JP6386400B2 - 周波数アジャイル型レーダビーコン装置及びその運用方法 - Google Patents
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Description
その仕組みは、レーダビーコンが船舶レーダから発射されたパルス信号を受信すると直ちに同一周波数帯で応答信号を送信し、船舶レーダは受信した応答信号によって表示器(PPIスコープ)上にそのレーダビーコンの位置と応答信号の符号を表示させるものである。
低速掃引型は、受信したパルス信号の周波数とは無関係に、船舶レーダが使用している周波数帯(例えば9340MHz〜9470MHz)の周波数を数十秒周期で掃引しながら応答信号を送信する。一方、周波数アジャイル型は受信したパルス信号の周波数と同じ周波数で応答信号を送信する。
ここで、この従来のレーダビーコン装置の動作を説明する前に、レーダビーコン装置の動作の原理について、特許文献1、図2に開示された装置以前のレーダビーコン装置である特許文献1の図4に開示される構成を用いて説明する。
このように動作することで、温度や電源電圧が変化しても電圧制御発振部4の発振周波数と受信周波数との誤差がなくなり、応答信号の周波数を受信信号と一致させることを可能としている。
その図1において、周波数データ変換部1は例えば周波数弁別部(図2の符号1−1参照)とA/D変換部(図2の符号1−2参照)で構成されており、周波数弁別部1−1が受信信号の周波数に応じて出力する直流電圧のデジタル値(周波数データ)を出力する。周波数識別部2は周波数データ変換部1が出力する周波数データをもとに複数の周波数の異なるレーダ信号を区別し、送信元ごとに以下の処理を行う。
同一周波数信号出力部4は、例えば送信元ごとのデータ保持回路(図2、符号41、42参照)と演算回路(図2、比較回路30、加算回路31参照)、D/A変換部(図2、符号37参照)、電圧制御発振部(図2、VCO、符号36参照)で構成されている。
送信元ごとに設けられたメモリ21〜23はRAMであって、送信元ごとの振幅データの最大値を保持する。
このようにして、複数の船舶レーダに対して、メインローブ信号に対して一定値以上のレベル差があるサイドローブ信号にはレーダビーコン装置が応答しないようにすることができる。
一般に、無線機には法令で定められた送信帯域があり、この送信帯域外の信号を送信することは禁じられている。周波数アジャイル型レーダビーコン装置の送信帯域は船舶レーダと同じに定められている。
そこで、原理的なレーダビーコン装置では、電圧制御発振器が送信帯域の下限周波数と上限周波数を発振するような制御電圧のデジタル値をあらかじめ調べておいて、D/A変換器に与えるデジタル値がこの範囲外の場合は送信を中止し、送信帯域外での送信をしないようにしている。こうすることで、たとえ送信帯域外の周波数の信号を受信してしまった時でも、それに対して誤って同じ周波数で応答信号を送信することを防ぐことができる。
この図2では受信部の入力に温度や電源電圧で変動しない安定した無線周波数帯の基準周波数を発振する発振器12を設け、基準周波数を受信してアナログ回路の特性変化を補償するものである。
受信信号に対する応答動作の過程で求めた制御電圧のデジタル値がこの範囲外のときは送信を中止すれば、帯域外送信を防ぐことができる。
その調整の結果、電圧制御発振部の発振周波数が受信信号の周波数と同じになると、今度は電圧制御発振部の発振信号を送信部に入力するようにスイッチを切り替える。
また、レーダ信号を受信し始めた最初から応答することができ、応答信号の周波数が基準信号と同等の精度なので、周波数弁別器が出力する周波数が帯域外の周波数のときは送信しないようにすれば、誤って帯域外の周波数で応答することもない。さらに、短い時間間隔での間欠動作が可能であり、間欠動作させることによって消費電力を低減することを可能である。
図1は、本発明に係る周波数アジャイル型レーダビーコン装置の一例を示す原理構成図である。図1において、11は局部発振器、12は第1のミキサ、13は第2のミキサ、21は検波器、22は比較器、32は第2のA/D変換器(ADC)、33はデジタル周波数弁別器、34は周波数設定部、35は直接デジタルシンセサイザ(DDS)、36は基準発振器、37はオンオフ制御部、S1は受信信号、S2は応答信号、S3はトリガー信号、S4は局部発振信号、S5は受信中間周波信号(受信IF信号)、S6はS5をデジタル化した信号、S7は受信周波数、S8は基準発振信号、S9は送信IF信号、S10は局部発振信号、v1は受信信号の信号レベルに応じた直流電圧である。
その信号レベルが閾値を上回ると、比較器22はトリガー信号S3を出力する。また、受信信号S1は第1のミキサ12で局部発振器11が出力する局部発振信号S4と混合され、受信中間周波信号(受信IF信号)S5に周波数変換される。
デジタル周波数弁別器33は、受信IF信号S5をA/D変換器32でデジタル化した信号S6から受信周波数S7を求める。
局部発振器11が第1のミキサ12に出力する局部発振信号S4と、第2のミキサ13に出力する局部発振信号S10の周波数が同じ場合、DDS35は受信信号S1と同じ周波数の信号を出力する。
また、DDS35は基準発振信号S8を元に動作しているので、DDSが生成する信号の周波数精度は基準発振信号の周波数精度と同じになる。
そこで、基準発振器を温度補償型水晶発振器のような高精度、高安定なものにすれば、DDSが生成する信号に対する温度や電源電圧、経年変化の影響はほとんど無視できる。
また、レーダ信号を受信し始めた最初から応答することができる。さらに、応答信号の周波数は基準信号と同等の精度なので、周波数弁別器が出力する周波数が帯域外の周波数のときは送信しないようにすれば、誤って帯域外の周波数で応答することもない。
さて、レーダビーコンが船舶レーダからのパルス信号を受信してから応答信号を送信するまでの応答遅れ時間には厳しい規格がある。その応答遅れが大きいと船舶レーダは実際よりも物標との距離が長いと認識し、レーダの表示器上に実際のレーダビーコンの位置よりも遠くに表示されてしまうためである。
受信後の応答遅れは「ITU−R勧告 M.824−2」の付属書1、及び「IALA勧告 R−101」の表1に示された規格で、0.7μs以下となっていると同時に、同規格において、受信周波数帯域は9300MHz〜9500MHz、又は2900MHz〜3100MHzの帯域幅200MHz、受信信号周波数に対する応答信号周波数の誤差は受信信号のパルス幅0.2μs以上の場合1.5MHz以下となっている。
デジタル受信ベースバンド信号S6は、遅延素子101で一定時間遅延させられて遅延受信ベースバンド信号S6dに加工され、複素共役回路102で、その遅延受信ベースバンド信号の複素共役S6iを出力する。
累算器104は、N個の縦続接続された遅延素子111、112、…、11Nと加算器110から成り、入力された複素乗算結果R1と各遅延素子111、112、…、11Nの出力R111、R112、・・・、R11Nを加算器110で加算する。
その累算結果は、位相変換器105で複素数の位相に変換される。なお、累算器104は加算によって信号のSN比を改善するためのもので、入力信号のSN比が十分よければ累算器104はなくてもよい。
受信ベースバンド信号I、Qデータは、(In、Qn)と表し、K+1個の連続した受信ベースバンド信号について、隣接する標本の複素共役と複素乗算を行い、得られたK個の複素乗算結果を累算するもので、先ず、一つの複素乗算は下記(1)〜(4)式に示すように計算される。
図2の構成では下記(5)式に示すように、K個累算することになる。
位相変換回路は、例えば、さまざまな(Xa、Ya)の値に対して位相を出力する周波数変換テーブルをあらかじめ作成しておき、計算された(Xa、Ya)をアドレスとしてテーブルを読み出すことで実現できる。
図3は、船舶レーダのサイドローブ信号に応答しない機能を持たせた、本発明の周波数アジャイル型レーダビーコン装置の実施例の構成図である。図3においては、図1と同じ要素には同じ符号設け、23は第1のA/D変換器、24は振幅メモリ、25はピーク検出部、26はサイドローブ検出部、31は直交ミキサ、dv1は直流電圧v1のデジタル値、S6aはアナログ受信ベースバンド信号、S7maxは受信周波数に応じた振幅の最大値である。
一方、第1のミキサ12が出力する受信中間周波信号S5は、直交ミキサ31でアナログ受信ベースバンド信号S6aに周波数変換されて第2のA/D変換器32でデジタル受信ベースバンド信号S6となり、デジタル周波数弁別器33に入力され、受信周波数S7が求められる。
受信レベルのデジタル値が閾値より大きい場合は、オンオフ制御部37が比較器22からのトリガー信号S3によってDDS35に対してあらかじめ定められた符号に従ってオンオフ変調を行う。
レーダビーコン装置は、船舶レーダの空中線が回転する周期(約2.5秒)で、空中線がレーダビーコン装置に正対している期間(約10ms弱)、船舶レーダから十〜数十回パルス信号を受信する。
図4はレーダビーコン装置における受信信号に対する応答信号の応答遅れを示す説明図で、図5は本発明に係るレーダビーコン装置の動作状態の説明図である。
レーダビーコン装置は図4に示した応答遅れが規格を満たす限り、図5(b)の応答信号1のように受信したパルス信号すべてに応答してもよいし、図5(c)の応答信号2のように受信したパルス信号の一部だけに応答してもよい。
そこで、図3のレーダビーコン装置を、図3に図示しないマイコンによって図5(d)の動作休止周期のように数msの周期で間欠動作させれば、装置全体の平均消費電力を低減しながら図5(c)の応答信号2のような応答が得られる。
さらに、応答信号の周波数が基準信号と同等の精度なので、周波数弁別器が出力する周波数が帯域外の周波数のときは送信しないようにすれば、誤って帯域外の周波数で応答することもない。そのうえ、短い時間で間欠動作させることによって消費電力の低減が可能である。
12 第1のミキサ
13 第2のミキサ
21 検波器
22 比較器
23 第1のA/D変換器
24 振幅メモリ
25 ピーク検出部
26 サイドローブ検出部
31 直交ミキサ
32 第2のA/D変換器(ADC)
33 デジタル周波数弁別器
34 周波数設定部
35 直接デジタルシンセサイザ(DDS)
36 基準発振器
37 オンオフ制御部
101 遅延素子
102 複素共役回路
103 複素乗算器
104 累算器
105 位相変換器
110 加算器
111〜11N 遅延素子
S1 受信信号
S2 応答信号
S3 トリガー信号
S4 局部発振信号
S5 受信中間周波信号(受信IF信号)
S6 デジタル受信ベースバンド信号(複素ベースバンド信号)
S6a アナログ受信ベースバンド信号
S6d 遅延受信ベースバンド信号
S6i 受信ベースバンド信号の複素共役
S7 受信周波数
S7max 受信周波数に応じた振幅の最大値
S8 基準発振信号
S9 送信IF信号
S10 局部発振信号
v1 受信信号の受信レベルに応じた直流電圧
dv1 直流電圧v1のデジタル値、
R1 複素乗算結果
R111・・R11N 各遅延素子の出力
Claims (3)
- アナログ受信信号をデジタル値に変換してデジタル受信信号を出力するA/D変換器と、
前記デジタル受信信号から前記デジタル受信信号を構成する受信周波数を求めるデジタル周波数弁別器と、
求めた前記受信周波数を、応答信号を構成する応答周波数として設定する周波数設定部と、
設定された前記応答周波数により構成される応答信号を生成する直接デジタルシンセサイザを備え、
前記周波数設定部が、前記デジタル周波数弁別器が出力した前記受信周波数を、応答信号の応答周波数として直接に前記デジタルシンセサイザに設定することを特徴とする周波数アジャイル型レーダビーコン装置。 - 前記デジタル周波数弁別器が、遅延素子と複素共役回路と複素乗算器と位相変換回路を備え、
受信信号から取り出された受信ベースバンド信号を前記遅延素子を用いて一定時間遅延させた遅延受信ベースバンド信号から前記複素共役回路を用いて複素共役をとった信号と前記受信ベースバンド信号との複素乗算を、前記複素乗算器により計算して得られた乗算結果を、入力値として直列接続された少なくとも2以上の遅延素子に入力し、前記直列接続された遅延素子の各々から得られる結果を前記位相変換回路による位相から周波数に変換する操作によって前記受信信号を構成する受信周波数を求めて出力する装置であることを特徴とする請求項1記載の周波数アジャイル型レーダビーコン装置。 - 請求項1又は2に記載の周波数アジャイル型レーダビーコン装置の運用方法であって、
受信信号を発信する船舶レーダの空中線回転周期より十分に短い周期、且つ前記船舶レーダが発信する前記受信信号のパルス繰返し周期の1/10から10倍の周期で、前記レーダビーコン装置を間欠動作させることにより前記レーダビーコン装置の消費電力を低減させることを特徴とする周波数アジャイル型レーダビーコン装置の運用方法。
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