JP6388275B2 - 液体吐出装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載のインクジェット記録ヘッドは、共通のインク溜めから供給される複数の加圧室内のインクを個々に加圧させてノズルから吐出させる。ここで、当該インクジェット記録ヘッドには、インクを吐出させるための圧電素子が各加圧室に貼着されている。さらに、当該インクジェット記録ヘッドには、インク溜めと対向する振動板上の所定位置に加圧室からのインク吐出を補助する副圧電素子が設けられている。
本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ1の概略構成図である。
プリンタ1は、被記録媒体Sを搬送する一対の搬送手段2,3と、被記録媒体Sにインク(図示せず)を吐出するインクジェットヘッド4と、インクジェットヘッド4にインクを供給するインク供給手段5と、インクジェットヘッド4を被記録媒体Sの搬送方向(Y方向)と直交する走査方向(X方向)に走査させる走査手段6と、を備えている。なお、被記録媒体Sとして、紙や、樹脂フィルム、ガラス、セラミックス等、種々の材料を用いることができる。
そして、一対の搬送手段2,3のグリッドローラ2A,3Aを回転させることで、被記録媒体SをY方向に沿った矢印A方向に搬送することが可能とされている。
駆動機構17は、一対のガイドレール15の間に配置され、X方向に間隔をあけて配置された一対のプーリ18と、これら一対のプーリ18の間に巻回されてX方向に移動する無端ベルト19と、一方のプーリ18を回転駆動させる駆動モータ20と、を備えている。
上述した搬送手段2,3及び走査手段6により、インクジェットヘッド4と被記録媒体Sとを相対的に移動させる搬送手段が構成されている。
次に、インクジェットヘッド4について説明する。インクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Bは、供給されるインクの色以外は何れも同一の構成からなるため、以下の説明では、インクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Bのそれぞれを、インクジェットヘッド4として説明する。
インクジェットヘッド4は、キャリッジ16に固定される固定プレート25と、この固定プレート25上に固定されたヘッドチップ26と、インク供給手段5から供給されたインクを、ヘッドチップ26の後述するインク導入孔41A(図3参照)にさらに供給するインク供給部27と、ヘッドチップ26に駆動電圧を印加する液体吐出制御回路28と、を備えている。
上述した流路部材31、圧力緩衝器32及びインク連結管33により、インク供給部27が構成されている。
制御回路35Bと、外部振動子61(後述)に形成された外部電極とは、電気的に接続されている。これにより、制御回路35Bは、外部電極との間に駆動電圧を印加することが可能になる。
そして、これら制御回路35A,35Bが搭載されたIC基板36、及びフレキシブル基板37により、液体吐出制御回路28が構成されている。IC基板36には、上述した制御ユニット8がフレキシブル基板37(図1参照)を介して接続される。
続いて、ヘッドチップ26について説明する。
図3は、本実施形態に係るヘッドチップ26の斜視図である。
ヘッドチップ26は、アクチュエータプレート40、カバープレート41、支持プレート42及びノズルプレート43を備える。ヘッドチップ26は、吐出チャネル45A(後述)の長手方向(Y方向)端部に臨むノズル孔43Aからインクを吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのヘッドチップである。
カバープレート41は、例えばアクチュエータプレート40と同じ材料であるPZTセラミックス基板で形成され、アクチュエータプレート40と同様の熱膨張をさせることで、温度変化に対する反りや変形を抑制している。但し、この場合に限られず、アクチュエータプレート40とは異なる材料でカバープレート41を形成しても構わないが、熱膨張係数が近い材料を用いることが好ましい。
外部振動子61は、駆動電圧が印加されることにより、その電圧に応じた振幅で主面(YZ方向)の法線方向(X方向)に振動して、流路部材31内のインクの圧力波を発生させる。発生した圧力波は、各吐出チャネル45Aのインクへ伝搬する。伝搬した圧力波は、各吐出チャネル45A内で往復することで、圧力波振動が共振される。なお、本実施形態では、単一の外部振動子61は複数の吐出チャネル45A間で共有される構成としているが、本発明はこれに限らず、各吐出チャネル45Aに、それぞれ対応する外部振動子61が設けられてもよい。
図4は、図3に示すヘッドチップ26において、支持プレート42及びノズルプレート43が取り外された状態を示す。
アクチュエータプレート40は、分極方向が厚さ方向(X方向)で異なる第1アクチュエータプレート40A及び第2アクチュエータプレート40Bの、2枚のプレートを積層した積層プレートとされている(いわゆる、シェブロン方式)。これら第1アクチュエータプレート40A及び第2アクチュエータプレート40Bは、ともに厚さ方向(X方向)に分極処理された圧電基板、例えばPZTセラミックス基板であり、互いの分極方向を反対に向けた状態で接合されている。
また、本実施形態では、アクチュエータプレート40におけるZ方向の両側に位置する側面のうち、ノズルプレート43に対向する側面を前端面40Dと称し、この前端面40DとはZ方向の反対側に位置する側面を後端面40Eと称する。
図5は、図4に示すヘッドチップ26から、フレキシブル基板37とカバープレート41とが取り外された状態を拡大して示す。
吐出チャネル45Aの内壁面、すなわちY方向に向かい合う一対の側壁面及び底壁面には、コモン電極50が形成されている。このコモン電極50は、吐出チャネル45Aに沿ってZ方向に延び、アクチュエータプレート40の一方の主面40C上に形成されたコモン端子51に導通している。
フレキシブル基板37には、各コモン端子51がそれぞれ電気的に独立するようにパターン形成されている。また、コモン電極50は、上述したように吐出チャネル45Aにおける内壁面の全体に形成されているので、一対の側壁面上に形成された側面電極50Aと、底壁面上に形成され、側面電極50A同士を接続する底面電極50Bと、で断面U字状に形成される。
アクティブ電極52は、コモン電極50と同様に、ダミーチャネル45Bの内壁面全体に一旦形成された後、内壁面における底壁面上に形成された電極部分がレーザ加工やダイシング加工等によって分断されることで、ダミーチャネル45Bの一対の側壁面にそれぞれ電気的に切り離された状態で形成される。
インク導入孔41Aには、上述した流路部材31(図2、図3参照)を介して供給されてきたインクを吐出チャネル45A内に導入させ、かつダミーチャネル45B内への導入を規制する複数のスリット55Aが形成されたインク導入板55が形成されている。つまり、複数のスリット55Aは、吐出チャネル45Aに対応する位置に形成され、各吐出チャネル45A内にのみインクを充填することが可能とされる。
図6は、ヘッドチップ26の断面図である。
この図は、図3のBB’を通る断面を示す。流路部材31の内部に付された破線、流路部材31とカバープレート41との間に付された破線及びカバープレート41とアクチュエータプレート40との間に付された破線は、供給流路39及びインク導入孔41Aの外延を示すために付されたものであって、いかなる部材を示すものではない。なお、符号F1を付した矢印は、ヘッドチップ26内でのインクの通流方向を表す。つまり、ヘッドチップ26内では、流路は、複数回曲げられ、インクはこの曲がった流路を通流する。
流路部材31の一端の開口面の法線方向(例えば、Z方向)とインク連結管33(図2)の開口面の法線方向とは同一であり、流路部材31の他端の開口面の法線方向(例えば、X方向)とインク導入孔41Aの開口面の法線方向と同一である。流路部材31の内部を、供給流路39と呼ぶ。供給流路39は、流路部材31の一端から通流されたインクが充填される充填部を形成する。供給流路39は、流路の断面積(通流方向を法線とする断面の面積)が吐出チャネル45Aのものより大きい。供給流路39には、内壁面のうちインク導入孔41Aに対向している対向面には、外部振動子61が設けられている。
外部振動子61は、流路部材31内で曲がった後のインクの通流方向(Z方向)に交差する面に設置されている。外部振動子61は、その面に垂直に振動するので、曲がった後の通流方向へ、効率的に圧力波を生成できる。また、外部振動子61は、曲がる前のインクの通流を妨げることを防止できる。
なお、外部振動子61が生成した圧力波は、吐出チャネル45Aにおいて、その方向が、X方向からZ方向へ曲げられる。また、供給流路39の主面(YZ平面)の面積は、インク導入孔41Aの開口面の面積や各吐出チャネル45Aの開口面の面積の合計よりも大きい。これにより、各吐出チャネル45Aへ外部振動子61が発生させた圧力波を集中させることができ、吐出チャネル45A内のインクの圧力波振動を効率的に共振させることができる。
外部振動子61は、駆動周波数で振動し、振動により発生させた圧力波によって、吐出チャネル45A内のインクの圧力波振動を共振させる。この駆動周波数は、吐出チャネル45A内に充填されたインクの共振周波数又はその共振周波数から予め定めた範囲(例えば、半値幅)内の周波数である。これにより、外部振動子61は、吐出チャネル45A内に充填されたインクの圧力波振動を共振させることができるので、圧力波を効率よく発生させることができる。なお、吐出チャネル45Aは、ポンプ室と呼ばれることがある。
また、一定の大きさ及び形状を有する空間における共振には、一般に複数の振動モードが存在する。各振動モードは、吐出チャネル45Aに充填されたインクの共振は、周期的な圧力波振動として現れる。本実施形態では、例えば、複数の振動モードのうち共振の最も顕著な振動モードに係る周波数、つまり、主振動モードに係る周波数を、共振周波数として採用する。例えば、主振動モードは、吐出チャネル45Aの長手方向の一端であるノズル孔43Aから他端までの間を圧力波が往復する振動モードの1つである。例えば、主振動モードが最低次の振動モードの場合、振動周期は、吐出チャネル45Aの長手方向の両端を圧力波が往復する時間に概ね等しい。なお、共振周波数として、吐出のタイミングに要求される精度やインクの粘性に応じて、最低次以外の次数の振動モードに係る周波数が採用されてもよい。なお、共振周波数、共振周期は、それぞれ自然周波数、音響周期(AC:acoustic period)と呼ばれることがある。
より詳細には、吐出チャネル45Aの長手方向の一端では、その大部分がノズルプレート43で覆われ、わずかにノズル孔43Aで開口されている。つまり、当該一端は、自由端として機能させることができる場合がある。この場合、当該一端において、他の場所と比較して、圧力波振動による圧力変化を大きくすることができる。一方、その他端については、吐出チャネル45Aのように、流路を曲げることにより、固定端として機能させてもよい。ただし、本発明はこれに限らず、当該他端を自由端として機能させてもよいし、また、一端及び他端は、自由端や固定端でなくてもよい。
次に、吐出チャネル45Aの動作について説明する。
吐出チャネル45Aでは、コモン端子51及びアクティブ端子53間に印加される電圧により、駆動壁46に厚み滑り変形が生じる。例えば、駆動壁46は、駆動電圧に応じて、ダミーチャネル45B側へ突出するように変形又は、ダミーチャネル45Bから陥入されるように変形する。この変形により、吐出チャネル45Aの容積が変化し、吐出チャネル45A内のインクの圧力を変化させることができる。
なお、外部振動子61と駆動壁46では、圧力を変化させるための変位方向が異なる。例えば、外部振動子61は、主にX方向に変位するのに対し、駆動壁46は、Y方向に変位する。また、流路に関して、外部振動子61は、通流方向に変位するのに対し、駆動壁46は、通流方向とは垂直方向に変位する。
図7は、本実施形態に係るプリンタ1の機能ブロック図を示す。図7は、吐出制御に関する機能を示すが、プリンタ1は他の機能を備えてもよい。
プリンタ1は、制御ユニット8と、制御回路35A、35Bと、外部振動子61及び複数のスイッチング部62とを含んで構成される。制御回路35A、35Bは、上述した液体吐出制御回路28を形成する。なお、スイッチング部62は、コモン端子51、アクティブ端子53及び、駆動壁46に相当する。以下の説明では、特に断らない限り、コモン端子51及びアクティブ端子53に駆動電圧を印加することを、「スイッチング部62に駆動電圧を印加する」と呼ぶことがある。
制御ユニット8は、記録すべき文字や図形等を示す画像データを外部機器からI/F部81−1を介して受信し、受信した画像データをデータバッファ82に記憶する。画像データは、印刷領域に分布した画素のそれぞれにおける表示の有無(ON/OFF)を示すデータである。カラー画像を示す画像データでは、表示の有無は色成分毎に指定される。
制御回路35Aは、制御ユニット8から入力された印刷制御データに基づいて、各画素に対応した吐出チャネル45Aからのインクの吐出の有無に応じて駆動電圧を制御し、制御した駆動電圧をその吐出チャネル45Aに係るスイッチング部62に印加する。
また、制御回路35Aは、ノズル孔43Aにおける圧力波振動の圧力に応じて、スイッチング部62に印加する駆動電圧の大きさを制御する。これにより、制御回路35Aは、外部振動子61による圧力波振動の圧力を利用して、スイッチング部62に吐出チャネル45A内に充填されたインクを吐出させるか否かを制御する。
次に、外部振動子61の振動により発生した圧力波振動の例について説明する。
図8は、圧力波振動の例を示す図である。縦軸、横軸は、それぞれ圧力、時刻を示す。
図8(A)は、外部振動子61の振動周期が16μs(振動周波数62.5kHzに相当)の場合の吐出圧力、加圧力をそれぞれ曲線a1,a2で示す。この振動周波数は、吐出チャネル45Aの共振周波数と等しい。吐出圧力a1とは、ノズル孔43Aにおける圧力である。加圧力a2とは、外部振動子61の表面における圧力である。時刻は、外部振動子61の振動を開始した時刻からの経過時間を示す。
次に、本実施形態における吐出チャネル45Aからのインクの吐出制御の例について説明する。
図9は、本実施形態におけるインクの吐出制御を説明するための図である。
図9の上段は、圧力波振動による吐出圧力の時間変化、スイッチング圧力波による吐出圧力の時間変化を、それぞれ実線Pj1,Pc1で示す。縦軸、横軸は、それぞれ圧力、時刻を示す。また、限界値P1は、閾値Pthから圧力波振動による圧力の極大値Pmaxを差し引いた差分である。
インクを吐出する場合、制御回路35Aは、例えば、ノズル孔43Aにおける圧力波振動の圧力が極大値Pmaxとなったとき、スイッチング圧力波が到達するように、スイッチング部62に印加する駆動電圧を第1電圧値(V1)に制御する。これにより、圧力波振動による圧力Pmaxにスイッチング圧力波によるP1以上の圧力が加わって強め合い、ノズル孔43Aにおける圧力が閾値Pthを超えるので、インクが吐出される。
なお、インクを吐出しない場合、制御回路35Aは、スイッチング部62に印加する駆動電圧を0Vに制御する。
これにより、プリンタ1は、スイッチング部62により圧力を変化させる際に、圧力波振動による圧力を、その圧力波振動のピークに基づいて利用できる。これにより、プリンタ1は、効率よくインクの吐出を制御することができる。
また、プリンタ1において、スイッチング部62は、圧力波振動がノズル孔43Aに到達するまでの時間に基づいて、吐出チャネル45Aのインクの圧力を変化させるタイミングを制御する。これにより、プリンタ1は、スイッチング部62は、スイッチング圧力波がノズル孔43Aに到達するまでの時間を考慮して、圧力を変化させることができるので、吐出チャネル45Aからインクを吐出させるか否かの制御を確実に行うことができる。
また、プリンタ1において、インクは、曲がった流路を通流してノズル孔43Aから吐出され、外部振動子61は、流路において、曲がった後のインクの通流方向に交差する面に設置されている。これにより、プリンタ1は、曲がった後のインクの通流方向に交差する面を振動面(外部振動子61の主面)とすることができ、インクの通流の阻害を抑えつつ、外部振動子61を設置できる。また、例えば、図6に示すように、曲がる前の流路に対して、凹みを設け、凹み部分に外部振動子61を設置してもよい。
また、プリンタ1において、外部振動子61は、吐出チャネル45Aへインクを通流させる開口面(インク導入孔41A又は吐出チャネル45Aの開口面)に対向する面に設置される。これにより、プリンタ1は、当該開口面に対向しない面に設置された場合と比較して、効率よく、外部振動子61による圧力波を吐出チャネル45Aへ伝搬できる。
また、プリンタ1において、圧力波振動のピーク値Pmaxは、ノズル孔43Aからのインクの吐出を可能にする圧力の閾値Pthを下回る。また、プリンタ1において、インクを吐出させる場合に、スイッチング部62が吐出チャネル45Aのインクに加える圧力は、閾値Pthから圧力波振動のピーク値Pmaxを差し引いた差分P1以上の値を有する。これにより、プリンタ1は、外部振動子61による圧力波振動とスイッチング部62による圧力を利用して、インクを吐出させることができる。これにより、例えば、プリンタ1は、圧力波振動がない場合と比較して、インクを吐出するためにスイッチング部62が必要とする圧力を小さくできる場合がある。
制御回路35Bは、外部振動子61を振動させ、外部振動子61とノズル孔43Aを有する吐出チャネル45Aに充填されたインク中の圧力波振動を共振させる。制御回路35Aは、圧力波振動のピークに基づいて、吐出チャネル45Aのインクの圧力をスイッチング部62により変化させて、吐出チャネル45Aからインクを吐出させるか否かを制御する。この構成によれば、プリンタ1は、スイッチング部62により圧力を変化させる際に、圧力波振動による圧力を、圧力波振動のピークに基づいて利用できる。これにより、プリンタ1は、効率よくインクの吐出を制御することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。上述した実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を援用する。
本実施形態に係るプリンタ1のハードウェア構成は、上述したプリンタ1(図1)のハードウェア構成と同様である。
本実施形態では、プリンタ1は、ノーマリーOFFモードに代え、又は、ノーマリーOFFモードに加え、ノーマリーONモードの制御を行う。
次に、本実施形態における吐出チャネル45Aからのインクの吐出制御の例について説明する。
図10は、本実施形態におけるインクの吐出制御を説明するための図である。
図10の上段は、圧力波振動による吐出圧力の時間変化、スイッチング圧力波による吐出圧力の時間変化を、それぞれ実線Pj2、Pc2で示す。縦軸、横軸は、それぞれ圧力、時刻を示す。また、限界値P2は、圧力波振動による圧力の極大値Pmaxから閾値Pthを差し引いた差分である。
これにより、制御回路35A及びスイッチング部62は、印刷制御データに応じてインクの吐出の有無を制御することができる。なお、ノーマリーOFFモードの場合の第1電圧値(V1)とノーマリーONモードの場合の第2電圧値(V2)の絶対値は、同じであってもよいし、また、当該絶対値は異なっていてもよく、例えば第1電圧値(V1)の絶対値は第2電圧値(V2)の絶対値よりも低くても高くてもよい。
インクを吐出する場合、制御回路35Aは、スイッチング部62に印加する駆動電圧を0Vに制御する。圧力波振動による圧力Pmaxは閾値Pthを超えるので、インクが吐出される。
一方、インクを吐出しない場合、制御回路35Aは、例えば、ノズル孔43Aにおける圧力波振動の圧力が閾値Pthを超えるとき、スイッチング圧力波が到達するように、スイッチング部62に印加する駆動電圧を第2電圧値(V2)に制御する。これにより、圧力波振動による圧力からスイッチング圧力波による圧力が減ざれて弱め合い、ノズル孔43Aにおける圧力が閾値Pthより低くなるので、インクが吐出されなくなる。
これにより、プリンタ1は、外部振動子61による圧力波振動とスイッチング部62による圧力を利用して、インクを吐出させることができる。例えば、プリンタ1は、外部振動子61により圧力で液体を吐出させるようにしておき、スイッチング部62による圧力で液体を吐出させない制御をすることができる。これにより、例えば、プリンタ1は、液体を吐出するためにスイッチング部62が必要とする圧力をなくすことができる。
なお、本発明の技術範囲は上述した又は後述する実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、プリンタ1は、ノーマリーOFFモードとノーマリーONモードを切り替えてもよい。例えば、プリンタ1は、ユーザの設定に基づいて、これらのモードを切り替える。また、プリンタ1は、画像データ又は印刷制御データに基づいて、次の情報を算出し、算出した情報に基づいて、これらのモードを切り替えてもよい。
(1)予め定められた範囲での吐出回数を示す情報
(2)予め定められた範囲での吐出回数と吐出可能回数の割合を示す情報
なお、予め定められた範囲とは、ジョブ毎、画像データ毎、操作毎、時間毎、又は、これらのグループ毎であってもよい。
さらに、上述した実施形態では、吐出チャネル45Aとダミーチャネル45Bとが交互に並んだ、いわゆるアイソレートタイプのヘッドチップ26について説明したが、これに限られない。例えば、吐出チャネル45Aが連続的に配列された、いわゆるシェアードウォールタイプのヘッドチップ26を採用することもできる。
また、外部振動子61は、各吐出チャネル45A内に定常的な圧力波振動を発生させることができれば、各吐出チャネル45Aの内壁に設置されてもよい。
また、液体吐出制御回路28は、プリンタ1に装着されずに独立した回路部品として実施されてもよい。
図11(A)に示すインクジェットヘッド4Iは、サイドシュート型循環ヘッドの一例である。インクジェットヘッド4Xは、圧力緩衝器32と流路部材31との間を接続する2本のインク連結管33A,33Bを備える。流路部材31の内部には、供給流路39Aと排出流路39Bが互いに独立に形成され、供給流路39Aと排出流路39Bには、それぞれインク連結管33A,33Bが接続されている。
吐出チャネル45Aのアクチュエータプレート40の主面の他方(Z方向)の側にはノズルプレート43が配置され、ノズルプレート43に形成されたノズル孔43Aは、吐出チャネル45Aの長手方向の両端のほぼ中間に配置されている。
また、図11(C)に示すように、インクジェットヘッド4Kは、2個の外部振動子61C,61Dを、それぞれ供給口41C、排出口41Dの内壁面上に備えてもよい。
また、上述した実施形態では、液体吐出装置の一例として、プリンタ1を例に挙げて説明したが、インクジェットプリンタに限られるものではない。本実施形態に係る液体吐出装置は、例えば、ファクシミリ装置やオンデマンド印刷機等であっても構わない。
また、上述した実施形態では、インクジェットヘッド4が複数搭載された複数色用のプリンタ1について説明したが、これには限られない。例えば、インクジェットヘッドが、1つの単色用のプリンタ1としても構わない。
4,4Y,4M,4C,4B,4I,4J,4K…インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)、6…走査手段、
28…液体吐出制御回路、35A…制御回路(圧力制御部)、
35B…制御回路(振動制御部)、
40…アクチュエータプレート、40A…第1アクチュエータプレート、
40B…第2アクチュエータプレート、41…カバープレート、41A…インク導入孔
43…ノズルプレート(吐出孔プレート)、43A…ノズル孔(吐出孔)、
45A…吐出チャネル、
61…外部振動子(第1の圧力変化部)、
62…スイッチング部(第2の圧力変化部)
Claims (8)
- 液体が充填され、長手方向の一端に吐出孔を有する複数の吐出チャネルと、
前記吐出チャネル内の液体の共振周波数又は前記共振周波数から所定範囲内の周波数で流路部材内の空間である供給流路内の液体の圧力波振動を発生させる第1の圧力変化部と、
前記供給流路からの圧力波振動のピークに基づいて、前記複数の吐出チャネルそれぞれの内部の液体の圧力を変化させて、前記吐出孔から液体を吐出させるか否かを制御する第2の圧力変化部と、を備え、
前記複数の吐出チャネルそれぞれの長手方向の他端に前記長手方向に交差する方向に設けられた開口面に液体導入孔が設けられ、
前記供給流路の一端の開口面に前記液体導入孔が設けられ、前記液体導入孔に対向している面に前記第1の圧力変化部が設けられ、
前記第1の圧力変化部と前記第2の圧力変化部は、ともに圧電基板から形成されている
液体吐出装置。 - 前記第2の圧力変化部は、前記圧力波振動が前記吐出孔に到達するまでの時間に基づいて、前記複数の吐出チャネルの液体の圧力を変化させるタイミングを制御する、
請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記第1の圧力変化部は、前記供給流路内の液体の通流方向に沿って、前記圧力波振動を発生させる
請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。 - 前記供給流路の断面積が、前記吐出チャネルの開口面より大きい
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記第1の圧力変化部の振動面は、前記液体導入孔の開口面又は前記複数の吐出チャネルの開口面の面積の合計よりも、大きい面積を有する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記圧力波振動のピークの値は、前記吐出孔からの前記液体の吐出を可能にする圧力の閾値を下回り、
前記液体を吐出させる場合に、前記第2の圧力変化部が前記吐出チャネルの液体に加える圧力は、前記閾値から前記圧力波振動のピークの値を差し引いた差分以上の値を有する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記圧力波振動のピークの値は、前記吐出孔からの前記液体の吐出を可能にする圧力の閾値を上回り、
前記液体を吐出させない場合に、前記第2の圧力変化部が前記吐出チャネルの液体から減ずる圧力は、前記圧力波振動のピークの値から前記閾値を差し引いた差分以上の値を有する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記第1の圧力変化部は、振動により前記吐出チャネルの液体の周期的な圧力波振動を発生させ、
前記圧力波振動のピークは、前記周期的な圧力波振動の時間変化のピークである請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
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