JP6398224B2 - α−フルオロアクリル酸エステル類の製造方法 - Google Patents

α−フルオロアクリル酸エステル類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、α−フルオロアクリル酸エステル類の製造方法に関する。
α−フルオロアクリル酸エステルは、医薬(例えば、抗生物質)の合成中間体、光学繊維のさや材料用の合成中間体、塗料用材料の合成中間体、半導体レジスト材料の合成中間体、及び機能性高分子の単量体等として有用である。
従来、α−フルオロアクリル酸エステルの、収率が良好である製法としては、例えば、α−フルオロホスホノアセテートとパラフォルムアルデヒドとの縮合によってα−フルオロアクリル酸エステルが得られる方法であって、当該縮合が弱無機塩基の存在下で水性媒質中で実施されることを特徴とする方法(特許文献1)が提案されている。
特開平5−201921号公報
しかし、特許文献1では、α−フルオロアクリル酸エステルの収率は最高で82%であり、更に高い収率を達成できる方法が望まれている。
また、特に、医薬製造用の合成中間体等の場合、医薬の安全性の観点から、副生成物の含量が極めて低いことが望ましい。このため、α−フルオロアクリル酸エステルの選択率が非常に高いことが求められる。しかし、一般に、2−フルオロアクリル酸類の製造方法では、誘導体等の発生により、反応が複雑になり、2−フルオロアクリル酸類の収率は低く、その分離も困難である。このため、副生成物を除去して2−フルオロアクリル酸類の純度を高くするためには、大量の廃液や廃棄物が発生し、工業化生産には不利である。
本発明者らは、高い原料転化率、高い選択率、及び高い収率を有する、α−フルオロアクリル酸エステル類の製造方法として、
式(1’):
[式中、
Rは1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基を表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2’):
[式中、
Xは臭素原子又は塩素原子を表す。]
で表される化合物を、
遷移金属触媒、及び塩基の存在下で、
式(3’):
R−OH (3')
(式中の記号は前記と同意義を表す。)
で表されるアルコール及び一酸化炭素
と反応させて前記式(1)で表される化合物を得る工程Aを含む
製造方法を開発し、これを出願した(PCT/JP2013/073446、未公開)。
しかし、本発明者らは、更に、少ない触媒使用量で、高い原料転化率、及び高い収率を有する、α−フルオロアクリル酸エステル類の製造方法を提供することを目指した。
本発明者らは、
α−フルオロアクリル酸エステル類である式(1):
[式中、
、及びRは、同一又は異なって、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し;及び
はアルキル基、フルオロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基を表す。]
で表される化合物が、
式(2):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物を、
アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される1個以上の置換基を各リン原子上に有する二座ホスフィン配位子を含有する遷移金属錯体触媒、及び塩基の存在下で、
式(3):
−OH (3)
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるアルコール及び一酸化炭素
と反応させることによって、高い原料転化率、及び高い収率で得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、後記の態様を含む。
項1.
式(1):
[式中、
、及びRは、同一又は異なって、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し;及び
はアルキル基、フルオロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基を表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物を、
アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される1個以上の置換基を各リン原子上に有する二座ホスフィン配位子を含有する遷移金属錯体触媒、及び塩基の存在下で、
式(3):
−OH (3)
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるアルコール及び一酸化炭素
と反応させて前記式(1)で表される化合物を得る工程Aを含む
製造方法。
項2.
前記遷移金属がパラジウムである項1に記載の製造方法。
項3.
前記塩基がアミンである項1又は2に記載の製造方法。
項4.
工程Aが、60〜120℃の範囲内の温度で実施される項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、α−フルオロアクリル酸エステル類を高い原料転化率、及び高い収率で得ることができる。
本明細書中、「アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等のC1−6アルキル基等が挙げられる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。「フルオロアルキル基」は、パーフルオロアルキル基を包含する。「パーフルオロアルキル基」は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。
本明細書中、「アルコキシ基」は、アルキル−O−基である。
本明細書中、「アシル基」としては、例えば、アルカノイル基(すなわち、アルキル−CO−基)等が挙げられる。
本明細書中、「エステル基」としては、例えば、アルキルカルボニルオキシ基(すなわち、アルキル−CO−O−基)、及びアルコキシカルボニル基(すなわち、アルキル−O−CO−基)等が挙げられる。
本明細書中、「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル等のC3−8シクロアルキル基等が挙げられる。
本発明の、式(1):
[式中、
、及びRは、同一又は異なって、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し;及び
はアルキル基、フルオロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基を表す。]
で表される化合物の製造方法は、
式(2):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物を、
アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される1個以上の置換基を各リン原子上に有する二座ホスフィン配位子を含有する遷移金属錯体触媒、及び塩基の存在下で、
式(3):
−OH (3)
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるアルコール及び一酸化炭素
と反応させて前記式(1)で表される化合物を得る工程Aを含む。
で表される「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」における置換基の好ましい例としては、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、エステル基、シアノ基、ニトロ基、及びフルオロアルキル基が挙げられ、より好ましい例としては、フッ素原子が挙げられる。
は、好ましくは、水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、特に好ましくは、水素原子である。
で表される「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」における置換基の好ましい例としては、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、エステル基、シアノ基、ニトロ基、及びフルオロアルキル基が挙げられ、より好ましい例としては、フッ素原子が挙げられる。
は、好ましくは、水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、特に好ましくは、水素原子である。
は、好ましくは、メチル基、又はエチル基、又はフルオロアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
前記式(1)で表される化合物は、好ましくは、2−フルオロアクリル酸メチルエステル、又は2−フルオロアクリル酸エチルエステルであり、特に好ましくは2−フルオロアクリル酸メチルエステルである。
前記式(2)で表される化合物は、公知の化合物であり、公知の方法によって製造することができ、または商業的に入手可能である。
前記式(3)で表されるアルコールは、好ましくは、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、又はヘキサフルオロイソプロパノールであり、特に好ましくは、メタノールである。
前記式(3)で表されるアルコールは、工程Aの反応の溶媒としても機能し得る。
工程Aの反応原料としての前記式(3)で表されるアルコールの量は、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、通常1〜500モル、好ましくは約1.1〜50モルである。
前記式(3)で表されるアルコールを工程Aの反応の溶媒としても用いる場合、当該アルコールは、通常、前記式(2)で表される化合物に対して大過剰に用いられる。具体的には、当該アルコール以外の溶媒を用いない場合、前記式(2)で表される化合物1モル当たり、当該アルコールの量は、通常0.1〜20L、好ましくは約0.2〜5Lであり、又は0.5〜10L、若しくは約1〜5Lであることもできる。
工程Aの反応圧力は、特に限定されず、例えば、大気圧であってもよく、大気圧よりも高い圧力であってもよい。工程Aは、好ましくは、オートクレーブ等の容器中で行われ、工程Aの反応原料としての一酸化炭素は、精製一酸化炭素ガス等の一酸化炭素を含有する気体によって当該容器中に導入できる。一酸化炭素圧は、通常0〜10MPaG、好ましくは0.5〜5MPaGである。
工程Aで用いられる「アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される1個以上の置換基を各リン原子上に有する二座ホスフィン配位子を含有する遷移金属錯体触媒」(本明細書中、単に、「工程Aで用いられる遷移金属錯体触媒」と称する場合がある。)は、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム及びコバルトからなる群より選択される1種以上の遷移金属を含有する遷移金属触媒である。
すなわち、工程Aで用いられる遷移金属錯体触媒としては、例えば、ニッケル錯体触媒、パラジウム錯体触媒、白金錯体触媒、ロジウム錯体触媒、ルテニウム錯体触媒、イリジウム錯体触媒、及びコバルト錯体触媒が挙げられる。当該パラジウム錯体触媒は、好ましくは0価又はII価パラジウム錯体触媒である。
当該遷移金属は、好ましくは、ニッケル、コバルト及びパラジウムからなる群より選択され、特に好ましくは、パラジウムである。
工程Aで用いられる遷移金属錯体触媒における「アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される1個以上の置換基を各リン原子上に有する二座ホスフィン配位子」は、好ましくは、例えば、イソプロピル基及びシクロヘキシル基からなる群より選択される1個以上の置換基を各リン原子上に有する二座ホスフィン配位子である。
工程Aで用いられる遷移金属錯体触媒における「アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される1個以上の置換基を各リン原子上に有する二座ホスフィン配位子」としては、具体的には、例えば
ス(ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)エーテル、
1,1’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、
1,1−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン、
1,1’−ビス(ジ tert−ブチルホスフィノ)フェロセン、
1,3−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)プロパン、
1,4−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)ブタン、
1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、
1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン、
(1S,1S’,2R,2R’)−1,1’−ジ−tert−ブチル−(2,2’)−ジホスホラン、
(3S,3’S,4S,4’S,11bS,11’bS)−(+)−4,4’−ジ tert−ブチル−4,4’,5,5’−テトラヒドロ−3,3’−ビ−3H−ジナフト[2,1−c:1’,2’−e]ホスフィン、
(1R,1R’,2S,2S’)−(+)−2,2’−ジ−tert−ブチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−1,1’−ビ−1H−イソホスフェニルインドール、
1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼン
−)−1,2−ビス−[(2R,5R)−2,5,−ジメチルホスホラノ]ベンゼン、
(R)−1−[(Sp)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン
Rp)−1−ジシクロヘキシルホスフィノ−2−[(R)−α−(ジメチルアミノ)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノベンジル)]フェロセン、
(R,R)−(−)−2,3−ビス(tert−ブチルメチルホスフィノ)キノキサリン、及び
(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン
等が挙げられる。
工程Aで用いられる遷移金属錯体触媒としては、具体的には、例えば、
ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)、
ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)、
ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム(II)、
ジクロロ[1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン]パラジウム(II)、
ジクロロ[1,1’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、
ジクロロ[1,1−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、
ジクロロ[1,1’−ビス(ジ tert−ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、
ジクロロ[1,3−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)、
ジクロロ[1,4−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)ブタン]パラジウム(II)、
ジクロロ[1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)、
ジクロロ[ビス(ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)エーテル]パラジウム(II)、
ジクロロ[1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン]パラジウム(II)、
ジクロロ[(1S,1S’,2R,2R’)−1,1’−ジ−tert−ブチル−(2,2’)−ジホスホラン]パラジウム(II)、
ジクロロ[(3S,3’S,4S,4’S,11bS,11’bS)−(+)−4,4’−ジ tert−ブチル−4,4’,5,5’−テトラヒドロ−3,3’−ビ−3H−ジナフト[2,1−c:1’,2’−e]ホスフィン]パラジウム(II)、
ジクロロ[(1R,1R’,2S,2S’)−(+)−2,2’−ジ−tert−ブチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−1,1’−ビ−1H−イソホスフェニルインドール]パラジウム(II)、
ジクロロ[1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼン]パラジウム(II)、
ジクロロ[4,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン]パラジウム(II)、
ジクロロ[(−)−1,2−ビス−[(2R,5R)−2,5,−ジメチルホスホラノ]ベンゼン]パラジウム(II)、
ジクロロ[(R)−1−[(Sp)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン]パラジウム(II)、
ジクロロ[(S)−1−[(Rp)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン]パラジウム(II)、
ジクロロ[(Rp)−1−ジシクロヘキシルホスフィノ−2−[(R)−α−(ジメチルアミノ)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノベンジル)]フェロセン]パラジウム(II)、
ジクロロ[(R,R)−(−)−2,3−ビス(tert−ブチルメチルホスフィノ)キノキサリン]パラジウム(II)、及び
ジクロロ[(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン]パラジウム(II)
が挙げられる。
前記遷移金属に配位する二座ホスフィン配位子の配位数は、当該遷移金属の酸化数等によって異なるが、好ましくは、例えば、1個又は2個である。
反応系中で生成する遷移金属錯体触媒の前駆体として、好ましくは、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)、Pd(dba)(dbaはジベンジリデンアセトンである)、Pd(COD)(CODはシクロオクタ−1,5−ジエンである)、及びPd(PPh(Phはフェニル基である。)が挙げられる。
前記遷移金属錯体触媒は、試薬として反応系に投入されるものであってもよく、又は反応系中で生成するものであってもよい。
また、工程Aで用いられる遷移金属錯体触媒は、ポリスチレン、ポリエチレン等のポリマー中に分散又は担持させた不均一系触媒であってもよい。
このような不均一系触媒は、触媒の回収等のプロセス上の利点を有する。具体的な触媒構造としては、例えば、次の化学式:
(式中、PSはポリスチレンを、Phはフェニル基を示す。)
に示すような、架橋したポリスチレン(PS)鎖にホスフィンを導入したポリマーホスフィンなどで前記遷移金属原子を固定したもの等が挙げられる。
この例における、「アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される1個以上の置換基を各リン原子上に有する二座ホスフィン配位子」は、以下の化学式に示す、トリフェニルホスフィンの1つのフェニル基をポリマー鎖に結合させたトリアリールホスフィンである。
(式中、PSはポリスチレンを、Phはフェニル基を示す。)
である。
また、工程Aで用いられる遷移金属錯体触媒は、前記遷移金属が担体に担持されている担持触媒であることができる。このような担持触媒は、触媒を再利用できるので、コストの点で有利である。
当該担体の例としては、例えば、炭素、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及びゼオライト等が挙げられる。
工程Aで用いられる遷移金属錯体触媒は、「アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される1個以上の置換基を各リン原子上に有する二座ホスフィン配位子」以外の1個以上の配位子を含有してもよく、このような配位子の例としては、塩素配位子が挙げられる。
遷移金属触媒の量の上限は、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば、0.05モル、0.01モル、0.005モル、0.002モル、0.001モル、0.0005モル、0.0001モル、又は0.00006モルである。
遷移金属触媒の量の下限は、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、通常0.000001モル、0.00001モル、より好ましくは0.00002モル、又は0.00004モルである。
工程Aは、塩基の存在下で実施される。
工程Aで用いられる塩基としては、例えば、アミン、無機塩基、及び有機金属塩基が挙げられる。
アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等が挙げられる。
無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウム等が挙げられる。
有機金属塩基としては、例えば、
ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、トリフェニルメチルナトリウム、エチルナトリウム等の有機アルカリ金属化合物;
メチルマグネシウムブロミド、ジメチルマグネシウム、フェニルマグネシウムクロリド、フェニルカルシウムブロミド、ビス(ジシクロペンタジエン)カルシウム等の有機アルカリ土類金属化合物;及び
ナトリウムメトキシド、t−ブチルメトキシド等のアルコキサイド
等が挙げられる。
塩基の好ましい例としては、水酸化リチウム、トリエチルアミン、炭酸カリウム、及び炭酸リチウムが挙げられる。塩基のより好ましい例としては、トリエチルアミン、炭酸カリウム、及び炭酸リチウムが挙げられる。塩基の特に好ましい例としては、トリエチルアミンが挙げられる。
塩基は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基の量は、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、通常0.2〜5モル、好ましくは約0.5〜3モルである。
工程Aは、通常10〜150℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜110℃の範囲内の温度で実施される。
当該温度が低すぎる場合、原料転化率、及び収率が低くなる傾向がある。
一方、当該温度が高すぎる場合、後記の分析方法による分析において、工程Aの反応後の混合物中に、原料である前記式(1)で表される化合物、及び副生成物又は分解物が観測される場合がある。
[分析方法]
反応終了後、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼンを加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させる。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施する。
工程Aには、溶媒としても機能し得る前記式(3)で表されるアルコールに加えて、これ以外の溶媒を用いてもよい。この場合、前記式(3)で表されるアルコールの使用量を減らすことができる。
当該溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、n−デカン、イソドデカン、トリデカン等の非芳香族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、ベラトロール、ジエチルベンゼン、メチルナフタレン、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン、メシチレン、インデン、ジフェニルスルフィド等の芳香族炭化水素溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジイソブチルケトン、イソホロン等のケトン;ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム、フェネトール、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、ジイソアミルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、マロン酸ジエチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジメチル、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のエステル溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド系溶媒;及びN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド溶媒等が挙げられる。
当該溶媒は、好ましくは、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム、フェネトール、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、ジイソアミルエーテル等のエーテル溶媒;又はN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド溶媒である。
当該溶媒は、工程Aにおいて、原料化合物、触媒、及び生成物に対して不活性であることが好ましい。
当該溶媒としては、前記式(1)で表される化合物の沸点が低い場合、当該化合物の精製の容易さの観点からは、高沸点(例、100℃以上、より好ましくは120℃以上)の有機溶媒を用いることが好ましい。これにより、単なる蒸留によって前記式(1)で表される化合物を精製することが可能になる。
一方、前記式(1)で表される化合物の沸点が高い場合、低沸点の溶媒を用いて、好適に、前記式(1)で表される化合物を精製することができる。
当該溶媒の使用量は、反応温度において原料の一部あるいは全部が溶解する程度であればよく、特に限定されない。例えば、前記式(2)で表される化合物1重量部に対し0.2〜50重量部、又は0.5〜30重量部の溶媒を用いることができる。
工程Aは水の不存在下で実施されることが望ましく、工程Aで用いられる、水を含有し得る、化合物若しくは試薬(例、アミン等の塩基)、及び溶媒(当該溶媒は、溶媒としても機能し得る前記式(3)で表されるアルコールを包含する。)は、脱水処理を行った後に用いることが望ましい。当該脱水処理は、例えば、蒸留操作、モレキュラーシーブ等の脱水剤の使用、若しくは市販の脱水溶媒の使用、又はこれらの組み合わせによって実施すればよい。
脱水処理を行わない化合物若しくは試薬、及び/又は溶媒を用いた場合、α−フルオロアクリル酸類が副生することにより、目的物であるα−フルオロアクリル酸エステル類の収率及び選択率が低下する虞がある。
当該反応の反応時間は、例えば、所望する原料転化率、及び収率を基づいて設定すればよく、具体的には通常1〜48時間であり、好ましくは5〜30時間である。
当該反応時間は、より高い反応温度を採用することにより、より短くすることができる。
本発明の製造方法によれば、原料の転化率は好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上であることができる。
本発明の製造方法によれば、式(1)で表される化合物の選択率は好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であることができる。
本発明の製造方法によれば、式(1)で表される化合物の収率は好ましくは55%以上であり、より好ましくは65%以上、更に好ましくは80%以上であることができる。
本発明の製造方法で得られた式(1)で表される化合物は、所望により、溶媒抽出、乾燥、濾過、蒸留、濃縮、及びこれらの組み合わせ等の公知の精製方法によって精製することができる。
特に、本発明の製造方法では、副生成物及び分解物が極めて微量であるので、蒸留等の簡便な方法により、極めて純度の高い式(1)で表される化合物を得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 2.09g(25.97mmol)、トリエチルアミン 2.76g(27.3mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II) 76.2mg(0.124mmol)、及び予め脱水処理を施したメタノール 12.5mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で18時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステルが22.4mmol(収率86.1%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが1.92mmol(回収率7.4%)であった。
転化率は88.1%、選択率は97.7%であった。
実施例2
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 1.92g(23.85mmol)、トリエチルアミン 2.76g(27.3mmol)、塩化パラジウム(II) 22mg(0.124mmol)、1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン 56.0mg(0.124mmol)、及び予め脱水処理を施したメタノール 12.5mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で14時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステルが19.2mmol(収率80.3%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが2.38mmol(回収率10.0%)であった。
転化率は81.8%、選択率は98.2%であった。
実施例3
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 2.10g(26.09mmol)、トリエチルアミン 2.76g(27.3mmol)、塩化パラジウム(II) 22mg(0.124mmol)、ビス(ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)エーテル 74.0mg(0.124mmol)、及び予め脱水処理を施したメタノール 12.5mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で13時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステルが17.7mmol(収率67.7%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが6.02mmol(回収率23.1%)であった。
転化率は68.9%、選択率は98.3%であった。
実施例4
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 2.02g(25.10mmol)、トリエチルアミン 2.76g(27.3mmol)、ジクロロ[1,1−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II) 74.0mg(0.124mmol)、及び予め脱水処理を施したメタノール 12.5mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で8時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステルが23.0mmol(収率91.8%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが1.33mmol(回収率5.3%)であった。
転化率は91.8%、選択率は100%であった。
実施例5
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 2.11g(26.21mmol)、トリエチルアミン 2.76g(27.3mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II) 7.6mg(0.0124mmol)、及び予め脱水処理を施したメタノール 12.5mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で24時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステルが15.5mmol(収率59.1%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが7.04mmol(回収率26.8%)であった。
転化率は62.3%、選択率は94.9%であった。
実施例6
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 1.99g(24.72mmol)、トリエチルアミン 2.76g(27.3mmol)、ジクロロ[1,1−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II) 7.4mg(0.0124mmol)、及び予め脱水処理を施したメタノール 12.5mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で14時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステルが16.6mmol(収率67.2%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが5.71mmol(回収率23.1%)であった。
転化率は69.0%、選択率は97.4%であった。
実施例7
100mLのステンレス製オートクレーブに2−クロロ−2−フルオロビニルベンゼン 6.20g(36.34mmol)、トリエチルアミン 3.91g(38.7mmol)、ジクロロ[1,1−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II) 0.108g(0.176mmol)、及び予め脱水処理を施したメタノール 17.6mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で9時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロ−3−フェニルアクリル酸メチルエステルが31.8mmol(収率87.5%)及び未反応の2−クロロ−2−フルオロビニルベンゼンが1.80mmol(回収率4.95%)であった。
転化率は93.1%、選択率は94.0%であった。
実施例8
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 2.09g(25.96mmol)、トリエチルアミン 2.76g(27.3mmol)、ジクロロ[1,1−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II) 74.0mg(0.124mmol)、及び予め脱水処理を施したエタノール 12.5mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で8時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸エチルエステルが22.4mmol(収率86.3%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが1.28mmol(回収率4.93%)であった。
転化率は88.2%、選択率は97.8%であった。
実施例9
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 1.95g(24.22mmol)、トリエチルアミン 2.76g(27.3mmol)、パラジウム担持シリカ(Pd 3%) 0.440g(Pd:0.124mmol)、1,1−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン 22.0mg(0.124mmol)、及び予め脱水処理を施したメタノール 12.5mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で8時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステルが21.8mmol(収率90.0%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが1.02mmol(回収率4.21%)であった。
転化率は94.3%、選択率は95.4%であった。
実施例10
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 2.03g(25.22mmol)、トリエチルアミン 2.76g(27.3mmol)、パラジウム担持シリカ(Pd 3%) 0.440g(Pd:0.124mmol)、1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン 56.0mg(0.124mmol)、及び予め脱水処理を施したメタノール 12.5mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で9時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステルが21.6mmol(収率85.6%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが1.71mmol(回収率6.78%)であった。
転化率は88.6%、選択率は96.6%であった。
実施例11
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 2.12g(26.34mmol)、トリエチルアミン 2.76g(27.3mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II) 76.2mg(0.124mmol)、及び脱水処理を施していないメタノール 12.5mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で18時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステルが19.2mmol(収率72.9%)、2−フルオロアクリル酸が3.9mmol(収率14.8%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが1.77mmol(回収率6.72%)であった。
転化率は89.1%、選択率は81.8%であった。
本発明によれば、合成中間体として有用なα−フルオロアクリル酸エステル類を高い原料転化率、及び高い収率で製造できる。

Claims (3)

  1. 式(1):
    [式中、
    、及びRは、同一又は異なって、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置
    換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し;及び
    はアルキル基、フルオロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基を表す。]
    で表される化合物の製造方法であって、
    式(2):
    [式中の記号は前記と同意義を表す。]
    で表される化合物を、
    アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される1個以上の置換基を各リン原子上に有する二座ホスフィン配位子を含有するパラジウム錯体触媒、及び塩基の存在下で、式(3):R−OH (3)
    [式中の記号は前記と同意義を表す。]
    で表されるアルコール及び一酸化炭素
    と反応させて前記式(1)で表される化合物を得る工程Aを含む
    製造方法。
  2. 前記塩基がアミンである請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程Aが、60〜120℃の範囲内の温度で実施される請求項1又は2に記載の製造方法。
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