JP6381597B2 - 高減衰構造物 - Google Patents

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Description

この発明は、レーザー装置等の精密機械装置を支持するガントリー等の構造体に使用可能な制振機能を備えた高減衰構造物に関し、特に、制振の対象となる制振対象部に鋼板等の板状の制振部材を貼設することにより制振を行う高減衰構造物に関する。
従来、振動部分を有する機械装置の制振を要する部分において、振動の腹となる部分に板状部材を貼設して制振を行う減衰構造が広く知られている。
例えば、特許文献1では、内燃機関のカバー類にスチール製の補強板を貼り合わせて溶接する内燃機関の騒音低減装置が提案されている。この特許文献1の騒音低減装置では、予め湾曲させておいた補強板の凸面側をカバー類の制振対象面に向けて無理に平板状に戻しながら溶接するもので、補強板が湾曲状に戻ろうとする応力によりカバー類の固有振動数を高めるものである。
一方、本発明者らは、精密機械装置を支持するガントリーのような精密構造体に制振機能を付設して高減衰構造物とする開発に取り組んでおり、コストと制振機能との兼ね合いから、やはり、鋼板等の板状の制振部材を精密構造体の制振対象部に貼設する構造に着目している。
本発明者らの方法は、具体的には、制振対象となる精密構造体についてFEM解析を行って、特に変位の大きい面を制振対象面とし、さらに制振対象面の振動の腹や節の位置を目安に、制振部材を固定するボルトの位置を決定するものである。
実開平7−25256
しかし、制振対象面の振動の腹や節は、貼設した制振部材が有る程度大きい場合、制振部材自身の振動の腹や節の影響を受けて変化するため、形の異なる精密構造体ごとに試行錯誤によりボルトの位置を決定しなくてはならないという問題が有る。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、板状の制振部材を固定するボルト位置の決定が容易で、かつ高い減衰効果を有する高減衰構造物の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、制振対象部の制振対象面に制振部材を貼設して制振対象部の振動を減衰させるよう構成された高減衰構造物であって、直方体状の箱体からなり、6つの壁のうち最大面積を有する正面壁、及び/又は背面壁の内面を制振対象面とする制振対象部と、前記制振対象面に貼設され、前記制振対象面より短い長方形の板状をなす制振部材と、前記制振部材を前記制振対象部に固定するボルトとを備え、前記制振対象面、及び前記制振部材は、それぞれの長手方向の中央に位置する1次曲げモードの振動の腹の位置が一致するよう重ねられており、前記制振部材は、全長にわたり前記制振対象面に密着するよう構成され、前記ボルトは、前記振動の腹を挟んで対称な位置にのみ固定されていることを特徴とする。
本発明の高減衰構造物は、このように制振対象部を直方体の箱状とし、1次曲げモードの際に厚み方向に湾曲することとなる最大面積を備えた正面壁と背面壁の内面を制振対象面とするとともに、制振部材を長方形の板状としたので、制振対象面の1次振動の節と制振部材の1次振動の節を平行にすることができ、ボルトを固定する位置を決定する際に、これらの振動の節の位置を考慮しやすい。
また、制振部材を制振対象面に固定するボルトを振動の腹の位置では固定せず、振動の腹について対称な位置のみで固定するとともに、制振部材を制振対象面に全面密着させることにより、効果的に制振対象部の振動を減衰させることができる。
前記ボルトは、前記制振対象面の1次曲げモードの振動の節から制振対象面の長さの10%以下の距離の範囲に固定されていることが好ましい。こうすることで、制振対象部の振動をより効果的に減衰させることができる。
前記ボルトは、前記制振対象面の1次曲げモードの振動の節から制振対象面の長さの2%以下の距離の範囲に固定されていることが好ましい。こうすることで、制振対象部の振動をさらに効果的に減衰させることができる。
前記制振部材は、前記制振対象面の1対の1次曲げモードの振動の節間の距離以上の長さを有することが好ましい。こうすることで、制振対象部の振動をより効果的に減衰させることができる。
前記制振部材は、前記制振対象面の90%以上の長さを有することが好ましい。このように、制振対象面の90%以上の長さを有する制振部材を制振対象面と振動の腹を合わせて制振対象面に貼設することで、振動の腹だけでなく振動の節も制振対象面と制振部材とで概ね一致させることができるため、制振対象面の振動の腹や節を目安に制振部材を制振対象面に固定するボルトの位置を決定できる。また、制振対象部の振動をさらに効果的に減衰させることができる。
前記制振対象面の1次曲げモードの振動の節と制振部材の1次曲げモードの振動の節の距離が制振対象面の長さの10%以下であることが好ましい。こうすることで、より効果的に制振対象部の振動を減衰させることができる。
前記ボルトは、前記制振対象面の1次曲げモードの振動の節と前記制振部材の1次曲げモードの振動の節の間に固定されていることが好ましい。こうすることで、制振対象部の振動をさらに一層効果的に減衰させることができる。
前記ボルトが、前記制振対象部の2次振動における振動の節に対し、前記制振対象面の長手方向の外側に固定されていることが好ましい。こうすることで、2次振動も合わせて効果的に減衰させることができる。
尚、ここで、「制振対象面」の「振動の腹」や「振動の節」とは、制振対象部全体の腹や節が制振対象面の外にある場合は、制振対象部の腹や節となる点又は線を制振対象面に垂直投影した線又は点をいい、「制振部材」の「振動の腹」や「振動の節」は、制振部材全体の振動の腹や節となる点又は線を制振部材の制振対象面と密着させる面に垂直投影させた点又は線をいうものとする。また、「制振対象面の長さ」は、当該制振対象面を備える正面壁、又は背面壁の長さをいうものとする。
以上説明したように、本発明の高減衰構造物によれば、板状の制振部材を固定するボルトの位置を容易に決定できるとともに、効率よく振動の減衰を行うことができる。
本発明の第1実施形態に係る制振対象部の(a)長手方向の一端側から見た斜視図、(b)長手方向の他端側から見た斜視図である。 図1の制振対象部の(a)正面図(b)左側面図(c)平面図(d)右側面図(e)背面図(f)(c)におけるA−A線断面図である。 本発明の第1実施形態に係る制振部材の(a)正面図(b)側面図である。 図1の制振対象部について行った1次曲げモードのFEM解析結果である。 図3の制振部材について行った1次曲げモードのFEM解析結果である。 図1の制振対象部及び図3の制振部材を用いて行った振動実測試験の様子を示す説明図である。 第1実施形態の振動実測試験の実験結果である。 図1の制振対象部について行った2次曲げモードのFEM解析結果である。 図3の制振部材について行った2次曲げモードのFEM解析結果である。 本発明の第2実施形態に係る高減衰構造物である。 本発明の第3実施形態の実施例5に係る制振部材の(a)正面図(b)側面図である。 本発明の第3実施形態の実施例6に係る制振部材の(a)正面図(b)側面図である。 本発明の第3実施形態の実施例7に係る制振部材の(a)正面図(b)側面図である。 本発明の第3実施形態の実施例8に係る制振部材の(a)正面図(b)側面図である。 本発明の第3実施形態の実施例9に係る制振部材の(a)正面図(b)側面図である。 第3実施形態の振動試験の結果である。 制振部材の長さと、減衰比及び減衰比倍率の関係を示したグラフである。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(第1実施形態)
図6は、第1実施形態に係る高減衰構造物100を用いて行った振動実測試験の様子を示している。高減衰構造物100は、長尺直方体の制振対象部10と、制振対象部10の最大面となる正面壁11、背面壁12(図2(e)参照)の内面にそれぞれ貼設して制振対象部10の振動を減衰させる一対の制振部材20,20と、制振部材20を制振対象部10に固定するボルト30とを備えている。
制振対象部10は、図1、図2に示すように、6面の壁のうち、最大面積を有する正面壁11及び背面壁12を構成する幅220mm×長さ1500mm×板厚9mmの鋼鈑2枚と、上面壁13及び下面壁14を構成する幅72mm×長さ1500mm×板厚9mmの鋼鈑2枚と、長手方向の一端側の側面壁15及び長手方向の他端側の側面壁16を構成する幅72mm×長さ182mm×板厚16mmの鋼鈑2枚とからなる大小6枚の鋼鈑を内外両方から隅肉溶接して形成されている。制振対象部10の長手方向(図2(a)の左右方向)の中間には、内部に幅55mm×長さ182mm×板厚16mmの仕切板17が設けられている(図2(f)参照)。制振対象部10は、正面壁11、及び背面壁12の内面が制振対象面11a、12aとなる(図2(f)参照)。
正面壁11、及び背面壁12は、図2に示すように、ボルトの締め付け位置による減衰効果の違いを調べるために、3行×9列に並んだ計27個の貫通孔からなるボルト孔10aを有している。ボルト孔10aはφ9mm、ボルト孔10aの位置を示す図中の寸法は、a=207mm、b=138mm、c=60mm、d=65mm、e=45mmである。
制振部材20は、幅150mm×長さ1410mm×板厚9mmの長方形の鋼板からなり、図3に示すように、3行×9列に並んだ27個の雌ネジ穴20a,20a,…を備えている。雌ネジ穴20a間の寸法a、b、dは、ボルト孔10a間の寸法と共通で、f=15mm、g=10mmである。
制振部材20は、制振対象面11aに固定するものと、制振対象面12aに固定するものと合わせて一対が設けられる。制振部材20は、その振動の節を制振対象部10の制振対象面11a,12aの振動の節を極力近づけるために、制振対象面の長さ1500mmの長さの94%に当たる1410mmに設けられている。
一端側の側面壁15には、図2(d)に示すように、正面壁11、及び背面壁12と接する辺に制振部材20を挿入するための一対の挿入スリット15a,15aを設けている。
挿入スリット15aの寸法は、幅15mm×長さ162mm、内側角部がR10mmである。
図2(f)に示すように、仕切板17も同様に、制振部材20をかわすための挿入スリット17a,17bを備えている。仕切板17の正面側のスリット17aは、幅17mm×長さ182mm、背面側のスリット17bは、幅15mm×長さ162mmで内側角部がR10mmである。
制振部材20を制振対象面11a,12aに固定する際には、挿入スリット15aから制振部材20を挿入した後、ボルト30を所定のボルト孔10aに通したのち、雌ネジ穴20aに螺合させる。尚、図6の符号31はノルトロックワッシャーを示している。
図4は、制振対象部10について、境界条件をfree、質量を自重としてFEM解析を行った1次曲げ(弱軸周りの曲げ)モードの結果を示し、図4中符号10A、10Bで示した2点鎖線がそれぞれ1次振動の腹と節を示している。振動の腹10A、及び一対の振動の節10Bを制振対象面11aに垂直投影したものが、図6の制振対象面11aの振動の腹11A、及び一対の振動の節11Bである。本実施形態では、振動の腹11Aは、制振対象面11aの長さ方向(図2(a)の左右方向)の中間に位置し、振動の節11B,11Bは、振動の腹11Aからの距離sが430mmである。また、制振対象部10のFEM解析による1次曲げモードの固有振動数は、261Hzである。
図5は、制振部材20について、境界条件をfree、質量を自重としてFEM解析を行った1次曲げ(弱軸周りの曲げ)モードの結果を示し、図3、図5中符号20A、20Bで示した2点鎖線がそれぞれ1次振動の腹と節を示している。振動の腹20A、及び節20Bを制振対象面11aと密着する面21に垂直投影したものが、図6に示した制振部材の面21における振動の腹21A、及び21Bである。本実施形態では、振動の腹21Aは、面21の長さ方向(図3(a)の左右方向)の中間に位置し、振動の節21B,21Bは、振動の腹21Aからの距離qが390mmである。
本実施形態では、図6に示したように、振動の腹11Aと振動の腹21Aが重なるようにして制振部材20を制振対象面11a(又は制振対象面12a)に貼着した際に、振動の節11Bと振動の節21Bの距離(s−q)が40mmであり、制振対象面の長さ1500mmの10%以下の約2.7%となっている。
また、図8は、制振対象部10について、境界条件をfree、質量を自重としてFEM解析を行った2次曲げ(強軸周りの曲げ)モードの結果を示し、図8中符号10C、10Dで示した2点鎖線がそれぞれ2次振動の腹と節を示している。振動の腹10C、及び一対の振動の節10Dは、図6には、点として表れる。本実施形態では、振動の腹10Cは、制振対象面11aの長さ方向(図2(a)の左右方向)の中間に位置し、振動の節10D,10Dは、振動の腹10Cからの距離rが425.3mmである。また、制振対象部10のFEM解析による2次曲げモードの固有振動数は、487Hzである。
図9は、制振部材20について、境界条件をfree、質量を自重としてFEM解析を行った2次曲げ(強軸周りの曲げ)モードの結果を示し、図9中符号20C、20Dで示した2点鎖線がそれぞれ2次振動の腹と節を示している。振動の腹20C、及び一対の振動の節20Dは、図3、図6には、点として表れる。本実施形態では、振動の腹20Cは、制振対象面11aの長さ方向(図2(a)の左右方向)の中間に位置し、振動の節20D,20Dは、振動の腹20Cからの距離pが388.5mmである。
次に振動実測試験の実施方法と、結果について説明する。
(実施例1)
上記寸法の制振対象部10及び一対の制振部材20をSS400軟鋼板から形成し、強度区分A2−70のM6ステンレス製ボルト30を、図7に示したように、両端から3列目の4箇所で雌ネジ穴20aに螺合させて、一対の制振部材20を制振対象部10の一対の制振対象面11a,12aに固定して試験体とした。ボルト30は、締付トルクを4.2N・mとした。
この試験体を、図6に示すように、制振対象部10の振動の節の延長上に配置した4個の縦100mm×横100mm×高さ50mmの硬度30度(硬度規定はJIS K 6253)を有するクロロプロレンゴム製の基台4,…に載置し、図6に示すように、正面壁11の上端縁及び下端縁に等間隔に定めたA1からA10の10か所にPCB PIEZOTRONICS INC.社製の3軸式加速度計(型式356A17)を設置して、背面壁12の一端側の下側角部(A10の加速器の裏側)を同社製インパクトハンマー(型式086D20)で叩いて加振した。こうして加速度計にて得られたデータからOROS社製FFTアナライザ(型式OR35−4)を用いて、1次、及び2次の固有振動数と減衰比を算出し、後述する比較例1(制振部材20無し)の減衰比に対する倍率(以下「減衰比倍率」)を求めた。
(実施例2)
ボルト30の締付トルクを5.9N・mとした以外は実施例1と同様にして、1次及び2次の固有振動数、減衰比及び減衰比倍率を求めた。
(実施例3)
ボルト30の取り付け位置を図7に示したように両端から2列目に変更した以外は実施例1と同様にして、1次及び2次の固有振動数、減衰比及び減衰比倍率を求めた。
(実施例4)
ボルト30の締付トルクを5.9N・mに変更した以外は実施例3と同様にして、1次及び2次の固有振動数、減衰比及び減衰比倍率を求めた。
(比較例1)
試験体を制振対象部10のみとし制振部材20を省略した以外は実施例1と同様にして試験を行って、1次及び2次の固有振動数、減衰比求めた。
(比較例2)
ボルト30の本数を6本としこれを図7に示したように中央と両端の3列に配置して制振部材20を制振対象部10に取り付けた以外は、実施例1と同様にして試験を行って、1次及び2次の固有振動数、減衰比及び減衰比倍率を求めた。
実施例1乃至4、及び比較例1、2の結果を図7に示す。図7中2点鎖線は、制振対象面11a,12aの1次振動の節11B,12Bを示し、1点鎖線は、制振部材の1次振動の節21Bを示し、×印は制振対象部10の2次振動の節10Dを示している。
得られた結果から、制振対象部10の制振対象面11a,12aの90%以上の長さを有する制振部材をボルトにより密着固定することで、1次振動の減衰比を高められることがわかった。
また、ボルト30を1次曲げモードにおける振動の腹の位置では固定せず、振動の腹から対称に離間した位置でボルト30を固定したほうが、振動の腹の位置でも固定するより、1次振動の減衰比が高くなることが分かった。
また、ボルト30を固定する位置と制振対象面の1次振動の節11B,12Bとの距離は、実施例1及び実施例2では16mmで、制振対象面の長さ1500mmの1.1%、実施例3、及び実施例4では122mmで、制振対象面の長さ1500mmの8.1%であることから、ボルトの固定位置を制振対象面11a,12aの振動の節の位置から制振対象面11a,12aの長さの10%以内とすると1次振動の減衰比が高くなることがわかった。
また、ボルト30を固定する位置を、制振対象面11a,12aの1次振動の節の位置から制振対象面の長さの10%以内とするとともに制振対象面11a,12aの1次振動の節11B,12Bと制振部材の1次振動の節20Bの間にすることで、さらに1次振動の減衰比が高くなることがわかった。
加えて、制振対象部10の2次振動の節10Dの外側(制振対象面の長さ方向における外側)にボルトを固定した方が2次振動の節の内側にボルトを固定するより、2次振動の減衰比が高まることがわかった。
また、ボルト30の締付トルクとしては、4.0N・m以上6.0N・m以下で、制振部材に十分な減衰効果を付与できることがわかった。
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2実施形態に係る高減衰構造物200である。高減衰構造物200は、いわゆるガントリーであり、梁の部分が直方体の箱状をなす制振対象部210を構成し、制振部材220と、ボルト30と、一対の脚部240,240とを備えている。
尚、第2実施形態において、第1実施形態と共通する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
制振対象部210は、長方形の上面壁213、底面壁214、側面壁215、及び側面壁216と、コ字状板201,202の水平部分(図10中、2点鎖線Lの上側の部分)とからなり、正面壁211、及び背面壁212は、それぞれボルト30を固定する4箇のボルト孔10a,…(図10には表れず)が設けられている。一対の制振部材220,220は、長方形の板材からなり、制振対象面211a,212aの長手方向の90%以上の長さを有し、ボルト30を固定する4箇の雌ネジ穴20aを有している。
図10において、符号211A、212Aは、それぞれ、脚部240,240を除いた制振対象部210のみをFEM解析した結果から求めた制振対象面211a,212aの1次曲げモードの振動の腹を示し、符号220Aは、制振部材220単独でFEM解析を行った結果から求めた1次曲げモードの振動の腹を示している。また、図10において、符号211B、212Bは、それぞれ制振対象面211a,212aの1次曲げモードの振動の節を示しており、符号210Dは、制振対象面211a,212aの2次曲げモードの振動の節を示している。
制振部材220は、振動の腹220Aを、制振対象面211a,212aの振動の腹211A,212Aに重ねるようにして、制振対象面211a,212aに貼着され、ボルト30は、制振対象面の1次振動の節211B,212Bから制振対象面211a,212aの長さの10%以内に、かつ制振対象部の2次振動の節210Dの外側に設けられている。
ボルト30の締付トルクは4.0N・m以上6.0N・mである。
脚部240,240は、制振対象部210の底面壁214の長手方向の両端から下方へ延出するよう設けられ、脚部正面壁241、脚部背面壁242、脚部外壁243、脚部内壁244、基板245により構成されている。脚部正面壁241、脚部背面壁242は、それぞれ、コ字状板201,202の両端部分であり、正面壁211、背面壁212と一体に設けられている。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態と同じ制振対象部10を用い、制振部材の長さのみを短く変更したもので、図6に示した第1実施形態と同じ方法で振動実測試験を行って、制振部材の長さと制振効果の関係を調べるための実施形態である。
(実施例5)
図11は、本発明の第3実施形態に係る実施例5の制振部材320aを示している。制振部材320aは、第1実施形態の制振部材20と同じSS400により、幅150mm×長さ1350mm×板厚9mmに形成され、3行×7列に並んだ21個の雌ネジ穴20a,20a,…を備えている。雌ネジ穴20a間の寸法a、b、dは、制振対象部10のボルト孔10a間の寸法と共通で、f=123mm、g=10mmである。一対の制振部材320aは、図16の模式図に示すように、その振動の腹321Aを制振対象面11a,11bの振動の腹11A,12Aに合わせた状態で、制振対象部10の両端から3列目のボルト孔10aに外側から通した4本の強度区分A2−70のM6ボルト30を制振部材320aの両端から2列目の雌ネジ穴20aに締付トルク4.2N・mで螺合することにより、制振対象部10に固定した。こうして、実施形態1と同様にして振動実測試験を行った。
(実施例6)
図12は、本発明の第3実施形態に係る実施例6の制振部材320bを示している。実施例6は、制振部材320bの寸法fを48mmとした他は、実施例5と同様にして、振動実測試験を行った。
(実施例7)
図13は、本発明の第3実施形態に係る実施例7の制振部材320cを示している。実施例7は、制振部材320cの寸法fを10.5mmとした他は、実施例5と同様にして、振動実測試験を行った。
(実施例8)
図14は、本発明の第3実施形態に係る実施例8の制振部材320dを示している。実施例8は、制振部材320dの雌ネジ穴20aを3行×5列に15個配設し、寸法fを111mmとし、制振部材320dを、図16の模式図に示すように、制振対象部10の両端から3列目のボルト孔10aに外側から通した4本のボルト30を制振部材320dの両端から1列目の雌ネジ穴20aに締付トルク4.2N・mで螺合することにより、制振対象部10に固定した他は、実施例5と同様にして、振動実測試験を行った。
(実施例9)
図15は、本発明の第3実施形態に係る実施例9の制振部材320eを示している。実施例9は、制振部材320eの寸法fを36mmとした他は、実施例8と同様にして、振動実測試験を行った。
実施例5〜実施例9の振動実測試験の結果を図16に、制振部材の長さと減衰比、及び減衰比倍率(制振対象部10のみの減衰比に対する倍率)の関係を図17に示す。
図16、図17に示した結果より、1次曲げモードの減衰効果について、実施例9のように、制振部材320eの長さを制振対象部10の1次曲げモードの振動の節11B,11B間の距離に近い900mmと短くした場合であっても、減衰比が1.936%、減衰比倍率が27.7倍と充分な制振効果が見られた。
また、図17に示すように、制振部材が長くなるに従い、減衰効果が大きくなること、制振部材が制振対象面の長さの90%を超えると、急に減衰効果が高まることが分かった。
さらに、図7と図16の比較から、ボルト30の締付位置の制振対象面の1次振動の節11Bからの距離が小さければ、具体的には制振対象面11aの長さの2%以内(1.1%)であると、制振部材が短くても大きな制振効果が得られることが分かった。
以上、本発明の高減衰構造は、上記の実施形態に限られるものではなく、例えば、制振対象部の各部の寸法は、上記の寸法に限られず、本発明の趣旨の範囲内で適宜に変更可能である。ボルトの数は、3個以下でも、5個以上でもよい。高減衰構造物の全体形状は、直方体状、倒コ字状に限らず、直方体の箱体からなる制振対象部を含んでいれば、いかなる形状を有していてもよい。制振部材は、正面壁又は背面壁の何れか1面のみに設けてもよいし、正面壁、背面壁に加えて、他の壁にも制振部材を設けるようにしてもよい。
100,200 高減衰構造物
10,210 制振対象部
11,211 正面壁
12,212 背面壁
11a,12a,211a,212a 制振対象面
11A,12A,211A,212A 制振対象面の振動の腹
11B,12B,211B,212B 制振対象面の振動の節
20,220,320a,320b,320c,320d,320e 制振部材
21A,21A,220A,321A 制振部材の振動の腹
21B,22B, 制振部材の振動の節
30 ボルト

Claims (7)

  1. 制振対象部の制振対象面に制振部材を貼設して制振対象部の振動を減衰させるよう構成された高減衰構造物であって、
    直方体状の箱体からなり、6つの壁のうち最大面積を有する正面壁、及び/又は背面壁の内面を制振対象面とする制振対象部と、
    前記制振対象面に貼設され、前記制振対象面より短い長方形の板状をなす制振部材と、
    前記制振部材を前記制振対象部に固定するボルトと
    を備え、
    前記制振対象面、及び前記制振部材は、それぞれの長手方向の中央に位置する1次曲げモードの振動の腹の位置が一致するよう重ねられており、
    前記制振部材は、全長にわたり前記制振対象面に密着するよう構成され、
    前記ボルトは、前記振動の腹を挟んで対称な位置にのみ固定されていることを特徴とする高減衰構造物。
  2. 前記ボルトが、前記制振対象面の1次曲げモードの振動の節から制振対象面の長さの10%以下の距離の範囲に固定されている請求項1に記載の高減衰構造物。
  3. 前記ボルトが、前記制振対象面の1次曲げモードの振動の節から制振対象面の長さの2%以下の距離の範囲に固定されている請求項1に記載の高減衰構造物。
  4. 前記制振部材は、前記振動対象面の1対の1次曲げモードの振動の節間の距離以上の長さを有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の高減衰構造物。
  5. 前記制振部材は、前記制振対象面の90%以上の長さを有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の高減衰構造物。
  6. 前記制振対象面の1次曲げモードの振動の節と制振部材の1次曲げモードの振動の節の距離が制振対象面の長さの10%以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の高減衰構造物。
  7. 前記ボルトが、前記制振対象面の1次曲げモードの振動の節と前記制振部材の1次曲げモードの振動の節の間に固定されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の高減衰構造物。
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