JP2014154896A - アンテナ、アンテナ装置、及び携帯端末 - Google Patents

アンテナ、アンテナ装置、及び携帯端末 Download PDF

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Abstract

【課題】近傍に配置された金属物との不要結合を低減して良好な通信環境を提供出来るアンテナを実現する。
【解決手段】アンテナは、積層された複数の絶縁体層と、複数の絶縁体層の主面に形成された複数の水平導体と、絶縁体層の側面部に形成され、一の絶縁体層の主面に形成された水平導体と他の絶縁体層の主面に形成された水平導体とを接続する複数の垂直導体とから構成され、水平導体と垂直導体が順次に接続されて、全体として螺旋状に構成されたコイルとを備える。水平導体は、コイルの長手方向の位置に応じて異なる絶縁体層の主面に形成され、水平導体が形成された複数の絶縁体層の中で、積層方向の両端に位置する絶縁体層の主面のいずれか一方を基準面としたとき、コイルの長手方向の所定位置から、少なくとも一方の端部に向かって、コイルが、前記基準面から離れていくように形成されている。
【選択図】図1A

Description

本発明は、アンテナ、アンテナ装置、及び携帯端末に関する。
携帯電話等の携帯端末には、一般に、FeliCa(登録商標)/NFC(Near Field Communication)規格などの13.56MHz帯信号に対する非接触通信システム用アンテナが内蔵されている。この種のアンテナとして、磁性体の外周に導線を巻き線したアンテナ(磁界アンテナ、又は磁性体アンテナ)が提案されている(特許文献1及び2)。
特許文献1に記載の磁界アンテナは、基板上の金属面上に配置され、磁界アンテナのコイルは、金属面に垂直な断面積成分を有するとともに、絶縁物を介して金属面に密着・固定されている。
また、特許文献2に記載の磁性体アンテナは、コイルを形成する磁性層に絶縁層を介して導電層を具備する構造を有する。
特開2005−192124号公報 特開2007−019891号公報
特許文献1及び2に記載のアンテナは、いずれも回路基板上に半田付け実装される。しかしながら、回路基板にはGND電極、シールドケース、回路部品等の様々な金属物がある。そのため、上記磁性体アンテナを回路基板上に配置した場合、アンテナがその近傍に配置された金属物と不要結合し、アンテナの特性が劣化するという問題が生じるおそれがある。不要結合とは、望ましくない磁気結合のことである。
近年の携帯端末等では、その小型化・高機能化の要請により、回路基板上に、部品が高密度に実装されている。そのため、アンテナのより近傍に金属物が配置される傾向にある。従って、アンテナと金属物との間の不要結合が発生しやすい状況にある。
本発明は、上記の事情の下になされたもので、アンテナ近傍の金属物との不要結合を低減できるアンテナ、アンテナ装置、及び当該アンテナ装置を使用した携帯端末の実現を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るアンテナは、
積層された複数の絶縁体層と、
前記複数の絶縁体層の主面に形成された複数の水平導体と、前記絶縁体層の側面部に形成され、一の前記絶縁体層の主面に形成された前記水平導体と他の前記絶縁体層の主面に形成された前記水平導体とを接続する複数の垂直導体とから構成され、前記水平導体と前記垂直導体が順次に接続されて、全体として螺旋状に構成されたコイルと、を備え、
前記水平導体は、前記コイルの長手方向の位置に応じて異なる前記絶縁体層の主面に形成され、
前記水平導体が形成された前記複数の絶縁体層の中で、積層方向の両端に位置する前記絶縁体層の主面のいずれか一方を基準面としたとき、前記コイルは、その長手方向の所定位置から、少なくとも一方の端部に向かって、前記コイルが、前記基準面から離れていくように形成されている。
前記水平導体は一定のピッチで形成され、前記所定位置から前記コイルの長手方向の前記一方の端部にN(Nは自然数)ピッチ近づく毎に、前記積層方向にM(Mは自然数)層ずれた前記絶縁体層の主面に形成されてもよい。
前記コイルの全長にわたり、前記コイルの内側にある前記絶縁体層が存在する場合は、その少なくとも一の前記絶縁体層は、磁性体で形成された磁性体層であり、
前記磁性体層を除く前記絶縁体層は非磁性体で形成されていてもよい。
少なくとも一の前記絶縁体層の主面の前記コイルの内側の領域に、磁性体が形成されていてもよい。
前記絶縁体層の主面に形成された前記磁性体は、前記積層方向に隣接する他の前記絶縁体層の主面に形成された前記磁性体及び前記磁性体層の少なくともいずれか一方と、前記絶縁体層の積層方向に形成された接続用の磁性体により接続されていてもよい。
非磁性体で形成された前記絶縁体層のうち、前記コイルの内側に含まれる少なくとも一部の領域が、磁性体で置換されていてもよい。
前記水平導体が形成された前記複数の絶縁体層の中で、前記積層方向の両端に位置する前記絶縁体層のうち、前記基準面ではない方の前記絶縁体層の主面に形成された前記水平導体を覆う絶縁体層である付加絶縁体層と、
前記付加絶縁体層の表面に形成された電子回路と、
を更に備えてもよい。
本発明の第2の観点に係るアンテナは、上記アンテナである第1のアンテナと、
平面上の所定の領域を開口部として除いた領域に形成された螺旋状の導体で構成される螺旋コイルを有するブースターアンテナと、
を備え、
前記ブースターアンテナは、前記第1のアンテナに対して、前記基準面とは反対側に配置されるとともに、前記基準面に投影したとき、前記螺旋コイルの前記開口部の領域が、前記第1のアンテナの前記一方の端部を含み、前記開口部は、前記一方の端部の側に偏心して配置され、
前記一方の端部は、他方の端部に比べて、それぞれの前記端部に近づくにつれて、前記コイルが前記基準面から同等以上に離れるコイル端部である。
前記螺旋コイルは、絶縁体の表面に形成された導体により構成されてもよい。
前記螺旋コイルは、互いに絶縁された2以上の前記螺旋コイルを重ね合わせて構成されてもよく、
重ね合わせの方向に隣り合う前記螺旋コイルの螺旋の向きは、互いに逆向きに形成されている。
本発明の第3の観点に係るアンテナ装置は、
上記アンテナと、
前記アンテナが設置された回路基板と
を備え、
前記アンテナは、前記基準面に近い側の面で前記回路基板に設置されている。
本発明の第4の観点に係る携帯端末は、
上記アンテナ装置を使用している。
本発明に係るアンテナでは、アンテナを構成するコイルは、コイルの長手方向の所定位置から、少なくとも一方のコイル端部に近づくにつれて、コイルが、基準面からより離れていくように形成されている。そのため、このアンテナを基準面に近い側の面で回路基板に取り付けることにより、アンテナの一方のコイル端部近傍の回路基板上に金属物が配置された場合であっても、アンテナと金属物との間の不要結合が低減する。このようなアンテナを使用したアンテナ装置及び携帯端末の場合も同様である。
本発明の実施形態1に係るアンテナの構成を示す分解斜視図である。 (a)は、図1Aに示すアンテナの奥側の側面図、(b)は図1Aに示すアンテナの手前側の側面図である。 図1AのA−A’線での断面図である。 実施形態1に係るアンテナの等価回路である。 実施形態1に係るアンテナ装置の構成例を示す図である。 実施形態1に係るアンテナの非対称湾曲コイル例1を示す図である。 実施形態1に係るアンテナの非対称湾曲コイル例2を示す図である。 実施形態1に係るアンテナの非対称湾曲コイル例3を示す図である。 実施形態1に係るアンテナの非対称湾曲コイル例4を示す図である。 実施形態1に係るアンテナを構成する各層の製造方法を説明するための斜視図である。 実施形態1の変形例1に係るアンテナを示す図である。 実施形態1の変形例2に係るアンテナの斜視図である。 実施形態1の変形例2に係るアンテナのブースターアンテナの斜視図である。 実施形態1の変形例2に係るアンテナの等価回路を示す図である。 実施形態1の変形例3に係るアンテナのブースターアンテナの斜視図である。 実施形態1の変形例3に係るアンテナの等価回路を示す図である。 実施形態1に係るアンテナを使用した携帯端末の配置図である。 本発明の実施形態2に係るアンテナの断面図である。 実施形態2に係るアンテナを構成する各層の製造方法を説明するための斜視図である。 本発明の実施形態3に係るアンテナの断面図である。 実施形態3に係るアンテナを構成する各層の製造方法を説明するための斜視図である。 本発明の実施形態4に係るアンテナの断面図である。 実施形態4の変形例に係るアンテナの断面図である。 実施形態4に係るアンテナを構成する各層の製造方法を説明するための断面図である。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るアンテナ及びアンテナ装置について、図面を参照しつつ説明する。
(アンテナの構成)
実施形態1に係るアンテナ1は、図1Aの分解斜視図に示すように、非磁性体で形成された絶縁体層10(10〜10、10〜1010)、磁性体で形成された絶縁体層である磁性体層11(11〜11)、各層の表面(主面)に形成された水平導体(配線)30(30、302a、302b等)、及び各層の側面に形成された垂直導体40(40、40、40等)から構成される。アンテナ1を構成する絶縁体層10と磁性体層11に付された添え字は、図1Aの下側から順に付された層の番号を示す。水平導体30、及び垂直導体40に付された添え字は、それぞれ位置を区別するために付してある。層の番号、水平導体の位置、及び垂直導体の位置を区別する必要のないときは、これらの添え字を省き、絶縁体層10、磁性体層11、水平導体30、及び垂直導体40と呼ぶ。なお、以下では、各層10、11の短手方向(幅方向)をX方向、長手方向をY方向、厚さ方向をZ方向とする。
アンテナ1は、アンテナ1を介して信号を送受信する信号処理回路(図1Aには図示せず)が形成された回路基板2に配置されている。回路基板2には、信号処理回路とアンテナ1とを電気的に接続するための2つの電極20aと20bが形成されている。
絶縁体層10は、例えばガラスセラミック、エポキシ樹脂等から形成され、互いに等しい厚さを有する。
また、磁性体層11は、例えば、Ni−Zn系フェライト等の絶縁性フェライトから形成される。
水平導体30は、Cu膜、Al膜等の金属系導電性材料膜で形成され、垂直導体40は、Agペースト、Cuペースト等の金属系導電性材料が充填されたビア等で形成される。
絶縁体層10〜10、磁性体層11〜11、絶縁体層10〜1010は、この順番に積層されている。
第1層の絶縁体層10の上面のほぼ中央部には、略X軸方向に延びる水平導体30が形成されている。
第2層の絶縁体層10の上面には、第1層の水平導体30の積層方向投影位置から図1Aに示す方向にそれぞれ距離L離れた位置に、水平導体30と同方向に延びる水平導体302aと302bが形成されている。
第3層の絶縁体層10の上面には、第2層の水平導体302aの積層方向投影位置から図1Aに示す方向に距離L離れた位置に、水平導体302aと同方向に延びる水平導体303aが形成され、第2層の水平導体302bの積層方向投影位置から図1Aに示す方向に距離L離れた位置に、水平導体302bと同方向に延びる水平導体303bが形成されている。
第4層の絶縁体層10の上面には、第3層の水平導体303aの積層方向投影位置から図1Aに示す方向に距離L離れた位置に、水平導体303aと同方向に延びる水平導体304aが形成され、第3層の水平導体303bの積層方向投影位置から図1Aに示す方向に距離L離れた位置に、水平導体303bと同方向に延びる水平導体304bが形成されている。
第5層の磁性体層11及び第6層の磁性体層11には、水平導体30は形成されていない。
第7層の磁性体層11の上面のほぼ中央部には、略X軸方向に延びる水平導体30が形成されている。
第8層の絶縁体層10の上面には、第7層の水平導体30の積層方向投影位置から図1Aに示す方向にそれぞれ距離L離れた位置に、水平導体30と同方向に延びる水平導体308aと308bが形成されている。
第9層の絶縁体層10の上面には、第8層の水平導体308aの積層方向投影位置から図1Aに示す方向に距離L離れた位置に、水平導体308aと同方向に延びる水平導体309aが形成され、第8層の水平導体308bの積層方向投影位置から図1Aに示す方向に距離L離れた位置に、水平導体308bと同方向に延びる水平導体309bが形成されている。
第10層の絶縁体層1010の上面には、第9層の水平導体309aの積層方向投影位置から図1Aに示す方向に距離L離れた位置に、水平導体309aと同方向に延びる水平導体3010aが形成され、第9層の水平導体309bの積層方向投影位置から図1Aに示す方向に距離L離れた位置に、水平導体309bと同方向に延びる水平導体3010bが形成されている。
第1層から第4層の水平導体30〜304bは、それぞれ絶縁体層の幅方向の両端で、X座標の増加に伴ってほぼL/2だけY座標が増加する向きに、互いに平行に形成されている。また、第7層から第10層の水平導体30〜3010bは、それぞれ絶縁体層の幅方向の両端で、Xの増加に伴ってY座標がほぼL/2だけ減少する向きに、互いに平行に形成されている。
絶縁体層10、磁性体層11の一方のY−Z側面(図1A奥側の側面)には、図1B(a)に示すように、回路基板20の電極20aの一端と第10層の水平導体3010aの一端を接続する垂直導体40、第4層の水平導体304aの一端と第9層の水平導体309aの一端を接続する垂直導体40、第3層の水平導体303aの一端と第8層の水平導体308aの一端を接続する垂直導体40、第2層の水平導体302aの一端と第7層の水平導体30の一端を接続する垂直導体4013、第1層の水平導体30の一端と第8層の水平導体308bの一端を接続する垂直導体4011、第2層の水平導体302bの一端と第9層の水平導体309bの一端を接続する垂直導体40、第3層の水平導体303bの一端と第10層の水平導体3010bの一端を接続する垂直導体40、第4層の水平導体304bの一端と回路基板2の電極20bの一端を接続する垂直導体4015、が形成されている。
また、絶縁体層10、磁性体層11の他方の側面(図1A手前側の側面)には、図1B(b)に示すように、第10層の水平導体3010aの他端と第4層の水平導体304aの他端を接続する垂直導体40、第9層の水平導体309aの他端と第3層の水平導体303aの他端を接続する垂直導体40、第8層の水平導体308aの他端と第2層の水平導体302aの他端を接続する垂直導体4010、第7層の水平導体30の他端と第1層の水平導体30の他端を接続する垂直導体4014、第8層の水平導体308bの他端と第2層の水平導体302bの他端を接続する垂直導体4012、第9層の水平導体309bの他端と第3層の水平導体303bの他端とを接続する垂直導体40、第10層の水平導体3010bの他端と第4層の水平導体304bの他端とを接続する垂直導体40、が形成されている。
このような構成とすることにより、電極20→垂直導体40→水平導体3010a→垂直導体40→水平導体304a→垂直導体40→水平導体309a→垂直導体40→水平導体303a→垂直導体40→水平導体308a→垂直導体4010→水平導体302a→垂直導体4013→水平導体30→垂直導体4014→水平導体30→垂直導体4011→水平導体308b→垂直導体4012→水平導体302b→垂直導体40→水平導体309b→垂直導体40→水平導体303b→垂直導体40→水平導体3010b→垂直導体40→水平導体304b→垂直導体4015→電極20b、という電路が形成される。
この電路は直線状の水平導体と垂直導体とが電気的に接続されて構成されているが、以下ではこの接続を螺旋状接続と呼ぶこととする。この水平導体30と垂直導体40とにより、磁性体層11〜11を内部に含み、巻き線ピッチがLのコイルが形成される。このコイルは、接続に関する上記の定義により、螺旋状の形状を有する。
このように構成されたコイルは、図2に、図1Aに示すA−A’位置でのアンテナ1の断面(A−A’断面)で示すように、その長手方向に対して屈曲した形状(以下ではこのように屈曲した形状を含めて湾曲した形状と呼ぶ)を有する。すなわち、水平導体30の形成された絶縁体層10の表面(主面)うち、積層方向の両端にある絶縁体層10の表面(主面)の一方を基準面とし、この基準面を図1A又は図2の最下部の絶縁体層10の主面として設定したときは、コイルは、コイル長手方向の中央部(又は中心)から長手方向の端部に近づくに従って、基準面からより離れていく。換言すれば、コイルの巻き回し軸は湾曲し、コイル長手方向の中央部(又は中心)から長手方向の端部に近づくに従って、基準面からより離れていく。このアンテナ1を、基準面に近い側の面で回路基板2に設置した場合、アンテナ1のコイル巻き回し軸は回路基板2の側が凸になるように湾曲した形状を有する。
(アンテナの動作)
次に、アンテナ1の動作について説明する。
アンテナ1の等価回路を回路基板2に形成された信号処理回路3と共に図3に示す。この等価回路において、Lはコイルの有するインダクタンス、Rはコイルの有する電気抵抗、Cはアンテナ1の持つ浮遊容量と、アンテナ1に接続される図示していないコンデンサの有する静電容量とを含めた静電容量である。L、R、及びCにより共振周波数fが定まり、アンテナ1の通信帯域が定まる。
信号処理回路3は、アンテナ1から信号を送信する場合は、送信信号に対応した電流を電極20a、20bを介して、アンテナ1に出力する。信号は、この電流によりコイルに発生する磁界により送信される。また、信号処理回路3は、外部からの磁界によりアンテナ1のコイルに流れる電流を入力して処理し、信号を抽出する。
アンテナ1から信号を送信する場合、通電により、コイルは、図2に示すように、太線で示す上向きの磁界Bupと細線で示す下向きの磁界Bdownを発生する。コイル巻き回し軸が回路基板2側に凸に湾曲しているため、上向きの磁界Bupの強度>下向きの磁界Bdownの強度となる。
図4に示すように、アンテナ1の近傍に金属物を含む回路部品、例えば信号処理回路3が配置されているような場合、従来であれば、アンテナ1と信号処理回路3との間に磁界を介して不要結合が生じ、これによりアンテナの特性(例えば共振周波数、すなわち通信帯域、及びアンテナ利得など)が変化してしまう。しかし、本実施形態では、アンテナ1が湾曲したコイルを備えているので、上向きの磁界Bupの強度>下向きの磁界Bdownの強度となり、アンテナ1から見て回路基板2に近い側、すなわち下方に設置されている信号処理回路3との間の不要結合は低減する。不要結合の低減により、アンテナ特性の変化(すなわち劣化)も低減するので、所期の特性に近い状態でのアンテナ1の使用が可能となる。なお、回路基板2と、その上に設置されたアンテナ1とを併せてアンテナ装置と呼ぶ。
一方、アンテナ1の近傍に配置された金属を含む信号処理回路3の側から見ると、アンテナ1が従来のアンテナの場合は、信号の送信時に発生する磁界、特にBdown成分により、信号処理回路3等の電子回路(又は部品)に好ましくない誘導電流が発生し、ノイズが大きくなる等の悪影響が生じることがある。この問題は、電子回路にIC(Integrated Circuit)が使用されている場合には特に顕著である。しかし実施形態1に係るアンテナ1では上向きの磁界Bupの強度>下向きの磁界Bdownの強度となるため、相対的にBdownの強度が小さい。これにより電子回路への悪影響が低減する。このことにより、電子回路を、アンテナ1により近づけて配置することが可能となるため、より高密度の実装が可能となる。
また、上向きの磁界Bupの強度>下向きの磁界Bdownの強度となるため、上向きにより強い磁界強度で送信することができる。一方、アンテナ1で信号を受信する場合は、外部から送信された信号の磁界成分のうち磁界Bupに対応した側からの磁界成分を有する信号に対してより高感度となる。すなわち、回路基板2とは反対側の方向に対しての通信距離が改善される。
また、コイルの巻き回し軸が湾曲していることにより、磁力線がコイル内の磁性体層11を通過する経路長が長くなる。これによっても信号に対するアンテナ1の感度等の特性が改善される。
なお、図1A〜図4に示すアンテナ1は、コイル全長にわたりコイル内側に含まれる絶縁体層が存在するので、そのような絶縁体層を磁性体層11に置き換えてコイルのコアとして構成したものである。そのような絶縁体層が存在しない場合も含めて、磁性体層11を使用しないで、非磁性体の絶縁体層10のみでアンテナ1を構成しても良く、信号に対する感度は低減するが、アンテナ1は機能する。
上記図1A〜図4に示すアンテナ1のコイルは、コイル巻き回し軸が対称に湾曲した形状を有し、長手方向の中央部で回路基板2に最も近づく。しかし、コイル巻き回し軸は長手方向に非対称に湾曲した形状であってもよい。コイル巻き回し軸が非対称に湾曲した形状を有するコイルの例を図5〜図8を参照して説明する。なお、図5〜8に示すコイル形状は厳密には湾曲ではなく屈曲又は直線状に傾斜したコイル形状を含むが、以下ではこれらの形状を含めて湾曲形状と呼ぶこととする。
図5〜図8は、図1Aに示すA−A’位置でのアンテナ1の断面(A−A’断面)を、回路基板2と信号処理回路3を含めて示す。図5〜図8では、コイルを構成する水平導体30のみが示されている。最上層の絶縁体層10の主面に形成された水平導体だけに番号30を付し、他は番号を省略した。いずれの例も先に説明したアンテナ1の基準面は絶縁体層10の主面に設定されており、アンテナ1はこの基準面に近い側の面、すなわち絶縁体層10の主面の反対側の面で回路基板2に設置されている。また、アンテナ1が絶縁体層10に加えて磁性体層11を有しているかどうかは、ここでは無視する。コイル全長にわたりコイルの内側に含まれる層があればその層は磁性体層11としてもよいし、磁性体層11にせずに非磁性体の絶縁体層10としてもよい。そのような層がなければ、全層、非磁性体の絶縁体層10とする。
図5に示す例では、アンテナ1のコイルは、コイルの長手方向の中央位置からずれた位置Yrで、基準面、従って回路基板2にもっとも接近し、長手方向のコイル端部それぞれに向かって基準面、従って回路基板2から離れていくように構成されている。このような湾曲形状は、位置Yrの左右でコイル巻き線数が異なることにより形成出来る。
図6に示す例は、コイルの長手方向の中央位置Ycでコイルが回路基板2にもっとも接近し、位置Ycの左右で湾曲の程度が非対称になるように構成されたコイルの例である。湾曲の程度は、例えば、長手方向のあるコイルターンと、次のコイルターンとで、表面に水平導体30が形成される層の積層方向における違いの程度を変えることにより制御できる。図6の例では、Ycの向かって左側のコイル部分では、表面に水平導体30が形成される層がワンターン毎に1層ずつずれているが、Ycの向かって右側のコイル部分では、表面に水平導体30が形成される層がワンターン毎に2層ずつずれている。
図7に示す例は、コイルの長手方向の位置Ycでコイルが回路基板2にもっとも接近し、Ycの向かって右側のコイル部分は湾曲するが、向かって左側のコイル部分は、同じ絶縁体層の表面に水平導体30が形成され、回路基板2に対して湾曲しない構成の例である。
図8に示す例は、コイルは、長手方向の一方のコイル端部で基準面、従って回路基板2にもっとも接近し、長手方向の他方のコイル端部に向かって、基準面、従って回路基板2から離れていくように構成されている。この場合、この長手方向の一方のコイル端部が位置Ycとなる。図8では、コイルは、そのワンターンの長手方向位置が他方のコイル端部に近づくに従って、回路基板2から同じ程度離れていくように構成されており、コイル軸が傾いている。なお、この離れていく程度を長手方向位置に応じて徐々に大きくするように構成しても良い。また、コイル配線のピッチLを調整することにより、湾曲の程度、又はコイル軸の少なくとも一部の傾きの程度を調整することも可能である。
このようにコイルの巻き回し軸を非対称に湾曲させるのは、アンテナ1との不要結合の対象がアンテナ1のコイル長手方向の一方の端部近傍に存在する場合に効果的である。このように非対称に湾曲したコイルで構成されたアンテナ1の場合、回路基板2からより離れたコイル端部の近傍に、不要結合の対象となる回路等を配置したときには、対称に湾曲したコイルの場合と同等又はそれ以上にアンテナ1と回路等との不要結合が低減するという効果を奏することができる。すなわち、本実施形態のアンテナによれば、コイルの湾曲の程度を調整することによりアンテナの指向性を容易に変えることができ、近在の回路基板上に実装した他の部品との不要結合を低減することができる。
なお、アンテナ1を構成する絶縁体層10および磁性体層11のそれぞれの層数及び厚さは任意である。磁性体層11については、図1A、Bで示す層数分の厚さを有する1枚の磁性体で置き換えてもよい。更に、既に説明したように磁性体層11を非磁性体の絶縁体層10で置き換えてもよい。
図1A、図2等では水平導体30の形成された最下層の絶縁体層10の下には絶縁体層はないが、絶縁体層10の下に少なくとも一の絶縁体層を形成し、これを含めてアンテナ1を構成しても良い。なお、新たに形成した絶縁体層の側面には垂直導体40、4015が形成される。
更に、コイルを構成する導体(水平導体30と垂直導体40)のピッチ及びターン数は任意である。導体の線幅は短絡が起きず、寄生容量が大きくなり過ぎない範囲で任意に設定できる。また、導体の厚さも互いに異なっていてもよい。
また、コイルを構成する水平導体30はワンターン毎に1層ずれた絶縁体層表面に配置される必要はない。N(Nは自然数)ターン毎に所定方向にM(Mは自然数)層ずれた絶縁体層表面に配置されてもよい。更に、Mを一定値とせず、コイルの長手方向に依存して変えてもよい。例えば長手方向の一方のコイル端部に向けてMを大きくしていってもよい。
これまで、アンテナ1は、そのコイルの湾曲形状が、アンテナ1を設置する回路基板2に向かって凸となるような配置で設置するとした。すなわち基準面を絶縁体層10の主面とし、アンテナ1は、基準面に近い側のアンテナ1の面で回路基板2に設置されている。しかし、3次元実装等で不要結合する可能性のある電子部品が、アンテナ1に対して、アンテナ1の設置される回路基板2とは反対側に存在することも考えられる。このような場合を含めて、アンテナ1は、そのコイルの湾曲形状が不要結合を避けたい方向に凸となる配置で回路基板2に設置することが好ましい。
更に、アンテナ1は、想定される通信方向に対してコイルの湾曲形状が凹となる配置で回路基板2に設置されてもよい。このような配置にすることにより通信感度が高くなり通信距離も向上する。
(実施形態1に係るアンテナの製造方法)
次に、上記構成を有するアンテナ1の製造方法を、各絶縁体層10をガラスセラミックから形成する例で説明する。
まず、アンテナ1を構成する各層を個別に形成する。
例えば、絶縁体層10であれば、ガラスセラミックのグリーンシート等の、未焼成セラミック層を図9(a)に示す様に用意する。なお、図9では、一例として、絶縁体層10を形成する工程を示す、また、図9では、理解を容易にするため、アンテナ1つ分の構成を図示するが、実際には、複数アンテナ分のサイズのシート(マザーシート)が用意される。
同様に、磁性体層11であれば、磁性体の層を用意する。
次に図9(b)に示すように、層番号に応じて予め定められている位置に、水平導体30(図9(b)に示す例では308aと308b)を形成する。水平導体30の形成にはメッキによる方法、Agペーストの印刷、成膜装置による成膜などの方法が使用される。実際には、複数のアンテナ1に対応して図9(b)に示す水平導体30の導体パターンと同一の導体パターンが、シート状の絶縁体層10の表面に複数セット形成される。
次に、図9(c)に示すように、各層10、11の側面に対応する領域の、層番号に応じて予め定められている位置に垂直導体40(図9(c)に示す例では前面の垂直導体40のみ明示され後面の垂直導体40は図示が省略されている)を形成する。垂直導体40は、図9(c)の前方、後方でそれぞれ一直線上に配置される。垂直導体40は、例えばビアホールで形成されても、スルーホールで形成されても良い。いずれの場合も、レーザ装置やエッチング装置を利用して積層方向に貫通孔を形成し、そこに導体を埋め込むことにより形成される。導体の埋め込みは、例えば、アルミニウム、銅などの金属を利用したメッキ、Agペーストの埋め込み、成膜装置等による膜形成による埋め込みなどが利用できる。
続いて、磁性体層11を含む全層のシートを、ビアホール又はスルーホール位置が一致するように位置あわせして(図1A参照)、プレス処理により一体化する(図2参照)。
続いて、形成された構造体を焼成し、グリーンシートをセラミック化し、水平導体30と垂直導体40の形成された絶縁体層10及び磁性体層11を有する構造体を得る。
その後、垂直導体40が一直線上に形成された図9(c)の前面及び後面のビアホール又はスルーホールの中心位置に沿ってダイシングする。これにより、複数のアンテナ1を個別に切り出すと共に、それぞれのアンテナ1に備えられる垂直導体40及び4015(図1A参照)で構成されるコイルの端部を露出させ、図1Aまたは図2に示したアンテナ1を得る。
以上の工程によりアンテナ1ではコイルの端部が露出する。次に、露出したコイル端部と、回路基板2に形成された電極2a、2bとの間を半田付け処理等により接続する。これにより、電極2a、2bとアンテナ1とを、両者の接続部の振動による摩耗や酸化による接触不良などが発生する恐れの小さい状態で接続することが可能となる。
上記のようにダイシングすることにより、垂直導体40が、磁性体層11を含む絶縁体層の側面に露出するとともに、コイルのX方向外側にあった磁性体がなくなる。そのため、磁性体層11の側面方向(X方向)への磁界放射が大きくなる。その結果、アンテナ1は、側面方向(X方向)への通信の感度が改善され、不要結合の対象となる金属物等が側面方向にない場合に、効果を発揮できる。
なお、アンテナ1のコイル端部を外部に引き出す方法は上記に限定されない。例えば、図1Aに示す回路基板2に相当するような、アンテナ1のX方向の幅よりも大きな幅の絶縁体層(例えば絶縁体シート)上に、アンテナ1の幅よりも長い水平導体30を2本、コイル端部引出線として形成する。この2本のコイル端部引出線と図1Aの絶縁体層10の垂直導体40及び4015がそれぞれ、接続されていれば、コイル端部がコイル端部引出線を介して外部に露出することになる。コイル端部引出線は電極20、20にそれぞれ半田付け等で接続可能である。このような形でコイル端部とコイル端部引き出し線を接続するためには、コイル端部引き出し線の形成された絶縁体層の上に、これまで説明した方法により絶縁体層10、磁性体層11、水平導体30、垂直導体40を形成してアンテナ1を構成する。このとき、垂直導体40は全てビアホール又はスルーホール内に形成されたままの状態であり、磁性体層11を含む絶縁体層の側面に露出しない。絶縁体シート上に複数のアンテナ1を形成する場合は、垂直導体40は各アンテナ1毎に形成され、隣り合う垂直導体40の列の間でダイシングすることにより各アンテナ1を個別に切り出す。
上記方法によりコイル端部を外部に引き出してアンテナ1を回路基板2に実装するときは、垂直導体40は磁性体層11を含む絶縁体層の側面に露出せず、磁性体層11の部分では、コイルのX方向外側に磁性体が存在することになる。そのため、磁性体層11の側面方向への磁界放射が低減し、アンテナ1とアンテナ1のX方向近傍に配置された金属物との不要結合を低減させることができる。
このように、アンテナ1は、コイルを構成する垂直導体40をアンテナ1の側面で露出させて構成されても良いし、露出させずに構成されてもよく、状況に応じたそれぞれの利点を有する。
なお、絶縁体層10をエポキシ樹脂層などで構成することも可能である。この場合は、半硬化状態のシートに水平導体30、垂直導体40を形成する工程を実行し、加熱プレスにより各層を一体化する。そのため、積層工程が容易になる。
なお、シート積層ではなく印刷積層によるアンテナ1の製造も可能である。このときは、絶縁体層10、磁性体層11はそれぞれ成膜処理により形成される。このとき各層の垂直導体40が形成される位置にあらかじめ絶縁体又は磁性体を成膜しないようにしておけば貫通孔の生成処理が不要となる。
本実施の形態に係るアンテナ及びアンテナ装置において、磁性体層を含む絶縁体層の総数は以上説明した構成に限定されない。更に、種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
(アンテナの変形例1)
図10に示すアンテナ1の変形例1は、アンテナ1を形成する最上層の絶縁体層1010の表面に形成された水平導体30の上に、更に少なくとも1層の非磁性体の絶縁体層1011を形成し、これを基板として、その上に形成される電子回路16を備えたモジュールアンテナである。このアンテナ上部に配置される電子回路16は、信号処理回路3等の、通常であればアンテナ1の近傍に配置され、不要結合の発生対象となる電子回路とすることが望ましい。
変形例1に係るアンテナ1によれば、通常であればアンテナ1の近傍に配置される金属物を含む電子回路16をアンテナ1の上部に配置するため、電子回路16に含まれる金属物を含む電子部品との不要結合が更に低減し、アンテナ特性の劣化やアンテナによる信号の送受信に伴い当該電子部品を介して発生する電子回路16へのノイズ等の悪影響が低減する。更に、省スペース化や配線長を短縮出来ることにより伝送損失が軽減される。
(アンテナの変形例2)
図11に変形例2に係るアンテナの斜視図を示す。変形例2に係るアンテナはこれまで説明したアンテナ1にブースターアンテナ5を組み合わせて構成される。図11ではアンテナ1は、通常のコイルを備えているように描かれているが、これは図面を見やすくするためであり、そのコイルは図4〜図8に示されているように少なくともその一端が回路基板2から離れるように湾曲しているものとする。すなわちアンテナ1は、その基準面に近い側の面で回路基板2に取り付けられている。ブースターアンテナ5は、図12に示すように、絶縁体50と、その表面周辺部に螺旋状に形成された導体で構成される螺旋コイル51とを備える。螺旋コイル51の内側にある導体の形成されていない部分を螺旋コイル開口部52と呼ぶ。絶縁体50は絶縁体基板であってもよいし絶縁体シートであってもよい。ブースターアンテナ5は、図11に示すように、アンテナ1に対して、アンテナ1が設置されている回路基板2とは反対側に配置される。
図11に示すBupは上向きの磁界を示し、図2、4、及び10に示す磁界Bupと同じである。この磁界は、送信時にアンテナ1で生成される磁界、又は受信時にアンテナ1に入る磁界である。
図11に示すように、ブースターアンテナ5は、アンテナ1に対して、基準面、従って回路基板2とは反対側に配置されるとともに、XY平面、又は基準面に投影したとき、螺旋コイル開口部52がアンテナ1に対して次の位置関係になるように配置される。すなわち、アンテナ1のコイル長手方向の少なくとも一方のコイル端部は、螺旋コイル開口部52の領域に含まれる。更に、螺旋コイル開口部52は、アンテナ1に対して、長手方向にこの一方のコイル端部の側に偏心している。この一方のコイル端部は、コイルの長手方向の他方のコイル端部に比べて、それぞれの端部に近づくにつれて、コイルが基準面、従って回路基板2から、同等以上に離れるコイル端部である。このような配置により、アンテナ1の磁界Bupによる磁束は、螺旋コイル開口部52に鎖交する。これにより磁界Bupを介してアンテナ1のコイルとブースターナンテナ5の螺旋コイル51とが磁気結合する。
図13に、アンテナ1とブースターアンテナ5とで構成される変形例2に係るアンテナの等価回路を信号処理回路3とともに示す。
ブースターアンテナ5の等価回路は、螺旋コイル51の有するインダクタンスL、電気抵抗R2、及び静電容量Cで構成される。静電容量Cは螺旋コイル51の持つ浮遊容量と、螺旋コイル51に接続され得る図示していないコンデンサの有する静電容量とを含めた静電容量である。L、R、及びCにより共振周波数fが決まり、ブースターアンテナ5の通信帯域が決定される。
アンテナ1のコイルとブースターアンテナ5の螺旋コイル51とは磁気結合する。アンテナ1の有する共振周波数をfとすると、fとfとは等しくなるように設定される。
とfとが等しくなるように設定されるので、磁気結合が強くなり、アンテナ1の送受信に係る磁界Bupがブースターアンテナ5により効果的に増強される。従って、変形例2に係るアンテナによればアンテナの送受信感度が更に向上する。
(アンテナの変形例3)
変形例3に係るアンテナは、変形例2と同様にアンテナ1とブースターアンテナ5とを組み合わせたものであるが、ブースターアンテナ5は、積み重ねた複数のブースターアンテナ5で構成されている。図14に2個のブースターアンテナ5、5を積み重ねて構成されたブースターアンテナ5の斜視図を示す。図14では2個のブースターアンテナ5、5の間にスペースがあるが、これは見やすくするためであり、実際はこのスペースはないほうが好ましい。
ブースターアンテナ5(i=1又は2)は、いずれも変形例2で説明したブースターアンテナ5と同じ構成であり、絶縁体50と螺旋コイル51と、螺旋コイル開口部52を備える。なお、螺旋コイル51と51の螺旋の向きは互いに逆向きである。ブースターアンテナ5は、螺旋コイル51の形成面に垂直な方向に互いの螺旋コイル開口部52の中心を揃えるようにして積み重ねられる。
変形例3に係るアンテナの等価回路を図15に示す。ブースターアンテナ5に係る等価回路中、Lは螺旋コイル51の有するインダクタンス、Rは螺旋コイル51の有する電気抵抗、Cは螺旋コイル51の持つ浮遊容量と、螺旋コイル51に接続され得る図示していないコンデンサの有する静電容量とを含めた静電容量である。一方、Lは螺旋コイル51の有するインダクタンス、Rは螺旋コイル51の有する電気抵抗、Cは螺旋コイル51の持つ浮遊容量と、螺旋コイル51に接続され得る図示していないコンデンサの有する静電容量とを含めた静電容量である。なお、CとCを合わせた静電容量には螺旋コイル51と51との間の浮遊容量も含まれる。
螺旋コイル51と51とは、交流信号に対しては、静電容量C、Cを介して電気的に接続された状態である。螺旋コイル51と51の螺旋の向きが互いに逆向きであることにより、磁界による磁束が螺旋コイル開口部52と52とに鎖交することによって螺旋コイル51と51に誘起される電流は互いに同じ向きに流れ、増幅される。そのため変形例2の場合よりもアンテナ1とブースターアンテナ5間の磁気結合が強くなる。
アンテナ1のコイルのインダクタンスLは、螺旋コイル51のインダクタンスL及び螺旋コイル51のインダクタンスLと磁気結合する。インダクタンスL及びインダクタンスLは両者の合成インダクタンスLに、電気抵抗RとRは両者の合成抵抗Rに、静電容量CとCは合成静電容量Cにそれぞれ置き換えることができる。そうすると、変形例3に係るブースターアンテナ5の等価回路は、図13に示す等価回路と同じように、3つの要素L,C,Rからなる等価回路として取り扱うことができる。このときのブースターアンテナ5の共振周波数は合成インダクタンスL、合成抵抗R、及び合成容量Cで決まる。
ブースターアンテナ5が3個以上のブースターアンテナ5(i=1、2、3、・・・)で構成されるときも、積み重ねた方向に隣り合う螺旋コイル51の螺旋の向きが互いに逆向きとなるように、それぞれの螺旋コイル51が配置される。この場合も、ブースターアンテナ5の等価回路は、図13に示すものと同じように、C、R、Lの3つの要素からなる等価回路となる。従って、ブースターアンテナ5の共振周波数はこれら合成されたL、R、Cで決定される。
ブースターアンテナ5の、合成されたL、R、Cで決まる共振周波数fをアンテナ1の共振周波数fと等しくする。その結果、磁気結合が更に強くなり、アンテナ1の送受信に係る磁界Bupがブースターアンテナ5により、変形例2の場合よりも更に効果的に増強される。従って、変形例3に係るアンテナによればアンテナの送受信感度が更に向上する。
(実施形態1に係るアンテナの適用例)
図16に、実施形態1に係るアンテナを携帯端末に適用した例を示す。図示するアンテナはブースターアンテナ5を備えた変形例2又は3に係るアンテナである。図16は、携帯端末を携帯電話としたときの例である。図16には、携帯通信端末の筐体を構成する端末筐体6及び筐体カバー7が示されている。
図16に示されるように、端末筐体6には、回路基板2、2、バッテリーパック9が収容されている。回路基板2には、アンテナ1と、信号処理回路3を構成する電子部品と、UHF帯アンテナ8、8が実装されている。X、Y方向を図示するように定義し、Z方向を紙面の裏から表に向かう方向とすると、アンテナ1は、そのコイル長手方向をY方向に一致させて配置されている。アンテナ1のコイルは、図4等に示されるように、コイルの長手方向に、信号処理回路3に近い側のコイル端部に近づくに従って、他方のコイル端部に近づく場合よりも、コイル端部が、基準面、従って回路基板2から同等以上に離れるように湾曲している。
回路基板2には、UHF帯アンテナ8が実装されている。回路基板2と回路基板2に実装された電子部品は、同軸ケーブル60によって接続されている。
筐体カバー7にはブースターアンテナ5が実装されている。端末筐体6と筐体カバー7は、図16の矢印に示されるように、閉じ合わされることで、一体化される。これにより、筐体カバー7に取り付けられたブースターアンテナ5は、アンテナ1に対向し、アンテナ1に対して回路基板2と反対側に位置する。これにより、図11に示すアンテナ配置が実現される。
すなわち、端末筐体6と筐体カバー7とが、閉じ合わされることにより、アンテナ1の一方のコイル端部がXY平面上で螺旋コイル開口部52に含まれ、螺旋コイル開口部52がアンテナ1のコイル長手方向に一方のコイル端部側に偏心したところに位置する。この一方のコイル端部は他方のコイル端部よりも基準面から同等以上に離れている。これにより、アンテナ1の磁界Bupによる磁束が、螺旋コイル開口部52に鎖交し、アンテナ感度が向上する。なお、筐体カバー7には、カメラ用及びバッテリーパック9用の開口部が設けてある。カメラについては説明を省略したが回路基板2上に設置されている。
このようなアンテナを有する携帯端末は、筐体カバー7を通過する磁界Bupを介して、通信対象機器に対する信号の送受信ができる。このとき、回路基板2上に信号処理回路3等、金属物を含むものが配置されていても、既に説明したようにアンテナ1は湾曲したコイルを使用しているため、アンテナに対する金属物とアンテナとの不要結合による影響が低減する。その結果、アンテナ特性の劣化等の影響が軽減される。更に信号処理回路3等の回路へのアンテナ1からの影響も軽減される。なお、ブースターアンテナ5は必ずしも設置する必要はない。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係るアンテナ1を、図面を参照しつつ説明する。図17は実施形態2に係るアンテナ1の、図1AのA−A’に対応する位置での断面図である。図17中、図2と共通する部分には同じ番号を付した。図2と異なる点は、コイルの内側に含まれる絶縁体層10(10〜10、10〜1010)又は磁性体層11(11〜11)の表面領域に所定パターンの磁性体部12(12、12、127a、127b等)が形成されていることである。この磁性体部12は実施形態1の磁性体と同じ種類の磁性体であっても異なる種類の磁性体であっても良い。実施形態1で説明した磁性体と同様に、この磁性体部12は絶縁体である。
磁性体部12は、アンテナ1を構成する絶縁体層10、磁性体層11のうち、絶縁体層10〜10、10、10及び磁性体層11の、コイルの内側に位置する領域の表面に形成されている。図17では、この磁性体部12は、以下に示す磁性体である。
・2層から4層目までの絶縁体層のうち絶縁体層10(i=2、3)のそれぞれの表面に形成された各2本の水平導体30iaと30ib(i=2、3)の間にある磁性体部12と12
・7層目の磁性体層11の表面に形成された水平導体30の両側に、それぞれコイルの長手方向の端部までの間にある磁性体部127aと127b
・8層目、9層目の絶縁体層10(i=8,9)のそれぞれの表面に形成された各2本の水平導体30iaと30ib(i=8、9)のそれぞれとそれに近いコイルの長手方向の端部までの間にある磁性体部128a、128b、及び磁性体部129a、129b
いずれの磁性体部12も、コイルの内側に対応する図1Aに示す各層のX方向の幅の範囲内に形成される。
このように、実施形態2ではコイルの内側に、コイルのコアとして磁性体層11に加えて、磁性体部12が付加される。そのため、コイル部の磁界が増強され、アンテナ1の磁界に対する感度が向上する。
また、磁性体部12を付加することによりアンテナ1の感度の指向性をコントロールすることも可能である。図17に示す例では図2に示す例に比べて磁界BUPはより上方に指向性を有する。従って、アンテナ1と回路基板2上の信号処理回路3等の電子回路や部品との不要結合はより低減する。
図17はアンテナ1が磁性体層11を含み、コイルが、その長手方向に対称に湾曲している場合の例を示すが、実施形態2に係るアンテナ1はこれに限定されず、磁性体層11を含まなくてもよい。また、コイルが、その長手方向に非対称に湾曲していてもよい。
このような場合を含めて実施形態2に係るアンテナ1は、コイル部の磁界が増強されることによりアンテナ1の磁界に対する感度が向上するとともに感度の指向性を調節できるという効果を奏することができる。なお、実施形態2に係るアンテナ1は、実施形態1で説明したコイル形状が使用されることにより、実施形態1で説明した効果も奏することができる。
(実施形態2に係るアンテナの製造方法)
実施形態2に係るアンテナ1の製造方法は実施形態1で説明した方法に、所定の絶縁体層10又は磁性体層11の表面で所定のパターンの磁性体部12を形成する工程が追加される。図18を使ってこの処理を説明する。
図18に実施形態2に係るアンテナ1の製造処理の一部を示す。この図に示すのは図1Aの8層目の絶縁体層10に水平導体30、垂直導体40、及び磁性体部12を形成する処理である。
図18の(a)(b)(d)の処理は、それぞれ図9の(a)〜(c)の処理と同じである。図18の(d)では前面の垂直導体40のみ明示し、後面の垂直導体40は表示を省略した。
新たに追加される処理は、図18の(c)の絶縁体層10の表面に磁性体部128a、128bを形成する処理である。磁性体部128a、128bは、図18の(c)に示すように、所定のパターンで形成される。このパターンは、付加しない場合も含め、層毎にあらかじめ定められている。この形成は、磁性体ペーストの塗布や成膜装置を利用して行われる。
図18の(d)で、絶縁体層10の垂直導体40は、表面に形成される磁性体部12の膜を貫通して形成する必要があるため、磁性体部12が形成された後に形成される。垂直導体40の形成は図9(c)の場合と同様である。なお、磁性体部12を垂直導体40の形成部位を避けて形成すれば、この処理の順序は逆にしてもよい。
実施形態2に係るアンテナ1は、実施形態1で説明したシート積層、印刷積層のいずれの方法によっても製造できる。
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係るアンテナ1を、図面を参照しつつ説明する。図19は、本発明の実施形態3に係るアンテナ1の、図1AのA−A’に対応する位置での断面図である。実施形態3に係るアンテナ1は図17に示す実施形態2に係るアンテナ1の変形例と言える。図19中、図17と共通する部分には同じ番号を付した。図19に示すアンテナ1は、隣り合う層の表面にそれぞれ形成された磁性体部12を積層方向に形成した垂直磁性体部13で相互に接続したものである。垂直磁性体部13は、接続する一方が磁性体部12で、他方が隣り合う磁性体層11である場合を含んでも良い。垂直磁性体部13で相互に接続するとは磁路が形成されるように接続することを意味する。通常は物理的な接触があれば磁路が形成される。
各層の表面に形成された磁性体部12は、実施形態2で説明したようにアンテナ1のコイル内側に配置される。所定の層の表面に形成された磁性体部12は、磁性体層11も含め、垂直磁性体部13を介して相互に接触することにより磁路が形成される。図19では垂直磁性体部13は垂直磁性体部13、13、138a、138b、139a、139bとして示されている。垂直磁性体部13は磁性体部12と12を接続する。垂直磁性体部13は磁性体部12と磁性体層11を接続する。垂直磁性体部138a、138b、はそれぞれ磁性体部127aと128a及び磁性体部127bと128bを接続する。これらの垂直磁性体部13は、接続対象となる磁性体部12相互間、及び磁性体部12と磁性体層11との間の、XY平面上に投影したとき重なる部分において、少なくとも1箇所以上配置される。図19では、隣り合う層間の垂直磁性体部13がY方向に複数配置された例が示されているが、通常、X方向にも複数配置される。
以上説明したように、実施形態3のアンテナ1は、そのコイルの内側に、磁性体層11に加えて、各層の表面に磁性体部12が形成され、更に、積層方向に隣りあう層間で、磁性体のそれぞれに接続する積層方向に形成された垂直磁性体部13を備える。そのため、コイル内側に配置された磁性体間に磁路が形成される。これにより、これらの磁性体をコアとして利用したコイル部の磁界が更に増強され、アンテナ1の磁界に対する感度が向上するとともに、その感度の指向性を調整することができる。
図19はアンテナ1が磁性体層11を含み、コイルが、その長手方向に対称に湾曲している場合の例を示すが、実施形態3に係るアンテナ1はこれに限定されず、磁性体層11を含まなくてもよい。また、コイルが、その長手方向に非対称に湾曲(非対称に屈曲、直線的傾斜を含む)していてもよい。
このような場合を含めて実施形態3に係るアンテナ1は、磁界に対する感度が更に向上するとともに感度の指向性を調節できるという効果を奏することができる。なお、実施形態3に係るアンテナ1は、実施形態1で説明したコイル形状と併用されることにより、実施形態1で説明した効果も奏することができる。
(実施形態3に係るアンテナの製造方法)
実施形態3に係るアンテナ1の製造方法は実施形態2で説明した方法に、積層方向に隣り合う層間で磁性体部12相互間、又は磁性体部12と磁性体層11との間を接続する垂直磁性体部13を形成する処理が加わる。図20を使ってこの処理を説明する。
図20に実施形態3に係るアンテナ1の製造処理の一部を示す。図20(A)は、絶縁体層10を例に、水平導体30、垂直導体40、磁性体部12及び垂直磁性体部13を形成する処理を示す。図20(B)は、図18で示す処理により水平導体30、垂直導体40、及び磁性体部12が形成された磁性体層11を示すとともに、黒塗り矢印で、図20(A)で処理された絶縁体層10が磁性体層11に積層されることを示す。なお、図20では、前面の垂直導体40のみが明示され、後面の垂直導体40の表示は省略されている。
図20(A)(a)に示すように、磁性体層11の上表面に積層される絶縁体層10が形成される。絶縁体シートを使用する場合はそれを準備する。図20の(A)(a)、(b)、(d)、(e)の各処理は、それぞれ図18の(a)、(b)、(c)、(d)の各処理と同じである。
図20に示す処理で、図18の処理と相違するのは、図20の(b)と(d)との間に(c)の処理、すなわち垂直磁性体部13の形成が含まれる点である。垂直磁性体部13(138a、138b)が形成されるXY平面上の領域は、磁性体層11の表面に形成される磁性体部127a、127bと、絶縁体層10の表面に形成される磁性体部128a、128bとの間のXY平面での重なりの領域である。図20に示す例では、磁性体部127a、127bの各領域は磁性体部Y128a、128bの各領域をXY平面上でそれぞれ完全に包含する。従って、垂直磁性体部138a、138bは、XY平面上の磁性体部128a、128bに対応する各領域内で、図20(A)(c)の複数の丸印で示す位置に形成される。図20(A)(c)では垂直磁性体部138a、138bが積層方向に伸張する形態については図示を省略している。また、複数の丸印の個数と位置は任意である。図19に示されている複数の垂直磁性体部138a、138bが図20(A)(c)の複数の丸印に対応している。なお、垂直磁性体部13はスルーホール型ではなく内部が磁性体で充填されたビアホール型にすることが好ましい。これは、磁路の磁気抵抗を低減するためである。
磁性体層も含め他の層における処理もこれと同様の処理を行う。上記処理はシート積層、印刷積層のいずれの方法でも実施可能である。
(実施形態4)
図21は、本発明の実施形態4に係るアンテナ1の、図1AのA−A’に対応する位置での断面図である。図21中、図17又は19と共通する部分には同じ番号を付した。図17又は19と異なる点は、実施形態4に係るアンテナ1は、コイル内側の磁性体部12、垂直磁性体部13に代えて、各層毎に各層と同じ厚さの磁性体部14(14、14、14等)を備える。
図21に示す磁性体Yの形成例は一例であり、この図に限定されない。磁性体Yがコイルの外側に少しはみ出ている場合を含めても良い。
実施形態4の変形例を図22に示す。これは、図21において、各層の水平導体30と磁性体部14との間、及び水平導体30上方に、コイル内側に含まれる範囲内で、絶縁体層10の少なくとも一部を磁性体で置き換え、これを含めて磁性体部14としたものである。これにより、実施形態4に係るアンテナ1は、実施形態3に係るアンテナ1に比べて、コイル内側の磁性体充填率が向上する。
実施形態4に係るアンテナ1によれば、コイル内側の磁性体充填率がより高くなると共に、実施形態3に比べて磁路の磁気抵抗も小さくなる。そのためアンテナ1の信号の送受信に係る磁界感度がより向上するとともに感度の指向性を調節できる。
図21及び22はアンテナ1が磁性体層11を含み、コイルが、その長手方向に対称に湾曲している場合の例を示すが、実施形態4に係るアンテナ1はこれに限定されず、磁性体層11を含まなくてもよい。また、コイルが、その長手方向に広い意味で非対称に湾曲していてもよい。
このような場合を含めて実施形態4に係るアンテナ1は、コイル部の磁界が増強されることによりアンテナ1の磁界に対する感度が更に向上するとともに感度の指向性を調節できるという効果を奏することができる。なお、実施形態4に係るアンテナ1は、実施形態1で説明したコイル形状と併用されることにより、実施形態1で説明した効果も奏することができる。
(実施形態4に係るアンテナの製造方法)
実施形態4に係るアンテナはシート積層ではなく印刷積層による方法で製造するのが好ましい。各層にシートを使用する場合、磁性体部14の形成部分として広い範囲にわたり切り欠かなければならない。しかし、シート積層は最終段階で各層をプレスして一体化して多層基板とするため各シートが大きく切り欠かれ、そこに磁性体が成膜されても支えがない状態であるため扱いが難しくなる。これに対して印刷積層の場合は各層の形成毎に順次多層基板が形成されていくので上記のような問題は生じず、実施形態4に係るアンテナの製造が可能となる。
図23に実施形態4に係るアンテナの製造処理の例として、磁性体層11とその上の絶縁体層10の処理を示す。実施形態4に係るアンテナ1は、実施形態1で説明した方法に図23に示す工程を各層に対応して繰り返して適用することにより製造される。
図23の(a)では磁性体層11の表面に水平導体30及び垂直導体40(図示省略)が形成されている。これは実施形態1で説明した方法による。磁性体層11は磁性体シートを使用してもよいし、成膜により形成してもよい。
次に、図23の(b)では絶縁体層10を成膜処理により形成する。シートを利用する場合と異なり、磁性体部14の形成される領域には絶縁体層10を形成しない。これは各種の成膜処理法にマスクとレジストを利用するリソグラフィー工程を適用することにより実現出来る。
次に、図23の(c)では、絶縁体層10のない領域に絶縁体層10の厚さ相当の磁性体部14(148a、148b)を成膜処理により形成する。これも各種の成膜処理法にマスクとレジストを利用するリソグラフィー工程を適用することにより実現出来る。
次に、図23(d)では、磁性体部148a、148bにコイルを構成する水平導体308a、308bと垂直導体40(図示省略)を形成する。これは実施形態1で説明した方法による。
磁性体部14を形成する処理をもう少し細かく分割した処理にすれば、図22に示す磁性体部14の構成でアンテナ1を製造することができる。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
1 アンテナ
2、2、2 回路基板
3 信号処理回路
5、5、5 ブースターアンテナ
6 端末筐体
7 筐体カバー
、8、8 UHF帯アンテナ
9 バッテリーパック
10 絶縁体層
11 磁性体層
12、14 磁性体部
13 垂直磁性体部
16 電子回路
20、20 電極
30、40 導体
50、50、50 絶縁体
51、51、51 螺旋コイル
52、52、52 螺旋コイル開口部
60 同軸ケーブル
70、71 開口部

Claims (12)

  1. 積層された複数の絶縁体層と、
    前記複数の絶縁体層の主面に形成された複数の水平導体と、前記絶縁体層の側面部に形成され、一の前記絶縁体層の主面に形成された前記水平導体と他の前記絶縁体層の主面に形成された前記水平導体とを接続する複数の垂直導体とから構成され、前記水平導体と前記垂直導体が順次に接続されて、全体として螺旋状に構成されたコイルと、を備え、
    前記水平導体は、前記コイルの長手方向の位置に応じて異なる前記絶縁体層の主面に形成され、
    前記水平導体が形成された前記複数の絶縁体層の中で、積層方向の両端に位置する前記絶縁体層の主面のいずれか一方を基準面としたとき、前記コイルは、その長手方向の所定位置から、少なくとも一方の端部に向かって、前記コイルが、前記基準面から離れていくように形成されている、
    ことを特徴とするアンテナ。
  2. 前記水平導体は一定のピッチで形成され、前記所定位置から前記コイルの長手方向の前記一方の端部にN(Nは自然数)ピッチ近づく毎に、前記積層方向にM(Mは自然数)層ずれた前記絶縁体層の主面に形成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  3. 前記コイルの全長にわたり、前記コイルの内側にある前記絶縁体層が存在する場合は、その少なくとも一の前記絶縁体層は、磁性体で形成された磁性体層であり、
    前記磁性体層を除く前記絶縁体層は非磁性体で形成されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ。
  4. 少なくとも一の前記絶縁体層の主面の前記コイルの内側の領域に、磁性体が形成されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ。
  5. 前記絶縁体層の主面に形成された前記磁性体は、前記積層方向に隣接する他の前記絶縁体層の主面に形成された前記磁性体及び前記磁性体層の少なくともいずれか一方と、前記絶縁体層の積層方向に形成された接続用の磁性体により接続されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載のアンテナ。
  6. 非磁性体で形成された前記絶縁体層のうち、前記コイルの内側に含まれる少なくとも一部の領域が、磁性体で置換されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ。
  7. 前記水平導体が形成された前記複数の絶縁体層の中で、前記積層方向の両端に位置する前記絶縁体層のうち、前記基準面ではない方の前記絶縁体層の主面に形成された前記水平導体を覆う絶縁体層である付加絶縁体層と、
    前記付加絶縁体層の表面に形成された電子回路と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアンテナ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のアンテナである第1のアンテナと、
    平面上の所定の領域を開口部として除いた領域に形成された螺旋状の導体で構成される螺旋コイルを有するブースターアンテナと、
    を備え、
    前記ブースターアンテナは、前記第1のアンテナに対して、前記基準面とは反対側に配置されるとともに、前記基準面に投影したとき、前記螺旋コイルの前記開口部の領域が、前記第1のアンテナの前記一方の端部を含み、前記開口部は、前記一方の端部の側に偏心して配置され、
    前記一方の端部は、他方の端部に比べて、それぞれの前記端部に近づくにつれて、前記コイルが前記基準面から同等以上に離れるコイル端部である、
    ことを特徴とするアンテナ。
  9. 前記螺旋コイルは、絶縁体の表面に形成された導体により構成される、
    ことを特徴とする請求項8に記載のアンテナ。
  10. 前記螺旋コイルは、互いに絶縁された2以上の前記螺旋コイルを重ね合わせて構成され、
    重ね合わせの方向に隣り合う前記螺旋コイルの螺旋の向きは、互いに逆向きに形成されている、
    ことを特徴とする請求項9に記載のアンテナ。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載のアンテナと、
    前記アンテナが設置された回路基板と
    を備え、
    前記アンテナは、前記基準面に近い側の面で前記回路基板に設置されている、
    ことを特徴とするアンテナ装置。
  12. 請求項11に記載のアンテナ装置を使用している、
    ことを特徴とする携帯端末。
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