JP6387234B2 - リニアモータ - Google Patents

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本発明は、リニアモータに関する。
特許文献1には、筒状のヨークの内周面に配設したコイルの周囲に生じる移動磁界を利用して、ロッド外周面に配設した永久磁石を吸引することで、ヨークとロッドを軸方向に相対変位させるリニアモータが開示されている。
特開2009−254025号公報
このようなリニアモータは、自動車や航空機等における駆動アクチュエーションシステムや制振アクチュエーションシステムの駆動源として利用される。自動車や航空機等に利用されるリニアモータは、高負荷時にもスムーズな制御が可能となるようにできる限り高い軸方向推力を発生すると共に、軽量化されたものが望まれている。
しかしながら、特許文献1に記載のリニアモータでは、コイルを挿入するためにヨークが軸方向に分割して形成されており、分割されたヨークを支持するためにヨークの外周に固定子ケースをかぶせる必要があった。そのため、固定子ケースの分だけリニアモータ全体の重量が重くなっていた。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、リニアモータの軽量化を実現することを目的とする。
本発明は、筒状のヨークと、前記ヨークを軸方向に挿通するロッドとを備え、前記ヨークと前記ロッドを軸方向に相対変位させるように構成されたリニアモータであって、前記ヨークの内周面から径方向に突出し、軸方向に並設される複数のティースと、隣接する前記ティースの間に形成されるスロットと、各スロット内に配設されるコイルと、前記ロッドに軸方向に並んで保持される複数の永久磁石と、を備え、前記ヨークは、軸方向に連結する複数のヨーク構成体からなり、前記ヨーク構成体は、1つの前記ティースを有する筒状の本体部と、前記本体部の軸方向の一端に設けられる第1係合部と、前記本体部の軸方向の他端に設けられ、隣接する前記ヨーク構成体の前記第1係合部と係合する第2係合部と、を備え、隣接する前記ヨーク構成体の一方における前記第1係合部と他方における前記第2係合部との係合により、隣接する前記ヨーク構成体同士が連結されることを特徴とする。
本発明では、ヨークは複数のヨーク構成体からなり、ヨーク構成体は本体部の軸方向の一端に設けられる第1係合部と、本体部の軸方向の他端に設けられ第1係合部と係合する第2係合部と、を備える。このため、隣接するヨーク構成体の一方の第1係合部と他方の第2係合部が係合することにより、ヨーク構成体同士を連結することができ、ヨークを支持するため他の部材を用いることなくヨークを形成することができる。このように、ヨークの支持に他の部材を必要としないため、リニアモータを軽量化することができる。
本発明の実施形態によるリニアモータを含むアクチュエーションシステムの概略構成図である。 本実施形態によるリニアモータの一部を示す断面図である。 本実施形態によるリニアモータが備えるヨークの一部拡大図である。 図3のA―A線に沿うヨークの径方向断面図である。 本実施形態によるリニアモータの等価電気回路を示す図である。 本実施形態の変形例によるリニアモータが備えるヨークの一部拡大図である。
図1を参照して、本発明の実施形態によるリニアモータ100を備えるアクチュエーションシステム1について説明する。
アクチュエーションシステム1は、筒状のヨーク10及びロッド20を有するリニアモータ100と、リニアモータ100を載置するための載置部2と、載置部2に立設されロッド20の両端を支持する支持部3と、載置部2上に配置されるレール4と、ヨーク10が固定されるとともにレール4に沿って移動するキャリア5と、を備えている。リニアモータ100が駆動されると、ヨーク10がキャリア5とともにレール4に沿って移動する。アクチュエーションシステム1では、ヨーク10に部品等の駆動対象を設置することで、当該駆動対象を直線的に移動させることができる。
なお、アクチュエーションシステム1は、駆動対象を駆動する駆動アクチュエーションシステムとして構成されているが、このような構成に限られるものではない。リニアモータ100のヨーク10を相対変位する2つの部材の一方の部材に取り付け、リニアモータ100のロッド20を他方の部材に取り付けることで、これら部材の相対変位を抑制する制振用のアクチュエーションシステム1としてもよい。
次に、図2及び図3を参照して、アクチュエーションシステム1の駆動源であるリニアモータ100の全体構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態におけるリニアモータ100は、8極12スロット型の直動リニアモータである。
リニアモータ100は、筒状のヨーク10と、ヨーク10の内部をヨーク軸方向に挿通するロッド20と、ヨーク10に設けられる複数のコイル30と、ロッド20に保持される複数の永久磁石21と、を備える。リニアモータ100では、交流電流をコイル30に通電した時に当該コイル30の周囲に生じる移動磁界を利用して、ロッド20に保持された永久磁石21を吸引することで、ヨーク10とロッド20とを軸方向に相対変位させる推力が発生する。
ヨーク10は、軟鉄等の磁性体によって形成される複数(例えば13個)のヨーク構成体11が軸方向に連結して形成される。
図3に示すように、両端以外に配置されるヨーク構成体11(以下、必要に応じて通常のヨーク構成体11と称する。)は、筒状の本体部12と、本体部12の内周面から径方向に突出する1つのティース13と、本体部12の一端に設けられる第1係合部としての第1ねじ部12Aと、本体部12の他端に設けられる第2係合部としての第2ねじ部12Bと、を備える。
ティース13は、ヨーク構成体11の本体部12の内周面から立設すると共に内周方向に延設される立設部13Aと、立設部13Aの先端に設けられる先端部13Bと、を備える。ティース13の先端部13Bの端面は、ロッド20の外周面に対向するように構成されている。先端部13Bの幅(ヨーク軸方向の厚さ)は、立設部13Aの幅(ヨーク軸方向の厚さ)よりも大きく設定されている。また、先端部13Bの幅は、ヨーク中心に向かって徐々に大きくなるように形成されている。
第1ねじ部12Aは、図3において本体部12の左端から軸方向に突出する円筒状に形成されており、第1ねじ部12Aの外周面には雄ねじが形成されている。また、第2ねじ部12Bは、図3において本体部12の右端から軸方向に突出する円筒状に形成されており、第2ねじ部12Bの内周面には雌ねじが形成されている。隣接するヨーク構成体11の一方における第1ねじ部12Aが、他方における第2ねじ部12Bに螺合することにより、隣接するヨーク構成体11同士が連結する。
図2に示すように、両端に配置されるヨーク構成体11は、筒状の本体部12と、本体部12の内周から径方向に突出するティース13を備えている。また、両端のヨーク構成体11のティース13の立設部13A及び先端部13Bの幅は、通常のヨーク構成体11の立設部13A及び先端部13Bの幅の半分に設定されている。さらに、両端のヨーク構成体11の本体部12の幅は、通常のヨーク構成体11の本体部12の幅の半分に設定されている。
左端に配置されるヨーク構成体11は、本体部12の右端に第2ねじ部12Bを備えている。その一方で左端に配置されるヨーク構成体11は、本体部12の左端に第1ねじ部12Aを備えておらず、ヨーク軸に垂直な平端面を有している。
右端に配置されるヨーク構成体11は、本体部12の左端に第1ねじ部12Aを備えている。その一方で右端に配置されるヨーク構成体11は、本体部12の右端に第2ねじ部12Bを備えておらず、ヨーク軸に垂直な平端面を有している。
左端のヨーク構成体11は、ヨーク軸方向に複数連結した通常のヨーク構成体11のうち、最も左側に配置されたヨーク構成体11の第1ねじ部12Aと螺合し、右端のヨーク構成体11は、最も右側に配置されたヨーク構成体11の第2ねじ部12Bと螺合する。
このように、両端に配置されるヨーク構成体11は、通常のヨーク構成体11を軸方向に半分に分割した構成となっており、それぞれヨーク10の両端を形成している。なお、両端のヨーク構成体11の形状は、通常のヨーク構成体11と連結可能であれば、リニアモータ100の取り付け方法等に応じて、通常のヨーク構成体11の形状やその他の形状であってもよい。
このように、第1ねじ部12Aと第2ねじ部12Bとが螺合して複数のヨーク構成体11を軸方向に連結することで、ヨーク10を形成する。したがって、ヨーク10の支持のために固定子ケースといった他の部材を必要とすることがない。なお、ヨーク構成体11の本体部12の外径は全て同一に形成されているため、ヨーク10の外周面には段差が形成されず、ヨーク10の外周面は滑らかな円筒面となる。
隣接する各ヨーク構成体11のティース13の間の空間が、コイル30を配置するためのスロット14となる。図2に示すように、本実施形態では、併せて13個のティース13を備えるため、12個のスロット14が形成され、これら各スロット14にコイル30が1つずつ配置される。
コイル30はスロット数に対応して12個設けられており、12個のコイル30は4個のU相コイル31と、4個のV相コイル32と、4個のW相コイル33とから構成されている。
各相コイル31〜33は、絶縁被覆された巻線30Aがロッド20の軸周りに巻き回されてリング状に形成されている。また、各相コイル31〜33は、左端側のスロット14から右端側のスロット14に、W相コイル33、U相コイル31、V相コイル32の順番で一相ずつ交互に配設されている。
ヨーク10と同軸に配置されるロッド20は、非磁性体(例えばステンレス鋼)によって形成された筒状部材である。ロッド20は、軸方向に貫通する貫通孔20Aを有している。図1に示すように、ロッド20の両端は、載置部2に設けられた支持部3に固定されている。
ロッド20の貫通孔20Aには、複数の永久磁石21が軸方向に並んで保持される。永久磁石21は、円柱状に形成されており、軸方向にN極とS極が現れるように着磁されている。これら永久磁石21は等間隔に設けられており、隣り合う永久磁石21は同極同士が対向するように配置されている。また、隣り合う永久磁石21の間には、磁性体により形成された円柱状継鉄22が設けられている。
なお、円柱状継鉄22は必ずしも設ける必要はなく、各永久磁石21を直接隣接させてもよい。この場合には、ヨーク10内に位置する8個分の永久磁石の軸方向長さが、ヨーク10の軸方向長さと等しくなる。
図5に示すように、リニアモータ100では、4個のU相コイル31は直列に接続されており、4個のV相コイル32及び4個のW相コイル33も同相コイル同士が直列に接続されている。
また、図4に示すように、ヨーク構成体11のティース13には、当該ティース13を軸方向に貫通する貫通孔15が各相に対応して周方向に3つ設けられている。各相コイル31〜33の巻線30Aは、相ごとに各貫通孔15を通って直列的に接続される。このように、ティース13に貫通孔15が設けられているため、コイル同士の接続作業において巻線30Aをヨーク10の外周に引き出す必要がなく、コイル同士の接続作業が容易なものとなる。なお、図2においては、貫通孔15の記載は省略している。
図5に示すように、一番目に配置されたU相コイル31、V相コイル32、及びW相コイル33の端部はY結線されており、四番目に配置されるU相コイル31、V相コイル32、及びW相コイル33の端部はドライバ40に接続されている。
ドライバ40は、各相コイル31〜33への交流電流の供給を制御する制御装置として構成されている。ドライバ40は、図示しない位置センサにより検出されるヨーク10とロッド20との相対位置情報に基づいて、交流電流の周波数や通電タイミング等を制御する。これにより、リニアモータ100における推力や推力発生方向が調整され、その推力によってヨーク10がキャリア5とともにレール4に沿って移動する。
上記した本実施形態によるリニアモータ100によれば、以下の効果を得ることができる。
リニアモータ100では、ヨーク10は複数のヨーク構成体11からなり、ヨーク構成体11は本体部12の軸方向の一端に設けられる第1係合部としての第1ねじ部12Aと、本体部12の軸方向の他端に設けられる第2係合部としての第2ねじ部12Bと、を備える。このため、隣接するヨーク構成体11の一方の第1ねじ部12Aと他方の第2ねじ部12Bが螺合することにより、ヨーク構成体11同士を連結することができ、ヨーク10を支持するための他の部材を用いることなくヨーク10を形成することができる。このように、分割されたヨーク10の支持に他の部材を必要としないため、リニアモータ100を軽量化することができる。
さらに、リニアモータ100では、同相のコイル31〜33同士を接続するための巻線30Aが通る貫通孔15がティース13に3つ設けられている。このため、コイル30の接続作業が容易になると共に、各相コイル31〜33を接続する巻線30Aと他の相の巻線30Aとを混同することがなくなり、接続作業を効率よく行うことができる。
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなし得ることは明白である。
上記実施形態では、リニアモータ100は、ヨーク10内の永久磁石21が8個であり、スロットが12個である8極12スロット型としたが、この構成に限られるものではない。リニアモータ100は、その他の極数やスロット数を持つリニアモータとしてもよい。
さらに、上記実施形態では、第1係合部は雄ねじが形成される第1ねじ部12Aであり、第2係合部は雌ねじが形成される第2ねじ部12Bであるとした。ヨーク構成体11が軸方向に連結可能であれば、第1及び第2係合部はどのように構成されてもよい。この場合において、ヨーク10の組み立てやリニアモータ100の取り付けを考慮すると、第1及び第2係合部は、ヨーク構成体11の本体部12の外周面や内周面ではなく、両端から軸方向に形成されることが好ましい。
例えば、図6に示すように、第1係合部は、ヨーク構成体11の本体部の一端から軸方向に突出する第1凸部16Aとし、第2係合部は、他端から軸方向に突出する第2凸部16Bとしてもよい。この場合は、第1及び第2凸部16A,16Bは、ヨーク構成体11の本体部12と同心の円筒状に形成されればよい。そして、第1凸部16Aの外周面を、隣接するヨーク構成体11の第2凸部16Bの内周面と圧入などの方法により嵌合するように構成して、複数のヨーク構成体11同士を軸方向に連結可能にすればよい。なお、第1凸部16Aの外周面が多角状に形成され、これに対応して第2凸部16Bの内周面が第1凸部16Aと嵌合するように多角状に形成されるとしてもよい。
さらに、第1係合部は本体部12の端面から突出するピン等の突起として形成され、第2係合部は本体部12の端面に嵌合孔や嵌合溝といった凹部として形成され、突起である第1係合部が凹部である第2係合部と嵌合するとしてもよい。
さらに、上記実施形態では、各ヨーク構成体11のティース13には、軸方向に貫通する貫通孔15が周方向に3つ設けられるとした。各相コイル31〜33同士の接続のための巻線30Aを通すことができれば、貫通孔15はどのように構成してもよい。例えば、軸方向に貫通すると共に、周方向に延設される長穴が設けられるとしてもよいし、複数の巻線30Aを通すことができる1つ以上の孔が設けられるとしてもよい。
100 リニアモータ
10 ヨーク
11 ヨーク構成体
12 本体部
12A 第1ねじ部(第1係合部)
12B 第2ねじ部(第2係合部)
13 ティース
14 スロット
15 貫通孔
16A 第1凸部(第1係合部)
16B 第2凸部(第2係合部)
20 ロッド
21 永久磁石
30 コイル
31 U相コイル
32 V相コイル
33 W相コイル
40 ドライバ

Claims (5)

  1. 筒状のヨークと、前記ヨークを軸方向に挿通するロッドとを備え、前記ヨークと前記ロッドを軸方向に相対変位させるように構成されたリニアモータであって、
    前記ヨークの内周面から径方向に突出し、軸方向に並設される複数のティースと、
    隣接する前記ティースの間に形成されるスロットと、
    各スロット内に配設されるコイルと、
    前記ロッドに軸方向に並んで保持される複数の永久磁石と、を備え、
    前記ヨークは、軸方向に連結する複数のヨーク構成体からなり、
    前記ヨーク構成体は、
    1つの前記ティースを有する筒状の本体部と、
    前記本体部の軸方向の一端に設けられる第1係合部と、
    前記本体部の軸方向の他端に設けられ、隣接する前記ヨーク構成体の前記第1係合部と係合する第2係合部と、を備え、
    隣接する前記ヨーク構成体の一方における前記第1係合部と他方における前記第2係合部との係合により、隣接する前記ヨーク構成体同士が連結される
    ことを特徴とするリニアモータ。
  2. 前記第1係合部は、前記本体部の一端から軸方向に突出して設けられ、その外周面に雄ねじが形成される第1ねじ部であり、
    前記第2係合部は、前記本体部の他端から軸方向に突出して設けられ、その内周面に雌ねじが形成される第2ねじ部であり、
    前記第1ねじ部が、隣接する前記ヨーク構成体の前記第2ねじ部と螺合することを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
  3. 前記第1係合部は、前記本体部の一端から軸方向に突出して形成される第1凸部であり、
    前記第2係合部は、前記本体部の他端から軸方向に突出して形成される第2凸部であり、
    前記第1凸部の外周面が、隣接する前記ヨーク構成体の前記第2凸部の内周面と嵌合することを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
  4. 前記ティースは、前記コイルを形成する巻線を通過させるように軸方向に貫通する貫通孔を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のリニアモータ。
  5. 前記貫通孔は、周方向に3つ設けられることを特徴とする請求項4に記載のリニアモータ。
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