本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の構造の一例を示す側断面図
本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫のブロック図
本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の機能ブロック図
本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の動作の流れの一例を示すフローチャート
本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の動作及び野菜の色の変化の一例を示すタイミングチャート
実施例としての野菜の画像の明度であるL*の変化例を示すグラフ
比較例としての野菜の画像のb*の変化例を示すグラフ
本発明の実施の形態3に係る冷蔵庫のブロック図
本発明の実施の形態3に係る冷蔵庫の機能ブロック図
光の波長と分光反射率との関係の一例を示すグラフ
野菜の劣化を判定するための専用の収納部を設ける場合における野菜室内の構造例を示す図
野菜室で冷蔵される野菜全般を劣化の判定対象とする場合における野菜室内の構造例を示す図
以下に、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の構造の一例を示す側断面図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫のブロック図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の機能ブロック図である。図3では、特に本発明の機能及び本発明の機能のために用いられる構成について図示している。冷蔵庫は、野菜を収納する収納部17と、収納部17が設けられた野菜室12を開閉する開閉部16の開閉を検知する検知部13と、収納部17に野菜が収納された収納タイミングを特定する特定部23と、収納部17の撮像画像又は光源41から収納部17内に照射された光の分光反射率を判定用情報として取得する取得部30と、少なくとも収納タイミング及び収納タイミングの後の劣化確認タイミングで取得部30を動作させる動作制御部21と、収納タイミングに取得された判定用情報及び劣化確認タイミングに取得された判定用情報に基づいて野菜の劣化を判定する判定部24と、判定部24による判定結果に応じて報知を行う報知部25とを備える。光源41については、実施の形態3で図8及び図9を参照して説明する。
また、冷蔵庫は、野菜室12を含む収納室を有する本体1を備える。具体的には、箱状の本体1は、野菜を冷蔵することが想定された野菜室12の他に、冷蔵室7及び冷凍室11を備える。本体1は、さらに、冷蔵庫使用者が冷蔵庫の各部屋の温度調整などを指定することができる操作パネル5で複数の設定温度を選択できる切替室9、冷蔵庫内に設けられたチルド室8及び氷を自動的に製造する製氷室10を備えていてもよい。各収納室は、断熱部材で仕切られている。
各収納室は、開閉部16により開閉可能に設けられている。開閉部16は、本体1に対して回動して収納室の側方を開閉する構造の扉である。開閉部16は、上方が開放状態に設けられた引き出し状の収納室が本体1に対して抜き差し動作することに伴い収納室の開放状態と閉鎖状態とを切り替える引き出し構造であってもよい。なお、実施の形態1の操作パネル5は、本体1の前面、すなわち、開閉部16に設けられる。操作パネル5の具体的な配置は任意である。
冷蔵庫は、本体1内を冷却する冷却部を備える。冷却部は、冷媒を圧縮する圧縮機2、冷媒の気化に伴う吸熱により周囲の空気を冷却して冷気とする冷却器3、冷却器3の冷気を各部屋に送風する送風機4を有する。冷却部は、冷却器3で冷やされた空気を送風機4で押し出し、送風ダクトを介して吹出口から各収納室へ冷気を送風する。各収納室内の収納物を冷却し暖められた空気は、各々の収納室に設けられた吸込口から戻りダクトを通じて冷却器3の周囲に戻り、冷却器3を通過して冷却され再び各収納室へ送風される。
また、冷蔵庫は、野菜室12の温度を測定する温度測定部15を備える。温度測定部15は、収納室に設けられたサーミスタと、サーミスタが示す電気抵抗に基づいて収納室の温度を算出する回路を有する。図1に示す例では、野菜室12の温度測定部15が有するサーミスタのみ図示しているが、実際には各収納室に温度測定部15が個別に設けられている。
また、冷蔵庫は、冷蔵庫の各収納室の温度及び操作パネル5を介して入力された情報の少なくとも一方に応じて、送風ダクトに設けられたダンパの動作を制御して送風ダクトの開閉を行う制御盤6を備える。制御盤6は、外部機器との通信を行う機能を有していてもよい。通信の具体例として、携帯端末から行われる冷蔵庫の温度設定及び冷蔵庫内の状況確認ならびにこれらの設定又は確認に対する応答が挙げられる。携帯端末は、スマートフォン又は携帯電話であるがこれらに限定されない。
収納部17は、上側が開放された容器状の部材である。収納部17は、開閉部16によって側方が開閉可能に設けられた野菜室12から引き出された開放状態と野菜室12に押し入れられた収納状態とを切り替え可能に設けられている。開放状態の収納部17は、野菜を入れることができるとともに、既に収納部17に入っている野菜を出すことができる状態である。収納状態の収納部17は、開閉部16が閉鎖されることで野菜室12内に密閉される。野菜室12内に密閉された収納部17及び収納部17内の野菜は、冷却部の動作によって冷却される。なお、収納部17は、野菜室12として設けられた収納室そのものであってもよく、容器状の部材は必須でない。また、収納部17は、野菜室12を開閉するための引き出し構造と一体化されていてもよい。
取得部30は、収納部17内を撮像して撮像画像を出力する撮像部14と、撮像画像に含まれる野菜の画像を検出する検出部22とを備える。撮像部14は、野菜室12の背面上側に設けられて野菜室12内を撮影する撮像素子を有するデジタルカメラであり、野菜室12の収納部17内を撮影する。収納部17内に野菜が存する場合、撮像部14による撮像画像には野菜の画像が含まれることになる。検出部22は、画像のパターンマッチングにより収納部17内に野菜があるか否かを判定する処理を行う回路である。より具体的には、実施の形態1における制御盤6は、収納部17内が空である場合の撮像画像を示すパターン画像及び検出部22により野菜と判定される物体の色を算出するため色リストデータを記録している。検出部22は、制御盤6からパターン画像及び色リストデータを読み出して参照し、撮像部14による撮像画像とのパターンマッチングを行って撮像画像に野菜の画像が含まれるか否か判定する。撮像画像に含まれる野菜の画像は、収納部17内における野菜の位置を示す情報及び野菜の劣化の度合いを判定する際に用いられる判定用情報として機能する。すなわち、実施の形態1の取得部30により取得される判定用情報は、野菜の画像である。
実施の形態1における撮像部14は、撮像時に野菜室12内を照明する図示しない照明部が一体化しているが、撮像部14と照明部とは別個に設けられてもよい。照明部は、動作制御部21の制御下で撮像部14による撮像時に野菜室12内を照明する。
検知部13は、開閉部16の開放動作に伴い野菜室12から離間する扉部に設けられた磁性体からの磁気の変化によって開閉部16の開放動作及び閉鎖動作を検出する磁気センサである。磁気センサは、検知部13の具体的形態の一例であって検知部13の形態を限定するものでない。扉部の開放状態と閉鎖状態とを区別可能なセンサであれば、他のセンサであっても検知部13として採用可能である。他のセンサとは、光学式センサである。
動作制御部21は、開閉部16が閉鎖状態になってからの経過時間を積算するタイマー機能及び撮像部14の動作を制御する動作制御機能を有する回路を有する。動作制御部21は、検知部13により開閉部16の開放が検知された後に開閉部16が閉鎖された閉鎖タイミングに応じて取得部30を動作させる。具体的には、動作制御部21は、閉鎖タイミング又は閉鎖タイミングをトリガーとしてタイマー機能により一定時間内に撮像部14を動作させる。一定時間は、実施の形態1では1分であるがこれに限定されず、適宜変更可能である。
特定部23は、画像のパターンマッチングにより収納部17内における野菜の位置の変化を判定する回路を有する。特定部23は、閉鎖タイミングに取得された判定用情報が収納部17に新たな野菜が収納されたことを示している場合に当該閉鎖タイミングを新たな野菜の収納タイミングとして特定し、収納タイミング後に開閉部16の開閉に伴い取得された判定用情報が収納部17に新たな野菜が収納され続けていることを示している場合に新たな野菜の収納タイミングを維持し、収納部17に新たな野菜が収納され続けていないことを示している場合に新たな野菜の収納タイミングを破棄する。具体的には、特定部23は、野菜の画像の位置に基づいて新たな野菜が収納され続けているか否かを判定する。
n回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像には野菜の画像が含まれていなかったとする。nは、自然数である。n回目の閉鎖タイミング後に開閉部16が開閉されると、野菜室12が閉鎖状態になることに伴いn+1回目の閉鎖タイミングが発生する。n+1回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像に野菜の画像が含まれていた場合、特定部23は、n+1回目の閉鎖タイミングを新たな野菜の収納タイミングとして特定する。すなわち、n+1回目の閉鎖タイミングが発生するきっかけとなった開閉部16の開閉動作に伴い、新たな野菜が収納部17に収納されたことを示す。
n+1回目の閉鎖タイミング後に開閉部16が開閉されると、野菜室12が閉鎖状態になることに伴いn+2回目の閉鎖タイミングが発生する。n+1回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像で新たな野菜とされた野菜の画像が、n+2回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像においても同じ位置であった場合、収納部17に新たな野菜が収納され続けていることを示している。収納部17に新たな野菜が収納され続けていることを示している場合、特定部23は、n+1回目の閉鎖タイミングを新たな野菜の収納タイミングとして維持する。一方、n+1回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像で新たな野菜とされた野菜の画像が、n+2回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像において同じ位置になかった場合、収納部17に新たな野菜が収納され続けていないことを示している。収納部17に新たな野菜が収納され続けていないことを示している場合、特定部23は、n+1回目の閉鎖タイミングとされていた新たな野菜の収納タイミングを破棄する。n+1回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像で新たな野菜とされた野菜の画像が、n+2回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像において同じ位置になかった場合とは、n+2回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像において、野菜の画像が含まれていなかった場合又は野菜の画像が含まれていても野菜の画像の位置がn+1回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像における野菜の位置と異なっていた場合若しくはn+1回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像における野菜の画像と異なる野菜の画像であった場合である。野菜の画像の位置の変化の有無及び野菜の画像の同異の判定は、パターンマッチングによる。
なお、n+2回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像に野菜の画像が含まれており、野菜の画像の位置がn+1回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像における野菜の位置と異なっていた場合又はn+1回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像における野菜の画像と異なる野菜の画像であった場合、特定部23は、n+2回目の閉鎖タイミングを新たな野菜の収納タイミングとして特定する。すなわち、特定部23は、n+2回目の閉鎖タイミングが発生するきっかけとなった開閉部16の開閉動作に伴ってn+1回目の閉鎖タイミングに収納された野菜とは異なる新たな野菜が収納部17に収納されたものとして扱うための処理として、収納タイミングを再設定する。すなわち、収納部17内において何もなかった位置に野菜が置かれた場合、野菜の位置変化がある場合又は形状の異なる野菜が投入された場合、特定部23は、収納タイミングを再設定する。
また、n+2回目の閉鎖タイミングに応じた撮像部14の動作による撮像画像にn+1回目の閉鎖タイミングに応じた撮像画像と同じ位置で野菜の画像が含まれており、かつ、別の野菜の画像が新たに加わっていた場合、特定部23は、n+1回目の閉鎖タイミングに応じた撮像画像で撮像されていた野菜の収納タイミングを維持するとともに、n+2回目の閉鎖タイミングに応じた撮像画像で撮像された新たな野菜の収納タイミングを特定するようにしてもよい。すなわち、特定部23は、複数の野菜に個別の収納タイミングを設定するようにしてもよい。n+3回目以降についても同様である。
収納タイミングが特定された場合、判定部24は、収納部17に収納された野菜の画像の色を測定する。判定部24は、野菜の画像から野菜の色を抽出する処理及び抽出された野菜の色に基づいて野菜の劣化を判定する処理を行う回路を有し、収納タイミングにおける野菜の色を示すデータをV_c_iniとし、一時的なデータとして保持する。すなわち、判定部24は、撮像部14の画像から収納部17に収納された野菜に応じた色を得る。特定部23は、収納タイミングを再設定した場合、V_c_iniも再設定する。
動作制御部21は、開閉部16が最後に閉鎖されたタイミングからの経過時間に基づいて劣化確認タイミングを決定する。経過時間は、実施の形態1において1分であるとされた一定時間よりも長い時間である。実施形態1では、経過時間は、24時間である。経過時間は、24時間に限定されない。動作制御部21は、収納タイミングとして特定された閉鎖タイミング後に開閉部16の開閉が検知されずに経過時間が経過した場合、閉鎖タイミングから経過時間が経過したタイミングを劣化確認タイミングとして取得部30を動作させる。すなわち、実施の形態1において、動作制御部21は、劣化確認タイミングとされたタイミングで撮像部14を動作させる。検出部22は、劣化確認タイミングに撮像された撮像画像に含まれる野菜の画像を検出する。
実施の形態1では、劣化確認タイミングとされたタイミングにおける撮像画像に対して特定部23が収納タイミングに収納された野菜が収納され続けているか否かの判定を行う。具体的には、特定部23は、上記の閉鎖タイミングの場合と同様に、劣化確認タイミングに取得された判定用情報が、収納タイミングに収納された野菜が収納され続けていることを示している場合に野菜の収納タイミングを維持し、収納タイミングに収納された野菜が収納され続けていないことを示している場合に野菜の収納タイミングを再設定する。
動作制御部21は、複数回の劣化確認タイミングで取得部30を動作させる。具体的には、動作制御部21は、開閉部16が最後に閉鎖されたタイミングから経過時間が経過する度に、経過時間が経過したタイミングを劣化確認タイミングとして取得部30を動作させる。すなわち、実施の形態1では、動作制御部21は、開閉部16が最後に閉鎖されたタイミングから24時間おきに撮像部14を動作させる。すなわち、動作制御部21は、開閉部16が最後に閉鎖されたタイミングからの経過時間に24時間が加算されたタイミングを劣化確認タイミングとする。
判定部24は、収納タイミングに取得された野菜の画像と劣化確認タイミングに取得された野菜の画像との明度の差に基づいて野菜の劣化を判定する。具体的には、判定部24は、劣化確認タイミングにおける野菜の色を示すデータをV_cとし、一時的なデータとして保持する。判定部24は、収納タイミングにおける野菜の色を示すデータであるV_c_iniと劣化確認タイミングにおける野菜の色を示すデータであるV_cとの比較結果に基づいて野菜の劣化を判定する。
判定部24は、野菜の色が退色する第1の劣化の進行と、野菜が食べるのに適さないほど劣化する第2の劣化の進行とを判定する。具体的には、判定部24は、V_cが示す野菜の色とV_c_iniが示す野菜の色との差が野菜の劣化を冷蔵庫使用者に報知すべき変化であるV_c_limit1を超えたかどうかを判定する。V_c_limit1を超えたと判定された場合、報知部25による第1の劣化の報知フラグが成立する。すなわち、V_c_limit1を超えた場合、判定部24は、野菜の鮮度が落ちて野菜の色が退色したと判定する。また、判定部24は、V_cが示す野菜の色とV_c_iniが示す野菜の色との差が野菜の腐敗の開始を報知すべき変化であるV_c_limit2を超えたかどうかを判定する。V_c_limit2を超えたと判定された場合、報知部25による第2の劣化の報知フラグが成立する。すなわち、V_c_limit2を超えた場合、判定部24は、野菜が枯れた又は腐敗してカビが生えたと判定する。
報知部25は、第1の劣化が進行したと判定された場合と第2の劣化が進行したと判定された場合とで異なる報知を行う。具体的には、報知部25は、操作パネル5に設けられた表示部と、表示部の表示内容を制御する回路とを有する。報知部25は、冷蔵庫使用者が操作パネル5を操作した時に『鮮度低下につき早めに食べる』のように、野菜の消費を促すメッセージを表示することで第1の劣化が進行したことを示す報知を行う。また、報知部25は、冷蔵庫使用者が操作パネル5を操作した時に『可食限界を超えた可能性あり、要廃棄』のように、野菜の廃棄を促すメッセージを表示することで第2の劣化が進行したことを示す報知を行う。
検出部22として機能する回路、動作制御部21として機能する回路、特定部23として機能する回路、判定部24として機能する回路及び報知部25として機能する回路は個別に設けられてもよいし、一部又は全部が同一の回路であってもよい。実施の形態1では、制御盤6が有する集積回路20が、検出部22、動作制御部21、特定部23、判定部24及び報知部25として機能する。検出部22、動作制御部21、特定部23、判定部24及び報知部25としての機能は、ファームウェアのようなソフトウェアによって実現されていてもよいし、集積回路内に実装された論理回路により実現されていてもよい。
特定部23の開閉センサにより野菜室12の開放状態が一定時間以上継続していることが検知された場合、報知部25は、野菜室12が開き続けていることを報知するための警告動作をしてもよい。具体的には、報知部25は、冷蔵庫使用者に注意を喚起するためのブザー音を発生させる音声発生部を有し、開閉部16の開放状態が一定時間以上続いた場合にブザー音で冷蔵庫使用者に注意を喚起するようにしてもよい。開放状態が一定時間以上続いた場合のブザー音は、野菜室12に限らず、冷蔵庫が有する全ての収納室について行うようにしてもよい。また、報知部25は、第1の劣化の報知フラグ及び第2の劣化の報知フラグのうち少なくとも一方が成立したタイミングでブザー音を鳴らすように動作してもよい。すなわち、報知部25は、判定部24により野菜が劣化したと判定された場合にブザー音で冷蔵庫使用者に注意を喚起するようにしてもよい。また、判定部24により野菜が劣化したと判定された場合の注意喚起はブザー音に限らず、操作パネル5に設けられた注意喚起用の点灯ランプ等であってもよい。また、報知部25は、第1の劣化の報知フラグ及び第2の劣化の報知フラグのうち少なくとも一方が成立したタイミングで携帯端末に野菜の劣化を報知するための情報を送信するようにしてもよい。野菜の劣化を報知するための情報により携帯端末に表示される画面は、上記の操作パネル5に表示されるメッセージと同様のメッセージを表示するための画面であってもよいし、携帯端末での表示用として設定された専用の表示画面であってもよい。
図4は、本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の動作の流れの一例を示すフローチャートである。図5は、本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の動作及び野菜の色の変化の一例を示すタイミングチャートである。冷蔵庫の電源がオンになると、特定部23は、V_c_iniを初期化する(ステップS1)。野菜室12を開閉する開閉部16の開閉が検知部13により検知されると(ステップS2;Yes)、野菜室12の収納部17に野菜が収納された収納タイミングを特定するための処理を行う。具体的には、開閉部16が閉鎖された閉鎖タイミングに応じて動作制御部21が取得部30を動作させ、取得部30が収納部17の撮像画像又は光源41から収納部17内に照射された光の分光反射率を判定用情報として取得する(ステップS3)。実施の形態1では、動作制御部21の制御下で撮像部14が動作して撮像画像を判定用情報として取得する。特定部23は、閉鎖タイミングに取得された判定用情報が収納部17に新たな野菜が収納されたことを示している場合に(ステップS4;Yes)、当該閉鎖タイミングを新たな野菜の収納タイミングとして特定する(ステップS5)。判定部24は、収納タイミングにおける野菜の色を示すデータをV_c_iniとして取得する(ステップS6)。閉鎖タイミングに取得された判定用情報が収納部17に新たな野菜が収納されたことを示していない場合(ステップS4;No)、ステップS2に移行する。
収納タイミングの特定後に開閉部16の開閉が行われた場合(ステップS7;Yes)、動作制御部21は、開閉部16が閉鎖された閉鎖タイミングに応じて取得部30を動作させる。具体的には、開閉部16が閉鎖された閉鎖タイミングに応じて動作制御部21が取得部30を動作させ、取得部30が収納部17の撮像画像又は光源41から収納部17内に照射された光の分光反射率を判定用情報として取得する(ステップS8)。実施の形態1では、動作制御部21の制御下で撮像部14が動作して撮像画像を判定用情報として取得する。特定部23は、収納タイミング後に開閉部16の開閉に伴い取得された判定用情報が収納部17に新たな野菜が収納され続けていることを示している場合に新たな野菜の収納タイミングを維持し、収納部17に新たな野菜が収納され続けていないことを示している場合に新たな野菜の収納タイミングを破棄するための処理を行う。具体的には、特定部23は、野菜の画像の位置に基づいて新たな野菜が収納され続けているか否かを判定する(ステップS9)。収納タイミングの撮像画像で新たな野菜とされた野菜の画像が、ステップS8の撮像画像においても同じ位置でなかった場合(ステップS9;No)、ステップS5に移行する。すなわち、特定部23は、既存の収納タイミングを破棄する。収納タイミングの破棄に伴いステップS5に移行することで、収納タイミング及びV_c_iniが再設定される。
収納タイミングの撮像画像で新たな野菜とされた野菜の画像が、ステップS9の撮像画像においても同じ位置であった場合(ステップS9;Yes)、ステップS7に移行する。すなわち、特定部23は、収納タイミングを維持する。動作制御部21は、開閉部16が最後に閉鎖されたタイミングからの経過時間に基づいて劣化確認タイミングを決定する。具体的には、収納タイミングの決定後に開閉が検知されなくても(ステップS7;No)、最後に開閉部が閉鎖されたタイミングから経過時間が経過するまではステップS7の処理に戻る(ステップS10;No)。最後に開閉部が閉鎖されたタイミングから経過時間を過ぎても収納タイミングが維持されている場合(ステップS10;Yes)、動作制御部21は、経過時間が経過したタイミングを劣化確認タイミングとして取得部30を動作させる。すなわち、劣化確認タイミングに応じて動作制御部21が取得部30を動作させ、取得部30が収納部17の撮像画像又は光源41から収納部17内に照射された光の分光反射率を判定用情報として取得する(ステップS11)。実施の形態1では、動作制御部21の制御下で撮像部14が動作して撮像画像を判定用情報として取得する。
特定部23は、劣化確認タイミングに取得された判定用情報が収納部17に新たな野菜が収納され続けていることを示している場合に新たな野菜の収納タイミングを維持し、収納部17に新たな野菜が収納され続けていないことを示している場合に新たな野菜の収納タイミングを破棄するための処理を行う。具体的には、特定部23は、野菜の画像の位置に基づいて新たな野菜が収納され続けているか否かを判定する(ステップS12)。収納タイミングの撮像画像で新たな野菜とされた野菜の画像が、ステップS11の撮像画像においても同じ位置でなかった場合(ステップS12;No)、ステップS5に移行する。すなわち、特定部23は、既存の収納タイミングを破棄する。収納タイミングの破棄に伴いステップS5に移行することで、収納タイミング及びV_c_iniが再設定される。
収納タイミングの撮像画像で新たな野菜とされた野菜の画像が、ステップS11の撮像画像においても同じ位置であった場合(ステップS12;Yes)、判定部24は、劣化確認タイミングにおける野菜の色を示すデータをV_cとして取得する(ステップS13)。判定部24は、収納タイミングに取得された判定用情報及び劣化確認タイミングに取得された判定用情報に基づいて野菜の劣化を判定する。具体的には、判定部24は、収納タイミングにおける野菜の色を示すデータであるV_c_iniと劣化確認タイミングにおける野菜の色を示すデータであるV_cとの比較結果に基づいて野菜の劣化を判定する。判定部24は、V_cが示す野菜の色とV_c_iniが示す野菜の色との差が野菜の腐敗の開始を報知すべき変化であるV_c_limit2を超えたかどうかを判定する(ステップS14)。V_c_limit2を超えたと判定された場合(ステップS14;Yes)、報知部25による第2の劣化の報知フラグが成立する(ステップS15)。すなわち、V_c_limit2を超えた場合、判定部24は、野菜が枯れた又は腐敗してカビが生えたと判定する。V_c_limit2を超えていないと判定された場合(ステップS14;No)、判定部24は、V_cが示す野菜の色とV_c_iniが示す野菜の色との差が野菜の劣化を冷蔵庫使用者に報知すべき変化であるV_c_limit1を超えたかどうかを判定する(ステップS16)。V_c_limit1を超えたと判定された場合(ステップS16;Yes)、報知部25による第1の劣化の報知フラグが成立する(ステップS17)。すなわち、V_c_limit1を超えた場合、判定部24は、野菜の鮮度が落ちて野菜の色が退色したと判定する。
ステップS15又はステップS17の処理後、報知部25は、判定部24による判定結果に応じて報知を行う。具体的には、報知部25は、成立した報知フラグに応じた報知のための処理を行う(ステップS18)。実施の形態1の報知部25は、第1の劣化が進行したと判定された場合と第2の劣化が進行したと判定された場合とで異なる報知を行う。具体的には、報知部25は、操作パネル5に設けられた表示部と、表示部の表示内容を制御する回路とを有する。報知部25は、冷蔵庫使用者が操作パネル5を操作した時に『鮮度低下につき早めに食べる』のように、野菜の消費を促すメッセージを表示することで第1の劣化が進行したことを示す報知を行う。また、報知部25は、冷蔵庫使用者が操作パネル5を操作した時に『可食限界を超えた可能性あり、要廃棄』のように、野菜の廃棄を促すメッセージを表示することで第2の劣化が進行したことを示す報知を行う。ステップS18の処理後、ステップS7の処理に移行する。
又はステップS16でV_c_limit1を超えていないと判定された場合(ステップS16;No)、すなわち、報知フラグが成立していない場合、ステップS18の処理における報知はスルーされ、何も報知されずにステップS7の処理に移行する。冷蔵庫は、冷蔵庫の電源がオフになるまでステップS2からステップS18までの処理を継続する。冷蔵庫の電源がオフになると、冷蔵庫は動作を終了する。
実施の形態1では、判定部24は、最後に開閉部16が閉鎖されてから経過時間が経過するまで野菜の劣化の判定を行わずに待機する。開閉部16の開閉は、野菜室12内の冷気の放出及び外気の野菜室12への流入を伴い、図5に示すように、一般的に野菜室12の温度の上昇をもたらす。野菜室12の温度が上昇した場合、開閉部16を閉鎖した後も野菜室12の温度はすぐには下がらない。よって、閉鎖直後の野菜室12は、野菜室12で想定された野菜の保存温度よりも高温にさらされた状態であり、開閉部16の開閉に伴う温度変動にさらされることで野菜がストレスを受け、野菜室12の閉鎖状態が維持されている状態に比して劣化が加速することがある。判定部24が最後に開閉部16が閉鎖されてから経過時間が経過するまで野菜の劣化の判定を行わずに待機するのは、野菜室12が閉鎖されてから経過時間が経過するまで閉鎖状態が維持されることで野菜の劣化速度が落ち着いてから測定する方がより安定した値が得られるためである。
なお、図5に示す例では、圧縮機2及び送風機4の動作が野菜室12の温度に関わらず一定周期になっているが、圧縮機2及び送風機4は、温度測定部15により測定された温度に応じて動作してもよい。また、図5では、V_cが示す野菜の色の変化が直線的に示されているが、図5に示すV_cの直線の傾きは、V_c_iniが示す野菜の色と1回以上取得されたV_cが示す野菜の色とを直線で結ぶことで示したものである。また、図5では、V_cが示す野菜の色とV_c_iniが示す野菜の色との差が野菜の劣化を冷蔵庫使用者に報知すべき変化であるV_c_limit1を超えたかどうかをV_cとV_c_ini−V_limit1との関係で示している。図示を省略しているが、V_limit2についてもV_limit1と同様に行われる。
図6は、実施例としての野菜の画像の明度であるL*の変化例を示すグラフである。野菜の劣化による色変化又は検知タイミングの検討のための実験例としてブロッコリーの花蕾部を一般的な色指標であるL*a*b*表色系で評価した結果を図6に示している。図6は、2つのサンプルを野菜室12で3週間保存したときの色差データであり、初期のL*、すなわち収納タイミングの野菜の色のうち明度成分であるL*に対する経過時間に伴うL*の変化を示している。ブロッコリーは、一般的に最初濃い明るい緑であり、劣化の進行に伴い徐々に退色して明るい黄色部分が多くなり、可食不能なほど腐敗した時には枯れたりカビが生えたりして褐色部又は灰褐色部が生じる。図6に示す実験時には、1週間で第1の劣化が進行したと判定されるほどに野菜の退色が進行し、3週間で第2の劣化が進行したと判定されるほどに褐色部又は灰褐色部が生じた。すなわち、図6に示す例では、第1の劣化の進行に伴って野菜の色のうち明度成分が上昇し、第2の劣化の進行に伴って野菜の色のうち明度成分が低下する変化が生じている。このように、明度による判定では、第1の劣化の進行と第2の劣化の進行とを明確に区別することができる。
実施の形態1では、野菜が食べられるうちに野菜の劣化を冷蔵庫使用者に報知し、それでも報知される場合は腐敗を報知する制御を行うことを意図している。よって、第1の劣化が進行したと判定された段階であって、かつ、第2の劣化が進行していない経過時間のうちに野菜の劣化状態を評価する必要がある。よって、経過時間を24時間としている。なお、評価は1日すなわち24時間以内に複数回実施することも可能だが、野菜にストレスを与える開閉部16開閉のない時間帯に1日に1回評価すれば十分と考えられる。ブロッコリーのように花蕾という未成熟で変化の激しい野菜でも第1の劣化がピークに達するほぼ一週間要する。
報知部25は、野菜が劣化したと判定されたこととともに経過時間又は経過時間に応じた日数を示す報知を行うようにしてもよい。具体的には、第1の劣化及び第2の劣化の少なくとも一方が進行したことを報知するとともに、野菜の劣化の進行が判定された経過時間に応じた日数を報知内容に含ませる。図6の場合、第1の劣化の進行が判定された「1週間」の経過時間が、収納タイミングから第1の劣化が進行するまでの経過時間に応じた日数を示す情報として第1の劣化の報知時に報知される。また、第2の劣化の進行が判定された「3週間」の経過時間が、収納タイミングから第2の劣化が進行するまでの経過時間に応じた日数を示す情報として第2の劣化の報知とともに報知される。経過時間の報知には、月単位、週単位、日単位、時間単位のいずれも採用可能である。「1週間」の経過時間は、「7日」のように日数で報知してもよいし、「168時間」のように時間で報知してもよい。また、収納タイミングの日付と野菜の劣化が進行したと判定されたタイミングの日付とを報知することで、各日付の間隔から経過時間を把握することができるようにしてもよい。
図7は、比較例としての野菜の画像のb*の変化例を示すグラフである。図6及び図7は、収納タイミングが特定されてから収納タイミングの破棄を経ることなく3日、1週間及び3週間が経過した場合のサンプルである。図7に示すように、鮮度低下によりブロッコリーの花蕾部が黄化して黄色の指標であるb*が増加する。すなわち、ブロッコリーは鮮度低下に伴いΔb*が大きくなるが、図7のサンプル2のようにカビが生えてきている3週間目でもΔb*が増加する傾向を示すサンプルもある。このように、b*、Δb*での評価は適切ではない場合がある。よって、実施の形態1では、図6の例で示すように、明度の指標であるL*の変化を見ることで、野菜の劣化をしている。すなわち、実施の形態1では、判定部24は、収納タイミングに取得された野菜の画像と劣化確認タイミングに取得された野菜の画像との明度の差に基づいて野菜の劣化を判定している。
V_c_limit1及びV_c_limit2は適宜設定される。具体的には、判定部24は、V_c_iniが示す野菜の色と色リストデータとに基づいてV_c_limit1及びV_c_limit2を設定する。すなわち、実施の形態1では、収納タイミングにおける野菜の色の個体差を踏まえて第1の劣化及び第2の劣化の進行を判定することができる。V_c_limit1及びV_c_limit2は、野菜の種類に応じて固定値であってもよい。
以上、実施の形態1によれば、特定部が収納部に野菜が収納された収納タイミングを特定し、動作制御部が少なくとも収納タイミング及び収納タイミングの後の劣化確認タイミングで取得部を動作させるので、より適切に野菜の劣化を判定するタイミングを決定することができる。
また、動作制御部21が、検知部13により開閉部16の開放が検知された後に開閉部16が閉鎖された閉鎖タイミングに応じて取得部30を動作させ、特定部23が、閉鎖タイミングに取得された判定用情報が収納部17に新たな野菜が収納されたことを示している場合に当該閉鎖タイミングを新たな野菜の収納タイミングとして特定し、収納タイミング後に開閉部16の開閉に伴い取得された判定用情報が収納部17に新たな野菜が収納され続けていることを示している場合に新たな野菜の収納タイミングを維持し、収納部17に新たな野菜が収納され続けていないことを示している場合に新たな野菜の収納タイミングを破棄する。よって、どのタイミングで新たな野菜が収納部17に収納されたかを特定することができる。よって、より適切に野菜の劣化を判定するタイミングを決定することができる。
また、動作制御部21が、開閉部16が最後に閉鎖されたタイミングからの経過時間に基づいて劣化確認タイミングを決定するので、収納部17内の野菜が入れ替わらなくなるとともに外気の侵入がなくなってからの野菜の劣化の度合いを判定することができる。すなわち、冷蔵庫使用者が収納部17内の野菜を目視で確認しなくなった後の野菜の劣化の度合いを自動的に判定することができる。
また、報知部25が、野菜が劣化したと判定されたこととともに経過時間又は経過時間に応じた日数を示す報知を行う。よって、野菜が収納部に収納されてからの経過時間と野菜の劣化との関係を冷蔵庫使用者に報知することができる。
また、動作制御部21は、複数回の劣化確認タイミングで取得部30を動作させ、判定部24は、野菜の色が退色する第1の劣化の進行と、野菜が食べるのに適さないほど劣化する第2の劣化の進行とを判定するので、劣化の進行に伴う野菜の変化が異なる2種類の劣化を区別して判定することができる。
また、報知部25は、第1の劣化が進行したと判定された場合と第2の劣化が進行したと判定された場合とで異なる報知を行うので、第1の劣化の時点で早期に野菜を食することを促すことができるとともに第2の劣化の時点で食べるのに適さないと判定された野菜を食べずに廃棄するよう促すことができる。
また、取得部30が、収納部17内を撮像して撮像画像を出力する撮像部14と、撮像画像に含まれる野菜の画像を検出する検出部22とを備え、判定用情報が、野菜の画像であるので、撮像範囲内の野菜の劣化を判定することができる。
また、判定部24が、収納タイミングに取得された野菜の画像と劣化確認タイミングに取得された野菜の画像との明度の差に基づいて野菜の劣化を判定するので、野菜の劣化の進行に伴う明度の変化パターンが山又は谷を描く野菜の劣化を判定することができる。
また、特定部23が、野菜の画像の位置に基づいて新たな野菜が収納され続けているか否かを判定するので、収納タイミングの特定後に収納部17内の野菜の配置が変化したか否かを判定することができることから、収納タイミング後に取り出されることで位置を変じた野菜及び新たに追加された野菜を特定することができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る冷蔵庫について説明する。実施の形態1に係る冷蔵庫と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略することがある。実施の形態2に係る冷蔵庫の動作制御部21は、温度測定部15により測定された温度変化が閾値により定められた範囲内に収まっている時間に基づいて劣化確認タイミングを決定する。具体的には、実施の形態2に係る動作制御部21は、収納タイミング後において温度測定部15により測定された温度変化が閾値により定められた範囲内に収まっている時間が経過時間に至ったタイミングを劣化確認タイミングとする。よって、図4のステップ10の処理における経過時間は、実施の形態2では温度測定部15により測定された温度変化が閾値により定められた範囲内に収まっている時間をさす。劣化確認タイミングを決定するための具体的処理が異なることを除いて、実施の形態2に係る冷蔵庫は、実施の形態1に係る冷蔵庫と同様である。閾値は任意であるが、野菜室12の温度変化の度合いが野菜の保存に適した範囲内に収まるよう設定される。
実施の形態2では、野菜室12を含む各収納室の温度に応じて冷却部が動作することで、野菜室12を含む各収納室の温度変化に応じた冷却が行われる。よって、開閉部16の開閉による温度上昇又は冷蔵庫の電源がオフになることに伴う冷却部の停止がない場合、野菜室12の温度変化は閾値により定められた範囲内に収まることになる。
以上、実施の形態2によれば、野菜室12の温度を測定する温度測定部15を備え、動作制御部21が、温度測定部15により測定された温度変化が閾値により定められた範囲内に収まっている時間に基づいて劣化確認タイミングを決定するので、野菜を冷却する構成に通常の冷蔵庫の使用において意図しない停止が発生した場合の野菜室12の温度変化を考慮することができる。
停電若しくはコンセントが抜かれること又冷却部の故障によって冷却部に通常の冷蔵庫の使用において意図しない停止が発生することで、開閉部16の閉鎖状態が継続しているにもかかわらず野菜室12の温度が上昇して野菜にストレスがかかる場合も考えられる。実施の形態2では、温度測定部15により測定された温度変化が閾値により定められた範囲内に収まっている時間に基づいて劣化確認タイミングを決定するので、冷却部に通常の冷蔵庫の使用において意図しない停止が発生した場合の野菜室12の温度変化を考慮することができる。
次に、本発明の実施の形態3に係る冷蔵庫について説明する。実施の形態1に係る冷蔵庫と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略することがある。
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3に係る冷蔵庫のブロック図である。図9は、本発明の実施の形態3に係る冷蔵庫の機能ブロック図である。実施の形態3に係る冷蔵庫の取得部40は、収納部17内に光を照射する光源41と、光源41から収納部17内に照射された光の分光反射率を測定する測定部42とを備える。実施の形態1では撮像画像で野菜の劣化を判定したが、実施の形態3のように光源41と測定部42とを設け、位置に動きのない野菜に光を照射して特定波長の分光反射率を測定して鮮度を評価してもよい。すなわち、実施の形態3では、判定用情報は、分光反射率である。特定波長とされる光の波長は、500nm以上600nm以下の範囲内であるが、適宜変更可能である。波長は野菜の種類毎に設定してもよい。光源41には、特定波長に応じた光を発する発光ダイオードのような電灯が適宜採用される。測定部42は、特定波長の光を検出することができるセンサと、センサにより検出された特定波長の光の強度から分光反射率を測定する回路とを有する。
実施の形態3におけるV_c_ini、V_c、V_c_limit1及びV_c_limit2は、野菜の色を示すデータでなく、分光反射率を示すデータになる。すなわち、実施の形態3では、図4のフローチャートにおけるステップS3、ステップS8及びステップS11の処理において、光源41が光を照射し、測定部42が光源41から収納部17内に照射された光の分光反射率を測定する。
図10は、光の波長と分光反射率との関係の一例を示すグラフである。実施の形態3における判定部24は、収納タイミングに取得された分光反射率と劣化確認タイミングに取得された分光反射率との差に基づいて野菜の劣化を判定する。図10は、ブロッコリーを野菜室12で保存した場合の経過時間と分光反射率の測定結果との関係の一例を示している。実施の形態3では、図10に示すように、光の波長を10nm単位で区切って区別した場合、収納タイミングの分光反射率を基準として第1の劣化が進行したと判定されている1週間後又は第2の劣化が進行したと判定されている3週間後の分光反射率に差が現れやすい500nm以上600nm以下が採用され得る。図10に示す例では、560nmが最も分光反射率の差が明確である。
光源41は、判定用情報の取得の有無に関わらず点灯したままでもよい。この場合、光源41は、冷蔵庫使用者が野菜室12を見るときの視認性向上にも寄与することができる。図10で示した資料に基づいて、実施の形態3において光源41が照射する500nm以上600nm以下の波長の光は、冷蔵庫使用者が野菜室12を開けた時に違和感を与えにくい。すなわち、500nm以上600nm以下の波長の光は、青系統の色のように庫内は涼しげだが食品の色が好ましくないという印象を与えることがある色でない。また、500nm以上600nm以下の波長の光は、赤系統の色のように暑苦しく冷蔵庫にそぐわない印象を与えることがある色でない。よって、開閉時に光源41が点灯していても、冷蔵庫使用者が野菜室12を開けた時に違和感を与えにくい。
光源41は、野菜に光合成を促すための光源41として兼用されてもよい。500nm以上600nm以下の波長の光は、クロロフィル分解を促進する紫外線を含まず、光による生合成を促進する作用もある。よって、動きのない野菜に光源41からの光を照射することで劣化を抑制する作用が得られる。
実施の形態3では、最新の分光反射率が直前に測定された分光反射率から限度を超えて逸脱した場合に野菜の位置が変化した、すなわち新たな野菜が収納部17に収納されたと判定することもできるが、特定部23は、実施の形態1と同様に、収納部17内を撮像して撮像画像を出力する撮像部14と、撮像画像に含まれる野菜の画像を検出する検出部22とを用いて野菜の画像の位置に基づいて新たな野菜が収納され続けているか否かを判定するようにしてもよい。なお、野菜の位置の変化を判定するための分光反射率の変化の限度は、収納部17に全く野菜が収納されていない状態の分光反射率と、V_c_iniとして取得された分光反射率に基づいて適宜設定される。
実施の形態3は、取得部40の構成及び判定用情報が実施の形態1と異なることを除いて、実施の形態1と同様である。また、実施の形態2において、実施の形態3における取得部40の構成及び判定用情報を採用するようにしてもよい。すなわち、実施の形態2と実施の形態3とは組み合わせ可能である。
以上、実施の形態3によれば、取得部40が、収納部17内に光を照射する光源41と、光源41から収納部17内に照射された光の分光反射率を測定する測定部42とを備え、判定用情報が、分光反射率であり、判定部24が、収納タイミングに取得された分光反射率と劣化確認タイミングに取得された分光反射率との差に基づいて野菜の劣化を判定する。よって、光源41からの光が届く範囲内の野菜の劣化を判定することができる。
また、光の波長が、500nm以上600nm以下の範囲内であるので、野菜の劣化の進行に伴う分光反射率の変化パターンが山又は谷を描く野菜の劣化を判定することができる。また、開閉部16の開閉時に光源41が点灯していても、冷蔵庫使用者が野菜室12を開けた時に違和感を与えにくい。
また、光源41が、野菜に光合成を促すための光源41として兼用されるので、収納部17内の野菜に光源41からの光を照射することで劣化を抑制する作用が得られる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
図11は、野菜の劣化を判定するための専用の収納部17を設ける場合における野菜室12内の構造例を示す図である。図11に示すように、野菜の劣化の判定に用いられる収納部17は、野菜室12内で野菜を保存するために用いられる容器50から独立した専用の収納部17であってもよい。図11に示すような専用の収納部17を採用し、劣化を判定するための専用の野菜の一部分を収納部17に収納することで、他の野菜が野菜室12から出し入れされたとしても最初の収納タイミングを維持しやすくなる。
図12は、野菜室12で冷蔵される野菜全般を劣化の判定対象とする場合における野菜室12内の構造例を示す図である。図12に示すように、野菜の劣化の判定に用いられる収納部17は、野菜室12内で野菜を保存するために用いられる収納空間を兼用する構成であってもよい。図12に示すような収納部17を採用することで、実施の形態3における光源41の光を野菜に光合成を促すための光源41として兼用しやすくなる。
実施の形態では、野菜の色が退色する第1の劣化の進行と、野菜が食べるのに適さないほど劣化する第2の劣化の進行とを判定しているが、いずれか一方のみ判定してもよい。
なお、野菜は、一般的に生のまま保存される。よって、野菜室12には、上記で説明した構成及び機能の他、野菜室12内の加湿、密閉性向上による蒸散水分漏えいの抑制によって野菜の鮮度維持すなわち野菜の劣化抑制を目的とした機能が設けられうる。また、冷蔵庫使用者が週末に野菜を買いだめするなど、数日以上冷蔵庫で野菜を保管しつつ使用することもあり、野菜の劣化を把握するための機能が求められている。本発明の冷蔵庫は、野菜の劣化を把握するための機能を有しており、産業上の利用可能性がある。