JP6392401B2 - 引戸装置 - Google Patents
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Description
なお、前記隙間をパッキン等により塞ぐことも考えられるが、このようにした場合には、パッキン等の摩擦によって引戸の開閉動作性を損ねてしまったり、パッキン等が火災により焼損しまったりするおそれがある。
また、他の手段としては、内側に通路用開口部を有する枠体と、該枠体内を横幅方向へ移動することで前記通路用開口部を開閉する引戸とを具備した引戸装置において、前記引戸の上端側には、前記引戸から戸厚方向へ突出してその突端側が上方へ突出した上向きの突片部が、前記横幅方向へわたって設けられ、前記引戸の上端部には、前記引戸内の空間に連通するガス抜き孔が設けられ、前記引戸の上端部における前記ガス抜き孔の近傍には、前記上端部から前記ガス抜き孔内への通路の障壁となるように堤部が突設されていることを特徴とする。
この構成によれば、通路用開口部を閉鎖した際の引戸と枠体との間の隙間に、火炎や煙等が侵入しようとした場合に、これら火炎や煙等は、前記迂回路によって前記隙間内を迂回させられて通過する。
よって、火炎や煙等が前記隙間を通過するのを阻むことができ、ひいては、当該引戸装置を、火災時の炎を建物内外に通過させない防火設備(防火戸)として機能させることも可能になる。
この構成によれば、通常時は、前記隙間によって引戸内外の通気性を確保することができ、また、火災時には、前記隙間を通過しようとする火炎や煙等を迂回路によって阻むことができる。
この構成によれば、枠体と引戸の間の隙間に、簡素な構造によって、効果的な迂回路を構成することができる。
この構成によれば、引戸の上端側に、簡素な構造によって、効果的な迂回路を形成することができる。
この構成によれば、引戸の上端側に構成される迂回路により、通常時は通気性を確保し、火災時には炎や煙の通過を阻むことができる。しかも、上側横枠内の空間に炎や煙等を一時的に溜め込むため、炎や煙等が引戸内外へ通過するのを遅らせることができる。また、上側横枠内の吊車やガイドレールを、通過しようとする炎や煙に対し障害物として作用させることができる。
この構成によれば、全閉時の引戸の戸尻側の隙間に、炎や煙等が通過するのを効果的に阻むことができる。
以下の具体例は、病院や、ビル、住宅、倉庫、工場、車両の荷台等の構築・構造物における開口部分に配設され、開閉体を上枠部内のガイドレールに吊り下げて略水平方向へ略直線的に移動させる、上吊方式の引戸装置に適用した一例として説明する。
この引戸装置1は、通路用開口部Aを閉鎖した際の引戸20と枠体10との間の隙間に、該隙間に侵入した流体を、その侵入方向に対する逆方向へ向けた後に同侵入方向へ戻す迂回路s1,s2(図13及び図14参照)が形成されるようにしている。
この枠体10は、図1に示す一例によれば、その枠内の左側部分に通路用開口部Aを配置し、同枠内の右側部分に、引戸20を収納するための戸袋部Bを配置し、構築構造物等の開口部内縁に嵌め合せられるとともに、戸袋部Bを前記構築構造物等の壁内に埋め込んでいる。
防火板11b2は、その上端側にフック状の掛止部11b21(図3及び図12(b)参照)を有し、この掛止部11b21を戸袋部B内側へ凹ませて、基部11b1に引っ掛け溶接固定している(図3参照)。
この受部材11gによれば、火災時の高熱により、ガイドレール11c、吊車24、制動装置11d、駆動装置11e(図5参照)等が溶融した場合に、その溶融物を下方から受け、該溶融物の落下を阻止する。
枠体側突片部11a11,11a21の各々は、上側横枠11の開口側部位11a(図1参照)の下端面において、引戸20を挿入する開口部の縁(図2参照)を、引戸20面に近接した位置で上方へ折り曲げることで形成され、引戸20の横幅方向へ連続している。
なお、図4中、符号12bは、火災時に戸先側縦枠12が熱変形するのを防ぐ板状の補強材であり、上下方向に間隔を置いて複数溶接されている。
そして、中央側縦枠13における前記開口部内側には、図4に示すように、引戸20を挟んで戸厚方向の両側に位置するように、枠体側突片部13a,13aが設けられる。
これら枠体側突片部13a,13aの各々は、中央側縦枠13の前記開口部の内縁から引戸20面側へ突出するとともに、引戸20面に沿って戸尻方向へ折れ曲った横断面略L字状に形成され(図4参照)、通路用開口部Aの上下方向の略全長にわたり連続している。
なお、図3及び図4中、符号11pは、防火板11b2,11b3,11b4を、基部11b1やその他のパネル材等に溶接する溶接部である。この溶接部11p及び該溶接部11pによる接合箇所は、外壁材x内面との干渉を避けるように、防火板11b2,11b3,11b4を部分的に戸袋部B内側へ凹ませた部分に設けられる。溶接部11pは、横幅方向に連続して設けてもよいし、横幅方向に間欠的に設けるようにしてもよい。
また、上端側防炎補助部材22の戸尻側端部22cは、引戸20の戸尻側端部から戸袋部B内へ突出して(図8参照)、火災時の溶融物が戸袋部B内で戸尻側に落下するのを防ぐ。
この上端側防炎補助部材22の材質は、耐熱性及び耐腐食性の良好な材料であればよく、例えば、亜鉛メッキ鋼板等とされる。
この引戸側突片部22aは、引戸20における横幅方向の略全長にわたって連続している。
この突片部22bは、上端側防炎補助部材22の戸厚方向の両端側に設けられ、例えば、火災時にガイドレール11c(アルミニウム合金)や吊車24(合成樹脂材材料)が溶融した場合に、これら溶融物を受けて下方へ落下するのを防ぐ。
戸先側突片部22fは、火災時の溶融物が戸先側へ落下するのを防ぐ。また、戸尻側突片部22gは、火災時の溶融物が戸尻側へ落下するのを防ぐ。
支持ブラケット23は、図示例によれば、断面L字状の金具であり、その底片部分を引戸本体21上端に固定するとともに、上方へ突出する垂直状片部分に、吊車24を回転自在に支持している。
吊車24は、例えば、合成樹脂材料等から薄肉円柱状に形成され、その外周面をガイドレール11c上で転動させるように係合している。
引戸20上端側の迂回路s1は、図13に示すように、引戸20上端から戸厚方向へ突出して下方へ向く引戸側突片部22aや、上側横枠11の下端側から突出して引戸面と引戸側突片部22aとの間に下方から入り込む枠体側突片部11a21,11a11、上側横枠11内の空間等によって構成される。そして、この迂回路s1は、引戸20を挟む一方の空間と他方の空間(例えば、図13の引戸20左右の空間)を、上側横枠11内を介して連通している。
より詳細に説明すれば、この迂回路s1は、図13に二点鎖線で示すように、引戸20の戸厚方向の一方側(図13によれば右側)においては、引戸20面と枠体側突片部11a21の間に侵入した流体を、上端側防炎補助部材22に当てて、侵入方向に対する逆方向(図13によれば下方)へ略Uターン状に曲げ、枠体側突片部11a21と引戸側突片部22aの間を前記逆方向へ通過させた後、上側横枠11内の底面に当てて曲げ、前記侵入方向(図13によれば上方)へ戻して上側横枠11内へ導く、略蛇行状の経路を形成している。同様に、引戸20の戸厚方向の他方側(図13によれば左側)の迂回路s1も、前記と対称の略蛇行状の経路を形成している。
より詳細に説明すれば、この迂回路s2は、図14に二点鎖線で示すように、引戸20の戸厚方向の一方側(図14によれば下側)においては、引戸20面と枠体側突片部13aの間に侵入した流体を、戸尻側防炎補助部材25に当てて、侵入方向に対する逆方向(図14によれば左方向)へ略Uターン状に向け、枠体側突片部13aと引戸側突片部25aの間を前記逆方向へ通過させた後、中央側縦枠13内面に当てて曲げ、前記侵入方向(図14によれば右方向)へ戻して戸袋部B内へ導く、略蛇行状の経路を形成している。同様に、引戸20の戸厚方向の他方側(図14によれば上側)の迂回路s2も、前記と対称の略蛇行状の経路を形成している。
同図13中、符号21dは、引戸幅方向へ連続する断面コ字状の骨材であり、その戸厚方向の両端面に表面板21b,21cを接着している。
同図13中、符号21eは、引戸幅方向へ連続する断面コ字状の補強材であり、引戸本体21の上端部に厚み方向へ跨って嵌り合うことで、火災時の高熱により表面板21b,21cが骨材21dから剥がれるのを防ぐ。
同図14中、符号21gは、引戸本体21の戸尻側の外面に沿って上下方向へ連続する断面コ字状の補強材であり、引戸本体21の戸尻側端部に厚み方向へ跨って嵌り合うことで、火災時の高熱により表面板21b,21cが骨材21fから剥がれるのを防ぐ。
同図15中、符号21b1,21c1は、表面板21b,21cの下端側を、それぞれ潰し曲げしてなる断面略U字状の曲げ部である。これら曲げ部21b1,21c1は、それぞれ、骨材21hの下端縁に凹状に嵌り合うことで、火災時の高温によって表面板21b,21cが骨材21hから剥がれるのを防ぐ。
特に、図10の引戸20の下面図に示すように、曲げ部21b1,21c1と補強材21mの隙間c、曲げ部21b1,21c1と補強材21gの隙間c、骨材21hと補強材21mの隙間c、骨材21hと補強材21gの隙間cは、何れも0mm又は0mmに近い寸法に設定される。よって、火災時等の高熱により引戸本体21内のガスが前記隙間cから外部へ流出するのを防ぐことができる。
同図6中、符号21i,21jは、小窓27の枠材27aを受ける骨材である。これら骨材21i,21jは、図8に示すように、引戸本体21の上下方向の略全長にわたって連続している。特に、戸尻側の骨材21jは、引戸本体21内の戸尻側に上下方向に連続する通路状の空間を確保し、この空間によって、火災時に発生したガスを横幅方向や下方へ逃がさずに上方のガス抜き孔22dへ導く(図8の二点鎖線参照)。
すなわち、仮に補強材21k2を有さない構造であった場合には、火災時の高温により、骨材21k1が戸厚方向の内側へ変形するおそれがあるが、このような熱変形を、断面略コ字状の骨材21k2によって阻むことができる。
図13に示すように、引戸20の全閉状態において、通常時は、上側横枠11と引戸20の間の迂回路s1、及び中央側縦枠13と引戸20の間の迂回路s2により、枠体10と引戸20の間に隙間が確保されるため、この隙間によって、引戸20内外の通気性も確保できる上、引戸20の開閉動作性を良好に維持することができる。
また、万が一、火災等の発生により、火炎や煙等が前記隙間に侵入して引戸20の内外へ通過しようとした場合には、これら火炎や煙等は、図13及び図14に二点鎖線で示すように、迂回路s1,s2によって迂回させられる。特に、上側横枠11内においては、ガイドレール11cや支持ブラケット23及び吊車24等が、火炎や煙等に対する障害物としても作用する。
よって、火炎や煙等が引戸20内外へ通過するのを効果的に阻むことができ、ひいては、当該引戸装置1を、火災時の炎を建物内外に通過させない防火設備(防火戸)として機能させることも可能になる。
上述した引戸装置1(図1参照)が構築構造物の壁部の厚みt内に引戸20を配置しているのに対し、以下に示す引戸装置2(図16参照)は、構築構造物の壁部から厚み方向へ突出するように引戸20’を配置している(面付けタイプと呼称される)。
この枠体10’の前記上側横枠(図示せず)と引戸20’との間には、上記引戸装置1と略同様にして迂回路が形成され(図13参照)、また、全閉時の引戸20’の戸尻側部分と戸尻側縦枠14’との間には、後述する迂回路s3が形成される(図16参照)。
この戸先側縦枠12’内には、図16に破線で示すように、戸厚方向へわたる横断面略L字状の補強材12b’が固定される。この補強材12b’は、上下方向に間隔を置いて複数配設され、枠体10’の引戸20’側の部分(図16における下側部分)が火災時の熱変形により横幅方向(図16によれば左方向)へ広がってしまうのを防ぐ。
この中央側縦枠13’における戸厚方向の一端側(図16によれば下端側)には、戸厚方向へ突出するとともに戸尻方向へ向くように枠体側突片部13a’が設けられる。この枠体側突片部13a’は、上下方向へ連続して設けられ、後述する迂回路s3を構成する。
なお、図16中、符号13b’は、中央側縦枠13’の熱変形を防ぐ補強材である。
戸尻側防炎補助部材25’は、引戸上下方向の略全長にわたって、引戸本体21の戸尻側の端面に固定された略矩形板状の部材である。この戸尻側防炎補助部材25’には、引戸本体21面よりも中央側縦枠13’側へ突出するとともに戸先方向へも突出した引戸側突片部25a’が形成される(図16参照)。この引戸側突片部25a’は後述する迂回路s3を構成する。
また、万が一、火災等の発生により、火炎や煙等が前記隙間に侵入して引戸20’の内外へ通過しようとした場合には、これら火炎や煙等は、前記迂回路s3によって迂回させられる。
よって、火炎や煙等が引戸20’内外へ通過するのを効果的に阻むことができ、ひいては、当該引戸装置2を、火災時の炎を建物内外に通過させない防火設備(防火戸)として機能させることも可能になる。
堤部22e’は、戸先側及び戸尻側の突片部22f,22gと同構成の部材であり、ガス抜き孔22dを間に置くようにして一対に設けられ、火災時等に引戸20上方から落下した溶融物がガス抜き孔22d内へ侵入するのを阻む。
また、溶融物等の落下防止のみを要する場合や、迂回路s1による作用効果のみを要する場合等、使用上の目的によっては、引戸側突片部22aと突片部22bのうち、その一方を省くことも可能である。
また、他例として、ガス抜き孔22dを戸尻側のみに設けた場合には、引戸本体21七内の中空部に発生したガスの戸尻側への流れを妨げないように、前記骨材等を横幅方向(左右方向)へ組み込むのが好ましい。なお、前記何れの場合にも、前記骨材の端部は、ガス抜き孔22dを塞がないように避けた位置とするのが好ましい。
10,10’:枠体
11:上側横枠
11a11,11a21:枠体側突片部
12,12’:戸先側縦枠
13,13’:中央側縦枠
13a,13a’:枠体側突片部
14,14’:戸尻側縦枠
20,20’:引戸
22,22’:上端側防炎補助部材
22a:引戸側突片部
22b:突片部
25,25’:戸尻側防炎補助部材
25a,25a’:引戸側突片部
s1,s2,s3:迂回路
A:通路用開口部
B:戸袋部
Claims (6)
- 内側に通路用開口部を有する枠体と、該枠体内を横幅方向へ移動することで前記通路用開口部を開閉する引戸とを具備した引戸装置において、
前記引戸の上端側には、前記引戸から戸厚方向へ突出してその突端側が上方へ突出した上向きの突片部が、前記横幅方向へわたって設けられ、
前記枠体は、前記引戸の開閉経路の上方側に位置する上側横枠を備え、
前記上側横枠の下端面は、前記上向きの突片部よりも引戸面側で前記引戸の上端側を挿通する開口部を有するとともに、この開口部の縁から戸厚方向へ離れつつ連続する延設部分を有し、
前記上向きの突片部は、引戸面から戸厚方向へ離隔して、前記延設部分の上方に位置していることを特徴とする引戸装置。 - 前記上向きの突片部の下端側には、前記上向きの突片部とは逆に下方へ突出した引戸側突片部が、前記横幅方向へわたって設けられていることを特徴とする請求項1記載の引戸装置。
- 前記上側横枠の下端面には、前記開口部の縁から上方へ突出して、その突端部を、前記引戸側突片部の下端よりも上方側に位置する枠体側突片部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の引戸装置。
- 前記通路用開口部を閉鎖した際の前記引戸の上端側と前記上側横枠との間の隙間に、該隙間に侵入した流体を、その侵入方向に対する逆方向へ向けた後に同侵入方向へ戻す迂回路が形成され、前記引戸側突片部の下端側が前記迂回路の一部を構成していることを特徴とする請求項2又は3記載の引戸装置。
- 内側に通路用開口部を有する枠体と、該枠体内を横幅方向へ移動することで前記通路用開口部を開閉する引戸とを具備した引戸装置において、
前記引戸の上端側には、前記引戸から戸厚方向へ突出してその突端側が上方へ突出した上向きの突片部が、前記横幅方向へわたって設けられ、
前記引戸の上端部には、前記引戸内の空間に連通するガス抜き孔が設けられ、
前記引戸の上端部における前記ガス抜き孔の近傍には、前記上端部から前記ガス抜き孔内への通路の障壁となるように堤部が突設されていることを特徴とする引戸装置。 - 前記堤部は、前記ガス抜き孔の周囲にて前記引戸の上端部から上方へ突出した円筒状に設けられていることを特徴とする請求項5記載の引戸装置。
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