JP6387513B2 - アーク溶接制御方法およびアーク溶接装置 - Google Patents

アーク溶接制御方法およびアーク溶接装置 Download PDF

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Description

本発明は、消耗電極(以下、ワイヤと称する)を自動送給し、ワイヤと溶接母材(以下、母材と称する)との間にピーク電流とベース電流を繰り返し供給して溶接出力の制御を行うアーク溶接制御方法およびアーク溶接装置に関する。
近年、溶接業界では、生産性向上のため、溶接の高速度化やスパッタの低減に対する要求が高まっている。溶接速度を高速化すると、単位時間当たりの生産数が増加する。スパッタを低減すると、ワーク(母材ともいう)に付着したスパッタを除去する後処理工程を削減できる。このように、溶接の高速度化やスパッタの低減により、溶接生産性を向上できる。
従来のパルス溶接出力制御について、図4を用いて説明する。図4において、基本パルス周期101は、パルス溶接の基本となる周期である。短絡期間102は、ワイヤと母材とが短絡している期間である。アーク初期期間103は、短絡開放後、次の溶滴移行のための溶融塊を形成するための期間である。
溶接電圧に基づいて短絡解放直前のくびれ現象を検知すると、時点107に示すように、溶接電流を急峻に低減する。なお、くびれの発生時に溶接電流を低減しても、溶融したワイヤは、ピンチ力によって母材に移行する。従って、溶接電流の急峻な低減は、短絡の解放にはほとんど影響しない。
以上のように、パルス溶接中に短絡が発生した場合、短絡を開放するため、パルス電流の電流波形の立ち上がり時の傾きよりも小なる傾きの溶接電流を通電する。そして、この溶接電流の通電により生じる短絡解放の際にくびれを検知し、溶接電流を急峻に低減させる。従って、短絡開放時のスパッタの発生に関連する溶接電流の影響を低減できる。この結果、短絡開放時のスパッタの発生量を低減できる(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−334601号公報
パルス溶接において、高速溶接を行う場合、溶接電圧を低く設定しなければならない。その理由は、アンダーカットやハンピングを抑制するため、溶接電圧を低く設定してパルス溶接でありながら短絡を発生させて溶接を行うためである。しかし、溶接電圧が低いと、短絡開始から短絡開放までの時間である短絡時間が長くなり、短絡開放時の溶接電流が高くなる。従って、短絡開放時のスパッタが増加する。そこで、従来のパルス溶接制御では、短絡開放直前のくびれ現象を検知すると溶接電流を急峻に低減し、これによりスパッタの発生を低減している。
しかしながら、上述した従来のパルス溶接制御では、溶接環境や外乱の影響等によりくびれ現象を誤検知すると、溶接状態が不安定になり、スパッタが増加する。そして、溶接作業者により溶接電圧が低く設定される程、くびれ現象を誤検知した場合、スパッタの発生量が増える傾向にある。
本発明は、1パルス/1短絡移行の制御における短絡の発生タイミングを、ベース電流期間とするものであるが、設定電流に応じたベース電流である通常のベース電流値よりも低くしたベース電流を出力するベース電流期間を設け、この低いベース電流値のベース電流期間で短絡が発生するように溶接電流を制御する。これにより、短絡発生時の短絡電流の増加の開始点を低い溶接電流とすることができ、短絡開放までの短絡時間が同様であっても、短絡解放時の電流値を下げることができる。
このように、本発明は、くびれ現象を検知して溶接電流を低減する制御を用いない場合であってもスパッタの発生量を低減するアーク溶接制御方法およびアーク溶接装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のアーク溶接制御方法は、溶接ワイヤと母材との間に1つのピーク電流と2つのベース電流交互に繰り返し供給するアーク溶接制御方法であって、前記ベース電流は第1のベース電流と第2のベース電流からなり、1つのパルスの1つの前記ピーク電流を続するように供給するピーク電流期間と、前記ピーク電流よりも低い前記第1のベース電流を供給する第1のベース電流期間と、前記ピーク電流よりも低く前記第1のベース電流よりも高い前記第2のベース電流を供給する第2のベース電流期間と、を有し、前記ピーク電流期間の後に前記第1のベース期間となり、前記第1のベース期間の後に前記第2のベース期間となり、前記第2のベース期間の後に、前記第2のベース電流から前記ピーク電流に増加して前記ピーク電流期間となるように溶接電流を制御し、前記第2のベース電流よりも低い前記第1のベース電流を供給する前記第1のベース電流期間において前記溶接ワイヤと前記母材との短絡を検出すると、前記ピーク電流の電流波形の増加傾きである立ち上がりの傾きよりも小なる傾きの前記溶接電流を出力し、短絡開放時の前記溶接電流が前記第2のベース電流よりも高い場合には、短絡の開放後の前記溶接電流を前記第2のベース電流に制御し、短絡開放時の前記溶接電流が前記第2のベース電流よりも低い場合には、短絡の開放後の前記溶接電流として、短絡開放時の前記溶接電流を所定期間維持して、短絡開放直後の前記溶接電流は前記第2のベース電流以下に制御する
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、前記第1のベース電流期間で前記溶接ワイヤと前記母材との短絡が発生するように、前記ピーク電流と前記第2のベース電流を制御する。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、短絡開放直前のくびれ現象を検出すると、前記溶接電流を低減する。
また、本発明のアーク溶接装置は、溶接ワイヤと母材との間に1つピーク電流と2つのベース電流交互に繰り返し供給するアーク溶接装置であって、前記ベース電流は第1のベース電流と第2のベース電流からなり、溶接電流を制御するスイッチング部と、前記スイッチング部を制御する駆動部を備え、前記駆動部は、1つのパルスの1つの前記ピーク電流を続するように供給し、その後、前記ピーク電流よりも低い前記第1のベース電流を供給し、その後、前記ピーク電流よりも低く前記第1のベース電流よりも高い前記第2のベース電流を供給するように、前記スイッチング部を制御し、溶接電圧を検出する溶接電圧検出部と、前記溶接電圧検出部の出力に基づいて前記溶接ワイヤと前記母材とが短絡状態であるかアーク状態であるのかを判定する判定部を備え、前記判定部が、前記第2のベース電流よりも低い前記第1のベース電流を供給する第1のベース電流期間において前記溶接ワイヤと前記母材との短絡を検出すると、前記駆動部は、前記ピーク電流の電流波形の増加傾きである立ち上がりの傾きよりも小なる傾きの前記溶接電流を出力するように前記スイッチング部を制御し、前記溶接電流を検出する溶接電流検出部を備え、前記判定部が短絡の開放を判定した時の前記溶接電流が前記第2のベース電流よりも高い場合には、前記駆動部は、短絡の開放後の前記溶接電流が前記第2のベース電流になるように前記スイッチング部を制御し、前記判定部が短絡の開放を判定した時の前記溶接電流が前記第2のベース電流よりも低い場合には、前記駆動部は、短絡の開放後の前記溶接電流として、短絡開放時の前記溶接電流を所定期間維持するように前記スイッチング部を制御して、短絡開放直後の前記溶接電流は前記第2のベース電流以下に制御する
また、本発明のアーク溶接装置は、上記に加えて、前記駆動部は、前記第1のベース電流期間で前記溶接ワイヤと前記母材との短絡が発生するように、前記ピーク電流と前記第2のベース電流を制御する。
また、本発明のアーク溶接装置は、上記に加えて、前記判定部が短絡開放直前のくびれ現象を検出すると、前記駆動部は、前記溶接電流を低減するように前記スイッチング部を制御する。
以上のように、本発明によれば、短絡が生じるパルス溶接において、スパッタの発生を抑制することができる。
本発明の実施の形態1におけるアーク溶接装置の概略構成を示す図 本発明の実施の形態1における溶接電流と溶接電圧のパルス波形を示す図 (a)本発明の実施の形態1における溶接電流と溶接電圧のパルス波形を示す図(b)本発明の実施の形態1における溶接電流と溶接電圧のパルス波形を示す図 従来のアーク溶接制御における溶接電流波形を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図1から図3を用いて説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態について、図1から図3を用いて説明する。図1は、アーク溶接装置の概略構成を示す図である。図2は、基本的となる溶接電流と溶接電圧のパルス波形を示す図である。なお、図2は、第1のベース電流期間T4で短絡が発生していない場合のパルス波形を示す図である。図3は、溶接電流と溶接電圧のパルス波形を示す図である。なお、図3は、図2に示す短絡が発生していない基本的なパルス波形に対し、第1のベース電流期間T4で短絡が発生した場合のパルス波形を示す図である。図3(a)は、短絡電流が第2のベース電流IB2に達する前に短絡が開放した場合の波形を示す図である。図3(b)は、短絡電流が第2のベース電流IB2を超えてから短絡が開放した場合の波形を示す図である。
図1において、アーク溶接装置は、溶接電源装置19や、ロボット22や、ロボット22の動作を制御するロボット制御装置20や、ワイヤ送給部25等を備えている。
溶接電源装置19は、電源装置1から入力した電力を整流する1次側整流部2と、1次側整流部2の出力を制御することで溶接出力を制御するスイッチング部3と、スイッチング部3からの電力を絶縁して変換するトランス4と、トランス4の2次側出力を整流する2次側整流部5と、2次側整流部5に直列に接続されたリアクタ6(DCLともいう)と、スイッチング部3を駆動する駆動部7と、溶接電圧を検出する溶接電圧検出部8と、溶接電流を検出する溶接電流検出部9と、溶接電圧検出部8の出力および/または溶接電流検出部9の出力に基づいて溶接状態が短絡状態であるのかアーク状態であるのかを判定する短絡アーク判定部10と、アーク期間中に駆動部7を制御するアーク制御部11と、短絡期間中に駆動部7を制御する短絡制御部15と、溶接条件に応じたワイヤ送給速度を制御するワイヤ送給速度制御部18と、短絡期間用およびアーク期間用の波形パラメータを設定するパルス波形パラメータ設定部17と、出力端子30aおよび出力端子30bを備えている。
アーク制御部11は、アーク期間中にパルス出力を行うピーク電流制御部12と、第1のベース電流制御部13と、第2のベース電流制御部14を備えている。短絡制御部15は、短絡電流制御部16を備えている。
パルス波形パラメータ設定部17は、ワイヤ送給速度と波形パラメータとを対応付けたテーブルあるいは数式を有しており、ワイヤ送給速度制御部18が出力したワイヤ送給速度に基づいて波形パラメータを決定して出力する。なお、波形パラメータは、後述するような、ピーク電流へのパルス立上り期間や、ピーク電流からのパルス立下り期間や、ピーク電流値や、第1のベース電流値や、第2のベース電流値や、第1のベース電流値から第2のベース電流に増加する移行期間や、短絡電流の増加傾き等である。なお、各パラメータは、例えば実験等により予め決定しておく。
溶接電源装置19において、アーク制御部11は、短絡アーク判定部10からアーク状態であることを示す信号を受けると、パルス波形パラメータ設定部17の出力に基づいて、溶接電流を制御する。具体的には、アーク制御部11内にあるピーク電流制御部12と第1のベース電流制御部13と第2のベース電流制御部14が、溶接電流を制御する。ピーク電流制御部12は、パルス立上り期間T1の時間をかけて第2のベース電流IB2からピーク電流IPまで溶接電流を増加し、さらに、ピーク電流期間T2の時間をかけてピーク電流IPが継続するように溶接電流を制御する。その後、第1のベース電流制御部13は、パルス立下り期間T3の時間をかけてピーク電流IPから第1のベース電流IB1まで溶接電流を減少し、さらに、第1のベース電流期間T4の時間をかけて第1のベース電流IB1が継続するように溶接電流を制御する。その後、第2のベース電流制御部14は、第1/第2ベース電流移行期間T5の時間をかけて第1のベース電流IB1から第2のベース電流IB2まで溶接電流を増加し、さらに、第2のベース電流期間T6の時間をかけて第2のベース電流IB2が継続するように溶接電流を制御する。その後は、再度、ピーク電流制御部12による溶接電流の制御が行われる。このように、パルス立上り期間T1の開始から第2のベース電流期間T6の終了までをパルス1周期とし、パルス波形が繰り返される。
ここで、パルス立下り期間T3の時間をかけてピーク電流IPから第1のベース電流IB1まで溶接電流を低減し、第1のベース電流期間T4の時間をかけて第1のベース電流IB1を継続している際に短絡が発生した場合について説明する。短絡が発生すると、短絡電流制御部16は、短絡期間TSの間、パルス電流波形の立上りの傾きよりも小なる傾きの溶接電流である短絡電流IS1を出力する。なお、短絡開放電流が第2のベース電流IB2未満の場合は、第1/第2ベース電流移行期間T5の時間をかけて、第1のベース電流IB1から第2のベース電流IB2に増加する傾きに沿うところまで短絡開放時の溶接電流を維持する。一方、短絡開放電流が第2のベース電流IB2以上の場合は、直ちに第2のベース電流IB2になるように溶接電流を制御する。
ロボット22の動作を制御するロボット制御装置20は、溶接条件を記憶するための溶接条件設定部21を備えている。この溶接条件は、例えば図示しないティーチングペンダト等により設定された設定溶接電流等である。ロボット制御装置20は、溶接電源装置19と通信可能に接続されており、溶接条件設定部21に記憶されている情報の溶接電源装置19への送信等を行う。なお、ロボット22には、アーク溶接用のトーチ29が取り付けられている。
溶接電源装置19に設けられたワイヤ送給速度制御部18は、ロボット制御装置20内に設けられた溶接条件設定部21に記憶されている設定溶接電流に基づいて、設定溶接電流に対応したワイヤ送給速度WFを決定し、このワイヤ送給速度WFを出力する。パルス波形パラメータ設定部17は、ワイヤ送給速度制御部18の信号を受けて、アーク制御部11内にあるピーク電流制御部12と第1のベース電流制御部13と第2のベース電流制御部14に、受信したワイヤ送給速度WFに応じたピーク電流IPと第1のベース電流IB1と第2のベース電流IB2を出力する。また、送給ローラを備えたワイヤ送給部25は、ワイヤ送給速度制御部18からの信号に基づいて、溶接ワイヤ24の送給を行う。
溶接電源装置19と接続されたロボット制御装置20の内部にある溶接条件設定部21は、溶接電流や溶接電圧等の設定や記憶等を行うものである。
なお、溶接電源装置19に設けられた2つの出力端子30aと出力端子30bのうち、一方の出力端子30aは、トーチ29内にある溶接ワイヤ24を保持するチップ26に電気的に接続されており、チップ26を介して溶接ワイヤ24に電力が供給される。また、他方の出力端子30bは、被溶接物28に電気的に接続されており、被溶接物28に電力が供給される。そして、溶接ワイヤ24の先端部と被溶接物28との間でアーク27が発生する。ワイヤ送給部25は、溶接ワイヤ24を保存する溶接ワイヤ保存部23からチップ26に向けて、溶接ワイヤ24を送給する。
以上のように構成された消耗電極式のアーク溶接装置の動作について、図2と図3を用いて説明する。図2は、ベース電流期間で短絡が発生していない場合の溶接電流と溶接電圧の基本となるパルス波形を示す図である。図3は、図2に示す短絡が発生していない基本的なパルス波形に対し、ベース電流期間で短絡が発生した場合のパルス波形を示す図である。図3(a)は、短絡開放時の溶接電流が第2のベース電流IB2未満の場合のパルス波形である。図3(b)は、短絡開放時の溶接電流が第2のベース電流IB2以上の場合のパルス波形である。
なお、本実施の形態のアーク溶接装置は、溶接速度を高める場合に溶接作業者が設定電圧を下げる方向に調整した場合であっても、溶接環境や外乱等によりくびれ現象を誤検知してしまうくびれ現象を検知する制御を用いることなく、スパッタの発生を抑制する。具体的には、設定電流に応じた通常のベース電流である第2のベース電流IB2よりも低い第1のベース電流IB2を出力する第1のベース電流期間T4において、溶接ワイヤ24と被溶接物28とを短絡させる。また、この第1のベース電流期間T4において短絡を開放させる。これにより、短絡開放時の溶接電流を低く抑えることができ、スパッタの発生を抑制することができる。
先ず、図2を用いて、アーク制御部11と短絡制御部15による1パルス/1短絡移行の制御について説明する。なお、1パルス/1短絡移行とは、1周期のパルス状の溶接電流の印加により、1周期の間に短絡が1回生じることを意味している。
図2において、時点P1は、アーク制御部11によりパルス電流波形における第2のベース電流IB2からピーク電流IPへの溶接電流の増加の開始であるパルス立上りを開始した時点である。時点P2は、溶接電流がピーク電流IPに達した時点であり、ピーク電流IPの継続を開始する時点でもある。この時点P1から時点P2までの期間を、パルス電流立上り期間T1とする。時点P3は、ピーク電流IPの継続が終了した時点であり、ピーク電流IPから第1のベース電流IB1への溶接電流の減少の開始であるパルス立下りを開始した時点でもある。時点P2から時点P3までの期間は、パルス電流波形のピーク電流期間T2であり、溶接ワイヤ24の先端部分に溶滴を形成する期間である。時点P4は、パルス立下りが終了した時点であり、第1ベース電流IB1の継続を開始する時点でもある。時点P3から時点P4は、パルス立下り期間T3であり、ピーク電流期間T2で形成された溶接ワイヤ24の先端部分に形成された溶滴をドロップさせる直前の期間である。
時点P5は、第1ベース電流IB1の継続が終了した時点である。時点P4から時点P5までの期間は、通常のベース電流である第2ベース電流IB2よりも低い第1のベース電流IB1に溶接電流を制御する第1ベース電流期間T4である。第1ベース電流期間T4は、溶滴を短絡させるための短絡を誘発させる期間である。時点P6は、第1のベース電流IB1から第2のベース電流IB2へ切り替わる時点である。時点P5から時点P6までの期間は、第1のベース電流IB1から第2のベース電流IB2へと移行する第1/第2ベース電流移行期間T5である。時点P7は、第2のベース電流IB2の継続を終了する時点であり、次のパルス立上りの開始の時点でもある。時点P6から時点P7までの期間は、第2のベース電流期間T6である。時点P1からP7までをパルス1周期とし、これを繰り返し出力すること基本としている。
なお、時点P4から時点P5までの第1ベース電流期間T4は、短絡を誘発させる期間である。しかし、短絡の発生は、短絡状態および短絡開放状態となる溶接現象に応じて変化するものである。
図2は、短絡が発生し易いようにしたパルス波形を示したものである。しかし、図2は、短絡が発生していない基本的なパルス波形の状態を示したものである。図2に示すパルス波形を基本とし、短絡が発生した場合の波形について、図3を用いて説明する。
なお、図3に関し、時点P1から時点P4までは、図2と同様の内容である。図3(a)において、時点P4から時点P5までは、通常のベース電流である第2のベース電流IB2よりも低い第1のベース電流IB1を出力する第1のベース電流期間T4であり、溶滴がディップ移行して短絡した場合の波形である。時点P11は、短絡が発生した時点である。時点P12は、短絡が開放した時点である。時点P11から時点P12までの期間は、短絡期間TSである。短絡期間TSでは、パルス電流波形の立上りの傾きよりも小なる傾きの溶接電流である短絡電流IS1を出力して溶接電流を増加する。なお、図3(a)は、第2のベース電流IB2に到達する前に短絡が開放した場合の波形である。そして、短絡が開放した時点P12から時点P13までは、再短絡を防ぐため、短絡開放時の溶接電流を維持するように制御する。なお、時点P13は、図2に示す第1/第2ベース電流移行期間T5における第1のベース電流IB1から第2のベース電流IB2に移行する電流傾きと、図3に示す短絡開放時の大きさを維持している溶接電流とが交わる時点である。なお、図2に示す第1/第2ベース電流移行期間T5における第1のベース電流IB1から第2のベース電流IB2に移行する電流傾きを、図3(a)において、点線で示している。
図3(b)において、時点P4から時点P5までは、通常のベース電流である第2のベース電流IB2よりも低い第1のベース電流IB1を出力する第1のベース電流期間T4であり、溶滴がディップ移行して短絡した場合の波形である。時点P11は、短絡が発生した時点である。時点P14は、短絡が開放した時点である。時点P11からP14までの期間は、短絡期間TSである。短絡期間TSでは、パルス電流波形の立上りの傾きよりも小なる傾きの溶接電流である短絡電流IS1を出力して溶接電流を増加する。なお、図3(b)は、第2のベース電流IB2よりも高い溶接電流で短絡が開放した場合の波形である。なお、再短絡してもスパッタが増えないように、短絡が開放した時点P14において、溶接電流を速やかに第2のベース電流IB2へと制御する。そして、時点P14から時点P7までは、第2のベース電流IB2を維持する。
なお、ピーク電流IPや第1のベース電流IB1や第2のベース電流期間T6などのパラメータは、パルス波形パラメータ設定部17に予め設定された値を用いる。この設定値は、実際に溶接を行い、溶接ワイヤ24に適したパラメータを抽出したものをパルス波形パラメータ設定部17に記憶している。
以上のように、本実施の形態のパルス波形制御では、1パルス/1短絡移行による溶滴移行のタイミングは、第1のベース電流期間T4における短絡発生時である時点P11である。溶接ワイヤ24の先端の溶滴が形成される期間は、図3(a)では時点P12から時点P11までの期間であり、図3(b)では時点P14から時点P11までの期間である。
次に、第1のベース電流IB1の効果について説明する。
通常のパルス波形制御では、パルス波形のピーク電流期間で溶接ワイヤ24の先端に溶滴を形成する。そして、ピーク電流からベース電流へ移行する立下り期間やベース電流期間において、溶滴をドロップさせる、あるいは、溶滴を溶融池と接触させて短絡移行させる。そして、このような1パルス/1溶滴移行を実現できるように、ピーク電流やベース電流を決定している。
本実施の形態では、通常使用されるベース電流(ここでは第2のベース電流IB2)よりも低い第1のベース電流IB1を設定しており、これにより、短絡開放時の溶接電流を低くすることを狙っている。なお、通常使用されるベース電流(ここでは第2のベース電流IB2)の目安値としては、100A以上とすることが有効である。その理由は、100A以下では、第2のベース電流IB2よりも低い第1のベース電流IB1を設ける効果が少ないためである。
第1のベース電流IB1の目安値としては、溶接ワイヤ24の成分にもよるが、通常使用されるベース電流(ここでは第2のベース電流IB2)よりも20A〜100A低い値とする。これにより、第1のベース電流IB1を通電する第1のベース電流期間T4における短絡の発生を促進する。合わせて、短絡発生時の溶接電流を低くすることから、短絡開放時の溶接電流も低くすることができる。その理由は次の通りである。例えば、通常使用されるベース電流が120Aであり、この120Aの時に短絡が発生し、180Aの時に短絡が開放した場合、短絡の発生から開放までの溶接電流の上昇は60Aである。そして、本実施の形態のように第1のベース電流IB1を設け、第1のベース電流IB1を80Aとし、この80Aの時に短絡が発生した場合、短絡が開放するのは溶接電流が60A上昇したときなので140Aとなる。ここで、短絡開放時の溶接電流を比較すると、通常の場合が180Aであり、本実施の形態の場合は140Aであり、本実施の形態の方が40A低い。従って、本実施の形態の方が、短絡開放時のスパッタの発生を抑制することができる。
ちなみに、通常使用されるベース電流(ここでは第2のベース電流IB2)よりも低い第1のベース電流IB1を設定しなくても、パルス電流波形の立上りの傾きよりも小なる傾きの溶接電流である短絡電流IS1を緩やかすることで、短絡開放時の溶接電流を低く抑える方法も考えられる。しかし、短絡時間が長くなり、短絡開放が難しい状態に陥った最悪の場合には、短絡を開放できない状態になることが十分考えられる。従って、本実施の形態の方法が望ましい。
なお、本実施の形態では、くびれ現象を検知しないことを前提で説明してきた。しかし、くびれ現象の検知を行う場合に適用しても有効である。その理由は、くびれ現象を誤検知した場合でも、短絡開放時の溶接電流を低くすることで、スパッタの発生を抑制することができるからである。そして、くびれの検知は、短絡アーク判定部10で行うようにすれば良い。
以上のように、本発明によれば、パルス溶接による高速溶接において、溶接速度を高める場合に溶接作業者が設定電圧を下げる方向に調整されたとしても、溶接環境や外乱によりくびれ現象の誤検知をしてしまうくびれ現象を検知する制御を用いなくてもスパッタを少なくすることができ、短絡が生じるパルス溶接を行うアーク溶接制御方法およびアーク溶接装置として産業上有用である。
1 電源装置
2 1次側整流部
3 スイッチング部
4 トランス
5 2次側整流部
6 リアクタ
7 駆動部
8 溶接電圧検出部
9 溶接電流検出部
10 短絡アーク判定部
11 アーク制御部
12 ピーク電流制御部
13 第1のベース電流制御部
14 第2のベース電流制御部
15 短絡制御部
16 短絡電流制御部
17 パルス波形パラメータ設定部
18 ワイヤ送給速度制御部
19 溶接電源装置
20 ロボット制御装置
21 溶接条件設定部
22 ロボット
23 溶接ワイヤ保存部
24 溶接ワイヤ
25 ワイヤ送給部
26 チップ
27 アーク
28 被溶接物
29 トーチ
30a、30b 出力端子

Claims (6)

  1. 溶接ワイヤと母材との間に1つのピーク電流と2つのベース電流交互に繰り返し供給するアーク溶接制御方法であって、
    前記ベース電流は第1のベース電流と第2のベース電流からなり、
    1つのパルスの1つの前記ピーク電流を続するように供給するピーク電流期間と、
    前記ピーク電流よりも低い前記第1のベース電流を供給する第1のベース電流期間と、
    前記ピーク電流よりも低く前記第1のベース電流よりも高い前記第2のベース電流を供給する第2のベース電流期間と、を有し、
    前記ピーク電流期間の後に前記第1のベース期間となり、前記第1のベース期間の後に前記第2のベース期間となり、前記第2のベース期間の後に、前記第2のベース電流から前記ピーク電流に増加して前記ピーク電流期間となるように溶接電流を制御し、
    前記第2のベース電流よりも低い前記第1のベース電流を供給する前記第1のベース電流期間において前記溶接ワイヤと前記母材との短絡を検出すると、前記ピーク電流の電流波形の増加傾きである立ち上がりの傾きよりも小なる傾きの前記溶接電流を出力し、
    短絡開放時の前記溶接電流が前記第2のベース電流よりも高い場合には、短絡の開放後の前記溶接電流を前記第2のベース電流に制御し、
    短絡開放時の前記溶接電流が前記第2のベース電流よりも低い場合には、短絡の開放後の前記溶接電流として、短絡開放時の前記溶接電流を所定期間維持して、短絡開放直後の前記溶接電流は前記第2のベース電流以下に制御するアーク溶接制御方法。
  2. 前記第1のベース電流期間で前記溶接ワイヤと前記母材との短絡が発生するように、前記ピーク電流と前記第2のベース電流を制御する請求項1記載のアーク溶接制御方法。
  3. 短絡開放直前のくびれ現象を検出すると、前記溶接電流を低減する請求項1記載のアーク溶接制御方法。
  4. 溶接ワイヤと母材との間に1つピーク電流と2つのベース電流交互に繰り返し供給するアーク溶接装置であって、
    前記ベース電流は第1のベース電流と第2のベース電流からなり、
    溶接電流を制御するスイッチング部と、
    前記スイッチング部を制御する駆動部を備え、
    前記駆動部は、1つのパルスの1つの前記ピーク電流を続するように供給し、その後、前記ピーク電流よりも低い前記第1のベース電流を供給し、その後、前記ピーク電流よりも低く前記第1のベース電流よりも高い前記第2のベース電流を供給するように、前記スイッチング部を制御し、
    溶接電圧を検出する溶接電圧検出部と、前記溶接電圧検出部の出力に基づいて前記溶接ワイヤと前記母材とが短絡状態であるかアーク状態であるのかを判定する判定部を備え、
    前記判定部が、前記第2のベース電流よりも低い前記第1のベース電流を供給する第1のベース電流期間において前記溶接ワイヤと前記母材との短絡を検出すると、前記駆動部は、前記ピーク電流の電流波形の増加傾きである立ち上がりの傾きよりも小なる傾きの前記溶接電流を出力するように前記スイッチング部を制御し、
    前記溶接電流を検出する溶接電流検出部を備え、
    前記判定部が短絡の開放を判定した時の前記溶接電流が前記第2のベース電流よりも高い場合には、前記駆動部は、短絡の開放後の前記溶接電流が前記第2のベース電流になるように前記スイッチング部を制御し、
    前記判定部が短絡の開放を判定した時の前記溶接電流が前記第2のベース電流よりも低い場合には、前記駆動部は、短絡の開放後の前記溶接電流として、短絡開放時の前記溶接電流を所定期間維持するように前記スイッチング部を制御して、短絡開放直後の前記溶接電流は前記第2のベース電流以下に制御するアーク溶接装置。
  5. 前記駆動部は、前記第1のベース電流期間で前記溶接ワイヤと前記母材との短絡が発生するように、前記ピーク電流と前記第2のベース電流を制御する請求項4記載のアーク溶接装置。
  6. 前記判定部が短絡開放直前のくびれ現象を検出すると、前記駆動部は、前記溶接電流を低減するように前記スイッチング部を制御する請求項4記載のアーク溶接装置。
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