JP6380131B2 - 絶縁基板の反り量の調整方法 - Google Patents

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Description

本発明は絶縁基板の反り量を調節する方法に関する。
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュール等に代表される半導体装置が、大出力のモータや発電機といった電子機器の制御や電力変換用途に広く用いられている。これらの半導体装置は、半導体チップ、絶縁基板、ヒートシンクをはんだ等で接合してモジュール化したものであり、半導体チップ動作時の発熱を、絶縁基板を介してヒートシンク側に伝導し、放熱する。絶縁基板としては、セラミックス基板からなるセラミックス基板の両面に金属板を形成したものが使用される。前記金属板のうち一方は、半導体チップと接合されて電子回路を構成する回路板であり、もう一方はヒートシンクと接合される放熱板である。
絶縁基板は、半導体装置の組立て時、はんだ等による接合工程で加熱される。このとき、回路板側のみに電子回路が形成されていると、回路板と放熱板とで形状が異なるため、両者の熱変形量に違いが生じ、絶縁基板に反りが生じる。あるいは、回路板と放熱板とで厚さが違う場合等も、両者の熱変形量の違いによって生じる。はんだ接合工程で絶縁基板の反りが大きいと、接合材の厚さが不均一になったり、外気を巻き込んでボイドが発生したりすることにより、接合寿命の低下や放熱性能の低下を引き起こす可能性がある。以上のことから、温度変化時の反りの小さい絶縁基板が求められている。
特許文献1(特開2008-235852号)は、セラミックス基板の一方の面に金属回路板が形成され、他方の面に金属放熱板が形成された、前記金属放熱板の厚みT1が前記金属回路板の厚みT2よりも大きく、かつ前記金属放熱板に(T1-T2)/2≦t≦T1を満足するような最大深さtのスリットが厚さ方向に形成されている回路基板を開示しており、金属回路板よりも金属放熱板の体積が大きい場合においても、金属放熱板のスリットの深さ及び本数を最適化することで、はんだ接合時の反りが制御できると記載している。
しかしながら、絶縁基板(回路基板)は目的に応じて様々な形状の回路が形成され、その形状に応じて基板の反り量が変わってくるため、金属放熱板に形成するスリットの本数、幅及び深さは、特許文献1に記載されたように、回路基板の熱伝導性と反り量とのバランスを見ながら決める必要があり、回路板が変わるたびに試行錯誤で金属放熱板を設計し直す必要があった。従って、セラミックス基板に発生する反り量を定量的に評価する方法の開発が望まれている。
特許文献2(特開2007-173405号)は、セラミックス基板の表裏両面に表金属板と裏金属板とを接合し、前記裏金属板にヒートシンクを接合した半導体モジュールであって、前記裏金属板には、その厚み方向に凹ませた凹部からなる非接合領域を設け、前記接合領域の面積を前記接合面の全体の面積に対して65%〜85%の範囲とした半導体モジュールを開示しており、前記非接合領域を設けることにより熱膨張及び熱収縮による熱応力を緩和できると記載している。
しかしながら、裏金属板側に設けた凹部の位置が、表金属板側に接合した半導体チップに対して近すぎると、半導体チップからセラミックス基板を介してヒートシンクへの放熱経路が凹部で阻害され、冷却性能が低下する可能性がある。従って、裏金属板側に凹部を設けることなく、熱応力を緩和できる方法の開発が望まれている。
特許文献3(特開2003-100966号)は、セラミックス基板の上面に金属回路板を、下面に金属回路板と対向するダミー金属回路板を取着して成り、ダミー金属回路板が伝熱性組成物を介して放熱部材に実装されるセラミック回路基板であって、金属回路板の回路間に対応するダミー金属回路板の隙間に、ヤング率が20 GPa以下の絶縁性樹脂が充填されているセラミック回路基板を開示しており、前記絶縁性樹脂がダミー金属回路板の隙間を表面が面一となるように充填されることで、ダミー金属回路板の回路間に対応する隙間に気泡が侵入するのを防止し、セラミック回路基板の変形を抑制して放熱性を改善できると記載している。
しかしながら、特許文献3に記載のセラミック回路基板は、ダミー金属回路板を金属回路板と上下で対称的な位置(対向する位置)に配置し、その隙間に絶縁性樹脂を充填することにより、セラミックス基板、金属回路板及びダミー金属回路板間の熱膨張係数の相違に起因する反りの発生を抑制しているため、ダミー金属回路板が複数の部分に分割され、熱伝導効率はどうしても低下してしまう。従って、ダミー金属回路板を用いた場合でも反りが改良され、さらには前記のような伝熱性組成物を使用しない場合でも、セラミックス基板・金属回路板及びダミー金属回路板と絶縁性樹脂との接合界面にクラック及び剥離が生じることのないセラミック回路基板の開発が望まれている。
特許文献4(特開2003-017627号)は、セラミックス基板の表面側に金属回路板を接合する一方、裏面側に裏金属板を接合し、前記裏金属板に、前記金属回路板の厚さの10〜90%の深さを有する熱応力緩和部を設けるとともに、前記金属回路板の体積に対する裏金属板の体積の比が0.6以下であることを特徴とするセラミックス回路基板を開示しており、金属回路板等の接合部の半田層やセラミックス基板に熱応力や反りによるクラックが発生することを効果的に防止でき、長期間に亘って優れた耐久性と高い信頼性が得られると記載している。
しかしながら、セラミックス基板の表面側に形成される金属回路板は目的に応じて様々な形状を有しており、その形状に応じて基板の反り量が変わってくるため、裏金属板に形成する熱応力緩和部(段差)及び金属回路板の体積に対する裏金属板の体積の比をどのような範囲にするかは、金属回路板の構成に応じて変わってくるため、その都度試行錯誤で決定する必要があった。従って、セラミックス基板に発生する反り量を定量的に評価する方法の開発が望まれている。
特開2008-235852号公報 特開2007-173405号公報 特開2003-100966号公報 特開2003-017627号公報
従って、本発明の目的は、半導体チップから絶縁基板の放熱板側への放熱経路を阻害せずに、温度変化時の反りの小さい絶縁基板を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、セラミックス基板の両面にそれぞれ回路板及び放熱板を設けてなる絶縁基板において、前記回路板によって発生する反りを、前記反りの方向と直交する方向の長さを短くした放熱板により打ち消すことができること、及び前記回路板によって発生する反り能力を定量的に評価する方法を見出し、本発明に想到した。
すなわち、絶縁基板の反り量を調整する本発明の方法は、
辺X及び辺Yからなる矩形のセラミックス基板と、
前記セラミックス基板の一方の面に接合された第一の金属板に、前記第一の金属板を任意の形状及び任意の数に分割するスリットを設けてなる回路板と、
前記セラミックス基板の他方の面に形成された放熱板とからなる絶縁基板の反り量を調整する方法であって、
前記セラミックス基板の一方の面に形成された回路板によって生じる絶縁基板のX方向(前記セラミックス基板の辺Xに平行する方向)の反り能力WX1(前記放熱板側に凸)を求める工程、及び
前記放熱板のY方向(前記セラミックス基板の辺Yに平行する方向)の長さを、前記第一の金属板のY方向長さよりも短く形成することによって、前記絶縁基板のX方向の反り能力WX2(前記回路板側に凸)を付与する工程を有することを特徴とする。
前記方法は、さらに前記セラミックス基板の一方の面に形成された回路板によって生じる絶縁基板のY方向の反り能力WY1(前記放熱板側に凸)を求める工程、及び
前記放熱板のX方向の長さを、前記第一の金属板のX方向長さよりも短く形成することによって、前記絶縁基板のY方向の反り能力WY2(前記回路板側に凸)を付与する工程を有するのが好ましい。
本発明の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
前記反り能力WX2が前記反り能力WX1を打ち消すように、前記放熱板のY方向の長さを調節し、
前記反り能力WY2が前記反り能力WY1を打ち消すように、前記放熱板のX方向の長さを調節するのが好ましい。
前記回路板によって生じる反り能力WX1及びWY1は、前記第一の金属板と同じ形状の第二の金属板を前記セラミックス基板の他方の面に、前記セラミックス基板に対して対称な位置に形成した時のX方向の反り量及びY方向の反り量に相当する。
前記放熱板によって付与する反り能力WX2及びWY2は、前記セラミックス基板の一方の面にスリットを有さない前記第一の金属板を形成したときのX方向及びY方向の反り量に相当する。
本発明の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
前記反り能力WX1及びWX2の差が0.1 mm以下になるように前記放熱板のY方向の長さを調節し、
前記反り能力WY1及びWY2の差が0.1 mm以下になるように前記放熱板のX方向の長さを調節するのが好ましい。
前記反り能力WX1及びWY1を求める工程が、
(a)前記回路板を構成するスリットを、n本の線分からなる部分スリットS(i)[iは1からnの整数]に分割する工程、
(b)前記各部分スリットS(i)によって生じるX方向の反り能力Wx(S(i))及びY方向の反り能力Wy(S(i))(共に前記放熱板側に凸)を求める工程、及び
(c)反り能力Wx(S(i))及びWy(S(i))を全ての部分スリットS(i)について合計し、それぞれWX1及びWY1を求める工程からなるのが好ましい。
本発明の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
(a)前記セラミックス基板の厚さをtc、
(b)前記第一の金属板の厚さをtm1、
(c)前記第二の金属板の厚さをtm2、
(d)前記第二の金属板のX方向及びY方向の長さをそれぞれx及びy、及び
(e)前記放熱板のX方向及びY方向の長さをそれぞれ(x-a)及び(y-b)、
としたとき、
前記反り能力WX2[mm]及びWY2[mm]が、
WX2=-0.0557+0.0211*Bx+0.000652*Cx-0.0143*Dx+1.171*Ex-0.0569*Hx(ただし、Bx=tm2/tc、Cx=x/tc、Dx=y/x、Ex=b/y、Hx=Ex/2)で表され、
WY2=-0.0557+0.0211*By+0.000652*Cy-0.0143*Dy+1.171*Ey-0.0569*Hy(ただし、By=tm2/tc、Cy=y/tc、Dy=x/y、Ey=a/x、Hy=Ey/2)で表すことができる。
前記第一の金属板の厚さをtm1及び前記第二の金属板の厚さtm2のうち厚い方の厚さtmと、前記セラミックス基板の厚さtcとの比tm/tcが1.875以上であるのが好ましい。
前記セラミックス基板が窒化珪素セラミックスからなり、前記第一の金属板及び前記放熱板が銅からなるのが好ましい。
本発明によれば、半導体チップから絶縁基板放熱板側への放熱経路を阻害せずに、温度変化時の反りの小さい絶縁基板を提供することができる。
セラミックス基板の一方の面に回路板、他方の面にX方向の反りを打ち消すための放熱板を設けてなる絶縁基板の一例を模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、(c)側面図、及び(d)下面図である。 セラミックス基板の一方の面に接合された第一の金属板を示す模式図である。 図1に示す絶縁基板において、放熱板を第二の金属板に置き換えてなる絶縁基板を模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、及び(c)側面図である。 図3に示す絶縁基板において、反りが発生したときの(a)A-A断面図、及び(b)B-B断面図である。 図1に示す絶縁基板において、回路板を第一の金属板に置き換えてなる絶縁基板を模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、及び(c)側面図である。 図5に示す絶縁基板において、反りが発生したときのC-C断面図である。 セラミックス基板の一方の面に回路板、他方の面にY方向の反りを打ち消すための放熱板を設けてなる絶縁基板の一例を模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、(c)側面図、及び(d)下面図である。 図7に示す絶縁基板において、回路板を第一の金属板に置き換えてなる絶縁基板を模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、及び(c)側面図である。 図8に示す絶縁基板において、反りが発生したときのD-D断面図である。 セラミックス基板の一方の面に回路板、他方の面にX方向及びY方向の反りを打ち消すための放熱板を設けてなる絶縁基板の一例を模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、(c)側面図、及び(d)下面図である。 セラミックス基板の一方の面にスリットを有する回路板、他方の面に回路板と同じ平面寸法を有する放熱板を設けてなる絶縁基板を模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、及び(c)側面図である。 図11に示す絶縁基板において、回路板のスリットの長さを変更した絶縁基板を模式的に示す上面図である。 (a)T字形のスリットが設けられた回路板を示す模式図、(b)T字形のスリットのうち辺Lに平行な部分のみを抜き出して示す模式図、及び(c)T字形のスリットのうち辺bに平行な部分のみを抜き出して示す模式図である。 (a)スリットが斜めに設けられた回路板を示す模式図、(b)斜めのスリットの辺Lに平行な成分のみを抜き出して示す模式図、及び(c)斜めのスリットのうち辺bに平行な成分のみを抜き出して示す模式図である。 複雑な形状のスリットが設けられた回路板を示す模式図ある。 セラミックス基板の一方の面に回路板、他方の面に反りを打ち消すための放熱板を設けてなる絶縁基板の他の一例を模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、(c)側面図、及び(d)下面図である。 図16の正面図の端部を拡大して示す模式図である。 第1実施形態に係る絶縁基板に半導体チップをはんだによって接合した実施例1の解析モデルを模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、(c)側面図、及び(d)下面図である。 第1実施形態に係る絶縁基板に半導体チップをはんだによって接合した比較例1の解析モデルを模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、(c)側面図、及び(d)下面図である。 温度上昇によって実施例1及び比較例1の解析モデルが変形した様子を示す模式図である。 実施例1及び比較例1の放熱板の反り量を、絶縁基板の中心を通るEライン及びFラインに沿ってプロットしたグラフである。 セラミックス基板と回路板と放熱板とからなる絶縁基板を単純化した解析モデルを模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、及び(c)側面図である。 図22に示す絶縁基板の放熱板の反り量を示すグラフである。 金属板の厚さ/セラミックス基板の厚さ比と反り量との関係を示すグラフである。 スリットと平行な方向に反りが発生する機構について説明する模式図である。 L18直交表を用いた感度解析に用いた解析モデルを模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、及び(c)側面図である。 感度解析に用いた制御因子及び水準を示す表である。 感度解析において定義するスリットと直交方向の反り量を示す模式図である。 感度解析によって得られたスリットと直交方向の反り量を制御因子ごとに示すグラフである。 感度解析において定義するスリットと平行方向の反り量を示す模式図である。 感度解析によって得られたスリットと平行方向の反り量を制御因子ごとに示すグラフである。 感度解析によって得られた結果をまとめてしめす表である。 第2実施形態に係る絶縁基板に半導体チップをはんだによって接合した解析モデルを模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、及び(c)下面図である。 第2実施形態の変更例を示す模式図である。 第3実施形態に係る絶縁基板に半導体チップをはんだによって接合した解析モデルを模式的に示す(a)上面図、(b)正面図、及び(c)下面図である。
[1] 絶縁基板の反り量の調整方法
本発明の方法が適用できる絶縁基板は、辺X及び辺Yからなる矩形のセラミックス基板と、前記セラミックス基板の一方の面に形成された回路板と、前記セラミックス基板の他方の面に形成された放熱板とからなる。前記回路板は、前記セラミックス基板の一方の面に接合された第一の金属板に、前記第一の金属板を任意の形状及び任意の数に分割するスリットを設けたものであり、絶縁基板の使用目的に応じて様々なパターンを有する。前記放熱板は、半導体チップ動作時の発熱を効率よくヒートシンク側に伝導するため、分割されていない1枚の金属板をセラミックス基板に接合してなる。
(1)X方向の反り量調整
絶縁基板のX方向の反り量の調整は、前記セラミックス基板の一方の面に形成された回路板によって生じる絶縁基板のX方向(前記セラミックス基板の辺Xに平行する方向)の反り能力WX1(前記放熱板側に凸)を求める工程、及び前記放熱板のY方向(前記セラミックス基板の辺Yに平行する方向)の長さを、前記第一の金属板のY方向長さよりも短く形成することによって、前記絶縁基板のX方向の反り能力WX2(前記回路板側に凸)を付与する工程を有する。ここで、反り能力WX2は、放熱板のY方向長さを短くすることによって発生するものであり、この反り能力WX2を回路板によって生じる絶縁基板のX方向の反り能力WX1と同程度に調節することにより、回路板によって生じる放熱板側に凸の反り能力と、放熱板によって生じる回路板側に凸の反り能力とが互いに打ち消し合い、絶縁基板に発生する反りを少なくすることができる。
放熱板によって生じる絶縁基板のX方向の反り能力WX2は、放熱板のY方向の長さを変化させることによって調節する。例えば、図1に示すように、セラミックス基板11の一方の面にスリット14を有する回路板12、他方の面に放熱板13を設けてなる絶縁基板10において、回路板12によって生じるX方向の反り能力を打ち消すためには、放熱板13のY方向の長さを、回路板12のY方向の長さよりも、一方の辺側にb1短く、他方の辺側にb2短くなるように形成する。ここで、回路板12は、図2に示すように、セラミックス基板11の一方の面に接合された、前記セラミックス基板11よりも小さい平面寸法を有する第一の金属板15(図2を参照)にスリット14を設けてなる。
このとき、回路板12によって生じるX方向の反り能力WX1(放熱板13側に凸)が、放熱板13によって生じるX方向の反り能力WX2(回路板12側に凸)とほぼ同じ大きさになるように(b1+b2)を決定する。ここで、回路板12によって生じるX方向の反り能力WX1とは、回路板12によって放熱板13側に凸に反ろうとする応力の大きさに対応するものであり、図3に示すように、セラミックス基板11の一方の面に回路板12を設け、セラミックス基板11の他方の面に、第一の金属板15と同じ形状の第二の金属板16を、前記セラミックス基板11に対して対称な位置に形成してなる絶縁基板10'のX方向の反り量に相当する。
同様に、放熱板13によって生じるX方向の反り能力WX2とは、放熱板13によって回路板12側に凸に反ろうとする応力の大きさに対応するものであり、図5に示すように、セラミックス基板11の一方の面に第一の金属板15(スリット14を設ける前の金属板)を設け、セラミックス基板11の他方の面に放熱板13を設けてなる絶縁基板10"のX方向の反り量(第一の金属板15側に凸)に相当する(図6を参照)。
なお、本発明において、絶縁基板の反り量は、絶縁基板を室温25℃から250℃(接合温度に相当)まで上昇させた後、室温まで冷却したときの反りを測定した時の値であり、例えば図28に示すように、反りが生じた絶縁基板において、長さLの辺の中点1と中点2とを結んだ線分から絶縁基板までの距離のうち最も長い距離hで定義する。この絶縁基板の反り量(室温)は、0.1 mm以下であるのが好ましい。絶縁基板の反り量が室温で0.1 mm以下であれば、絶縁基板を280℃に加熱したときの反り量は0.5 mm以下となり、チップ実装(はんだつけ)時にチップズレが起こりにくい。
回路板12によって生じるX方向の反り能力WX1及び放熱板13によって生じるX方向の反り能力WX2は、それぞれ実験的に求めることも可能ではあるが、以下に示すように、経験式から求めることができる。
回路板12によって生じるX方向の反り能力WX1を、図1に示す絶縁基板10の場合について説明する。絶縁基板10の一方の面に設けられた回路板12は、第一の金属板15にY方向の幅dのスリット14を設けたものであり、このようなスリット14を有することにより、絶縁基板10は放熱板13側に凸に反ろうとする能力WX1を有する。すなわち、図3に示すように、セラミックス基板11の他方の面に第二の金属板16を設けた場合に、セラミックス基板11の一方の面に形成した回路板12に起因するX方向の応力と、セラミックス基板11の他方の面に形成した第二の金属板16に起因するX方向の応力とが異なるため、その結果図4(a)に示すように、セラミックス基板11の放熱板側に凸の反りが発生する。
このとき、回路板12によって生じるX方向の反り能力WX1[mm]は、セラミックス基板11の厚さをtc、第一の金属板15の厚さをtm1、第一の金属板15のX方向及びY方向の長さをそれぞれx及びy、スリット14の幅をd、及びスリット14の中心軸と第一の金属板15のX方向端部との距離をq(ただし、0<q≦x/2)としたとき、式:
WX1=-0.157-0.00594*B1+0.00123*C1+0.121*D1+0.0382*E1+0.167*H1
(ただし、B1=tm1/tc、C1=y/tc、D1=x/y、E1=d/x及びH1=q/x)で表される。
次に、放熱板13によって生じるX方向の反り能力WX2を、図1に示す絶縁基板10の場合について説明する。反り能力WX2は、前述したように、セラミックス基板11の一方の面に第一の金属板15(スリット14を設ける前の金属板)を設けたときに、放熱板13に起因して回路板12側に凸に反ろうとする能力であり、放熱板13のY方向の長さを第一の金属板のY方向長さよりも短く形成することによって発生する。
このとき、放熱板13によって生じるX方向の反り能力WX2[mm]は、セラミックス基板11の厚さをtc、第二の金属板16(放熱板13)の厚さをtm2、第二の金属板16のX方向及びY方向の長さをそれぞれx及びy、並びに放熱板13のX方向及びY方向の長さをそれぞれx及び(y-b)[ただし、b=b1+b2]としたとき、式:
WX2=WX2(1)+WX2(2)
(ただし、WX2(1)[mm]=-0.0557+0.0211*Bx+0.000652*Cx-0.0143*Dx+1.171*Ex1-0.0569*Hx1、及びWX2(2)[mm]=-0.0557+0.0211*Bx+0.000652*Cx-0.0143*Dx+1.171*Ex2-0.0569*Hx2、Bx=tm2/tc、Cx=x/tc、Dx=y/x、Ex1=b1/y、Hx1=Ex1/2、Ex2=b2/y及びHx2=Ex2/2)で表される。すなわち、セラミックス基板11の厚さtc及び第二の金属板16(放熱板13)の厚さtm2が決まれば、WX2[mm]は、第二の金属板16のY方向長さと放熱板13のY方向長さとの差b(=b1+b2)の1次関数で表すことができる。
絶縁基板10を使用する際に、実質的に影響のない程度の反りを低減させるためには、回路板12によって生じるX方向の反り能力WX1[mm]と放熱板13によって生じるX方向の反り能力WX2[mm]との差、すなわち(WX1-WX2)の絶対値が0.1 mm以下になるように、第二の金属板16(回路板12)のY方向長さと放熱板13のY方向長さとの差bを決定するのが好ましく、WX1とWX2との差がゼロとなるように差bを決定するのがより好ましい。ここで、b1とb2との比は特に制限はないが、より均一に反りを改良するためにはb1=b2であるのが好ましい。(WX1-WX2)の絶対値を0.1 mm以下にすることにより、絶縁基板を280℃に加熱したときの反り量が0.5 mm以下となり、チップ実装(はんだつけ)時にチップズレが起こりにくくなる。
(2)Y方向の反り量調整
前述した絶縁基板のX方向の反り量の調整に加えて、さらに絶縁基板のY方向の反り量の調整を行うのが好ましい。絶縁基板のY方向の反り量の調整は、前記セラミックス基板の一方の面に形成された回路板によって生じる絶縁基板のY方向の反り能力WY1(前記放熱板側に凸)を求める工程、及び前記放熱板のX方向の長さを、前記第一の金属板のX方向長さよりも短く形成することによって、前記絶縁基板のY方向の反り能力WY2(前記回路板側に凸)を付与する工程を有する。ここで、反り能力WY2は、放熱板のX方向長さを短くすることによって発生するものであり、この反り能力WY2を回路板によって生じる絶縁基板のY方向の反り能力WY1と同程度に調節することにより、回路板によって生じる放熱板側に凸の反り能力と、放熱板によって生じる回路板側に凸の反り能力とが互いに打ち消し合い、絶縁基板に発生するX方向及びY方向の反りを少なくすることができる。
放熱板によって生じる絶縁基板のY方向の反り能力WY2は、放熱板のX方向の長さを変化させることによって調節することができる。例えば、図1に示す絶縁基板10において、回路板12によって生じるY方向の反り能力を打ち消すためには、放熱板13の代わりに、図7に示すように、回路板12(第一の金属板15)に対してX方向長さを、一方の辺側にa1短くし、他方の辺側にa2短くした放熱板23を形成する。ここで、絶縁基板20において、セラミックス基板11の一方の面に形成した回路板12は、図1に示す絶縁基板10におけるセラミックス基板11の一方の面に形成した回路板12と同じものである。
このとき、回路板12によって生じるY方向の反り能力WY1(放熱板23側に凸)が、放熱板23によって生じるY方向の反り能力WY2(回路板12側に凸)とほぼ同じ大きさになるように(a1+a2)を決定する。ここで、回路板12によって生じるY方向の反り能力WY1とは、回路板12によって放熱板23側に凸に反ろうとする応力の大きさに対応するものであり、図3に示すように、セラミックス基板11の一方の面に回路板12を設け、セラミックス基板11の他方の面に、第一の金属板15と同じ形状の第二の金属板16を、前記セラミックス基板11に対して対称な位置に形成してなる絶縁基板10'のY方向の反り量に相当する(図4(b)参照)。
同様に、放熱板23によって生じるY方向の反り能力WY2とは、放熱板23によって回路板12側に凸に反ろうとする応力の大きさに対応するものであり、図8に示すように、セラミックス基板11の一方の面に第一の金属板15(スリット14を設ける前の金属板)を設け、セラミックス基板11の他方の面に放熱板23(第二の金属板16のX方向長さのみを両端でa1及びa2ずつ短く形成した放熱板)を設けてなる絶縁基板20'のY方向の反り量に相当する。
回路板12によって生じるY方向の反り能力WY1及び放熱板23によって生じるY方向の反り能力WY2は、それぞれ実験的に求めることも可能ではあるが、以下に示すように、経験式から求めることができる。
回路板12によって生じるY方向の反り能力WY1を、図1に示す絶縁基板10の場合について説明する。絶縁基板10の一方の面に設けられた回路板12は、第一の金属板15にY方向の幅dのスリット14を設けたものであり、このようなスリット14を有することにより、絶縁基板10は放熱板13側に凸に反ろうとするX方向の反り能力WX1に加えて、Y方向の反り能力WY1を有する。すなわち、図3に示すように、セラミックス基板11の他方の面に第二の金属板16を設けた場合に、セラミックス基板11の一方の面に形成した回路板12に起因するY方向の応力と、セラミックス基板11の他方の面に形成した第二の金属板16に起因するY方向の応力とが異なるため、その結果図4(b)に示すように、セラミックス基板11の放熱板側に凸の反りが発生する。
このとき、回路板12によって生じるY方向の反り能力WY1[mm]は、セラミックス基板11の厚さをtc、第一の金属板15の厚さをtm1、第一の金属板15のX方向及びY方向の長さをそれぞれx及びy、スリット14の幅をd、及びスリット14の中心軸と第一の金属板15のX方向端部との距離をq(ただし、0<q≦x/2)としたとき、式:
WY1=-0.157-0.00594*B1+0.00123*C1+0.121*D1+0.0382*E1+0.167*H1
(ただし、B1=tm1/tc、C1=x/tc、D1=y/x、E1=d/y及びH1=q/y)で表される。
次に、放熱板23によって生じるY方向の反り能力WY2を、図7に示す絶縁基板20の場合について説明する。反り能力WY2は、前述したように、セラミックス基板11の一方の面に第一の金属板15(スリット14を設ける前の金属板)を設けたときに、放熱板23に起因して回路板12側に凸に反ろうとする能力であり(図9を参照)、放熱板23のX方向の長さを第一の金属板のX方向長さよりも短く形成することによって発生する。
このとき、放熱板23によって生じるY方向の反り能力WY2[mm]は、セラミックス基板11の厚さをtc、第二の金属板16(放熱板23)の厚さをtm2、第二の金属板16のX方向及びY方向の長さをそれぞれx及びy、並びに放熱板23のX方向及びY方向の長さをそれぞれ(x-a)及びy[ただし、a=a1+a2]としたとき、式:
WY2=WY2(1)+WY2(2)
(ただし、WY2(1)[mm]=-0.0557+0.0211*By+0.000652*Cy-0.0143*Dy+1.171*Ey1-0.0569*Hy1、及びWY2(2)[mm]=-0.0557+0.0211*By+0.000652*Cy-0.0143*Dy+1.171*Ey2-0.0569*Hy2、並びにBy=tm2/tc、Cy=y/tc、Dy=x/y、Ey1=a1/x、Hy1=Ey1/2、Ey2=a2/x及びHy2=Ey2/2)で表される。すなわち、セラミックス基板11の厚さtc及び第二の金属板16(放熱板23)の厚さtm2が決まれば、WY2[mm]は、第二の金属板16のX方向長さと放熱板23のX方向長さとの差a(=a1+a2)の1次関数で表すことができる。
絶縁基板10を使用する際に、実質的に影響のない程度の反りを低減させるためには、回路板12によって生じるY方向の反り能力WY1[mm]と放熱板23によって生じるY方向の反り能力WY2[mm]との差、すなわち(WY1-WY2)の絶対値が0.1 mm以下になるように、第二の金属板16(回路板12)のX方向長さと放熱板23のX方向長さとの差a(=a1+a2)を決定するのが好ましく、WY1とWY2との差がゼロとなるように差a(=a1+a2)を決定するのがより好ましい。ここで、a1とa2と比は特に制限はないが、より均一に反りを改良するためにはa1=a2であるのが好ましい。(WY1-WY2)の絶対値を0.1 mm以下にすることにより、絶縁基板を280℃に加熱したときの反り量が0.5 mm以下となり、チップ実装(はんだつけ)時にチップズレが起こりにくくなる。
(3)絶縁基板の反り量調整
回路板12によって生じるX方向の反り量を放熱板のY方向長さをb(=b1+b2)短く形成して調整し、Y方向の反り量を放熱板のX方向長さをa(=a1+a2)短く形成して調整する方法を説明したが、これらの回路板12によって生じるX方向及びY方向の両方の反り量を調整するには、放熱板のY方向長さを第一の金属板15(回路板12)のY方向長さに対してb(=b1+b2)短く形成し、放熱板のX方向長さを第一の金属板15(回路板12)のX方向長さに対してa(=a1+a2)短く形成することによって行う。すなわち、図10に示す絶縁基板30のように、X方向長さが{x-(a1+a2)}及びY方向長さが{y-(b1+b2)}の放熱板33を設けることによって調整する。
以上が本発明の基本的な考え方であり、回路板によって生じるX方向及び/又はY方向の反り能力を見積もる工程と、前記反り能力の方向に直交する方向の辺の長さを短くした放熱板を設けることにより、前記回路板によって生じる反り能力を打ち消す方向の反り能力を付与する工程とを有する。これらの基本構成に対して、回路板のパターン(スリット構成)がより複雑なものに変わった場合でも、回路板を構成するスリットを複数の部分スリットに分割し、それぞれの部分スリットについてX方向及びY方向の反り能力を見積もることにより、回路板によって生じるX方向及びY方向のトータルの反り能力を求めることが可能である。前記トータルの反り能力が求まれば、前述の方法と同様にして放熱板の形状を求めることができる。
すなわち、複雑な回路板のパターンによる反り能力WX1及びWY1を求める工程は、
(a)前記回路板を構成するスリットを、n本の線分からなる部分スリットS(i)[iは1からnの整数]に分割する工程、
(b)前記各部分スリットS(i)によって生じるX方向の反り能力Wx(S(i))及びY方向の反り能力Wy(S(i))(共に前記放熱板側に凸)を求める工程、及び
(c)反り能力Wx(S(i))及びWy(S(i))を全ての部分スリットS(i)について合計し、それぞれWX1及びWY1を求める工程からなるのが好ましい。
[2] 回路板によって生じる反り能力の算出
一般に回路板は、目的に応じて様々な複数のスリットによって形成された複雑なパターンを有するため、それらのスリットによって発生する反り能力を求めるためには、前述したように、回路板を構成するスリットを複数の部分スリットに分割し、それぞれの部分スリットについてX方向及びY方向の反り能力を見積もり、それらを積算することにより、回路板によって生じるX方向及びY方向のトータルの反り能力を求めることが可能である。
(1)1本のスリットによって発生する反り能力
前述したように、図1に示すような1本のスリットからなる回路板の場合は、前記1本のスリットによって発生する反り能力のみを考慮すれば求めることが可能である。スリットが1本の場合をさらに一般化して、図11に示すようなスリットが形成された回路板112と放熱板113がセラミックス基板111の両面に形成された絶縁基板100の場合を考える。絶縁基板100は、一辺の長さがL及びbの第一の金属板(厚さtm1)に幅d及び長さ(L-p1-p2)のスリット114が形成された回路板112がセラミックス基板111(厚さtc)の一方の面に形成され、前記第一の金属と同じ大きさの第二の金属板(厚さtm2)からなる放熱板113がセラミックス基板111の他方の面に形成されている。前記スリット114は、前記第一の金属板の辺Lに平行に形成され、辺bからの距離がp1(ただし、0≦p1≦L/6)であり、辺b'からの距離がp2(ただし、0≦p2≦L/2)であり、スリット114の長軸と辺Lとの距離がq(ただし、d/2≦q≦b/2)である。
このとき、絶縁基板100の回路板112(スリット114)によって発生する辺L方向及び辺b方向の反り能力(それぞれWL[mm]及びWb[mm])は、
WL=-0.0557+0.0211*B+0.000652*C-0.0143*D+1.171*E-0.0174*F-0.0517*G-0.0569*H、及び
Wb=-0.157-0.00594*B+0.00123*C+0.121*D+0.0382*E-0.0477*F-0.102*G+0.167*H
(ただし、B=tm1/tc、C=L/tc、D=b/L、E=d/b、F=p1/L、G=p2/L及びH=q/b)
で表される。
例えば、前記絶縁基板100において、図12に示すように、前記スリット114の長軸方向長さがL、すなわちp1=p2=0の回路板112'を有する以外、図11に示す絶縁基板100と同様にして形成された絶縁基板100'の場合を考えると、前記反り能力WL[mm]及びWb[mm]は、
WL=-0.0557+0.0211*B+0.000652*C-0.0143*D+1.171*E-0.0569*H、及び
Wb=-0.157-0.00594*B+0.00123*C+0.121*D+0.0382*E+0.167*H
(ただし、B=tm1/tc、C=L/tc、D=b/L、E=d/b及びH=q/b)
で表される。この回路板の構成は、図1に示す絶縁基板10の場合とスリットの方向が異なるだけで同じ構成である。
(2)2本のスリットによって発生する反り能力
次に、図13(a)に示すように、T字形のスリット214が設けられた回路板212を有する以外、図11に示す絶縁基板100と同様にして形成された絶縁基板200の場合を考える。このような場合、スリット214を、辺Lに平行で長さLのスリット214a(図13(b)を参照)と、辺bに平行で長さ(b-p2)のスリット214b(図13(c)を参照)とに分割して、それぞれのスリットに起因する辺L方向及び辺b方向の反り能力を求める。
スリット214aによって生じる反り能力WL1[mm]及びWb1[mm]は、前述の絶縁基板100'の場合と同様に、
WL1=-0.0557+0.0211*B+0.000652*C-0.0143*D+1.171*E-0.0569*H、及び
Wb1=-0.157-0.00594*B+0.00123*C+0.121*D+0.0382*E+0.167*H
(ただし、B=tm1/tc、C=L/tc、D=b/L、E=d1/b及びH=q1/b)
で表される。
次に、スリット214bによって生じる反り能力WL2[mm]及びWb2[mm]は、絶縁基板200bを反時計回りに90°回転させて考えると、
WL2=-0.157-0.00594*B+0.00123*C+0.121*D+0.0382*E-0.102*G+0.167*H、及び
Wb2=-0.0557+0.0211*B+0.000652*C-0.0143*D+1.171*E-0.0517*G-0.0569*H
(ただし、B=tm1/tc、C=b/tc、D=L/b、E=d2/L、G=p2/b及びH=q2/L)
で表される。
従って、スリット214によって生じる反り能力WL[mm]及びWb[mm]は、
WL=WL1+WL2、及び
Wb=Wb1+Wb2
となる。
(3)斜めに形成されたスリットによって発生する反り能力
図14に示すように、辺Lにも辺bにも平行でない、斜めに形成されたスリット314が設けられた回路板312を有する以外、図11に示す絶縁基板100と同様にして形成された絶縁基板300の場合を考える。このような場合、斜めに形成されたスリット314を、辺Lに平行で長さ(L-p11-p21)のスリット成分314a(図14(b)を参照)と、辺bに平行で長さ(b-p12-p22)のスリット成分314b(図14(c)を参照)とに置き換えて、それぞれのスリット成分に起因する辺L方向及び辺b方向の反り能力を求める。ここで、スリット成分314aの長さはスリット314を辺Lに投影した長さであり、幅はスリット314の幅dと同じであり、スリット314と重心が重なるような位置に設ける。同様にスリット成分314bの長さはスリット314を辺bに投影した長さであり、幅はスリット314の幅dと同じであり、スリット314と重心が重なるような位置に設ける。
このときのスリット成分314aによって生じる反り能力WL1[mm]及びWb1[mm]は、前述の絶縁基板100の場合と同様に、
WL=-0.0557+0.0211*B+0.000652*C-0.0143*D+1.171*E-0.0174*F-0.0517*G-0.0569*H、及び
Wb=-0.157-0.00594*B+0.00123*C+0.121*D+0.0382*E-0.0477*F-0.102*G+0.167*H
(ただし、B=tm1/tc、C=L/tc、D=b/L、E=d/b、F=p11/L、G=p21/L及びH=q1/b)
で表される。
次に、スリット成分314bによって生じる反り能力WL2[mm]及びWb2[mm]は、絶縁基板300bを反時計回りに90°回転させて考えると、
WL2=-0.157-0.00594*B+0.00123*C+0.121*D+0.0382*E-0.0477*F-0.102*G+0.167*H、及び
Wb2=-0.0557+0.0211*B+0.000652*C-0.0143*D+1.171*E-0.0174*F-0.0517*G-0.0569*H
(ただし、B=tm1/tc、C=b/tc、D=L/b、E=d/L、F=p12/b、G=p22/b及びH=q2/L)
で表される。
従って、スリット314によって生じる反り能力WL[mm]及びWb[mm]は、
WL=WL1+WL2、及び
Wb=Wb1+Wb2
となる。
(4)複雑な回路パターンによって発生する反り能力
このように、様々なスリットからなる回路板によって生じる反り能力は、どのような複雑なパターンであっても、スリットのパターンから複数の部分スリットに分割し、さらに必要に応じて辺Lに平行な部分スリット成分及び辺bに平行な部分スリット成分に置き換え、それぞれの部分スリット(又は部分スリット成分)について辺L方向及び辺b方向の反り能力を求め、それらを合計することにより求めることができる。
例えば、図15に示すように、複雑な形状のスリット414を有する回路板412を有する絶縁基板400の場合、まず辺Lに平行な部分スリット414a、414d、辺bに平行な部分スリット414c、414e、及び斜め方向のスリット414bに分割し、斜め方向のスリット414bについては、さらに辺Lに平行な部分スリット成分414b(L)(図示せず)及び辺bに平行な部分スリット成分414b(b)(図示せず)に置き換えて、これらの部分スリット414a、414c、414d、414e及び部分スリット成分414b(L)、414b(b)について、辺L方向及び辺b方向の反り能力を求め、それらを合計することにより回路板412よって発生するトータルの反り能力を求めることができる。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施に好適な形態を説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
[第1実施形態]
<構成>
図16は第1実施形態に係る絶縁基板30を示す。図17は、図16の正面図のうち、絶縁基板短部近傍の拡大図である。絶縁基板30は、長辺1a及び短辺1bを有する矩形のセラミックス基板1と、前記セラミックス基板1の一方の面に前記セラミックス基板1よりも平面寸法が小さく形成された回路板2と、前記セラミックス基板1の他方の面に形成された放熱板3とを有し、前記回路板2には前記回路板2を2以上の部分に分割するように幅dのスリット4a、4bが形成されている。前記放熱板3は、短辺1bに平行する幅a1及び幅a2の帯状のギャップ5a及びギャップ5a'と、長辺1aに平行する幅b1及び幅b2の帯状のギャップ5b及びギャップ5b'とを有しており、前記回路板2の平面寸法よりも長辺1a方向(X方向)の長さが(a1+a2)だけ短く形成されており、短辺1b方向(Y方向)の長さが(b1+b2)だけ短く形成されている。なおここで回路板2の長辺1a及び短辺1bの長さは、回路板2のスリット4a、4bを形成する前の金属板(図示せず)の各辺の長さと同じである。
セラミックス基板1は、窒化珪素、窒化アルミニウム、アルミナ等、電気伝導率が低く熱伝導率の高いセラミックからなる。回路板2及び放熱板3は、銅やアルミニウム等、電気伝導率と熱伝導率の高い金属からなる。通常、回路板2には半導体チップ等の電子部品をはんだ等で接合し、放熱板3には金属製のヒートシンクをはんだ等で接合して使用される。セラミックス基板1、回路板2及び放熱板3に熱伝導率の高い材料を用いることで、半導体チップ等の電子部品の動作時の発熱をヒートシンク側に効率的に伝え、放熱することができる。
温度変化時の反りを低減する効果を特に発揮するためには、回路板2及び放熱板3のうち厚い方の厚さが、セラミックス基板1の厚さの1.875倍以上であることが特に望ましい。
さらに温度変化時の反りを低減する効果を発揮するためには、スリット4a、4bの幅dの最大値dmaxが、放熱板3に設けられた辺1bに平行なギャップ5a、5a'の幅a1、a2の合計(a1+a2)以上であり、辺1aに平行なギャップ5b、5b'の幅b1、b2の合計(b1+b2)が(a1+a2)以上であることが特に望ましい。
放熱板3にギャップ5a、5a'、5b、5b'を設けてなる第1実施形態に係る絶縁基板30の温度変化時の反り低減効果を有限要素法による熱応力解析を用いて説明する。
<実施例1>
図18に示すように、第1実施形態に係る絶縁基板30に半導体チップ6をはんだ7によって接合した実施例1の解析モデル31を作製した。セラミックス基板1は窒化珪素、回路板2及び放熱板3は銅、半導体チップ6はシリコンとし、銅及びはんだは弾塑性体、窒化珪素及び半導体チップは弾性体とした。セラミックス基板1の外形は長辺1aが32 mm、短辺1bが29 mmとした。各部材の厚さはそれぞれ、半導体チップ6が0.1 mm、はんだ7が0.2 mm、回路板2が0.8 mm、セラミックス基板1が0.32 mm、放熱板3が0.8 mmとした。スリット4の幅dは全て1 mm、絶縁基板30の短辺1bと平行なギャップ5a、5a'の幅a1、a2はいずれも1 mm、絶縁基板30の長辺1aと平行なギャップ5b、5b'の幅b1、b2はいずれも1.5 mmとした。
図19は、放熱板3にギャップ5a、5a'、5b、5b'を有さない以外実施例1と同様にして構成した比較例1の解析モデルを示す。放熱板3の平面寸法は、回路板2の平面寸法と等しい。
実施例1及び比較例1の解析モデルについて、室温25℃から250℃(接合温度に相当)まで上昇させたときの反りを有限要素法による熱応力解析により見積もった。この温度変化は、絶縁基板をヒートシンクにリフローではんだ接合する組立て工程を模擬したものである。
解析の結果得られた実施例1及び比較例1の変形図を図20(a)及び図20(b)に示す。これらの変形図では、絶縁基板30の面に垂直な方向の変化の大きさを20倍に拡大して表示している。放熱板3の平面寸法が回路板2と同じである比較例1では、回路板2側のスリット4の位置における放熱板3の熱膨張によって、絶縁基板30には放熱板3側に凸の反り変形が生じる。これに対して、放熱板3にギャップ5a、5a'、5b、5b'を有する実施例1では放熱板3側に凸の反り変形が低減されているのが分かる。放熱板3にギャップ5a、5a'、5b、5b'を設けることにより反りが低減するメカニズムについては後述する。
図21(b)は、実施例1及び比較例1の絶縁基板における反り量(放熱板部分)を、長辺及び短辺の中心を通るEライン(図21(a)を参照)に沿ってプロットしたグラフを示し、図21(c)は、実施例1及び比較例1の絶縁基板における反り量(放熱板部分)を、Fラインに沿ってプロットしたグラフを示す。図21(b)及び図21(c)から明らかなように、Eライン(短辺方向)及びFライン(長辺方向)のいずれのラインにおいても、実施例1の反り量は比較例1の50%以下に低減されていた。
実施例1の絶縁基板の放熱板3に設けられたギャップ5a、5a'、5b、5b'は、半導体チップ6から十分に離れており、半導体チップ6から放熱板3に到る熱伝導の経路を阻害しないので、放熱経路を阻害せずに、温度変化時の反りを低減する絶縁基板を提供することができる。
<反り低減のメカニズム>
本発明者らは、以下で説明する検討により、回路板又は放熱板(以下、回路板及び/又は放熱板を「金属板」と呼称することがある)の塑性変形によって、金属板に形成したスリット又は帯状のギャップと平行な方向の反り量が増大する現象を発見した。本発明は、放熱板側にギャップを形成したときに前述の現象によって生じる反りを利用することによって、回路板側に凸の反り能力を発生させ、絶縁基板の反り量を低減するという技術的思想を基になし得たものである。
図22は、絶縁基板を単純化した解析モデルを示す。セラミックス基板1、回路板2及び放熱板3の外形寸法は25 mm×25 mmとし、回路板2の中央に、幅1 mmのスリット4を形成した。セラミックス基板1の厚さを0.32 mmに固定し、回路板2及び放熱板3の厚さを同時に変更することで、金属板の厚さとセラミックス基板の厚さとの比と、反りとの関係を調べた。さらに、金属板の物性を弾塑性体とした場合と弾性体とした場合の2種類の解析を行い、金属板の塑性変形による反りへの影響を調べた。温度条件としては、解析モデル全体の温度を25℃から250℃まで上昇させるものとした。スリット4の中心軸Gライン方向、すなわちスリットに平行な方向の反り量を評価した。
解析の結果得られた各条件の放熱板3の反り量を図23に示す。図23(a)は金属板の厚さを0.8 mmとした条件、すなわち金属板の厚さ/セラミックス基板の厚さ=0.8/0.32=2.5としたときの反り量であり、図23(b)は金属板の厚さを0.2 mmとした条件、すなわち金属板の厚さ/セラミックス基板の厚さ=0.2/0.32=0.625としたときの反り量である。金属板の厚さ/セラミックス基板の厚さ=0.625の条件では、金属板の塑性変形の考慮の有無によらず反り量に差異は無く、金属板はほぼ弾性変形していると考えられるが、一方、金属板の厚さ/セラミックス基板の厚さ=2.5の条件では、金属板の塑性変形の考慮の有無によって反り量が大きく異なっていた。金属板を弾性体とした条件では、金属板の厚さ/セラミックス基板の厚さ=2.5とした条件の方が金属板の厚さ/セラミックス基板の厚さ=0.625の条件よりも、金属板が厚く剛性が高い分、反りが小さいという結果になっているが、より現実に近付けて金属板を弾塑性体とした条件では、反りが増加している。このことから、金属板が厚くなると、金属板が塑性変形し、その影響による何らかのメカニズム(後述)でスリット4と平行な方向の反りが増加することがわかる。
金属板を弾塑性体とした条件における、金属板の厚さ/セラミックス基板の厚さの比と、反り量との関係を図24に示す。上述した金属板の塑性変形による反りの増加現象は、金属板の厚さ/セラミックス基板の厚さ=1.875以上で顕著であり、この現象を用いた本発明においては、金属板の厚さ/セラミックス基板の厚さ=1.875以上とすることが特に望ましいと言える。
スリットと平行な方向の反りが発生する原因は、前述したように金属板の塑性変形であると考えられる。そのメカニズムについて以下に説明する。図25(a)は、絶縁基板を単純化した解析モデル(図22を参照)であり、その昇温時の熱変形を図25(b)〜図25(e)に模式的に示す。説明上、解析モデルをスリット直下の[B]パートと、それ以外の[A]及び[C]パートに3分割してそれぞれの熱変形を考えると、[A]及び[C]パートでは上下の対称性(回路板2/セラミックス基板1/放熱板3)により反り変形が生じないのに対して、[B]パートではセラミックス基板1と放熱板3との熱変形差によって、x、yいずれの方向にも、放熱板3側に凸の曲げ変形が生じる(図25(b)を参照)。
実際には[A]、[B]及び[C]パートは一体なので、部材が全て弾性変形しかしないと仮定すると、[B]パートのy方向の曲げ変形は[A]及び[C]パートに拘束されて無視できるほど小さくなる(図23(a)の金属板が弾性体の場合を参照)。このときx方向の曲げ変形は拘束を受けないためそのまま残るので、全体としてはx方向のみに反り変形する(図25(c)を参照)。
これに対して金属板(回路板2及び放熱板3)に塑性変形が生じる場合、セラミックス基板1と金属板(回路板2及び放熱板3)との熱変形差、及び[B]パートのy方向への曲げ変形に起因する圧縮応力によって、[A]及び[C]パートのスリットに隣接する部分2aにおいて金属板(回路板2)が塑性変形し(図25(d)を参照)、構造の上下対称性が失われる。[A]及び[C]パートの上下対称な領域が減少することで、x方向への反りは増加し、y方向にも反りが生じる(図25(e)を参照)。
ここでは、スリットによって生じるx方向及びy方向の反りについて説明したが、本発明において放熱板側に設けたギャップもスリットの一つとして考えることができるため、ギャップによってギャップの長軸方向に反り能力が発生するメカニズムについても同様に説明することができる。
<L18直交表を用いた感度解析>
本現象をさらに詳細に調べるために、L18直交表を用いた感度解析により、反りへの影響の大きい形状パラメータを評価した。図26に用いた解析モデルを示し、図27に制御因子及び水準を示す。評価構造の重複を避けるために、各制御因子は、セラミックス基板1の厚さt1を基準とした相対値とした。スリット4の位置については、鏡面対称にすると同一構造になるような水準の組合せが存在しないように考慮して、絶縁基板端部からの距離p1、p2及びqによって定めた。
図29に、感度解析結果のうち、スリット4に直交する方向の反り量を示す。スリット4に直交する方向の反りは金属板の厚さに関係なく発生し得るものである。スリット4に直交する方向の反り量は、図28に示すように、反りが生じた絶縁基板において、長さLの辺の中点1と中点2とを結んだ線分から絶縁基板までの距離のうち最も長い距離hで定義した。感度解析の結果、反り量hは絶縁基板のアスペクト比(スリット4と直交方向の絶縁基板長さに相当する)の影響を最も大きく受けることがわかった。本評価位置では、スリット4の部分以外はほとんど反らず、スリット4の部分のみにおいて、セラミックス基板1と放熱板3との線膨張係数差による反りが生じていた。このスリット4の部分での反りの曲率には構造の違いによる差がほとんどないので、反り方向の基板の長さが、反りの大きさの支配的な因子になっていると考えられる。
図31に、感度解析結果のうち、スリット4と平行方向の反り量を示す。この方向の反り量は、前述したように、金属板が厚い場合に増加する反り量である。スリット4と平行方向の反り量は、図30に示すように、絶縁基板端部での反り量で定義した。感度解析の結果、スリット4と平行方向の反り量は、スリット4の幅の影響を最も大きく受けることがわかった。前述した通り、この方向の反りは、スリット4の部分での金属板の塑性変形によって生じる。そのため、スリット4の幅が大きく塑性変形領域が大きいほど、反り量が大きくなると考えられる。
以上の感度解析結果をまとめたものを、図32に示す。(D)アスペクト比は、スリット4と直交方向の反りに対する感度は高いが、スリット4と平行方向の反りに対する感度は低い。(E)スリット幅は、スリット4と直交方向の反りに対する感度は低いが、スリット4と平行方向の反りに対する感度は高い。制御因子(D)及び(E)以外の、例えばスリット4の位置等の因子は、スリット4と直交方向の反り及び平行方向の反りのいずれに対しても感度が低い。
以上のことから、例えば図16において、放熱板3側のギャップ5b、5b'は、放熱板3に設けたスリットと見なすことができ、このギャップ幅を調節することにより、ギャップと平行方向の反り能力を発生させ、回路板2によって生じる反り能力に対抗し、絶縁基板の反り量を小さくすることが可能である。
具体的には、a1とa2の和をd以上とすることで、絶縁基板の辺1a(長辺)と平行なスリット4aによって生じるスリット4aと直交方向の反り能力を、幅a1、a2を持つ放熱板3側のギャップ5b、5b'によって生じるギャップ5b、5b'と平行方向の反り能力によってより多く低減できる。同様に、b1とb2の和をd以上とすることで、絶縁基板の辺1b(短辺)と平行なスリット4bによって生じるスリット4bと直交方向の反り能力を、幅b1、b2を持つ放熱板3側のギャップ5b、5b'によって生じるギャップ5b、5b'と平行方向の反り能力によってより多く低減できる。
また、感度解析の結果より、スリット4と直交方向の反りの感度としては(D)アスペクト比(スリット4と直交方向の絶縁基板長さに相当する)が高いので、スリット4bによって生じる基板長辺(辺1a)方向の反り能力は、スリット4aによって生じる基板短辺(辺1b)方向の反り能力よりも大きくなる。従って、b1とb2の和をa1とa2の和以上とすることで、基板長辺(辺1a)方向の反りをより多く低減でき、基板全体の反りを最大限に低減できる。以上より、max(d)≦Σak≦Σbkの関係を満たすのが好適である。なおmax(d)はスリット4の幅の最大値であり、Σakは基板短辺(辺1b)方向に形成するギャップであり、Σbkは基板長辺(辺1a)方向に形成するギャップである。
さらに、上述の感度解析の結果から得られるもう1つの重要な知見として、スリットの幅及び絶縁基板のアスペクト比と比較してスリットの位置は反りに対する感度が低いということが挙げられる。すなわち、放熱板のギャップは、絶縁基板の任意の位置に配置しても反り低減の効果をそれほど損なわないため、放熱経路を阻害しないように絶縁基板の端部にギャップを配置するのが好ましい。
[第2実施形態]
第1実施形態の他にも、本発明の趣旨を損なわなければ、第1実施形態を適宜変更して実施可能である。
例えば、図33に示すように、回路板2と放熱板3との平面寸法が同じで、放熱板3側のギャップ5が、放熱板3の端部でなく内部に形成されていても構わない。前述した感度解析結果からわかるように、端部以外に配置しても反り低減の効果を得られる。よって、半導体チップ6から離して放熱経路を確保するのに好適な位置に、放熱板3側のギャップ5を形成すれば良い。また、放熱板3側のギャップ5は絶縁基板の長辺又は短辺に対して真に平行である必要はなく、図34に示すように、斜めになっていても構わない。
[第3実施形態]
図35に示すように、回路板2にスリット4が形成されていなくても構わない。放熱板3側のギャップ5によって、温度変化時の反りを低減することが本発明の趣旨であるので、例えば、図35に示すように、スリット4は形成されていないが、回路板2と放熱板3との厚さが違うことによって生じる反りを、本発明と同様にして放熱板3の反り能力を調節することによって低減することができる。
1・・・セラミックス基板
1a・・・長辺
1b・・・短辺
2・・・回路板
3・・・放熱板
4・・・スリット
5a、5a'、5b、5b'・・・ギャップ
6・・・半導体チップ
7・・・はんだ
10、10'、10"、20、20'、30・・・絶縁基板
11・・・セラミックス基板
12・・・回路板
13・・・放熱板
14・・・スリット
15・・・第一の金属板
16・・・第二の金属板
100、200、200a、200b、300、300a、300b・・・絶縁基板
112、212、312・・・回路板
114、214、314・・・スリット
314a、314b・・・スリット成分
30・・・絶縁基板

Claims (10)

  1. 辺X及び辺Yからなる矩形のセラミックス基板と、
    前記セラミックス基板の一方の面に接合された第一の金属板に、前記第一の金属板を任意の形状及び任意の数に分割するスリットを設けてなる回路板と、
    前記セラミックス基板の他方の面に形成された第二の金属板からなる放熱板とからなる絶縁基板の反り量を調整する方法であって、
    前記セラミックス基板の一方の面に形成された回路板によって生じる絶縁基板のX方向(前記セラミックス基板の辺Xに平行する方向)の反り能力WX1(前記放熱板側に凸)を求める工程、及び
    前記放熱板のY方向(前記セラミックス基板の辺Yに平行する方向)の長さを、前記第一の金属板のY方向長さよりも短く形成することによって、前記絶縁基板のX方向の反り能力WX2(前記回路板側に凸)を付与する工程を有することを特徴とする絶縁基板の反り量の調整方法。
  2. 請求項1に記載の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
    さらに前記セラミックス基板の一方の面に形成された回路板によって生じる絶縁基板のY方向の反り能力WY1(前記放熱板側に凸)を求める工程、及び
    前記放熱板のX方向の長さを、前記第一の金属板のX方向長さよりも短く形成することによって、前記絶縁基板のY方向の反り能力WY2(前記回路板側に凸)を付与する工程を有することを特徴とする絶縁基板の反り量の調整方法。
  3. 請求項2に記載の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
    前記反り能力WX2が前記反り能力WX1を打ち消すように、前記放熱板のY方向の長さを調節し、
    前記反り能力WY2が前記反り能力WY1を打ち消すように、前記放熱板のX方向の長さを調節することを特徴とする絶縁基板の反り量の調整方法。
  4. 請求項2又は3に記載の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
    前記回路板によって生じる反り能力WX1及びWY1が、前記第一の金属板と同じ形状の前記第二の金属板を前記セラミックス基板の他方の面に、前記セラミックス基板に対して対称な位置に形成したときのX方向の反り量及びY方向の反り量に相当することを特徴とする絶縁基板の反り量の調整方法。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
    前記放熱板によって付与する反り能力WX2及びWY2が、前記セラミックス基板の一方の面にスリットを有さない前記第一の金属板を形成したときのX方向及びY方向の反り量に相当することを特徴とする絶縁基板の反り量の調整方法。
  6. 請求項5に記載の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
    前記反り能力WX1及びWX2の差が0.1 mm以下になるように前記放熱板のY方向の長さを調節し、
    前記反り能力WY1及びWY2の差が0.1 mm以下になるように前記放熱板のX方向の長さを調節することを特徴とする絶縁基板の反り量の調整方法。
  7. 請求項2〜6のいずれかに記載の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
    前記反り能力WX1及びWY1を求める工程が、
    (a)前記回路板を構成するスリットを、n本の線分からなる部分スリットS(i)[iは1からnの整数]に分割する工程、
    (b)前記各部分スリットS(i)によって生じるX方向の反り能力Wx(S(i))及びY方向の反り能力Wy(S(i))(共に前記放熱板側に凸)を求める工程、及び
    (c)反り能力Wx(S(i))及びWy(S(i))を全ての部分スリットS(i)について合計し、それぞれWX1及びWY1を求める工程からなることを特徴とする絶縁基板の反り量の調整方法。
  8. 請求項2〜7のいずれかに記載の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
    (a)前記セラミックス基板の厚さをtc、
    (b)前記第一の金属板の厚さをtm1、
    (c)前記第二の金属板の厚さをtm2、
    (d)前記第二の金属板のX方向及びY方向の長さをそれぞれx及びy、及び
    (e)前記放熱板のX方向及びY方向の長さをそれぞれ(x-a)及び(y-b)、
    としたとき、
    前記反り能力WX2[mm]及びWY2[mm]が、
    WX2=-0.0557+0.0211*Bx+0.000652*Cx-0.0143*Dx+1.171*Ex-0.0569*Hx(ただし、Bx=tm2/tc、Cx=x/tc、Dx=y/x、Ex=b/y、Hx=Ex/2)で表され、
    WY2=-0.0557+0.0211*By+0.000652*Cy-0.0143*Dy+1.171*Ey-0.0569*Hy(ただし、By=tm2/tc、Cy=y/tc、Dy=x/y、Ey=a/x、Hy=Ey/2)で表されることを特徴とする絶縁基板の反り量の調整方法。
  9. 請求項8に記載の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
    前記第一の金属板の厚さをtm1及び前記第二の金属板の厚さtm2のうち厚い方の厚さtmと、前記セラミックス基板の厚さtcとの比tm/tcが1.875以上であることを特徴とする絶縁基板の反り量の調整方法。
  10. 請求項1〜9に記載の絶縁基板の反り量を調整する方法において、
    前記セラミックス基板が窒化珪素セラミックスからなり、前記第一の金属板及び前記放熱板が銅からなることを特徴とする絶縁基板の反り量の調整方法。
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