本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。以下では、図1の左下方、右上方、左上方、右下方、上方、下方を、各々、印刷装置1の前方、後方、左方、右方、上方、下方と定義する。図6の右上方、左下方、右下方、左上方、上方、下方を、各々、リボンカセット100の前方、後方、左方、右方、上方、下方と定義する。
(1.印刷装置1の構造説明)
図1〜図5を参照し、印刷装置1を説明する。印刷装置1は、筒状の印刷媒体であるチューブ9を搬送しながら印刷し、且つ印刷後のチューブ9を切断する装置である。図1に示すように、印刷装置1は、本体ケース11及びカバー12を含む筐体10を備える。本体ケース11は、左右方向に長い直方体状の箱状部材である。カバー12は、本体ケース11の上側に配置された板状部材である。カバー12の後端部は、本体ケース11の後端部上側で回転可能に支持される。ロック機構13は、本体ケース11の前端部上側に設けられる。ロック機構13は、本体ケース11に対して閉じられたカバー12の前端部を係止して、カバー12の開放を規制する。
カバー12が本体ケース11に対して閉じられた場合(図1参照)、カバー12は装着面11A(図2参照)を覆う。装着面11Aは、本体ケース11の上面である。ユーザはカバー12を開く場合、ロック機構13を操作してカバー12の係止を解除し、カバー12をロック機構13から上側に回動させる。カバー12が本体ケース11に対して開かれた場合、装着面11Aは上方に露出する。
カバー12の上面には、キーボード7が取り外し可能に装着される。キーボード7は、複数のキーを有する操作部7Aと、各種情報を含む画面を表示する表示部7Bを備える。ユーザは操作部7Aを操作することで、表示部7Bに表示される画面上で、チューブ9に印刷するキャラクタを編集できる。キャラクタは、文字、図形、及び記号等を含む。キーボード7内の基板(図示略)には、USB(Universal Serial Bus)ケーブル79が接続されている。USBケーブル79は、キーボード7の右側面から右方に引き出される。
筐体10の側面には、操作部17、チューブ挿入口15、及びチューブ排出口16(図2参照)が設けられる。操作部17は、本体ケース11の前面右側に設けられた、電源ボタン及びスタートボタンを含む複数の操作ボタンである。チューブ挿入口15は、本体ケース11の右面の後側上部に設けられた、チューブ9を筐体10の内部に案内するための開口である。チューブ排出口16は、本体ケース11の左面の後側上部に設けられた、チューブ9を筐体10の外部に排出するための開口である。チューブ排出口16は、チューブ挿入口15よりも若干前側にある。
図2に示すように、装着面11Aには、リボン装着部30及びチューブ装着部40等が設けられる。リボン装着部30は、リボンカセット100を着脱可能な部位である。リボン装着部30は、平面視でリボンカセット100よりも若干大きい開口形状で形成された、上方に開口する凹部である。リボン装着部30の後部は、後述のチューブ装着部40と前後方向に連通している。本例のリボン装着部30は、装着面11Aの左部、且つチューブ装着部40の前側に設けられる。ユーザは、リボンカセット100の上下左右前後の各方向が、印刷装置1の上下左右前後の各方向と一致するように、リボンカセット100をリボン装着部30に上方から装着する。
リボン装着部30の内部には、位置決めピン31,32、支持ピン33,34、支持部35が設けられる。位置決めピン31,32及び支持ピン33,34は、何れもリボン装着部30の底面30Aから上方に延びる円柱状の軸体である。位置決めピン31,32及び支持ピン33,34の上端部は、何れも等しい上下方向位置(即ち、高さ位置)にある。位置決めピン31,32は、互いに同径である。支持ピン33,34は、互いに同径であり、且つ位置決めピン31,32よりも小径である。
位置決めピン31,32は、リボン装着部30に装着されたリボンカセット100の位置決め穴121,122(図8参照)と夫々対応する位置に設けられる。支持ピン33,34は、リボン装着部30に装着されたリボンカセット100のピン穴123,124(図8参照)と夫々対応する位置に設けられる。本例では、位置決めピン31及び支持ピン33は、後述の回転軸71の右後側及び右前側に夫々設けられ、且つ互いに略前後方向に並ぶ。位置決めピン32及び支持ピン34は、後述のリボン巻取軸63の左前側及び左後側に夫々設けられ、且つ互いに略前後方向に並ぶ。位置決めピン32及び支持ピン34の前後方向距離は、位置決めピン31及び支持ピン33の前後方向距離よりも若干大きい。
支持部35は、底面30Aから上方に突出する段差部である。支持部35の上端面は、位置決めピン31,32及び支持ピン33,34の各上端部と等しい上下方向位置(即ち、高さ位置)にある。支持部35は、リボン装着部30に装着されたリボンカセット100の前側凹部125(図8参照)と対応する位置に設けられる。本例では、支持部35は、印刷ヘッド61と前後方向に並ぶ位置、且つ位置決めピン32及び支持ピン33とを結ぶ線上に設けられる。支持部35の上端面は、平面視で前側凹部125に対応する形状の平面である。
チューブ装着部40は、チューブ9を着脱可能な部位である。チューブ装着部40は、チューブ挿入口15からチューブ排出口16の右側近傍まで延びる、上方に開口する溝部である。チューブ排出口16はチューブ挿入口15よりも若干前側にあるため、チューブ装着部40は若干左前側に傾いて略左右方向に延びる。チューブ挿入口15からチューブ排出口16に向けてチューブ装着部40が延びる方向を、チューブ搬送方向という。ユーザは、チューブ9がチューブ挿入口15からチューブ排出口16まで延びるように、チューブ9をチューブ搬送方向に沿ってチューブ装着部40に装着する。
図2〜図4を参照し、制御基板19、印刷機構60、指標検出部80、及び切断機構90を説明する。図2に示すように、制御基板19は印刷装置1の動作制御を司る基板である。本例の制御基板19は、本体ケース11の内部における右後部に設けられ、且つUSB接続部18(図5参照)と接続する。USB接続部18は、筐体10(図1参照)の右面下部に形成されたプラグ収容部10A(図1参照)から、本体ケース11の外部に露出する。キーボード7から引き出されたUSBケーブル79(図1参照)は、プラグ収容部10Aを介してUSB接続部18に接続される。
印刷機構60は、印刷ヘッド61、可動搬送ローラ62、リボン巻取軸63、回転軸71、搬送モータ64(図5参照)等を含む。印刷ヘッド61及びリボン巻取軸63は、底面30Aから上方に向けて夫々立設される。印刷ヘッド61及びリボン巻取軸63は、位置決めピン31,32、支持ピン33,34、支持部35よりも上方まで延びる。
印刷ヘッド61は、発熱体(図示外)を備えるサーマルヘッドである。印刷ヘッド61は、リボン装着部30に装着されたリボンカセット100のヘッド挿入部109(図6参照)と対応する位置に設けられる。本例では、印刷ヘッド61はリボン装着部30の後部の略中央に設けられる。
図4に示すように、リボン巻取軸63は、後述の巻取スプール300と共に回転可能な軸である。リボン巻取軸63の外周面には、リボン巻取軸63の軸線を中心として放射状且つ等間隔で配置された、複数の突出片63Aが設けられている。各突出片63Aは、リボン巻取軸63の外周面から半径方向外側に突出し、且つリボン巻取軸63の上端部近傍から下方に延びる。リボン巻取軸63は、リボン装着部30に装着されたリボンカセット100の第一支持孔111と対応する位置に設けられる。本例では、リボン巻取軸63は、リボン装着部30の左部において、支持ピン34よりも前側、且つ位置決めピン32よりも後側にある(図3参照)。
回転軸71は、後述のリボンスプール200と共に回転可能な軸である。回転軸71は、底面30Aから上方に向けて立設される。回転軸71は、位置決めピン31,32、支持ピン33,34、支持部35よりも上方まで延びる。回転軸71の外周面には、回転軸71の軸線を中心として放射状且つ等間隔で配置された、複数の突出片71Aが設けられている(図4参照)。各突出片71Aは、回転軸71の外周面から半径方向外側に突出し、且つ回転軸71の上端部近傍から下方に延びる。回転軸71の上端部は、印刷ヘッド61及びリボン巻取軸63の各上端部よりも下方にある。回転軸71は、リボン装着部30に装着されたリボンカセット100の第二支持孔112(図8参照)と対応する位置に設けられる。本例では、回転軸71は、リボン装着部30の右部において、位置決めピン31よりも前側、且つ支持ピン33よりも後側にある。回転軸71の軸線は、リボン巻取軸63の軸線よりも若干前側にある。
図2及び図3に示すように、可動搬送ローラ62は、印刷ヘッド61に相対して回転可能なローラである。可動搬送ローラ62は、リボン装着部30の後側に配置され、カバー12(図1参照)の開閉に伴って退避位置と作動位置とに変位可能である。可動搬送ローラ62が退避位置にある場合、可動搬送ローラ62はチューブ装着部40の後側に配置されて、印刷ヘッド61から離隔する(図2参照)。可動搬送ローラ62が作動位置にある場合、可動搬送ローラ62の一部はチューブ装着部40の内側に配置されて、印刷ヘッド61に近接する(図3参照)。搬送モータ64(図5参照)は、可動搬送ローラ62及びリボン巻取軸63を回転駆動するモータである。
図4に示すように、リボン巻取軸63の下端近傍には、リボン巻取軸63を中心として回転可能な円盤状のギア65が設けられる。ギア65は、ワンウェイクラッチ66を介して、リボン巻取軸63の周囲に固定された固定部材67と連結される。ワンウェイクラッチ66は、クラッチバネの弾性力によって、リボン巻取軸63を安定的に回転させると共に、リボン巻取軸63が所定の巻取り方向(本例では、平面視で反時計回り方向)とは反対方向に回転するのを規制する。
搬送モータ64は、ギア65を平面視で反時計回り方向に回転させることによって、ワンウェイクラッチ66及び固定部材67を介して、リボン巻取軸63を巻取り方向に回転させる。搬送モータ64がギア65を回転するのに伴って、ギア65と連動するギア群(図示外)を介して、可動搬送ローラ62(図2参照)が平面視で時計回り方向に回転する。これにより、可動搬送ローラ62及びリボン巻取軸63は同期して回転する。
図2に示すように、指標検出部80は、リボンカセット100の種類指標部190(図8参照)を検出するための部材である。指標検出部80は、図示外の基板上に設けられた五つの検出スイッチ80Aを有する。各検出スイッチ80Aは、上下方向に進退可能な機械式スイッチである。五つの検出スイッチ80Aは夫々、支持部35の上端面に形成された穴の内側で、上下方向に移動可能である。五つの検出スイッチ80Aは、リボン装着部30に装着されたリボンカセット100の指標部191〜195(図8参照)と対応する位置に設けられる。本例では、四つの検出スイッチ80Aが互いに左右方向に並んで配置される。これら四つの検出スイッチ80Aのうちで左から二番目の検出スイッチ80Aの後側に、残り一つの検出スイッチ80Aが配置される。
各検出スイッチ80Aは、図示外のバネによって上方に付勢されている。外力が加えられていない検出スイッチ80Aは、図示外のバネの付勢力によって、支持部35から基準位置まで上方に移動する。指標検出部80は、基準位置にある検出スイッチ80Aに対応するOFF信号を、後述のCPU41(図5参照)に出力する。一方、上方から付勢された検出スイッチ80Aは、基準位置よりも下方にある押下位置まで移動する。指標検出部80は、押下位置にある検出スイッチ80Aに対応するON信号を、CPU41に出力する。五つの検出スイッチ80AのON信号及びOFF信号の組み合わせを、種類検出パターンという。
切断機構90は、チューブ9の切断動作を実行する機構である。切断機構90は、本体ケース11におけるチューブ装着部40の左端部近傍に設けられる。つまり切断機構90は、印刷ヘッド61よりもチューブ搬送方向の下流側にある。切断機構90は、受台91、切断刃92、及び切断モータ93(図5参照)を含む。受台91は、チューブ装着部40の左端部前側に設けられた直方体状である。切断刃92は、チューブ装着部40を挟んで、受台91に対して後側から対向する。切断モータ93は、切断刃92を前後方向に移動させることで、切断刃92を受台91に対して接近又は離隔させる。
図5を参照し、印刷装置1の電気的構成を説明する。制御基板19は、CPU41、ROM42、RAM44、フラッシュメモリ45、及び入出力インターフェース49等を備え、これらがデータバスを介して接続される。ROM42は、CPU41が印刷動作を含む各種制御を実行するためのプログラムを記憶する。RAM44は、各種データを一時的に記憶する。フラッシュメモリ45は、種類検出パターンに対応するリボン種類を定めたテーブルを記憶する。例えばリボン種類は、リボンカセット100に収容されているインクリボン8の色及び幅である。
印刷装置1は、電源部48を有する。電源部48は、本体ケース11内に装着された電池(図示外)に接続され、又はコードを介して外部電源(図示外)に接続され、制御基板19に電源を供給する。操作部17、USB接続部18、駆動回路51〜53、指標検出部80は、入出力インターフェース49に夫々接続される。USB接続部18は、USBケーブル79(図1参照)を介してキーボード7と接続する。CPU41は、操作部17を介して入力された各種情報を受付ける。CPU41は、操作部7A(図1参照)を介して入力された各種指示を受付け、且つ表示部7Bの画面を表示制御する。CPU41は、指標検出部80から出力された種類検出パターンを受付ける。
駆動回路51〜53は、印刷ヘッド61、搬送モータ64、及び切断モータ93と夫々接続する。CPU41は、駆動回路51に制御信号を送信することによって、印刷ヘッド61を駆動制御する。CPU41は、駆動回路52にパルス信号を送信することによって、搬送モータ64を駆動制御する。CPU41は、駆動回路53に制御信号を送信することによって、切断モータ93を駆動制御する。
(2.リボンカセット100の構造説明)
図6〜図16を参照し、リボンカセット100を説明する。図6〜図9は、印刷動作に使用されていない初期状態のリボンカセット100を例示する。初期状態のリボンカセット100では、インクリボン8が全て未使用である。リボンスプール200には、予め定められた上限量のインクリボン8が巻かれている。巻取スプール300には、インクリボン8が巻かれていない(先述の図4も同様)。
図6〜図8に示すように、リボンカセット100は、インクリボン8を収容するケース101を有する。ケース101の形状は、左右方向に長く且つ上下方向に短い箱状である。ケース101は、下ケース103と、下ケース103の上側に組み付けられる上ケース102とからなる。上ケース102の外面及び下ケース103の外面は夫々、ケース101の上面104及び下面105である。上面104及び下面105は、互いに上下方向に対向し、且つ平面視で略同形である。なお、ケース101の左右方向中心を通って前後方向に延びる仮想線は、中心線C1である。ケース101の前後方向中心を通って左右方向に延びる仮想線は、中心線C2である。
ケース101の側面106は、上面104と下面105とに亘って上下方向に延び、且つ上面104及び下面105の各外縁部に沿って延びる。側面106は、前面106A、右面106B、左面106C、ヘッド周面106D、及び接続面106E,106Fを含む。前面106Aは、左右方向に延びる。右面106B及び左面106Cは夫々、前面106Aの右端部及び左端部から平行に後方へ延びる。右面106B及び左面106Cは、互いに左右方向に並んで配置され、且つ各々の前後方向長さが略等しい。
ヘッド周面106Dは、側面106のうちで、平面視で中心線C1を跨いで設けられた、ケース101の後端側から前方に凹む部位である。接続面106Eは、ヘッド周面106Dの右後端部から右前方向に延び、右面106Bの後端部と接続する。接続面106Fは、ヘッド周面106Dの左後端部から左前方向に延び、左面106Cの後端部と接続する。接続面106Eの延伸方向長さは、接続面106Fの延伸方向長さよりも大きい。
ヘッド周面106Dに囲まれた内側領域は、ヘッド挿入部109である。ヘッド挿入部109は、ケース101を上下方向に貫通し、且つケース101の後方に開口する。ヘッド挿入部109は、平面視で左右方向に長い略矩形状であり、且つ中心線C1を跨いで左右方向に延びる。ヘッド挿入部109の左右方向中心は、中心線C1よりも若干左側にある。
ケース101のうちでヘッド挿入部109の右側にある部位は、第一案内部107である。第一案内部107は、ヘッド周面106Dの右面と接続面106Eとで囲まれた、平面視で三角形状である。第一案内部107の左後端部には、ヘッド挿入部109と連通する開口であるリボン出口107Aが設けられる。インクリボン8は、リボン出口107Aを介してケース101内部から外部へと搬送される。ケース101のうちでヘッド挿入部109の左側にある部位は、第二案内部108である。第二案内部108は、ヘッド周面106Dの左面と接続面106Fとで囲まれた、平面視で三角形状である。第二案内部108の右後端部には、ヘッド挿入部109と連通する開口であるリボン入口108Aが設けられる。インクリボン8は、リボン入口108Aを介してケース101外部から内部へと搬送される。つまり、インクリボン8の一部は、リボン出口107Aとリボン入口108Aとの間で、ケース101から露出する。
ケース101には、巻取スプール300を回転支持する第一支持孔111と、リボンスプール200を回転支持する第二支持孔112(図8参照)とが設けられる。第一支持孔111は、ケース101の左部に設けられ、第二案内部108よりも前側、且つ後述の前側凹部125よりも後側にある。第一支持孔111は、上ケース102を上下方向に貫通する円孔である上孔111A(図7参照)と、下ケース103を上下方向に貫通する円孔である下孔111B(図8参照)とからなる。上孔111A及び下孔111Bは、互いに上下方向に並んで配置された同径の孔である。第一支持孔111で支持された巻取スプール300の回転中心を通る回転軸線を、軸線Jという。軸線Jは上下方向に延びる。
第二支持孔112は、ケース101の右部に設けられ、第一案内部107よりも前側、且つ前側凹部125よりも後側にある。第二支持孔112は、下ケース103を上下方向に貫通する円孔である。第二支持孔112の径は、第一支持孔111の径よりも小さい。第二支持孔112で支持されたリボンスプール200の回転中心を通る回転軸線を、軸線Pという。軸線P,Jは中心線C2よりも前側にある。軸線Pは軸線Jよりも前側にある。軸線Pは、軸線Jと平行に延びる。軸線J,Pと交差する仮想直線は、連結線C3(図8参照)である。連結線C3は、右方に対して前方に傾斜する方向に延びる。このため、連結線C3は、前面106Aに沿って延びる仮想平面と交差する。
図8に示すように、下ケース103には、位置決め穴121,122、ピン穴123,124、及び前側凹部125が設けられる。位置決め穴121,122、ピン穴123,124は、何れも下面105から上方に凹む凹部である。位置決め穴121,122及びピン穴123,124の各上端部は、ケース101において予め定められた上下方向位置である高さ基準位置にある。高さ基準位置は、ケース101の上下方向中心から規定距離だけ下方にある。規定距離は、ケース101の上下方向長さ(即ち、ケース101の厚み)に関わらず一定である。
本例では、位置決め穴121及びピン穴123は、第二支持孔112の右後側及び右前側に夫々設けられ、且つ互いに略前後方向に並ぶ。位置決め穴121及びピン穴123は、何れも右面106Bの近傍にある。位置決め穴122及びピン穴124は、下孔111Bの左前側及び左後側に夫々設けられ、且つ互いに略前後方向に並ぶ。位置決め穴122及びピン穴124は、何れも左面106Cの近傍にある。位置決め穴122及びピン穴123は、中心線C2よりも後側にある。位置決め穴121及びピン穴124は、中心線C2よりも後側にある。位置決め穴122及びピン穴124の前後方向距離は、位置決め穴121及びピン穴123の前後方向距離よりも大きい。
位置決め穴121の下部は、円形の開口形状を有する。位置決め穴121の下部の開口幅は、位置決めピン31(図2参照)の軸径よりも若干大きい。位置決め穴121の上部である係止部121Aは、高さ基準位置にある天面(図示外)によって閉じられた、下方に開口する丸穴である。係止部121Aの開口幅は、位置決め穴121の下部よりも小径であって、位置決めピン31の軸径と同径である。
位置決め穴122の下部は、位置決め穴121の下部と同様に円形の開口形状を有する。位置決め穴122の下部の開口幅は、位置決めピン32(図2参照)の軸径よりも若干大きい。位置決め穴122の上部である係止部122Aは、高さ基準位置にある天面(図示外)によって閉じられた、下方に開口する穴である。係止部122Aは、右後方向及び左前方向に延びる長穴である。係止部122Aの最小開口幅(即ち、係止部122Aの短手方向長さ)は、位置決めピン32の軸径と同径である。係止部122Aの長手方向の延長線上に、係止部121Aが配置されている。
ピン穴123,124は、各々の上端部が高さ基準位置にある天面(図示外)によって閉じられた、下方に開口する丸穴である。ピン穴123,124の開口幅は夫々、支持ピン33,34の軸径よりも若干大きい。ピン穴123,124の開口幅は、互いに同径であり、且つ位置決め穴121,122の各下部の開口幅よりも小さい。
前側凹部125は、下面105から上方に凹む段差部である。前側凹部125の上端面は、高さ基準位置にある。本例の前側凹部125は、ヘッド挿入部109と前後方向に並ぶ位置、且つ位置決め穴122及びピン穴123とを結ぶ線上にある。詳細には、前側凹部125は、下ケース103の前端部に設けられ、中心線C1を跨いで左右方向に延びる。前側凹部125の左端部は、左右方向において、ヘッド挿入部109の左端部と略等しい位置にある。前側凹部125の右端部は、左右方向において、ヘッド挿入部109の右端部よりも若干右側にある。前側凹部125の左右方向中心は、中心線C1よりも若干左側にある。前側凹部125は、底面視で中心線C1に沿って後方に延びる。前側凹部125の後端部は、前後方向において、ピン穴123と略等しい位置にある。
前側凹部125の上端面には、リボン種類を示す種類指標部190が設けられる。種類指標部190は、連結線C3よりも前側にあり、且つヘッド周面106Dと前後方向に並ぶ。本例の種類指標部190は、五つの指標部191〜195を含む。指標部191〜194は、前面106Aに沿って左右方向に並んで配置される。指標部195は、指標部191〜194のうちで左から二番目の指標部193の後側に配置される。各指標部191〜195は、リボンカセット100のリボン種類に応じたパターンで、面部又は孔部の何れかで構成される。本例では、指標部191〜193,195が孔部、指標部194が面部である。
図4及び図9に示すように、インクリボン8は、その幅方向(短手方向)が上下方向と略平行となる姿勢で、ケース101内に収容される。ケース101の内部には、リボンスプール200及び巻取スプール300が設けられる。インクリボン8は、その幅方向が上下方向と略平行となる姿勢で、所定の搬送経路(以下、リボン搬送経路)を経由してリボンスプール200から巻取スプール300まで搬送される。リボン搬送経路に沿ってインクリボン8が搬送される方向を、リボン搬送方向という。リボンスプール200は、上下方向に延びる円筒状の部材であって、インクリボン8の長手方向の一端側(即ち、リボン搬送方向の上流側)が巻かれる。巻取スプール300は、上下方向に延びる円筒状の部材であって、インクリボン8の長手方向の他端側(即ち、リボン搬送方向の下流側)が連結される。
リボンスプール200の内部には、上下方向に貫通する装着孔200Aが設けられる。リボンスプール200の外周面は、未使用のインクリボン8が巻かれる供給面200Bである。詳細には、インクリボン8が有する両面のうちでインクが塗布されたインク面81が内側となるように、供給面200Bに未使用のインクリボン8が巻かれる。リボンスプール200では、上限量のインクリボン8を供給面200Bに巻くことができる。以下の説明では、供給面200Bに巻かれた状態のインクリボン8を、第一リボンロール8Aという。第一リボンロール8Aの外径は、供給面200Bに上限量のインクリボン8が巻かれた状態で最大値となる。リボンスプール200に巻かれた上限量のインクリボン8を、最大径の第一リボンロール8Aという。
リボンスプール200の上端部及び下端部には、突出部200C,200Dが夫々設けられる。突出部200Cは、供給面200Bよりも上方に突出する。突出部200Dは、供給面200Bよりも下方に突出する。上ケース102の内面102Aには、第二支持孔112と上下方向に対向する支持部140が設けられる(図10参照)。突出部200Cは、支持部140に下方から装着されて、支持部140によって回転支持される。突出部200Dは、第二支持孔112に上方から嵌め込まれて、第二支持孔112によって回転支持される。即ちリボンスプール200は、第二支持孔112及び支持部140によって回転自在に支持される。従って軸線Pは、平面視で第二支持孔112の中心と略一致する。
図12及び図13に示すように、リボンスプール200は、複数の凸部212及び係止凸部213を有する。複数の凸部212は、リボンスプール200の内周面204から軸線Pに向けて突出し、且つ内周面204の下端部から上端部まで延びる。複数の凸部212は、軸線Pを中心として放射状且つ等間隔で設けられる。係止凸部213は、内周面204のうち上下方向の中央部から全周に亘って軸線Pに向けて突出する。
図4及び図9に示すように、装着孔200Aの上部には、クラッチバネ280が巻回された円筒状の回転部材290が装着される。クラッチバネ280の端部は、支持部140に係止される。回転部材290は、リボンスプール200と共に回転可能である。リボンスプール200が所定の引出し方向(本例では、平面視で時計回り方向)に回転する場合、クラッチバネ280が拡径されるため、回転部材290を介してリボンスプール200に付与される回転負荷は相対的に小さい。回転負荷は、部材の回転を妨げるように作用する負荷である。回転負荷は、リボンスプール200に回転トルクを付与する。回転トルクは、第一リボンロール8Aの外径の大小によって変化せず、安定して発生する。
一方、リボンスプール200が引出し方向とは反対方向に回転する場合、クラッチバネ280が縮径されるため、回転部材290を介してリボンスプール200に付与される回転負荷は相対的に大きい。つまり回転部材290は、クラッチバネ280の弾性力によって、リボンスプール200を引出し方向に安定的に回転させると共に、リボンスプール200が引出し方向とは反対方向に回転するのを規制する。
巻取スプール300は、本体部301、複数の係合突起302、上支持板303、下支持板304等を有する。本体部301は、上下方向に延びる円筒体である。本体部301の内部には、上下方向に貫通する装着孔300Aが設けられる。複数の係合突起302は夫々、本体部301の内周面から軸線Jに向けて突出する。複数の係合突起302は、軸線Jを中心として放射状且つ等間隔で配置されている。
本体部301の外周面は、使用済みのインクリボン8が巻かれる巻取面300Bである。詳細には、インクリボン8が有する両面のうちでインク面81が外側となるように、巻取面300Bに使用済みのインクリボン8が巻かれる。巻取スプール300では、上限量のインクリボン8を巻取面300Bに巻くことができる。以下の説明では、巻取面300Bに巻かれた状態のインクリボン8を、第二リボンロール8Bという(図3参照)。第二リボンロール8Bの外径は、巻取面300Bに上限量のインクリボン8が巻かれた状態で最大値となる。巻取スプール300に巻かれた上限量のインクリボン8を、最大径の第二リボンロール8Bという。
上支持板303は、本体部301の上端近傍から半径方向外側に延びる円盤状である。下支持板304は、本体部301の下端近傍から半径方向外側に延びる円盤状である。上支持板303及び下支持板304は、上下方向に対向配置された同径の板状部材である。上支持板303と下支持板304との上下方向距離は、インクリボン8の幅方向長さよりも若干大きい。上支持板303と下支持板304と巻取面300Bとで囲まれた領域は、第二リボンロール8Bを収容可能な収容部305である。収容部305の外径は、最大径の第二リボンロール8Bの外径よりも大きい。
本例では、上支持板303は、供給面200Bよりも上側にある。下支持板304は、供給面200Bよりも下側にある。上支持板303及び下支持板304の各右端部は、中心線C1とリボンスプール200との間にある。つまり、収容部305は供給面200Bに対して左側から近接する。所定量以上のインクリボン8が供給面200Bに巻かれている場合、第一リボンロール8Aの一部が収容部305に右側から進入する。換言すると、第一リボンロール8Aの半径が軸線Pから収容部305までの距離を超える場合、第一リボンロール8Aの一部が収容部305内に配置される。
巻取スプール300の上端部及び下端部には、突出部300C,300Dが夫々設けられる。突出部300Cは、上支持板303よりも上方に突出する。突出部300Dは、下支持板304よりも下方に突出する。突出部300Cは、上孔111Aに下方から嵌め込まれて、上孔111Aによって回転支持される。突出部300Dは、下孔111Bに上方から嵌め込まれて、下孔111Bによって回転支持される。即ち巻取スプール300は、第一支持孔111によって回転自在に支持される。従って軸線Jは、平面視で第一支持孔111の中心と略一致する。
図9及び図16に示すように、ケース101の内部には、複数の屈曲部131〜137が設けられる。屈曲部131〜137は、リボン搬送経路を設定するための部材であり、且つリボン搬送経路を蛇行させるための部材である。各屈曲部131〜137は、下ケース103の内面103Aに立設され、上ケース102まで上方に延びる。屈曲部131,132,136は、下ケース103に固定された円筒体である。詳細には、屈曲部131,132,136は、下ケース103と一体に形成されている。
屈曲部133〜135,137は、上下方向に延びる軸を中心に回転可能な円筒状の回転体である。詳細には、屈曲部133〜135,137は、夫々、軸部133A〜135A,137Aと円筒体133B〜135B,137Bとを備える。軸部133A〜135A,137Aは、下ケース103に固定された円柱体である。より詳細には、軸部133A〜135A,137Aは、下ケース103と一体的に形成されている。円筒体133B〜135B、137Bは、夫々、軸部133A〜135A,137Aの軸方向と平行に延びる。円筒体133B〜135B,137Bの軸方向の長さは、夫々、軸部133A〜135A,137Aの軸方向の長さよりも小さく、且つインクリボン8の幅方向の長さよりも大きい。円筒体133B〜135B,137Bの内径は、夫々、軸部133A〜135A,137Aの外径よりも僅かに大きい。円筒体133B〜135B,137Bには、夫々、軸部133A〜135A,137Aが挿入される。従って、円筒体133B〜135B,137Bは、夫々、軸部133A〜135A,137Aによって回転可能に支持される。
屈曲部131〜134は、ケース101の右後部に設けられる。屈曲部131は、平面視で、第二支持孔112(図8参照)の右後側にある。位置決め穴121は、前後方向において屈曲部131とリボンスプール200との間にある。屈曲部131は、左右方向において位置決め穴121とリボンスプール200との間にある。屈曲部131は、前後方向においてヘッド周面106Dとリボンスプール200との間にある。軸線Pから屈曲部131までの距離は、最大径の第一リボンロール8Aの半径よりも大きい。屈曲部132〜134は、第一案内部107にある。屈曲部132は、屈曲部131の左後側にある。屈曲部133は、屈曲部132の左側にある。屈曲部134は、屈曲部133の左後側にあり、且つ第一案内部107の左後部にある。
屈曲部135〜137は、ケース101の左後部に設けられる。屈曲部135〜137は、第二案内部108にある。屈曲部137は、第一支持孔111(図7参照)の左後側にある。軸線Jから屈曲部137までの距離は、最大径の第二リボンロール8B(図3参照)の半径よりも大きい。屈曲部136は、屈曲部137の左後側にある。屈曲部135は、屈曲部136の右後側にあり、且つ第二案内部108の右後部にある。
屈曲部131,132,136は、インクリボン8が有する両面のうちでインク面81とは反対側の裏面82と接触して、インクリボン8をリボン搬送経路に沿って案内する。屈曲部133〜135,137は、インクリボン8のインク面81に接触して回転することで、インクリボン8をリボン搬送経路に沿って案内する。本例では、インクリボン8のインク面81に接触する屈曲部133〜135,137は回転するため、インク面81の傷の発生が抑制される。一方、インクリボン8の裏面に接触する屈曲部131,132,136は、回転しないため、屈曲部133〜135,137と比べ、相対的に大きな引出し負荷を、第一リボンロール8Aから引き出されるインクリボン8に付与できる。
図7及び図10に示すように、上ケース102における支持部140の周囲には、窓部160及び少なくとも一つの弾性体180が設けられる。窓部160は、上ケース102を上下方向に貫通し、且つ支持部140を中心として半径方向に延びる長穴である。本例の窓部160は、支持部140の後側から後方に延びる。窓部160の後端部は、平面視で最大径の第一リボンロール8Aの外側にある。ユーザは、窓部160を介して第一リボンロール8Aの外径位置を目視することで、未使用のインクリボン8の残量を認識できる。
各弾性体180は、内面102Aに設けられた板状スポンジである。各弾性体180は、支持部140を中心として半径方向に延びる。各弾性体180は、平面視で、支持部140の外縁から最大径の第一リボンロール8Aの外側まで延びる。各弾性体180はケース101の内部において、第一リボンロール8Aに対して上方から弾性接触する(図4参照)。即ち各弾性体180、第一リボンロール8Aの上面における半径方向全体に亘って面接触して、第一リボンロール8Aを下方に付勢する。本例では、二つの弾性体180が、支持部140の前側及び右前側に配置される。各弾性体180は、何れも4mm厚の扇形をなす同一の板状スポンジであり、図示外の両面テープによって内面102Aに貼り付けられる。各弾性体180が第一リボンロール8Aに弾性接触した状態で、各弾性体180の厚みは2mm程度である。
上ケース102における窓部160の後方には、挿入孔110が設けられる。挿入孔110は、上ケース102を上下方向に貫通し、且つ平面視で矩形状に形成される。挿入孔110の長手方向は、平面視で、左右方向に対して反時計回り方向にやや傾斜する。
図10に示すように、上ケース102は、複数の屈曲支持部151〜157及び複数のリブ161〜165を備える。屈曲支持部151〜157は、夫々、屈曲部131〜137(図9参照)を支持するための部材である。各屈曲支持部151〜157は、内面102Aから下方に突出する。屈曲支持部151,152,156は、円柱体である。各屈曲支持部151,152,156の軸径は、夫々、各屈曲部131,132,136の内径と同径である。屈曲支持部153〜155,157は、円筒体である。各屈曲支持部153〜155,157の内径は、夫々、各軸部133A〜135A,137Aの軸径と同径である。屈曲支持部151〜157は、夫々、屈曲部131〜137と上下方向に対向する位置に設けられる。
詳細には、屈曲支持部151〜154は、ケース101の右後部に設けられる。屈曲支持部151は、平面視で、挿入孔110の右側にある。屈曲支持部152〜154は、第一案内部107にある。屈曲支持部152は、屈曲支持部151の左後側にある。屈曲支持部153は、屈曲支持部152の左側にある。屈曲支持部154は、屈曲支持部153の左後側にあり、且つ第一案内部107の左後部にある。
屈曲支持部155〜157は、ケース101の左後部に設けられる。屈曲支持部155〜157は、第二案内部108にある。屈曲支持部157は、第一支持孔111(図7参照)の左後側にある。屈曲支持部156は、屈曲支持部157の左後側にある。屈曲支持部155は、屈曲支持部156の右後側にあり、且つ第二案内部108の右後部にある。
各屈曲支持部151,152,156は、上ケース102と下ケース103とが互いに組み付けられた状態で、各屈曲部131,132,136の内部に夫々挿入される。従って、屈曲支持部151,152,156は、屈曲部131,132,136の各上端部を夫々支持する。
屈曲支持部153〜155,157には、上ケース102と下ケース103とが互いに組み付けられた状態で、軸部133A〜135A,137Aの各上端部が夫々挿入されている。従って、屈曲支持部153〜155,157は、軸部133A〜135A,137Aの各上端部を夫々支持する。下ケース103と屈曲支持部152とで軸部133Aが支持された時の円筒体133Bの回転中心を通る回転軸線を、軸線Sという。軸線Sは、軸線J及び軸線Pと平行に延びる。
図11に示すように、屈曲部132の周面のうちでリボン搬送経路が通る部分と、円筒体133Bの周面のうちでリボン搬送経路が通る部分との二点に対する接線に直交し、軸線Sを通る直線は仮想線K1である。円筒体133Bの周面のうちでリボン搬送経路が通る部分と、円筒体134Bの周面のうちでリボン搬送経路が通る部分との二点に対する接線に直交し、軸線Sを通る直線は仮想線K2である。仮想線K1と仮想線K2とがなす角度のうち、円筒体133Bの周面においてリボン搬送経路が通る部分を含む角度は接触角度θ1である。接触角度θ1は90度以上である。つまり、インクリボン8が屈曲部133に接触する範囲は、軸線Sに対して90度以上である。
図10に示すように、リブ161〜165は、インクリボン8の幅方向の移動を規制するための部材である。各リブ161〜165は、内面102Aから下方に僅かに突出する。リブ161は、平面視で、屈曲支持部152から右前方に延び、屈曲支持部151と屈曲支持部152との間でリボン搬送経路と交差する。リブ162は、平面視で、屈曲支持部152から左後方に延び、屈曲支持部152と屈曲支持部153との間でリボン搬送経路と交差する。リブ163は、平面視で、リブ162と屈曲支持部153との間で前後方向に延び、リブ162と屈曲支持部153との間でリボン搬送経路と交差する。リブ164は、平面視で、屈曲支持部154の周囲において平面状に延び、屈曲支持部153と屈曲支持部154との間及び屈曲支持部154とリボン出口107Aとの間でリボン搬送経路と交差する。リブ165は、平面視で、屈曲支持部155の周囲において平面状に延び、リボン入口108Aと屈曲支持部155との間及び屈曲支持部155と屈曲支持部156との間でリボン搬送経路と交差する。
図9に示すように、下ケース103は、複数のリブ171〜175及び一対の孔114,115を備える。複数のリブ171〜175は、インクリボン8の幅方向の移動を規制するための部材である。インクリボン8は、リボン搬送経路において、各リブ161〜165と各リブ171〜175との間で挟まれることにより、幅方向の移動が規制される。各リブ171〜175は、内面103Aから上方に僅かに突出する。リブ171〜175は、夫々、リブ161〜165と上下方向に対向する位置に設けられる。
詳細には、リブ171は、平面視で、屈曲部132から右前方に延び、屈曲部131と屈曲部132との間でリボン搬送経路と交差する。リブ172は、平面視で、屈曲部132から左後方に延び、屈曲部132と屈曲部133との間でリボン搬送経路と交差する。リブ173は、平面視で、リブ172と屈曲部133との間で前後方向に延び、リブ172と屈曲部133との間でリボン搬送経路と交差する。リブ174は、平面視で、屈曲部134の周囲において平面状に延び、屈曲部133と屈曲部134との間及び屈曲部134とリボン出口107Aとの間でリボン搬送経路と交差する。リブ175は、平面視で、屈曲部135の周囲において平面状に延び、リボン入口108Aと屈曲部135との間及び屈曲部135と屈曲部136との間でリボン搬送経路と交差する。
各リブ161〜165,171〜175は、夫々、搬送経路上において各屈曲部132〜135の上流側と下流側とに設けられているため、インクリボン8を適切に各屈曲部132〜135に案内できる。
孔114は、後述のフック652の右前側近傍に設けられる。孔115は、後述のフック651の左後側近傍に設けられる。一対の孔114,115は、下ケース103を上下方向に貫通する。
図16に示すように、リボンカセット100は、インクリボン8に引出し負荷を付与するための押付機構6を備える。押付機構6は、リボン搬送経路において、リボンスプール200とリボン出口107Aとの間に設けられる。押付機構6の詳細は後述する。
(3.クラッチバネ280及び回転部材290に関する詳細説明)
図12を参照し、クラッチバネ280及び回転部材290を説明する。以下では、図12の上方及び下方を、各々、リボンスプール200、クラッチバネ280、及び回転部材290の上方及び下方と定義する。クラッチバネ280を説明する。クラッチバネ280は、コイル状の円環部281と、円環部281の上端から半径方向外側に延設された延設部282とを有する。
回転部材290は、下筒291及び上筒292を有する。下筒291及び上筒292は、互いに同軸で上下方向に並ぶ円筒状である。上筒292は、下筒291の上面から上方に延びる。上筒292の外径は、下筒291の外径よりも小さく、且つ円環部281の内径と略等しい。下筒291の外周面には、二つの係止突起293が設けられている。二つの係止突起293は、回転部材290の回転軸線を中心として対称に設けられる。各係止突起293は、下筒291の外周面から半径方向外側に突出し、且つ上下方向に延びる。
回転部材290の内部には、回転部材290を上下方向に貫通する軸孔294が設けられる。軸孔294は、互いに同軸で上下方向に延びる下穴294A及び上穴294Bを含む(図13参照)。下穴294Aは、下筒291の内周面によって囲まれた、回転部材290の下方に開口する凹部である。上穴294Bは、下穴294Aよりも小径であり、下穴294Aから上方に延びる孔である。上穴294Bは、上筒292の内部を貫通して、回転部材290の上方に開口する。
クラッチバネ280は、回転部材290に装着される。詳細には、上筒292が円環部281の巻回中心を貫通するように、且つ、延設部282が上筒292の上端近傍に配置されるように、クラッチバネ280が上筒292の外周側に配置される。クラッチバネ280が装着された回転部材290は、二つの係止突起293が複数の凸部212のうち隣り合う凸部212の間に形成された溝部の何れかに嵌まるように、装着孔200Aに上方から挿入される。回転部材290が装着孔200Aに挿入された場合、二つの係止突起293は係止凸部213によって下方から支持される。
図4及び図10を参照し、リボンカセット100に対するリボンスプール200の装着構造を説明する。図4に示すように、クラッチバネ280及び回転部材290が組み付けられたリボンスプール200は、以下のようにリボンカセット100に装着される。先述したように、リボンスプール200の突出部200C,200Dは夫々、支持部140及び第二支持孔112によって回転支持される。
より詳細には、突出部200Dが第二支持孔112の上側部分に上方から挿入された状態で、供給面200Bの下端部が第二支持孔112の周縁部によって下方から支持される。第二支持孔112は、突出部200Dの半径方向への移動を規制しつつ、突出部200Dを周方向に回転自在に支持する。
図10に示すように、支持部140は、第二支持孔112の上方に設けられ、支持軸141、複数の係合部142、及び支持凹部143を有する。支持凹部143は、上ケース102の内面102Aから上方に凹む部位である。支持凹部143は、第二支持孔112の上方に設けられ、且つ底面視で第二支持孔112と略対応する円形である。支持軸141は、支持凹部143の中央部から下方に延びる円柱体である。支持軸141の軸心は、底面視で第二支持孔112の開口中心と一致する。複数の係合部142は、支持凹部143における支持軸141の半径方向外側から下方に延びる複数の柱状体である。複数の係合部142は、支持軸141を中心として放射状且つ等間隔で配置されている。
図4及び図10に示すように、ケース101の内部では、支持部140が次のように突出部200Cを回転支持する。支持軸141は、回転部材290の上穴294Bに上方から挿入される。複数の係合部142は、装着孔200Aに上方から挿入され、且つ上筒292と内周面204の上部との間に配置される。複数の係合部142は、クラッチバネ280の延設部282(図12参照)の回転軌跡上に配置される。延設部282は、装着孔200Aの内部で、複数の係合部142の何れかに係合する。突出部200Dが支持凹部143に下方から挿入される。支持凹部143は、突出部200Cの半径方向への移動を規制しつつ、突出部200Cを周方向に回転自在に支持する。
本構造によれば、リボンスプール200を引出し方向に回転させる外力が作用した場合、装着孔200Aの内部で円環部281が拡径される。この場合、円環部281が上筒292に付与する回転負荷は相対的に小さい。従ってリボンスプール200は、支持軸141を中心に回転する回転部材290と共に引出し方向に回転する。このとき、クラッチバネ280が付与する相対的に小さい回転負荷によって、リボンスプール200は安定的に回転する。第一リボンロール8Aから引き出されるインクリボン8に、適度なテンションが付与される。
一方、リボンスプール200を引出し方向とは反対方向に回転させる外力が作用した場合、装着孔200Aの内部で円環部281が縮径される。この場合、円環部281が上筒292に付与する回転負荷は相対的に大きいため、回転部材290の回転が規制される。従ってリボンスプール200は、回転部材290を介して、引出し方向とは反対方向への回転が規制される。
(4.押付機構6に関する詳細説明)
図11及び図14〜図16を参照し、押付機構6を説明する。以下説明では、挿入孔110の長手方向をリボンカセット100の第一傾斜方向と定義する。第一傾斜方向のうち、右方に対して後方に傾斜する方向をリボンカセット100の第一特定方向と定義する。第一傾斜方向のうち、第一特定方向とは反対方向をリボンカセット100の第二特定方向と定義する。挿入孔110の長手方向に直交する短手方向をリボンカセット100の第二傾斜方向と定義する。第二傾斜方向のうち、後方に対して左方に傾斜する方向をリボンカセット100の第三特定方向と定義する。第二傾斜方向のうち、第三特定方向とは反対方向をリボンカセット100の第四特定方向と定義する。
図11及び図16に示すように、押付機構6は、バネ支持部630、板バネ620、装着部650、及び押付部材670を備える。バネ支持部630は、後述の板バネ620を支持する部位である。バネ支持部630は、下ケース103と一体的に形成される。バネ支持部630は、第一支持壁部631と第二支持壁部632とを備える。
第一支持壁部631は、屈曲部133の前側で内面103Aからやや上方に突出し、且つ第一傾斜方向に延びる。第二支持壁部632は、第一支持壁部631の第四特定方向側に設けられる。第二支持壁部632は、第一壁部632A、第二壁部632B、及び第三壁部632Cを備える。
第一壁部632Aは、平面視で第二特定方向及び第三特定方向に開口するL字状に形成され、且つ内面103Aから上ケース102近傍まで上方に延びる。第二壁部632Bは、内面103Aから上ケース102近傍まで上方に延び、且つ第一傾斜方向に延びる。第二壁部632Bの第四特定方向の面は、第一壁部632Aの第三特定方向の端部と接続する。第三壁部632Cは、内面103Aから上方にやや突出し、且つ第一傾斜方向に延びる。第三壁部632Cの上下方向の長さは、第一壁部632Aの上下方向の長さと等しい。第三壁部632Cの第一特定方向の端部は、第二壁部632Bの第二特定方向の端部と接続する。
図14に示すように、板バネ620は、弾性変形可能な金属製の板状体であり、上下方向及び第二傾斜方向に延びる略矩形状に形成される。板バネ620は、バネ支持部630に配置される。板バネ620の第一特定方向の面は、第一接触面621である。板バネ620の第一接触面621とは反対側の面は、第二接触面622(図16参照)である。板バネ620は、例えばプレス成形によって製造される。板バネ620のうち、第一接触面621側の周縁部は、丸みを帯びた状態である。つまり、第一接触面621は所謂ダレ面である。板バネ620のうち、第二接触面622側の周縁部は、複数の凸部が外側に向けて出っ張っている状態である。つまり、第二接触面622は所謂バリ面である。板バネ620は、第一接触面621がインクリボン8の裏面82(図9参照)に接触することで、第一接触面621と屈曲部133との間でインクリボン8を挟む。
板バネ620の下端部には、上方に凹む第一凹部623が設けられる。第一凹部623は、板バネ620において、第二傾斜方向の中央部のやや第三特定方向側から第四特定方向の端部近傍までの位置に設けられる。従って、板バネ620は、板バネ620の第三特定方向の端部と第四特定方向の端部との中心を通り、上下方向に延びる直線に対して非対称である。第一凹部623の第二傾斜方向の長さは、第三壁部632Cと第一支持壁部631との間の距離よりも僅かに小さい。第一凹部623の上下方向の長さは、第三壁部632C及び第一支持壁部631の上下方向の長さと略等しい。第一凹部623の内部には、第一支持壁部631と第三壁部632Cとが配置される。これにより、板バネ620は、第二傾斜方向への移動が規制される。
板バネ620の上端部には、下方に凹む第二凹部624が設けられる。第二凹部624は、板バネ620において、第一凹部623と対向する位置に設けられる。第二凹部624の第四特定方向の端部は、第一凹部623の第四特定方向の端部よりも僅かに第三特定方向にある。第二凹部624の両上端角部は面取りがされている。従って、板バネ620は、板バネ620の上端部と下端部との中心を通り、第二傾斜方向に延びる直線に対して非対称である。
板バネ620は、第一接触面621のうち、第一凹部623及び第二凹部624よりも第三特定方向側の部位において、インクリボン8の裏面82と接触する。板バネ620において、インクリボン8と接触する部位を通る上下方向の長さは、インクリボン8の幅方向の長さよりも大きい。
第一凹部623の上端部は、第一支持壁部631及び第三壁部632Cの夫々の上端部に接触する。第一接触面621は、第二壁部632Bの第二特定方向の端部に接触する。従って板バネ620は、第一支持壁部631と第三壁部632Cによって下側から支持され、且つ第二壁部632Bによって第一特定方向側から支持される。板バネ620の下端部は第一凹部623の外側で内面103Aと接触する。従って、板バネ620は下ケース103によって下側から支持される。
図11及び図16に示すように、装着部650は、後述の押付部材670が装着される部位である。装着部650は、下ケース103と一体的に形成される。装着部650は、一対のフック651,652と装着壁部653とを備える。一対のフック651,652は、第二傾斜方向に互いに対向する。フック651は、第三壁部632Cの第二特定方向側で内面103Aからケース101の上下方向の略中央部まで上方に延びる。フック651の先端部には、第三特定方向に突出する係止片が設けられる。フック652は、第一支持壁部631の第二特定方向側で内面103Aからケース101の上下方向の略中央部まで上方に延びる。フック652の先端部には、第四特定方向に突出する係止片が設けられる。一対のフック651,652の上下方向の長さは互いに等しい。一対のフック651,652は、夫々、第二傾斜方向に弾性変形可能である。
装着壁部653は、一対のフック651,652の第二特定方向側に設けられる。装着壁部653は、平面視で第一特定方向に開口するU字状に形成され、且つ内面103Aから上ケース102の近傍まで上方に延びる。
図15に示すように、押付部材670は、板バネ620を弾性変形させるための部材である。押付部材670は、装着部650に装着される。押付部材670は、平面視で、第一傾斜方向を長手方向とする略矩形状である。押付部材670の上下方向の長さは、ケース101の上下方向の長さと略等しい。押付部材670は、押付部材670の第二傾斜方向の中心を通り、上下方向及び第一傾斜方向に延びる面に対して対称であり、且つ、押付部材670の第一傾斜方向の中心を通り、上下方向及び第二傾斜方向に延びる面に対して対称である。
押付部材670は、第一部材671、第二部材672、第三部材674を備える。第一部材671は、平面視で矩形状であり、上下方向に所定の幅を有する。第一部材671の第三特定方向の面及び第四特定方向の面には、夫々、内側に凹む一対の凹部が形成される。第一部材671の第一傾斜方向及び第二傾斜方向の長さは、夫々、挿入孔110の第一傾斜方向及び第二傾斜方向の長さと等しい。第一部材671は挿入孔110に嵌められて、挿入孔110の内部と接触する。従って、第一部材671は上ケース102によって支持される。
第二部材672は、第一部材671の下面から下方に延出した略直方体状である。第二部材672の第一傾斜方向の長さは、第一部材671の第一傾斜方向の長さよりも小さい。第二部材672の第二傾斜方向の長さは、第一部材671の第二傾斜方向の長さと等しく、且つ装着壁部653の開口部の第二傾斜方向の長さと略等しい。
第二部材672の下端部には、第一傾斜方向に延び、且つ、下方に対して第二部材672の第二傾斜方向の中心に向かって傾斜する方向に延びる一対の傾斜面672Aが形成される。なお、図15では一対の傾斜面672Aのうち第三特定方向側の傾斜面672Aが図示されている。
第二部材672の第三特定方向の面及び第四特定方向の面には、夫々内側に凹む一対の係合凹部673が形成される。一対の係合凹部673は、夫々、第二部材672の下端部近傍から上端部まで延び、第一部材671の一対の凹部に接続する。一対の係合凹部673には、夫々、一対のフック651,652が係合する。これにより、一対のフック651,652は、押付部材670を下ケース103に固定する。
第三部材674は、第二部材672の第一特定方向の面、第二特定方向の面、及び下面から夫々外側に突出する。第三部材674は、一対の接触面674A,674E、一対の傾斜面674B,674D、及び下面674Cを有する。
接触面674Aは、第三部材674の面のうち、第一特定方向の面である。接触面674Aは、第一部材671の第一特定方向の端部よりも第二特定方向において、第二部材672の上端部から下端部まで延びる。接触面674Aは、第二壁部632Bの第二特定方向の端部と屈曲部133の第二特定方向の端部とを結ぶ直線よりも第一特定方向側に位置する。つまり、接触面674Aは、弾性変形していない板バネ620よりも第一特定方向側に位置する。接触面674Eは、第三部材674の面のうち、第二特定方向の面である。傾斜面674Bは、第三部材674の面のうち、接触面674Aの下端部から下方に対して第二特定方向に傾斜する方向に延びる面である。接触面674Eは、第一部材671の第二特定方向の端部よりも第一特定方向において、第二部材672の上端部から下端部まで延びる。傾斜面674Dは、第三部材674の面のうち、接触面674Eの下端部から下方に対して第一特定方向に傾斜する方向に延びる面である。下面674Cは、第三部材674の面のうち、傾斜面674Bの下端部から傾斜面674Dの下端部まで延びる面である。
接触面674A,674E、傾斜面674B,674D、及び下面674Cの第二傾斜方向の長さは、互いに等しい。接触面674A,674Eの第二傾斜方向の長さは、夫々、第二部材672の第一特定方向の面及び第二特定方向の面の第二傾斜方向の長さよりも小さい。接触面674A,674Eの上下方向の長さは、互いに等しく、且つ板バネ620の第二凹部624と第一凹部623との間の距離よりも大きい。
図16を参照し、リボンカセット100に対する板バネ620及び押付部材670の組み付け構造を説明する。板バネ620は、上ケース102と下ケース103とが互いに開いている状態で、ケース101の内部に組み付けられる。上ケース102と下ケース103とが互いに組み付けられて結合する。この状態で、押付部材670が挿入孔110を介してケース101の内部に組み付けられる。
詳細には、板バネ620は、第一支持壁部631と第三壁部632Cとが第一凹部623の内部に嵌められて、バネ支持部630に組み付けられる。これにより、第一支持壁部631と第三壁部632Cとは板バネ620の第二傾斜方向の移動を規制する。第一支持壁部631及び第三壁部632Cの夫々の上端部は、板バネ620に接触する。第二壁部632Bの第二特定方向の端部は、板バネ620の第四特定方向の端部に接触する。従って、板バネ620はバネ支持部630によって支持される。本例では、板バネ620は上下方向及び第二傾斜方向に非対称であるため、ユーザは例えば板バネ620を下ケース103に組み付ける場合に、板バネ620の上下方向及び第二傾斜方向を容易に認識できる。
押付部材670以外の部材が下ケース103に組み付けられた状態で、上ケース102と下ケース103とは互いに組み付けられて結合する。この場合、各屈曲支持部151,152,156が、夫々、各屈曲部131,132,136の内部に挿入され、且つ各軸部133A〜135A,137Aが、夫々、各屈曲支持部153〜155,157の内部に挿入されながら、上ケース102が上方から下ケース103に組み付けられる。
この状態で、押付部材670は、ケース101の外部から挿入孔110を介してケース101の内部に挿入される。即ちリボンカセット100は、上ケース102と下ケース103とが互いに組み付けられ、屈曲部133が上ケース102と下ケース103とによって支持された状態で、押付部材670をケース101の内部に組み付けることができる。従って、屈曲部133が下ケース103のみによって支持されている状態で押付部材670を組み付けて、板バネ620を撓ませた場合と比べ、屈曲部133が傾くことを抑制できる。屈曲部133が傾くと、傾いた屈曲部133を屈曲支持部153の内部に挿入することが困難になるため、上ケース102と下ケース103との組付け性が悪化する。本例では、リボンカセット100は、組み付け時の屈曲部133の傾きを抑制できるため、上ケース102と下ケース103とを互いに組み付けやすい。従って、リボンカセット100は、インクリボン8に引出し負荷を付与する押付機構6を上ケース102と下ケース103との間に容易に組み付けることができる。
押付部材670は、接触面674Aが第一特定方向を向き、且つ第一部材671が第二部材672の上方になるようにして、挿入孔110に挿入される。押付部材670は、接触面674Eが第一特定方向を向いた状態で挿入されてもよい。理由は、押付部材670が、押付部材670の第二傾斜方向の中心を通り、上下方向及び第一傾斜方向に延びる面に対して対称であり、且つ、押付部材670の第一傾斜方向の中心を通り、上下方向及び第二傾斜方向に延びる面に対して対称であるためである。この場合、接触面674Eは接触面674Aの機能を果たす。
押付部材670は、装着部650に装着された状態で、接触面674Aが板バネ620の第二接触面622に接触することで、板バネ620を接触面674Aの位置まで第一特定方向に移動させる。板バネ620の第四特定方向の端部は、第二壁部632Bの第二特定方向の端部に接触して、第一特定方向への移動が規制されている。板バネ620の第三特定方向の端部は、インクリボン8に接触し、屈曲部133によって第一特定方向への移動が規制されている。従って、押付部材670は、接触面674Aが第二接触面622に接触することで、板バネ620を撓ませることができる。これにより、撓んだ状態の板バネ620は、屈曲部133に対して付勢力を付与することで、屈曲部133との間でインクリボン8を挟んで、インクリボン8に引出し負荷を付与する。従って、第一リボンロール8Aから引き出されるインクリボン8には、適度なテンションが付与される。
挿入孔110を介してケース101の内部に挿入された押付部材670は、接触面674Aが第二接触面622に接触することで板バネ620を撓ませながら、装着壁部653の開口部に上方から進入する。この場合、板バネ620が傾斜面674Bに沿って徐々に撓むため、ユーザはケース101の内部に押付部材670を挿入しやすい。
押付部材670がケース101の内部に組み付けられると、第一部材671の下面が装着壁部653の上端部に接触し、且つ一対のフック651,652の夫々の先端部に設けられた係止片が、一対の係合凹部673に係合する。この場合、一対のフック651,652の夫々の先端部に設けられた係止片が、夫々一対の傾斜面672Aに沿って外側に弾性変形するため、ユーザはケース101の内部に押付部材670を挿入しやすい。
挿入孔110を介して装着部650に装着された押付部材670は、上ケース102の挿入孔110及び下ケース103の装着部650によって支持される。これにより、押付部材670は、ケース101の内部で安定するため、板バネ620の所定の位置に接触して、板バネ620を安定的に撓ませることができる。従って、インクリボン8には安定した引出し負荷が付与される。
板バネ620において、インクリボン8と接触する部位を通る上下方向の長さ、及び円筒体133Bの軸方向の長さが、何れもインクリボン8の幅方向の長さよりも大きい。これにより、インクリボン8は、その幅方向の全体において、板バネ620と円筒体133Bによって挟まれる。従って、インクリボン8には、その幅方向において全体的に負荷が付与されるため、リボンカセット100は、インクリボン8に皺が生じることを抑制でき、安定した印字品質を保つことができる。
インクリボン8には、屈曲部133を介してリボン搬送経路に沿ってインクリボン8が引き出される際に、板バネ620の第一接触面621と屈曲部133との間でインクリボン8が挟まれることによって引出し負荷が付与される。この引出し負荷は、インクリボン8がリボンスプール200から引き出される際に、リボンスプール200に回転負荷を付与する回転規制部材によってリボンスプール200に付与される回転負荷よりも小さい。本例では、回転規制部材は、クラッチバネ280及び回転部材290と、二つの弾性体180とである。
(5.印刷装置1及びリボンカセット100の動作態様)
図2〜図4、図8、及び図9を参照し、印刷装置1及びリボンカセット100の動作態様を説明する。印刷装置1では、カバー12が開かれるのに伴って、可動搬送ローラ62は退避位置に変位する。リボン装着部30にリボンカセット100が装着されると、印刷ヘッド61はヘッド挿入部109に挿入される。リボン巻取軸63は下孔111Bを介して、巻取スプール300の装着孔300Aに挿入される。複数の突出片63Aは、複数の係合突起302に係合される。回転軸71は第二支持孔112を介して、リボンスプール200の装着孔200Aに挿入される。複数の突出片71Aは、複数の突出片63Aと同様に、装着孔200A内でリボンスプール200に係合される。
リボン装着部30に装着されるリボンカセット100は、以下のようにリボン装着部30における適正な位置に位置決めされる。位置決めピン31,32及び支持ピン33,34は、位置決め穴121,122及びピン穴123,124に夫々挿入される。支持ピン33の上端部は、ピン穴123の天面に接触して、リボンカセット100の上下方向を位置決めする。支持ピン34の上端部は、ピン穴124の天面に接触して、リボンカセット100の上下方向を位置決めする。位置決めピン31の上端部は、係止部121Aに緊密に嵌め込まれて、リボンカセット100の上下左右前後の各方向を位置決めする。位置決めピン32の上端部は、係止部122Aに緊密に嵌め込まれて、リボンカセット100の上下左右前後の各方向を位置決めする。支持部35は前側凹部125を下方から支持して、リボンカセット100の上下方向を位置決めする。
前側凹部125が支持部35によって支持されると、五つの検出スイッチ80Aが種類指標部190によって選択的に押圧される。本例では、各指標部191〜195が、五つの検出スイッチ80Aの何れかと夫々対向する。指標部191〜193,195と対向する各検出スイッチ80Aは、孔部内に挿入されて基準位置に保持される。指標部194と対向する検出スイッチ80Aは、面部で付勢されて押下位置に変位する。
指標検出部80は、基準位置の各検出スイッチ80Aに対応するOFF信号と、押下位置の検出スイッチ80Aに対応するON信号との組み合わせを、種類検出パターンとしてCPU41(図5参照)に出力する。CPU41は、受付けた種類検出パターンに対応するリボン種類を、フラッシュメモリ45(図5参照)のテーブルを参照して特定する。これにより印刷装置1は、リボン装着部30に装着されたリボンカセット100のリボン種類を特定できる。
リボンカセット100がリボン装着部30に装着され、且つチューブ9がチューブ装着部40に装着された状態で、カバー12が閉じられる。カバー12が閉じられると、可動搬送ローラ62は作動位置に変位する。可動搬送ローラ62は、チューブ装着部40にあるチューブ9と未使用のインクリボン8とを重ねて、印刷ヘッド61に向けて付勢する。このときチューブ9は、可動搬送ローラ62の付勢力によって弾性変形して、インクリボン8を介して印刷ヘッド61と面接触する。
CPU41は、キーボード7又は操作部17を介して印字開始指示が入力されると、搬送モータ64を駆動して可動搬送ローラ62及びリボン巻取軸63を回転させる。チューブ装着部40内にあるチューブ9は、可動搬送ローラ62の回転に伴って、チューブ搬送方向の下流側に搬送される。このとき、筐体10の外部にある印刷前のチューブ9は、チューブ挿入口15を介してチューブ装着部40内に引き込まれる。
リボン巻取軸63の回転に伴って、巻取スプール300が巻取り方向に回転する。巻取スプール300の回転に伴って、リボンスプール200が引出し方向に回転する。これによりインクリボン8は、第一リボンロール8Aの後端近傍から引き出され、以下のリボン搬送経路に沿って搬送される。なお、リボンスプール200の回転に伴って、回転軸71も引出し方向に回転する。
未使用のインクリボン8は、第一リボンロール8Aから引き出されたのち、屈曲部131の右前面側、屈曲部132の右後面側、屈曲部133の左前面側、屈曲部134の右後面側を順に経由する。次いで未使用のインクリボン8は、リボン出口107Aからケース101の外部に排出され、ヘッド挿入部109内を左方向に進む。このとき未使用のインクリボン8は、チューブ9と印刷ヘッド61との間を通る。
CPU41は印刷ヘッド61を駆動して、チューブ9と印刷ヘッド61との間を通るインクリボン8を加熱して、チューブ9にキャラクタを印刷する。本例の印刷ヘッド61は、その後側を経由するチューブ9の前部にキャラクタを正像印刷する。その後、CPU41は切断モータ93を駆動して、切断刃92を受台91に対して接近させることで、印刷済みのチューブ9を切断する。切断されたチューブ9は、チューブ排出口16を介して筐体10の外部に排出される。
使用済みのインクリボン8は、リボン入口108Aからケース101の内部に進入して、屈曲部135の左後面側、屈曲部136の左面側、屈曲部137の右後面側を経由する。最後に、使用済みのインクリボン8は、巻取スプール300の左側から巻き取られ、第二リボンロール8Bとして保持される。このように、インクリボン8は、複数の屈曲部131〜137を経由することで、蛇行したリボン搬送経路に沿って搬送される。
(6.リボンカセット100の主な特徴の説明)
リボンカセット100の主な特徴を説明する。押付部材670は、接触面674Aが板バネ620の第二接触面622に接触することで、板バネ620を撓ませる。これにより、リボンカセット100は、板バネ620の第一接触面621と屈曲部133との間でインクリボン8を挟むことで、インクリボン8に引出し負荷を付与する。これにより、リボンカセット100は、第一リボンロール8Aから引き出されるインクリボン8に適度なテンションを付与できるため、インクリボン8に弛みが生じることを抑制できる。リボンカセット100は、上ケース102に設けられた挿入孔110を介して外部から押付部材670を挿入できる。そのため、リボンカセット100では、屈曲部133の軸部133Aの軸方向の一端部及び他端部が、夫々、上ケース102及び下ケース103によって支持された後に、押付部材670によって板バネ620を撓ませて、板バネ620と屈曲部133との間でインクリボン8を挟むことができる。つまり、リボンカセット100は、屈曲部133に板バネ620の付勢力が付与される前に、上ケース102と下ケース103とを組み付けることができる。従って、リボンカセット100は、インクリボン8に引出し負荷を付与する機構である押付機構6を上ケース102と下ケース103との間に容易に組み付けることができる。
押付部材670は、上ケース102及び下ケース103によって二ヶ所で支持されている。このため、リボンカセット100は押付部材670を安定した状態でケース101の内部に配置できる。
押付部材670の下端部には、一対の傾斜面672Aが形成されている。押付部材670は、一対の傾斜面674B、674Dを有する。例えば押付部材670を外部から挿入孔110を介してケース101の内部に挿入する場合、ユーザは押付部材670の下端部側から押付部材670を挿入孔110に挿入する。この場合、一対のフック651,652の夫々の先端部に設けられた係止片が、夫々一対の傾斜面672Aに沿って外側に弾性変形するため、ユーザは押付部材670をケース101の内部に挿入しやすい。板バネ620が傾斜面674Bに沿って徐々に撓むため、ユーザはケース101の内部に押付部材670を挿入しやすい。即ち、押付部材670の下端部が先細り形状であるため、リボンカセット100は押付部材670を外部から挿入孔110を介してケース101の内部に容易に挿入できる。
押付部材670の接触面674Aにおける第二傾斜方向の長さが、押付部材670の第二部材672の第一特定方向の面の第二傾斜方向の長さよりも小さい。このため、押付部材670は、強度を保ちつつ板バネ620を局所的に押圧できる。板バネ620は、局所的に押圧されると安定して撓む。従って、リボンカセット100は押付部材670の強度を保ちつつ、インクリボン8に引出し負荷を安定的に付与できる。
板バネ620において、インクリボン8の裏面82に接触する部位を通る上下方向の長さは、インクリボン8の幅方向の長さよりも大きい。屈曲部133の上下方向の長さは、インクリボン8の幅方向の長さよりも大きい。例えばインクリボン8の幅方向の一部に局所的な引出し負荷が付与された場合、インクリボン8に皺が生じる場合がある。板バネ620において、インクリボン8の裏面82に接触する部位を通る上下方向の長さ、及び屈曲部133の上下方向の長さは、何れも、インクリボン8の幅方向の長さよりも大きいため、インクリボン8は幅方向において、板バネ620と屈曲部133との間で全体的に挟まれる。従って、リボンカセット100は幅方向においてインクリボン8全体に引出し負荷を付与できるため、インクリボン8に皺が生じることを抑制でき、安定した印字品質を保つことができる。
板バネ620は、板バネ620の下端部であって、インクリボン8の裏面82に接触する部位とは異なる部位に第一凹部623を備える。これにより、リボンカセット100は軽量化できる。更に、第一支持壁部631と第三壁部632Cが第一凹部623に嵌まることにより、板バネ620の第二傾斜方向の移動が規制される。これにより、板バネ620が配置される位置が安定するため、押付部材670を挿入しやすい。
板バネ620は、板バネ620の上端部であって、且つ第一凹部623と対向する位置に第二凹部624を備える。これにより、リボンカセット100は軽量化できる。第一凹部623と第二凹部624との間の距離は、押付部材670の接触面674Aの上下方向の長さよりも小さい。押付部材670の接触面674Aは、第一凹部623と第二凹部624との間で板バネ620の第二接触面622に接触する。第一凹部623と第二凹部624との間の距離は押付部材670の接触面674Aの上下方向の長さよりも小さいため、押付部材670の接触面674Aは上下方向において板バネ620全体に接触できる。従って、リボンカセット100は押付部材670によって板バネ620を安定的に撓ませることができる。
板バネ620は、上下方向に非対称である。このため、ユーザは板バネ620をケースに組み付ける場合に、板バネ620の上下方向の向きを把握しやすい。従って、リボンカセット100は板バネ620をケース101に正しい向きで組み付けることができる。
板バネ620において、第一接触面621はダレ面であり、第二接触面622はバリ面である。板バネ620において、第二接触面622よりもバリが少ない第一接触面621がインクリボン8に接触する。従って、リボンカセット100はインクリボン8に傷が付くことを抑制でき、安定した印字品質を保つことができる。
板バネ620は、インクリボン8の裏面82に接触する。従って、リボンカセット100はインクリボン8のインク面81に傷が付くことを抑制しつつ、インクリボン8に引出し負荷を付与できる。
インクリボン8が屈曲部133に接触する範囲は、軸線Sに対して90度以上である。インクリボン8が屈曲部133に接触する範囲は、インクリボン8が板バネ620の第一接触面621と屈曲部133との間で適切に挟まれる範囲である。例えばインクリボン8において、屈曲部133に接触していないインク面81における反対側の裏面82に、板バネ620が接触すると、インクリボン8は板バネ620の第一接触面621と屈曲部133との間で適切に挟まれない可能性がある。この場合、リボンカセット100はインクリボン8に皺が生じ、安定した印字品質を保つことができない場合がある。インクリボン8が屈曲部133に接触する範囲は、軸線Sに対して90度以上であるため、リボンカセット100は、インクリボン8を板バネ620の第一接触面621と屈曲部133との間で適切に挟むことができる。従って、リボンカセット100は、インクリボン8に皺が生じることを抑制でき、安定した印字品質を保つことができる。
上ケース102は、リブ173,174を備える。リブ173とリブ174とは、上ケース102において、屈曲部133を挟んでリボン搬送経路上に設けられる。下ケース103は、リブ163,164を備える。リブ163とリブ164とは、下ケース103において、屈曲部133を挟んでリボン搬送経路上に設けられる。リブ163,164,173,174は、インクリボン8の幅方向の移動を規制するため、リボンカセット100は、インクリボン8のインク面81を屈曲部133に安定的に接触させることができる。従って、リボンカセット100はインクリボン8を安定して走行させることができる。
インクリボン8は、リボン出口107Aとリボン入口108Aとの間でケース101から外部に露出する。リボン出口107Aはリボン入口108Aよりもリボン搬送経路の上流側である。屈曲部133は、リボン搬送経路においてリボンスプール200とリボン出口107Aとの間に設けられる。このため、リボンカセット100はインクリボン8のうち外部に露出するよりもリボン搬送経路の上流側の部位に引出し負荷を付与できる。これにより、リボンカセット100は屈曲部133よりもリボン搬送経路の下流側においてインクリボン8に弛みが生じることを抑制できる。従って、リボンカセット100は、弛んだ状態のインクリボン8が外部に露出することを抑制できる。
インクリボン8は、インク面81が内側になるように、リボンスプール200に巻かれている。例えばインクリボン8が、インクリボン8のインク面81が外側になるように、リボンスプール200に巻かれている場合、インク面81に埃等が付着する可能性がある。インクリボン8はインク面81が内側になるようにリボンスプール200に巻かれているため、リボンカセット100はインク面81に埃等が付着することを抑制できる。
リボンカセット100は、インクリボン8がリボンスプール200から引き出される際に、インクリボン8に回転負荷を付与する回転規制部材を備える。回転規制部材によってリボンスプール200に回転負荷が付与されるため、リボンスプール200からインクリボン8が安定的に引き出され、且つ引き出されるインクリボン8に適度なテンションが付与される。従って、リボンカセット100は、インクリボン8に弛みが生じることを抑制できる。
インクリボン8には、屈曲部133を介してリボン搬送経路に沿ってインクリボン8が引き出される際に、板バネ620の第一接触面621と屈曲部133との間でインクリボン8が挟まれることによって引出し負荷が付与される。この引出し負荷は、インクリボン8がリボンスプール200から引き出される際に、回転規制部材によってリボンスプール200に付与される回転負荷よりも小さい。即ち、屈曲部133の位置でインクリボン8に付与される引出し負荷は、屈曲部133よりもリボン搬送経路上流側の位置でリボンスプール200を介してインクリボン8に付与される引出し負荷よりも小さい。従って、リボンカセット100は屈曲部133よりも上流側にあるインクリボン8に弛みが生じることを抑制できる。このため、インクリボン8は、板バネ620の第一接触面621と屈曲部133との間でインクリボン8を挟んだ場合にインクリボン8に皺が生じることを抑制でき、安定した印字品質を保つことができる。
クラッチバネ280はインクリボン8がリボンスプール200から引き出される際に、リボンスプール200に回転負荷を付与することで、第一リボンロール8Aから引き出されるインクリボン8に適度なテンションを付与できる。従って、リボンカセット100はインクリボン8に弛みが生じることを抑制でき、安定した印字品質を保つことができる。
連結線C3は、ケース101のうち、前面106Aに沿って延びる仮想平面と交差する。このため、リボンカセット100はケース101においてリボンスプール200又は巻取スプール300の上側、若しくはリボンスプール200又は巻取スプール300の下側に部材を配置するスペースを確保できる。本例では、連結線C3は、右方に対して前方に傾斜する方向に延びるため、リボンカセット100は、リボンスプール200の上側に押付機構6、屈曲部131〜134等を配置できる。
ケース101は、位置決め穴121,122を有する。位置決め穴121は、中心線C2よりも後側に設けられた開口である。位置決め穴122は、中心線C2よりも前側に設けられた開口である。従って、ユーザは、位置決め穴121,122の位置関係によって、ケース101の各方向を把握しやすい。
ケース101は、少なくとも一つの貫通孔を有する。本例では、種類指標部190に含まれる孔部が、少なくとも一つの貫通孔である。少なくとも一つの貫通孔は、左右方向においてリボンスプール200と巻取スプール300との間にある。従って、例えば少なくとも一つの貫通孔をリボンスプール200よりも右側又は巻取スプール300よりも左側に配置した場合と対比して、ケース101の前後方向サイズを抑制できる。
リボンスプール200は、軸線Pに沿って延びる孔である装着孔200Aを有する。巻取スプール300は、軸線Jに沿って延びる孔である300Aを有する。装着孔200Aの最小径は、装着孔300Aの最小径よりも大きい。従って、リボンカセット100は、装着孔200Aの最小径の大きさと装着孔300Aの最小径の大きさとが互いに異なるため、リボンスプール200及び巻取スプール300を容易に特定できる。
リボンカセット100は、第一支持孔111及び第二支持孔112を有する。第一支持孔111は、上孔111A及び下孔111Bを有する。上孔111A及び下孔111Bは、夫々、装着孔300Aと上下方向に重なる。即ち、ケース101は、軸線Jに沿って上下方向に貫通する。第二支持孔112は、装着孔200Aと上下方向に重なる。本例では、第二支持孔112は、下ケース103にのみ設けられるため、ケース101は、軸線Pに沿って上下方向に貫通しない。故に、リボンカセット100は、上方から見た場合、リボンスプール200及び巻取スプール300を特定しやすい。従って、ユーザはリボンカセット100の左右方向の位置関係を把握しやすい。
本実施形態において、リボンカセット100の上下方向が本発明の「第一方向」に相当する。リボンカセット100の第二傾斜方向が本発明の「第二方向」に相当する。リボンカセット100の前後方向が本発明の「第三方向」に相当する。リボンカセット100の左右方向が本発明の「第四方向」に相当する。リボンカセット100の前方向が本発明の「第五方向」に相当する。リボンカセット100の後方向が本発明の「第六方向」に相当する。
軸線Pが本発明の「第一回転軸線」又は「第一回転軸」に相当する。リボンスプール200が本発明の「供給側回転体」又は「第一回転体」に相当する。軸線Jが本発明の「第二回転軸線」又は「第二回転軸」に相当する。巻取スプール300が本発明の「回収側回転体」又は「第二回転体」に相当する。インクリボン8が本発明の「インクリボン」に相当する。インク面81が本発明の「第一面」に相当する。裏面82が本発明の「第二面」に相当する。上ケース102が本発明の「第一ケース」に相当する。下ケース103が本発明の「第二ケース」に相当する。ケース101が本発明の「ケース」に相当する。軸線Sが本発明の「第三回転軸線」又は「第三回転軸」に相当する。リボン搬送経路が本発明の「搬送経路」又は「経路」に相当する。屈曲部133が本発明の「回転部材」、「案内壁」、又は「第三回転体」に相当する。接触面674Aが本発明の「接触部」又は「第二接触部」に相当する。板バネ620が本発明の「板バネ」、「弾性部材」、又は「弾性体」に相当する。第一接触面621が本発明の「第一接触面」に相当する。第二接触面622が本発明の「第二接触面」に相当する。挿入孔110が本発明の「挿入孔」又は「開口穴」に相当する。押付部材670が本発明の「押付部材」又は「押圧部材」に相当する。
押付部材670の下端部が本発明の「押付部材の第二ケース側の端部」に相当する。リブ161〜163が本発明の「第一リブ」に相当する。リブ164,165が本発明の「第二リブ」に相当する。リブ171〜173が本発明の「第三リブ」に相当する。リブ174,175が本発明の「第四リブ」に相当する。接続面106Eが本発明の「第一外壁」に相当する。リボン出口107Aが本発明の「第一孔」に相当する。接続面106Fが本発明の「第二外壁」に相当する。リボン入口108Aが本発明の「第二孔」に相当する。第一凹部623が本発明の「第一凹部」に相当する。第二凹部624が本発明の「第二凹部」に相当する。クラッチバネ280が本発明の「クラッチバネ」に相当する。係合部142が本発明の「係合部」に相当する。
連結線C3が本発明の「第一回転軸線及び第二回転軸線と交差する直線」に相当する。前面106Aが本発明の「ケースのうち、直線に対して第一孔及び第二孔とは反対側の側面」に相当する。中心線C2が本発明の「中心線」に相当する。位置決め穴121が本発明の「第一開口部」に相当する。位置決め穴122が本発明の「第二開口部」に相当する。指標部191〜193,195が本発明の「少なくとも一つの貫通孔」に相当する。装着孔200Aが本発明の「供給側孔」に相当する。装着孔300Aが本発明の「回収側孔」に相当する。第二支持孔112が本発明の「第一ケース孔」に相当する。下穴294A及び上穴294Bが本発明の「第二ケース孔」に相当する。
(7.各種変形例の説明)
本発明は、上記実施形態に限定されず、以下に例示するように各種変形が可能である。なお、以下説明では、上記実施形態と対応する構成要素に同一符号を付して説明を省略し、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。例えば、リボンカセット100は、クラッチバネ280を備えず、支持部140(図16参照)に代えて、装着孔200Aに上方から挿入される摩擦部材を備えてもよい。摩擦部材は、上ケース102の内面102Aから下方に延びる円柱状の弾性体であり、例えば伸縮性のあるフェルト材である。摩擦部材は、内周面204の形状に合わせて弾性変形することで、内周面204と密接する。リボンスプール200が回転された場合、内周面204と摩擦部材401との間に摺動摩擦が生じる。この摺動摩擦によって、リボンスプール200に適度な回転負荷が付与される。
リボンカセット100は、クラッチバネ280に代えて、弾性を有する皿バネを備えてもよい。皿バネは平面視で円環状のであり、且つ正面視で下方に若干突出するように湾曲している。皿バネは、上孔112Aの周縁部とリボンスプール200の上端部との間に配置される。皿バネは、上孔112Aの周縁部とリボンスプール200の上端部とに弾性接触する。リボンスプール200が回転された場合、リボンスプール200の上端部と皿バネとの間に摺動摩擦が生じる。この摺動摩擦によって、リボンスプール200に適度な回転負荷が付与される。
第一リボンロール8Aに弾性接触する弾性体は、上記実施形態の二つの弾性体180に限定されず、各種変形が可能である。例えば、第一リボンロール8Aに弾性接触する弾性体を、上ケース102に代えて、下ケース103に設けてもよい。第一リボンロール8Aに弾性接触する弾性体を、上ケース102及び下ケース103の両方に設けてもよい。この場合、上ケース102に設けた弾性体と、下ケース103に設けた弾性体とは、互いに上下方向に対称及び非対称の何れでもよい。リボンカセット100は、二つの弾性体180に代えて、一つの弾性体180を備えてもよいし、三つ以上の弾性体180を備えてもよい。リボンカセット100は、弾性体180を備えなくてもよい。
屈曲部133は回転可能でなくてもよい。例えば、屈曲部133は、屈曲部131と同様の構成であってもよい。この場合、屈曲支持部153は例えば屈曲支持部151と同様の構成であればよい。
屈曲支持部153は、円筒体であるが、円柱体であってもよい。この場合、屈曲支持部153の軸部153Aの上下方向の長さは円筒体133Bの上下方向の長さよりも短ければよい。円柱体の屈曲支持部153の軸径が円筒体133Bの内径よりも小さければよい。この場合、上ケース102と下ケース103とが組み付けられた状態で、円筒体133Bの内部に円柱体の屈曲支持部153が挿入される。これにより、軸部133Aと屈曲支持部153とによって上下方向から円筒体133Bを回転可能に支持できる。
上ケース102は、板バネ620を支持するためのバネ支持部を備えてもよい。この場合、板バネ620は、下ケース103に設けられたバネ支持部630と上ケース102に設けられたバネ支持部とによって、上下方向から支持される。これにより、板バネ620はケース101の内部に安定的に組み付けられる。
リボンカセット100は、板バネ620の代わりにゴム部材、スポンジ部材、他の形状のバネ等の弾性部材を備えてもよい。弾性部材は、インクリボン8の裏面82に接触することで屈曲部133との間でインクリボン8を挟む位置に設けられればよい。押付部材670は、挿入孔110を介してケース101の内部に挿入された状態で弾性部材に接触することで、弾性部材と屈曲部133との間でインクリボン8を挟む力が大きくなるように、弾性部材を撓ませればよい。
板バネ620の形状は、上記実施形態に限定されない。板バネ620は第一凹部623及び第二凹部624を備えなくてもよい。板バネ620は、上下方向の中心を通り第二傾斜方向に延びる直線に対して対称であってもよい。この場合、板バネ620は上下方向の何れの方向から組み付けられてもよい。板バネ620は、第二傾斜方向の中心を通り、上下方向に延びる直線に対して対称であってもよい。この場合、板バネ620は、第一接触面621及び第二接触面622が第一特定方向の何れの方向を向いていても組み付けられる。板バネ620の製造方法は、プレス成形に限定されない。
押付部材670は、上下方向において板バネ620を全体的に押し付けるが、上下方向において板バネ620の一部に接触して押し付けてもよい。つまり、接触面674Aの上下方向の長さは、第一凹部623と第二凹部624との間の距離よりも短くてもよい。
上記実施形態において、インクリボン8には、屈曲部780を介してリボン搬送経路に沿ってインクリボン8が引き出される際に、板バネ620の第一接触面621と屈曲部780との間でインクリボン8が挟まれることによって引出し負荷が付与される。この引出し負荷は、インクリボン8がリボンスプール200から引き出される際に、リボンスプール200に回転負荷を付与する回転規制部材によってリボンスプール200に付与される回転負荷よりも小さいが、大きくてもよいし、同じであってもよい。インクリボン8が屈曲部133に接触する範囲は、軸線Sに対して90度以上であるが、90度よりも小さくてもよい。
上記実施形態では、リボンカセット100に代えてリボンカセット700が使用されてもよい。図17〜図20を参照し、リボンカセット700を説明する。以下では、図17の右上方、左下方、右下方、左上方、上方、下方を、各々、リボンカセット700の前方、後方、左方、右方、上方、下方と定義する。リボンカセット700は印刷装置1のリボン装着部30(図2参照)に装着可能である。
図17に示すように、リボンカセット700は、上記実施形態の上ケース102及び押付部材670の代わりに、上ケース720を備える点でリボンカセット100と異なる。リボンカセット700は、下ケース103の代わりに下ケース730(図18参照)を備える点でリボンカセット100と異なる。つまり、ケース101は、下ケース730と、下ケース730の上側に組み付けられる上ケース720とからなる。更に、リボンカセット700は、屈曲部133の代わりに屈曲部780(図18参照)を備える点でリボンカセット100と異なる。
上ケース720は、挿入孔110が設けられていない点、押付部材750が設けられている点、及び屈曲支持部153の代わりに上屈曲支持部721(図19参照)を備える点で上ケース102と異なる。
図18〜図20に示すように、押付部材750は、板バネ620を撓ませて弾性変形させるための部材である。押付部材750は、上ケース720と下ケース730とが互いに組み付けられることで、装着部650に装着される。図20は、上ケース720と下ケース730とが互いに組み付けられ、装着部650に装着された押付部材750を仮想線で示している。押付部材750は、平面視で、左右方向に対して反時計回り方向にやや傾斜する方向を長手方向とする略矩形状である。以下、押付部材750の長手方向をリボンカセット700の第一傾斜方向と定義する。第一傾斜方向のうち、右方に対して後方に傾斜する方向をリボンカセット700の第一特定方向と定義する。第一傾斜方向のうち、第一特定方向とは反対方向をリボンカセット700の第二特定方向と定義する。押付部材750の長手方向に直交する短手方向をリボンカセット700の第二傾斜方向と定義する。第二傾斜方向のうち、後方に対して左方に傾斜する方向をリボンカセット700の第三特定方向と定義する。第二傾斜方向のうち、第三特定方向とは反対方向をリボンカセット700の第四特定方向と定義する。
押付部材750の上下方向の長さは、ケース101の上下方向の長さと略等しい。押付部材750は、上ケース720における窓部160(図19参照)の後方に設けられる。押付部材750は、上ケース720と一体的に形成され、上ケース720の内面102Aから下方に突出する。押付部材750は、押付部材750の第二傾斜方向の中心を通り、上下方向及び第一傾斜方向に延びる面に対して対称である。
図19に示すように、押付部材750は、第二部材751及び第三部材754を備える。第二部材751は、内面102Aから下方に延出した略直方体状である。第二部材751の第二傾斜方向の長さは、装着壁部653の開口部の第二傾斜方向の長さと略等しい。第二部材751の下端部には、第一傾斜方向に延び、且つ、下方に対して第二部材751の第二傾斜方向の中心に向かって傾斜する方向に延びる一対の傾斜面753(図20参照)が形成される。更に、第二部材751の下端部には、第二傾斜方向に延び、且つ、下方に対して第二部材751の第一傾斜方向の中心に向かって傾斜する方向に延びる一対の傾斜面755が形成される。つまり、第二部材751の下端部は、先細り形状になっている。
第二部材751の第三特定方向の面及び第四特定方向の面には、夫々内側に凹む一対の係合凹部752が形成される。一対の係合凹部752は、夫々、第二部材751の下端部近傍から上端部まで延びる。一対の係合凹部752には、夫々、一対のフック651,652(図18参照)が係合する。これにより、一対のフック651,652は、押付部材750を下ケース730に固定する。
第三部材754は、第二部材751の第一特定方向の面から第一特定方向に突出する。第三部材754は、第二部材751の上端部から一対の傾斜面753の上側まで延びる。第三部材754の第一特定方向の面のうち、第三部材754の下端部近傍から僅かに第一特定方向に膨らむ面は、接触面754Aである。接触面754Aは、第二壁部632Bの第二特定方向の端部と屈曲部133の第二特定方向の端部とを結ぶ直線よりも第一特定方向側に位置する。つまり、接触面754Aは、撓んでいない状態の板バネ620よりも第一特定方向側に位置する。接触面754Aの第二傾斜方向の長さは、第二部材751の第一特定方向の面の第二傾斜方向の長さよりも小さい。
図19及び図20に示すように、上屈曲支持部721は、後述の屈曲部780を回転可能に支持するための部材である。上屈曲支持部721は、円柱体である。上屈曲支持部721は、屈曲支持部152の左側、且つ屈曲支持部154の右前側にある。上屈曲支持部721は、内面102Aから下方に突出する。上屈曲支持部721は、内面102Aからケース101の上下方向の中央よりも下側、且つ接触面754Aの下端部よりも上側まで延びる。上屈曲支持部721の下端部はテーパー形状に形成されている。
図18及び図20に示すように、下ケース730は、下屈曲支持部731を備える点で、下ケース103とは異なる。下屈曲支持部731は、上屈曲支持部721と共に、屈曲部780を回転可能に支持するための部材である。下屈曲支持部731は、円柱体である。下屈曲支持部731の軸径は、上屈曲支持部721の軸径と同径である。下屈曲支持部731は、上屈曲支持部721と上下方向に対向する位置に設けられる。詳細には、下屈曲支持部731は、屈曲部132の左側、且つ屈曲部134の右前側に設けられる。下屈曲支持部731は、内面103Aから上方に突出する。下屈曲支持部731は、内面103Aから上屈曲支持部721の下端部近傍まで延びる。
屈曲部780は、ケース101の内部に設けられる。屈曲部780は、リボン搬送経路を設定するための部材であり、且つリボン搬送経路を蛇行させるための部材である。屈曲部780は、円筒体である。屈曲部780の軸方向の長さは、ケース101の上下方向の長さよりもやや小さく、且つインクリボン8の幅方向の長さよりも大きい。屈曲部780の上端部は、板バネ620の第二凹部624の下端部よりも上方にある。屈曲部780の内径は、上屈曲支持部721及び下屈曲支持部731の夫々の軸径よりも僅かに大きい。屈曲部780の上端部には、上屈曲支持部721が挿入され、且つ屈曲部780の下端部には、下屈曲支持部731が挿入される。これにより、屈曲部780は、上屈曲支持部721及び下屈曲支持部731によって回転可能に支持される。本変形例おいて、軸線Sは、屈曲部780の回転中心である。屈曲部780は、インクリボン8のインク面81に接触して軸線Sを中心に回転することで、インクリボン8をリボン搬送経路に沿って案内する。
図18に示すように、屈曲部132の周面のうちでリボン搬送経路が通る部分と、屈曲部780の周面のうちでリボン搬送経路が通る部分との二点に対する接線に直交し、軸線Sを通る直線は仮想線K3である。屈曲部780の周面のうちでリボン搬送経路が通る部分と、円筒体134Bの周面のうちでリボン搬送経路が通る部分との二点に対する接線に直交し、軸線Sを通る直線は仮想線K4である。仮想線K1と仮想線K2とがなす角度のうち、屈曲部780の周面においてリボン搬送経路が通る部分を含む角度は接触角度θ2である。接触角度θ2は90度以上である。つまり、インクリボン8が屈曲部780に接触する範囲は、軸線Sに対して90度以上である。
図18を参照し、リボンカセット700の組み付け構造を説明する。本変形例では、ケース101内部に収容される部材が全て下ケース730に組み付けられた状態で、上ケース720と下ケース730とが互いに組み付けられて結合する。この場合、上屈曲支持部721及び各屈曲支持部151,152,156が、夫々、屈曲部780及び各屈曲部131,132,136の内部に挿入され、且つ各軸部134A,135A,137Aが、夫々、各屈曲支持部154〜155,157の内部に挿入されながら、上ケース720が上方から下ケース730に組み付けられる。
上ケース720が下ケース730に組み付けられる場合、押付部材750は、接触面674Aが第二接触面622に接触することで板バネ620を撓ませながら、装着壁部653の開口部に上方から進入する。押付部材750の接触面754Aは、第一凹部623と第二凹部624との間で板バネ620と接触する。本例では、接触面754Aの下端部が上屈曲支持部721の下端部よりも下側にあり、且つ屈曲部780の上端部が板バネ620の第二凹部624の下端部よりも上方にある。このため、押付部材750が板バネ620の第二凹部624の位置に接触する前に、屈曲部780が上屈曲支持部721によって支持される。従って、屈曲部780が下屈曲支持部731のみによって支持されている状態で押付部材750を組み付けて、板バネ620を撓ませた場合と比べ、屈曲部780が傾くことを抑制できる。屈曲部780が傾くと、傾いた屈曲部780の内部に上屈曲支持部721を挿入することが困難になるため、上ケース720と下ケース730との組付け性が悪化する。本変形例では、リボンカセット700は、組み付け時の屈曲部780の傾きを抑制できるため、上ケース720と下ケース730とを互いに組み付けやすい。
上ケース720と下ケース730とを互いに組み付ける場合、板バネ620が傾斜面755に沿って徐々に撓むため、ユーザは上ケース720と下ケース730とを組み付けやすい。上ケース720と下ケース730とが互いに組み付けられると、一対のフック651,652の夫々の先端部に設けられた係止片が、一対の係合凹部752に係合する。この場合、一対のフック651,652の夫々の先端部に設けられた係止片が、夫々一対の傾斜面753に沿って外側に弾性変形するため、ユーザは上ケース720と下ケース730とを互いに組み付けやすい。
押付部材750は、装着部650に装着された状態で、接触面754Aが板バネ620の第二接触面622に接触することで、板バネ620を接触面754Aの位置まで第一特定方向に移動させる。板バネ620の第四特定方向の端部は、第二壁部632Bの第二特定方向の端部に接触して、第一特定方向への移動が規制されている。板バネ620の第三特定方向の端部は、インクリボン8に接触し、屈曲部780によって第一特定方向への移動が規制されている。従って、押付部材750は、接触面754Aが第二接触面622に接触することで、板バネ620を撓ませることができる。これにより、撓んだ状態の板バネ620は、屈曲部780に対して付勢力を付与することで、屈曲部780との間でインクリボン8を挟んで、インクリボン8に引出し負荷を付与する。従って、第一リボンロール8Aから引き出されるインクリボン8には適度なテンションを付与される。
インクリボン8には、屈曲部780を介してリボン搬送経路に沿ってインクリボン8が引き出される際に、板バネ620の第一接触面621と屈曲部780との間でインクリボン8が挟まれることによって引出し負荷が付与される。この引出し負荷は、インクリボン8がリボンスプール200から引き出される際に、リボンスプール200に回転負荷を付与する回転規制部材によってリボンスプール200に付与される回転負荷よりも小さい。本変形例では、回転規制部材は、クラッチバネ280及び回転部材290と、二つの弾性体180とである。
屈曲部780の位置でインクリボン8に付与される引出し負荷は、屈曲部780よりもリボン搬送経路上流側の位置でリボンスプール200を介してインクリボン8に付与される引出し負荷よりも小さい。従って、リボンカセット700は屈曲部780よりもリボン搬送経路上流側にあるインクリボン8に弛みが生じることを抑制できる。このため、インクリボン8は、板バネ620の第一接触面621と屈曲部780との間でインクリボン8を挟んだ場合にインクリボン8に皺が生じることを抑制でき、安定した印字品質を保つことができる。
本変形例において、リボンカセット700の上下方向が本発明の「第一方向」に相当する。リボンカセット700の第二傾斜方向が本発明の「第二方向」に相当する。リボンカセット700の前後方向が本発明の「第三方向」に相当する。リボンカセット700の左右方向が本発明の「第四方向」に相当する。リボンカセット700の前方向が本発明の「第五方向」に相当する。リボンカセット700の後方向が本発明の「第六方向」に相当する。上ケース720が本発明の「第一ケース」に相当する。下ケース730が本発明の「第二ケース」に相当する。上屈曲支持部721が本発明の「突出支持部」に相当する。屈曲部780が本発明の「回転部材」又は「案内壁」に相当する。接触面754Aが本発明の「接触部」又は「第二接触部」に相当する。押付部材750が本発明の「押付部材」又は「突出部」に相当する。上屈曲支持部721の下端部が本発明の「突出支持部の先端部」に相当する。接触面754Aの下端部が本発明の「接触部の第二ケース側の端部」に相当する。