JP2005307003A - コークス炉炉壁の煉瓦積構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭化室と燃焼室との仕切り壁であるロイファー煉瓦及び燃焼室フリュー同士の仕切り壁であるビンダー煉瓦36,40,41,42を有するコークス炉の炉壁煉瓦積み構造において、ビンダー煉瓦の少なくとも一部が前記ロイファー煉瓦43と一体化し、かつ、ロイファー煉瓦43はビンダー煉瓦の延長線内のみに垂直接合面である目地を有すること、またはロイファー煉瓦43が炉長方向において燃焼室フリュー8の中心線上に垂直接合面である目地を有することを特徴とする。
【選択図】 図9
Description
図7は、炉壁変形を説明する図である。図中8は燃焼室の各フリューを示し、炉長方向6に複数門並ぶ。9はロイファー煉瓦を、12はビンダー煉瓦を示す。コークス炉炉壁はコークスの押し出し(31は押し出し方位)、押詰りや、石炭乾留中の石炭膨張圧によって多大な側圧32を受ける。結果、炉壁は33のような張り出し変形を受ける。炭化室は燃焼室フリューの両側にあるため、変形は炉段方向5の33と34の方向に交互に受けることになる。煉瓦には目地が存在するが、通常ダボによって拘束を受けるため、側圧に対する剛性を保っているが、前記のような縦貫通亀裂が発生した場合、剛性が低下するため炭化室面の中央が窪むような変形を起こす。コークス押出した時に、炉壁が変形していると壁近傍のコークスの流れを阻害するため、押し出し抵抗が増加し、最悪は押し詰りが発生する。押し詰りは炉の変形をさらに助長するため、側圧の増加をきたす悪循環を引き起こす。この頻度が高くなってくると炉は使用できなくなる。また、目地や亀裂部分にはカーボンが侵入し、これが蓄積していくと、残留変形量が逐次増加していくことになり、これも悪循環の一因となる。
煉瓦は通常、直方体であるが、炉壁の変形が大きくなると、煉瓦の角と角が接触することによって、図8に示すような角欠け35と称する煉瓦の割れが発生する。角欠けが生じると、変形に伴う煉瓦の回転拘束が弱まるため、結果的に炉壁の剛性低下を引き起こし、変形を助長することになる。また、押し詰りは比較的炭化室全面の影響が大きいが、局所的な集中荷重を伴う場合や、縦貫通亀裂部分や、ダボ亀裂等局所的な煉瓦損傷があった場合に、荷重が集中して破孔に至る可能性がある。
煉瓦は通常珪石煉瓦が用いられるが、高温での経年的な利用により劣化を起こし、素材の持つもともとの強度が低下する。加えて、表面は常に石炭やコークスによって摩擦を受けたり、石炭装入時の高温〜低温繰返しによるスポーリングを受けるため、表面性状は次第に悪化する。これらは、亀裂の発端となったり、押し出し時の抵抗となって、変形を促進させたり、と言った前述のいろいろな損傷を助長し、悪循環の一因となってしまう。
特許文献2(図20)、特許文献3(図21)はともに、目的は薄壁化にあるが、基本的に炉壁の剛性を上げようとするものである。これらもやはり、小口煉瓦近傍に目地が集中し、煉瓦の回転拘束が弱いため、何らかの原因でロイファー煉瓦に亀裂が入った場合は全体の剛性が低下する。
特許文献4(図22)は、炭化室の炉長手方向の煉瓦の変形拘束と滑り面の併用によって煉瓦の熱亀裂を防止しようとするものである。本方法では上下方向の段積みの中に滑り面を設定することになるが、煉瓦表面の状況によっては滑りが十分を起きず、結果的に目地部起点に亀裂が入る可能性が高い。
特許文献5(図23)は、炭化室煉瓦を多角形にして強度を上げようとするものであるが、構造的な複雑さから、特にビンダー煉瓦との結合部分に問題があり、実現は困難と思われる。
特許文献6(図24)は、基本的には煉瓦の種類を低減することが目的であるものの、合わせて強度アップを狙ったものであるが、ロイファー部に目地をもつ構造から亀裂発生の問題解決にはなっていない。
実用新案文献1(図25)は、ロイファー煉瓦壁厚を規定するものであるが、同煉瓦の目地位置に強度向上の工夫が見られ、また、実用新案文献2(図26)は、目的は薄壁化にあるが、基本的に炉壁の剛性を上げようとするものである。いずれも、小口煉瓦近傍に目地が集中し、煉瓦の回転拘束が弱いため、何らかの原因でロイファー煉瓦に亀裂が入った場合は全体の剛性が低下する。
長寿命化を実現するためのその他の方法として、材質改善があるが、本発明とは趣旨が異なるため省略する。
(1)熱初期亀裂の回避のため、亀裂の起点となり得る目地をロイファー部に設定しない構造とする。
(2)炉壁の剛性を長期にわたって維持できる構造とし、側圧の増加と炉壁変形の悪循環を発生させない構造とする。
(3)熱亀裂の発生を完全に止めることは難しい。従って、万一、亀裂を生じても剛性低下を起こさない構造とする。
(1)炭化室と燃焼室との仕切り壁であるロイファー煉瓦及び燃焼室フリュー同士の仕切り壁であるビンダー煉瓦を有するコークス炉の炉壁煉瓦積み構造において、前記ビンダー煉瓦の少なくとも一部が前記ロイファー煉瓦と一体化し、かつ、前記ロイファー煉瓦は前記ビンダー煉瓦の延長線内のみに垂直接合面である目地を有することを特徴とするコークス炉炉壁の煉瓦積み構造。
(2)炭化室と燃焼室との仕切り壁であるロイファー煉瓦及び燃焼室フリュー同士の仕切り壁であるビンダー煉瓦を有するコークス炉の炉壁煉瓦積み構造において、前記ロイファー煉瓦と、前記ビンダー煉瓦の少なくとも一部と一体化し、かつ、前記ロイファー煉瓦が炉長方向において燃焼室フリューの中心線上に垂直接合面である目地を有することを特徴とするコークス炉炉壁の煉瓦積み構造。
を課題を解決するための手段とするものである。
図9に本発明による煉瓦、および煉瓦積みの基本構造を示す。
(a)は偶数段の平面図を、(b)は奇数段の平面図を、(c)は炭化室側から見た正面図を示す。偶数段と奇数段は入れ代わっても構わない。8は燃焼室フリューを、1は炭化室の空間を示す。(a)に示すように、炭化室1に面し、燃焼室フリュー8を挟む、炉長方向のビンダー部37と38、およびロイファー部39を一体構造とする煉瓦36を考える。結果的にハンマー煉瓦は存在しない。該煉瓦は反対側の炭化室に面する部分にも点対称の関係で煉瓦40を設置するものとする。ビンダー部分には該煉瓦36,40を連結する形の煉瓦41,42を配置する。これにより、煉瓦36,40,41,42の4煉瓦によってリング状の煉瓦ユニットを構成する。該煉瓦ユニットは燃焼室の1フリューに一つ飛び毎に設置し、その間は直方体のロイファー煉瓦43で連結される。
ロイファー部に目地がある場合、損傷のメカニズムで述べた通り、該目地開きによって、目地部の上下の目地のない煉瓦に亀裂が発生し、高さ方向の貫通亀裂を発生させ、炉壁の剛性を低下させる。そこで、ビンダー煉瓦とロイファー煉瓦を一体化することを前提に、凹凸嵌合部(ダボ部)を有する垂直接合面がロイファー煉瓦におけるビンダー煉瓦の炉長方向配置ピッチの中央線上、あるいはロイファー煉瓦における燃焼室フリューの中心線上に配列された構造を考える。
2:燃焼室
3:蓄熱室
4:炭化室壁
5:炉団方向
6:炉長方向
7:炉高方向
8:燃焼室フリュー
9:ロイファー部
10:ロイファー煉瓦
11:ロイファー煉瓦とビンダー煉瓦の交差部(ハンマー煉瓦)
12:ビンダー部
13:ビンダー煉瓦
14:ロイファー煉瓦とビンダー煉瓦の交差部
15:ロイファー煉瓦とビンダー煉瓦間の縦目地部
16:上下敷き目地部
17:ロイファー煉瓦間の縦目地部
18:凹凸嵌合部(ダボ部)
19:ロイファー部に目地のある煉瓦
20:ロイファー部に目地のない煉瓦
21:目地開き部
22:亀裂部
23:圧縮応力
24:引張応力
25:炭化室への迫り出し変形
26:目地開き変形
27:ビンダー部近傍のロイファー煉瓦目地挙動
28:ロイファー部に目地のない煉瓦の炉長方向応力
29:上下段煉瓦間の剪断応力
30:ロイファー部に目地のある煉瓦の炉長方向応力
31:押し出し力とその方向
32:側圧
33:炉団方向の張り出し変形
34:炉団方向の張り出し変形(33と反対方向)
35:角欠け
36:ビンダー部37と38、およびロイファー部39を一体構造とする煉瓦
37:ビンダー部
38:ビンダー部
39:ロイファー部
40:煉瓦36と点対象で、反対側の炭化室に面する煉瓦
41:煉瓦36と40を連結するビンダー煉瓦
42:煉瓦36と40を連結するビンダー煉瓦
43:煉瓦36と36の間に設置されるロイファー煉瓦
44:ビンダー部45とロイファー部46を一体構造とする煉瓦
45:ビンダー部
46:ロイファー部
47:煉瓦44と点対象で、反対側の炭化室に面する煉瓦
48:煉瓦44と47を連結するビンダー煉瓦
49:煉瓦44と47を連結するビンダー煉瓦
50:ビンダー部51とロイファー部52を一体構造とする煉瓦
51:ビンダー部
52:ロイファー部
53:煉瓦50と点対象で、反対側の炭化室に面する煉瓦
54:ロイファー部
55:ロイファー部
56:ビンダー部
57:ビンダー部
58:煉瓦54,55,56,57を一体構造とする煉瓦
59:煉瓦39,40とこれらを連結するビンダー煉瓦41,42からなるリング構造
60:ビンダー煉瓦の一部62とロイファー煉瓦64を一体化した煉瓦
61:ビンダー煉瓦の一部63とロイファー煉瓦65を一体化した煉瓦
62:ビンダー部
63:ビンダー部
64:ロイファー部
65:ロイファー部
66:凹凸嵌合部(ダボ部)
67:目地
68:煉瓦60と点対象で、反対側の炭化室に面する煉瓦
69:煉瓦61と点対象で、反対側の炭化室に面する煉瓦
70:煉瓦60の上下段にある煉瓦
71:煉瓦61の上下段にある煉瓦
72:煉瓦68の上下段にある煉瓦
73:煉瓦69の上下段にある煉瓦
74:炉壁高さ方向にあらかじめ亀裂を想定した目地
75:従来構造の計算モデル
76:(2)に示す構造の計算モデル
77:従来構造の計算結果
78:(2)に示す構造の計算結果
Claims (2)
- 炭化室と燃焼室との仕切り壁であるロイファー煉瓦及び燃焼室フリュー同士の仕切り壁であるビンダー煉瓦を有するコークス炉の炉壁煉瓦積み構造において、前記ビンダー煉瓦の少なくとも一部が前記ロイファー煉瓦と一体化し、かつ、前記ロイファー煉瓦は前記ビンダー煉瓦の延長線内のみに垂直接合面である目地を有することを特徴とするコークス炉炉壁の煉瓦積み構造。
- 炭化室と燃焼室との仕切り壁であるロイファー煉瓦及び燃焼室フリュー同士の仕切り壁であるビンダー煉瓦を有するコークス炉の炉壁煉瓦積み構造において、前記ロイファー煉瓦と、前記ビンダー煉瓦の少なくとも一部と一体化し、かつ、前記ロイファー煉瓦が炉長方向において燃焼室フリューの中心線上に垂直接合面である目地を有することを特徴とするコークス炉炉壁の煉瓦積み構造。
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