JP6395070B2 - 鉄骨組み上げ方法 - Google Patents
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ところで、鉄骨を幾何学模様に組み上げる際、複数本の鉄骨からなるユニットをクレーンで吊り上げ、その吊り上げたユニットを順次取り付けて組み上げることになるが、吊り上げるユニットには、斜めに配置される鉄骨が含まれるため、そのユニットの上側取り付け部と下側取り付け部を考慮した上で、クレーンによりバランスよく吊り上げることがむずかしいという問題がある。
更に、ユニットを強制的に姿勢変更して、ボルト・ナットなどの固定具や溶接などにより、その下側取り付け部を下方のユニットの上側取り付け部に取り付けるため、不必要な応力が残留して歪みを生じ、組み上げた鉄骨の品質低下を招くという問題もある(このような技術課題に言及した適切な特許文献などは見当たらない)。
複数本の鉄骨からなるユニットを吊り上げ、その吊り上げたユニットを順次取り付けて組み上げて、鉛直に配置される鉄骨を含まない鉄骨躯体を構築する鉄骨組み上げ方法であって、
前記ユニットを、斜めに配置される鉄骨及び水平な鉄骨を含むとともに鉛直に配置される鉄骨を含まない状態で、全体として下拡がりの三角形状となるように、かつ、前記水平な鉄骨が前記三角形状の外周よりも突出するように構成し、かつ、前記ユニットの三角形状の頂点部分を吊り上げた状態で、ユニットの上側取り付け部と下側取り付け部がユニットの左右中間部に位置するように構成し、
前記ユニットの上側取り付け部及び下側取り付け部を、前記斜めに配置される鉄骨の端部によって構成し、かつ、前記ユニットの左側取り付け部及び右側取り付け部を、前記水平な鉄骨のうちの突出部分の端部によって構成し、
前記上側取り付け部と前記下側取り付け部と前記左側取り付け部と前記右側取り付け部とを用いて複数の前記ユニットを組み上げることで、前記鉄骨躯体を構築し、
前記ユニットは、前記頂点部分を吊った状態で、既設の前記ユニットの上に積み上げ、
上側の前記ユニットにおける前記下側取り付け部と下側の前記ユニットにおける前記上側取り付け部とを突き付け連結することで、上下に隣り合う前記ユニットを連結し、
左側の前記ユニットにおける前記右側取り付け部と右側の前記ユニットにおける前記左側取り付け部とを間に、別の水平な横連結鉄骨を配置した状態で、左側の前記ユニットにおける前記右側取り付け部と前記横連結鉄骨における左端部とを突き付け連結すること、かつ、右側の前記ユニットにおける前記左側取り付け部と前記横連結鉄骨における右端部とを突き付け連結することで、左右に隣り合う前記ユニットを連結する点にある。
そして、比較的少ない姿勢変更で済むため、その下側取り付け部を下方のユニットの上側取り付け部に取り付けた際の残留応力は比較的小さく、したがって、歪みの発生や品質低下も抑制することができる。
本発明の鉄骨組み上げ方法は、例えば、図1に示すように、幾何学模様に組み上げた鉄骨を躯体1とし、その躯体1とガラス製のカーテンウォール2などを備えた高層ビルBにおいて、その躯体1となる鉄骨を組み上げる際の鉄骨組み上げ方法に関する。
躯体1となる幾何学模様の鉄骨は、斜めに配置される鉄骨が多数含まれるため、複数本の鉄骨からなるユニットをクレーンで吊り上げる場合、その吊り上げるユニットにも斜めに配置される鉄骨が含まれることになり、クレーンによりバランスよく吊り上げることがむずかしくなる。
各ユニット3は、図2に示すように、そのユニット3にクレーン(図示せず)のワイヤWを連結して吊り上げた状態で、1本の水平な鉄骨5を底辺として共有する状態で、同じ大きさの二等辺三角形の鉄骨6〜9を上下に連結したダイヤ形状の鉄骨を備えている。
すなわち、斜めに配置された2本の鉄骨6、7からなる逆V字状の鉄骨が水平な鉄骨5の上方に連結され、斜めに配置された2本の鉄骨8、9からなるV字状の鉄骨が水平な鉄骨5の下方に連結されて、これらの鉄骨5〜9によりダイヤ形状の鉄骨が構成される。
したがって、ユニット3を吊り上げた状態で、1本の水平な鉄骨5を底辺として共有する状態で二等辺三角形の鉄骨6〜9を上下に連結したダイヤ形状を備えているので、デザイン的にも強度的にも優れたダイヤ形状を有する幾何学模様で、しかも、高品質の鉄骨を短期間で組み上げることができる。
そして、逆V字状の鉄骨6、7の連結部分の上方が、ユニット3の二股状の上側取り付け部10に、V字状の鉄骨8、9の下端部分が、上側取り付け部10に対応するユニット3の下側取り付け部11に構成され、上側取り付け部10の近傍にワイヤWを取り付けてユニット3を吊り上げた状態で、上側取り付け部10と下側取り付け部11が、重心を通る鉛直線V上に位置するように構成される。
また、上側取り付け部10の近傍にも、左右外方へ水平に延びる左側延出鉄骨5c(本発明の「水平な鉄骨」、「突出部分の端部」に相当)と右側延出鉄骨5d(本発明の「水平な鉄骨」、「突出部分の端部」に相当)を備え、左側延出鉄骨5cの端部が左側補助取り付け部18a(本発明の「左側取り付け部」に相当)に、右側延出鉄骨5dの端部が右側補助取り付け部18b(本発明の「右側取り付け部」に相当)に構成され、ユニット3を吊り上げた状態で、これら左右の補助取り付け部18a、18bも水平線H上に位置するように構成される。しかし、上述したように、左側取り付け部12と右側取り付け部13が水平線H上に位置するように構成されれば、これら補助取り付け部18a、18bは、必ずしも水平線H上に位置する必要はない。
また、V字状の鉄骨8、9の左側の鉄骨8に連続する状態で斜め上方に延出する左側斜め延出鉄骨8aと、右側の鉄骨9に連続する状態で斜め上方に延出する右側斜め延出鉄骨9aも備え、左側の斜め延出鉄骨8aの端部が左側補助取り付け部18cに、右側の斜め延出鉄骨9aの端部が右側の右側補助取り付け部18dに構成される。
いずれにせよ、各ユニット3は、上側取り付け部10の近傍にワイヤWを取り付けて吊り上げた状態で、上側取り付け部10が鉛直線V上に位置するとともに、3つの下側取り付け部11、16、17のうち、中央に位置する下側取り付け部11も鉛直線V上に位置するので、例えば、ユニット3の下側取り付け部11を下方のユニット3の上側取り付け部10に取り付ける際、ユニット3の姿勢を強制的に変更する必要がない。
更に、左側取り付け部12と右側取り付け部13が、水平線H上に位置するので、ユニット3の左側取り付け部12や右側取り付け部13を横方向に隣接するユニット3に取り付ける際にも、ユニット3の姿勢を強制的に変更する必要がなく、ユニット3の取り付け作業を効率よく行うことができる。
同様に、左側取り付け部と右側取り付け部がいずれも複数ある場合、少なくともひとつの左側取り付け部と右側取り付け部とが水平線H上に位置していれば適用可能である。
この連結材4は、ユニット3に比べてかなり小型であり、重量的にもかなり軽量であるため、殊更、特別な方法で組み上げる必要はない。
したがって、図示はしないが、従来通りの方法で吊り上げ、順次取り付けて組み上げることになる。
先の実施形態では、ユニット3がダイヤ形状の鉄骨を備えた例を示したが、必ずしもダイヤ形状の鉄骨を備える必要はない。
例えば、図4の(a)に示すように、ユニット3が、六角形を2つ備えたような形状であってもよい。このユニット3の場合、上側取り付け部10が、左側の上側取り付け部10aと右側の上側取り付け部10bとの2つを備えており、下側取り付け部11も、左側の下側取り付け部11aと右側の下側取り付け部11bとの2つを備えている。左側取り付け部12に関しても、上側の左側取り付け部12aと下側の左側取り付け部12bとの2つを備え、右側取り付け部13も、上側の右側取り付け部13aと下側の右側取り付け部13bとの2つを備えている。
そして、上側の左側取り付け部12aと右側取り付け部13aが同じ水平線H上に位置し、下側の左側取り付け部12bと右側取り付け部13bが別の同じ水平線H上に位置するように構成される。
そして、上側取り付け部10の近傍の1点でワイヤWにより吊り上げた状態で、上側取り付け部10と2つの下側取り付け部11a、11bが、ユニット3の左右中間部に位置し、左側取り付け部12と右側取り付け部13が同じ水平線H上に位置するように構成される。
このように、ワイヤWにより吊り上げた状態で、上側取り付け部10と下側取り付け部11は必ずしも鉛直線V上に位置する必要はなく、ユニット3の左右中間部に位置していればよい。また、左側取り付け部12と右側取り付け部13に関しても、必ずしも同じ水平線H上に位置する必要はない。
なお、ユニット3をワイヤWにより吊り上げる場合、何点で吊り上げるかは、ユニット3の形状などに即して自由に設定することができる。
4 連結材
5 水平な鉄骨
5a 左側延出鉄骨(突出部分の端部)
5b 左側延出鉄骨(突出部分の端部)
5c 左側延出鉄骨(水平な鉄骨、突出部分の端部)
5d 左側延出鉄骨(水平な鉄骨、突出部分の端部)
6 斜めに配置された2本の鉄骨(斜めに配置される鉄骨)
7 斜めに配置された2本の鉄骨(斜めに配置される鉄骨)
8 斜めに配置された2本の鉄骨(斜めに配置される鉄骨)
9 斜めに配置された2本の鉄骨(斜めに配置される鉄骨)
10 上側取り付け部
11 下側取り付け部
12 左側取り付け部
13 右側取り付け部
18a 左側補助取り付け部(左側取り付け部)
18b 右側補助取り付け部(右側取り付け部)
19 横連結鉄骨
20 V字連結鉄骨
21 横連結鉄骨
V 鉛直線
H 水平線
Claims (4)
- 複数本の鉄骨からなるユニットを吊り上げ、その吊り上げたユニットを順次取り付けて組み上げて、鉛直に配置される鉄骨を含まない鉄骨躯体を構築する鉄骨組み上げ方法であって、
前記ユニットを、斜めに配置される鉄骨及び水平な鉄骨を含むとともに鉛直に配置される鉄骨を含まない状態で、全体として下拡がりの三角形状となるように、かつ、前記水平な鉄骨が前記三角形状の外周よりも突出するように構成し、かつ、前記ユニットの三角形状の頂点部分を吊り上げた状態で、ユニットの上側取り付け部と下側取り付け部がユニットの左右中間部に位置するように構成し、
前記ユニットの上側取り付け部及び下側取り付け部を、前記斜めに配置される鉄骨の端部によって構成し、かつ、前記ユニットの左側取り付け部及び右側取り付け部を、前記水平な鉄骨のうちの突出部分の端部によって構成し、
前記上側取り付け部と前記下側取り付け部と前記左側取り付け部と前記右側取り付け部とを用いて複数の前記ユニットを組み上げることで、前記鉄骨躯体を構築し、
前記ユニットを、前記頂点部分を吊った状態で、既設の前記ユニットの上に積み上げ、
上側の前記ユニットにおける前記下側取り付け部と下側の前記ユニットにおける前記上側取り付け部とを突き付け連結することで、上下に隣り合う前記ユニットを連結し、
左側の前記ユニットにおける前記右側取り付け部と右側の前記ユニットにおける前記左側取り付け部とを間に、別の水平な横連結鉄骨を配置した状態で、左側の前記ユニットにおける前記右側取り付け部と前記横連結鉄骨における左端部とを突き付け連結すること、かつ、右側の前記ユニットにおける前記左側取り付け部と前記横連結鉄骨における右端部とを突き付け連結することで、左右に隣り合う前記ユニットを連結する鉄骨組み上げ方法。 - 前記ユニットが、そのユニットを吊り上げた状態で、前記上側取り付け部と前記下側取り付け部が鉛直線上に位置するように構成されている請求項1に記載の鉄骨組み上げ方法。
- 前記ユニットが、そのユニットを吊り上げた状態で、前記左側取り付け部と前記右側取り付け部が水平線上に位置するように構成されている請求項2に記載の鉄骨組み上げ方法。
- 左右に隣り合う前記ユニットの間における前記水平な鉄骨よりも上側部分に、当該左右に隣り合うユニットにおける前記斜めに配置される鉄骨の延長上に位置する逆V字状のV字鉄骨及び前記横連結鉄骨を含む全体として下拡がりの三角形状の連結材を、前記連結材の三角形状の頂点部分によって構成される取付部が当該左右に隣り合うユニットにおける一対の前記上側取り付け部の間に前記一対の上側取り付け部と水平に並ぶように配置し、かつ、前記連結材によって当該左右に隣り合う前記ユニットを連結する請求項1から3の何れか一項に記載の鉄骨組み上げ方法。
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