以下では、本実施形態の電力変換装置11について、図1ないし図7を参照しながら説明する。電力変換装置11を備えた電力変換システム50は、図8を用いて説明する。図中においては、同じ部材に対し、同じ番号を付して重複する説明を省略する。各図面が示す部材の大きさや位置関係は、説明を明確にするために誇張していることがある。
本実施形態の電力変換装置11は、図1ないし図3に示すように、電装部品1と、筐体2と、前面パネル3と、カバー部4と、を備えている。電装部品1は、直流電力を交流電力に電力変換する。筐体2は、前面が開口する箱状の外形形状をし、アルミニウムやその合金などの金属で一体成形されている。前面パネル3は、筐体2の前面を塞ぐことができるように構成されている。筐体2は、電装部品1を内部に収納することができるように構成されている。筐体2は、屋外側の壁面50aaに取付面2aaで取り付けられるように構成されている。筐体2は、図4に示すように、貫通口2abが取付面2aaに設けられている。カバー部4は、貫通口2abを覆うように合成樹脂等で成形され、取付部4aと、筒状部4bとから構成されている。取付部4aは、筐体2に取り付けられるように構成されている。筒状部4bは、図7Aおよび図7Bに示すように、配線12を挿通できるように構成されている。配線12は、電装部品1と電気的に接続される。筒状部4bは、筐体2の外部に向かって開口する第1開口部4b1と、この第1開口部4b1と反対側に設けられ筐体2の内部に向かって開口する第2開口部4b2とを有している。また、第2開口部4b2は、第1開口部4b1における鉛直方向の下端より鉛直方向の上方に設けられている。カバー部4は、少なくとも第1本体部41と、第2本体部42とで構成されている。第1本体部41と第2本体部42とは取り外しができるように構成されている。カバー部4は、さらに、第1本体部41と第2本体部42とが取り付けられた状態において、第1本体部41と第2本体部42が、取付部4a及び筒状部4bを構成している。
本実施形態の電力変換装置11は、第1開口部4b1における鉛直方向の下端より鉛直方向の上方に第2開口部4b2が設けられたカバー部4を備えることで、より信頼性を高くすることが可能となる。また、第1本体部41と第2本体部42とが取り付けられた状態では、第1開口部4b1と第2開口部4b2を用いて配線12の接続作業性を高めることができる。
最初に、電力変換装置11を備えた電力変換システム50を、図8を用いて、簡単に説明する。
電力変換システム50は、太陽電池51と、電力変換装置11と、リモートコントローラ52と、分電盤53と、を備えている。電力変換装置11は、建造物の外壁の壁面50aaに取り付けられるように構成されている。電力変換装置11は、複数の太陽電池51からの直流電力を交流電力に電力変換する。電力変換装置11は、電力変換した交流電力を分電盤53に出力し、負荷機器56、たとえば、照明器具、テレビジョンなどに供給する。また、負荷機器56で使用されなかった交流電力は余剰電力として商用交流電源55へ逆潮流させることができる。また、交流電力は全量を商用交流電源55へ逆潮流させることも可能である。電力変換装置11は、太陽電池51と電気的に接続させる構成だけに限られず、蓄電池ユニット、風力発電設備、燃料電池システムなどの直流電源設備と電気的に接続する構成としてもよい。
以下では、電力変換装置11の構成について、より具体的に説明する。
電力変換装置11は、図2で例示するように、電装部品1として、電力変換器11aを備えている。電力変換器11aは、DC−ACコンバータを備え直流電力を所定の交流電力に電力変換する。10は収納箱であり、主に筐体2と、前面パネル3と、カバー部4と、で構成されている。筐体2は、前面が開口する有底角筒状の外形形状をしている。前面パネル3は、筐体2の前面の開口を塞ぐことができるように形成された有底角筒状の外形形状としている。
図3に示すように電力変換器11aは、さらに開閉器11b、コネクタ部11c、端子台11d、設定部11e、DC−ACコンバータを覆う絶縁シート6、太陽電池51が発電した発電電力量の表示を行う表示部11fなどを備えている。
開閉器11bは、正面視において、電力変換器11aの鉛直方向の下方における左側に配置され、太陽電池51と図7A、図7Bおよび図8に示す配線12で電気的に接続される。以下では、太陽電池51と電気的に接続させる配線12を第1配線12aとも称する。電力変換器11aは、複数の開閉器11bを備え、最大5つの太陽電池51と各別に電気的に接続できるように構成されている。開閉器11bは、太陽電池51から入力された直流電力をDC−ACコンバータへ給電する電路の開閉を制御することができるように構成されている。
端子台11dは、正面視において、電力変換器11aの鉛直方向の下方における右側に配置されている。端子台11dは、配線12(以下では、分電盤53と電気的に接続する配線12を第2配線12bとも称する。)を介してDC−ACコンバータで電力変換した交流電力を分電盤53に出力することができる。
電力変換器11aは、通信部を備えている。通信部は、コネクタ部11cを介してリモートコントローラ52とつながり、たとえば、電力変換装置11の駆動条件の設定や、太陽電池51の発電量の確認などを行うことができるように構成されている。コネクタ部11cとリモートコントローラ52とは、配線12(以下では、コネクタ部11cに電気的に接続される第3配線12dとも称する)で電気的に接続されている。
電力変換装置11は、筐体2の内部において、開閉器11bとコネクタ部11cと端子台11dとを、鉛直方向の下方に設けている。電力変換装置11は、筐体2の内部において、カバー部4を鉛直方向の下方に設けている。電力変換装置11は、たとえば、筐体2の高さが65cm以上の場合もある。電力変換装置11は、筐体2が取り付けられる地表面からの地上高さが高い場合、鉛直方向の上方に開閉器11bなどを設けると、作業者は配線12の接続作業を筐体2の上方から見下ろすように行う必要がある。作業者は、より高い高所作業が必要となって、接続作業時の安全確保が不充分になる場合がある。本実施形態の電力変換装置11は、筐体2の内部において、カバー部4を鉛直方向の下方に設け、この近傍に開閉器11bとコネクタ部11cと端子台11dとを設けている。このように構成することで、作業者は配線12の接続作業を筐体2の下方から見上げるように行うことができ、より低い位置からの作業が可能になって接続作業の安全性を確保できるものである。
筐体2は、図3に示すように、背板21aと、第1側板21bと、第2側板21cと、上板21dと、底板21eと、を有している。背板21aは、正面視において、長方形状である。筐体2は、正面視において、第1側板21bと、第2側板21cと、上板21dと、底板21eとに、前面パネル3を取り外し自在に固定する第1螺子孔21a1を備えている。
筐体2には、図4に示すように、背板21aと、底板21eとに渡って、貫通口2abが設けられている。筐体2は、カバー部4の第2本体部42を固定する固定部21hを背板21aに複数設けている。固定部21hは、貫通口2abに向かって突出した平板状の外形形状をしている。固定部21hは、夫々が厚み方向に貫通する固定孔21haを有している。筐体2は、カバー部4の第2本体部42を固定部21hに筐体2の背面側から合わせた後、固定孔21haを挿通させた螺子を用いて、筐体2の内部から第2本体部42を螺子止めできるように構成されている。
筐体2は、図3に示すように、カバー部4における鉛直方向の上方に凹所21aaを備えている。凹所21aaは、正面視において、三角形状に形成されている。筐体2は、カバー部4の第2開口部4b2と、対向するようにコネクタ部11cおよび端子台11dを配置している。凹所21aaは、筐体2の内部に挿入された配線12の引き回しを行い易くさせることができる。
電力変換器11aは、発熱量が比較的に大きな電子部品の放熱のために、背板21aに複数の放熱フィン21fを備えている。筐体2は、たとえば、アルミダイキャストを用いることができる。筐体2の材料は、アルミニウムだけに限られず、アルミ合金や熱伝導性に優れた金属を用いることが好ましい。筐体2の材料は、金属だけに限られず、樹脂を用いることもできる。
前面パネル3は、熱伝導性に優れた金属を用いて形成することができる。前面パネル3は、たとえば、金属材料として、焼き付け塗装した鉄、ステンレスなどを用いることができる。前面パネル3の材料は、金属だけに限られず、樹脂を用いてもよい。前面パネル3は、環状のパッキンを介して、筐体2に固定される。パッキンは、前面パネル3と筐体2との間から水が浸入することを抑制することができる。
カバー部4は、図4および図5に示すように、第1本体部41と、第2本体部42と、を備えている。第1本体部41は、底部4a1と、傾斜部4a2と、第1側部4a3と、第2側部4a4と、台座部4a5とを有している。第1本体部41は、底部4a1と傾斜部4a2と第1側部4a3と第2側部4a4と、台座部4a5とが一体的に成形されている。第1本体部41は、たとえば、PC(Ploy Carbonate)樹脂とABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂とを混合したポリマーアロイの樹脂材料を用いて、一体成形で形成することができる。底部4a1は、板状に形成されている。底部4a1は、平面視において、C字状の外形形状をしている。台座部4a5は、底部4a1の厚み方向に突出している。台座部4a5は、平面視において、矩形状の外形形状をしている。底部4a1は、平面視において、台座部4a5を囲むように、C字状の外形形状をしている。第1本体部41は、台座部4a5が突出する表面と反対の裏面側が窪んでいる。
台座部4a5は、筐体2の底板21eにおける貫通口2abよりも若干小さい外形形状としている。底部4a1は、筐体2の底板21eにおける貫通口2abよりも大きい外形形状をしている。第1本体部41は、台座部4a5が筐体2の貫通口2abに嵌め入れることができるように構成され、台座部4a5を筐体2の貫通口2abに嵌め入れた状態で、底部4a1と、筐体2の底板21eとが当接するように構成されている。第1本体部41は、シール材を介して、底部4a1と、底板21eとを当接させることができる。シール材は、たとえばシリコーン樹脂製であり、筐体2と第1本体部41との隙間から水の浸入を抑制できるように設けられる。第1本体部41は、筐体2の貫通口2abまわりと当接する底部4a1の表面3aaに凹凸を有していてもよい。第1本体部41は、筐体2の貫通口2abまわりと当接する底部4a1の表面3aaに凹凸を有していることで、シール材との密着性を向上させることもできる。底部4a1は、台座部4a5の周部において、厚み方向に貫通する通孔4acを備えている。第1本体部41は、通孔4acに挿通する螺子を利用して、筐体2の底板21eに固定させることができる。第1本体部41は、筐体2の外部から筐体2に螺子止めされる。また、第1本体部41は後記する固定片4a8及び通孔部4abを用いて筐体2の内側から第2本体部42の第1ボス4c6のボス孔4cbに螺子止めされる。
台座部4a5は、支持片4a6と、補助片4a7とを有している。台座部4a5は、筐体2に第1本体部41が取り付けられた場合、平面視において、筐体2の取付面2aa側に支持片4a6と、補助片4a7とが配置されている。台座部4a5は、厚み方向に貫通する孔を備えている。台座部4a5は、複数の孔を備え、それぞれの孔は、キャップ部4fで封止されている。キャップ部4fは、台座部4a5と取り外し可能に構成され、ボルト形状に形成することができる。また、キャップ部4fは、ボルトの軸部を台座部4a5の孔に挿入した状態で、台座部4a5を挟んで反対側のナット4dに固定できるように構成されている。第1本体部41は、予め台座部4a5の厚み方向に貫通する孔を設ける構成だけには限られない。第1本体部41は、台座部4a5の孔を、ノックアウトで形成できるガイド溝を備えた構成としてもよい。ガイド溝は、台座部4a5に比較的簡単に孔を開けられるように構成されている。また、ガイド溝は、台座部4a5の裏面側で、円環状に形成され、配線12が挿通できる大きさの孔であれば良い。
支持片4a6は、傾斜部4a2を台座部4a5に支持することができるように構成され、傾斜部4a2の機械的強度を高めることができる。支持片4a6は、板状の外形形状をし、側面視において、三角形の外形形状をすると共に、補助片4a7と平行に設けられている。補助片4a7は、板状の外形形状をし、側面視において、支持片4a6とは傾斜の向きが異なる三角形の外形形状をしている。台座部4a5は、底部4a1から突出して段差を形成している。また、台座部4a5は、第1本体部41が筐体2に取り付けられた場合、底部4a1との段差の高さが取付面2aa側から筐体2の内部に向かうにつれ、増加するように形成されている。言い換えれば、カバー部4は、筐体2の内部に貫通口2abから鉛直方向の上方に突出して段差を形成しており、段差は、取付面2aa側から筐体2の内部に向かうにつれ大きくなっていることが好ましい。
電力変換装置11では、シール材を用いて、筐体2と第1本体部41との間を封止した場合でも、シール材を越えて水が筐体2の内部に浸入する場合がある。第1本体部41は、底部4a1と台座部4a5との段差が取付面2aa側から大きくなるように形成されていることで、この段差で水の浸入を抑制させることができる。また、第1本体部41は、シール材を用いて、筐体2と第1本体部41との間を封止させる場合、段差が取付面2aa側から大きくなるように形成されていることで、シール材の余剰分が台座部4a5に這い上がることを抑制することもできる。
底部4a1は、底部4a1の厚み方向に突出している当接片4a9を備え、当該当接片4a9は平板状の外形形状をしている。さらに当接片4a9には、傾斜部4a2が突出して構成され、当該傾斜部4a2は底面の中央部が窪んだ四角錐台状の外形形状をしている。傾斜部4a2は、四角錐台の高さ方向を厚み方向としている。傾斜部4a2は、中央部の窪みが窪部4eaを構成している。傾斜部4a2は、四角錐台状の外形形状だけに限られず、平板状の外形形状をしていてもよい。傾斜部4a2は、台座部4a5の一辺に沿って設けられ、側面視において、台座部4a5に対して傾斜して設けられている。また、傾斜部4a2は、側面視において、台座部4a5と直交する面と、台座部4a5の表面との間に配置され、複数の支持片4a6により台座部4a5に支持されている。台座部4a5は、3つ以上の支持片4a6を備える場合、台座部4a5に等間隔で支持片4a6を設けることができる。傾斜部4a2には、第1側部4a3と、第2側部4a4とが設けられている。第1側部4a3と第2側部4a4とは、傾斜部4a2の対向する辺に沿って設けられている。第1側部4a3と第2側部4a4とは、それぞれ傾斜部4a2の厚み方向に沿って突出した平板状の外形形状をし、側面視において、三角形状に形成されている。
第1側部4a3と第2側部4a4それぞれは、互いに離れる向きに突出する平板状の外形形状を有する固定片4a8を備えている。一方の固定片4a8は、第1側部4a3と、台座部4a5とに直交するように配置され、他方の固定片4a8は、第2側部4a4と、台座部4a5とに直交するように配置されている。固定片4a8は、厚み方向に貫通する通孔部4abが設けられている。
補助片4a7は、傾斜部4a2の両端に設けられた当接片4a9の機械的強度を高めることができる。補助片4a7は、シール材を用いて、筐体2との間を封止する場合、シール材の余剰分が台座部4a5に這い上がることを抑制することが可能となる。また、当接片4a9は、第2本体部42と当接して、第2本体部42を支持できるように構成されている。
第2本体部42は、蓋部4c1と、壁部4c2と、一対の支持板4c7と、を有している。第2本体部42は、蓋部4c1と、壁部4c2と、支持板4c7とが一体的に成形されている。第2本体部42は、たとえば、PC樹脂とABS樹脂とを混合したポリマーアロイの樹脂材料を用いて一体成形で形成することができる。第2本体部42は、第1本体部41と同じ材料を用いて成形しているが異なる材料で成形してもよい。蓋部4c1は、平板状に形成され、第1切欠部4c3と第2切欠部4c4とを有している。第1切欠部4c3は、蓋部4c1において、矩形の一辺から半円状に切り欠かれるように形成されている。第2切欠部4c4は、蓋部4c1において、矩形の一辺から矩形状に切り欠かれるように形成されている。第1切欠部4c3と第2切欠部4c4とは、並んで形成され、第1切欠部4c3は第2切欠部4c4よりも、面積が大きく構成されている。第1切欠部4c3は、第1配線12aと、第2配線12bとを挿通できる面積で構成されている。第2切欠部4c4は、第3配線12dを挿通できる面積で構成されている。カバー部4は、第1切欠部4c3と第2切欠部4c4とを備えることで、それぞれの配線の分配が容易になると共に第3配線12dと、他の配線12との間で互いにノイズが重畳されることを抑制することが可能となる。
蓋部4c1は、第1切欠部4c3の端部と、第2切欠部4c4の端部とに沿って、厚み方向に突出する突出部4c5を備えている。突出部4c5は、半円環状の外形形状をしている。第1切欠部4c3は、第1本体部41と第2本体部42とが合わさった状態において、傾斜部4a2との間で第2開口部4b2を形成する。蓋部4c1は、挿入される配線12から大きな力を受ける場合もある。蓋部4c1は、挿入される配線12から大きな力を受ける場合であっても、蓋部4c1の機械的強度を突出部4c5で高めることができる。突出部4c5は、配線12を伝って水が筐体2の内部に浸入することを抑制させることもできる。
壁部4c2は、蓋部4c1と直交する平板状の構成を有し、正面視において、C字状の外形形状をしている。壁部4c2は、C字状の開口部が第1開口部4b1の一部を構成する。第2本体部42が筐体2に取り付けられた場合、壁部4c2の正面は、筐体2の取付面2aaに沿った面を形成するように構成されている。壁部4c2は、C字状の開口部の周部に沿って、壁部4c2の背面から突出する複数のボスを備え、このボスは、先端に螺子孔が形成されている。ボスは、第1ボス4c6と、第2ボスとを備えている。第1ボス4c6は、蓋部4c1からの突出量が第2ボスよりも大きくしている。カバー部4は、第1本体部41における固定片4a8に挿通した螺子を、第2本体部42における第1ボス4c6のボス孔4cbに螺子止めすることで、第1本体部41と第2本体部42とを固定することができるように構成されている。また、カバー部4は、筐体2における固定部21hの固定孔21haに挿通する螺子を、第2本体部42における第2ボスの孔に螺子止めすることで、筐体2と第2本体部42とを固定することができるように構成されている。
壁部4c2は、溝4c8を備え、この溝4c8は、壁部4c2のC字状の開口部に沿って厚み方向と直交する方向に設けられている。壁部4c2は、切込部4c9を備えている。切込部4c9は、壁部4c2におけるC字状の開口部の先端に溝4c8の一部を開放するように構成されている。
カバー部4は、補助カバー5を備えた構成とすることができる。補助カバー5は、平板状に形成し、正面視において、矩形状の外形形状をしている。また、補助カバー5は、カバー部4の第1開口部4b1を塞ぐことができるように構成されている。第2本体部42が筐体2に取り付けられた場合、補助カバー5は、筐体2の取付面2aaに沿った面を形成するように構成されている。補助カバー5は、突起5aと、ガイド部5bと、ストッパ5cとを備えている。突起5aは、矩形状の補助カバー5の一辺に沿って、補助カバー5の表面から突出して設けられている。補助カバー5は、突起5aが設けられた一辺と直交する辺に沿った端部が、壁部4c2の溝4c8に収納できるように構成されている。また、突起5aは、壁部4c2の切込部4c9と嵌め合われることができるように構成されている。ガイド部5bは、補助カバー5が溝4c8に沿って移動できるようにガイドする。ストッパ5cは、溝4c8に沿って移動した補助カバー5の移動を規制できるように構成されている。
支持板4c7は、板状の外形形状をし、側面視において、三角形状をしている。支持板4c7は、蓋部4c1と壁部4c2とに直交するように設けられ、蓋部4c1と壁部4c2とを支持する。また、支持板4c7は、蓋部4c1と壁部4c2との機械的な強度を高めることができる。第2本体部42は、一対の支持板4c7を備え、一方の支持板4c7は、第1本体部41と第2本体部42とが合わさった状態で、第1本体部41の第1側部4a3に沿うように構成されている。また、他方の支持板4c7は、第1本体部41と第2本体部42とが合わさった状態で、第1本体部41の第2側部4a4に沿うように構成されている。
筐体2は、螺子穴21kに螺子を固定させることで、図6に示すように、柱状体21gの先端から螺子の頭部8aを突出させることができるように構成されている。筐体2は、柱状体21gの先端から突出する螺子を利用して、壁面50aaの取り付けることができる。柱状体21gの先端から突出する螺子の頭部8aは、図6に示すように、壁取付板9の袋部9hに引っ掛けることができるように構成されている。電力変換装置11は、柱状体21gを利用して、壁面50aaに固定された壁取付板9に筐体2を取り付けることができる。
以下では、本実施形態の電力変換装置11と比較する比較例の電力変換装置を説明する。
比較例の電力変換装置は、本実施形態の電力変換装置11におけるカバー部4の代わりに、背板に貫通した孔から配線を引き込む点が相違している。比較例の電力変換装置は、建造物の壁面に取り付けられる場合、筐体の内部に配線を引き込むため、建造物の壁面に相対する筐体の背板に穴が開けられる。電力変換装置は、太陽電池からの直流電力が入力される配線を、背板に開けた穴を引き込み口として筐体の内部に引き込む。電力変換装置は、電力変換器からの交流電力が出力される配線を、背板に開けた穴を引き込み口として筐体の内部に引き込む。
電力変換装置では、筐体の内部に引き込まれた配線を電力変換器と電気的に接続させた後、背板に開けた穴が充填材で塞がれる。電力変換装置は、配線が挿通する穴を充填材で塞ぐことで防水処理を行うことができる。
しかしながら、電力変換装置は、筐体を建造物の壁面に取り付けた場合、配線を引き込んだ穴への防水処理を行うことが難しく、防水処理を行う作業者の技術力によって、防水性能が左右される傾向にある。電力変換装置は、高所で防水処理の作業を行う場合もあり、防水処理を行う作業者の技術力で防水機能が大きく左右される傾向にある。電力変換装置は、防水機能が十分でない場合、壁面および配線を伝った雨水が配線を引き込む穴から筐体の内部に浸入する場合がある。電力変換装置は、雨水が筐体の内部に浸入すると、筐体の内部に設けられた電力変換器に不具合が生ずる虞がある。
本実施形態の電力変換装置11は、第1開口部4b1における鉛直方向の下端より鉛直方向の上方に第2開口部4b2が設けられたカバー部4を備えているので、配線12が鉛直方向の上方の方向に向いて筐体2の内部に挿入される。言い換えれば、カバー部4は、第2開口部4b2の手前において、壁面50aaの配線引出口50abから導出された配線12を、鉛直方向の下から持ち上がるように配置させることができる。電力変換装置11は、配線12が鉛直方向の上方の方向に向いて筐体2の内部に挿入されることで、配線12を伝った雨水が筐体2の内部に浸入することを抑制することが可能となる。また、配線カバー部4は少なくとも第1本体部41と第2本体部42とから構成されている。配線12の接続作業時には、予め筐体2に取り付けられた第2本体部42に配線12を合わせた後、第1本体部41を取り付ける。そのため、電力変換装置11は、第2本体部42に第1本体部41を取り付けることで、筐体2の内部への配線12の挿入方向を雨水の浸入を防止させる方向とすることに合わせて容易に配置させることができる。
本実施形態の電力変換装置11では、第1本体部41は、第2本体部42が筐体2に螺子止めされた後、少なくとも筐体2の内部から螺子止めできるように構成することが好ましい。
電力変換装置11では、第2本体部42は、第1開口部4b1を塞ぐ補助カバー5を備えている。補助カバー5は、第2本体部42と着脱自在に構成されていることが好ましい。
電力変換装置11は、着脱自在の補助カバー5で、カバー部4の第1開口部4b1を塞ぎ、筒状部4bに塵芥が入り込むことを抑制することができる。この場合、電力変換装置11は、図7Aで例示するように、取付面2aa側から配線12を挿入させず、キャップ部4fを取り外した台座部4a5の孔に、壁面50aaに沿った鉛直方向の下方からの電線管14が接続される。電力変換装置11は、この電線管14を用いて配線12が筐体2の内部に導入される。
カバー部4の第2開口部4b2の開口面積は第1開口部4b1の開口面積より小さいことが好ましく、封止材でカバー部4の防水処理を行う際に作業を容易にすることが可能となる。開口面積は、投影面積で計測してもよく開口が2つ以上ある場合、合計面積としても良い。
カバー部4は、図6および図7に示すように、壁面50aaの配線引出口50abから引き出された配線12と、配線引出口50abとの隙間を塞ぐ充填材50dが収納される収納空間を備えていることが好ましい。
電力変換装置11は、カバー部4が収納空間を備えていることで、雨水が充填材50dに掛かることを抑制し、より信頼性を高くすることが可能となる。また、充填材50dを収納する空間が確保でき、電力変換装置11を壁面50aaへ密着性を保ちながら取り付けることができるものである。
以下では、電力変換装置11の取付工程について図6および図7を用いて説明する。
電力変換装置11は、屋外側の壁面50aaに収納箱10を取り付ける場合、取り付け予定の壁面50aaに予め壁取付板9が設けられる。壁取付板9は、壁面50aaから導出する配線12を電力変換装置11に引き込むことができるように、取り付けられる。取付工程では、壁面50aaに開けた配線引出口50abと、配線12の隙間を充填材50dで塞ぐ。充填材50dは、たとえば、シリコーン樹脂を用いることができる。充填材50dは、雨水などが壁側に浸入することを防ぐことができる。
次に、取付工程では、屋外側の壁面50aaに取り付けた壁取付板9に、電力変換装置11を壁掛け設置させる。電力変換装置11は、筐体2の前面に設けた前面パネル3の固定螺子を緩めて、筐体2から前面パネル3を予め外しおく。電力変換装置11は、筐体2から第1本体部41を予め外しおく。取付工程では、図4に示すように、カバー部4のうち、第2本体部42が筐体2に取り付けられた状態となっている。第2本体部42は、筐体2に第2本体部42が嵌め合わせた状態で螺子止めが行われている。
次に、取付工程では、前面パネル3と第1本体部41とを筐体2から取り外した状態で、壁面50aaから導出した配線12を筐体2の内部に引き込む。筐体2の内部に引き込まれた配線12は、筐体2に収納されている電力変換器11aと接続される。取付工程では、電力変換器11aと接続された配線12の配線引出口50ab周りを充填材50dで封止される。取付工程では、配線12が電力変換器11aに接続された状態で、第1本体部41を第2本体部42に合わせて筐体2の内側から螺子で固定する。その後、通孔4acを用いて第1本体部41を筐体2に螺子止めする。図4に示す白抜きの矢印の向きは、第1本体部41を、第2本体部42に合わせる方向を例示している。カバー部4では、第2本体部42に第1本体部41が合わせられることで、配線12が鉛直方向の上方に向くように第2開口部4b2から導出される。
取付工程では、配線12が接続された状態で、シール材を介して、筐体2に第1本体部41を嵌め合わせる。取付工程では、筐体2と第1本体部41とが螺子止めされた後、カバー部4の第2開口部4b2と配線12との隙間を封止材で封止する。
取付工程では、図2に示すように、前面パネル3の嵌合部3abを、筐体2の上板21dから突出する爪部21d1に引っ掛けた状態で、前面パネル3が筐体2の前面を塞ぐように配置させる。前面パネル3は、固定螺子を用いて、筐体2に前面パネル3を固定される。電力変換装置11は、第1螺子7により前面パネル3を筐体2に固定されることで、壁面50aaへの取り付けを行うことができる。