本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、分散安定性と沈降安定性に優れるポリオール組成物と、それを製造するための塩化ビニルポリマーラテックスを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、体積平均粒子径([MV]値)が1.6μm以下である塩化ビニルポリマー100重量部に対して、エーテル化度0.7以下、及び、1%水溶液粘度250mPa・s以下のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を0.5〜10重量部含むことを特徴とする塩化ビニルポリマーラテックスとポリオールを混合、脱水することで、ポリオール組成物中の塩化ビニルポリマー粒子の、分散安定性と沈降安定性が良好になることを見出して、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、体積平均粒子径([MV]値)が1.6μm以下である塩化ビニルポリマー100重量部に対して、エーテル化度が0.7以下で、1%水溶液粘度が250mPa・s以下であるカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を0.5〜10重量部含有することを特徴とする塩化ビニルポリマーラテックス、体積平均粒子径([MV]値)が1.6μm以下である塩化ビニルポリマーを、ポリオール中にポリオール組成物に対して5〜50重量%含有し、かつ、当該塩化ビニルポリマー100重量部に対して、エーテル化度が0.7以下で、1%水溶液粘度が250mPa・s以下であるカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を0.5〜10重量部含有することを特徴とするポリオール組成物、及び当該ポリオール組成物の製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の塩化ビニルポリマーラテックスは、体積平均粒子径([MV]値)が1.6μm以下である塩化ビニルポリマー100重量部に対して、エーテル化度が0.7以下で、1%水溶液粘度が250mPa・s以下であるカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を0.5〜10重量部含むものである。これにより、塩化ビニルポリマーラテックスをポリオール中に混合し脱水して得られる塩化ビニルポリマーを含有するポリオール組成物の分散安定性が改良され、塩化ビニルポリマー粒子の凝集物である粗粒が少なくなり良好となる。当該カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量が0.5重量部未満の場合や10重量部を超えると、脱水後のポリオール組成物中のポリ塩化ビニルポリマー粒子同士が凝集し、凝集物である粗粒が発生し、分散安定性や沈降安定性が劣る。分散安定性や沈降安定性をより向上させるため、当該カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量を0.5〜9重量部とすることが好ましく、1〜9重量部とすることがさらに好ましい。
本発明では、分散安定性や沈降安定性を高める点より、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩のエーテル化度は0.7以下である。その理由は、エーテル化度が0.7を超えると、脱水後のポリオール組成物中のポリ塩化ビニルポリマー粒子同士が凝集し、凝集物である粗粒が発生し、分散安定性や沈降安定性が劣るからである。分散安定性や沈降安定性をより向上させるためエーテル化度は0.67以下であることが好ましい。
本発明では、分散安定性や沈降安定性を高める点より、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の1%水溶液粘度は250mPa・s以下である。その理由は、1%水溶液粘度が250mPa・sを超えると、脱水後のポリオール組成物中のポリ塩化ビニルポリマー粒子同士が凝集し、凝集物である粗粒が発生し、分散安定性や沈降安定性が劣るからである。分散安定性や沈降安定性をより向上させるため、1%水溶液粘度は150mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以下がさらに好ましい。
本発明の塩化ビニルポリマーラテックスに含まれる塩化ビニルポリマーは、体積平均粒子径([MV]値)が1.6μm以下である。その理由は、塩化ビニルポリマーラテックスをポリオール中に混合し、脱水して得られる塩化ビニルポリマーを含有するポリオール組成物の分散安定性が改良され、塩化ビニルポリマー粒子の凝集物である粗粒が少なくなり良好となるからである。1.6μmを超える場合は、ポリオール組成物中の塩化ビニルポリマーの分散安定性は優れるが、沈降安定性が劣る。分散安定性と沈降安定性をより向上するため、塩化ビニルポリマーラテックスに含まれる塩化ビニルポリマーの体積平均粒子径([MV]値)は0.1〜1.5μmが好ましく、0.2〜0.6μmがさらに好ましい。
本発明において、塩化ビニルポリマーの体積平均粒子径([MV]値)は、一般に知られているレーザー回折法及び動的光散乱法を原理とした粒度分布測定装置であればどのような装置を使用しても測定可能であり、特に制限はない。例えば、レーザー回折/散乱式粒径測定装置(商品名:LA−920、堀場製作所製)で測定が可能である。
本発明の塩化ビニルポリマーラテックスに含まれる塩化ビニルポリマーの濃度は、特に限定するものではないが、分散安定性をさらに向上させるために、5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がさらに好ましい。
本発明の塩化ビニルポリマーラテックスには、上記したエーテル化度が0.7以下で、1%水溶液粘度が250mPa・s以下であるカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩以外にも、他の乳化剤を含有していてもよい。他の乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホコハク酸塩等が挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等が挙げられ、アルキルナフタレンスルホン酸塩としては、例えば、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸カリウム等が挙げられ、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩としては、例えば、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸カリウム等が挙げられる。高級脂肪酸塩としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等とアルカリとの塩が挙げられる。硫酸エステル塩としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸エステルナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類等が挙げられる。スルホコハク酸塩としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の塩化ビニルポリマーラテックスは、塩化ビニル単量体を単独で重合することにより調製することができる。重合方法としては、乳化剤として特定量の当該カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を使用する以外は、特に制限はなく、生成される塩化ビニルポリマーの体積平均粒子径([MV]値)が1.6μm以下となる条件であれば、塩化ビニルポリマーラテックスの製造方法として一般に知られているどのような方法でも用いることができる。例えば、塩化ビニル単量体を単独で、脱イオン水、乳化剤(界面活性剤)、水溶性重合開始剤と共に緩やかな撹拌下で重合を行う乳化重合法、乳化重合法で得られた粒子をシードとして用い乳化重合を行うシード乳化重合法、塩化ビニル単量体を単独で、脱イオン水、乳化剤(界面活性剤)、必要に応じて高級アルコール等の乳化補助剤、油溶性重合開始剤をホモジナイザー等で混合分散した後、緩やかな撹拌下で重合を行うミクロ懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法で得られた油溶性重合開始剤を含有するシードを用い重合を行うシードミクロ懸濁重合法等が挙げられる。本発明においては、これらのうち乳化重合法が特に好ましい。当該カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の使用量としては、塩化ビニル単量体100重量部に対して、0.5〜10重量部であり、0.5〜9重量部が好ましい。使用量が0.5重量部未満であると、分散安定性や沈降安定性が改良できず、10重量部を超えると、分散安定性や沈降安定性が改良できない。
本発明のポリオール組成物は、塩化ビニルポリマーをポリオール中に分散させたものであって、ポリオール中に含有される塩化ビニルポリマーの体積平均粒子径([MV]値)が1.6μm以下であり、塩化ビニルポリマーの含有率が、ポリオール組成物に対して5〜50重量%である。
塩化ビニルポリマーの体積平均粒子径([MV]値)が1.6μmより大きくなると、ポリオール組成物中の塩化ビニルポリマーの分散安定性は優れるが、沈降安定性が劣る。
塩化ビニルポリマーの含有率(濃度)が5重量%未満では、ポリオールの添加効果として期待されるポリウレタンフォームの硬さの向上が不十分になるおそれがあり、50重量%を超えると、ポリウレタンフォームが硬くなるおそれがある。ポリオールの添加効果として期待されるポリウレタンフォームの硬さをさらに向上させるため、5〜40重量%が好ましい。
本発明において、ポリオール中に含有される塩化ビニルポリマーが存在することを確認するためには、塩化ビニルポリマーを含有したポリオールを単に水で希釈し、粒度分布測定を行っても良いし、有機溶剤を使用して測定してもよい。有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールモノエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、酢酸エチル、ジアセトンアルコール等が使用し得る。
本発明のポリオール組成物において、使用されるポリオールとしては、例えば、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、更にはリン含有ポリオールやハロゲン含有ポリオール等の難燃ポリオール等が挙げられる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用することもできる。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン等のアミン類、エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が例示される。)を出発原料として、これとアルキレンオキサイド(エチレンオキシドやプロピレンオキシド等が例示される。)との付加反応により製造されたもの等が挙げられる(例えば、Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985) Hanser Publishers社(ドイツ),p.42−53に記載の方法参照)。
ポリエステルポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、二塩基酸とグリコールの反応から得られるものや、ナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる(例えば、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987)日刊工業新聞社 p.117の記載参照)。
ポリマーポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、前記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等)をラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオール等が挙げられる。
難燃ポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、リン酸化合物にアルキレンオキシドを付加して得られるリン含有ポリオールや、エピクロルヒドリンやトリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られるハロゲン含有ポリオール、フェノールポリオール等が挙げられる。
これらのポリオールとしては、具体的に、現在市販されている、サンニックス(商品名、三洋化成工業製)、エクセノール(商品名、旭硝子製)、アクトコール(商品名、三井化学ポリウレタン製)、VORANOL(商品名、DOW社製)等を挙げることができる。
これらのポリオールとしては、例えば、平均水酸基価が20〜1000mgKOH/gの範囲のものが使用でき、特に限定するものではないが、軟質ポリウレタン樹脂や半硬質ポリウレタン樹脂を製造する場合には平均水酸基価が20〜100mgKOH/gの範囲のものが、硬質ポリウレタン樹脂を製造する場合には平均水酸基価が100〜800mgKOH/gの範囲のものが、好適に使用される。
本発明のポリオール組成物は、体積平均粒子径([MV]値)が1.6μm以下である塩化ビニルポリマー100重量部に対して、エーテル化度が0.7以下で、1%水溶液粘度が250mPa・s以下であるカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を0.5〜10重量部含有するものである。これにより、分散安定性、沈降安定性が改良される。当該カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量が0.5重量部未満の場合は、粗大粒子量が多くなり、分散安定性や沈降安定性が改良できず、10重量部を超える場合も、分散安定性や沈降安定性が劣るという問題が起きる。分散安定性、沈降安定性をより向上させるため、0.5〜4重量部が好ましい。
本発明のポリオール組成物は、必要に応じて、以下に記載する触媒、発泡剤、界面活性剤、架橋剤、鎖延長剤、難燃剤、着色剤、老化防止剤、その他従来公知の添加剤を含有してもよい。
本発明のポリオール組成物の製造方法は、例えば、体積平均粒子径([MV]値)1.6μm以下の塩化ビニルポリマーを含む塩化ビニルポリマーラテックスとポリオールとを混合し、得られた混合物を脱水することをその特徴とする。
本発明において、体積平均粒子径([MV]値)1.6μm以下の塩化ビニルポリマーを含む塩化ビニルポリマーラテックスとポリオールとを混合することにより、水分、ポリオール、及び塩化ビニルポリマーを含む混合物が得られる。この混合物は、ポリオールの種類によって、液状、ゲル状、クリーム状の状態となる。この混合物がゲル状、クリーム状となった場合は、例えば、ラボであれば、T.K.ホモディスパ(商品名、プライミクス製)等の高速乳化・分散機を用いて均一な状態となるまで攪拌することが好ましい。均一化が不十分な場合、引き続いて行う脱水工程で、塩化ビニルポリマーの凝集による粗粒が生じるおそれがある。
本発明のポリオール組成物の製造方法においては、例えば、体積平均粒子径([MV]値)1.6μm以下の塩化ビニルポリマーを含む塩化ビニルポリマーラテックスとポリオールとを混合する際に、必要に応じて、以下に記載する触媒、発泡剤、界面活性剤、架橋剤、鎖延長剤、難燃剤、着色剤、老化防止剤、その他従来公知の添加剤も混合してもよい。
上記混合物の脱水方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ラボレベルであれば、減圧下で60℃前後の熱を加えながら脱気すればよい。ゲル状、クリーム状となった混合物であっても、脱水が進むにつれ液状となる。具体的な脱水方法としては、ラボレベルであればロータリーエバポレーターによる脱水や真空乾燥機による脱水を例示することができる。また、高粘度の攪拌に対応した撹拌機と減圧可能な蒸発釜としてプラネタリーミキサーを使用する方法等が例示される。
また、塩化ビニルポリマーが凝集することを防止するため、脱水時の温度は70℃以下が好ましく、より好ましくは60℃以下である。一方、脱水時間をより短縮するため、室温以上が好ましく、40℃以上の温度がより好ましい。
本発明において、脱水量としては、本発明のポリオール組成物の用途に対して任意に決めることができ、特に限定するものではないが、あえて例示すると、ポリウレタン樹脂を調製するときに発泡剤として水を用いる場合には、0〜5重量%、好ましくは0〜3重量%の含水量となるように脱水すればよい。
次に本発明のポリオール組成物を用いたポリウレタン樹脂の製造方法について説明する。
ポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを触媒の存在下に反応させるポリウレタン樹脂の製造方法であって、ポリオール成分の一部として本発明の上記したポリオール組成物を使用することをその特徴とする。
ポリウレタン樹脂の製造方法において、ポリオール成分として使用されるポリオールは本発明の上記したポリオール組成物であるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、難燃ポリオール等のポリオールを使用することができる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用することもできる。
ポリウレタン樹脂の製造方法においては、ポリオールの添加効果として期待されるポリウレタンフォームの硬さをより向上させるため、使用されるポリオール(本発明のポリオール組成物中のポリオールを含む。)に対する塩化ビニルポリマーの含有率を10重量%以上とすることが好ましく、20重量%以上とすることがさらに好ましい。
ポリウレタン樹脂の製造方法において、イソシアネート成分として使用されるポリイソシアネートは、従来公知のものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイシシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート類、これらの混合体等が挙げられる。これらのうち好ましくはTDIとその誘導体、又はMDIとその誘導体であり、これらは単独で使用しても、混合して使用しても差し支えない。
TDIとその誘導体としては、例えば、2,4−TDIと2,6−TDIの混合物、TDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体等を挙げることができる。また、MDIとその誘導体としては、例えば、MDIとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合体、末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体等を挙げることができる。
これらイソシアネートのうち、軟質ポリウレタン樹脂や半硬質ポリウレタン樹脂製品には、TDIとその誘導体及び/又はMDIとその誘導体が、硬質ポリウレタン樹脂にはMDIとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合体が好適に使用される。
これらポリイソシアネートとポリオールの混合割合としては、特に限定するものではないが、イソシアネートインデックス([イソシアネート基]/[イソシアネート基と反応しうる活性水素基])で表すと、一般に60〜400の範囲が好ましい。
ポリウレタン樹脂の製造方法において、使用される触媒としては、ポリウレタン樹脂の製造に用いられる従来公知の触媒でよく、特に限定するものではないが、例えば、有機金属触媒、第3級アミン触媒、第4級アンモニウム塩触媒等が好適なものとして挙げられる。
有機金属触媒としては、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
第3級アミン触媒としては、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール等の第三級アミン化合物類が挙げられる。
第4級アンモニウム塩触媒としては、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類が挙げられる。
ポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、発泡剤を使用することができる。発泡剤としては、特に限定するものではないが、例えば、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)等のフロン系化合物、HFE−254pc等のハイドロフルオロエーテル類、低沸点炭化水素、水、液化炭酸ガス、ジクロロメタン、ギ酸、アセトンから選ばれる1種以上であり混合物を使用することができる。低沸点炭化水素としては、通常、沸点が通常−30〜70℃の炭化水素が使用され、その具体例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、これらの混合物等が挙げられる。発泡剤の使用量は、所望の密度やフォーム物性に応じて決定されるが、具体的には、得られるフォーム密度が、通常5〜1000kg/m3、好ましくは10〜500kg/m3となるように選択される。
ポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、整泡剤として界面活性剤を用いることができる。使用される界面活性剤としては、例えば、従来公知の有機シリコーン系界面活性剤が挙げられ、具体的には、有機シロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン−グリース共重合体等の非イオン系界面活性剤、又はこれらの混合物等が例示される。それらの使用量は、ポリオール100重量部に対して通常0.1〜10重量部である。
ポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、架橋剤又は鎖延長剤を用いることができる。架橋剤又は鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等の低分子量の多価アルコール類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子量のアミンポリオール類、エチレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等のポリアミン類等を挙げることができる。
ポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、難燃剤を用いることができる。使用される難燃剤としては、例えば、リン酸とアルキレンオキシドとの付加反応によって得られるプロポキシル化リン酸、プロポキシル化ジブチルピロリン酸等の含リンポリオールの様な反応型難燃剤、トリクレジルホスフェート等の第3リン酸エステル類、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート等のハロゲン含有第3リン酸エステル類、ジブロモプロパノール、ジブロモネオペンチルグリコール、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン含有有機化合物類、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム等の無機化合物等が挙げられる。その量は特に限定されるものではなく、要求される難燃性に応じて異なるが、通常ポリオール100重量部に対して4〜20重量部である。
ポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、着色剤や、老化防止剤、その他従来公知の添加剤等も使用できる。これらの添加剤の種類、添加量は、使用される添加剤の通常の使用範囲でよい。
ポリウレタン樹脂の製造方法は、例えば、上記した原料を混合した混合液を急激に混合・攪拌した後、適当な容器又はモールドに注入して発泡成型することにより行われる。混合・攪拌は一般的な攪拌機や専用のポリウレタン発泡機を使用して実施すれば良い。ポリウレタン発泡機としては高圧、低圧、スプレー式の機器が使用できる。
ポリウレタン樹脂の製造方法により得られるポリウレタン樹脂製品としては、発泡剤を使用しないエラストマーや発泡剤を使用するポリウレタンフォーム等が挙げられ、ポリウレタン樹脂の製造方法は、これらのようなポリウレタンフォーム製品の製造に好適に使用される。
ポリウレタンフォーム製品としては、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム等が挙げられるが、本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、自動車内装材として用いられる軟質ポリウレタンフォームのカーシート、半硬質ポリウレタンフォームのインスツルメントパネルやハンドル、硬質ポリウレタンフォームにて製造される断熱材の製造に特に好適に使用される。
なお、ここに、軟質ポリウレタンフォームとは、一般的にオープンセル構造を有し、高い通気性を示す可逆変形可能なフォームをいう(Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.161〜233や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.150〜221の記載参照)。軟質ウレタンフォームの物性としては、特に限定するものではないが、一般的には、密度が10〜100kg/m3、圧縮強度(ILD25%)が200〜8000kPa、伸び率が80〜500%の範囲である。
また、半硬質ポリウレタンフォームとは、フォーム密度及び圧縮強度は軟質ポリウレタンフォームよりも高いものの、軟質ポリウレタンフォームと同様にオープンセル構造を有し、高い通気性を示す可逆変形可能なフォームをいう(Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.223〜233や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.211〜221の記載参照)。また、使用するポリオール、イソシアネート原料も軟質ポリウレタンフォームと同様であるため、一般に軟質ポリウレタンフォームに分類される。半硬質ウレタンフォームの物性は、特に限定するものではないが、一般的には、密度が40〜800kg/m3、圧縮強度(ILD25%)が10〜200kPa、伸び率が40〜200%の範囲である。軟質ポリウレタンフォームは、使用する原料及びフォーム物性から半硬質ポリウレタンフォームを含む場合がある。
さらに、硬質ポリウレタンフォームとは、高度に架橋されたクローズドセル構造を有し、可逆変形不可能なフォームをいう(Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.234〜313や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.224〜283の記載参照)。硬質ウレタンフォームの物性は、特に限定するものではないが、一般的には、密度が10〜100kg/m3、圧縮強度が50〜1000kPaの範囲である。
本発明のポリオール組成物は、分散安定性と沈降安定性に優れることが見出され、しかも、本発明の塩化ビニルポリマーラテックスを用いることにより、本発明のポリオール組成物を製造することができることが見出された。
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
(塩化ビニルポリマーラテックスの体積平均粒子径([MV]値)の測定)
塩化ビニルポリマーラテックスをレーザー透過率が84〜86%となるように水を添加して濃度調整を行った測定用試料を、レーザー回折/散乱式粒径測定装置(商品名:LA−920、堀場製作所製)を用いて塩化ビニルポリマーラテックスの体積平均粒子径([MV]値を測定した。
<脱水後のポリオール組成物の分散安定性試験>
脱水後のポリオール組成物の分散安定性試験は、JIS‐K‐5400や「塩ビペースト加工−特徴と応用」(1998)ラバーダイジェスト社p.139に記載されたつぶ試験を行い、300μmの溝をもつ傾斜のついたグラインドゲージの溝のもっとも深い部分に、脱水後のポリオール組成物を入れスクレーパー刃を垂直に立て、溝の深い方から浅い方に向かって引き、ポリオール組成物表面に現れる粗粒が最初に現れる深さと5個目の粗粒が表れる深さを粗粒の粒子径とし、粗粒の粒子径が小さいと分散安定性が優れるとした。
<脱水後のポリオール組成物の沈降安定性試験>
沈降安定性試験は、脱水後のポリオール組成物を、遠心沈降管に入れ、4000rpmで1時間遠心沈降し、遠心分離で生じたポリオール組成物の上部の上澄み透明層の厚みを測定し、沈降管に入れたポリオール組成物の全体長さに対する割合を求め沈降安定性を評価した。
実施例1
2.5L重合缶内に脱イオン水800g、塩化ビニル単量体600g、5重量%ラウリン酸カリウム水溶液9.6g及び過硫酸カリウム0.16gを仕込み、温度を66℃に上げ重合を開始した。重合開始60分後より5重量%ラウリン酸カリウム水溶液45gと5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液125gを1時間あたり35mlの速度で添加し、350分後にその添加を停止した。重合缶内の圧力が0.7MPaまで低下したところで、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、塩化ビニルポリマーの濃度が36重量%の塩化ビニルポリマーラテックスを得た。
次に攪拌機付の5リットルのガラス容器に塩化ビニルポリマーラテックスを移し、エーテル化度0.55及び1%水溶液粘度13mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(第一工業製薬製、セロゲンPL15)の5重量%水溶液435gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.26μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量29%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は、4.0重量部(塩化ビニルポリマー100重量部に対するもの、以下同じ)であった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス259gと市販ポリオール(商品名:サンニックスFA−703、三洋化成工業製、グリセリン系ポリエーテルポリオール、OH価:32.9KOH/g)300gをプラネタリーミキサー(三英製作所製)に入れ、混合、脱水した。脱水は真空ポンプを用いて−0.08MPaで脱水し、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表1に示す。表1に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は優れた。
実施例2
実施例1と同じ操作で未反応の塩化ビニル単量体を回収した塩化ビニルポリマーラテックスに対し、エーテル化度0.65及び1%水溶液粘度210mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(第一工業製薬製、セロゲンWS−C)の5重量%水溶液435gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.26μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量29%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は、4.0重量部だった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス259gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表1に示す。表1に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は優れた。
実施例3
実施例1と同じ操作で未反応の塩化ビニル単量体を回収した塩化ビニルポリマーラテックスに対し、エーテル化度0.67及び1%水溶液粘度25mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(第一工業製薬製、セロゲンPR)の5重量%水溶液435gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.26μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量29%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は、4.0重量部だった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス259gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表1に示す。表1に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は優れた。
実施例4
実施例1と同じ操作で未反応の塩化ビニル単量体を回収した塩化ビニルポリマーラテックスに対し、エーテル化度0.55及び1%水溶液粘度13mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の5重量%水溶液76gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.26μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量35%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は0.7重量部だった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス214gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表1に示す。表1に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は優れた。
実施例5
実施例1と同じ操作で未反応の塩化ビニル単量体を回収した塩化ビニルポリマーラテックスに対し、エーテル化度0.55及び1%水溶液粘度13mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の5重量%水溶液865gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.26μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量25%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は8重量部だった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス300gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表1に示す。表1に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は優れた。
実施例6
2.5Lオートクレーブ中に初期仕込みとして脱イオン水900.0g、塩化ビニル単量体750.0g、3重量%濃度の過硫酸カリウム水溶液5.0g及び5重量%濃度のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75.0gを仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収した。これに5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液235.0gを追加添加し、塩化ビニルポリマーの濃度が重量37%の塩化ビニルポリマーラテックスを得た。
次に攪拌機付の5リットルのガラス容器に塩化ビニルポリマーラテックスを移し、エーテル化度0.55及び1%水溶液粘度13mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の5重量%水溶液540gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.10μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量30%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は、4.0重量部であった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス250gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表1に示す。表1に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は優れた。
実施例7
1m3オートクレーブ中に脱イオン水360kg、塩化ビニルモノマー300kg、過酸化ラウロイル5.7kgおよび15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液30kgを仕込み、この重合液を3時間ホモジナイザーを用いて循環し、均質化処理後、温度を45℃に上げて重合を進めた。圧力が低下した後に重合を停止し、未反応の塩化ビニルモノマーを回収し、固形分含有率35重量%粒子が0.55μmの平均粒子径を有し、かつポリマーを基として2重量%の過酸化ラウロイルを含有するシ−ドラテックス1を得た。
次に2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水500g、塩化ビニル単量体500g、5重量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を16g、シードラテックス1を95g、0.1重量%硫酸銅水溶液4gを仕込み反応混合物の温度を48℃に上げると共に、0.05重量%アスコルビン酸水溶液150gを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始してから重合転化率85%までの間、5重量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を16gを連続的に添加した。重合圧が48℃における塩化ビニル飽和蒸気圧から2kg/cm2降下した時に重合を停止し、未反応の塩化ビニルモノマーを回収し、塩化ビニルポリマーの濃度が重量38%の塩化ビニルポリマーラテックスを得た。
次に攪拌機付の5リットルのガラス容器に塩化ビニルポリマーラテックスを移し、エーテル化度0.55及び1%水溶液粘度13mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の5重量%水溶液360gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は1.52μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量30%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は、4.0重量部であった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス250gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表1に示す。表1に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は優れた。
比較例1
実施例1のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を含まない塩化ビニルポリマー濃度が36重量%の塩化ビニルポリマーラテックス208gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は劣った。
比較例2
実施例6のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を含まない塩化ビニルポリマー濃度が37重量%の塩化ビニルポリマーラテックス203gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は劣った。
比較例3
実施例7のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を含まない塩化ビニルポリマー濃度が38重量%の塩化ビニルポリマーラテックス197gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示すようにポリオール組成物の沈降安定性は劣ったが、分散安定性は優れた。
比較例4
塩化ビニル単量体を600g、シードラテックス1を80gにした以外は、実施例7と同様の操作で体積平均粒子径([MV]値)1.62μm、塩化ビニルポリマーの濃度が42重量%の塩化ビニルポリマーラテックスを得た。
次に塩化ビニルポリマーラテックス179gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示すようにポリオール組成物の沈降安定性は劣ったが、分散安定性は優れた。
比較例5
実施例1と同じ操作で未反応の塩化ビニル単量体を回収した塩化ビニルポリマーラテックスに対し、エーテル化度0.75及び1%水溶液粘度7mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(第一工業製薬製、セロゲン7A)の5重量%水溶液435gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.26μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量29%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は4重量部だった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス259gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は劣った。
比較例6
実施例1と同じ操作で未反応の塩化ビニル単量体を回収した塩化ビニルポリマーラテックスに対し、エーテル化度1.3及び1%水溶液粘度72mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(ダイセルファインケミカル製、CMCダイセル1330)の5重量%水溶液435gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.26μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量29%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は4重量部だった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス259gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は劣った。
比較例7
実施例1と同じ操作で未反応の塩化ビニル単量体を回収した塩化ビニルポリマーラテックスに対し、エーテル化度0.65及び1%水溶液粘度290mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(第一工業製薬製、セロゲンWSD)の5重量%水溶液435gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.26μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量29%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は4重量部だった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス259gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表3に示す。表3に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は劣った。
比較例8
実施例1と同じ操作で未反応の塩化ビニル単量体を回収した塩化ビニルポリマーラテックスに対し、エーテル化度1.37及び1%水溶液粘度260mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(ダイセルファインケミカル製、CMCダイセル1330)の5重量%水溶液435gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.26μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量29%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は4重量部だった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス259gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表3に示す。表3に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は劣った。
比較例9
実施例1と同じ操作で未反応の塩化ビニル単量体を回収した塩化ビニルポリマーラテックスに対し、エーテル化度0.55及び1%水溶液粘度13mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の5重量%水溶液22gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.26μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量35%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は0.2重量部だった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス341gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表3に示す。表3に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は劣った。
比較例10
実施例1と同じ操作で未反応の塩化ビニル単量体を回収した塩化ビニルポリマーラテックスに対し、エーテル化度0.55及び1%水溶液粘度13mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の5重量%水溶液1300gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は0.26μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量35%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は12重量部だった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス341gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表3に示す。表3に示すようにポリオール組成物の沈降安定性や分散安定性は劣った。
比較例11
比較例4と同じ操作で未反応の塩化ビニル単量体を回収した塩化ビニルポリマーラテックスに対し、エーテル化度0.55及び1%水溶液粘度13mPa・sのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の5重量%水溶液435gを追加添加し、塩化ビニルポリマーラテックスを得た。得られた塩化ビニルポリマーラテックス中の塩化ビニルポリマーの粒径を測定した結果、体積平均粒子径([MV]値)は1.62μmであり、塩化ビニルポリマーの濃度は重量33%であり、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の含有量は4重量部だった。
次に塩化ビニルポリマーラテックス227gとポリオール300gをプラネタリーミキサーに入れ、実施例1と同様の操作を行い、塩化ビニルポリマーの含有量が20重量%のポリオール組成物を得た。
得られた脱水後のポリオール組成物を遠心分離し、分散安定性試験と沈降安定性試験を行った。その結果を表3に示す。表3に示すようにポリオール組成物の沈降安定性は劣ったが、分散安定性は優れた。