JP6396684B2 - 撥水撥油性ポリエステル繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents

撥水撥油性ポリエステル繊維構造物およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、パーフルオロオクタン酸およびパーフルオロオクタンスルホン酸の排出が抑制されるとともに、撥水撥油性に優れるポリエステル繊維構造物に関する。
繊維製品に撥水性および撥油性を付与するため、フッ素樹脂系撥水撥油剤が広く使用されている。特許文献1では、ポリエステル繊維を含む繊維構造物(以下、ポリエステル繊維構造物と称す)を、タンニン酸および酸性染料固着剤からなる処理液を用いて浸漬処理した後、フッ素系撥水撥油加工剤で処理する方法が提案されている。
従来、フッ素系撥水撥油剤としては、撥水性能の点で、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を側鎖に有する樹脂が用いられてきた。このようなフッ素系撥水撥油剤が環境中に排出され、分解されると、パーフルオロオクタン酸(以下、PFOAと称す)やパーフルオロオクタンスルホン酸(以下、PFOSと称す)を生成する可能性がある。PFOAやPFOSは、近年、環境や人体への蓄積性、有害性が指摘されている。そのため、フッ素系撥水撥油剤の構成単位であるモノマーが有するパーフルオロアルキル基の炭素数を6以下にすることによって、PFOAおよびPFOSを生成させないことが提案されている。
しかし、炭素数が6以下であって、アルキル基の水素全てがフッ素に置換されたアルキル基(パーフルオロアルキル基)を側鎖に有するフッ素樹脂(以下、短鎖PFAフッ素樹脂と称す)をポリエステル繊維構造物に付与して得られる撥水撥油性ポリエステル繊維構造物は、洗濯後の撥水撥油性(以下、洗濯耐久性と称す場合がある)が不十分であることが指摘されている。これに関して、特許文献2は、短鎖PFAフッ素樹脂と架橋剤とを併用する方法を提案している。特許文献3は、短鎖PFAフッ素樹脂と、パラフィン系化合物、脂肪族アマイド系化合物、アルキルエチレン尿素系化合物、シリコーン系化合物などのフッ素元素を含有しない撥水性化合物との混合物を繊維に付着させる方法を提案している。また、特許文献4は、トリアジン環含有化合物皮膜を介して、短鎖PFAフッ素樹脂を層状に固着させる方法を提案している。
特開平08−246347号公報 特開2011−214216号公報 特開2007−247091号公報 特開2007−247090号公報
しかし、上記いずれの方法においても、洗濯耐久性は不十分である。さらに、厚手のポリエステル繊維構造物に対しては、初期の撥水撥油性も十分ではない。
すなわち、本発明の第一の局面は、ポリエステル繊維を含む繊維構造物と、前記繊維構造物の表面に付着するカチオン性化合物と、前記カチオン性化合物を介して前記繊維構造物の表面に付着するアニオン性化合物と、前記アニオン性化合物を介して前記繊維構造物の表面に付着するフッ素樹脂と、を含み、前記アニオン性化合物の重量平均分子量が、30,000〜70,000であり、前記フッ素樹脂が、炭素鎖である主鎖と炭素数6以下の含フッ素アルキル基である側鎖とを含む重合体を含む、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物に関する。これにより、PFOAおよびPFOSの排出が抑制されるとともに、初期の撥水撥油性および洗濯耐久性が向上する。
アニオン性化合物は、ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種と、ホルムアルデヒドとの縮合生成物を含む。カチオン性化合物は、不飽和アミン塩酸塩および不飽和カルボン酸アンモニウム塩よりなる群から選択される少なくとも1種に由来するユニットを含む重合体を含む。初期の撥水撥油性および洗濯耐久性が、さらに向上するためである。
フッ素樹脂の高速液体クロマトグラフィ質量分析計で測定されるPFOAおよびPFOSの濃度は、それぞれ5ng/g未満であることが好ましい。PFOAおよびPFOSの排出が、さらに抑制されるためである。
本発明の第二の局面は、ポリエステル繊維を含む繊維構造物の表面に、カチオン性化合物を付与する第1工程と、前記カチオン性化合物が付与された前記繊維構造物の表面に、アニオン性化合物を付与する第2工程と、前記アニオン性化合物が付与された前記繊維構造物の表面に、フッ素樹脂を付与する第3工程と、を含み、前記アニオン性化合物の重量平均分子量が、30,000〜70,000であり、前記フッ素樹脂が、炭素鎖である主鎖と炭素数6以下の含フッ素アルキル基である側鎖とを含む重合体を含む、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物の製造方法に関する。前記アニオン性化合物は、ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種と、ホルムアルデヒドとの縮合生成物を含み、前記カチオン性化合物は、不飽和アミン塩酸塩および不飽和カルボン酸アンモニウム塩よりなる群から選択される少なくとも1種に由来するユニットを含む重合体を含む。これにより、PFOAおよびPFOSの排出が抑制されるとともに、初期の撥水撥油性および洗濯耐久性が向上する。
前記第2工程は、pH3〜6の条件下で行われることが好ましい。初期の撥水撥油性および洗濯耐久性が、さらに向上するためである。
本発明によれば、PFOAおよびPFOSの排出が抑制されるとともに、初期の撥水撥油性および洗濯耐久性に優れる繊維構造物を得ることができる。さらに、本発明によれば、繊維構造物として、厚手の繊維構造物を用いた場合であっても、初期の撥水撥油性および洗濯耐久性を向上させることができる。
ナイロン繊維を含む繊維構造物(以下、ナイロン繊維構造物と称す)に短鎖PFAフッ素樹脂による撥水撥油加工を施す場合、ナイロン繊維構造物を酸性染料固着剤などのアニオン性化合物からなる処理液で前処理した後、短鎖PFAフッ素樹脂を付与することが行われる。これにより、洗濯耐久性は向上する。しかし、ポリエステル繊維構造物に対して同じ前処理を施しても、ナイロン繊維構造物と同等の洗濯耐久性を得ることはできない。この理由は、以下のように考えられる。繊維構造物に対する撥水撥油加工は、通常、水系で行われる。水中でのポリエステル繊維構造物の表面電位はマイナスであるため、アニオン性化合物との間に静電反発力が生じる。よって、アニオン性化合物は、ポリエステル繊維構造物に固着されにくい。その結果、後工程でアニオン性化合物を介して付与される短鎖PFAフッ素樹脂は、固着されていないアニオン性化合物とともに、脱落し易くなるものと考えられる。
特許文献1では、アニオン性の化合物であるタンニン酸および酸性染料固着剤を用いて、ポリエステル繊維構造物に前処理を施している。そのため、洗濯耐久性が十分ではない。特許文献4では、ポリエステル繊維構造物の表面を、非イオン性であるトリアジン環含有化合物で処理した後、短鎖PFAフッ素樹脂を付与している。そのため、ポリエステル繊維構造物の表面にアニオン性化合物が固着されにくく、その後に付与される短鎖PFAフッ素樹脂も脱落し易くなる。
本実施形態においては、水中での表面電位がマイナスであるポリエステル繊維構造物にカチオン性化合物を付着させた後、アニオン性化合物を付着させる。すなわち、カチオン性化合物を介して、繊維構造物にアニオン性化合物を付着させる。カチオン性化合物は、静電引力によりポリエステル繊維構造物に強固に付着する。アニオン性化合物もまた、静電引力により、カチオン性化合物に強固に付着する。つまり、アニオン性化合物は、カチオン性化合物を介して繊維構造物に強く付着している。さらに、アニオン性化合物の重量平均分子量が大きいため、繊維構造物の表面に形成される皮膜強度が大きい。
次いで、ポリエステル繊維構造物に、アニオン性化合物を介して、炭素鎖である主鎖と炭素数6以下の含フッ素アルキル基である側鎖とを含む重合体を含むフッ素樹脂を付着させる。このフッ素樹脂はカチオン性であるため、フッ素樹脂もまた、アニオン性化合物に強固に付着する。すなわち、ポリエステル繊維構造物に、フッ素樹脂がカチオン性化合物およびアニオン性化合物を介して強固に付着するため、洗濯耐久性が向上する。
フッ素樹脂とアニオン性化合物との付着は、フッ素樹脂の主鎖である炭素鎖が、アニオン性化合物の陰イオン性基に静電引力により引き付けられることで生じる。そのため、側鎖である炭素数6以下の含フッ素アルキル基は、ポリエステル繊維構造物とは反対の方向に安定して配向する。その結果、初期の撥水撥油性も向上する。なお、フッ素樹脂の炭素鎖とポリエステル繊維との間の静電引力は、フッ素樹脂の炭素鎖とアニオン性化合物の陰イオン性基との間の静電引力よりも弱い。そのため、ポリエステル繊維を含むポリエステル繊維構造物に直接、フッ素樹脂を付与しても、含フッ素アルキル基の配向は安定せず、所望の撥水撥油性は得られない。
[ポリエステル繊維構造物]
ポリエステル繊維構造物は、ポリエステル繊維を含んでいる。ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオキシエトキシベンゾエート、ポリエチレンナフタレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどの重合体を含む。ポリエステル繊維は、これらの重合体を単独で含んでいても良く、2種以上を含んでいても良い。また、これら重合体と、付加的成分として、イソフタル酸、アジピン酸、スルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、プロピレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールなどのジオール成分との共重合体であっても良い。さらに、前記重合体に加えて、ポリエチレングリコールを含んでいても良い。
ポリエステル繊維構造物は、ポリエステル繊維の他、ウール、綿、麻、シルクなどの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの再生繊維、ナイロン繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維などを含んでいてもよい。ポリエステル繊維は、ポリエステル繊維構造物に、20〜100質量%含まれていることが好ましい。
繊維構造物の形態は特に限定されず、例えば、織物、編物、不織布などが挙げられる。また、目付も特に限定されず、例えば、10〜400g/m2である。本実施形態によれば、厚手(例えば目付150〜400g/m2)の繊維構造物であっても、初期および洗濯後の撥水撥油性を向上させることができる。。また、ポリエステル繊維構造物は、分散染料などで染色されていてもよい。
[カチオン性化合物]
ポリエステル繊維構造物の少なくとも表面に、カチオン性化合物が付着している。
カチオン性化合物は、分子内に少なくとも1つの陽イオン性基を有している。そのため、水中での表面電位がマイナスであるポリエステル繊維構造物との間に静電引力が生じ、カチオン性化合物は、ポリエステル繊維構造物に強く付着する。
陽イオン性基としては、アミノ基、アンモニウム基、ホスホニウム基などが挙げられる。なかでも、アミノ基および/またはアンモニウム基を少なくとも1つ有していることが好ましい。アミノ基を有するカチオン性化合物としては、モノアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン塩酸塩、ジメチルアリルアミン塩酸塩などの不飽和アミン塩酸塩に由来するユニットを含む重合体などが挙げられる。アンモニウム基を有するカチオン性化合物としては、(メタ)アクリル酸第4級アンモニウム塩などの不飽和カルボン酸アンモニウム塩や第4級アンモニウム塩型スチレンに由来するユニットを含む重合体などが挙げられる。上記重合体は、これらモノマーの単独重合体であっても良く、2種以上を組み合わせた共重合体であっても良い。また、不飽和アミン塩酸塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合体であっても良い。
特に、カチオン性化合物は、不飽和アミン塩酸塩および不飽和カルボン酸アンモニウム塩よりなる群から選択される少なくとも1種に由来するユニットを含む重合体を含むことが好ましい。ポリエステル繊維との間の静電引力が大きく、ポリエステル繊維構造物に付着し易いためである。上記重合体は、例えば、カチオン性化合物の80質量%以上を占めることが好ましい。
カチオン性化合物の重量平均分子量は、200,000〜500,000であることが好ましい。ポリエステル繊維構造物の風合いを損なうことなく、ポリエステル繊維構造物に強く付着できるためである。また、カチオン性化合物は、ポリエステル繊維構造物に対して0.01〜20質量%付着していることが好ましく、0.1〜5質量%付着していることがより好ましい。カチオン性化合物の付着量がこの範囲であると、後工程で付与されるアニオン性化合物がより付着し易い。
[アニオン性化合物]
カチオン性化合物が付着したポリエステル繊維構造物の少なくとも表面には、カチオン性化合物を介して、重量平均分子量30,000〜70,000のアニオン性化合物が付着している。アニオン性化合物は、陰イオン性基を有している。そのため、アニオン性化合物の陰イオン性基は、カチオン性化合物の陽イオン性基に静電引力により引き付けられた、アニオン性化合物とカチオン性化合物とが、ポリエステル繊維構造物上で強く結びつく。
アニオン性化合物の重量平均分子量は30,000〜70,000であり、30,000〜50,000であることが好ましい。ポリエステル繊維構造物の風合いを損なうことなく、ポリエステル繊維構造物に強く付着できるためである。アニオン性化合物の重量平均分子量が70,000を超えると、ゲル化するおそれがある。
アニオン性化合物は、分子内に1個以上の陰イオン性基と2個以上のベンゼン環とを有する化合物であることが好ましい。陰イオン性基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、メルカプト基などが挙げられる。アニオン性化合物の同一分子内に含まれる陰イオン性基は、1種類であっても2種類以上であっても良い。
なかでも、アニオン性化合物としては、フェノール化合物およびチオフェノール化合物が好ましい。具体的には、フェノールスルホン酸、ジヒドロキシジフェニルスルホン、ノボラック型フェノール樹脂とメタンスルホン酸との共重合体、ベンジル化フェノールスルホン酸、その他のフェノール性OH基を有する化合物、チオフェノール、さらにこれらの金属キレート化合物やこれらの誘導体とホルムアルデヒドとの縮合生成物が挙げられる。縮合生成物の具体例としては、フェノールスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物、ビスフェノールS/ホルムアルデヒド縮合物、チオフェノール/ホルムアルデヒド縮合物などが例示できる。
なかでも、ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種と、ホルムアルデヒドとの縮合反応により得られる縮合生成物(以下、ジヒドロキシジフェニルスルホン化合物と称する場合がある)であることが好ましい。
ジヒドロキシジフェニルスルホンは、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンであっても良いし、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンであっても良い。ジヒドロキシジフェニルスルホンの誘導体としては、アルキル化ジヒドロキシジフェニルスルホン、フッ素原子、塩素原子などを有するハロゲン化ジヒドロキシジフェニルスルホン、およびこれらの混合物が挙げられる。なかでも、4,4’−または2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンが好ましい。なお、ジヒドロキシジフェニルスルホン化合物は、ジヒドロキシジフェニルスルホンと、ホルムアルデヒドとして、パラホルムアルデヒドとの縮合反応で生成した化合物であっても良い。
アニオン性化合物は、ポリエステル繊維構造物に対して、0.01〜20質量%付着していることが好ましく、0.1〜5質量%付着していることがより好ましい。アニオン性化合物の付着量がこの範囲であると、後工程で付与されるフッ素樹脂の付着性がより向上する。
[フッ素樹脂]
アニオン性化合物が付着したポリエステル繊維構造物の表面に、アニオン性化合物を介して、主鎖として炭素鎖を含み、側鎖として炭素数が6以下の含フッ素アルキル基を含む重合体を含むフッ素樹脂が付着している。
フッ素樹脂の高速液体クロマトグラフィ質量分析計(LC−MS)で測定されるPFOAおよびPFOSの濃度は、それぞれ5ng/g未満であることが好ましい。PFOAは、フッ素樹脂に不純物として混入している場合がある。PFOSは、フッ素樹脂の製造過程で生成することが指摘されている。フッ素樹脂の高速液体クロマトグラフィ質量分析計(LC−MS)で測定されるPFOAおよびPFOSの濃度が、それぞれ5ng/g未満であると、このフッ素樹脂を用いてコーティングした繊維構造物は、例えばEU(European Union)における規制値(繊維製品における基準値:1μg/m2以下)を下回ることが可能となる。
フッ素樹脂は、例えば、不飽和カルボン酸含フッ素アルキルエステルの重合体である。不飽和カルボン酸としては、特に限定されず、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。含フッ素アルキル基としては、アルキル基の炭素数が6以下であればよく、特に限定されない。また、アルキル基の水素の少なくとも1つは、フッ素に置換されている。特に、すべての水素がフッ素に置換されたパーフルオロアルキル基であることが、撥水撥油性の点で好ましい。炭素数が6以下の含フッ素アルキル基は、例えば、側鎖の80質量%以上を占めることが好ましい。これにより、フッ素樹脂が分解した場合であっても、炭素数が8であるPFOAやPFOSが生成するのを抑制することができる。
このようなフッ素樹脂としては、市販されている、「ユニダインTG−5601」、「ユニダインTG−5541」および「ユニダインTG−5543」(以上、ダイキン工業株式会社製)、「NKガードS−07」、「NKガードS−09」、「NKガードS−55」、「NKガードS−80」および「NKガードS−750」(以上、日華化学株式会社製)、「アサヒガードE−081」、「アサヒガードE−082」、「アサヒガードE−092」、「アサヒガードE−500D」および「アサヒガードE−700」(以上、旭硝子株式会社製)、「マックスガードFX−850」、「マックスガードFX−860」および「マックスガードFX−880」(以上、株式会社京絹化成製)、「パラガードAF660」(大原パラヂウム化学株式会社製)、「PF−10」、「PF−20」および「PF−30」(以上、松本油脂製薬株式会社製)、「Nuva N2114」(クラリアントジャパン株式会社製)、「スコッチガードPM3622」、「スコッチガードPM490」および「スコッチガードPM930」(以上、住友スリーエム株式会社製)などが好ましく例示される。これらフッ素樹脂は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
フッ素樹脂は、皮膜強度の向上、付着性の改善のために、N−メチロール化合物、ケトン樹脂、アセタール樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂などと混合して用いても良い。なかでも、皮膜強度および風合いの面から、N−メチロール化合物を併用することが好ましい。
フッ素樹脂の重量平均分子量は、5,000〜5,000,000であることが好ましい。フッ素樹脂の重量平均分子量がこの範囲であると、洗濯耐久性がより向上する。
フッ素樹脂は、ポリエステル繊維構造物に対して0.02〜10質量%付着していることが好ましく、0.5〜3質量%付着していることがより好ましい。フッ素樹脂の付着量がこの範囲であると、初期および洗濯後の撥水撥油性がより向上する。
以下、本実施形態の一例を、工程ごとに詳細に説明する。
(1)第1工程:カチオン性化合物の付与工程
まず、ポリエステル繊維構造物の少なくとも表面に、カチオン性化合物を付与する(カチオン化処理)。
カチオン性化合物は、溶媒に溶解させた状態で、ポリエステル繊維構造物の表面に付与される。溶媒としては、水のみであっても良いし、エタノール、イソプロピルアルコールなどの水溶性有機溶媒と水との混合溶媒であっても良い。なかでも、取扱い性の点で、水のみであることが好ましい。
ポリエステル繊維構造物にカチオン性化合物を付与する方法としては、パディング法などの連続式付与法、吸尽法などのバッチ式付与法が挙げられる。なかでも、カチオン性化合物のポリエステル繊維構造物への付与を確実に行える点で、バッチ式付与法が好ましい。
バッチ式付与法により付与する場合、浴比、すなわち、ポリエステル繊維構造物とカチオン性化合物を含む溶液(以下、カチオン化処理剤と称する)との重量比(ポリエステル繊維構造物:カチオン化処理剤)は、1:10〜1:50が好ましく、1:15〜1:35であることがより好ましい。処理温度は、30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。浴比および処理温度がこの範囲であれば、ポリエステル繊維構造物の少なくとも表面に、ムラなく、十分な量のカチオン性化合物を付着させることが容易となる。処理時間は、通常、1〜80分間であり、好ましくは5〜50分間である。
バッチ式付与法により付与する場合、カチオン化処理剤におけるカチオン性化合物の濃度は、0.1〜20%owfが好ましく、0.5〜10%owfがより好ましい。連続式付与法により付与する場合、カチオン化処理剤におけるカチオン性化合物の濃度は、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。カチオン性化合物の濃度がこの範囲であれば、ポリエステル繊維構造物の風合いを損なうことなく、ポリエステル繊維構造物の少なくとも表面に、十分な量のカチオン性化合物を付着させることが容易となる。
カチオン化処理剤は、カチオン性化合物の架橋反応を促進させる化合物(以下、固着反応剤と称す)を含むことが好ましい。これにより、カチオン性化合物のポリエステル繊維構造物への付着性がより向上する。固着反応剤としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の水酸化物などが挙げられる。カチオン化処理剤における固着反応剤の濃度は、0.1〜20g/Lであることが好ましい。
カチオン化処理剤のpHは、7〜12であることが好ましい。カチオン化処理剤のpHがこの範囲であれば、ポリエステル繊維構造物を損傷することなく、ポリエステル繊維構造物の少なくとも表面に、十分な量のカチオン性化合物を付着させることが容易となる。また、固着反応剤によるカチオン性化合物の架橋反応が、さらに促進される。
ポリエステル繊維構造物にカチオン性化合物を付与した後、過剰に付与されたカチオン性化合物を、水洗などにより除去することが好ましい。カチオン性化合物の除去が不充分であると、処理液中で微粒子の凝集、沈殿などが発生するおそれがある。カチオン性化合物が付与されたポリエステル繊維構造物は、必要に応じて乾燥処理が施され、次のアニオン性化合物の付与工程に供される。
また、本実施形態においては、本工程に先立って、ポリエステル繊維構造物を分散染料などで染色してもよい。染色を行う場合、染色後にソーピング処理が行われる。このとき、処理液にカチオン性化合物とソーピング剤とを添加して、カチオン性化合物の付与とソーピング処理とを、同時に行ってもよい。この場合、非イオン性のソーピング剤を用いることにより、カチオン化処理に影響を与えずにソーピング処理することができる。
(2)第2工程:アニオン性化合物の付与工程
次いで、カチオン性化合物が付与されたポリエステル繊維構造物の少なくとも表面に、アニオン性化合物を付与する(アニオン化処理)。
アニオン性化合物は、溶媒に溶解させた状態で、ポリエステル繊維構造物の表面に付与される。溶媒としては、水のみであっても良いし、エタノール、イソプロピルアルコールなどの水溶性有機溶媒と水との混合溶媒であっても良い。なかでも、取扱い性の点で、水のみであることが好ましい。
ポリエステル繊維構造物にアニオン性化合物を付与する方法としては、パディング法などの連続式付与法、吸尽法などのバッチ式付与法が挙げられる。なかでも、アニオン性化合物のポリエステル繊維構造物への付与を確実に行える点で、バッチ式付与法が好ましい。処理条件は特に限定されず、処理温度は50〜100℃程度であれば良く、処理時間は10〜30分であれば良い。
バッチ式付与法により付与する場合、浴比、すなわち、ポリエステル繊維構造物とアニオン性化合物を含む溶液(以下、アニオン化処理剤と称する)との重量比(ポリエステル繊維構造物:アニオン化処理剤)は、1:10〜1:100が好ましく、1:20〜1:50であることがより好ましい。浴比がこの範囲であれば、ポリエステル繊維構造物の少なくとも表面に、ムラなく、十分な量のアニオン性化合物を付着させることが容易となる。
バッチ式付与法により付与する場合、アニオン化処理剤におけるアニオン性化合物の濃度は、0.1〜20%owfが好ましく、0.5〜10%owfがより好ましい。連続式付与法により付与する場合、アニオン化処理剤におけるアニオン性化合物の濃度は、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。アニオン性化合物の濃度がこの範囲であれば、ポリエステル繊維構造物の風合いを損なうことなく、ポリエステル繊維構造物の少なくとも表面に、十分な量のアニオン性化合物を付着させることが容易となる。よって、後工程で付与されるフッ素樹脂とポリエステル繊維構造物との固着性が、より向上する。
アニオン化処理剤のpHは、3〜6であることが好ましく、3〜5であることがより好ましい。アニオン化処理剤のpHがこの範囲であれば、カチオン性化合物とアニオン性化合物とを十分に付着させることが容易となる。pHの調整には、酢酸、ギ酸、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。
ポリエステル繊維構造物にアニオン性化合物を付与した後、過剰に付与されたアニオン性化合物を、水洗などにより除去することが好ましい。アニオン性化合物の除去が不充分であると、処理液中で微粒子の凝集、沈殿などが発生するおそれがある。アニオン性化合物が付与されたポリエステル繊維構造物は、必要に応じて乾燥処理が施され、次のフッ素樹脂の付与工程に供される。
(3)第3工程:フッ素樹脂の付与工程
次いで、アニオン性化合物が付与されたポリエステル繊維構造物の少なくとも表面に、フッ素樹脂を付与する(フッ素処理)。
フッ素樹脂は、溶媒に溶解または分散させた状態で、ポリエステル繊維構造物の表面に付与される。溶媒としては、水のみであっても良いし、エタノール、イソプロピルアルコールなどの水溶性有機溶媒と水との混合溶媒であっても良い。なかでも、取扱い性の点で、水のみであることが好ましい。
ポリエステル繊維構造物にフッ素樹脂を付与する方法としては、捺染法、パディング法、コーティング法、スプレー法などの連続式付与法、吸尽法などのバッチ式付与法が挙げられる。なかでも、簡便である点で、パディング法が好ましい。パディング法を用いる場合、絞り率(ピックアップ率)は、40〜100%であることが好ましい。
連続式付与法により付与する場合、フッ素樹脂を含む溶液または分散液(以下、まとめてフッ素処理剤と称する)におけるフッ素樹脂の濃度は、1〜25質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。フッ素樹脂の濃度がこの範囲であれば、ポリエステル繊維構造物の風合いを損なわない。また、チョークマークやクラックマークなどを発生させることなく、ポリエステル繊維構造物の少なくとも表面に、十分な量のフッ素樹脂を付着させることが容易となる。その結果、得られるポリエステル繊維構造物は、優れた撥水撥油性を発揮することができる。
ポリエステル繊維構造物にフッ素樹脂を付与した後、乾燥処理および熱セットが施される。乾燥処理および熱セットの条件は特に限定されず、適宜設定することができる。
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例における性能の評価は、以下の方法に従った。また、評価結果を表3に示す。
[評価方法]
(1)撥水性
JIS L1092法のスプレー試験に従い、フッ素樹脂付与後のポリエステル繊維構造物の初期、洗濯5回後および洗濯20回後の撥水性を評価した。撥水性の評価は、表1に基づいて行った。
Figure 0006396684
(2)撥油性
A.A.T.C.C標準試験法118−1983に従い、フッ素樹脂付与後のポリエステル繊維構造物の初期、洗濯5回後および洗濯20回後の撥油性を評価した。撥油性の評価は、表2の各種油に対する耐性に基づいて行った。
Figure 0006396684
また、試料の洗濯は、試料をタテ20cm×ヨコ20cmの正方形に切り取り、JIS L0217 103法に従い、連続して20回行った。
[実施例1]
(ポリエステル繊維構造物の準備)
ポリエステル平織物(経糸:ポリエステル繊維、167dtex/48f、緯糸:ポリエステル繊維、167dtex/48f、目付:200g/m2)に、常法に従い、精練、前処理およびプレセットを行った後、分散染料で染色(浸染)した。
(カチオン性化合物の付与)
染色されたポリエステル平織物に、ソーピング剤およびカチオン性化合物を含むカチオン化処理剤(pH10)を、吸尽法により付与した。浴比(ポリエステル繊維構造物の質量:カチオン化処理剤の質量)を1:20として、処理温度90℃で20分間処理を行った。カチオン性化合物の付着量は、ポリエステル平織物に対して1質量%であった。カチオン化処理剤の組成を以下に示す。
カチオン化処理剤
カチオン性化合物(3%owf):アリルアミン塩酸塩またはジアリルアミン塩酸塩に由来するユニットを含む重合体含有、重量平均分子量300,000、センカ株式会社製、AFI−03
ソーピング剤(1g/L):非イオン系界面活性剤、日華化学株式会社製、リポトールTC−350
炭酸ナトリウム塩(2g/L):株式会社トクヤマ製
(アニオン性化合物の付与)
続いて、カチオン性化合物が付与されたポリエステル平織物に、アニオン性化合物を含むアニオン化処理剤1(pH4)を、吸尽法により付与した。浴比(ポリエステル繊維構造物:アニオン化処理剤1)は1:20として、処理温度80℃で15分間処理を行った後、150℃で1分間、乾燥した。アニオン性化合物の付着量は、ポリエステル平織物に対して1質量%であった。アニオン化処理剤1の組成を以下に示す。
アニオン化処理剤1
アニオン性化合物(3%owf):ジヒドロキシジフェニルスルホン/ホルムアルデヒド縮合物、重量平均分子量40,000、オー・ジー長瀬カラーケミカル株式会社製、SZ9904
酢酸(0.5ml/L):日本酢ビ・ポバール株式会社製
(フッ素樹脂の付与)
次に、アニオン性化合物が付与されたポリエステル平織物に、フッ素樹脂を含むフッ素処理剤を、パディング法(絞り率:70%)により付与した。次いで、130℃で90秒間の乾燥を行った後、150℃で60秒間の熱セットを行い、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物を得た。フッ素樹脂の付着量は、ポリエステル平織物に対して1.8質量%であった。フッ素処理剤の組成を以下に示す。
フッ素処理剤
フッ素樹脂(6質量%):ポリ(パーフルオロヘキシルアクリレート)、重量平均分子量50,000、旭硝子株式会社製、アサヒガードE−500D
N−メチロール化合物(0.5質量%):住友化学工業株式会社製、スミテックスレジンM3
反応触媒(0.1質量%):住友化学工業株式会社製、スミテックスアクセローターACX
[実施例2]
以下に示すアニオン化処理剤2(pH4)を用いて、パディング法(絞り率:70%)によりアニオン性化合物を付与したこと以外は、実施例1と同様にして、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物を得た。
アニオン化処理剤2
アニオン性化合物(0.5質量%):ジヒドロキシジフェニルスルホン/ホルムアルデヒド縮合物、重量平均分子量40,000、オー・ジー長瀬カラーケミカル株式会社製、SZ9904
酢酸(0.2質量%):日本酢ビ・ポバール株式会社製
[実施例3]
繊維構造物として、ポリエステルを65質量%および綿を35質量%含むポリエステル平織物(経糸:167dtex/48f、緯糸:167dtex/48f、目付:200g/m2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物を得た。
[実施例4]
アニオン化処理剤1に替えて、以下に示すアニオン化処理剤3(pH7)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物を得た。
アニオン化処理剤3
アニオン性化合物(3%owf):ジヒドロキシジフェニルスルホン/ホルムアルデヒド縮合物、重量平均分子量40,000、オー・ジー長瀬カラーケミカル株式会社製、SZ9904
酢酸(0.2ml/L):日本酢ビ・ポバール株式会社製
[比較例1]
カチオン化処理剤に替えて、以下に示すソーピング処理剤を用いたこと、および、アニオン化処理剤1による処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物を得た。
ソーピング処理剤
ソーピング剤(1g/L):非イオン系界面活性剤、日華化学株式会社製、リポトールTC−350
炭酸ナトリウム塩(2g/L):株式会社トクヤマ製
[比較例2]
カチオン化処理剤に替えて、上記ソーピング処理剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物を得た。
[比較例3]
アニオン化処理剤1に替えて、以下に示すアニオン化処理剤4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物を得た。
アニオン化処理剤4
アニオン性化合物(3%owf):芳香族スルホン酸誘導体、重量平均分子量100、明成化学工業株式会社製、メナ25
酢酸(0.5ml/L):日本酢ビ・ポバール株式会社製
[比較例4]
アニオン化処理剤1に替えて、以下に示すアニオン化処理剤5(pH4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物を得た。
アニオン化処理剤5
アニオン性化合物(3%owf):ポリアクリル酸塩、重量平均分子量15,000、センカ株式会社製、エスカッター800
酢酸(0.5ml/L):日本酢ビ・ポバール株式会社製
Figure 0006396684
表3からわかるように、カチオン性化合物およびアニオン性化合物を付与した後に、フッ素樹脂を付与した実施例1〜4では、撥水性について、初期は5級、洗濯20回後でも3級以上であった。また、撥油性については、初期は4級、洗濯20回後でも3級であった。
一方、カチオン性化合物およびアニオン性化合物を付与しなかった比較例1では、初期の撥水性は3−4級であり、不十分であった。さらに洗濯20回後では1級となった。カチオン性化合物を付与せずにアニオン性化合物を付与した後、フッ素樹脂を付与した比較例2は、初期の撥水性には優れるものの、洗濯耐久性が不十分であった。使用したポリエステル平織物には、染色の前処理剤であるカチオン性の薬剤が残留している場合がある。しかし、このような残留物では、アニオン性化合物の付着性が十分ではなく、洗濯耐久性が低下したものと考えられる。分子量の小さいアニオン性化合物を付与した比較例3および4では、初期の撥水性は比較的良好であったが、洗濯耐久性が低下していた。撥油性については、いずれも初期で3級であり、不十分であった。フッ素樹脂の側鎖である含フッ素アルキル基の配向が、不安定なためだと考えられる。
本発明の撥水撥油性ポリエステル繊維構造物は、初期および洗濯後の撥水撥油性に優れるため、スポーツウエア、アウトドア用品、水着などの素材として用いることができる。

Claims (4)

  1. ポリエステル繊維を含む繊維構造物と、
    前記繊維構造物の表面に付着するカチオン性化合物と、
    前記カチオン性化合物を介して前記繊維構造物の表面に付着するアニオン性化合物と、
    前記アニオン性化合物を介して前記繊維構造物の表面に付着するフッ素樹脂と、を含み、
    前記アニオン性化合物の重量平均分子量が、30,000〜70,000であり、
    前記フッ素樹脂が、炭素鎖である主鎖と炭素数6以下の含フッ素アルキル基である側鎖とを含む重合体を含み、
    前記アニオン性化合物が、ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種と、ホルムアルデヒドとの縮合生成物を含み、
    前記カチオン性化合物が、不飽和アミン塩酸塩および不飽和カルボン酸アンモニウム塩よりなる群から選択される少なくとも1種に由来するユニットを含む重合体を含む、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物。
  2. 前記フッ素樹脂の高速液体クロマトグラフィ質量分析計で測定されるパーフルオロオクタン酸およびパーフルオロオクタンスルホン酸の濃度が、それぞれ5ng/g未満である、請求項1に記載の撥水撥油性ポリエステル繊維構造物。
  3. ポリエステル繊維を含む繊維構造物の表面に、カチオン性化合物を付与する第1工程と、
    前記カチオン性化合物が付与された前記繊維構造物の表面に、アニオン性化合物を付与する第2工程と、
    前記アニオン性化合物が付与された前記繊維構造物の表面に、フッ素樹脂を付与する第3工程と、を含み、
    前記アニオン性化合物の重量平均分子量が、30,000〜70,000であり、
    前記フッ素樹脂が、炭素鎖である主鎖と炭素数6以下の含フッ素アルキル基である側鎖とを含む重合体を含み、
    前記アニオン性化合物が、ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種と、ホルムアルデヒドとの縮合生成物を含み、
    前記カチオン性化合物が、不飽和アミン塩酸塩および不飽和カルボン酸アンモニウム塩よりなる群から選択される少なくとも1種に由来するユニットを含む重合体を含む、撥水撥油性ポリエステル繊維構造物の製造方法。
  4. 前記第2工程が、pH3〜6の条件下で行われる、請求項に記載の撥水撥油性ポリエステル繊維構造物の製造方法。
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