JP6381973B2 - 高計数率用パルス型放射線検出器 - Google Patents

高計数率用パルス型放射線検出器 Download PDF

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Description

本発明は,放射線検出器に関し,特に高計数率条件下での放射線エネルギーおよびカウント情報を得る方法と装置に関する。
高計数率条件下での従来の放射線検出器構成としてはアナログハードウェアとしてベースライン変動抑制を行うポールゼロキャンセル,バイポーラ整形,ベースラインレストアラなどがある。しかしこれらはディスクリート回路技術であり,抵抗値・容量値の微調整を要する点などで,集積回路での適用は難しい。
集積回路用にデジタルなベースライン変動に対する補正としては,過去数イベントの波高と時刻差情報を保存し補正値の計算に用いるものがある(特許文献1)。
WO2012/029496号公報
Computed Tomography(以下CT)分野においては,従来電流計測型の検出器が使われていたが,近年パルス計測型の適用が行われつつある。
パルス型放射線検出器の性能指標で重要なものにエネルギー分解能と計数率特性がある。計数率特性とは計数率の上昇に応じた各種の性能変化(主に劣化)度合いを示す総合的な意味の用語である。計数率特性といえば第一に高計数率下の感度低下であり,或るパルスの測定後に発生する不感時間中に次のパルスが入射することで計数ロスを起こすことによる。
エネルギー分解能も一般に低計数率時の性能が最良であり,計数率が上昇するとそれ以前のイベントによるシェイピングアンプのベースライン変動(パイルアップ,アンダーシュートなど)が残ることでエネルギー分解能も悪化していく。また,高計数率条件下ではチャージアンプの電荷蓄積が進みうるが,このときシェイピングアンプに表れるアンダーシュートも同様に蓄積していくため,実効的なトリガレベルが高エネルギー側にシフトし低エネルギーイベントの損失を引き起こすことがありうる。
医療用CT装置においては検出器位置で1×108〜1×109光子/mm2/sec程度の高フラックス環境となるため,検出素子の小型化で1検出素子あたりの計数率を下げるとともに,検出素子自体の計数率特性向上が強く望まれている。またCT装置,X線検出器に限らず計数率特性向上はパルス型放射線検出器の応用先を広げるための普遍的な課題である。
本発明は上記課題を解決し,簡便な回路構成で高計数率下での感度およびエネルギー分解能の維持を実現することを目的とする。
放射線による付与エネルギー量に応じた電荷キャリアを出力する放射線検出素子と前記放射線検出素子から得た入力電荷量に応じた電圧信号を出力するチャージアンプと前記チャージアンプ出力の信号増分を短時間パルスに整形するシェイピングアンプ部と、トリガ処理によりシェイピングアンプ波高とトリガタイミングを得る波高検出部と、任意の検出系状態量推定値を保持する機構と、前記波高検出部で得たトリガタイミングおよびシェイピングアンプ波高と現在の検出系状態量推定値から検出系状態量推定値を更新する回路応答模擬演算部と、検出系状態量推定値を用いて,トリガレベル調整およびシェイピングアンプ波高補正を行う波高補正部を持つ。

簡便な回路構成で高計数率下での感度およびエネルギー分解能の維持を実現できる。
ベースラインシフト追従型パルス計測回路構成 高計数率時のチャージアンプ波形サンプル 高計数率時のシェイピングアンプ波形サンプル ベースラインシフトのスペクトル影響 チャージアンプ蓄積量推定によるベースライン補正方法 チャージアンプ蓄積量推定によるベースライン補正方法のデータフロー チャージアンプ蓄積量推定によるベースライン補正方法の適用結果サンプル 回路状態量3種推定による波高補正方法 回路状態量3種推定による波高補正方法の適用結果サンプル 直近Nパルスの波高・時刻差情報を用いたベースラインシフト補正量
本発明の実施形態を以下に説明する。
各実施形態では、放射線入射イベントで得る実測値として信号波高および前回イベントとの時刻差を用い,加えて現在の回路状態推定値を回路応答模擬関数に与えることで回路状態推定値を逐次的に更新していく。
更にシェイピングアンプのベースライン変動に追従して波高検出部の基準電圧レベルをリアルタイムに略等量シフトする制御を行うことで,アンダーシュート蓄積に伴う実効的なトリガレベルの変動を防止する。
これにより、前記回路状態推定値とそれに基づくトリガレベル基準電圧のリアルタイム制御構成を持つことで,実効トリガレベルがシフトした場合に発生する不可逆な情報喪失を大幅に減じることができる。また実測パルスのピーク時刻に対応する仮想的なシェイピングアンプシフトを推定することで,実測の未処理波高をより正しい(誤差の小さい)波高に補正することが可能になる。
これらの効果をアナログ回路定数値を変更することなく,デジタル演算とアナログ電位出力のみで達成し,集積回路の生産時個体差に対応できることも利点である。
第1の実施例としてチャージアンプ蓄積電荷のみの推定を用いたベースラインシフトへの追従方法を示す。多くの構成要素は後述する第2の実施例と共通である。
図1にベースラインシフト追従型パルス計測回路構成を示す。放射線1が放射線検出素子2に入射したときに生成する信号キャリアを,バイアス電圧電源3によって与えた電界により収集し,その量を測定することが放射線1のエネルギー検出の原理である。エネルギー情報が特に重要となるのは,狭い体積範囲に放射線1の全エネルギーが付与されやすいX線やガンマ線の場合である。わかりやすさのためには放射線1をX線と読み替えてもよい。放射線検出素子2が半導体素子の場合でもシンチレータ+光電変換素子の場合でも信号キャリアは電荷となり,チャージアンプ4の帰還容量に収集される。チャージアンプ4は帰還容量に蓄積した電荷量に比例した信号電圧を出力し,蓄積電荷は帰還抵抗と帰還容量で決まる放電時定数τCで指数関数的に減じていく。
チャージアンプ4の出力電圧はシェイピングアンプ5に入力される。シェイピングアンプ5は本質的にはバンドパスフィルタであるが,チャージアンプ4に瞬間的な入力が起こる断続的に起こる前提では波形を滑らかに整形する機能を付加的に持つ微分回路と考えてよい。放射線1の入射などで起こるチャージアンプ4の急峻な変動はシェイピングアンプ5の持つ時定数τSの数倍程度の幅を持った短時間パルスに変換される。シェイピングアンプ5の内部構造としてここでは最も単純なシェイピングアンプ微分段6(=CR)とシェイピングアンプ積分段7(=RC)のCR-RC構成とする。微分段6と積分段7は等しい時定数τSを持つのが一般的であり,ここでも踏襲した。τC,τSは個体ごとに設計値からの誤差を持つため,これを精度よく把握することが肝要である。集積回路の場合には時定数を測定できるテスト機能を組み込んでもよい。
微分段6と積分段7の内部構造は後の説明に用いるためにそれぞれ示したが,積分段7の出力がシェイピングアンプ5の出力であり,その出力電圧は波高検出部8に入力される。波高検出部8は図示しないがトリガ検出部,ピークホールド部,AD変換部(簡易には数段のコンパレータでもよい)などを持ち,後段のデジタル部にパルス波高情報を伝える。これは当該技術分野における通常の構成要素である。ここで一般的には波高検出部8の基準電圧はグランド電位(または事前調整で固定したオフセット電位)であるが,本実施例では回路状態推定演算部9から基準電圧出力部10を通じて波高検出部8の基準電位51を制御することで,高計数率条件下で発生するシェイピングアンプ5のベースラインシフトに対し,略リアルタイムにトリガレベルを追従させるものである。回路状態推定演算部9および基準電圧出力部10の具体的な動作については更に説明を続ける。
図2に高計数率時のチャージアンプ波形サンプルを示す。横軸は時間,縦軸はチャージアンプ4の帰還容量に蓄積した電荷量であり,その時間に対する応答をチャージアンプ波形11とする。
具体例としてチャージアンプ4の放電時定数τCが2us,計数率5Mcps(入射はポアソン分布に従うランダム間隔),複数の放射線1が入射する度にチャージアンプ増分12として信号電荷10000電子(半導体検出器であれば30〜50keVに相当)が得られる場合を考えるとチャージアンプ波形11は図2のような挙動を示す。チャージアンプ波形11の高さは蓄積電荷量として示しているが,実際にはチャージアンプ4の帰還容量値で決まる対応電圧である。チャージアンプ出力電圧は電源電圧や帰還抵抗が線形に動作する上限電圧などで決まるなんらかの上限値を持つため,想定される計数率で上限に達しないような帰還容量とチャージアンプ時定数τCの組合せを選択することが必要である。τCを小さくできればチャージアンプ蓄積は抑えられるが,短時間のアンダーシュート量が大きくなることが問題点である。
図3に高計数率時のシェイピングアンプ波形サンプルを示す。ここではシェイピングアンプ5の時定数τSを20nsとした。グラフの横軸は時間,縦軸はシェイピングアンプ5の出力であり,その時間応答をシェイピングアンプ波形21とする。複数の放射線1の入射タイミングは図2と同一である。縦軸の単位はシェイピングアンプ出力電圧をそのままチャージアンプ電圧と考えて電荷に換算したものである。微分時定数=積分時定数=τSという典型的条件下ではシェイピングアンプ波高22はチャージアンプ増分12の約0.37倍になるため,初期波高23は約3700となっている。これを10000電子と換算してもよいがなるべく未加工の波形を示す意図で0.37倍を見えるように残した。
それぞれの波高22を見ると,2個目以降では初期波高23に対し大きく上下に外れた値を取っていることがわかる。外れた値をとる機序には大きく2種類があり,第1はパイルアップ24と呼ばれる直前パルス増分が落ちる前に次パルスが重畳する現象でありプラスの誤差を生む。第2はアンダーシュート25と呼ばれるシェイピングアンプ波形22のマイナス変動部に次パルスが重畳するものである。明確な基準は存在しないが,ベースラインが定常的にずれるような場合をベースラインシフトと呼ぶ。実施例1ではアンダーシュート25によるベースラインシフトに着目し,この影響を減じることを目標とする。
図4にベースラインシフトのスペクトル影響を示す。放射線計測分野でのエネルギースペクトルとはエネルギー範囲ごとに放射線数をカウントしたヒストグラムのことである。ここでは概念的な説明として横軸を検出エネルギー(波高),縦軸をカウントとし,具体的なビン幅などは考えずに示した。
波高検出部8が或る固定されたトリガレベル31を持つとき,低エネルギー側へのベースラインシフトの有無を比較する。図4上がベースラインシフトなしスペクトル32,図4下がベースラインシフトありスペクトル34である。ベースラインシフト33はアンダーシュートにより負の値になり,ここでは簡単のため或る一定値を持つとする。
シフトありスペクトル34では見かけ上のエネルギーが下がるため,トリガレベル31を下回り低エネルギーイベントの損失35が起きてしまう。このような損失が発生したイベントについては測定終了後のいかなる補正も正確なカウント情報を取り戻すことはできない。また実際にはベースラインシフトは照射量の変化に応じて刻々と変化するため,低エネルギーイベントの損失35が起こらなくてもエネルギー分解能は劣化する。
高計数率かつ低エネルギー領域に有用な情報を多く含むスペクトル型CTのようなアプリケーションではこのベースラインシフトが大きな問題となりうる。
図5にチャージアンプ蓄積量推定によるベースライン補正方法を示す。図5上段のグラフは前述のシェイピングアンプ波形21であり,或る2個の連続したパルス検出イベントについて着目する。前回イベント41の後で今回イベント42を迎えるとき,実測値として検出時刻差43(数式でのΔt i)と未処理波高44(Hi)を得る。検出時刻差43は2個のトリガ時刻の差であり,トリガ時刻には電荷収集時間と波高依存性による誤差などが生じうるが,ここでは理想的であるとする。
また回路状態推定演算部9は前回イベント41に対して前回イベント直後のチャージアンプ蓄積推定量45(Ci-1 H)を保持しているものとする。図5中段はチャージアンプ蓄積推定量45,47,45'とその推移(11)を示すものである。ここで実測の検出時刻差43と既知であるチャージアンプ4の時定数τCを用いれば今回イベント直前のチャージアンプ蓄積推定量47は
から取得可能である。式1をチャージアンプ減衰計算46とする。パルスの終わり際をテイルと呼び,Ci-1 Tはtail,Ci-1 Hはheadの意図である。
ベースラインシフト25の時間的に大きな構造はチャージアンプ4の時定数τCとシェイピングアンプ5の時定数τSで決まり,簡易的にはチャージアンプ蓄積量を-τS/τC倍すれば得られる。従って今回イベントベースラインシフト量推定値50(Bi),補正後波高55(Hi ',図示せず)は
として得られる。推定値はパルスごとに時間1点にしか存在しないが,図5下段ではわかりやすさのため時間全域で連続的にベースラインシフト量(50)を示した。
更に続いて現れるイベントのため,今回イベント直後のチャージアンプ蓄積推定量45'(Ci H)を更新したい。補正後波高55(Hi ')はシェイピングアンプ5の出力であり,チャージアンプ4の出力とは既知の決まった比率(典型的には0.37倍)で異なるため,チャージアンプ増分推定量48をHi '/0.37として
を得る。この処理の繰り返しによってベースラインシフト量推定値50のイベントごとの変化を推定し,追従することが可能となる。式1〜4の演算を行う部位は回路状態推定演算部9である。上記式1〜4は逐次式であり,初期値に関する記述が別途必要であるが,単に計測を開始する前のindexをi=0としてチャージアンプ推定量Ci-0 H=0を与えればよい。
図6にチャージアンプ蓄積量推定によるベースライン補正方法のデータフローを示す。符号50までは図5で説明済みであるが,各プロセスの所属ハードウェアと波高検出部8で用いる基準電位51の制御について新たに説明する。
今回イベント42の検出52に先立ち,前回イベント41の処理で得られる波高検出部基準電位51が設定されているとする。これも初期値はゼロでよい。イベント検出52はハードウェアとしては波高検出部8に所属している。基準電位51については後述する。シェイピングアンプベースラインシフト推定53は図5に関して図示なく説明済のプロセスであり,式2のことである。波高補正54も同様に式3のことである。
補正済波高55はチャージアンプ蓄積推定量45の更新に使うことのみを説明しているが,本来検出器の目的はエネルギー,カウント情報の外部アプリケーションへの提供である。図示しないが具体的には直にエネルギースペクトルへ加算する場合や,{検出時刻,エネルギー,その他情報}など列挙型の外部出力であるリストデータ書き出しを行う場合がある。また出力に先立ちデータ容量を減らす目的で,近傍複数の放射線検出素子2とのデータ統合などを行ってもよい。
ベースラインシフト推定量50は波高補正54にも用いるが,同時に重要な用途としてベースラインシフトによって実効トリガレベルが変化する問題の解決に用いることも可能である。トリガレベルは波高検出部8の基準電位51(一般的にはグランドまたは測定中固定のオフセット値)に対して定義されるため,基準電位51を操作することは同時にトリガレベルを等量操作することになる。従って基準電位51をベースラインシフト推定量50に対応する電位差だけ変化させれば実効的に不変なトリガレベルを維持することが可能となる。
基準電位変更56のプロセスはハードウェアとしては基準電圧出力部10に属し,高速DA変換器などで実際にアナログ電位を与えることで実現する。理想的にはイベント検出52に伴う不感時間内に基準電位変更56を終えることが望ましいが,不感時間を超える場合でもベースラインシフトの速やかなゼロ復帰が得られ,ベースラインシフトによって波高誤差が生じる確率を下げることができる。また基準電圧出力部10は既知のチャージアンプ4時定数τCのもとに外部からの指令なしに基準電位51を減じる機能を持つ。この処理は長時間入射が起きない場合を想定したものである。
図7にチャージアンプ蓄積量推定によるベースライン補正方法の適用結果サンプルを示す。補正後波高55は或るイベントが前回イベントのアンダーシュート領域にある場合(検出時刻差が大きい場合)には初期波高23に近い値をとっており,よい補正が得られることがわかる。
基準電位51として用いているベースラインシフト推定量50はτS程度の時間的に小さな構造は取り扱えないため,パイルアップに関してはうまく補正できていない(イベント2,4個目など)。またベースラインシフト推定量50は図5を見ればわかるように,今回イベント直前の値で固定されているため,今回イベント以降のベースラインシフト量の変化についても取り扱えない。これはチャージアンプ時定数τCが小さく,アンダーシュート量が短時間で変化するときに顕著となる。実施例2ではこれらの問題についても解決する方法を示す。
実施例2はチャージアンプ蓄積推定量45だけでなく,アナログ回路の記憶機能実体である容量(キャパシタ)ごとの推定量を考えるものである。具体的には前記45に加え,シェイピングアンプ微分段6の容量両端間電位差(≡Di H,Di T)とシェイピングアンプ5全体の出力電位(≡Si H,Si T)を用いる。また推定値の集合をEi H≡{Ci H,Di H,Si H}(Ei Tも同様)と表すこととする。基本的には推定値更新フローは図5,図6と同様であり,検出時刻差43,未処理波高44,前回パルス直後の推定値Ei H(45に相当)を基に既知の回路応答(46に相当)からEi T(47に相当)を得られることを利用する。回路応答については以下で与える。Dについての微分方程式は
であり,これを解くと
が得られる。左辺値をDi T,右辺値のD0をDi H(Cも同様)として用いる。またSについての微分方程式は
であり,これを解くと
が得られる。左辺値をSi T,右辺値のS0をSi H(C,Dも同様)として用いる。
チャージアンプ4が容量に対する直列抵抗なしで充電されることと対照的に,シェイピングアンプ微分段6の容量(D)もシェイピングアンプ積分段7の容量(S)も直列抵抗による時定数τSを持つため,増分を与える処理(48に相当)は不要である。従ってパルス直後の推定値はDi H=Di-1 T,Si H=Si-1 Tとして与えればよい。ただしこれは信号キャリア電荷収集がステップ的短時間に行われるモデルによるものであり,収集が遅い場合には式の調整が必要である。その他にもτCSでは0÷0が発生するため特別扱いが必要になるなど扱いが面倒な点があるため,実際には類似の応答を示すテーブルや近似式などで代用してもよい。ここまでは単純に実施例1から推定値個数を増やしただけの変更であるが,次図では新たな要素を扱う。
図8に回路状態量3種推定による波高補正方法を示す。グラフは図5と同じくシェイピングアンプ波形21に関するものであり,今回イベント42に先立ち前回イベント41について前回パルス直後シェイピングアンプ出力推定量71(Si-1 H)と今回パルス直前シェイピングアンプ出力推定量72(Si-1 T)の推定が終わったところを示している。両パルスの入力電荷量は等しいとする。
今回イベント42の未処理波高44の補正量として単純にはパルス直前のベースライン高さである推定量72(Si-1 T)を減じることが第1案である。しかし図を見るとこのように得た補正波高73は,正しい波高例74に対し小さい側にずれを生じていることがわかる。
より良い補正案として前回イベント41によるシェイピングアンプ波形21がそのまま延長する場合を考える。具体的にはこれを仮想的にチャージアンプ増分12をゼロで与えた場合(Ei H=Ei-1 T)のパルス応答として得た。これをエンプティパルス応答75とする。一般にシェイピングアンプ5の時定数がτSのときピーキング時間76は約τSであるので,τS後の応答をエンプティパルスピーク時刻推定量77(Si E)とし,未処理波高44から推定量77を減じて補正を行うことを第2案とする。この補正による波高値78は正しい波高例74に対し,良い一致を見せていることがわかる。
このように図8では実施例1では取り扱えなかったパイルアップ重畳時についての有効性を示したが,本方式はシェイピングアンプ5の時定数τS内に大きな変動がある場合一般(アンダーシュートを含む)について有効であることを示す。チャージアンプ4の時定数τCが短くなればそのアンダーシュート量は大きくなるが,これをよく補正できるのであればチャージアンプ時定数τCを短くしやすい。チャージアンプ時定数τCを短くすることはチャージアンプ飽和防止の観点で有用であり,パルス計測適用範囲を高フラックス側へ広げる効果を持つと言える。
推定値を逐次更新すれば誤差が蓄積するため,本来は推定値の更新ループが負のフィードバックを持つことが強く望ましい。本実施例の場合では負のフィードバックを持たないが,チャージアンプ誤差はτCの時定数で減衰していくため安定に動作しうる。またτCを小さくすることが安定動作にもつながる。
実施例2においても,波高検出部基準電位51はシェイピングアンプ波形21のパイルアップに対しては追従させず,実施例1と同様にチャージアンプ蓄積推定量47だけで決まるベースラインシフト推定量50を用いることとする。これは基準電位51を大きく変動させることによるクロストーク的なノイズの発生や,そもそもDA変換による追従速さを確保できない懸念などによる。補正はベースラインシフト推定量50(Bi)とエンプティパルスピーク時刻推定量77(Si E)の2段階となるが適切に取り扱うこととする。
図9に回路状態量3種推定による波高補正方法の適用結果サンプルを示す。回路状態量3種推定による補正波高78は初期波高23に対し常に近い値を示し,実施例1(図7)の補正法から顕著な改善が得られたことがわかる。
更なる適用範囲の拡大として半導体検出器の信号キャリア捕獲影響の補正を考える。半導体検出器では信号キャリア収集中に単位時間ごとに或る確率で捕獲中心に捕獲され,それぞれの捕獲中心が持つ放出時定数で非パルス的に放出されることで信号波高の損失とベースライン変動を起こす問題がある。状態推定値Eiに各放出時定数(indexをjで示す)ごとの捕獲量Tijを推定値として含めることでこの問題を取り扱うことが可能である。
図10に直近Nパルスの波高・時刻差情報を用いた場合のベースラインシフト補正量を示す(特許文献1の概要)。これは本実施形態の特徴を明らかにするための比較に用いる従来例である。放射線の無照射領域101の後に照射領域102を与える。放射線パルス103の多数入射によりシェイピングアンプベースライン104はチャージアンプ蓄積に応じて負側にシフトしていく。照射領域102の終わり際での正しいベースラインシフト量105に対し,直近Nパルスの波高・検出時刻差を用いたシフト量計算値106は小さい側に誤差を持つ。これは本方式が照射開始から放射線パルス103がN個入った時点でのシフト量107を与えるためである。
このように直近Nパルスの波高・時刻差情報を用いたベースラインシフト補正では大量のパルスによるベースラインシフト量を正しく推定できないことがわかる。
1 放射線
2 放射線検出素子
3 バイアス電圧電源
4 チャージアンプ
5 シェイピングアンプ
6 シェイピングアンプ微分段
7 シェイピングアンプ積分段
8 波高検出部
9 回路状態推定演算部
10 基準電圧出力部
11 チャージアンプ波形
12 チャージアンプ増分
21 シェイピングアンプ波形
22 シェイピングアンプ波高
23 初期波高
24 パイルアップ
25 アンダーシュート
31 トリガレベル
32 ベースラインシフトなしスペクトル
33 負のベースラインシフト
34 ベースラインシフトありスペクトル
35 低エネルギーイベントの損失
41 前回イベント
42 今回イベント
43 検出時刻差
44 未処理波高
45 前回イベント直後のチャージアンプ蓄積推定量
46 チャージアンプ減衰計算
47 今回イベント直前のチャージアンプ蓄積推定量
48 チャージアンプ増分推定量
49 今回イベント直後のチャージアンプ蓄積推定量
50 今回イベントベースラインシフト推定量
51 波高検出部でもちいる基準電位
55 ベースラインシフト推定量による補正後波高
71 前回パルス直後シェイピングアンプ出力推定量
72 今回パルス直前シェイピングアンプ出力推定量
73 パルス直前ベースライン高さによる補正波高
74 正しい波高例
75 エンプティパルス応答
76 ピーキング時間
77 エンプティパルスのピーク時刻値推定量
78 エンプティパルスのピーク時刻値推定量による補正波高
101 無照射領域
102 照射領域
103 放射線によるパルス
104 ベースラインシフトの多パルスに対する応答
105 正しいベースラインシフト量
106 過去数パルスの波高および検出時刻差から得たシフト量(補正不足)
107 照射開始からNパルス入射時点でのシフト量

Claims (3)

  1. 放射線による付与エネルギー量に応じた電荷キャリアを出力する放射線検出素子と
    前記放射線検出素子から得た入力電荷量に応じた電圧信号を出力するチャージアンプと
    前記チャージアンプ出力の信号増分を短時間パルスに整形するシェイピングアンプ部と
    トリガ処理によりシェイピングアンプ波高とトリガタイミングを得る波高検出部と
    回路状態推定値として少なくとも前記チャージアンプの蓄積電荷の推定量を保持する機構と
    前記波高検出部で得たトリガタイミングおよびシェイピングアンプ波高と前記回路状態推定値から,該回路状態推定値を更新する回路応答模擬演算部と
    前記更新された回路状態推定値を用いて,トリガレベル調整およびシェイピングアンプ波高補正を行う波高補正部
    を持つことを特徴とした放射線検出装置。
  2. 前記回路状態推定値として
    シェイピングアンプ微分部の容量両端間電位,
    シェイピングアンプ積分部の出力電位,
    を持つことを特徴とした請求項1記載の放射線検出装置。
  3. 前記回路状態推定値として
    シェイピングアンプ微分部の容量両端間電位,
    シェイピングアンプ積分部の出力電位,
    半導体が持つ複数の放出時定数ごとのトラップ量
    を持つことを特徴とした請求項1記載の放射線検出装置。
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