JP6390109B2 - ポリイミド前駆体を含む樹脂組成物、硬化膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、銅配線を有する基材上での光硬化性に優れ、得られる硬化膜が低応力な樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の樹脂組成物、硬化膜等の製造方法を提供できる。
1.下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含む樹脂組成物。
(a)下記式(1)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体
(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物
(c)トリアリールイミダゾール二量体、ホスフィンオキサイド化合物又はアルキルフェノン化合物
2.前記(a)成分の式(1)におけるR2が、下記式(3)で表わされる2価の有機基である1記載の樹脂組成物。
3.前記(a)成分の式(1)におけるR2が、下記式(4)で表わされる2価の有機基である1又は2記載の樹脂組成物。
4.前記(c)成分がトリアリールイミダゾール二量体であり、
(d)成分として水素供与体をさらに含む1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
5.前記ホスフィンオキサイド化合物が、下記式(5)又は(6)で表される化合物である1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
6.1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を加熱処理する工程とを含む、硬化膜の製造方法。
7.1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜に活性光線を照射後、現像してパターン樹脂膜を得る工程と、
前記パターン樹脂膜を加熱処理する工程とを含む、パターン硬化膜の製造方法。
8.6又は7の製造方法により得られる硬化膜。
9.8記載の硬化膜を有する電子部品。
(a)下記式(1)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、
(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、
(c)トリアリールイミダゾール二量体、ホスフィンオキサイド化合物又はアルキルフェノン化合物
(a)成分:式(1)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体
式(1)中のR1は、原料として用いられるテトラカルボン酸又はその二無水物に由来する構造である。原料として用いられるテトラカルボン酸又はその二無水物としては、公知のものを特に制限なく用いることができる。
式(2e)中、Zはエーテル結合(−O−)又はスルフィド結合(−S−)である。)
R13は水素原子、又は、フッ素原子等のハロゲン原子である。)
原料として用いるジアミンは公知のものを特に制限なく用いることができる。
炭素数3〜20のシクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
炭素炭素不飽和二重結合を有する1価の有機基としては、(メタ)アクリル基を有する有機基等が挙げられる。具体的には、アルキル基の炭素数が1〜10の(メタ)アクリロキシアルキル基が挙げられる。
アルキル基の炭素数が1〜10の(メタ)アクリロキシアルキル基としては、(メタ)アクリロキシエチル基、(メタ)アクリロキシプロピル基、(メタ)アクリロキシブチル基等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とは「メタクリル」又は「アクリル」を表し、「(メタ)アクリロキシ」とは「メタクリロキシ」又は「アクリロキシ」を表し、「(メタ)アクリレート」は「メタクリレート」又は「アクリレート」を表す。
合成方法はこれらの公知の方法から選択できる。
本発明の樹脂組成物には、(b)成分として光重合性化合物を含む。光重合性化合物としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物は、トリアリールイミダゾール二量体、ホスフィンオキサイド化合物又はアルキルフェノン化合物を光重合開始剤として含有する。
モルフォリノ基を含むα−アミノアルキルフェノン化合物は、IRGACURE−369、IRGACURE−379EG(いずれもBASF(株)製、商品名)等の市販品を入手できる。
本発明の樹脂組成物には、(e)成分として溶剤を用いることができる。
(e)成分としてはポリイミド前駆体を完全に溶解する極性溶剤が好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレンカーボネート、乳酸エチル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤の量は適宜設定できるが、(a)成分100質量部に対して、通常、100〜500質量部とする。
本発明の硬化膜は、上述の樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を形成する工程と、前記塗膜に活性光線を照射後、現像してパターン樹脂膜(光硬化膜)を得る工程と、前記パターン樹脂膜を加熱処理して硬化膜(熱硬化膜)を得る工程を経て得られる。
塗膜形成工程において、樹脂組成物を基材上に塗布する方法としては、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、スピンコート法等が挙げられる。基材としては、シリコンウエハ、金属基板、セラミック基板等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、低応力の硬化膜を形成可能であるので、12インチ以上の大口径のシリコンウエハへ好適に用いることができる。
このようにして得られた本発明の硬化膜又はパターン硬化膜は、半導体装置の表面保護層、層間絶縁層、再配線層等として用いることができる。
本実施形態の半導体装置は、多層配線構造を有している。層間絶縁層(層間絶縁膜)1の上にはA1配線層2が形成され、その上部にはさらに絶縁層(絶縁膜)3(例えばP−SiN層)が形成され、さらに素子の表面保護層(表面保護膜)4が形成されている。配線層2のパット部5からは再配線層6が形成され、外部接続端子であるハンダ、金等で形成された導電性ボール7との接続部分である、コア8の上部まで伸びている。さらに表面保護層4の上には、カバーコート層9が形成されている。再配線層6は、バリアメタル10を介して導電性ボール7に接続されているが、この導電性ボール7を保持するためには、カラー11が設けられている。このような構造のパッケージを実装する際には、さらに応力を緩和するために、アンダーフィル12を介することもある。
実施例及び比較例で用いた成分を以下に示す。
テトラエチレングリコールジメタクリレート
c1:BCIM(Hampford社製:2−(クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル二量体)
c2:I−369(BASF製:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
c3:I−819(BASF製:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)
c4:I−907(BASF製:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン
c5:I−OXE−01(BASF製:1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル,2−(O−ベンゾイルオキシム)])
N−フェニルグリシン(東京化成製)
撹拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中にピロメリット酸−ヒドロキシエチルメタクリレートジエステル(PMDA)溶液195.564gと4,4’−オキシジフタル酸−ヒドロキシエチルメタクリレートジエステル(ODPA)溶液58.652gを入れ、その後、氷冷下で塩化チオニル25.9g(217.8mmol)を反応溶液温度が10度以下を保つように滴下漏斗を用いて滴下した。塩化チオニルの滴下が終了した後、氷冷下で2時間反応を行いPMDAとODPAの酸クロリドの溶液を得た。次いで、滴下漏斗を用いて、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン31.696g(99.0mmol)、ピリジン34.457g(435.6mmol)、ハイドロキノン0.076g(0.693mmol)のN−メチルピロリドン90.211g溶液を氷冷化で反応溶液の温度が10℃を超えないように注意しながら滴下した。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物をろ別して集め、減圧乾燥することによってポリアミド酸エステルを得た。標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は34,000であった。これをポリマー1とする。
1gのポリマー1をN−メチルピロリドン1.5gに溶解させ、ガラス基板上にスピンコートで塗布し、100℃のホットプレート上で180秒加熱し溶剤を揮発させて厚さ20μmの塗膜を形成した。得られた塗膜のi線透過率は30%であった。なお、ポリマー1のi線透過率はU−3310 Spectrophotometer(HITACHI社製)を用いて測定した。
ポンプ:株式会社日立製作所製L6000
株式会社島津製作所製C−R4A Chromatopac
測定条件:カラムGelpack GL−S300MDT−5x2本
溶離液:THF/DMF=1/1(容積比)
LiBr(0.03mol/L)、H3PO4(0.06mol/L)
流速:1.0mL/min、検出器:UV270nm
[樹脂組成物の調製]
(a)成分として、合成例1で製造したポリマー1を用いた。
(a)〜(d)成分を、表1に示す配合でN−メチルピロリドンに溶解して、樹脂組成物を調製した。
樹脂組成物の光硬化性及び得られる硬化膜の残留応力を、以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
樹脂組成物を、6インチシリコンウエハ上にスピンコート法によって塗布し、100℃のホットプレート上で3分間加熱し、溶剤を揮発させ、膜厚10μmの塗膜を得た。この塗膜をγ‐ブチロラクトン:酢酸ブチル=7:3の混合溶媒に浸漬して完全に溶解するまでの時間の2倍を現像時間として設定した。
同様の方法で得られた塗膜にストーファー21段ステップタブレット(日立製)を介して、プロキシミティ露光機を用いて、i線換算で1000mJ/cm2露光を行った。露光後のウエハをγ‐ブチロラクトン:酢酸ブチル=7:3に浸漬してパドル現像した後、シクロペンタノンでリンス洗浄を行った。光硬化膜の形成が確認できたステップ段数を感度として評価した。ステップ段数の数字が大きいほど、優れた光硬化性を有していることを意味し、段数が6以上であればA、4以上6未満であればB、2以上4未満であればCとした。
シリコンウエハ上の光硬化性の評価方法における、ウエハをCuメッキウエハに変更して、同様の評価を行った。光硬化膜の形成が確認できたステップ段数を感度として評価した。ステップ段数の数字が大きいほど、優れた光硬化性を有していることを意味し、段数が6以上であればA、4以上6未満であればB、2以上4未満であればCとした。結果を表1に示す。
比較例1の硬化膜は未露光部分も硬化してしまい、ステップ段数の確認ができなかった。
樹脂組成物を、6インチシリコンウエハ上にスピンコート法によって塗布し、100℃のホットプレート上で3分間加熱し、溶剤を揮発させ硬化後膜厚が10μmとなる塗膜を得た。これを、縦型拡散炉(光洋リンドバーク製)を用いて、窒素雰囲気下、270℃で4時間加熱硬化して、ポリイミド膜を得た。硬化後のポリイミド膜の残留応力(Mpa)は薄膜ストレス測定装置FLX−2320(KLATencor社製)を用いて室温において測定した。結果を表1に示す。
2 A1配線層
3 絶縁層
4 表面保護層
5 配線層のパット部
6 再配線層
7 導電性ボール
8 コア
9 カバーコート層
10 バリアメタル
11 カラー
12 アンダーフィル
Claims (6)
- 下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含む樹脂組成物。
(a)下記式(1)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体
(b)ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びN−メチロールアクリルアミドからなる群から選択される1以上の光重合性化合物
(c)ホスフィンオキサイド化合物 - 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を加熱処理する工程とを含む、硬化膜の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜に活性光線を照射後、現像してパターン樹脂膜を得る工程と、
前記パターン樹脂膜を加熱処理する工程とを含む、パターン硬化膜の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を硬化した硬化膜。
- 請求項5記載の硬化膜を有する電子部品。
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