JP6384672B2 - 窒化物熱電変換材料及びその製造方法並びに熱電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、ペルチェ素子、ゼーベック素子又はサーモパイル等に好適な窒化物熱電変換材料及びその製造方法並びに熱電変換素子に関する。
従来、ペルチェ素子(冷却素子)、ゼーベック素子(熱電発電素子)又はサーモパイル等の熱電変換素子に用いる熱電材料として、BiTe系熱電材料、ホイスラー系熱電材料、クラスレート熱電材料、酸化物熱電材料、窒化物熱電材料、有機材料による熱電材料等の種々の熱電材料が多数知られている。さらに、上記材料を用いたフレキシブル熱電デバイスの開発が盛んに行われている。フレキシブル熱電デバイスには、主に有機材料もしくは、有機材料を含むプリンテッド材料が使用されている。
これらの熱電材料について、熱電性能向上のために、ゼーベック係数の絶対値および電気伝導率が大きく(電気抵抗率が小さく)、さらに熱伝導率が小さい材料が望まれている。
例えば、窒化物熱電材料としては、特許文献1には、β型炭化ケイ素80〜99質量%と金属窒化物1〜10質量%とを含むn型熱電変換材料であって、熱電変換材料中に窒素元素を0.5〜5質量%含むn型熱電変換材料が記載されている。
また、特許文献2では、一般式:AlGaIn(式中、Mは遷移元素、Rは希土類元素及びDは第IV族または第II族元素からそれぞれ選ばれる少なくとも一種の元素であり、0≦z≦0.7、0≦y≦0.7、0.2≦x≦1.0、0≦u≦0.7、0≦v≦0.05、0≦w≦0.2及び0.9≦s≦1.1の範囲であって、かつx+y+z=1である。)で表され、100℃以上の温度におけるゼーベック係数の絶対値が50μV/K以上、電気抵抗率が10−3Ωm以下である窒化物熱電変換材料が記載されている。
また、特許文献3では、一般式:AlGaIn(式中、Mは遷移元素であり、Rは希土類元素である。0≦z≦0.7、0≦y≦0.7、0.2≦x≦1.0、0≦u≦0.7、0≦v≦0.05、0.9≦s+t≦1.7、0.4≦s≦1.2の範囲であり、かつx+y+z=1である。)で表される元素組成からなり、100℃以上の温度におけるゼーベック係数の絶対値が40μV/K以上である酸化窒化物熱電変換材料が記載されている。
また、特許文献4では、一般式:Ti1−x(式中、Aは周期表においてTiにより近いV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr及びNbらなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、0<x≦0.5;0.5≦y≦2.0;0.01≦z≦0.6である)で表される組成を有し、不可避なるその他の元素を含む金属酸窒化物からなる熱電変換材料が記載されている。
さらに、特許文献5では、組成式AENにより表記され、固相のAEとAE金属(AEは、Ca、Sr、Baから選択される少なくとも一種類の元素)の蒸気との反応生成物からなる層状結晶構造を持ち、イオン式[AEN]で表記される窒化物であり、室温で10S/cm以上の電気伝導度を有し、金属的電気伝導性を示す窒化物エレクトライドが記載されている。
特開2001−274464号公報 特許第4000366号公報 特許第4000369号公報 特許第5024745号公報 特開2014−24712号公報
しかしながら、上記従来の技術においても、以下の課題が残されている。
すなわち、上記熱電材料で室温において性能が良いものとしてBiSbTe系が知られている。しかしながら、このBiSbTe系は、Bi、Sb、Teといった有害元素を含むと共に、結晶構造が層状化合物であるために、フィルム上へスパッタリングによる薄膜形成が困難であった。薄膜を形成する場合、BiSbTe系インクを作製して印刷するプリンテッド素子にする方法があるが、性能を上げるためには、熱処理が必要であり、フィルム等に直接形成することが容易でなかった。また、有機材料による熱電材料では、p型の熱電特性がほとんどであり、n型の良好な性能を有する材料は報告されていない。さらに、窒化物系の熱電材料では、上記のようなAlN系、TiN系、CaN系が知られているが、いずれもバルク体であり、熱電性能が低いという問題があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、有害元素を用いず、良好な性能を有すると共にフィルム等への薄膜形成が可能な窒化物熱電変換材料及びその製造方法並びに熱電変換素子を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る窒化物熱電変換材料は、一般式:W1−y(0.18≦y≦0.33)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、β−WN型であり、n型の熱電特性を有することを特徴とする。
本発明の窒化物熱電変換材料では、一般式:W1−y(0.18≦y≦0.33)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、β−WN型であり、n型の熱電特性を有するので、有害元素を用いないと共に熱処理なしで形成でき、室温で有機材料系よりも大きなゼーベック係数を有し、さらに100℃以上の高い耐熱性も有している。なお、n型の熱電特性を有するとは、ゼーベック係数が負であることを示している。熱電変換材料にはp型の熱電特性を有する材料もあり、ゼーベック係数は正を示す。
第2の発明に係る窒化物熱電変換材料は、第1の発明において、膜状に形成され、前記膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶であることを特徴とする。
すなわち、この窒化物熱電変換材料では、膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶であるので、膜の結晶性が高く、高い耐熱性が得られる。
第3の発明に係る窒化物熱電変換材料は、第2の発明において、前記柱状結晶の結晶径が、100nm以下であることを特徴とする。
すなわち、この窒化物熱電変換材料では、柱状結晶の結晶径が、100nm以下であるので、ナノスケールの結晶サイズ化により、フォノン(格子)による熱が伝わり難くなることで、比較的粒子サイズの大きい(100nm以上)バルク焼結体材料に比べて面内方向の熱伝導率が小さくなり、熱電薄膜の面内の温度差をより大きくすることができる。したがって、熱起電力が大きくなり、熱電性能を向上させることが可能となる。また、材料自体のフレキシブル性も得ることができる。なお、複数の材料系において理論計算より100nmのカットオフ平均自由工程時の累積熱伝導率が半減している結果が得られている。そのため、熱電変換材料において、粒子径を100nm以下にすることで、熱伝導率を効果的に低減することが可能となる。
第4の発明に係る熱電変換素子は、絶縁性基材と、該絶縁性基材上に形成されたp型の薄膜熱電変換部及びn型の薄膜熱電変換部と、前記p型の薄膜熱電変換部と前記n型の薄膜熱電変換部とを接続する接続電極部とを備え、前記n型の薄膜熱電変換部が、第1から第3の発明のいずれかの窒化物熱電変換材料で形成されていることを特徴とする。
すなわち、この熱電変換素子では、n型の薄膜熱電変換部が、第1から第3の発明のいずれかの窒化物熱電変換材料で形成されているので、室温でゼーベック係数の絶対値が大きいn型の薄膜熱電変換部により、良好な性能を有するペルチェ素子、ゼーベック素子又はサーモパイル等とすることができる。
第5の発明に係る熱電変換素子は、第4の発明において、前記絶縁性基材が、絶縁性フィルムであることを特徴とする。
すなわち、この熱電変換素子では、絶縁性基材が、絶縁性フィルムであるので、熱処理なしで形成され絶対値の大きいゼーベック係数を有する薄膜熱電変換部により、樹脂フィルム等の耐熱性の低い絶縁性フィルムを用いることができると共に、薄型で良好な性能を有するフレキシブルな熱電変換素子が得られる。
第6の発明に係る窒化物熱電変換材料の製造方法は、第1から第3の発明のいずれかの窒化物熱電変換材料を製造する方法であって、Wスパッタリングターゲットを用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜する成膜工程を有していることを特徴とする。
すなわち、この窒化物熱電変換材料の製造方法では、Wスパッタリングターゲットを用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜するので、上記W1−yからなる本発明の窒化物熱電変換材料を熱処理なしで成膜することができる。また、メタルマスク法等により、n型半導体材料を配線化することで、熱電性能の優れた素子を作製することが可能である。
さらに、熱伝導率の低い絶縁基板(ガラス、樹脂フィルム)への成膜が可能であり、本発明の窒化物熱電変換材料はフレキシブル性も有するため、樹脂フィルム基板上に成膜することが可能である。
第7の発明に係る窒化物熱電変換材料の製造方法は、第6の発明において、前記反応性スパッタを、ArとNとの混合ガス雰囲気中で行い、この際のNガス分率であるN/(N+Ar)を、0.5以上0.8以下の範囲に設定することを特徴とする。
すなわち、この窒化物熱電変換材料の製造方法では、反応性スパッタを、ArとNとの混合ガス雰囲気中で行い、この際のNガス分率であるN/(N+Ar)を、0.5以上0.8以下の範囲に設定するので、β−WN型であり、n型の熱電特性を有するW1−yの薄膜を形成することができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る窒化物熱電変換材料によれば、一般式:W1−y(0.18≦y≦0.33)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、β−WN型であり、n型の熱電特性を有するので、有害元素を用いないと共に熱処理なしで形成でき、室温で有機材料系よりも絶対値の大きなゼーベック係数を有している。
また、本発明に係る窒化物熱電変換材料の製造方法によれば、Wスパッタリングターゲットを用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜するので、上記W1−yからなる本発明の窒化物熱電変換材料を熱処理なしで成膜することができる。
さらに、本発明に係る熱電変換素子によれば、n型の薄膜熱電変換部が、第1から第3の発明のいずれかの窒化物熱電変換材料で形成されているので、室温でゼーベック係数の絶対値の大きい薄膜熱電変換部により、良好な性能を有するペルチェ素子、ゼーベック素子又はサーモパイル等とすることができる。
本発明に係る窒化物熱電変換材料及びその製造方法並びに熱電変換素子の一実施形態において、熱電変換素子を示す斜視図である。 本発明に係る窒化物熱電変換材料及びその製造方法並びに熱電変換素子の実施例において、X線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例を示す断面SEM写真である。 本発明に係る実施例において、温度とゼーベック係数との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る窒化物熱電変換材料及びその製造方法並びに熱電変換素子の一実施形態を、図1を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
本実施形態の窒化物熱電変換材料は、一般式:W1−y(0.18≦y≦0.33)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、β−WN型(空間群Pm−3m、No.221)であり、n型の熱電特性を有する。なお、酸素が不可避不純物として含まれている。
また、この窒化物熱電変換材料は、膜状に形成され、前記膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶である。さらに、上記柱状結晶の結晶径が、100nm以下である。
なお、この窒化物熱電変換材料の薄膜は、基板に対して垂直方向へ[111]結晶配向性に優れている。
次に、本実施形態の窒化物熱電変換材料を用いた熱電変換素子について説明する。この熱電変換素子1は、図1に示すように、絶縁性基材2と、該絶縁性基材2上に形成されたp型の薄膜熱電変換部3p及びn型の薄膜熱電変換部3nと、p型の薄膜熱電変換部3pとn型の薄膜熱電変換部3nとを接続する接続電極部4と、接続されたp型の薄膜熱電変換部3pとn型の薄膜熱電変換部3nとの端部に形成された一対の電極端子部5とを備えている。
p型の薄膜熱電変換部3pとn型の薄膜熱電変換部3nとは、複数の線状又は帯状に形成され、互いに平行に延在すると共に交互に並んで配されている。また、隣接するp型の薄膜熱電変換部3pとn型の薄膜熱電変換部3nとの端部が、接続電極部4で接続され、全体が複数回折り返された一本の薄膜熱電変換部となっており、両端部に一対の電極端子部5が形成されている。
上記n型の薄膜熱電変換部3nは、上記窒化物熱電変換材料で形成されている。
また、本実施形態では、p型の薄膜熱電変換部3pを有機材料の熱電材料(プリンテッド材料)で形成している。
上記接続電極部4と電極端子部5とは、AgやAg合金等でパターン形成されている。
一対の電極端子部5には、リード線6が接続され、リード線6が電源7に接続されている。
上記絶縁性基材2は、熱伝導率の小さい材料で形成されていることが好ましく、例えば絶縁性フィルム又はガラス等が採用可能である。上記絶縁性フィルムとして、例えばポリイミド樹脂シートで形成されたものが採用される。なお、絶縁性フィルムとしては、他にLCP:液晶ポリマー、PET:ポリエチレンテレフタレート,PEN:ポリエチレンナフタレート等でも構わない。また、上記ガラス基板は、例えば無アルカリガラス、アルカリガラス板、ガラスフィルム等が採用可能である。
上記絶縁性基材2に絶縁性フィルムを採用した場合、シート型の熱電変換素子1となる。例えば、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、熱輸送を行うシート型のペルチェ素子(冷却素子)、熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、温度差発電を行うシート型のゼーベック素子(熱電発電素子)、熱電対の原理を応用した赤外線センサとなるシート型のサーモパイル等とすることができる。
この窒化物熱電変換材料の製造方法について、以下に説明する。
まず、本実施形態の窒化物熱電変換材料の製造方法は、Wスパッタリングターゲットを用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜する成膜工程を有している。
この成膜工程では、上記反応性スパッタにおいて、ArとNとの混合ガス雰囲気中で行い、この際のNガス分率であるN/(N+Ar)を、0.5〜0.8の範囲に設定する。
なお、接続電極部4及び電極端子部5は、メタルマスク法によりパターン形成する。
このように本実施形態の窒化物熱電変換材料では、一般式:W1−y(0.18≦y≦0.33)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、β−WN型であり、n型の熱電特性を有するので、有害元素を用いないと共に熱処理なしで形成でき、室温で有機材料系よりも大きなゼーベック係数を有し、さらに100℃以上の高い耐熱性も有している。
また、膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶であるので、膜の結晶性が高く、高い耐熱性が得られる。
さらに、柱状結晶の結晶径が、100nm以下であるので、ナノスケールの結晶サイズ化により、フォノン(格子)による熱が伝わり難くなることで、比較的粒子サイズの大きい(100nm以上)バルク焼結体材料に比べて、熱電薄膜の面内方向の熱伝導率が小さくなり、熱電薄膜の面内の温度差をより大きくすることができる。したがって、熱起電力が大きくなり、熱電性能を向上させることが可能となる。また、材料自体のフレキシブル性も得ることができる。
本実施形態の熱電変換素子1では、n型の薄膜熱電変換部3nが、上記窒化物熱電変換材料で形成されているので、室温でゼーベック係数の大きい薄膜熱電変換部3nにより、良好な性能を有するペルチェ素子、ゼーベック素子又はサーモパイル等とすることができる。
本実施形態の窒化物熱電変換材料の製造方法では、Wスパッタリングターゲットを用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜するので、上記W1−yからなる本発明の窒化物熱電変換材料を熱処理なしで成膜することができる。また、メタルマスク法等により、n型半導体材料を配線化することで、熱電性能の優れた素子を作製することが可能である。
また、熱伝導率の低い絶縁基板(ガラス、樹脂フィルム)への成膜が可能であり、本発明の窒化物熱電変換材料はフレキシブル性も有するため、樹脂フィルム基板上に成膜することが可能である。
さらに、反応性スパッタを、ArとNとの混合ガス雰囲気中で行い、この際のNガス分率であるN/(N+Ar)を、0.5以上0.8以下の範囲に設定するので、β−WN型であり、n型の熱電特性を有するW1−yの薄膜を形成することができる。
次に、本発明に係る窒化物熱電変換材料及びその製造方法並びに熱電変換素子について、上記実施形態に基づいて作製した実施例により評価した結果を、図2から図4を参照して具体的に説明する。
まず、反応性スパッタ法にて、表1に示すように、Wスパッタリングターゲットで、無アルカリガラス基板上に、様々な組成比で形成された本発明の窒化物熱電変換材料を厚さ400〜600nmで成膜した。膜厚は、Veeco社製表面形状測定装置:Dektak 150で測定した。
一部のサンプルは、ポリイミドフィルム基板上へも成膜した。
なお、表1において、本発明の実施例のW1−yを簡易的にWNと記載している。
なお、比較としてBiTeのプリンテッド薄膜(比較例1)、W薄膜(比較例2)及びTiN薄膜(比較例3)をそれぞれ作製し、これら比較例についても同様に作製して評価を行った。
比較例1のBiTeのプリンテッド薄膜は以下のようにして用意した。BiTe微粉末をエチレングリコールと分散剤とに混合し、BiTeペーストを得た。ディスペンサーにより、液晶ポリマー(LCP)基板上に、1ミクロン程度の膜厚をもつBiTeを配線化し、乾燥後、N雰囲気中で、200℃により熱処理した。このサンプルは、フィルムとの密着もとれており、評価後、SEMにてクラックがないことを確認した。
比較例2のW薄膜、および、比較例3のTiN薄膜については、それぞれWターゲット、Tiターゲットを用いて反応性スパッタ法にて成膜した。
また、成膜工程のスパッタ条件は、到達真空度:5×10−6Pa、スパッタガス圧:0.67Pa、ターゲット投入電力(出力):300Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分圧を0〜100%と変えて作製した。
さらに、成膜した上記窒化物熱電変換材料の薄膜上に、一対のAg電極をメタルマスク法によりパターン形成して本発明の実施例及び比較例を作製した。
<組成分析>
反応性スパッタ法にて得られた窒化物熱電変換材料について、X線光電子分光法(XPS)にて組成分析を行った。
なお、上記X線光電子分光法(XPS)は、X線源をAlKα(350W)とし、パスエネルギー:46.95eV、測定間隔:0.1eV、試料面に対する光電子取り出し角:45deg、分析エリアを約800μmφの条件下で定量分析を実施した。このXPSでは、Arスパッタにより、最表面から深さ20nm、60nm、100nmのスパッタ面において、定量分析を実施した。なお、N/(W+N)の定量精度は2%である。深さ20nm、60nm、100nmのスパッタ面におけるN/(W+N)比について、定量精度の範囲内で同じN/(W+N)組成比であることを確認している。
また、窒化物膜中に含まれる酸素についても調べた結果、酸素比O/(W+N+O)が、0<O/(W+N+O)<0.04となり、酸素が不可避不純物として含まれていることがわかる。
しかしながら、熱電特性(ゼーベック係数、電気伝導率)と酸素量とに相関がないことから、酸素は熱電特性に積極的寄与しておらず、本熱電特性は金属窒化物系が主体であると考えられる。
<薄膜X線回折(結晶相の同定)>
反応性スパッタ法にて得られた窒化物熱電変換材料を、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)により、結晶相を同定した。この薄膜X線回折は、微小角X線回折実験であり、管球をCuとし、入射角を1度とすると共に2θ=10〜130度の範囲で測定した。一部のサンプルについては、入射角を0度とし、2θ=10〜100度の範囲で測定した。無アルカリガラス基板を用いた場合、20度以下において、ガラスのハローピークが大きくなったので、薄膜X線回折用として、熱酸化膜付きSi基板(SiO付きSi基板)を用意し、同じスパッタ条件にて成膜し、上記条件にて測定した。
その結果、本発明の実施例は、いずれも結晶構造がβ−WN型(空間群Pm−3m)であり、[111]結晶配向性に優れた材料であった。
XRDプロファイルの一例として、実施例2について図2の(a)に示すと共に、実施例4について図2の(b)に示す。実施例4(窒素ガス分圧80%)の方が、実施例2(窒素ガス分圧60%)よりも、[111]結晶配向性に優れていることがわかる。
なお、窒素ガス分圧50%未満のサンプルについては、結晶性が十分でなく、β−WN型結晶構造をもつWNと同定することができなかった。
なお、グラフ中(*)は装置由来および熱酸化膜付きSi基板由来のピークであり、サンプル本体のピーク、もしくは、不純物相のピークではないことを確認している。入射角を0度として、対称測定を実施し、そのピークが消失していることを確認し、装置由来および熱酸化膜付きSi基板由来のピークであることを確認した。
無アルカリガラス基板上の実施例においても、不純物相は検出されず、β−WN型であり、 [111]結晶配向性に優れた材料であった。
<性能評価>
次に、本発明の実施例及び比較例について、ゼーベック係数S、電気伝導率σ及びpower factor(パワー因子:Sσ)について評価した。なお、ゼーベック係数及び電気伝導率は、室温で測定した。
ゼーベック係数は、市販のペルチェ素子を2個用い、2個のペルチェ素子間で温度差がつくように、一方のペルチェ素子を冷却、他方のペルチェ素子を加熱するように配線し、2〜10℃の温度差をつけて測定した。0.15mmΦのシース熱電対(坂口電熱 T350155 シース材:Pt、シース内充填物:MgO粉末)を使って測定し、シースを電極として熱起電力を測定すると共に、熱電対を使って温度差を測定した。得られた熱起電力と温度差との関係を最小二乗法による直線近似することで、ゼーベック係数を評価した。また、電気伝導率は、Van der Pauw法で測定した。
次に、ゼーベック係数より、p型半導体材料なのか、n型半導体材料なのかについて判定した。その結果、本発明の実施例は、全てn型の熱電特性を有していた(Nガス分率(ガス比)であるN/(N+Ar)が、0.5〜0.8の範囲で作製)。
また、電気伝導率を調べた結果、全ての実施例で100S/cm以上の高い電気伝導率を有していた。特に、実施例1〜4のサンプルについては、1000S/cm以上のきわめて高い電気伝導率を有していた。
これらの結果、本発明の実施例は、いずれも比較的大きなゼーベック係数の絶対値であると共に、良好な電気伝導率を有していた。
<結晶形態の評価>
次に、窒化物熱電変換材料の断面における結晶形態を示す一例として、実施例2の断面SEM写真を、図3に示す。
これらの実施例のサンプルは、へき開破断したものを用いている。また、45°の角度で傾斜観察した写真である。
これらの写真からわかるように、本発明の実施例は緻密な柱状結晶で形成されている。すなわち、基板面に垂直な方向に柱状の結晶が成長している様子が観測されている。なお、柱状結晶の破断は、へき開破断した際に生じたものである。
なお、写真中の柱状結晶の粒径(結晶径)は、いずれも100nm以下であった。
また、ここでの粒径は、基板面内における柱状結晶の直径であり、長さは、基板面に垂直な方向の柱状結晶の長さ(膜厚)である。
柱状結晶のアスペクト比を(長さ)÷(粒径)として定義すると、本実施例は5以上の大きいアスペクト比をもっている。柱状結晶の粒径が小さいことにより、膜が緻密となっていると考えられる。
<耐熱性>
本発明の実施例について、ゼーベック係数の温度依存性について評価した。その結果を、図4に示す。
この結果、本発明の実施例は、100℃の耐熱性を有していることが分かる。ゼーベック係数については、温度上昇ともに、ゼーベック係数の絶対値が増加する傾向がみられた。
また、100℃耐熱性試験後、視斜角入射X線回折を実施したが、酸化物不純物相は検出されなかった。したがって、本熱電特性は金属窒化物系が主体であると考えられる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…熱電変換素子、2…絶縁性基材、3p…p型の薄膜熱電変換部、3n…n型の薄膜熱電変換部、4…接続電極部、5…電極端子部

Claims (7)

  1. 一般式:W1−y(0.18≦y≦0.33)で示される金属窒化物からなり、
    その結晶構造が、β−WN型であり、n型の熱電特性を有することを特徴とする窒化物熱電変換材料。
  2. 請求項1に記載の窒化物熱電変換材料において、
    膜状に形成され、
    前記膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶であることを特徴とする窒化物熱電変換材料。
  3. 請求項2に記載の窒化物熱電変換材料において、
    前記柱状結晶の結晶径が、100nm以下であることを特徴とする窒化物熱電変換材料。
  4. 絶縁性基材と、
    該絶縁性基材上に形成されたp型の薄膜熱電変換部及びn型の薄膜熱電変換部と、
    前記p型の薄膜熱電変換部と前記n型の薄膜熱電変換部とを接続する接続電極部とを備え、
    前記n型の薄膜熱電変換部が、請求項1から3のいずれか一項に記載の窒化物熱電変換材料で形成されていることを特徴とする熱電変換素子。
  5. 請求項4に記載の熱電変換素子において、
    前記絶縁性基材が、絶縁性フィルムであることを特徴とする熱電変換素子。
  6. 請求項1から3のいずれか一項に記載の窒化物熱電変換材料を製造する方法であって、
    Wスパッタリングターゲットを用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜する成膜工程を有していることを特徴とする窒化物熱電変換材料の製造方法。
  7. 請求項6に記載の窒化物熱電変換材料の製造方法において、
    前記反応性スパッタを、ArとNとの混合ガス雰囲気中で行い、この際のNガス分率であるN/(N+Ar)を、0.5以上0.8以下の範囲に設定することを特徴とする窒化物熱電変換材料の製造方法。
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