(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
本実施形態に係る鉄筋結束機10は、図1〜3に示すように、結束機本体11に回転可能に配置されたワイヤリール13からワイヤWを所定長さ送り出して複数本のワイヤWが鉄筋の周囲に巻き付けた後に前記ワイヤWの複数本の束を捩って結束するものである。
ワイヤリール13は、回転自在に結束機本体11に支持されており、図示しないレバーを操作するのみで結束機本体11に着脱し得るように構成されている。ワイヤリール13には結束用のワイヤWが巻き付けられており、結束機本体11にワイヤリール13を装着したのちに、ワイヤリール13に巻き付けられたワイヤWが引き出されてセットされる。
このワイヤリール13は、側部にフランジ13aを備えており、このフランジ13aには、略鋸刃状に係合部13bと突出部13cとが交互に複数形成されている。係合部13bは、後述するブレーキ手段36に臨むようになっており、係合部13bにブレーキ手段36が係合することでワイヤリール13の回転が停止するようになっている。
上記したワイヤリール13から引き出されてセットされたワイヤWは送りモータ(図示せず)によってカール形成部12の方向へと送り出される。カール形成部12は、機械の先端へ送り出されたワイヤWをループ状に曲げるように案内するものであり、カール形成部12へと送り出されたワイヤWがカール形成部12に沿って案内されることで複数本のワイヤWが鉄筋の周囲を複数回囲むようにカールされる。
また、結束機本体11にはワイヤWを捩って結束するための捩り機構20が設けられている。本実施形態に係る捩り機構20は、図4に示すように、捩り用モータ21と、ギア22と、螺軸部23と、進退筒部24と、捩り用フック25と、を備えている。
捩り用モータ21は、捩り用フック25を駆動するためのものであり、ワイヤWの送り動作が終了する前の段階から、所定のタイミングに合わせて回転を開始するように制御される。本実施形態においては、この捩り用モータ21は、後述するブレーキ手段36を作動させるための動力源としても利用される。
ギア22は、捩り用モータ21の回転力を螺軸部23に伝達するための歯車である。
螺軸部23は、ギア22を介して伝達された捩り用モータ21の回転力によって回転する軸部材である。この螺軸部23は、結束機本体11に対して回転可能に支持されている。この螺軸部23の外周面はねじ加工されており、後述する進退筒部24の内周面に螺合している。
進退筒部24は、内部に螺軸部23を挿通させた筒状部材である。この進退筒部24は、結束機本体11に対して前後に移動可能に支持されるとともに、回転できないように支持されている。この進退筒部24の内周面はねじ加工されており、螺軸部23の外周面と螺合している。このように進退筒部24の内周面と螺軸部23の外周面とが螺合することで、捩り用モータ21が回転したときに進退筒部24が前後に移動するように構成されている。
捩り用フック25は、進退筒部24の先端に取り付けられた一対の爪状部材である。この捩り用フック25は、公知の構造により進退筒部24の進退動作に合わせて開閉するようになっている。
上記した捩り機構20は以下のように作動する。まず、鉄筋結束機10のトリガが操作されると、ワイヤWが所定量だけ送り出され、カール形成部12によってループ状に巻き回される。その後、捩り用モータ21が正転し、その回転はギア22を介して螺軸部23に伝達される。螺軸部23は回転するが、進退筒部24は回転することができないため、螺合したねじの作用によって進退筒部24は前方に送られる。このように進退筒部24が前方に送られることで捩り用フック25はワイヤWに接触する位置まで前進する。このとき、進退筒部24の前進に連動して捩り用フック25は閉じ方向に作動するため、捩り用フック25はワイヤループの一部を把持する。進退筒部24は、前進した位置で回転方向の支持が解除されて、螺軸部23とともに回転する。このとき、ワイヤWを保持した捩り用フック25も回転することでワイヤが捩じられる。なお、進退筒部24が前進する途中で、図示しないカッタが作動してワイヤWを切断する。
上記のように捩り動作が終了すると、捩り用モータ21は逆転し、螺軸部23は逆方向に回転する。これにより、進退筒部24及び捩り用フック25も後方に移動する。このとき、捩り用フック25が開いてワイヤWを離す。進退筒部24及び捩り用フック25が待機位置に移動するまで捩り用モータ21は逆転する。進退筒部24及び捩り用フック25が待機位置まで移動したら、捩り用モータ21が停止して一連の動作が完了する。
次に、本実施形態に係るブレーキ機構30について説明する。
本実施形態に係るブレーキ機構30は、図4に示すように、進退固定部31と、直動部材32と、揺動部材34と、ブレーキ手段36と、係合付勢手段37と、を備えている。
進退固定部31は、動力源としての捩り用モータ21の動力をブレーキ手段36に伝達するための伝達部材である。この進退固定部31は、捩り機構20の進退筒部24に固定されており、進退筒部24の進退動作に連動して前進または後退するものである。言い換えると、この進退固定部31は、捩り用モータ21が正転したときには進退筒部24と一体的に前方へと移動し、捩り用モータ21が逆転したときには進退筒部24と一体的に後方へと移動するようになっている。この進退固定部31には、後述する直動部材32と係合させるための係合部31aが突出形成されている。
直動部材32は、進退固定部31の進退方向と略平行に移動可能に支持された部材である。この直動部材32の長手方向の一端部には進退固定部31の係合部31aに係合可能な受部32aが形成されており、他端部は接続ピン32cによって揺動部材34と接続されている。この直動部材32は、結束機本体11に固定されたガイドピン33によって摺動可能にガイドされている。詳しくは、この直動部材32は長手方向にガイド溝32bを備えており、このガイド溝32bにガイドピン33を係合させることで、直動部材32がガイド溝32bに沿って前後に摺動可能となっている。
本実施形態に係る直動部材32は、進退固定部31が移動したときに受部32aが係合部31aに押されることで移動するようになっている。本実施形態においては、図4及び図5に示すように、受部32aが係合部31aよりも後方に設けられているため、捩り用モータ21が逆転して進退固定部31が後方へと移動したときには、受部32aが係合部31aに押されるが、捩り用モータ21が正転して進退固定部31が前方へと移動したときには、受部32aが係合部31aに押されないようになっている。
揺動部材34は、回転軸35を軸として結束機本体11に対して揺動可能に設けられた部材であり、端部が接続ピン32cを介して直動部材32に接続されている。このため、直動部材32が前方に移動すると、これに連動して揺動部材34も前方に揺動し、また、直動部材32が後方に移動すると、これに連動して揺動部材34も後方に揺動するようになっている。なお、揺動部材34は回転軸35に固定されているため、揺動部材34が揺動すると一体的に回転軸35も回転するようになっている。
ブレーキ手段36は、回転軸35を軸として揺動する部材であり、先端に爪部36aを備えている。爪部36aは、ワイヤリール13の周縁部に臨むように配置されており、ブレーキ手段36がワイヤリール13の方向へ揺動することでワイヤリール13の係合部13bに係合可能となっている。このブレーキ手段36は、回転軸35と一体的に回転する。このため、図5に示すように、揺動部材34が前方に揺動すると、これに連動して爪部36aがワイヤリール13の係合部13bに係合する方向(ワイヤリール13の停止方向)へと揺動する。また、揺動部材34が後方に揺動すると、これに連動してワイヤリール13の係合部13bとの係合が解除される方向(ワイヤリール13の停止解除方向)へと揺動する。
係合付勢手段37は、ブレーキ手段36をワイヤリール13と係合する方向へと付勢する捩りコイルバネである。この係合付勢手段37は、一端が結束機本体11の一部であるバネ受部39に支持され、他端がブレーキ手段36に係合してブレーキ手段36を付勢している。
上記したブレーキ機構30は、以下のように作動する(図5参照)。
まず、鉄筋結束機10のトリガが操作されて捩り動作が実行される。このとき、捩り用モータ21が正転方向に回転するが、この回転により進退固定部31が進退筒部24とともに前進方向へと移動する。この動きによって、進退固定部31の係合部31aで直動部材32の受部32aを押し込んでいた力がなくなるので、係合付勢手段37の付勢力によりブレーキ手段36がワイヤリール13と係合する方向へ揺動する。このように、動力源である捩り用モータ21は、伝達部材である進退固定部31を前進方向に駆動することで、ブレーキ手段36をワイヤリール13に係合させる。ブレーキ手段36がワイヤリール13に係合することで、慣性により回転していたワイヤリール13の回転を停止させることができる。
なお、ブレーキ手段36が揺動したときに、ブレーキ手段36の爪部36aがワイヤリール13の係合部13bにうまく入り込めず、爪部36aがワイヤリール13の突出部13cに接触する場合がある。このような状態で爪部36aを無理にワイヤリール13に押し付けると、ブレーキ手段36とワイヤリール13とがロックしてしまい、動作不良となる可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、ブレーキ手段36は係合付勢手段37の付勢力によりワイヤリール13と係合する方向へ揺動しているため、一定の負荷がかかると係合付勢手段37が弾性的に変形して力を逃すことができる。このように、ブレーキ手段36に過剰な負荷がかからないように弾性的に緩衝する緩衝機構を設けたので、伝達部材による過剰入力が発生しないようにする、あるいは、伝達部材による過剰入力発生した場合でも緩衝機構で過剰入力を吸収することができる。
上記のような動作によりワイヤリール13が停止し、捩り動作が終了すると、捩り用モータ21は逆転し、この回転により進退固定部31が進退筒部24とともに後退方向へと移動する。この動きによって、進退固定部31の係合部31aが直動部材32の受部32aを押し込むので、係合付勢手段37の付勢力に抗してワイヤリール13との係合が解除される方向へとブレーキ手段36が揺動する。このように、動力源である捩り用モータ21は、伝達部材である進退固定部31を後退方向に駆動することで、ブレーキ手段36をワイヤリール13から係合解除させる。そして、図5(a)に示すような待機状態となるまで捩り用モータ21が回転して動作が終了する。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図6及び図7に示すように、直動部材32の受部32aを第1の実施形態とは異なる位置に配置し、かつ、第1の実施形態の係合付勢手段37の代わりに解除付勢手段38を設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第1の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第1の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態に係る直動部材32は、図6及び図7に示すように、受部32aが係合部31aよりも前方に設けられているため、捩り用モータ21が正転して進退固定部31が前方へと移動したときには、受部32aが係合部31aに押されるが、捩り用モータ21が逆転して進退固定部31が後方へと移動したときには、受部32aが係合部31aに押されないようになっている。
解除付勢手段38は、ブレーキ手段36をワイヤリール13との係合が解除される方向へと付勢する捩りコイルバネである。この解除付勢手段38は、一端が結束機本体11の一部であるバネ受部39に支持され、他端がブレーキ手段36に係合してブレーキ手段36を付勢している。
上記したブレーキ機構30は、以下のように作動する(図7参照)。
まず、鉄筋結束機10のトリガが操作されて捩り動作が実行される。このとき、捩り用モータ21が正転方向に回転するが、この回転により進退固定部31が進退筒部24とともに前進方向へと移動する。この動きによって、進退固定部31の係合部31aが直動部材32の受部32aを引き上げ、解除付勢手段38の付勢力に抗してワイヤリール13と係合する方向へとブレーキ手段36が揺動する。このように、動力源である捩り用モータ21は、伝達部材である進退固定部31を前進方向に駆動することで、ブレーキ手段36をワイヤリール13に係合させる。ブレーキ手段36がワイヤリール13に係合することで、慣性により回転していたワイヤリール13の回転を停止させることができる。
上記のような動作によりワイヤリール13が停止し、捩り動作が終了すると、捩り用モータ21は逆転し、この回転により進退固定部31が進退筒部24とともに後退方向へと移動する。この動きによって、進退固定部31の係合部31aが直動部材32の受部32aを引き上げていた力がなくなるので、解除付勢手段38の付勢力によりブレーキ手段36がワイヤリール13との係合が解除される方向へ揺動する。そして、図7(a)に示すような待機状態となるまで捩り用モータ21が回転して動作が終了する。
なお、ブレーキ手段36がワイヤリール13との係合が解除される方向へ揺動したときに、機械の内部に侵入した異物などにブレーキ手段36が干渉し、ブレーキ手段36の揺動が妨げられる場合がある。このような状態でブレーキ手段36を無理に揺動させると、ブレーキ手段36がロックしてしまい、動作不良となる可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、ブレーキ手段36は解除付勢手段38の付勢力によりワイヤリール13との係合が解除される方向へ揺動しているため、一定の負荷がかかると解除付勢手段38が弾性的に変形して力を逃すことができる。このように、ブレーキ手段36に過剰な負荷がかからないように弾性的に緩衝する緩衝機構を設けたので、伝達部材による過剰入力が発生しないようにする、あるいは、伝達部材による過剰入力発生した場合でも緩衝機構で過剰入力を吸収することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図8に示すように、第1の実施形態の直動部材32の代わりに第1リンク部材40及び第2リンク部材41を設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第1の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第1の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
第1リンク部材40は、回動支点40bを中心に回動可能に取り付けられた部材である。この第1リンク部材40は、進退固定部31の係合部31aに係合可能な受部40aと、第2リンク部材41に回動可能に接続されたジョイント部40cと、を備えている。
本実施形態に係る第1リンク部材40は、進退固定部31が移動したときに受部40aが係合部31aに押されることで移動するようになっている。本実施形態においては、図8に示すように、受部40aが係合部31aよりも後方に設けられているため、捩り用モータ21が逆転して進退固定部31が後方へと移動したときには、受部40aが係合部31aに押されるが、捩り用モータ21が正転して進退固定部31が前方へと移動したときには、受部40aが係合部31aに押されないようになっている。
第2リンク部材41は、ジョイント部40cにおいて第1リンク部材40と回動可能に接続された部材であり、第1リンク部材40の回動動作に連動して前後に移動するように構成されている。この第2リンク部材41は、ジョイント部40cの反対側の端部が接続ピン41aによって揺動部材34と接続されており、第2リンク部材41が前方に移動すると、これに連動して揺動部材34も前方に揺動し、また、第2リンク部材41が後方に移動すると、これに連動して揺動部材34も後方に揺動するようになっている。
このように、第1の実施形態の直動部材32の代わりに、第1リンク部材40及び第2リンク部材41でリンク機構を構成した場合でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図9に示すように、第2の実施形態の直動部材32の代わりに第1リンク部材40及び第2リンク部材41を設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第2の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第2の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
第1リンク部材40は、回動支点40bを中心に回動可能に取り付けられた部材である。この第1リンク部材40は、進退固定部31の係合部31aに係合可能な受部40aと、第2リンク部材41に回動可能に接続されたジョイント部40cと、を備えている。
本実施形態に係る第1リンク部材40は、進退固定部31が移動したときに受部40aが係合部31aに押されることで移動するようになっている。本実施形態においては、図9に示すように、受部40aが係合部31aよりも前方に設けられているため、捩り用モータ21が正転して進退固定部31が前方へと移動したときには、受部40aが係合部31aに押されるが、捩り用モータ21が逆転して進退固定部31が後方へと移動したときには、受部40aが係合部31aに押されないようになっている。
第2リンク部材41は、ジョイント部40cにおいて第1リンク部材40と回動可能に接続された部材であり、第1リンク部材40の回動動作に連動して前後に移動するように構成されている。この第2リンク部材41は、ジョイント部40cの反対側の端部が接続ピン41aによって揺動部材34と接続されており、第2リンク部材41が前方に移動すると、これに連動して揺動部材34も前方に揺動し、また、第2リンク部材41が後方に移動すると、これに連動して揺動部材34も後方に揺動するようになっている。
このように、第2の実施形態の直動部材32の代わりに、第1リンク部材40及び第2リンク部材41でリンク機構を構成した場合でも、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図10及び図11に示すように、進退固定部31と直動部材32とを固定し、切替部材42を介してブレーキ手段36を揺動させる点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第1の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第1の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態に係る直動部材32は、図10及び図11に示すように、受部32aが係合部31aに固定されているため、捩り用モータ21が正転して進退固定部31が前方へと移動したときには、受部32aが係合部31aに前方へと押され、捩り用モータ21が逆転して進退固定部31が後方へと移動したときには、受部32aが係合部31aに後方へと押されるようになっている。
本実施形態の回転軸35には、ブレーキ手段36を取り付ける代わりに切替部材42が取り付けられている。
切替部材42は、回転軸35を軸として揺動する部材であり、ブレーキ手段36に接触して動かすための押圧部42aを備えている。押圧部42aは、後述するブレーキ手段36の被押圧部36bに臨むように配置されており、切替部材42がブレーキ手段36の方向へ揺動することでブレーキ手段36の被押圧部36bに係合可能となっている。この切替部材42は回転軸35と一体的に回転する。このため、図11に示すように、切替部材42は、揺動部材34が前方に揺動したことに連動して、ブレーキ手段36の被押圧部36bに係合する方向へと揺動する。また、切替部材42は、揺動部材34が後方に揺動したことに連動して、ブレーキ手段36の被押圧部36bとの係合が解除される方向へと揺動する。
本実施形態に係るブレーキ手段36は、回転軸35とは別に設けられた支持軸43に回動可能に取り付けられている。このブレーキ手段36は、切替部材42の押圧部42aに接触可能な被押圧部36bを備えており、切替部材42の押圧部42aが被押圧部36bに作用することにより、ブレーキ手段36がワイヤリール13との係合が解除される方向へ揺動して待機状態をとるように構成されている。
上記したブレーキ機構30は、以下のように作動する(図11参照)。
まず、鉄筋結束機10のトリガが操作されて捩り動作が実行される。このとき、捩り用モータ21が正転方向に回転するが、この回転により進退固定部31が進退筒部24とともに前進方向へと移動する。進退固定部31が移動すると、進退固定部31に固定された直動部材32が移動し、揺動部材34及び切替部材42が前方へと揺動する。この動きによって、切替部材42の押圧部42aでブレーキ手段36の被押圧部36bを押し込んでいた力がなくなるので、係合付勢手段37の付勢力によりブレーキ手段36がワイヤリール13と係合する方向へ揺動する。このように、動力源である捩り用モータ21は、伝達部材である進退固定部31を前進方向に駆動することで、ブレーキ手段36をワイヤリール13に係合させる。ブレーキ手段36がワイヤリール13に係合することで、慣性により回転していたワイヤリール13の回転を停止させることができる。
なお、ブレーキ手段36が揺動したときに、ブレーキ手段36の爪部36aがワイヤリール13の係合部13bにうまく入り込めず、爪部36aがワイヤリール13の突出部13cに接触する場合がある。このような状態で爪部36aを無理にワイヤリール13に押し付けると、ブレーキ手段36とワイヤリール13とがロックしてしまい、動作不良となる可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、ブレーキ手段36は係合付勢手段37の付勢力によりワイヤリール13と係合する方向へ揺動しているため、一定の負荷がかかると係合付勢手段37が弾性的に変形して力を逃すことができる。このように、ブレーキ手段36に過剰な負荷がかからないように弾性的に緩衝する緩衝機構を設けたので、伝達部材による過剰入力が発生しないようにする、あるいは、伝達部材による過剰入力発生した場合でも緩衝機構で過剰入力を吸収することができる。
上記のような動作によりワイヤリール13が停止し、捩り動作が終了すると、捩り用モータ21は逆転し、この回転により進退固定部31が進退筒部24とともに後退方向へと移動する。進退固定部31が移動すると、進退固定部31に固定された直動部材32が移動し、揺動部材34及び切替部材42が後方へと揺動する。この動きによって、切替部材42の押圧部42aがブレーキ手段36の被押圧部36bを押し込むので、係合付勢手段37の付勢力に抗してワイヤリール13との係合が解除される方向へとブレーキ手段36が揺動する。このように、動力源である捩り用モータ21は、伝達部材である進退固定部31を後退方向に駆動することで、ブレーキ手段36をワイヤリール13から係合解除させる。そして、図11(a)に示すような待機状態となるまで捩り用モータ21が回転して動作が終了する。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図12及び図13に示すように、進退固定部31と直動部材32とを固定せずに分離した点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第5の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第5の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態に係る直動部材32は、図12及び図13に示すように、受部32aが係合部31aよりも後方に設けられているため、捩り用モータ21が逆転して進退固定部31が後方へと移動したときには、受部32aが係合部31aに押されるが、捩り用モータ21が正転して進退固定部31が前方へと移動したときには、受部32aが係合部31aに押されないようになっている。
上記したブレーキ機構30は、以下のように作動する(図13参照)。
まず、鉄筋結束機10のトリガが操作されて捩り動作が実行される。このとき、捩り用モータ21が正転方向に回転するが、この回転により進退固定部31が進退筒部24とともに前進方向へと移動する。この動きによって、進退固定部31の係合部31aで直動部材32の受部32aを押し込んでいた力と、切替部材42の押圧部42aでブレーキ手段36の被押圧部36bを押し込んでいた力と、がなくなるので、係合付勢手段37の付勢力によりブレーキ手段36がワイヤリール13と係合する方向へ揺動する。このように、動力源である捩り用モータ21は、伝達部材である進退固定部31を前進方向に駆動することで、ブレーキ手段36をワイヤリール13に係合させる。ブレーキ手段36がワイヤリール13に係合することで、慣性により回転していたワイヤリール13の回転を停止させることができる。
なお、ブレーキ手段36が揺動したときに、ブレーキ手段36の爪部36aがワイヤリール13の係合部13bにうまく入り込めず、爪部36aがワイヤリール13の突出部13cに接触する場合がある。このような状態で爪部36aを無理にワイヤリール13に押し付けると、ブレーキ手段36とワイヤリール13とがロックしてしまい、動作不良となる可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、ブレーキ手段36は係合付勢手段37の付勢力によりワイヤリール13と係合する方向へ揺動しているため、一定の負荷がかかると係合付勢手段37が弾性的に変形して力を逃すことができる。このように、ブレーキ手段36に過剰な負荷がかからないように弾性的に緩衝する緩衝機構を設けたので、伝達部材による過剰入力が発生しないようにする、あるいは、伝達部材による過剰入力発生した場合でも緩衝機構で過剰入力を吸収することができる。
上記のような動作によりワイヤリール13が停止し、捩り動作が終了すると、捩り用モータ21は逆転し、この回転により進退固定部31が進退筒部24とともに後退方向へと移動する。この動きによって、進退固定部31の係合部31aが直動部材32の受部32aを押し込むので、揺動部材34及び切替部材42が後方へと揺動する。この動きによって、切替部材42の押圧部42aがブレーキ手段36の被押圧部36bを押し込むので、係合付勢手段37の付勢力に抗してワイヤリール13との係合が解除される方向へとブレーキ手段36が揺動する。このように、動力源である捩り用モータ21は、伝達部材である進退固定部31を後退方向に駆動することで、ブレーキ手段36をワイヤリール13から係合解除させる。そして、図13(a)に示すような待機状態となるまで捩り用モータ21が回転して動作が終了する。
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図14及び図15に示すように、切替部材42を介してブレーキ手段36を揺動させる点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第2の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第2の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態の回転軸35には、ブレーキ手段36を取り付ける代わりに切替部材42が取り付けられている。
切替部材42は、回転軸35を軸として揺動する部材であり、ブレーキ手段36に接触して動かすための押圧部42aを備えている。押圧部42aは、後述するブレーキ手段36の被押圧部36bに臨むように配置されており、切替部材42がブレーキ手段36の方向へ揺動することでブレーキ手段36の被押圧部36bに係合可能となっている。この切替部材42は回転軸35と一体的に回転する。このため、図15に示すように、切替部材42は、揺動部材34が前方に揺動したことに連動して、ブレーキ手段36の被押圧部36bとの係合が解除される方向へと揺動する。また、切替部材42は、揺動部材34が後方に揺動したことに連動して、ブレーキ手段36の被押圧部36bに係合する方向へと揺動する。
本実施形態に係るブレーキ手段36は、回転軸35とは別に設けられた支持軸43に回動可能に取り付けられている。このブレーキ手段36は、切替部材42の押圧部42aに接触可能な被押圧部36bを備えており、切替部材42の押圧部42aが被押圧部36bに作用することにより、ブレーキ手段36がワイヤリール13に係合する方向へ揺動するように構成されている。
上記したブレーキ機構30は、以下のように作動する(図15参照)。
まず、鉄筋結束機10のトリガが操作されて捩り動作が実行される。このとき、捩り用モータ21が正転方向に回転するが、この回転により進退固定部31が進退筒部24とともに前進方向へと移動する。進退筒部24が前方へと移動すると、進退固定部31の係合部31aが直動部材32の受部32aを引き上げ、揺動部材34及び切替部材42が前方へと揺動する。この動きによって、切替部材42の押圧部42aがブレーキ手段36の被押圧部36bを押し込むので、解除付勢手段38の付勢力に抗してワイヤリール13と係合する方向へとブレーキ手段36が揺動する。このように、動力源である捩り用モータ21は、伝達部材である進退固定部31を前進方向に駆動することで、ブレーキ手段36をワイヤリール13に係合させる。ブレーキ手段36がワイヤリール13に係合することで、慣性により回転していたワイヤリール13の回転を停止させることができる。
上記のような動作によりワイヤリール13が停止し、捩り動作が終了すると、捩り用モータ21は逆転し、この回転により進退固定部31が進退筒部24とともに後退方向へと移動する。この動きによって、進退固定部31の係合部31aが直動部材32の受部32aを引き上げていた力と、切替部材42の押圧部42aでブレーキ手段36の被押圧部36bを押し込んでいた力と、がなくなるので、解除付勢手段38の付勢力によりブレーキ手段36がワイヤリール13との係合が解除される方向へ揺動する。そして、図15(a)に示すような待機状態となるまで捩り用モータ21が回転して動作が終了する。
なお、ブレーキ手段36がワイヤリール13との係合が解除される方向へ揺動したときに、機械の内部に侵入した異物などにブレーキ手段36が干渉し、ブレーキ手段36の揺動が妨げられる場合がある。このような状態でブレーキ手段36を無理に揺動させると、ブレーキ手段36がロックしてしまい、動作不良となる可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、ブレーキ手段36は解除付勢手段38の付勢力によりワイヤリール13との係合が解除される方向へ揺動しているため、一定の負荷がかかると解除付勢手段38が弾性的に変形して力を逃すことができる。このように、ブレーキ手段36に過剰な負荷がかからないように弾性的に緩衝する緩衝機構を設けたので、伝達部材による過剰入力が発生しないようにする、あるいは、伝達部材による過剰入力発生した場合でも緩衝機構で過剰入力を吸収することができる。
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図16に示すように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第5の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第5の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態の回転軸35には、ブレーキ手段36と切替部材42とが取り付けられている。切替部材42は回転軸35と一体的に回転する。一方、ブレーキ手段36は、回転軸35に対して回転自在に取り付けられている。このため、揺動部材34が揺動することで回転軸35が回転したときに、切替部材42は回転軸35とともに回動するが、ブレーキ手段36は切替部材42に押動されなければ回転軸35の回転の影響を受けないようになっている。
このように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた場合でも、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図17に示すように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第6の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第6の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態の回転軸35には、ブレーキ手段36と切替部材42とが取り付けられている。切替部材42は回転軸35と一体的に回転する。一方、ブレーキ手段36は、回転軸35に対して回転自在に取り付けられている。このため、揺動部材34が揺動することで回転軸35が回転したときに、切替部材42は回転軸35とともに回動するが、ブレーキ手段36は切替部材42に押動されなければ回転軸35の回転の影響を受けないようになっている。
このように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた場合でも、第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第10の実施形態)
本発明の第10の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図18に示すように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第7の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第7の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態の回転軸35には、ブレーキ手段36と切替部材42とが取り付けられている。切替部材42は回転軸35と一体的に回転する。一方、ブレーキ手段36は、回転軸35に対して回転自在に取り付けられている。このため、揺動部材34が揺動することで回転軸35が回転したときに、切替部材42は回転軸35とともに回動するが、ブレーキ手段36は切替部材42に押動されなければ回転軸35の回転の影響を受けないようになっている。
このように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた場合でも、第7の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第11の実施形態)
本発明の第11の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図19に示すように、第5の実施形態の直動部材32の代わりに第1リンク部材40及び第2リンク部材41を設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第5の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第5の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
第1リンク部材40は、回動支点40bを中心に回動可能に取り付けられた部材である。この第1リンク部材40は、進退固定部31の係合部31aに回動可能に接続された受部40aと、第2リンク部材41に回動可能に接続されたジョイント部40cと、を備えている。この第1リンク部材40は、進退固定部31が移動したときに進退固定部31に連動して回動するようになっている。
第2リンク部材41は、ジョイント部40cにおいて第1リンク部材40と回動可能に接続された部材であり、第1リンク部材40の回動動作に連動して前後に移動するように構成されている。この第2リンク部材41は、ジョイント部40cの反対側の端部が接続ピン41aによって揺動部材34と接続されており、第2リンク部材41が前方に移動すると、これに連動して揺動部材34も前方に揺動し、また、第2リンク部材41が後方に移動すると、これに連動して揺動部材34も後方に揺動するようになっている。
このように、第5の実施形態の直動部材32の代わりに、第1リンク部材40及び第2リンク部材41でリンク機構を構成した場合でも、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第12の実施形態)
本発明の第12の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図20に示すように、第6の実施形態の直動部材32の代わりに第1リンク部材40及び第2リンク部材41を設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第6の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第6の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
第1リンク部材40は、回動支点40bを中心に回動可能に取り付けられた部材である。この第1リンク部材40は、進退固定部31の係合部31aに回動可能に接続された受部40aと、第2リンク部材41に回動可能に接続されたジョイント部40cと、を備えている。
本実施形態に係る第1リンク部材40は、進退固定部31が移動したときに受部40aが係合部31aに押されることで移動するようになっている。本実施形態においては、図20に示すように、受部40aが係合部31aよりも後方に設けられているため、捩り用モータ21が逆転して進退固定部31が後方へと移動したときには、受部40aが係合部31aに押されるが、捩り用モータ21が正転して進退固定部31が前方へと移動したときには、受部40aが係合部31aに押されないようになっている。
第2リンク部材41は、ジョイント部40cにおいて第1リンク部材40と回動可能に接続された部材であり、第1リンク部材40の回動動作に連動して前後に移動するように構成されている。この第2リンク部材41は、ジョイント部40cの反対側の端部が接続ピン41aによって揺動部材34と接続されており、第2リンク部材41が前方に移動すると、これに連動して揺動部材34も前方に揺動し、また、第2リンク部材41が後方に移動すると、これに連動して揺動部材34も後方に揺動するようになっている。
このように、第6の実施形態の直動部材32の代わりに、第1リンク部材40及び第2リンク部材41でリンク機構を構成した場合でも、第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第13の実施形態)
本発明の第13の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図21に示すように、第7の実施形態の直動部材32の代わりに第1リンク部材40及び第2リンク部材41を設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第7の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第7の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
第1リンク部材40は、回動支点40bを中心に回動可能に取り付けられた部材である。この第1リンク部材40は、進退固定部31の係合部31aに回動可能に接続された受部40aと、第2リンク部材41に回動可能に接続されたジョイント部40cと、を備えている。
本実施形態に係る第1リンク部材40は、進退固定部31が移動したときに受部40aが係合部31aに押されることで移動するようになっている。本実施形態においては、図20に示すように、受部40aが係合部31aよりも前方に設けられているため、捩り用モータ21が正転して進退固定部31が前方へと移動したときには、受部40aが係合部31aに押されるが、捩り用モータ21が逆転して進退固定部31が後方へと移動したときには、受部40aが係合部31aに押されないようになっている。
第2リンク部材41は、ジョイント部40cにおいて第1リンク部材40と回動可能に接続された部材であり、第1リンク部材40の回動動作に連動して前後に移動するように構成されている。この第2リンク部材41は、ジョイント部40cの反対側の端部が接続ピン41aによって揺動部材34と接続されており、第2リンク部材41が前方に移動すると、これに連動して揺動部材34も前方に揺動し、また、第2リンク部材41が後方に移動すると、これに連動して揺動部材34も後方に揺動するようになっている。
このように、第7の実施形態の直動部材32の代わりに、第1リンク部材40及び第2リンク部材41でリンク機構を構成した場合でも、第7の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第14の実施形態)
本発明の第14の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図22に示すように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第11の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第11の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態の回転軸35には、ブレーキ手段36と切替部材42とが取り付けられている。切替部材42は回転軸35と一体的に回転する。一方、ブレーキ手段36は、回転軸35に対して回転自在に取り付けられている。このため、揺動部材34が揺動することで回転軸35が回転したときに、切替部材42は回転軸35とともに回動するが、ブレーキ手段36は切替部材42に押動されなければ回転軸35の回転の影響を受けないようになっている。
このように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた場合でも、第11の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第15の実施形態)
本発明の第15の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図23に示すように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第12の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第12の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態の回転軸35には、ブレーキ手段36と切替部材42とが取り付けられている。切替部材42は回転軸35と一体的に回転する。一方、ブレーキ手段36は、回転軸35に対して回転自在に取り付けられている。このため、揺動部材34が揺動することで回転軸35が回転したときに、切替部材42は回転軸35とともに回動するが、ブレーキ手段36は切替部材42に押動されなければ回転軸35の回転の影響を受けないようになっている。
このように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた場合でも、第12の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第16の実施形態)
本発明の第16の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、図24に示すように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第13の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第13の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態の回転軸35には、ブレーキ手段36と切替部材42とが取り付けられている。切替部材42は回転軸35と一体的に回転する。一方、ブレーキ手段36は、回転軸35に対して回転自在に取り付けられている。このため、揺動部材34が揺動することで回転軸35が回転したときに、切替部材42は回転軸35とともに回動するが、ブレーキ手段36は切替部材42に押動されなければ回転軸35の回転の影響を受けないようになっている。
このように、ブレーキ手段36と切替部材42とを同軸に設けた場合でも、第13の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第17の実施形態)
本発明の第17の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、ブレーキ手段36を弾性変形可能とすることで緩衝機構を構成した点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第1の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第1の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態においては、図25及び図26に示すように、進退固定部31と直動部材32とが固定されており、捩り用モータ21の動力をブレーキ手段36に伝達する経路上には緩衝機構が設けられていない。
しかしながら、図27に示すように、本実施形態に係るブレーキ手段36は弾性変形可能に形成されている。すなわち、本実施形態に係るブレーキ手段36は、回転軸35に支持された基部36cと、基部36cに接続された中間部36dと、中間部36dに接続された先端部36eと、を備え、それぞれの部位が弾性的に曲折可能となっている。本実施形態においては、基部36cと中間部36dとの間の第1揺動節36fは、先端の爪部36aがワイヤリール13から離れる方向に曲折可能となっている。この第1揺動節36fには第1付勢部材36hが取り付けられており、基部36cと中間部36dとが曲折せずにまっすぐになるように(言い換えると、ブレーキ手段36をワイヤリール13と係合する方向へと)付勢している。また、中間部36dと先端部36eとの間の第2揺動節36gは、先端の爪部36aがワイヤリール13に近づく方向に曲折可能となっている。この第2揺動節36gには第2付勢部材36iが取り付けられており、中間部36dと先端部36eとが曲折せずにまっすぐになるように(言い換えると、ブレーキ手段36をワイヤリール13との係合が解除される方向へと)付勢している。
このように、ブレーキ手段36は、ワイヤリール13から離れる方向に曲折可能な第1揺動節36fと、ワイヤリール13に近づく方向に曲折可能な第2揺動節36gと、を備え、それぞれの揺動節に取り付けられた付勢部材に抗して曲折可能となっているので、ブレーキ手段36に過剰な負荷がかからないようになっている。
例えば、図27(b)に示すように、ブレーキ手段36がワイヤリール13に係合する方向に揺動したときに、ブレーキ手段36の爪部36aがワイヤリール13の係合部13bにうまく入り込めず、爪部36aがワイヤリール13の突出部13cに接触する場合がある。このような状態で爪部36aを無理にワイヤリール13に押し付けると、ブレーキ手段36とワイヤリール13とがロックしてしまい、動作不良となる可能性がある。しかしながら、本実施形態においては、一定の負荷がかかると第1付勢部材36hの付勢力に抗して第1揺動節36fでブレーキ手段36が曲折し、力を逃すことができる。このように、ブレーキ手段36に過剰な負荷がかからないように弾性的に緩衝する緩衝機構を設けたので、伝達部材による過剰入力発生した場合でも緩衝機構で過剰入力を吸収することができる。
また、図28(b)に示すように、ブレーキ手段36がワイヤリール13との係合が解除される方向へ揺動したときに、機械の内部に侵入した異物Eなどにブレーキ手段36が干渉し、ブレーキ手段36の揺動が妨げられる場合がある。このような状態でブレーキ手段36を無理に揺動させると、ブレーキ手段36がロックしてしまい、動作不良となる可能性がある。しかしながら、本実施形態においては、一定の負荷がかかると第2付勢部材36iの付勢力に抗して第2揺動節36gでブレーキ手段36が曲折し、力を逃すことができる。このように、ブレーキ手段36に過剰な負荷がかからないように弾性的に緩衝する緩衝機構を設けたので、伝達部材による過剰入力発生した場合でも緩衝機構で過剰入力を吸収することができる。
なお、図25及び図26のブレーキ手段36は図27のブレーキ手段36と形状が相違しているが、これは図面の便宜上であり、実際には図25及び図26のブレーキ手段36は図27のブレーキ手段36と同様のものである。
(第18の実施形態)
本発明の第18の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、第17の実施形態とは異なる方法でブレーキ手段36を弾性変形可能とした点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第17の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第17の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態に係るブレーキ手段36は、軟質の金属や合成樹脂などの弾性変形可能な材質で形成されている。ブレーキ手段36は、少なくとも、進退固定部31(伝達部材)が係合方向に最大変位した状態(言い換えると、捩り用フック25が捩り動作を終えた状態)において、爪部36aがワイヤリール13の突出部13cに押し付けられてもロックしない程度に弾性変形可能であればよい。このように、ブレーキ手段36を弾性変形可能とすることで、ブレーキ手段36がロックすることを防止できる。
例えば、図29(b)に示すように、ブレーキ手段36がワイヤリール13に係合する方向に揺動したときに、ブレーキ手段36の爪部36aがワイヤリール13の係合部13bにうまく入り込めず、爪部36aがワイヤリール13の突出部13cに接触する場合がある。このような状態で爪部36aを無理にワイヤリール13に押し付けると、ブレーキ手段36とワイヤリール13とがロックしてしまい、動作不良となる可能性がある。しかしながら、本実施形態においては、一定の負荷がかかるとブレーキ手段36が弾性変形して力を逃すことができる。
また、図30(b)に示すように、ブレーキ手段36がワイヤリール13との係合が解除される方向へ揺動したときに、機械の内部に侵入した異物Eなどにブレーキ手段36が干渉し、ブレーキ手段36の揺動が妨げられる場合がある。このような状態でブレーキ手段36を無理に揺動させると、ブレーキ手段36がロックしてしまい、動作不良となる可能性がある。しかしながら、本実施形態においては、一定の負荷がかかるとブレーキ手段36が弾性変形して力を逃すことができる。
(第19の実施形態)
本発明の第19の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、第17の実施形態とは異なる方法でブレーキ手段36を弾性変形可能とした点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第17の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第17の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態に係るブレーキ手段36は、他の部分よりも弾性変形しやすくした弾性変形部36jを備えており、少なくとも、進退固定部31(伝達部材)が係合方向に最大変位した状態(言い換えると、捩り用フック25が捩り動作を終えた状態)において、爪部36aがワイヤリール13の突出部13cに押し付けられてもロックしない程度に弾性変形可能となっている。たとえば、ブレーキ手段36の一部をコイル状に巻いて弾性変形部36jを形成する。このように、ブレーキ手段36を弾性変形可能とすることで、ブレーキ手段36がロックすることを防止できる。
例えば、図31(b)に示すように、ブレーキ手段36がワイヤリール13に係合する方向に揺動したときに、ブレーキ手段36の爪部36aがワイヤリール13の係合部13bにうまく入り込めず、爪部36aがワイヤリール13の突出部13cに接触する場合がある。このような状態で爪部36aを無理にワイヤリール13に押し付けると、ブレーキ手段36とワイヤリール13とがロックしてしまい、動作不良となる可能性がある。しかしながら、本実施形態においては、一定の負荷がかかるとブレーキ手段36が弾性変形して力を逃すことができる。
また、図32(b)に示すように、ブレーキ手段36がワイヤリール13との係合が解除される方向へ揺動したときに、機械の内部に侵入した異物Eなどにブレーキ手段36が干渉し、ブレーキ手段36の揺動が妨げられる場合がある。このような状態でブレーキ手段36を無理に揺動させると、ブレーキ手段36がロックしてしまい、動作不良となる可能性がある。しかしながら、本実施形態においては、一定の負荷がかかるとブレーキ手段36が弾性変形して力を逃すことができる。
(第20の実施形態)
本発明の第20の実施形態について説明する。本実施形態の特徴点は、進退固定部31(伝達部材)によって伝達される動力を弾性的に受けることで緩衝機構を構成した点にある。なお、本実施形態の基本的構成は第17の実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、第17の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
本実施形態に係る直動部材32は、図33に示すように、進退固定部31の係合部31aの両側に受部32aを備えている。そして、それぞれの受部32aと係合部31aとの間には緩衝バネ44が設けられている。このため、進退固定部31によって伝達される動力は、緩衝バネ44を介して直動部材32に伝達される。このように、進退固定部31によって伝達される動力を弾性的に受けることで、ブレーキ手段36に過剰な負荷がかからないようにすることができる。
(第17〜20の実施形態の変形例)
上記した第17〜20の実施形態においては、直動部材32を使用してブレーキ機構30を構成したが、図34に示すように、直動部材32の代わりに第1リンク部材40及び第2リンク部材41を使用してもよい。
(その他)
上記した第1〜20の実施形態において、図35に示すようなクラッチ機構50を使用してもよい。このクラッチ機構50は、捩り用モータ21の動力をブレーキ手段36に伝達する経路上に配置される。たとえば、ギア22の代わりに配置することができる。
このクラッチ機構50は、入力軸であるシャフト51と、シャフト51と一体的に回転するクラッチ板52と、シャフト51に回動可能に軸支されたクラッチギア53と、クラッチギア53の内部に配置されたボール54及びクラッチバネ55と、を備えている。
シャフト51は、捩り用モータ21の出力軸に直接又は間接的に接続され、捩り用モータ21の回転に連動して回転する。
クラッチ板52は、シャフト51に圧入固定された円板部材であり、周方向に複数の係合凹部52aが設けられている。この係合凹部52aは、ボール54の内径よりも小径となっており、ボール54が嵌り込み可能となっている。
クラッチギア53は、シャフト51に軸支された歯車であり、シャフト51の回転力を伝達経路下流へと中継するためのものである。このクラッチギア53の内部には、ボール54の内径とほぼ同径で、ボール54を摺動可能に収容するガイド孔53aが形成されている。このガイド孔53aの内部には、ボール54を外方へと付勢するクラッチバネ55が配置されている。ボール54は、クラッチバネ55によって外方へと付勢されることで、クラッチ板52の係合凹部52aに嵌合している。
このクラッチ機構50は以下のように作用する。まず、捩り用モータ21などの動力源によってシャフト51が回転する。シャフト51が回転すると、シャフト51に圧入固定されたクラッチ板52も一体的に回転する。クラッチ板52の回転力はボール54を介してクラッチギア53に伝達され、クラッチギア53が回転する。
しかしながら、ブレーキ手段36が異物に干渉するなどの理由により出力側のクラッチギア53に一定以上の負荷がかかると、ボール54がクラッチバネ55の付勢力に抗してガイド孔53aの内方へと退避する。ボール54が退避することでボール54と係合凹部52aとの係合が解除され、入力側のクラッチ板52から出力側のクラッチギア53へと動力が伝達されない状態となる。このように、クラッチ機構50を設けることで、一定の負荷がかかると動力の伝達経路を遮断することができるので、ブレーキ手段36に過剰な負荷がかからないようにすることができる。
このように、弾性的な負荷吸収機構ではなく、クラッチ機構50により緩衝機構を構成してもよい。
(まとめ)
以上説明したように、動力源である捩り用モータ21は、ブレーキ手段36をワイヤリール13に係合させるときには伝達部材である進退固定部31を前進方向に駆動するとともに、ブレーキ手段36をワイヤリール13から係合解除させるときには伝達部材である進退固定部31を後退方向に駆動するので、係合時と係合解除時のいずれの場合も、伝達部材がブレーキ手段36に繰り返し入力をすることがない。よって、部品に繰り返し衝撃が加わることにより部品の耐久性が低下したり騒音が大きくなったりといった問題が発生しない。また、歯車の大きさや配置を考慮する必要もないので、限られたスペースを有効活用してブレーキ機構30を配置することができる。
ところで伝達部材を前進または後退させたときに、異物の混入や係合箇所のずれなどによりブレーキ手段36がロックした場合でもそのまま伝達部材がブレーキ手段36を作動させようとすることにより、ブレーキ手段36に過剰に負荷がかかるおそれがある。しかしながら、本実施形態によれば、ブレーキ手段36に過剰な負荷がかからないように負荷を吸収する緩衝機構を設けたので、伝達部材による過剰入力が発生しないようにする、あるいは、伝達部材による過剰入力発生した場合でも緩衝機構で過剰入力を吸収することができる。
なお、動力源(捩り用モータ21)からブレーキ手段36へと至る動力伝達経路上に配置された移動部材(例えば上記した実施形態における直動部材32、揺動部材34、第1リンク部材40、第2リンク部材41など)において摺動抵抗の増加やの摺動不良の発生が懸念される場合には、緩衝機構をブレーキ機構30付近に設けることが望ましい。その理由は、摺動抵抗が増大した部位と動力源との間に緩衝機構を設けると、動力源が大きな力を発生していても緩衝機構によって動力が吸収されてしまうため、摺動抵抗が増大した部位に動力源の力が伝達されず、摺動抵抗に抗してブレーキ機構30を作動させることができなくなる場合がある。一方、抵抗が増大しやすい部位よりも動力伝達経路下流(すなわちブレーキ機構30の近く)に緩衝機構を配置すれば、摺動抵抗が増大した部位に動力源の力が確実に伝達されるたので、ブレーキ機構30の作動不良を発生しにくくすることができる。
ところで、上記したような摺動不良は、ハウジングの内部の部材に発生した錆が原因となって発生することがある。すなわち、ブレーキ機構30は、大部分がハウジングの内部に配置されているが、ブレーキ部材36はハウジングの開口部を貫通して外部に露出するように取り付けられている。そのため開口部からハウジング内部に水などが侵入する可能性があるが、ハウジング内部に侵入した水分は乾燥しにくいので、ハウジング内部の部材には錆が発生し易い。言い換えると、摺動抵抗が増大する可能性が高いのはハウジングの内部である。よって、緩衝機構をハウジングの開口部よりもブレーキ機構30側、できればハウジングの外側に設ければ、錆の発生などによって伝達経路上の摺動抵抗が増大しても、その影響を受けにくく、作動不良が起きにくい構造とすることができる。
また、前記ブレーキ手段36を前記ワイヤリール13と係合する方向へと付勢する係合付勢手段37を備えて前記緩衝機構を構成し、前記ブレーキ手段36を前記係合付勢手段37の付勢力に抗して前記ワイヤリール13との係合が解除される方向へと移動させるようにすれば、ブレーキ手段36がワイヤリール13と係合する際には、係合付勢手段37の付勢力を利用してブレーキ手段36が弾性的にワイヤリール13に作用する。よって、ブレーキ手段36がワイヤリール13の係合部13bに入り込まずに突出部13cに押し付けられた場合でも、係合付勢手段37が弾性変形することでブレーキ手段36とワイヤリール13とがロックすることを回避できる。
また、前記ブレーキ手段36を前記ワイヤリール13との係合が解除される方向へと付勢する解除付勢手段38を備えて前記緩衝機構を構成し、前記ブレーキ手段36を前記解除付勢手段38の付勢力に抗して前記ワイヤリール13と係合する方向へと移動させるようにすれば、ブレーキ手段36とワイヤリール13との係合を解除する際には、解除付勢手段38の付勢力を利用してブレーキ手段36がワイヤリール13から離反する方向に移動する。よって、機械内に入り込んだ異物などがブレーキ手段36に干渉して、ブレーキ手段36がワイヤリール13から離反する方向に移動できない場合でも、解除付勢手段38が弾性変形することでブレーキ手段36がロックすることを回避できる。
また、前記ブレーキ手段36を弾性変形可能とすることで前記緩衝機構を構成すれば、ブレーキ手段36自体を弾性変形させることでブレーキ手段36がロックすることを回避できる。
また、前記動力源として、結束用ワイヤWを捩って結束するための捩り用フック25を駆動する捩り用モータ21を使用すれば、ブレーキ機構30用の動力源を使用しなくてもブレーキ手段36を作動させることができる。
また、前記捩り用フック25の前進又は後退に連動して前記伝達部材が前進又は後退するようにすれば、捩り用モータ21の正転時の回転数と逆転時の回転数との差を意識する必要がない。すなわち、捩り機構20の側に特に変更を加えなくても、従来の捩り機構20にブレーキ機構30を後付けするだけで捩り用モータ21をブレーキ機構30に使用することができる。
なお、上記した実施形態においては動力源として捩り用モータ21を使用したが、これに限らず、捩り用モータ21とは別の動力源を使用してもよい。
また、上記した実施形態においてはブレーキ手段36が直接ワイヤリール13と係合するようにしたが、これに限らず、ブレーキ手段36が間接的にワイヤリール13を停止させるものであってもよい。例えば、ワイヤリール13と一体に回転する部材に対してブレーキ手段36が作用することで、ブレーキ手段36が間接的にワイヤリール13を停止させるようなものであってもよい。つまり、本実施形態における係合には、爪部などが凹凸の凹部に係止するような形態だけでなく、平面部材同士が当接して摩擦によって停止させる構成も含まれる。
(摩擦ブレーキについて)
また、上記した実施形態においては略鋸刃状のフランジ13aを備えたワイヤリール13にブレーキ手段36を係合させたが、このような態様に限らず、例えば平面同士を係合させるいわゆる摩擦ブレーキなどを使用してもよい。
(摩擦ブレーキの例1)
例えば、図36及び図37に示す摩擦ブレーキの例1においては、ブレーキ手段36が摩擦面56を押しつけてワイヤリール13の回転を停止させる。
この例1に係るワイヤリール13は、図37に示すように、フランジ13aの周縁が側面視円形となっており、略鋸刃状の係合部13b及び突出部13cを備えていない。すなわち、この例1においてはブレーキ手段36と係合する箇所に凹凸を設けないようにしてある。
また、この例1に係るブレーキ手段36は、先端に摩擦面56を備えている。この摩擦面56は、ワイヤリール13の周縁部に臨むように配置されており、ブレーキ手段36がワイヤリール13の方向へ揺動することでワイヤリール13の周縁部に摩擦面56が押しつけられるようになっている。この例1に係るブレーキ手段36は、先端に爪部36aを備えていない。
なお、特に図示しないが、互いに係合するワイヤリール13の周縁部とブレーキ手段36の摩擦面56とには、摩擦力を増大させるための部材を取り付けたり、摩擦力を増大させるための加工を施したりしてもよい。この点は摩擦ブレーキを使用した他の実施形態においても同様である。
このような構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、ブレーキ手段36が摩擦面56を押しつけてワイヤリール13の回転を停止させる摩擦ブレーキであるので、ワイヤリール13とブレーキ手段36とが凹凸で噛み合うような構造と比較してブレーキ手段36の作動ストロークを小さくすることができる。ブレーキ手段36の作動ストロークを小さくすることで、例えばてこによってブレーキ手段36の発生力を増大させることができるので、ゴミやさびなどの影響を受けにくくすることができる。
また、このような摩擦ブレーキを使用すれば、凹凸で噛み合う構造において噛み合いがうまくいかずにブレーキ手段36とワイヤリール13とがロックしてしまうといった問題も発生しない。たとえば凹凸で噛み合うような構造においては、ブレーキ手段36の爪部36aがワイヤリール13の係合部13bにうまく入り込めず、爪部36aがワイヤリール13の突出部13cに押し付けられてブレーキ手段36やワイヤリール13に無理な負荷がかかり、動作不良となる可能性がある。しかしながら、摩擦ブレーキであればどのタイミングでブレーキ手段36とワイヤリール13とが係合してもが無理な負荷が発生しない。
(摩擦ブレーキの例1の変形例)
上記した摩擦ブレーキの例1においては、進退固定部31と直動部材32と揺動部材34とで、進退筒部24とブレーキ手段36とを連結しているが、これに限らない。例えば、図38に示すようなリンク機構を含んだ連結部材としてもよい。
この図38に示す例では、摩擦ブレーキの例1の直動部材32の代わりに第1リンク部材40及び第2リンク部材41を設けるようにしている。
第1リンク部材40は、回動支点40bを中心に回動可能に取り付けられた部材である。この第1リンク部材40は、進退固定部31の係合部31aに回動可能に接続された受部40aと、第2リンク部材41に回動可能に接続されたジョイント部40cと、を備えている。
第1リンク部材40は、進退固定部31が移動したときに係合部31aが受部40aに作用することで揺動するようになっている。詳しくは、この第1リンク部材40は、捩り用モータ21が正転して進退筒部24と進退固定部31とが前方へと送られたときには受部40aが前方へと揺動し、捩り用モータ21が逆転して進退筒部24と進退固定部31とが後方へと送られたときには受部40aが後方へと揺動するようになっている。このように、第1リンク部材40は、進退筒部24の進退動作に連動して前方または後方へと揺動するようになっている。
第2リンク部材41は、ジョイント部40cにおいて第1リンク部材40と回動可能に接続された部材であり、第1リンク部材40の回動動作に連動して前後に揺動するように構成されている。この第2リンク部材41は、ジョイント部40cの反対側の端部が接続ピン41aによって揺動部材34と接続されており、第2リンク部材41が前方に揺動すると、これに連動して揺動部材34も前方に揺動し、また、第2リンク部材41が後方に揺動すると、これに連動して揺動部材34も後方に揺動するようになっている。
このように、直動部材32の代わりに第1リンク部材40及び第2リンク部材41でリンク機構を構成した場合でも、摩擦ブレーキの例1と同様の効果を得ることができる。
(摩擦ブレーキの例2)
摩擦ブレーキの例2について説明する。この例2の特徴点は、上記した構造とは異なる摩擦ブレーキを備えた点にある。
この例2に係るブレーキ機構30は、図39に示すように、進退固定部31と、ブレーキ手段57と、を備えている。なお、この例2においては、進退固定部31が、進退筒部24とブレーキ手段57とを連結している。
進退固定部31は、動力源としての捩り用モータ21の動力をブレーキ手段57に伝達するための伝達部材である。この進退固定部31は、捩り機構20の進退筒部24に固定されており、進退筒部24の進退動作に連動して前進または後退するものである。言い換えると、この進退固定部31は、捩り用モータ21が正転したときには進退筒部24と一体的に前方へと移動し、捩り用モータ21が逆転したときには進退筒部24と一体的に後方へと移動するようになっている。この進退固定部31には、後述するブレーキ手段57に係合させるためのピン形状の係合部31aが突出形成されている。
この例2に係るブレーキ手段57は、図39に示すように、ワイヤリール13の側面(ワイヤリール13の回転軸に対して垂直な面)に臨むように配設されている。このブレーキ手段57は、結束機本体11に対して揺動可能に固定されており、揺動軸57bを挟んだ一方の側には長孔57aが設けられ、他方の側には摩擦面57cが設けられている。
長孔57aは、進退固定部31に係合させるためのものである。具体的には、この長孔57aは、進退固定部31に設けられたピン形状の係合部31aに係合している。この長孔57aは、ブレーキ手段57の長手方向に対してやや斜めに形成されている。このため、係合部31aが長孔57aに係合する位置によってブレーキ手段57の傾きが変化するようになっている。このように長孔57aを斜めに設けることで、進退固定部31が前進または後退すると、係合部31aが長孔57aに沿って移動し、ブレーキ手段57が揺動するように形成されている。
摩擦面57cは、ワイヤリール13の側面に臨むように配置されており、ブレーキ手段57がワイヤリール13の方向へ揺動することでワイヤリール13の側面に摩擦面57cが押しつけられるようになっている。
このブレーキ手段57は、進退固定部31が前進または後退する動作に連動して揺動するように構成されている。
具体的には、進退固定部31が前進すると、係合部31aが長孔57aに沿って摺動する。これにより、ブレーキ手段57の傾きが変化し、ブレーキ手段57は揺動軸57bを中心に揺動する。このようにブレーキ手段57が揺動すると、先端の摩擦面57cがワイヤリール13の側面に押し付けられてブレーキがかかるようになっている。
また、進退固定部31が後退すると、係合部31aが長孔57aに沿って逆方向に摺動する。これにより、ブレーキ手段57の傾きが変化し、ブレーキ手段57は揺動軸57bを中心に逆方向に揺動する。このようにブレーキ手段57が逆方向に揺動すると、先端の摩擦面57cがワイヤリール13の側面から離れるので、ブレーキが解除されるようになっている。
このような構成によっても、摩擦ブレーキの例1と同様の効果を得ることができる。
(摩擦ブレーキの例3)
摩擦ブレーキの例3について説明する。この例3の特徴点は、上記した構造とは異なる摩擦ブレーキを備えた点にある。
この例3に係るブレーキ機構30は、図40に示すように、進退固定部31と、ブレーキ手段58と、を備えている。なお、この例3においては、進退固定部31が、進退筒部24とブレーキ手段58とを連結している。
進退固定部31は、動力源としての捩り用モータ21の動力をブレーキ手段58に伝達するための伝達部材である。この進退固定部31は、捩り機構20の進退筒部24に固定されており、進退筒部24の進退動作に連動して前進または後退するものである。言い換えると、この進退固定部31は、捩り用モータ21が正転したときには進退筒部24と一体的に前方へと移動し、捩り用モータ21が逆転したときには進退筒部24と一体的に後方へと移動するようになっている。この進退固定部31には、後述するブレーキ手段58に係合させるためのピン形状の係合部31aが突出形成されている。
この例3に係るブレーキ手段58は、図40に示すように、ワイヤリール13のフランジ13aを挟み込むように配設されている。このブレーキ手段58は、一対のリンク部材58aと、一対の挟持部材58cと、を備えて構成されている。
一対のリンク部材58aは、一端部が進退固定部31に回動自在に固定され、他端部がそれぞれ対応する挟持部材58cの端部に固定されている。具体的には、リンク部材58aの一端部は、進退固定部31に設けられたピン形状の係合部31aに回動自在に固定されている。また、リンク部材58aの他端部は、連結軸58bによって挟持部材58cの端部に回動自在に固定されている。
一対の挟持部材58cは、固定軸58dを軸として結束機本体11に対して回動自在に固定されている。この挟持部材58cは、固定軸58dを挟んだ一方の端部は連結軸58bによってリンク部材58aと連結されており、他方の端部には摩擦面58eが設けられている。
この一対の挟持部材58cは、進退固定部31が前進または後退する動作に連動して回動するように構成されている。
具体的には、進退固定部31が前進すると、係合部31aに引っ張られて一対のリンク部材58aが閉じ方向に回動し、一対のリンク部材58aが閉じ方向に回動することで連結軸58bに引っ張られて一対の挟持部材58cも閉じ方向に回動する。このように一対の挟持部材58cが閉じ方向に回動すると、先端の摩擦面58eでワイヤリール13のフランジ13aを挟み込んでブレーキがかかるようになっている。
また、進退固定部31が後退すると、係合部31aに押し込まれて一対のリンク部材58aが開き方向に回動し、一対のリンク部材58aが開き方向に回動することで連結軸58bに押し込まれて一対の挟持部材58cも開き方向に回動する。このように一対の挟持部材58cが開き方向に回動すると、ワイヤリール13のフランジ13aの挟み込みが解除されるので、ブレーキが解除されるようになっている。
このような構成によっても、摩擦ブレーキの例1と同様の効果を得ることができる。
(摩擦ブレーキの例4)
摩擦ブレーキの例4について説明する。この例4の特徴点は、上記した構造とは異なる摩擦ブレーキを備えた点にある。
この例4に係るブレーキ機構30は、図41及び図42に示すように、進退固定部31と、可動プレート59と、回転プレート60と、ガイドピン62と、ブレーキ手段61と、摺動ガイド部材64と、を備えて構成されている。なお、この例4においては、進退固定部31と、可動プレート59と、回転プレート60とが、進退筒部24とブレーキ手段61とを連結している。
進退固定部31は、動力源としての捩り用モータ21の動力をブレーキ手段61に伝達するための伝達部材である。この進退固定部31は、捩り機構20の進退筒部24に固定されており、進退筒部24の進退動作に連動して前進または後退するものである。言い換えると、この進退固定部31は、捩り用モータ21が正転したときには進退筒部24と一体的に前方へと移動し、捩り用モータ21が逆転したときには進退筒部24と一体的に後方へと移動するようになっている。この進退固定部31には、後述する可動プレート59に係合させるためのピン形状の係合部31aが突出形成されている。
可動プレート59は、一端部が進退固定部31に回動自在に固定され、他端部が回転プレート60に固定されている。具体的には、可動プレート59の一端部は、進退固定部31に設けられたピン形状の係合部31aに回動自在に固定されている。また、可動プレート59の他端部は、連結ピン59aによって回転プレート60に回動自在に固定されている。
回転プレート60は、ワイヤリール13の回転軸と同軸上に回転自在に取り付けられたプレートであり、図43(a)に示すように、偏心位置に設けられたピン連結孔60aと、湾曲した長孔として形成された一対のガイド孔60bと、が設けられている。ピン連結孔60aは、連結ピン59aを貫通させて可動プレート59と連結するための孔である。ガイド孔60bは、後述するガイドピン62を貫通させてガイドピン62の移動をガイドするためのものである。このガイド孔60bは、所定の回転方向(図43(a)においては時計回り方向)に行くに従って中心から離れていくように形成されている。
ガイドピン62は、上記したガイド孔60bに対して摺動自在に係合するピンである。このガイドピン62は、一対のガイド孔60bのそれぞれに対応して2本設けられている。この2本のガイドピン62の先端には、それぞれブレーキ手段61が固定されている。
ブレーキ手段61は、ワイヤリール13の内側に配置されて外側に移動することでワイヤリール13にブレーキをかけるものである。このブレーキ手段61は、図43(b)に示すようなブロック状の部材である。このブレーキ手段61は、図41(c)に示すように、ワイヤリール13の回転軸付近に設けられた係合孔13dの内周面に臨むように配設される。ワイヤリール13の係合孔13dの内周面に臨む面は、摩擦面58eを形成しており、ワイヤリール13と係合してブレーキをかけることができるようになっている。
摺動ガイド部材64は、ブレーキ手段61の摺動をガイドする部材である。この摺動ガイド部材64が設けられることで、ブレーキ手段61は半径方向にのみ移動できるように規制されている。この摺動ガイド部材64は、結束機本体11のボデーハウジング63に固定されている。
上記したブレーキ手段61は、進退固定部31が前進または後退する動作に連動して外周方向または内周方向に移動する。
具体的には、進退固定部31が前進すると、図43(b)に示すように、係合部31aに引っ張られて可動プレート59も前進方向に移動する。可動プレート59が前進方向に移動すると、図43(c)に示すように、回転プレート60が回転する。回転プレート60が回転すると、ガイドピン62がガイド孔60bに沿って移動する。このとき、ガイド孔60bが回転方向に行くに従って中心から離れていくように形成されているため、ガイドピン62は外周方向に移動することになる。ガイドピン62が外周方向に移動すると、ブレーキ手段61も一体的に外周方向に移動するので、図42(b)に示すように、ブレーキ手段61の摩擦面61aがワイヤリール13の係合孔13dの内周面に押し付けられ、ブレーキがかかるようになっている。
また、進退固定部31が後退すると、回転プレート60が先ほどと逆方向に回転し、ガイドピン62が内周方向に移動する。ガイドピン62が内周方向に移動すると、ブレーキ手段61も一体的に内周方向に移動するので、図41(c)に示すように、ブレーキ手段61の摩擦面61aがワイヤリール13の係合孔13dの内周面から離れ、ブレーキが解除されるようになっている。
このような構成によっても、摩擦ブレーキの例1と同様の効果を得ることができる。