JP6397520B2 - 不均一サンプリングを有するタンデム飛行時間型質量分析法 - Google Patents

不均一サンプリングを有するタンデム飛行時間型質量分析法 Download PDF

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Description

[0001](関連出願の相互参照)
本国際特許出願は、2012年6月18日出願の米国仮特許出願第61/661,268号に対する優先権を主張する。同先行出願の開示は、本出願の開示の一部と見なされ、これにより参考文献としてそっくりそのまま援用する。
[0002]本開示は、概括的には質量分光分析の分野に、より厳密にはタンデム飛行時間型質量分析計の感度、分解度、速さ、及び/又はダイナミックレンジを改善することに、関する。
[0003]タンデム質量分析法(MS−MS)は、第1の質量分析計(MS1)での親イオンの分離、分離された種の断片化、及び化合物同定及び構造研究に向けての第2の質量分析計(MS2)でのフラグメントイオンの質量分析、を採用している。生命科学におけるタンデム質量分析法の最近の応用は、究極的に9桁のダイナミックレンジが要件となる極めて複雑な混合物即ち何百万にも上る成分を有する混合物を分析するという課題をもたらした。その様な分析では、元の混合物を何百もの留分に分離するための先行のクロマトグラフィーが必要になることがある。それでもなお、混合物は極めて複雑なままであり、MS−MSの感度、ダイナミックレンジ、分解度、質量精度、速さ、及び/又はスループットの要件にストレスを掛ける。
[0004]飛行時間型質量分析計(TOF MS)は、分析化学では混合物の同定及び定量分析のために広く使用されている。TOF MSは、それが本質的に全質量の並列分析を提供でき、また最近では高い分解能を実現していることから、MS−MSでの使用にとって高い潜在力を有している。英国特許第2403063号及び国際特許WO第2005001878号は、イオンパケットの空間的閉じ込めのための周期レンズのセットを有する平面多重反射TOF(MR−TOF)を開示している。MR−TOFの商業的な実施形の一例であるLECO Corp.,社によるCitius HRT(商標)は、延長された折り返しイオン経路が分解度をR=100,000レベルへ改善することを実証している。MR−TOFの数々の改善が、米国特許第7326925号(湾曲等時性イオン注入)、米国特許第7772547号(二重直交注入)、国際特許WO第2010008386号(収差を抑えたドリフト集束のための準平板状ミラー)、国際特許WO第2011086430号(円筒状分析器)、及び国際特許WO第2013063587号(高次等時性イオンミラー)に提案されている。国際特許WO第211135477号は、直交加速器の頻回符号化パルシングを開示している。
[0005]TOF MSは、タンデム飛行時間型質量分析計(TOF−TOF)について、それがMALDIの様な本質的にパルス式のイオン源と共に使用されている場合に採用されてきた。米国特許第5202563号は、衝突イオン解離(CID)セルを介して連結されている2つの単反射TOF MSから成るタンデム飛行時間型質量分析計(TOF−TOF)を開示している。時限イオン選別器(TIS)は、毎TOF1ショット当たり1つの親イオン質量を通す。イオンは、CIDセルの手前で減速され、その後、フラグメントイオンがパルス方式又は連続方式で再加速される。米国特許第6770870号は、CIDセルを過ぎてのイオン選別のための遅延フラグメント抽出を開示している。英国特許第2390935号、米国特許第7385187号、及び米国特許第7196324B号は、全ての親イオンについてのフラグメントスペクトルの並列捕捉のための「全質量(all-mass)」TOF−TOF機器を開示している。しかしながら、TOF1段とTOF2段
の間の入れ子式時間スケールに基づく原理が、実際に、第2段の分解度を制限してしまう。米国特許第20070029473号及び米国特許第7385187号は、2つの多重反射TOF MSのタンデムであって、CIDセル又はSIDセルを介して連結されてはいるが、順次式に作動している、即ちショット当たりの親種選別がたった1つであるタンデムを開示している。国際特許WO第2010138781号は、単反射TOF分析器のタンデムを開示し、尚且つ1回のイオン源射出当たり複数親イオンの選別を請求しているが、多重化アルゴリズムを開示してはいない。
米国仮特許出願第61/661,268号 英国特許第2403063号 国際特許WO第2005001878号 米国特許第7326925号 米国特許第7772547号 国際特許WO第2010008386号 国際特許WO第2011086430号 国際特許WO第2013063587号 国際特許第WO第211135477号 米国特許第5202563号 米国特許第6770870号 英国特許第2390935号 米国特許第7385187号 米国特許第7196324B号 米国特許第20070029473号 国際特許WO第2010138781号 米国特許第7196324号
[0006]以上を要約すると、先行技術のTOF−TOFタンデム類は、高分解度多重反射TOF分析器を両段で採用してはいるものの、並列「全質量」分析には未だ至っていない。従って、TOF−TOFタンデムの分解度、感度、速さ、及びダイナミックレンジを改善する必要性が存在する。更に、公言されている全質量並列タンデム分析という目標を実用的な方法及び機器へ転換するための明確な符号化方法の必要性が存在する。
[0007]本開示の幾つかの実施形によれば、TOF−TOFは、(a)タンデムMS−MS分析の両段に多重反射TOF(MR−TOF)を採用し、それによって、親イオンとフラグメントイオンを匹敵する時間スケールで分離し、フラグメントスペクトル中に疎な信号を形成すること、(b)親イオンサンプリングを多重化すること、及び(c)親イオンサンプリングのためのゲート及び/又は断片化セルからのフラグメントイオン抽出の遅延のどちらかを非冗長行列によって符号化し、複数の源注入パルスから成るサイクルについて系統的な信号の重なり合いを排除すること、によって改善することができる。スペクトルの復号が、全ての親質量について、MR−TOFの高いデューティサイクル及び分解度と共に、また高速表面プロファイリング又は先行のクロマトグラフィー又は質量分析又はイオン移動度による分離の高速プロファイリングと共に、実現されている。
[0008]幾つかの実施形によれば、プロセスは、高分解度タンデム質量スペクトルの疎性を頼みとしている。典型的なフラグメントスペクトルは、約100のフラグメントピーク
を含んでいることが知られている。而して、単一のフラグメントスペクトルは、100,000の分解能では質量スケールの0.1%を占める。その様な信号疎性は、非冗長サンプリング(及び/又は遅延符号化)を可能にし、ひいては何百もの同時捕捉フラグメントスペクトル間の系統的な信号の重なり合いを回避させる。
[0009]プロセスは、更に、複数のスタート間での信号の非混合化を頼みとしている。信号波形は符号化サイクルに対応する長い期間で合算されてもよいが、代替的又は追加的には信号は所謂「データロギング」フォーマットで記録され、その場合、データはスタート間で合算されるのではなくむしろ生の非ゼロ信号が現在のスタートの数と併せてプロセッサへ渡される。これは、スペクトル疎性を温存し、スペクトル符号化の情報を温存し、先行のクロマトグラフィー又は質量又は移動度による分離の急速プロファイリングを可能にする。
[0010]幾つかの実施形では、プロセスは、親サンプリングゲートの単独符号化又はフラグメント抽出遅延の単独符号化を採用しているか、又は親サンプリングゲートのより高いデューティサイクルを使用しながらも限定された遅延範囲内に留まるために両者の組合せを採用している。どの場合も、信号は、何れかの特定の親ゲートについての何れかの特定のフラグメントピークの反復に基づき、信号遅延を勘案して、復号され、フラグメントスペクトルへと捕集される。
[0011]プロセスは、次に続く同定されたフラグメントピーク間の重なり合いの分析によって更に強化され、つまり反復的なフラグメント信号のグループ内での強度及び質量中心の分布の分析によって強化される。幾つかの実施形では、重なり合いは捨てられる。幾つかの実施形では、重なり合いは、グループ信号の残部とデコンボリューションされる。
[0012]タンデムMS−MS分析の両段に多重反射TOF(MR−TOF)分析器が採用されていて、更に、親イオンとフラグメントイオンに同じMR−TOFを異なった軌道に沿って通過させるか又は同じ軌道に沿ってはいるが但し逆の方向に通過させるようにしている。MR−TOF分析器は、平板状のMR−TOFであるか又はなおいっそうきつい軌道折り返しを提供するための円筒状のMR−TOFであってもよく、米国特許第7196324号及び国際特許WO第2011086430号の開示の通りに開示されている。両分析器は、ドリフト方向のイオン閉じ込め向上のために周期レンズ又はイオンミラー場の空間的周期変調を採用するものである。好適には、その様な分析器は、同時係属出願(国際特許WO第2013063587号)に記載の高次(4次又は5次)のエネルギー当たり時間集束(time-per-energy focusing)を有するイオンミラーを採用している。より高いエネルギー等時性は、特に、フラグメントイオンのより広大なエネルギーの広がりを取り扱う場合に有用である。
[0013]適するパルス式イオン源には、連続式のイオン源(ESI、APCI、APPI、及びガスMALDI)と連結するための半径方向イオン射出を有する軸方向RFトラップ又は半径方向無線周波数(RF)トラップ又はRFイオンガイド、又はイオン蓄積EI源、パルス式SIMS、及びDE MALDIイオン源、の様な本質的にパルス式の源、を含めることができる。
[0014]包括的高分解TOF−TOFによって採用される断片化セルには多数の型式があり、それらには、(a)親イオンの正規打ちつけとフラグメントイオンのパルス式遅延抽出を有する表面誘起解離(SID)、(b)パススルー高エネルギーCIDセル、及び(c)ベネシャンブラインド表面との滑空衝突及びそれに続くパルス式遅延抽出を有するSIDセル、が含まれる。幾つかの実施形によれば、TOF−TOFは、mTorrガス圧力範囲で作動していて無線周波数イオン閉じ込めによって支援されているパススルー低エ
ネルギーCIDセルを採用していてもよい。
[0015]本開示の幾つかの実施形は、全ての親イオンについての包括的即ち全質量タンデムMS−MS分析を、(a)時間ゲートによる親イオンサンプリングの3%乃至30%のデューティサイクル、(b)フラグメントイオン抽出における無損失、(c)タンデム分析の実質的に加速された(30−300ms)速さ、(d)高い時間的分解度(10−30ms)、及び(e)両質量分析段の高分解度、と共に提供する。
[0016]本開示の幾つかの実施形によれば、TOF−TOFは、MR−TOFでの1ms飛行時間を勘案して、30−300のスタートパルスを含むサイクル内に即ち30−300msで、代表的データセットを形成するものと期待することができる。MALDI源の場合、その様なレーザーショット数でも単一の試料スポットを疲弊させることはないはずである。プロセスは、従来のクロマトグラフィーLC、UPLS、及びGCに適するのみならず、GC×GC、LC×CE、及びイオン移動度分離の様な比較的高速の二重クロマトグラフィー分離にも実施可能である。プロセスは、中程度の速さの表面走査と組み合わせることができ、MS分析のための先行の質量分離器と又はIMSへ組み合わされるより高次のタンデムに都合がよい。
[0017]提案されている疎信号の非冗長多重化プロセスは、質量分析法での他のタンデム向けに採用されてもよいし、スペクトル情報か又は信号流束のどちらかが疎(例えば稀イオン)である限り、空間分解質量分析法での他のTOF−TOF向けに採用されてもよい。
[0018]本開示の幾つかの実施形によれば、タンデム飛行時間型質量分析法による分析の方法が開示されている。方法は、異なったm/z値の複数の親イオン種をイオン源又はパルス式変換器からパルス抽出する段階と、親イオン同士を等時的空間的集束を有する多重反射静電場内でm/z値別に時間分離する段階と、を含んでいる。方法は、更に、源パルスに対して遅延させた時間ゲートを有する電気的パルス場によって親イオン種を選別する段階と、入射親イオンをガスと表面の少なくとも一方との衝突で断片化する段階と、時間ゲートに対して遅れのあるパルス電場によってフラグメントイオンを抽出する段階と、を含んでいる。方法は、更に、フラグメントイオンを多重反射静電場内で時間分離する段階と、フラグメントイオンの信号波形を検出器によって記録する段階と、を含んでいる。親イオン種を選別する段階は、単一源パルス当たり複数回行われる。また、源パルスは、単一捕捉サイクル内で複数回繰り返される。追加的に、ゲート時間と抽出遅延の少なくとも一方が、複数の源パルスから成るサイクル内で変わる非冗長方式で符号化される。更に、複数の親イオン種についての別々のフラグメントスペクトルが、特定のゲート時間の反復発現との信号相関に基づき、起こった抽出遅延を勘案しながら、起こった信号の重なり合いの事後分析を用いて、復号される。
[0019]本開示の幾つかの態様によれば、親イオンの時間分離とフラグメントイオンの時間分離の両方が、同じ多重反射静電場内で、異なった平均軌道に沿ってか又は反対方向かのどちらかで起こっている。方法は、更に、同じ親イオンに対応するフラグメントイオンの強度分布から、クロマトグラフィー分離プロファイル、表面走査プロファイル、又はイオン移動度プロファイルを再構築する段階を含んでいてもよい。
[0020]幾つかの実施形によれば、ゲート時間及び/又は遅延時間は、相互直交行列ブロックのセットから構築されている非冗長行列によって符号化される。幾つかの実施形によれば、抽出遅延は、フラグメントスペクトル中の典型的なピーク幅を超える最小間隔を有する非線形漸進遅延のセットから選定される。1つの方法では、遅延セットは、nを整数指数としてn*(n+1)/2に比例する線形漸進間隔で形成されている。捕捉サイクル
当たり源パルス数は10から1000超までばらつき、単一源パルス当たり親選別ゲート数Wは10から1000超までばらつき、親選別パルス間平均間隔は10nsから10μs超までばらついている。
[0021]本開示の或る態様によれば、タンデム飛行時間型質量分析計が開示されている。質量分析計は、複数親種のイオンパケットを放射するパルス式イオン源又はパルス式変換器と、フラグメントイオンのパルス加速を有する断片化セルと、を含むものとすることができる。質量分析計は、更に、親イオンとフラグメントイオンに同じ多重反射飛行時間型質量(MR−TOF)分析器内を異なった軌道に沿ってか又は反対方向かのどちらかで通過させるように配設されているMR−TOF分析器を含むものとすることができる。質量分析計は、更に、親イオンの時限選別とフラグメントイオンの遅延パルス抽出の両方をトリガする少なくとも2つのパルスストリングを発射させるように構成されているパルス生成器と、フラグメントイオンの非混合信号を捕捉するように及び複数の源パルスから成るサイクル内でトリガパルスを非冗長符号化するように構成されているデータシステムと、を含んでいてもよい。非冗長符号化は、何れかの個々のゲート時間の多重反復での異なった親イオン由来の何れか2つのイオン信号の反復的重なり合いを回避する又は最小にするように配設されている。
[0022]幾つかの実施形によれば、データシステムは、1つの長い信号波形か又は別々の信号波形のセットのどちらかを、現在のスタート数に関する情報と併せて捕捉するように配設されている。幾つかの実施形では、装置は、全ての入射親イオンについての別々のフラグメントスペクトルを、フラグメント信号と何れかの特定のゲート時間の間の相関に基づいて、また起こった信号の重なり合いの随意再構築を用いて、復号するように構成されている並列プロセッサを含んでいてもよい。更に、パルス式源は、無線周波数イオン閉じ込め及びパルス式射出を有する軸方向又は半径方向トラップ、パルス式半径方向イオン射出を有するパススルー無線周波数イオンガイド、パルス式蓄積電子衝撃イオン源、遅延抽出を有するMALDIイオン源、のうちの1つであってもよい。
[0023]追加的又は代替的に、分析計は、更に、MR−TOF分析器を、パルス式イオン源、断片化セル、及びデータシステムの検出器、のうちの少なくとも1つへ連結する、配設されている偏向器又は湾曲セクターインターフェースを含んでいてもよい。幾つかの実施形によれば、MR−TOF分析器は、少なくとも3次のエネルギー当たり時間集束及び交差収差項を含む少なくとも2次の完全集束を有する平板状又は円筒状の分析器である。幾つかの実施形では、MR−TOF分析器は、無電場領域内の周期レンズのセットとイオンミラー場を空間変調してイオンをドリフト方向にジグザグ軌道に沿って閉じ込める少なくとも1つの空間変調電極のうちの少なくとも一方を含んでいる。幾つかの実施形によれば、断片化セルは、親イオンの正規打ちつけとフラグメントイオンのパルス式遅延抽出を有する表面誘起解離(SID)と、パススルー高エネルギー衝突誘起解離(CID)セルと、滑空衝突及びそれに続くパルス式遅延抽出を有するSIDセル、のうちの1つである。
[0024]本開示の別の態様によれば、多重化質量スペクトル分析を遂行するための方法についての動作のセットが開示されている。方法は、複数イオン源のサブセットをサンプリングする段階と、異なったイオン源からのサンプリングされたスペクトル間に限定的な信号の重なり合いを有する区別できる疎な反復スペクトル信号を形成する段階と、質量スペクトルを少なくとも1つの検出器を用いて記録する段階と、を含んでいる。サンプリングする段階と、形成する段階と、スペクトルを記録する段階は、源のサブセットを非冗長様式で変えながら繰り返されており、何れかの2つの同時にサンプリングされる源の組合せは固有であり、何れかの特定の源は複数回サンプリングされる。方法は、更に、全ての個々の源からの信号を、符号化された信号を源サンプリングと相関付けることによって復号
する段階を含んでいる。
[0025]本開示の幾つかの実施形によれば、符号化する段階は、捕捉されたスペクトルの疎性に基づいて自動的に調節される。更に、方法は、相互直交方格行列ブロックに基づく非冗長行列を構築する段階を含んでいてもよい。追加的又は代替的に、方法は、非冗長行列に基づいて符号化されている非線形漸進遅延を用いて前記イオン源を遅延させる段階を含んでいてもよい。更に、複数のイオン源は、単一のイオン源の下流で多重化された複数のイオン流れのサブセットと単一のイオン源又は複数のパルス式イオン源又はパルス式変換器で生成された複数のイオンパケットのサブセットのうちの一方とすることができる。親スペクトルの複雑性が低い場合、スペクトルが重なり合う確率は落ち、タンデム分析のデューティサイクルは、部分的な重なり合いを許容する、ひいては親選別のためのm/zウインドーを広くとれる、より短い非冗長的漸進によって改善できる。
[0026]本開示の1つ又はそれ以上の実施形の詳細事項が、添付図面に示され、以下の説明の中に述べられている。他の態様、特徴、及び利点は、説明及び図面から、また特許請求の範囲から、明らかとなろう。
[0041]様々な図面中の同様の符号は同様の要素を表す。
[0028]単一の平板状MR−TOF分析器を採用している一例としての多重化タンデム多重反射飛行時間型(MR−TOF)質量分析計と当該MR−TOF質量分析計の符号化データシステムを描いている概略図である。 [0029]タンデムMR−TOF分析器の円筒状幾何学形状を描いている概略図である。 [0030]多重化タンデムMR−TOF質量分析計の断片化セルの配設を描いている概略図である。 [0030]多重化タンデムMR−TOF質量分析計の断片化セルの異なった配設を描いている概略図である。 [0030]多重化タンデムMR−TOF質量分析計の断片化セルの異なった配設を描いている概略図である。 [0031]湾曲等時性入口を介してMR−TOF分析器へ連結されているSID断片化セルを有する多重化タンデムMR−TOFを描いている概略図である。 [0032]親イオン選別の様々な段及び親イオンに対して反対方向のフラグメントイオンの遅延抽出の様々な段でのSID断片化セルを描いている概略図である。 [0033]親イオン選別の様々な段及び親イオンに対して直角方向でのフラグメントイオンの遅延抽出の様々な段でのSID断片化セルを示している概略図である。 [0034]親イオン選別の様々な段及びフラグメントイオンの遅延抽出の様々な段でのパススルーCIDセルを示している概略図である。 [0035]イオン源と粗及び細時間選別ゲートと断片化セルの同期化のための一例としての時図表を示している概略図である。 [0036]非冗長多重化の原理並びに相関原理を使用するスペクトル復号の原理を説明するために、親イオン飛行時間に対する実験室時間の信号の関係を示している概略図である。 [0036]非冗長多重化の原理並びに相関原理を使用するスペクトル復号の原理を説明するために、親イオン及びフラグメントイオンの例としての信号を提示している概略図である。 [0037]直交行列の例を示している概略図である。 [0037]親サンプリングゲートの時間及び/又は抽出遅延を符号化するための非冗長行列の例を示している概略図である。 [0038]非冗長行列のパラメータの表、並びに全体としての親イオン数P=100及びP=1000での偽陰性同定及び疑陽性同定の確率についてのグラフ、を示している概略図である。 [0038]非冗長行列のパラメータの表、並びに全体としての親イオン数P=100及びP=1000での偽陰性同定及び疑陽性同定の確率についてのグラフ、を示している概略図である。 [0038]非冗長行列のパラメータの表、並びに全体としての親イオン数P=100及びP=1000での偽陰性同定及び疑陽性同定の確率についてのグラフ、を示している概略図である。 [0038]非冗長行列のパラメータの表、並びに全体としての親イオン数P=100及びP=1000での偽陰性同定及び疑陽性同定の確率についてのグラフ、を示している概略図である。 [0039]非冗長符号化パラメータへ連係されている推定タンデムMR−TOFパラメータの表を示している概略図である。 [0040]疎な反復信号又は連続信号の複数源の非冗長多重化の一般的な方法を示している概略図である。
[0027]本開示の1つ又はそれ以上の実施形の詳細事項は、添付図面に示され、以下の説明の中で述べられている。他の態様、特徴、及び利点は、説明及び図面から、また特許請求の範囲から明らかとなろう。
[0042]図1−Aは、一例としての多重化タンデム多重反射飛行時間型(MR−TOF)質量分析計11を示している。幾つかの実施形によれば、MR−TOF質量分析計11は、2つの並列に整列するイオンミラー12を有する多重反射飛行時間型(MR−TOF)分析器(ここでは説明上平板状であるが円筒状であってもよい)と、ドリフト空間と、ミラー12の間にある周期レンズ14と、を含んでいる。MR−TOF質量分析計11は、更に、パルス式イオン源15と、多重化時間選別器16と、断片化セル17と、検出器18と、非冗長多重化データシステム20と、を含んでいる。平均イオン軌道が、親イオンについては実線19Pとして、またフラグメントイオンについては破線19Fとして、示されている。
[0043]パルス式イオン源15は、例えば、(a)イオンをトラップするか又は低エネルギーの連続イオン流れを通すかのどちらかである半径方向又は軸方向のイオン射出を有する無線周波数(RF)イオントラップ、(b)電子衝撃(EI)源、又は(c)パルス式SIMS源、又は(d)遅延抽出を有するMALDI源、であってもよい。幾つかの実施形によれば、イオンパケットのエネルギーの広がりは、パルス式イオン源15中に低い抽出場を使用することによって及びイオン抽出の方向のイオンクラウド幅を最小化することによって10−20eV未満に実質的に最小化される。半径方向トラップの場合には、上記は、0.1−0.3mmイオンクラウド幅での大凡50−100V/mm抽出場に対応する。1kDaのイオンについて約10−20nsと推定される長くなった往復時間は、MR−TOF分析器でのイオン飛行経路を延長することによって補償することができる。1msの飛行時間では、親イオンはなお25−50,000分解度で分解されている。幾つかの実施形では、イオンミラー12は、格子無しであり、イオンパケットのエネルギー的、空間的、及び角度的な広がりに対しての高次即ち2次又はそれより大きい時間の空間的集束、及び空間イオン集束と同時の少なくとも3次のエネルギー当たり時間集束を提供する。最近の同時係属出願(国際特許WO第2013063587号)では、5次のエネルギー当たり時間集束を有するイオンミラーが開示されている。イオンミラー12は、図面に直交するY方向の空間的イオン集束を提供するための引き寄せ電位を有する電極13を含むものとすることができる。時間選別器16は、(a)ブラッドバリー−ニールセン
(Bradbury-Nielsen)双極ワイヤゲート、(b)偏向器、又は(c)小型並列偏向器のセット、を含んでいてもよい。断片化セル17には、(a)イオンを好適にはペルフルオロポリマーで被覆されている表面に衝突させる表面誘起解離(SID)セル、(b)差動ポンプ段によって囲まれていてもよいとされる高エネルギー衝突解離(CID)セル、又は(c)ベネシャンブラインドSIDセル、を含めることができる。上記の実施形態では、イオンは、セル17の手前でDC減速され、セルを過ぎてDC再加速されることになる。DC加速に加え、同期パルス式後加速が、フラグメントパケットの時間先鋭化即ち集群化のために及びそれらの平均エネルギーを調節するために採用されていてもよい。検出器18は、マイクロチャネルプレート(MCP)、二次電子増倍管(SEM)、又はシンチレータを介在させたハイブリッド、であってもよい。幾つかの実施形では、検出器18は、タンデム11の期待される5−20%の全体としてのデューティサイクルでイオン源からの10+10イオン/秒に上る流束に適合するために、少なくとも1E+8イオン/秒に上るイオン流束を取り扱えるように拡張された寿命とダイナミックレンジを有している。幾つかの実施形では、検出器18は、出力電流の100−300クーロンの寿命を有する光電子増倍管(PMT)を含んでいる。データシステム20は、イオン源15及び時間選別器16への時間符号化パルスストリングを、断片化セル17への(選別器16に対して)遅延させたパルスとして提供し、イオン信号を検出器18から捕集する。非冗長パルス符号化が以下に説明されている。データシステム20は、実験室タイムスタンプを伴ったイオン信号の非ゼロストリング、例えば現在の源パルスの数、を記録する。
[0044]作動時、スタートパルスから成るサイクルが、イオン質量(「質量」という用語は、質量対電荷比の略語として使用されることもある)の異なる多数の親イオン種のパルス射出をトリガする。スタートパルス間の間隔が実験セグメントを形成する。イオンは折り返し糸鋸状イオン経路19Pに沿って、イオンミラー12で垂直方向に集束され、周期レンズ14で水平方向に集束されながら、分析器10を通過してゆく。MR−TOF分析器10は、高次等時性及び空間的集束で以てイオンを運ぶように構成されている。異なった質量のイオンパケットは、経時的に、それらが時間ゲート16に近づくにつれ、分離されてゆく。1つのセグメント内では、時間ゲート16は、複数のゲート時間に複数の親質量をサンプリングする(運ぶ)。サンプリングされたイオンは、初期エネルギーの10%未満へ減速され、断片化セル17へ入射され、ガスとの衝突及び/又は表面との衝突のどちらかによってフラグメントイオンへ形成される。フラグメントイオンは、(ゲートに対して)遅延させたパルスによって加速され、次いでDC場によって加速される。パルス加速は、集群化及びエネルギー調節に役立つ。パルス加速場の強さは、エネルギーの広がりを10−15%以内に引き留めるように選定され、高次集束イオンミラーを有するMR−TOFの100,000の分解度を許容する。フラグメントイオンは、同じ分析器を、反対のドリフト方向に(具体的事例)、平均軌道19Fに沿って、偏向器18上へと通過してゆく。多数の親種をサンプリングすることは、フラグメントイオンの複数のタイムスパン間の重なり合いを引き起こしかねず、フラグメントピークの幾つかの重なり合いを引き起こす可能性がある。スペクトル混同は、非冗長スペクトル符号化を実施することによって回避又は最小化することができ、そうすると、複数の源パルスから成るサイクル内で、スペクトルの重なり合いは繰り返されない。非冗長スペクトル符号化を使用すると、複数のスタートから成るサイクルを経て、全ての親種は複数回入射され、繰り返される信号は取られ、一方、ランダムに一致する信号及び非繰り返し信号は捨てられる。而して、フラグメントスペクトルは、親種全てについて、順次式(スタート当たり1つの)親サンプリングに比べはるかに高い速さと感度で復元される。
[0045]データシステム20は、複数の時間ゲート及び/又は抽出遅延の非冗長符号化を提供しており、その結果、1つのスタートセグメント内の厳密なゲート時間の何れかの対(即ち親質量の何れかの対)及び/又は抽出遅延の何れかの対は複数のS個のセグメントから成るサイクル全体の持続時間に1回(又は非常に少ない回数)しか起こらないように
なっており、一方で何れかの個々のゲート時間及び/又は抽出遅延は複数回起こる。データシステム20は、サイクル全体の持続時間に亘っての混合又は合算無しに検出器18から検出器信号を捕捉するはずである。検出器信号は、並列マルチコアプロセッサへ渡されるようになっていてもよい。連続作動時、検出器信号は、複数のセグメント即ち複数のスタートに対応するスライド式時間フレーム内で分析される。何れかの特定の信号ピークと親質量の間の対応は、それらの間の相関に基づいて抽出することができ、即ち関連性のある真のピークは特定の親質量入射(ゲート時間)の度毎に現れるが、他の親質量(ゲート)からの何れかの特定の信号は1回又は非常に少ない回数しか起こらない。サイクル完了時に、全てのゲートについて事後分析が遂行され、それによって親質量全てについて飛行時間型フラグメントスペクトルが再構築される。随意的に、より高度でより精度の高いスペクトル復元のために、全てのフラグメントスペクトルの再構築後に予想される信号重なり合いが勘案されデコンボリューションされてもよい(データ分析プログラム内での実験再現)。
[0046]信号分析段で、データシステム20は、疎データのコア原理を採用する。高分解度分析器10は、何れかの所与の親質量について非常に疎なスペクトル(実際には期待される母集団は約0.1%である)を提供しており、入射した複数の親種間のフラグメント信号の誤った重なり合いは殆ど無いものと考えている。符号化及びデータ分析戦術は、分析の特定事項及び予想されるスペクトル重なり合いの程度を勘案するようになっていてもよい。より強い重なり合いについては、データシステム20は、ゲート選別パルスのより低いデューティサイクルか又はより長いデータ分析フレームのどちらかを実施するようになっていてもよい。
[0047]期待される効果
[0048]幾つかのシナリオでは、非冗長符号化は、親イオンについてフラグメントスペクトルを解く例えば解読するものと期待されている。試料枯渇の場合には、制限された分析時間を有する先行の表面走査及び/又は先行のクロマトグラフィー分離、多重化分析が、分析の感度及び速さを改善しよう。
[0049]1つの数値例として、10のウインドー当たり符号化ゲート位置G=10、10の符号化遅延D=10、100のスタート当たりウインドーW=100、及び100のスライド式分析フレーム当たり被分析スタートS=100を選択した。(現在のスタートからのゲート時間によって特徴付けられている)個々のゲートは、10回繰り返されることになるが、固有の信号の重なり合い内の何れかの特定のゲート対及び遅延対は1回しか起こらない。対照的に、順次走査(スタート当たり1ゲート及び1ウインドー)では、何れかの特定ゲートが1回選定されるに伴って1000のスタートが必要になるはずである。以下に説明されている設定では、提案されている方法は、100倍の信号利得、10倍速い捕捉サイクル、及び先行のクロマトグラフィー分離又は表面走査の100倍速いプロファイリング、を提供することができる。
[0050]図1−Bを参照して、MR−TOF分析器10の平板状幾何学形状の代わりにMR−TOF分析器の円筒状幾何学形状11Cが実施されていてもよい。これらの実施形では、円筒状幾何学形状11Cは、機器サイズ当たりのイオン軌道のより密な折り返しを提供する。飛行時間及び分解度の応分の増加を、感度を犠牲にすることなく実現させることができ、非冗長符号化によって感度の犠牲は最小限に抑えられる。国際特許WO第2011086430号及び同時係属出願(依頼人整理番号第223322−313911号)に記載されている様に、各円筒状ミラー12Cは、円筒状のギャップを間に形成する同軸リング電極のセット2つによって形成されている。周期レンズ14Cが環に巻かれており、中央イオン軌道19Cが円筒の表面上に整列している。一例として、長さ1mで直径30cmの分析器は、周期レンズ14Cのピッチ10mmで100mの飛行経路を提供する
。円筒状分析器11Cは、セラミックスペーサによって離隔させた金属リングを使用して構築されていて、精密な絶縁ロッドと整列しているか、又は金属整列ロッド技術固定具を使用して膠着/ロウ付けされていてもよい。追加的又は代替的に、金属電極はセラミック円筒状ホルダを基礎にして構築されていてもよい。追加的又は代替的に、半径方向溝がセラミック又は(セミトロンの様な)帯電防止プラスチックの円筒に作られていて、溝間のスペーシングは有効電極を形成するべく導電性材料で被覆されている。
[0051]MR−TOF内のイオン経路
[0052]幾つかの実施形では、同じ多重反射TOF(MR−TOF)分析器10がタンデムMS−MS分析の両段に採用されており、更に親イオン及びフラグメントイオンに同じMR−TOFを、異なった軌道に沿って、又は同じ軌道に沿って但し逆方向に、又は同じ軌道に沿って但し時間的に分離して、通過させている。
[0053]図2−Aから図2−Cは、幾つかの実施形による多重化タンデムMR−TOF11を示している。図2−Aでは、MR−TOF11は、MR−TOF分析器10の真中に置かれたパススルーCID断片化セル24(図6に詳述)を含むものとすることができる。図2−Bの実施形では、多重化タンデムMR−TOF11は、MR−TOF分析器10の真中に置かれたSID断片化セル26(図5に詳述)を含んでいる。図2−Cの実施形では、多重化タンデムMR−TOF11は、MR−TOF分析器10の向こう側に置かれたSID断片化セル28(図4に詳述)を備えている。図2に描かれているMR−TOF11は図1に描かれているMR−TOF11と同じ表記法を採用していることを指摘しておく。変型は、異なった飛行経路の配設でのセル要件に適合するように設計されている。
[0054]図3は、多重化タンデムMR−TOF11の一例を示している。幾つかの実施形では、多重化タンデムMR−TOF11は、静電セクターセグメントで作られている湾曲等時性入口32を介してMR−TOF分析器10へ連結されている外部SID断片化セル37を含んでいる。都合の良さ及び差動ポンピング強化のため、パルス式の源15は、対称湾曲等時性入口32を介してMR−TOF分析器10へ連結されていてもよい。イオンは、終端の偏向器34によって操舵される。結果として、Z軸に沿った両方のドリフト方向の多重反射経路に対応する長くなったイオン軌道35及び36が、親イオン及びフラグメントイオンについて実現される。偶数のレンズをレンズブロック14に採用することによって、イオン軌道全体が湾曲入口32及び33につながる。
[0055]作動時、源は、多数の検体種に対応する多数のm/z比(質量とも呼称される)を有するイオンを形成する。複数質量親イオンのイオンパケットが、パルス式源15からパルス射出され、湾曲入口32を通過し、軌道35に沿って進み(ドリフト方向Zに往復)、湾曲入口33を通過し、ゲート16への到着時までに質量分離される。親イオンの多数のパケットは、各源パルス中に複数回ゲート16を開くことによって選別される。入射イオンパケットは、数十電子ボルト(10−50eV)へ減速され、SIDセル表面に当たる。幾つかの実施形では、空間的に細かい偏向器か又は源を過ぎての「エレベータ」のどちらかが親イオン質量にほぼ比例する正規衝突エネルギーを調節する。幾つかの実施形では、親質量選別は、追加の「超高速」選別器38によって支援される。フラグメントイオンが、SIDセル(図4に詳述)で形成され、セル37内でパルス加速され、軌道36(35と同じ、但し逆方向)に沿って渡ってゆく。親イオンが既に湾曲入口32を通ってしまっているので、入口32の偏向場はオフに切り換えられ、イオンは入口32の開口を介して偏向器18上へ渡れるようになる。代替的には、環状偏向器が源の手前に設置されている。点検モード及び調整モードでは、入口32及び33は、更に、補助偏向器によって制御される迂回開口を有していてもよい。
[0056]断片化セル
[0057]図4を参照して、SID断片化セル41が、親イオン選別及びフラグメントイオンの遅延抽出の様々な段(A−C)で示されている。SIDセル41は、随意的な静的入射偏向器42と、二重パルス生成器49へ接続されている双極ワイヤイオンゲート43と、細ゲート43Fと、入射レンズ44と、ほぼ均一な場を有する静的減速/加速カラムと、メッシュ電極46と、電極を形成する再生可能表面インサート48を有する表面ホルダ47と、を含むものとすることができる。電極46及び47は二重パルス生成器50へ接続されていてもよい。
[0058]作動時、状態Aでは、双極ワイヤゲート43はオンに切り換えられており、即ち閉じている。親の緩やかな(1/5ラジアン)偏向が軸方向イオンエネルギーを削ぐ。その結果生じた減速は、電極47に沿ったイオン滑動を引き起こす。加速器45の開いている開口にフラグメントイオンは形成されない。状態Bでは、双極ゲート43は1−2μsの間隔に亘ってオフに切り換えられる。随意的には、非常に細かいゲート43Fを補助双極ワイヤゲート43によって形成させることができ、例えばワイヤをゲート43のワイヤに対し直交に向き付けて形成させてもよい。1kDaの親についての想定されている1ms飛行時間では、親イオン選別の分解度は、1−2μsゲートを使用した場合にはR1=250−500から、細かい10−20nsゲートを使用した場合には25,000−50,000から、と期待される。双極ゲートのサブミリメートル空間分解度は、20−40mm/μsの親イオン速度を勘案して、10−20nsまでの親サンプリングの分解度を提供する。超高速サンプリングを配設するためには、ゲートは、双極トランジスタのセット1つによって、一方の偏向状態から反対の偏向状態へ反転されてもよい。超高速サンプリングは、親スペクトル中に多数の同重体を有する超複雑混合物の場合に必要となることがある。解説上、親サンプリングの中程度の分解度(250−500)を用いた戦略が仮定されている。
[0059]入射イオンパケットは、レンズ44によって空間的に集束され、DC場によって減速され、10−50eVのイオンエネルギーでインサート48の表面に当たる。衝突エネルギーは、例えばイオン源を過ぎてのパルス式エレベータによって、親質量にほぼ比例に調節されてもよい。分析上意味のあるフラグメントスペクトルを得るという目的のために、親イオンの初期のエネルギー広がりは、図3のイオン源15に弱い抽出場を使用することによって前以て10−15eV未満に落とされていることに注目されたい。表面48との低エネルギー衝突に因ってフラグメントイオンが形成される。フラグメントイオン利得を(純金属表面の10%利得に対比して)30−40%へ高めるために、インサート48は、1.E−7mBarより下の蒸気圧力を有するペルフルオロ化液体ポリマーで被覆されていてもよい。幾つかの実施形では、電極46の電位は、二次イオン抽出を支援するように(電極48へ接続されている)電極47に比べて低い数ボルト例えば1−5Vに保たれている。二次イオンは、フラグメントイオン質量にも依るが、大凡3−10μsに亘って、電極46−電極47の5−7mmのギャップ内を進む。親イオンのメッシュ46の通過が幾つかの二次イオンを形成し、それらは分析器10の中へと再び加速されることを指摘しておく。但しこれらのイオンは双極偏向器43によって偏向されてもよい。
[0060]状態Cでは、生成器50は、親イオンの到着に対して1乃至3μsの遅延(実験的に最適化され得る)を持たせてオンにされている。遅延は、2つの部分、即ち、k*TOF1+TDで構成されており、ここに、TOF1は現在のスタートパルスから測定したゲート開放時間であり、kはゲートからの親イオン通過と表面からのフラグメントイオン伝搬の両方を勘案した幾何学的係数であり(当該関係は最も重いフラグメントは親に等しいと見なしている)、そしてTDはスペクトル符号化を強化する可変の(時間ゲート間)遅延である。遅延TDは、変分として、フラグメントライオンの伝搬時間(3−10μs)に比べて相対的に小さい大凡1μsのスパンを有するものと想定される。生成器50の正パルス及び負パルスの振幅は、フラグメント平均エネルギーがMR−TOF分析器のエ
ネルギー受容内に留まるように調節される。典型的なパルス振幅は1kVである。双極ゲートはフラグメントイオンを運ぶために再び開かれる。同時(又は実質的に同時)に運ばれる(漏出)親イオンは、同様にk*TOF1として調節される第2の時間ウインドーの適正に調節された長さが理由で、検出器18上に信号を形成しないこともある。漏出親イオン由来のフラグメントは、ゲート43の閉状態でオンにされた(破線によって示されている)クリーニングパルスによって除去されるようになっていてもよい。
[0061]親イオン分離を改善する目的で、細ゲート43Fは、はるかに細かい〜10−20nsの時間スケールを可能にする。一例として、双極ワイヤ偏向は、一方の偏向極性から反対の偏向極性へ切り換えられるようになっていてもよい。タイムフロントは、例えば100−200Vの振幅と100−200MHの帯域幅を有する双極トランジスタを使用した場合、10−30nsほどに低くなろう。偏向を反転させることによって、双極偏向器の空間分解度は、ワイヤ間スペーシング即ち0.5−1mmより良くなる。8kVの加速電圧では、1000amuのイオンは40mm/μsの速度で飛行する。而して、空間分解度を翻訳すると双極ゲートの10−20ns時間分解度になる。1ms飛行時間で、親選別の分解度は、分解度がパケット当たり1,000−10,000より多いイオンにて起こる自己空間電荷による影響がないなら、大凡25,000−50,000に達し得る。細かいゲート43Fは、粗いゲート43の間隔内の多数の細かいノッチをサンプリングする。結果として生じたフラグメント全ては、次いで、1つの抽出パルスによって加速される。類似の細ゲートは他のセル型式のために使用することもできる。
[0062]図5は、タンデムMR−TOF11に適するように構成されている類似のSID断片化セル51を示している。幾つかの実施形では、SID断片化セルは、図2−Bに示されているMS−TOFに適するように構成されている。セルは、状態Bの親イオン入射と状態Cの娘イオン抽出の間の同期化を単純化する偏向器52のパルス式動作により、(図4の)セル41とは異なる。結果として、ゲート43は、毎ゲートパルスにつき1回切り換えられることになる。利用可能なFTMOSトランジスタの現時点では限界のある繰り返し率(1kVパルスで大凡100kH)を勘案すると、図5のスキームは図4のスキームに対比してより頻度の高い親イオン入射を可能にするであろう。フラグメント抽出の周波数は、更に、親イオンとフラグメントイオン両方が加速カラムを通って伝播するのに要する時間によって、大凡100kHの周波数に制限されよう。但し、上述の細かい時限ゲートを有するスキームは、単一のフラグメント射出パルス当たり複数の親ウインドーのより速い入射を可能にする。
[0063]図6を参照して、パススルーCIDセル61は、静的偏向器62及び68と、双極パルス生成器69へ接続されている時間ゲート63と、レンズ64L及びレンズ67Lにそれぞれ組み入れられている入射減速カラム64及び出射加速カラム67と、差動ポンプ型シュラウドによって取り囲まれているガス充填衝突セル65と、出射メッシュ電極66と、を含むものとすることができる。セル65及び出射メッシュ66はパルス生成器70へ接続されている。
[0064]図6は、セル61の3つの時間状態(A−C)を示している。状態Aでは、緩やかなゲート偏向(5−10度)が、イオンにガス充填セル65の細(1−2mm)開口を素通りさせてしまう。状態Bでは、パルス生成器69は、親イオンの狭い(1−2μs)時間ゲートを選択する。入射親イオンは、初期イオンエネルギー(即ち、100−500eV)の5−10%より下に減速され、セルを通され、希薄ガスとの衝突で断片化する。セル内のガス圧力は、大凡1つのイオン衝突を誘起するために、大凡中度の1E−4mBarの範囲へ調節される。ガスとの中度エネルギー衝突がイオン断片化を引き起こす。フラグメントは、大凡同じ速度で進み続けることができる。既定の遅延kTOF1+TD(親質量に依存)で、パルス生成器70はパルス加速のために切り換えられるが、k*T
OF1遅延及びパルス振幅は、フラグメントエネルギーをMR−TOF分析器の10−15%のエネルギー受容内に調節するように選択される。狭−可変遅延TD(100−300ns内)は、随意的には、信号符号化のために使用されてもよい。イオンは、カラム67でDC加速され、レンズ67Lによって空間的に集束される。偏向器68は、フラグメントパケットを図2Cの分析器10の中へ折り返し軌道23に沿って操舵する。
[0065]同期化
[0066]図7は、イオン源71Aと時間選別ゲート71Bと断片化セル71Cの間の同期化を示す一例としての時図表71を描いている。データ捕捉サイクルは、S個のセグメントを含んでおり、ここに典型的なセグメント時間は、最も重い親イオンの飛行時間である大凡1msに匹敵するものになっている。セグメントの典型的な個数Sは30乃至300から選定されていてもよい。サイクル内には複数のW個のウインドーがあり、ウインドーは各々が1つの選別ゲートパルスを含んでおり、ここに、Wは30乃至1000から選定される。マクロウインドー内には、増分ΔTを有するG個のゲート時間位置がある(W=100及びG=10でΔT=1μs)。セグメントの現在の数s、マクロウインドーの現在の数w、及びゲート位置の現在の数gが、図7に小文字で表記されている。而して、サイクル時間(捕捉サイクルの始まりからを測定)は、サイクル時間=(s*W*G+w*G+g)*ΔTに従って計算することができる。親イオンの飛行時間(現在のスタートパルスからを測定)は、TOF1=(w*G+g)*ΔTに従って計算することができる。時間ゲートとセル抽出パルスの間の遅延は、2つの成分、k*TOF1+D(s,w,p)を含んでおり、ここにkはゲートからセルまでの両イオン通過時間を勘案した定数係数であり、D(s,w,p)は符号化戦略を改善する目的で段階的に設計される随意的な時間遅延である。Dの変分の利用可能なスパンは、SIDセルについては1μsであり、CIDセルについては100−300nsである。図表72及び図表73は、図表71の拡大表示図である。図表73は、粗ゲート43と細ゲート43Fの相対入射間隔並びに両ゲート上の実際のパルス形状を提示している。細ゲートは粗ゲート間隔の中に複数の符号化ノッチを形成しており、尚且つフラグメント全てが単一のSIDパルスによって抽出されていることに注目されたい。
[0067]図8−Aを参照して、図表81は、TOF1(親イオン飛行時間)に関連付けたサイクル時間の座標中のイオン信号をグラフ化している。破線は親イオンに対応し、塗り潰された区域はフラグメントイオンによって潜在的に占められる領域に対応している。領域境界線は、TOF1<TOF1+TOF2<2*TOF1として描画されており、親イオンとフラグメントイオンについてのほぼ等しい飛行経路、また断片化セルから断片化されていない親が吐き出される可能性、を勘案している。瞬時捕捉信号は、現在のサイクル時間でのピークの集まりに対応しており、異なったTOF1を有する複数親種からの信号を含んでいよう。図表81は、緩やかな信号の追い越し(フラグメントイオンが次に続くスタート間隔内に到着)は捕捉を加速するうえで受容され得ることを示している。スタートパルス間の期間は、最大合計飛行時間max(TOF1+TOF2)か又は最大第1飛行時間max(TOF1)か又はmax(TOF1)の何分の一かのどれかに等しく設計されていてもよい。何れかの源(スタート)パルスから発生する信号は次の時間セグメント内に到着することになろう。追い越しは、スペクトルが十分に疎である場合には、信号復号効率に影響しない。而して、スタートパルス周波数は、事前に形成されているセット間で、データ依存様式で、捕捉されたスペクトルの疎性に基づいて、調節することができる。
[0068]非冗長サンプリングを有する多重化
[0069]図8−Bを参照して、図表83は、親イオン及びフラグメントイオンの例としての信号(小さい四角として図示)を描いている。スペクトル復元に焦点を当て、フラグメント信号を有する1つの親種を黒色四角で表している。解説を目的として、2つの連続す
るスタートについて同じ親種が選択されている。明色四角はゲートサンプリング時間がスタート間で異なる他の親種由来のフラグメント信号を表している。上記は非冗長サンプリング方法を表す。楕円はサイクル時間中の例としての信号の重なり合いを示している。非冗長サンプリングに因り、誤った重なり合いは(同じ関心対象ゲートを有する)相関付けられるスタート間で相違するが真の信号は反復的である。
[0070]信号セグメント84は、関心対象のフラグメントを追跡するのに色分けを採用しており、黒色バーは関心対象であるゲートについてのフラグメントピークを表している。実験では、重なり合いは、部分的なピーク重なり合いの場合には区別できることもあるが、ほぼそっくりな重なり合いの場合には区別できないこともある。疎らに起こる重なり合いに因り、また相関分析に因り、系統的に繰り返すピークを誤った重なり合いから別けることができる。系統的に繰り返す信号は、繰り返し選択される親ゲート時間に対応するセグメント内に出現する。
[0071]全ての親ゲートについてフラグメントピークが割り付けられたら、予想される重なり合いの事後分析(インシリコ(in-silico)実験再現)によってスペクトル復元が強
化される。重なり合う信号は、捨てられるか又は同じ親の他のフラグメントピークとクロマトグラフィープロファイルの相関付けによってデコンボリューションされるかのどちらかとなろう。重なり合いが捨てられる場合には、捨てられる重なり合いの相対数に基づいて信号強度が調節されるようになっていてもよい。
[0072]細かい非冗長サンプリング
[0073]親選別の分解度は、細ゲートを粗ゲートと組み合わせて使用することによって強化することができる。一例として、粗ゲートは2μsの間隔を選別し、一方、細ゲート偏向器は、3次の符号化次元でスタートを交互に入れ替えて10−20nsの間隔と30−50%のデューティサイクルで約5−7の細かい時間ゲートを選別する。1層ゲートと比べると、タンデムの全体としてのデューティサイクルは(大凡2−5%に)落ちるが、親選別の分解度は、500から50,000へ上がる。第2層の細ゲーティングは、親イオン同士が同重体として密に詰まり信号が疎ではなくなっていて復号にはどうしても親イオンの或る程度高度な選別が必要とされる非常に複雑な混合物のタンデムMR−TOF分析に適している。
[0074]遅延符号化を有する多重化
[0075]系統的な信号の重なり合いは、抽出パルス遅延の単独非冗長変型を実施することによって回避することができる。遅延のセットを非線形漸進によって定義することができ、それによって繰り返し得る信号間間隔を低減又は回避することができる。例えば、遅延のセットは、TD(n)=TD*n*(n+1)/2と定義することができ、ここに、TDはTOF2中の典型的なピーク幅を超える。言い換えれば、遅延セットは、nを整数指数としてn*(n+1)/2に比例する線形漸進間隔で形成されている。例えば、TD=10ns(TOF2=1ms及びR=100,000でFWHM<5nsを有するピークを想定)である場合には、遅延のセットは、0、10、30、60、100、150、210、280(n=8)、360、450、550、660、780、910、及び1050ns(n=15)と表現される。理解されるであろうが、上記は結果として固有の遅延及び固有の遅延間時間差をもたらす。遅延符号化では、ゲート同期化は単純化される。一例として、等距離ゲートの櫛を一定した値に設定しておいて、櫛の桁送りの数に対応するC回分のスタート間で源パルスを遅延させるようにしてもよい。そうして、非冗長多重化を有する分析を各櫛位置について繰り返す。全質量分析はC個の反復分析ブロックを要することになる。
[0076]幾つかの実施形によれば、遅延は、ウインドーの数に伴って漸進的に増加するよ
うに設定されていてもよい。とはいえ、遅延時間の限界(SIDセルについては<1μs、CIDセルについては<0.3μs)を勘案すると、ウインドーの数は、例えば、CIDセルについては8未満及びSIDセルについては15未満と、限定されることになろう。その様なウインドーの減少は、親選別の多重化利得、感度、及び分解度を制限しかねない。幾つかの実施形では、遅延シーケンスはセグメント(即ち隣り合うスタート間の間隔)1つ1つについて固有であり、よって、複数のセグメントを含む捕捉サイクル内の何れのゲートについても固有の遅延シーケンスが見られることになる。冗長性を回避するために、相互直交行列ブロックのセットから築かれた符号化行列の転置バージョンを使用することによって遅延表が形成されてもよい。
[0077]二重符号化
[0078]幾つかの実施形によれば、2つの型式の非冗長符号化が組み合わされており、つまりは、親選別ゲートによる非冗長サンプリング(NRS:non-redundant sampling)とフラグメント抽出の時間遅延の符号化を用いて形成される符号化頻回パルシング(EFP:encoded frequent pulsing)をどちらも採用している。これらの実施形では、削減されたウインドー当たりゲート位置数及び短い遅延のセットを採用することができよう。二重符号化方法の詳細は以下に特定の実施例に関して説明されている。
[0079]符号化行列
[0080]非冗長多重化スキームの可能性及び潜在力は、非冗長符号化行列の存在及び特性に依存する。その様な行列(Mと表記)は、非冗長性条件(1)、即ち、
を満たしていなくてはならず、ここに、Wは親イオンウインドーの数、Sは捕捉サイクル中のセグメント(スタート)の数、i,aはウインドーの指数、j,bはセグメントの指数である。幾つかの実施形によれば、非冗長符号化行列は、更に、それをラテン超方格サンプリングの原理と矛盾しない方式で相互直交ラテン方格のセットから築くことができるという条件を満たす。ラテン方格は、n個の異なった記号を各記号が各行に1回だけ及び各列に1回だけ起こるようにして充填したn×nの配列である。行列Mは、条件(1)が不合格となることはまれだとしても、即ち低い冗長性が存在していても、符号化に適していることを指摘しておく。この場合には、復号する段階は、復号させるゲート位置についての信号一致の数が他のゲート位置の信号に係る一致数の少なくとも2倍であるという事実に基づいている。
[0081]図9−Aは、行列のアノテーション及びNRS行列構築の原理を示している。捕捉サイクルはイオン源のスタートからスタートまでを測定した複数のセグメントを含んでいることを指摘しておく。セグメントは複数のウインドー間隔へ分割され、各ウインドー間隔は複数のゲート間隔へ分割されている。大文字のS、W、及びGは、サイクル当たりセグメント数、セグメント当たりウインドー数、及びウインドー当たりゲート数、を意味しており、小文字のs、w、及びgは、セグメント、ウインドー、及びゲートの現在の指数に対応している。或る例では、現在のウインドーは#w、次のウインドーは#w+1であり、各ウインドーは10個のゲート位置を有し、即ちG=10である。例としての行列91では、行列のセル中の数はゲートの状態を表しており、即ち、1は開ゲートを指し示し、0は沈黙ゲートを指し示している。非冗長性は例としての行列91によって示されており、全体としての捕捉サイクルの任意の2つのセグメントs=i及びs=jでは、ウイ
ンドーの同じ対の中にゲートの同じ組合せは禁制である。例としての行列部分92は、セルアノテーションの簡易方法を示しており、ここに、セル内の数は開ゲートの現在の数を注記している。行列93は、W=5及びG=5についてのラテン方格の一例を提示している。一例としてのラテン方格行列95は、W=5の場合の(W−1)相互直交ラテン方格のセットを有している。遅延符号化による多重化の場合には、行列95に同等の転置行列96を使用することができる。ウインドーと遅延の両方が類似型式の非冗長行列を用いて符号化されるものと理解されたい。
[0082]次に続く表1中の疑似コードは、非冗長符号化行列Mを築く場合の(W−1)相互直交ラテン方格のセットを生成するための例としてのアルゴリズムを示している。
表1に示されているアルゴリズムに従って、各ブロック中の列は線形漸進桁送りの適用によって生成される。桁送り値は、ブロックの数を1だけ増加させたものに等しい。非冗長行列Mの主な特性は、(a)各数は行内で固有である、(b)各数は各ブロック内の列別に固有である、(c)等しい数発現頻度、(d)非冗長構造は条件(1)の要件に当てはまる、である。
[0083]行列M、例えば行列93、の次元を増やすために、セル数は、比例式に、例えば遅延数又はウインドー当たりゲート位置数を増加させることによって増やされる。ゲート位置の数が増えるとデューティサイクルが下がることになる。また、遅延数は、断片化セルのプロセスによって制限される。制限を打開するために、MS−TOFは、2つの多重化方法即ちサンプリングと遅延符号化の組合せを実施している。
[0084]組合せ型符号化の場合には、符号化行列Mの各要素は、可変ゲート位置及び可変遅延を表記する数の対として書くことができる。行列は、非冗長行列Mから次の変換を用いて築くことができ、即ち、行列Mの各要素は、Dを利用可能な遅延の数として基数Dの記数法で表される数と考えることができる。図9Bの行列98を参照して、1桁目はウインドー中のゲート位置の数を表し、2桁目は遅延の数を表している。
[0085]図9Bを参照すると、組合せ型符号化のための行列変換が行列97及び行列98に示されている。最初の行列M、即ち行列97は、相互直交ラテン方格のセットから築かれていて、7つのウインドー内7つのゲート位置(全体で49ゲート位置)で42ショットについての直交サンプリングに適しており、この場合、各個々のゲート(ウインドー数とゲート数の組合せ)が6回繰り返される。
[0086]組合せ型符号化は、2つの遅延を導入することによって7から4への或いは3つの異なった遅延を導入することによって7から3へのゲート位置数削減を可能にさせる。後者の場合が行列98に示されている。行列は、各要素を基数3の記数法で表現することによって変換されている。
[0087]行列Mの類似の変換は、2つより多い型式の多重化を組み合わせることによる符号化の場合、例えば超高速ゲートを加えることによる符号化の場合に使用することができる。この場合には、セルの中の数は、3桁又はそれ以上の桁を含むものとなる。
[0088]2つ又はそれ以上の型式の多重化を組み合わせることによって、非冗長行列の次元は、実験パラメータを犠牲にすることなく増加させることができる。或る例では、Gはウインドー当たり10のゲート位置G=10及び11の遅延のセットD=11へ設定されている。これは、100のラテン方格及びサイズ101x101を有する行列の使用を可能にする。数101は、GxD即ち110未満の最も近い素数として選択されている。行列は、100に等しいウインドー数をもたらすように100x100へ切り落とされてもよい。個々のゲートの全体数は1010であり、利用可能な非冗長試行(スタート)の数は10100である。利用可能な非冗長スタートの数が大きいので、スタートは、パルス間隔の滑らかな変化の様な幾つかの実験要件を満たすようにフィルターに掛けられてもよい。実験のデューティサイクルは10%であり、親選別の時間分解度は1010である。ゲート位置全てのフラグメントスペクトルを復号するのに要するスタート数は101であり、実験時間は102.01msであり、且つ個々のゲート反復間の平均時間は10μsである。上記は単に例として提供されていることを指摘しておく。
[0089]疑陽性及び偽陰性
[0090]説明されている符号化アルゴリズムは、MS−MSデータの疎性を頼みとするところが大きい。典型的なペプチドフラグメントスペクトルは、比較的少ない例えば3又は4乃至数十の主ピークと数十から100超の副ピークを含んでいることが知られている。例えば、単一の親イオンについてのフラグメントピークの平均数は100を越えることもある。第2のMS段での100,000の分解度では、スペクトル母集団(占められる飛行時間スケールのパーセンテージ)は0.1%範囲にあると予想される。スタート当たりゲート数は大凡100であり、主に、現時点で利用可能なFTMOSトランジスタの周波数範囲によって制限されている。而して、記録される信号の母集団は10%範囲にあると予想される。その後のインシリカでの、受容される真のピークに係る実験再現により、発生した重なり合いの大部分を割り付けることができ、而して符号化に因るスペクトルの歪みが除去される。符号化戦略を最適化するためには、陽性同定及び疑陽性同定についてより精度の高い推定がなされるべきである。
[0091]ピークがセグメントスペクトル中に重なり合わないものとなる確率関数は、
であり、ここに、fはゲート中の親イオン発現の頻度であり、
として定義され、ρは単一ゲート当たりフラグメントスペクトルの母集団であり、Wはセグメント当たりウインドーの数であり、Gはウインドー当たりゲート位置の数であり、Pはスペクトル中の親イオンの総数である。セグメントの母集団は、
に従って求めることができる。
[0092]特定のゲートgについてのフラグメントスペクトルの復号段階は次のやり方で遂行される。
[0093]1.捕捉サイクル中に、ゲートgのフラグメントスペクトルを含むセグメントのセットを選択する。W×W(W−1)サイズの符号化行列を使用すると、総W(W−1)セグメントのうち、何れかの特定のゲートを含む総W(W−1)セグメントのセグメントスペクトルはN個あり、ここに、N<W(行列の特性)である。ウインドー2のゲート1についてのセグメントの一例が、図9−Aの94に示されている。
[0094]2.遅延補正を適用して、各セグメント中のゲートgに使用されている遅延に従ってスペクトルを整列させる。
[0095]3.一致するピークを求めてスペクトルを探索する。その様なピークをゲートgのフラグメントスペクトルへ合算する。ピークはそれがN個のうち少なくともK個のスペクトル中に見つけられれば一致していると見なされる。Kの値は、Kが他のゲートの信号とのランダム一致の期待数より大きくなるように選択されればよい。
[0096]合算されたピークは無関係の重なり合うピークの信号を含んでいる可能性のあることを指摘しておく。この推定の重点は、その様な重なり合いの確率を小さく保つ符号化戦略を追求することである。
[0097]陽性同定即ち重なり合いの無い少なくともK個のピークを有する確率は、
に従って求めることができる。異なったゲートからのK個及びそれより多くのランダムピークから成る疑陽性同定の確率は、
である。
[0098]符号化実施例1:
[0099]図10−Aを参照して、表101は、非冗長サンプリング(遅延符号化無し)を25のゲート位置と共に使用した場合の例としての符号化パラメータを示している。上記は、25のウインドーの使用を許容しており、W=25、G=25、D=1である。デューティサイクルはDC=4%であり、親選別の質量分解度は312、即ち、RS=W*G/2である。符号化行列は、25列100行を有し、即ちスタートの数はS=100であり、各ゲートは25ショット毎に繰り返される。図表102及び図表103は、偽陰性同定の確率(実線)及び疑陽性同定の確率(破線)をともに、図表102のP=100及び図表103のP=1000である親イオン全体数について適合するK個のピーク数の関数として提示している。それらの図表をシミュレートするために、1親当たりフラグメントイオンの平均母集団をρ=0.001に仮定する。受容可能確率閾値を1%に等しく設定することによって、受容可能なKの範囲は、P=100で3から7、P=1000で3から6である。
[0100]符号化実施例2:
[0101]図10−Bを参照して、表104は、非冗長遅延符号化(ゲート符号化無し)を15の遅延のセットと共に使用した場合の例としての符号化パラメータを示している。上記は、210に上る非冗長ウインドーの形成を許容する。セルの動作と(FTMOSトランジスタによって制限される)抽出パルスの最大周波数が、10μsのウインドー中に少なくとも5ゲートの選択を余儀なくするために、ゲートシフトが導入されている。一例として、源の可変遅延及び10μs期間を有する2μsの長さのゲートパルスの櫛を使用することができる。形成される有効な櫛の桁送り数はC=5によって表されている。全体として、W=210、G=1、D=15、及びC=5である。デューティサイクルは、DC=20%であり、親選別の質量分解度は525、即ちRS=W*C/2である。符号化行列は、210列15行を有し、即ちスタートの数はS=15である。但し、捕捉サイクルはC=5回繰り返されなくてはならず、即ち捕捉全体で75のスタートを要する。何れかの特定のゲートは同じ桁送りを有するブロック内で5回繰り返される。図表105及び図表106は、偽陰性同定の確率(実線)及び疑陽性同定の確率(破線)を、1親当たりフラグメントイオンの平均母集団をρ=0.001としたときの図表105のP=100及び図表106のP=1000である親イオン全体数での適合するK個のピーク数の関数として提示している。受容可能確率閾値を1%に等しく設定することによって、受容可能なKの範囲は、P=100で3から13、P=1000で7から8である。
[0102]符号化実施例3:
[0103]図10−C及び図10−Dを参照して、表107及び表110は、組合せ型非冗長遅延及びゲート符号化を2通りの設定で使用した場合の符号化パラメータを示しており、表107に示される第1の設定ではG=17、D=6(C=1)である。表110に示されている第2の設定ではG=6及びD=17である。どちらの場合も、C=1であり、非冗長ウインドーの数はW102である。Wは、100×200の行列を形成するように100へ設定されており、即ちサイクル当たりスタートの数はS=100である。第2の事例は、デューティサイクルを改善し(6%から17%へ改善)、プロフファイリングを加速する(ゲートは6スタート毎対17スタート毎に起こる)。但し、親選別の分解度は、第2のシナリオでは下がった(850から300まで低下)。図表109及び図表112は、偽陰性同定(実線)及び疑陽性同定(破線)の確率を、2通りの事例(G=17及びD=6の場合については図表109、及びG=6及びD=17の場合については図表112)について、親イオンの全体数P=1000での整合するK個のピーク数の関数として提示している。P=1000のときの第1のシナリオでは、1親イオン当たりフラグメントイオンの平均母集団はρ=0.001である。受容可能確率閾値を1%に等しく設定することによって、受容可能なKの範囲は、P=100及びP=1000のどちらでも十分に広くなる。1000に上る大きい親数Pについて同定が信頼できるので、より少ないPの場合には、脆弱共鳴又は限定される繰り返し重なり合い数を有する高速分析脆弱符号化の方法が受容され得る。
[0104]符号化実施例の比較
[0105]符号化方法はどれも、イオン源が1000までの親種を同時放出する極めて複雑な混合物のTOF−TOF分析に実施可能である。ゲートサンプリング単独による符号化は、親選別の分解度を制限するか又は分析のデューティサイクルを落とすかのどちらかである。抽出遅延単独による符号化は、少なくとも10−15のゲート位置を余儀なくし、300ns未満については抽出が非同期となりかねないのでCIDセルの使用が阻まれる。組合せ型符号化が最も適応性があり、TOF−TOFパラメータの最良の組合せへの到達を可能にさせる。
[0106]TOF−TOFのパラメータ
[0107]タンデムTOFのパラメータ及び設定は試料の複雑性に依存して調節することが
できる。複雑性の低い試料(単一タンパク質消化物、合成混合物、など)では、並列MS−MSが必要になる可能性は低い。高スループットタンデムは、特に、同定される成分の数が何万から究極的には何千万まで様々である中又は高複雑性試料の分析、例えばメタボロミクス、ペトロレオミクス、及びプロテオミクスの試料などの分析に所望される。タンデム質量分析法には100から10,000までの分離容量を有するクロマトグラフィー分離(LC、GC、及びGC×GC)が先行するものと想定している。而して、符号化戦略は、10−100msを有していなくてはならないか又は復号された信号の連なり内での時間プロファイルの復元を可能にしなくてはならないかのどちらかであり、そうすると更に信号分析時の速さとメモリに因って符号化信号ストリングへ制限が課されることになる。示されてゆく様に、より長い捕捉サイクル及び組合せ型NRS及びEFP符号化はより良い結果をもたらす。どの場合でもより高いデューティサイクルがより低い親選別分解度で実現されることも明らかとなろう。分析の型式に基づいて折衷型が選定されればよい。
[0108]図11は、タンデムMR−TOFの例としての設定及びパラメータの表1100を示している。タンデムMR−TOFの設定は、(高試料複雑性で所望される)親分解度に照らした(中試料複雑性で所望される)感度及び速さの間で選定することができる。パラメータを推定する際には、次の関係、即ち、多重化利得=W/C即ちウインドー数を櫛の桁送り数で除算したもの(遅延符号化でのみ採用);デューティサイクルDC=DC(F)/G/C、ここに、Gはゲート位置の数であり、DC(F)は細ゲートサンプリングのデューティサイクルである;選別質量分解度RS=W*G*F*C/2、ここに、Fは細ゲート位置の数である;プロファイル時間分解度=TOF1*G/C、即ち、個々のゲート発現の期間;及びサイクル時間=S*TOF1、が使用されてもよく、関係は符号化行列の高さ(列数)に依存し、ひいては符号化の型式に依存する。親イオンの殆どはフラグメントスペクトル中に現れるものと期待され、而してそれらの分解度はほぼ100,000乃至400,000程度のR2に等しくなることは指摘しておく価値がある。但し、高試料複雑性では、中度の親分離(典型的R=500)だと、キメラフラグメントスペクトル、即ち近いm/sを有する異なった親種由来の多数のフラグメントスペクトルを含むスペクトル、を生じさせる可能性が高い。フラグメントピークを元素量によるか又は化学的排除規則(例えば、アミノ酸の正確な質量を勘案)を使用することによるかのどちらかでグループ化すれば、期待されるサブppm質料精度は必ずやキメラスペクトルの部分分離の助けとなるはずである。サンプリングされたウインドー全てを充填できない親イオンの不完全セットも想定される。それらの効果は、MS−MSデータの信頼度改善のためにより高いデューティサイクル又はより高い親選別分解度のどちらかを提供する符号化戦略へと変換させることができる。親分離を改善するために、細ゲートという第3層の符号化を適用すれば、親イオンの分離を10,000−50,000の分解度レベルへ上げることができる。戦略間での切り換えが、捕捉された信号の閾値疎性を感知することによって自動的に遂行されるようになっていてもよい。
[0109]表110では、実施例1及び実施例2はCIDセルに対応しており、ここに、遅延の数は、D<5−8に制限される。純粋なゲート符号化(実施例1)に比較すると、組合せ型符号化(実施例2)は、親選別のより高い分解度を提供し、より大きい数の親イオンの使用を許容する。実施例3から実施例6はSIDセルに対応している。単独ゲート符号化(実施例3)は、組合せ型符号化(実施例5及び実施例6)に比較すると、より低いデューティサイクルをもたらし、また一方、単独遅延符号化(実施例4)は、極めて複雑な混合物の分析を可能にしない。組合せ型符号化は、より大きなデューティサイクル(実施例5)又はより良好な親選別(実施例6)を提供するように選定することができる。実施例7は細ゲートの使用を提示しており、極めて複雑な混合物に対処できるようになり、親イオン選別をRS=10,000へ改善するが、但し、デューティサイクルを減少させ、捕捉及びプロファイリングを低速化させるかもしれない。
[0110]それら実施例は、更に、分析器についての異なった構成(より長い飛行経路及及びより高いエネルギーはR1及びR2を800,000にまで改善する)及びセル選択(CID対SID、及び異なったイオン軌道設定の場合)についての異なった構成を提示している。例としての分析器パラメータは、パルス間平均期間が10μsへ設定されるように選択されている。
[0111]実施例全てにおいて、全質量MS−MSのデューティサイクルは3%から17%までばらつき、親選別の質量分解度は300から10,000までばらつき(従来型タンデム動作でのRS=100−200に比較)、質量スペクトル分解度は100,000を上回り、多重化利得は25から200までばらついている。組合せは、近代的なタンデムMSのパラメータを越えており、それはそれらの順次的親選別が理由である。
[0112]データ依存符号化
[0113]「データ依存」という用語は、符号化する段階の前及び/又は復号する段階の前に、又は少なくとも、通常はバッチ式で行われていてLC−MS−MS分析全体に亘る同定の多様性を勘案したフラグメントスペクトル翻訳の段階の前に、リアルタイムで調節することのできる信号捕捉戦略を含んでいる。最適捕捉戦略は、少なくとも一部には、全体としての信号疎性に依存しており、その様な疎性は信号復号段階に先立って測定されるので、符号化シーケンスのデータ依存調節(切り換え)は同定を改善するものと考えられる。その様な戦略は、スタートパルス周波数の増加、及び非常に疎な信号のためのより広いゲート、ひいてはゲート数削減、又はあまりに高密度な信号の場合の細ゲートサンプリングへの切り換え、を使用することができる。
[0114]親イオンが復号されたスペクトル中に復元されるので、フラグメントスペクトルを翻訳する段階に先立ってキメラスペクトルの存在を監視することができる。事実、選別される親質量ウインドー内での幾つかの親質量の出現は、キメラスペクトルの出現を高信頼度で告げていることになる(親イオンは欠けてゆくので逆は成り立たない)。復号され
たスペクトルの比較的高い母集団は、もう1つのキメラスペクトルの表れであるかもしれない。何れにせよ、同定を行う段階の前にオンザフライで決定が下る。符号化アルゴリズムは切り換えられ、親同種体同士を分離するべく細ゲーティングがオンにされる。更に、幾つかの符号化シーケンスが順次式及び反復式に組み合わされている堅牢な代わりのレジームも構想される。
[0115]アナログ符号化
[0116]以上に説明されている多重化の諸方法は、ゲート位置及び抽出パルス遅延のデジタル符号化を頼みとしている。図10A−図10Dの行列特性によって示されている様に、復号能力はその限界にストレスが掛かることとは縁遠い。中度に複雑な検体混合物の場合には、信号は非常に疎であるので、効率に劣る非冗長符号化を有してはいるがより単純な回路又はデータシステムで容易に実施できる方法が使用されてもよい。例えば、ゲートの遅延及び抽出パルスは、正弦波信号によって、好適には周波数が直交である正弦波信号によって、信号間の共鳴がスタート当たり1回又は非常に少ない回数しか起こらないように、変えられてもよい。その様な正弦波生成器は、それらのドライバによって強制的に位相又は周波数をずらすようにされていてもよいし、又はフリーモードで走っているのであれば、当該生成器は適正に遅らせた励起パルスによって同期化されるようになっていてもよい。そうして、実際に起こったゲート及びパルスタイミングは別のデータチャネルによって測定されるようになっていてもよい。
[0117]先行分離
[0118]図11に示されている様に、相当に長くなった捕捉サイクル(試料の複雑性に依
って25−1000ms)にも関わらず、任意の単一のゲートは頻繁に(10μs/DC〜6−250usで)サンプリングされる。フラグメントスペクトルが復元されたら、クロマトグラフィープロファイルがピーク強度プロファイルとして再構築されてもよい。タンデム並列MR−TOF機器は、LCxCE(サブ秒ピークを有する)及び50msピークを有するGCxGCの様な比較的高速なクロマトグラフィー分離に適するものと期待される。よりパワーのあるクロマトグラフィーは、非冗長符号化に対しての要件を緩和し、より短い符号化シーケンス又はより高速な源パルシングが使用できるようになる。
[0119]分析戦略を特別に設計する場合にはなおいっそう速い先行分離が使用されてもよい。一例として、MS質量分析計が比較的低速な走査式(走査当たり1−2秒)親MS1分離器を採用し、且つMS2段及びMS3段がNRS TOF−TOFを用いて遂行されるようにしてもよい。別の例として、10−100msの典型的な分離時間及び100から500μsのピーク幅を有するイオン移動度(IMS)が、次の条件において並列MR−TOFと組み合わされてもよく、即ち、(a)IMS出力を複数のIMS反復サイクルでストローブサンプリングする、(b)IMS留分のサンプリング及びラジオ周波数トラップのセットへの蓄積並びにそれに続くIMS留分のより低速な放出、(c)IMS分離使用時のタンデムパラメータについてのより低い要件を生かしながらも、より短い飛行時間を使用する、より大きなスペクトル重なり合いを代償に源パルスのより速い繰り返しを配設する、及び/又は親選別の低い分解度を代償により少ないゲートを使用する、のどれかによるタンデムMR−TFO動作の加速、という条件においてIMSは並列MR―TOFと組み合されてもよい。
[0120]多重化質量スペクトル分析
[0121]疎信号の非冗長符号化の原理はタンデムMR−TOFについて説明されているが、本開示は、質量スペクトルの方法及び装置のより広い範囲に適用できる。一例として、磁場型質量分光計(magnet-sector mass spectrograph)を使用して、質量分離されたイ
オンの複数ビームを集束平面内に生成させるようにしてもよい。親種のセットを選別する段階にアレイゲートを使用し、親種はその後に断片化セル(CID又はSID)の中へ、好適にはRFガス閉じ込めによって支援されている断片化セルの中へ導入されるようにしてもよい。総フラグメントスペクトルは、MR−TOFの様な並列質量分析計又はアレイ検出器を有する追尾型電磁石によって捕捉されてもよい。別の例は、源後減衰(PSD:post-source decay)によるフラグメント分析を有するMALDI−TOF質量分析計で
あり、親イオンの非冗長サブセットをTISの急速切り換えによって形成させることができる。別の例では、親イオンの複数の質量ウインドーを断片化セルの中へ入射させ、複数のフラグメントスペクトルの混合を含んでいる「キメラ」スペクトルを、FTMS、静電トラップ、又は軌道トラップの様な、低速信号捕捉を有する高分解度機器上に捕捉させるようにしてもよい。別の例では、見分けのつく疎スペクトルは、(i)プロファイルされる表面の同時放射画素、(ii)イオン化源のセット、(iii)断片化セルのセット、(iv)イオン移動度分離器が後に続いているパルス式トラップ変換器、(v)質量選択的放出を有するイオントラップ、飛行時間型質量分析器、又は質量分光器の様なイオンを時間的に分離する平列質量分析器、の様な他の分離器又は源から発生していてもよい。タンデムTOF及び上述のタンデムMR−TOFは具体的事例である。その場合、源はTOF分離された又はMR−TOF分離されたイオンパケットであり質量分析計は何れかのTOF MSであるものと理解される。TOF分析器は、ドリフト空間、格子被覆イオンミラー、格子無しイオンミラー、及び静電セクター、から成る何れかの組合せを備えていてもよい。
[0122]非冗長多重化方法は、複数の質量スペクトルの捕捉中に一定しているか又は反復的かのどちらかである信号を頼みとしている。それは、更に、源同士の間で信号の重なり合いが比較的小さい割合であるように、イオン流れがスペクトル的又は空間的又は時間的
のどれかについて疎であることを頼みとしている。非冗長原理は、機器の型式に関わらず、質量分析法に適用することができる。非冗長サンプリングは、(i)複数のイオン源からのイオン流れ、(ii)単一のイオン源から下流で多重化されたイオン流れであって、前記多重化が、イオン運搬インターフェース、イオン移動度セル、中間トラップ、断片化セル、複数のRFイオンガイド、において起こるようになっている、多重化されたイオン流れ、(iii)複数のパルス式変換器によって生成されたイオンパケット、(iv)単一のパルス式変換器によって生成され時間的にイオンm/z別に分離されたイオンパケット、から配設されていてもよい。
[0123]図12は、多重化質量スペクトル分析を遂行するための方法1200についての例としての動作のセットを示している。動作1210で、イオンがサンプリングされて複数イオン源のサブセットが形成される。源は、限定されたスペクトル信号の重なり合いを有する疎で反復的なイオン流れを形成する。動作1212で、質量スペクトルが、単一の検出器によって記録される。動作1214で、スペクトル疎性が分析され、動作1216で、サンプリングされたイオンの非冗長符号化が遂行される。動作1212−動作1216は、サブセットを非冗長様式で変えながら繰り返されてもよく、ここに、何れかの2つの同時にサンプリングされる源の組合せは固有であり、何れかの特定の源は複数回サンプリングされることを指摘しておく。動作1218で、全ての個々の源からのスペクトルが、符号化された信号を源サンプリングと相関付けることによって復号される。幾つかの実施形では、符号化する段階は、質量スペクトル疎性に基づいて自動的に調節されている。非冗長サンプリング行列は、相互直交ラテン方格行列に基づくものとすることができる。更に、復号する段階は、重なり合いインシリカ再構築によって支援されていてもよい。幾つかの実施形では、非冗長サンプリングは、イオン流れ遅延の非冗長符号化によって補完される。
[0124]本開示によれば、複数の有用な分析レジームを実施することができる。例えば、イオンがSIDセルから静電的に反射されるか又は真空CIDセルを通され、而して、質量分析の最大の分解度及び質量精度が達成される、MSのみのレジームが実施されてもよい。分析器の中への注入イオンの数は、分析器内の空間電荷効果(狭い質量範囲の空間電荷によって作用)を迂回するために、ひいては広いダイナミックレンジ内での強化された質量精度及び分解度を提供するために、低利得と高利得の間を交互に入れ替えられてもよい。先行の移動度分離を採用して、著しいスペクトル重なり合い無しにMR−TOF分析器の中への頻繁なイオン注入を可能にし得る時間的に狭い質量範囲を選別させるようにするのが好適である。当該レジームは、混合物の高スループット特徴付けに、即ち正確な親質量を求めるのに、及び以下に説明されているデータ依存レジームでの選別ウインドーを求めるのに、有用である。また、並列全質量タンデムMS分析の実施例により、図11は、その様な分析のためのパラメータの範囲を示しており、それらは、低い親分離分解度(数百)で大きなデューティサイクル(20%の上る)を有するレジームから、感度は劣るがより高い(1000−2000)及びなおいっそう高い(10,000−20,000)親選別分解度を有するより特異的な分析まで、様々である。本開示は、更に、低分解TOF1(R1=100)を有する高スループット高感度(DC>20%)レジームに適用されてもよい。これらの実施形では、フラグメントスペクトルは、親質量ウインドーの選別及びクロマトグラフィー分離の時間相関に基づいて再構築される。追加的又は代替的に、本開示は、近い同重体を探すための高い親選別分解度(R1>10,000)を有する探査実施形に適用されてもよい。その様な探査は、高信頼度を目指して順次式に、より高いスループットを目指して非冗長サンプリングと共に並列様式に、行うことができる。その上、本開示は、現在のMS−MS計装に広く採用されているデータ依存捕捉に適用することもできる。また、IMS又は質量分離器の様な追加の先行分離器を使用している場合にはMS3レジームを実施することができる。TOF−TOFタンデムがMS2段及びMS3段を極めて並列且つ高速にするのでMS3は実用的である、ということを指摘してお
く。
[0125]ここに記載されているシステム及び技法の様々な実施形は、デジタル電子回路構成及び/又は光学回路構成、集積回路構成、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組合せ、に実現させることができるものと理解されたい。これらの様々な実施形は、特殊目的用又は汎用であって、データ及び命令をストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスから受信するように、及びデータ及び命令をストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスへ送信するように、連結されている少なくとも1つのプロセッサ、を含むプログラム可能なシステム上で実施可能及び/又は翻訳可能である1つ又はそれ以上のコンピュータプログラムでの実施形を含むことができる。
[0126]これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても知られている)は、プログラム可能なプロセッサのための機械命令を含み、高級手続き型及び/又はオブジェクト指向型プログラミング言語に、及び/又はアセンブリ/機械言語に、実装されてもよい。ここでの使用に際し、「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械命令を機械可読信号として受信する機械可読媒体を含め、機械命令及び/又はデータをプログラム可能なプロセッサへ提供するのに使用される何れのコンピュータプログラム製品、非一時的コンピュータ可読媒体、装置、及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラム可能論理デバイス(PLD))をも指す。「機械可読信号」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラム可能なプロセッサへ提供するのに使用される何れの信号をも指す。
[0127]本明細書に記載の主題及び機能的動作の実施形は、デジタル電子回路構成に、又は本明細書に開示されている構造並びにそれらの構造的等価物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアに、又はそれらの1つ又はそれ以上から成る組合せに、実装することができる。また、本明細書に記載されている主題は、1つ又はそれ以上のコンピュータプログラム製品として、即ち、データ処理装置による実行のために又はデータ処理装置の動作を制御するようにコンピュータ可読媒体上にエンコードされているコンピュータプログラム命令の1つ又はそれ以上のモジュールとして、実装することができる。コンピュータ可読媒体は、機械可読ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、メモリデバイス、機械可読伝搬信号を実効化する組成物、又はそれらの1つ又はそれ以上から成る組合せであってもよい。「データ処理装置」、「コンピューティングデバイス」、及び「コンピューティングプロセッサ」という用語は、一例としてプログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ又はコンピュータを含め、データを処理するためのあらゆる装置、デバイス、及び機械を網羅する。装置は、ハードウェアに加え、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を作り出すコード、例えばプロセッサファームウェアを構成しているコード、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はそれらの1つ又はそれ以上から成る組合せ、を含んでいてもよい。伝播信号は、適した受信側装置への送信に向けて情報をエンコードするために生成されている人工的に生成された信号、例えば、機械生成の電気信号、光信号、又は電磁信号である。
[0128]コンピュータプログラム(アプリケーション、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとしても知られている)は、コンパイル又は翻訳された言語を含む何れの形態のプログラミング言語で書かれていてもよく、また、独立型プログラムとしての形態、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、又はコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしての形態、を含む何れの形態
に配備されていてもよい。コンピュータプログラムは、必ずしも、ファイルシステム中のファイルに対応しているわけではない。プログラムは、ファイルの他のプログラム又はデータを保持している部分に格納されていてもよいし(例えば、マークアップ言語文書に格納されている1つ又はそれ以上のスクリプト)、又は問題のプログラム専用の単一ファイルに格納されていてもよいし、又は複数の連係ファイルに格納されていてもよい(例えば、1つ又はそれ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの部分、を格納している複数ファイル)。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるように配備されていてもよいし、又は1つの現場に設置されているか又は複数の現場をまたいで分散されていて通信ネットワークによって相互接続されている複数のコンピュータ上で実行されるように配備されていてもよい。
[0129]本明細書に記載のプロセス及び論理フローは、1つ又はそれ以上のコンピュータプログラムを実行して入力データに対する動作及び出力の生成によって機能を遂行させる1つ又はそれ以上のプログラム可能なプロセッサによって遂行されてもよい。プロセス及び論理フローは、同様に、特殊目的論理回路構成、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって遂行されてもよく、装置は、その様な論理回路構成として実装されてもよい。
[0130]コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、一例として、汎用と特殊目的用の両方のマイクロプロセッサ、及び何らかの種類のデジタルコンピュータの何れか1つ又はそれ以上のプロセッサが含まれる。概して、プロセッサは、読み出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又はその両方から命令及びデータを受信することになろう。コンピュータの必須要素は、命令を遂行するためのプロセッサと、命令及びデータを格納するための1つ又はそれ以上のメモリデバイスである。概して、コンピュータは、更に、データを格納するための1つ又はそれ以上のマスストレージデバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、を含んでいるか、又はその様なマスストレージデバイスからデータを受信する又は当該デバイスへデータを送信する又はその両方を行うように動作可能に連結されることになろう。とはいえ、コンピュータはその様なデバイスを有していなくてもよい。コンピュータプログラム命令及びデータを格納するのに適したコンピュータ可読媒体には、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスが含まれ、一例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク;光磁気ディスク;及びCD ROM及びDVD−ROMディスク、が挙げられる。プロセッサ及びメモリは、特殊目的論理回路構成によって補完されていてもよいし、当該論理回路構成に組み込まれていてもよい。
[0131]ユーザーとの対話を提供するために、本開示の1つ又はそれ以上の態様は、情報をユーザーへ表示するためのディスプレイデバイス(例えば、CRT(ブラウン管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ、又はタッチスクリーンと、随意的には、ユーザーが入力をコンピュータへ提供できるようにするキーボード及びポインティングデバイス、例えば、マウス又はトラックボールと、を有するコンピュータ上に実装することができる。ユーザーとの対話を提供するのに他の種類のデバイスを使用することもでき、例えば、ユーザーに提供されるフィードバックは、何らかの形態の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック、であってもよいし、またユーザーからの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入力を含む何れの形態で受信されてもよい。加えて、コンピュータは、ユーザーによって使用されているデバイスへ文書を送信したり、ユーザーによって使用されているデバイスから文書を受信したりすることによって、例えば、ウェブブラウザから受信された要求に応答してウェブページをユーザーのクライエントのデバイス上のウェブブラウザヘ送信することによって、ユーザーと対話をしていてもよい。
[0132]本開示の1つ又はそれ以上の態様は、例えばデータサーバとしてのバックエンド構成要素を含んでいるコンピューティングシステム、又はミドルウェア構成要素、例えばアプリケーションサーバ、を含んでいるコンピューティングシステム、又はフロントエンド構成要素、例えばユーザーが本明細書に記載の主題の実施形と対話できるようにするグラフィカルユーザーインターフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含んでいるコンピューティングシステム、又は1つ又はそれ以上のその様なバックエンド、ミドルウェア、又はフロントエンドの構成要素から成る何らかの組合せを含んでいるコンピューティングシステム、に実装することができる。システムの構成要素は、何らかの形態又は何らかの媒体のデジタルデータ通信、例えば、通信ネットワーク、によって相互接続されていてもよい。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、及びインターネットワーク(例えばインターネット)、及びピアツーピアネットワーク(例えばアドホックピアツーピアネットワーク)が含まれる。
[0133]本明細書は多くの詳細を含んでいるが、これらは本開示の範囲又は特許請求されるものの範囲への限定ではなく、むしろ本開示の特定の実施形に固有の特徴の記述であるものと解釈されたい。本明細書中に別々の実施形に照らして記載されている一部の特定の特徴は、更に、組み合わせて単一の実施形に実装することもできる。逆に、単一の実施形に照らして記載されている様々な特徴は、同様に、複数の実施形に別々に又は何らかの適した部分的組合せで実装することもできる。また、特徴は特定の組合せで作用するものとして以上に記載されているかもしれないし、更にはそういうものとして冒頭に特許請求されているかもしれないが、特許請求されている組合せからの1つ又はそれ以上の特徴は、場合によっては、当該組合せから削除されることもあり得るし、また特許請求されている組合せは、部分的組合せ又は部分的組合せの変型へ向けられてもよい。
[0134]同様に、動作は図面では特定の順序に描かれているが、このことは、その様な動作が示されている特定の順序で又は連続した順序で遂行されること、又は所望の結果を実現するのに例示されている動作全てが遂行されること、を要求しているものと理解されてはならない。一部の特定の状況では、マルチタスク処理及び並列処理が有利であるかもしれない。また、上述の実施形態の様々なシステム構成要素の分離は、その様な分離が全ての実施形態で要求されているものと理解されてはならず、また、記載のプログラム構成要素及びシステムは、概して、一体に単一のソフトウェア製品に統合することもできるし、又は複数のソフトウェア製品へパッケージ化することもできるものと理解されたい。
[0135]以上、数多くの実施形を説明してきた。とはいえ、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく様々な修正がなされる余地のあることが理解されるであろう。従って、他の実施形は、付随の特許請求の範囲による範囲内にある。例えば、特許請求の範囲に列挙されている動作は、異なった順序で遂行され、なおも所望の結果を実現させることができる。
10 MR−TOF分析器
11 多重化タンデム多重反射飛行時間型(TOF MS)質量分析計
11C 円筒状分析器
12 イオンミラー
12C 円筒状ミラー
13 電極
14、14C 周期レンズ
15 パルス式イオン源
16 多重化時間選別器
17 断片化セル
18 検出器
19C 中央のイオン軌道
19F フラグメントイオンの平均軌道
19P 親イオンの平均軌道
20 非冗長多重化データシステム
23 折り返し軌道
24 パススルーCID断片化セル
26 SID断片化セル
28 SID断片化セル
32、33 湾曲等時性入口
34 終端偏向器
35、36 イオン軌道
37 外部SID断片化セル
38 「超高速」選別器
41 SID断片化セル
42 静的入射偏向器
43 双極ワイヤイオンゲート(粗ゲート)
43F 細ゲート
44 入射レンズ
45 加速器
46 メッシュ電極
47 表面ホルダ
48 再生可能表面インサート
49、50 二重パルス生成器
51 SID断片化セル
52 偏向器
61 パススルーCIDセル
62、68 静的偏向器
63 時間ゲート
64 入射減速カラム
64L、67L レンズ
65 ガス充填衝突セル
66 出射メッシュ電極
67 出射加速カラム
69、70 双極パルス生成器

Claims (4)

  1. 多重化質量スペクトル分析の方法において、次の段階、即ち、
    複数イオン源のサブセットを形成するためイオンをサンプリングする段階と、
    異なったイオン源からのサンプリングされたスペクトル間に限定的な信号の重なり合いを有する区別できる疎な反復スペクトル信号を形成する段階と、
    質量スペクトルを少なくとも1つの検出器を用いて記録する段階と、
    前記イオンを符号化する段階と、
    前記サンプリングする段階と前記形成する段階と前記スペクトルを記録する段階と前記符号化する段階を、前記源のサブセットを非冗長様式で変えながら繰り返す段階であって、何れかの2つの同時にサンプリングされる源の組合せは固有であり、何れかの特定の源は複数回サンプリングされる、前記サンプリングする段階と前記形成する段階と前記スペクトルを記録する段階と前記符号化する段階を繰り返す段階と、
    全ての個々の源からの信号を、(i)前記符号化する段階によって得られた符号化された信号と(ii)サンプリングされた前記イオンと、を相関付けることによって復号する段階と、を備えている方法。
  2. 前記符号化する段階は、捕捉されたスペクトルの疎性に基づいて自動的に調節される、請求項1に記載の方法。
  3. 非冗長行列に基づいて符号化されている非線形漸進遅延を用いて前記イオン源を遅延させる段階を更に備えている、請求項1に記載の方法。
  4. 前記複数のイオン源は、単一のイオン源の下流で多重化された複数のイオン流れのサブセットと前記単一のイオン源又は複数のパルス式イオン源又はパルス式変換器で生成された複数のイオンパケットのサブセットのうちの一方である、請求項1に記載の方法。
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