JP6384923B2 - N−(3−(4−(3−(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン−1−イル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミンの硫酸塩、その製造、及びその使用 - Google Patents

N−(3−(4−(3−(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン−1−イル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミンの硫酸塩、その製造、及びその使用 Download PDF

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Description

本発明は、新規なN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩、及び医薬として許容可能なその溶媒和物、それらの調製、それらを含む医薬組成物、並びに、神経変性疾患の治療及び/又は予防におけるそれらの使用に関する。
下記式I
Figure 0006384923
の構造を有するN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンは、これまでに国際公開第2006/051489号に開示された1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン誘導体の群に属し、これら誘導体は神経変性疾患の治療及び/予防に有用である。
この化合物のフリー塩基体には、そのピペラジン環で起こる酸化によるらしい、長期安定性の問題があった。さらに、このフリー塩基体は結晶化しない。医薬開発の観点からは、活性成分の結晶形態が本当に好ましい。結晶形態は、安定性の問題を克服し、さらに、特に結晶化度に関して、高いバッチごとの再現性で、工業的規模での精製のために適した結晶化及び/又は再結晶化工程へのみちを開く。
医薬活性分子(PAM, pharmaceutical active molecule)の塩化は、その物理化学特性を改善しうることが知られているが、適切な塩の選択には複雑なプロセスが残っている。実際に、物理化学特性を向上させることは、安定な固体物質を得ることをはるかに超えるものである。これらの固体は、良好な結晶化度と明確なモルフォロジーを有する結晶化相を含んでいなくてはならない。別の側面では、塩の形態は、水溶性を向上させるなどの別の利点をもたらしうるが、吸湿性、安定性の問題、又は固有の毒性により、同時に有害にもなりうる。したがって、塩の選択は、自由裁量で行うことはできず、そもそも綿密な検討を必要とする。
N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンのシュウ酸塩(これは国際公開第2006/051489号に報告されている)は、フリー塩基にみられる上述した欠点を部分的に克服している。しかし、シュウ酸塩を安定な粉末として得るためには、4当量のシュウ酸が必要である。したがって、シュウ酸塩での医薬活性分子の質量%は54%にまで低くなってしまう。所定用量のPAMのために投与されるべき薬剤の量は、したがって著しく増大する。
さらに、シュウ酸塩は、もはや、最も医薬として許容できるものの一つとしては考えられていない。シュウ酸塩は、ある場合には腎毒性があり、例えば、ナフチドフリルのシュウ酸塩は、高齢患者に、シュウ酸カルシウム結晶尿症、したがって腎臓結石を引き起こすことが知られている。さらに、シュウ酸カルシウムの低い溶解性によって、尿を含めた体液中のシュウ酸カルシウムの増大した濃度が、腎臓組織(腎石灰沈着症)あるいは尿道(尿路結石症)中へのシュウ酸カルシウムの堆積(シュウ酸症)をもたらす可能性がある。腎臓がシュウ酸カルシウムを取り除くことに失敗した場合には、シュウ酸症は多くのさまざまな臓器を巻き込むおそれがある。血管中での堆積は、痛みを伴う治らない皮膚潰瘍を引き起こす可能性があり、骨髄への堆積は貧血を引き起こし、心臓への堆積は心拍の異常あるいは心臓機能低下を引き起こす。神経変性疾患を患っている患者は、一般に高齢であり、そのために別の医薬を摂取している別の病気に罹患している。したがって、その患者らの腎臓は、その患者らによって摂取された薬剤の排せつを既に非常に求められており、ところでその患者らは喉の渇きにあまり気づかず、したがって、脱水症になりがちである。過剰なシュウ酸カルシウムは、健康な腎臓をもち、たくさんの水を飲む患者においては、最後には排せつされる。過剰なシュウ酸カルシウムは、治療、特に高齢者のための治療において、本当に実際の問題である。さらに、神経変性疾患の治療はしばしば慢性化して一生涯に及ばなかったとしても非常に長期間に及ぶ。本件出願人は、その潜在的な腎臓及び尿路への毒性のためにシュウ酸塩は、既に病気によって弱められている患者らに対して不当な負担を加えることになると考えた。したがって、本件出願人は、シュウ酸塩を医薬として許容できないものとして考えたのであり、特に、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンは、安定であるためには4当量のその塩の対イオンを必要とするからである。したがって、シュウ酸塩は安定な固体物質を得ることを可能にしているけれども、それらは毒性のある副作用のリスクがあることを意味する。
国際公開第2006/051489号
Gordon, A. J.,; Ford, R. A. "The Chemist’s Companion - A handbook of Practical Data, Techniques, and Reference", Wiley; New York, 1972 Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry, Pearson Prentice Hall: London, 1989
したがって、今なお当技術分野においては、塩の形成及び毒性に関する上述した欠点を示さない、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの安定な、結晶性、かつ非吸湿性の塩の必要性がある。
本発明は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩が、吸湿性ではない、安定で自由に流動する結晶性粉体をもたらし、上に示した要求を満たすという予期しない発見に基づく。
したがって、本発明は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩、及び医薬として許容可能なその溶媒和物に関する。
N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩、及びその溶媒和物は、良好な結晶化度及び明確なモルフォロジーをもつ結晶相を有する粉末として得られる。さらに、本発明の硫酸塩類は、それらを含む医薬組成物を調製するために特に適している。それらは医薬として許容可能であり、出願人の知見では、それらはどのような種類の内在毒性も伴わない。この点に関して、出願人は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩類を用いてのいくつかのインビボでの慢性的試験を行ってきており、今までにいかなる予期しない毒性イベントも観察していない。
さらに、その他の塩類、例えば、シュウ酸塩類と比べて、硫酸イオンの低い分子量が、その塩の総質量に対するN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの増大した質量比を可能にしている。例えば、二硫酸塩であるPAM(医薬活性成分)の質量パーセントは69%である。したがって、シュウ酸塩と比較した場合、所定用量のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンのために必要な硫酸塩の量は少なくなる。このことは、同様に、患者に投与される製品の量を低減し、その結果、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンを含む医薬組成物の製造コストを低減する。
[本発明の詳細な説明]
本発明の化合物は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩類、及び医薬として許容可能なその溶媒和物である。さらに特に、本発明の硫酸塩類及びそれらの溶媒和物は、下記式IIのものである。
Figure 0006384923
式中、xは0.5〜4であり、好ましくは、xは0.5〜3.5であり、より好ましくは、xは0.9〜3である。
言い換えれば、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩は、0.5〜4当量、好ましくは0.5〜3.5当量、より好ましくは0.9〜3当量のサルフェートを、1分子のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンに対して含む。
一つの態様では、xは2.5〜3.5、好ましくは2.6〜3.2であり、より好ましくは、Xは2.8〜3であり、なおさらに好ましくは、xは約2.9であるか、xは2.9である。
別の態様では、xは1.5〜2.5であり、好ましくは、xは1.5〜2.1であり、より好ましくは、xは1.7〜1.9であり、なおさらに好ましくは、xは約1.8であるか、xは1.8である。
なお別の態様では、xは0.5〜1.5であり、好ましくは、xは0.7〜1.3であり、より好ましくは、xは0.9〜1.1であり、なおさらに好ましくは、xは約1であるか、xは1である。
別の態様では、xは1.7〜2.3であり、好ましくは、xは1.9〜2.1であり、より好ましくは、xは約2であるか、xは2である。
具体的な態様では、式IIの硫酸塩は、医薬として許容可能な溶媒和物、好ましくは水和物の形態である。溶媒和物の化学量論は、式IIの硫酸塩1分子に対して、0.5〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1.5〜2.5、なおより好ましくは、yは1.8〜2.2、なおより好ましくは2又は約2分子の溶媒和である。
式IIの硫酸塩の好ましい医薬として許容可能な溶媒和物は、式IIIのものである。
Figure 0006384923
式中、
xは式IIにおいて上で定義したとおりであり、
yは0.5〜5であり、好ましくは、yは1〜4であり、より好ましくは、yは1.5〜2.5であり、なおさらに好ましくは、yは1.8〜2.2であり、なおさらに好ましくは、yは約2であるか、又はyは2である。
式IIIの好ましい化合物は、xが0.5〜1.5、好ましくは0.8〜1.2であり、より好ましくは、xが0.9〜1.1であり、なおさらに好ましくは、xが約1であるか、又はxが1であるものである。
本発明の特に好ましい化合物は、xが約1であり、かつyが約2であるか、あるいは、xが1であり、かつyが2である、式IIIの化合物である。
出願人は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩、及び医薬として許容可能なその溶媒和物が、以下の4つの必須の点でアミロイド前駆体タンパク質(APP)の代謝を修正するために有用であることを示してきた:
1) 全て共通してAPPの最後の50アミノ酸を有する、APPのカルボキシ末端フラグメント(APP-CTF)、そして特に潜在的な生理学的活性を有するもの、例えば、α-スタブ(stub)(APP-CTFアルファ)及びγ-スタブ(stub)(APP-CTFガンマ、又はAPP細胞内ドメイン(AICD))を増加させ、
2) 神経保護/神経栄養特性を示すsAPPαの分泌を増加させ、
3) APPの神経毒性副生成物、すなわち、β-アミロイド(Aβ)ペプチド、特にそのx-42形のものの産生を低減し、
4) これらを、APPの発現を改変することなく、かつ神経毒性なしに行う。
本発明の硫酸塩類、及びそれらの溶媒和物は、前頭皮質及び海馬における非アミロイド形成経路にAPP代謝を向けるのに実に有用である。
出願人はまた、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩及び医薬として許容可能なそれらの溶媒和物が、病的なタウタンパク質のリン酸化を変えるとともに、酸化的ストレス過程を緩和するために有用であることも示している。タウタンパク質はチューブリンと相互作用して、微小管を安定化し、チューブリンが微小管内へ会合するのを促進し、微小管の安定性はアイソフォーム及びリン酸化によって調節される。タウ病態は、微小管が結合したタウタンパク質の異常な修飾、変性しているニューロン内部で線維物質への進行性の凝集及び蓄積をもたらしていわゆる神経原線維タングル(NFT)を形成するというメカニズムを含む。
さらに、その他の塩類とは違って、それらの物理化学的特性は、薬剤形成に関して、すなわち、安全性、溶解性、安定性、結晶化度、モルフォロジー、及び毒性に関連して特に有用である。
本発明の硫酸塩は、したがって、医薬、特に、神経変性疾患及びAPP代謝の機能障害が認められる全ての疾患を治療又は予防するための医薬として有用であり、それらにはアルツハイマー病、アミロイド血管症、レビー小体型認知症(DLB)、及びダウン症候群が含まれるがこれらに限定されない。
本発明の硫酸塩類は、したがって、医薬として、特に、神経変性疾患及びタウタンパク質のリン酸化の機能障害が認められる全ての疾患を治療又は予防するための医薬として有用であり、それらにはタウオパチー、例えば、クロモソーム17に関連するパーキンソン病をともなう前頭側頭型認知症が挙げられるがこれらに限定されない。
したがって、本発明はまた、アルツハイマー病、レビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症をともなう筋萎縮性側索硬化症(ALS)、骨パジェット病及び/又は前頭側頭型認知症をともなう封入体筋症(IBMPFD)、前頭側頭葉変性症、シヌクレイン病、ハンチントン病及びパーキンソン病、アミロイド血管症を含めたアミロイドパチー、クロモソーム17に関連するパーキンソン病をともなう前頭側頭型認知症を含めたタウオパチー、タンパク質封入をともなう神経筋疾患、並びにダウン症候群を含めた発育異常疾患から選択される疾患を治療及び/又は予防するのに用いるための、本明細書において規定するN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物にも関する。好ましくは、この疾患は、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症をともなう筋萎縮性側索硬化症(ALS)、骨パジェット病及び/又は前頭側頭型認知症をともなう封入体筋症(IBMPFD)、前頭側頭葉変性症、シヌクレイン病、ハンチントン病、アミロイド血管症を含めたアミロイドパチー、クロモソーム17に関連するパーキンソン病をともなう前頭側頭型認知症を含めたタウオパチーから選択される。より好ましくは、疾患は、アルツハイマー病、シヌクレイン病、アミロイド血管症を含めたアミロイドパチー、及びクロモソーム17に関連するパーキンソン病をともなう前頭側頭型認知症を含めたタウオパチーから選択される。なおさらに好ましくは、疾患は、アルツハイマー病、及びクロモソーム17に関連するパーキンソン病をともなう前頭側頭型認知症を含めたタウオパチーから選択される。
言い換えれば、本発明はまた、神経変性疾患、アミドイドパチー、タウロパチー、及び発育異常疾患、特に、上に挙げたものから選択される疾患並びにそれらの態様を治療及び/又は予防する方法を提供し、その方法は、ここに記載したN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なそれらの溶媒和物の医薬として有効な量を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の態様では、疾患は、アルツハイマー病及びタウロパチーから選択される。
一つの特定の態様では、本発明はまた、アルツハイマー病、レビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症をともなう筋萎縮性側索硬化症(ALS)、骨パジェット病及び/又は前頭側頭型認知症をともなう封入体筋症(IBMPFD)、前頭側頭葉変性症、シヌクレイン病、ハンチントン病及びパーキンソン病、アミロイド血管症を含めたアミロイドパチー、クロモソーム17に関連するパーキンソン病をともなう前頭側頭型認知症を含めたタウオパチー、タンパク質封入をともなう神経筋疾患、並びにダウン症候群を含めた発育異常疾患から選択される疾患の発病を、患者において遅らせるのに使用するための、本明細書において規定したN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物にも関する。好ましくは、この疾患は、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症をともなう筋萎縮性側索硬化症(ALS)、骨パジェット病及び/又は前頭側頭型認知症をともなう封入体筋症(IBMPFD)、前頭側頭葉変性症、シヌクレイン病、ハンチントン病、アミロイド血管症を含めたアミロイドパチー、クロモソーム17に関連するパーキンソン病をともなう前頭側頭型認知症を含めたタウオパチーから選択される。より好ましくは、疾患は、アルツハイマー病、シヌクレイン病、アミロイド血管症を含めたアミロイドパチー、及びクロモソーム17に関連するパーキンソン病をともなう前頭側頭型認知症を含めたタウオパチーから選択される。なおさらに好ましくは、疾患は、アルツハイマー病、及びクロモソーム17に関連するパーキンソン病をともなう前頭側頭型認知症を含めたタウオパチーから選択される。
言い換えれば、本発明はまた、神経変性疾患、アミドイドパチー、タウロパチー、及び発育異常疾患、特に、上に挙げたものから選択される疾患並びにそれらの態様の発病を、患者において遅らせる方法を提供し、その方法は、本発明の硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物の医薬として有効な量を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の態様では、疾患は、アルツハイマー病及びタウロパチーから選択される。
本発明のさらなる特徴によれば、そのような治療を必要としている患者、好ましくは温血動物、なおさらに好ましくはヒトにおいてAPP代謝を調節する方法を提供し、その方法は、その患者に、本発明のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物の有効量をその患者に投与することを含む。
本発明のなおさらなる特徴によれば、そのような治療を必要としている患者、好ましくは温血動物、なおさらに好ましくはヒトにおいて、病原性タウタンパク質リン酸化を修正するとともに酸化的ストレス過程を緩和させる方法を提供し、その方法は、本発明のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物の有効量をその患者に投与することを含む。
本発明はまた、ここに記載したN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物と、少なくとも1つの医薬として許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は補助剤(アジュバント)とを含む医薬組成物を提供する。一つの態様では、本発明は、活性成分としてのN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物に加えて、追加の薬剤及び/又は活性成分を含む医薬組成物にも及ぶ。
一つの態様によれば、本発明のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩、それと同様に医薬として許容可能なその溶媒和物は、併用療法の一部として投与することができる。したがって、活性成分としての本発明の硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物に加えて、追加の治療薬及び/又は活性成分を含む組成物ないし医薬を共投与することを含む態様が、本発明の範囲に含まれる。そのような多剤処方(これはしばしば併用療法といわれる)は、APP代謝変調により又はそれに伴う疾患又は状態のいずれかの治療及び/又は予防に用いることができる。治療薬のそのような組み合わせの使用は、治療を必要とする患者又はそのような患者になるリスクのある者において、上述した神経変性疾患の治療に関して特に適切である。
N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物に加えての活性剤の使用に必要とされうる治療効果の必要性に加えて、補助の治療をする、すなわち、本発明のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物によって遂行される機能を補完及び補充する活性成分を含む薬剤の組み合わせを用いることを余儀なくさせる又は強く勧める追加の合理性がある。補助治療の目的のために用いられる好適な補助治療剤は、APP代謝により媒介される又はそれを伴う疾患又は状態を直接治療及び/又は予防する代わりに、基本的又は根本的なAPP代謝変調疾患又は状態によって直接生じる又は間接的にそれに伴う疾患又は状態を治療する薬剤を含む
本発明のさらなる特徴によれば、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩、医薬として許容可能なその溶媒和物は、アルツハイマー病を治療するために用いられる別の薬剤とともに併用療法に用いることができる。より具体的には、式IIの化合物並びに医薬として許容可能なその溶媒和物は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(これには、ドネペジル(CAS No. 120014-06-4)及びその塩及び溶媒和物、ガランタミン(CAS No. 357-70-0)及びその塩及び溶媒和物、リバスチグミン(CAS No. 123441-03-2)及びその塩及び溶媒和物、タクリン(CAS No. 321-64-2)及びその塩及び溶媒和物を含むがこれらに限定されない)と組み合わせて、あるいはNMDAグルタメート受容体アンタゴニスト(これにはメマンチン(CAS No. 19982-08-2)及びその塩及び溶媒和物が含まれるがこれらに限定されない)と組み合わせて、あるいはデュアルアセチルコリンエステラーゼ阻害剤及びNMDAグルタメート受容体アンタゴニスト(これにはフペルジンA(CAS No. 102518-79-6)及びその塩及び溶媒和物が含まれるがこれらに限定されない)、あるいはグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)アゴニスト(これには、リラグルチド(CAS No. 204656-20-2)及びその塩及び溶媒和物、エキセナチド(CAS No. 141732-76-5)及びその塩及び溶媒和物が含まれるがこれらに限定されない)、あるいはレチノイド(これにはアシトレチン(CAS No. 55079-83-9)及びその塩及び溶媒和物が含まれるがこれらに限定されない)と組み合わせて、あるいはカルシウムチャネルブロッカー(CCB)(これには、ニルバジピン(CAS No. 75530-68-6)及びその塩及び溶媒和物、ニトレンジピン(CAS No. 39562-70-4)及びその塩及び溶媒和物、ニモジピン(CAS No. 66085-59-4)及びその塩及び溶媒和物)と組み合わせて、あるいはアンジオテンシン受容体ブロッカー(これにはバルサルタン(CAS No. 137862-53-4)及びその塩及び溶媒和物が含まれるがこれら
に限定されない)と組み合わせて、あるいはテトラサイクリン系抗生物質(これにはミノサイクリン(CAS No. 10118-90-8)及びその塩及び溶媒和物が含まれるがこれらに限定されない)と組み合わせて、補助療法として用いることができる。
したがって、本発明の治療法及び医薬組成物は、単剤療法において、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物を用いることができる。しかし、その方法及び組成物は、多剤療法に用いることもでき、多剤療法においては1以上のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物が、1以上のその他の治療剤と組み合わせて併用投与される。
上述した態様において、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物とその他の治療用活性剤との組み合わせを、投与形態に関して、互いに別々に又は同時に投与でき、それらの投与時間に関しては、順次又は同時のいずれかであってよい。したがって、一つの薬剤成分の投与は、別の薬剤成分(1又は複数)の投与の前、それと同時、又は順次であることができる。
一般に、医薬用のためには、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物を、少なくとも1つの本発明の硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物と、少なくとも1つの医薬として許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は補助剤とを含み、任意選択により場合によっては1つ以上のさらなる治療剤及び/又は活性成分を含んでもよい医薬組成物として配合することができる。
非限定的な例では、医薬組成物は、経口投与、非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、又は皮下注入又は静注によるものなど)、局所投与(目を含む)のため、吸入、皮膚用パッチ剤、埋め込み、座剤などによる投与のために適した剤形であることができる。そのような適切な剤形(これらは投与のしかたに応じて、固形、半固形、又は液体であることができる)及び投与方法、並びにそれらの調製に用いるための担体、希釈剤、及び賦形剤は、当業者にとって明らかであり、RemingtonのPharmaceutical Sciencesの最新版が参照される。医薬組成物は固体形態で配合し、使用前に再溶解又は懸濁させてもよい。
いくつかの好ましい、しかし非限定的な剤形の例には、錠剤、丸薬、粉末、ロゼンジ(トローチ)、小袋(サシェ)、カシェー(水カプセル)、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、溶液、シロップ、エアロゾル、軟膏、クリーム、ローション、ソフト又はハードゼラチンカプセル、座剤、ドロップ、滅菌注射剤、及び滅菌包装済み粉末(これは通常、使用前に再構築される)が含まれ、これらはボーラス投与及び/又は連続的投与のためのものであり、かつこれらはそのような配合のためにそれ自体適している担体、賦形剤、希釈剤を用いて配合することができ、その例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、スターチ、アカシアゴム、燐酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、珪酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、セルロース、(滅菌)水、メチルセルロース、メチル及びプロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、食用油、植物油、及び鉱油、並びにそれらの適切な混合物である。これらの医薬組成物は、任意選択により場合によっては医薬配合物に一般的に用いられるその他の物質、例えば、滑沢剤、湿潤剤、乳化及び懸濁剤、分散剤、崩壊剤、安定剤、等張剤、増量剤、充填剤、保存料、甘味剤、香味剤、着香剤、着色剤、抗菌剤、及び/又は抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸)、分散剤、流動性調節剤、放出剤などである。これらの組成物はまた、組成物に含まれる活性化合物(1又は複数)の急速、持続、又は遅延放出をもたらすように配合してもよい。
本発明の医薬組成物は好ましくは単位投与形態であり、例えば、箱、ブリスター、バイアル、瓶、サシェ、アンプル、あるいはその他の適切な単回投与又は多回投与ホルダー又は容器(これらは適切にラベルをつけることができる)に、適切に包装することができ、任意選択により場合によっては製品情報及び/又は使用説明書を含めた1つ以上の冊子とともに包装してもよい。一般に、そのような単位用量は、0.05〜1000mg、通常は1〜500mgの本発明の少なくとも1つの化合物を含み、例えば、単位用量当たり約10、25、50、100、200、300、又は400mgである。
通常は、予防又は治療すべき状態及び投与経路に応じて、本発明の活性化合物は通常は、1日当たり、患者の体重1kg当たり0.01〜100mg、しばしば1日当たり、患者の体重1kg当たり0.1〜50mg、例えば、1〜25mg、例えば、約0.5、1、5、10、15、20、又は25mg投与され、これは単回1日用量として、2回以上にわけた1日用量として投与されるか、又は実質的に連続的に、例えば、点滴注入を用いて投与することができる。
式IIの化合物ついての言及の全てには、溶媒和物、特に式IIIの化合物、それらの多成分複合体及び液晶への言及が含まれる。
本願を通して開示した化合物は、Chem Draw(登録商標)Ultra version 12.0(CambridgeSoft, Cambridge, MA, USA)を使用して命名した。
N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンは、国際公開第2006/051489号に開示されているようにして得ることができる。その硫酸塩及び溶媒和物は、当技術分野で公知の方法にしたがって調製することができ、その方法には例えば、沈殿、結晶化、再結晶、凍結乾燥、相間移動又はイオン交換樹脂を含めた方法が含まれる。
[定義]
「溶媒和物」の用語は、本明細書において、化学量論量又は化学量論より少ない量の1種以上の医薬として許容可能な溶媒分子、例えばエタノールを含む、本発明における化合物を言い表すために用いられる。「水和物」の用語は、その溶媒が水である場合をいう。医薬として許容可能な溶媒分子は、本発明の化合物と一緒に結晶化される、及び/又は結晶及び/又はその固体のアモルファス相中に存在する、及び/又はそれに吸着されていることができる。
ここで用いる場合の用語「アルツハイマー病」は、全てのタイプのアルツハイマー病を指し、それには散発型と家族型が含まれるがそれらに限定されない。
ここで用いる場合の用語「骨パジェット病及び/又は前頭側頭型認知症をともなう封入体筋症(IBMPFD)」は、一種のミオパシー、より具体的には、筋肉、骨、及び中枢神経系に影響を及ぼす遺伝的成人発生型多系統疾患である。この病状をもつ患者は、さまざまな兆候を示す可能性があり、それには封入体筋症、骨パジェット病、前頭側頭型認知症、及び/又は筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)が含まれる。
ここで用いる場合の用語「レビー小体型認知症(DLB)」、これはレビー小体型認知症、びまん性レビー小体病、皮質レビー小体病、レビー型老年性認知症としても知られているが、これはアルツハイマー病及びパーキンソン病の両方に密接に関連する認知症の1タイプである。それは、レビー小体(ニューロン中のαシヌクレイン及びユビキチンタンパク質の凝集塊であって、死後の脳組織診断において検出可能である)の存在によって特徴付けられる。
ここで用いる場合の用語「シヌクレイン病」は、ニューロンにおけるαシヌクレイン陽性の蓄積物によって特徴付けられる中枢神経系の疾患を意味する。
ここで用いる場合の用語「アミロイド血管症」は、中枢神経系の血管の壁に形成されるアミロイド沈着物に関連する疾患を意味する。
ここで用いる場合の用語「タウロパチー」は、ヒトの脳内でのタウタンパク質の病的凝集に伴う神経変性疾患を意味する。
ここで用いる場合の用語「発育異常疾患」は、子供の発育におけるいくつかの段階で現れ、1つ以上の生理的機能、例えば言語能力の発達を遅延又は阻害する全ての状態を意味する。発育異常疾患には、心理学的疾患及び身体的疾患が含まれる。発育異常疾患の非限定的な例は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、ダウン症候群、注意力欠如障害(ADD)、及び注意欠陥・多動性障害(ADHD)である。
用語「患者」は、医療を受けることを待ち望んでいる、あるいは医療を受けている、あるいは医療処置の対象であるか、今後対象となる、温血動物、さらに好ましくはヒトをいう。
用語「ヒト」は、男性女性の両方、かつ発育の全ての段階(すなわち、新生児、幼児、子供、青年、大人)にある対象者をいう。
ここで用いる場合の用語「治療する」、「治療している」、及び「治療」は、病気又は疾患及び/又はそれに伴う症状を緩和する、弱める、又は無効にすることを含むことを意味する。
ここで用いる場合の用語「予防する」、「防止する」、「防止」は、病気又は疾患及び/又はそれに伴う症状の発現を遅延又は起きないようにする、患者が病気又は疾患に罹患することを妨げる、あるいは病気又は疾患に罹患する患者のリスクを低減する方法をいう。
ここで用いる場合の用語「医薬として有効量」(又はより簡単に「有効量」)は、活性剤又は活性成分を投与する患者において所望の治療又は予防効果を達成するために十分である活性剤又は活性成分(例えば、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン)の量を意味する。
用語「投与」又はその変形(例えば、「投与する」)は、病気、症状、又は疾患が治療又は予防されるべき患者に、単独で又は医薬として許容可能な組成物の一部として活性剤又は活性成分(例えば、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン)を与えることを意味する。
「医薬として許容可能」は、医薬組成物の成分が、互いに適合性であり、患者に対して有害ではないことを意味する。
ここで用いる場合の用語「医薬ビヒクル」は、そのなかに医薬活性剤を配合し及び/又は投与される溶媒又は希釈剤として用いられる担体又は不活性媒体を意味する。医薬ビヒクルの非限定的な例には、クリーム、ゲル、ローション、溶液、及びリポソームが含まれる。
図1は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの酒石酸塩(1当量)のDSCスペクトルを示す。 図2は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンのフマル酸塩(1当量)のDSCスペクトルを示す。 図3は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンのシュウ酸塩(2当量)のDSCスペクトルを示す。 図4は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンのシュウ酸塩(3当量)のDSCスペクトルを示す。 図5は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンのシュウ酸塩(4当量)のDSCスペクトルを示す。 図6は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩(1当量)のDSCスペクトルを示す。 図7は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩(2当量)のDSCスペクトルを示す。 図8は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと4当量のシュウ酸の塩のXRPDディフラクトグラム(X線粉末回折データ)を示す。 図9は、実施例1のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと2.9当量の硫酸の塩のXRPDディフラクトグラム(X線粉末回折データ)を示す。 図10は、実施例2のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1.8当量の硫酸の塩のXRPDディフラクトグラム(X線粉末回折データ)(より強度が大きなグラフ)を、実施例1のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと2.9当量の硫酸の塩のもの(より強度が小さいグラフ)と重ねて示している。 図11は、実施例3のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1当量の硫酸の塩のXRPDディフラクトグラム(X線粉末回折データ)を示している。 図12は、実施例3のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1当量の硫酸の塩のXRPDディフラクトグラム(X線粉末回折データ)(下のグラフ)を、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン(フリー塩基)のもの(上のグラフ)と重ねて示している。 図13aは、光学顕微鏡で、325倍に拡大して、透過光下で観察されるN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと4当量のシュウ酸の塩の結晶の写真を示している。 図13bは、光学顕微鏡で、325倍に拡大して、交差偏光下で観察されるN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと4当量のシュウ酸の塩の結晶の写真を示している。 図14は、実施例4のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと2当量の硫酸の塩のXRPDディフラクトグラム(X線粉末回折データ)を示している。 図15は、実施例4のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと2当量の硫酸の塩のXRPDディフラクトグラム(X線粉末回折データ)(下のグラフ)を、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン(フリー塩基)のもの(上のグラフ)と重ねて示している。 図16は、実施例3のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1当量の硫酸の塩の25℃におけるDVS乾燥曲線を示している。 図17は、実施例3のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1当量の硫酸の塩の25℃におけるDVS吸脱着等温線を示している。 図18は、実施例3のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1当量の硫酸の塩の脱水型の25℃におけるDVS吸脱着等温線を示している。 図19−a〜19−dは、インビトロAPP代謝アッセイにおいて、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1.8当量の硫酸の塩について得られた結果を示している。全ての図において、結果は、対照(白いバー)と4つの濃度における本発明の硫酸塩(黒いバー)について示している。図19−aはAICDレベルを示し、図19−bはCTFαレベルを示し、図19−cはAβ1-42レベルを示し、図19−dはsAPPαレベルを示している。 図20は、さまざまな用量のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1.8当量の硫酸の塩で処置したマウスの前頭皮質において測定したCTFαレベルを示している(インビボAPP代謝アッセイ;24時間急性処置)。結果は、賦形剤(白いバー)及び5つの用量での本発明の硫酸塩(濃灰色のバー)について示している。 図21は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと2当量の硫酸の塩、又は国際公開第2006/051489号のシュウ酸との塩のさまざまな用量で処置したマウスの前頭皮質において測定したCTFαレベルを示している(インビボAPP代謝アッセイ;マウスの24時間急性処置)。結果は、賦形剤(白いバー)、シュウ酸塩(淡灰色のバー)、及び本発明の硫酸塩(濃灰色のバー)(6 mg/kgで)について示している。 図22−a及び22−bは、インビボAPP代謝アッセイ(ラット、1ヶ月の慢性試験)においてN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1.8当量の硫酸の塩に対して得られた結果を示している。全ての図において、結果は、賦形剤(白いバー)及び2通りの濃度での本発明の硫酸塩(濃灰色)について示している。図22−aは、前頭皮質におけるCTFレベルを示しており、図22−bは海馬におけるCTFβレベルを示している。 図23−a、23−b、及び23−cは、インビボAPP代謝アッセイ(マウスの3ヶ月慢性試験)においてN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1.8当量の硫酸の塩に対して得られた結果を示している。全ての図において、結果は、賦形剤(白いバー)及び3通りの濃度(濃灰色のバー)での本発明の硫酸塩について示している。図23−aはAT100レベルを示し、図23−bはAT8レベルを示し、図23−cはLPOレベルを示している。
[化学例]
以下の略語は本明細書を通して用いられる:
℃:セルシウス温度、DIPE:ジイソプロピルエーテル、DSC:示差走査熱量計、DVS:動的水蒸気吸着/脱離、δ:ppm単位で表したNMR化学シフト、eq:当量、Et:エチル、g:グラム、h:時間、HPLC:高速液体クロマトグラフィー、IPA:イソプロパノール、IR:赤外、L:リットル、LCMS:マススペクトルと連結したHPLC、M:モル/L、mM:ミリモル/L、μM:マイクロモル/L、Me:メチル、mg:ミリグラム、min:分、mL:ミリリットル、mol:モル、mmol:ミリモル、μmol:マイクロモル、MS:マススペクトル、NMR:核磁気共鳴、ppm:百万分の1、RH:相対湿度、rm:反応混合物、rpm:1分当たりの回転数、rt:保持時間(リテンションタイム)、RT:室温(約15〜25℃)、RV:反応容器、THF:テトラヒドロフラン、XRPD:X線粉末回折、W:ワット。
全ての報告した温度は、セルシウス度(℃)で表される。全ての反応は、別途記載がない限り、室温(RT)で行なった。
本発明において用いた実験の設定又は精製手順は、特に詳細に記載されていない場合は、当業者に公知であると考えられ、標準のリファレンスマニュアルに記載されており、例えば以下のものである:i) Gordon, A. J.,; Ford, R. A. “The Chemist’s Companion - A handbook of Practical Data, Techniques, and Reference”, Wiley; New York, 1972; ii) Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry, Pearson Prentice Hall: London, 1989。
HPLC分析
方法A:
HPLCスペクトルは、通常、Waters Alliance 2695システムHPLCで得た。この装置は、オートサンプラー、クォータナリポンプ、及び紫外マルチ波長検出器を含む。用いたクロマトグラフィーカラムは、Waters X-Terra RP18 5μm, 4.6 x 250 mmだった。
通常用いた溶出液は、溶液A(H2O中0.1%TFA)及び溶液B(MeOH中0.1%TFA)の混合物だった。
傾斜(グラジエント)は1 mL/分の流速で以下のとおり適用した:傾斜は、0分で5%溶液Bの初期条件、50分で40%溶液Bへと直線的に増加させ、5分間40%で保持し、1分で初期条件へと戻して5分間それを保った。
方法B:
変形法では、HPLC分析は、下の表1に開示したパラメータにしたがって行った。
Figure 0006384923
NMR分析
1H(300 MHz)スペクトルは、Bruker Advance DRX 300 MHz装置で記録した。化学シフトは、百万分の1単位(ppm、δ単位)で表される。カップリング定数はヘルツ(Hz)で表される。NMRスペクトルにおいて観測される多重度の略語は以下のとおりである:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、br(幅広い)。
DSCスペクトル TA Instrument, DSC Q10
DSCスペクトルは、TA DSC Q10装置で、-10〜300℃又は400℃の温度範囲内で、かつ10℃の増分ごとに記録した。
光学顕微鏡
光学顕微鏡による観察を、デジタルカメラと電動ステージを備えたLEICA DMIRB顕微鏡で行った。ガラスプレート上にミネラルオイルとともに数個の粉末粒子を分散させる。透過光と偏光の両方のもとで、Microvision Instrumentsからの画像解析プラットフォームを用いて写真を記録した。
X線粉末回折
X線粉末回折(XRPD)分析は、Brueker-AXS D8 Advance diffractometerで、銅の対陰極、単結晶シリコンのサンプルホルダー、及び位置検出素子を使用して行う。X線パターンを得るための装置の操作条件は、表2に記載されている。
Figure 0006384923
粉末試料は、選択配向(ランダムでなく配向した結晶)を避け、かつ試料表面の平面性を確保するようにしてシリコンサンプルホルダー上に分散させる。
動的水蒸気吸着
水を用いる動的水蒸気吸着(DVS)分析は、DVS-Intrisic Control Software 1.0を備えたSMS社のDVS-Intrisicインキュベーターで行った。
アルミニウム皿ホルダー中に置いた約5〜10 mgの試料を、表3に記載した条件下で完全サイクル分析(吸着とそれに続く脱離)にかけた。
Figure 0006384923
試料は、安定な質量が得られるまで、フィルターを通した乾燥空気の流れのもとで予備乾燥させた。相対湿度を次に5%の増分で増大させた。各段階で、試料の重量を平衡に達するまで増大させ(dm/dt基準で)、次に相対湿度をさらに増大させた。相対湿度は95%になるまで傾斜をつけて増大させた。この段階で平衡になった後、脱離を同様の段階的やり方で開始し、各減分の湿度低下ステップの後で、サンプルの重量が安定するようにさせた。
溶媒及び反応剤は購入し、他に規定していない限り、販売会社から受け取ったまま用いた。
[例1]N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと2.9当量の硫酸の塩の合成
DIPE中の希釈した硫酸溶液を、28 mL(0.197 mol)のDIPEに4 mL(0.0751 mol)の濃硫酸を添加することによって調製した。
DIPE(280 mL)中のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン(16.1 g, 0.03756 mol)の懸濁液に、上述した希硫酸溶液32 mLを滴下して添加した。10℃程度のわずかな温度上昇が観察された。その反応混合物をRTで撹拌し、1時間かけて清澄になった。得られた白色溶液を濾過し、回収した。得られた白色粉末を次に50℃において真空下で48時間乾燥させた。
分析データ
HPLC(方法A):室温(rt):20.24分;
元素分析:
計算値:%C=48.06; %H=7.74; %N=13.45; %S=10.26; %O=20.48
測定値:%C=41.43; %H=6.95; %N=11.60; %S=12.34; %O=26.53
[例2]N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1.8当量の硫酸の塩の合成
表題化合物は、例1に記載したものと同様の方法にしたがって調製した。
分析データ
HPLC(方法A):室温(rt):29.207分;
NMR (D2O): δ (ppm): 7.2 (m, 4H, 2CH); 3.7 (b, 8H, 4CH 2); 3.4-3.1 (m, 8H, 4CH 2); 2.9 (m 4H, 2CH 2); 2.3-1.9 (m, 6H, 2CH+2CH 2); 0.85(d, 12H, 4CH3)
元素分析:
計算値:%C=48.06; %H=7.74; %N=13.45; %S=10.26; %O=20.48
測定値:%C=49.55; %H=7.89; %N=13.87; %S=8.95; %O=19.29
[例3]N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1当量の硫酸の塩の合成
3 mLのエタノールをN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの合成品99.6 mgに添加し、ほぼ完全な溶解を、70℃に加熱して達成した。等モル量の0.5 Mの硫酸水溶液を添加し(465μL)、完全な溶解が観察された。この溶液を減圧下70℃で乾燥させて固形残留物が得られた。この固体をIPA/EtOH中に70℃で再懸濁させて、微粒子の懸濁液を得て、溶媒の体積を次に部分的に減圧下で減らした。この懸濁液を室温に冷やした。上澄みを除去し、粉末を減圧下で2時間、70℃で乾燥させて表題化合物を89%収率で得た。
HPLC分析(方法B):表題化合物中のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン(フリー塩基)のパーセント割合は、外部標準法によって測定して、83.4%であることがわかった。この結果は理論計算値:81.4%とつじつまが合っている。
[例4]N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと2当量の硫酸の塩の合成
3 mLのエタノールをN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの合成品101.7 mgに添加し、ほぼ完全な溶解を、70℃に加熱して達成した。2モル当量の0.5 Mの硫酸水溶液を添加し(950μL)、完全な溶解が観察された。この溶液を減圧下70℃で乾燥させて半透明のフィルムを得たが、ここで予測した塩の結晶化がしだいに起こった。その固体を次に3 mLのエタノール中に再懸濁させて、透明な懸濁液を得て、これを60℃で15分間撹拌した。10 mLのIPAを添加して、塩の結晶化を完了させ、得られた懸濁液を80℃で30分間撹拌した。懸濁液を次に室温まで冷やし、夜通し室温においた。上澄みをフラスコから取り除き、粉末を減圧下で2.5時間、70℃で乾燥させて、表題化合物を71%収率で得た。
HPLC分析(方法B):表題化合物中のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン(フリー塩基)のパーセント割合は、外部標準法によって測定して、65.8%であることがわかった。この結果は理論計算値:68.6%とつじつまが合っている。
酸化、特にピペラジン環での酸化によるいかなる長期的不安定性も、固体状態にある硫酸塩について観察されなかった。
[例5]さまざまな塩の物理化学的分析
N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、及び硫酸塩を、上の実施例で記載した方法と同様の手順、又は当技術分野で周知の標準的な塩の形成方法にしたがって調製した。これらの塩形成の結果を表4に報告する。
Figure 0006384923
塩酸塩は非常に吸湿性が簡単にわかる一方、酢酸塩は固体状態では得られなかった。酒石酸塩及びフマル酸塩は固体として得られるが、そのDSC分析はそれらが結晶ではないことを示した(図1及び2を参照されたい)。そのような欠点は、固体形態に関してバッチがかわっても生じうる。バッチごとの再現性は、薬剤化合物の合成において必須の評価基準であり、特に異なる固体形態が異なる薬物動態学的及び薬力学的特性を有しうる場合にそうである。したがって、酒石酸塩及びフマル酸塩は満足できるものではない。
リンゴ酸塩は粉末として得られた。しかし、この塩は不斉炭素を有する。不斉(キラル)中心は臨床開発をかなり複雑にし、なぜなら各立体異性体が活性な立体異性体として同じように特性分析されることが必要だからである。
シュウ酸塩に関しては、好適な結晶性粉末を得るためには、4当量のシュウ酸対イオンが必要とされる。シュウ酸塩類(2当量、3当量、4当量)のDSCグラフを図3、4、及び5にそれぞれ示している。これらのDSCスペクトルに示されているように、テトラシュウ酸塩は最も良好な形の明確な吸熱を示す。4当量のシュウ酸塩を有することが必要であることは問題であり、なぜなら活性分子の質量パーセントは54%にまで低くなるからである。したがって、所定用量のPAMのために投与すべき薬剤の量は顕著に増大し、シュウ酸塩にともなう腎臓毒性のリスクも高くなる。
両方の硫酸塩とも、固体として沈殿した。それらは、空気にさらして放置した場合にも安定であることがわかった。塩酸塩とは対照的に、いかなる吸湿性による問題も観察されない。DSC分析(図6及び7を参照されたい)はたいへん明確な吸熱を明らかにしており、これは結晶相を含む固体と整合する。
[例6]シュウ酸塩及び硫酸塩のXRPD分析
N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの4当量シュウ酸塩のXRPD回折データを図8に示している。分析した角度範囲において、低強度のいくつかの大きな回折線が検出された。XRPDプロファイルは、高い散乱バックグラウンドの存在を明らかにしている。そのようなXRPDプロファイルは、アモルファス相(高い散乱バックグラウンド)の存在とともにわずかな又は低い結晶性(大きな回折線)をもつ結晶相を有する粉末の特徴である。
例1の硫酸塩のX線回折プロファイル(図9を参照されたい)は、2θスケールで5〜25°の間にいくつかの非常に明確かつ鋭い回折ピークを示しており、これはその硫酸塩の固体形態が非常に良好な結晶相を含むことを示している。この回折データはバックグラウンドハロー(10〜30°の間)も示しており、これは固体中に存在するアモルファス部分から来ると解釈される。例2の硫酸塩とのプロファイルの比較は、検出されたいくつかの回折ピークの間にある多くの重複を明らかにしている(図10を参照されたい)。
例3の硫酸塩のXPRD回折グラフ(図11を参照されたい)は、4〜30°2θの間に多くの微細かつ大変明確な回折ピークによって、この塩の良好な結晶性を裏付けており、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン(フリー塩基)の合成物からのさまざまな回折プロファイルを報告している。この塩のXPRDプロファイルをフリー塩基の一つと比較しており、同じクロマトグラフィー(図12)中に重ねた両方のプロファイルは、硫酸塩とフリー塩基の間の異なる結晶形態とつじつまが合っている。これらの結果は、光学顕微鏡による観察とも一致している。実際に、透過光(図13a)及び交差偏光(図13b)の下で観察したときの粒子の高い複屈折と非常に明確な棒状のモルフォロジーは、良好な結晶性をもつ硫酸塩を示している。
例4の硫酸塩のXRPD回折グラフ(図14を参照されたい)は、4〜30°2θの間の多くの回折ピークによってこの塩の良好な結晶性を裏付けており、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン(フリー塩基)の合成物とは異なる回折プロファイルを報告している。この塩のXRPDプロファイルをフリー塩基の一つと比較しており、同じグラフ(図15)中に重ねた両方のプロファイルは、硫酸塩とフリー塩基の間の異なる結晶形態とつじつまが合っている。
結果として、例5及び6は、いずれのその他の酸の塩、特にシュウ酸塩に対して、硫酸塩が優れていることを明確に示している。硫酸塩は、塩化物塩のようなひどい吸湿性をもっていない。臭化物塩と異なり、それらは結晶化して粉末物質をもたらす。それらの結晶性は実際に酒石酸塩及びフマル酸塩の結晶性よりもずっと優れている。硫酸塩のように、具体的な4当量の化学量論のシュウ酸の塩は、結晶及びアモルファス相を含む固体をもたらす。しかし、そのXRPDプロファイル及び透過光及び偏光下の光学顕微鏡写真は、硫酸塩の結晶相は、モルフォロジー及び結晶性に関して、シュウ酸塩のものよりもさらに明確であることを明らかにした。さらに、硫酸塩類は、N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン(フリー塩基)の欠点を改善し、すなわち、それらは良好な結晶性をもつ結晶化層を有する固体形態で単離することができ、かついかなる明確な安定性の問題も有していない。さらに、硫酸塩類は、このPAMの配合の可能性を、それらの非常に高い水溶性によって広げる。4当量のシュウ酸の塩は、結晶性及びモルフォロジーについてのフリー塩基の欠点を完全には改善しておらず、いずれにしてもこれらの側面において硫酸塩より劣っている。当業者は4当量のシュウ酸の塩を、フリー塩基PAMの全体的特性を低下させると考えるであろう。なぜなら、それは多量のシュウ酸対イオンを含み、これがひどい腎臓毒性を引き起こしうるからである。
[例7]N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンと1当量の硫酸の塩のDVSプロファイル
上述した方法にしたがって、DVS分析を行った。
結果を図16及び17に示しており、これらは例3の硫酸塩の予備乾燥後のDVS乾燥曲線並びにDVS等温曲線(水蒸気の吸着/脱離の追跡)を示している。図17中、上側の曲線は脱離相に対応し、下側の曲線は吸着相に対応する。
25℃/0%RHでの乾燥により、試料はその質量の0.18%を失った。
吸着時、異なる水吸着の速度及び挙動に対応する3つの相対湿度区間を、試料の質量の変異から観察した:
- 0〜80% RH:連続的かつ遅い水吸着速度:25℃/60% RH及び25℃/80% RHにおける水の取り込みは、0% RHにおいて最初に乾燥させた後で得られた試料の質量に対してそれぞれ0.7%及び1.5%だった;
- 80〜90% RH:急速かつほぼ一定の水吸着速度;25℃/90% RHにおける水の取り込みは、0% RHにおいて最初に乾燥させた後で得られた試料の質量に対して9.7%だった;
- 水の吸着はそれからさらに増大し、25℃/95% RHにおける水蒸気の取り込みは、0% RHにおいて最初に乾燥させた後で得られた試料の質量に対して19.4%だった。
脱離時、異なる水脱離の速度及び挙動に対応する3つの相対湿度区間を観察した:
- 95〜90% RH:0% RHにおいて最初に乾燥させた後で得られた試料の質量に対して、25℃/75% RHにおいて、10%の残存を伴う残留水の急速な減少速度;
- 75〜10% RH:試料は、強くかつほぼ一定のヒステリシスで「吸着」水を保持していた(25℃/75%RHにおいて最大6.7%);
- 10〜0% RH:試料はその水の一部を失った;水の残存量は、0% RHでの初期乾燥後に得られた試料質量に対して、25℃/0% RHで4.6%だった;この段階で、試料の質量は安定化されており、したがって、周囲の環境との平衡状態にある。
通常用いられる基準に基づけば(すなわち、化合物が、25℃/60% RHにおいて2質量%より多い水の取り込みを示す場合には吸湿性といわれる)、例3の硫酸塩は25℃/60% RHにおいて吸湿性ではなく、この段階における全質量取り込みしかない。
80% RHにおける急速な水の取り込み並びに強いヒステリシス(脱離時、80から10% RHで6から6.7%の水の残存)を考慮すると、非溶媒和形態として初めに得られた例3の硫酸塩は、高いRHにおいて二水和物形態に変わった。例3のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの1当量硫酸塩の二水和物についての理論的水取り込みは6.8%であり、実験で測定された6.7%と一致している。
上述した最初のDVSサイクルの最後に、その同じ試料を、第2の吸着相及び第2の脱離相をもつ第2のDVSサイクルにかけた。その結果を図18に示す。第2の吸着及び脱離相の両方とも、最初のDVSサイクル時に得られた最初の脱離相曲線と同じだった。実際に、図18からわかるとおり、脱離相と吸着相は互いに重なっている。最初のサイクル時に25℃において80% RHを超えたところで得られた実施例3のN-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの1当量硫酸塩の二水和形態は、したがって安定かつ非吸湿性だった。
[生物学的例]
インビトロAPP代謝アッセイ
このアッセイはSH-5Y5Y細胞(天然型ヒトAPPを過剰発現しているヒト神経芽腫細胞株)を用いて行い、この細胞を例2の硫酸塩で24時間処理した。この試験は、4つの異なる化合物濃度0.3、1、3、及び10μMにおいて行った。さまざまな代謝産物の定量化を、ウエスタンブロット分析によって行った。CTFα、CTFβ、及びAICDを、内部コントロールとしての抗アクチン((I-19) (SC-1616 Santa Cruz Biotechnology; 200μg/mlの原液から1:1000))及び抗C-term APP抗体(洗浄バッファー中に1:250000)を用いて分析した。タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Scientific)によって決定した。試料(20μgの総タンパク質)を各タンパク質の分子量にしたがって16% SDS-PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に移した。
結果を図19−a、19−b、19−c、及び19−dに示している。それらは、用量に応じて増大したレベルのAICD、CTFα、及びsAPPαと、用量に応じて低下したレベルのAβ1-42を示している。
したがって例2の硫酸塩は、アミロイドプラーク形成に関与する有害な代謝産物の形成の低下を伴う、非アミロイド形成経路によるAPP代謝の顕著な増大を引き起こしている。これらの結果はいっそう顕著なものであり、なぜなら、Aβ1-42は、アミロイドプラーク形成に関して最も有害なAPP代謝副産物の1つだからである。さらにペプチドsAPPαはアミロイドプラーク形成を誘発せず、有益な神経保護効果を有することがむしろ認められている。
さらに、この硫酸塩について、いかなる細胞毒性も発見されておらず、そのSH-5Y5Y細胞株に対するCC50は、30μMより大きなことがわかっていることを述べておく。CC50はここでは、蒔いた細胞の50%が生きたまま残っている濃度として定義される。
[インビボAPP代謝アッセイ]
インビボ試験を、4月齢のC57B16メスのマウス又は2月齢のスプラーグドーリーラットに対して行った。
C57B16メスのマウスを、経口(強制経口投与)によって24時間の間、0.25、0.5、1、3、及び6 mg/kgの賦形剤又は化合物(例2)(1つのグループ当たりn = 6)で処置した。その化合物等は、使い捨てのRodent Feeding Tube ECIMED Ref# V0104030(4 mm x 30 mm)を用いて投与した。動物を24時間後に犠牲にし、脳を解剖のために直ちに取り出した。前頭皮質(FC)及び/又は海馬(HIP)におけるCTFαのレベルを、先に述べたウエスタンブロット分析によって測定した。簡単に述べると、組織を、200μLの溶解用緩衝液(10 mLのレムリ予備溶解緩衝液と1錠のプロテアーゼ阻害剤混合物Complete Mini (Roche))とともにポッター中でホモジナイズした。超音波照射(5分)後、ホモジネートを1600 rpm、5分、4℃で遠心分離機にかけた。上清を等分し、ウエスタンブロット分析の前に-80℃で貯蔵した。
用量依存性の結果を図20に示している。例2の化合物は、前頭皮質中、非アミロイド生成経路を通してAPP代謝を高め、それはCTFαの濃度を上昇させることによって示されている。前頭皮質は、通常、異常なAPP代謝に関連する疾患においてアミロイドプラーク形成によって影響を受ける脳の最初の領域である。
例2の化合物を、同じアッセイ(6 mg/kgの用量)において国際公開第2006/51489号記載のシュウ酸塩とも比較した。図21に示されている結果は、シュウ酸塩と比較した硫酸塩の優れた効果を示している。
[慢性的処置:1ヶ月]
ラットに、その飲み水に溶かした1又は10 mg/kg/日の例2の化合物を1ヶ月間与えた。この硫酸塩の非常に高い溶解度が、それらの動物への硫酸塩の容易な配合と投与を容易にすることができた。それらの動物を1ヶ月後に犠牲にし、前頭皮質及び/又は海馬におけるCTFα及びCTFβのレベルを、先に説明したようにして、ウエスタンブロット分析によって測定した。容量依存性の結果を図22−a及び22−bに示してある。例2の硫酸塩は、前頭皮質において非アミロイド生成経路を通してAPP代謝を高め、これはCTFαの濃度を増大させることによって示されているとおりである(図22−a)。例2の硫酸塩は海馬において非アミロイド生成経路を通してAPP代謝を弱め、これはCTFβの濃度を低下させることによって示されているとおりである(図22−b)。前頭皮質は、通常、異常なAPP代謝に関連した疾患においてアミロイドプラーク形成によって影響を受ける脳の最初の領域であるが、その一方、海馬(これは記憶及び回想の過程に大きく関与している)は後に、しかし強く障害される。例2の硫酸塩は、したがって、前頭皮質及び海馬の両方において、APP代謝への非常にプラスの影響を有し、それゆえ、神経変性疾患、特に初期及び進行した段階の異常APP代謝に関連する疾患の治療において興味がもたれる。
[慢性的処置:3ヶ月]
神経病理学的疾患は、タウタンパク質(AT100)の異常リン酸化によっても特徴付けられる。タウタンパク質の過剰リン酸化(特定部位における)は、神経原線維のもつれ(NTF)の細胞内蓄積をもたらし、これはアルツハイマー病及びその他のタウロパチーの発病に関与する。この研究の一つの軸は、したがって、この異常リン酸化への例2の化合物の効果を研究することだった。それと並んで、そのような効果は、影響をうけないままでいるタウタンパク質(AT8)の非病理学的異常リン酸化についても検査した。この研究の別の軸は、したがって、酸化的ストレス(OS)への例2の硫酸塩の影響だった。したがって、脂質の過酸化のレベル(これは酸化的ストレスの評価のための周知のマーカーである)を測定した。実際に、酸化的ストレス(OS)は、有害な反応性酸素種(ROS)の生成及び酸化的障害(脂質、タンパク質、及びDNAのような、生きた細胞の構成成分の酸化)によって、神経変性疾患の発症に関与すると考えられている。神経細胞のOS応答は、神経変性過程へのその関与について特に研究されている。OSは、ROS生成と抗酸化防衛との間の不均衡に起因し、これが酸化的ダメージの蓄積を、そして最後には細胞死をもたらす。酸化的ダメージは、パーキンソン病(PD)及びハンチントン病(HD)において病的なニューロンの欠損もまた伴う。
四月齢のC57B16メスのマウスに、それらの飲み水に溶かした0.5、1、又は3 mg/kgの例2の化合物を与えた。まず初めに、全てのマウスの体重を計り、1つのケージ当たりほぼ同じ平均体重±SDを有するようにするためにそれぞれのケージに分配した。それぞれの濃度試料を滅菌瓶中で調製し、光を遮って室温においた。飲料瓶を毎週満たし、秤量した。消費された体積を各週の後に各瓶を秤量することによって計算し、残った体積のものは廃棄した。
AT100リン酸化レベルの測定は、脳組織について、特異的抗AT100抗体(抗ヒトPHF-タウモノクローナル抗体, MN1020, ThermoScientific/Pierce)を用いてウエスタンブロット分析(先に説明した)によって行った。
AT8リン酸化レベルの測定は、脳組織について、特異的抗AT8抗体(抗ヒトPHF-タウモノクローナル抗体, MN1060, ThermoScientific/Pierce)を用いてウエスタンブロット分析(先に説明した)によって行った。
LPOレベル測定:海馬中の脂質の過酸化のレベルを、クメンヒドロパーオキシド(CHP)当量として測定し、組織の単位湿重量当たりのCHP当量として、また、変形FOXアッセイにしたがう対照群データに対するパーセント割合として表した。
その結果を図23−a、23−b、及び23−cに示してある。本発明の硫酸塩は、病的なタウタンパク質リン酸化を低減する(図23−a)とともに、正常なタウタンパク質のリン酸化に影響を及ぼさない(図23−b)。さらに、この硫酸塩はLPOレベルの顕著な低下を誘導し、したがって、酸化的ストレス過程を部分的に軽減することができる(図23−c)。
上の試験結果からみて、本発明の硫酸塩類は、前頭皮質及び海馬において、APP代謝を非アミロイド産生経路に向けるのに有用である。それらはさらに、病的なタウタンパク質のリン化を変えるとともに、酸化的ストレス過程を緩和する。

Claims (12)

  1. N-(3-(4-(3-(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロピル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンの硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物。
  2. 下記式II
    Figure 0006384923
    (式中、xは0.5〜4である)
    を有する請求項1に記載の硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物。
  3. xが1.5〜2.5であることを特徴とする、請求項2に記載の硫酸塩又は医薬として許容可能な溶媒和物。
  4. xが0.5〜1.5であることを特徴とする、請求項2に記載の硫酸塩又は医薬として許容可能な溶媒和物。
  5. Xが2.5〜3.5であることを特徴とする、請求項2に記載の硫酸塩又は医薬として許容可能な溶媒和物。
  6. 下記式III
    Figure 0006384923
    (式中、xは請求項2において定義したとおりであり、
    yは0.5〜5である)
    を有する、請求項2に記載の硫酸塩。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物、並びに少なくとも1つの医薬として許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は補助剤を含む医薬組成物。
  8. 医薬として使用するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硫酸塩又は医薬として許容可能なその溶媒和物。
  9. 神経変性疾患、アミイドパチー、タウロパチー、及び発育異常疾患から選択される疾患の治療及び/又は予防のための、請求項7に記載の医薬組成物。
  10. 前記疾患が、アルツハイマー病、レビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症をともなう筋萎縮性側索硬化症(ALS)、骨パジェット病及び/又は前頭側頭型認知症をともなう封入体筋症(IBMPFD)、前頭側頭葉変性症、シヌクレイン病、ハンチントン病、パーキンソン病、アミロイド血管症、クロモソーム17に関連するパーキンソン病をともなう前頭側頭型認知症、並びにダウン症候群から選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 神経変性疾患、アミロイドパチー、タウロパチー、及び発育異常疾患から選択される疾患の発病を、患者において遅らせるための、請求項7に記載の医薬組成物。
  12. 前記疾患が、アルツハイマー病、レビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症をともなう筋萎縮性側索硬化症(ALS)、骨パジェット病及び/又は前頭側頭型認知症をともなう封入体筋症(IBMPFD)、前頭側頭葉変性症、シヌクレイン病、ハンチントン病、パーキンソン病、アミロイド血管症、クロモソーム17に関連するパーキンソン病をともなう前頭側頭型認知症、並びにダウン症候群から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
JP2015550088A 2012-12-27 2013-12-27 N−(3−(4−(3−(ジイソブチルアミノ)プロピル)ピペラジン−1−イル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミンの硫酸塩、その製造、及びその使用 Active JP6384923B2 (ja)

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