以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるカード用トレイが挿入された状態のカード用コネクタを示す図、図2は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタを示す図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるカード用トレイ及びカード用コネクタの分解図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるシェルを取外した状態のカード用コネクタを示す図である。なお、図1及び2において、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は後面図、(d)は斜視図であり、図4において、(a)は上面図、(b)は斜視図、(c)は(a)におけるA−A矢視拡大部分断面図、(d)は(a)におけるB−B矢視拡大部分断面図である。
図において、102は本実施の形態におけるカードモジュールであり、図示されない電子機器の基板等に実装されたカード用コネクタ1に挿入される。つまり、カードモジュール102は、カード用コネクタ1を介して、電子機器に装着される。なお、該電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、スマートフォン、通信モデム、パッド型コンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等であるが、いかなる種類の機器であってもよい。
前記カードモジュール102は、例えば、SIMカード、マイクロSIM(microSIM)カード、MMC(R)、SD(R)カード、miniSD(R)カード、xDピクチャーカード(R)、メモリスティック(R)、メモリスティックDuo(R)、スマートメディア(R)、Trans−Flash(R)メモリカード等のメモリカード自体であってもよい。また、例えば、miniSD(R)カードを内部に収容したSD(R)カード型アダプタのように、カード用コネクタ1に挿入するのに適した形状及び寸法を備え、内部にメモリカードを収容したカード用アダプタであってもよい。さらに、カード用コネクタ1に挿入するのに適した形状及び寸法を備え、内部にメモリカードを収容したカード用トレイであってもよい。要するに、前記カードモジュール102は、カード用コネクタ1に挿入可能であって、該カード用コネクタ1を介して、電子機器と導通可能なものであれば、いかなる種類のモジュールであってもよい。
本実施の形態においては、説明の都合上、カードモジュール102が、図3に示されるようなカード101を収容したカード保持部材としてのカード用トレイ161である場合について説明する。また、前記カード101は、4FF(4th Form Factor)カード、いわゆる、ナノSIM(nanoSIM)カードであるものとして説明する。なお、カードの規格であるETSI TS 102 221 V11.00によると、ナノSIMカードの大きさは、前後長12.3〔mm〕、幅8.8〔mm〕、厚さ0.67〔mm〕と規定されている。
図に示されるように、本実施の形態において、前記カード101は、互いに平行な前端111f及び後端111rと、前記前端111f及び後端111rの両端を連結する互いに平行な一対の側端111sとによって周囲を画定された全体的に略矩(く)形の板状の形状を有する。そして、その表面に、端子部材である図示されない電極パッドが、複数、左右の側端111sに沿って並ぶように、例えば、3つずつ、2列に並ぶように配設されている。すなわち、電極パッドは、カード101の前後方向に延在する2本の列を成すように配列されている。なお、表面と反対側の裏面111bには、電極パッドが配設されていない。
なお、本実施の形態において、カード用コネクタ1、カードモジュール102、カード用トレイ161及びカード101の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、カード用コネクタ1、カードモジュール102、カード用トレイ161、カード101又はそれらの部品が図に示される姿勢である場合に適切であるが、カード用コネクタ1、カードモジュール102、カード用トレイ161、カード101又はそれらの部品の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
前記カード用トレイ161は、金属から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施して一体的に形成された金属部材と、該金属部材の周囲の少なくとも一部を被覆して一体化するように、インサート成形乃至オーバーモールド成形と称される成形方法によって成形された絶縁性の樹脂から成る樹脂部材とを含む概略平板状の部材であるが、全体が金属部材から成るものであってもよいし、全体が樹脂部材から成るものであってもよい。
そして、前記カード用トレイ161は、幅方向に延在し、カード収容凹部166の前後を画定する前枠部165及び後枠部162と、前後方向に延在し、後枠部162の両端と前枠部165の両端とを連結して前記カード収容凹部166の左右を画定する左右一対の側枠部164とを含んでいる。なお、前記後枠部162の後面には、後板部163が一体的に形成されている。また、該後板部163の一端には、前記後板部163を板厚方向に貫通する挿通孔(こう)163aが形成されている。該挿通孔163aは、カード用コネクタ1の後述されるプッシュロッド22の操作部22aを、ピン、ロッド等の補助部材を介して押圧操作する際に、該補助部材を挿通させる孔(あな)である。さらに、前記側枠部164の外側面には、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ161が保持されて固定されるための保持用凹部168が形成されている。
前記カード収容凹部166は、カード用トレイ161をその上面から下面まで貫通する、平面視において、全体的に略矩形の空間である。そして、前記カード収容凹部166内に収容されたカード101は、その側面112が前枠部165、後枠部162及び側枠部164の内側面と対向し、電極パッドが配設された表面がカード用トレイ161の下面に露出する。なお、前枠部165、後枠部162及び側枠部164の内側面には、カード収容凹部166内に収容されたカード101の表面を支持するための庇(ひさし)部164aが、任意の箇所に任意の数だけ形成されている。
なお、前面視において、左右の側枠部164は、前枠部165の両端において、該前枠部165よりも下方に突出する。つまり、カード用トレイ161は、前面視において、略ワ冠状の形状を備える。さらに、前枠部165の下面は、カード収容凹部166内に収容されて保持されたカード101の表面(下面)よりも上方に位置することが望ましい。これにより、カード用トレイ161がカード用コネクタ1に挿入される際に、前枠部165が端子51に接触することが防止される。
また カード用コネクタ1は、主として合成樹脂等の絶縁性材料から成るハウジング11と、導電性の金属から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施すことによって一体的に成形され、ハウジング11の上側に取付けられたカバー部材としてのシェル61とを有する。該シェル61は、概略矩形の天板部62と、該天板部62の側縁から立設する側板部63とを備え、ハウジング11及びカード用コネクタ1に挿入されたカード用トレイ161の少なくとも一部の上方を覆うようになっている。そして、前記カード用コネクタ1は、概略、扁(へん)平な直方体形状を備え、前記電子機器が備える、例えば、プリント配線基板等の基板の表面に取付けられ、後方(図2(a)における下方)の挿入口18から、カード用トレイ161が挿入される。具体的には、ハウジング11とシェル61との間に形成されるカード挿入空間内にカード用トレイ161が挿入される。
また、前記ハウジング11は、金属から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施して一体的に形成された複数の端子51及び下側シェル12を含み、前記端子51及び下側シェル12の周囲の少なくとも一部を被覆して一体化するように、インサート成形乃至オーバーモールド成形と称される成形方法によって成形された絶縁性の樹脂から成る樹脂部材とを含む概略平板状の部材である。なお、前記下側シェル12は、ハウジング11を補強するフレーム部材であって、望ましくは、端子51と同じ部材から形成されるが、前記端子51からは分離されて電気的に絶縁されている。
前記ハウジング11は、概略矩形の平板状の端子保持部としての底壁部11bと、ハウジング11におけるカード用トレイ161の挿入方向(前後方向)前方の前端部11fに沿って幅方向に延在し、底壁部11bより肉厚の奥壁部11aと、ハウジング11における左右両側縁に沿って挿入方向に延在し、底壁部11bより肉厚の一対の側壁部11eとを含んでいる。前記奥壁部11a及び側壁部11eは、その下面が底壁部11bの下面と面一であり、その上面が底壁部11bの上面よりも上方に位置する。なお、ハウジング11におけるカード用トレイ161の挿入方向後方の端部は、後端部11rと称する。
ここで、底壁部11bは、接続端子としての端子51を保持する端子保持凹部11c及びソルダーテール用開口11dを備える。該端子保持凹部11c及びソルダーテール用開口11dは、底壁部11bを板厚方向に貫通する開口である。そして、ソルダーテール用開口11dは、単数であり、すべての端子51のはんだ付部としてのテール部51dが露出するようになっている。該テール部51dは、前記基板が備える導電トレースに接続された図示されない接続パッド等に、はんだ付されることによって、前記導電トレースと確実に導通した状態となる。また、端子保持凹部11cは、複数であって、ハウジング11の前後方向に延在する列を成すように、並んで配設されている。図に示される例では、3つずつ、2列に並ぶように配設されている。すなわち、端子保持凹部11c、及び、各端子保持凹部11c内に1つずつ保持される端子51は、ハウジング11の前後方向に延在する2本の列を成すように配列されている。
端子51は、その基部51aの少なくとも一部が底壁部11bに埋込まれ、テール部51dがソルダーテール用開口11d内に露出し、その他の部分が端子保持凹部11c内に露出している。そして、端子51は、基部51aに基端が連結され、弾性的に変形可能であって、板厚が一定の片持ち梁(はり)(カンチレバー)として機能する腕部51bを備える。該腕部51bは、外力が付与されない状態、すなわち、初期状態においては、図4に示されるような形状を有する。具体的には、前記腕部51bは、図4(c)に示されるように、基部51aと同一平面を形成し、底壁部11bの上面と平行に延在する平板状の平板部51b1と、該平板部51b1の先端に連結され、側面視において曲率中心が上方に位置するような曲面を有する湾曲した形状である湾曲部51b2と、該湾曲部51b2の先端に連結され、底壁部11bの上面より上方に位置する前方部51b3とを備え、その先端が斜め上方を向いている。なお、該前方部51b3は、側面視において、直線状の形状であってもよいし、前記湾曲部51b2と同様の湾曲した形状である部分を含んでいてもよい。さらに、前記腕部51bは、初期状態においては、側面視における形状が変曲点を含んでおらず、しかも、基部51aと一直線になるように連結されている。
また、前記腕部51bは、図4(a)に示されるように、平面視において野球のホームベース状の五角形の外形を有し、その頂点に位置する頂部51cが左右の側壁部11eを向いている。すなわち、各端子51は、カード101又はカード用トレイ161の挿入方向に対して横向きとなるように配設され、各腕部51bは、基部51aからハウジング11の幅方向に延出する。また、各腕部51bの先端(自由端)に位置する頂部51cの両側には、前記頂部51cを通る腕部51bの中心線に対してほぼ対称に傾斜する斜辺部51eが形成されている。該斜辺部51eは、少なくとも前方部51b3の全範囲に亘(わた)って存在し、一部が湾曲部51b2にまで及んでいてもよい。なお、前記頂部51cは、平面視において、先鋭な形状であってもよいが、曲線的な形状であることが望ましい。
さらに、前記腕部51bの中央には、該腕部51bを板厚方向に貫通する開口部51fが形成されている。該開口部51fは、平面視において、腕部51bの先端近傍から基端近傍までの範囲に延在する略菱形の形状を有し、菱形の長軸は腕部51bの延出方向に延在している。より具体的には、開口部51fは、前記腕部51bの中心線に対して対称な形状であって、腕部51bにおける開口部51fを除いた部分の幅寸法(中心線に直交する方向の寸法)が、腕部51bの先端から基端に向うにつれて、リニアに漸増する形状である。これにより、板厚が一定の片持ち梁として機能する腕部51bは、平面視における形状が二等辺三角形の、いわゆる平等強さの梁に近似することができ、長手方向、すなわち、中心線に沿って曲げ応力が一様となる。
前記頂部51cは、端子51の接触部として機能し、腕部51bが備えるばね性によって上方に向けて付勢され、カード用コネクタ1に挿入されたカード用トレイ161内のカード101の電極パッドの各々に接触する。なお、端子51の数及び配列の形態は、カード101の電極パッドの数及び配列の形態に適合するように、適宜変更される。
前記底壁部11bと左右の側壁部11eとの間には、下側シェル12が露出している。そして、各側壁部11eの内側には、カード用トレイ161を保持して固定するための保持用ばね部材25が配設されている。該保持用ばね部材25は、前後方向に延在する細長い板状のばね部材であって、その中央部付近にハウジング11の幅方向内側に向って突出する保持用凸部25aが形成されている。該保持用凸部25aは、カード用トレイ161の保持用凹部168と係合し、これにより、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ161を保持して固定する。
また、前記側壁部11eの一方の内側には、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ161を排出するためのトレイ排出機構におけるトレイ排出操作部材としてのプッシュロッド22が前後方向にスライド可能に取付けられている。該プッシュロッド22は、概略直線的な棒状又は帯板状の部材であるが、その後端部には、屈曲した操作部22aが一体的に接続されている。前記プッシュロッド22の前端部には、イジェクトレバー21の力点部21bと係合する係合部22bが形成されている。前記イジェクトレバー21は、奥壁部11aの近傍に配設されたレバー状の部材であってトレイ排出機構におけるトレイ排出梃子(てこ)部材として機能する。そのため、イジェクトレバー21は、支点部21cにおいて枢動可能に底壁部11bに取付けられている。そして、イジェクトレバー21における前記支点部21cを挟んで力点部21bと反対側の端部は、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ161の前枠部165に当接して、カード用トレイ161に排出方向の力を付与する作用点部21aとして機能する。
さらに、ハウジング11には、カード用コネクタ1に挿入されたカード用トレイ161が、カード用コネクタ1内の所定位置(カード用トレイ161が保持用ばね部材25によって保持されるとともに、カード用トレイ161にカード101が収容されている場合に該カード101の電極パッドが対応する端子51の頂部51cと接触する位置)に到達したことを検出する検出スイッチの可動部材57及び固定部材58が配設されている。カード用トレイ161が前記所定位置に到達していない場合には、可動部材57と固定部材58とが接触しているので、検出スイッチは導通状態、すなわち、オン(ON)になっている。しかし、カード用トレイ161が前記所定位置に到達すると、可動部材57がカード用トレイ161の前枠部165に当接して押され、これにより、可動部材57が変位して固定部材58から離間する。したがって、検出スイッチが非導通状態、すなわち、オフ(OFF)になるので、カード用トレイ161が前記所定位置に到達したことが検出される。
次に、前記構成のカード用コネクタ1の動作について説明する。まず、カード用トレイ161を挿入する場合の動作について説明する。
図5は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタの端子とカードとの接触状態の変化を説明する図である。なお、図において、(1a)〜(4a)は各段階における要部側断面図、(1b)〜(4b)は(1a)〜(4a)におけるC−C矢視部分断面図である。
ユーザは、手指等によって、カードモジュール102としてのカード101が収容されたカード用トレイ161をカード用コネクタ1の後方から挿入口18に挿入する。ここで、カード用トレイ161は、その上面が上を向き、すなわち、シェル61の天板部62と向合い、その下面が下を向き、すなわち、ハウジング11の底壁部11bと向合い、前枠部165がハウジング11の前端部11fの方を向くような姿勢、すなわち、正規姿勢で挿入される。そのため、カード収容凹部166に収容されているカード101は、電極パッドが配設されていない裏面111bが上を向き、電極パッドが配設された表面がカード用トレイ161の下面に露出した状態で下を向く姿勢となっている。なお、カード用トレイ161は、カード101を収容していない状態であっても、カード101を収容した状態であっても、カード用コネクタ1に挿入及び排出することができるが、ここでは、カード101を収容している場合についてのみ説明する。
そして、ユーザがカード用トレイ161を前記挿入口18に挿入して更に進行させると、前記カード用トレイ161は、前記シェル61とハウジング11との間に形成されるカード挿入空間内を前端部11fに向って進行して所定位置に到達する。この際、より詳細には、各端子51は、カード101と当接し、図5に示されるように、徐々に弾性的に変形させられる。なお、図5においては、説明の都合上、カード用トレイ161が省略され、カード101のみが描写されている。また、図5(1a)〜(4a)は、カード101の挿入方向が右方向となるように描写されている。
まず、図5(1a)及び(1b)に示されるように、カード101の前端111fの下端が端子51の腕部51bにおける一方(後端部11r側)の斜辺部51eに当接する。前述のように、腕部51bにおける前方部51b3は底壁部11bの上面より上方に位置し、斜辺部51eは前方部51b3の全範囲に亘って存在するのであるから、下を向いた表面が底壁部11bの上面に沿うようにして挿入されたカード101の前端111fの下端は、常に、後端部11r側の斜辺部51eに当接する。
続いて、カード101が前端部11fに向って進行すると、カード101の前端111fの下端は、後端部11r側の斜辺部51eとの接触を維持した状態で進行する、すなわち、該斜辺部51e上を摺(しゅう)動するので、図5(2a)及び(2b)に示されるように、腕部51bにおける前方部51b3は、下方に押され、弾性的に下方に変位する。
続いて、カード101が前端部11fに向って更に進行すると、カード101の前端111fの下端は、後端部11r側の斜辺部51e上を更に摺動するので、図5(3a)及び(3b)に示されるように、腕部51bにおける前方部51b3は、下方に押され、弾性的に更に下方に変位する。
続いて、カード101が前端部11fに向って更に進行すると、図5(4a)及び(4b)に示されるように、カード101の前端111fの下端が頂部51cを通過するので、該頂部51cは、カード101の下を向いた表面上を摺動する。腕部51bにおける前方部51b3は、これ以上は下方に変位しない。図5(4a)及び(4b)に示されるように、挿入されたカード101によって前方部51b3が最も下方に変位させられた状態であっても、腕部51bは、底壁部11bの下面よりも上方に位置し、該下面よりも下方に突出することがない。したがって、前記下面が基板の上面に当接していても、前記腕部51bが基板の上面に露出している導電トレース等に接触することがなく、短絡が発生することがない。
最終的にカード用トレイ161が所定位置に到達すると、左右一対の保持用ばね部材25の保持用凸部25aが、カード用トレイ161の保持用凹部168と係合する。これにより、カード用トレイ161は、図1に示されるように、前記所定位置に対応する位置において安定的に保持されてロックされ、後方に向けて変位することが防止される。また、カード用トレイ161が前記所定位置に対応する位置に到達すると、イジェクトレバー21の作用点部21aは、前枠部165に押されて進行してハウジング11の奥壁部11aと干渉するので、それ以上進行不能となる。したがって、カード用トレイ161も、それ以上進行不能となる。
さらに、該カード用トレイ161が所定位置に到達すると、検出スイッチの可動部材57が固定部材58から離間する。これにより、検出スイッチがオフになるので、カード用トレイ161が前記所定位置に到達したことが検出される。
次に、カード用トレイ161をカード用コネクタ1から排出させる動作について説明する。
まず、ユーザが手指等によって、ピン、ロッド等の補助部材を、カード用トレイ161の後方から、後板部163に形成された挿通孔163aに挿通させ、前記補助部材の先端をプッシュロッド22の操作部22aに当接させる。そして、ユーザが補助部材を介してプッシュロッド22を押込むと、該プッシュロッド22の係合部22bと係合するイジェクトレバー21の力点部21bが前方に変位する。そのため、イジェクトレバー21の作用点部21aに前枠部165が押されて、カード用トレイ161は、所定位置から後方に向けて変位する。この際、カード用トレイ161の保持用凹部168と保持用ばね部材25の保持用凸部25aとの係合が解除されるので、プッシュロッド22は、カード用トレイ161及びイジェクトレバー21を介して、弾性的に変形させられる保持用ばね部材25が発揮するばね力を主因とする抵抗を受けるが、該抵抗がユーザの手指等が発揮する押圧力よりも小さいので、前記抵抗に抗して前方に移動する。また、検出スイッチがオンになり、カード用トレイ161が所定位置から後退したことが検出される。
これにより、カード用トレイ161の後板部163は、カード用コネクタ1の挿入口18から十分に大きく後方へ突出した状態となる。したがって、ユーザは、手指等によって後板部163を把持することにより、カード用トレイ161をカード用コネクタ1から引出して排出させることができる。
次に、カードモジュール102としてのカード101が収容されたカード用トレイ161が傾斜した姿勢でカード用コネクタ1に挿入された場合について説明する。
図6は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタの端子の具体例を示す図、図7は比較例におけるカード用コネクタの端子を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタの端子の具体例とカードとの接触状態を示す図、図9は比較例におけるカード用コネクタの端子の具体例とカードとの接触状態を示す図である。なお、図6及び7において、(a)は端子の腕部の斜視図、(b)は端子の腕部の上面図、(c)は端子の腕部の側面図、(d)は端子の腕部の後面図、(e)は(c)におけるD−D矢視断面図、(f)は端子の腕部を平板状に変形した場合の上面図であり、図8及び9において、(1a)はカードが傾斜していない姿勢で端子の腕部に当接した状態を示す上面図、(1b)は(1a)におけるE−E矢視断面図、(2a)はカードが傾斜した姿勢で端子の腕部に当接した状態を示す上面図、(2b)は(2a)におけるF−F矢視断面図である。
ここでは、図6に示されるような端子51の具体例を、図7に示されるような比較例と比較しつつ、本実施の形態における端子51の性能について説明する。なお、前記具体例は、本実施の形態における端子51の一例であって、本実施の形態における端子51は前記に限定されるものではない。
本実施の形態における端子51の平面視において、腕部51bの中心線に直交する方向(矢印Gで示されるカード用トレイ161乃至カード101の挿入方向)に対する斜辺部51eの傾斜角の大きさは、35度以上であることが望ましいが、図6(b)に示されるように、具体例では35度である。また、端子51を腕部51bの中心線の後方から視た状態において、底壁部11bの上面に対する斜辺部51eの傾斜角の大きさは、35度以上であることが望ましいが、図6(c)に示されるように、具体例では35度である。この傾斜角は、図5において説明したカード101の前端部111fが斜辺部51e上を摺動する初期における斜辺部51eの傾斜角に相当する。
さらに、端子51を矢印Gで示される挿入方向から視た状態において、底壁部11bの上面に対する、頂部51c近傍の斜辺部51eの傾斜角の大きさは、45度以上であることが望ましいが、図6(d)に示されるように、具体例では45度である。さらに、湾曲した腕部51bを基部51aと同一平面の平板状に変形した場合、平面視における頂部51cの頂角(一対の斜辺部51eの挟み角)の大きさは、90度以上であることが望ましいが、図6(f)に示されるように、具体例では90度である。
これに対し、比較例の端子251では、腕部251bの矢印Gで示される挿入方向に対する斜辺部251eの傾斜角の大きさは、図7(b)に示されるように、51度である。また、端子251を腕部251bの中心線の後方から視た状態において、底壁部11bの上面に対する斜辺部251eの傾斜角の大きさは、図7(c)に示されるように、35度である。さらに、端子251を矢印Gで示される挿入方向から視た状態において、底壁部11bの上面に対する、頂部251c近傍の斜辺部251eの傾斜角の大きさは、図7(d)に示されるように、30度である。さらに、腕部251bを基部251aと同一平面の平板状に変形した場合、平面視における頂部251cの頂角(一対の斜辺部251eの挟み角)の大きさは、図7(f)に示されるように、71度である。
つまり、本実施の形態における端子51では、図6(d)に示されるように、挿入方向から視た状態において、底壁部11bの上面に対する斜辺部51eの傾斜角を比較的大きくする一方で、図6(b)及び(f)に示されるように、斜辺部51eの傾斜角を小さくし、頂部51cの頂角を大きくすることによって、図6(c)に示される斜辺部51eの傾斜角、すなわち、カード101の前端部11fが斜辺部51e上を摺動する初期における斜辺部51eの傾斜角を比較的小さな値に保っている。これに対し、比較例の端子251では、図7(c)に示される斜辺部251eの傾斜角、すなわち、カード101の前端部11fが斜辺部251e上を摺動する初期における斜辺部251eの傾斜角は、本実施の形態における端子51と同等の値であるが、図7(d)に示されるように、挿入方向から視た状態において、底壁部11bの上面に対する斜辺部251eの傾斜角を比較的小さくし、かつ、図7(b)及び(f)に示されるように、斜辺部251eの傾斜角を大きくし、頂部51cの頂角を小さくしている。
なお、比較例の端子251では、図7(e)に示されるように、腕部251bの基端は、屈曲部251zで屈曲されて、基部251aに連結されている。そして、腕部251bは、側面視において、直線状に先端に向けて延在する。したがって、比較例の端子251は、頂部251cの底壁部11bの上面からの突出量は、端子51の頂部51cのそれとほぼ同等であるが、腕部251bにおける底壁部11bの上面から突出した部分の底壁部11bの上面に対する傾斜角、すなわち、図7(d)に示されるような頂部251c近傍の斜辺部251eの傾斜角は、端子51の斜辺部51eのそれよりもかなり小さくなっている。また、比較例の端子251の腕部251bは、側面視における形状が変曲点である屈曲部251zを含んでいる。
ところで、カード101を収容したカード用トレイ161は、正規の姿勢でカード用コネクタ1に挿入される場合には、図8(1a)に示されるように、カード101は、その前端111fが端子51の腕部51bの中心線に平行となった姿勢で、前記腕部51bに当接する。しかしながら、カード101及び/又はカード用トレイ161の寸法誤差、ユーザの不適切な操作等に起因して、図8(2a)に示されるように、カード101が、その前端111fが端子51の腕部51bの中心線に対して傾斜した姿勢で、前記腕部51bに当接することがある。
この場合、本実施の形態における端子51では、挿入方向から視た状態において、底壁部11bの上面に対する斜辺部51eの傾斜角が大きいので、図8(2b)を図8(1b)と比較して分かるように、カード101の前端111fが斜辺部51e上を摺動する初期における斜辺部51eの傾斜角があまり増加しない。したがって、前端111fが斜辺部51e上を摺動しながらカード101が進行する際の抵抗が大きくならず、腕部51bにおける前方部51b3を弾性的に下方に変位させることが容易であり、カード101を容易に進行させることができる。
これに対し、比較例の端子251では、挿入方向から視た状態において、底壁部11bの上面に対する斜辺部251eの傾斜角が小さいので、図9(2b)を図9(1b)と比較して分かるように、カード101の前端111fが斜辺部251e上を摺動する初期における斜辺部251eの傾斜角が大きく増加する。したがって、前端111fが斜辺部251e上を摺動しながらカード101が進行する際の抵抗が大きくなり、腕部251bにおける前方部を弾性的に下方に変位させることが困難になり、カード101を容易に進行させることができなくなってしまう。
つまり、本実施の形態における端子51では、挿入方向から視た状態において、底壁部11bの上面に対する斜辺部51eの傾斜角が大きいので、カード101が傾斜した姿勢であっても、腕部51bにおける前方部51b3を弾性的に下方に変位させることが容易であり、カード101を容易に進行させることができる。なお、挿入方向から視た状態において、底壁部11bの上面に対する斜辺部51eの傾斜角が大きい方が、カード101の姿勢の傾斜の影響を受けにくいことは、仮に前記傾斜角を90度に近い値とした場合には、カード101が傾斜した姿勢になっても、カード101の前端111fが斜辺部51e上を摺動する初期における斜辺部51eの傾斜角があまり大きくならず、仮に前記傾斜角を0度に近い値とした場合には、カード101が傾斜した姿勢になると、カード101の前端111fが斜辺部51e上を摺動する初期における斜辺部51eの傾斜角が極めて大きくなるであろうことからも、理解することができる。
また、本実施の形態における端子51では、斜辺部51eにおいてカード101の前端111fが当接する位置から腕部51bの基端までの距離が、比較例の端子251よりも長くなっている。したがって、腕部51bにおけるばね長が比較例の端子251よりも長く、腕部51bの負荷が低減され、カード101が進行する際の抵抗が大きくならず、腕部51bのばね性をより確実に確保することができる。また、カード101の前端111fが斜辺部51e上を摺動する距離が、比較例の端子251よりも短いので、カード101の受ける損傷を低減することができる。
このように、本実施の形態において、カード用コネクタ1は、一面に電極パッドを備えるカードモジュール102が挿入される。そして、カード用コネクタ1は、カードモジュール102の電極パッドと接触する端子51が配設された底壁部11bを含むハウジング11を備え、端子51は、底壁部11bに保持された基部51aと、基部51aから平面視においてカードモジュール102の挿入方向に対して横向きに延出するカンチレバー状の腕部51bを含み、腕部51bは、側面視において曲率中心が上方に位置するような曲面を有する湾曲した形状である湾曲部51b2と、自由端に位置する頂部51cの両側において腕部51bの延出方向に対して傾斜する一対の斜辺部51eとを含む。
これにより、カードモジュール102の一面に突出部や角部が存在しても、カードモジュール102の挿入及び排出のいずれの際にも、これらの突出部や角部は、斜辺部51eに当接して該斜辺部51e上を摺動することになるので、腕部51bに引掛ることがない。したがって、カードモジュール102の挿入及び排出をスムーズに行うことができ、端子51が損傷を受けたり、塑性変形したりすることがないので、カード用コネクタ1の信頼性は高いものとなる。特に、カードモジュール102がカード101を収容したカード用トレイ161である場合、カード101を収容していない空のカード用トレイ161がカード用コネクタ1に挿入されることがある。このような空のカード用トレイ161の挿入及び排出の際には、カード用トレイ161の前枠部165等が腕部51bに当接する可能性があるが、その場合であっても、前記前枠部165等が斜辺部51eに当接して該斜辺部51e上を摺動することになるので、腕部51bに引掛ることがない。
また、腕部51bは、基部51aに連結され、底壁部11bの上面と平行な平板部51b1と、湾曲部51b2の先端に接続され、頂部51cを含み、底壁部11bの上面より上方に位置する前方部51b3とを更に含む。さらに、腕部51bの側面視における形状は、変曲点を含まず、かつ、基部51aに連結された箇所が基部51aと一直線に連続している。これにより、カードモジュール102の電極パッドには頂部51cが当接するので、カードモジュール102の挿入及び排出の際に、頂部51cによる電極パッドの表面のワイピング効果を期待することができ、電極パッドの表面が清浄されるので、端子51と電極パッドとの導通状態が確実になる。また、腕部51bにおいてカードモジュール102の位置から基部51aまでの距離が長いので、腕部51bにおけるばね長が長くなり、かつ、変曲点がないので曲げ応力が一箇所に集中せず、腕部51bのばね性を確保することができ、電極パッドに対する接圧を高めることができ、腕部51bの負荷が低減される。さらに、カードモジュール102が傾斜した姿勢で挿入されても、斜辺部51e上を摺動しながらカードモジュール102が進行する際の抵抗が大きくならず、腕部51bにおける前方部51b3を弾性的に下方に変位させることが容易であり、カードモジュール102を容易に進行させることができる。
さらに、斜辺部51eは、底壁部11bの上面より上方に位置する部分を含む。したがって、挿入されたカードモジュール102は、確実に斜辺部51eに当接することとなるので、斜辺部51e上を摺動し、腕部51bに引掛ることがない。
さらに、腕部51bは、腕部51bを板厚方向に貫通する開口部51fを含み、開口部51fは、平面視において一方の軸が腕部51bの延出方向に延在する菱形状の形状を有する。なお、腕部51bにおける開口部51fを除いた部分の幅寸法は、腕部51bの自由端から基部51aに向うにつれて、リニアに漸増する。これにより、腕部51bは、いわゆる平等強さの梁となり、その延出方向に沿って曲げ応力が一様となる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図10は本発明の第2の実施の形態におけるシェルを取外した状態のカード用コネクタを示す図である。なお、図において、(a)は上面図、(b)は斜視図である。
本実施の形態において、端子51は、前記第1の実施の形態と同様に、3つずつ、2列に並ぶように、すなわち、ハウジング11の前後方向(カードモジュール102の挿入方向)に延在する2本の列を成すように配列されているが、各列において、端子51のハウジング11の幅方向(カードモジュール102の挿入方向に対して横方向)に関する位置が互いに相違するように配置されている。
具体的には、図10(a)に示されるように、ハウジング11の中心線Yから端子51の頂部51cまでの距離が、ハウジング11の前端部11fに近い端子51ほど短くなるように、各端子51は配置されている。換言すると、左右一対の端子51の頂部51c同士の間隔が、ハウジング11の後端部11rに近付くほど広く、ハウジング11の前端部11fに近付くほど狭くなるように、各端子51は配置されている。なお、中心線Yは、ハウジング11の幅方向の中心を通り、ハウジング11の前後方向に延在する直線であり、左右2列である端子51配列の対称軸である。
また、例えば、ハウジング11の中心線Yから端子51の頂部51cまでの距離が、ハウジング11の前端部11fに近い端子51ほど長くなるように、各端子51を配置することもできる。さらに、例えば、ハウジング11の中心線Yから端子51の頂部51cまでの距離が、右側の列においては、ハウジング11の前端部11fに近い端子51ほど短くなり、左側の列においては、ハウジング11の前端部11fに近い端子51ほど長くなるように、各端子51を配置することもできる。
要するに、各列において、端子51の頂部51cのハウジング11の幅方向に関する位置が互いに相違するように配置されていればよい。
このように、本実施の形態において、端子51はカードモジュール102の挿入方向に延在する列を成すように配列され、この列において、カードモジュール102の挿入方向に対して横方向に関する各端子51の頂部51cの位置が相違する。これにより、カードモジュール102の電極パッドにおいて端子51の頂部51cが当接する位置が、各列における端子51毎に相違するので、カードモジュール102の挿入及び排出の際に、電極パッドの同じ箇所だけを各端子51の頂部51cが摺接してしまうことがなく、電極パッドの同じ箇所だけが摩滅してしまうことがない。
なお、その他の点の構成、作用及び効果については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図11は本発明の第3の実施の形態におけるカード用トレイ及びシェルを取外した状態のカード用コネクタの斜視図、図12は本発明の第3の実施の形態におけるシェルを取外した状態のカード用コネクタの上面図である。
本実施の形態においては、2種類のカード、例えば、マイクロSD(R)カード又はナノSIMカードのいずれかを選択的に使用することができるものであるとする。なお、SD(R)カードの規格策定団体である「SDカードアソシエーション」によると、マイクロSD(R)カードの大きさは、前後長15〔mm〕、幅11〔mm〕、厚さ1.0〔mm〕と規定されている。
したがって、図11に示されるように、本実施の形態におけるカードモジュール102は、図3に示されるような前記第1の実施の形態におけるカードモジュール102とは、形状及び前後方向の寸法がやや異なり、マイクロSD(R)カード又はナノSIMカードのいずれかを選択的に収容することができるようになっているが、その他の点については、前記第1の実施の形態におけるカードモジュール102と同様である。なお、説明の都合上、ここでは、カード101がナノSIMカードである場合についてのみ説明する。
また、図11及び12に示されるように、本実施の形態におけるハウジング11は、端子51に加えて、第2の端子65を更に含んでいる。なお、該第2の端子65は、端子51及び下側シェル12と同様に、インサート成形乃至オーバーモールド成形と称される成形方法によって、周囲の少なくとも一部が被覆され、前記ハウジング11と一体化されている。
そして、本実施の形態において、ハウジング11の底壁部11bは、端子保持凹部11c及びソルダーテール用開口11dに加えて、第2の端子65の露出部を収容保持する第2の端子保持凹部11g及び第2のソルダーテール用開口11hを備える。該第2の端子保持凹部11g及び第2のソルダーテール用開口11hは、底壁部11bを板厚方向に貫通する開口である。
第2の端子保持凹部11g及び第2のソルダーテール用開口11hは、それぞれ、単数であり、第2の端子65は、ハウジング11の幅方向に延在する1本の列を成すように、並んで配設されている。前記第2の端子65は、少なくとも一部が底壁部11bに埋込まれ、また、接触部65cが第2の端子保持凹部11g内に露出し、はんだ付部としてのテール部65dが第2のソルダーテール用開口11h内に露出する。前記接触部65cは、第2の端子65が備えるばね性によって上方に向けて付勢され、カード用コネクタ1内に保持されたカード用トレイ161内のカード101の電極パッドの各々に接触する。また、前記テール部65dは、前記基板に形成された信号線、コンタクトパッド、端子等に、はんだ付等によって電気的に接続される。
前記第2の端子65は、例えば、マイクロSD(R)カードの電極パッドに適合するように配置されたものである。つまり、カード用トレイ161に収容されるカード101の種類がマイクロSD(R)カードである場合、カード101の表面に配設された電極パッドは、第2の端子65の接触部65cに接触する。
本実施の形態においては、端子保持凹部11c及びソルダーテール用開口11dの形態が、前記第1の実施の形態で説明した端子保持凹部11c及びソルダーテール用開口11dの形態と異なっている。
本実施の形態における端子保持凹部11cは、ハウジング11の前後方向に延在する2本の列を成すように並んで形成されている。そして、各端子保持凹部11c内には、端子51が3つずつ収容され、それぞれ、ハウジング11の前後方向に延在する列を成すように配列されている。
また、本実施の形態におけるソルダーテール用開口11dは、ハウジング11の後端部11rに近接し、2つに分かれているが、ハウジング11の幅方向に延在する1本の列を成すように、並んで形成されている。そして、各ソルダーテール用開口11d内には、テール部51dが3つずつ収容され、それぞれ、ハウジング11の幅方向に延在する列を成すように配列されている。
このように、テール部51dがハウジング11の後端部11rに沿って配設されているので、前記テール部51dが基板の接続パッド等に確実にはんだ付されているか否かを目視によって、容易に確認することができる。同様のことは、ハウジング11の前端部11fに沿って配設されている第2の端子65のテール部65dについても言うことができる。
なお、本実施の形態において、端子51は、前記第2の実施の形態と同様に、ハウジング11の前後方向に延在する2本の列を成すように配列され、かつ、各列において、端子51のハウジング11の幅方向に関する位置が互いに相違するように配置されている。つまり、左右一対の端子51の頂部51c同士の間隔が、ハウジング11の後端部11rに近付くほど広くなるように、各端子51は配置されている。
そして、図12に示されるように、左右一対の端子51の底壁部11bに保持された基部51aにおけるハウジング11の幅方向中心側の端部同士の間隔、すなわち、左右一対の端子51の基部51a同士の間隔も、ハウジング11の後端部11rに近付くほど広くなっている。なお、図12において、点線で示されるのは、各端子51において、ハウジング11内に埋没した部分である。
ここで、各端子51のテール部51dは、ハウジング11の後端部11rに沿って並んで配置されているので、各端子51の基部51aとテール部51dとを結ぶ連結脚部51gは、当該端子51よりも後端部11rに近い左右一対の端子51の基部51a同士の間を通過して、前後方向に延在する。具体的には、後端部11rから最も離れた左右一対の端子51の連結脚部51gは、後端部11rから2番目に離れた左右一対の端子51の基部51a同士の間、及び、後端部11rから3番目に離れた(後端部11rに最も近い)左右一対の端子51の基部51a同士の間を通過して前後方向に延在し、対応するテール部51dに到達する。同様に、後端部11rから2番目に離れた左右一対の端子51の連結脚部51gは、後端部11rから3番目に離れた左右一対の端子51の基部51a同士の間を通過して前後方向に延在し、対応するテール部51dに到達する。したがって、前記連結脚部51gは、底壁部11bの厚さ方向に重なり合うことなく、端子51の列の中央を通過するように、並列に配列される。
このように、左右一対の端子51同士の間隔が、ハウジング11の後端部11rに近付くほど広くなるように、各端子51が配置されているので、各端子51の基部51aとテール部51dとを結ぶ連結脚部51gを配設するためのスペースを確保することができ、連結脚部51gの配列を適切に行うことができる。
なお、その他の点の構成、作用及び効果については、前記第1及び第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。