以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさ又は大きさの比は、必ずしも厳密ではない。また、以下の実施の形態において、「接続される」とは、直接接続される場合だけでなく、他の素子等を介して電気的に接続される場合も含まれる。
(実施の形態1)
まず、図1A〜図2を用いて、実施の形態1における携帯端末機器の全般的な説明を行う。
図1Aは、実施の形態1に係る携帯端末機器1の外観の一例を示す上面図である。図1Bは、実施の形態1に係る携帯端末機器の構成の一例を示す断面図である。図2は、実施の形態1に係る携帯端末機器1の機能構成の一例を示すブロック図である。具体的には、図1Bは、図1AのI−I線における携帯端末機器1の断面図である。また、図2には、スピーカーモジュール20及びこれに関連する機能構成の一例が示されている。
本実施の形態では、略矩形平板形状の携帯端末機器1の厚さ方向をZ軸方向、短手方向をY軸方向、長手方向をX軸方向として説明する。なお、厚さ方向を上下方向として説明する場合もあるが、実際の使用態様において、厚さ方向と上下方向とが一致しない場合もある。
携帯端末機器1は、音を出力する電子機器であり、より具体的には、音楽もしくはブザー音等の音響、または、人の声等の音声を出音する、例えばスマートフォン等の携帯電話端末である。なお、携帯端末機器1は、携帯電話端末には限定されず、音楽専用端末であってもよいし、タブレットコンピュータであってもかまわない。また、本実施の形態では、音響と音声とを特に区別せず、音と記載する。
図1A及び図1Bに示すように、携帯端末機器1は、音を出力するスピーカーモジュール20を備え、本実施の形態では、さらに、筐体10と、ディスプレイ30と、メイン基板40と、プロセッサ50と、フレキシブル基板60と、バッテリ70と、操作ボタン90とを備える。
筐体10は、スピーカーモジュール20等を収容する筐体であり、本実施の形態ではディスプレイ30と共に、携帯端末機器1の外郭筐体を形成する。筐体10には、スピーカーモジュール20に対向する位置に、スピーカーモジュール20から出音された音を携帯端末機器1の外部に出音するための開口部10aが設けられている。本実施形態に係る携帯端末機器1は、開口部10aが携帯端末機器1の前面側(Z軸方向プラス側)に設けられているため、ユーザがディスプレイ30に表示される映像を見ながら音楽を聴く使用態様に好適である。
筐体10は、当該筐体10の表蓋を形成する、例えばアルミニウム製の金属面11を有する。また、筐体10は、当該筐体10の枠体を形成する、例えばポリプロピレン(PP)製の樹脂面12を有する。
本実施の形態では、図1Aに示すように、金属面11に上記の開口部10aが設けられている。また、さらに、金属面11には、開口部10aと金属面11の外縁端とを連接するスリット部10bが設けられている。つまり、金属面11は、開口部10aによって形成された開口端縁と、外縁端とが、スリット部10bによって接続されている。すなわち、金属面11には、スリット部10bと開口部10aとからなる切り欠きが設けられている。開口部10a及びスリット部10bの詳細については、図5を用いて後述する。
なお、金属面11は、アルミニウム製に限定されず、例えば、銀、銅、鉄及びアルミニウムのうち少なくとも1つ以上を含む金属または合金等の導電性を有する材質によって形成されていればよい。また、樹脂面12は、PP製に限定されず、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、または、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の絶縁性を有する材質によって形成されていればよい。
スピーカーモジュール20は、スピーカー素子と、近距離無線通信のためのコイルアンテナとが一体化されたモジュールである。図2に示すように、本実施の形態では、スピーカーモジュール20は、プロセッサ50から出力された電気信号である音信号を、バッテリ70から供給される直流電圧Vccを用いて空気振動に変換することにより音を出音するモジュールである。また、同図に示すように、スピーカーモジュール20は、さらに、近距離無線通信を行う無線回路を搭載したモジュールである。
具体的には、スピーカーモジュール20は、スピーカー素子220とコイルアンテナ260とを備える。また、本実施の形態では、スピーカーモジュール20は、さらに、スピーカー素子220用の回路部品であるDCDCコンバータ素子210及び増幅回路素子230と、コイルアンテナ260用の回路部品であるHF帯通信システム用IC240及び整合回路250とを備える。スピーカーモジュール20の各構成要素については、後述する。
ディスプレイ30は、プロセッサ50の制御にしたがって映像等を表示する、例えば液晶表示装置である。
メイン基板40は、プロセッサ50等の携帯端末機器1の主要な回路部品が実装される、例えばプリント配線基板である。メイン基板40は、フレキシブル基板60を介してスピーカーモジュール20と接続されている。なお、図示していないが、メイン基板40には、携帯端末機器1の通信相手と、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)、GPS(Global Positioning System)等の無線通信を行うRF回路も実装されている。
プロセッサ50は、スピーカーモジュール20に音信号を出力する、例えばMPU(Micro Processing Unit)等を含むチップセットである。プロセッサ50は、半導体メモリ等の記憶媒体に記録された音を示す音データ、または、携帯端末機器1の通信相手から受信した受信信号から復号された音データを、音信号として出力する。
フレキシブル基板60は、メイン基板40とスピーカーモジュール20とを接続する柔軟性を有する基板である。フレキシブル基板60としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂をベースフィルムとして用い、カーボン銀などの導電性ペーストを導体として用いた、FPC(Flexible Printed Circuits)基板等を利用することができる。なお、フレキシブル基板60の材質は特に限定されず、柔軟性を有していればよい。
バッテリ70は、スピーカーモジュール20等の携帯端末機器1の各部品に電源を供給する電池であり、例えば、繰り返し充電及び放電が可能なリチウムイオン二次電池等である。
操作ボタン90は、携帯端末機器1のユーザからの指示を受け付ける入力装置である。
なお、携帯端末機器1には、図1A〜図2に示した要素に加え、例えば、携帯端末機器1の通信相手とセルラー方式等の無線通信を行うためのアンテナ、操作ボタン90とメイン基板40とを接続する通信用のケーブル、バッテリ70とスピーカーモジュール20及びメイン基板40の各々とを接続する電源ケーブル等、他の要素も備えるが、これらについての図示は省略する。
ここで、スピーカーモジュール20の各構成要素について説明する。
まず、スピーカー素子220用の回路部品の機能構成について、図2と併せて、さらに図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態1に係るDCDCコンバータ素子210の一例を示す回路図である。
DCDCコンバータ素子210は、入力電圧をスイッチングすることにより、入力電圧と異なる出力電圧を生成する電源回路であり、本実施の形態では、バッテリ70から供給された直流電圧Vccを昇圧することで生成した直流電圧Vddを増幅回路素子230に供給する、昇圧型のDCDCコンバータ素子である。
図3に示すように、DCDCコンバータ素子210は、スイッチング回路素子211、及び、当該スイッチング回路素子211に接続されたチョークコイル212を有する。また、本実施の形態では、DCDCコンバータ素子210は、さらに、コンデンサ213、214を有する。このDCDCコンバータ素子210は、図2に示すように増幅回路素子230に接続されている。
スイッチング回路素子211は、DCDCコンバータ素子210に入力された電圧をチョークコイルに212に断続的に印加する、本実施の形態ではスイッチングICである。例えば、スイッチング回路素子211は、スイッチ素子と、当該スイッチ素子のスイッチングを制御するコントローラとを有し、DCDCコンバータ素子210の出力電圧と所望の電圧(ここではVdd)との差分が縮小するように、DCDCコンバータ素子210に供給された直流電圧Vccをチョークコイルに212に断続的に印加する。
チョークコイル212は、後述する磁性体基板に内蔵されたコイル素子であり、本実施の形態では、スイッチング回路素子211によって直流電圧Vccが断続的に印加されることにより、逆起電力により生じる電圧を直流電圧Vccに重畳する。これにより、チョークコイル212は、直流電圧Vccよりも高い電圧を生成することができる。
コンデンサ213は、DCDCコンバータ素子210の入力側の平滑コンデンサであり、コンデンサ214は、DCDCコンバータ素子210の出力側の平滑コンデンサである。本実施の形態では、コンデンサ213、214は、チップコンデンサである。
このように構成されたDCDCコンバータ素子210は、バッテリ70から供給された直流電圧Vccをスイッチング回路素子211によってスイッチングすることにより、チョークコイル212に磁気エネルギーを蓄積または放出させる。これにより、直流電圧Vccよりも高い直流電圧Vddを生成して増幅回路素子230に供給する。
増幅回路素子230は、スピーカー素子220に接続され、DCDCコンバータ素子210の出力電圧(ここでは直流電圧Vdd)を用いて電気信号(ここでは音信号)を生成する、本実施の形態ではアンプICである。具体的には、本実施の形態では、増幅回路素子230は、DCDCコンバータ素子210の出力電圧を用いて増幅することにより、当該電気信号を生成する。より具体的には、増幅回路素子230は、プロセッサ50から出力された音信号を、直流電圧Vddを用いて増幅し、増幅した音信号をスピーカー素子220に出力する。
ここで、増幅回路素子230は、アナログ電気信号の音信号を増幅できる構成であればよいが、スピーカーモジュール20の音質向上の観点及び携帯端末機器1内のノイズ干渉抑制の観点から、デジタル電気信号の音信号をアナログ変換かつ増幅できる構成であることが好ましい。例えば、増幅回路素子230は、オーディオ処理用のDSP(Digital Signal Processor)を有することが好ましい。
すなわち、プロセッサ50とスピーカーモジュール20とが離れて配置される場合、音信号を伝達する配線(ここではフレキシブル基板60)が筐体10内で長く配置される(引き回される)こととなる。アナログ電気信号は、デジタル電気信号に比べて、信号の減衰及び劣化が大きいため、このような配置は、スピーカーモジュール20の音質の劣化を招く虞がある。また、このような配置では、当該配線がアンテナのように機能してしまうため、音信号に起因するノイズを筐体10内に放射してしまう。このことは、RF回路を実装している携帯端末機器1において、当該RF回路へのノイズ干渉の要因となるため、通信品質の劣化を招く虞がある。また、信号の減衰及び劣化を補填するために、プロセッサ50から大信号のアナログ電気信号を出力することが考えられる。しかし、このような構成は、大信号を伝達する配線が長く引き回されることによりRF回路へのノイズ干渉を増大させるため、通信品質のさらなる劣化を招く虞がある。
このため、増幅回路素子230として音信号をアナログ変換かつ増幅できる構成を用いることにより、スピーカーモジュール20の音質の向上及び携帯端末機器1内のノイズ干渉の抑制を図ることができる。
次に、コイルアンテナ260用の回路部品の機能構成について、図2を参照して説明する。
HF帯通信システム用IC240は、コイルアンテナ260に接続され、HF帯通信を制御するICであり、例えば、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)を制御するICである。HF帯通信システム用IC240は、コイルアンテナ260と外部の通信相手のアンテナコイルとの磁気結合により、当該通信相手とHF帯通信を行う。
整合回路250は、HF帯通信システム用IC240とコイルアンテナ260との整合をとる、また、平衡−不平衡を変換する回路であり、例えばインダクタ及びキャパシタを適宜組み合わせることによって構成される。
次に、このようなスピーカーモジュール20及びその周囲の筐体10の構成について、図4及び図5を用いて構造に着目して概略を説明する。
図4は、実施の形態1に係る携帯端末機器1の要部の構成の一例を示す断面図である。図5は、実施の形態1に係る携帯端末機器の要部の構成の一例を示す上面図である。具体的には、図4は、スピーカーモジュール20及びその周囲の筐体10の構成の一例を示す断面図であり、図1Bの要部拡大図である。また、図5は、スピーカーモジュール20及びその周囲の筐体10の構成の一例を示す上面図であり、図1Aの要部拡大図である。なお、図4では、簡明のため、厳密には別断面にある構成要素を同一図面内に示して説明している場合がある。以降の断面図においても同様である。また、図5では、理解の助けのため、筐体10にハッチングを施し、当該ハッチングを金属面11と樹脂面12とで異ならせている。
これらの図に示すように、スピーカーモジュール20には、スピーカー素子220を搭載した磁性体基板21が設けられている。また、当該磁性体基板21には、平面視においてスピーカー素子220を囲むようにコイルアンテナ260が設けられている。
また、本実施の形態では、HF帯通信システム用IC240は、磁性体基板21に搭載されている。具体的には、HF帯通信システム用IC240は、磁性体基板21のスピーカー素子220が実装された面とは反対の面に実装されている。つまり、スピーカー素子220は、磁性体基板21の一方主面(Z軸方向プラス側の主面)に実装されており、HF帯通信システム用IC240は、磁性体基板21の他方主面(Z軸方向マイナス側の主面)に実装されている。
また、本実施の形態では、増幅回路素子230及びスイッチング回路素子211は、磁性体基板21に搭載されている。具体的には、スイッチング回路素子211は、磁性体基板21のコイルアンテナ260が設けられた面とは反対の面に実装されている。つまり、コイルアンテナ260は、磁性体基板21の一方主面に設けられており、スイッチング回路素子211は、磁性体基板21の他方主面に実装されている。また、本実施の形態では、増幅回路素子230は、磁性体基板21のスイッチング回路素子211の実装面(磁性体基板21の他方主面)に実装されている。
また、さらに、本実施の形態では、チョークコイル212は、磁性体基板21に内蔵されている。つまり、スイッチング回路素子211とスピーカー素子220との間には、チョークコイル212を内蔵し、当該スイッチング回路素子211が実装された磁性体基板21が配置されている。
以下、スピーカーモジュール20及びその周囲の筐体10の構成について、構造に着目して具体的に説明する。
まず、磁性体基板21の構造について説明する。
磁性体基板21は、チョークコイル212を内蔵する多層基板であり、複数の磁性体層が積層されることにより形成されている。磁性体基板21は、上面視において、例えば、実装されるスピーカー素子220よりも大きく構成されている。
磁性体基板21には、チョークコイル212を含むDCDCコンバータ素子210を形成するための各種の導体が設けられる。当該導体には、磁性体基板21の一方主面に設けられ、スピーカー素子220を実装するための表面電極(不図示)、磁性体基板21の他方主面に設けられ、スイッチング回路素子211等を実装するための表面電極(不図示)、各磁性体層の主面に沿って形成された面内導体21a、及び、各磁性体層を厚み方向に貫通して形成された層間導体21b(ビア)が含まれる。
複数の磁性体層の少なくとも一部の層(ここでは、4層)には、それぞれループ状の面内導体21aが設けられており、これら面内導体21aの端部が層間導体21bを介して順次接続されることにより、全体としてチョークコイル212を形成する。
各磁性体層は、例えば、透磁率が比較的大きい磁性セラミックス基材で構成される。磁性セラミックスには、例えば、磁性フェライトセラミックスが用いられる。具体的には、酸化鉄を主成分とし、亜鉛、ニッケル及び銅のうち少なくとも1つ以上を含むフェライトが用いられ得る。
表面電極、面内導体21a及び層間導体21bには、例えば、銀を主成分とする金属又は合金が用いられ得る。表面電極には、例えば、ニッケル、パラジウム、又は金によるめっきが施されていてもよい。
磁性体基板21の各層を構成する磁性フェライトセラミックスはいわゆるLTCCセラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics)であり、磁性体基板21の焼成温度が銀の融点以下であって、導体に銀を用いることが可能になる。抵抗率の低い銀を用いて面内導体21a及び層間導体21bを構成することで、損失が少なく電力効率などの回路特性に優れたDCDCコンバータ素子210が形成される。特に、導体に銀を用いることで、例えば大気などの酸化性雰囲気下で磁性体基板21を焼成できる。
次に、磁性体基板21の一方主面に設けられた各種部品について説明する。
磁性体基板21の一方主面には、スピーカー素子220及びコイルアンテナ260が設けられている。また、スピーカー素子220及びコイルアンテナ260を覆うモジュールケース24も設けられている。
スピーカー素子220は、本実施の形態では、電気信号(ここでは音信号)が流れることにより振動するボイスコイル222を有するボイスコイル型のスピーカー素子である。具体的には、スピーカー素子220は、下方に向かって径が小さくなる略円錐形状のコーン221(振動板)と、コーン221の下端に当接されたボイスコイル222と、ボイスコイル222を収容するマグネット223と、これらを収容するスピーカーボックス224とを有する。また、スピーカー素子220の下面には端子電極225(端子電極225a)が設けられている。
このように構成されたスピーカー素子220は、増幅回路素子230で増幅された音信号がボイスコイル222に流れることにより磁場が変動し、この磁場の変動でボイスコイル222が上下方向に振動する。よって、ボイスコイル222に当接されたコーン221が上下方向に振動することとなり、電気信号である音信号が空気振動である音に変換される。
ここで、本実施の形態では、磁性体基板21に、当該磁性体基板21の少なくとも一部(ここでは全部)を貫通してスピーカー素子220の入力端子である端子電極225aと接続される層間導体21b1が設けられている。具体的には、層間導体21b1は、磁性体基板21の一方主面に実装されたスピーカー素子220の端子電極225aと、磁性体基板21の他方主面に実装された増幅回路素子230の出力端子とを接続する。よって、スピーカー素子220は、磁性体基板21の少なくとも一部を貫通する層間導体21b1を介して入力される電気信号を音に変換する。
コイルアンテナ260は、本実施の形態では、HF帯通信システム用コイルアンテナであり、例えば、近距離無線通信用コイルアンテナである。コイルアンテナ260は、具体的には、スピーカー素子220を囲むように同一平面上でスパイラル形状(渦巻き形状)に設けられ、例えば巻数が3ターンで形成されたスパイラルアンテナである。本実施の形態では、コイルアンテナ260は、磁性体基板21のスピーカー素子220が設けられた面と同一面に設けられている。なお、コイルアンテナ260の巻数は1ターン以上であれば特に限定されず、コイルアンテナ260は巻数が1ターンのループアンテナであってもかまわない。コイルアンテナ260の積層数も特に限定されず、単層型であってもよいし、多層型であってもよい。
コイルアンテナ260は、例えば、平面視における概形形状が略円形のスパイラル形状に設けられている。なお、コイルアンテナ260の形状はこれに限定されず、例えば、平面視における概形形状が略矩形のスパイラル形状に設けられていてもかまわない。また、コイルアンテナ260は、スピーカー素子220を囲むように設けられていればよく、平面視における概形形状が、平面視におけるスピーカー素子220の外形形状と異なっていてもかまわない。例えば、平面視において、外形形状が略矩形形状のスピーカー素子220を囲むように、概形形状が略円形のコイルアンテナ260が設けられていてもかまわない。
コイルアンテナ260は、HF帯通信システム用IC240に接続されている。具体的には、コイルアンテナ260の両端部260aは、磁性体基板21内に設けられた層間導体21b等の各種の導体を介して、磁性体基板21の他方主面に実装されたHF帯通信システム用IC240に接続されている。
なお、両端部260aは、磁性体基板21内に設けられた導体を介さずにHF帯通信システム用IC240と接続されていてもよく、例えば、磁性体基板21から露出した導体を介して接続されていてもかまわない。ただし、磁性体基板21内の導体を介して接続することにより、当該磁性体基板21がフェライトビーズとして機能することで、電磁ノイズの伝導を抑制する効果も得られる。このため、ノイズ抑制の観点から、両端部260aとHF帯通信システム用IC240とは、磁性体基板21内に設けられた導体を介して接続されることが好ましい。
このようなコイルアンテナ260は、例えば、磁性体基板21の表面電極と同様の材質及び製造工程によって形成され得る。このため、本実施の形態に係るスピーカーモジュール20を容易に製造することができる。なお、コイルアンテナ260は、導電性を有する材質によって形成されていればよく、例えば、銀、銅、鉄及びアルミニウムのうち少なくとも1つ以上を含む金属または合金等の導電性を有する材質によって形成されていればよい。また、コイルアンテナ260を形成する方法は特に限定されず、例えば磁性体基板21を焼成した後に、スクリーン印刷等によって形成してもかまわない。
モジュールケース24は、例えば樹脂等の絶縁性を有する材質で形成されたケースである。このようなモジュールケース24を設けることにより、磁性体基板21の一方主面に実装されたコイルアンテナ260の機械的な保護を図ることができる。なお、スピーカーモジュール20は、モジュールケース24が設けられていなくてもかまわない。
次に、磁性体基板21の他方主面に設けられた各種部品について説明する。
磁性体基板21の他方主面には、スピーカーモジュール20を構成する各種の回路部品が実装されており、さらに、コネクタ22が設けられている。具体的には、磁性体基板21の他方主面には、DCDCコンバータ素子210を構成するスイッチング回路素子211、コンデンサ213、214、及び増幅回路素子230等のIC及びチップ部品が実装されている。これらの回路部品は、例えば、面内導体21a及び層間導体21bを介して互いに接続されている。また、磁性体基板21の他方主面には、さらに、HF帯通信システム用IC240及び整合回路250を構成するコンデンサ251等のIC及びチップ部品が実装されている。
コネクタ22は、フレキシブル基板60とスピーカーモジュール20とを接続する、例えばFPC接続コネクタである。
このように構成されたスピーカーモジュール20を収容する筐体10には、スピーカーモジュール20と対向する位置に開口部10aが設けられている。具体的には、開口部10aは、スピーカー素子220のコーン221と対向する位置に設けられ、スピーカーモジュール20から出音された音を筐体10の外部に出音するための音路を構成する。また、本実施の形態では、開口部10aは、コイルアンテナ260から発生された磁束を筐体10の外部に導くための磁路を構成する。以下、開口部10aとスピーカーモジュール20との位置関係について、説明する。
図5に示すように、本実施の形態では、開口部10aは、筐体10の金属面11に設けられている。具体的には、金属面11には、平面視において少なくとも一部(ここでは全部)がコイルアンテナ260のコイル開口と重なる開口部10a、及び、開口部10aと金属面11の外縁端とを連接するスリット部10bが設けられている。スリット部10bはコイルアンテナ260の径方向にわたって延伸しており、コイルアンテナ260がその径方向にわたってスリット部10bと重ねられている。つまり、本実施の形態では、平面視における開口部10a内部に、コイルアンテナ260は視認されず、スピーカー素子220のスピーカーボックス224及びコーン221が視認される。
ここで、コイルアンテナ260のコイル開口とは、コイルアンテナ260の巻回軸方向から見て、当該コイルアンテナ260の巻回中心部であって、コイルアンテナ260が設けられていない部分を指す。
開口部10aは、筐体10に設けられた開口であり、本実施の形態では、金属面11に設けられた開口形状が略円形の貫通孔である。なお、開口部10aの開口形状は、これに限定されず、例えば、略矩形であってもかまわないし、他の多角形であってもかまわない。また、開口部10aは、金属面11に複数の貫通孔が形成されることにより、例えば金属面11が格子状に形成された部分であってもかまわない。
開口部10aは、例えば、当該開口部10aの中心がコイルアンテナ260の巻回軸上に位置するように設けられる。なお、開口部10aは、平面視において少なくとも一部がコイルアンテナ260のコイル開口と重なるように設けられていればよく、例えば、開口部10aの中心が当該巻回軸上に位置しなくてもかまわない。
スリット部10bは、金属面11の外縁端と開口部10aとを連接する、金属面11に設けられた隙間である。つまり、スリット部10bは、金属面11の周縁端から開口部10aに切り欠かれた長尺状の切り欠きであり、本実施の形態では、長手方向が金属面11の周縁端に直交するように設けられている。
なお、スリット部10bの形状は特に限定されず、平面視形状が略直線形状であってもかまわないし、屈曲形状であってもかまわないし曲線形状であってもかまわない。また、スリット部10bの幅は、特に限定されないが、金属面11の強度を確保するために小さいことが好ましい。また、スリット部10bは、金属面11の周縁端に対して直交と異なる角度で設けられていてもよい。
次に、本実施の形態に係る携帯端末機器1によって奏される効果について説明する。
以上のように、本実施の形態によれば、コイルアンテナ260が平面視においてスピーカー素子220を囲むように磁性体基板21に設けられることにより、コイルアンテナ260に要求される特性を確保しつつ、スピーカー素子220とコイルアンテナ260との高密度実装を図ることができる。このような効果が奏される理由について、図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る携帯端末機器1に発生する磁束を模式的に示す断面図である。具体的には、図6は、スピーカーモジュール20及びその周囲の筐体10における磁束MFを模式的に示す断面図である。
一般的に、磁性体基板は電磁シールドとして働く。このため、コイルアンテナ260を磁性体基板21に設けることにより、図6に示すように、コイルアンテナ260の指向性を磁性体基板21と反対側に大きく持たせることができる。このため、所望の通信性能を確保するためのコイルアンテナ260のL値を、巻数の小さいコイルアンテナ260で実現することができる。よって、コイルアンテナ260の小型化が図られる。
また、コイルアンテナ260がスピーカー素子220を囲むように設けられることにより、コイルアンテナ260の開口面積を確保しつつ、携帯端末機器1の高密度実装化を図ることができる。
よって、本実施の形態に係る携帯端末機器1によれば、通信性能の低下を抑制しつつ高密度実装化が図られる。
また、本実施の形態によれば、筐体10の金属面11に、平面視において少なくとも一部(本実施の形態では全部)がコイル開口と重なる開口部10a、及び、スリット部10bが設けられることにより、金属面11を放射体(ブースター)として働かせることができる。これについて、図6を参照しつつ図7を用いて説明する。
図7は、本実施の形態に係る携帯端末機器1に発生する電流を模式的に示す上面図である。具体的には、図7は、コイルアンテナ260に流れる電流I1及び筐体10に流れる電流I2を模式的に示す上面図である。
図6に示すように、コイルアンテナ260に電流I1が流れることにより発生した磁束MFは、開口部10a周囲の金属面11に鎖交しようとする。このとき、開口部10a周囲の金属面11には、その磁束MFを遮るように電流I1と反対方向の電流I2(反電流)が発生する。当該電流I2は、スリット部10bの周囲の金属面11を通り、端縁効果により金属面11周囲に沿うように流れる。このため、金属面11から強い磁界が生じ、通信距離をさらに広げることができる。すなわち、このような構成によれば、コイルアンテナ260が給電コイルアンテナとして機能し、金属面11がブースターアンテナとして機能するため、通信距離をさらに広げることができる。
なお、金属面11をブースターとして機能させるためには、コイルアンテナ260の巻回軸方向から平面視したとき、コイルアンテナ260のコイル開口の少なくとも一部が金属面11の開口部10aやスリット部10b(抜き部分)と重ねられており、かつ、コイルアンテナ260がその径方向にわたって金属面11の開口部10aやスリット部10b(抜き部分)と重ねられていればよい。
よって、本実施の形態に係る携帯端末機器1によれば、高密度実装化を図りつつ、通信性能の向上が図られる。
また、本実施の形態によれば、コイルアンテナ260がHF帯通信システム用コイルアンテナであるため、携帯端末機器1はHF帯の周波数を利用して近距離無線通信等の通信を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、HF帯通信システム用IC240が磁性体基板21に搭載されているため、コイルアンテナ260とHF帯通信システム用IC240とを接続する配線(導体)を、磁性体基板21内に設けることが可能となる。磁性体基板21は電磁シールドとして働くため、当該配線をこのように設けることにより、HF帯通信の通信品質の向上が図られる。
また、本実施の形態によれば、磁性体基板21の一方主面にスピーカー素子220が実装され、他方主面にHF帯通信システム用IC240が実装されているため、スピーカー素子220とHF帯通信システム用IC240との干渉を抑制できる。
ここで、一般的に、スピーカー素子では、定格入力を超える大きさの電気信号が入力された場合、音ワレ等の音質の劣化、スピーカー素子の破損等の不具合が生じる虞がある。このため、スピーカー素子の不具合を抑制して音質の向上を図るためには、DCDCコンバータ素子及び増幅回路素子からスピーカー素子に入力される電気信号が適切に調整されることが必要である。
ただし、電気信号は、配線等の引き回しにより配線長が長くなるほど、信号の劣化及びノイズ干渉の影響を受けやすい。よって、電気信号が適切に調整されるためには、スピーカー素子に関連する部品(スピーカー素子、DCDCコンバータ素子、増幅回路素子)が近接して配置されることが望ましい。
しかしながら、DCDCコンバータ素子からは、当該DCDCコンバータ素子が有するスイッチング回路素子のスイッチング動作によって、比較的大きなノイズが放射される。このため、コイルアンテナ260の近くにDCDCコンバータ素子が配置されると、DCDCコンバータ素子から放射されるノイズによってコイルアンテナ260の通信特性が劣化する場合がある。この場合、コイルアンテナ260とスピーカー素子に関連する部品との配置が制約されることとなり、高密度実装化及び音質の向上を妨げる要因となる。
そこで、本実施の形態によれば、増幅回路素子230及びスイッチング回路素子211が磁性体基板21に搭載されていることにより、磁性体基板21が電磁シールドとして働くため、DCDCコンバータ素子210からの放射ノイズを抑制することができる。このため、コイルアンテナ260とDCDCコンバータ素子210との配置自由度が大きくなり、高密度実装化が図られる。また、DCDCコンバータ素子210及び増幅回路素子230をスピーカー素子220の近くに配置することができるため、スピーカー素子220の音質の向上が図られる。
また、DCDCコンバータ素子210で生成された直流電圧Vddのノイズ成分が大きいほど、増幅回路素子230からスピーカー素子220に入力される電気信号(音信号)のノイズ成分が大きくなり得る。このため、スピーカー素子220の音質の向上を図るためには、DCDCコンバータ素子210で生成される直流電圧Vddのノイズ成分を抑制することが必要である。
本実施の形態では、増幅回路素子230及びスイッチング回路素子211が磁性体基板21に搭載されていることにより、直流電圧Vddを増幅回路素子230に供給するための配線(導体)を、磁性体基板21内に設けることが可能となる。当該配線はフェライトビーズとして機能することにより、直流電圧Vddのノイズ成分を抑制することができるので、スピーカー素子220の音質の向上が図られる。
また、本実施の形態によれば、磁性体基板21の一方主面にコイルアンテナ260が設けられ、他方主面にスイッチング回路素子211が実装されていることにより、コイルアンテナ260とスイッチング回路素子211との干渉を抑制できる。このため、DCDCコンバータ素子210で生成される電圧におけるコイルアンテナ260に起因するノイズ成分を抑制することができるので、スピーカー素子220の音質の向上が図られる。
また、携帯端末機器1では、通信相手とセルラー方式等の無線通信を行うためのRFIC及びアンテナを有する場合がある。この場合、当該RFIC及び当該アンテナがコイルアンテナ260から放射される磁束によってノイズ干渉の影響を受けると、当該無線通信の品質が劣化する虞がある。
そこで、コイルアンテナ260を磁性体基板21の一方主面に設け、他方主面側に当該RFIC及び当該アンテナを配置することにより、コイルアンテナ260と当該RFIC及び当該アンテナとのノイズ干渉を抑制することができる。よって、これらを近接して配置することができるため、このような携帯端末機器1において、さらなる高密度実装化が図られる。
また、本実施の形態によれば、チョークコイル212が磁性体基板21に内蔵されているために、チョークコイル212が閉磁路型コイルとなるので、チョークコイル212とスピーカー素子220との間の干渉を極めて生じにくくすることができる。このような構成は、磁性体基板21に搭載されるスピーカー素子220として磁場の変動を利用して電気信号を音に変換する例えばボイスコイル型のスピーカー素子が用いられる場合に、高密度実装を図りつつ音質の低下を抑制できるため、特に有用である。
また、チョークコイル212が磁性体基板21に内蔵されているために、チョークコイル212で囲まれる磁性体基板21の部分をチョークコイル212の磁性体コアとして用いることができる。このため、L値の増大、Rdc(直流抵抗)の抑制、直流重畳特性の改善等、チョークコイル212の各種特性の改善を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、スピーカー素子220が、磁性体基板21の少なくとも一部を貫通するビア(ここでは層間導体21b1)を介して入力される電気信号を音に変換する。このため、当該ビアが貫通する磁性体基板21がフェライトビーズとして機能することにより当該電気信号のノイズを抑制することができるので、音質の向上が図られる。
(実施の形態1の変形例)
なお、コイルアンテナは、磁性体基板21の一方主面に設けられていなくてもよく、磁性体基板21の側壁に螺旋状に形成されていてもかまわない。
以下、実施の形態1の変形例として、このようなコイルアンテナを備える携帯端末機器について、図8を用いて説明する。なお、以下では、実施の形態1と同等の事項については適宜説明を省略し、主に実施の形態1と異なる点について説明する。
図8は、実施の形態1の変形例1に係る携帯端末機器の要部の構成の一例を示す断面図である。具体的には、図8は、スピーカーモジュール20A及びその周囲の筐体10の構成の一例を示す断面図であり、実施の形態1の図4に相当する要部拡大図である。
同図に示すように、本変形例に係るスピーカーモジュール20Aでは、コイルアンテナ260Aが磁性体基板21の側壁に設けられている。コイルアンテナ260Aは、具体的には、平面視においてスピーカー素子220を囲むように、巻回軸方向(Z軸方向)にずれながら螺旋形状に設けられ、例えば巻数が3ターンで形成されたヘリカルアンテナである。
このように構成された携帯端末機器であっても、上記実施の形態1と同様に、コイルアンテナ260Aが平面視においてスピーカー素子220を囲むように磁性体基板21に設けられることにより、コイルアンテナ260Aに要求される特性を確保しつつ、スピーカー素子220とコイルアンテナ260Aとの高密度実装を図ることができる。具体的には、コイルアンテナ260Aの指向性を磁性体基板21の側方に大きく持たせることができるため、所望の通信性能を確保するためのコイルアンテナ260AのL値を、巻数の小さいコイルアンテナ260Aで実現することができる。よって、通信性能の低下を抑制しつつ高密度実装化が図られる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る携帯端末機器について、図9を用いて説明する。
上記実施の形態1では、平板形状の磁性体基板21が設けられていた。つまり、コイルアンテナ260とスピーカー素子220とは、同一面に設けられていた。これに対し、本実施の形態では、磁性体基板にキャビティ部(凹部)が設けられ、コイルアンテナ260とスピーカー素子220とが互いに異なる面に設けられている。
図9は、実施の形態2に係る携帯端末機器の要部の構成の一例を示す断面図である。具体的には、図9は、スピーカーモジュール20B及びその周囲の筐体10の構成の一例を示す断面図であり、実施の形態1の図4に相当する要部拡大図である。
図9に示すように、本実施の形態に係る磁性体基板21Bには、キャビティ部21Ba(凹部)と、キャビティ部21Baを囲む土手部21Bbとが設けられている。
キャビティ部21Baは、スピーカー素子220を収容する凹部であり、平面視においてスピーカー素子220よりも一回り大きい開口が設けられている。本実施の形態では、キャビティ部21Baの底面にスピーカー素子220が搭載されている。なお、キャビティ部21Baの深さは、特に限定されないが、スピーカー素子220を筐体10の内面近くに配置して音を筐体10外部へ効率良く伝達する観点から、スピーカー素子220の高さ以下にすることが好ましい。
土手部21Bbは、コイルアンテナ260が設けられる部分であり、平面視においてキャビティ部21Baを囲むように配置されている。つまり、本実施の形態におけるコイルアンテナ260は、実施の形態1におけるコイルアンテナ260と比べて、筐体10の内面に近い位置に配置される。すなわち、本実施の形態では、実施の形態1と比べてコイルアンテナ260により発生する磁束MF(図6参照)が、金属面11により多く鎖交しようとする。このため、金属面11に発生する反電流が大きくなるため、金属面11から一層強い磁界が生じ、通信距離をさらに広げることができる。
このように構成された本実施の形態によれば、上記実施の形態1と同様に、コイルアンテナ260が平面視においてスピーカー素子220を囲むように磁性体基板21Bに設けられることにより、通信性能の低下を抑制しつつ高密度実装化が図られる。
また、本実施の形態によれば、コイルアンテナ260が磁性体基板21Bの土手部21Bbに設けられることにより、コイルアンテナ260と筐体10とを近づけることができる。このため、筐体10外部により強い磁界を生じさせることができるため、通信距離をさらに広げることができる。
特に、本実施の形態では、金属面11に開口部10a及びスリット部10bが設けられているため、コイルアンテナ260に電流を流した場合に金属面11から一層強い磁界を生じさせることができるので、通信距離をさらに広げることができる。すなわち、コイルアンテナ260が土手部21Bbに設けられることにより、給電コイルアンテナとして機能するコイルアンテナ260とPBアンテナとして機能する金属面11との結合度が大きくなるため、通信距離をさらに広げることができる。
また、スピーカー素子220がキャビティ部21Baに搭載され、コイルアンテナ260が土手部21Bbに設けられることにより、土手部21Bbの磁性体が電磁シールドとして働くため、スピーカー素子220とコイルアンテナ260との干渉を抑制できる。
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る携帯端末機器について説明したが、本発明は、個々の実施の形態及びその変形例には限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態及びその変形例に施したものや、異なる実施の形態及びその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記説明では、スピーカーモジュールとして、スピーカー素子220及びコイルアンテナ260に加えてスピーカー素子220用の回路部品及びコイルアンテナ260用の回路部品が一体化された構成について説明した。しかし、スピーカーモジュールは、これら回路部品を一体化していなくてもかまわない。
図10は、そのようなスピーカーモジュール20Cを備える携帯端末機器の要部の構成の一例を示す断面図である。スピーカー素子220は、スピーカーモジュール20Cの外部に設けられた増幅回路素子230からフレキシブル基板60及びコネクタ22を介して入力された音信号を音に変換する。また、コイルアンテナ260は、スピーカーモジュール20Cの外部に設けられたHF帯通信システム用IC240の制御にしたがって、外部の通信相手のアンテナコイルと磁気結合する。
また、上記説明では、携帯端末機器に1つのスピーカーモジュールが搭載されている例を示したが、複数のスピーカーモジュールが搭載されていてもかまわない。
図11は、そのような携帯端末機器1Dの外観の一例を示す上面図である。同図に示すように、携帯端末機器1Dには、携帯端末機器1Dの前面側(Z軸方向プラス側)に出音する複数(ここでは2つ)のスピーカーモジュール20が設けられている。このような構成によって、携帯端末機器1Dの複数箇所から、例えばHF帯通信の磁界を発生させることができるため、通信距離をさらに広げることができる。また、携帯端末機器1Dの通信相手のアンテナコイルとの相対角度による通信性能の変動が小さくなるため、当該相対角度によらず良好な通信性能を確保しやすくなる。
また、磁性体基板は、全ての層が磁性体層からなる多層基板でなくてもよく、一部の層が非磁性体層であってもかまわない。非磁性のセラミックスには、例えば、非磁性フェライトセラミックスやアルミナを主成分とするアルミナセラミックスが用いられ得る。
図12は、そのようなスピーカーモジュール20Eを備える携帯端末機器の要部の構成の一例を示す断面図である。磁性体基板21Eは、非磁性体層からなる非磁性部分21Eaと、磁性体層からなる磁性部分21Ebとを有する。このような磁性体基板21Eにおいて、コイルアンテナ260Eは、非磁性部分21Eaに内蔵されたスパイラルコイルとして設けられていてもかまわない。
このような構成であっても、コイルアンテナ260Eが平面視においてスピーカー素子220を囲むように磁性体基板21Eに設けられることにより、コイルアンテナ260Eに要求される特性を確保しつつ、スピーカー素子220とコイルアンテナ260Eとの高密度実装を図ることができる。
また、上記説明では、筐体の金属面にスリット部10bが設けられていたが、当該スリット部10bは設けられていなくてもかまわない。
図13は、そのような携帯端末機器1Fの外観の一例を示す上面図である。図14は、当該携帯端末機器1Fの要部の構成の一例を示す上面図である。なお、図14では、図5と同様に、理解の助けのため、筐体10Fにハッチングを施し、当該ハッチングを金属面11Fと樹脂面12Fとで異ならせている。
これらの図に示す筐体10Fの開口部10aは、金属面11Fに設けられた開口部11Faと樹脂面12Fに設けられた開口部12Faとで形成されている。開口部11Faは、平面視において一部がコイルアンテナ260のコイル開口と重なる切り欠き状に設けられた開口である。このように構成された携帯端末機器1Fであっても、コイルアンテナ260に電流I1が流れることにより発生した磁束MF(図6参照)によって、開口部11Faの周囲の金属面11Fに反電流が発生する。そして、当該反電流が金属面11F周囲に沿うように流れるため、金属面11Fをブースターとして利用することができる。すなわち、開口部11Faが当該金属面11Fの外縁端と連接されていればよく、金属面11Fをブースターとして利用することができる。
また、上記説明では、筐体は金属面を有していたが、金属面を有していなくてもかまわない。
図14は、そのような携帯端末機器1Gの外観の一例を示す上面図である。同図に示す携帯端末機器1Gは、実施の形態1と比べて、筐体10に代わり、樹脂で形成された筐体10Gを有する。筐体10Gには、開口部10Gaが設けられている。このような構成であっても、コイルアンテナ260が平面視においてスピーカー素子220を囲むように磁性体基板21に設けられることにより、コイルアンテナ260に要求される特性を確保しつつ、スピーカー素子220とコイルアンテナ260との高密度実装を図ることができる。
また、スピーカー素子220は、ボイスコイル222を有するボイスコイル型のスピーカー素子に限定されない。例えば、スピーカー素子220として、圧電素子を有する圧電スピーカー等の他のタイプのスピーカー素子を用いてもかまわない。
また、DCDCコンバータ素子210は、昇圧コンバータに限定されず、降圧コンバータ素子であってもかまわないし、昇降圧コンバータ素子であってもかまわない。
また、増幅回路素子230は、磁性体基板のスイッチング回路素子211の実装面に実装されていなくてもよく、磁性体基板の当該実装面と異なる側壁等に実装されてもかまわない。
また、スイッチング回路素子211及び増幅回路素子230の各々は、ICとして1パッケージで構成されていなくてもよく、ディスクリート部品を組み合わせることで構成されていてもかまわない。
また、スピーカー素子220は、磁性体基板21の少なくとも一部を貫通する層間導体21bを介して入力される電気信号を変換すればよく、磁性体基板21の全てを貫通する層間導体21bを介して入力される電気信号を変換しなくてもかまわない。このような構成によれば、全てを貫通する場合に比べてノイズ抑制の効果は多少劣るものの、層間導体21bが貫通する磁性体層がフェライトビーズとして機能することで、当該電気信号のノイズを抑制することができる。