JP6387114B2 - 内燃機関用ピストンと、このピストンの製造方法及び製造装置 - Google Patents

内燃機関用ピストンと、このピストンの製造方法及び製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6387114B2
JP6387114B2 JP2016565978A JP2016565978A JP6387114B2 JP 6387114 B2 JP6387114 B2 JP 6387114B2 JP 2016565978 A JP2016565978 A JP 2016565978A JP 2016565978 A JP2016565978 A JP 2016565978A JP 6387114 B2 JP6387114 B2 JP 6387114B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston
internal combustion
combustion engine
powder
porous member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016565978A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2016103856A1 (ja
Inventor
正登 佐々木
正登 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Astemo Ltd
Original Assignee
Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Automotive Systems Ltd filed Critical Hitachi Automotive Systems Ltd
Publication of JPWO2016103856A1 publication Critical patent/JPWO2016103856A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6387114B2 publication Critical patent/JP6387114B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F3/00Pistons 
    • F02F3/0084Pistons  the pistons being constructed from specific materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B19/00Other methods of shaping glass
    • C03B19/06Other methods of shaping glass by sintering, e.g. by cold isostatic pressing of powders and subsequent sintering, by hot pressing of powders, by sintering slurries or dispersions not undergoing a liquid phase reaction
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22CFOUNDRY MOULDING
    • B22C9/00Moulds or cores; Moulding processes
    • B22C9/10Cores; Manufacture or installation of cores
    • B22C9/108Installation of cores
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C11/00Multi-cellular glass ; Porous or hollow glass or glass particles
    • C03C11/007Foam glass, e.g. obtained by incorporating a blowing agent and heating
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C14/00Glass compositions containing a non-glass component, e.g. compositions containing fibres, filaments, whiskers, platelets, or the like, dispersed in a glass matrix
    • C03C14/004Glass compositions containing a non-glass component, e.g. compositions containing fibres, filaments, whiskers, platelets, or the like, dispersed in a glass matrix the non-glass component being in the form of particles or flakes
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F3/00Pistons 
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F3/00Pistons 
    • F02F3/10Pistons  having surface coverings
    • F02F3/12Pistons  having surface coverings on piston heads
    • F02F3/14Pistons  having surface coverings on piston heads within combustion chambers
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F3/00Pistons 
    • F02F3/26Pistons  having combustion chamber in piston head
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2214/00Nature of the non-vitreous component
    • C03C2214/08Metals
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F2200/00Manufacturing

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Geochemistry & Mineralogy (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Description

本発明は、鋳造によって形成される内燃機関用ピストンと、このピストンの製造方法及び製造装置に関する。
周知のように、火花点火式のガソリン内燃機関にあっては、リーンバーンによる燃費の向上や均質燃焼による出力の向上などを狙ったいわゆる直噴型(GDI)内燃機関が提供されている。
これは特に、燃焼室を構成するアルミニウム合金製のピストンの冠面に、部分的に断熱材を設けることによって、噴射燃料の霧化促進効果があることが解っているが、アルミニウム合金母材に断熱材を強固に結合することが困難である。
そこで、本出願人が先に出願した以下の特許文献1に記載されたもののように、ピストンの冠面の所定位置に、アルミニウム合金母材よりも熱伝導率の低い低熱伝導率部が設けられており、この低熱伝導率部は、アルミニウム合金母材よりも熱伝導率の低いガラス材からなる多孔質部材にピストン母材のアルミニウム合金材を含浸させる構造になっている。この構造によって、高い断熱性とピストン母材との結合強度の両方を満足するようになっている。
特開2014−25418号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来の技術は、前記アルミニウム合金溶湯の粘性などに起因して、前記多孔質断熱材の各空孔の全体にアルミニウム合金溶湯が十分に含浸されずに、少なからず空孔が残存してしまう。
このため、内燃機関の駆動中において、残存した前記空孔内に未燃焼ガスが入り込んでそのまま排気ガスとして排出されてしまうことから排気エミッション性能が悪化してしまうおそれがある。
本発明は、低熱伝導率部による高い断熱性とピストン母材との結合強度を確保しつつ封孔処理の向上によって多孔質部材の空孔の残存を抑制させて排気エミッション性能の悪化を抑制し得る内燃機関用ピストンを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、とりわけ、低熱伝導率部は、ピストン母材よりも熱伝導率の低い多孔質部材と、該多孔質部材の空孔内に含浸された含浸剤と、を有し、該含浸剤は、機関駆動中の前記ピストンの使用環境下において前記空孔内に保持されていると共に、樹脂系材料によって形成され、
前記樹脂系材料は、ガラス転移温度が350℃以上であることを特徴としている。
本発明によれば、封孔処理の向上によって多孔質部材の空孔の残存を抑制して、排気エミッション性能の悪化を抑制することができる。
Aは本発明に係る内燃機関のピストンの縦断面図、Bは図1Aに示すA部拡大図である。 Aは本実施形態に供される多孔質部材の縦断面図、Bは図2Aに示すB部拡大図である。 本実施形態に供される多孔質部材における塩化ナトリウムの体積と体積率との関係から空孔(空隙率)と残留塩化ナトリウムを示す特性図である。 塩化ナトリウムの体積と熱伝導度との関係を示す特性図である。 本実施形態に供される鋳造金型装置を示す縦断面図である。 同鋳造金型装置によって鋳造された直後のピストン成形体を示す縦断面図である。 本実施形態に供されるワニス含浸装置を示す模式図である。 ワニス含浸装置によるワニス含浸工程の模式図であって、Aは真空状態にある真空容器内にワニスを供給している状態を示し、Bはワニスの供給が終了した状態を示し、Cはワニスが各空孔内に含浸された状態を示している。 第2実施形態に供されるワニス含浸装置の模式図を示し、Aは真空容器に負圧導入機構とワニス供給機構が接続されていない状態を示し、Bは真空容器に前記両機構が接続されている状態を示している。 第3実施形態に供されるワニス含浸装置の模式図である。
以下、本発明に係る内燃機関用ピストンと、このピストンの製造方法及び製造装置の実施形態を図面に基づいて詳述する。本実施形態に供されるピストンは、火花点火式の直噴型ガソリン機関に適用したものである。
前記ピストン1は、全体が母材としてAC8A Al−Si系のアルミニウム合金によって一体に鋳造され、図1Aに示すように、ほぼ円筒状に形成されて、冠面2aによって燃焼室を画成する冠部2と、該冠部2の下端外周縁に一体に設けられた円弧状の一対のスラスト側スカート部3及び反スラスト側スカート部3と、該各スカート部3の円周方向の両側端に連結された一対のエプロン部4、4と、を備えている。なお、このエプロン部4には、図外のピストンピンの両端部を支持するピン孔4b、4bが形成されたピンボス部4a、4aが一体に設けられている。
前記冠部2は、比較的肉厚に形成された円盤状を呈し、燃焼室を構成する冠面2aが断面ほぼ凹凸状に形成されて一部に表面積の大きな平坦状の凹部2bが形成されていると共に、該凹部2bの上面所定位置にピストン母材1’よりも熱伝導率の低い低熱伝導率部5が埋設されている。また、冠部2の外周には、3つのピストンリング溝2cが形成されている。
この低熱伝導率部5は、凹部2bでの埋設位置が図外のシリンダヘッドに設けられた燃料噴射弁であるインジェクターから燃料が直接噴射される位置であって、後述するピストン1の鋳造時に凹部2b内に一体的に埋設されるようになっていると共に、図1Bに示すように、ピストン母材1’よりも熱伝導率の低いガラス材からなる多孔質部材6の内部にピストン母材1’の一部のアルミニウム合金材1aが含浸されている。
すなわち、この低熱伝導率部5は、ピストン1とは別途に後述する製造方法によって基本的に凸円盤状に形成されて前記ガラス材からなる多孔質部材6と、該多孔質部材6の予め充填される水溶性塩が溶解した後の空孔9a内に含浸されるピストン母材1’の一部であるアルミニウム合金材1aと、前記空孔9a内に含浸される後述するワニス39とから構成されている。
〔多孔質部材の製造方法〕
以下、前記多孔質部材6の製造方法の概略を説明すると、まず、水に溶けないガラスの粉末である第1粉体8と、水溶性の粉末(塩化ナトリウム粉末)としての第2粉体9を混合し、この混合粉を型に入れて所定圧で加圧成形した後、所定の焼結温度TBによって焼結させる。なお、この焼結温度TBは、第2粉体9の焼結温度TAよりも低い。
その後、焼結された焼結体を、攪拌された水または湯に浸漬させて、焼結体内の第2粉体9を水または湯によって溶解して除去して多くの空孔9aを形成することによって、図2に示す多孔質部材6を成形する。この多孔質部材6は、熱伝導率が溶湯金属である前記ピストン母材1’の熱伝導率よりも十分に小さい。
前記第1粉体8は、前述したようにガラス粉末であって、昇温によりガラス転移現象を示す非結晶固体である珪酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩を主成分とする硬く透明な物質である。化学的にはガラス状態になる主として珪酸化合物(珪酸塩鉱物)である。ガラスを構成する酸化物としては、SiO2、Al203、B203、BaO、Bi203、Li20、MgO、P205、PbO、SnO、TiO2、ZnO、R2O(Rはアルカリ金属:Li、Na、Kの略号)、RO(Rはアルカリ土類金属;Mg、Ca、Sr、Baの略号)がある。
前記第1粉体8は、軟化する温度(軟化点)が第2粉体9の融点より低く、融点700℃以上になっている。
前記ガラス転移点は、ガラス構造が変化する温度であって、粘性約1013.3poise。前記軟化点は、ガラスが自重で軟化変形する温度であって、粘性約107.6poiseである。
一方、第2粉体9は、材料として塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カリウム、四ホウ酸ナトリウムなど水溶性の塩類であるが、この中の一つもしくは二つ以上の塩の混合塩であってもよい。
前記塩化ナトリウムと、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、四ホウ酸ナトリウムのように融点が700℃を超えかつ水溶性である塩が望ましい。本実施形態では前記塩化ナトリウムを用いている。
〔実施例〕
以下、多孔質部材6の具体的な製造方法について説明する。
まず、ホウ珪酸ガラス(旭硝子(株)製の粉末ガラス ASF1898)の第1粉体8に前記塩化ナトリウムである第2粉体9を攪拌混合する。
第1粉体8と第2粉体9の混合割合は、第1粉体8が40〜20体積%で、第2粉体9が60〜80体積%に設定した。重量比の比率割合が54:46(重量比)となる混合粉を混合した(混合工程)。
各粉末の粒径は、第1粉体8が平均粒径4.5μm、第2粉体9が75〜180μmが70%以上に設定した。
次に、前記混合粉を型に入れて加圧成形し、650℃〜750℃の温度で、20〜40分間加熱して焼成するが、本実施例では、700℃の温度で30分間加熱して焼結成形体を得た(焼成工程)。
この焼結成形体を、攪拌された55℃の湯中(液体)に浸漬して内部の第2粉体9(塩化ナトリウム)を溶解して成形体から抜き出して多くの空孔9aを有する多孔質部材6を得た(溶解工程)。なお、この溶解工程は、第2粉体9を50℃〜95℃の湯中で30分〜3時間の範囲内で行うようになっている。
この多孔質部材6は、図2Aに示すように、円盤状の基部6aと、該基部6aの上面に一体に設けられた小径円柱状の突起部6bとからなり、図2Bに示すように、第2粉体9が殆ど溶解されて消失して前記第1粉体8(ガラス)が残存する形になるので、第1粉体8の周囲には多くの空孔9aが形成された状態になる。
そして、前述した混合工程と焼成工程において、第1粉体8(ガラス粉末)と第2粉体9(塩化ナトリウム)の混合粉の成形体を加熱すると、塩化ナトリウムの粒子の周りをガラス粉末が覆うことになり、第1粉体8と第2粉体9の混合割合によって多孔質部材6の出来方が異なる。
つまり、本願の発明者が、第1粉体8と第2粉体9の混合割合を種々変えた実験をしたところ、図3及び図4に示す結果になった。
すなわち、例えば、塩化ナトリウムの粉末が80体積%以上で、ガラス粉末が20体積%以下である場合には、加熱によってガラス粉末同士が溶融接合しないため、成形体を作ることができず、水または湯で溶解したときに成形体が崩れてしまう。
また、塩化ナトリウムの粉末が60体積%より少なく、ガラス粉末が40体積%より多いと、加熱によってガラス粉末同士が容易に溶融接合して、塩化ナトリウム粉末の周りを覆ってしまう。したがって、その後の水または湯で塩化ナトリウムの粉末が溶かし出す際に、塩化ナトリウム粉末に水や湯が接触することができず、前記多孔質部材6を成形することが出来なくなる。
塩化ナトリウム粉末が60〜80体積%で、ガラス粉末が40〜20体積%のとき、オープンな空孔9a(表面から内部までつながっている空孔)が得られる。塩化ナトリウム粉末は全て溶け出すことはなく、その一部はガラス粉末に覆われてクローズな状態になっている。このクローズな状態の塩化ナトリウム粉末の量は、該塩化ナトリウム粉末(第2粉体9)とガラス粉末(第1粉体8)の混合割合で決定される。
そして、塩化ナトリウム(第2粉体9)が80体積%のとき、溶解によって残留する塩化ナトリウムはなくなり、第2粉体9の体積%が減少していくと、残留塩化ナトリウムの体積%も上昇して第2粉体9が60体積%のとき、残留する塩化ナトリウムの粉末は25体積%となる。残留した塩化ナトリウム粉末は第1粉体8のガラス粉末に囲まれており、断熱材として機能する一方、得られた多孔質部材6に、後述するピストン鋳造合金(一部のアルミニウム合金材1a)を含浸させた後、含浸部分を切削加工して仕上げるが、その加工表面に残留した塩化ナトリウムが現れる。
現れた塩化ナトリウム粉末を再び水または湯で溶解除去すると、加工表面は多孔質部材6であるガラスとピストン母材1’の鋳造合金の複合構造になって、塩化ナトリウム粉末が多くなるほど溶解量が多くなり、表面の凹凸が多くなって表面積が増大する。
そこで、本実施例では、第2粉体9の塩化ナトリウム粉末を60〜80体積%とし、第1粉体8のガラス粉末を40〜20体積%に設定したのである。
次に、前記第2粉体9の殆どが除去されて、主として第1粉体8(ガラス)によって構成された多孔質部材6を、後述する減圧鋳造用の金型10内に設置し、その後、該金型10内にアルミニウム合金溶湯を注入してピストン1を鋳造すると共に、このピストン1の鋳造中に多孔質部材6の各空孔9a内にピストン母材1’の溶湯の一部を含浸させて冠面2aの凹部2bに低熱伝導率部5を一体に埋設するようになっている(注入工程)。
前記減圧鋳造用の金型10は、前記従来技術として掲げた特開2014−25418号公報に記載されたものと同一であるから簡単に説明すると、図5に示すように、モールド型11内には、センターコア12及び該センターコア12の周囲に配置したフィリップコア13やサイドコアなどの複数の分割コアを組み合せてなる中子15を下部側に備えている。なお、金型10の内部に冷却水を循環するための冷却路を形成した図外の左右一対のリストピンが対向して水平に設けられ、このリストピンの先端部が前記サイドコアに形成した穴に係脱可能に係合されている。
さらに、前記減圧鋳造用金型10は、上部側に前記モールド型11に対して着脱可能なトップコア19が設けられており、このトップコア19は、吸引排出部20の一例としての空間部を備えた外トップコア21と、この外トップコア21に一体的に設けた内トップコア23とから構成されている。
前記外トップコア21は、上端部に前記吸引排出部20を封止するアダプター25が設けられ、このアダプター25のほぼ中央にパイプ状の第1連通管27が設けられている。この第1連通管27は、前記吸引排出部20に連通していると共に、例えば真空ポンプ(図示省略)などのような負圧発生手段に接続されている。したがって、前記負圧発生手段を作動することにより、前記吸引排出部20内を減圧し負圧にすることができる。
前記内トップコア23は、中子15及び前記モールド型11との間にキャビティ22を形成するものであると共に、多孔質材料により通気性金型(多孔質金型)によって構成されている。
前記内トップコア23の下面のキャビティ面23Aは、ピストン1の冠面2aを転写するための転写面に形成されていると共に、放電加工により仕上げ面に形成されている。したがって、アルミニウム合金の溶湯に対する耐熱性、耐摩耗性に優れていると共に、かじりを生じることがない。
また、前記内トップコア23のキャビティ面23Aにおいて、製品としてのピストン1における冠面2aの冠面燃焼室の細い部分やエッジに対応した部分23Bの肉厚は2mmよりは厚く12mm以下に形成してある。
また、内トップコア23の所定位置には、図5に示すように、該内トップコア23と前記吸引排出部20及びアダプター25を上下方向から貫通した金属パイプ状の第2連通管28が設けられていると共に、該第2連通管28の下端部に前記多孔質部材6を保持する保持溝23cが形成されている。つまり、前記多孔質部材6は、予め内トップコア23のキャビティ面23Aの所定位置に保持されており、前記突起部6bが第2連通管28の下端部内に圧入によって嵌合保持されていると共に、基部6aが保持溝23cの周面に当接保持されている。
前記第2連通管28は、上端部に前記第1連通管27と同じく例えば真空ポンプ(図示省略)などのような負圧発生手段に接続されている。したがって、前記負圧発生手段を作動することにより、前記保持溝23cに予め保持された前記多孔質部材6の内部を減圧し負圧にして、後述するアルミニウム合金1aの溶湯を多くの空孔9aに含浸させるようになっている。
したがって、前記吸引排出部20を負圧にすると、前記キャビティ22内の気体は内トップコア23を介して吸引排出部20に吸引されて外部へ排出され、前記キャビティ22に注入されたアルミ合金の溶湯は、前記内トップコア23のキャビティ面23A(転写面)に吸引されて直接接触し、前記キャビティ面23Aの形状がそのまま転写されることになる。
また、前記吸引排出部20を負圧にしてキャビティ22の気体を吸引排出すると共に、キャビティ22内の溶湯を吸引して内トップコア23のキャビティ面23Aに直接密着するとき、製品の細い部分やエッジに対応した部分の吸引が効果的に行われることとなり、製品の細い部分やエッジの部分であっても内トップコア23のキャビティ面23Aの形状を正確に転写することができる。
さらに、前記モールド型11には、前記キャビティ22に対して溶湯を給湯するための湯道29が設けてあり、この湯道29は前記キャビティ22の下部側に連通している。
〔ピストンの鋳造方法〕
したがって、前記金型10を用いてピストン1を鋳造するには、モールド型11の前記湯道29から前記キャビティ22内へアルミ合金の溶湯を注入する(注入工程)と共に、吸引排出部20内を負圧にする。この際、前記キャビティ22に対する溶湯の供給は、キャビティ22の下部側に行われ、前記吸引排出部20を減圧し負圧にすることにより、前記キャビティ22内の気体は、前記内トップコア23を透過して外部へ排出されるものである。
また、同時に前記真空ポンプによって第2連通管28を介して多孔質部材6内を減圧して負圧にすることから、前記キャビティ22内に供給された溶湯は、前記吸引排出部20の負圧により、内トップコア23のキャビティ面23A(転写面)に直接吸引接触されて密着する。
すなわち、キャビティ22に対してアルミニウム合金溶湯を湯道29から給湯し、湯口が溶湯によって閉塞されると、図外の減圧用のモータが駆動されて吸引排出部20内の空気が排出され、吸引排出部20が減圧される。この減圧によって吸引排出部20とキャビティ22との間に差圧が生じると、キャビティ22内の気体は通気性金型(多孔質金型)である内トップコア23の空孔を透過して外部へ排出される。
そして、キャビティ22内の溶湯が次第に上昇して前記内トップコア23のキャビティ面23Aに接触すると、吸引排出部20が減圧されていることにより、前記溶湯はキャビティ面23Aに吸引密着される態様となる。この際、ピストン1を成形する場合には、前記キャビティ面23Aの凹凸がピストンの冠面に転写されるものであり、ピストン冠面の凸部に相当するキャビティ面23Aの凹部23Cの部分23Bは、他の部分よりも薄く形成してあるので、この部分の溶湯の吸引密着がより効果的に行われ、ピストン冠面2aの形状の出にくい部分であっても高精度に成形することができる。
また、前記多孔質部材6内も負圧になっていることから、キャビティ22内のアルミニウム溶湯の一部は前記多孔質部材6内に吸引されて、塩化ナトリウムが溶解された多数の空孔9a内に浸透して含浸される。これにより、図6に示すように、内部にピストン母材1’と同じアルミニウム合金材1aが含浸された低熱伝達率部5がピストン母材1’に対して一体的に埋設固定される。なお、前記各空孔9aにアルミニウム合金材1aが含浸されるが、僅かに前記第2粉体9(塩化ナトリウム)が残存している。
その後、冷却された減圧鋳造用金型10から前記低熱伝導率部5が一体となったピストン母材1’を取り出す。なお、このピストン母材1’の前記凹部2b上面には、前記低熱伝導率部5の外周側に円筒部2dが一体に形成されており、この円筒部2dの高さは前記低熱伝導率部5の高さとほぼ同一に形成されている。
その後、前記ピストン母材1’の低熱伝導率部5(多孔質部材6)の上面の空孔9a内に、ワニス含浸装置によってワニス39を含浸させる。
すなわち、前記多孔質部材6の特に上面6cには多くの空孔9a(全空孔率1〜10%)が発生していることから、前述のように、多くの空孔9a内に燃料ガスが発生して排気エミッション性能が低下するおそれがある。このため、封孔処理が行われており、一般の封孔処理は、空孔9aに有機質系の封孔剤を用いて浸透、含浸させる。主な封孔剤の種類としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニール樹脂、ブチラール樹脂、有機アミンの誘導体などがある。封止材(含浸剤)としては、空孔内に容易に含浸することが可能な低粘度のものがよく、刷毛塗り、浸漬塗り、スプレー塗装などの手段が考えられる。
しかし、これらの封止材は、耐熱温度が低く、ピストン1の冠面2aの温度が350℃となる温度環境に耐えられない。各空孔9aへの含浸においても、前記刷毛塗りなどでは空孔9aへの十分な含浸は期待できない。そこで、いわゆる真空含浸法の適用により、数μmの隙間にも含浸させることができるが、一般的な真空含浸法では部品全体を浸漬させるものであり、処理後、含浸以外の部分を洗浄する必要があり、作業性が悪かった。
そこで、本実施形態では、以下の真空アシストによるワニス含浸装置によってワニス39の各空孔9a内への含浸性を向上させるようにしたものである。
前記ワニス39は、封止剤として硬化後に噴射燃料の燃焼熱に耐えられるものでなくてはならないものであり、本実施形態では、ガラス転移温度が350℃以上であるポリイミド前駆体またはポリアミドイミド前駆体であって、これらがDMA、DMFあるいはGBLを主体とした溶媒によって溶解されており、これは本願発明者による実験の結果に基づく以下の表1,2から選択されたものである。なお、前記ワニス39は、前駆体ではなく、すでにイミド化したポリイミド溶掖を使用することも可能である。
この実験では、ワニス39としてポリイミド系(PI)のものを2種類(1)(2)、ポリアミドイミド系(PAI)のものを2種類(1)(2)をそれぞれ用意し、これらに前記溶媒を加えて溶解した状態のものを、前述した装置で多孔質部材6の各空孔9aに供給した状態で実験を行った。
まず、表1ではワニスの溶媒を揮発させるために、100〜200℃の温度で30分と60分間大気加熱した。ワニスの表面が硬化して溶媒が揮発せず膨れてしまったものを×、表面に変化がないものを○とした。
次に、表2では、前記○となったものを続けて300℃の温度で30分間大気加熱して残留溶媒が揮発して膨れが発生するとか、熱分解して炭化したものを×とし、体積変化が小さく、固形物として存在したものを○とした。
Figure 0006387114
Figure 0006387114
表1からすると、PI,PAIの(1)(2)いずれも30〜60分の間加熱で100℃〜150℃まではワニス表面に変化がなく○となったが、150℃以上ではワニスの表面が硬化して溶媒が揮発せずに膨れた状態となり×となった。
その後、前記表1で○となったワニスを、300℃の温度で30分間大気加熱した場合は、表2に示すように、PIの(1)(2)では前記100〜110℃の低温で加熱したもの、PAIの(1)のものは100〜130℃で加熱したものと、(2)では100〜120℃の低温で加熱したものが、300℃の大気加熱によって残留溶媒による膨れが発生してしまい使用することができない。
一方、表1で130〜150℃の比較的高い温度で加熱したものは、300℃の加熱を受けても各空孔9aに含浸したワニス39が大きな変化をすることなく十分な含浸効果が得られることが分かった。
したがって、この実験結果からすると、前記ワニス39は、溶媒を揮発させるために、特に130〜150℃で30〜60分間加熱したものが好適であることが明らかとなった。つまり、前記の温度条件と加熱時間の条件で得られたワニス39は、耐熱性や耐久性に優れたものである。
〔ワニス含浸装置〕
前記ワニス含浸装置は、図7に示すように、ピストン母材1’の凹部2bに形成された前記円筒部2dの上端面に載置保持された有蓋円筒状のカップ状部材である真空容器30と、該真空容器30の内部を負圧状態にする負圧導入機構31と、前記低熱伝導率部5の外面にワニスを供給するワニス供給機構32と、から構成されている。
前記真空容器30は、比較的肉厚で剛性の高いステンレス系の金属材によって一体に形成されて、前記低熱伝導率部5の上面を覆うように配置されており、前記円筒部2dの上面に載置された円筒壁30aと、該円筒壁30aの上端部に一体に形成された円盤状の上壁部30bと、から主として構成されている。
前記円筒壁30aは、外径が前記円筒部2dの外径よりも僅かに小さく形成されていると共に、内径が円筒部2dの内径よりも大きく形成されて、円筒部2dの上面に載置保持されている。また、円筒部2dは、下面全体に前記円筒部2dの上面との間をシールする円環状のシール部材33が一体的に設けられている。
前記上壁部30bは、外周側の所定位置に前記負圧導入機構31の真空パイプ35が挿通固定される第1固定用孔30cが貫通形成されていると共に、該固定用孔30cと径方向反対側の位置には、前記ワニス供給機構32のワニス供給パイプ41が挿入固定される第2固定用孔30dが貫通形成されている。
前記負圧導入機構31は、負圧を発生させる負圧発生機である真空ポンプ34と、一端部35aが該真空ポンプ34に接続され、他端部35bが前記第1固定用孔30cを介して真空容器30に接続されたに負圧導入通路である真空パイプ35と、該真空パイプ35の途中に設けられて該真空パイプ35の内部を連通、あるいは連通を遮断する第1開閉弁36と、該第1開閉弁36の下流側から分岐して大気に連通した大気圧導入パイプ37に設けられた第3開閉弁38とから主として構成されている。
前記真空ポンプ34は、オイルなどを用いた一般的なものであって、前記真空容器30内を所定の吸引圧で吸引して真空状態にするようになっている。
前記第1開閉弁36は、以下のワニス含浸作業中に開閉作動され、前記真空ポンプ34の作動中は開弁され、この作動が停止されると閉作動する。また、この閉作動後に前記第3開閉弁38が開作動するようになっている。
前記ワニス供給機構32は、内部に含浸剤であるワニス39が貯留された有底円筒状の貯留タンク40と、一端部41aが前記貯留タンク40に接続され、他端部41bが前記真空容器30の第2固定用孔30dに接続された含浸剤導入通路であるワニス供給パイプ41と、該ワニス供給パイプ41の途中に設けられた第2開閉弁42と、から主として構成されている。
前記貯留タンク40は、外周全体にヒータ43が設けられており、このヒータ43は、内部のワニス39の粘度を安定させるためにワニス39の温度を一定に保持するようになっている。
前記第2開閉弁42は、以下のワニス充填(供給)作業中に前記ワニス供給パイプ41を開閉するもので、前記真空ポンプ34によって真空容器30内が所定圧まで減圧された際に開作動して、ワニス供給パイプ41を介して前記貯留タンク40内のワニス39を前記多孔質部材6の上面6c側に供給するものである。
なお、前記負圧導入機構31とワニス供給機構32は、前記真空容器30に予め接続された状態になっている。
以下、前記ワニス39を多孔質部材6の各空孔9aに含浸させる作業工程について説明する。
まず、図7に示すように、前述した製造工程によって成形されたピストン母材1’の冠部2上に有する前記円筒部2dの上面に前記シール部材33を介して前記真空容器30を載置固定する。
その後、前記真空ポンプ34の真空パイプ35の他端部35bを第1固定用孔30cに接続固定すると共に、前記貯留タンク40が取り付けられたワニス供給パイプ41の下端部を第2固定用孔30dに接続する。
この時点では、前記第1、第2、第3開閉弁36、42、38の全てが閉作動状態になっていて、真空パイプ35や、ワニス供給パイプ41のそれぞれの上下流の連通が遮断されていると共に、真空パイプ35内と大気との連通も遮断されている。
次に、前記貯留タンク40の内部に所定量のワニス39を入れると共に、前記ヒータ43のスイッチをオンさせて貯留タンク40内のワニス39を所定温度まで加熱して内部のワニス39の粘度の安定化を図っている。
その後、前記第1開閉弁36を開くと共に、真空ポンプ34を作動させ、真空容器30内の圧力が0.01MPa以下の真空度になったところで前記第1開閉弁36を閉じる。
その後、図8A、Bに示すように、第2開閉弁42を開いてワニス供給パイプ41を連通させてワニス39を真空容器30内に供給して多孔質部材6の上面6c全体をワニス39で覆う状態にする。その後、ワニス39の供給量が適量になった後に第2開閉弁42を閉じる。これによって、前記多孔質部材6の上面6c全体にワニス39が覆われた状態になる。
続いて、図8Cに示すように、前記第1開閉弁36が閉じた状態のまま、第3開閉弁38を開作動させることにより、大気圧が大気圧導入パイプ37から真空パイプ35の下流側を通って真空容器30内に供給される。これによって、前記ワニス39は、真空状態にあった各空孔9a内に大気圧によって強く吸引された状態で含浸される。
多孔質部材6の各空孔9a内へのワニス39の含浸が完了した後は、前記ピストン母材1’から真空容器30や負圧導入機構31及びワニス供給機構32を取り外す。
その後、前記多孔質部材6の各空孔9a内に含浸されたワニス39が硬化した後に、前記ピストン母材1’の外周面に形成された鋳バリなどや各ピストンリング溝2cなどを切削加工すると共に、前記冠面2aや前記円筒部2d及び凸状になった前記低伝導率部5(多孔質部材6)の突起部6bを切削加工して凹部2bの上面と同一面に形成した(切削加工)。これら一連の成形加工によってピストン1の成形作業が完了する。
以上のように、本実施形態では、ピストン1の冠面2aの燃料が直接噴射される部位に低熱伝導率部5が設けられ、この低熱伝達率部5は、主たる構造がアルミニウム合金材よりも熱伝導率の低いホウ珪酸ガラス製の多孔質部材6によって形成されていることから、高い断熱性が得られる。したがって、燃料の霧化が十分に促進されて燃焼性能が向上すると共に、燃費が向上する。
ここで、前記低熱伝達率部5の熱伝導率について考察すると、前記多孔質部材6の空孔9aによる空隙率が小さいほどこの空孔9aへのピストン1のアルミニウム合金材1aの含浸量が少なくなるため、第1粉体8(ガラス粉末)と残留した塩化ナトリウム粉末の合計体積率が大きくなることから熱伝導率が低下する。
表面に現れた残留塩化ナトリウムを水や湯で溶解除去すると、除去前の第1粉体8と残留した塩化ナトリウムの表面積が除去後に第1粉体8のガラス成分だけになって凹凸が形成されるので、その表面積が増大する。
そして、前述のように、低熱伝導率部5の熱伝導率が低下すると、該低熱伝導率部5の熱の蓄積が増大し、蓄積された熱量は、燃料の霧化に寄与させるが、その際、表面積の大きい方が燃料に熱を伝え易くなって、燃料の霧化が促進される。
しかも、前記低熱伝導率部5は、多くの空孔9aを介してピストン母材1’と同じアルミニウム合金材1aが含浸されていることから、該アルミニウム合金材1aとピストン母材1’との融着性が高くなって結合強度が向上する。
この結果、ピストン母材1’と低熱伝導率部5との間の高い断熱性と結合強度の両方を満足することができる。
特に、前記多孔質部材6の多くの空孔9a内にピストン1のアルミニウム合金材1aが含浸されるので、ピストン1の鋳造合金と多孔質部材6との界面強度が大きくなる。
また、本実施形態では、前述したような、真空アシストによるワニス含浸装置を用いて多孔質部材6に形成された各空孔9aにワニス39を含浸させるようにしたため、ワニス39の前記各空孔9a内への含浸性を向上させることができる。特に、ワニス39を多孔質部材6の上面6cに直接供給して、真空引きと大気圧によって各空孔9a内へ含浸させるため、ワニス39の含浸効果が大きくなる。
この結果、封孔処理の向上によって多孔質部材6の特に上面6a側の空孔9aの残存を十分に抑制できるので、排気エミッション性能の悪化を十分に抑制することができる。
〔第2実施形態〕
図9は第2実施形態を示し、真空容器30の上壁部30bに形成された第1固定用孔30cに、予めパイプ接続用のコネクタ44を取り付けられている。一方、前記第2固定用孔30dの孔縁の上部には、円筒状の支持部材45aと該支持部材45aの上端面に載置固定されて中央に前記ワニス供給パイプ41の下端部が挿通支持される支持孔を有する支持片45bが設けられている。また、前記支持部材45aと支持片45bは真空容器30に対して所定のシール部材によって液密的に当接していると共に、前記支持孔の孔縁もワニス供給パイプ41の下端部との間がシールされている。
したがって、前記真空容器30に前記負圧導入機構31とワニス供給機構32を接続するには、図9Bに示すように、第1固定用孔30cに予め取り付けられている前記コネクタ44に前記真空パイプ35の他端部35bを接続すると共に、前記第2固定用孔30dの上部に、支持片45bが固定された前記支持部45aを載置固定して、前記ワニス供給パイプ41の下端部を前記支持片45bの支持孔に挿通しつつ先端部を真空容器30内に臨ませる。これによって、真空容器30に対する前記両機構31,32の接続が完了する。
よって、この接続状態で、前述したワニスの充填、含浸工程と同じ工程によって、多孔質部材6の各空孔9aに前記ワニス39を充填(含浸)することから、第1実施形態と同様な作用効果が得られる。
また、前記ワニス39の含浸作業の完了後は、真空容器30から前記負圧導入機構31やワニス供給機構32を取り外し、その後、真空容器30を円筒部2d上から取り外す。このように、ワニス含浸完了後は、真空容器30から各機構31、32を取り外すようになっていることから、ワニス39が周辺に流れ出すことがない。
〔第3実施形態〕
図10は第3実施形態を示し、前記第1、第2実施形態では、個々のピストン母材1’にワニス含浸装置を接続するようになっているが、この実施形態では、並行に並べられた4個のピストン母材1’の各円筒部2dの上面に、予め一体に結合された4つの真空容器30…を同時に載置固定し、該各真空容器30…の第1固定用孔30c…に、一つの真空導入機構31の4つに分岐形成された真空パイプ35の他端部35b…を接続する共に、一つのワニス供給機構32の4つに分岐形成されたワニス導入パイプ41の下端部41b…を接続したものである。
したがって、この実施形態によれば、基本構成は第1、第2実施形態と同様であるから、同様な作用効果が得られると共に、特に、4個のピストン母材1’の各多孔質部材6に同時に真空引きとワニス39の供給などを行うことができるため、封孔処理作業効率の向上が図れる。
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、多くのピストン母材1’を製造ライン上に連続して配置して、各ピストン母材1’の円筒部2d上に真空容器30を次々と載置固定して連続的に封孔処理を行うことも可能である。
さらに、本実施形態では、封止剤(含浸剤)として有機質系の樹脂系材料であるポリイミドまたはポリアミドイミドを含む材料としたが、前記ピストン1の冠面2aの温度環境下に耐えうるものであれば良く、例えば、無機質系の材料である珪酸ナトリウム、アルキルシリケート、オルガノシロキサン、重クロム酸塩などを用いても良い。

Claims (14)

  1. 冠面の所定位置に、ピストン母材よりも熱伝導率の低い低熱伝導率部が設けられている内燃機関用ピストンであって、
    前記低熱伝導率部は、前記ピストン母材よりも熱伝導率の低い多孔質部材と、該多孔質部材の空孔内に含浸された含浸剤と、を有し、
    該含浸剤は、機関駆動中の前記ピストンの使用環境下において前記空孔内に保持されていると共に、樹脂系材料によって形成され、
    前記樹脂系材料は、ガラス転移温度が350℃以上であることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  2. 請求項1に記載の内燃機関用ピストンにおいて、
    前記樹脂系材料は、ポリイミドまたはポリアミドイミドを含む材料であることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  3. 請求項1に記載の内燃機関用ピストンにおいて、
    前記多孔質部材は、ベースの材料がガラス材によって形成され、内部に前記ピストン母材の一部が含浸されていると共に、前記ガラス材とピストン母材との間に、水溶性でかつ前記ガラス材よりも融点が高い材料を溶解して形成された前記空孔内に前記含浸剤が含浸されていることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  4. 請求項3に記載の内燃機関用ピストンにおいて、
    前記多孔質部材は、ホウ珪酸ガラスであることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  5. 請求項3に記載の内燃機関用ピストンにおいて、
    前記ピストン母材は、アルミニウム合金材であることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  6. 請求項3に記載の内燃機関用ピストンにおいて、
    前記水溶性でかつガラス材よりも融点が高い材料は、塩化ナトリウムであることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  7. 請求項1に記載の内燃機関用ピストンにおいて、
    前記含浸剤は、無機質系材料であることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  8. 冠面の所定位置に、ピストン母材よりも熱伝導率の低い低熱伝導率部が設けられている内燃機関用ピストンの製造方法であって、
    前記ピストン母材の冠面に前記低熱伝導率部を一体に成形した後に、前記ピストン母材よりも熱伝導率の低い多孔質部材の表面を含む所定領域を減圧させる第1工程と、
    前記第1工程の減圧中に、前記多孔質部材の複数の空孔に含浸剤を含浸させる第2工程と、
    前記第2工程後に、前記所定領域を大気開放しこの大気圧によって前記複数の空孔内に含浸された含浸剤を充填させる第3工程と、
    を備え、
    前記含浸剤は、ポリイミドまたはポリアミドイミドを含むワニスであることを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法。
  9. 請求項8に記載の内燃機関用ピストンの製造方法において、
    前記第3工程後に、前記所定領域を加熱して溶媒を蒸発させて固形成分にする第4工程と、を有することを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法。
  10. 請求項9に記載の内燃機関用ピストンの製造方法において、
    前記第4工程における加熱処理温度は、100〜150℃の温度であることを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法。
  11. 請求項10に記載の内燃機関用ピストンの製造方法において、
    前記加熱処理の時間は30〜60分であることを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法。
  12. 請求項11に記載の内燃機関用ピストンの製造方法において、
    前記加熱処理は、130℃の温度で30分間行うことを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法。
  13. 請求項8に記載の内燃機関用ピストンの製造方法において、
    前記第1工程の前工程として、
    前記ピストン母材よりも熱伝導率が低く、かつ熱によって軟化する第1粉体と、水溶性で、かつ前記第1粉体よりも融点温度が高い第2粉体とを攪拌混合することによって混合粉を生成する混合工程と、
    前記混合粉体を加圧成形した後に焼成する焼成工程と、
    該焼成工程後に、前記第2粉体を液体で溶解させて前記多孔質部材を形成する溶解工程と、
    前記多孔質部材を金型内に設置した後に、前記多孔質部材を吸引または溶湯を加圧しながら前記金型内に注入してピストンを成形する共に前記多孔質部材の複数の空孔内にピストン母材を含浸させる注入工程と、
    冷却された後に前記金型から取り出されたピストンの冠面を切削加工する切削工程と、
    を有することを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法。
  14. 請求項13に記載の内燃機関用ピストンの製造方法において、
    前記第1粉体は、ホウ珪酸ガラスである一方、前記第2粉体は、塩化ナトリウムであることを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法。
JP2016565978A 2014-12-25 2015-10-13 内燃機関用ピストンと、このピストンの製造方法及び製造装置 Active JP6387114B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014261720 2014-12-25
JP2014261720 2014-12-25
PCT/JP2015/078864 WO2016103856A1 (ja) 2014-12-25 2015-10-13 内燃機関用ピストンと、このピストンの製造方法及び製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016103856A1 JPWO2016103856A1 (ja) 2017-06-08
JP6387114B2 true JP6387114B2 (ja) 2018-09-05

Family

ID=56149893

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016565978A Active JP6387114B2 (ja) 2014-12-25 2015-10-13 内燃機関用ピストンと、このピストンの製造方法及び製造装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20170350343A1 (ja)
JP (1) JP6387114B2 (ja)
CN (1) CN107110061A (ja)
WO (1) WO2016103856A1 (ja)

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5823256A (ja) * 1981-08-05 1983-02-10 Toyota Motor Corp ピストンリング
JPS60182341A (ja) * 1984-02-29 1985-09-17 Isuzu Motors Ltd 燃焼室壁面を多孔質断熱材で被覆した内燃機関
JPH03133560A (ja) * 1989-10-16 1991-06-06 Toyota Motor Corp ピンホールを有する摺動部品への樹脂コーティング方法
JPH11193721A (ja) * 1997-10-30 1999-07-21 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 筒内噴射式火花点火機関
JP2000203970A (ja) * 1998-10-26 2000-07-25 Puraseramu:Kk 多孔質表面の処理方法、多孔質表面処理剤、表面処理物および重合促進剤
JP3751498B2 (ja) * 2000-03-22 2006-03-01 本田技研工業株式会社 アルミ合金製内燃機関用ピストン
JP2012172619A (ja) * 2011-02-23 2012-09-10 Aisin Seiki Co Ltd エンジンおよびピストン
JP5859395B2 (ja) * 2012-07-27 2016-02-10 日立オートモティブシステムズ株式会社 内燃機関のピストン及びこのピストンの製造方法
US9822728B2 (en) * 2012-08-10 2017-11-21 Aisin Seiki Kabushiki Kaisha Engine and piston
JP5913227B2 (ja) * 2013-08-05 2016-04-27 トヨタ自動車株式会社 内燃機関とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN107110061A (zh) 2017-08-29
WO2016103856A1 (ja) 2016-06-30
US20170350343A1 (en) 2017-12-07
JPWO2016103856A1 (ja) 2017-06-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10006402B2 (en) Piston for internal combustion engine and method for manufacturing piston
JP5976941B2 (ja) 内燃機関用ピストンの製造方法
JP6232504B2 (ja) 内燃機関のピストン製造方法および内燃機関用ピストンの摩擦封孔装置
JP5928419B2 (ja) 遮熱膜とその形成方法
KR101761048B1 (ko) 정밀 주조용 중자 및 그 제조 방법, 정밀 주조용 주형
JP6387114B2 (ja) 内燃機関用ピストンと、このピストンの製造方法及び製造装置
WO2008032598A1 (en) Metal composite material and process for production of metal composite material
KR101761046B1 (ko) 정밀 주조용 중자 및 그 제조 방법, 정밀 주조용 주형
CN105050751A (zh) 用于修复陶瓷型芯的方法
JP5906996B2 (ja) エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法
JP2016159324A (ja) 鋳型の製造方法
JP2014138951A (ja) 遮熱膜の形成方法
US10166598B2 (en) Precision-casting core, precision-casting core manufacturing method, and precision-casting mold
CN104385440B (zh) 一种嵌入玻璃管/陶瓷管成型陶瓷型芯的方法
JP2008019484A (ja) 金属複合材および金属複合材の製造方法
JP2014231081A (ja) 精密鋳造用中子及びその製造方法、精密鋳造用鋳型
JP4855850B2 (ja) 金属被覆セラミックス繊維の製造方法、成形体の製造方法、複合材の製造方法
JP2009233692A (ja) 射出ポンプ用主筒およびこれを用いたホットチャンバダイカストマシン
JP2014231076A (ja) 精密鋳造用中子及びその製造方法、精密鋳造用鋳型
JP2014231079A (ja) 精密鋳造用中子及びその製造方法、精密鋳造用鋳型
JP2014231078A (ja) 精密鋳造用中子及びその製造方法、精密鋳造用鋳型
JPS63303675A (ja) ピストン頂面における断熱層形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170217

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170905

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171019

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180724

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180810

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6387114

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250