JP5958016B2 - 繊維構造物 - Google Patents

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本発明は、パーフルオロオクタン酸(以下PFOA)やパーフルオロオクタンスルホン酸(以下PFOS)の排出を抑えた環境に配慮した撥水性繊維構造物であり、洗濯耐久性に優れた撥水性と繊維構造物内部への水の進入を抑えた、いわゆる、含水率を抑えた繊維構造物に関するものである。
繊維製品において撥水性、撥油性の機能を付与するのに、フッ素系撥水撥油剤が広く使用されているが、これら撥水撥油剤は炭素数が8以上のパーフロロアルキル基を有するものであった。かかる撥水成分は環境中に排出された場合に分解して、環境や人体への蓄積性、有害性が問題視されているPFOAやPFOS)を発生する可能性が指摘されている。このようなことから撥水撥油剤の炭素数を6以下にすることによってPFOAが発生しないフッ素系撥水剤を使用した繊維製品が要望されている。
しかしながら、炭素数6以下のパーフロロアルキル基を有する撥水撥油剤は炭素数が8以上のパーフロロアルキル基を有する撥水撥油剤に比べ、撥水性能、特に洗濯耐久性が劣ることが問題となっている。
耐久性を向上させるために非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤を併用する方法や(特開2011−214216)、トリアジン環含有化合物皮膜を介してフッ素系撥水撥油剤を層状に固着させる方法(特開2007−247090)、またフッ素元素を含有しない撥水性化合物であるパラフィン系化合物、脂肪族アマイド系化合物、アルキルエチレン尿素系化合物、シリコーン系化合物などとフッ素系撥水撥油剤を混合し繊維上に付着させる方法(特開2007−247091)などが提案されている。
非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤を使用する方法については、非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネートは、水に分散させ親水成分を含有するため撥水性能を低下させる方向にあるのに加え、反応性が高いため撥水加工時に長時間加工することが難しく、性能が不安定になりやすいという問題がある。また、繊維上に形成された撥水性樹脂は、高反応な故に非常に硬い樹脂となるため、洗濯や着用時の物理的な揉みや摩耗によって樹脂に亀裂が入り水中に浸漬した場合など、布帛構造内部に水を含み耐久性が低下するものである。
トリアジン環含有化合物皮膜を介してフッ素系撥水撥油剤を層状に固着させた場合も同様で、トリアジン環含有化合物皮膜自体が硬い皮膜であり特に実際に衣料として着用した場合など張力がかかり、布帛が伸張された場合などにおいては十分な撥水性が得られないものであった。
また、単純にパラフィン系化合物、脂肪族アマイド系化合物、アルキルエチレン尿素系化合物、シリコーン系化合物などのフッ素元素を含有しない撥水性化合物を併用しても、フッ素系撥水剤の撥水性レベルを逆に低下させてしまう場合が多いのが現状である。
ここで使用されているシリコーン系化合物はアミノ変性シリコーンやメチルハイドロジェンポリシロキサンであるが、これらは単独で撥水性を示し剥離性が良いことから、フッ素系撥水剤との接着性が悪く、相乗効果は起こらず、逆にフッ素系撥水剤が脱落しやすくなるため耐久性を低下させてしまうものであった。
特開2011−214216号公報 特開2007−247090号公報 特開2007−247091号公報
本発明の目的は、PFOAの排出を抑えた環境に配慮した撥水剤を使用した繊維構造物であり、洗濯耐久性に優れた撥水性と、繊維構造物内部への水の進入を抑えた、いわゆる、含水率を抑えることができる合成繊維含有繊維構造物を提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、次の手段を採用するものである。
(1) 高速液体クロマトグラフ−質量分析計(LC−MS)で測定した時のPFOAおよびPFOSの濃度が、いずれも5ng/g未満であるフッ素系撥水剤および環状シリコーン含有重合物による樹脂皮膜が繊維表面に付与されポリウレタン系弾性繊維を含む繊維構造物であって、該樹脂皮膜がメラミン樹脂および/またはイソシアネート化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする合成繊維含有繊維構造物。
(2) 該フッ素系撥水剤が炭素数6以下のフロロアルキル基を有するアクリレート共重合体を含有することを特徴とする(1)に記載の合成繊維含有繊維構造物。
(3) 該フッ素系撥水剤と環状シリコーン含有重合物の混合比率が1:0.05〜0.2であることを特徴とする(1)または(2)に記載の合成繊維含有繊維構造物。
(4) 該環状シリコーン含有重合物のガラス転移点が5℃以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の合成繊維含有繊維構造物。
(5) 該環状シリコーン含有乳化重合物がオクタメチルシクロテトラシロキサンと側鎖両末端基ジメチルアミノポリシロキサンからなる乳化重合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の合成繊維含有繊維構造物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の合成繊維含有繊維構造物を用いてなる水着。
本発明によれば、PFOA等の排出を抑えた環境に配慮した撥水剤を使用した繊維構造物でありながら、優れた撥水性を有する繊維構造物を得ることができる。本発明は、通常の構造からなる繊維構造物はもとより、特に布帛上に設けられた皮膜が破壊されやすい伸縮性の大きい繊維構造物や、実際に衣料として着用した場合の張力がかかった場合においても優れた撥水性を示すものである。さらにかかる繊維構造物は、はじく撥水性だけでなく、水中に浸漬した場合においても繊維構造物への水の進入を抑え含水率を抑制でき優れた撥水性を示すものである。
本発明は、前記課題、すなわちPFOAおよびPFOSの排出を抑えた繊維構造物の撥水性の向上および低含水率について鋭意検討した結果、高速液体クロマトグラフ−質量分析計(LC−MS)で測定した時のPFOAおよびPFOSの濃度が、いずれも5ng/g未満であるフッ素系撥水剤および環状シリコーン含有重合物による皮膜を形成させた、ポリウレタン系弾性繊維を含む繊維構造物であって、かつ、該皮膜にメラミン樹脂及び/またはイソシアネート化合物を含有させることによりかかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
本発明のフッ素系撥水撥油剤に含有されるPFOA、PFOSの量は高速液体クロマトグラフ−質量分析計(LC−MS)で測定したときに、PFOA、PFOSのそれぞれが、いずれも定量下限の5ng/g未満であることが必要であり、好ましくは検出下限の1ng/g未満である。
かかる撥水剤は新たな製造法を用いて前記の環境負荷物の発生を無くしたものや、従来の製造法の過程で、様々な手法を用いて環境負荷物を回収したもの等を使用することができる。中でも炭素数6以下のフルオロアルキル基を有する化合物含有のフッ素系撥水剤が好ましく用いられる。具体的には「ユニダインTG−5601」(ダイキン工業(株)製)、「TG−5541」(ダイキン工業(株)製)、「TG−5543」(ダイキン工業(株)製)、「NKガードS−07」(日華化学(株)製)、「NKガードS−09」(日華化学(株)製)、「NKガードS−55」(日華化学(株)製)、「NKガードS−80」(日華化学(株)製)、「アサヒガードAG−E061」(旭硝子(株)製)、「アサヒガードE−081」(旭硝子(株)製)、「アサヒガードE−082」(旭硝子(株)製)、「アサヒガードE−092」(旭硝子(株)製)、「アサヒガードE−500D」(旭硝子(株)製)、「マックスガードFX−850」((株)京絹化成 製)、「マックスガードFX860」((株)京絹化成 製)、「マックスガードFX−880」((株)京絹化成 製)、「パラガードAF660」(大原パラヂウム化学(株)製)、「PF−10」(松本油脂製薬(株)製)、「PF−20」((株)京絹化成 製)、「PF−30」((株)京絹化成 製)、「NUVA2114」(クラリアントジャパン(株)製)、「スコッチガードPM3622」(スリーエム(株)製)、「スコッチガードPM490」(スリーエム(株)製)、「スコッチガードPM930」(スリーエム(株)製)などが好ましく使用でき、各々混合されることも問題はない。
かかる撥水剤の中でも特に炭素数6以下のフルオロアルキル基を有するアクリレート共重合体を含有することが好ましい。アクリレート共重合体とメタクリレート共重合体を比較するとメタクリレート共重合体の方が、分子構造が硬く、フルオロアルキル基の配向が乱れにくいため撥水性が得られやすいとされている。しかし繊維構造物が伸張された場合などは逆に樹脂皮膜が壊れやすい傾向にあり、分子構造が柔らかいアクリレート共重合体を含有している撥水剤が好ましいと考えられる。具体的には「ユニダインTG−5601」「TG−5541」「TG−5543」「NKガードS−07」「NKガードS−09」「NKガードS−55」「NKガードS−80」などは、特に好ましいものである。
本発明においてはかかるフッ素系撥水剤と環状シリコーン含有重合物の皮膜中における固形分混合比率(重量)が、フッ素系撥水剤:環状シリコーン含有重合物=1:0.05〜0.2であることが好ましい。
フッ素系撥水剤に対する環状シリコーン含有重合物の混合比率(固形分重量)が0.05より少ないと皮膜耐久性の効果を十分に向上させる効果が低く、また0.2より多いと、フッ素系撥水剤の示す撥水性能を逆に低下させる傾向がある。
本発明の環状シリコーン含有重合物とは、環状シリコーンと重合体および重合触媒、界面活性剤および水を組み合わせて一緒に混合し、加熱することで乳化重合物としたものである。触媒には、シロキサン結合を開裂できる縮合重合触媒が含まれ、これは強酸、例えば置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族スルホン酸、塩酸及び硫酸;ならびに強塩基、例えば四級化アンモニウムヒドロキシド及び金属ヒドロキシドなどが挙げられる。
乳化重合物中、環状シリコーンは、10〜30%(重量比)の割合で含有されていることが好ましい。
環状シリコーンとともに用いられる重合体としては、側鎖の一部にアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基等を有するジメチルポリシロキサン等が挙げられ、なかでも、側鎖の一部にアミノ基を有するジメチルポリシロキサンが好ましく用いられる。またガラス転移点として5℃以下であることが好ましい。フッ素系撥水剤と同様にガラス転移点が低いことで樹脂として柔軟性が向上し、また粘着性が向上するためフッ素系撥水剤とかかる環状シリコーン含有重合物とが繊維上に付与された場合に、皮膜に亀裂などが入りにくく、フッ素系撥水剤の耐久性を向上させることができる。
ガラス転移点が5℃より高い重合体では、これら効果が十分に発揮されず、フッ素系撥水剤の耐久性を向上させる効果が低い上に、逆にフッ素系撥水剤と環状シリコーン含有重合物との接着性が低下することで耐久性を低下させてしまう場合がある。
本発明の環状シリコーンについては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられるが、中でもオクタメチルシクロテトラシロキサンが揮発性等の問題から取扱いが容易であるなどの点で好ましい。
市販されているものとしては、「FZ−4658」(東レ・ダウコーニング(株)製)、「FZ−4640」(東レ・ダウコーニング(株)製)、「BY−22−856SR」(東レ・ダウコーニング(株)製)、「SM−8709SR」(東レ・ダウコーニング(株)製)、「MA−11B」((株)京絹化成 製)などが挙げられる。
かかる環状シリコーンは、重合体とで開環重合することで粘度が向上し粘着性を示す樹脂になる。
本発明の「フッ素系撥水剤と環状シリコーン含有重合物による皮膜」とは、例えば、以下の方法により、皮膜化したものをいう。
PFOAおよびPFOSの濃度が5ng/g未満であるフッ素系撥水剤および環状シリコーン含有重合物と、メラミン樹脂および/またはイソシアネート化合物とを混合したエマルジョン溶液に繊維構造物を浸漬した後、拡布の状態で一定の圧力で絞り、80〜140℃で乾燥し、その後160〜200℃の温度で熱処理するパッド・ドライ・キュア法や、蒸熱処理するパッド・スチーム法、または、かかるエマルジョン溶液の中に繊維構造物を浸漬した状態で30〜130℃まで温度を上げる浴中法などが好ましい。
本発明においては繊維構造物の内部まで十分にエマルジョン溶液を浸透させることが重要であることからスプレー法などの表面のみにエマルジョン溶液を付与する方法は好ましくない。
場合によっては、より内部に浸透させるために浸透剤を併用することが好ましく、浸透剤としては撥水性能に影響が少ないイソプロピルアルコールやメチルセロソルブなどが挙げられる。
PFOAおよびPFOSの濃度が5ng/g未満であるフッ素系撥水剤および環状シリコーン含有重合物の繊維への付着量としては、布帛重量に対し、0.5wt%〜3.0wt%であることが好ましい。0.5wt%より少ないと水をはじく撥水度としては、ある程度の性能を示すものの、樹脂皮膜が薄いため伸張時に皮膜が壊れやすいと推察され、水中に浸漬した場合の含水率が高くなり、また3.0wt%を越えても撥水度は変わらない上に、樹脂が硬くなると推察されるため、逆に含水率は悪くなるものである。
本発明のメラミン樹脂としては、トリメチロールメラミンからヘキサメチロールメラミンまでの各種メラミンから選ぶことができる。
メラミン樹脂は多量に使用すると架橋効果は向上するものの、風合いは硬化する傾向にある。十分な架橋効果を得る一方、柔軟な風合いを維持する観点から、繊維構造物全重量に対し、固形分で0.01〜1wt%、さらには0.02〜0.5wt%付与するのが好ましい。
メラミンの硬化触媒としては、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛などの無機酸塩やギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、アクリル酸アンモニウム、こはく酸アンモニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、こはく酸アルミニウム、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、こはく酸亜鉛などが好ましい。
また本発明のイソシアネート化合物としては、分子中に2個以上のブロックドイソシアネート官能基を含む有機化合物を用いることができる。具体的には、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルトリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、グリセリントリレンジイソシアネートなどに対し、加熱時に解離して活性なイソシアネート基が再生するフェノール、マロン酸ジエチルエステル、メチルエチルケトオキシム、重亜硫酸ソーダ、ε−カプロラクタム等を反応させてイソシアネート基をブロックした化合物がある。
イソシアネート化合物は多量に使用すると架橋効果は向上するものの、風合いの効果、加工時の熱黄変や、染色堅牢度を低下させるなどの問題がある。十分な架橋効果を得る一方、これらの問題を防止する観点から、繊維構造物全重量に対し、固形分で0.01〜2wt%、さらには0.03〜1.5wt%付与するのが好ましい。
ブロックイソシアネートの熱分離速度の向上と熱解離温度の低下とを促進するために用いる解離触媒を用いてもよく、触媒としてはジブチルスズジオレート、ジブチルスズステアレート、ステアリル亜鉛、有機アミン化合物が好ましい。
本発明の繊維構造物において、布帛としては、織物、編物、不織布等が用いられる。中でも、撥水性や、含水率抑制効果は、布帛を伸張した際においても軽減されないという特徴を有し、伸縮率が大きな布帛において特に優れた効果を発揮する。
伸縮率の大きな繊維構造物としては、編物や、収縮率の異なる糸を混繊させたり、撚をかけたりした糸を用いた織物や、繊維自身に伸縮性を有するポリトリメチレンテレフタレートやポリウレタン弾性繊維を含んだ編物、織物などが挙げられるが、特に好ましくはポリウレタン弾性繊維を含む繊維構造物である。その他の繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維など挙げられ、これら繊維を単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
ポリウレタン弾性繊維を含むことで伸張性は大幅に向上するが、通常高い伸張性を示す繊維構造物を伸張した際高い撥水性を維持することは難しいが、本発明の繊維構造物においては、フッ素系撥水剤、環状シリコーン含有重合物等を用いた皮膜を繊維構造物上に付与することで、伸張された着用状態においても優れた高い撥水性と低含水率を両立することができる。このため、特に水着として好適に用いられる。
以下、実施例により、本発明の繊維構造物について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例中の品質評価は、次の方法で実施した。
(PFOAおよびPFOSの量)
次の条件で測定し、ng/gで表示した。
装置:LC−MS/MSタンデム型質量分析計TSQ−7000(サーモエレクトロン)
高速液体クロマトグラフLC−10Avp(島津製作所)
カラム:Capcellpak C8 100mm×2mmi.d.(5μm)
移動層:A;0.5mmol/L酢酸アンモニウム
B;アセトニトリル
流速:0.2mL/min、試料注入量:3μL
イオン化電圧:4.5kv、イオンマルチ:1300v
イオン化法:ESI−Negative
(撥水性)
JIS L 1092「繊維製品の防水性試験方法」(1998年)に規定される方法でスプレー法により評価を行い級判定した。
(含水率)
1.試料として、タテ20cm×ヨコ20cmの繊維構造物を3枚用意する。
2.試料の中央に直径10.6cmの円を描く。
3.直径40cm以上の容器に、蒸留水を水深12cm注ぎ入れる。
4.測定
(1)試料の重量(W0)を測定する。
(2)直径15cm、高さ2cmの金属製の枠に試料の表面を上向きに取り付け、直径10.6cmの円を少しずつ均一に伸長させ、枠のネジを締める。これを何度か繰り返し、円の直径が14.2cmにまで広がるように(面積として80%の伸長割合で)、試料を伸長させる。伸びが小さく面積として80%の割合まで伸長できないものは、伸長可能な最大限まで引き伸ばす。
(3)金属枠に取り付け伸長した試料の表面を上向きに蒸留水を入れた容器に入れ、水深10cmを確認し、50分間浸漬する。
(4)水中から取り出し金属枠から試料を外し、試料の重量(W1)を測定する。
(5)保水率=[{(W1−W0)/W0}×100]を算出する。
(洗濯方法)
JIS L0217「繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法」(1995)の付表1の103に規定されているように家庭用電気洗濯機に、浴比1:30となるように40±2℃の水を入れ、弱アルカリ性合成洗剤を添加して溶解し、強条件で25分洗濯した。次いで排水・脱水し、10分間水洗・脱水後、再び10分間水洗・脱水した。この工程を5回としてこれを6回繰り返したものを洗濯30回として、つり干し乾燥した後、評価に用いた。

(伸長率)
JIS L1096 A法 カットストリップ法に準じて測定した。
試験片の幅5cm、つかみ間隔20cmとした。
初荷重は試験片の幅で1mの長さにかかる重力に相当する荷重とした。
引張速度は20cm/minとした。
17.7N(1.8kg)荷重時の伸長率(%)を測定し、タテ、ヨコ各3回の平均を算出した。
また。実施例、比較例において用いた各薬剤は次のとおりである。
1.フッ素系撥水剤
a.ユニダインTG−5601(ダイキン工業(株)製、フッ素系撥水剤、固形分30%) b.NKガードS−55(日華化学(株)製、フッ素系撥水剤、固形分30)
いずれも、PFOA、PFOSともに、5未満、5未満である。
いずれも、炭素数6以下のフルオロアルキル基を有するアクリレート共重合体である。
2.環状シリコーン含有重合物
ア.SM8709SR(東レ・ダウコーニング(株)製、固形分30%)
イ.MA−11B((株)京絹化成製、固形分30%)
いずれも環状シリコーンがオクタメチルシクロテトラシロキサンであり、重合体は側鎖にアミノ基を有するジメチルポリシロキサンである。
3.シリコーン樹脂
ウ.SH8240(東レダウコーニング(株)製 メチルハイドロジェンポリシロキサン、 固形分38%)
エ.KB−1000(明成化学工業(株)製、アミノ変性シリコーン化合物、固形分20重量%)
4.架橋剤、触媒
オ.スミテッススレジンM−3(住友化学工業(株)製、トリメチロールメラミン、固形分80%)
カ.スミテックスアクセレレータACX(有機アミン系触媒、住友化学工業(株)製、固形分35%)
キ.スーパーフレッシュJB−7100(ブロックイソシアネート、(株) )京絹化成製、固形分30%)
5.浸透剤
テキスポートBG(ブチルセロソルブ、日華化学(株)製)
(実施例1〜6、比較例1〜5)
芯糸として東レ・オペロンテックス株式会社の耐塩素ポリウレタン弾性糸“ライクラ−254B”44Tを用い、鞘糸として17デシテックス5フィラメントのナイロン66仮撚加工糸を用いて1400T/Mのシングルカバーリング糸を作製した。
このカバーリング糸をタテ・ヨコ糸に用いレピア織機で筬密度90羽/鯨寸(3.788cm)、筬入れ2本入れ、ヨコ密度105本/2.54cmにて製織を行い、生機を得た。同生機を開布の状態でリラックス精練後、中間セット、液流染色機で酸性染料にて染色を行った後、ナイロンフィックス501(センカ(株)製、フィックス剤)を使用し、フィックス処理を行い水洗した後、過剰な張力をかけず有り幅にて乾燥した布帛を試供布Aとした。
表1の撥水処理処方の欄に記載の各薬剤を、記載の含有で用いてエマルジョン液とした。得られたエマルジョン液に供試布を浸漬しマングルで絞った後、ピンテンターを使用し130℃で2分間乾燥した。次いで同ピンテンターにより有り幅にて170℃で1分間乾熱処理を行った。マングルの絞り率は70%であった。
得られた供試布について、PFOA、PFOS量、撥水度、含水率、伸張率を測定した結果を表1に示す。
(実施例7〜10、比較例6,7)
フロント筬とバック筬の2枚筬からなる32ゲージのトリコット機を用い、フロント筬にカチオン可染ポリエステル33デシテックス48フィラメント原糸を、またバック筬にポリウレタン系弾性糸“ライクラ”55デシテックスを配して、ハーフ編組織で編成した。各糸条の混率はカチオン可染ポリエステルを70%、“ライクラ”を30%とした。同生機を開布の状態でリラックス精練後、中間セット、液流染色機で酸性染料にて染色を行った後、過剰な張力をかけず有り幅にて乾燥した布帛を試供布Bとした。
表1の撥水処理処方の欄に記載の各薬剤を、記載の含有で用いてエマルジョン液とした。得られたエマルジョン液に供試布を浸漬しマングルで絞った後、ピンテンターを使用し130℃で2分間乾燥した。次いで同ピンテンターにより有り幅にて170℃で1分間乾熱処理を行った。マングルの絞り率は37%であった。
得られた供試布について、PFOA、PFOS量、撥水度、含水率、伸張率を測定した結果を表1に示す。
表1から明らかなように、供試布A,Bについては比較例に比べて実施例のものは、撥水度はさることながら含水率が低く、繊維構造物として高い撥水性能を示すといえる。
Figure 0005958016

Claims (6)

  1. 高速液体クロマトグラフ−質量分析計(LC−MS)によるPFOAおよびPFOSのそれぞれの測定濃度が、いずれも5ng/g未満であるフッ素系撥水剤と、環状シリコーン含有重合物による皮膜が表面に付与されたポリウレタン系弾性繊維を含む繊維構造物であって、該皮膜がメラミン樹脂および/またはイソシアネート化合物を含むことを特徴とする繊維構造物。
  2. ッ素系撥水剤が炭素数6以下のフルオロアルキル基を有するアクリレート共重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載の繊維構造物。
  3. ッ素系撥水剤と該環状シリコーン含有重合物の固形分重量混合比率が1:0.05〜0.2であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維構造物。
  4. 状シリコーン含有重合物のガラス転移点が5℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造物。
  5. 状シリコーン含有乳化重合物がオクタメチルシクロテトラシロキサンと側鎖両末端に有機基を有するジメチルアミノポリシロキサンを含有する乳化重合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造物。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の繊維構造物を用いた水着。
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