JP6387031B2 - コンクリート打音装置およびこれを用いたコンクリート点検方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート打音装置およびこれを用いたコンクリート点検方法に関する。
各種構造物の躯体コンクリートまたはトンネルの覆工コンクリート等のコンクリートの状態を検査する方法の一つとして、打音法がある。この打音法は、ハンマー等によりコンクリート面を打撃し、その打音を聴くことでコンクリート内部の状態(変状)を評価するものである。
この検査は点検員により実施されるが、点検員の習熟度により打撃の技巧に差があるためばらつきが生じる。また人力による打音検査には多大な労力を要するため、長時間連続して検査することはできない。このため、近年は打撃動作を人から装置に代替させる取り組みがなされている。
特開2003−254948
例えば特許文献1の発明は、カムを回転させることでハンマーを押し上げ、段差によって瞬時に開放されることで圧縮コイルばねの復元力によってハンマーを駆動させ、検査対象部を打撃する仕組みである。
特許文献1の発明のような装置は、打撃時にハンマーを検査対象部に押し付ける構成のため、二度叩きを行うことがある。通常、人やシステムによる変状の判定では、最初の打音に加え、打撃直後の残響音を考慮して判定を行うことが多い。しかし、二度叩きが発生すると最初の打音に2度目の打音が重なり、打音が変化し、変状を正確に判定できなくなる。
また、打撃時にハンマーを押し付けることでコンクリートの振動を阻害し、打音が響かない要因となる。
本発明は、二度叩きをすることなく、コンクリートの振動を阻害することがない、コンクリート打音装置およびこれを用いたコンクリート点検方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本願の第1発明は、コンクリート面をハンマーによって打撃して打音を発生するためのコンクリート打音装置であって、モータと、前記モータの回転によって回転および往復角運動するてこクランク機構と、前記てこクランク機構の往復角運動に合わせて前記ハンマーを揺動するハンマー揺動機構と、前記モータおよび前記てこクランク機構を支持するための支持材と、からなり、前記てこクランク機構は、前記モータに取り付けるクランクと、一方の端部を前記クランクに連結する連接棒と、前記連接棒の他方の端部に連結し、一方の端部を前記支持材に軸支するてこと、を有し、前記ハンマー揺動機構は、前記てこの他方の端部に軸支するホルダーと前記ホルダーにとりつける前記ハンマーと、前記ハンマーの揺動角度を制限するためのストッパーと、を設けることを特徴とする、コンクリート打音装置を提供する。
本願の第2発明は、第1発明のコンクリート打音装置において、前記ハンマーの側面に磁性体からなるプレートを配置し、前記ハンマーの回転による前記プレートの軌跡に沿って前記支持材にマグネットを配置することを特徴とする、コンクリート打音装置を提供する。
本願の第3発明は、第1または第2発明のコンクリート打音装置において、前記モータの回転数を制御可能な回転数制御器を有することを特徴とする、コンクリート打音装置を提供する。
本願の第4発明は、第1乃至第3発明のいずれかのコンクリート打音装置において、前記ハンマーが前記コンクリート面を打撃した点周辺を撮影するためのカメラと、前記打音を集音するためのマイクを有することを特徴とする、コンクリート打音装置を提供する。
本願の第5発明は、第1乃至第4発明のいずれかのコンクリート打音装置を用いてコンクリートを点検する、コンクリート点検方法を提供する。
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)てこクランク機構とハンマー揺動機構を組み合わせることによって、ハンマーが打撃後にコンクリート面から打撃の反発力により離れるため、二度叩きが発生せず、変状を正確に判定できる。
(2)ハンマーが打撃後にコンクリートから打撃の反発力により離れるため、打撃によって生じるコンクリートの振動を阻害することなく、変状を正確に判定できる。
(3)てこクランク機構とハンマー揺動機構を組み合わせることによって、ハンマーが加速して大きな打撃力を得られるため、コンクリート深部の変状を抽出することができる。
(4)ハンマー側面に配置した磁性体のプレートと支持体に配置したマグネットによってハンマーの位置が調整されるため、コンクリートの表面の汚れ等によって反発力が変わったとしても一定の状態で打撃を行うことができ、打音のばらつきを低減できる。
(5)モータに回転数制御器を設けて、打撃する角度に応じてモータの回転数を手動または自動で変更することで、打撃力を維持することができる。
(6)ハンマーがコンクリート表面を打撃した点周辺を撮影するためのカメラと、打音を集音するためのマイクを有することで、有線または無線を用いた遠隔操作によって点検を行うことができる。
本発明のコンクリート打音装置の説明図 本発明のコンクリート打音装置の平面図 ハンマー揺動機構の説明図 てこおよびハンマーの動作の説明図 本発明のコンクリート打音装置の使用状態の説明図 カメラおよびマイクの設置図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
[1]コンクリート打音装置。
<1>コンクリート打音装置の構成。
本発明のコンクリート打音装置は、モータ1と、モータ1の回転によって往復角運動するてこクランク機構2と、てこクランク機構2の往復角運動に合わせてハンマー31を揺動するハンマー揺動機構3と、これらを支持する支持体4と、からなる。(図1)
<2>てこクランク機構。
てこクランク機構2は、モータ1の回転によっててこ21を往復角運動するものである。
てこクランク機構2は、てこ21と、モータ1の回転軸11に取り付けるクランク22と、てこ21とクランク22に取り付ける連接棒23と、からなる。
てこ21は、てこ回転軸211によって一方の端部付近を軸支する。他方の端部にはハンマー揺動機構3のハンマー31を取り付けるためのホルダー32をハンマー揺動回転軸33によって軸支する。
<3>ハンマー揺動機構。
ハンマー揺動機構3は、ホルダー32に取り付けたハンマー31を、てこ21の往復角運動に追従させて揺動するものである。
ハンマー揺動回転軸33は自由回転であり、てこ21とホルダー32にはホルダー32およびハンマー31の回転する角度を制限するためのストッパー24、34をそれぞれ設ける。ストッパー24、34間には吸収材5を取り付ける(図3)。
ハンマー31はホルダー32に取り付けており、必要に応じて交換可能とする。
ハンマー31の側面には磁性体からなるプレート35を貼り付ける(図2)。そして、ハンマー揺動機構3の揺動時のプレート35の軌跡に沿って、支持体4にマグネット36を設ける。
<4>支持体。
支持体4は2枚の板体41を保持材42によって平行に保持して構成する。
支持体4にはモータ1を取り付けるとともに、2枚の板体41の間に、てこクランク機構2と、ハンマー揺動機構3を収容する。
本発明のコンクリート打音装置は、板体41の側辺411を直線状とすることで、打撃面に押し当てたときに、常にハンマー31の面での打撃を可能とする。
また、支持体4には、ハンマー揺動機構3の揺動時のプレート35の軌跡に沿ってマグネット36を取り付ける。
<5>ハンマー揺動機構の動き。
<5.1>復帰状態。
ハンマー31はストッパー24、34によって反時計回りに回転しないように支えられる(図4a)。
<5.2>上死点。
モータ1の回転によりクランク22が回転することで、連接棒23を介しててこ21が駆動し、てこ21が上死点の状態となる(図4b)。
<5.3>打撃。
上死点でてこ21が止まることで、回転のエネルギーがてこ21からハンマー31に遷移し、ハンマー揺動回転軸33を中心として回転して打撃を行う。
この打撃時にハンマー31の速度が最大となるように、復帰状態のストッパー24、34の高さを設定して、てこ21とハンマー31のなす角度を決定する。例えば、100gのハンマー31を使用する際には、てこ21とハンマー31のなす角度は20°である。
本発明の装置は、打撃面に押し当てたときにハンマー31の面で打撃するように、支持体4の側辺411の位置にハンマー31がきたときにハンマー31の面と側辺411が同一平面となるように調整する。
このように、てこクランク機構2とハンマー揺動機構3を組み合わせることによって、ハンマー31が加速して大きな打撃力を得られるため、コンクリート深部の変状を抽出することができる。
<5.4>マグネットによるハンマー位置調整。
ハンマー31は、復帰位置から上死点に至る間、側面のプレート35が支持体4のマグネット36に引きつけられる。これにより、ストッパー34とストッパー44が途中で離れず、回転のエネルギーがハンマー31へ十分に遷移し、打撃力が大きくなる。これにより、コンクリート深部の変状を抽出することができる。
また、プレート35がマグネット36の磁力から離脱する際の反動を防ぐため、支持体とマグネット36との間にスペーサー37を配置して、プレート35とマグネット36との間隔は復帰位置から上死点まで近づく程広くし、吸着力を次第に小さくする(図2)。
プレート35とマグネット36とによってハンマー31の自由な回転を拘束するため、常に一定の力で打撃が行われ、コンクリート表面の汚れやキズによって反発力が変わるような状態であっても、打音のばらつきが低減される。
<5.5>打撃後。
打撃後は、打撃の反発力によりハンマー31が打撃面から離れる。このためハンマー31による二度叩きも発生せず、変状を正確に判定できる。また、ハンマー31が打撃面に押し付けられることによるコンクリートの振動の阻害もなく、変状を正確に判定できる。
また、打撃後にはてこ21が反時計回りに回転を始めるため、打撃による反発力が小さい場合でも二度叩きは発生しない。
二度叩きが発生しないことで、正確な打音を取得し、変状を正確に判定できる。
そして、クランク22が回転することで、連接棒23を介しててこ21が駆動し、てこ21およびハンマー31が復帰状態にもどる。
ストッパー24、34間には吸収材5を取り付けるため、ストッパー24、34どうしの接触音は低減される。また、繰り返し動作に対応するため、吸収材5は交換可能とする。
以上の工程が、モータの回転によって繰り返される。このため、長時間繰り返して点検作業を行うことができる。
<6>点検員による点検。
支持体4にはグリップ6を取り付けることで、点検員が手に持って打撃面に押し付けて点検作業を行うことができる(図5)。
<7>打撃方向による打撃力の調整。
点検する面は壁面や天井などであるが、天井を叩く動作になるほど、重力の影響により打撃力が小さくなる。
このため、モータ1の回転数を制御することができる回転数制御器(図示せず)を取り付けて、打撃方向の角度に合わせて回転数を大きくすることで、打撃力を維持することができる。
回転数は手動で設定してもよいし、例えば本装置の角度をセンサで検知して自動で変更してもよい。
<8>遠隔による点検。
高所作業では、移動機構に本発明の装置を取り付けて、遠隔操作によって壁面を移動しながら打撃を行うことができる。
このとき、本発明の打撃装置の支持体4には、ハンマー31がコンクリート表面を打撃した点周辺を確認できるカメラ7と、打音を集音するマイク8を取り付ける(図6)。
そして、有線または無線により点検員がカメラ7による映像とマイク8からの打音によって点検を行う。
1 モータ
2 てこクランク機構
21 てこ
211 てこ回転軸
22 クランク
23 連接棒
24 ストッパー
3 ハンマー揺動機構
31 ハンマー
32 ホルダー
33 ハンマー揺動回転軸
34 ストッパー
35 プレート
36 マグネット
37 スペーサー
4 支持体
41 板体
411 側辺
42 保持材
5 吸収材
6 グリップ
7 カメラ
8 マイク

Claims (5)

  1. コンクリート面をハンマーによって打撃して打音を発生するためのコンクリート打音装置であって、
    モータと、
    前記モータの回転によって往復角運動するてこクランク機構と、
    前記てこクランク機構の往復角運動に合わせて前記ハンマーを揺動するハンマー揺動機構と、
    前記モータおよび前記てこクランク機構を支持するための支持材と、からなり、
    前記てこクランク機構は、前記モータに取り付けるクランクと、一方の端部を前記クランクに連結する連接棒と、前記連接棒の他方の端部に連結し、一方の端部を前記支持材に軸支するてこと、を有し、
    前記ハンマー揺動機構は、前記てこの他方の端部に軸支するホルダーと前記ホルダーにとりつける前記ハンマーと、前記ハンマーの揺動角度を制限するためのストッパーと、を設けることを特徴とする、コンクリート打音装置。
  2. 請求項1に記載のコンクリート打音装置において、
    前記ハンマーの側面に磁性体からなるプレートを配置し、
    前記ハンマーの回転による前記プレートの軌跡に沿って前記支持材にマグネットを配置することを特徴とする、コンクリート打音装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のコンクリート打音装置において、
    前記モータの回転数を制御可能な回転数制御器を有することを特徴とする、コンクリート打音装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のコンクリート打音装置において、
    前記ハンマーが前記コンクリート面を打撃した点周辺を撮影するためのカメラと、
    前記打音を集音するためのマイクを有することを特徴とする、コンクリート打音装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のコンクリート打音装置を用いてコンクリートを点検する、コンクリート点検方法。
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