JP6387715B2 - コークス炉の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コークス炉の操業方法に関し、特に、炭化室の窯口の近傍で炉壁を熱間補修した場合のコークス炉の操業方法に関する。
コークス炉は経年とともに炉長方向に膨張するため、炉壁のレンガの間の目地が広がる。レンガ同士の接触面にはダボと呼ばれる凸部と、これに対応する凹部とが形成され、レンガに拘束力を与えている。目地が広がるとこの凹凸部の引っ掛かりが小さくなるためにレンガの拘束力が低下し、結果として炉壁耐力が徐々に低下する。目地がダボの長さ以上に広がるとレンガの拘束力はほぼなくなり、炉壁耐力は急激に低下する。
上記のように炉壁耐力が低下している状態で炭化室内のコークスケーキを押し出すと、押出機によって加えられる炉長方向の押出圧力が炉団長方向(炉壁に対して垂直な方向)に転化した力(以下、側壁圧力という)が炉壁耐力を上回り、炉壁に破孔が発生するおそれがある。この破孔を回避するための1つの方法として、押出圧力を低減させることが提案されている。例えば、特許文献1には、石炭の配合を変更することによって押出圧力を低減させる技術が記載されている。また、特許文献2には、炉壁のレンガ表面にガラス状薄膜を形成して平滑化することによって、押出圧力を低減させる技術が記載されている。
特開平4−132791号公報 特開平10−330758号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたような石炭の配合は、本来の操業に最適な配合とは必ずしも一致せず、また炉壁の破孔のおそれの有無によって石炭の配合を変更すると操業手順が煩雑化してしまう。また、特許文献2に記載されたようなガラス状薄膜の形成のためには、薬剤やそれを塗布するための装置が必要であり、また薬剤が強アルカリ性であることから、レンガの強度への影響も懸念される。さらに、上記のような方法で押出圧力を低減させた場合でも炉壁の破孔を完全に防ぐことはできない。
本発明者らの知見によれば、コークス炉における炉壁の破孔の多くは、炭化室の窯口の近傍で発生している。これは、1つには、コークスケーキを押し出す際に炉蓋が外されることによって窯口の近傍のレンガが外気によって急冷され、大きな熱衝撃を受けるためである。熱衝撃によって炉壁のレンガが劣化すると、破孔が生じやすくなる。破孔が発生した場合は当該箇所の熱間補修を行う。具体的には、作業員の手作業によって、破孔した部位にダボなしのレンガを積み上げ、レンガ同士の間を溶射またはモルタルの塗布によって接着する。従って、レンガにダボが形成されていない分、他の部位よりも炉壁耐力は低くなる。さらに、熱間補修を行った箇所は、炉壁を覆うことで炉壁の耐力を担保していたカーボンが消失することも、炉壁耐力の低下の要因となっている。このため、熱間補修後にコークスケーキを押し出す際には、熱間補修を行った箇所が再破孔し易いという課題がある。
それゆえ、炉壁の熱間補修後のコークス炉の立ち上げにあたっては、例えば、装入する石炭量を減らすことで、コークス押出し負荷を低減させるといった細心の注意を払った操業が実施されている。しかし、装入する石炭量を減らすと、コークスの生産性が低下するという課題が生じる。さらには、装入する石炭量を減らす操業を行った場合でも再破孔を完全に防止するには至っていない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、コークス炉において、炭化室の窯口の近傍で炉壁の破孔を熱間補修した場合の再破孔をより効果的に防止することが可能な、新規かつ改良されたコークス炉の操業方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、炭化室の窯口の近傍で炉壁の破孔を熱間補修した場合のコークス炉の操業方法であって、前記炉壁および前記炭化室の昇温にあたり、前記窯口に予め炉蓋を設置しておき、前記炉壁および前記炭化室を昇温させた後に、前記予め設置されていた炉蓋を常温の炉蓋に交換して前記窯口に設置し、前記常温の炉蓋を設置した後に前記炭化室に石炭を装入することを特徴とする、コークス炉の操業方法が提供される。
本発明者らが実施した検討および実験の結果、炉蓋を設置した状態で炉壁および炭化室を昇温させ、炉蓋が高い顕熱を有する状態で炭化室に石炭が装入されると、石炭が炉壁側からだけでなく炉蓋側からも加熱されることによって異形コークス塊が生成する。ここで、本願における異形コークス塊とは、炉蓋に接する箇所を底辺として炉長方向に頂点を有する三角形をしたコークス塊を意味している。このような異形コークス塊がコークスケーキ中に存在すると、コークスケーキを押し出す際に、異形コークス塊の底辺側から炉長方向に加えた力のベクトルが、炉壁方向に分解されるため、炉壁に力が加わる。よって、異形コークス塊がコークスケーキのランキン係数(側圧転換率)を増加させることによって、側壁圧力がより大きくなり、再破孔が生じやすくなっていることがわかった。
上記のコークス炉の操業方法では、炉壁および炭化室を昇温させた後に、顕熱が低い常温の炉蓋を窯口に設置し、その後に炭化室に石炭を装入することによって、石炭が炉蓋側から加熱されないようにし、異形コークス塊の発生を防ぐ。これによって、コークスケーキのランキン係数が小さくなる結果、側壁圧力を小さく抑え、再破孔をより効果的に防止できる。
上記のコークス炉の操業方法において、窯口は、炭化室の押出機側の窯口の場合が効果的である。なお、本明細書において、「押出側の窯口」は、押出機が設置されている側の窯口を意味する。また、「排出側の窯口」は、押出側の反対側、つまりコークスケーキがコークスガイド車に排出される側の窯口を意味する。押出側の窯口では、コークスケーキに作用する押出圧力が最も大きいため、押出圧力から転化する側壁圧力も大きく、再破孔が生じやすい。従って、上記のコークス炉の操業方法は、例えば炭化室の押出側の窯口において実施されるとより効果的である。一方、炭化室の排出側の窯口には、必ずしも上記の方法が適用されなくてもよい。つまり、上記の方法は、2つの窯口のうちの少なくとも押出側の窯口に適用される。
また、上記のコークス炉の操業方法では、炉壁および炭化室の昇温にあたり、窯口に予
め炉蓋を設置しておき、炉壁および炭化室を昇温させた後に、予め設置されていた炉蓋を
常温の炉蓋に交換して設置する。炉壁および炭化室の昇温後に常温の炉蓋を設置する場合、昇温中には炉蓋の代わりになるものを設置しておく必要がある。そこで、上記のように、予備の炉蓋を用意して常温で保管し、炉壁および炭化室の昇温中に設置されていた炉蓋を昇温後に予備の炉蓋に交換する。交換によって取り外された炉蓋は、例えば別の炭化室で補修が発生した際に、予備の炉蓋として利用することができる。
以上説明したように本発明によれば、コークス炉において、炭化室の窯口の近傍で炉壁の破孔を熱間補修した場合の再破孔をより効果的に防止することができる。
本発明の一実施形態に係るコークス炉の操業方法における、熱間補修後の立ち上げ工程を示すフロー図である。 異形コークス塊の発生原因を特定するための実験の結果を示す写真である。 乾留シミュレータの幅方向の断面図である。 乾留シミュレータの炉長方向の断面図である。 乾留シミュレータの炉蓋付近での温度測定について説明するための図である。 炉蓋を設置した状態で炉壁および炭化室を昇温させた場合における、乾留中の各熱電対の測定値を示すグラフである。 炉壁および炭化室の昇温後に常温の炉蓋を設置した場合における、乾留中の各熱電対の測定値を示すグラフである。 異形コークス塊が発生した場合と異形コークス塊の発生を防止できた場合とにおける、押出圧力と側壁圧力との関係を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコークス炉の操業方法における、熱間補修後の立ち上げ工程を示すフロー図である。図示された例では、まず、炭化室の窯口の近傍で、炉壁の熱間補修を実施する(S110)。既に説明したように、炭化室の窯口の近傍では、破孔が生じた炉壁が作業員の手作業によって熱間補修される。補修箇所が窯口から遠くなると補修治具の使用が困難になるため、実際上、作業員の手作業による補修が可能な範囲は、例えば窯口から3フリュー程度の範囲までが例示される。本明細書において、「窯口の近傍」は、例えばこのように作業員の手作業による補修が可能な範囲を意味する。なお、この範囲はコークス炉の構造によって異なり、必ずしも3フリュー程度には限定されない。
ここで、窯口の近傍における熱間補修を例えば手作業で行う際には迅速な作業が可能であるが、上記の通りダボなしのレンガを用いるために、補修後の炉壁耐力は他の部位よりも低くなる。また、補修の有無に関わらず、窯口の近傍では熱衝撃によって炉壁のレンガが劣化する傾向があることは上述した通りである。これらの要因のために、炭化室の窯口の近傍では、補修後の再破孔が特に生じやすい。そこで、本実施形態では、熱間補修(S110)後の立ち上げ時に、再破孔をより効果的に防止するための工程(S120〜S140)が実施される。
熱間補修が終了した後は、窯口に炉蓋を設置して、炉壁および炭化室を昇温させる(S120)。このとき押出側の窯口に設置される炉蓋は、後に交換される仮の炉蓋である(炉蓋の構造自体は通常の炉蓋と同じである)。
ちなみに、排出側の窯口近傍にも異形コークス塊は生成するが、排出側最端部に存在することから、異形コークス塊を支持するものが無いため、炉長方向に力が加わると直ぐにコーコス炉外に排出される。また、押出力のベクトルは炉壁方向に向かないため、炉壁に及ぼす影響は極めて小さい。そのため、排出側の窯口に設置される炉蓋は、その後の操業でそのまま使用されてもよい。
炉壁および炭化室の昇温は、例えば炭化室の温度が操業時の温度に到達するまで継続される(さらに長い時間にわたって継続されてもよい)。この間に、設置されている炉蓋は炉壁や炭化室と同程度の温度まで昇温され、高い顕熱を保持することになる。
炉壁および炭化室が所定の温度(例えば操業時の温度)まで昇温したところで、押出側の窯口に設置されている炉蓋を、常温で保管された予備の炉蓋に交換する(S130)。これによって、押出側の窯口では、炉蓋の温度が炉壁および炭化室の温度よりも低く、炉蓋の顕熱も低い状態になる。この状態で、炭化室に石炭を装入する(S140)。そうすると、押出側の窯口近傍でも、石炭は炉蓋側からは加熱されず、主として炉壁側から加熱される。従って、炭化室内の石炭の乾留は一様に炉壁側から進行することになり、異形コークス塊の発生が防止される。異形コークス塊の発生が防止できれば、コークスケーキのランキン係数を小さくできる結果、側壁圧力を小さく抑え、再破孔をより効果的に防止できることは上述の通りである。
以下、本実施形態に到達するまでの本発明者らの検討、および本実施形態における効果の検証のための実験について、さらに説明する。
(異形コークス塊の発生原因を特定するための実験)
本発明者らは、炭化室内のコークスケーキに異形コークス塊が発生する原因を特定するために、小型乾留電気炉を用いた実験を実施した。実験では、表1に示すような石炭性状をもつA炭、B炭、C炭をそれぞれ−3mm比率85%となるように粉砕し、各石炭を表1に示した配合比率で配合した配合炭の水分を8%に調整した後、焼成缶(長さ660mm、幅420mm、高さ400mm)に充填した。なお、表1、および以降の表において、IMは固有水分、ASHは灰分、VMは揮発分、TDは最大膨張率、MFは最高流動度、RTは再固化温度を意味する。また、daf%は無水無灰ベースの%、ddpmは回転数(dial division per minute)を意味する。
乾留は、表2に示すような加熱パターンで、18.5時間にわたって実施した。ここで、通常の場合、焼成缶の炉長方向の両端部には断熱材が配置されるが、本実験では、一方の端部については断熱材を撤去し、コークス炉の炭化室内の石炭が両方の炉壁側および炉蓋側の3方向から同時に加熱される状態を再現した。乾留後のコークスケーキは、焼成缶ごと冷却ボックスに収納し、窒素ガス雰囲気中で常温まで冷却した。

図2は、上記の実験の結果を示す写真である。図中で、左側(A)が断熱材を撤去した方の焼成缶の端部、右側(B)が断熱材を配置した方の焼成缶の端部である。この写真を参照すると、断熱材を撤去した方の端部では、コークスケーキの両方の角から中央に向かう斜め方向に2本の太い主亀裂が形成され、三角形の異形コークス塊が発生していることがわかる。一方、反対側の断熱材を配置した方の端部ではこのような主亀裂および異形コークス塊は発生していない。従って、主亀裂および異形コークス塊は、石炭が両側面および端面の3方向から加熱され、3方向から同時に乾留が進行することによって発生したと推定される。
(炉蓋の顕熱を低くする効果を検証するための実験)
続いて、本発明者らは、上述した本実施形態に係る操業方法のように、炉蓋の顕熱を低くすることによって異形コークス塊の発生を防止できることを検証するために、乾留シミュレータを用いた実験を実施した。
図3Aおよび図3Bは、上記の実験において使用された乾留シミュレータの幅方向および炉長方向の断面図である。図3Aに示す幅方向の断面図を参照すると、乾留シミュレータ10では、1対の炉壁11の間に炭化室12が形成されている。炭化室12には、上方に設けられた装入口13から試料の石炭19が装入される。炉壁11には発熱体14が埋め込まれ、炉壁11を介して炭化室12内の石炭19を加熱する。また、後述するように、石炭を乾留して得られたコークスケーキ19に押出力を加えた際に発生する炉壁にかかる力を測定するために、一方の炉壁11にはロードセル15が設置されている。
図3Bに示す炉長方向の断面図を参照すると、乾留シミュレータ10では、炭化室12の炉長方向の両端部に炉蓋16,17が配置される。実験では、両方の炉蓋16,17を閉じた状態で炭化室12内の石炭19を乾留し、その後、炉蓋16を開放して、石炭19を乾留して得られたコークスケーキに押出機(図示せず)で力を加えた。このとき、炉蓋17は閉じたまま固定されている。炉蓋17にはロードセル18が設置されており、上記の押出力はロードセル18によって検出される力が所定の値に到達するまで加えられる。これは、コークス炉の実機で炭化室からコークスケーキを押し出す際に、押出機によって加えられた押出力がコークスケーキと炉壁との間の静止摩擦力を超えてコークスケーキが動き出す前の状態を再現している。
上記の実験において用いられた乾留シミュレータ10では、炭化室12の長さは1050mm、幅は450mm、高さは1100mmであった。この高さが一般的なコークス炉の実機の1/5程度であることから、上記の実験では、ロードセル18によって検出される力が10tonf、つまり実機でコークスケーキを押し出す(コークスケーキが動き出す)ときの最大押出力(約50tonf)の1/5に到達するまで、押出機によって炭化室12内のコークスケーキに押出力を加えることとした。
図4は、上記の実験における乾留シミュレータの炉蓋付近での温度測定について説明するための図である。実験では、6本の熱電対を用いて、炉壁11の表面、炉蓋16の内部、および炭化室12内の石炭19の内部の温度を測定した。図4には、これらの熱電対a〜fの位置関係が示されている。熱電対aは、炉壁11に沿って炭化室12内に挿入され、炉蓋16のレンガ表面付近での炉壁11の表面温度を測定する。熱電対b〜dは、炉蓋16の外側の鉄皮を貫通して炉蓋16を構成するレンガの中に挿入される。熱電対bは外側の鉄皮に近い位置でのレンガの温度を測定し、熱電対cは炉蓋16の中央付近でのレンガの温度を測定し、熱電対dは炉蓋16のレンガ表面付近でのレンガの温度を測定する。熱電対e,fは、炉蓋16を貫通して炭化室12内の石炭19の中に挿入される。熱電対eは炉蓋16のレンガ表面に比較的近い位置での石炭19の温度を測定し、熱電対fは炭化室12の炉長方向中央付近での石炭19の温度を測定する。なお、図4において、熱電対a〜fの位置関係は、炉蓋16の外側の鉄皮からの距離(単位:mm)によっても示されている。
実験では、表3に示すような石炭性状をもつA炭、C炭、D炭をそれぞれ−3mm比率85%となるように粉砕し、各石炭を表3に示した配合比率で配合した配合炭の水分を4%に調整した後、上記の乾留シミュレータ10において装入口13から炭化室12に装入した。乾留は、石炭装入に先立って発熱体14の温度を1270℃にして炉壁11および炭化室12を昇温させた上で、石炭装入後18.5時間にわたって実施した。乾留後のコークスケーキは、上記のように押出機によって所定の段階まで押出力を加えた後、炉蓋17も開放して炭化室12から押し出した上で、形状を維持した状態で冷却ボックスに収納し、窒素ガス雰囲気中で常温まで冷却した。
上記の実験では、炉壁11および炭化室12の昇温と、炉蓋16の設置と、石炭19の装入との順序を、以下の2通りで変化させながら石炭19の乾留を実施した。
(1)炉蓋16を設置した状態で発熱体14を発熱させ、炉壁11および炭化室12を十分に昇温させた上で、装入口13から石炭19を装入する。
(2)炉蓋16の代わりに断熱材を積み上げた状態で発熱体14を発熱させ、炉壁11および炭化室12を十分に昇温させた後で、断熱材を撤去して常温の炉蓋16を設置する。そのさらに1時間後に、装入口13から石炭19を装入する。ここで、1時間後としたのは、実機に本発明を適用した場合の典型的な作業時間を想定した。
図5は、上記の(1)の場合、つまり、炉蓋16を設置した状態で炉壁11および炭化室12を昇温させた場合における、乾留中の各熱電対の測定値を示すグラフである。この場合、石炭19の装入直前における炉蓋16のレンガ表面の温度(熱電対dの検出値)は830℃、炉蓋16の中央付近の温度(熱電対cの検出値)は540℃に達していた。このことから、炉蓋16を設置した状態で炉壁11および炭化室12を昇温させた場合、炉蓋16が高い顕熱を有する状態で石炭19が装入されることがわかる。
さらに図5を参照すると、上記の(1)の場合、石炭19の装入(乾留時間0)後に石炭19への抜熱によって炉蓋16のレンガ表面の温度(熱電対dの検出値)が低下するものの、なおも600℃近い温度が維持されており、その後はさらに温度が上昇する。このため、炉蓋16付近の石炭19は、炉蓋16の顕熱によって大きく昇温されることになる。実際に熱電対eと熱電対fの検出値が常温から約100℃に到達し、約100℃を数時間保持した後、さらに温度が上昇する温度推移をみると、温度が常温から100℃に到達する時間および100℃以上の温度に温度が上昇する時間は、炉蓋16に比較的近い位置での石炭19の温度(熱電対eの検出値)の方が、炭化室12の炉長方向中央付近での石炭19の温度(熱電対fの検出値)よりも早いことがわかる。これは、石炭19が炉蓋16の顕熱によって昇温しているためであると考えられる。なお、熱電対eおよび熱電対fの値が約100℃を数時間保持するのは、装入した石炭の水分(本実施例では4%)が炉内で蒸発と凝縮を繰り返しているためである。結果として、(1)の場合には、乾留後のコークスケーキにおいて、上記で図2を参照して説明した例と同様に、炉蓋16側の端部に三角形の異形コークス塊が形成された。
図6は、上記の(2)の場合、つまり、炉壁11および炭化室12の昇温後に常温の炉蓋16を設置した場合における、乾留中の各熱電対の測定値を示すグラフである。この場合、石炭19の装入直前(炉蓋16の設置の1時間後)における炉蓋16のレンガ表面の温度(熱電対dの検出値)は250℃、炉蓋16の中央付近の温度(熱電対cの検出値)は35℃であった。このことから、炉壁11および炭化室12を昇温させた後に常温の炉蓋16を設置した場合、炉蓋16の顕熱が低い状態で石炭19が装入されることがわかる。
さらに図6を参照すると、上記の(2)の場合も、(1)の場合と同様に、石炭19の装入(乾留時間0)後に石炭19への抜熱によって炉蓋16のレンガ表面の温度(熱電対dの検出値)が低下する。(1)の場合と比べて、石炭装入前に炉蓋16が有する顕熱が低いために、このとき炉蓋16のレンガ表面の温度は200℃未満にまで低下する。その後炉蓋16の温度は上昇するものの、石炭のコークス化がほぼ完了する500℃に到達するまでに約14時間を要する。このときの熱電対eおよび熱電対fの検出値をみると、炉蓋16のレンガ表面温度よりも高い。すなわち、この条件では熱流束が石炭19から炉蓋に向かっており、石炭19は抜熱されている。従って、炉蓋レンガの顕熱で石炭19が乾留を受けることは無いことがわかる。このため、炉蓋16付近の石炭19でも、(1)の場合のように炉蓋16の顕熱によって昇温されることがほぼなく、主として炉壁11の顕熱によって昇温される。乾留の終盤に至るまで、炉蓋16に比較的近い位置での石炭19の温度(熱電対eの検出値)と、炭化室12の炉長方向中央付近での石炭19の温度(熱電対fの検出値)との間にほとんど差がないのは、炉蓋16の顕熱が石炭19の昇温に与える影響が小さいためであると考えられる。結果として、(2)の場合には、炭化室内12の石炭19の乾留が一様に炉壁11側から進行し、乾留後のコークスケーキにおいて異形コークス塊は形成されなかった。
以上の実験の結果によって、本発明の実施形態において、炉壁および炭化室の昇温後に常温の炉蓋を設置して、石炭装入時の炉蓋の顕熱を低くすることが、異形コークス塊の発生を防止するために効果的であることが検証された。
なお、上記の実験の(2)の場合に常温の炉蓋16を設置した1時間後に石炭19を装入していることからわかるように、本発明の実施形態では、常温の炉蓋の設置直後に石炭を装入する必要はない。例えば他の炭化室における工程との関係などによって、常温の炉蓋を設置した後、石炭を装入するまでに多少の時間差が発生し、この間に炉蓋に若干の昇温が発生することは許容される。どの程度の炉蓋の昇温が許容されるかについて、以下で説明する。
表3に示した各配合炭の再固化温度の加重平均(以下、石炭19の平均再固化温度ともいう)は、約480℃である。乾留時の加熱によって膨張した石炭は、温度が再固化温度を超えると、揮発分がガスとして分離されることによって収縮する。乾留後のコークスケーキにおける亀裂は、主にこのときの石炭の収縮によって発生する。それゆえ、炉蓋が石炭を平均再固化温度を超えて昇温させるほどの顕熱を有していると、上記の図2に示したような斜め方向の主亀裂が発生し、異形コークス塊が形成されることになる。
従って、常温の炉蓋を設置してから石炭を装入するまでの時間差による炉蓋の温度上昇が許容される条件の1つとして、石炭の装入時の炉蓋の表面温度が石炭の平均再固化温度を超えないことが挙げられる。例えば、上記で図6に示した(2)の例では、石炭19の装入時の炉蓋16のレンガ表面の温度(熱電対dの検出値)が石炭19の平均再固化温度(約480℃)を超えていないために、異形コークス塊の発生が防止できていると考えられる。一方、図5に示した(1)の例では、石炭19の装入時の炉蓋16のレンガ表面の温度(熱電対dの検出値)が平均再固化温度(約480℃)を超えているために、炉蓋16の顕熱によって石炭19が収縮し、異形コークス塊を構成する亀裂が発生したと考えられる。
なお、図5および図6に示された例から明らかなように、石炭19の装入後、石炭19への抜熱によって炉蓋16のレンガ表面の温度は低下する。従って、本発明の実施形態は、必ずしも石炭の装入時の炉蓋の表面温度が石炭の平均再固化温度以下である場合には限られず、石炭の装入時の炉蓋の表面温度が石炭の平均再固化温度を超えているものの、装入後に石炭への抜熱による温度低下によって炉蓋の表面温度が石炭の平均再固化温度以下になるような場合をも含む。
(側壁圧力の低減効果を検証するための実験)
さらに、本発明者らは、上記で説明した乾留シミュレータを用いた実験において、異形コークス塊が発生した場合と、異形コークス塊の発生を防止できた場合とで、乾留後のコークスケーキに押出圧力を加えた際に発生する側壁圧力が低減することの検証を実施した。より具体的には、本発明者らは、上記の乾留シミュレータ10を用いた実験の(1)および(2)の場合のそれぞれについて、乾留後に炭化室12内のコークスケーキに押出機を用いて押出力を加え、その際に発生する炉壁11にかかる力をロードセル15を用いて測定した。
図7は、上記の(1)および(2)の場合のそれぞれにおける、押出圧力と側壁圧力との関係を示すグラフである。上述のように、実験では、押出機と反対側の炉蓋17を閉じたまま固定し、炉蓋17に設置されたロードセル18によって検出される力が10tonfに到達するまで、押出機によって炭化室12内のコークスケーキに押出力を加えた。ロードセル18によって検出される力が10tonfに到達したときの押出圧力は、(1)および(2)の場合とも約270kPaであった。
結果の解析では、図7のグラフにプロットされた押出圧力と側壁圧力との関係から、それぞれの場合についてランキン係数を算出した。ランキン係数は、コークスケーキの押出性を評価する指標の1つであり、以下の式1によって算出される。なお、式1において、Rはランキン係数、Pは側壁圧力、Pは押出圧力、Fは側壁荷重=ロードセル15の検出値、Sは炉壁11(片側)の石炭との接触面積、Fは押出力、Sは押出機と石炭との接触面積を示す。図7のグラフでいうと、(1)および(2)のそれぞれについてプロットされたデータの近似直線の傾きがランキン係数Rに相当する。

まず、(1)の場合、すなわち乾留後のコークスケーキに三角形の異形コークス塊が発生した場合、押出圧力Pおよび側壁圧力Pについてプロットされたデータの近似直線は、P=0.061P−0.762となる。Pに対するPの傾きがランキン係数Rに相当し、R=0.061である。
一方、(2)の場合、すなわち乾留後のコークスケーキにおける異形コークス塊の発生を防止できた場合、押出圧力Pおよび側壁圧力Pについてプロットされたデータの近似直線は、P=0.037P−0.221となる。ここでもPに対するPの傾きがランキン係数Rに相当し、R=0.037である。
上記の実験の結果によって、乾留後のコークスケーキにおいて異形コークス塊の発生を防止できた場合、異形コークス塊が発生した場合に比べてコークスケーキのランキン係数が低下し、乾留後のコークスケーキに押出圧力を加えた際に発生する側壁圧力が減少する傾向が顕著にみられることが検証された。側壁圧力が減少すれば、炭化室の窯口の近傍で炉壁の破孔を熱間補修した場合の再破孔の可能性がより低くなる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 乾留シミュレータ
11 炉壁
12 炭化室
13 装入口
14 発熱体
15,18 ロードセル
16,17 炉蓋
19 石炭またはコークス

Claims (2)

  1. 炭化室の窯口の近傍で炉壁の破孔を熱間補修した場合のコークス炉の操業方法であって、前記炉壁および前記炭化室の昇温にあたり、前記窯口に予め炉蓋を設置しておき、
    前記炉壁および前記炭化室を昇温させた後に、前記予め設置されていた炉蓋を常温の炉蓋に交換して前記窯口に設置し、前記常温の炉蓋を設置した後に前記炭化室に石炭を装入することを特徴とする、コークス炉の操業方法。
  2. 前記窯口は、前記炭化室の押出側の窯口であることを特徴とする、請求項1に記載のコークス炉の操業方法。
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