JP6394533B2 - 機電一体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アクチュエータと、アクチュエータの駆動を制御する電子装置とが一体化され、アクチュエータの導線と電子装置の回路基板とが電気的に接続された機電一体装置に関する。
アクチュエータと、アクチュエータの駆動を制御する電子装置とが一体化され、アクチュエータの導線と電子装置の回路基板とが電気的に接続された機電一体装置が、特許文献1に開示されている。
国際公開第2008/102482号
上記した機電一体装置では、モータ端子である雄ターミナル(アクチュエータの導線)と回路基板とが、中間導体(端子)により電気的に接続されている。中間導体の一端は、回路基板のスルーホールに挿入されて半田付けされている。このように、中間導体と回路基板の接続に半田が必要である。
また、中間導体の他端はメス形状とされ、雄ターミナルが嵌合されている。このように、中間導体として、雄ターミナルが嵌合可能な複雑な形状のものが必要となり、加工コストの増加が問題となる。
これに対し、上記した中間導体(端子)に代えてプレスフィット端子を採用することが考えられる。プレスフィット端子は、回路基板の孔部に圧入される圧入部として、間に空間部を形成するように上端及び下端が連結され、互いに対向する方向に弾性変形可能に設けられた一対の梁部を少なくとも一組有している。圧入状態で、一対の梁部は互いに近づく方向に弾性変形し、この変形による反力で回路基板に保持される。したがって、半田を用いることなく、端子と回路基板とを電気的に接続することができる。また、プレスフィット端子とアクチュエータの導線を溶接することで、端子形状を簡素化することもできる。
しかしながら、溶接する際の荷重によってプレスフィット端子が孔部周りに旋回し、圧入部における回路基板との接点が摺動して、接点表面の酸化が進行する虞がある。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、溶接する際の圧入部の摺動を抑制できる機電一体装置を提供することを目的とする。
ここに開示される発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
開示された発明のひとつは、アクチュエータ(10,20)と、アクチュエータの駆動を制御する電子装置(30)とが一体化され、アクチュエータの導線(50)と電子装置の回路基板(31)とが電気的に接続された機電一体装置であって、
回路基板と導線とを電気的に接続するプレスフィット端子(60)を備え、
プレスフィット端子は、回路基板の孔部(35)に圧入されて回路基板に保持された圧入部(61)と、導線が溶接された溶接面(62a)を備える接続部(62)と、圧入部と接続部とを連結する連結部(63)と、を有し、
圧入部は、間に空間部を形成するように上端及び下端が連結され、互いに対向する方向に弾性変形可能に設けられた一対の梁部(65)を少なくとも一組有し、
連結部は、圧入部の上端から圧入方向に延設された第1連結部(67)と、第1連結部に対して屈曲され、梁部の弾性変形方向に延設された第2連結部(68)と、を有し、
第2連結部に対する接続部の屈曲により、溶接面が弾性変形方向に対して直交していることを特徴とする。
本発明において、プレスフィット端子の接続部は、溶接面が梁部の弾性変形方向に直交するように、第2連結部に対して屈曲されている。このため、プレスフィット端子と導線とを溶接する際の荷重は、接続部に対して弾性変形方向に作用する。第2連結部は、第1連結部に対して屈曲され、弾性変形方向に延びている。また、第1連結部は、圧入部の上端から圧入方向に延びている。したがって、溶接する際の荷重は、圧入部に対して弾性変形方向に作用する。このように圧入方向及び弾性変形方向の両方向に直交する方向には作用しないため、溶接する際のプレスフィット端子の旋回を抑制することができる。すなわち、溶接する際の圧入部の摺動を抑制することができる。
第1実施形態に係る電動コンプレッサの概略構成を示す断面図である。 プレスフィット端子による接続構造を示す平面図である。 プレスフィット端子を示す斜視図である。 プレスフィット端子による接続方法を示す平面図であり、図2に対応している。 参考例における接続方法を示す平面図である。 プレスフィット端子の耐力を示す図である。 第1変形例を示す図である。 第2変形例を示す図である。 第3変形例を示す図である。 第2実施形態に係る電動コンプレッサに適用されるプレスフィット端子を示す斜視図である。 第4変形例を示す図である。 第3実施形態に係る電動コンプレッサに適用されるプレスフィット端子を示す側面視平面図である。 プレスフィット端子を示す上面視平面図である。
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。なお、各実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。以下において、回路基板に対するプレスフィット端子の圧入方向をZ方向とし、Z方向に直交する方向であって、一対の梁部の弾性変形方向をX方向と示す。また、Z方向及びY方向の両方向に直交する方向をY方向と示す。
(第1実施形態)
先ず、図1に基づき、電動コンプレッサ100の概略構成について説明する。この電動コンプレッサ100は、プレスフィット端子60により、モータ10の気密端子50と電子装置30を構成する回路基板31とを電気的に接続する点を除けば、特開2008−82279号公報に開示された電動コンプレッサと基本的に同じ構成である。したがって、特開2008−82279号公報の説明を援用することができる。
図1に示すように、電動コンプレッサ100は、モータ10、コンプレッサ20、及び電子装置30を備えている。なお、電動コンプレッサ100が機電一体装置に相当する。電動コンプレッサ100は、機電一体モジュール、機電一体ユニットとも称される。また、モータ10及びコンプレッサ20がアクチュエータに相当する。
モータ10(回転電機)は、回転軸12を介してコンプレッサ20を回転駆動する。モータ10は、モータハウジング11、回転軸12、ロータ13、ステータコア14、及びステータコイル15を有している。
モータハウジング11は、熱伝導性に優れる金属、たとえば鉄やアルミニウムを材料として、回転軸12を中心とする略円筒状に形成されている。回転軸12の軸線方向において、モータハウジング11の一端側には、冷媒吸入口11aが設けられている。モータハウジング11の他端側には、冷媒吐出口11bが設けられている。軸線方向に直交する方向には、モータハウジング11の外壁の一部として、電子装置30が配置される取付壁16が設けられている。本実施形態では一例として、取付壁16が、後述する回路基板31を配置するための台座16aを有している。
回転軸12は、モータハウジング11内に配置され、軸受け12aと図示しない他の軸受けにより回転自在に支持されている。回転軸12は、ロータ13から受ける回転駆動力をコンプレッサ20に伝える。軸受け12a及び他の軸受けは、モータハウジング11により支持されている。
ロータ13は、永久磁石からなる。ロータ13は、中空部を有する筒状に形成されており、中空部内には回転軸12が圧入されてロータ13及び回転軸12が固定されている。ロータ13は、ステータコア14が発生する回転磁界に基づいて、回転軸12とともに回転する。
ステータコア14は、ロータ13(回転軸12)に対して径外方向に配置されている。ステータコア14は、モータハウジング11内において略環状に形成されている。ステータコア14は、磁性体からなる。ステータコア14は、モータハウジング11の内周面により支持されている。ステータコイル15は、ステータコア14に巻回されている。
モータ10において、モータハウジング11の取付壁16とステータコア14との間には、冷媒流路11dが形成されている。冷媒流路11dは、電子装置30を冷却するために冷媒(流体)が流れる通路である。冷媒は、図1に矢印で示すように、冷媒吸入口11aから冷媒吐出口11bに向けて流れる。
コンプレッサ20としては、たとえばスクロール式やロータリ式のコンプレッサを採用することができる。コンプレッサ20は、モータ10の回転軸12からの回転駆動力によって旋回し、冷媒を吸入、圧縮、吐出する。 電子装置30は、モータ10の駆動を制御する。すなわち、電子装置30は、モータ10及びコンプレッサ20からなるアクチュエータの駆動を制御する。電子装置30は、回路基板31及びカバー32を有している。回路基板31に形成された回路は、モータ10のステータコイル15に電力を供給してモータ10を駆動するインバータを含んでいる。
回路基板31は、配線基板33及び複数の電子部品34を有している。図1では、複数の電子部品34のうちのひとつを図示している。配線基板33は、樹脂などの電気絶縁性基材に配線が配置されてなる。配線基板33は、プリント基板とも称される。電子部品34は、配線基板33における台座16aへの搭載面(以下、下面と示す)と反対の面(以下、上面と示す)に実装されている。電子部品34のうち、特に発熱量の大きい部品は、配線基板33に形成された図示しないサーマルビアを介して、取付壁16(台座16a)に放熱できるようになっている。
なお、取付壁16と配線基板33との間に、放熱ゲルなどの熱伝導部材を介在させ、熱伝導部材を介して、電子部品34の熱を取付壁16へ逃がすようにしてもよい。また、上面に実装された電子部品34とカバー32との間に熱伝導部材を介在させ、電子部品34の熱をカバー32に逃がすようにしてもよい。電子部品34の実装位置は、配線基板33の上面に限定されない。複数の電子部品34の少なくとも一部が、配線基板33の下面に実装されてもよい。さらには、発熱量の大きい電子部品34が、取付壁16に配置されてもよい。たとえばインバータを構成するスイッチング素子を、取付壁16に配置してもよい。発熱量の大きい部品を、取付壁16の近くに配置する方が放熱の点で有利である。
電動コンプレッサ100は、ステータコイル15と回路基板31(インバータ)とを電気的に接続するために、クラスタブロック40、気密端子50、及びプレスフィット端子60を備えている。
クラスタブロック40は、ステータコイル15側のコネクタを構成している。クラスタブロック40には、ステータコイル15の端部が接続されている。クラスタブロック40は、気密端子50とともに、上記した軸線方向において、ステータコア14及びコンプレッサ20の間に配置されている。
気密端子50は、モータハウジング11(取付壁16)の開口部17に嵌合されている。開口部17は、モータハウジング11の取付壁16を貫通しており、気密端子50は開口部17を閉塞している。気密端子50は密閉型端子とも称される。気密端子50を採用することにより、インバータの冷却性と、モータハウジング11の耐圧強度を同時に実現することができる。
気密端子50は、モータハウジング11の内外を貫通する3本の端子部50aを有している。端子部50aは、金属を材料としてたとえば略円柱状に形成されており、後述するZ方向に沿って延設されている。3本の端子部50aは、モータ10の三相に対応している。図1では、1本の端子部50aだけを示している。3本の端子部50aは、図1において紙面奥側に並んで配置されている。3本の端子部50aの一端側は、それぞれクラスタブロック40に接続されている。端子部50aの他端側は、それぞれ対応するプレスフィット端子60に溶接されている。図1では、1本のプレスフィット端子60だけを示している。気密端子50(端子部50a)が、アクチュエータの導線に相当する。
カバー32は、金属を材料として、回路基板31を覆うように形成されている。カバー32は、締結などの固定方法によりモータハウジング11に固定されている。カバー32とモータハウジング11(取付壁16)とにより形成される空間内に、回路基板31が収容されている。
プレスフィット端子60は、気密端子50(端子部50a)と電子装置30の回路基板31に形成された回路とを電気的に接続(中継)する。プレスフィット端子60は、銅や銅合金などの金属を母材として形成されている。母材の表面には、ニッケルなどを材料とするめっき膜が適宜形成されている。プレスフィット端子60は、金属板を所定形状に打ち抜き、曲げ加工することで形成されている。
次に、図2及び図3に基づき、プレスフィット端子60及びプレスフィット端子60による接続構造について説明する。なお、1つのプレスフィット端子60について説明するが、残りのプレスフィット端子60についても同様である。
回路基板31(配線基板33)は、図2に示すように、プレスフィット端子60が圧入される貫通孔35を有している。貫通孔35が孔部に相当する。貫通孔35は、回路基板31(配線基板33)の厚さ方向、すなわちZ方向に沿って形成されている。貫通孔35の壁面には、図示しないランドが形成されている。ランドは、たとえばめっきにより形成されている。ランドは、配線の端部(外部接続部)として形成されている。
プレスフィット端子60は、図2及び図3に示すように、圧入部61、接続部62、及び連結部63を有している。
圧入部61は、貫通孔35に対して圧入される。圧入部61は、空間部64(開口部)を有している。圧入部61において、プレスフィット端子60の板厚方向はY方向であり、空間部64はY方向に貫通している。空間部64は、Z方向、すなわちプレスフィット端子60の圧入方向に延設されている。圧入方向は、換言すれば、回路基板31(配線基板33)の厚さ方向である。空間部64は、たとえば貫通孔35の貫通長さよりも若干長く設けられている。
プレスフィット端子60は、空間部64によって梁部65に分岐されている。プレスフィット端子60は、お互いの対向方向(並び方向)、すなわちX方向において間に空間部64を形成するように、上端同士及び下端同士がそれぞれ連結されてなる一対の梁部65を少なくとも一組有している。本実施形態では、プレスフィット端子60が、一対の梁部65を一組有している。梁部65の上端が、圧入部61の上端となっている。一対の梁部65は、X方向に弾性変形可能に設けられている。
X方向において、一対の梁部65の外表面間のうち、最も距離が長い部分の長さ、すなわち端子幅は、圧入前の状態で、貫通孔35の内径よりも広くなっている。圧入状態で、一対の梁部65はお互いに近づく方向(X方向)に弾性変形し、梁部65の弾性変形による反力が貫通孔35の壁面に作用する。これにより、プレスフィット端子60は回路基板31に保持される。
一対の梁部65は、上端から下端に向けて端子幅が徐々に広がり、その途中から下端に向けて端子幅が徐々に狭くなっている。梁部65のうち、貫通孔35内に配置された部分の少なくとも一部が、ランドとの接点となっている。
一対の梁部65の下端には、先端部66が連結されている。先端部66は、空間部64よりも貫通孔35への挿入先端側の部分である。先端部66は、下端から圧入方向、すなわちZ方向に延設されている。先端部66の幅、すなわちX方向の長さは、貫通孔35の内径よりも狭くなっている。先端部66は、貫通孔35内にプレスフィット端子60を導く部分であるため、導入部とも称される。
連結部63は、圧入部61と接続部62とを繋いでいる。連結部63は、第1連結部67及び第2連結部68を有している。連結部63と圧入部61との間には曲げ加工部分は存在しない。連結部63及び圧入部61は、同一平面(ZX面)に位置している。
第1連結部67は、圧入部61と第2連結部68とを繋いでいる。第1連結部67は、梁部65(圧入部61)の上端から圧入方向、すなわちZ方向に延設されている。第1連結部67は、圧入状態で、回路基板31の厚さ方向に沿って延設されている。
第2連結部68は、第1連結部67と接続部62とを繋いでいる。第2連結部68は、第1連結部67における上端とは反対側の端部に連結されている。第2連結部68は、一対の梁部65の弾性変形方向、すなわちX方向に延設されている。このため、第2連結部68は、第1連結部67に対して屈曲されている。第1連結部67に対する第2連結部68の屈曲は、曲げ加工によるものではなく、金属板の打ち抜き形状によって決定されている。
第1連結部67と第2連結部68とがなす角度、すなわち屈曲角度は、圧入状態で第2連結部68が回路基板31に接触しない角度以上、180度未満とされている。第2連結部68は、Z方向から見たときに、X方向に延設されている。本実施形態では、屈曲角度が略90度となっている。このため、圧入状態で、第2連結部68は、回路基板31(配線基板33)の上面と略平行となるっている。
接続部62は、第2連結部68から延設されており、気密端子50(端子部50a)が溶接されている。接続部62は、第2連結部68における第1連結部67とは反対側の端部に連結されている。接続部62は、第2連結部68に対して屈曲されている。接続部62は、気密端子50が接続される溶接面62aを有している。接続部62は、溶接面62aが梁部65の弾性変形方向、すなわちX方向に対して直交するように、第2連結部68に対して屈曲されている。
本実施形態では、第2連結部68が、圧入方向であるZ方向及び梁部65の弾性変形方向であるX方向の両方向に直交する方向、すなわちY方向に沿って延設されている。このため、接続部62と連結部63と間の屈曲部分は、曲げ加工部分となっている。また、第2連結部68と接続部62とがなす角度、すなわち第2連結部68に対する接続部62の屈曲角度は、略90度となっている。
これにより、接続部62の表面のうち、金属板の板厚方向の表面が、梁部65の弾性変形方向であるX方向に直交する面となっている。この板厚方向の表面のうちの一方が溶接面62aとなっている。本実施形態では、板厚方向の表面のうち、X方向において圧入部61よりも遠い側の表面が溶接面62aとなっている。そして、この溶接面62aに、抵抗溶接によって気密端子50(端子部50a)が接続されている。上記したように、端子部50aはZ方向に延設されている。このため、溶接状態で、接続部62と端子部50aとが交差している。本実施形態では、接続部62の延設方向と端子部50aの延設方向が直交している。
次に、図4に基づき、プレスフィット端子60による接続方法について説明する。
先ず、上記したプレスフィット端子60を、回路基板31の貫通孔35に圧入する。そして、モータハウジング11(取付壁16)に取り付けられた気密端子50とプレスフィット端子60との抵抗溶接を行う。
図4に示すように、X方向に直交する溶接面62aに対し、Z方向に延設された端子部50aの外周面が接触するように、一対の電極70,71により、X方向から接続部62及び端子部50aを挟んで圧着状態にする。図4では、一例として、電極71をX方向に移動させ、圧着状態にする。プレスフィット端子60の接続部62には、実線矢印で示すようにX方向の荷重が作用する。
この圧着状態で、電極70,71間に電流を流し、その抵抗熱(ジュール熱)で溶接する。以上により、気密端子50(モータ10)と回路基板31とを電気的に接続することができる。抵抗溶接は、スポット溶接とも称される。
次に、上記した電動コンプレッサ100の効果、すなわちプレスフィット端子60による接続構造の効果について説明する。
図5は、溶接面が、圧入部の圧入方向及び梁部の弾性変形方向の両方向に直交する方向と交差するように設けられたプレスフィット端子を用いた場合の、抵抗溶接を示す図である。すなわち、図5は、従来の抵抗溶接を示す参考例である。図5に示す参考例では、本実施形態の要素と共通乃至関連する要素に対し、本実施形態の要素の符号に100を加算した符号を付与している。図5では、電極により荷重を印加する前、すなわちプレスフィット端子が変位する前の梁部の弾性変形方向をX方向と示している。
図5に示す参考例では、プレスフィット端子160の接続部162が、第2連結部168に対して屈曲されておらず、弾性変形方向であるX方向に沿って延設されている。すなわち、接続部162が第2連結部168と同じ方向に延設されている。このため、溶接面162aが、Y方向に直交している。気密端子150の端子部150aは、第1実施形態同様、Z方向に延設されている。
したがって、溶接面162aに端子部150aの外周面を圧着させる際、接続部162は、一対の電極170,171から白抜き矢印で示すようにY方向の荷重を受ける。このため、プレスフィット端子160は、貫通孔135の中心周りに旋回(回転)してしまう。図示しない圧入部も貫通孔135内で旋回する。このとき、圧入部における回路基板131との接点が摺動し、接点表面において酸化が進行してしまう。なお、溶接面162aがY方向に直交する場合のみならず、上記したように、溶接面162aが圧入部の圧入方向及び一対の梁部の弾性変形に両方向に直交する方向であるY方向と交差するように設けられていると旋回してしまう。
図6は、本発明者によるプレスフィット端子の耐力の試験結果を示している。耐力(N)は、外力を印加したときに圧入部を所定位置に保持できる外力の最大値、すなわち保持力とも言える。図6に示すように、圧入方向であるZ方向に外力を印加したときの耐力に対し、プレスフィット端子が旋回するように、図5の参考例同様Y方向に外力を印加したときの耐力は、1/12程度であった。この結果から、プレスフィット端子は旋回に対する耐力が低いことが明らかとなった。すなわち、溶接する際にプレスフィット端子の旋回を抑制することが、圧入部の摺動を抑制する上で重要であることが明らかとなった。
これに対し、本実施形態では、溶接面62aがX方向に直交するように、接続部62が第2連結部68に対して屈曲されている。このため、溶接する際の荷重は、接続部62に対してX方向に作用する。
第2連結部68は、第1連結部67に対して屈曲され、第1連結部67における圧入部61と反対の端部から、梁部65の弾性変形方向であるX方向に沿って延びている。すなわち、Y方向には延びていない。また、第1連結部67は、圧入部61の上端から圧入方向に沿って延びている。したがって、プレスフィット端子60と端子部50a(気密端子50)を溶接する際の荷重は、圧入部61に対して、図4の破線矢印で示すように弾性変形方向であるX方向に作用する。Y方向には作用しないため、溶接する際のプレスフィット端子60の旋回を抑制することができる。すなわち、溶接する際の圧入部61(接点)の摺動を抑制することができる。したがって、圧入部61(接点表面)の酸化進行を抑制し、ひいてはプレスフィット端子60の電気的な接続信頼性を高めることができる。
なお、図7の第1変形例に示すように、端子部50aの延設方向と接続部62の延設方向が平行となるように、端子部50aと接続部62が溶接されてもよい。図7では、接続部62が、Z方向に延設されている。第2連結部68と接続部62との間には屈曲部分が存在するものの、曲げ加工部分は存在しない。第2連結部68及び接続部62は、同一平面(ZX面)に位置している。接続部62は、第2連結部68に対して略90度の角度で屈曲されている。接続部62の表面のうち、X方向に直交する面のひとつが溶接面62aとなっている。すなわち、プレスフィット端子60全体が、同一平面(ZX面)に位置している。このような構成を採用しても、上記した効果を奏することができる。
これに対し、本実施形態では、端子部50aと接続部62が交差している(図2参照)。より詳しくは、端子部50aの延設方向と接続部62の延設方向が直交している。したがって、端子部50aと接続部62とが相対的に位置ずれしても、端子部50aと接続部62を溶接することができる。たとえば、モータハウジング11に組み付けた状態で、所定位置に対して端子部50aがY方向に位置ずれしていても、端子部50aと接続部62を溶接することができる。なお、直交以外の交差状態を採用することもできる。接続部62が、Y方向及びZ方向に対して傾いて延設されてもよい。たとえばY方向に対して45度、Z方向に対して45度の角度をなすように延設された接続部62を採用することもできる。
また、図8の第2変形例に示すように、第1連結部67に対する第2連結部68の屈曲角度(以下、第1屈曲角度と示す)が、90度とは異なる角度に設定されてもよい。図8では、第1屈曲角度が110度程度となっている。しかしながら、第2連結部68はX方向に延設されている。また、第2連結部68に対する接続部62の屈曲角度(以下、第2屈曲角度と示す)は、第1屈曲角度とほぼ同じ角度となっている。これにより、接続部62の溶接面62aがX方向に直交している。このような構成を採用しても、上記した効果を奏することができる。なお、図8に対し、接続部62が、第1実施形態同様(図3参照)、Y方向に延設された構成を採用することもできる。
これに対し、本実施形態では、第1連結部67に対する第2連結部68の屈曲角度、すなわち第1屈曲角度が略90度とされている。したがって、第1屈曲角度を鈍角にする構成に較べて、同じ効果を奏しつつプレスフィット端子60を小型化することができる。加えて本実施形態では、接続部62がY方向に延設されている。したがって、第2連結部68と接続部62は、Z方向の位置(座標)が同じである。これによっても、プレスフィット端子60をZ方向において小型化することができる。
また、図9の第3変形例に示すように、第2連結部68の長手方向の途中に屈曲部を有してもよい。図9では、第2連結部68が、第1連結部67からX方向であって接続部62とは反対側に延び、屈曲部69を経て、X方向であって接続部62側に延びている。Z方向から見たときに、第2連結部68は、X方向に延設されている。このように、第2連結部68は、X方向に延設され、Y方向には延設されていない。このような構成を採用しても、上記した効果を奏することができる。なお、図9に対し、接続部62が、第1実施形態同様(図3参照)、Y方向に延設された構成を採用することもできる。
(第2実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電動コンプレッサ100及びプレスフィット端子60による接続構造と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態では、プレスフィット端子60の第2連結部68が、弾性変形方向の外力に対して変形し、その外力を緩和する応力緩和部を有している。図10に示すように、第2連結部68は、応力緩和部としての曲げ部68aを有している。曲げ部68aは、略U字状をなしており、圧入方向であるZ方向に曲げられている。図10では、Z方向であって下側(回路基板31側)に曲げられている。したがって、Z方向からみたとき、第2連結部68はX方向に延設されており、Y方向には延設されていない。それ以外の構成は、第1実施形態(図3参照)と同じである。
このような構成を採用すると、溶接する際の荷重が接続部62に対してX方向に作用し、接続部62がX方向に変位しても、第2連結部68の曲げ部68aによって、変位に対する応力を緩和することができる。たとえば曲げ部68aがX方向に開くことで、第1連結部67、ひいては圧入部61に作用する荷重を低減することができる。したがって、X方向の耐力を向上することができる。
なお、曲げ部68aの個数は特に限定されない。たとえば図11の第4変形例に示すように、2つの曲げ部68aを有する構成を採用することもできる。2つの曲げ部68aはともに略U字状をなしており、一方はZ方向下側に曲げられ、他方はZ方向上側に曲げられている。2つの曲げ部68aは、互いに連続して設けられている。しかしながら、間隔をあけて設けることもできる。
曲げ部68aの形状は、略U字状に限定されない。圧入方向であるZ方向に曲げられており、X方向の外力を緩和できるものであればよい。
(第3実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電動コンプレッサ100及びプレスフィット端子60による接続構造と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態では、図12及び図13に示すように、第2連結部68が、応力緩和部として、第2連結部68の他の部分よりも圧入方向であるZ方向において薄い部分とされた薄肉部68bを有している。本実施形態では、薄肉部68bがプレス加工によって、他の部分よりも薄い部分とされている。なお、図12及び図13に対し、接続部62が、第1実施形態同様(図3参照)、Y方向に延設された構成を採用することもできる。
このような構成を採用すると、溶接する際の荷重が接続部62に対してX方向に作用し、接続部62がX方向に変位しても、第2連結部68の薄肉部68bがX方向に変形しやすい。たとえば接続部62が圧入部61に近づく場合、薄肉部68bが潰れることで、圧入部61に作用する荷重を低減することができる。したがって、X方向の耐力を向上することができる。
なお、薄肉部68bの個数は特に限定されない。第2連結部68に複数の薄肉部68bが設けられてもよい。また、薄肉部68bの形成方法はプレス加工に限定されない。それ以外にも、たとえばエッチングにより形成することもできる。さらには、薄肉部68bと第2実施形態に示した曲げ部68aをともに備える構成を採用することもできる。
上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
機電一体装置として、電動コンプレッサ100の例を示したが、これに限定されるものではない。機電一体装置としては、アクチュエータと、アクチュエータの駆動を制御する電子装置とが一体化され、アクチュエータの導線と電子装置の回路基板とが電気的に接続されたものであればよい。たとえば、アクチュエータとしてのモータ(回転電機)と、モータの駆動を制御する電子装置が一体化されたもの、すなわちモータにより駆動される駆動対象を含まない構成を採用することもできる。
孔部として貫通孔35の例を示したが、これに限定されない。配線基板33(回路基板31)に形成された未貫通孔を孔部とし、この未貫通孔に圧入部61が圧入される構成にも適用することができる。
圧入部61が一対の梁部65を一組有する例を示したが、これに限定されない。各圧入部61が一対の梁部65を少なくとも一組有せばよい。たとえば圧入方向であるZ方向において2つの空間部64が互いに離れて形成され、これにより一対の梁部65を二組有する、換言すれば二対の梁部65を有する構成にも適用することができる。
10…モータ、11…モータハウジング、11a…冷媒吸入口、11b…冷媒吐出口、11d…冷媒流路、12…回転軸、12a…軸受け、13…ロータ、14…ステータコア、15…ステータコイル、16…取付壁、16a…台座、17…開口部、20…コンプレッサ、30…電子装置、31…回路基板、32…カバー、33…配線基板、34…電子部品、35…貫通孔、40…クラスタブロック、50…気密端子、50a…端子部、60…プレスフィット端子、61…圧入部、62…接続部、62a…溶接面、63…連結部、64…空間部、65…梁部、66…先端部、67…第1連結部、68…第2連結部、68a…曲げ部、68b…薄肉部、69…屈曲部、70,71…電極、100…電動コンプレッサ

Claims (6)

  1. アクチュエータ(10,20)と、前記アクチュエータの駆動を制御する電子装置(30)とが一体化され、前記アクチュエータの導線(50)と前記電子装置の回路基板(31)とが電気的に接続された機電一体装置であって、
    前記回路基板と前記導線とを電気的に接続するプレスフィット端子(60)を備え、
    前記プレスフィット端子は、前記回路基板の孔部(35)に圧入されて前記回路基板に保持された圧入部(61)と、前記導線が溶接された溶接面(62a)を備える接続部(62)と、前記圧入部と前記接続部とを連結する連結部(63)と、を有し、
    前記圧入部は、間に空間部を形成するように上端及び下端が連結され、互いに対向する方向に弾性変形可能に設けられた一対の梁部(65)を少なくとも一組有し、
    前記連結部は、前記圧入部の上端から圧入方向に延設された第1連結部(67)と、前記第1連結部に対して屈曲され、前記梁部の弾性変形方向に延設された第2連結部(68)と、を有し、
    前記第2連結部に対する前記接続部の屈曲により、前記溶接面が前記弾性変形方向に対して直交していることを特徴とする機電一体装置。
  2. 前記導線と前記接続部とが交差していることを特徴とする請求項1に記載の機電一体装置。
  3. 前記第2連結部は、前記第1連結部に対して90度の角度で屈曲され、
    前記接続部の延設方向が、前記弾性変形方向及び前記圧入方向の両方向に対して90度の角度をなしていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の機電一体装置。
  4. 前記第2連結部は、前記弾性変形方向の外力に対して変形し、前記外力を緩和する応力緩和部を有していることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の機電一体装置。
  5. 前記応力緩和部として、前記圧入方向に曲げられた曲げ部(68a)を有することを特徴とする請求項4に記載の機電一体装置。
  6. 前記応力緩和部として、前記第2連結部の他の部分よりも前記圧入方向において薄い部分とされた薄肉部(68b)を有することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の機電一体装置。
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