〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係るコネクタ装置の構成例であり、図2は、コンタクトの設置例を示している。図1、図2に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図1に示すコネクタ装置2は、本開示のコネクタ装置の一例であり、カード媒体4を収納させる収納エリア6内に、このカード媒体4と接触させて導通させる複数のコンタクト8を備えている。コネクタ装置2は、たとえばPC(Personal Computer)を含む情報処理装置などに搭載され、カード媒体4を挿抜させて電子データの送受処理を行う外部インターフェースとして機能する。このコネクタ装置2は、コンタクト8を通じて図示しないカード媒体4の端子と接続し、電子データの送受処理を行う。そのほか、コネクタ装置2は、たとえば収納エリア6を形成するケース部10や、コンタクト8に接続される支持端子12(図2)を含んで形成される。
カード媒体4は、本開示のカード媒体の一例であって、コネクタ装置2が搭載された情報処理装置で実行動作させるプログラムやデータなどを格納する外部記憶装置として機能する。カード媒体4は、たとえば情報処理装置の利用者情報や利用者権限ID(IDentification)などの情報を格納するSIM(Subscriber Identity Module)カードや、半導体メモリで構成されたフラッシュメモリカードなどが含まれる。カード媒体4は、たとえば平面部分の一部にコネクタ装置2のコンタクト8と接触させる端子を備えており、コネクタ装置2のケース部10に対して所定の方向に向けてスライドにより挿抜される。そして、コネクタ装置2に挿入されたカード媒体4は、たとえばコネクタ装置2や情報処理装置からの制御情報、または予めカード媒体4に組み込まれた制御情報に基づいて、データの送受信などを行う。
収納エリア6は、カード媒体4を挿抜させるとともに、挿入されたカード媒体4を所定の位置に配置させる領域であって、コネクタ装置2のケース部10によって形成される。ケース部10は、挿抜されるカード媒体4の周囲を支持するとともに、設定したコネクタ装置2の挿抜方向(Y軸方向)に対してカード媒体4をガイドする手段の一例である。ケース部10は、たとえば底面側にカード媒体4が載置される載置面14やカード媒体4の側面周囲を包囲する側壁部16などが含まれ、この載置面14および側壁部16で包囲された範囲に収納エリア6が形成される。収納エリア6の幅は、挿抜させるカード媒体4の外形幅に合わせて形成されればよい。
また、ケース部10は、たとえばカード媒体4の端子が対向する載置面14の一部にコンタクト8を配置させる開口部18が形成されている。
コンタクト8は、収納エリア6に収納されたカード媒体4の端子と導通させて接続する端子部品の一例であり、たとえば銅などの導電性の高い金属で形成される。コンタクト8は、たとえばカード媒体4の端子に接触させる接点部22がケース部10に形成された開口部18から収納エリア6内に露出されている。そしてコンタクト8は、たとえば収納エリア6において、開口部18を形成する載置面14の一部からカード媒体4の挿抜方向(Y軸方向)に対し交差する方向に向けて片持ち梁状に支持されている。そして、コンタクト8は、たとえば自由端側を載置面14よりも高い位置に形成しており、収納部6に挿抜されるカード媒体4の一部に接触可能に設置される。
<コンタクト8の構成について>
図2に示すコンタクト8は、たとえば少なくとも2つの端子辺20−1、20−2を備えており、これらの端子辺20−1、20−2の一端側を合流させ、コンタクト8の自由端側の最上部分を接点部22に設定している。また、端子辺20−1、20−2は、他端側がケース部10の内部において、支持端子12に接続されている。すなわち支持端子12は、収納エリア6の対向側に向けて端子辺20−1、20−2を支持している。
端子辺20−1、20−2は、載置面14よりも高く設置された接点部22について、挿抜されるカード媒体4の一部との接触に応じて接点部22を上下方向に弾性的に変位可能に形成されている。また端子辺20−1、20−2は、たとえば支持端子12を介してケース部10に支持される支持側から接点部22を形成する自由端側に向けて、それぞれ挿抜方向(Y軸方向)に対して直交しない角度で収納エリア6内に配置されている。具体的には、端子辺20−1は、たとえばコンタクト8を上部から視た場合、開口部18から露出させた位置から抜去方向(−Y方向)に所定の角度θ1で延伸されている。また、端子辺20−2は、開口部18から露出された位置から挿入方向(+Y方向)に所定の角度θ2で延伸されている。そして各端子辺20−1、20−2は、自由端側で斜め方向から所定の角度θ1、θ2をもって合流させて接点部22が形成されており、コンタクト8が挿抜方向に対して横向きの「V」字形状で設置されている。
なお、端子辺20−1、20−2の長さや挿抜方向に対する角度の大きさは、同一に設定してもよく、または異なる値に設定してもよい。端子辺20−1、20−2の長さおよび角度を同一にする場合、コンタクト8は、たとえば支持端子12の一部を含み、2等辺三角形状に形成される。端子辺20−1、20−2の長さおよび角度は、接点部22が開口部18内に形成されるように設定される。端子辺20−1、20−2の長さや角度は、たとえばカード媒体4の挿入時に作用する力と抜去時に作用する力の違いに応じて設定してもよい。
このコンタクト8は、端子辺20−1、20−2を挿抜方向に対して直交させないことで、端子辺20−1、20−2の側面部分などがカード媒体4の一部に係止するのを回避している。
支持端子12は、本開示の支持部の一例であり、端子辺20−1、20−2を片持ち梁状で支持するとともに、カード媒体4との接触によってデータなどをコンタクト8と、図示しない基板などの間で送受する。支持端子12は、たとえばケース部10の載置面14の内部側で各端子辺20−1、20−2と接続される。支持端子12は、たとえば図3に示すように、挿抜方向に対して平行に配置され、異なる位置で端子辺20―1、20−2と接続している。支持端子12は、たとえば金属材料の成型処理または加工処理により、端子辺20−1、20−2と同一部材で一体的に形成されてもよい。
コンタクト8は、たとえば図4に示すように、ケース部10の載置面14内に嵌め込まれる支持端子12を支点とし、自由端側に形成される接点部22に向けて上方に傾斜して形成されている。各端子辺20−1、20−2の傾斜角度や形状は、たとえば対称に形成すればよい。コンタクト8は、たとえば各端子辺20−1、20−2の中央部分を捻り形状に形成することにより、接点部22の上面を支持端子12の上面と平行、または平行に近い状態にする。
なお、コンタクト8は、挿抜されるカード媒体4の外装側と接触させる辺を挿抜方向に対して傾斜させた2つの端子辺20−1、20−2が形成されれば、単一の板状部材で形成してもよい。すなわち、コンタクト8は、たとえば傾斜した2つの端子辺20−1、20−2を備えた三角形状の部品であってもよい。
<カード媒体4に対するコンタクト8の接触状態について>
図5は、コネクタ装置2にカード媒体4が挿入された状態例を示している。図5に示す構成は一例である。
カード媒体4は、たとえばコネクタ装置2の載置面14側に向けられる平面側に複数のカード端子24が形成されている。コネクタ装置2の開口部18は、たとえばカード媒体4の各カード端子24の大きさや位置に対してコンタクト8が配置されるように形成され、接点部22のみを接触させている。また、支持端子12は、既述のように、たとえばケース部10の内部に収納され、カード端子24との間に載置面14が介在することで、カード端子24との直接的な接触が阻止されている。
コネクタ装置2は、たとえば収納部6の幅や高さをカード媒体4の大きさや高さに合わせて設計されている。そしてコネクタ装置2は、たとえばカード媒体4の側面や底面を側壁部16などに摺動させながらカード媒体4を摺動させる。
<コネクタ装置2の内部の構成例について>
図6は、コネクタ装置2の収納エリア6の一例であり、図2のVI線矢視図を示している。図6に示す構成例は一例である。
コネクタ装置2は、たとえば収納エリア6内において、端子辺20−1、20−2が上下方向(Z軸方向)に弾性変位可能に設置されている。コンタクト8は、たとえば開口部18に沿って載置面14の下部側に収納された支持端子12によって固定支持されている。またコネクタ装置2は、たとえばケース部10の載置面14に対向して所定の高さにカバー26が設置され、収納エリア6の高さが設定される。この収納エリア6の高さは、たとえばカード媒体4の厚さと同等または所定の空間が設定されている。従って、コンタクト8は、カード媒体4が収納エリア6内に挿抜されると、収納エリア6側に突出させた接点部22を接触状態にすることができる。
<カード媒体4の挿入に対するコンタクト6の変形状態について>
図7、図8は、カード媒体を挿入したときのコンタクトの状態例を示している。図8は、図2のVIII線矢視図である。図7、図8に示す構成は一例である。
カード媒体4は、図7のAに示すように、たとえばコネクタ装置2の収納エリア6に利用者によって所定の力で押込まれると、ケース部10の側壁部16やカバー部26によって挿入方向(+Y方向)に向けてガイドされながら挿入される。このときコンタクト8は、カード媒体4に接触しておらず、初期状態としてたとえば接点部22が初期高さH1で収納エリア6内に突出している。
カード媒体4がさらに収納エリア6内に挿入されると、図7のBに示すように、コンタクト6の端子辺20−2は、たとえばカード媒体4のケースの一部に接触する。このとき端子辺20−2は、支持端子12によって支持されている根元側の、高さの低い部分に接触され、たとえばカード媒体4の接触部分から斜め下方側に向けて力F1で押圧され、変形する。端子辺20−2は、たとえば端子辺20−1側を含むコンタクト8全体の剛性や支持端子12による支持力により、力F1によって挿入方向に引きずられるなどの変形することなく、下方側に弾性変形する。
コンタクト8は、たとえば挿入されてくるカード媒体4との接触に応じて弾性変形しており、接点部22の高さH2がカード媒体4の挿入量によって減少していく。これにより接点部22の高さを低くしていく。コネクタ装置2の挿入孔側に向けられた端子辺20−2は、所定の角度を持って接点部22に向けて上方に傾斜して突出させ、挿入されるカード媒体4の一部を上面上に摺動させることで、カード媒体4の挿入操作による力を受け流している。これにより端子辺20−2は、設定された弾性力によってカード媒体4とコンタクト8の接点部22との接触強度を制限させることで、カード媒体4のケースと接点部22との衝突による損傷を阻止している。
コンタクト8は、たとえば図7のCに示すように、カード媒体4の挿入量が増加して接点部22を通過すると、端子辺20−1、20−2の弾性変形が最大となり、接点部22が最低の高さH3となる。このときコンタクト8は、たとえば図8のAに示すように、端子辺20−1、20−2が支持端子12よる支持部分と同等高さまで押し下げられている。このときコンタクト8は、たとえば接点部22のみがカード媒体4に接触状態となる。
カード媒体4は、たとえば図7のDに示すように、カード端子24の保護やコンタクト8との接触状態維持のために、カード端子24に沿ってケースの一定の範囲に段差部28が形成され、その内部にカード端子24が形成されている。コネクタ装置2は、たとえばカード媒体4の段差部28がコンタクト8上に配置される位置までカード媒体4を挿入可能に設定されている。コンタクト8の接点部22は、たとえば図8のBに示すように、カード媒体4の段差部28が配置されると、この段差部28に沿って変形し、端子辺20−1、20−2の復元力F2によって所定の高さH4(H3<H4)になり、カード端子24と接触状態となる。
<カード媒体4の抜去操作に対するコンタクト6の変形状態について>
図9、図10は、カード媒体を抜去するときのコンタクトの状態例を示している。図9、図10に示す構成は一例である。
カード媒体4は、たとえば図9のAに示すように、カード媒体4の利用者によってコネクタ装置2から抜去方向(−Y方向)に所定の力で引張られると、収納部6から挿入孔側に向けて変位する。このときコンタクト8は、カード媒体4の変位に従って接点部22がカード媒体4の段差部28内を摺動する。
カード媒体4は、たとえば図9のBに示すように、一定の距離まで抜き出されると、段差部28の一端側が端子辺20−1に接触する。端子辺20−1は、既述のように、支持端子12側から接点部22に向けて緩やかに上方に傾斜しており、かつ、接点部22が図10のAに示すように、カード端子24との接触によって高さH4まで下げられている。これにより、段差部28の一端は、カード媒体4の変位において、端子辺20−1の表面部分に対して低抵抗で接触する。このとき、コンタクト8は、段差部28との接触位置において、斜め下方方向に力F3で押圧される。この押圧によりコンタクト8は、端子辺20−1が下方に向けて弾性変形するとともに、接点部22がカード端子24から段差部28を通じて摺動する。
コンタクト8は、たとえば図9のCに示すように、カード媒体4の抜去処理に対し、カード媒体4のケースのうち、カード端子24以外の部分に対して接点部22が摺動状態となる。このときコンタクト8は、たとえば図10のBに示すように、段差部28内の高さH4から最も低い高さH3まで押し下げられる。
コンタクト8は、たとえば図9のDに示すように、カード媒体4の抜去処理により収納エリア6に対するカード媒体4の挿入量が減少し、接点部22とカード媒体4との接触が解除されることで、端子辺20−1、20−2の復元力によって接点部22が突出状態となる。接点部22の高さH2は、たとえば端子辺20−2に対するカード媒体4の接触位置によって決まり、カード媒体4が抜去されるに従って、大きくなる。そして、コンタクト8は、カード媒体4と端子辺20−2との接触が解除されると、図10のCに示すように、高さH1で突出状態となる。
なお、カード媒体4の抜去処理は、たとえば抜去方向(−Y方向)に向けて利用者が引張り力を付加する場合に限られない。コネクタ装置2は、たとえば挿入方向(+Y方向)へカード媒体4が押込まれたのちに、カード媒体4が図示しない弾性力を受けて抜去方向への力を受ける、所謂プッシュオン・プッシュオフ機構を備えてもよい。
<端子辺20−1、20−2の形状について>
図11は、カード媒体に対するコンタクトの接触部分の形成例を示している。図11に示す構成は一例である。
端子辺20−1、20−2は、たとえば図11のAに示すように、少なくともカード媒体4と接触する上面側表面がカード媒体4の挿抜方向に対し、接点部22に向けて曲面形状で形成されている。具体的に端子辺20−2は、たとえば収納エリア6内に挿入されてきたカード媒体4がはじめに接触する外縁側から端子辺20−2の幅方向に沿って内縁側に、一定の幅を下方に反らせた凹形部30が形成されている。また端子辺20−1も同様に、外縁側から端子辺20−1の幅方向に沿って凹形部30が形成されている。この凹形部30は、挿抜方向に対するカード媒体4との接触抵抗を抑えるスロープとして機能する。
凹形部30は、たとえば端子辺20−1、20−2が合流する接点部22に近づくにしたがって幅を減少させ、接点部22には、凹形部30を形成しない。
また端子辺20−1、20−2は、たとえばそれぞれの内縁側から外縁側に、一定の幅で上方に曲面形状で盛上げられた凸形部32が形成されている。また、凸形部32は、カード媒体4を接点部22側にスムーズに導くスロープとして機能する。すなわち、端子辺20−1、20−2は、それぞれの幅方向に対し、断面形状が外縁側と内縁側とで曲面の方向が変えられた、所謂捻れ形状に形成されている。
このように端子辺20−1、20−2の外縁側に曲面状の凹形部30が形成されることで、カード媒体4の挿入時や、抜去時に、カード媒体4のケースの先端部や段差部28などとの接触抵抗を減少させ、カード媒体4またはコンタクト8の変形や損傷を阻止できる。また、端子辺20−1、20−2は、たとえば幅方向の中央側から内縁側に向けて凸形状にすることで、接触したカード媒体4を突出した接点部22側に向けてなめらかに摺動させて導くことができ、挿抜処理における接触抵抗を軽減できる。
各端子辺20−1、20−2に形成された凹形部30および凸形部32は、たとえば図11のBに示すように、カード媒体4の挿入によってコンタクト8が載置面14側に押し下げられた場合でもその形状を維持している。これにより、端子辺20−1、20−2は、カード媒体4の抜去処理において段差部28との接触抵抗を軽減できる。つまり、コンタクト8は、カード媒体4の抜去位置に応じてコンタクト8が弾性力によって形状を復元する場合に、カード媒体4を凹形部30、凸形部32に沿わせることで、接触抵抗を抑えることができる。
なお、端子辺20−1、20−2は、凹形部30と凸形部32とが組み合わされた捻れ形状で形成されているがこれに限られない。端子辺20−1、20−2は、たとえば凹形部30または凸形部32のいずれか一方のみが形成されるものであってもよい。また、コンタクト8は、たとえば複数の端子部材を組み合わせず、既述のように単一の板状部材で形成されている場合、端子辺の外縁側に凹形部30を形成し、コンタクト8の中央側に向けて凸形部32を形成すればよい。
<カード媒体4の挿入に対する端子辺20−2との接触状態について>
図12は、カード媒体に対するコンタクトとの接点の遷移を示している。
支持端子12側から片持ち梁状で支持されたコンタクト8は、たとえば図12に示すように、端子辺20−2が挿抜方向に対して直交させず、角度θ2(図2)で交差方向に向けられている。これによりカード媒体4は、挿入量の増加に従い、端子辺20−2の長さ方向に沿って、接触位置がP1からP2に遷移する。接触位置P1は、端子辺20−2において、コネクタ装置2の挿入孔側に近い部分であって、収納エリア6に挿入されてきたカード媒体4が初期に接触する部分の一例である。
この接触位置P1は、支持端子12によるコンタクト8の支持部側であり、開口部18の内部または収納エリア6の底部側である。そのため端子辺20−2は、接触位置P1において、カード媒体4を端子辺20−2の上面側に接触させることができ、コンタクト8の座屈を回避できるほか、外縁側に凹形部30、内縁側に凸形部32が形成されるので、接触抵抗を抑えられる。すなわち、端子辺20−2は、接触高さを徐々に高くすることで、挿入されるカード媒体4を接点部22側に導くスロープとして機能する。
端子辺20−2は、支持端子12による支持部分から自由端側の接点部22に向けて上方に突出していることから、カード媒体4が収納エリア6内に挿入されるに従って、接触位置がP1からP2に遷移する。接触位置の遷移に従って、コンタクト8は、載置面14側に押し下げられていく。コンタクト8の変位時において、挿入処理されるカード媒体4は、端子辺20−2の凹形部30から凸形部32に向けてガイドされることで、端子辺20−2との摺動による接触抵抗が軽減されている。
また、カード媒体4は、図示しない収納エリア6からの抜去処理においても同様に、たとえば段差部28と端子辺20−1との接触位置が支持端子12による支持部側から接点部22側に向けて変位する。このとき、端子辺20−1は、たとえば抜去方向に直交させない角度θ1で形成されることで、段差部28の変位に応じたコンタクト8の復元により、段差部28との接触をスムーズにする。
斯かる構成によれば、カード媒体の挿抜方向に対してコンタクトの接点部22などの突出部分を対向させないので、挿抜されるカード媒体4の端部や段差部28がコンタクト8の接点部22を形成する突起部分に引っ掛かるのを阻止することができる。カード媒体4に対して、はじめにコンタクト8の低い部分に接触させ、挿抜するに従って端子辺を伝わせることで、端子辺20−1、20−2に対するカード媒体4の接触および摺動がスムーズに行え、端子辺20−1、20−2の座屈やカード媒体4の損傷などを阻止できる。端子辺20−1、20−2の座屈を防止することで、接点部22とカード媒体4との接触を確実に行うことができ、コンタクト8が実装された情報処理装置とカード媒体4とのデータ送受信機能を確保することができる。また従来のように、収納エリア6の高さや接点部22の変位高さなどに応じて、コネクタ装置2が設置される基板などの加工が不要であり、コネクタ装置2の低背化や加工コストの低減、加工手順の省略が図れる。
〔第2の実施の形態〕
図13は、第2の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示している。図13に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図13に示す情報処理装置40は、たとえば携帯電話機や携帯端末装置、またはPCなどが含まれており、内部にSIMカードやSDカードなどのカード媒体52を挿抜可能なコネクタ装置50を備えている。情報処理装置40は、たとえば外装ケースとして、フロントケース42、リアケース44およびリアパネル54が接合されて形成される。接合されたフロントケース42とリアケースは、内部に基板48や、その他の電子部品を収納する収納部46を形成する。またリアパネル54は、リアケース44の背面側に対して接着、またはネジなどの固定部品を利用して接合することで、収納部46を外部から閉止させる。
コネクタ装置50が実装された基板48は、本開示の基板ユニットの一例であり、情報処理装置40の動作制御を実行するためのコンピュータを構成する機能部品が実装されている。この機能部品は、たとえば演算手段であるプロセッサや動作制御プログラムやアプリケーションプログラムを記憶する記憶媒体、そのほか、これらのプログラムを動作させるワークエリアであるメモリなどが含まれる。
図14に示す基板48の構成例は一例であり、コネクタ装置50の実装位置やカード媒体52の挿入方向などは、情報処理装置40の機種などで異なる。この基板48は、たとえば外周側の一部にコネクタ装置50を配置している。そしてコネクタ装置50は、たとえば情報処理装置40の外装方向にカード媒体52を挿抜させる開口部62が配置されている。開口部62の配置方向は、たとえば情報処理装置40の内部の機能部品の実装位置や、基板48上の他の機能部品の配置関係により設定されればよい。
<コネクタ装置50の構成例について>
図15は、コネクタ装置の外観構成例を示している。図16は接続端子の構成例を示している。
コネクタ装置50は、たとえば図15に示すように、周面側の一部に基板48側の端子と接続するための接続端子60が配置されている。この接続端子60は、基板48の周面側に露出させるものに限られず、基板48とコネクタ装置50とを導通させることができれば、たとえばコネクタ装置50の背面側に形成されてもよい。この接続端子60は、コネクタ装置50と基板48とを導通させ、データ通信の送受を行う手段の一例である。
コネクタ装置50は、たとえばケース部10の内部において、載置面14に形成された開口部18からコンタクト8が複数個設置されている。これらのコンタクト8は、たとえば対向する2つの端子辺を備えており、これらの端子辺がカード媒体52の挿抜方向に対して直交しない角度で配置されている。そして、各コンタクト8は、2つの端子辺をケース部10の異なる位置で支持し、片持ち梁状に固定され、その自由端側を接合させてカード媒体52に対する接点部を形成している。そして、コンタクト8は、各端子辺を載置面14側から接点部22に向けて徐々に、カバー26側に向けて突出させており、各端子辺がカード媒体52との接触により弾性変形する。
接続端子60は、たとえば図16に示すように、コネクタ装置50に設置されるコンタクト8毎に設置される。接続端子60は、たとえば各コンタクト8を支持する支持端子12と連結または一体に形成されており、ケース部10の載置面14の内部を通じて、一端側をコネクタ装置50の外周側の所定位置に配置させる。
そして接続端子60は、コンタクト8と収納エリア6に挿入されたカード媒体52との接触によってデータの書込みや読み出しが行われると、そのデータを支持端子12を介して基板48側との間で送受信する。
斯かる構成によれば、支持端子12が各コンタクト8を開口部18側に固定支持するとともに、接続端子60側との間でデータの送受信を行うことで、コネクタ装置50内部の部品点数を抑えることができる。またコンタクト8は、挿抜されるカード媒体52の端部や段差部がコンタクト8の接点部22を形成する突起部分に引っ掛かるのを阻止することができる。さらに、このコネクタ装置50によれば、カード媒体52との接触による座屈を防止するために、従来のようにコンタクト8に形成される接点部22などの突出部分を下向きに曲げる必要がなくなる。従って、コネクタ装置50は、収納エリア6の高さや接点部22の変位高さなどに応じて、コネクタ装置50が設置される基板48などの加工が不要であり、基板ユニットや情報処理装置40の低背化や小型化に寄与することができる。
〔第3の実施の形態〕
図17は、第3の実施の形態に係るコネクタ装置の外観構成例を示している。図17に示す構成は一例であり、本発明が係る構成に限定されない。
図17に示すコネクタ装置70は、本開示のコネクタ装置の一例であり、カード媒体4の収納エリア6内に複数のコンタクト8が同方向に並列に設置されている。このコンタクト8は、たとえば2つの端子辺がケース部10の開口部18内に片持ち梁状に支持され、自由端側同士を合流させて接点部22を形成している。これらの端子辺は、たとえば一端側がカード媒体4の挿抜方向に対して平行に異なる位置で支持され、接点部側に向けて斜め上方に突出状態となっている。また各端子辺は、たとえばケース部10への支持端子12側から接点部22が形成される自由端側に向け、挿抜方向に直交させない角度で交差するように配置されている。これによりコンタクト8は、たとえば挿抜方向に対して横向きの「V」字や「Y」字形状、もしくは横向きに頂角が配置される三角形状となっている。
また、コネクタ装置70は、たとえば各コンタクト8の支持部分側の一部に短絡防止モールド72を備えている。この短絡防止モールド72は、本開示のガード手段の一例であり、カード媒体4のカード端子24とコンタクト8との導通を阻止する。短絡防止モールド72は、たとえば絶縁性の樹脂材料などで形成されている。
コネクタ装置70では、たとえば図18に示すように、収納エリア6内に挿入されたカード媒体4のカード端子24の位置とコンタクト8の配置位置の誤差が生じる場合がある。この誤差は、たとえばカード媒体4のケースの外形寸法や、カード端子24の配置、またはコンタクト8の配置位置などにより生じる可能性がある。
また、カード媒体4は、たとえばSIMカードなどの場合、カード端子24の1つずつがコンタクト8の接点部22との接触範囲よりも広く形成されている場合がある。そしてコネクタ装置70のコンタクト8は、2つの端子辺が接点部22から支持部側に向けて広がって形成されており、カード端子24との接触可能な範囲が広くなっている。これによりカード媒体4の配置位置に誤差が生じると、コンタクト8は、たとえば隣接するカード端子24や、カード端子24間に形成される段差部分などとの接触による短絡(ショート)部分PXが生じるおそれがある。特に、コネクタ装置70を低背化させることで、カード媒体4の挿入によるコンタクト8の押し下げの範囲が小さくなり、復元力をもつ端子辺とカード端子24と接触する可能性が高くなる。すなわち、コンタクト8は、たとえばカード媒体4の挿入位置がずれることで、接点部22が特定のカード端子24に接触するとともに、端子辺の一部がショート部分PXにおいて導通してしまう可能性がある。この場合、カード媒体4は、適切にコネクタ装置70を介してデータ通信が行えなくなるほか、過電流などによりデータの破損などが生じるおそれがある。
<コンタクト8の構成例について>
図19は、コンタクトの設置例を示しており、図20は、短絡防止モールドの設置状態例を示している。図19、図20に示す構成は一例である。
コネクタ装置70は、たとえば図19に示すように、開口部18に露出したコンタクト8について、ケース部10内に配置された支持端子12によって支持される支持部側の一部であり、カード端子24と短絡させない部分に短絡防止モールド72を配置している。短絡防止モールド72は、たとえば各端子辺20−1、20−2の上面側を覆う大きさで形成されており、端子辺20−1、20−2に対して接着や溶接などによって設置されている。
短絡防止モールド72の設置位置および設置範囲は、コネクタ装置70の高さのほか、挿入されるカード媒体4の位置やカード端子24との接触状態に応じて設定し、または調整すればよい。
そのほか、短絡防止モールド72は、たとえば絶縁性材料を端子辺20−1、20−2の表面に蒸着させるなど、表面処理を施してもよい。
短絡防止モールド72は、たとえば図20に示すように、コネクタ装置70にカード媒体4が挿入さると、各端子辺20−1、20−2の弾性変形に伴って下方に変位し、または設置位置を維持している。そして、短絡防止モールド72は、たとえばコンタクト8の接点部22がカード端子24に接触するとき、各端子辺20−1、20−2の支持部側の上面を支持して、端子辺20−1、20−2の一部とカード端子24またはその他の導通部分との接触を阻止する。また、短絡防止モールド72は、カード媒体4の挿入高さが低い場合や、端子辺20−1、20−2の配置位置が高い場合には、カード端子24やその周辺部分に接触するが、カード端子24またはその周辺部品と端子部20−1、20−2とを非導通で接触させる。
斯かる構成によれば、カード媒体4の挿抜方向に対する端子辺20−1、20−の配置方向や表面構造により、カード媒体4の接触および摺動をスムーズに行わせることができ、端子辺20−1、20−2の座屈やカード媒体4の損傷などを阻止できる。さらに、コンタクト8の一部に短絡防止モールド72を配置させることで、カード端子24に対してコンタクト8の接点部22のみを導通させて、コネクタ装置70とカード媒体4との接続を適切に行うことができる。このコネクタ装置70は、カード媒体4との接触による座屈を防止するために、従来のようにコンタクト8に形成される接点部22などの突出部分を下向きに曲げる必要がなく、収納エリア6の高さや接点部22の変位高さなどに応じた基板などの加工が不要である。したがって、コネクタ装置70の低背化や加工コストの低減、加工手順の省略が図れる。
以上説明した実施の形態について、変形例を以下に列挙する。
(1) 上記実施の形態では、コンタクト8を形成する端子辺20−1、20−2は、それぞれ支持端子12による支持部分に、鋭角の角度θ1、θ2で配置され、自由端側に向けて、直線上に形成され、合流部分で接点部22を形成しているが、これに限られない。図21のAに示すコンタクト80は、たとえば支持端子12から自由端側に対して、端子辺80−1、80−2を離間させるように形成し、支持端子12から一定の距離をとった後に合流方向に向けて屈曲させてもよい。つまりコンタクト80は、たとえば端子辺80−1、80−2によって疑似円形、楕円形に形成されてもよい。
端子辺80−1、80−2は、たとえば離間方向から合流方向に向けて屈曲させる屈曲部82が形成されており、この屈曲部82の高さは、支持端子12と同等の高さに設定されている。そして、端子辺80−1、80−2は、屈曲部82から自由端側に向けて所定の角度をもって斜め上方に傾斜させており、接点部88を最高部分に形成している。端子辺80−1、80−2の傾斜部分には、たとえば図21のBに示すように、コンタクト80の幅方向の外縁側に凹形部84を形成し、内縁側に凸形部86が形成されてもよい。
これによりコンタクト80は、たとえば図21のCに示すように、傾斜部分とカード媒体4との接触抵抗を減らすことができる。また、コンタクト80は、屈曲部82の高さを支持端子12と同等にすることで、カード媒体4の挿抜方向に向けて突出した屈曲部82をカード媒体4の挿抜経路上に配置させない。これにより、コンタクト80は、挿抜されるカード媒体4のケースやその他の段差部などに対して屈曲部82などが引っ掛かるのを回避し、座屈の発生やカード媒体4の損傷を防止できる。
(2) 上記実施の形態では、コンタクト8は、端子辺20−1、20−2を形成する2つの部材で形成されている場合を示したが、これに限られない。コンタクト8は、たとえば2以上の複数の部材を含んで形成されてもよい。この場合コンタクト8は、たとえば挿抜されるカード媒体4に外縁側で接触する端子辺20−1、20−2を構成する部材の内側に、支持部材を備えてもよい。これらの支持部材は、たとえば支持端子12に片持ち梁状に支持され、自由端側を接点部22で合流させればよい。そして支持部材は、たとえば接点部22を基準にし、挿抜方向に対向させるように、複数本を含んで形成してもよい。
次に、以上述べた実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
(付記1)挿抜されるカード媒体の周囲を支持するとともに、挿抜方向に前記カード媒体をガイドするケース部と、
前記カード媒体の端子と接触する接点部を形成し、前記カード媒体の挿抜に伴って該接点部を上下方向に弾性的に変位させる複数の端子辺と、前記ケース部の一部に設置され、異なる位置で前記端子辺の一端を片持ち梁状に支持する支持部とを含むコンタクトと、
を備え、
前記コンタクトは、
前記支持部が挿抜方向に沿って前記ケース部内に設置され、前記カード媒体が収納される収納エリアの対向側に向けて前記端子辺を支持し、
前記端子辺が挿抜方向に直交しない角度で前記収納エリア内に配置され、他の端子辺と合流して自由端側に前記接点部を形成するとともに、前記支持部側から前記接点部に向けて上方に傾斜させて配置されることを特徴とする、コネクタ装置。
(付記2)前記接点部は、前記ケース部の収納位置に配置された前記カード媒体の端子位置に合わせて形成することを特徴とする、付記1に記載のコネクタ装置。
(付記3)前記端子辺は、少なくとも前記カード媒体との接触部分を挿抜方向に向けて、曲面形状で形成されることを特徴とする、付記1または付記2に記載のコネクタ装置。
(付記4)前記端子辺は、挿抜方向に向けて前記カード媒体との接触部分の曲面方向を変える捻れ形状で形成されることを特徴とする、付記3に記載のコネクタ装置。
(付記5)前記コンタクトは、挿抜に応じて前記カード媒体の一部を前記端子辺の上面上に摺動させたのちに、前記接点部を前記カード媒体の前記端子に接触させることを特徴とする、付記1ないし付記4のいずれか1つに記載のコネクタ装置。
(付記6)前記ケース部は、所定位置に挿入された前記カード媒体の前記端子の配置位置に応じて、複数個の前記コンタクトが同方向に配置されることを特徴とする、付記1ないし付記5のいずれか1つに記載のコネクタ装置。
(付記7)さらに、前記端子辺は、一部に前記カード媒体の前記端子部分との導通を阻止するガード手段を備えることを特徴とする、付記1ないし付記6のいずれか1つに記載のコネクタ装置。
(付記8)内部に挿入させたカード媒体に対してデータの書込みまたは読み出しを行うコネクタ装置と、
前記コネクタ装置と導通し、前記カード媒体との間でデータの送受信を行う端子を備えた基板と、
を含み、
前記コネクタ装置は、前記カード媒体の周囲を支持するとともに、挿抜方向に前記カード媒体をガイドするケース部と、
前記カード媒体の端子と接触する接点部を形成し、前記カード媒体の挿抜に伴って該接点部を上下方向に弾性的に変位させる複数の端子辺と、前記ケース部の一部に設置され、異なる位置で前記端子辺の一端を片持ち梁状に支持する支持部とを含むコンタクトと、
を備え、
前記コンタクトは、
前記支持部が挿抜方向に沿って前記ケース部内に設置され、前記カード媒体が収納される収納エリアの対向側に向けて前記端子辺を支持し、
前記端子辺が挿抜方向に直交しない角度で前記収納エリア内に配置され、他の端子辺と合流して自由端側に前記接点部を形成するとともに、前記支持部側から前記接点部に向けて上方に傾斜させて配置されることを特徴とする、基板ユニット。
以上説明したように、本発明の好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。