JP6380146B2 - パターン形成用樹脂組成物、絶縁膜、その形成方法及び表示素子 - Google Patents
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Description
Rは、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、このアルキル基、アリール基及びアラルキル基が有する1又は複数の水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基又はスルホ基で置換されていてもよい。
Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、水酸基、カルボキシ基及びスルホ基の少なくともいずれか並びに芳香環を有する2価の基である。
*は、結合部位を示す。)
本発明のパターン形成用樹脂組成物は、[A]重合体及び[B]感放射線性化合物を含有する。当該パターン形成用樹脂組成物が含有する[A]重合体は、後に詳述するように水酸基(−OH)、カルボキシ基(−COOH)又はスルホ基(−SO3H)を有し、十分な現像性能(放射線感度)を発揮することができる。また、当該パターン形成用樹脂組成物によれば、耐熱性、表面硬度、低吸水性、光透過性等が良好な絶縁膜を得ることができる。当該パターン形成用樹脂組成物は、[A]重合体及び[B]感放射線性化合物以外に他の成分を含有することができる。以下、各成分等について説明する。
[A]重合体は、構造単位(I)を有する。[A]重合体は、構造単位(I)のみから構成されていてもよいし、構造単位(I)以外の他の構造単位を有していてもよい。
構造単位(I)は、下記式(1)又は(2)で表される、水酸基、カルボキシ基及びスルホ基の少なくともいずれかを有する構造単位である。
[A]重合体が有することができる構造単位(I)以外の他の構造単位としては、上記式(1)又は(2)で表され、水酸基、カルボキシ基及びスルホ基のいずれも有さない構造単位(II)を挙げることができる。構造単位(I)と構造単位(II)とを併用することにより、[A]重合体の酸価や得られる絶縁膜の光屈折性を調整することができる。
[A]重合体は、例えば下記式(20)又は(21)で表される単量体(a)と、下記式(22)で表される単量体(b)とを適当な溶媒中で重合反応させることにより得ることができる。単量体(a)として式(20)で表される単量体を用いることで、式(1)で表される構造単位(I)が形成される。一方、単量体(a)として、式(21)で表される単量体を用いることで、式(2)で表される構造単位(I)が形成される。なお、単量体(a)及び単量体(b)に加えて、式(23)で表されるカルボキシ基等を有さない単量体(c)を共重合させることができる。この場合、単量体(a)と単量体(c)とにより、カルボキシ基等を有さない構造単位(II)が形成される。
X及びRは、式(1)及び(2)中のX1〜X6及びRとそれぞれ同義である。
Arは、式(1)及び(2)中のAr1及びAr2と同義である。
Ar’は、水酸基、カルボキシ基及びスルホ基のいずれも有さないこと以外は、式(1)及び(2)中のAr1及びAr2と同義である。
[B]感放射線性化合物は、当該パターン形成用樹脂組成物に感放射線特性を付与するものである。この[B]感放射線性化合物は、放射線の露光によって反応活性な活性種を生じる化合物である。ここで、放射線とは、少なくとも可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線(荷電粒子線)及びX線を含む。当該パターン形成用樹脂組成物における[B]感放射線性化合物の含有量としては、例えば[A]重合体100質量部に対して5質量部以上60質量部以下である。[B]感放射線性化合物としては、(B1)酸発生剤、(B2)重合開始剤又はこれらの組み合わせが好ましい。
(B1)酸発生剤は、放射線の照射によって酸を発生する化合物である。当該パターン形成用樹脂組成物は、(B1)酸発生剤を含むことで、例えばアルカリ現像液に対するポジ型の感放射線特性を発揮できる。
キノンジアジド化合物は、放射線の照射によってカルボン酸を発生する。キノンジアジド化合物としては、例えばフェノール性化合物又はアルコール性化合物(以下、「母核」ともいう)と、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物を用いることができる。
(B2)重合開始剤は、放射線に感応して、重合性を備えた化合物の重合を開始し得る活性種を生じる成分である。当該パターン形成用樹脂組成物は、(B2)重合開始剤を含むことで、例えばアルカリ現像液に対するネガ型の感放射線特性を発揮できる。(B2)重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤を挙げることができる。この光ラジカル重合開始剤としては、例えばO−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
O−アシルオキシム化合物としては、例えば1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、例えばα−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物等が挙げられる。
α−アミノケトン化合物としては、例えば2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
α−ヒドロキシケトン化合物としては、例えば1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。
ビイミダゾール化合物としては、例えば2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が挙げられる。
当該パターン形成用樹脂組成物は、[A]重合体及び[B]感放射線性化合物の他、例えば[C]重合性化合物、[D]密着助剤、[E]界面活性剤、他の重合体、酸化防止剤、金属酸化物粒子、感熱性酸発生剤等を含有することができる。
[C]重合性化合物は、エチレン性不飽和結合等の重合性基を有する化合物である。当該感放射線性組成物は、[C]重合性化合物を含有することで、放射線の照射によって密着性に優れ、かつ低露光量であっても十分な表面硬度を有する絶縁膜を形成することができる。
[D]密着助剤は、当該パターン形成用樹脂組成物から形成される絶縁膜と基板等との密着性を向上させるものである。このような密着助剤としては、官能性シランカップリング剤が好ましい。官能性シランカップリング剤としては、例えばカルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基等の反応性置換基を有するもの等が挙げられる。このような官能性シランカップリング剤としては、例えばトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。[D]密着助剤は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
[E]界面活性剤は、当該パターン形成用樹脂組成物の塗布性を向上させることなどができる。[E]界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を挙げることができ、フッ素系界面活性剤が好ましい。[E]界面活性剤は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
他の重合体とは、[A]重合体以外の重合体である。他の重合体としては、エポキシ樹脂等のアルカリ可溶性樹脂などを挙げることができる。但し、当該パターン形成用樹脂組成物は、[A]重合体以外の重合体を含まなくてもよい。他の重合体の含有量の下限としては、例えば[A]重合体100質量部に対して、1質量部とすることができ5質量部が好ましい。一方、この上限としては、例えば100質量部であり、60質量部が好ましく、40質量部がより好ましい。このような範囲で他の重合体を含有させることで、[A]重合体の機能を十分に発揮させつつ、他の重合体による他の機能を発揮させることなどができる。
酸化防止剤は、露光若しくは加熱により発生したラジカルの捕捉により、又は酸化によって生成した過酸化物の分解により、重合体分子の結合の解裂を抑制する成分である。当該パターン形成用樹脂組成物が酸化防止剤を含有することで、形成される絶縁膜中における重合体分子の解裂劣化が抑制され、耐久性等を向上させることができる。酸化防止剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属酸化物粒子は、当該パターン形成用樹脂組成物から形成される絶縁膜の電気絶縁性を維持しつつ比誘電率の上昇を制御する。この金属酸化物粒子は、絶縁膜の屈折率の制御、絶縁膜の透明性の制御、硬化収縮を緩和することによるクラックの抑制、絶縁膜の表面硬度向上という目的等でも使用することができる。
感熱性酸発生剤は、当該パターン形成用樹脂組成物から形成される絶縁膜の耐熱性、硬度等の特性を向上させるものである。この感熱性酸発生剤としては、例えばスルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩などが挙げられる。
当該パターン形成用樹脂組成物は、[A]重合体及び[B]感放射線性化合物、並びに必要に応じてその他の成分を均一に混合することによって調製される。当該パターン形成用樹脂組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解されて溶液状で用いられる。
本発明の絶縁膜(硬化膜)は、当該パターン形成用樹脂組成物から形成されたパターンを有する。当該絶縁膜は表示素子用の絶縁膜として好適に用いることができる。表示素子用の絶縁膜としては、例えば層間絶縁膜、保護膜、平坦化膜等を挙げることができる。当該絶縁膜は、当該パターン形成用樹脂組成物から形成されるため、耐熱性や光透過性等が良好である。また、[A]重合体の種類により、高い光屈折率を発現させることもできる。なお、当該絶縁膜の形成方法としては特に限定されないが、次に説明する絶縁膜の形成方法を適用することが好ましい。
本発明の絶縁膜の形成方法は、
(1)基板上に塗膜を形成する工程、
(2)塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)放射線が照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)現像された塗膜を加熱する工程
を備える。
工程(1)では、当該パターン形成用樹脂組成物の溶液を基板表面に塗布し、好ましくはプレベークを行うことにより溶媒を除去することで塗膜を形成する。工程(1)で使用する基板としては、例えばガラス基板、シリコンウエハー、プラスチック基板、及びこれらの表面に各種金属が形成された基板が挙げられる。プラスチック基板としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックを主成分とする基板などが挙げられる。
工程(2)では、工程(1)で形成した塗膜に所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射する。このときの放射線としては、例えば紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等が挙げられる。
工程(3)では、工程(2)で放射線を照射した塗膜に対して現像を行って、放射線の照射部分を除去し、所望のパターンを形成することができる。現像処理に用いられる現像液としては、アルカリ水溶液(アルカリ現像液)を用いることができる。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノナン等が挙げられる。また、現像液としては、上記アルカリ水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液、又は当該パターン形成用樹脂組成物を溶解する各種有機溶媒を少量含むものを使用することができる。また、現像液として、有機溶媒を用いてもよい。さらに、現像方法としては、例えば液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の方法を利用することができる。現像時間は、パターン形成用樹脂組成物の組成によって異なるが、例えば30秒以上120秒以下とすることができる。
工程(4)では、工程(3)で現像された塗膜を焼成するホットプレート、オーブン等の加熱装置を用いて、この塗膜を加熱・焼成処理(ポストベーク処理)することによって塗膜の硬化を行う。また、工程(4)における焼成温度の下限としては、120℃が好ましい。一方、この上限としては、250℃が好ましい。焼成時間としては、加熱機器の種類により異なるが、例えばホットプレート上で加熱処理を行う場合には5分以上40分以下、オーブン中で加熱処理を行う場合には30分以上80分以下とすることができる。
本発明の表示素子は、当該絶縁膜を備える。すなわち、当該絶縁膜は、表示素子に好適に使用できる。当該表示素子としては、液晶表示素子や有機EL素子等が挙げられる。このような表示素子用の絶縁膜としては、例えば層間絶縁膜、保護膜、平坦化膜等が挙げられる。
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりMw及びMnを測定した。また、分子量分布(Mw/Mn)は得られたMw及びMnより算出した。
GPCカラム:島津ジーエルシー社の「GPC−KF−801」、「GPC−KF−802」、「GPC−KF−803」及び「GPC−KF−804」を結合
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
[合成例1]単量体(a−1)の合成
室温、窒素下、300mL二口フラスコに、シアヌル酸クロリド(化合物1)10.00質量部及びジイソプロピルエチルアミン7.01質量部を加え、テトラヒドロフラン100質量部に溶解させ、氷浴で20分撹拌した。その後、テトラヒドロフラン80質量部に溶解させた2−ナフタレンチオール(化合物2)8.69質量部を加えて、反応を開始した。3時間反応させた溶液をろ過し、エバポレーターを用いて濃縮、再結晶することで単量体(a−1)を得た。
化合物1及び化合物2として、下記表1に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は合成例1と同様の手法にて、単量体(a−2)〜(a−5)を得た。
単量体(a−1) Y:塩素原子 X:硫黄原子 R:ナフチル基
単量体(a−2) Y:塩素原子 X:硫黄原子 R:トリル基
単量体(a−3) Y:塩素原子 X:硫黄原子 R:フェニル基
単量体(a−4) Y:塩素原子 X:硫黄原子 R:ヘキシル基
単量体(a−5) Y:塩素原子 X:酸素原子 R:メチル基
[合成例6]重合体(A−1)の合成
室温、窒素下、300mL二口フラスコに、単量体(b)としてのジフェノール酸9.29質量部、セチルトリメチルアンモニウムブロミド3.55質量部及び1Mの水酸化ナトリウム水溶液66.5質量部を加え、1時間反応させた。その後、単量体(a)としての単量体(a−1)10.00質量部のジクロロメタン溶液を加え、重合を開始した。4時間後、反応液のpHを酸性にした後、メタノールに再沈殿した。乾燥した沈殿物をテトラヒドロフランに溶解し、イオン交換樹脂を加え、1時間撹拌した。濾過した溶液をn−ヘキサンに再沈殿した。沈殿物を濾過し、50℃で8時間真空乾燥することで目的の重合体(A−1)を得た。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは8200、分子量分布Mw/Mnは3.2であった。
単量体(a)及び単量体(b)を表2に示す種類及び量とし、あるいは単量体(b)と共に表2に示す種類及び量の単量体(c)を用いた以外は、合成例6と同様に合成を行い、重合体(A−1)と同等の分子量及び分子量分布を有する各共重合体を得た。
室温、窒素下、300mL二口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸4.94質量部を加え、ジメチルアセトアミド50質量部に溶解した。単量体(a−1)10.00質量部のジメチルアセトアミド溶液を加え、反応を開始した。その後、100℃に加熱し、4時間後、反応溶液に塩酸水溶液を加えた後、メタノールに再沈殿した。乾燥した沈殿物をテトラヒドロフランに溶解し、イオン交換樹脂を加え、1時間撹拌した。濾過した溶液をn−ヘキサンに再沈殿した。沈殿物を濾過し、50℃で8時間真空乾燥することで目的の重合体(A−18)を得た。
単量体(a)及び単量体(b)を表2に示す種類及び量とした以外は、合成例6と同様に合成を行い目的の重合体(A−19)〜(A−20)を得た。重合体(A−19)の重量平均分子量Mwは8000、分子量分布Mw/Mnは2.6であった。重合体(A−20)の重量平均分子量Mwは14000、分子量分布Mw/Mnは2.4であった。
単量体(a)及び単量体(b)を表2に示す種類及び量とした以外は、合成例6と同様に合成を行い、比較例としての重合体(CA−1)を得た。重合体(CA−1)の重量平均分子量Mwは8000、分子量分布Mw/Mnは2.6であった。
得られた各重合体の酸価(JIS酸価)を以下の方法により求めた。求めた各重合体の酸価は表3に示す。
試料(重合体)1gをキシレンとジメチルホルムアミド(体積比1:1)を混合した滴定溶剤に溶かした。電位差滴定法により0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定した。滴定曲線上の変曲点を終点とし、水酸化カリウム溶液の終点までの滴定量から酸価を算出した。
得られた各測定値を下記式に代入して酸価を算出した。
A=(B−C)×f×D/S
A:酸価(mgKOH/g)
B:本試験での水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
C:空試験(測定試料を用いない測定)での水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
f:水酸化カリウム溶液のファクター
D:濃度換算値5.611mg/mL
(0.1mol/LKOH 1mLの水酸化カリウム相当量)
S:試料(g)
[実施例1]
重合体(A−1)を含有する溶液100質量部(固形分)に相当する量、感放射線性化合物としてのキノンジアジド化合物(B−1:4,4’−〔1−〔4−〔1−〔4−ヒドロキシフェニル〕−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物)20質量部、密着助剤(D−1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)5質量部、及び界面活性剤(E−1:ネオス社の「FTX−218」)0.5質量部を混合した。さらに固形分濃度が20質量%となるように溶媒としてジエチレングリコールメチルエチルエーテルとシクロヘキサノンの混合溶液を添加した後、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過することにより、パターン形成用樹脂組成物を調製した。
下記表3に示す重合体を用いた以外は実施例1と同様に操作し、実施例2〜20及び比較例1のパターン形成用樹脂組成物を調製した。
重合体(A−1)を含有する溶液100質量部(固形分)に相当する量、感放射線性化合物としてのO−アシルオキシム化合物(B−2:BASF社の「イルガキュアOXE01」)5質量部、重合性化合物(C−1:ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの混合物)30質量部、密着助剤(D−1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)5質量部、及び界面活性剤(E−1:ネオス社の「FTX−218」)0.5質量部を混合した。さらに固形分濃度が20質量%となるように溶媒としてジエチレングリコールメチルエチルエーテルとシクロヘキサノンの混合溶液を添加した後、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過することにより、パターン形成用樹脂組成物を調製した。
重合体(A−1)を含有する溶液100質量部(固形分)に相当する量、感放射線性化合物としてのキノンジアジド化合物(B−1:4,4’−〔1−〔4−〔1−〔4−ヒドロキシフェニル〕−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物)20質量部、他の重合体としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社の「EP157S65」)20質量部、密着助剤(D−1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)5質量部、及び界面活性剤(E−1:ネオス社の「FTX−218」)0.5質量部を混合した。さらに固形分濃度が20質量%となるように溶媒としてジエチレングリコールメチルエチルエーテルとシクロヘキサノンの混合溶液を添加した後、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過することにより、パターン形成用樹脂組成物を調製した。
実施例1〜22及び比較例1のパターン形成用樹脂組成物から硬化膜(絶縁膜)を形成し、以下に説明する手法により評価した。実施例1〜22及び比較例1の評価結果を表3に示す。
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上にパターン形成用樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜にキヤノン社の「MPA−600FA」露光機を用い、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって所定量の紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な最小露光量を測定した。この測定値が1500J/m2未満の場合に感度は優良「A」であり、1500J/m2以上の場合に良「B」、パターンが得られない場合は「C」として評価した。
得られたパターン形成用樹脂組成物を40℃のオーブン中で1週間放置し、加温前後の粘度を測定し、粘度変化率(%)を求めた。このとき、粘度変化率を保存安定性とし、以下の基準で保存安定性を評価した。A:粘度変化率5%未満、B:粘度変化率5%以上10%未満、C:粘度変化率10%以上15%未満、D:粘度変化率15%以上。B以上を保存安定性が良好と判断した。粘度は、E型粘度計(東機産業社の「VISCONIC ELD.R」)を用いて25℃で測定した。
シリコン基板上にスピンナーを用いて、実施例及び比較例として調製したパターン形成用樹脂組成物のいずれかを塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に水銀ランプによって積算照射量が3,000J/m2となるように紫外線を照射した。次いで、このシリコン基板をホットプレート上で230℃、60分間加熱した。得られた硬化膜の5%熱重量減少温度をエスアイアイ・ナノテクノロジー社の「TG/DTA220U」を用いて空気下で測定した。5%重量減少温度が300℃以上の場合に耐熱性は優良であると判断した。
シリコン基板上にスピンナーを用いて、実施例及び比較例として調製したパターン形成用樹脂組成物のいずれかを塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に水銀ランプによって積算照射量が3,000J/m2となるように紫外線を照射した。次いで、このシリコン基板をホットプレート上で230℃、30分間加熱した。得られた硬化膜について、JIS−K−5400−1990の8.4.1鉛筆引っかき試験により、硬化膜の鉛筆硬度を測定し、これを表面硬度とした。この値が3H以上である場合、硬化膜としての表面硬度は良好であり、その硬化膜を形成するために用いたパターン形成用樹脂組成物は十分な硬化性を有すると判断した。
表面硬度の評価で形成された硬化膜を有する基板について、表面状態を光学顕微鏡で観察し、クラックがない場合は「A」、クラックがある場合を「B」として評価した。
シリコン基板上に塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上で加熱し、その後さらにクリーンオーブンにて230℃にて30分間ポストベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この硬化膜について、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)を用いて常温から200℃に昇温した際の、硬化膜から発生するガス成分を質量分析計で検出した。この時、水由来のガスピーク(M/z=18)の検出値を測定することで、硬化膜の吸水性を評価した。ピーク強度が7.0×10−9以下の場合、硬化膜の吸水性は低いと判断した。吸水性が低いと判断した場合を「A」、吸水性が高いと判断した場合を「B」とした。
表面硬度の評価で形成された硬化膜を有する基板について、屈折率をMetricon社の「プリズムカプラ モデル2010」にて測定した。屈折率は、408nm、633nm、828nmの3波長にて測定した。屈折率は、633nmにおける測定値が、1.650以上である場合を「A」、1.600以上1.650未満の場合を「B」、1.600未満の場合を「C」として評価した。
ガラス基板上にスピンナーを用いて、実施例及び比較例として調製したパターン形成用樹脂組成物のいずれかを塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に水銀ランプによって積算照射量が3,000J/m2となるように紫外線を照射した。次いで、このガラス基板をホットプレート上で230℃、30分間加熱した。得られた硬化膜の透過率を日本分光社の「V−630」紫外可視分光光度計により測定した。400nmの透過率が94%以上の場合に透明性が優良であると判断した。
ガラス基板上にSiNx膜(平均膜厚200nm)/硬化膜(平均膜厚3μm)/ITO膜(Indium Tin Oxide:平均膜厚50um)となるように積層した。硬化膜は、実施例及び比較例として調製したパターン形成用樹脂組成物のいずれかを用い、上記透過率の評価と同様の手順で作成した。裏面(ガラス基板側)からの透過率を紫外可視分光光度計(日本分光社製の「V−630」)により測定した。400nm光の透過率が75%以上の場合に積層状態での透明性が優良であると判断した。
Claims (8)
- Ar2が、下記式(3)〜(13)のいずれかで表される基又はこれらの組み合わせである請求項1に記載のパターン形成用樹脂組成物。
W1〜W11は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−SO−、−SO2−、−NR81−、−CR82R83−、−CONR84−、又は−NR85CONR86−である。R81〜R86は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、このアルキル基が有する1又は複数の水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基又はスルホ基で置換されていてもよい。R82とR83とは、互いに合わせられ、これらが結合する炭素原子と共に環構造を形成していてもよい。
X7及びX8は、それぞれ独立して、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらの基を組み合わせてなる基であり、このアルキレン基、アリーレン基、及びこれらの基を組み合わせてなる基が有する1又は複数の水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基又はスルホ基で置換されていてもよい。
但し、式(3)〜(13)で表されるそれぞれの基は、水酸基、カルボキシ基及びスルホ基の少なくともいずれかを有する。) - 上記感放射線性化合物が、酸発生剤、重合開始剤又はこれらの組み合わせである請求項1又は請求項2に記載のパターン形成用樹脂組成物。
- 重合性化合物をさらに含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパターン形成用樹脂組成物。
- 上記重合体の酸価が、80mgKOH/g以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のパターン形成用樹脂組成物。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のパターン形成用樹脂組成物から形成されるパターンを有する絶縁膜。
- 基板上に塗膜を形成する工程、
この塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
上記放射線が照射された塗膜を現像する工程、及び
上記現像された塗膜を加熱する工程
を備えるパターンを有する絶縁膜の形成方法であって、
上記塗膜の形成に請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のパターン形成用樹脂組成物を用いる絶縁膜の形成方法。 - 請求項6に記載の絶縁膜を備える表示素子。
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