻をユーザに通知することが可能となる。
また、第1〜第3実施形態で示した仕組みは、適宜組み合わせてもよい。例えば、第3実施形態に係る情報処理装置60において、モデル作成部61は、保持商品情報と共に第2実施形態で示したユーザ情報を説明変数としてモデルを作成してもよい。この場合、滞在ユーザが試着室に持ち込んだ商品のラインナップだけでなく、ユーザの体調や性別、年代等にも基づいて、予測滞在時間を精度良く求めることができる。