JP6382846B2 - 形質転換植物、形質転換植物を用いた糖含有滲出物の製造方法 - Google Patents

形質転換植物、形質転換植物を用いた糖含有滲出物の製造方法 Download PDF

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    • C07K14/415Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from plants

Description

本発明は、所定の遺伝子を導入することで優れた特性を獲得した形質転換植物及び当該形質転換植物を用いた糖含有滲出物の製造方法に関する。
バイオ燃料やバイオプラスチックの安定的生産には、原料糖の安価且つ安定的供給が望まれる。最も代表的な原料糖は、サトウキビが蓄積する糖である。サトウキビより糖を取り出すには、一般に、所定の収穫時期にサトウキビを伐採し、破砕加工、圧搾、濃縮、精製といった処理が必要となる。また、収穫後の畑地では、新たな栽培のための畑地整備、植え付け、除草剤や防虫剤の散布等の管理作業が必要となる。このように、従来、サトウキビといった植物を用いた原料糖の製造には、製造工程のコストや栽培コストといった多大なコストを要していた。
特許文献1には、異種遺伝子を発現可能に導入した植物を使用して当該異種遺伝子によりコードされる異種タンパク質を回収する方法が開示されている。特許文献1に開示された方法では、異種遺伝子を発現可能に導入した植物から滲出物を採取し、採取された滲出物から異種タンパク質を回収する。特許文献1において滲出物としては、根茎の滲出物及び葉の排水組織(hydathode)を介した滲出物として植物から滲出している溢液(guttation)が例示されている。
一方、特許文献2及び非特許文献1には、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)やイネ(Oryza sativa)について、植物体内の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質が開示されている。特許文献2及び非特許文献1に開示されたトランスポータータンパク質は、GLUEタンパク質又はSWEETタンパク質として知られている。特許文献2及び非特許文献1に開示するトランスポータータンパク質をコードする核酸を植物に導入することで、根に対する糖輸送量が向上するとある。
また、非特許文献2には、細胞膜小分子トランスポーターを人工的に小胞体(endoplasmic reticulum; ER)に局在させ、ERでの小分子トランスポーター活性を測定することで細胞膜トランスポーターの機能の確認をしている。特にグルコーストランスポーターGLUTs、SGLTsについて、ERに局在させFRET(Forster resonance energy transferまたはfluorescence resonance energy transfer)法を用いてそれらのもともとの機能を類推している。
特表2002−501755号公報 特表2012−525845号公報
Nature (2010) 468, 527-534 FASEB J. (2010) 24, 2849-2858
以上のように、植物を用いて糖を製造するにはコストの増大が非常に大きな問題としてあるが、植物由来の滲出物に糖を高濃度で含ませることができれば、滲出物を採取することで上述の問題を解決できる。特許文献1には異種タンパク質を滲出物から回収することが開示されるものの、滲出物から糖を回収する技術を開示するものではない。特許文献2及び非特許文献1には、糖輸送に関与するSWEETと名付けられたトランスポータータンパク質及びそれらをコードする核酸が開示されるものの、これらトランスポータータンパク質やそれらをコードする核酸と滲出物における糖含量との関係を開示するものではない。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、高濃度の糖を含む滲出物を産生する形質転換植物及び当該形質転換植物を用いた糖の製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために本発明者らが鋭意検討した結果、所定の群(クレード)に含まれるSWEETタンパク質をコードする核酸を導入し、当該タンパク質の発現を強化した形質転換植物においては、滲出物の糖含量が非常に高いことを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)以下のアミノ酸配列:(L/I/V/M/F)x(G/A)xx(I/L/V/M/F)xxxx(L/I/V/F)(A/S)(P/S)(1-3aa)(P/S/T/A)T(F/L)xx(I/V)xxxKxxxxxxxxPYxxx(L/I)xxxx(L/I)x(I/L/M/V/F)xY(A/S/G)(7-13aa)(I/L/V/M)(1-2aa)(I/V)Nxxxxxx(E/Q)xxYxxx(Y/F)xx(Y/F)(A/G/S)(35-36aa)(R/Q/H)xxxxGx(V/I/L)xxxxx(V/M/L/I/F)xxxx(A/S/T)P(L/M)x(I/V)(I/M/V/L)(2-7aa)(V/I)(V/I/M)x(T/S)x(S/N)xx(F/Y)(M/L)(P/S)(F/I/V/L)xLSxx(L/I)(T/V)xx(A/G)xxW(F/L)xYGxxxxDxx(V/I)xxPNxxGxx(F/L)(G/S)xxQ(M/I)x(L/M/I/V/F)(Y/H/F)を含む共通配列を有する、糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸を導入する及び/又は当該タンパク質の発現を強化した形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(2) 上記トランスポータータンパク質は、SWEETタンパク質のアミノ酸配列に基づく分類群であるクレードI〜VのうちクレードIIIに属するタンパク質であることを特徴とする(1)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(3) 上記トランスポータータンパク質は、以下の(a)又は(b)のタンパク質であることを特徴とする(1)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(a)配列番号15〜137のいずれかのアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号15〜137のいずれかのアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、糖輸送に関与するトランスポーター活性を有するタンパク質
(4) 上記共通配列は、以下のアミノ酸配列:G(L/I/V/F/M)xGx(I/V/L)(I/V/L)(S/T)xxxxL(A/S)P(L/V/I/M)(P/S/T/A)TFxx(I/V)x(K/R)xK(S/T)xxx(F/Y)x(S/A)xPYxx(A/S/T)LxSxxLx(L/I/M/V)(Y/F)Y(A/G)(7-9aa)(L/I)(I/V/L)(T/S)INxx(G/A)xx(I/V/M)(E/Q)xxYxxx(F/Y)(L/I/V/F)x(Y/F)Ax(K/R/N)xxxxx(T/A)(7-8aa)(V/F/L/I/M)(18-19aa)(R/Q/H)xxxxGx(I/V)xxxxx(V/I/L/M)x(V/M)F(A/V)(A/S/T)PLx(I/V)(I/M/V/L)xxV(I/V)(K/R/Q)(T/S)(K/R)S(V/A)x(F/Y)MP(F/I/L)xLS(L/F/V)xL(T/V)(L/I)xAxxW(F/L)xYG(L/F)xxxDxx(V/I)xxPNxxGxx(L/F)(G/S)xxQMx(L/V/I)(Y/F)xx(Y/F)を含むことを特徴とする(1)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(5) 上記トランスポータータンパク質は、以下の(a)又は(b)のタンパク質であることを特徴とする(4)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(a)配列番号15〜35のいずれかのアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号15〜35のいずれかのアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、糖輸送に関与するトランスポーター活性を有するタンパク質
(6) 上記共通配列は、以下のアミノ酸配列:(A/V)xxxG(I/L/V)xGN(I/L/V)(I/L/V)S(F/L)x(V/T)xL(A/S)P(V/L/I)(P/A)TFxx(I/V)x(K/R)xK(S/T)xx(G/S)(F/Y)(Q/S/E)SxPYxx(A/S/T)LxS(A/C/S)xLx(L/I/M)(Y/F)Y(A/G)xx(K/T)(3-5aa)(L/M/P)(L/I)(I/L/V)(T/S)INxx(G/A)xx(I/V)(E/Q)xxY(I/L)x(L/M/V/I)(F/Y)(L/I/V/F)x(Y/F)Ax(K/R)xxxxx(T/A)xx(L/M/F/V/I)(L/F/V/I)xxx(N/D)(F/V/I/L)xx(F/L)xx(I/L/V)xxxxxx(L/I/V)(5-6aa)(R/Q)xxxxGx(I/V)xxxx(S/A)(V/L/M)(C/S/A)VF(A/V)(A/S)PLx(I/V)(I/M/V)xxV(I/V)(K/R/Q)(T/S)(K/R)S(V/A)E(F/Y)MP(F/I)xLS(L/F/V)xL(T/V)(L/I)(S/N)A(V/I)xW(F/L)xYGLxx(K/N)Dxx(V/I)xxPN(V/I)xGxx(F/L)(G/S)xxQMxL(Y/F)xx(Y/F)を含むことを特徴とする(1)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(7) 上記トランスポータータンパク質は、以下の(a)又は(b)のタンパク質であることを特徴とする(6)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(a)配列番号15〜26のいずれかのアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号15〜26のいずれかのアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、糖輸送に関与するトランスポーター活性を有するタンパク質
(8) 上記共通配列は、以下のアミノ酸配列:(M/L/V)xx(T/K/N/S)xxxxAxxFG(L/I/V)LGN(I/L/V)(I/V)SFxVxL(S/A)P(V/I)PTFxxIxK(K/R)K(S/T)x(E/K)(G/S)(F/Y)(Q/E)S(I/L)PYxx(A/S)LxS(A/C)xLx(L/I/M)YY(A/G)xxK(4-5aa)(L/M)(L/I)(I/V)(T/S)IN(A/S/T)(F/V)(G/A)x(F/V)(I/V)(E/Q)xxY(I/L)x(L/M/I)(F/Y)(F/V/I/L)x(Y/F)Ax(K/R)xx(R/K)xx(T/A)(L/V/M)K(V/L/M/F)(L/I/V/F)xxx(N/D)(F/V/I)xx(F/L)xx(I/L)(L/I/V/F)(L/M/V)(L/V)xx(F/L)(L/I/V)(5-6aa)(R/Q)x(K/S/Q)x(L/I/V)Gx(I/V)Cxxx(S/A)(V/L)(S/C/A)VF(A/V)(A/S)PLx(I/V)(M/I/V)xxV(I/V)(K/R)T(K/R)S(V/A)E(Y/F)MPFxLS(L/F)xLT(I/L)(S/N)A(V/I)xW(L/F)xYGLx(L/I)(K/N)Dxx(V/I)A(L/F/I/M)PN(V/I)(L/I/V)Gxx(L/F)GxxQM(I/V)L(Y/F)(V/L/I/M)(V/L/I/M)(Y/F)(K/R/Q)を含むことを特徴とする(1)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(9) 上記トランスポータータンパク質は、以下の(a)又は(b)のタンパク質であることを特徴とする(8)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(a)配列番号15〜21のいずれかのアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号15〜21のいずれかのアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、糖輸送に関与するトランスポーター活性を有するタンパク質
(10) 顕花植物であることを特徴とする(1)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(11) 上記顕花植物が被子植物であることを特徴とする(10)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(12) 上記被子植物が単子葉植物であることを特徴とする(11)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(13) 上記単子葉植物がイネ科植物であることを特徴とする(12)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(14) 上記イネ科植物がOryza属植物であることを特徴とする(13)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(15) 上記被子植物が双子葉植物であることを特徴とする(11)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(16) 上記双子葉植物がアブラナ科植物であることを特徴とする(15)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(17) 上記アブラナ科植物がArabidopsis属植物であることを特徴とする(16)記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
(18) 上記(1)乃至(17)いずれかに記載の形質転換植物を栽培し、当該形質転換植物から滲出物を採取する工程を含む滲出物の製造方法。
(19) 上記形質転換植物を栽培する栽培条件を相対湿度80%RH以上とすることを特徴とする(18)記載の滲出物の製造方法。
(20) 上記滲出物が排水液であることを特徴とする(18)記載の滲出物の製造方法。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2013-273128号の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
本発明によれば、植物由来の滲出物における糖含量を大幅に向上させることができる。すなわち、本発明に係る形質転換植物は、特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸を導入するか及び/又は当該タンパク質の発現を強化することで、高糖含量といった特徴を有する滲出物を産生することができる。また、本発明に係る滲出物の製造方法は、特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸を導入するか及び/又は当該タンパク質の発現を強化した形質転換植物を利用することで、高糖含量の滲出物を製造することができる。さらに、上記形質転換植物から採取した滲出物は高糖含量であるため、アルコール、有機酸、アルカン及びテルペノイド等を製造する際の原料として使用することができる。
非特許文献1(Nature (2010) 468, 527-532)で規定されたクレードIIIに属するSWEETタンパク質のアミノ酸配列を米国生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information, NCBI)提供のデータベースGenBankから収集し、そのアミノ酸配列情報に基づいて作成した系統樹の概略図である。 図1−1に示した系統樹の部分領域を拡大して示す図である。 図1−1に示した系統樹の部分領域を拡大して示す図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果を示す図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−1の下に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−2の下に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−1の右に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−2の右に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−3の右に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−4の右に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−5の右に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−6の右に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−7の右に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−8の右に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−9の右に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−10の右に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−11の右に続く図である。 図1−1に示した系統樹に含まれるタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図2−12の右に続く図である。 非特許文献1(Nature (2010) 468, 527-532)でクレードIIIに分類されたSWEETタンパク質のアミノ酸配列のマルチプルアライメント解析の結果を示す図である。 非特許文献1(Nature (2010) 468, 527-532)でクレードIIIに分類されたSWEETタンパク質のアミノ酸配列のマルチプルアライメント解析の結果であり、図3−1の下に続く図である。 非特許文献1(Nature (2010) 468, 527-532)でクレードIIIに分類されたSWEETタンパク質のアミノ酸配列のマルチプルアライメント解析の結果であり、図3−2の下に続く図である。 当該クレードIIIのうちシロイヌナズナ由来SWEETタンパク質及びイネ由来SWEETタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果を示す図である。 当該クレードIIIのうちシロイヌナズナ由来SWEETタンパク質及びイネ由来SWEETタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果であり、図4−1の下に続く図である。 当該クレードIIIのうちシロイヌナズナ由来SWEETタンパク質のマルチプルアライメント解析の結果を示す図である。 実施例で作製した核酸AtSWEET/pRI201ANの物理地図を模式的に示す構成図である。 シロイヌナズナにおいて実施例に記載した条件で、排水液を産生している部分を撮像した写真である。 実施例で作製した核酸pZH2B_GWOx_ AtSWEET11及びpZH2B_GWOx_ AtSWEET12の物理地図を模式的に示す構成図である。 イネにおいて、実施例に記載した条件で排水液を産生している部分を撮像した写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸を細胞内へ導入するか及び/又は当該タンパク質の発現を強化する。これにより当該核酸を細胞内へ導入した及び/又は当該タンパク質の発現を強化した形質転換植物からは、高糖濃度の滲出物を採取することができきる。ここで、滲出物とは、植物の組織から外部へとしみだす液体を意味し、例えば、根滲出液や、種子滲出液、排水組織からしみだす排水液を含む意味である。なお、排水組織(hydathode)から液体がしみだす現象は、溢液現象(guttation)とも称される。よって、排水液と溢液とは同義である。排水液特に、特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸を細胞内へ導入するか及び/又は当該タンパク質の発現を強化した形質転換植物は、高糖濃度の排水液を産生することができる。
なお、本明細書において核酸とは、DNA及びRNAといった天然に存在する核酸、PNA(ペプチド核酸)や塩基・糖・リン酸ジエステル部に化学修飾を加えた核酸分子などの人工核酸を含む意味である。また、糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸としては、ゲノムに存在する遺伝子及び当該遺伝子の転写産物の両者を含む意味である。
また、本明細書において糖とはCn(H2O)mの化学式であらわされる物質で、多価アルコールのアルデヒド、ケトン誘導体、それらに近縁の誘導体や縮合体を含め、多糖・オリゴ糖(少糖)・二糖・単糖も含む意味である。糖の還元基にアルコール、フェノール、サポニン、色素などのアグリコンが結合した配糖体でも良い。単糖は炭素数に基づきトリオース、テトロース、ヘキソースやペントースなどと分類されることもあり、分子内の官能基に基づきアルデヒド基を有するアルドースやケトン基を有するケトースなどと分類されることがある。糖は、アルデヒド基やケトン基から最も離れた不斉炭素の立体配置によりD系列とL系列と区別されることもある。単糖の具体的な例としては、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース、マンノース、キシロース、キシルロース、リボース、エリトロース、トレオース、エリトルロース、グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトンなどが挙げられ、二糖の具体的な例としては、スクロース(サッカロース・蔗糖)、ラクトース(乳糖)、マルトース(麦芽糖)、トレハロース、セロビオースなどが挙げられる。
本発明が適用される植物は、特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸を細胞内へ導入するか及び/又は当該タンパク質の発現を強化することで排水液等の滲出物に含まれる糖量が、野生型と比較して有意に向上している。上記タンパク質は、植物組織の細胞全体に亘って発現させたものであっても良いが、植物組織の少なくとも一部の細胞に対して発現させたものであっても良い。ここで植物組織とは、葉、茎、種子、根及び花等の植物器官を含む意味である。本発明において核酸を導入するとは、トランスポータータンパク質をコードする核酸の細胞あたりの分子数を野生型における分子数と比較して有意に大とすることと同義である。また、本発明において、トランスポータータンパク質の発現を強化するとは、トランスポータータンパク質をコードする核酸の発現制御領域を改変すること及び/又は当該核酸そのものを細胞内に注入することで、転写産物や翻訳産物の発現量を向上させることを意味する。
糖輸送に関与するトランスポータータンパク質遺伝子
上述した「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸」とは、以下のアミノ酸配列:(L/I/V/M/F)x(G/A)xx(I/L/V/M/F)xxxx(L/I/V/F)(A/S)(P/S)(1-3aa)(P/S/T/A)T(F/L)xx(I/V)xxxKxxxxxxxxPYxxx(L/I)xxxx(L/I)x(I/L/M/V/F)xY(A/S/G)(7-13aa)(I/L/V/M)(1-2aa)(I/V)Nxxxxxx(E/Q)xxYxxx(Y/F)xx(Y/F)(A/G/S)(35-36aa)(R/Q/H)xxxxGx(V/I/L)xxxxx(V/M/L/I/F)xxxx(A/S/T)P(L/M)x(I/V)(I/M/V/L)(2-7aa)(V/I)(V/I/M)x(T/S)x(S/N)xx(F/Y)(M/L)(P/S)(F/I/V/L)xLSxx(L/I)(T/V)xx(A/G)xxW(F/L)xYGxxxxDxx(V/I)xxPNxxGxx(F/L)(G/S)xxQ(M/I)x(L/M/I/V/F)(Y/H/F)を含む共通配列1を有する、糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする。
上記アミノ酸配列において、xは任意のアミノ酸残基を示している。当該アミノ酸配列において、-で連結した2つの数値とaaからなる表記は、その位置が任意のアミノ酸からなる配列であり、その配列が当該2つの数値で挟まれる範囲のアミノ酸残基数からなることを示している。当該アミノ酸配列において、括弧内で複数のアミノ酸を/で区切って示したは表記は、その位置が当該複数のアミノ酸のうちいずれかのアミノ酸であることを示している。なお、本明細書に記載するアミノ酸配列については、この表記方法を採用する。
また、上記アミノ酸配列については、N末端からC末端にかけて、配列番号1のアミノ酸配列、1〜3個の任意のアミノ酸残基、配列番号2のアミノ酸配列、7〜13個の任意のアミノ酸残基、配列番号3のアミノ酸配列、I/L/V/Mのうちいずれかのアミノ酸残基、1〜2個のアミノ酸残基、配列番号4のアミノ酸配列、2〜7個のアミノ酸残基及び配列番号5のアミノ酸配列がこの順で連結したアミノ酸配列であると言い換えることができる。
なお、Nature (2010) 468, 527-534のSupplementary Figure 8には、糖輸送に関与するトランスポータータンパク質SWEETに関してアミノ酸配列に基づいた系統樹が開示されている。本文献では、シロイヌナズナ由来SWEETタンパク質、イネ由来SWEETタンパク質、ウマゴヤシ由来SWEETタンパク質、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)由来SWEETタンパク質、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)由来SWEETタンパク質、ペチュニア(Petunia hybrida)由来SWEETタンパク質、センチュウ(Caenorhabditis elegans)由来SWEETタンパク質、哺乳類由来SWEETタンパク質について開示している。この系統樹によれば、糖輸送に関与するトランスポータータンパク質であるSWEETは、アミノ酸配列の類似性に基づいてクレードI〜Vの5つに分類されることが理解できる。
本文献に開示された糖輸送に関与するトランスポータータンパク質SWEETのうち、シロイヌナズナ由来SWEETタンパク質、イネ由来SWEETタンパク質、及び上ウマゴヤシSWEETタンパク質とペチュニアSWEETタンパク質について、GenBank ID番号、ゲノムデータから算出されているタンパク質コード領域のIndex(Index in the Genome)、遺伝子名、タンパク質名、タンパク質略号、SWEETタンパク質クレード番号及び由来生物種の対応を下記表1に示す。
Figure 0006382846
なお、本明細書中でAtSWEETと記載する場合は表1中のAtSWEET1、AtSWEET2、AtSWEET3、AtSWEET4、AtSWEET5、AtSWEET6、AtSWEET7、AtSWEET8、AtSWEET9、AtSWEET10、AtSWEET11、AtSWEET12、AtSWEET13、AtSWEET14、AtSWEET15、AtSWEET16及びAtSWEETT17を指し、OsSWEETと記載する場合は表1中のOsSWEET1a、OsSWEET1b、OsSWEET2a、OsSWEET2b、OsSWEET3a、OsSWEET3b、OsSWEET4、OsSWEET5、OsSWEET6a、OsSWEET6b、OsSWEET7a、OsSWEET7b、OsSWEET7c、OsSWEET11、OsSWEET12、OsSWEET13、OsSWEET14、OsSWEET15及びOsSWEET16を指す。
上述した共通配列1は、上記文献で規定されたクレードIIIに属するSWEETタンパク質のアミノ酸配列をGenBankデータベースから収集し、そのアミノ酸配列情報に基づいて、ClustalWによる系統樹(図1−1〜図1−3)及びマルチプルアラインメント(図2−1〜図2−15)を作成し、作成した系統樹及びマルチプルアラインメントから導き出されるアミノ酸配列である。すなわち、上述した共通配列1を有する糖輸送に関与するトランスポータータンパク質とは、上記文献においてクレードIIIに分類されたSWEETタンパク質を含み、上記文献においてクレードI、II、IV及びVのいずれかに分類されたSWEETタンパク質は含まれない。言い換えると、上述した共通配列1は、上記文献においてクレードIIIに分類されたSWEETタンパク質及びGenBankデータベースから収集したクレードIIIに分類されたSWEETタンパク質に特徴的な配列であって、上記文献においてクレードI、II、IV及びVの各グループとの明確な区別基準となる配列である。
なお、図1−1には系統樹の全体像を示しており、図1−2〜図1−3には図1−1に示した全体像の部分領域を拡大して示している。図1−1に示した全体像にはGenBank IDやタンパク質名等が記載されていないが、図1−2〜図1−3に示した部分領域にはGenBank IDやタンパク質名等を記載している。
具体的に、クレードIIIには、図1−1〜1−3に示すように、表1に示したシロイヌナズナ、イネ、ウマゴヤシ及びペチュニア以外にも、ダイズ(Glycine max)、ミヤコグサ(Lotus japonicus)、トマト(Solanum lycopersicum)、トウガラシ(Capsicum annuum)、ヒヨコマメ(Cicer arietinum)、キュウリ(Cucumis sativus)、モモ(Prunus persica)、イチゴ(Fragaria vesca)、ブドウ(Vitis vinifera)、ナズナ(Capsella rubella)、ポプラ(Populus trichocarpa)、トウゴマ・ヒマ(Ricinus communis)、トウモロコシ(Zea mays)、モロコシ・ソルガム(Sorghum bicolor)、タルホコムギ(Aegilops tauschii)、ミナトカモジグサ(Brachypodium distachyon)、ウラルツコムギ(Triticum urartu)、オオムギ(Hordeum vulgare)等由来のSWEETタンパク質が含まれている。
これらクレードIIIに含まれるSWEETタンパク質のうち、表1に示したシロイヌナズナ、イネ、ウマゴヤシ及びペチュニア由来のSWEETタンパク質について、GenBank ID番号、遺伝子名、由来生物種及びアミノ酸配列の配列番号の対応を下記表2に示す。
Figure 0006382846
また、シロイヌナズナ、イネ、ウマゴヤシ及びペチュニア以外の生物種由来であって、図1−1〜1−3に示したSWEETタンパク質について、GenBank ID番号、由来生物種及びアミノ酸配列の配列番号の対応を下記表3、4及び5に示す。
Figure 0006382846
Figure 0006382846
Figure 0006382846
なお、表2〜5に示した各種生物由来のSWEETタンパク質のアミノ酸配列について、ClustalW multiple sequence alignmentプログラム(国立遺伝学研究所のDDBJで使用できる)を用いてアラインメント解析した結果を図2−1〜2−15に示す。解析に用いたバージョンおよび各種パラメーターを以下に示す。
ClustalW Version, 2.1
-Pairwise Alignment Parameters
--Alignment Type, Slow
--Slow Pairwise Alignment Options
---Protein Weight Matrix, Gonnet
---Gap Open, 10
---Gap Extension, 0.1
Multiple Sequence Alignment Parameters
-Protein Weight Matrix, Gonnet
-Gap Open, 10
-Gap Extension, 0.20
-Gap Distances, 5
-No End Gaps, no
-Iteration, none
-Numiter, 1
-Clustering, NJ
Output Options
-Format, Aln w/numbers
-Order, Aligned
図2−1〜2−15に示すように、上述したSWEETタンパク質のクレードIIIに分類されるSWEETタンパク質は、上述した共通配列1を有することが理解できる。ここで、上記共通配列1において、所定の位置で取りうるアミノ酸残基のバリエーションは以下の理由によるものである。参考文献(1)(「マッキー生化学」第3版 5章アミノ酸・ペプチド・タンパク質 5.1アミノ酸、監修:市川厚、監訳:福岡伸一、発行者:曽根良介、発行所:(株)化学同人、ISBN4-7598-0944 -9)でも記載されているように、アミノ酸は同様の性質(化学的性質や物理的大きさ)を持つ側鎖に従って分類される事がよく知られる。また、タンパク質の活性を保持したまま、所定のグループに分類されるアミノ酸残基間における分子進化上の置換が頻度高く起こることがよく知られる。この考えを基に、参考文献(2): Henikoff S., Henikoff J.G., Amino-acid substitution matrices from protein blocks, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 10915-10919 (1992)中の、Fig.2でアミノ酸残基の置換変異のスコアマトリックス(BLOSUM)が提唱され、広く使用されている。参考文献(2)では、側鎖の化学的性質が似たもの同士のアミノ酸置換は、タンパク質全体に与える構造や機能変化が少なくなると言う知見に基づくものである。上記参考文献(1)及び(2)によれば、マルチプルアラインメントで考慮するアミノ酸の側鎖のグループは、化学的性質や物理的大きさなどの指標を基にして考えることができる。これは、参考文献(2)に開示されたスコアマトリックス(BLOSUM)において、スコアの0以上の値を持つアミノ酸、好ましくは1以上の値を持つアミノ酸のグループとして示される。代表的なグループとしては、下記の8つが上げられる。その他の細かいグループ分けは、当該スコアの値の0以上同士のアミノ酸グループ、好ましくは1以上同士のアミノ酸グループ、さらに好ましくは2以上のアミノ酸グループであれば良い。
1)脂肪族疎水性アミノ酸グループ(ILMVグループ)
このグループは、上記参考文献(1)で示された中性非極性アミノ酸のうち、脂肪属性の疎水性側鎖をもつアミノ酸のグループであり、V(Val、バリン)、L(Leu、ロイシン)、I(Ile、イソロイシン)及びM(Met、メチオニン)から構成される。参考文献(1)による中性非極性アミノ酸と分類されるもののうちFGACWPは以下理由で、この「脂肪族疎水性アミノ酸グループ」には含めない。G(Gly、グリシン)やA(Ala、アラニン)はメチル基以下の大きさで非極性の効果が弱いからである。C(Cys、システイン)はS-S結合に重要な役目を担う場合があり、また、酸素原子や窒素原子と水素結合を形成する特性があるからである。F(Phe、フェニルアラニン)やW(Trp、トリプトファン)は側鎖がとりわけ大きな分子量をもち、かつ、芳香族の効果が強いからである。P(Pro、プロリン)はイミノ酸効果が強く、ポリペプチドの主鎖の角度を固定してしまうからである。
2)ヒドロキシメチレン基をもつグループ(STグループ)
このグループは、中性極性アミノ酸のうちヒドロキシメチレン基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、S(Ser、セリン)とT(Thr、スレオニン)から構成される。SとTの側鎖に存在する水酸基は、糖の結合部位であるため、あるポリペプチド(タンパク質)が特定の活性を持つために重要な部位である場合が多い。
3)酸性アミノ酸(DEグループ)
このグループは、酸性であるカルボキシル基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、D(Asp、アスパラギン酸)とE(Glu、グルタミン酸)から構成される。
4)塩基性アミノ酸(KRグループ)
このグループは、塩基性アミノ酸のグループであり、K(Lys、リジン)とR(Arg、アルギニン)から構成される。これらKとRは、pHの広い範囲で正に帯電し塩基性の性質をもつ。一方、塩基性アミノ酸に分類されるH(His、ヒスチジン)はpH7においてほとんどイオン化されないので、このグループには分類されない。
5)メチレン基=極性基(DHNグループ)
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてメチレン基が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持ち、N(Asn、アスパラギン、極性基はアミド基)、D(Asp、アスパラギン酸、極性基はカルボキシル基)とH(His、ヒスチジン、極性基はイミダゾール基)から成る。
6)ジメチレン基=極性基(EKQRグループ)
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてジメチレン基以上の直鎖炭化水素が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるジメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持つ。E(Glu、グルタミン酸、極性基はカルボキシル基)、K(Lys、リジン、極性基はアミノ基)、Q(Gln、グルタミン、極性基はアミド基)、R(Arg、アルギニン、極性基はイミノ基とアミノ基)から成る。
7)芳香族(FYWグループ)
このグループには、側鎖にベンゼン核を持つ芳香族アミノ酸であり、芳香族特有の化学的性質を特徴とする。F(Phe、フェニルアラニン)、Y(Tyr、チロシン)、W(Trp、トリプトファン)から成る。
8)環状&極性(HYグループ)
このグループには、側鎖に環状構造を持つと同時に極性も持つアミノ酸で、H(H、ヒスチジン、環状構造と極性基は共にイミダゾール基)、Y(Tyr、チロシン、環状構造はベンゼン核で極性基は水酸基)から成る。
上記のアミノ酸グループに基づき、ある機能を有するタンパク質のアミノ酸配列中のあるアミノ酸残基を同一のグループに属するアミノ酸残基に置換しても同様の機能を有する新規タンパク質が得られることが容易に予想できる。たとえば上記「1)脂肪族疎水性アミノ酸グループ(ILMVグループ)」に基づき、ある機能を有するタンパク質のアミノ酸配列中のイソロイシン残基をロイシン残基に置換しても同様の機能を有する新規タンパク質が得られることが容易に予想できる。ある機能を有するタンパク質が複数ある場合には、コンセンサス配列としてアミノ酸配列を記載する場合もあるが、この場合でもあるアミノ酸残基を同一のグループに属するアミノ酸残基に置換しても同様の機能を有する新規タンパク質が得られることが容易に予想できる。たとえば、ある機能を有するタンパク質が複数あり、そこから算出されたコンセンサス配列中のアミノ酸残基がイソロイシンまたはロイシン(L/I)の時、上記「1)脂肪族疎水性アミノ酸グループ(ILMVグループ)」に基づき、イソロイシンまたはロイシン残基をメチオニンまたはバリン残基に置換しても同様の機能を有する新規タンパク質が得られることが容易に予想できる。
ところで、上述した「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質」は、上述した共通配列1のN末端側及びC末端側に所定のアミノ酸残基を加えるとともに、所定の位置において取りうるアミノ酸のバリエーションを限定したアミノ酸配列からなる共通配列2を有するタンパク質として規定することができる。共通配列2のアミノ酸配列は以下の通りである。G(L/I/V/F/M)xGx(I/V/L)(I/V/L)(S/T)xxxxL(A/S)P(L/V/I/M)(P/S/T/A)TFxx(I/V)x(K/R)xK(S/T)xxx(F/Y)x(S/A)xPYxx(A/S/T)LxSxxLx(L/I/M/V)(Y/F)Y(A/G)(7-9aa)(L/I)(I/V/L)(T/S)INxx(G/A)xx(I/V/M)(E/Q)xxYxxx(F/Y)(L/I/V/F)x(Y/F)Ax(K/R/N)xxxxx(T/A)(7-8aa)(V/F/L/I/M)(18-19aa)(R/Q/H)xxxxGx(I/V)xxxxx(V/I/L/M)x(V/M)F(A/V)(A/S/T)PLx(I/V)(I/M/V/L)xxV(I/V)(K/R/Q)(T/S)(K/R)S(V/A)x(F/Y)MP(F/I/L)xLS(L/F/V)xL(T/V)(L/I)xAxxW(F/L)xYG(L/F)xxxDxx(V/I)xxPNxxGxx(L/F)(G/S)xxQMx(L/V/I)(Y/F)xx(Y/F)
また、共通配列2のアミノ酸配列については、N末端からC末端にかけて、配列番号6のアミノ酸配列、7〜9個の任意のアミノ酸残基、配列番号7のアミノ酸配列、7〜8個の任意のアミノ酸残基、V/F/L/I/Mのうちいずれかのアミノ酸残基、18〜19個のアミノ酸残基及び配列番号8のアミノ酸配列がこの順で連結したアミノ酸配列であると言い換えることができる。
共通配列2は、上述した文献においてクレードIIIと分類されたSWEETタンパク質に共通するアミノ酸配列である。すなわち、共通配列2は、上述した文献にクレードIIIに分類されたシロイヌナズナ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質、イネ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質、ウマゴヤシ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質及びペチュニア由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質の各アミノ酸配列について、上述と同様にClustalWによる解析を行い、作成したマルチプルアラインメントから導き出されたアミノ酸配列である。よって、共通配列2は、上記文献においてクレードIIIに分類されたSWEETタンパク質に特徴的な配列であって、上記文献においてクレードI、II、IV及びVの各グループとの明確な区別基準となる配列である。
なお、上記文献においてクレードIIIと分類されたSWEETタンパク質のアミノ酸配列について、ClustalW multiple sequence alignmentプログラム(国立遺伝学研究所のDDBJで使用できる)を用いてアラインメント解析した結果を図3−1〜3−3に示す(解析に用いたバージョンおよび各種パラメーターは上記の通りである)。図3−1〜3−3に示すように、上記文献においてクレードIIIと分類されたSWEETタンパク質は、上述した共通配列2を有することが理解できる。
さらに、上述した「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質」は、上述した共通配列2のN末端側に所定のアミノ酸残基を加えるとともに、所定の位置において取りうるアミノ酸のバリエーションを限定したアミノ酸配列からなる共通配列3を有するタンパク質として規定することができる。共通配列3のアミノ酸配列は以下の通りである。(A/V)xxxG(I/L/V)xGN(I/L/V)(I/L/V)S(F/L)x(V/T)xL(A/S)P(V/L/I)(P/A)TFxx(I/V)x(K/R)xK(S/T)xx(G/S)(F/Y)(Q/S/E)SxPYxx(A/S/T)LxS(A/C/S)xLx(L/I/M)(Y/F)Y(A/G)xx(K/T)(3-5aa)(L/M/P)(L/I)(I/L/V)(T/S)INxx(G/A)xx(I/V)(E/Q)xxY(I/L)x(L/M/V/I)(F/Y)(L/I/V/F)x(Y/F)Ax(K/R)xxxxx(T/A)xx(L/M/F/V/I)(L/F/V/I)xxx(N/D)(F/V/I/L)xx(F/L)xx(I/L/V)xxxxxx(L/I/V)(5-6aa)(R/Q)xxxxGx(I/V)xxxx(S/A)(V/L/M)(C/S/A)VF(A/V)(A/S)PLx(I/V)(I/M/V)xxV(I/V)(K/R/Q)(T/S)(K/R)S(V/A)E(F/Y)MP(F/I)xLS(L/F/V)xL(T/V)(L/I)(S/N)A(V/I)xW(F/L)xYGLxx(K/N)Dxx(V/I)xxPN(V/I)xGxx(F/L)(G/S)xxQMxL(Y/F)xx(Y/F)
また、共通配列3のアミノ酸配列については、N末端からC末端にかけて、配列番号9のアミノ酸配列、3〜5個の任意のアミノ酸残基、配列番号10のアミノ酸配列、5〜6個の任意のアミノ酸残基及び配列番号11のアミノ酸配列がこの順で連結したアミノ酸配列であると言い換えることができる。
共通配列3は、上述した文献においてクレードIIIと分類されたSWEETタンパク質のうちシロイヌナズナ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質及びイネ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質の各アミノ酸配列について、上述と同様にClustalWによる解析を行い、作成したマルチプルアラインメントから導き出されたアミノ酸配列である。よって、共通配列3は、上記文献においてクレードIIIに分類されたシロイヌナズナ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質及びイネ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質に特徴的な配列であって、上記文献においてクレードI、II、IV及びVの各グループとの明確な区別基準となる配列である。
なお、上記文献においてクレードIIIに分類されたシロイヌナズナ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質及びイネ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質のアミノ酸配列について、ClustalW multiple sequence alignmentプログラム(国立遺伝学研究所のDDBJで使用できる)を用いてアラインメント解析した結果を図4−1〜4−2に示す(解析に用いたバージョンおよび各種パラメーターは上記の通りである)。図4−1〜4−2に示すように、上記文献においてクレードIIIに分類されたシロイヌナズナ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質及びイネ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質は、上述した共通配列3を有することが理解できる。
さらにまた、上述した「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質」は、上述した共通配列3のN末端側及びC末端側に所定のアミノ酸残基を加えるとともに、所定の位置において取りうるアミノ酸のバリエーションを限定したアミノ酸配列からなる共通配列4を有するタンパク質として規定することができる。共通配列4のアミノ酸配列は以下の通りである。(M/L/V)xx(T/K/N/S)xxxxAxxFG(L/I/V)LGN(I/L/V)(I/V)SFxVxL(S/A)P(V/I)PTFxxIxK(K/R)K(S/T)x(E/K)(G/S)(F/Y)(Q/E)S(I/L)PYxx(A/S)LxS(A/C)xLx(L/I/M)YY(A/G)xxK(4-5aa)(L/M)(L/I)(I/V)(T/S)IN(A/S/T)(F/V)(G/A)x(F/V)(I/V)(E/Q)xxY(I/L)x(L/M/I)(F/Y)(F/V/I/L)x(Y/F)Ax(K/R)xx(R/K)xx(T/A)(L/V/M)K(V/L/M/F)(L/I/V/F)xxx(N/D)(F/V/I)xx(F/L)xx(I/L)(L/I/V/F)(L/M/V)(L/V)xx(F/L)(L/I/V)(5-6aa)(R/Q)x(K/S/Q)x(L/I/V)Gx(I/V)Cxxx(S/A)(V/L)(S/C/A)VF(A/V)(A/S)PLx(I/V)(M/I/V)xxV(I/V)(K/R)T(K/R)S(V/A)E(Y/F)MPFxLS(L/F)xLT(I/L)(S/N)A(V/I)xW(L/F)xYGLx(L/I)(K/N)Dxx(V/I)A(L/F/I/M)PN(V/I)(L/I/V)Gxx(L/F)GxxQM(I/V)L(Y/F)(V/L/I/M)(V/L/I/M)(Y/F)(K/R/Q)
また、共通配列4のアミノ酸配列については、N末端からC末端にかけて、配列番号12のアミノ酸配列、4〜5個の任意のアミノ酸残基、配列番号13のアミノ酸配列、5〜6個の任意のアミノ酸残基及び配列番号14のアミノ酸配列がこの順で連結したアミノ酸配列であると言い換えることができる。
共通配列4は、上述した文献においてクレードIIIと分類されたSWEETタンパク質のうちシロイヌナズナ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質の各アミノ酸配列について、上述と同様にClustalWによる解析を行い、作成したマルチプルアラインメントから導き出されたアミノ酸配列である。よって、共通配列4は、上記文献においてクレードIIIに分類されたシロイヌナズナ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質に特徴的な配列であって、上記文献においてクレードI、II、IV及びVの各グループとの明確な区別基準となる配列である。
なお、上記文献においてクレードIIIに分類されたシロイヌナズナ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質のアミノ酸配列について、ClustalW multiple sequence alignmentプログラム(国立遺伝学研究所のDDBJで使用できる)を用いてアラインメント解析した結果を図5に示す(解析に用いたバージョンおよび各種パラメーターは上記の通りである)。図5に示すように、上記文献においてクレードIIIに分類されたシロイヌナズナ由来の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質は、上述した共通配列4を有することが理解できる。
以上のように、本発明において使用できる「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸」は、上述した共通配列1、2、3又は4を有する、糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードするものであれば、特に限定されない。言い換えると、当該核酸としては、表2〜5に列挙した具体的なSWEETタンパク質をコードするものに限定されず、表2〜5に挙げた生物種と異なる生物種由来のSWEETタンパク質をコードするものも含まれる。例えば、GenBank等のデータベースに配列データが格納されていない生物由来であって、共通配列1、2、3又は4を有する、糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸も使用することができる。
具体的に、特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質としては、表2〜5に示したように配列番号15〜131のいずれかに示したアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。特に、特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質としては、配列番号15〜35のいずれかに示したアミノ酸配列を含むタンパク質(表2)であることが好ましく、配列番号15〜26のいずれかに示したアミノ酸配列を含むタンパク質(シロイヌナズナ又はイネ由来)であることがより好ましく、配列番号15〜21のいずれかに示したアミノ酸配列を含むタンパク質(シロイヌナズナ由来)であることが更に好ましい。さらに、特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質としては、配列番号17のアミノ酸配列を含むAtSWEET11、配列番号18のアミノ酸配列を含むAtSWEET12、配列番号25のアミノ酸配列を含むOsSWEET14及び配列番号26のアミノ酸配列を含むOsSWEET15であることが最も好ましい。
なお、本発明において使用できる「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸」は、上述のように具体的な配列番号で特定される糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸に限定されず、上述した共通配列1、2、3又は4を有する糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸であれば如何なる核酸も使用することができる。
糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸とは、当該核酸がコードするタンパク質が糖輸送に関与するトランスポーター活性を有することを意味する。糖輸送に関与するトランスポーター活性とは、例えば非特許文献1及び2のMethodsに記載されているような、小胞体(endoplasmic reticulum; ER)内外への糖輸送を細胞質局在またはER局在のFRET(Forster resonance energy transfer又はfluorescence resonance energy transfer)糖センサーで測定される活性である。
なお、所定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質が共通配列1、2、3又は4を有するか否か、若しくは当該タンパク質をコードする核酸が共通配列1、2、3又は4を有するタンパク質をコードするか否かは、当該タンパク質のアミノ酸配列若しくは当該核酸がコードするアミノ酸配列を共通配列1、2、3又は4に示すアミノ酸配列と比較することで容易に判別することができる。
ここで、配列番号15〜131のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、共通配列1、2、3又は4を有する糖輸送に関与するトランスポータータンパク質としては、例えば、配列番号15〜131のいずれかに示したアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸配列が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含み、且つ、共通配列1、2、3又は4を有し、糖輸送に関与するトランスポーター活性を有するタンパク質をコードするものであっても良い。ここで、複数個のアミノ酸としては、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。なお、アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、上記糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸の塩基配列を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。塩基配列に変異を導入するには、Kunkel法またはGapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-KやMutant-G(何れも商品名、TAKARA Bio社製))等を用いて、あるいはLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキット(商品名、TAKARA Bio社製)を用いて変異が導入される。また、変異導入方法としては、EMS(エチルメタンスルホン酸)、5-ブロモウラシル、2-アミノプリン、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-Nニトロソグアニジン、その他の発ガン性化合物に代表されるような化学的変異剤を使用する方法でも良いし、X線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、イオンビームに代表されるような放射線処理や紫外線処理による方法でも良い。
また、配列番号15〜131のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、共通配列1、2、3又は4を有する糖輸送に関与するトランスポータータンパク質としては、例えば、配列番号15〜131のいずれかに示したアミノ酸配列に対する類似度(Similarity)又は同一性(identity)が例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上であるアミノ酸配列を有し、且つ、共通配列1、2、3又は4を有し、糖輸送に関与するトランスポーター活性を有するタンパク質をコードするものであっても良い。類似度及び同一性の値は、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)プログラムを実装したコンピュータプログラム及び遺伝子配列情報を格納したデータベースを用いてデフォルトの設定で求められる値を意味する。
さらに、配列番号15〜131のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、共通配列1、2、3又は4を有する糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸は、植物ゲノム情報が明らかとなっていない場合には、対象となる植物から核酸を抽出し、配列番号15〜131のアミノ酸配列をコードする核酸に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を単離することで同定することができる。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、45℃、6×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)でのハイブリダイゼーション、その後の50〜65℃、0.2〜1×SSC、0.1%SDSでの洗浄が挙げられ、或いはそのような条件として、65〜70℃、1×SSCでのハイブリダイゼーション、その後の65〜70℃、0.3×SSCでの洗浄を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等、従来公知の方法で行うことができる。
以上のように、本発明において使用する「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質」を共通配列1、2、3又は4を有するものとして定義した。しかし、本発明において使用できる「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質」は、この共通配列1、2、3又は4を有するタンパク質に限定されない。
すなわち、「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質」としては、配列番号15〜131のいずれかに示したアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸配列が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含み、糖輸送に関与するトランスポーター活性を有するタンパク質をコードするものであっても良い。ここで、複数個のアミノ酸としては、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。なお、アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、上記糖輸送に関与するトランスポータータンパク質をコードする核酸の塩基配列を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。塩基配列に変異を導入する方法は上述した方法を適宜適用することができる。
また、「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質」としては、例えば、配列番号15〜131のいずれかに示したアミノ酸配列に対する類似度(Similarity)又は同一性(identity)が例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上であるアミノ酸配列を有し、糖輸送に関与するトランスポーター活性を有するタンパク質をコードするものであっても良い。類似度及び同一性の値は、上述した方法により求めることができる。
さらに、「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質」としては、例えば、配列番号15〜131のアミノ酸配列をコードする核酸に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、糖輸送に関与するトランスポーター活性を有するタンパク質をコードするものであっても良い。ここで、ストリンジェントな条件とは、上述したものと同様である。
本発明を適用した植物は、上述したように定義された「特定の糖輸送に関与するトランスポータータンパク質」をコードする核酸を細胞内へ導入するか、当該核酸によりコードされるタンパク質の発現を強化することによって、高糖濃度の滲出物を産生することができる。この糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を細胞内へ導入する手法としては、例えば、糖輸送に関与するトランスポーターをコードするDNAを発現可能なように配置した発現ベクターを細胞内へ導入する手法を挙げることができる。また、糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸の発現を強化する手法としては、対象とする植物体における糖輸送に関与するトランスポーターをコードするDNAの近傍に位置する転写プロモーターを改変する手法を挙げることができる。特に、恒常的発現を可能とするプロモーターの制御下に上述した糖輸送に関与するトランスポーターをコードするDNAを発現可能なように配置した発現ベクターを対象の植物の細胞に導入する手法が好ましい。
糖輸送に関与するトランスポーターをコードする人工遺伝子
上述した「特定の糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸」としては、共通配列1、2、3又は4を有し、糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸であれば自然界に存在する核酸と同じ塩基配列を有する核酸に限らず、人工的に設計された塩基配列を有する核酸、つまり、人工遺伝子であってもよい。ここで人工遺伝子とは、人為的に設計したアミノ酸配列をコードする核酸であって、天然には存在しない塩基配列を有するDNAを意味する。人工遺伝子は、天然に存在するタンパク質の一部を改変(アミノ酸残基の欠失、置換、挿入等)したタンパク質をコードするものでも良いし、天然に存在するアミノ酸配列をつなぎ合わせたキメラタンパク質をコードするものでも良いし、N末端からC末端まで全配列を独自に設計したタンパク質をコードするものであっても良い。
人工遺伝子としては、共通配列1、2、3又は4を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAであればよい。また、人工遺伝子として糖輸送に関与するトランスポーター遺伝子を設計する場合、特に、膜貫通ドメインも含むように設計することが好ましい。このドメインによって、トランスポーターがより好ましい位置に局在し、トランスポーター活性に寄与すると考えられるからである。
より具体的に、糖輸送に関与するトランスポーターをコードする人工遺伝子としては、配列番号132〜137に示すアミノ酸配列をコードするように設計することができる。これら配列番号132〜137に示すアミノ酸配列には、上述した共通配列がN末端側存在しており、また、C末端側に膜貫通ドメインを含んでいる。配列番号132に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をSWo1と呼称し、配列番号133に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をSWo2と呼称し、配列番号134に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をSWo3と呼称し、配列番号135に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をSWo4と呼称し、配列番号136に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をSWo5と呼称し、配列番号137に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をSWo6と呼称する。
発現ベクター
発現ベクターは、恒常的な発現を可能とするプロモーター塩基配列を有する核酸と、上述した糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸(天然に存在する塩基配列を有する核酸及び人工遺伝子の両者を含む。以下同様)とを含むように構築する。発現ベクターの母体となるベクターとしては、従来公知の種々のベクターを用いることができる。例えば、プラスミド、ファージ、またはコスミド等を用いることができ、導入される植物細胞や導入方法に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、pBR322、pBR325、pUC19、pUC119、pBluescript、pBluescriptSK、pBI系のベクター等を挙げることができる。特に、植物細胞へのベクターの導入法がアグロバクテリウムを用いる方法である場合には、pBI系のバイナリーベクターを用いることが好ましい。pBI系のバイナリーベクターとしては、具体的には、例えば、pBIG、pBIN19、pBI101、pBI121、pBI221等を挙げることができる。
プロモーターは、植物体内で糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を発現させることが可能なプロモーターであれば特に限定されるものではなく、公知のプロモーターを好適に用いることができる。かかるプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(CaMV35S)、各種アクチン遺伝子プロモーター、各種ユビキチン遺伝子プロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター、タバコのPR1a遺伝子プロモーター、トマトのリブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ・オキシダーゼ小サブユニット遺伝子プロモーター、ナピン遺伝子プロモーター、オレオシン遺伝子プロモーター等を挙げることができる。この中でも、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター、アクチン遺伝子プロモーター又はユビキチン遺伝子プロモーターをより好ましく用いることができる。上記各プロモーターを用いれば、植物細胞内に導入されたときに任意の核酸を強く発現させることが可能となる。
また、プロモーターとしては、植物における部位特異的に核酸を発現させる機能を有するものを使用することもできる。このようなプロモーターとしては、従来公知の如何なるプロモーターを使用することができる。このようなプロモーターを使用して、上記糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を部位特異的に導入することによって、当該核酸を導入した細胞から成る植物器官や植物組織から産生される滲出物に含まれる糖含量を向上させることができる。
なお、発現ベクターは、プロモーター及び上記糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸に加えて、さらに他のセグメント配列を有する核酸を含んでいてもよい。当該他のセグメント配列を有する核酸は特に限定されるものではないが、ターミネーター塩基配列を有する核酸、形質転換体選別マーカー塩基配列を有する核酸、エンハンサー塩基配列を有する核酸、翻訳効率を高めるための塩基配列を有する核酸等を挙げることができる。また、上記組換え発現ベクターは、さらにT−DNA領域を有していてもよい。T−DNA領域は特にアグロバクテリウムを用いて上記組換え発現ベクター中の塩基配列を有する核酸を植物細胞に導入する場合に核酸導入の効率を高めることができる。
ターミネーター塩基配列を有する核酸は転写終結部位としての機能を有していれば特に限定されるものではなく、公知のものであってもよい。例えば、具体的には、ノパリン合成酵素遺伝子の転写終結領域(Nosターミネーター)、カリフラワーモザイクウイルス35Sの転写終結領域(CaMV35Sターミネーター)等を好ましく用いることができる。この中でもNosターミネーターをより好ましく用いることできる。上記組換えベクターにおいては、ターミネーターを適当な位置に配置することにより、植物細胞に導入された後に、不必要に長い転写物を合成するといった現象の発生を防止することができる。
形質転換体選別マーカー塩基配列を有する核酸としては、例えば薬剤耐性遺伝子を含む核酸を用いることができる。かかる薬剤耐性遺伝子の具体的な一例としては、例えば、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール等に対する薬剤耐性遺伝子を含む核酸を挙げることができる。これにより、上記抗生物質を含む培地中で生育する植物体を選択することによって、形質転換された植物体を容易に選別することができる。
翻訳効率を高めるための塩基配列を有する核酸としては、例えばタバコモザイクウイルス由来のomega配列を有する核酸を挙げることができる。このomega配列を有する核酸をタンパク質コード領域上流の非翻訳領域(5’UTR)に配置させることによって、上記糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸の発現効率を高めることができる。このように、上記組換え発現ベクターには、その目的に応じて、さまざまなDNAセグメント配列を有する核酸を含ませることができる。
組換え発現ベクターの構築方法についても特に限定されるものではなく、適宜選択された母体となるベクターに、上記プロモーター塩基配列を有する核酸、上記糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸及び必要に応じて上記他のDNAセグメント配列を有する核酸を所定の順序となるように導入すればよい。例えば、上記糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸とプロモーター塩基配列を有する核酸と(必要に応じてターミネーター塩基配列を有する核酸等)とを連結し、これをベクターに導入すればよい。
また、上記発現ベクターの増殖方法(生産方法)も特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。一般的には大腸菌をホストとして当該大腸菌内で増殖させればよい。このとき、ベクターの種類に応じて、好ましい大腸菌の種類を選択してもよい。
形質転換
上述した発現ベクターは、一般的な形質転換方法によって対象の植物細胞に導入される。発現ベクターを植物細胞に導入する方法(形質転換方法)は特に限定されるものではなく、植物細胞に応じた適切な従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、アグロバクテリウムを用いる方法や直接植物細胞に導入する方法を用いることができる。アグロバクテリウムを用いる方法としては、例えば、Bechtold, E., Ellis, J. and Pelletier, G. (1993) In Planta Agrobacterium-mediated gene transfer by infiltration of adult Arabidopsis plants. C.R. Acad. Sci. Paris Sci. Vie, 316, 1194-1199. あるいは、Zyprian E, Kado Cl, Agrobacterium-mediated plant transformation by novel mini-T vectors in conjunction with a high-copy vir region helper plasmid. Plant Molecular Biology, 1990, 15(2), 245-256.に記載された方法を用いることができる。
発現ベクターを直接植物細胞に導入する方法としては、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法(電気穿孔法)、ポリエチレングリコール法、パーティクルガン法、プロトプラスト融合法、リン酸カルシウム法等を用いることができる。
また、上記糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を直接植物細胞に導入する方法を採るなら、対象とするトランスポーターをコードする核酸の発現に必要な転写ユニット、例えばプロモーター塩基配列を有する核酸や転写ターミネーター塩基配列を有する核酸と、対象とするトランスポーターをコードする核酸を含んだ核酸であれば十分であり、ベクター機能が必須ではない。さらに、転写ユニットを有さない上記糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸のタンパク質コード領域のみを含む核酸であっても、宿主ゲノム中の転写ユニット内にインテグレートし、対象となる遺伝子を発現することができればよい。また、宿主ゲノム中にインテグレートされない場合でも、上記糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸が細胞内で転写且つ/または翻訳されれば十分である。
上記発現ベクターや、発現ベクターを含まず対象となる糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸が導入される植物細胞としては、例えば、花、葉、根等の植物器官における各組織の細胞、カルス、懸濁培養細胞等を挙げることができる。ここで、発現ベクターは、生産しようとする種類の植物体に合わせて適切なものを適宜構築してもよいが、汎用的な発現ベクターを予め構築しておき、それを植物細胞に導入してもよい。
発現ベクターの導入対象となる細胞から成る植物としては、特に限定されない。すなわち、上述した糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を導入することによって、あらゆる植物体について排水液等の滲出物に含まれる糖濃度を向上させることができる。対象となる植物としては、例えば、顕花植物であることが好ましく、顕花植物のなかでも被子植物であることがより好ましい。対象となる被子植物としては、双子葉植物、単子葉植物、例えばアブラナ科、イネ科、ナス科、マメ科、ヤナギ科等に属する植物(下記参照)が挙げられるが、これらの植物に限定されるものではない。
アブラナ科:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ミヤマハタザオ(Arabiopsis lyrata)、アブラナ(Brassica rapa、Brassica napus、Brassica campestris)、キャベツ(Brassica oleracea var. capitata)、ハクサイ(Brassica rapa var. pekinensis)、チンゲンサイ(Brassica rapa var. chinensis)、カブ(Brassica rapa var. rapa)、ノザワナ(Brassica rapa var. hakabura)、ミズナ(Brassica rapa var. lancinifolia)、コマツナ(Brassica rapa var. peruviridis)、パクチョイ(Brassica rapa var. chinensis)、ダイコン(Raphanus sativus)、ワサビ(Wasabia japonica)、ルベラナズナ(Capsella rubella)など。
アカザ科:テンサイ(Beta vulgaris)
カエデ科:サトウカエデ(Acer saccharum)
トウダイグサ科:トウゴマ(Ricinus communis)
ナス科:タバコ(Nicotiana tabacum)、ナス(Solanum melongena)、ジャガイモ(Solaneum tuberosum)、トマト(Solanum lycopersicum)、トウガラシ(Capsicum annuum)、ペチュニア(Petunia hybrida)など。
マメ科:ダイズ(Glycine max)、エンドウ(Pisum sativum)、ソラマメ(Vicia faba)、フジ(Wisteria floribunda)、ラッカセイ(Arachis hypogaea)、ミヤコグサ(Lotus japonicus)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、アズキ(Vigna angularis)、アカシア(Acacia)、ウマゴヤシ(Medicago truncatula)、ヒヨコマメ(Cicer arietinum)など。
キク科:キク(Chrysanthemum morifolium)、ヒマワリ(Helianthus annuus)など。
ヤシ科:アブラヤシ(Elaeis guineensis、Elaeis oleifera)、ココヤシ(Cocos nucifera)、ナツメヤシ(Phoenix dactylifera)、ロウヤシ(Copernicia)など。
ウルシ科:ハゼノキ(Rhus succedanea)、カシューナットノキ(Anacardium occidentale)、ウルシ(Toxicodendron vernicifluum)、マンゴー(Mangifera indica)、ピスタチオ(Pistacia vera)など。
ウリ科:カボチャ(Cucurbita maxima、Cucurbita moschata、Cucurbita pepo)、キュウリ(Cucumis sativus)、カラスウリ(Trichosanthes cucumeroides)、ヒョウタン(Lagenaria siceraria var. gourda)など。
バラ科:アーモンド(Amygdalus communis)、バラ(Rosa)、イチゴ(Fragaria vesca)、サクラ(Prunus)、リンゴ(Malus pumila var. domestica)、モモ(Prunus persica)など。
ブドウ科:ブドウ(Vitis vinifera)
ナデシコ科:カーネーション(Dianthus caryophyllus)など。
ヤナギ科:ポプラ(Populus trichocarpa、Populus nigra、Populus tremula) など。
イネ科:トウモロコシ(Zea mays)、イネ(Oryza sativa)、オオムギ(Hordeum vulgare)、コムギ(Triticum aestivum)、ウラルツコムギ(Triticum urartu)、タルホコムギ(Aegilops tauschii)、ミナトカモジグサ(Brachypodium distachyon)、タケ(Phyllostachys)、サトウキビ(Saccharum officinarum)、ネピアグラス(Pennisetum pupureum)、エリアンサス(Erianthus ravenae)、ススキ(Miscanthus virgatum)、ソルガム(Sorghum bicolor)スイッチグラス(Panicum)など。
ユリ科:チューリップ(Tulipa)、ユリ(Lilium)など。
なかでも、サトウキビやトウモロコシ、イネ、ソルガム、コムギ、テンサイ、サトウカエデといった滲出物を比較的に多く産生し、且つ糖やデンプンの産生能の高い植物を対象とすることが好ましい。詳細を後述するように、これら植物から採取した滲出物をバイオ燃料やバイオプラスチックの原料に使用できるからである。
また、上述したように、本発明で使用可能な糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸は、種々の植物から単離して使用することができるが、対象の植物の種類に応じて、適宜選択して用いることができる。すなわち、対象の植物細胞が単子葉植物由来である場合には、糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸として単子葉植物から単離したものを導入することができる。特に、対象の植物がイネ科植物である場合には、イネ由来の糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸であるOsSWEET13をコードする核酸(Os12g047620001)及びOsSWEET14をコードする核酸(Os11t050860001)及びOsSWEET15をコードする核酸(Os02t051310001)を導入することが好ましい。これらOsSWEET13をコードする核酸(Os12g047620001)及びOsSWEET14をコードする核酸(Os11t050860001)及びOsSWEET15をコードする核酸(Os02t051310001)を導入することによって、イネの滲出物に含まれる糖量を著しく向上させることができる。
また、対象の植物細胞が単子葉植物由来であったとしても、双子葉植物由来の糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を導入しても良い。対象の植物細胞が単子葉植物由来の場合、双子葉植物であるシロイヌナズナ由来の糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸のうちAtSWEET11をコードする核酸(At3g48740)及びAtSWEET12をコードする核酸(At5g23660)を導入することが好ましい。これらAtSWEET11をコードする核酸(At3g48740)及びAtSWEET12をコードする核酸(At5g23660)は、対象の植物がイネ等の単子葉植物であっても滲出物に含まれる糖量を著しく向上させることができる。
その他の工程、その他の方法
上述した形質転換処理後、植物体のなかから適切な形質転換体を選抜する選抜工程を、従来公知の方法で行うことができる。選抜の方法は特に限定されるものではなく、例えば、ハイグロマイシン耐性等の薬剤耐性を基準として選抜してもよいし、形質転換体を育成した後に、植物体から滲出物を採取し、採取した滲出物に含まれる糖分を測定し、野生型と比較して糖濃度が有意に向上しているものを選抜してもよい。また、採取した滲出物に含まれる糖分測定は定量的でなく定性的に測定する方法でも良く、例えば糖に反応し呈色する試験紙を用いた呈色法で測定しても良い。
また、形質転換処理で得られた形質転換植物から定法に従って後代植物を得ることができる。上記糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸の発現量が野生型と比較して有意に向上するといった形質を保持した後代植物を、その滲出物に含まれる糖量を基準として選抜することによって、上記形質を有することで滲出物に含まれる糖量が増加した安定的な植物系統を作出することができる。なお、形質転換植物やその子孫から、植物細胞や種子、果実、株、カルス、塊茎、切穂、塊等の繁殖材料を得て、これらを基に上記形質を有することで滲出物に含まれる糖量が増加した安定的な植物系統を量産することも可能である。
以上説明したように、本発明によれば、上述した特定の糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を細胞へ導入するか、当該核酸の発現を強化することで、野生型の植物体と比較して、滲出物に含まれる糖濃度を有意に向上させることができる。ここで、滲出物に含まれる糖成分としては、グルコース(ブドウ糖)、ガラクトース、マンノース及びフルクトースといった単糖類、スクロース、ラクトース及びマルトースといった二糖類を含む意味である。すなわち、上述した特定の糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を細胞へ導入するか、内在する当該遺伝子の発現を強化することで、滲出物に含まれるグルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロース、ラクトース及びマルトース等の糖成分のうちいずれか1種以上の濃度を向上させることができる。特に、本発明によれば、滲出物中のグルコース、フルクトース及びスクロースの濃度を大幅に向上させることができる。
特に、滲出物として排水組織から産生される排水液を採取する際には、上述した特定の糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を細胞へ導入するか、当該核酸の発現を強化した植物を、産生された排水液の蒸散を防止するような条件下で栽培することが好ましい。さらに、当該植物を、排水液の産生量が増大するような条件下にて培養することがより好ましい。例えば、当該植物を栽培する際の栽培条件を湿度80%RH以上、より好ましくは90%RH以上の密閉空間とすることで、排水液の蒸散を防止し、且つ排水液の産生量を増大することができる。
例えば、野生型シロイヌナズナの排水液に含まれる糖濃度が約2.0μM(平均値、単糖当量)であるのに対して、上述した特定の糖輸送に関与するトランスポーター遺伝子を細胞へ導入した形質転換シロイヌナズナにおいては、排水液中の糖濃度が約98.5〜6057.5μMまで増加する。特に、AtSWEET12をコードする核酸(At5g23660)を細胞へ導入した形質転換シロイヌナズナは、他の形質転換シロイヌナズナと比較してより高濃度の糖成分を含む排水液を産生することができる。
また、野生型イネの排水液に含まれる糖濃度が約1.3μM(平均値、単糖当量)であるのに対して、上述した特定の糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を細胞へ導入した形質転換イネにおいては、排水液中の糖濃度が約1074.3〜185641.2μMまで増加する。特に、AtSWEET11をコードする核酸(At3g48740)又はOsSWEET13をコードする核酸(Os12g0476200)又はSWo5をコードする核酸を細胞へ導入した形質転換イネは、他の形質転換イネと比較してより高濃度の糖成分を含む排水液を産生することができる。さらに、OsSWEET15をコードする核酸(Os02g051310001)を細胞へ導入した形質転換イネは、他の特定の糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を細胞へ導入した形質転換イネの排水液中の最大糖濃度と比較して、より高濃度の糖成分を含む排水液を産生することができ、排水液中の糖濃度が最大450340.4μMまで増加する。
以上のように、本発明によれば高糖濃度の滲出物を採取することができる。採取した滲出物は、アルコール及び/又は有機酸の発酵生産に使用することができる。さらに、採取した滲出物はバイオリファイナリーの原料としても使用することができる。このとき、例えば滲出物として排水液を利用する場合、上述した特定の糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を細胞へ導入するか、当該核酸の発現を強化した植物から採取した排水液をそのままアルコール発酵や有機酸発酵の反応系に利用することができ、バイオリファイナリーの原料として利用することができる。或いは、当該植物から採取した排水液を濃縮処理や、他の炭素源や窒素源等を添加する処理を行った後、アルコール発酵や有機酸発酵の反応系に利用することもできる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
1. シロイヌナズナ形質転換用DNAコンストラクトの作製
1.1 PCRによるAtSWEETタンパク質をコードするDNAの取得
1.1.1 AtSWEETタンパク質をコードするDNAの増幅
シロイヌナズナから調製したcDNAを鋳型にし、PCRによる評価用のAtSWEET1、AtSWEET2、AtSWEET3、AtSWEET4、AtSWEET5、AtSWEET6、AtSWEET7、AtSWEET9、AtSWEET11、AtSWEET12、AtSWEET13、AtSWEET15及びAtSWEET17タンパク質をコードするDNAの増幅を行った。評価用DNAをpRI201ANベクター(タカラバイオ社製、#3264)に挿入するため、5’末端にSal I制限酵素認識配列を付加したフォワードプライマーを、また3’末端にSac IまたはPst I制限酵素認識配列を付加したリバースプライマーを設計した(表6)。
Figure 0006382846
そして、これらプライマーと、PrimeSTAR GXL DNAポリメラーゼ(TaKaRa、#R050A) を使用してPCR増幅を行った。反応液組成を表7に示し、反応条件を表8に示した。
Figure 0006382846
Figure 0006382846
次に、上記PCR増幅で得られたDNA断片をpCR2.1-TOPOベクターDNA (Invitrogen、#K4500-01) へ挿入するため、以下の処理をし、5’末端と3’末端にAdenineを付加した。反応液組成を表9に示した。表9に示した反応液を70℃で15分間反応させた。
Figure 0006382846
1.1.2 増幅DNA断片の切り出しおよび精製
PCRで増幅した各DNA断片をアガロースゲル電気泳動後、MagExtractor-PCR & Gel Clean up キット (TOYOBO、#NPK-601) を用いて、切り出し精製を行った。なお、切り出し精製は、キット添付のマニュアルに従って行った。
1.1.3 増幅DNA断片の形質転換
精製した増幅DNA断片を、TOPO TA Cloning (Invitrogen、#K4500-01) を用いてpCR2.1-TOPOベクターに導入した。反応液組成を表10に示した。表10に示した反応液を室温で5分間反応させた。
Figure 0006382846
次に、この反応液2μlをEscherichia coli DH5αコンピテントセル (TOYOBO、#DNA-903) に添加し、形質転換を行った。氷浴上で30分間放置した後、42℃で30秒間熱処理を行った。その後、氷浴上で急冷し、500μlのSOC培地 (Invitrogen、#15544-034) を添加し、37℃、180 rpmで1時間振とう培養した。終濃度50μg/mlのカナマイシンを添加したLB寒天プレートにDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)に溶かした40 mg/ml X-gal 40μl、100 mM IPTG 40μlを塗布した後、さらに培養液100-200μlを塗布し、37℃で一晩培養し、翌朝コロニーを得た。
1.1.4 コロニーPCRによる形質転換のチェックとポジティブクローンの選抜
形質転換の結果、多数のコロニーが得られた。各コロニーについて挿入DNAの有無を確認するため、M13-F : 5’-GTA AAA CGA CCA GTC TTA AG-3’(配列番号164)及びM13-R : 5’-CAG GAA ACA GCT ATG AC-3’(配列番号165)を用いてコロニーPCRを行った。コロニーPCRの反応液組成を表11に示し、PCR条件を表12に示した。
Figure 0006382846
Figure 0006382846
1.1.5 ポジティブクローンからのプラスミドDNA精製
挿入DNAが確認できたクローンからプラスミドDNAの精製を行った。プラスミドDNAの精製は、QIAprep Spin Miniprep Kit (QIAGEN、#27106) を用い、添付のプロトコルに従って行った。
1.1.6 ポジティブクローンの塩基配列決定
1.1.5で得たプラスミドDNAを鋳型にし、M13-F及びM13-Rプライマーを用いてPCR増幅し、ダイデオキシ法(サンガー法)によるDNA断片の塩基配列の決定を行った。
1.2 化学合成によるAtSWEETタンパク質をコードするDNAの取得
AtSWEET8、AtSWEET10、AtSWEET14、AtSWEET16タンパク質をコードするDNAついては、5’末端にPst I制限酵素認識配列、3’末端にSal I制限酵素認識配列を付加するよう塩基配列を設計し、化学的に全合成した。その結果、pEX-Aベクター(オペロンバイオテクノロジー)に挿入されたAtSWEET8及びAtSWEET14タンパク質をコードするDNA、pCR2.1-TOPOベクターに挿入されたAtSWEET10及びAtSWEET16タンパク質をコードするDNAを得ることができた。
1.3 制限酵素反応によるAtSWEETタンパク質をコードするDNAの切り出しおよび精製
1.1.5と1.2で得られたプラスミドDNAからAtSWEETタンパク質をコードするDNA断片を取り出す為、二度の制限酵素処理を行った。各DNAに対する制限酵素の組み合わせを表13に記す。
Figure 0006382846
1.3.1 増幅DNA断片のSac I、Nde I又はSal I制限酵素反応(一回目)
Sac I(TaKaRa、#1078A)、Nde I(TaKaRa、#1161A)又はSal I(TaKaRa、#1080A)を用いて以下の反応液を作製し、37℃で一晩反応させ、1.1.5または1.2で得られたプラスミドを切断した。Sac Iの反応液組成を表14に、Nde Iの反応液組成を表15に、Sal Iの反応液組成を表16に示した。
Figure 0006382846
Figure 0006382846
Figure 0006382846
1.3.2 制限酵素反応により切断したDNA断片の精製
次に、DNAを精製するため、PCI (フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール=24:24:1)抽出とエタノール沈殿を行った。反応液に等量のPCIを加えて攪拌し、5分間、15000 rpmで遠心して回収した上層に等量のクロロホルムを加え、同様に遠心し上層を回収した。回収した上層に二倍量のエタノールを加え、Pellet Paint NF Co-Precipitant (メルクバイオインサイト、#70748) を用いてエタノール沈殿を行った。乾燥後、得られたDNAは滅菌水44μlに溶解した。
1.3.3 増幅DNA断片のSal I 、Xba I及びSac I制限酵素反応(二回目)
次に、Sal I(TaKaRa、#1080A)、Xba I(TaKaRa、#1093A)又はSac I(TaKaRa、#1078A)を用いて以下の反応液を作製し、37℃で一晩反応させ、1.3.2で得られたプラスミドを切断した。Sal Iの反応液組成を表17に、Xba Iの反応液組成を表18に、Sac Iの反応液組成を表19に示した。
Figure 0006382846
Figure 0006382846
Figure 0006382846
1.3.4 制限酵素反応により切断したDNA断片の精製
1.3.3で得られた反応液は1.1.2の手順と同様にアガロースゲル電気泳動後、MagExtractor-PCR & Gel Clean up キットを用いて切り出し精製を行った。
1.4 制限酵素反応によるpRI201ANベクターの切り出しおよび精製
1.3で得られたAtSWEETタンパク質をコードするDNA断片とライゲーションを行うため、pRI201ANベクターを1.3と同様の手順で制限酵素処理を行った。
1.5 ライゲーション
1.5.1 ライゲーション反応
1.3で得たAtSWEETタンパク質をコードするDNA断片を1.4で得たpRI201ANベクターへ挿入するため、ライゲーション反応を行った。反応にはDNA Ligation Kit Ver.2.1 (タカラバイオ、#6022) を用い、16℃で一晩反応させた。
1.5.2 ライゲーション反応産物の形質転換
上記ライゲーション反応の終了後、反応液2μlを用いて1.1.3と同様の方法で形質転換を行った。
1.5.3 コロニーPCRによるライゲーション反応のチェック
コロニーPCRで増幅するDNA断片の長さをアガロースゲル電気泳動で可視化する事によって、AtSWEETタンパク質をコードするDNAのベクターへの挿入を確認した。
1.5.4 ライゲーション反応により得られたDNAコンストラクトの調製
挿入DNAが確認できたコロニーからプラスミドDNAの精製を行い、目的のDNA断片を挿入したクローンを得た。プラスミドDNAの精製は、QIAprep Spin Miniprep Kit (QIAGEN、#27106) を用い、添付のプロトコルに従って行った。得られたDNAコンストラクト (AtSWEET / pRI201AN) の物理地図を図6に示す。図6において、LBはleft borderを、RBはright borderを、TNOSはAgrobacterium tumefaciens のTiプラスミド由来のノパリン合成酵素遺伝子NOSの転写ターミネーターを、NPTIIはEscherichia coli由来neomycin phosphotransferaseII遺伝子を、PnosはAgrobacterium tumefaciens のTiプラスミド由来のノパリン合成酵素遺伝子NOSの転写プロモーターを、THSPはArabidopsis thaliana由来のheat shock protein遺伝子HSPの転写ターミネーターを、AtSWEETはArabidopsis thaliana由来SWEETタンパク質をコードするDNAを、P35Sはカリフラワーモザイクウイルス35S転写プロモーターを、AtADH 5’-UTRはArabidopsis thaliana由来のalcohol dehydrogenase遺伝子ADHの翻訳エンハンサーを、ColE1 oriはEscherichia coliの複製起点を、Ri oriはAgrobacterium rhizogenesの複製起点をそれぞれ表す。
1.6.1 化学合成によるOsSWEETタンパク質をコードするDNAの取得とコンストラクトの作製
シロイヌナズナのコドン頻度を参考にしてアミノ酸配列が変わらないように新たに配列設計しなおしたOsSWEET5、OsSWEET11、OsSWEET12、OsSWEET13、OsSWEET14及びOsSWEET15タンパク質をコードするDNAの開始コドン側にNde I制限酵素認識配列、終止コドン側にSac I制限酵素認識配列を付加するよう設計した。そして、設計したDNAを化学的に全合成し、pRI201ANベクターに挿入することで各DNAコンストラクトを得た。なお、5’末端に付加したNde I制限酵素認識配列(5’CATATG3’)に含まれるATGがSWEETタンパク質をコードするDNAの開始コドンと一致するようにした。
1.6.2 化学合成による糖輸送に関与するトランスポーターをコードする人工遺伝子とコンストラクトの作製
共通配列1を有する糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸で、天然には存在しない塩基配列を有するDNA、すなわち共通配列1を有する糖輸送に関与するトランスポーターの人工遺伝子6種を以下のように作製した。先ず、配列番号132〜137のアミノ酸配列で示されるトランスポーターSWo1、SWo2、SWo3、SWo4、SWo5及びSWo6について、各トランスポーターをコードする核酸としてそれぞれ配列番号168、169、170、171、172及び173を設計した。そして、これら配列番号168、169、170、171、172及び173における、開始コドン側にNde I制限酵素認識配列、終止コドン側にSac I制限酵素認識配列を付加するようを設計した。次に、設計したDNAを化学的に全合成し、pRI201ANベクターに挿入することで6種のDNAコンストラクトを得た。なお、5’末端に付加したNde I制限酵素認識配列(5’CATATG3’)に含まれるATGが配列番号168、169、170、171、172及び173の開始コドンと一致するようにした。
1.7 シロイヌナズナへの形質転換
1.5及び1.6.1並びに1.6.2で作製した植物発現用ベクターをエレクトロポレーション法(Plant Molecular Biology Mannal, Second Edition , B. G. Stanton and A. S. Robbert, Kluwer Acdemic Publishers 1994)により、Agrobacterium tumefaciens C58C1株に導入した。次いで植物発現用ベクターが導入されたAgrobacterium tumefaciensを、Cloughらにより記載された浸潤法(Steven J. Clough and Andrew F. Bent, 1998, The Plant Journal 16, 735-743)により、野生型シロイヌナズナ エコタイプCol-0に導入し、T1(形質転換(transformant)第一世代)種子を回収した。回収したT1種子は、カナマイシン(50 mg/L)、カルベニシリン(100 mg/L)及びベンレート水和剤(10 mg/L:住友化学社製)を含むMS寒天培地(寒天濃度は0.8%)に無菌播種し、約2週間培養し形質転換体を選抜した。選抜した形質転換体は、新しい上記MS寒天培地に植え換え、さらに約1週間栽培後、バーミキュライトとソイルミックス(サカタのタネ)を体積比で1:1に混合した土をいれた鉢に植え替えT2(形質転換第二世代)種子を得た。
1.8 シロイヌナズナ排水液の取得
AtSWEET、OsSWEET、SWo1、SWo2、SWo3、SWo4、SWo5及びSWo6タンパク質をコードするDNAによって形質転換されたシロイヌナズナのT1又はT2植物体の栽培を、18L/6D(18時間明条件の後6時間暗条件にする24時間光サイクル条件)、22℃で行った。馴化後、1〜2週間経過した植物体に1/1000ハイポネックスを与え、ラップフィルム(旭化成製、サランラップ)で湿度80%以上好ましくは90%以上になるように植物を包み込み、排水液を排出させた(図7)。おもに葉裏に付着した排水液を回収し、排水液中の糖濃度を分析した。なお、野生型シロイヌナズナにアグロバクテリウムを感染・栽培して収穫される種子をT1種子、T1種子を薬剤選抜するかPCRなどの方法により、細胞中へのDNA導入を確認した植物体をT1植物、T1植物を栽培して収穫される種子をT2種子と定義する。
2. イネ形質転換用DNAコンストラクトの作製
2.1 AtSWEETタンパク質をコードするDNAの増幅
上記1.5.4で調製したシロイヌナズナ形質転換用DNAコンストラクト(AtSWEET8タンパク質をコードするDNA及びAtSWEET11タンパク質をコードするDNA及びAtSWEET12タンパク質をコードするDNA)を鋳型とし、PCRによりAtSWEET8タンパク質をコードするDNA及びAtSWEET11タンパク質をコードするDNA及びAtSWEET12タンパク質をコードするDNAをそれぞれ増幅した。なお、増幅産物をpENTR/D-TOPOベクターに導入するために、5’端にはCACC配列を付加している。
2.2 増幅DNA断片を用いた形質転換
得られた反応液の一部をアガロースゲル電気泳動し、予定したサイズの増幅産物があることを確認したのち、pENTER Directional TOPO Cloningキット(インビトロジェン)を用いてpENTR/D-TOPOベクターに導入した。
次に、反応液全量をEscherichia coli DH5αコンピテントセル(タカラバイオ)に添加し、形質転換を行った。氷浴上で30分間放置した後、42℃で45秒間の熱処理を行った。その後、氷浴で急冷し、300μlのSOC培地(タカラバイオ)を添加し、37℃、180 rpmで1時間振とう培養した。この培養液を終濃度50μg/mlのカナマイシンを添加したLB寒天プレートに塗布し、37℃で終夜培養し、翌朝コロニーを得た。
2.3 コロニーPCRによる形質転換のチェックとポジティブクローンの選抜
コロニーPCRで増幅するDNA断片の長さをアガロースゲル電気泳動で可視化する事によって、AtSWEETタンパク質をコードするDNAのベクターへの挿入を確認した。
2.4 ポジティブクローンからのプラスミドDNA精製
挿入DNAが確認できたクローンからプラスミドDNAの精製を行った。プラスミドDNAの精製は、QIAprep Spin Miniprep Kit (QIAGEN、#27106) を用い、添付のプロトコルに従って行った。
2.5 ポジティブクローンの塩基配列決定
2.4で精製したプラスミドDNAを鋳型にし、M13-F及びM13-Rプライマーを用いて、DNAシーケンサ(ベックマンコールター CEQ8000)によりDNA断片の塩基配列の決定を行った。
2.6 LR反応と形質転換
2.4で得たAtSWEET8タンパク質をコードするDNA、AtSWEET11タンパク質をコードするDNA、AtSWEET12タンパク質をコードするDNAが挿入されたpENTR/D-TOPOプラスミドDNAとイネ形質転換用ベクター(pZH2B_GWOx)とを用いてGateway LR反応を行い、図8に示すように、イネ植物体内で過剰発現するためのコンストラクトを構築した。
次に、反応液全量をEscherichia coli DH5αコンピテントセル(タカラバイオ)に添加し、形質転換を行った。氷浴上で30分間放置した後、42℃で45秒間の熱処理を行った。その後、氷浴で急冷し、300μlのSOC培地(タカラバイオ)を添加し、37℃、180 rpmで1時間振とう培養した。この培養液を終濃度50μg/mlのスペクチノマイシンを添加したLB寒天プレートに塗布し、37℃で終夜培養し、翌朝コロニーを得た。
2.7 コロニーPCRによる形質転換のチェックとポジティブクローンの選抜
コロニーPCRで増幅するDNA断片の長さをアガロースゲル電気泳動で可視化する事によって、AtSWEETタンパク質をコードするDNAのベクターへの挿入を確認した。
2.8 ポジティブクローンからのプラスミドDNA精製
挿入DNAが確認できたクローンからプラスミドDNAの精製を行った。プラスミドDNAの精製は、QIAprep Spin Miniprep Kit (QIAGEN、#27106) を用い、添付のプロトコルに従って行った。
2.9 ポジティブクローンの塩基配列決定
2.8で精製したプラスミドDNAを鋳型にし、以下のプライマーを用いて、DNAシーケンサ(ベックマンコールター CEQ8000)によりDNA断片の塩基配列の決定を行った。
Ubi3’F : 5’-TGC TGT ACT TGC TTG GTA TTG-3’(配列番号166)
UbiTseq3 : 5’-GGA CCA GAC CAG ACA ACC-3’ (配列番号167)
2.10.1 化学合成によるOsSWEETタンパク質をコードするDNAの取得
OsSWEET13、OsSWEET14或いはOsSWEET15タンパク質をコードするDNAに、pENTR/D-TOPOベクターに導入するため5’端にCACC配列を付加するよう設計した。設計したDNAを化学的に全合成し、pENTR/D-TOPOベクターに挿入した。
2.10.2 化学合成による糖輸送に関与するトランスポーターをコードする人工遺伝子の取得
共通配列1を有する糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸で、天然には存在しない塩基配列を有するDNA、すなわち共通配列1を有する糖輸送に関与するトランスポーターの人工遺伝子2種を以下のように作製した。先ず、配列番号132及び136のアミノ酸配列で示されるトランスポーターSWo1及びSWo5について、各トランスポーターをコードする核酸としてそれぞれ配列番号174及び175を設計した。そして、これら配列番号174及び175に対して、pENTR/D-TOPOベクターに導入するため5’端にCACC配列を付加するよう設計した。設計したDNAを化学的に全合成し、pENTR/D-TOPOベクターに挿入した。
2.11 OsSWEETタンパク質をコードするDNA又は人工遺伝子のコンストラクトの作製
2.10.1及び2.10.2で合成したDNAを用い、上記2.6〜2.9と同様にイネ形質転換用ベクターを構築した。
2.12 イネへの形質転換
上記2.9及び2.11で作製した植物発現用ベクターを用いて、The Plant Journal (2006) 47, 969-976に記載の方法に従い、AtSWEET、OsSWEET、SWo1及びSWo5タンパク質をコードするDNAをイネ(日本晴)に導入した。
2.13 イネ排水液の取得
AtSWEET、OsSWEET、SWo1及びSWo5タンパク質をコードするDNAを導入したイネの形質転換第一世代を、直径6cmポットに8割程度バーミキュライトを入れたものに移し替えて馴化した。なおイネの栽培は、18L(30℃)/6D(25℃)(18時間30℃明条件の後6時間25℃暗条件にする24時間光サイクル条件)で行った。馴化後、1〜2週間経過した植物体に1/1000ハイポネックスを十分に与え、ラップフィルム(旭化成社製、サランラップ)で湿度80%以上好ましくは90%以上になるように植物を包み込み、イネの排水組織から排水液を排出させた(図9)。葉に付着した排水液を回収し、糖濃度を分析した。
3. 排水液中の糖濃度分析
3.1 排水液サンプルの希釈
1.8で得られたシロイヌナズナの排水液、2.13で得られたイネの排水液の体積をピペッターを用いて測定し、純水を加えて0.35mlに定容した。次に、10000xG、10分間の遠心分離を行ったのち、上清0.3mLをオートサンプラーバイアルに移してHPLC分析に用いた。
3.2 HPLCによる糖濃度の分析
糖濃度の分析は以下の条件でHPLCを用いて行った。このとき標準物質としてグルコース、フルクトース、スクロースを各50μMになるよう混合した標準液を用いた。
分析カラム:CarboPac PA1(ダイオネクス)
溶離液:100mM NaOH
流量:1ml/min
注入量:25μl
検出器:パルスドアンペロメトリ検出器(ダイオネクス ED40)
4. 分析結果
1.8で得られたシロイヌナズナの排水液、2.13で得られたイネの排水液について糖濃度を測定した結果を表20及び21に示す。
Figure 0006382846
Figure 0006382846
表20及び21から判るように、SWEETタンパク質をコードする核酸のうちクレードIIIに分類されるAtSWEET9〜15をコードするDNA、OsSWEET13〜15をコードするDNAで形質転換したシロイヌナズナ及びイネは、全て排水液中の糖濃度が大幅に向上していることが判った。特に、AtSWEET11をコードするDNA、AtSWEET12をコードするDNA、AtSWEET15をコードするDNA、OsSWEET13をコードするDNA及びOsSWEET14をコードするDNAのいずれかで形質転換した場合には、排水液中の糖濃度をより大幅に向上できることが判った。また、クレードIIIに分類されるSWEETタンパク質をコードするDNAで形質転換したシロイヌナズナよりも、クレードIIIに分類されるSWEETタンパク質をコードするDNAで形質転換したイネの方が排水液中の糖濃度が向上することが判った。特に、OsSWEET13をコードするDNA、OsSWEET14をコードするDNA及びOsSWEET15をコードするDNAのいずれかをイネに形質転換した場合には、同DNAをシロイヌナズナに形質転換した場合よりも、排水液中の糖濃度が著しく向上することが判った。
また、共通配列1を有する糖輸送に関与するトランスポーターの人工遺伝子を導入した植物体でも同様に、排水液中の糖濃度を向上できることが判った。この結果より、共通配列1を有する糖輸送に関与するトランスポーターをコードする核酸を導入する及び/又は当該タンパク質の発現を強化することで、宿主の植物に限定されず、いかなる植物においても排水液中の糖濃度を向上できることが明らかとなった。
野生型植物においても、個体によってはまれに排出液中50μM程度の糖が検出されることがある。しかし本実施例に示すように、クレードIIIに分類されるSWEETタンパク質をコードするDNAを導入する効果は、野生型植物で検出される最大濃度よりはるかに高いことが明らかとなった。

Claims (20)

  1. 以下のアミノ酸配列:(L/I/V/M/F)x(G/A)xx(I/L/V/M/F)xxxx(L/I/V/F)(A/S)(P/S)(1-3aa)(P/S/T/A)T(F/L)xx(I/V)xxxKxxxxxxxxPYxxx(L/I)xxxx(L/I)x(I/L/M/V/F)xY(A/S/G)(7-13aa)(I/L/V/M)(1-2aa)(I/V)Nxxxxxx(E/Q)xxYxxx(Y/F)xx(Y/F)(A/G/S)(35-36aa)(R/Q/H)xxxxGx(V/I/L)xxxxx(V/M/L/I/F)xxxx(A/S/T)P(L/M)x(I/V)(I/M/V/L)(2-7aa)(V/I)(V/I/M)x(T/S)x(S/N)xx(F/Y)(M/L)(P/S)(F/I/V/L)xLSxx(L/I)(T/V)xx(A/G)xxW(F/L)xYGxxxxDxx(V/I)xxPNxxGxx(F/L)(G/S)xxQ(M/I)x(L/M/I/V/F)(Y/H/F)を含む共通配列を有する、糖輸送に関与するトランスポータータンパク質であって、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする核酸を導入した形質転換植物又は形質転換植物細胞。
    (a)配列番号132又は137のアミノ酸配列を含むタンパク質
    (b)配列番号132又は137のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、糖輸送に関与するトランスポーター活性を有するタンパク質
  2. 顕花植物であることを特徴とする請求項1記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
  3. 上記顕花植物が被子植物であることを特徴とする請求項2記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
  4. 上記被子植物が単子葉植物であることを特徴とする請求項3記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
  5. 上記単子葉植物がイネ科植物であることを特徴とする請求項4記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
  6. 上記イネ科植物がOryza属植物であることを特徴とする請求項5記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
  7. 上記被子植物が双子葉植物であることを特徴とする請求項3記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
  8. 上記双子葉植物がアブラナ科植物であることを特徴とする請求項7記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
  9. 上記アブラナ科植物がArabidopsis属植物であることを特徴とする請求項8記載の形質転換植物又は形質転換植物細胞。
  10. 以下のアミノ酸配列:(L/I/V/M/F)x(G/A)xx(I/L/V/M/F)xxxx(L/I/V/F)(A/S)(P/S)(1-3aa)(P/S/T/A)T(F/L)xx(I/V)xxxKxxxxxxxxPYxxx(L/I)xxxx(L/I)x(I/L/M/V/F)xY(A/S/G)(7-13aa)(I/L/V/M)(1-2aa)(I/V)Nxxxxxx(E/Q)xxYxxx(Y/F)xx(Y/F)(A/G/S)(35-36aa)(R/Q/H)xxxxGx(V/I/L)xxxxx(V/M/L/I/F)xxxx(A/S/T)P(L/M)x(I/V)(I/M/V/L)(2-7aa)(V/I)(V/I/M)x(T/S)x(S/N)xx(F/Y)(M/L)(P/S)(F/I/V/L)xLSxx(L/I)(T/V)xx(A/G)xxW(F/L)xYGxxxxDxx(V/I)xxPNxxGxx(F/L)(G/S)xxQ(M/I)x(L/M/I/V/F)(Y/H/F)を含む共通配列を有する、糖輸送に関与するトランスポータータンパク質であって、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする核酸を導入する及び/又は当該タンパク質の発現を強化した形質転換植物を栽培し、当該形質転換植物から滲出物を採取する工程を含む滲出物の製造方法。
    (a)配列番号17、18、24、25、26、132及び137のいずれかのアミノ酸配列を含むタンパク質
    (b)配列番号17、18、24、25、26、132及び137のいずれかのアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、糖輸送に関与するトランスポーター活性を有するタンパク質
  11. 上記形質転換植物を栽培する栽培条件を相対湿度80%RH以上とすることを特徴とする請求項10記載の滲出物の製造方法。
  12. 上記滲出物が排水液であることを特徴とする請求項10記載の滲出物の製造方法。
  13. 顕花植物であることを特徴とする請求項10記載の滲出物の製造方法。
  14. 上記顕花植物が被子植物であることを特徴とする請求項13記載の滲出物の製造方法。
  15. 上記被子植物が単子葉植物であることを特徴とする請求項14記載の滲出物の製造方法。
  16. 上記単子葉植物がイネ科植物であることを特徴とする請求項15記載の滲出物の製造方法。
  17. 上記イネ科植物がOryza属植物であることを特徴とする請求項16記載の滲出物の製造方法。
  18. 上記被子植物が双子葉植物であることを特徴とする請求項14記載の滲出物の製造方法。
  19. 上記双子葉植物がアブラナ科植物であることを特徴とする請求項18記載の滲出物の製造方法。
  20. 上記アブラナ科植物がArabidopsis属植物であることを特徴とする請求項19記載の滲出物の製造方法。
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