JP6395922B2 - エレベータの非常止め装置およびエレベータシステム - Google Patents

エレベータの非常止め装置およびエレベータシステム Download PDF

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Description

この発明は、かごやつり合いおもりなどの昇降体の下降速度が一定の速度を超えたとき、昇降体を非常停止させるエレベータの非常止め装置およびエレベータシステムに関するものである。
一般に、エレベータには、かごやつり合いおもりなどの昇降体の下降速度が一定の速度を超えると、調速機が作動して楔状の制動子をガイドレールに押し付け、制動子とガイドレールとの間に発生する摩擦力により昇降体を制動する非常止め装置が装備されている。
しかしながら、昇降体の制動力は、制動子とガイドレールとの間の摩擦係数の違いにより変動する。つまり、制動力、すなわち摩擦力は、制動子の制動面をガイドレールの制動面に押し付ける垂直抗力が一定であっても、制動面の状態や制動速度などによって変化する。そこで、減速開始時では、制動速度が速く、摩擦力が小さいため、減速度が小さくなり、減速終了時では、制動速度が遅く、摩擦力が大きいため、減速度が急激に大きくなる、という課題があった。
このような状況を鑑み、楔状の制動子が、ガイドレールの制動面に対し直角方向の寸法が制動力に応じて変化する機構を具備する従来の非常止め装置が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。従来の非常止め装置では、制動子の寸法が、制動力の変化に応じて変化し、弾性体による押し付け力を変化させる。このとき、弾性体の押し付け力は制動力の変動を打ち消すように変化し、制動力が一定に保たれる。このように、従来の非常止め装置は、制動力の変化を検知すると、自動的に制動力の変動を抑えるように動作し、減速度の変化を抑制する。
特開2001−192184号公報
従来の非常止め装置では、制動子が、外側斜面部および内側傾斜面を有する楔状の固定部と、制動面を有する楔状可動部と、に分割された構成であり、楔状可動部が、弾性体を介して固定部に接続され、弾性体の変形にともない固定部の内側傾斜面に沿って移動可能に構成されている。そこで、制動子の小型化を図ると、制動面が小型化するので、制動力のバラツキが大きくなるという課題があった。一方、制動力のバラツキを抑えるために、制動面の大型化を図ると、制動子が大型化し、非常止め装置の大型化をもたらすので、重量が増大して、エレベータシステムの電力利用効率が悪化するという課題があった。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、制動子の大型化を抑えて制動力の変動を抑制し、電力利用効率を高めることができるとともに、減速度の変動を抑制できるエレベータの非常止め装置およびエレベータシステムを得ることを目的とする。
この発明に係るエレベータの非常止め装置は、ガイドレールに対して接近する方向と離間する方向とに往復移動可能に、かつ上記ガイドレールに沿って鉛直方向に移動可能に配設され、上記ガイドレールと反対側の面に第1摺動面を有し、上記ガイドレールに押し付けられて制動力を発生する制動子と、上記制動子の上記第1摺動面側に配設され、上記第1摺動面に接する第2摺動面を有する可動部材と、上記制動子を上記ガイドレールに押し付ける押し付け力を発生する押し付け力印加部と、を備え、上記制動子は、上記第1摺動面と上記第2摺動面とが摺動することによって上記可動部材に対して相対的に鉛直方向に移動可能に構成され、上記押し付け力印加部は、上記第1摺動面と上記第2摺動面との接触部の位置が上方に移動するにしたがい、上記押し付け力が増大し、最大値に至った後に低下するように構成されている。
この発明によれば、制動力が増加するにしたがい、制動子が鉛直上方に移動し、第1摺動面と第2摺動面との接触部の位置が上方に移動する。そして、第1摺動面と第2摺動面との接触部の位置が上方に移動するにしたがい、押し付け力が増大し、最大値を超えた後、低下する。そこで、押し付け力が最大値に至る状態では、制動力が増加すると、押し付け力が増加する。そして、押し付け力が最大値を超えた状態では、制動力が増加すると、制動力の増加を打ち消すように、押し付け力が低下し、制動力が低下すると、制動力の低下を打ち消すように、押し付け力が増大する。このように、制動力の変化を検知すると、自動的に制動力の変動を抑えるように動作し、減速度の変化が抑制される。
また、制動子を、外側傾斜部および内側傾斜部を有する楔状の固定部と制動面を有する楔状可動部とに分割構成する必要がなく、制動力を受ける弾性体を設ける必要がないので、制動子を大型化することなく、制動面の面積を確保することができ、制動力のバラツキを抑えることができる。さらに、制動子の大型化を抑えることができるので、非常止め装置を軽量化でき、エレベータシステムの電力利用効率を高めることができる。
この発明の実施の形態1に係るエレベータシステムを示す模式図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置の制動メカニズムを説明する模式図である。 比較例のエレベータの非常止め装置の制動メカニズムを説明する模式図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置における弾性体の特性を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置の第1実施態様の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置の第2実施態様の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置の第3実施態様の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置に適用される制動子の第1実施態様を示す側面図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置に適用される制動子の第2実施態様を示す側面図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置と併用される補助非常止め装置の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置と併用される他の補助非常止め装置の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置と他の補助非常止め装置とを併用した状態を示す模式図である。 この発明の実施の形態2に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態3に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態4に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態5に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態6に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態6に係るエレベータの非常止め装置に適用される第1弾性部材の構成を説明する断面図である。 この発明の実施の形態7に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態8に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態8に係るエレベータの非常止め装置に適用されるコイルばねの動作を説明する断面図である。 この発明の実施の形態8に係るエレベータの非常止め装置の実施態様の構成を説明する模式図である。 この発明の実施の形態9に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータシステムを示す模式図、図2はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置の制動メカニズムを説明する模式図、図3は比較例のエレベータの非常止め装置の制動メカニズムを説明する模式図である。
図1において、駆動綱車3およびそらせ車4が昇降路1の上部に形成された機械室2内に設置され、かご6およびつり合いおもり7が駆動綱車3とそらせ車4とに掛け渡されて昇降路1内に垂下された主ロープ5に吊り下げられている。かご6およびつり合いおもり7は、昇降路1内に鉛直方向に延設されたガイドレール8(かご側のみ図示)に案内されて昇降可能に配設されている。
かご6には、非常止め装置20が装着されており、主ロープ5が切断し、あるいは駆動綱車3の回転速度が異常になり、かご6の下降速度が定格速度(規定値)以上になった場合に、ガイドレール8を掴み、かご6を機械的に停止させるように構成されている。
調速機ロープ10は、機械室2内に設置された調速機9とピット(図示せず)内に設置された張り車(図示せず)とに掛け渡されている。そして、調速機ロープ10は、引上装置(図示せず)を介してかご6に連結され、かご6の昇降に連動して、循環走行する。
このように構成されたエレベータシステムでは、駆動綱車3がエレベータ制御盤(図示せず)により駆動制御され、かご6およびつり合いおもり7がガイドレール8に案内されて昇降路1内を昇降する。このとき、かご6の昇降に連動して、調速機ロープ10が循環走行し、調速機9が調速機ロープ10を介してかご6の速度を検知する。そして、調速機9がかご6の過速度を検知すると、調速機9に組み込まれているロープ掴み部(図示せず)が作動し、調速機9に巻き付けられている調速機ロープ10が把持される。これにより、非常止め装置20が作動され、かご6が機械的に停止される。
つぎに、非常止め装置20の構成を図2を参照しつつ説明する。ここで、ガイドレール8は、頭部が基部の幅方向中央から突出するT字状に作製されている。そこで、説明の便宜上、ガイドレール8の長さ方向と、頭部の基部からの突出方向と、の両方向に直交する方向をガイドレール8の幅方向とする。なお、ガイドレール8の幅方向は、頭部の側面である制動面と直交する方向である。また、ガイドレール8の長さ方向は、鉛直方向に一致する。
非常止め装置20は、かご6に取り付けられて、ガイドレール8の幅方向の一側に配置された固定部材21と、第2摺動面22aをガイドレール8に向けて、ガイドレール8の幅方向に往復移動可能に、固定部材21とガイドレール8との間に配設される可動部材22と、第1摺動面23aを第2摺動面22aに向けて、ガイドレール8の幅方向に往復移動可能に、かつガイドレール8の長さ方向に往復移動可能に、可動部材22とガイドレール8との間に配設される制動子23と、固定部材21と可動部材22との間に配設されて、可動部材22をガイドレール8側に付勢する弾性体24と、を備える。なお、固定部材21はかご6に取り付けられているが、かご6の一部を固定部材21としてもよい。
ここで、本願の非常止め装置20の制動メカニズムを比較例の非常止め装置300の制動メカニズムと対比して説明する。
まず、比較例の非常止め装置300の制動メカニズムについて図3を用いて説明する。比較例の非常止め装置300は、かご6に取り付けられて、ガイドレール8の幅方向の一側に配置された固定部材301と、傾斜面302aをガイドレール8に向けて、ガイドレール8の幅方向に往復移動可能に、固定部材301とガイドレール8との間に配設される楔状の固定部302と、傾斜面303aを傾斜面302aに向けて、ガイドレール8の幅方向に往復移動可能に、かつガイドレール8の長さ方向に往復移動可能に、固定部302とガイドレール8との間に配設される楔状の制動子303と、固定部材301と固定部302との間に配設されて、固定部302をガイドレール8側に付勢する弾性体304と、制動子303の上方への移動を規制するストッパ305と、を備える。なお、傾斜面302a,303aは、互いに平行な平坦面に形成されている。
制動子303には、調速機ロープ10が接続されている。そこで、調速機ロープ10が把持されると、制動子303がかご6に対して相対的に引き上げられる。これにより、制動子303は、傾斜面302aに沿って上方に移動しつつ、ガイドレール8に近づく。これにより、制動子303の傾斜面303aと反対側に形成された制動面303bがガイドレール8の頭部の制動面に当接する。さらに、制動子303が上方に移動すると、固定部302がガイドレール8から離反する方向に移動する。これにより、弾性体304が収縮し、押し付け力F1が発生する。そして、ガイドレール8と制動子303との間に摩擦力F0(=F1×μ)が発生する。この摩擦力F0が制動力となる。なお、μはガイドレール8と制動子303との間の摩擦係数である。
弾性体304の押し付け力F1が固定部302に作用することで、傾斜面313の垂直抗力Fvが発生する。このとき、垂直抗力Fvと押し付け力F1とのなす角度θは、傾斜面313と鉛直方向とのなす角度、すなわち傾斜面313の傾斜角度となる。
tanθ<μの場合には、制動力F0は常に垂直抗力Fvの鉛直成分Fpより大きくなるので、ストッパ305がなければ、制動子303は固定部302に対して相対的に上昇し続けることになる。そこで、ストッパ305が設けられ、制動子303の上昇を停止させている。これにより、固定部302のガイドレール8から離反する方向の移動量が一意に決まり、弾性体304による押し付け力F1の値が決まる。このように、押し付け力F1は一定の値となるので、摩擦係数が変動すると、制動力F0が変動する。したがって、比較例の非常止め装置300では、制動力F0の変動を抑えることができず、減速度の変化を抑制できない。
tanθ>μの場合には、制動力F0は常に垂直抗力Fvの鉛直成分Fpより小さくなるので、制動子303は固定部302に対して相対的に上昇することができない。そこで、制動子303が固定部302とガイドレール8との間に入ることができず、制動力F0は発生しない。したがって、比較例の非常止め装置300は機能しない。
tanθ=μの場合には、制動力F0は垂直抗力Fvの鉛直成分Fpと等しくなる。しかし、摩擦係数μは、ガイドレール8および制動子303の材質や摺動面の状態などにより決まり、環境変化によって変化する。一方、角度θは、傾斜面313の傾斜角度により決まる。したがって、tanθをμに一致させることはできないので、比較例の非常止め装置300では、力が釣り合うことがない。
つぎに、非常止め装置20の制動メカニズムについて図2を用いて説明する。ここで、可動部材22の第2摺動面22aは、上方にゆくに従いガイドレール8側に変位する凹状の湾曲面に形成されている。また、制動子23の第1摺動面23aは、頂部から上方にゆくに従いガイドレール8側に変位する凸状の湾曲面に形成されている。そして、第1および第2摺動面22a,23aは、鉛直方向とガイドレール8の幅方向との両方向に直交する線分で接触する、すなわち線接触する。
制動子23には、調速機ロープ10が接続されている。そこで、調速機ロープ10が把持されると、制動子23がかご6に対して相対的に引き上げられる。これにより、制動子23は、第1摺動面23aが第2摺動面22a上を摺動して上方に移動しつつ、ガイドレール8に近づく。これにより、制動子23の第1摺動面23aと反対側に形成された制動面23bがガイドレール8の頭部の制動面に当接する。さらに、制動子23が上方に移動すると、第1摺動面23aが第2摺動面22a上を上方に摺動移動し、可動部材22がガイドレール8から離反する方向に移動する。これにより、弾性体24が収縮し、押し付け力F1が発生する。そして、ガイドレール8と制動子23との間に摩擦力F0(=F1×μ)が発生する。この摩擦力F0が制動力となる。なお、μはガイドレール8と制動子23との間の摩擦係数である。
弾性体24の押し付け力F1が可動部材22に作用することで、第1および第2摺動面22a,23aの接触部25に垂直抗力Fvが発生する。そして、垂直抗力Fvの鉛直成分Fpは、制動力F0より大きいと、制動子23を可動部材22に対して相対的に下降させるように作用する。一方、垂直抗力Fvの鉛直成分Fpは、制動力F0より小さいと、制動子23を可動部材22に対して相対的に上昇させるように作用する。この鉛直成分Fpの作用は、制動力F0の検知機能と言い換えることができる。そこで、非常止め装置20では、検知した制動力F0を用いて押し付け力F1を変化させて、制動力F0の変動を抑えるように自動的に調整し、減速度の変化を抑制することが可能となる。
つぎに、可動部材22および制動子23の第1および第2摺動面22a,23aの面形状について具体的に説明する。
第1および第2摺動面22a,23aは接触部25で線接触する。この接触部25は、ガイドレール8の長さ方向とガイドレール8の幅方向との両方向に直交する線分となる。ガイドレール8の制動面と直交する方向における接触部25とガイドレール8の制動面との間の距離(以下、水平方向距離という)は、制動子23が可動部材22に対して相対的に上昇するにしたがい短くなる。
制動子23が可動部材22に対して相対的に上昇する際に、第1および第2摺動面22a,23aが連続的に接し続けるためには、第1および第2摺動面22a,23aの接触部25における法線と、ガイドレール8の制動面と直交する方向と、のなす角度θが、制動子23が上昇するにしたがって、連続的に大きくなる必要がある。つまり、第1および第2摺動面22a,23aの接触部25における法線と、ガイドレール8の制動面と直交する方向と、のなす角度θが、制動子23が上昇するにしたがって、単調増加する必要がある。なお、角度θは、垂直抗力Fvと押し付け力F1とのなす角度と一致する。つまり、角度θは、接触部25における接平面の法線と水平面とのなす角度である。
ここで、制動動作時において、制動子23の第1摺動面23aの全面が可動部材22の第2摺動面22aの全面を摺動する必要はなく、制動子23の第1摺動面23aの一部の領域が可動部材22の第2摺動面22aの一部の領域を摺動すればよい。そこで、可動部材22および制動子23の第1および第2摺動面22a,23aは、少なくとも、実際に摺動する領域の曲面形状が、接触部25で線接触し、接触部25とガイドレール8の制動面との間の水平方向距離が、制動子23の相対的な上昇により連続的に短くなり、かつ接触部25での角度θが、制動子23の相対的な上昇により単調増加するように、形成されていればよい。
図2に示されるように、弾性体24により発生する押し付け力F1は、接触部25における水平方向の力と一致し、F1=Fv×cosθで示される。制動中の制動子23の摩擦力F0(=F1×μ)の摩擦係数μが増加し、制動子23がかご6に対して相対的に上昇する場合には、押し付け力F1、もしくは水平方向の力(Fv×cosθ)を低下させる機能を持つことで、摩擦力F0の変化を抑制することができる。また、逆に、制動中の制動子23の摩擦力F0(=F1×μ)の摩擦係数μが減少し、制動子23がかご6に対して相対的に下降する場合には、押し付け力F1、もしくは水平方向の力(Fv×cosθ)を増加させる機能を持つことで、摩擦力F0の変化を抑制することができる。すなわち、制動中の制動子23の摩擦係数μが変動し、制動子23がかご6に対して相対的に上下動する場合には、水平方向の力(Fv×cosθ)を逆に変化させる機能を持つことで、摩擦力F0の変化を抑制することができると言える。
つぎに、第1および第2摺動面22a,23aの曲面形状の組み合わせについて説明する。
まず、第2摺動面22aが円筒面の一部で構成され、第1摺動面23aが第2摺動面22aと同じ半径の円筒面の一部で構成されている場合には、第1および第2摺動面22a,23aは全面で面接触する。そこで、制動子23が可動部材22に対して相対的に昇降できなくなり、制動力F0の自動調整機構が失われる。
ついで、上記の組み合わせにおいて、第2摺動面22aのみの半径を僅かに大きくする、第1摺動面23aのみの半径を僅かに小さくする、または、第2摺動面22aの半径を僅かに大きくし、かつ第1摺動面23aの半径を僅かに小さくする。これら場合には、制動子23の可動部材22に対する僅かな相対的な昇降により、接触部25における角度θが大きく変動する。このとき、可動部材22のガイドレール8の幅方向の移動量は僅かであり、押し付け力F1はほとんど変動しない。
さらに、第2摺動面22aのみの半径を大きくする、第1摺動面23aのみの半径を小さくする、または、第2摺動面22aの半径を大きくし、かつ第1摺動面23aの半径を小さくする。この場合には、制動子23の可動部材22に対する僅かな相対的な昇降により、接触部25における角度θがさらに大きく変動する。このとき、可動部材22のガイドレール8の幅方向の移動量が大きくなり、押し付け力F1は変動する。
このように、可動部材22のガイドレール8の幅方向の移動量、もしくは制動子23の可動部材22に対する相対的な昇降量を測定することで、制動力F0を検知できる。
ここで、可動部材22のガイドレール8の幅方向の移動量は、(rincosθ+routcosθ)であり、設計者が適宜設計に用いることができる。なお、rinは、制動子23の第1摺動面23aの半径、routは、可動部材22の第2摺動面22aの半径であり、θは、接触部25における法線と、ガイドレール8の制動面と直交する方向と、のなす角度である。
つぎに、弾性体24の特性について説明する。
この弾性体24は、圧縮されるしたがい、反発力が増大し、最大値を超えると低下する特性を有している。この反発力が、押し付け力F1となる。つまり、非常止め装置20の動作においては、弾性体24は、図4に示されるように、制動力F0の増加に伴い、制動子23が可動部材22に対して相対的に上昇し、接触部25での角度θが増え、可動部材22が右側に移動した場合に、押し付け力F1が増加し、最大値を超えると低下する。これにより、制動開始初期では、制動力F0が大きく増加し、制動力F0が最大値を超えると、制動力F0の変動が抑制されるので、かご6の減速度の変化が抑制される。言い換えれば、非常止め装置20は、かご6の減速度の変化が抑制されるように、制動力F0の変動を自動調整できる。
逆に、制動力F0の低下に伴い、制動子23が可動部材22に対して相対的に下降し、接触部25での角度θが減り、可動部材22が左側に移動した場合には、押し付け力F1が増加する。
このように、この非常止め装置20では、圧縮量の増加とともに反発力が増加して最大値に至る弾性体24の特性を利用して制動動作を行い、圧縮量の増加とともに反発力が最大値を超えて低下する弾性体24の特性を利用して制動力F0の変動抑制を行っている。
ここで、弾性体24が押し付け力印加部を構成している。また、第1摺動面23aおよび第2摺動面22aが、線接触し、接触部25での接平面の法線と水平面とのなす角度θが接触部25の制動子23に対する相対的な鉛直上方への移動にしたがって、大きくなるように構成されているので、接触部25の僅かな移動により押し付け力F1の変化量を大きくでき、制動力F0の変動を効果的に抑制できる。
つぎに、可動部材22がガイドレール8から離反する方向に移動したときに、弾性体24の押し付け力F1が低下する特性を持つ機構について説明する。
図5はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置の第1実施態様を示す図である。
図5において、皿ばね30は、t1/t2≧1.4(但し、t1は縮み代、t2は板厚)を満足するように作製され、固定部材21と可動部材22との間に配設されている。皿ばね30は、t1/t2≧1.4を満足するように作製されているので、収縮量が増加するにしたがい、押し付け力F1が増加し、最大値となった後、低下する特性を有する。したがって、皿ばね30を弾性体として用いた非常止め装置20Aは、かご6の減速度の変化を抑制するように、制動力F0の変動を自動調整できる。
図6はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置の第2実施態様を示す図である。
図6において、弾性体31は、一端が固定部材21に固定された第1リンク32と、一端が第1リンク32の他端に連結され、他端が第1コイルばね33を介して固定部材21に固定された第2リンク33と、第1リンク32と第2リンク33の連結部である力点を介して可動部材22をガイドレール8側に付勢するように配設された第2コイルばね35と、を備えたトグル機構である。そして、第1リンク32は固定部材21との固定点に対して自由に回転でき、第1リンク32と第2リンク33は両者の連結点に対して自由に回転できる。このように構成された弾性体31は、可動部材22のガイドレール8からの離反量が増加するにしたがい、押し付け力F1が増加し、第1リンク32と第2リンク33とが一直線となって最大値となった後、低下する特性を有する。したがって、弾性体31を用いた非常止め装置20Bは、かご6の減速度の変化を抑制するように、制動力F0の変動を自動調整できる。
図7はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの非常止め装置の第3実施態様を示す図である。
図7において、可動部材22Aは、下端を回転軸36を介して回転可能に配設され、弾性体としてのコイルばね37が可動部材22Aをガイドレール8側に付勢するように可動部材22Aと固定部材21との間に配設されている。
このように構成された非常止め装置20Cでは、制動子23の上昇に伴って、可動部材22Aが回転軸36周りに時計回りに回動し、回転軸36と接触部25との間の距離が長くなる。そして、制動子23の上昇過程で、コイルばね37の可動部材22Aとの連結部と回転軸36との間の距離が、回転軸36と接触部25との間の距離と等しくなるように、コイルばね37の高さ位置が調整されている。これにより、可動部材22Aの回転軸36周りの時計回りの回動量が増加するにしたがい、接触部25に作用する押し付け力F1は、増加し、最大値となった後、低下する。したがって、非常止め装置20Cは、かご6の減速度の変化を抑制するように、制動力F0の変動を自動調整できる。
このように、実施の形態1によれば、制動力F0の変動を抑えて、かご6の減速度の変化を抑制することができる。また、従来の非常止め装置のように、制動子を、外側傾斜部および内側傾斜部を有する楔状の固定部と制動面を有する楔状可動部とに分割構成する必要がなく、制動力を受ける弾性体を設ける必要がないので、制動子を大型化することなく、制動面の面積を確保することができ、制動力のバラツキを抑えることができる。さらに、制動子の大型化を抑えることができるので、非常止め装置を軽量化でき、エレベータシステムの電力利用効率を高めることができる。
なお、上記実施の形態1による可動部材22と制動子23の第1および第2摺動面22a,23aの曲面形状は、制動子23の可動部材22に対する相対的な昇降により、接触部25における角度θが連続的に変化すれば、例えば円筒面の一部に限定されない。つまり、第1および第2摺動面22a,23aは、ガイドレール8の頭部の基部からの突出方向と直交する平面における外周形状が、円、楕円、正弦曲線などのあらゆる曲線の一部で構成される曲面で形成される。また、両摺動面は、同じ曲面の組み合わせに限定されず、異なる曲面の組み合わせでもよい。つまり、ガイドレール8の頭部の基部からの突出方向と直交する平面における外周形状が円の一部で一方の摺動面を形成し、ガイドレール8の頭部の基部からの突出方向と直交する平面における外周形状が楕円の一部で他方の摺動面を形成してもよい。
また、上記実施の形態1において、可動部材22と制動子23の第1および第2摺動面22a,23a間の摩擦力を下げるために、オイルを塗布してもよい。
また、上記実施の形態1では、制動子23はガイドレール8から離反する方向に突出するD型形状となっているが、制動子23のD型形状の頂部から下方の領域は、制動子23が調速機ロープ10により引き上げられてガイドレール8と可動部材22との間に食い込む制動動作には、意味を持たない。つまり、制動子23の頂部から下方における領域は、制動子23の動作時に、可動部材22と干渉しない形状であればよい。そこで、図8に示されるように、D型形状の頂部から下方の領域を削除したイチョウ型の制動子23Aを用いることができる。また、図9に示されるように、D型形状の頂部から下方の領域をガイドレール8の頭部の基部からの突出方向と直交する平坦面とする制動子23Bを用いることができる。
また、上記実施の形態1では、制動力を自動調整できる非常止め装置20が、ガイドレール8の一側に配設されているが、非常止め装置20をガイドレール8を挟んで相対するように配設してもよい。また、非常止め装置20と比較例の非常止め装置300をガイドレール8を挟んで相対するように配設してもよい。
さらに、比較例の非常止め装置300に換えて、制動力の調整機能を持たず、押し付け力のみを持つ補助非常止め装置310を、ガイドレール8を挟んで非常止め装置20と相対するように配設してもよい。補助非常止め装置310は、図10に示されるように、かご6に取り付けられて、ガイドレール8の幅方向の他側に配置された固定部材311と、固定部材311とガイドレール8との間に、ガイドレール8の幅方向に往復移動可能に配設される制動子312と、固定部材311と制動子312との間に配設されて、制動子312をガイドレール8側に付勢するコイルばね313と、を備える。また、補助非常止め装置315は、図11に示されるように、コイルばね313を省略して、固定部材311と制動子312のみで構成し、制動力を自動調整できる非常止め装置20によるレール8の押し付け力を支持するのみの構成としてもよい。なお、図10および図11では、便宜上、非常止め装置20が省略されている。
また、図12に示されるように、コイルばね313に換えて皿ばね30を用いた補助非常止め装置320を、ガイドレール8を挟んで非常止め装置20と相対するように配設してもよい。なお、図12では、便宜上、非常止め装置20における固定部材21および弾性体24が省略されている。
実施の形態2.
図13はこの発明の実施の形態2に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。
図13において、ガイド棒38は、その長さ方向が、制動子23の制動面23bがガイドレール8の頭部の制動面に接したときに、鉛直方向となるように、かつ、可動部材22との干渉を避けて、制動子23の外周面から上方に突出するように制動子23に取り付けられている。ガイド穴39は、穴方向を鉛直方向として、固定部材21に形成されている。また、ガイド穴39は、制動子23がガイドレール8の頭部の制動面に接して上昇を開始する時に、ガイド棒38が挿入されるように、固定部材21に形成されている。ここで、ガイド棒38とガイド穴39が傾き防止機構を構成する。
なお、他の構成は、上記実施の形態1と同様に構成されている。
このように構成された非常止め装置20Dでは、制動子23は、調速機ロープ10により引き上げられると、第1摺動面23aが第2摺動面22a上を摺動して、上昇しつつガイドレール8に近づき、制動面23bがガイドレール8の頭部の制動面に当接する。このとき、ガイド棒38のガイド穴39への挿入が開始される。さらに、制動子23が上昇すると、ガイド棒38がガイド穴39内に挿入される。これにより、制動子23がガイド穴39に案内されて、上昇し、制動力F0が発生する。
第1および第2摺動面22a,23aは線接触している。また、第1摺動面23aが第2摺動面22a上を摺動して上方に移動すると、接触部25における垂直抗力Fvの方向が変動する。そこで、制動子23の傾き防止機構がない場合には、制動子23の上昇時に、制動子23が傾いて、制動子23の移動が安定しなくなる可能性がある。
実施の形態2によれば、ガイド棒38とガイド穴39からなる傾き防止機構を備えている。そこで、制動子23の上昇時に、ガイド棒38がガイド穴39に挿入されるので、制動子23はガイド穴39に案内されて上昇し、傾きの発生が抑制される。これにより、制動子23が安定して移動することができる。
なお、上記実施の形態2では、ガイド棒38が制動子23に取り付けられ、ガイド穴39が固定部材21に形成されているが、ガイド棒38が固定部材21に取り付けられ、ガイド穴39が制動子23に形成されてもよい。
また、上記実施の形態2において、ガイド棒38の先端側を先細り形状にしたり、ガイド穴39の入口側の開口縁部を口開き状にしてもよい。この場合、ガイド棒38がガイド穴39に挿入されやすくなり、制動子23による制動動作の安定性が高められる。
また、上記実施の形態2において、ガイド穴39の内部にローラを設置したり、オイルを塗布してもよい。この場合、ガイド棒38のガイド穴39内の移動時の摩擦が低減されるので、制動子23による制動動作の安定性が高められる。
なお、上記実施の形態2では、上記実施の形態1による非常止め装置にガイド棒とガイド穴からなる傾き防止機構を設置しているが、当該傾き防止機構は他の実施の形態による非常止め装置に設置しても、同様の効果が得られる。
実施の形態3.
図14はこの発明の実施の形態3に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。
図14において、可動部材22Bのガイドレール8側の面が、第1分割摺動面22a1と第2分割摺動面22a2との段付きに構成されている。また、制動子23Cの可動部材22B側の面が、第1分割摺動面23a1と第2分割摺動面23a2との段付きに構成されている。そして、可動部材22Bの第1分割摺動面22a1と第2分割摺動面22a2は同一の曲面形状に形成されている。また、制動子23の第1分割摺動面23a1と第2分割摺動面23a2は同一の曲面形状に形成されている。さらに、可動部材22Bと制動子23Cの第1分割摺動面22a1,23a1同士は、第1接触部25a1で線接触し、制動子23Cの可動部材22Bに対する相対的な上昇により、ガイドレール8との間の水平方向距離が連続的に短くなるとともに、第1接触部25a1での角度θが連続的に大きくなる曲面形状に形成されている。同様に、可動部材22Bと制動子23Cの第2分割摺動面22a2,23a2同士は、第2接触部25a2で線接触し、制動子23Cの可動部材22Bに対する相対的な上昇により、ガイドレール8との間の水平方向距離が連続的に短くなるとともに、第2接触部25a2での角度θが連続的に大きくなる曲面形状に形成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
このように構成された非常止め装置20Eでは、可動部材22Bと制動子23Cとが第1および第2接触部25a1,25a2の2カ所で線接触しているので、制動子23Cの上昇時における傾きの発生が抑制される。すなわち、可動部材22Bと制動子23Cの段付きに構成された第1および第2分割摺動面22a1,23a1,22a2,23a2が制動子23Cの傾き防止機構を構成している。
したがって、この実施の形態3においても、制動子23Cの相対的な上昇時に、制動子23Cの傾きの発生が抑制されるので、制動子23Cが鉛直方向に安定して移動することができる。
また、実施の形態3においても、制動子23Cを大型化することなく制動面23bの面積を確保することができるので、制動力F0のバラツキを抑えることができるとともに、エレベータシステムの電力利用効率を高めることができる。
なお、上記実施の形態3では、可動部材22Bの第2摺動面を第1および第2分割摺動面22a1,22a2からなる段付きに形成し、制動子23Cの第1摺動面を第1および第2分割摺動面23a1,23a2からなる段付きに形成して、2カ所で線接触するようにしているが、可動部材の第2摺動面と制動子の第1摺動面との接触部の個数は2つに限定されず、3個以上でもよい。この場合、可動部材と制動子の摺動面の段数を接触部の個数と同じ段数とすればよい。
実施の形態4.
図15はこの発明の実施の形態4に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。
図15において、可動部材40のガイドレール8側の面が、互いに傾斜角度の異なる平坦面で構成された第1分割摺動面40a1と第2分割摺動面40a2とから構成されている。なお、傾斜角度とは、第1分割摺動面40a1または第2分割摺動面40a2と鉛直方向と直交する水平面とのなす角度であり、第1分割摺動面40a1の傾斜角度は第2分割摺動面40a2の傾斜角度より小さくなっている。すなわ、第1分割摺動面40a1は、第2分割摺動面40a2より、水平面に近い平坦面となっている。また、制動子41の可動部材40側の面が、互いに傾斜角度の異なる平坦面で構成された第1分割摺動面41a1と第2分割摺動面41a2とから構成されている。そして、可動部材40の第1分割摺動面40a1と制動子41の第1分割摺動面41a1は同一の傾斜角度に形成されている。また、可動部材40の第2分割摺動面40aと制動子41の第2分割摺動面41a2は同一の傾斜角度に形成されている。
このように構成された非常止め装置20Fでは、制動開始初期においては、制動子41は、第2分割摺動面41a2が面接触状態で可動部材40の第2分割摺動面40a2上を摺動しつつ上昇する。そして、制動子41が上昇し、第1分割摺動面41a1が可動部材40の第1分割摺動面40a1に接し、かつ第2分割摺動面41a2が可動部材40の第2分割摺動面40a2に接する状態となると、その以降は、第2分割摺動面41a2が第2分割摺動面40a2から離反し、第1分割摺動面41a1が面接触状態で第1分割摺動面40a1上を摺動する。
そこで、可動部材40と制動子41との接触部とガイドレール8との間の水平方向距離は、第2分割摺動面41a2が第2分割摺動面40a2上を摺動しつつ上方に移動するにしたがい、直線的に近くなる。同様に、可動部材40と制動子41との接触部とガイドレール8との間の水平方向距離は、第1分割摺動面41a1が第1分割摺動面40a1上を摺動しつつ上方に移動するにしたがい、直線的に近くなる。そして、第2分割摺動面41a2が第2分割摺動面40a2上を摺動しつつ上方に移動する状態から、第1分割摺動面41a1が第1分割摺動面40a1上を摺動しつつ上方に移動する状態に移行すると、可動部材40と制動子41との接触部とガイドレール8との間の水平方向距離が離散的に近くなる。
また、第2分割摺動面41a2が第2分割摺動面40a2上を摺動しつつ上方に移動する状態では、第2分割摺動面40a2,41a2の法線とガイドレール8から離間する方向とのなす角度θは一定である。同様に、第1分割摺動面41a1が第1分割摺動面40a1上を摺動しつつ上方に移動する状態では、第1分割摺動面40a1,41a1の法線とガイドレール8から離間する方向とのなす角度θは一定であり、第2分割摺動面41a2が第2分割摺動面40a2上を摺動しつつ上方に移動する状態における角度θより大きい。
弾性体24は、その押し付け力F1が、制動子41の上昇とともに増加し、第1分割摺動面41a1が第1分割摺動面40a1に接し、かつ第2分割摺動面41a2が第2分割摺動面4a2に接する状態となる前で最大となり、その後低下するように、構成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
このように構成された非常止め装置20Fでは、第1分割摺動面41a1が第1分割摺動面40a1に接しつつ、制動子41が上昇するように制動力F0が増大したときには、弾性体24による押し付け力F1が低下する。また、第1分割摺動面41a1が第1分割摺動面40a1に接しつつ、制動子41が下降するように制動力F0が低下したときには、弾性体24による押し付け力F1が増加する。したがって、非常止め装置20Fは、制動力F0の変動を抑えるように自動調整し、かご6の減速度の変化を抑制することができる。
また、実施の形態4においても、制動子41を大型化することなく制動面の面積を確保することができるので、制動力F0のバラツキを抑えることができるとともに、エレベータシステムの電力利用効率を高めることができる。
実施の形態5.
図16はこの発明の実施の形態5に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。
図16において、可動部材43のガイドレール8側の面が、水平面に対する傾斜角度が異なる平坦面で構成された第1から第5分割摺動面43a1,43a2,43a3,43a4,43a5を、傾斜角度が下方に向かって徐々に大きくなるように連結して構成されている。また、制動子44の可動部材43側の面が、水平面に対する傾斜角度が異なる平坦面で構成された第1から第5分割摺動面44a1,44a2,44a3,44a4,44a5を、傾斜角度が下方に向かって徐々に大きくなるように連結して構成されている。そして、可動部材43の第1から第5分割摺動面43a1,43a2,43a3,43a4,43a5が、それぞれ、制動子44の第1から第5分割摺動面44a1,44a2,44a3,44a4,44a5のそれぞれと同一の傾斜角度に形成されている。
制動子44の第1から第5分割摺動面44a1,44a2,44a3,44a4,44a5のそれぞれの上下方向の幅は、対応する可動部材43の第1から第5分割摺動面43a1,43a2,43a3,43a4,43a5の上下方向の幅より狭くなっている。そこで、制動子44の上昇にともない、第5分割摺動面43a5,44a5が摺動する状態から、第4分割摺動面43a4,44a4が摺動する状態、・・・第1分割摺動面43a1,44a1が摺動する状態へと順次遷移できる。また、第5分割摺動面43a5,44a5が摺動する状態から、第4分割摺動面43a4,44a4が摺動する状態、・・・第1分割摺動面43a1,44a1が摺動する状態に遷移するにしたがい、可動部材43と制動子44との接触部とガイドレール8との間の水平方向距離が離散的に近くなる。
摺動面同士の接触部における角度θは、第5分割摺動面43a5,44a5の接触部、第4分割摺動面43a4,44a4の接触部、・・・、第1分割摺動面43a1,44a1の接触部の順に大きくなっている。
弾性体24は、その押し付け力F1が、制動子41の上昇とともに増加し、例えば、第4分割摺動面44a4が第4分割摺動面43a4上を摺動している状態から第3分割摺動面44a3が第3分割摺動面43a3上を摺動している状態に移行する直前で最大となり、その後低下するように、構成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
このように構成された非常止め装置20Gにおいても、上記実施の形態4における非常止め装置20Fと同様に、制動力F0の変動を抑えるように自動調整し、かご6の減速度の変化を抑制することができる。
また、実施の形態5においても、制動子44を大型化することなく制動面の面積を確保することができるので、制動力F0のバラツキを抑えることができるとともに、エレベータシステムの電力利用効率を高めることができる。
実施の形態6.
図17はこの発明の実施の形態6に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図、図18はこの発明の実施の形態6に係るエレベータの非常止め装置に適用される第1弾性部材の構成を説明する断面図である。
図17および図18において、第1弾性部材50が、制動子23の外周面の上端部側に取り付けられ、制動子23が可動部材22に対して相対的に上方に一定量移動したときに、固定部材21に当接して、付勢力を発生するように構成されている。
第1弾性部材50は、軸52に外嵌状態に装着されたコイルばね51と、軸52の一端側に固着された第1ばね受け53と、軸52の他端側に軸52の軸方向に移動可能に取り付けられ、第1ばね受け53との間にコイルばね51を挟み込む第2ばね受け54と、軸52の他端に螺着されたナット55と、備え、ナット55を締着して、コイルばね51が第1および第2ばね受け53,54間に収縮した状態に保持されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
このように構成された非常止め装置20Hでは、制動力F0の増加に伴い、接触部25が制動子23に対して相対的に上昇し、弾性体24による押し付け力F1が最大値を超えると、弾性体24による押し付け力F1が低下する。これにより、制動力F0の変動が抑制され、かご6の減速度の変化が抑制される。
このとき、接触部25での垂直抗力Fvの鉛直成分Fpが制動力F0を受けることになるので、制動力F0が大きくなると、接触部25での角度θを大きくする必要がある。
この非常止め装置20Hでは、制動子23の上昇量が一定量を超えると、第1弾性部材50が固定部材21に当接し、制動子23を鉛直下方に押圧する付勢力が発生する。この第1弾性部材50による付勢力が制動力F0の一部を受けるので、接触部25での垂直抗力Fvの鉛直成分Fpを小さくできる。これにより、弾性体24の押し付け力F1を過度に大きくする必要がなく、弾性体24の設計自由度が増大する。
なお、上記実施の形態6では、第1弾性部材50が制動子23に取り付けられているが、第1弾性部材50は固定部材21に取り付けてもよい。
実施の形態7.
図19はこの発明の実施の形態7に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。
図19において、制動子23Dは、下端からガイドレール8から離反する方向に突出し、可動部材22の下端と相対する受け部22cを有する。そして、第2弾性部材57は、第1弾性部材50と同様に構成され、受け部22cの可動部材22の下端に相対する部位に取り付けられ、制動子23Dの上昇量が一定量を超えると可動部材22の下端に当接し、制動子23Dを下方に押圧する付勢力を発生する。
なお、他の構成は上記実施の形態6と同様に構成されている。
このように構成された非常止め装置20Iでは、制動子23の上昇量が一定量を超えると、第1弾性部材50が固定部材21に当接し、制動子23を下方に押圧する付勢力が発生するとともに、第2弾性部材57が可動部材22の下端に当接し、制動子23を下方に押圧する付勢力が発生する。この第1および第2弾性部材50,57による鉛直下方の付勢力が、制動力F0の一部を受けるので、接触部25での垂直抗力Fvの鉛直成分Fpを小さくできる。したがって、この実施の形態7においても、上記実施の形態6と同様の効果が得られる。
なお、上記実施の形態7では、第1および第2弾性部材50,57を用いているが、第2弾性部材57のみを用いても同様の効果が得られる。
また、上記実施の形態6,7では、制動子に下向きの付勢力を付与する弾性部材を実施の形態1による非常止め装置に設置しているが、当該弾性部材は他の実施の形態による非常止め装置に設置しても、同様の効果が得られる。
実施の形態8.
図20はこの発明の実施の形態8に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図、図21はこの発明の実施の形態8に係るエレベータの非常止め装置に適用されるコイルばねの動作を説明する断面図である。
図20において、固定部材106は、ガイド穴101を有し、かご6(図示せず)に固着されている。ガイド穴101は、制動子23の第1摺動面23aと平行な弧状の穴形状に形成されている。ガイド穴101には、摺動子102が摺動可能に配設されている。摺動子102は、ガイド穴101の穴方向に摺動移動可能な弧状体に形成されている。連結軸103は、その一端が摺動子102を貫通して、軸方向を第1摺動面23aの接平面の法線方向として、第1摺動面23aの接平面の法線方向に移動可能に配設されている。また、ローラ104が、連結軸103の他端に回転可能に取り付けられている。さらに、弾性体であるコイルばね105が、連結軸103に外嵌状態に装着されて、摺動子102とローラ104との間に配設されている。
なお、摺動子102、連結軸103、ローラ104が可動部材を構成している。ローラ104の外周面が第2摺動面となる。また、第1摺動面23aおよびコイルばね105が押し付け力印加部を構成している。第1摺動面23aは、制動子23の可動部材22に対する相対的な昇降により、ローラ104との接触部25における角度θが連続的に変化する曲面となっている。
このように構成された非常止め装置20は、調速機ロープ10が把持されると、制動子23がかご6に対して相対的に引き上げられる。これにより、制動子23は、第1摺動面23aがローラ104に接し、上方に移動しつつコイルばね105に押圧されてガイドレール8に近づく。これにより、制動子23の第1摺動面23aと反対側に形成された制動面23bがガイドレール8の頭部の制動面に当接する。さらに、制動子23が上方に移動すると、摺動子102がガイド穴101内を上方に摺動移動する。そして、摺動子102の移動に連動して、第1摺動面23aとローラ104との接触部25が摺動子102に対して相対的に上方に移動する。このとき、連結軸103は、軸方向が接触部25での接平面の法線方向となる姿勢を維持しつつ、軸方向と鉛直方向との間の角度が小さくなるように変位する。
コイルばね105は、図21に示されるように、制動前では、付勢力が発生しないように構成されている。そして、コイルばね105の付勢力は、制動開始初期に、ばね受け113が摩擦力F0の反力を受けてボルト114から離れることで急激に上昇する。そして、ガイド穴101が制動子23の第1摺動面23aと平行な弧状の穴形状に形成されているので、コイルばね105の付勢力は、最大値を超えた後は、連結軸103の姿勢が変位しても、コイルばね105の長さはほぼ変わらず、最大値のまま一定となる。つまり、コイルばね105の付勢力は、接触部25が制動子23に対して相対的に上方に移動するにしたがい、急激に上昇し、最大値を維持する。但し、制動開始初期時は衝撃が大きいため、コイルばね105の付勢力は、急激に上昇した後最大値となり、衝撃力の低下により低下して一定となる場合もある。このコイルばね105の付勢力は、接触部25に、接触部25での接平面の法線方向に作用する。そこで、第1摺動面23aとローラ104の外周面との接触部25に発生する垂直抗力Fvが一定となる。そして、制動子23には、押し付け力F1(=Fv×cosθ)が発生し、ガイドレール8と制動子23との間に摩擦力F0(=F1×μ)が発生する。この摩擦力F0が制動力となる。
非常止め装置20では、コイルばね105の付勢力は、接触部25が摺動子102に対して相対的に上方に移動するにしたがい、急激に上昇し、最大値を超えて低下し、一定となっている。また、接触部25での接平面の法線方向と水平面とのなす角度θが、接触部25が摺動子102に対して相対的に上方に移動するにしたがい、単調増加している。そこで、押し付け力印加部における押し付け力F1は、接触部25の位置が上方に移動するにしたがい、増大し、一定に至った後、低下する。この非常止め装置20においても、押し付け力F1が最大値に至る押し付け力印加部の特性を利用して制動開始初期における制動動作が行われ、押し付け力が最大値を超えて低下する押し付け力印加部の特性を利用して制動力F0の変動抑制を行っている。
つまり、コイルばね105の付勢力が一定となる領域では、摩擦係数μが増加し制動力F0が増加した場合、接触部25が制動子23に対して相対的に上昇し、接触部25での角度θが増えるので、水平方向の力(Fv×COSθ)が小さくなり、摩擦力F0の変化を抑制することができる。逆に、摩擦係数μが低下し制動力F0が低下した場合、接触部25が制動子23に対して相対的に下降し、接触部25での角度θが減るので、水平方向の力(Fv×COSθ)が増え、摩擦力F0の変化を抑制することができる。
このように、非常止め装置20においても、検知した制動力F0を用いて押し付け力F1を変化させて、制動力F0の変動を抑えるように自動的に調整し、減速度の変化を抑制することが可能となる。
ここで、コイルばね105の付勢力の初荷重は比較的小さなものとし、コイルばね105の縮みに応じて付勢力を大きくしてもよい。このようにすることで、コイルばね105を有する連結軸103による垂直抗力Fvは、接触部25が制動子23に対して相対的に上昇しガイドレール8に接触した直後は、制動初期の衝撃を抑制するために、摩擦力F0の変化を抑制時の垂直抗力Fvに比べて小さな値とすることができ、接触部25が制動子23に対して相対的に上昇するにしたがってコイルばね105が縮み、摩擦力F0の変化を抑制するときの垂直抗力Fvが実現できる。
なお、上記実施の形態8では、コイルばね105によって定まる垂直抗力Fvを一定の力としたが、例えば、ガイド穴101と第1摺動面23aとの間の距離が、摺動子102が上方に移動するにしたがい漸次短くなるように、ガイド穴101の穴形状を形成し、コイルばね105によって定まる垂直抗力Fvを変動させてもよい。この場合、常に、角度θ1のときの水平方向の力(Fv1×COSθ1)が、角度θ1より大きな角度θ2のときの水平方向の力(Fv2×COSθ)より小さくなることが必要となる。つまり、θ1<θ2、かつFv1×cosθ1>Fv2×cosθ2を満足する必要がある。
また、ローラ104に替えて、図22に示されるように、第1摺動面23aと線接触する第2摺動面107aを有する可動部材107を連結軸103の他端に配設してもよい。このように構成された非常止め装置20においても、同様に動作する。
また、上記実施の形態8において、上記実施の形態2,3のように、制動子23に倒れ防止機構を付加してもよいし、上記実施の形態4のように、制動子23に替えて摺動面を複数持った制動子44を用いてもよい。
実施の形態9.
図23はこの発明の実施の形態9に係るエレベータの非常止め装置の構成を説明する模式図である。
図23において、電磁アクチュエータ110が、可動部材22との干渉を避けて固定部材21に垂直方向に移動可能に配設され、電磁アクチュエータ110の作動ロッド111が、軸方向をガイドレール8の幅方向として、可動部材22との干渉を避けて制動子23の第1摺動面23aを押圧するように構成されている。制御装置112は、電磁アクチュエータ110の垂直方向の移動を制御するとともに、所望の押し付け力が得られるように電磁アクチュエータ110の駆動を制御する。ここで、電磁アクチュエータ110と制御装置112が押し付け力印加部を構成する。
なお、実施の形態9におる非常止め装置20Jは、弾性体24に替えて、電磁アクチュエータ110および制御装置112を用いている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。
ここで、電磁アクチュエータ110は、制御装置112により、作動ロッド111の第1摺動面23aとの接触位置が接触部25の高さ位置となるように、第1および第2摺動面22a,23aの接触角から算出された接触部25の位置情報に基づいて上下移動が制御される。また、作動ロッド111による押し付け力F1は、第1および第2摺動面22a,23aの接触部25が制動子23に対して相対的に上方に移動すると同時に、すなわち制動開始初期に急激に大きくなって最大値に至り、その後、接触部25が制動子23に対して相対的に上方に移動するとともに漸次小さくなり、接触部25が制動子23に対して相対的に下方に移動するにしたがい漸次大きくなるように、電磁アクチュエータ110の駆動が制御装置112により制御される。
このように構成された非常止め装置20Jは、電磁アクチュエータ110が制御装置112により駆動され、作動ロッド111による押し付け力F1が制動子23の第1摺動面23aに直接作用している。そして、ガイドレール8と制動子23との間に摩擦力F0(=F1×μ)が発生する。この摩擦力F0が制動力となる。
この非常止め装置20Jにおいても、接触部25が制動子23に対して相対的に上方に移動するにしたがい、押し付け力F1が急激に上昇して最大値に至るように電磁アクチュエータ110の駆動を制御して、制動開始初期における制動動作が行われ、押し付け力F1が最大値を超えた後、接触部25の制動子23に対する相対位置に応じて押し付け力F1を変動させるように電磁アクチュエータ110の駆動を制御して制動力F0の変動抑制を行っている。
そこで、摩擦係数μが増加し制動力F0が増加し、接触部25が制動子23に対して相対的に上昇した場合、作動ロッド111の押し付け力F1が小さくなるように電磁アクチュエータ110の駆動を制御して、水平方向の力を小さくすることにより、摩擦力F0の変化を抑制することができる。逆に、摩擦係数μが低下し制動力F0が低下し、接触部25が制動子23に対して相対的に下降した場合、作動ロッド111の押し付け力F1が大きくなるように電磁アクチュエータ110の駆動を制御して、水平方向の力を大きくすることにより、摩擦力F0の変化を抑制することができる。
このように、非常止め装置20Jにおいても、検知した制動力F0を用いて押し付け力F1を変化させて、制動力F0の変動を抑えるように自動的に調整し、減速度の変化を抑制することが可能となる。
また、上記各実施の形態では、非常止め装置をかごに装着するものとしているが、非常止め装置が装着される昇降体はかごに限定されず、つり合いおもりでもよい。

Claims (9)

  1. ガイドレールに対して接近する方向と離間する方向とに往復移動可能に、かつ上記ガイドレールに沿って鉛直方向に移動可能に配設され、上記ガイドレールと反対側の面に第1摺動面を有し、上記ガイドレールに押し付けられて制動力を発生する制動子と、
    上記制動子の上記第1摺動面側に配設され、上記第1摺動面に接する第2摺動面を有する可動部材と、
    上記制動子を上記ガイドレールに押し付ける押し付け力を発生する押し付け力印加部と、を備え、
    上記制動子は、上記第1摺動面と上記第2摺動面とが摺動することによって上記可動部材に対して相対的に鉛直方向に移動可能に構成され、
    上記押し付け力印加部は、上記第1摺動面と上記第2摺動面との接触部の位置が上方に移動するにしたがい、上記押し付け力が増大し、最大値に至った後に低下するように構成されているエレベータの非常止め装置。
  2. 上記可動部材は、エレベータの昇降体と上記制動子との間に、上記ガイドレールに対して接近する方向と離間する方向とに往復移動可能に配設され、上記制動子の鉛直上方への移動にしたがって、上記ガイドレールから離反する方向に移動するように構成され、
    上記押し付け力印加部は、上記可動部材と上記昇降体との間に配設され、上記可動部材の上記ガイドレールから離反する方向の移動によって変位することにより上記押し付け力を発生する弾性体を備え、
    上記弾性体の押し付け力は、上記可動部材を介して上記第1摺動面に印加されている請求項1記載のエレベータの非常止め装置。
  3. 上記第1摺動面と上記第2摺動面は、上記接触部で線接触する曲面に構成され、
    上記曲面は、上記接触部での接平面の法線と水平面とのなす角度が、上記接触部の上記制動子に対する相対的な鉛直上方への移動にしたがって、大きくなるように構成されている請求項2記載のエレベータの非常止め装置。
  4. 上記第1摺動面と上記第2摺動面は、それぞれ、水平面に対する傾斜角度が異なる複数の平坦面を有し、
    上記複数の平坦面は、上記傾斜角度が上方に向かって小さくなるように連結されている請求項2記載のエレベータの非常止め装置。
  5. 上記制動子の上記ガイドレールに沿った昇降移動を案内する傾き防止機構を備えている請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のエレベータの非常止め装置。
  6. 上記制動子の上昇移動量が一定量に至るまでは、上記制動子に付勢力を付与せず、上記制動子の上昇移動量が一定量超えると、上記制動子に下向きの付勢力を付与する弾性部材を備えている請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のエレベータの非常止め装置。
  7. 上記可動部材は、上記制動子の鉛直上方への移動にしたがって、上記接触部が上方に移動するように構成され、
    上記押し付け力印加部は、上記第1摺動面と、上記可動部材を介して上記第1摺動面に上記接触部での接平面の法線方向に作用する付勢力を発生する弾性体と、を備え、
    上記弾性体は、上記接触部の位置が上方に移動するにしたがい、上記付勢力が増大し、最大値に至った後に低下し、その後一定となるように構成され、
    上記第1摺動面は、上記接触部での接平面の法線と水平面とのなす角度が、上記接触部の上記制動子に対する相対的な上方への移動にしたがって、大きくなるように構成され、
    上記第1摺動面に上記接触部での接平面の法線方向に作用する上記付勢力の水平成分が上記押し付け力となる請求項1記載のエレベータの非常止め装置。
  8. 上記可動部材は、エレベータの昇降体と上記制動子との間に、上記ガイドレールに対して接近する方向と離間する方向とに往復移動可能に配設され、上記制動子の鉛直上方への移動にしたがって、上記ガイドレールから離反する方向に移動するように構成され、
    上記押し付け力印加部は、上記押し付け力を発生する電磁アクチュエータと、上記接触部の位置が上方に移動するにしたがい、上記押し付け力が増大し、最大値に至った後に低下するように上記電磁アクチュエータを駆動する制御装置と、を備え、
    上記電磁アクチュエータの押し付け力が第1摺動面に直接印加される請求項1記載のエレベータの非常止め装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のエレベータの非常止め装置を備えたエレベータシステム。
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